説明

鍛造製品の成形方法及びその装置

【課題】高い精度を有する鍛造製品の成形方法及びその装置を提供することを目的とする。
【解決手段】型彫空間15を有する外型12内で、予備製品W0から一次製品W1を鍛造成形する一次製品成形工程と、一次製品成形工程で使用した外型12及び外型12内に保持された状態で一次製品W1を搬送する第一搬送工程と、搬送された外型12の型彫空間15内に保持された状態の一次製品W1を押圧して二次製品W2を成形する二次製品成形工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造製品の成形方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、予備製品から製品を鍛造成形する場合には、型彫空間にヘリカル成形用内歯を有する第一外型(ギヤダイス)に予備製品(ブランク)を投入し、パンチにより予備製品を押圧して一次製品(ギヤ部材)を鍛造成形する。そして、第一外型から一次製品を取り出し、型彫空間にヘリカルサイジング用内歯を有する第二外型(ヘリカルギヤダイス)に一次製品を投入し、押圧して精度の高い二次製品(ヘリカルギヤ)を鍛造成形する技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−10883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記成形方法においては、一次製品を第一外型から取り出し、第二外型に取り出した一次製品を投入しなければならず、第二外型への一次製品の投入時に、異物が混入すると、第二外型で鍛造成形された二次製品の精度が低下するという問題があった。
【0004】
また、第一外型から第二外型へ一次製品を移動する場合に、チャックにより一次製品を挟持するため、一次製品にチャック跡が付き、第二外型で鍛造成形された二次製品についても、チャック跡が残るという問題があった。
【0005】
更に、一次製品を第一外型内で鍛造成形し、第一外型から一次製品を取り出すと、一次製品の外周が膨張するスプリングバックが発生する。この膨張の発生した一次製品を再度鍛造成形し、第二外型から二次製品を取り出すと、得られた二次製品は、膨張した一次製品を再度圧縮加工した影響や加工硬化によって、一次製品とは異なり、予測不能のスプリングバックが発生し、必要な精度の二次製品が得られないという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記事情により鑑みなされたもので、高い精度を有する鍛造製品の成形方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鍛造製品の成形方法は、型彫空間を有する外型内で、予備製品を押圧して一次製品を成形する一次製品成形工程と、一次製品成形工程で使用した外型及び外型内に保持された状態で一次製品を搬送する第一搬送工程と、搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の一次製品を押圧して二次製品を成形する二次製品成形工程と、を有することを第1の特徴とする。
【0008】
本発明の鍛造製品の成形方法は、二次製品成形工程で使用した外型及び外型内に保持された状態で二次製品を搬送する第二搬送工程と、搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の二次製品を軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品を成形する三次製品成形工程と、を有することを第2の特徴とする。
【0009】
本発明の鍛造製品の成形装置は、型彫空間を有する外型内で、予備製品から一次製品を鍛造成形する一次ステーションと、型彫空間内の一次製品を保持した状態で外型を搬送する搬送装置と、搬送装置により搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の一次製品から二次製品を鍛造成形する二次ステーションと、を有することを第1の特徴とする。
【0010】
本発明の鍛造製品の成形装置は、二次ステーションで使用した外型及び外型内に保持した状態で二次製品を搬送する搬送装置と、搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の二次製品を外型の型彫空間内で軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品を成形する三次ステーションと、を有することを第2の特徴とする。
【0011】
本発明の鍛造製品の成形装置は、一次ステーション及び二次ステーションは、搬送装置を中心に周状に配置されていることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴の鍛造製品の成形方法によれば、型彫空間を有する外型内で、予備製品を押圧して一次製品を成形する一次製品成形工程と、一次製品成形工程で使用した外型及び外型内に保持された状態で一次製品を搬送する第一搬送工程と、搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の一次製品を押圧して二次製品を成形する二次製品成形工程と、を有するので、成形された二次製品は、一次製品を成形する一次製品成形工程において外型から取り外すことがない。よって、異物が混入することを抑制できるので、高い精度の二次製品を鍛造成形することができる。また、外型内に保持された状態で一次製品を二次製品成形工程へ搬送するため、チャック跡が一次製品に付くことがなく、二次製品にチャック跡が残ることがないので、品質の高い二次製品を提供することができる。更に、一次製品成形工程と二次製品成形工程との間で一次製品を外型から取り出すことがないので、最終的に鍛造製品を外型から取り出した際に発生するスプリングバック量の予測が容易となり、高い精度の鍛造製品を得ることができる。
