説明

録音動作通知アダプタ

【課題】現在使用中の通信端末装置に対して、メッセージ有り通知機能を付加することのできる録音動作通知アダプタを提供する。
【解決手段】通信回線と電話端末の間に挿入される録音動作通知アダプタであって、電話端末が録音動作の開始又は録音動作の実行を示す所定の録音動作信号を検出する録音動作信号検出手段と通知先を予め登録する通知先登録手段と通知先への通知を制御する通知制御手段を有し、通知制御手段は、電話端末のメッセージ有りを通知するモードにセットされている場合、録音動作信号を検出すると、予め登録されている通知先へ電話端末の録音動作の開始又は録音動作の実行を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線と留守録(ボイスメール)または通話録音機能を有する通信端末との間に接続され、該通信端末の留守録または通話録音の開始を識別して、用件が蓄積されたことを予め登録された連絡先に通知する録音動作通知アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の留守録や通話録音機能を有する端末では、用件録音の終了後に、予め設定された連絡先に自動的に電話発信する、あるいは、メールを送信するなどして、用件が記録されたことを通知する機能を具備していた。
例えば、特許文献1には、留守録メッセージが記録されていることを検出し、留守録メッセージの緊急度を決定し、決定された緊急度に基づいて、留守録メッセージに関する通知を当該通信端末装置とは別の通信端末装置に対して行う通信端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−289676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の通信端末装置では、端末自体にメッセージ有り通知機能を具備しているため、メッセージ有り通知機能を実現するための制御部やインタフェースなどの構成部品を搭載する必要があり、通信端末装置の製造コストが高騰する欠点があった。また、従来の通信端末装置にメッセージ有り通知機能を付加するには、メッセージ有り通知機能付きの通信端末装置に買い換える必要があり不経済であった。
【0004】
また、従来のメッセージ有り通知機能付きの通信端末装置は、メッセージ録音が終了した後で通知するものであって、即時性に欠けるなどの欠点があり、メッセージ有り通知機能としては不十分なものであった。
【0005】
本発明の目的は、現在使用中の多くの通信端末装置に対して、メッセージ有り通知機能を付加することができ、経済的で即時性に優れた録音動作通知アダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の録音動作通知アダプタは、通信回線と録音機能を有する1または複数の電話端末の間に挿入され、前記電話端末が録音動作を開始したことまたは録音動作を実行したことを示す所定の録音動作信号を検出する録音動作信号検出手段と、通知先を予め登録する通知先登録手段と、前記通知先への通知を制御する通知制御手段を有し、前記通知制御手段は、前記電話端末のメッセージ有りを通知するモードにセットされている場合、前記録音動作信号検出手段が前記録音動作信号を検出したならば、あらかじめ登録されている前記通知先へ当該電話端末の録音動作が開始されたこと、または、録音動作が為されたことを通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数台のメッセージ有り通知機能の無い通信端末装置に対して共用のメッセージ有り通知機能を付与することができ、また、通信回線と通信端末装置との間に挿入するだけで容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1の録音動作通知アダプタのブロック構成を示す図で、メッセージ有り通知機能を有する録音動作通知アダプタ2は、IP電話網1と電話端末3との間に挿入され、回線接続コネクタ20aと回線ケーブル10、端末接続コネクタ20bと接続ケーブル30を接続する。
【0010】
IP電話網1から着信を検出すると、録音動作通知アダプタ2のIPパケット送受信部26及びIP電話呼制御部27において着信を示す制御メッセージを受信し、アダプタ制御部21は着信先の内線端末に着信を報知するために、端末IF部29から電話端末3に着信信号(IR)の送出を指示する。
【0011】
電話端末3は、端末制御部31により着信信号(IR)を検出すると着信音を鳴動し、ユーザの応答操作により当該着信に応答する。
【0012】
上記着信(呼出)状態において、所定の期間経過してもユーザからの応答操作がなかった場合、端末制御部31は当該着信に自動応答し、通話録音部32からのメッセージ録音の開始を示す信号(一般にガイダンスとトーン信号、以下録音開始信号)TN3を送出した後、相手音声による用件メッセージの録音を開始する。
【0013】
次に、電話端末3の応答後、IP電話呼制御部27によって電話端末3とIP電話網1の間で音声通話が可能な状態が形成され、録音開始検出部24は、電話端末3の通話録音部32から送出される前記の録音開始信号TN3を検出したことをアダプタ制御部21に伝える。また、終話検出部25aは、端末IF部29よりオンフックによる直流ループの解放動作または、IRの停止を検出し、アダプタ制御部21に終話検出したことを通知する。
【0014】
アダプタ制御部21では、着信先と通知先を対応させた通知先記録部22cの内容に従って、メッセージ録音が開始されたことを、電話発信通知機能部22aよりIP電話呼制御部27を介して発信してガイダンスメッセージを通知先に送出し、または、メール通知機能部22bより電子メールの形式にて送信し、通話相手にメッセージの録音音声があること、または、メッセージを録音中であることを通知する。
