鋼管矢板、鋼管矢板の連結構造および鋼管矢板の継手鋼管
【課題】P−P型継手による鋼管矢板の継手部におけるせん断耐力の向上を可能にした鋼管矢板の連結構造および鋼管矢板を提供する。
【解決手段】隣り合う鋼管矢板本管1,1の対向する側部に継手鋼管2,2をそれぞれ取り付ける。継手鋼管2,2の側部に設けられたスリット2a,2aからそれぞれ鋼管矢板本管1方向に延びる円弧部2b,2bどうしが互いに係合する。円弧部2b,2bの外側部にずれ止め部材3を形成する。ずれ止め部材3は棒鋼または孔あき鋼板から形成し、継手鋼管2の軸方向に連続して形成する。継手鋼管2,2内にそれぞれモルタル4を充填する。
【解決手段】隣り合う鋼管矢板本管1,1の対向する側部に継手鋼管2,2をそれぞれ取り付ける。継手鋼管2,2の側部に設けられたスリット2a,2aからそれぞれ鋼管矢板本管1方向に延びる円弧部2b,2bどうしが互いに係合する。円弧部2b,2bの外側部にずれ止め部材3を形成する。ずれ止め部材3は棒鋼または孔あき鋼板から形成し、継手鋼管2の軸方向に連続して形成する。継手鋼管2,2内にそれぞれモルタル4を充填する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼管矢板の連結構造ならびに鋼管矢板それに用いる継手鋼管に関し、主として土留め壁や鋼管矢板基礎などを構築する際に用いられる。
【背景技術】
【0002】
鋼管矢板を利用した土木構造物として例えば図12(a)に図示するような鋼管矢板基礎が知られている。鋼管矢板基礎は複数の鋼管矢板を施工現場にて、円形などの閉鎖形状に組み合わせて良質な支持層に到達するまで設置し、その頭部に頂版を設けて構造物の基礎とするもので、橋梁などの基礎として用いられている。
【0003】
またその際、鋼管矢板どうしは隣り合う鋼管矢板本管の対向する側部にそれぞれ突設された形鋼または鋼管からなる継手材どうしを係合し、その内側中空部にモルタル等を充填することにより接続されている。
【0004】
特に継手材として鋼管を用いる、いわゆるP−P型(パイプ型)連結構造は、例えば図12(b)に図示するように、隣り合う鋼管矢板本管20,20の対向する側部に継手鋼管21,21をそれぞれ突設し、当該継手鋼管21,21どうしをその側部に設けられたスリット21aから鋼管矢板本管20方向に伸びる円弧部21b,21bどうしを互いに係合させ、その継手内部にモルタル22等を充填することにより接合するもので、この場合の継手鋼管21には通常外径165.2mm、板厚9または11mmの円形鋼管が用いられ、またモルタル22には圧縮強度が20Mpa程度のものが用いられている。
【0005】
ところで、鋼管矢板基礎に水平方向の外力が作用すると、鋼管矢板間の継手部には鋼管の軸方向にせん断力が作用し、このせん断力が大きくなると継手部のずれ変形が急増して、鋼管矢板基礎の全体の曲げ剛性の低下の度合いが大きくなる。すなわち、鋼管矢板基礎の全体の曲げ剛性は、継手のせん断耐力に大きく影響する。
【0006】
一般に、図11(a),(b)に図示するような、P−P型(パイプ型)継手による鋼管矢板継手部のせん断耐力(最大耐力)は、継手部中央の嵌合区間H内の界面でのずれ発生により決定される。
【0007】
従来、鋼管矢板継手部のせん断耐力を向上させる方法として、上記した形鋼や鋼管からなる継手材に異形棒鋼などを突設して固化材の付着力を高める方法が知られている(特許文献1参照)。
【0008】
また特にP−P型連結構造においては、継手鋼管の径を大きくする方法の他に、継手鋼管の内周に突起を有する内面突起付き鋼管、外周に突起を有する外面突起付き鋼管、あるいは継手鋼管の内周と外周の両方に突起を有する内外面突起付鋼管を継手鋼管として用いることにより、継手鋼管内に充填されるモルタルの付着力を高める方法やこの両者を併用する方法が知られている(特許文献2、3、7参照)。
【0009】
また、上記した嵌合区間Hのモルタル充填が特に重要である点に着目して嵌合区間Hに間隔保持用のスペーサーを突設したり(特許文献2、4参照)、嵌合区間Hが広くなるようにスリットの位置を決めたり(特許文献3参照)、嵌合区間Hを形成する継手爪部に複数個の貫通孔を設け十分な継手内洗浄、モルタル充填を行う方法(特許文献5)もとられている。
【0010】
また、継手鋼管の拘束効果が小さいためにスリットに開き変形が生じ、このためせん断耐力の向上に自ずと限界があることから、継手嵌合区間Hに貫通孔を設ける等の方法(特許文献6)も試みられている。
【0011】
【特許文献1】特公昭49−22404号公報
【特許文献2】特開2000−355932号公報
【特許文献3】特開2005−105726号公報
【特許文献4】特開2002−105949号公報
【特許文献5】特開2000−355933号公報
【特許文献6】特開2005−48385号公報
【特許文献7】特開2006−161375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に記載された方法では、形鋼や鋼管からなる継手材は突起を設ける等して特にモルタルの付着力を向上させるようには形成されていないため、せん断耐力の向上には限界があり、また異形棒鋼の径や配置方法によっては継手部のせん断破壊モードが異なり、異形棒鋼とモルタルとの付着強度が十分に発揮されないという課題があった。
【0013】
また、特許文献2、3、4および5に記載された方法は、あくまでも要求される継手のせん断耐力を確実に発揮させるための方法であり、継手せん断耐力の向上には限界があった。
【0014】
また特に、特許文献7に図示するような外面突起付き鋼管は、鋼管本体に溶接して取り付ける際に、突起が邪魔になって鋼管本体との溶接が充分になされないおそれがあり、その場合、継手部のせん断耐力は鋼管本体と継手鋼管との溶接部強度により決定されることから、充分なせん断耐力を発揮できないおそれがあった。
【0015】
また、継手鋼管の一方に内面突起付き鋼管を、他方に外面突起付き鋼管を用いた場合や、継手鋼管の一方に内外面突起付き鋼管を、他方に外面突起付き鋼管を用いた場合においては、図11(a),(b)で説明する継手嵌合空間A室若しくはC室のみしかせん断耐力を期待できず、せん断耐力の向上に限界があった。
【0016】
さらに、継手鋼管の一方に内外面突起付き鋼管を、他方に内面突起付き鋼管を用いた場合においては、図11(a),(b)で説明する継手嵌合空間A室とB室、若しくはC室とB室の2室でせん断耐力を期待できるが、施工時にB室のスペースが狭くなって充分な洗浄とモルタル充填ができない場合には、B室のせん断耐力は発揮されず、そのためA室若しくはC室でしかせん断力を期待できず、せん断力の向上に限界があった。
【0017】
また、両方の継手鋼管に内外面突起付き鋼管を用いた場合においては、図11(a),(b)で説明する継手嵌合空間A室、B室およびC室の3室でせん断耐力を期待できるが、上記理由によりB室におけるせん断耐力を期待できないとなると、A室とC室のみにせん断耐力を期待することになるが、その際、せん断耐力の向上を見込めない箇所にも突起を設けることになり、余計なコストを要する等の課題があった。
【0018】
さらに、そもそも、外面突起付き鋼管(内外面突起付き鋼管を含む)は、製管加工時に突起が邪魔になったり突起が摩滅したりするおそれがあるため製管が比較的難しく、そのため入手も困難である。
【0019】
そして、特許文献5および6に記載された方法は、継手鋼管の円弧部に貫通孔を精度よくあけることは非常に難しく、また貫通孔は同じ位置に対向させて配置する必要があるため、高とまり等の鋼管矢板の施工不良などで貫通孔にずれが生じると、期待されるせん断耐力が発揮されないという問題があった。