【0013】
更に、本発明の第2の特徴の鍛造製品の成形方法によれば、二次製品成形工程で使用した外型及び外型内に保持された状態で二次製品を搬送する第二搬送工程と、搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の二次製品を軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品を成形する三次製品成形工程と、を有するので、二次製品の成形時と同様の効果に加え、二次製品の軸線方向の移動によるサイジングによって、三次製品の径方向寸法が均一化され、高い精度の三次製品を得ることができる。
【0014】
本発明の第1の特徴の鍛造製品の成形装置によれば、型彫空間を有する外型内で、予備製品から一次製品を鍛造成形する一次ステーションと、型彫空間内の一次製品を保持した状態で外型を搬送する搬送装置と、搬送装置により搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の一次製品から二次製品を鍛造成形する二次ステーションと、を有するので、二次製品の成形方法を実現することができる。
【0015】
本発明の第2の特徴の鍛造製品の成形装置によれば、二次ステーションで使用した外型及び外型内に保持した状態で二次製品を搬送する搬送装置と、搬送された外型の型彫空間内に保持された状態の二次製品を外型の型彫空間内で軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品を成形する三次ステーションと、を有するので、三次製品の成形方法を実現することができる。
【0016】
本発明の第3の特徴の鍛造製品の成形装置によれば、一次ステーション及び二次ステーションは、搬送装置を中心に周状に配置されているので、鍛造製品の成形装置を小型に設計することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施例を図1乃至図8に基づいて説明する。図1の(ア)は予備製品の断面正面図であり、(イ)は一次製品の断面正面図であり、(ウ)は二次製品の断面正面図であり、(エ)は三次製品の断面正面図であり、(オ)は、四次製品の断面正面図である。また、図2乃至図8は本発明の鍛造製品の成形装置であり、図2は、各ステーションで鍛造製品を成形している状態の鍛造製品の成形装置の断面平面図である。図3は、外型及び各ステーションの鍛造製品を搬送装置により搬送している状態の鍛造製品の成形装置の断面平面図である。図4は、鍛造製品の成形装置の予備製品投入ステーションを表す部分断面正面図である。図5は、鍛造製品の成形装置の一次ステーションを表し、左半部は、予備製品を押圧する前の状態、右半部は、予備製品を押圧し、一次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。図6は、鍛造製品の成形装置の二次ステーションを表し、左半部は、一次製品に貫通孔を成形する前の状態、右半部は、一次製品の軸心を打抜き、二次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。図7は、三次ステーションを表し、左半部は、二次製品の軸線方向一端部を外型に圧入する前の状態、右半部は、二次製品の軸線方向一端部を外型に圧入し、三次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。図8は、四次ステーションを表し、左半部は、三次製品の軸線方向他端部を外型に圧入する前の状態、右半部は、三次製品の軸線方向他端部を外型に圧入し、四次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。
【0018】
図1に基づいて円柱状の予備製品W0から四次製品W4の成形工程について説明する。
【0019】
図1の(ア)に示す如く、予備製品W0は、円柱形状である。この予備製品W0の軸線方向両端を押圧すると、図1の(イ)に示す如く、外周面に歯形1を有する一次製品W1が成形される。この一次製品W1の歯形1は、一次製品W1の軸線方向一端部8aに、歯形1から径方向に突出する一端径方向凸部5aを有し、一次製品W1の軸線方向他端部8bに、歯形1から径方向に突出する他端径方向凸部5bを有する。この一次製品W1の軸心を打抜くと、図1の(ウ)に示す如く、軸心に軸線方向に伸びる貫通孔7を有する二次製品W2が成形される。次に、二次製品W2の軸線方向一端部8aを後述する外型12の歯型16内に圧入し、図1の(エ)に示す如く、軸線方向一端面から歯すじ方向に突出する一端歯すじ方向凸部6aを有する三次製品W3を成形する。続いて、三次製品W3の軸線方向他端部8bを後述する外型12の歯型16内に圧入し、図1の(オ)に示す如く、軸線方向他端面から歯すじ方向に突出する他端歯すじ方向凸部6bを有する四次製品W4を成形する。
【0020】
次に、図2及び図3に基づいて、予備製品W0から一次製品W1、二次製品W2、三次製品W3、及び四次製品W4を成形する成形装置10について説明する。
【0021】
