説明

鍔付きカップ状容器の移送方法及び装置

【課題】一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器をレトルト殺菌用トレイに移送する場合に、容器に傷や変形、シール部の剥離等を生じさせず、かつ移送した容器をトレイ内の所定位置に正確に置けるようにする。
【解決手段】昇降可能かつ水平面内で移動可能な移動フレーム2に、開閉可能な左右一対の係合部材34,35及び位置決め部材29,31が設置されている。係合部材は係合部38,39を有し、各係合部は下端部に内向きに形成された係合爪41を有し、係合部材が閉じたとき、係合爪が鍔付きカップ状容器の左右から鍔30aの下に入り、移動フレームが上昇したとき鍔の下面を支持する。位置決め部材は位置決め部36,37を有し、位置決め部材が閉じたとき、位置決め部が前記鍔の周面に左右から当接して、鍔付きカップ状容器の位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を充填した鍔付きカップ状容器を保持して移送する方法及び装置に関し、特にコンベア上を一列で搬送され、かつ所定位置に停止した複数個の鍔付きカップ状容器を、例えばレトルト殺菌用のトレイ内に移送するのに好適な移送方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、鍔付きカップ状容器を含む鍔付き物品の移送に関して、種々の装置が考案されている。
下記特許文献1,2には、吸盤で物品の上面を吸着して移送する装置が記載されている。しかし、この装置を鍔付きカップ状容器に適用する場合、(1)容器の被吸着部(フィルム状蓋材上面)に吸着痕が残るため、製品価値が低下する、(2)フィルム状蓋材が例えばイージーピール性シールで、容器の重量が重い場合、前記フィルム状蓋材が剥離する恐れがある、(3)吸着不良による移送ミスの可能性がある、等の問題がある。
また、下記特許文献3,4には、物品の側面を開閉自在な一対の挟持部材で挟持して移送する装置が記載されている。しかし、この装置の場合、確実に挟持しようとして挟持力を高く設定すると、容器の被挟持部(鍔や胴部周面)が変形するという問題がある。
また、下記特許文献5,6には、開閉自在な一対の係合爪を物品の鍔の下に差し入れ、前記係合爪で鍔の下面を支持して移送する装置が記載されている。しかし、この装置の場合、移送後、一対の係合爪を開いて容器を開放する際、容器が係合爪が開くのに連れて動いたり、いずれか一方側の係合爪と鍔の係合が先に外れ容器が傾斜して落下し、移送先(例えばレトルト殺菌用のトレイ)において位置ずれが生じる恐れがある。
【0003】
【特許文献1】特許第3446097号公報
【特許文献2】実公昭62−7618号公報
【特許文献3】特開2003−89421号公報
【特許文献4】特許第2814341号公報
【特許文献5】特開平8−301452号公報
【特許文献6】特許第2550161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、鍔付き物品を移送する従来の移送装置を鍔付きカップ状容器に適用した場合の前記問題点に鑑みてなされたもので、容器に傷や変形、シール部の剥離等を生じさせず、かつ移送した容器を開放したとき容器に位置ずれが生じるのを防止して、例えばレトルト殺菌用のトレイ内の所定位置に正確に置くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法は、一度に1個又は一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器を移送する移送方法において、開閉可能とされ移送する各鍔付きカップ状容器に対応する係合部を有しかつする一対の係合部材を下降させ、各係合部の下端部に内向きに形成された係合爪を前記鍔付きカップ状容器の左右に位置させ、前記係合部材を閉じて前記鍔付きカップ状容器の鍔の下に前記係合爪を差し入れ、続いて上昇させて前記係合爪により前記鍔の下面を支持した状態で前記鍔付きカップ状容器を上昇させ、前記係合部材を所定位置に向けて移動し、続いて下降させた後、前記係合部材を開き前記係合爪を前記鍔の下から左右に引き出して前記鍔付きカップ状容器を開放し、続いて前記係合部材を上昇させるもので、さらに、開閉可能とされ移送する各鍔付きカップ状容器に対応する位置決め部を有する一対の位置決め部材が前記一対の係合部材とともに昇降及び移動するようになっていて、前記係合部材が閉じる直前から次に開く前までの間の適宜のタイミングで前記位置決め部材を閉じ、前記位置決め部を前記鍔付きカップ状容器の鍔側面に左右から当接し、前記鍔付きカップ状容器の位置決めを行うことを特徴とする。