【0020】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、いわゆるP−P型継手による鋼管矢板の継手部におけるせん断耐力の向上を可能にした鋼管矢板の連結構造および鋼管矢板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1記載の鋼管矢板の連結構造は、隣り合う鋼管矢板本管の対向する側部に、軸方向にスリットを有する継手鋼管が取り付けられ、前記スリットどうしを係合させ、かつ前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられるとともに、該ずれ止め部材の設けられた空間に充填材が充填されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明は、いわゆるP−P型継手による鋼管矢板継手部のせん断耐力(最大耐力)は、例えば図11(a),(b)に図示するように、継手部中央の嵌合区間H内の界面でのずれ発生で規定されるという観点からなされたもので、円弧部先端の外側面部にずれ止め部材を設けることで、鋼管矢板継手部のせん断耐力を向上させたものであり、ずれ止め部材を設けたことにより継手部における鋼管軸方向のずれのみならず、鋼管周方向のずれも阻止することができる。
【0023】
また、外面突起を成型する箇所を継手を嵌合させた際に係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面に限定することで、突起成型のコストを低減できることや、継手鋼管を鋼管矢板本管に溶接する際に突起が弊害とならず、十分な溶接が可能となる。
【0024】
従来の連結構造は、継手嵌合空間A室、B室、C室の3室のうちで、B室のみがせん断耐力を期待できる構造であったため、3室で一番狭いB室の土砂を充分に洗浄し、B室にモルタルを充填することが必要であった。
【0025】
しかし、施工時の打ち延びや打ち縮み等により継手嵌合空間B室が過度に狭くなった際には、B室の洗浄の作業が非常にやりにくくなり、B室のせん断耐力を確実に発揮させるために十分に洗浄するための工数や労力が多大となる。
【0026】
本発明は、継手嵌合空間A室とC室の2室で継手管内の洗浄とモルタルの充填を行なうことにより、従来と比較して高いせん断耐力を有し、継手部の信頼性を高めた鋼管矢板の連結構造を提供するものである。
【0027】
また、継手部に止水性が要求される場合には、B室に止水材を充填することでその要求に応えることができる。この場合、止水目的であることからB室の洗浄は充分である必要でなく、また止水材としてモルタルを用いる場合高強度のモルタルは必要としない。なお、A室とC室に充填するモルタルは20N/mm2以上の強度とするのが望ましい。
【0028】
また、止水目的でB室に充填される止水材は一般汎用品でよいが、モルタルを充填する場合は、モルタルの強度はA室とC室に充填するモルタルの強度相当以下とすることによりコストを抑え、流動性と施工性を高めるのが望ましい。
【0029】
なお、施工時に継手嵌合空間B室にスペーサーを設けることにより、継手嵌合空間A室とC室のずれ止め部材が突設された継手爪部長さ(充填材との付着面積)を確保することで、高いせん断耐力を充分に発揮させることができる。また、スペーサーとして鋼管を用いることにより、スペーサーをB室に止水材を充填する際の注入管として利用することができる。
【0030】
ずれ止め部材は、丸鋼(鉄筋)や異形棒鋼、さらにはスタッド、孔あき鋼板、溶接ビード等から形成することができる。また、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に連続して形成してもよく、あるいは所定間隔おきに形成してもよい。さらに、複数列にかついわゆる千鳥状に形成してもよい。
【0031】
請求項2記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1記載の鋼管矢板の連結構造において、前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とするものである。
【0032】
継手鋼管の内周に複数の突起を形成することで、継手部全体におけるずれ発生を阻止することができるため、継手部のせん断耐力はさらに向上する。なお、継手鋼管には、例えば図10(a),(b),(c)にそれぞれ図示するようなチェッカ状突起、スパイラル状突起、平行状突起を内周に有する内面突起付鋼管を用いることができる。
【0033】
請求項3記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1または2記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とするものである。
【0034】
請求項4記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とするものである。
【0035】
鋼管矢板の継手嵌合空間に異形棒鋼からなるずれ止め部材を突設することにより、充填材との付着面積を大きくすると共に、異形棒鋼の突模様による楔作用を利用して継手部のすべりを防止することで継手せん断耐力を向上させることができる。
【0036】
この場合の異形棒鋼には、継手の洗浄時に障害とならない程度を考慮すると、径25mm以下程度のものが望ましい。また、異形棒鋼の配置は、1継手鋼管につき2列以下とすることが望ましい。
【0037】
請求項5記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とするものである。この場合の孔あき鋼板の孔の形状や位置は特に限定されるものではない。
【0038】
請求項6記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とするものである。
【0039】
ずれ止め部材にスタッドを用いることにより、突起成形時の入熱量が少なく、継手の熱ひずみが小さく、製造コスト(ひずみ矯正)を抑えることが可能となる。
【0040】
特に外面突起を成型する箇所が、継手を嵌合させた際に係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面であり、突起成型時の入熱で継手爪部のひずみが大きくなると想定されるため、ずれ止め部材にスタッドを用い、入熱量を抑えることは非常に優れた技術となる。さらに、継手のずれ止めにスタッドを採用することで、製造時、鋼管矢板に継手鋼管を溶接した後に鋼管矢板を水平に設置したまま加工することができ、加工時間を短縮でき、また加工が容易でコスト縮減が可能となる。
【0041】
また、スタッドは継手嵌合空間への突起突出量が少なく、継手洗浄時に障害となることがないため、継手管内を充分に洗浄し、モルタルを充填することが可能になり、せん断耐力を確実に発揮させることができる。また、煩雑な加工が不要で、製作が容易で経済的である。
【0042】
好ましい実施例としては、高さ=4mm〜10mm、径Φ(幅)10mm程度〜20mm程度のスタッド(外面突起)を使用する(ただし、上記諸元に左右されない)。配置としては、一継手管について2列以下にすることが望ましく、列配置、千鳥配置のいずれでもよい。
【0043】
請求項7記載の鋼管矢板は、鋼管矢板本管と当該鋼管矢板本管の側部に取り付けられ、軸方向にスリットを有する継手鋼管とから構成され、かつ前記スリットを係合させて設置される鋼管矢板であって、前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられてなることを特徴とするものである。
【0044】
請求項8記載の鋼管矢板は、請求項7記載の鋼管矢板において、前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とするものである。
【0045】
継手鋼管の内周に複数の突起を形成することで、継手部全体におけるずれ発生を阻止することができるため、継手部のせん断耐力はさらに向上する。なお、継手鋼管には、例えば図10(a),(b),(c)にそれぞれ図示するようなチェッカ状突起、スパイラル状突起、平行状突起を内周に有する内面突起付鋼管を用いることができる。
【0046】
