説明

録画再生装置および画像およびオーディオ信号記録方法

【課題】HD DVD VRとDVD VRの両方のディスクに記録ができる録画再生装置において、双方のフォーマットに準拠したストリームを録画することができ、且つダビング時に、再エンコードなしのフォーマット変換が可能な録画再生装置および画像およびオーディオ信号記録方法を提供する。
【解決手段】この発明の録画再生装置は、第2の規格の記録が可能な第2の記録媒体に、第1の規格の記録が可能な第1の記録媒体への転送あるいは移動が可能に記録された画像およびオーディオ信号が存在することをデータ構造の特定情報から検出する検出部(402)と、検出部により、第1の記録媒体への転送あるいは移動が可能に記録された画像およびオーディオ信号が存在することが検出された場合に、第1の規格の記録が可能な第1の記録媒体への転送あるいは移動が可能に記録された画像およびオーディオ信号を、再エンコードせずに第1の記録媒体に転送あるいは移動するデータ転送制御部(406)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像および音楽データを記録または再生可能な、記録再生装置(録画再生装置)に係り、特に異なる規格の記録媒体に、任意の規格で映像や音楽を記録可能な映像や音楽を記録し、再生できる録画再生装置および画像およびオーディオ信号記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像や音楽を記録する記録装置として、DVD規格の光ディスクにデジタル記録する、録画再生装置(デジタルレコーダ)が、既に、広く普及している。また、公衆向けテレビ放送においてもデジタル放送が開始されたことにともない、DVD規格の光ディスクとの間の互換性を確保し、しかも高精細画質で映像を記録することが可能なHD DVD規格の光ディスクが開発され、既に記録装置(HD DVDレコーダ)も入手可能である。
【0003】
なお、DVDディスク向けDVD−VRフォーマットのデータに加え、HDD(ハードディスク装置)向けデータをDVD−HDVRフォーマットにより生成し、HDDまたはDVDディスクにデータを記録する映像記録装置が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−357275
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献1に提案されたマルチフォーマットは、各種フォーマットに必要なパラメータを同時に生成して予め記録するもので、記録すべきデータの大きさが増大する。しかし、記録媒体の規格に合わせて最適なフォーマットを提供するものではなく、また、記録可能な記録媒体にHD DVD規格の光ディスクが含まれることは、記載が無い。
【0005】
この発明の目的は、用意された記録媒体の規格に従い、その記録媒体に適用可能な好適な規格のフォーマットで、データを記録することのできる録画再生装置および画像およびオーディオ信号記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、第1の規格に従い画像およびオーディオ信号が記録可能な第1の記録媒体と、前記第1の規格よりも記録可能な情報量が高められた第2の規格に従い画像およびオーディオ信号が記録可能な第2の記録媒体と、を識別し、前記第2の記録媒体には、前記第2の規格または前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い前記画像およびオーディオ信号を記録し、前記第1の記録媒体には、前記第1の規格に従い前記画像およびオーディオ信号を記録することを特徴とする画像およびオーディオ信号記録方法、を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明した通り、この発明の実施の形態においては、HD DVD VRとDVD VRの両方のディスクに記録ができる録画再生装置において、双方のフォーマットに準拠したストリームを録画することができ、かつ、ダビング時に、再エンコードなしで、フォーマット変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態の一例を説明する。
【0009】
図1は、この発明の一実施形態が適用可能な映像記録装置(デジタルレコーダ)の一例を概略的に示す。
【0010】
図1に示すデジタルレコーダ(映像記録再生装置)1は、例えば、放送衛星または通信衛星を介して提供される衛星デジタルTV放送、地表波(空間波)により提供される地上デジタル/アナログTV放送の受信機能を持つTVチューナ部(TV tuner)10を有し、チューナ部10からの出力は、映像系アナログ−デジタルコンバータ(Video ADC)14およびオーディオ(音声/音楽)系アナログ−デジタルコンバータ(Audio ADC)16に入力される。外部入力端子(Aux)12からの入力信号もまた、Video ADC14およびAudio ADC16に入力される。
【0011】
Video ADC14でデジタル化されたビデオストリームおよびAudio ADC16でデジタル化されたオーディオストリームは、MPEGエンコーダ(MPEG Encoder)20に入力される。外部デジタル入力端子18からのデジタルストリーム(MPEG2−TS(TSは、Transport Streamの略)等)は、IEEE1394(あるいはHDMI)等のインタフェース(I/F,interface)19を介して、MPEG Encoder20に入力される。
【0012】
チューナ部10に供給されたTV放送信号がMPEG2−TS等のデジタル信号である場合は、(チューナ部10からのデジタルストリームは)そのまま、MPEG Encoder20に入力される。MPEG Encoder20は、入力されたMPEG2−TSをそのまま出力する(パススルー(Pass thourgh)する)場合以外は、入力されたストリームをMPEG2−PSにエンコードするか、MPEG4−AVCにエンコードする。
【0013】
MPEG2−PSにエンコードする場合としては、
[ア]DVD−VR規格に基づきMPEG2−PS(PSは、Packetized Streamの略)にエンコードする場合(最大レート10.08Mbps;最大解像度720x480または720x576)、
[イ]HD_DVD−VR規格に基づきMPEG2−PSに、高レートエンコードする場合(最大レート30.24Mbps;最大解像度1920x1080)、
[ウ]HD_DVD−VR規格内で、MPEG2−PSに低レートエンコードする場合(最大レート10.08Mbps;最大解像度720x480または720x576)がある。
【0014】
MPEG Encoder20においてエンコード(またはパススルー)されたストリームデータは、高速メモリ、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)22等に一旦バッファリングされる。
【0015】
SDRAM22においては、
[1]AudioがLiner PCM(リニアPCM)である場合、(図14および図17を用いて後段に説明する)データ構造のAudio Packのsub_stream_idの値を書き換える、