【0006】
本発明の装置は、一度に1個又は一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器を移送する移送装置において、昇降可能かつ水平面内でも移動可能な移動フレームと、前記移動フレームに開閉可能にかつ互いに対向して配置された左右一対の係合部材及び位置決め部材を備え、各係合部材は移送する各鍔付きカップ状容器に対応する係合部を有し、かつ各係合部は下端部に内向きに形成された係合爪を有し、前記一対の係合部材が閉じたとき前記係合爪が鍔付きカップ状容器の左右から鍔の下に入り、この状態で前記移動フレームが上昇したとき前記鍔の下面を支持し、各位置決め部材は移送する各鍔付きカップ状容器に対応する位置決め部を有し、前記一対の位置決め部材が閉じたとき前記位置決め部が前記鍔付きカップ状容器の鍔側面に左右から当接して、前記鍔付きカップ状容器の位置決めを行うことを特徴とする。
以上の移送方法及び移送装置の好ましい形態は、発明を実施するための最良の形態の欄で詳述する。なお、本発明において左右とは、一度に移送するのが一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器の場合はその列の左右を意味し、1個の鍔付きカップ状容器の場合はその容器の両側の対称的位置又は向きを意味する。
【0007】
なお、本発明の移送装置により実施できる移送方法は上記移送方法に限定されない。例えば、上記移送方法では、一対の係合部材をいったん下降させた後、前記係合部材を閉じて係合爪を鍔付きカップ状容器の下に差し込んだが、係合部材及び位置決め部材が鍔付きカップ状容器の上方位置にもたらされる際に該係合部材や位置決め部材と鍔付きカップ状容器の干渉が避けられるのであれば、(1)前記係合部材をその位置でいったん下降させることなく閉じて係合爪を鍔付きカップ状容器の下に差し込むようにしてもよい。 また、上記移送方法では、所定位置に移動した係合部材をいったん下降させ、そこで係合部材を開いて鍔付きカップ状容器を開放し、続いて係合部材を上昇させていたが、移動してきた係合部材及び位置決め部材並びに係合部材に支持された鍔付きカップ状容器と他物品(例えばレトルト殺菌用のトレイやトレイ中に先に収容された鍔付きカップ状容器)との干渉が避けられ、かつ落下する鍔付きカップ状容器の位置ずれが防止できるのであれば、(2)係合部材を下降させることなく開いて、その高さのまま元の位置(鍔付きカップ状容器を受け取る位置)に復帰させるようにしてもよい。
さらに、上記移送方法では、所定位置に移動した係合部材をいったん下降させ、そこで係合部材を開いて鍔付きカップ状容器を開放し、続いて係合部材を上昇させていたが、係合部材及び位置決め部材と他物品(例えばレトルト殺菌用のトレイやトレイ中の鍔付きカップ状容器)との干渉が避けられるのであれば、(3)下降させた係合部材を上昇させることなく元の位置(鍔付きカップ状容器を受け取る位置)に復帰させることができる。
同様に上記(1)と(2)、(1)と(3)の組み合わせも考えられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、係合爪を鍔付きカップ状容器の鍔の下に左右から差し入れ、前記係合爪で鍔の下面を支持して移送するため、容器に傷や変形、シール部の剥離等を生じない。これに加え、開閉可能な一対の位置決め部材で鍔付きカップ状容器の位置決めを行うので、係合部材が開いて係合爪が前記鍔の下から左右に引き出されるとき鍔付きカップ状容器が位置ずれを起こすのが防止され、対向する左右の係合爪により鍔部を均等に支持することができて移送が安定し、あるいは鍔付きカップ状容器を例えばレトルト殺菌用のトレイ内の所定位置に正確に置くことができる等の利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図8を参照して、本発明に係る移送方法及び装置について説明する。
