説明

録画システム

【課題】 受像装置側からの簡便な操作により即時録画を行うことができる録画システムを提供すること。
【解決手段】 受像装置200と録画装置300とからなる受像録画システム100であって、受像装置本体201もしくはリモコン202に配設されたスイッチを押下することにより、録画装置300の保存装置313が、受像装置200の表示部212で視聴中の番組を即時録画する。その際に、制御手段が録画装置300を制御して、スイッチの押下時以降の番組の録画領域を上書き禁止とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送される映像や音声を含む番組を受像(受信)する受像装置と、番組をハードディスクや、DVD等に録画する録画装置と、からなる録画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ等の受像装置で視聴中の番組を録画したいと思ったときは、ビデオデッキなどの録画装置で録画を行うことができた。また、利便性を向上すべく録画装置側のリモコンで録画設定を行い、番組録画を行うことができた。
一方、ビデオデッキ内蔵型テレビも知られており、当該装置では、いわゆるワンタッチ録画を行う機能を備え、また、単一のリモコンにより録画設定を行うこともでき、さらに利便性が向上していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。すなわち、テレビを視聴中に急に録画したい番組内容(コンテンツ)が放送された場合には、ビデオデッキの電源を投入し、チャネル設定を行い、録画開始ボタンなどを押下する等の一連の作業が必要であり、録画チャンスを逃し、即時録画ができないという問題点があった。
【0004】
また、リモコンを用いて録画設定をすることができるとはいえ、この録画設定が行われるのは、録画装置側のリモコンのみによってであり、受像装置側のリモコンで録画設定を行えるものはなかった。
【0005】
また、ビデオデッキ内蔵型テレビでは、単一装置の構成を採るので、即時録画を行い、リモコンによる録画設定も行えるが、故障周期の違い、装置重量の増大、拡張性等の問題点があった。
【0006】
また、特開平11−17979号公報の「遠隔送信機を用いた放送プログラム予約録画装置」では、テレビ等の電源を投入することなく、放送プログラムの予約録画を設定できるようにしたリモコンに関するものであり、本発明とは関係がない。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、受像装置および録画装置が別々に構成されている場合であっても、受像装置側からの簡便な操作により即時録画を行うことができる録画システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、番組を受像し表示する受像装置と、番組を録画する録画装置と、前記受像装置および録画装置のうち少なくとも該録画装置を制御する制御手段と、を有する録画システムにおいて、前記録画装置は、常時録画が可能な録画装置であって、前記制御手段は、前記受像装置側のリモコンのボタンが押下された場合に、前記録画装置を制御して、前記ボタンの押下時以降の前記番組の録画領域を上書き禁止とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御手段が、ボタンの押下があった場合に、録画装置を制御して、ボタンの押下時以降の録画領域を上書き禁止とするため、受像装置側の操作により即時録画を行った番組を簡便に保存することが可能となるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の受像録画システムの構成を表す構成図である。
【図2】図2は、本発明の受像録画システムの受像装置本体、リモコンおよび録画装置の外観構成を模式的に表した模式図である。
【図3】図3は、ワンタッチ録画ボタンの押下があった場合の動作の流れを表すフローチャートである。
【図4】図4は、ワンタッチ録画ボタンにより即時録画を行う場合に、当該録画領域を上書き禁止に設定する様子を説明する説明図である。
【図5】図5は、保存装置内のデータの編集操作を行う際の受像録画システムの外観構成を説明する説明図である。
【図6】図6は、不連続部分を削除する様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の受像録画システムの構成を表す構成図である。受像録画システム100は、番組を受像する受像装置200と、番組を録画する録画装置300とからなる。受像装置200は、受像装置本体201と、リモコン202などとからなる。録画装置300は、装置本体301と、図示しないリモコンなどとからなる。