[2](図3〜図15を用いて後段に説明する)データ構造/パラメータのうちのRDI−PKTの記載内容(形態)を書き換える(単独の「RDI−PKT」と「GCI−PKT」が付属した「RDI−PKT」とを、相互に交換する)、
[3]CPRM(DVD規格の光ディスクにおいて、1回のみ記録が許可されている場合のコピーマネジメントの規格)により暗号されているデータを復号し、AACS(HD DVD規格の光ディスクにおいて、記録が許可されている場合のコピーマネジメントの規格)に再暗号化する、もしくはその逆の復号と再暗号化
により規定されるストリームの書き換え(フォーマット変換)が実行される。
【0016】
SDRAM22にバッファリングされ、そこで処理されたストリームデータは、その内容に応じて、所定のタイミングで、HDD104、ディスクドライブユニット24もしくはメモリスロット26に転送される。HDD104は、HDD(すなわちハードディスクドライブであり、例えば1TB(1000GB))の容量が与えられているHD(ハードディスク)を含む。ディスクドライブユニット(Disk Drive Unit)24は、円盤状の記録媒体であって、HD DVD規格(再生専用で15GB、記録可能で20GB)の光ディスク100やDVD規格(4.5GB)の光ディスク102にデータ(ストリーム)を記録可能で、かつ既に記録されているデータ(ストリーム)を再生可能である。なお、ディスクドライブユニット24としては、回転駆動系を含めて(DVD用およびHD DVD用のそれぞれが)独立の2基のドライブ、回転駆動系が共通で、青色レーザ(例えば波長λ=405nm)を利用する光ヘッドと赤色レーザ(例えば波長λ=655nm)を利用する光ヘッドを個別に有するHD_DVD/DVDコンパチブルドライブ、もしくは回転駆動系および光ヘッドの機構が共通で青色レーザまたは赤色レーザを切り換えて使用する2波長光学系を有するHD_DVD/DVDコンパチブルドライブ、の何れかが組み込まれる。また、組み込まれているドライブタイプに拘わりなく、記録媒体としては、青色レーザ用光ディスク100および赤色レーザ用光ディスク102のそれぞれのうちの、−R(一回のみ記録可能)/−RW(書き換え可能)/RAM(書き換え可能)規格の光ディスクの他に、+R(記録速度が向上された一回のみ記録可能)や+RW(−R向け装置での再生が可能)の光ディスクも利用可能である。なお、それぞれの光ディスクには、既に片面2層タイプや両面タイプが用意されており、それらの光ディスクへの記録およびデータの再生が可能である。また。将来的には、ホログラムを利用した大容量光ディスクを用いることも可能である。なお、メモリスロット26には、例えば2GB程度の容量が与えられたカードメモリ106が挿入されて、用いられる。
【0017】
このように、ディスクドライブユニット24は、HD_DVD−VR規格に基づく記録および再生、DVD−VR規格に基づく記録および再生が可能である。なお、用意された記録媒体がDVD規格の光ディスク102である場合に、「HD_DVD−VR規格に基づきエンコードされたデータであっても、最大レートやビデオ属性等がDVD−VR規格の枠内に収まるMPEG−PSのデータ」については、DVD−VR規格の任意のタイプのディスク(片面1層のDVD−R/RW/RAM、片面2層のDVD−R、両面各1層のDVD−RAM)のいずれについても、等速または高速で記録(コピーまたはムーブ)が可能である。
【0018】
具体例としては、HDD104に記録されているデータが、最大レート10.08MbpsでNTSCのビデオのMPEG2−PSデータである場合には、HD_DVD−VR規格でエンコードされたデータであっても、DVD−VR規格のディスク102に、高速コピー/高速ダビングできる。言うまでもないが、HD_DVD−VR規格でエンコードされたMPEG2−PSデータは、HD_DVD−VR規格のディスク100へも、高速コピー/高速ダビングできる。
【0019】
なお、このことは、HDD104に記録されるデータ構造が、図2を用いて後段に説明するが、DVD_HDVRディレクトリが、HD_DVD−VRフォーマットの管理情報ファイルであるHR_MANGER.IFO、アナログビデオ入力のオブジェクトファイルであるVROファイル(最大レートが30.24Mbpsまで許されたEVOBファイル)を含むHDVR_VOBディレクトリ、デジタル放送対応用のSROファイル(ESOBファイル)を含むHDVR_SOBディレクトリ等を含み、DVD_HDVRディレクトリと同じルートディレクトリ下のDVD_RTAVディレクトリは、DVD−VRフォーマットの管理情報ファイルであるVR_MANGER.IFO、アナログビデオ入力のオブジェクトファイルであるVROファイル(最大レートが10.08Mbpsに抑えられた従来DVD−VRのVOBファイル)等を含むことにより実現される(この実施の形態に係るファイル構造では、HDVRのMPEG2−TSデータファイルもHDVRのMPEG2−PSデータファイルもVRのMPEG2−PSデータファイルも同じルートディレクトリ下でファイル管理されている)。
【0020】
ディスクドライブユニット24および/またはHDD104もしくはメモリスロット26を介して、光ディスク100または102、HD(HDD内)またはカードメモリ106から再生されたストリームデータは、SDRAM22を経由して、MPEGデコーダ(MPEG Decoder)30に転送される。MPEG Decoder30は、転送されてきたストリームに応じ、MPEG2−TS、MPEG2−PSまたはMPEG4−AVCをデコード可能である。MPEG Decoder30はまた、例えばHD_DVD−VR規格で定められているVC−1をデコードできる。
【0021】
MPEG Decoder30でデコードされたビデオデータ(MPEG2−TSまたはMPEG2−PS)は、映像系デジタル−アナログコンバータ(Video DAC)32により標準画質または高精細画質のアナログビデオ信号に変換され、ビデオ出力(Video Out)端子36に供給される。なお、ビデオ出力端子36とモニタ装置52を接続することで、(モニタ装置52に)映像が表示される。
【0022】
一方、MPEG Decoder30でデコードされたオーディオデータは、オーディオ(音声/音楽)系デジタル−アナログコンバータ(Audio DAC)34によりアナログオーディオ信号に変換され、オーディオ(音声)出力(Audio Out)端子38に供給される。なお、オーディオ出力端子38とスピーカ(モニタ装置52に内蔵されている場合や独立している場合がある)を接続することで、音声あるいは音楽が再生される。
【0023】
なお、MPEG Decoder30に供給されたデータがMPEG2−TSの場合は、IEEE1394(またはHDMI)等のインタフェース37を経由して、そのままデジタル出力(Digital Out)端子39に供給される。
【0024】
また、図1に示した録画再生装置(HD_DVDレコーダ)は、MPU40により制御される。MPU40は、ファームウエアや種々な制御パラメータを格納するEEPROM42、ワークRAM44、タイマ46等が付属している。MPU40のファームウエアのとしては、例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供するGUI表示制御部400、エンコードパラメータ検出処理部402、高速コピー(高速ダビング)処理部404、レート変換コピー(等速コピー/等速ダビング)制御部406、記録/再生制御部(管理情報処理部)等を含む。GUI表示制御部400による処理結果は、オンスクリーン表示制御部(OSD)50を介して、モニタ装置52に供給される(タイトルサムネールの表示画面52a、コピー処理時のダイアログボックス表示画面52b等はOSD50による処理結果が、先に説明したビデオ出力端子36から供給される映像出力に重ね合わせられて表示される。