【0015】
この録音動作通知アダプタ2のアクセス回線にIP網を使用する場合、呼が通話中であっても、その空き帯域を用いてメール通知や電話発信通知を行うことができるため、収容されている電話端末3や外線インタフェースの使用状態に依存ぜずに、即時に通知することができる。
【0016】
また、この録音動作通知アダプタ2は、複数の端末IF部と検出部を有することができ、同時に複数の電話端末を制御することもできる。
【0017】
図2は、実施例1におけるアダプタ制御部21の制御論理を示すフロー図で、本発明の録音動作通知アダプタ2のアダプタ制御部21では、端末IF部29に収容された電話端末3が応答する。ここでオンフックによる直流ループの解放動作(以下、終話検出という。)すると(S201でYES)、本処理を終了する。
終話検出を検出できなかった場合(S201でNO)、録音開始信号TN3の信号検出を行う(S202)。そして録音開始信号TN3を検出できない場合(S202でNO)、ステップ211に戻り、検出するまで繰り返す。
【0018】
録音開始信号TN3を録音開始検出部24で検出すると(S202でYES)、通知先記録部22cからメッセージの録音がなされたことを通知する電話端末3の相手先情報を取得し(S203)、電話発信通知機能部22aからIP電話呼制御部27を介して発信し「メッセージ有りのガイダンスメッセージ」を報知する(S204)。または、メール通知機能部22bからIPパケット送受信部26を介して「メッセージ有りのメール文」を送信してもよい。
【0019】
通知先にメッセージの録音がなされたことを通知した後は、終話検出部25aによって呼の終了を検出して処理を終了する。(S205)
【実施例2】
【0020】
図3は、本発明の実施例2の録音動作通知アダプタ2のブロック構成を示す図である。図3において、録音動作通知アダプタ2に着信が検出した際、着信内容検出部23によってIP電話呼制御部27からの着信内容(発信者番号や着信先番号)を抽出し、通知先記録部22cに記録された着信条件を識別し、着信内容から、電話端末(3b、3c)と電話端末(3b、3c)が接続された端末IF部(29b、29c)を決定する。尚、他の各ブロックの説明については実施例1と同じブロックなので説明を省略する。
【0021】
次に、録音開始検出部24により、例えば、着信先端末3cの通話録音部32からの録音開始信号TN3を検出すると、先に決定した着信条件に従い、通知先記録部22cに記録された着信条件に対応する通知先に、メッセージの録音がなされたことを通知するものである。
【0022】
図4は、実施例2におけるアダプタ制御部21の制御論理を示すフロー図で、本発明の録音動作通知アダプタ2のアダプタ制御部21では、着信を検出すると(S401)、着信内容検出部23で得た着信内容(発信者番号や着信先番号)に基づき、通知先記録部22cの通知先識別テーブルの発信者識別情報及び着信先識別情報と照合して該当する電話端末(3b、3c)が接続された端末IF部(29b、29c)に対し、着信信号(IR)の送出を指示し、該当する端末IF部29は着信信号を送出する。(S402)(複数の端末に同時に着信させることもある。)
【0023】
次に、着信先端末からの録音開始信号TN3を検出すると(S403)、通知先記録部22cより該当する電話端末3bまたは3cの相手先情報を取得し(S404)、メッセージの録音がなされたことを電話発信通知機能部22aまたはメール通知機能部22bから通知する。(S405)
【0024】
そして、電話発信通知機能部22aからIP電話呼制御部27を介して発信し「メッセージ有りのガイダンスメッセージ」を報知する(S406)。
【0025】
通知先にメッセージの録音がなされたことを通知した後は、終話検出部25aによって呼の終了を検出して処理を終了する。(S407)
【0026】
図5は、実施例2における通知先記録部22cの構成例を示す図で、着信内容検出部23で得た発信者番号や着信先番号に対応する端末接続コネクタ、及びその着信条件に対する通知先の電話番号やメールアドレスが記録されている。
【0027】
例えば、05001234500に着信した場合は条件Aとして端末接続コネクタ20bを特定し、電話端末3bを呼出し、また0398760001の発信者から着信した場合は条件Cとして端末接続コネクタ20bと20cの両方を呼出すものである。
【0028】
条件Aの状態において、録音開始信号TN3を検出した場合は0376543210に電話発信を行い「メッセージ有りのガイダンスメッセージ」を報知する。また条件Cの状態において録音開始信号TN3を検出した場合は0398765432に電話発信を行うと共に、5yz67a8@nyc.co.jpに「メッセージ有りのメール文」を送信するものである。
【0029】
この録音動作通知アダプタ2に接続される電話端末は、既存の留守番電話機やボイスメール装置などである。また、録音動作通知アダプタ2は、複数の端末接続コネクタ20b,20cを有し、複数の電話端末を制御するものでもよい。
【実施例3】
【0030】
図6は、本発明の実施例3の録音動作通知アダプタ2のブロック構成を示す図で、IP電話呼制御部27からの着信を検出する着信内容検出部23と、端末IF部29からの発信を検出する発信検出部25bを設け、それぞれに検出した端末(ユーザ)の状態をアダプタ制御部21で判断し、所定のプレゼンスサーバ4にユーザの在席/不在状態を通知するものである。尚、他の各ブロックについては実施例1または実施例2で説明については実施例1と同じブロックなので説明を省略する。
