説明

銅防食剤及び銅防食方法

【課題】 銅に対する高い防食性能を有する、優れた防食剤及び防食方法を提供する。
【解決手段】 本発明の銅防食剤は、ピリジニウム化合物を有効成分として含有するもので、かかるピリジニウム化合物を含む銅防食剤の有効量を、水系に添加することによって、単独で微生物腐食と思われる銅腐食を効果的に防止し、さらに微生物の関与しない一般の銅腐食をも著しく抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種工業用水・排水系、冷却水系、ボイラ水系等での銅系材質を用いた配管、各種機器などと接触する水系において、銅の腐食、特に、微生物腐食を防止するための新規な防食剤及び防食方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種工業用水・排水系や各種貯水系、ボイラ水系等に、銅あるいは銅合金など銅系材料からなる各種機器、配管などが用いられているが、これら機器及び配管等に腐食や孔食が発生して問題となる。
【0003】このような腐食・孔食の発生を防止するため、銅系からなる機器と接する水系に防食剤を添加することが多く行われている。このような銅防食剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾールなどが知られている。しかしながら、これら従来の防食剤では場合によって効果が極めて短期間で失われたり、あるいは、得られる効果が低いと云う問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の欠点を改善し、銅に対して高い防食性能を有する優れた防食剤及び防食方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】従来、銅腐食の要因としては、溶存酸素、pH、腐食性イオン等が知られている。最近、これら従来の要因に加え、微生物が銅腐食に関与しているとの説が提唱されているが、その詳細は不明である。
【0006】本発明者等は、上記のようなアゾール類、チアゾール類で充分な防食効果が得られないケースでは、微生物が関与している腐食、いわゆる微生物腐食が発生しているのではないかとの仮説を立て、検討を行った。
【0007】すなわち、従来からよく知られた銅防食剤である前記アゾール類あるいはチアゾール類と、水系中の微生物を防除する働 きのある微生物防除剤とを併用することにより、水系の微生物の増殖を抑制して、アゾール類あるいはチアゾール類の銅に対する防食効果を発揮させようと試みた。
【0008】しかし、これら薬剤の併用により、水系中の微生物の増殖は抑えられたものの、肝心の銅に対する防食効果の向上は充分とは云えず、満足できるものではなかった。
【0009】そのため、さらに検討を進めたところ、ある種の微生物防除剤は、単独、すなわちアゾール類・チアゾール類などの従来の銅の防食剤を併用しなくても、微生物腐食と思われる銅腐食を効果的に防止し、さらに微生物の関与しない一般の銅腐食をも著しく抑制することを見いだし、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明の銅防食剤は、請求項1に記載の通り、ピリジニウム化合物を有効成分として含有する銅防食剤である。また、本発明の銅防食方法は、請求項4に記載の通り、ピリジニウム化合物の有効量を銅材質と接触する水系に添加する銅防食方法である。
【0011】さらに本発明の銅防食剤は請求項5に記載の通り、ポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩を有効成分として含有する銅防食剤であり、また、本発明の銅防食方法は請求項6に記載の通り、ポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩の有効量を銅材質と接触する水系に添加する銅防食方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において上記ピリジニウム化合物が、下記の化学式A、化学式B及び化学式C、化学式D及び化学式Eのいずれかの式で表される化合物から選ばれたものであると特に低濃度でも安定した防食性能が得られる。
【0013】
【化6】


化学式A中、Rはアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、XはCl,Br,Iのいずれかであり、Y及びZはそれぞれが−H,−COOH,−NH2のいずれかである。
【0014】
【化7】