【0025】
なお、HDD104については、1台の超大容量HDD(例えば1TB)でも、複数の大容量HDDの併用(例えば500GB+500GB)でもよい。また、HDD104の記録エリアの使い方としては、その記録エリアを、論理的に複数パーティションに分けて使用する場合と、物理的なHDD毎に用途を特定する場合がある。前者の場合としては、例えば1TBのうち400GBの第1パーティションをデジタル高精細放送のMPEG2−TS記録用(TSタイトル用)に割り当て、400GBの第2パーティションをデジタル高精細放送のMPEG4−AVC記録用(HDVRタイトル用)に割り当て、200GBの第3パーティションをアナログ放送またはデジタル放送もしくは外部入力のMPEG2−PS記録用(VRタイトル用)に割り当てるなどが考えられる。また、後者の場合としては、例えば第1の400GBHDDをMPEG2−TS記録用(TSタイトル用)に割り当て、第2の400GBHDDをMPEG4−AVC記録用(HDVRタイトル用)に割り当て、第3の200GBHDDをMPEG2−PS記録用(VRタイトル用)に割り当てるなどが考えられる。
【0026】
なお、この発明の一実施の形態では、VRタイトルには、現行のDVD−VR規格によるMPEG2−PS記録の他、図2の説明で説明するが、HD_DVD規格において最大レートを10.08Mbpsに抑えたMPEG2−PS記録も含まれる。例えば、1つのVRタイトルのストリームデータが、「DVD−VR規格によるMPEG2−PS」なのか「HD_DVD規格において最大レートを10.08Mbpsに抑えたMPEG2−PS」なのかの区別は、オブジェクトデータレベルでは、例えば図11に示すデータ構造のうちのPack headerの記述内容のうちのprogram_mux_rateの内容が10.08Mbpsであるか30.24Mbpsであるかを検出する(読み取る)ことで、識別できる。また、管理情報レベルでは、そのタイトルの再生開始前に、例えば図7に示すデータ構造のV_ATRが、DVD−VR規格ではあり得ない解像度(例えば1280x1080)を含んでいるか否かを検出する(読み取る)ことで識別できる。
【0027】
換言すると、記録時において、「DVD−VR規格によるMPEG2−PS」と「HD_DVD規格において最大レートを10.08Mbpsに抑えたMPEG2−PS」とを識別可能に、管理情報レベルでは、図7のV_ATRに「1280x1080」を含ませる(記述する)ことで、HD DVD−VRモードによる(データ)記録であることを、再生時の識別情報として持たせることができる。同様に、図11に示すデータ構造のうちのPack headerの記述内容のうちのprogram_mux_rateの内容を30.24Mbpsとすることで、HD DVD−VRモードによる(データ)記録であることを、再生時の識別情報として持たせることができる。
【0028】
図2は、この発明の一実施の形態に係るファイル構造を説明する図である。DVD_HDVRディレクトリは、図2に示すように、HD_DVD−VRフォーマットの管理情報ファイルであるHR_MANGER.IFO、アナログビデオ入力のオブジェクトファイルであるVROファイル(最大レートが30.24Mbpsまで許されたEVOBファイル)を含むHDVR_VOBディレクトリ、デジタル放送対応用のSROファイル(ESOBファイル)を含むHDVR_SOBディレクトリ等を含んで構成されている。また、DVD_HDVRディレクトリと同じルートディレクトリ下のDVD_RTAVディレクトリは、DVD−VRフォーマットの管理情報ファイルであるVR_MANGER.IFO、アナログビデオ入力のオブジェクトファイルであるVROファイル(最大レートが10.08Mbpsに抑えられた従来DVD−VRのVOBファイル)等を含んで構成されている。
【0029】
つまり、この実施の形態に係るファイル構造では、HDVRのMPEG2−TSデータファイルもHDVRのMPEG2−PSデータファイルもVRのMPEG2−PSデータファイルも同じルートディレクトリ下でファイル管理されている。例えば、HR_MOVIE.VROにリンクされたショートカットファイルをタイトルサムネールA、Cとし、VR_MOVIE.VROにリンクされたショートカットファイルをタイトルサムネールBとし、HR_STRnn.SROにリンクされたショートカットファイルをタイトルサムネールDとすれば、これらのタイトルサムネールA〜Dを同じメニュー画面上に表示することができる(図1のモニタ画面52aの表示例参照)。これにより、ユーザは、別々のオブジェクト(MPEG2−PS、MPEG2−TSが混在するオブジェクト)を同じ画面操作環境でメニュー操作できるようになる。
【0030】
図3は、この発明の一実施の形態に係るデータ構造を示す。RecordableあるいはRe−writableな情報記憶媒体の代表例として、DVDディスク(波長650nm前後の赤色レーザあるいは波長405nm以下の青紫ないし青色レーザを用いた、単記録層または複数記録層の、DVD±R、DVD±RW、DVD−RAM等)100がある。このディスク100は、図3に示すように、ファイルシステムが入っているボリューム/ファイル構造情報領域111とデータファイルを実際に記録するデータ領域112を含んで構成されている。上記ファイルシステムは、どのファイルがどこに記録されているかを示す情報で構成されている。
【0031】
データ領域112は、一般のコンピュータが記録する領域120、122と、オーディオビデオデータ(AVデータ)を記録する領域121を含んでいる。AVデータ記録領域121は、AVデータの管理をするためのビデオマネージャファイル(VMGまたはHDVR_MG)があるAVデータ管理情報領域130と、DVD−Video(ROM Video)規格に準じたオブジェクトデータのファイルが記録されるROM_Videoオブジェクト群記録領域131と、ビデオレコーディング(VR)規格に準じたオブジェクトデータ(ESOBS:Extended Video Object Set)のファイル(VROファイル)が記録されるVRオブジェクト群記録領域132と、デジタル放送に対応したオブジェクトが記録されているストリームオブジェクトデータ(ESOBS:Extended Stream Object Set)ファイル(SROファイル)が記録される記録領域133を含んで構成されている。なお、SROファイルのためのレコーディング規格は、適宜、ストリームレコーディング(SR)規格と表記する。
【0032】
図4は、この発明の一実施の形態に係る管理情報(HDVR_MG)の構成例を説明する図である。管理情報であるHDVR_MGファイルは、先頭から順に、高精細ビデオレコーディングマネージャ(HDVR_MGI)と、ムービーAVファイル情報テーブル(M_AVFIT)と、ストリームファイル情報テーブル(STR_FIT)と、オリジナルプログラムチェーン情報(ORG_PGCI)と、ユーザ定義プログラムチェーン情報テーブル(UD_PGCIT)と、テキストデータマネージャ(TXTDT_MG)と、製造業者情報テーブル(MNFIT)等を適宜含んで構成されている。MPEG2−TSのオブジェクト(SROファイル)はSTR_FITにより管理され、MPEG2−PSのオブジェクト(VROファイル)はM_AVFITにより管理される。