【0012】
受像装置本体201は、さらに、番組を受信するチューナー部210と、リモコン202の操作を受信すると共に受像装置本体201に配設されたスイッチ操作を行うスイッチ部211と、チューナー部210にて受信された番組を表示する表示部212と、録画装置本体301と通信を行う通信部213と、各部を制御する制御部214と、からなる。このうち、通信部213は、スイッチ部211もしくはリモコン202の操作、例えば、後述する即時録画(ワンタッチ録画)等の操作命令等を制御部214を介して伝達したり、録画装置300側の情報を取得するなどの、通信を行うものである。
【0013】
録画装置本体301は、番組の画像・音声信号その他の情報を受信するチューナー部310と、各種操作の入力を行い、また、その操作状況を表示する入力表示装置311と、チューナー部310にて受信された番組の画像・音声信号その他の情報を取り込み圧縮する画像取込圧縮装置312と、画像取込圧縮装置312で取り込み圧縮された番組を保存する保存装置313と、保存装置313に保存された番組を解凍するデータ解凍装置314と、受像装置本体201と通信を行う通信部315と、各部を制御する制御部316と、からなる。
【0014】
制御装置316は、録画装置300全機能を制御するマイコンまたは高性能CPUなどのコントローラからなる。画像取込圧縮装置312は、画像をキャプチャしMPEGフォーマットによりデータを圧縮する。圧縮フォーマットは、現在主流のMPEG1フォーマットでもよいし、高画質対応のMPEG2、低帯域対応のMPEG4フォーマットを用いることもできる。また、言うまでもないが、他の圧縮フォーマットを採用することもできる。
【0015】
データ解凍装置314は、画像取込圧縮装置312で圧縮されたMPEGデータ等を、テレビ信号(NTSC方式)にデコードし、テレビでの視聴が可能な信号を出力する。出力された信号は、通信部315を通じてもしくは独自のケーブル接続などで受像装置本体201の表示部212で表示される。
【0016】
保存装置313は、HDD、DVD、メモリ等の保存メディアからなり、圧縮された番組データ(画像・音声信号その他の情報)を保存する。これらは設定により主電源投入時のチャネルの番組を、または、全チャネルの番組を常時録画する。常時録画は制御装置316などの制御により解除することもできる。常時録画する場合には、容量があふれた場合や保存期限が過ぎた場合は、上書きされて、繰り返し録画される。すなわち、常時録画する場合は、エンドレス録画を行うこととなる。
【0017】
受像装置本体201もしくはリモコン202には、ユーザが表示部212をかいして視聴中の番組を録画装置300で即時録画(以降において、適宜ワンタッチ録画と称する)する際に使用するスイッチが設けられている。図2は、受像装置本体201、リモコン202および録画装置300の外観構成を模式的に表した模式図である。図では、即時録画を行うためのワンタッチ録画ボタンB1aが受像装置本体201に、また、ワンタッチ録画ボタンB1bがリモコン201に配設されている様子が表されている。なお、以降において、ワンタッチ録画ボタンB1aおよびワンタッチ録画ボタンB1bをワンタッチ録画ボタンB1と総称することがある。ワンタッチ録画ボタンB1は、図では単一のボタンであるが、既存のボタンの組み合わせ、例えばチャネルアップダウンボタンの同時押しや、ボリュームアップダウンボタンの同時押しなどの、既存ボタンの組み合わせ操作として設定することもできる。
【0018】
次に、ワンタッチ録画ボタンB1の押下があった場合の動作の流れについて説明する。図3は、ワンタッチ録画ボタンB1の押下があった場合の動作の流れを表すフローチャートである。ワンタッチ録画ボタンB1の押下があると(ステップS501)、受像装置200の通信部213は、録画装置300の通信部315と通信を行い、録画装置本体301の主電源がONであるかどうかをチェックする(ステップS502)。録画装置本体301の主電源がOFFの場合(ステップS501:NO)、録画装置本体301の制御装置316は、録画装置300の主電源をONにする(ステップS503)。
【0019】
録画装置301の主電源がONである場合(ステップS502:YES)、もしくはステップS503で録画装置の主電源がONとされた場合には、受像装置200の通信部213は、受像装置本体201の表示部212で表示中の番組のチャネル情報を録画装置300の通信部315に送信し、録画装置300の通信部315は、このチャネル情報を受信する(ステップS504)。続いて、チャネル情報を基に録画装置300の制御装置316は、チューナー部310の受信するチャネルを設定変更する(ステップS505)。設定変更後、保存装置313は番組の録画を開始する(ステップS506)。