請求項9記載の鋼管矢板は、請求項7または8記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とするものである。
【0047】
請求項10記載の鋼管矢板は、請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とするものである。
【0048】
鋼管矢板の継手嵌合空間に異形棒鋼からなるずれ止め部材を突設することにより、充填材との付着面積を大きくすると共に、異形棒鋼の突模様による楔作用を利用して継手部のすべりを防止することで継手せん断耐力を向上させることができる。
【0049】
この場合の異形棒鋼には、継手の洗浄時に障害とならない程度を考慮すると、径25mm以下程度のものが望ましい。また、異形棒鋼の配置は、1継手鋼管につき2列以下とすることが望ましい。
【0050】
請求項11記載の鋼管矢板は、請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とするものである。この場合の孔あき鋼板の孔の形状や位置は特に限定されるものではない。
【0051】
請求項12記載の鋼管矢板は、請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とするものである。
【0052】
ずれ止め部材にスタッドを用いることにより、突起成形時の入熱量が少なく、継手の熱ひずみが小さく、製造コスト(ひずみ矯正)を抑えることが可能となる。
【0053】
また、スタッドは継手嵌合空間への突起突出量が少なく、継手洗浄時に障害となることがないため、継手管内を充分に洗浄し、モルタルを充填することが可能になり、せん断耐力を確実に発揮させることができる。また、煩雑な加工が不要で、製作が容易で経済的である。
【0054】
好ましい実施例としては、高さ=4mm〜10mm、径Φ(幅)10mm程度〜20mm程度のスタッド(外面突起)を使用する(ただし、上記諸元に左右されない)。配置としては、一継手管について2列以下にすることが望ましく、列配置、千鳥配置のいずれでもよい。
【0055】
請求項13記載の鋼管矢板の継手鋼管は、鋼管矢板同士を連結するために鋼管矢板本管に取り付けられる継手鋼管であって、軸方向にスリットを有し、外周面のうち少なくとも別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0056】
この場合のずれ止め部材は、丸鋼(鉄筋)や異形棒鋼、あるいは異形鉄筋などの棒鋼、さらにはスタッド、孔あき鋼板、溶接ビード等から形成することができる。また、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に連続して形成してもよく、あるいは所定間隔おきに形成してもよい。さらに、複数列にかついわゆる千鳥状に形成してもよい。
【0057】
請求項14記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13記載の鋼管矢板の継手鋼管において、内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とするものである。
【0058】
継手鋼管の内周に複数の突起を形成することで、継手部全体におけるずれ発生を阻止することができるため、継手部のせん断耐力はさらに向上する。なお、継手鋼管には、例えば図10(a),(b),(c)にそれぞれ図示するようなチェッカ状突起、スパイラル状突起、平行状突起を内周に有する内面突起付鋼管を用いることができる。
【0059】
請求項15記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とするものである。
【0060】
請求項16記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とするものである。
【0061】
鋼管矢板の継手嵌合空間に異形棒鋼からなるずれ止め部材を突設することにより、充填材との付着面積を大きくすると共に、異形棒鋼の突模様による楔作用を利用して継手部のすべりを防止することで継手せん断耐力を向上させることができる。
【0062】
この場合の異形棒鋼には、継手の洗浄時に障害とならない程度を考慮すると、径25mm以下程度のものが望ましい。また、異形棒鋼の配置は、1継手鋼管につき2列以下とすることが望ましい。
【0063】
請求項17記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とするものである。この場合の孔あき鋼板の孔の形状や位置は特に限定されるものではない。
【0064】
請求項18記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とするものである。
【0065】
ずれ止め部材にスタッドを用いることにより、突起成形時の入熱量が少なく、継手の熱ひずみが小さく、製造コスト(ひずみ矯正)を抑えることが可能となる。
【0066】
また、スタッドは継手嵌合空間への突起突出量が少なく、継手洗浄時に障害となることがないため、継手管内を充分に洗浄し、モルタルを充填することが可能になり、せん断耐力を確実に発揮させることができる。また、煩雑な加工が不要で、製作が容易で経済的である。
【0067】
好ましい実施例としては、高さ=4mm〜10mm、径Φ(幅)10mm程度〜20mm程度のスタッド(外面突起)を使用する(ただし、上記諸元に左右されない)。配置としては、一継手管について2列以下にすることが望ましく、列配置、千鳥配置のいずれでもよい。
【発明の効果】
【0068】
本発明は、互いに係合する継手鋼管の特に円弧部の外側部にずれ止め部材が設けられていることで、継手部中央の嵌合区間の界面でのずれ発生、すなわち円弧部とモルタルとの付着面でのずれ発生を阻止することができるため、継手部におけるせん断耐力が大幅に向上する。
【0069】
また、継手鋼管として内面突起付鋼管を用いた場合、鋼管内面と充填材の付着力は増すが、係合部内に位置する突起のない継手鋼管外周面と充填材との間の付着力が小さいため、その部分で付着切れが発生する恐れがあるが、この付着切れをずれ止め部材によって阻止することによりせん断耐力はさらに向上する。
【0070】
また、ずれ止め部材は円弧部の外側部にスタッドなどを溶接することにより形成されているため、煩雑な加工もなく、また溶接量もそれ程多くないため、製作も容易で経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
図1〜図3は、いずれも鋼管矢板のP−P型連結構造および鋼管矢板の例を示し、隣り合う鋼管矢板本管1,1の対向する側部に、継手鋼管2,2がそれぞれ鋼管矢板本管1の軸方向と平行に溶接することにより取り付けられている。
【0072】
各継手鋼管2の側部にはそれぞれスリット2aが継手鋼管2の軸方向に連続して形成されている。また、各継手鋼管2のスリット2aから鋼管矢板本管1方向に延びる円弧部2bの先端の外側部に、複数のずれ止め部材3が溶接することにより取り付けられている。
【0073】
ずれ止め部材3は、たとえば図1に図示するような丸鋼や異形鉄筋などの棒鋼、図2(a),(b)に図示するような孔あき鋼板、あるいは図3に図示するようなスタッドから形成され、これらのずれ止め部材3は継手鋼管2の軸方向に一列または複数列に連続して取り付けられ、特に複数列とする方がせん断耐力を向上させる上で有利である。
【0074】
そして、このように形成された継手鋼管2,2の円弧部2b,2bはスリット2a,2aを介して互いに係合されている。すなわち、各円弧部2bのずれ止め部材3が取り付けられた先端部分が継手鋼管2内に挿入されている。また、円弧部2bの先端部分の両側、すなわち継手嵌合空間A室とC室にモルタル4が充填されている。なお、モルタル4はB室にも充填されてもよい。こうして、鋼管矢板本管1,1は一対の継手鋼管2,2を介して接続されている。
【0075】