図1,2に示す移送装置は、図示しない駆動源(例えばロボットアームなど)に連結されて昇降及び水平面内での移動をする支持軸1と、支持軸1の下端に固定された矩形断面のフレーム2と、フレーム2の両端面に固定された側部フレーム3,4と、側部フレーム3,4に軸受を介して回転自在に支持された支点軸5,6を備える。側部フレーム3,4には、延長フレーム3a,4aが形成されている。
支点軸5には、揺動レバー7,8(図4,5参照)が固定され、揺動レバー9,10(図3,6参照)が軸受を介して回転自在に支持されている。また、支点軸6には、揺動レバー11,12(図3,6参照)が固定され、揺動レバー13,14(図4,5参照)が軸受を介して回転自在に支持されている。
【0010】
延長フレーム3aと揺動レバー9の間にはエアシリンダ15が配置され(図3参照)、そのピストンロッド16が連結ジョイント17を介して揺動フレーム9の先端部に連結され、エアシリンダ15の底部に固定された取付用ジョイント18が延長フレーム3aの先端部に固定された取付軸部19に連結されている。また、延長フレーム4aと揺動レバー8の間には両ロッドタイプ(2つのエアシリンダを背中合わせに連結したもので、各ロッドが独立して伸縮し得る)のエアシリンダ21が配置され(図4,6参照)、一方のピストンロッド22が連結ジョイント23を介して揺動フレーム8の先端部に連結され、他方のピストンロッド24が連結ジョイント25を介して延長フレーム4aの先端部に固定された取付軸部26に連結されている。
【0011】
図3,6に示されるように、揺動レバー9,11は連結リンク27により連結され、揺動レバー10,12は連結リンク28により連結されている。そこで、エアシリンダ15が作動すると、揺動レバー9が回動し、同時に連結リンク27を介して揺動レバー11が回動し、揺動レバー11が回動することにより支点軸6が回動し、さらに支点軸6に固定された揺動レバー12が回動し、同時に連結リンク28を介して揺動レバー10が回動する。
さらに、揺動レバー9,10の下端には板材から形成された位置決め部材29が固定され、揺動レバー11,12の下端には板材から形成され前記位置決め部材29と対称形状の位置決め部材31が対向して固定されている。この位置決め部材29,31が本発明でいう一対の位置決め部材である。エアシリンダ15が作動すると、位置決め部材29,31が開閉する。図3,6において、位置決め部材29,31が閉じたときの状態を実線で、開いたときの状態を仮想線で示す。
【0012】
図4,5に示されるように、揺動レバー8,14は連結リンク32により連結され、揺動レバー7,13は連結リンク33により連結されている。そこで、エアシリンダ21が作動すると、揺動レバー8が回動し、同時に連結リンク32を介して揺動レバー14が回動し、揺動レバー8が回動することにより支点軸5が回動し、さらに支点軸5に固定された揺動レバー7が回動し、同時に連結リンク33を介して揺動レバー13が回動する。
さらに、揺動レバー7,8の端部には板材から形成された係合部材34が固定され、揺動レバー13,14の端部には板材から形成され前記係合部材34と対称形状の係合部材35が対向して固定されている。この係合部材34,35が本発明でいう一対の係合部材である。エアシリンダ21が作動すると、係合部材34,35が開閉する。なお、図4,5では、係合部材34,35が閉じたときの状態を実線で、中間位置まで開いたときの状態と大きく開いたときの状態を仮想線で示す。
【0013】
図1,3,6に示されるように、位置決め部材29,31の下端に、移送する各鍔付きカップ状容器30に対応して複数個の位置決め部36,37が形成され、各位置決め部36,37は櫛歯状に一列に並んでいる。位置決め部36,37の向きは、位置決め部材29,31が閉じたとき鉛直に向く(図3,6の実線参照)ように設定されている。
また、図1,4,5に示されるように、係合部材34,35の下端に、移送する各鍔付きカップ状容器30に対応して複数個の係合部38,39が形成され、各係合部38,39は櫛歯状に一列に並んでいる。また、各係合部38,39の下端に係合爪41が内向きに形成され、係合爪41の向きは、係合部材34,35が閉じたとき水平に向く(図4,5の実線参照)ように設定されている。
【0014】
この例では位置決め部36,37及び係合部38,39の櫛歯のピッチは、鍔付きカップ状容器30の列のピッチに合わせている。また、位置決め部36の列と係合部38の列及び位置決め部37の列と係合部39の列は、位置決め部材29,31と係合部材34,35が開閉するときに互いに干渉しないように、櫛歯同士が互いの隙間に入り込むように形成されている。