【0033】
M_AVFITは、先頭から順に、ムービーAVファイル情報テーブル情報(M_AVFITI)と、1以上のムービービデオオブジェクトストリーム情報(M_VOB_STI#1〜M_VOB_STI#n)と、ムービーAVファイル情報(M_AVFI)と、ビデオタイムマップテーブル(VTMAPT)等を適宜含んで構成されている。ここで、従来のDVD−VR規格におけるM_AVFITはVTMAPTを含まない。そのため、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、その管理情報内のM_AVFITがVTMAPTを含むか否かで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0034】
図5は、図4の管理情報(HDVR_MG/M_AVFIT)に含まれるM_AVFITI(Movie AV File Information Table Information)に格納される情報例を説明する図である。M_AVFITIは、先頭から順に、M_AVFIがいくつ存在するかを示す情報(M_AVFI_Ns)と、M_VOB_STIがいくつ存在するかを示す情報(M_VOB_STI_Ns)と、HR_MANGR.IFO(図2)内におけるM_AVFITの終了アドレス情報(M_AVFIT_EA)等を適宜含んで構成されている。
【0035】
図6は、図4の管理情報(HDVR_MG/M_AVFIT)に含まれるM_VOB_STI(Movie VOB Stream Information)各々に格納される情報例を説明する図である。は、先頭から順に、ビデオ属性情報(V_ATR)と、オーディオストリームがいくつ存在するかを示す情報(AST_Ns)と、副映像ストリームがいくつ存在するかを示す情報(SPST_Ns)と、ストリーム#0のオーディオ属性情報(A_ATR0)と、ストリーム#1のオーディオ属性情報(A_ATR1)と、副映像のカラーパレット情報(SP_PLT)等を適宜含んで構成されている。
【0036】
図7は、図6のM_VOB_STIに含まれるビデオ属性情報(V_ATR)に格納される情報例を説明する図である。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報を含んでいる。V_ATRは、b31位置からb0位置に向かって順に、ビデオ圧縮モード情報(Video compression mode)と、TVシステム情報(TV system)と、アスペクト比情報(Aspect ratio)と、ライン21切替情報(line21_switch_1, line21_switch_2)と、ソースピクチャプログレッシブモードの情報(Source picture progressive mode)と、ソースピクチャ解像度の情報(Source picture resolution)と、アプリケーションフラグ情報(Application Flag)等を適宜含んで構成されている。
【0037】
ここで、HD_DVD−VR規格の場合は、Video compression modeが、MPEG4−AVCであることを示す情報(010b)またはVC−1であることを示す情報(011b)を含むことができる。MPEG4−AVCもVC−1もDVD−VR規格にはないビデオ圧縮モードなので、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、Video compression modeがMPEG4−AVCまたはVC−1を示す情報(010bまたは011b)を含むか否かで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0038】
また、HD_DVD−VR規格の場合は、TV systemが、60Hzビデオシステム用拡張ビデオフォーマット(NTSCフォーマットにダウンコンバートできるもの)であることを示す情報(010b)または50Hzビデオシステム用拡張ビデオフォーマット(PALフォーマットにダウンコンバートできるもの)であることを示す情報(011b)を含むことができる。60Hzビデオシステム用拡張ビデオフォーマットも50Hzビデオシステム用拡張ビデオフォーマットもDVD−VR規格にはないTV systemなので、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、TV systemが60Hz/50Hzビデオシステム用拡張ビデオフォーマットを示す情報(010bまたは011b)を含むか否かで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0039】
また、HD_DVD−VR規格の場合は、Source picture progressive mode(Source pictureがインターレース画像なのかプログレッシブ画像なのかを示す情報)を含むことができる。Source picture progressive modeはDVD−VR規格にないモードなので、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、Source picture progressive modeを示す情報を含むか否かで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0040】
さらに、HD_DVD−VR規格の場合は、Source picture resolutionが、高精細または高解像度(1280x720〜1920x1080)であることを示す情報(1000b〜1100b)を含むことができる。高精細または高解像度(1280x720〜1920x1080)はDVD−VR規格にない解像度なので、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、Source picture resolutionが高精細または高解像度を示す情報を含むか否かで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0041】
図8は、図6のM_VOB_STIに含まれる第1のオーディオ属性情報(A_ATR0)に格納される情報例を説明する図である。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報を含んでいる。A_ATR0は、b31位置からb0位置に向かって順に、オーディオコーディングモード情報(Audio coding mode)と、サンプリング周波数情報(fs)と、量子化/ダイナミックレンジ制御情報(Quantization/DRC)と、オーディオチャネル数情報(Number of Audio channels)と、アプリケーションフラグ情報(Application Flag)と、ビットレート情報(Bitrate)等を適宜含んで構成されている。Application Flagが00bのときは、該当オーディオストリームが、Number of Audio channelsで規定されるチャネルモードのオーディオデータを含むことを示す。また、Application Flagが01bのときは、該当オーディオストリームが、マルチチャネルモードまたはモノラルモードまたはデュアルモノラルモードまたはステレオモードのオーディオデータを含むことを示す。