鋼管矢板の継手部がこのように構成されていることで、継手部中央の嵌合区間Hの界面でのずれ発生、すなわち円弧部2bとモルタル4との付着面でのずれ発生が阻止されるため、鋼管矢板継手部におけるせん断耐力が大幅に向上する。
【0076】
また特に、継手鋼管2として内周に突起を有する例えば図10(a),(b),(c)に図示するような内面突起突き鋼管を用いることにより継手部のせん断耐力はさらに向上する。
【0077】
図5,6に示すグラフは、P−P型継手による鋼管矢板の継手部におけるせん断力と相対ずれ変位量との関係について、本発明と従来例を比較したものである。 なお、継手部におけるせん断耐力と相対ずれ変位量は、図7(a),(b)に図示する装置を用い、押し抜きせん断実験によって測定した。
【0078】
図5グラフ(1)は従来例であるずれ止め部材を設けない縞鋼管(図8(1))の実験結果を示し、グラフ(2),(3)、図6は本発明の実験結果を示し、特にグラフ(2)は異形鉄筋(図8(2))、グラフ(3)は孔あき鋼板(図8(3))図6はスタッド(図9(4))をずれ止め部材としてそれぞれ継手鋼管に溶接して用いた場合の実験結果を示したものである。グラフから明らかなように本発明が従来例より変位量が少なく、せん断耐力がはるかに大きいことがわかる。
【0079】
図4は、施工時に継手嵌合空間B室にスペーサー5を立て込むことにより、継手嵌合空間A室とC室のずれ止め部材3が突設された円弧部2bの先端部分の長さ(モルタル4との付着面積)を確実に確保することができ、高いせん断耐力を充分に発揮させることができる。また、スペーサー5として鋼管を用いることによりB室に止水材を充填する際の注入管として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、鋼管矢板のP−P型継手による継手部のせん断耐力を簡単な構造で高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】ずれ止め部材に棒鋼を用いた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示す横断面図である。
【図2】ずれ止め部材に孔あき鋼板を用いた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示し、(a)は横断面図、(b)は一部縦断面図である。
【図3】ずれ止め部材にスタッドを用いた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示す横断面図である。
【図4】継手嵌合空間B室に鋼管からなるスペーサーが立て込まれた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示す横断面図である。
【図5】P−P型継手部のせん断耐力と相対ずれ変位量との関係について、本発明と従来を比較したグラフでる。
【図6】P−P型継手部のせん断耐力と相対ずれ変位量との関係について、突起にスタッドを用いたケースの実験結果である。
【図7】P−P型継手部のせん断耐力と相対ずれ変位量との関係を測定するための装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】P−P型継手の構造について本発明と従来例の実験例を示したものである。
【図9】P−P型継手の構造について本発明と従来例の実験例を示したものである。
【図10】(a),(b),(c)は、継手鋼管の内周に形成された突起の形状を示す継手鋼管の内周の一部表面図である。
【図11】(a),(b)は、P−P型継手部の破壊の状態を説明した継手部の横断面図である。
【図12】(a)は鋼管矢板基礎の一例を示す斜視図、(b)は従来の鋼管矢板継手部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 鋼管矢板本管
2 継手鋼管
2a スリット
2b 円弧部
3 ずれ止め部材
4 モルタル
5 スペーサー
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼管矢板の連結構造ならびに鋼管矢板それに用いる継手鋼管に関し、主として土留め壁や鋼管矢板基礎などを構築する際に用いられる。
【背景技術】
【0002】
鋼管矢板を利用した土木構造物として例えば図12(a)に図示するような鋼管矢板基礎が知られている。鋼管矢板基礎は複数の鋼管矢板を施工現場にて、円形などの閉鎖形状に組み合わせて良質な支持層に到達するまで設置し、その頭部に頂版を設けて構造物の基礎とするもので、橋梁などの基礎として用いられている。
【0003】
またその際、鋼管矢板どうしは隣り合う鋼管矢板本管の対向する側部にそれぞれ突設された形鋼または鋼管からなる継手材どうしを係合し、その内側中空部にモルタル等を充填することにより接続されている。
【0004】
特に継手材として鋼管を用いる、いわゆるP−P型(パイプ型)連結構造は、例えば図12(b)に図示するように、隣り合う鋼管矢板本管20,20の対向する側部に継手鋼管21,21をそれぞれ突設し、当該継手鋼管21,21どうしをその側部に設けられたスリット21aから鋼管矢板本管20方向に伸びる円弧部21b,21bどうしを互いに係合させ、その継手内部にモルタル22等を充填することにより接合するもので、この場合の継手鋼管21には通常外径165.2mm、板厚9または11mmの円形鋼管が用いられ、またモルタル22には圧縮強度が20Mpa程度のものが用いられている。
【0005】
ところで、鋼管矢板基礎に水平方向の外力が作用すると、鋼管矢板間の継手部には鋼管の軸方向にせん断力が作用し、このせん断力が大きくなると継手部のずれ変形が急増して、鋼管矢板基礎の全体の曲げ剛性の低下の度合いが大きくなる。すなわち、鋼管矢板基礎の全体の曲げ剛性は、継手のせん断耐力に大きく影響する。
【0006】
一般に、図11(a),(b)に図示するような、P−P型(パイプ型)継手による鋼管矢板継手部のせん断耐力(最大耐力)は、継手部中央の嵌合区間H内の界面でのずれ発生により決定される。
【0007】
従来、鋼管矢板継手部のせん断耐力を向上させる方法として、上記した形鋼や鋼管からなる継手材に異形棒鋼などを突設して固化材の付着力を高める方法が知られている(特許文献1参照)。
【0008】
また特にP−P型連結構造においては、継手鋼管の径を大きくする方法の他に、継手鋼管の内周に突起を有する内面突起付き鋼管、外周に突起を有する外面突起付き鋼管、あるいは継手鋼管の内周と外周の両方に突起を有する内外面突起付鋼管を継手鋼管として用いることにより、継手鋼管内に充填されるモルタルの付着力を高める方法やこの両者を併用する方法が知られている(特許文献2、3、7参照)。
【0009】
また、上記した嵌合区間Hのモルタル充填が特に重要である点に着目して嵌合区間Hに間隔保持用のスペーサーを突設したり(特許文献2、4参照)、嵌合区間Hが広くなるようにスリットの位置を決めたり(特許文献3参照)、嵌合区間Hを形成する継手爪部に複数個の貫通孔を設け十分な継手内洗浄、モルタル充填を行う方法(特許文献5)もとられている。
【0010】
また、継手鋼管の拘束効果が小さいためにスリットに開き変形が生じ、このためせん断耐力の向上に自ずと限界があることから、継手嵌合区間Hに貫通孔を設ける等の方法(特許文献6)も試みられている。
【0011】
【特許文献1】特公昭49−22404号公報
【特許文献2】特開2000−355932号公報
【特許文献3】特開2005−105726号公報
【特許文献4】特開2002−105949号公報
【特許文献5】特開2000−355933号公報
【特許文献6】特開2005−48385号公報
【特許文献7】特開2006−161375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に記載された方法では、形鋼や鋼管からなる継手材は突起を設ける等して特にモルタルの付着力を向上させるようには形成されていないため、せん断耐力の向上には限界があり、また異形棒鋼の径や配置方法によっては継手部のせん断破壊モードが異なり、異形棒鋼とモルタルとの付着強度が十分に発揮されないという課題があった。