また、図1からも分かるように、位置決め部材29,31と係合部材34,35がともに閉じた状態のとき、位置決め部36,37の下端が係合爪41の高さより下方に位置している。
【0015】
図1,2において、40はレトルト殺菌用トレイであり、この移送装置は、図示しないベルトコンベア上を一列に並んで搬送され、該ベルトコンベア上の所定位置に位置決めされた複数個(この例では11個)の鍔付きカップ状容器30(この例では平面視正方形の鍔を有する容器)を、レトルト殺菌用トレイ40上に一列の状態のまま移送し、かつトレイ内の所定位置に載置するために使用される。
【0016】
次に、図7(a)〜(c)及び図8(a)〜(c)を参照して、上記移送装置を用いた移送方法の一例を工程順に説明する。
(1)図7(a)
鍔付きカップ状容器30が、ベルトコンベア42上を一列に並んで搬送され、該ベルトコンベア42上の所定位置に停止している。一方、ベルトコンベア42の上方に移送装置が停止して下降位置にあり、係合部38,39は大きく開き、位置決め部36,37も同様に開き、鍔付きカップ状容器30の左右に位置している。このように開くことにより、係合部材34,35及び位置決め部材29,31が下降する際に、係合部38,39及び位置決め部36,37が鍔付きカップ状容器30と干渉せずに済む。
【0017】
(2)図7(b)
エアシリンダ15,21が同時に作動し、位置決め部材29,31及び係合部材34,35が閉じる。これにより、位置決め部36,37が鍔付きカップ状容器30の鍔30aの側面に左右から当接して、鍔付きカップ状容器30を位置決めし、係合部38,39の係合爪41が鍔付きカップ状容器30の鍔30aの下に左右から差し入れられる。位置決め部36と係合部38及び位置決め部37と係合部39は、図7(b)では重なっているように見えるが、図1に示すようにそれぞれ互いに隙間に入り込むように櫛歯状に配置されているから、両者間に干渉は生じていない。
【0018】
(3)図7(c)
移送装置が上昇し、これにより係合爪41が鍔付きカップ状容器30の鍔30aの下面を支持して上昇し、鍔付きカップ状容器30を上昇させ、続いて水平移動して、鍔付きカップ状容器30の列をレトルト殺菌用トレイ40上の所定位置に移送し、ここで移送装置が下降する。移送装置の下降に伴い、位置決め部材29,31、係合部材34,35及び鍔付きカップ状容器30が下降する。この間、位置決め部36,37が鍔30aを左右から抑え、鍔付きカップ状容器30を左右の係合爪41,41の中心に位置決めしているので、鍔付きカップ状容器30は位置ずれを起こすのが防止される。
【0019】
(4)図8(a)
この図は移送装置が下降した状態を示す。この例では、多数の鍔付きカップ状容器30をレトルト殺菌用トレイ40内に収容するため、移送してきた鍔付きカップ状容器30の列を収容するトレイ内のスペースは極めて狭く設定されている。そのため、レトルト殺菌用トレイ40の側面40aや先に収容された鍔付きカップ状容器(30Aで示す)と干渉しないように、係合爪41はトレイ内に入らない高さで停止し、位置決め部36,37のみがトレイ内に延びている。また、鍔付きカップ状容器30はトレイの底面から浮いた状態となっている。
【0020】
(5)図8(b)
エアシリンダ21を作動させて係合部材34,35を中間位置まで開き、係合爪41を鍔付きカップ状容器30の鍔30aの下から左右に引き出し、鍔付きカップ状容器30を開放する。これにより、鍔付きカップ状容器30は鍔30aの左右を位置決め部36,37によりガイドされながら、レトルト殺菌用トレイ40上に落下、載置される。
なお、この例では、係合爪41がレトルト殺菌用トレイ40内に入らない高さで停止し、かつ先に載置された鍔付きカップ状容器30Aよりも高い位置にあるので、この段階で係合部材34,35が最大に開いても(図7(a)参照)、レトルト殺菌用トレイ40や先に載置された鍔付きカップ状容器30Aと干渉しないが、余り大きく開かない方が、万一の干渉を防止するために望ましい。
【0021】
(6)図8(c)