【0020】
ステップS501におけるワンタッチ録画ボタンB1の押下から、ステップS506における録画開始までの時間は、電気的な情報の送受信なので短時間で録画を開始できる。従来では、例えばテレビを見ようと電源スイッチを入れたところ保存したい番組を放送していた場合等、即時に録画したい場合であっても、現在のチャネルを確認し、ビデオデッキ側のリモコンを探し、ビデオデッキの主電源を入れ、チャネル合わせを行い、録画用の空きテープを探してセットし、録画を開始するという手順が必要であり、一連の操作をユーザが行っていたため、操作が面倒で録画するのをやめたり、準備ができたときには既に録画したい番組内容が終了してしまっているということも起こっていた。受像録画システム100によればこの様な煩雑な操作は不要で、手元にある受像装置200のリモコン202のスイッチの押下により、リモコン202の所在が不明の場合でも、受像装置本体のスイッチの押下により、簡便に即時録画が可能となる。
【0021】
また、ワンタッチ録画ボタンB1に代えて、例えば表示部212がタッチパネルとなっており、適宜、録画指示領域を設け、タッチパネルの押下により即時録画を行う構成を採ることもできる。
【0022】
一方、本発明の受像録画システム100は、現在開発が進められている常時録画型のビデオデッキ(録画装置)に対しても適用可能である。例えば、常時録画モードを選択し忘れた場合に即時録画を開始したり、常時録画している裏番組を視聴していて当該番組を即時録画する場合にも、簡便に録画操作を行うことができる。
【0023】
ワンタッチ録画ボタンB1により即時録画を行う場合、その録画部分はユーザにとり重要であり、長期間保存したい場合が多い。従って、本発明の受像録画システム100は、ワンタッチ録画ボタンB1により即時録画を行った場合は、当該録画領域を上書き禁止に設定する。図4は、ワンタッチ録画ボタンB1により即時録画を行う場合に、当該録画領域を上書き禁止に設定する様子を説明する説明図である。図では、番組内容A1、A2、A3から構成される番組A、番組中途に挿入されるコマーシャルC1、C2および、番組Bが放送されている様子が表されている。
【0024】
ワンタッチ録画ボタンB1が番組内容A2の中途で押下された場合は、制御部316を介して、保存装置313は、A2が終了するまでの録画領域を上書き禁止領域とする(録画状態(a)参照)。また、常時録画を行っている場合では、番組の内容などの情報を表す構造化データをもとに、同一番組内容の領域を識別し、A2の中途にワンタッチ録画B1の押下があった場合でも、番組内容A2の頭から上書き禁止に設定することもできる(録画状態(b)参照)。同一番組内容であるか否かの識別は制御装置316で行う。また、設定によっては、番組Aのはじめから番組Aの終わりまで、すなわち、番組内容A1から番組内容A3までを上書き禁止領域に設定することもできる。この場合中途に挿入される、CM(C1)は、容量節約のため、上書き可能領域に設定する。
【0025】
受像録画システム100は、長期にわたって使用されると、細切れに録画等により、データの連続性が損なわれてくる。この傾向は、上書き可能・禁止の設定により著しくなる。連続性が悪くなると、保存メディアとして、例えばDVDなどを使用した場合にアクセス性が悪くなることを意味し、好ましくない。従って、受像録画システム100には編集機能が必須となる。この場合でも、受像録画システム100は、受像装置200と録画装置300とがそれぞれに有する通信部213−通信部315間で通信を行うので、簡便な編集作業が可能となる。以下に、編集作業について説明する。
【0026】
受像録画システム100は、受像装置本体201もしくはリモコン202の操作を通じて、保存装置313の編集操作を可能とする。図5は、保存装置内のデータの編集操作を行う際の受像録画システム100の外観構成を説明する説明図である。編集時には、保存装置313内の保存メディアの断片情報や、上書き禁止領域の情報、録画されている番組の情報、未録画部分の情報など様々なディスク情報の中から、表示部212は、通信部315および通信部213を介して保存メディアの構造(タグや検索のための区切りデータ)を表示する。
【0027】
なお、保存メディアの断片情報や、上書き禁止領域の情報、録画されている番組の情報、未録画部分の情報などは、インデックス的な情報なので情報量が番組自体の画像・音声データに比して著しく小さい。従って、通信部315−通信部213間の通信量が少ないため、制御部214や制御装置316の処理負担が少なくてすむ。
【0028】