【0042】
ここで、HD_DVD−VR規格の場合は、Audio coding modeを記述するのに6ビットが割り当てられている。一方、DVD−VR規格の場合は、Audio coding modeが3ビットで記述される。従い、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、A_ATR0のAudio coding modeを記述するのに何ビット割り当てられているのかを調べることで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0043】
図9は、図6のM_VOB_STIに含まれる第2のオーディオ属性情報(A_ATR1)に格納される情報例を示す。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報を含んでいる。A_ATR0の場合と同様に、A_ATR1は、b31位置からb0位置に向かって順に、オーディオコーディングモード情報(Audio coding mode)と、サンプリング周波数情報(fs)と、量子化/ダイナミックレンジ制御情報(Quantization/DRC)と、オーディオチャネル数情報(Number of Audio channels)と、アプリケーションフラグ情報(Application Flag)と、ビットレート情報(Bitrate)等を適宜含んで構成されている。
【0044】
ここで、HD_DVD−VR規格の場合はAudio coding modeを記述するのに6ビットが割り当てられているが、DVD−VR規格の場合はAudio coding modeが3ビットで記述される。従って、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、A_ATR1のAudio coding modeを記述するのに何ビット割り当てられているのかを調べることで、そのMPEG2−PSが従来のDVD−VR規格によるものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(オブジェクト情報レベルでなく管理情報レベルでの区別)。
【0045】
図10は、図3のVRオブジェクトを構成するデータ単位(EVOBU)のパック構造例を説明する図である。例えば図3(f)のEVOBUには、先頭のRDIパックに続いて、種々なパック(ビデオパック、オーディオパック、副映像パック、一般制御情報パック等)が含まれる。各パックの構造は図9のようになっており、そのPack header内にprogram_mux_rateが含まれている。
【0046】
図11は、図10のPack headerに含まれる情報例を説明する図である。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報(HD_DVD−VR規格で認められる高ビットレート30.24Mbpsを含むprogram_mux_rate)を含んでいる。HD_DVD−VR規格の下で10.08Mbps以下のレートでMPEG2−PSのエンコードが行われたときは、このMPEG2−PS のストリーム情報を含むパックのヘッダ内program_mux_rateには、10.08Mbpsを示す“0189C3”が記述される。
【0047】
一方、HD_DVD−VR規格の下で10.08Mbpsを超えるレートでMPEG2−PSのエンコードが行われたときは、このMPEG2−PS のストリーム情報を含むパックのヘッダ内program_mux_rateには、30.24Mbpsを示す“049D43h”が記述される。このprogram_mux_rateの記述内容により、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものか(program_mux_rate = 10.08Mbpsを示す“0189C3”)HD_DVD−VR規格によるものか(program_mux_rate = 30.24Mbpsを示す“049D43h”)を区別できる(管理情報レベルでなくオブジェクト情報レベルでの区別)。
【0048】
図12は、図10のパックの一部として存在するビデオパケットのヘッダに含まれる情報の一例(MPEG1、MPEG2、またはMPEG4−AVCの場合)を説明する図である。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報を含んでいる。MPEG1、MPEG2、またはMPEG4−AVCのビデオパケットヘッダには、stream_id、PES_scrambling_control、P−STD_buffer_size等の情報が含まれている。
【0049】
HD_DVD−VR規格の場合では、PES_scrambling_controlには該当パックが暗号化されたパック(Encrypted Pack)であるか否かを示す情報が含まれている。従って、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、Encrypted Packであるか否かを示す情報の有無により、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる。
【0050】
また、HD_DVD−VR規格の場合では、stream_idに、MPEG4−AVCであるか否かを示す情報を記述できるようになっている。従い、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、stream_idがMPEG4−AVCを示す記述を含んでいるか否かにより、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる。
【0051】
さらに、HD_DVD−VR規格の場合では、P−STD_buffer_sizeに、MPEG4−AVCの場合に用いるバッファサイズ(標準で946176バイト、拡張で1851392バイト)を記述できるようになっている。従い、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、P−STD_buffer_sizeがMPEG4−AVC用のバッファサイズを示す記述を含んでいるか否かにより、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる。
【0052】
図13は、図10のパックの一部として存在するビデオパケットのヘッダに含まれる情報の他例(VC−1の場合)を示す。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報を含んでいる。VC−1のビデオパケットヘッダには、stream_id、PES_scrambling_control、P−STD_buffer_size等の情報が含まれている。
【0053】
HD_DVD−VR規格の場合では、VC−1の場合でも、PES_scrambling_controlには該当パックが暗号化されたパック(Encrypted Pack)であるか否かを示す情報が含まれている。従い、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、Encrypted Packであるか否かを示す情報の有無により、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる。