化学式B中、R1はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【0015】
【化8】


化学式C中、R1はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【0016】
【化9】


化学式D中、R1はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【0017】
【化10】


化学式E中、R1はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【0018】本発明の銅防食剤の有効成分であるピリジニウム化合物をさらに具体的に示すと、例えばドデシルピリジニウム−ハライドなどの前記化学式Aの化合物、例えば4,4′−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−ハライド)などの前記化学式Bの化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−4−カルバモイルピリジニウム−ハライド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−4−カルバモイルピリジニウム−ハライド)などの前記化学式Cの化合物、例えば4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ハライド)、4,4′−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム−ハライド)などの前記化学式Dの化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−3−カルバモイルピリジニウム−ハライド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ハライド)などの前記化学式Eの化合物等を挙げることができ、これらにより特に高い銅防食性が得られる。
【0019】また、ピリジニウム化合物ではないが、ピリジニウム化合物の銅の防食剤への適用を研究している際に、化学式Fで示されるポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩もピリジニウム化合物と同様に高い銅防食性を得ることができることを見い出し、本発明に至った。
【0020】
【化11】


【0021】本発明の銅防食剤の有効成分であるピリジニウム化合物は、特開平6−321902号公報(化合物B)、特開平9−110692号公報(化合物A,C)、特開平10−95773号公報(化合物A,C,E)、特開平10−287566号公報(化合物A,D)等に記載された化合物であり、優れた殺菌効果を示すことは公知である。
【0022】また、本発明者等が特開平11−197673号により提案した水系中のレジオネラ属菌の除菌方法で明らかにしているように、上記ピリジニウム化合物は水系中のアメーバ類及びレジオネラ属菌に対して有効であることが知られている。
【0023】しかしながら、殺菌成分・微生物殺滅成分として知られているこれらピリジニウム化合物を水系に単独で添加するだけで、微生物腐食のみならず銅の腐食一般をも防止できると云う優れた防食性能を有することは全く知られていなかった。
【0024】また、本発明の銅防食剤の有効成分であるポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩も微生物防除剤としては知られているものの、水系に単独添加するだけで、上記ピリジニウム化合物同様に、微生物腐食のみならず銅の腐食一般を防止できる点については、全く知られていなかった。
【0025】本発明の銅防食剤を使用して水系に接する銅製各機器の防食を実施するに当たっては、例えばアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、燐酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、ホスホン酸、ホスフィン酸、あるいはこれらの水溶性塩などのスケール防止剤、例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系化合物、例えばグルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、例えば過酸化水素、ヒドラジン、塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム等)、臭素系殺菌剤及びヨウ素系殺菌剤等の無機物類、さらにジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物、ヨーネンポリマー、四級アンモニウム塩系化合物などのスライム防止剤、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系化合物、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸系化合物、例えばグルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、琥珀酸、乳酸等の有機カルボン酸など、各種の水処理剤を併用することができ、場合によっては予め本発明の銅防食剤にこれらの水処理剤を配合した水処理剤として使用してもよい。
【0026】さらに、従来技術に係る防食剤であるトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、モリブデン酸及びその塩、亜鉛及びその塩、リン酸及びその塩、亜硝酸及びその塩、亜硫酸及びその塩などから選ばれる1種あるいはそれ以上の成分を併せて添加しても良く、配合して一剤としても良い。しかしながら、本発明の銅防食剤は、これらを併用することは必須ではなく、単独で優れた防食性能が得られる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明する。本発明の銅防食剤の有効成分であるピリジニウム化合物として、化学式Aの化合物であるドデシルピリジニウム−アイオダイド(P-12と略記)、化学式Bの化合物である4,4′−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマイド)(S-6,8 と略記)、化学式Cの化合物であるN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−4−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)(4BP-6,10と略記)及びN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−4−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)(4BP-6,12と略記)、化学式Dの化合物である4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ブロマイド)(4RBP-4,10 と略記)、化学式Eの化合物であるN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)(3BP-6,10と略記)及びN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)(3BP-6,12と略記)を、また、ピリジニウム化合物ではないが、ポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩(PHMBと略記)を用意した。
【0028】また比較のために、従来技術において銅の防食剤として用いられているトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾールと、微生物防除剤として知られているメチレンビスチオシアネート(MBTCと略記)、グルタルアルデヒド(GAと略記)を準備した。
【0029】(実施例1)まず、微生物腐食ではない、一般の腐食を想定して検討を行った。つくば市水(分析結果を表1に示す)に上記薬剤を各1mg/Lの濃度となるようテスト溶液(1L)を得た。なお、薬剤添加によるpHの変化はほとんどなく、最大でも±0.1程度の変化であった。これら薬剤添加液1Lに、それぞれ液中にテストピース(タフピッチ銅(JIS・C1100)、表面積0.272dm2)を浸漬し、35℃に保って3日間300rpmで撹拌した。終了後、テストピースを取り出し、その腐食減量から腐食度を算出した。結果を表2に示す。
【0030】
【表1】