移送装置を上昇させ、位置決め部36,37をレトルト殺菌用トレイ40内から引き上げ、続いて移送装置をベルトコンベア42の上方位置に水平移動させ(移送装置の移動方向は例えばベルトコンベア42の搬送方向に垂直)、さらに所定位置(図7(a)に示す位置)まで下降させる。移送装置が上昇後ベルトコンベア42の上方位置に停止するまでの間、又はベルトコンベア42の上方位置で停止中に、位置決め部材29,31を開きかつ係合部材34,35をさらに開く。
【0022】
なお、上記移送装置及び移送方法については、例えば下記のとおり、請求項記載の範囲内で種々の変更が可能である。
(a)上記の例では、係合部材34,35を作動させるエアシリンダ21は両ロッドタイプであったが、先に収容した鍔付きカップ状容器30Aやレトルト殺菌用トレイ40との干渉を防止できるのであれば、片ロッドタイプ(エアシリンダ15のタイプ)でもよい。
(b)上記の例では、位置決め部36,37が係合爪41の位置よりかなり下方まで延びていて、鍔付きカップ状容器30がレトルト殺菌用トレイ40上に着地するまで鍔30aに左右から当接し落下をガイドしていたが、これは望ましいが必須ではなく、位置決め部36,37はもっと短くてもよい。例えば、鍔付きカップ状容器30の左右の位置決めが可能であれば、係合爪41より下方に延びていなくてもよい。
【0023】
(c)上記の例では、位置決め部材29,31を係合部材34,35と同時に閉じていたが、位置決め部材29,31が閉じるタイミング(位置決めのタイミング)は、係合部材34,35が閉じる前、あるいは閉じてから次に開くまでの間で、適宜設定することができる。このタイミングであれば、鍔付きカップ状容器30が係合爪41から開放される前に位置決めが行われているので、レトルト殺菌用トレイ40上の正確な位置に鍔付きカップ状容器30の列を収容することができる。一方、係合部材34,35が閉じる前又は閉じると同時のタイミングであれば、鍔付きカップ状容器30を一対の係合爪41,41で支持する前に位置決めできるので、係合爪41による支持が安定し、かつ短い係合爪41であっても鍔付きカップ状容器30の支持が可能となる(鍔付きカップ状容器30の位置が左右いずれかに大きくずれている場合、短い係合爪であると鍔30aが外れる場合がある)。
【0024】
(d)上記の例では、係合部38,39はレトルト殺菌用トレイ40内に入っていないが、トレイ上の収容スペースに余裕がある場合(レトルト殺菌用トレイ40の側面との距離及び先に収容した鍔付きカップ状容器30との隙間が、係合部38,39が該隙間に入り得るほどに広い場合)、係合爪41により支持した鍔付きカップ状容器30を、トレイの底面に接触するまで下降させることもできる。
【0025】
(e)上記の例では、移送装置をベルトコンベア42上で下降させた後、位置決め部材29,31及び係合部材34,35を閉じたが、例えば移送装置をベルトコンベア42の搬送方向に沿って移動させるのであれば、図7(a)と同じ高さであっても位置決め部材29,31及び係合部材34,35と鍔付きカップ状部材30の干渉が避けられるので、始めから図7(a)と同じ高さで水平移動させ、さらにベルトコンベア42上で移送装置を下降させることなく、その高さで位置決め部材29,31及び係合部材34,35を閉じるようにすることもできる。
(f)上記の例では、図8(a)に示すように、レトルト殺菌用トレイ40上で移送装置を下降させた後、係合部材34,35を開いたが、下降させることなく係合部材34,35を開くこともできる。
【0026】
(g)上記の例では、図8(c)に示すように、下降させた移送装置を再び上昇させた後、ベルトコンベア42上の鍔付きカップ状部材30に向けて水平移動させたが、これは下降させた移送装置(位置決め部材29,31及び係合部材34,35)とレトルト殺菌用トレイ40及びトレイ中の鍔付きカップ状部材30との干渉が避けられないからであって、その干渉が避けられるのであれば、その高さで水平移動させることができる。
(h)上記の例では、移送装置がベルトコンベア42上とレトルト殺菌用トレイ40上の間を移動する際は水平移動を行ったが、これは必ずしも水平移動でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る移送装置の正面図である。
【図2】その平面断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2のC−C断面図である。
【図6】図2のD−D断面図である。
【図7】本発明に係る移送装置による移送方法を説明する図である。