【0013】
また、特許文献2、3、4および5に記載された方法は、あくまでも要求される継手のせん断耐力を確実に発揮させるための方法であり、継手せん断耐力の向上には限界があった。
【0014】
また特に、特許文献7に図示するような外面突起付き鋼管は、鋼管本体に溶接して取り付ける際に、突起が邪魔になって鋼管本体との溶接が充分になされないおそれがあり、その場合、継手部のせん断耐力は鋼管本体と継手鋼管との溶接部強度により決定されることから、充分なせん断耐力を発揮できないおそれがあった。
【0015】
また、継手鋼管の一方に内面突起付き鋼管を、他方に外面突起付き鋼管を用いた場合や、継手鋼管の一方に内外面突起付き鋼管を、他方に外面突起付き鋼管を用いた場合においては、図11(a),(b)で説明する継手嵌合空間A室若しくはC室のみしかせん断耐力を期待できず、せん断耐力の向上に限界があった。
【0016】
さらに、継手鋼管の一方に内外面突起付き鋼管を、他方に内面突起付き鋼管を用いた場合においては、図11(a),(b)で説明する継手嵌合空間A室とB室、若しくはC室とB室の2室でせん断耐力を期待できるが、施工時にB室のスペースが狭くなって充分な洗浄とモルタル充填ができない場合には、B室のせん断耐力は発揮されず、そのためA室若しくはC室でしかせん断力を期待できず、せん断力の向上に限界があった。
【0017】
また、両方の継手鋼管に内外面突起付き鋼管を用いた場合においては、図11(a),(b)で説明する継手嵌合空間A室、B室およびC室の3室でせん断耐力を期待できるが、上記理由によりB室におけるせん断耐力を期待できないとなると、A室とC室のみにせん断耐力を期待することになるが、その際、せん断耐力の向上を見込めない箇所にも突起を設けることになり、余計なコストを要する等の課題があった。
【0018】
さらに、そもそも、外面突起付き鋼管(内外面突起付き鋼管を含む)は、製管加工時に突起が邪魔になったり突起が摩滅したりするおそれがあるため製管が比較的難しく、そのため入手も困難である。
【0019】
そして、特許文献5および6に記載された方法は、継手鋼管の円弧部に貫通孔を精度よくあけることは非常に難しく、また貫通孔は同じ位置に対向させて配置する必要があるため、高とまり等の鋼管矢板の施工不良などで貫通孔にずれが生じると、期待されるせん断耐力が発揮されないという問題があった。
【0020】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、いわゆるP−P型継手による鋼管矢板の継手部におけるせん断耐力の向上を可能にした鋼管矢板の連結構造および鋼管矢板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1記載の鋼管矢板の連結構造は、隣り合う鋼管矢板本管の対向する側部に、軸方向にスリットを有する継手鋼管が取り付けられ、前記スリットどうしを係合させ、かつ前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられるとともに、該ずれ止め部材の設けられた空間に充填材が充填されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明は、いわゆるP−P型継手による鋼管矢板継手部のせん断耐力(最大耐力)は、例えば図11(a),(b)に図示するように、継手部中央の嵌合区間H内の界面でのずれ発生で規定されるという観点からなされたもので、円弧部先端の外側面部にずれ止め部材を設けることで、鋼管矢板継手部のせん断耐力を向上させたものであり、ずれ止め部材を設けたことにより継手部における鋼管軸方向のずれのみならず、鋼管周方向のずれも阻止することができる。
【0023】
また、外面突起を成型する箇所を継手を嵌合させた際に係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面に限定することで、突起成型のコストを低減できることや、継手鋼管を鋼管矢板本管に溶接する際に突起が弊害とならず、十分な溶接が可能となる。
【0024】
従来の連結構造は、継手嵌合空間A室、B室、C室の3室のうちで、B室のみがせん断耐力を期待できる構造であったため、3室で一番狭いB室の土砂を充分に洗浄し、B室にモルタルを充填することが必要であった。
【0025】
しかし、施工時の打ち延びや打ち縮み等により継手嵌合空間B室が過度に狭くなった際には、B室の洗浄の作業が非常にやりにくくなり、B室のせん断耐力を確実に発揮させるために十分に洗浄するための工数や労力が多大となる。
【0026】
本発明は、継手嵌合空間A室とC室の2室で継手管内の洗浄とモルタルの充填を行なうことにより、従来と比較して高いせん断耐力を有し、継手部の信頼性を高めた鋼管矢板の連結構造を提供するものである。
【0027】
また、継手部に止水性が要求される場合には、B室に止水材を充填することでその要求に応えることができる。この場合、止水目的であることからB室の洗浄は充分である必要でなく、また止水材としてモルタルを用いる場合高強度のモルタルは必要としない。なお、A室とC室に充填するモルタルは20N/mm2以上の強度とするのが望ましい。
【0028】
また、止水目的でB室に充填される止水材は一般汎用品でよいが、モルタルを充填する場合は、モルタルの強度はA室とC室に充填するモルタルの強度相当以下とすることによりコストを抑え、流動性と施工性を高めるのが望ましい。
【0029】
なお、施工時に継手嵌合空間B室にスペーサーを設けることにより、継手嵌合空間A室とC室のずれ止め部材が突設された継手爪部長さ(充填材との付着面積)を確保することで、高いせん断耐力を充分に発揮させることができる。また、スペーサーとして鋼管を用いることにより、スペーサーをB室に止水材を充填する際の注入管として利用することができる。
【0030】
ずれ止め部材は、丸鋼(鉄筋)や異形棒鋼、さらにはスタッド、孔あき鋼板、溶接ビード等から形成することができる。また、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に連続して形成してもよく、あるいは所定間隔おきに形成してもよい。さらに、複数列にかついわゆる千鳥状に形成してもよい。
【0031】
請求項2記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1記載の鋼管矢板の連結構造において、前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とするものである。
【0032】
継手鋼管の内周に複数の突起を形成することで、継手部全体におけるずれ発生を阻止することができるため、継手部のせん断耐力はさらに向上する。なお、継手鋼管には、例えば図10(a),(b),(c)にそれぞれ図示するようなチェッカ状突起、スパイラル状突起、平行状突起を内周に有する内面突起付鋼管を用いることができる。
【0033】
請求項3記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1または2記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とするものである。
【0034】
請求項4記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とするものである。
【0035】
鋼管矢板の継手嵌合空間に異形棒鋼からなるずれ止め部材を突設することにより、充填材との付着面積を大きくすると共に、異形棒鋼の突模様による楔作用を利用して継手部のすべりを防止することで継手せん断耐力を向上させることができる。
【0036】
この場合の異形棒鋼には、継手の洗浄時に障害とならない程度を考慮すると、径25mm以下程度のものが望ましい。また、異形棒鋼の配置は、1継手鋼管につき2列以下とすることが望ましい。