【0054】
また、HD_DVD−VR規格の場合では、stream_idに、VC−1であるか否かを示す情報を記述できるようになっている。従い、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、stream_idがVC−1を示す記述を含んでいるか否かにより、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(管理情報レベルでなくオブジェクト情報レベルでの区別)。
【0055】
さらに、HD_DVD−VR規格の場合では、VC−1の場合でも、P−STD_buffer_sizeに、VC−1の場合に用いるバッファサイズ(標準で946176バイト、拡張で1851392バイト)を記述できるようになっている。従い、同じMPEG2−PSのオブジェクトであっても、P−STD_buffer_sizeがVC−1用のバッファサイズを示す記述を含んでいるか否かにより、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(管理情報レベルでなくオブジェクト情報レベルでの区別)。
【0056】
図14は、図3のVRオブジェクトを構成するデータ単位(EVOBU)の先頭に配置されるRDI パック(RDI_PCK)の構造例を示す。例えば図3(f)の各EVOBUには、先頭にRDIパックが配置されている。RDIパックは、パックヘッダとシステムヘッダとGeneral Control Informationパケット(GCI_PKT)とReal−time Data Informationパケット(RDI_PKT)、そして末尾に適宜パディングパケットを含んで構成されている。
【0057】
図15は、図14のRDIパックのシステムヘッダに含まれる情報例を示す。この情報例は、DVD−VR規格には存在せずHD_DVD−VR規格の場合にだけ存在する情報を含んでいる。このRDIパックは、HD_DVD−VR規格での上限であるmux_rate = 30.24Mbps、あるいはHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するmux_rate = 10.08Mbpsのいずれかを示すrate_boundを含んで構成されている。この“rate_bound”の記述内容により、そのMPEG2−PSがHD_DVD−VR規格内でDVD−VR規格に適合するものかHD_DVD−VR規格によるものかを区別できる(管理情報レベルでなくオブジェクト情報レベルでの区別)。
【0058】
次に、図16を参照して、ディスクドライブユニットにセットされた(ユーザにより用意された)記録媒体の規格に合わせて最適なフォーマットで、データを記録することのできる画像および音楽記録方法の一例を説明する。なお、ここでは、図1に示した録画再生装置1に例に、DVD−VR規格フォーマット(DVD Video Recording Format)とHD_DVD−VR規格フォーマット(HD_DVD Video Recording Format)の両方のフォーマットでデータの記録と再生が可能なDVDレコーダにおいて、両フォーマット間で再エンコードを必要としない(換言すると、記録媒体が対応するフォーマットを検出して、そのフォーマットに合わせて)データを記録する方法について説明する。
【0059】
図示しないリモコン等を介して、ユーザから、ディスクドライブユニット24にセットされた光ディスクすなわちHD DVD規格の光ディスク100あるいはDVD規格の光ディスク102への録画が指示される(S1)ことで、光ディスクの規格(種別)および対応フォーマットが検出される(S2)。
【0060】
ステップS2において検出された光ディスクの規格がHD DVDである場合(S2−YES)、MPEG Encoder20からは、先に説明した[イ]に従って、HD_DVD−VRモードで、MPEG2−PSの高レートエンコード出力が出力される。このとき、図17に示したリニアPCMのパケットヘッダの内容のうち「sub_stream_id」の記述に、先に説明した[1]に従って、「10101000b」あるいは「10101001b」が記述される(S3)。
【0061】
また、図19に「*1」で示した、Audio packetのリニアPCMの「P−STD_buffer_size」に『392』が記述される。なお、図示しないが「Sub−picture Packet(図10に示すデータ pack 内」)の「P−STD_buffer_size」にも同様に、『392』が記述される(S4)。
【0062】
また、HD DVD規格に従い、図14に示したように、「GCI」が追加された「RDI」が用意される(S5)。
【0063】
一方、ステップS2において検出された光ディスクの規格がDVDである場合(S2−NO)、MPEG Encoder 20からは、先に説明した[ア]または[ウ]に従って、DVD−VRモードもしくはHD_DVD−VR規格内で、MPEG2−PSの低レートエンコードでエンコードされたエンコード出力が出力される。このとき、図17に示したリニアPCMのパケットヘッダの内容のうち「sub_stream_id」の記述に、先に説明した[1]に従って、「10100000b」あるいは「10100001b」が記述される(S6)。
【0064】
また、図19に「*1」で示した、Audio packet のリニアPCMの「P−STD_buffer_size」に『58』が記述される。なお、図示しないが「Sub−picture Packet(図10に示すデータ pack 内」)の「P−STD_buffer_size」にも同様に、『58』が記述される(S7)。
【0065】
また、DVD規格に従い、図18に示したように、(「GCI」の無い)「RDI」が用意される(S8)。
【0066】
なお、HDD104への新規の録画(記録)については、ユーザよるHDVRあるいはVRの指示(選択)に従って、ステップS2に示した検出ステップに換えて、直接、ステップS3またはステップS6から実行される。
【0067】
図20は、図1に示したHD DVDディスクおよびDVDディスクに記録可能な録画再生装置1において、挿入されたメディアに対して、HD DVD Video Recordingで記録するモード(以下HDVRモード)、またはDVD Video Recordingで記録するモード(VRモード)の何れかで記録されたデータを、HDVR(モード)とVR(モード)の間で、再エンコードすることなくダビング(ダビングが許可されていないコンテンツについては「ムーブ」)する方法の一例を説明する。
【0068】
図示しないリモコン等を介して、ユーザから、ディスクドライブユニット24にセットされた光ディスクすなわちHD DVD規格の光ディスク100あるいはDVD規格の光ディスク102への録画(ダビングまたはHDVRモードである場合には「ムーブ」)が指示される(S21)ことで、光ディスクの規格(種別)および対応フォーマットが検出される(S22)。
【0069】