【0031】
【表2】


【0032】表2より、ピリジニウム化合物を添加した系で銅の腐食が防止されることが判る。なお、微生物防除剤として知られるメチレンビスチオシアネート及びグルタルアルデヒドではこのような効果が得られないことも判る。
【0033】(実施例2)微生物腐食ではない一般の腐食、ただし、高腐食性条件を想定して検討を行った。すなわち、つくば市水に塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムを添加して、塩化物イオン濃度及び硫酸イオン濃度をそれぞれ500mg/Lとした高腐食性水(pH:7.2)を得た。
【0034】この高腐食性水にそれぞれ薬剤を5mg/Lの濃度となるよう添加し、薬剤添加液を得た。なお、薬剤添加によるpHの変化はほとんどなく、最大でも±0.1程度の変化であった。
【0035】これら薬剤添加液1Lに、実施例1同様にそれぞれ液中にタフピッチ銅のテストピースを浸漬し、35℃に保って3日間300rpmで撹拌した。終了後、テストピースを取り出し、その腐食減量から腐食度を算出した。結果を表3に示す。なお、メチレンビスチオシアネート(MBTC)あるいはグルタルアルデヒド(GA)とベンゾトリアゾールとを併用した系についても同様に検討し、その結果を表3に併記した。
【0036】
【表3】


【0037】表3より、ピリジニウム化合物を添加した系では銅の腐食が防止されることが判る。さらに、ピリジニウム化合物と同じように微生物防除剤として知られるメチレンビスチオシアネート及びグルタルアルデヒドではこのような効果が得られないか、あるいは得られてもわずかであることが判る。
【0038】特に、ドデシルピリジニウム−アイオダイド、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−4−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−4−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)、4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)及びN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)をそれぞれ添加した系では、銅の防食剤として用いられているトリルトリアゾールあるいはベンゾトリアゾールを添加した系と比べても良好な防食性が得られることが判る。
【0039】また、これらトリルトリアゾールやベンゾトリアゾールと比べ若干劣るとは云え、ポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩でも優れた防食性が得られることも判る。
【0040】ここで、メチレンビスチオシアネート(MBTC)あるいはグルタルアルデヒド(GA)とベンゾトリアゾールとを併用した系に関しては、ある程度防食効果が得られることが判ったが、その効果は充分でなく、さらにコストが高くなり、また、2種薬剤の併用となるため、薬注ポンプ、タンクなどが別々に必要となり、設備的にも煩雑となる。これに比べ本発明の防食方法では単独の薬剤の添加で良く、しかも、そのときの添加濃度も極めて低濃度で極めて高い効果が得られる。
【0041】(実施例3)次に実際の冷却水系への応用について検討した。保有水量3m3、循環水量117m3、濃縮倍率4倍、蒸発量0.60m3/h、ブロー量0.20m3/h、補給水量0.80m3/hで稼働している冷却水系(水の分析結果を表4に示す)にN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)を濃度が1.0mg/Lとなるよう添加し、この濃度に維持した。この水系にタフピッチ銅のテストピースを7日間浸漬し、その後取り出し、腐食減量より腐食度を算出すると同時に、目視観察した。その結果を、予め同様に、ただしN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)を添加することなく7日間水系に浸漬したテストピースでの結果と併せて表5に示す。
【0042】
【表4】