【0037】
請求項5記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とするものである。この場合の孔あき鋼板の孔の形状や位置は特に限定されるものではない。
【0038】
請求項6記載の鋼管矢板の連結構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造において、ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とするものである。
【0039】
ずれ止め部材にスタッドを用いることにより、突起成形時の入熱量が少なく、継手の熱ひずみが小さく、製造コスト(ひずみ矯正)を抑えることが可能となる。
【0040】
特に外面突起を成型する箇所が、継手を嵌合させた際に係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面であり、突起成型時の入熱で継手爪部のひずみが大きくなると想定されるため、ずれ止め部材にスタッドを用い、入熱量を抑えることは非常に優れた技術となる。さらに、継手のずれ止めにスタッドを採用することで、製造時、鋼管矢板に継手鋼管を溶接した後に鋼管矢板を水平に設置したまま加工することができ、加工時間を短縮でき、また加工が容易でコスト縮減が可能となる。
【0041】
また、スタッドは継手嵌合空間への突起突出量が少なく、継手洗浄時に障害となることがないため、継手管内を充分に洗浄し、モルタルを充填することが可能になり、せん断耐力を確実に発揮させることができる。また、煩雑な加工が不要で、製作が容易で経済的である。
【0042】
好ましい実施例としては、高さ=4mm〜10mm、径Φ(幅)10mm程度〜20mm程度のスタッド(外面突起)を使用する(ただし、上記諸元に左右されない)。配置としては、一継手管について2列以下にすることが望ましく、列配置、千鳥配置のいずれでもよい。
【0043】
請求項7記載の鋼管矢板は、鋼管矢板本管と当該鋼管矢板本管の側部に取り付けられ、軸方向にスリットを有する継手鋼管とから構成され、かつ前記スリットを係合させて設置される鋼管矢板であって、前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられてなることを特徴とするものである。
【0044】
請求項8記載の鋼管矢板は、請求項7記載の鋼管矢板において、前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とするものである。
【0045】
継手鋼管の内周に複数の突起を形成することで、継手部全体におけるずれ発生を阻止することができるため、継手部のせん断耐力はさらに向上する。なお、継手鋼管には、例えば図10(a),(b),(c)にそれぞれ図示するようなチェッカ状突起、スパイラル状突起、平行状突起を内周に有する内面突起付鋼管を用いることができる。
【0046】
請求項9記載の鋼管矢板は、請求項7または8記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とするものである。
【0047】
請求項10記載の鋼管矢板は、請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とするものである。
【0048】
鋼管矢板の継手嵌合空間に異形棒鋼からなるずれ止め部材を突設することにより、充填材との付着面積を大きくすると共に、異形棒鋼の突模様による楔作用を利用して継手部のすべりを防止することで継手せん断耐力を向上させることができる。
【0049】
この場合の異形棒鋼には、継手の洗浄時に障害とならない程度を考慮すると、径25mm以下程度のものが望ましい。また、異形棒鋼の配置は、1継手鋼管につき2列以下とすることが望ましい。
【0050】
請求項11記載の鋼管矢板は、請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とするものである。この場合の孔あき鋼板の孔の形状や位置は特に限定されるものではない。
【0051】
請求項12記載の鋼管矢板は、請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板において、ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とするものである。
【0052】
ずれ止め部材にスタッドを用いることにより、突起成形時の入熱量が少なく、継手の熱ひずみが小さく、製造コスト(ひずみ矯正)を抑えることが可能となる。
【0053】
また、スタッドは継手嵌合空間への突起突出量が少なく、継手洗浄時に障害となることがないため、継手管内を充分に洗浄し、モルタルを充填することが可能になり、せん断耐力を確実に発揮させることができる。また、煩雑な加工が不要で、製作が容易で経済的である。
【0054】
好ましい実施例としては、高さ=4mm〜10mm、径Φ(幅)10mm程度〜20mm程度のスタッド(外面突起)を使用する(ただし、上記諸元に左右されない)。配置としては、一継手管について2列以下にすることが望ましく、列配置、千鳥配置のいずれでもよい。
【0055】
請求項13記載の鋼管矢板の継手鋼管は、鋼管矢板同士を連結するために鋼管矢板本管に取り付けられる継手鋼管であって、軸方向にスリットを有し、外周面のうち少なくとも別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0056】
この場合のずれ止め部材は、丸鋼(鉄筋)や異形棒鋼、あるいは異形鉄筋などの棒鋼、さらにはスタッド、孔あき鋼板、溶接ビード等から形成することができる。また、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に連続して形成してもよく、あるいは所定間隔おきに形成してもよい。さらに、複数列にかついわゆる千鳥状に形成してもよい。
【0057】
請求項14記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13記載の鋼管矢板の継手鋼管において、内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とするものである。
【0058】
継手鋼管の内周に複数の突起を形成することで、継手部全体におけるずれ発生を阻止することができるため、継手部のせん断耐力はさらに向上する。なお、継手鋼管には、例えば図10(a),(b),(c)にそれぞれ図示するようなチェッカ状突起、スパイラル状突起、平行状突起を内周に有する内面突起付鋼管を用いることができる。
【0059】
請求項15記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とするものである。
【0060】
請求項16記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とするものである。
【0061】
鋼管矢板の継手嵌合空間に異形棒鋼からなるずれ止め部材を突設することにより、充填材との付着面積を大きくすると共に、異形棒鋼の突模様による楔作用を利用して継手部のすべりを防止することで継手せん断耐力を向上させることができる。
【0062】
この場合の異形棒鋼には、継手の洗浄時に障害とならない程度を考慮すると、径25mm以下程度のものが望ましい。また、異形棒鋼の配置は、1継手鋼管につき2列以下とすることが望ましい。
【0063】
請求項17記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とするものである。この場合の孔あき鋼板の孔の形状や位置は特に限定されるものではない。
【0064】
請求項18記載の鋼管矢板の継手鋼管は、請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管において、ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とするものである。