ステップS22において検出された光ディスクの規格がHD DVDである場合(S221−YES)、HDD104からディスクドライブユニット24に、先に説明した[イ]に従って、HD_DVD−VRモードで、MPEG2−PSの高レートエンコード出力が出力される。なお、図17に示したリニアPCMのパケットヘッダの記述内容であるsub_stream_idの記述が、“10100000b”あるいは“10100001b”から“10101000b”あるいは“10101001b”に書き換えられるとともに、データが転送(ダビング)される(S23)。また、図19に「*1」で示した、Audio packet のリニアPCMの「P−STD_buffer_size」の記述が、『58』から『392』に書き換えられる。なお、図示しないが「Sub−picture Packet(図10に示すデータ pack 内」)の「P−STD_buffer_size」にも同様に、『392』に書き換えられる(S24)。また、DVD規格に従い、図18に示した「RDI PKT」部分に「GCI PKT」部分が追加(「RDI」が「GCI」+「RDI」に書き換え)されて図14に示した構造が与えられる(S25)。
【0070】
一方、ステップS22において検出された光ディスクの規格がDVDである場合(S22−NO)、HDD104から出力されようとしているデータがDVD規格のディスクに記録可能である場合、すなわち先に説明した[ア]または[ウ]に従ってDVD−VRモードもしくはHD_DVD−VR規格内で、MPEG2−PSの低レートエンコードでエンコードされたデータである場合、そのままデータ(映像およびオーディオ信号データ)が供給される(S26)。
【0071】
なお、このようにして記録されたビデオデータおよびオーディオデータは、HDVRとVRとの間で再エンコードなしのダビング(ダビングが許可されていないコンテンツについては「ムーブ」のみ)が可能である。
【0072】
なお、HDVR(モード)とVR(モード)の間で再エンコードなしのダビングが許可されるほとんどのケースは、コピーフリーのVRタイトルBのMPEG2−PSデータは光ディスク100または102へ高速コピーまたは、レート変換でコピー(等速)またはムーブのみである。また、録画前はコピーワンス(1回コピーのみ許可)のコンテンツをHD_DVD−VRフォーマットでHDD104に録画したタイトルは、2回目の(孫)コピーが禁止されたタイトルである。このコピー禁止のHDVRタイトルのデータ(MPEG2−PS以外にMPEG4−AVCやVC1も含まれる)は、高速コピーもレート変換コピーもできないが、所定のコピー管理方式(CPRMやAACS等)に対応したディスク100または102へのムーブは可能である。
【0073】
一方、録画前はコピーワンスであったコンテンツをMPEG2−TSでHDD104に録画したタイトルも、2回目のコピーが禁止されたタイトルである。このコピー禁止TSタイトルのデータは、高速コピーもレート変換コピーもできないが、所定のコピー管理方式(CPRMやAACS等)に対応したディスク100あるいは102への再エンコードする(デコードと再エンコードを伴う)ムーブは可能である。
【0074】
以上説明したように、この発明の1つの実施形態を用いることで、HD DVD VRとDVD VRの両方のディスクに記録ができる録画再生装置において、双方のフォーマットに準拠したStreamを録画することができ、かつ、ダビング(またはムーブ)時に、再エンコードなしで、フォーマット変換することできる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明の一実施の形態に係る記録再生装置(HD_DVDレコーダ)の構成例を説明するブロック図。
【図2】この発明の一実施の形態に係るファイル構造例を説明する概略図。
【図3】この発明の一実施の形態に係るデータ構造例を説明する概略図。
【図4】この発明の一実施の形態に係る管理情報(HDVR_MG)の構成例を説明する概略図。
【図5】図4の管理情報(HDVR_MG/M_AVFIT)に含まれるM_AVFITI(Movie AV File Information Table Information)に格納される情報例を説明する概略図。
【図6】図4の管理情報(HDVR_MG/M_AVFIT)に含まれるM_VOB_STI(Movie VOB Stream Information)各々に格納される情報例を説明する概略図。
【図7】図6のM_VOB_STIに含まれるビデオ属性情報(V_ATR)に格納される情報例を説明する概略図。
【図8】図6のM_VOB_STIに含まれる第1のオーディオ属性情報(A_ATR0)に格納される情報例を説明する概略図。
【図9】図6のM_VOB_STIに含まれる第2のオーディオ属性情報(A_ATR1)に格納される情報例を説明する概略図。
【図10】図3のVRオブジェクトを構成するデータ単位(EVOBU)のパック構造例を説明する概略図。
【図11】図10のパックヘッダに含まれる情報例を説明する概略図。
【図12】図10のパックの一部として存在するビデオパケットのヘッダに含まれる情報の一例(MPEG1、MPEG2、またはMPEG4−AVCの場合)を説明する概略図。
【図13】図10のパックの一部として存在するビデオパケットのヘッダに含まれる情報の他例(VC−1の場合)を説明する概略図。
【図14】図3のVRオブジェクトを構成するデータ単位(EVOBU)の先頭に配置されるRDIパック(RDI_PCK)の構造例を説明する概略図。
【図15】図14のRDIパックのシステムヘッダに含まれる情報例を説明する概略図。
【図16】ディスクドライブユニットにセットされた(ユーザにより用意された)記録媒体の規格に合わせて最適なフォーマットで、データを記録することのできる画像および音楽記録方法の一例を説明するフローチャート。
【図17】リニアPCMのパケットヘッダの内容のうち「sub_stream_id」の記述の一例を説明する概略図。
【図18】図3のHDVRオブジェクトを構成するデータ単位(EVOBU)の先頭に配置されるRDIパック(「RDI_PCK」と「GCI_PCK」)の構造例を説明する概略図。
【図19】Audio packet のリニアPCMのパケットヘッダの記述内容のうちの「P−STD_buffer_size」の一例を説明する概略図。
【図20】図1に示したHD DVDディスクおよびDVDディスクに記録可能な録画再生装置1において、挿入されたメディアに対して、HD DVD Video Recordingで記録するモード(以下HDVRモード)、またはDVD Video Recordingで記録するモード(VRモード)の何れかで記録されたデータを、HDVR(モード)とVR(モード)の間で、再エンコードすることなくダビング(ダビングが許可されていないコンテンツについては「ムーブ」)する方法の一例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0076】