【0043】
【表5】


【0044】表5より、実際の水系であっても、本発明の銅防食剤であるN,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ブロマイド)を添加することにより銅の防食効果が得られることが確認された。
【0045】(実施例4)次に、微生物腐食に対する効果を調べた。すなわち、実際の冷却循環水系であって、銅の腐食が生じた水系からスライムを採取した。このスライム(含水状態のまま)を実施例2で使用したのと同じ高腐食性水に5g/Lとなるよう添加し、テスト液(pH:8.0)を調整した。このテスト液に実施例2同様に各種薬剤を濃度が5mg/Lとなるよう添加して薬剤添加液を得た。なお、薬剤添加によるpHの変化はほとんどなく、最大でも±0.1程度の変化であった。
【0046】これら薬剤添加液に実施例1同様にテストピースを浸漬し、35℃に保って撹拌しながら、3日間保った。テスト終了後の腐食度を調べ、また、そのときの腐食の形態を目視にて観察した。結果を表6に示す。なお、メチレンビスチオシアネート(MBTC)あるいはグルタルアルデヒド(GA)とベンゾトリアゾールとを併用した系についても同様に検討し、その結果を表6に併記した。
【0047】
【表6】


【0048】表6より、銅腐食が発生した水系から採取したスライムを高腐食性水に添加して得られた環境であっても、本発明に係る銅防食剤を添加することにより銅の腐食を効果的に防止できることが判る。
【0049】ここで、メチレンビスチオシアネート(MBTC)あるいはグルタルアルデヒド(GA)とベンゾトリアゾールとを併用した系に関しては、2種併用した効果はほとんどなく、特に熱交換器や配管などで完全な防止が必要とされる孔食の発生が防止できないことが確認された。
【0050】このように本発明の防食方法では単独で、しかも、極めて低濃度の薬剤を添加するだけでスライム存在下の高腐食性水と云う極めて過酷な条件であるにもかかわらず高い効果が得られる。
【0051】
【発明の効果】本発明の銅防食剤は、ピリジニウム化合物あるいはポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩を有効成分とするもので、かかる銅防食剤を水系中に添加することにより、他の薬剤の併用を必要とせず、さらに、極めて低い濃度の使用でも、微生物腐食と思われる銅腐食を効果的に防止し、さらに微生物の関与しない一般の銅腐食をも著しく抑制することができる。また、微生物防除剤と銅防食材を併用するに際しては、薬注ポンプ、薬液タンク、薬液調整等を別々に必要とし、そのため設備投資が過大となり、それらのメンテナンスも煩雑であったが、本発明の方法によれば薬注は1系列で済み、その結果メンテナンスも容易である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピリジニウム化合物を有効成分として含有することを特徴とする銅防食剤。
【請求項2】 上記ピリジニウム化合物が、下記の化学式A、化学式B、化学式C、化学式D及び化学式Eのいずれかの式で表される化合物から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載の銅防食剤。
【化1】


化学式A中、Rはアルキル基、XはCl,Br,Iのいずれかであり、Y及びZはそれぞれが−H,−COOH,−NH2のいずれかである。
【化2】


化学式B中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【化3】


化学式C中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【化4】


化学式D中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【化5】


化学式E中、R1はアルキル基、R2は炭素数2以上のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、XはCl,Br,Iのいずれかである。
【請求項3】上記ピリジニウム化合物が、ドデシルピリジニウム−ハライド、4,4′−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−ハライド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−4−カルバモイルピリジニウム−ハライド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−4−カルバモイルピリジニウム−ハライド)、4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ハライド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−デシル−3−カルバモイルピリジニウム−ハライド)、及び、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(1−ドデシル−3−カルバモイルピリジニウム−ハライド)から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項2記載に記載の銅防食剤。
【請求項4】 ピリジニウム化合物の有効量を銅材質と接触する水系に添加することを特徴とする銅防食方法。
【請求項5】 ポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩を有効成分として含有することを特徴とする銅防食剤。
【請求項6】 ポリヘキサメチレンバイガナジン塩酸塩の有効量を銅材質と接触する水系に添加することを特徴とする銅防食方法。

【公開番号】特開2001−172783(P2001−172783A)
【公開日】平成13年6月26日(2001.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−352834
【出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(000101042)アクアス株式会社 (66)
【Fターム(参考)】