【0065】
ずれ止め部材にスタッドを用いることにより、突起成形時の入熱量が少なく、継手の熱ひずみが小さく、製造コスト(ひずみ矯正)を抑えることが可能となる。
【0066】
また、スタッドは継手嵌合空間への突起突出量が少なく、継手洗浄時に障害となることがないため、継手管内を充分に洗浄し、モルタルを充填することが可能になり、せん断耐力を確実に発揮させることができる。また、煩雑な加工が不要で、製作が容易で経済的である。
【0067】
好ましい実施例としては、高さ=4mm〜10mm、径Φ(幅)10mm程度〜20mm程度のスタッド(外面突起)を使用する(ただし、上記諸元に左右されない)。配置としては、一継手管について2列以下にすることが望ましく、列配置、千鳥配置のいずれでもよい。
【発明の効果】
【0068】
本発明は、互いに係合する継手鋼管の特に円弧部の外側部にずれ止め部材が設けられていることで、継手部中央の嵌合区間の界面でのずれ発生、すなわち円弧部とモルタルとの付着面でのずれ発生を阻止することができるため、継手部におけるせん断耐力が大幅に向上する。
【0069】
また、継手鋼管として内面突起付鋼管を用いた場合、鋼管内面と充填材の付着力は増すが、係合部内に位置する突起のない継手鋼管外周面と充填材との間の付着力が小さいため、その部分で付着切れが発生する恐れがあるが、この付着切れをずれ止め部材によって阻止することによりせん断耐力はさらに向上する。
【0070】
また、ずれ止め部材は円弧部の外側部にスタッドなどを溶接することにより形成されているため、煩雑な加工もなく、また溶接量もそれ程多くないため、製作も容易で経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
図1〜図3は、いずれも鋼管矢板のP−P型連結構造および鋼管矢板の例を示し、隣り合う鋼管矢板本管1,1の対向する側部に、継手鋼管2,2がそれぞれ鋼管矢板本管1の軸方向と平行に溶接することにより取り付けられている。
【0072】
各継手鋼管2の側部にはそれぞれスリット2aが継手鋼管2の軸方向に連続して形成されている。また、各継手鋼管2のスリット2aから鋼管矢板本管1方向に延びる円弧部2bの先端の外側部に、複数のずれ止め部材3が溶接することにより取り付けられている。
【0073】
ずれ止め部材3は、たとえば図1に図示するような丸鋼や異形鉄筋などの棒鋼、図2(a),(b)に図示するような孔あき鋼板、あるいは図3に図示するようなスタッドから形成され、これらのずれ止め部材3は継手鋼管2の軸方向に一列または複数列に連続して取り付けられ、特に複数列とする方がせん断耐力を向上させる上で有利である。
【0074】
そして、このように形成された継手鋼管2,2の円弧部2b,2bはスリット2a,2aを介して互いに係合されている。すなわち、各円弧部2bのずれ止め部材3が取り付けられた先端部分が継手鋼管2内に挿入されている。また、円弧部2bの先端部分の両側、すなわち継手嵌合空間A室とC室にモルタル4が充填されている。なお、モルタル4はB室にも充填されてもよい。こうして、鋼管矢板本管1,1は一対の継手鋼管2,2を介して接続されている。
【0075】
鋼管矢板の継手部がこのように構成されていることで、継手部中央の嵌合区間Hの界面でのずれ発生、すなわち円弧部2bとモルタル4との付着面でのずれ発生が阻止されるため、鋼管矢板継手部におけるせん断耐力が大幅に向上する。
【0076】
また特に、継手鋼管2として内周に突起を有する例えば図10(a),(b),(c)に図示するような内面突起突き鋼管を用いることにより継手部のせん断耐力はさらに向上する。
【0077】
図5,6に示すグラフは、P−P型継手による鋼管矢板の継手部におけるせん断力と相対ずれ変位量との関係について、本発明と従来例を比較したものである。 なお、継手部におけるせん断耐力と相対ずれ変位量は、図7(a),(b)に図示する装置を用い、押し抜きせん断実験によって測定した。
【0078】
図5グラフ(1)は従来例であるずれ止め部材を設けない縞鋼管(図8(1))の実験結果を示し、グラフ(2),(3)、図6は本発明の実験結果を示し、特にグラフ(2)は異形鉄筋(図8(2))、グラフ(3)は孔あき鋼板(図8(3))図6はスタッド(図9(4))をずれ止め部材としてそれぞれ継手鋼管に溶接して用いた場合の実験結果を示したものである。グラフから明らかなように本発明が従来例より変位量が少なく、せん断耐力がはるかに大きいことがわかる。
【0079】
図4は、施工時に継手嵌合空間B室にスペーサー5を立て込むことにより、継手嵌合空間A室とC室のずれ止め部材3が突設された円弧部2bの先端部分の長さ(モルタル4との付着面積)を確実に確保することができ、高いせん断耐力を充分に発揮させることができる。また、スペーサー5として鋼管を用いることによりB室に止水材を充填する際の注入管として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、鋼管矢板のP−P型継手による継手部のせん断耐力を簡単な構造で高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】ずれ止め部材に棒鋼を用いた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示す横断面図である。
【図2】ずれ止め部材に孔あき鋼板を用いた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示し、(a)は横断面図、(b)は一部縦断面図である。
【図3】ずれ止め部材にスタッドを用いた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示す横断面図である。
【図4】継手嵌合空間B室に鋼管からなるスペーサーが立て込まれた鋼管矢板のP−P型継手部の構造を示す横断面図である。
【図5】P−P型継手部のせん断耐力と相対ずれ変位量との関係について、本発明と従来を比較したグラフでる。
【図6】P−P型継手部のせん断耐力と相対ずれ変位量との関係について、突起にスタッドを用いたケースの実験結果である。
【図7】P−P型継手部のせん断耐力と相対ずれ変位量との関係を測定するための装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】P−P型継手の構造について本発明と従来例の実験例を示したものである。
【図9】P−P型継手の構造について本発明と従来例の実験例を示したものである。
【図10】(a),(b),(c)は、継手鋼管の内周に形成された突起の形状を示す継手鋼管の内周の一部表面図である。
【図11】(a),(b)は、P−P型継手部の破壊の状態を説明した継手部の横断面図である。
【図12】(a)は鋼管矢板基礎の一例を示す斜視図、(b)は従来の鋼管矢板継手部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 鋼管矢板本管
2 継手鋼管
2a スリット
2b 円弧部
3 ずれ止め部材
4 モルタル
5 スペーサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う鋼管矢板本管の対向する側部に、軸方向にスリットを有する継手鋼管が取り付けられ、前記スリットどうしを係合させ、かつ前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられるとともに、該ずれ止め部材の設けられた空間に充填材が充填されていることを特徴とする鋼管矢板の連結構造。
【請求項2】
前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とする請求項1記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項3】
ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とする請求項1または2記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項4】
ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項5】
ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項6】
ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項7】
鋼管矢板本管と当該鋼管矢板本管の側部に取り付けられ、軸方向にスリットを有する継手鋼管とから構成され、かつ前記スリットを互いに係合させて設置される鋼管矢板であって、前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられてなることを特徴とする鋼管矢板。
【請求項8】
前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とする請求項7記載の鋼管矢板。
【請求項9】
ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とする請求項7または8記載の鋼管矢板。
【請求項10】
ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板。
【請求項11】
ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板。
【請求項12】
ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板。
【請求項13】
鋼管矢板同士を連結するために鋼管矢板本管に取り付けられる継手鋼管であって、軸方向にスリットを有し、外周面のうち少なくとも別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられていることを特徴とする鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項14】
内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とする請求項13記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項15】
ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とする請求項13または14記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項16】
ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項17】
ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項18】
ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項1】
隣り合う鋼管矢板本管の対向する側部に、軸方向にスリットを有する継手鋼管が取り付けられ、前記スリットどうしを係合させ、かつ前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられるとともに、該ずれ止め部材の設けられた空間に充填材が充填されていることを特徴とする鋼管矢板の連結構造。
【請求項2】
前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とする請求項1記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項3】
ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とする請求項1または2記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項4】
ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項5】
ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項6】
ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管矢板の連結構造。
【請求項7】
鋼管矢板本管と当該鋼管矢板本管の側部に取り付けられ、軸方向にスリットを有する継手鋼管とから構成され、かつ前記スリットを互いに係合させて設置される鋼管矢板であって、前記継手鋼管の外周面のうち、係合する別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられてなることを特徴とする鋼管矢板。
【請求項8】
前記継手鋼管は内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とする請求項7記載の鋼管矢板。
【請求項9】
ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とする請求項7または8記載の鋼管矢板。
【請求項10】
ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板。
【請求項11】
ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板。
【請求項12】
ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼管矢板。
【請求項13】
鋼管矢板同士を連結するために鋼管矢板本管に取り付けられる継手鋼管であって、軸方向にスリットを有し、外周面のうち少なくとも別の継手鋼管の内周面に対峙する面にずれ止め部材が設けられていることを特徴とする鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項14】
内周に多数の突起が形成された内面突起付鋼管からなることを特徴とする請求項13記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項15】
ずれ止め部材は継手鋼管の軸方向に延びる1列または複数列のずれ止め部材であることを特徴とする請求項13または14記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項16】
ずれ止め部材は棒鋼から形成されてなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項17】
ずれ止め部材は孔あき鋼板から形成されてなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【請求項18】
ずれ止め部材はスタッドから形成されてなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の鋼管矢板の継手鋼管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−95490(P2008−95490A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204437(P2007−204437)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(000182982)住金大径鋼管株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(000182982)住金大径鋼管株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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