【0031】
また、着信検出から所定の期間内に応答が検出できなった場合と、応答後、録音開始検出部24で通話録音の開始を検出した場合には、プレゼンスサーバ4に対してユーザが在席状態でない旨のプレゼンス情報を通知する。
【0032】
図7は、前記のアダプタ制御部21の制御論理を示すフロー図である。端末IF部29を介して発信検出部25bで電話端末(3bまたは3c)の発信を検出した場合(S701でYES)、ユーザが在席であると判断し、プレゼンスサーバ4に対して、プレゼンスサーバ4が指定する所定の様式で、在席状態のプレゼンス通知を行い(S710)、本フローチャートを終了する。
【0033】
相手電話端末からの着信を検出した場合(S702でYES)、相手電話端末の通話先を選択する(S703)。次のステップ704〜ステップ707迄の処理は図2または図4で説明したステップ201〜ステップ204で説明した内容と同じなので、説明を省略する。つぎにステップ204でメッセージ有り通知をおこなうと共にプレゼンスサーバ4に対して、プレゼンスサーバ4が指定する所定の様式で、在席状態のプレゼンス通知を行う(S708)。
そしてプレゼンス通知の処理を行った後は、終話検出部25aによって終了検出すると処理を終了する。(S709)
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の実施例1の録音動作通知アダプタのブロック構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1の録音動作通知アダプタのアダプタ制御部の制御論理を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2の録音動作通知アダプタのブロック構成を示す図である。
【図4】図4は、実施例2の録音動作通知アダプタの制御論理を示すフロー図である。
【図5】図5は、実施例2における着信先と通知先を決定するテーブル構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例3の録音動作通知アダプタのブロック構成を示す図である。
【図7】図7は、実施例3の録音動作通知アダプタの制御論理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0035】
1 IP電話網
2 録音動作通知アダプタ
3 通話録音機能を有する電話端末
4 プレゼンスサーバ
21 アダプタ制御部
23 着信内容検出部
24 録音開始検出部
25 終話検出部
26 IPパケット送受信部
27 IP電話呼制御部
29 端末IF部
31 端末制御部
32 通話録音部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線と録音機能を有する電話端末の間に挿入される録音動作通知アダプタであって、
前記電話端末が録音動作を開始したこと又は録音動作を実行したことを示す所定の録音動作信号を検出する録音動作信号検出手段と、通知先を予め登録する通知先登録手段と、前記通知先への通知を制御する通知制御手段を有し、
前記通知制御手段は、前記電話端末のメッセージ有りを通知するモードにセットされている場合、前記録音動作信号検出手段が前記録音動作信号を検出すると、予め登録されている前記通知先へ当該電話端末の録音動作が開始されたこと又は録音動作が実行されたことを通知することを特徴とする録音動作通知アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の録音動作通知アダプタであって、前記電話端末への着信を監視する着信監視手段を更に有し、前記通知先登録手段には発信元の識別情報または着信先の識別情報により異なる通知すべき通知先情報を予め登録し、前記通知制御手段は、前記着信監視手段が抽出した発信元の識別情報または着信先の識別情報に従って、前記通知先登録手段に登録された所定の通知先へ、当該電話端末の録音動作が開始されたこと又は録音動作が実行されたことを通知することを特徴とする録音動作通知アダプタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の録音動作通知アダプタ装置であって、前記通知制御手段は、電子メールによる通知手段であって、録音日時や発信元の識別情報や録音内容の一部もしくは全部を添付して通知することを特徴とする録音動作通知アダプタ。
【請求項4】
請求項2に記載の録音動作通知アダプタであって、所定のプレゼンスサーバにプレゼンス情報を通知するプレゼンス情報通知手段を更に有し、前記録音動作信号検出手段が前記所定の録音動作信号を検出した場合、当該電話端末のユーザが在席状態でない旨のプレゼンス情報を前記所定のプレゼンスサーバが指定する様式で通知することを特徴とする録音動作通知アダプタ。
【請求項5】
請求項4に記載の録音動作通知アダプタであって、前記電話端末からの発信を検出する発信検出手段を更に有し、前記発信検出手段が電話端末からの発信を検出した場合、当該電話端末のユーザが在席状態である旨のプレゼンス情報を前記所定のプレゼンスサーバが指定する様式で通知することを特徴とする録音動作通知アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−312078(P2008−312078A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159693(P2007−159693)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】