【図8】本発明に係る移送装置による移送方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
2 移動フレーム
15,21 エアシリンダ
29,31 位置決め部材
30 鍔付きカップ状容器
30a 容器の鍔
34,35 係合部材
36,37 位置決め部
38,39 係合部
40 レトルト殺菌用トレイ
41 係合爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一度に1個又は一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器を移送する移送方法において、開閉可能とされ移送する各鍔付きカップ状容器に対応する係合部を有する一対の係合部材を下降させて、各係合部の下端部に内向きに形成された係合爪を前記鍔付きカップ状容器の左右に位置させ、前記係合部材を閉じて前記鍔付きカップ状容器の鍔の下に前記係合爪を差し入れ、続いて前記係合部材を上昇させて前記係合爪により前記鍔の下面を支持した状態で前記鍔付きカップ状容器を上昇させ、前記係合部材を所定位置に向けて移動し、続いて下降させた後、前記係合部材を開き前記係合爪を前記鍔の下から左右に引き出して前記鍔付きカップ状容器を開放し、続いて前記係合部材を上昇させるもので、さらに、開閉可能とされ移送する各鍔付きカップ状容器に対応する位置決め部を有する一対の位置決め部材が前記一対の係合部材とともに昇降及び移動するようになっていて、前記係合部材が閉じる直前から次に開く前までの間の適宜のタイミングで前記位置決め部材を閉じて、前記位置決め部を前記鍔付きカップ状容器の鍔側面に左右から当接させ、前記鍔付きカップ状容器の位置決めを行うことを特徴とする鍔付きカップ状容器の移送方法。
【請求項2】
一度に1個又は一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器を移送する移送装置において、昇降可能かつ水平面内でも移動可能な移動フレームと、前記移動フレームに開閉可能にかつ互いに対向して配置された左右一対の係合部材及び位置決め部材を備え、各係合部材は移送する各鍔付きカップ状容器に対応する係合部を有し、かつ各係合部は下端部に内向きに形成された係合爪を有し、前記一対の係合部材が閉じたとき前記係合爪が鍔付きカップ状容器の左右から鍔の下に入り、この状態で前記移動フレームが上昇したとき前記鍔の下面を支持し、各位置決め部材は移送する各鍔付きカップ状容器に対応する位置決め部を有し、前記一対の位置決め部材が閉じたとき前記位置決め部が前記鍔付きカップ状容器の鍔側面に左右から当接して、前記鍔付きカップ状容器の位置決めを行うことを特徴とする鍔付きカップ状容器の移送装置。
【請求項3】
前記位置決め部材が閉じるタイミングは、前記係合部材が閉じる直前から次に開く前までの間の適宜のタイミングに設定されていることを特徴とする請求項2に記載された鍔付きカップ状容器の移送装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記位置決め部材が閉じたとき略鉛直に向き、そのとき前記位置決め部の下端は前記係合爪と略同じ高さ又は前記係合爪より下方に位置することを特徴とする請求項2又は3に記載された鍔付きカップ状容器の移送装置。
【請求項5】
前記鍔付きカップ状容器の移送装置が、一列に並んだ複数個の鍔付きカップ状容器を一度に移送するものであり、各係合部材及び位置決め部材にそれぞれ複数個の係合部及び位置決め部が形成され、各係合部材及び位置決め部材に形成された係合部及び位置決め部はそれぞれ櫛歯状に一列に並び、かつ係合部と位置決め部は開閉時に互いに干渉しないように互いの隙間に入り込むようになっていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載された鍔付きカップ状容器の移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−105789(P2008−105789A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289268(P2006−289268)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】