20…エンコーダ、24…ディスクドライブユニット、26…メモリスロット、30…デコーダ、40…制御用マイクロプロセサ(MPU)、400…グラフィックユーザインタフェース(GUI)表示制御部(ファームウエア)、402…エンコードパラメータ検出処理部(ファームウエア)、404…高速コピー/高速ダビング処理部(ファームウエア)、406…レート変換コピー/レート変換ダビング制御部(ファームウエア)、408…記録/再生制御部(管理情報処理部(ファームウエア))、50…オンスクリーン表示(OSD)制御部、52…モニタ装置、100…記録媒体(HD DVD規格の光ディスク)、102…記録媒体(DVD規格の光ディスク)、104…HDD(ハードディスクドライブ)、106…記録媒体(カードメモリ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の規格に従い画像およびオーディオ信号が記録可能な第1の記録媒体と、前記第1の規格よりも記録可能な情報量が高められた第2の規格に従い画像およびオーディオ信号が記録可能な第2の記録媒体と、を識別し、
前記第2の記録媒体には、前記第2の規格または前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い前記画像およびオーディオ信号を記録し、
前記第1の記録媒体には、前記第1の規格に従い前記画像およびオーディオ信号を記録する
ことを特徴とする
画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項2】
前記第2の記録媒体に、前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号は、デコードおよび再エンコードを必要とせずに、前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能であることを特徴とする請求項1記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項3】
前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号と前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号は、データ構造のうちのAudio Packetのsub_stream_idが異なることを特徴とする請求項2記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項4】
前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号を前記第2の記録媒体から前記第1の記録媒体に転送または複写する際に、前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号は、前記Audio Packetのsub_stream_idが書き換えられることを特徴とする請求項3記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項5】
前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号を前記第2の記録媒体から前記第1の記録媒体に転送または複写する際に、前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号は、前記Audio Packet及びSub−picturePacketのP−STD_buffer_sizeの値が書き換えられることを特徴とする請求項3記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項6】
前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号を前記第2の記録媒体から前記第1の記録媒体に転送または複写する際に、前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号は、データ構造のうちのGCIが付加されたRDIからGCIが削除されることを特徴とする請求項3記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項7】
前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号と前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号は、データ構造のうちのAudio Packet及びSub−picture PacketのP−STD_buffer_sizeの値が異なることを特徴とする請求項2記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項8】
前記第1の記録媒体への転送もしくは複写が可能に前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号にはGCI Packが付加されたRDI Packが、前記第1の規格に従い記録された前記画像およびオーディオ信号には単独のRDI Packが、それぞれ、挿入されることを特徴とする請求項2記載の画像およびオーディオ信号記録方法。
【請求項9】
第1の規格に従う画像およびオーディオ信号が記録可能な第1の規格の光ディスクならびに前記第1の規格よりも記録可能な情報量が高められた第2の規格に従う画像およびオーディオ信号が記録可能な第2の規格の光ディスクに画像およびオーディオ信号を、それぞれの光ディスクの規格に対応させて記録するディスクドライブと、
前記第2の規格、前記第1の規格、もしくは前記第2の規格の中で前記第1の記録媒体への転送もしくは複写を可能とした前記第1の規格、のいずれかにおいて、前記画像およびオーディオ信号を記録する記録装置と、
前記記録装置に、前記第1の規格、もしくは前記第2の規格の中で前記第1の記録媒体への転送もしくは複写を可能とした前記第1の規格のいずれかにより記録されている画像およびオーディオ信号を、前記ディスクドライブを介して前記第1の規格の光ディスクに転送または移動させ、前記第1の規格、もしくは前記第2の規格の中で前記第1の記録媒体への転送もしくは複写を可能とした前記第1の規格、あるいは前記第2の規格のいずれかにより記録されている画像およびオーディオ信号を、前記ディスクドライブを介して前記第2の規格の光ディスクに転送または移動させるデータ制御部と、
を有することを特徴とする録画再生装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の記録方法で用いられる前記請求項9の録画再生装置において、
前記第2の規格の記録が可能な前記第2の記録媒体に、前記第1の規格の記録が可能な前記第1の記録媒体への転送あるいは移動が可能に記録された前記画像およびオーディオ信号が存在することをデータ構造の特定情報から検出する検出部と、
前記検出部により、前記第1の記録媒体への転送あるいは移動が可能に記録された前記画像およびオーディオ信号が存在することが検出された場合に、前記第1の規格の記録が可能な前記第1の記録媒体への転送あるいは移動が可能に記録された前記画像およびオーディオ信号を、再エンコードせずに前記第1の記録媒体に転送あるいは移動するデータ転送制御部と、
を有する録画再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−5045(P2008−5045A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170442(P2006−170442)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】