なお、特開平10−79916号公報「映像録画装置」では、長時間録画が可能な映像録画装置において、録画した番組の全体を一望でき、必要な番組を素早く再生(頭出し)可能とする技術が開示されている。しかしながら、録画装置と受像装置との通信により録画装置側から操作を行うものでもなく、また、上書き可能/禁止設定による番組の断片化を改善する技術でもない。従って、特開平10−79916号公報「映像録画装置」は受像録画システム100と異なる発明である。
【0029】
編集に必要な各種操作を行うのが複雑な場合は、表示部212の画面内で作業を選択させるマークを表示させ、受像装置本体201上に配設された選択ボタンB2aもしくはリモコン202上に配設された選択ボタンB2bの上下左右ボタンなどで作業を選択し、受像装置本体201上に配設された決定ボタンB3aもしくはリモコン202上に配設された選択ボタンB3bで、選択を決定する。これにより、操作性が増し、ユーザの利便性が向上する。
【0030】
具体的な編集操作として、保存メディアの断片化が生じている場合のマージ操作/削除操作について説明する。図5において、表示部212では、画面下部に断片化が起こっている部分が矢印で指摘されており、削除操作が選択されている様子が表されている。この場合決定ボタンB3が押下されることにより、不連続な部分は削除される。図6は不連続部分を削除する様子を説明する説明図である。不連続部分の削除は、コンピュータのハードディスクのデフラグ作業に相当する。なお、保存メディアの断片化が生じている場合のマージ操作/削除操作は、自動的に行う態様であってもよい。
【0031】
その他の例としては、保存メディアが低速な大容量メモリと、高速な少容量メモリからなる場合に、長期間保存したい番組内容を常時録画に割り当てられる大容量メモリから、少容量メモリに配置換えすることもできる。この際、圧縮保存を行ってもよい。
【0032】
受像録画システム100は、受像装置200側からワンタッチ録画を行う構成とするので、従来のように録画装置の設定を行う必要がなく、急に録画したい番組内容が始まった場合でも簡便に録画が可能となる。また、この様な即時録画を行う必要のある番組は、そのまま保存しておきたいので、上書き禁止に設定し、ユーザが誤って上書きを行うことが無くなる。また、受像録画システム100は、受像装置200と録画装置300間で通信を行うので、保存装置313内の保存メディアの状態を表示部212に表示させ、この表示を見ながら、受像装置200側のボタン操作により、マージ操作、削除操作などの簡単な編集作業も可能となる。
【符号の説明】
【0033】
100 受像録画システム
200 受像装置
201 受像装置本体
202 リモコン
210 チューナー部
211 スイッチ部
212 表示部
213 通信部
214 制御部
300 録画装置
301 録画装置本体
310 チューナー部
313 保存装置
315 通信部
316 制御装置
B1、B1a、B1b ワンタッチ録画ボタン
B2、B2a、B2b 選択ボタン
B3、B3a、B3b 決定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組を受像し表示する受像装置と、番組を録画する録画装置と、前記受像装置および録画装置のうち少なくとも該録画装置を制御する制御手段と、を有する録画システムにおいて、
前記録画装置は、常時録画が可能な録画装置であって、
前記制御手段は、前記受像装置側のリモコンのボタンが押下された場合に、前記録画装置を制御して、前記ボタンの押下時以降の前記番組の録画領域を上書き禁止とする
ことを特徴とする録画システム。
【請求項2】
さらに、番組が同一番組であるか否かを識別する識別手段を有し、
前記制御手段は、前記ボタンの押下があった場合に、前記録画装置を制御して、前記識別手段により同一番組であると識別された番組の番組頭から当該番組終了までの録画領域を上書き禁止とする
ことを特徴とする請求項1に記載の録画システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記上書き禁止とされた録画領域において、番組の中途に挿入されるコマーシャルを上書き可能領域に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の録画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−171996(P2010−171996A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52225(P2010−52225)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【分割の表示】特願平11−152911の分割
【原出願日】平成11年5月31日(1999.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】