図2に示す如く、成形装置10は、予備製品W0を外型12に投入する予備製品投入ステーション11、予備製品W0から一次製品W1を鍛造成形する一次ステーション21、一次製品W1から二次製品W2を鍛造成形する二次ステーション31、二次製品W2から三次製品W3を成形する三次ステーション41、及び三次製品W3から四次製品W4を成形する四次ステーション51を有する。各ステーション11,21,31,41,51の中央には、回転自在なターンテーブル9が配置されている。このターンテーブル9には、予備製品投入ステーション11から順次、一次ステーション21、二次ステーション31、三次ステーション41、四次ステーション51へ外型12及び予備製品W0、一次製品W1、二次製品W2、三次製品W3を搬送する搬送装置19が5本取り付けられている。そして、この5本の搬送装置19は、図3に示す如く、伸縮自在に構成されている。
【0022】
次に、成形装置10の各ステーションについて詳述する。図4に示す如く、予備製品投入ステーション11では、搬送装置19に挟持された外型12の型彫空間15内に予備製品W0を投入する。搬送装置19の下部には、外型12の型彫空間15内に投入された予備製品W0を保持する伸縮自在なストッパー13を有する。ここで、搬送装置19で搬送される外型12は、型彫空間15の内周面に歯型16が成形され、歯型16の軸線方向両端部には、C面18が成形されている。また、外型12の外周面には、搬送装置19が嵌合する突起17が周状に成形されている。
【0023】
図5に示す一次ステーション21は、搬送装置19の位置決めをする第一位置決め凹部28を有する第一位置決め型29と、外型12及び外型12内の予備製品W0を軸線方向に把持する第一一端保持型22及び第一他端保持型23と、予備製品W0の一端面を押圧する一端パンチ24と、予備製品W0の他端面を押圧する他端パンチ25と、を有する。第一一端保持型22は、軸心に一端パンチ24を挿入する一端パンチ挿入孔26を有し、第一他端保持型23は、軸心に他端パンチ25を挿入する他端パンチ挿入孔27を有する。
【0024】
図6に示す二次ステーション31は、搬送装置19の位置決めをする第二位置決め凹部38を有する第二位置決め型39と、外型12及び外型12内の一次製品W1を軸線方向に把持する第二一端保持型32及び第二他端保持型33と、一次製品W1の軸心を打ち抜くピアスパンチ34と、を有する。第二一端保持型32は、軸心にピアスパンチ34を挿入する一端ピアスパンチ挿入孔36を有し、第二他端保持型33は、軸心にピアスパンチ34を挿入する他端ピアスパンチ挿入孔37を有する。
【0025】
図7に示す三次ステーション41は、搬送装置19の位置決めをする第三位置決め凹部48を有する第三位置決め型49と、外型12を軸線方向に把持する第三一端保持型42及び第三他端保持型43と、二次製品W2の軸線方向一端部8aを外型12の歯型16に圧入する第三ノックアウト44と、を有する。第三一端保持型42は、軸心に第三ノックアウト44を挿入する第三ノックアウト挿入孔46を有する。
【0026】
図8に示す四次ステーション51は、搬送装置19の位置決めをする第四位置決め凹部58を有する第四位置決め型59と、外型12を軸線方向に把持する第四一端保持型52及び第四他端保持型53と、一次製品W3の軸線方向他端部8bを外型12の歯型16に圧入後、歯型16から四次製品W4を取り出す第四ノックアウト54と、を有する。第四他端保持型53は、軸心に第四ノックアウト54を挿入する第四ノックアウト挿入孔56を有する。
【0027】
次に、円柱状の予備製品W0から鍛造製品W4を成形する方法を順次説明する。
【0028】
まず、図2及び図4に示す如く、搬送装置19に把持された外型12を予備製品投入ステーション11に配置し、線材を必要な長さに切断した円柱状の予備製品W0を、外型12の型彫空間15の中に投入する。外型12の下側には、搬送装置19のストッパー13が突出しており、予備製品W0が外型12の型彫空間15内に保持される。
【0029】
そして、図3に示す如く、型彫空間15内に予備製品W0が保持された状態の外型12を、搬送装置19により成形装置10の中央側に移動させ、ターンテーブル9を右回りに72度回転させ、一次ステーション21の前に配置する。
【0030】
次に、図2及び図5の左半部に示す如く、搬送装置19を一次ステーション21の第一位置決め型29の第一位置決め凹部28に挿入し、搬送装置19に挟持された外型12と予備製品W0は、一次ステーション21の第一一端保持型22上に配置される。そして、この外型12上に第一他端保持型23が移動して、閉塞型締めする。続いて、図3の右半部に示す如く、一端パンチ24及び他端パンチ25が同時に予備製品W0方向に移動して予備製品W0を押圧し、外周面に歯形1を有する一次製品W1を成形する。
【0031】
ここで、歯型16の軸線方向の両端面はC面18を有しているため、若干の肉がC面18に流入し、一次製品W1の歯形1の軸線方向一端部8a及び軸線方向他端部8bに、径方向に突出する一端径方向凸部5a及び他端径方向凸部5bが成形される。
【0032】
また、一次製品W1には、軸線方向一端面に、歯形1の軸線方向端面より軸線方向に突出した一端突出部3aが成形され、軸線方向他端面に、歯形1の軸線方向他端面より軸線方向に突出した他端突出部3bが成形される。この一端突出部3aの軸心に略円錐形状の一端円錐凹部2aが成形され、他端突出部3bの軸心に略円錐形状の他端円錐凹部2bが成形される。
【0033】
次に、図3に示す如く、型彫空間15内に一次製品W1が保持された状態の外型12を、搬送装置19により成形装置10の中央側に移動させ、ターンテーブル9を右回りに72度回転させ、二次ステーション31の前に配置する。
【0034】
そして、図2及び図6の左半部に示す如く、搬送装置19を二次ステーション31の第二位置決め型39の第二位置決め凹部38に挿入し、搬送装置19に挟持された外型12と一次製品W1は、二次ステーション31の第二一端保持型32上に配置される。そして、この外型12上に第二他端保持型33が移動して、閉塞型締めする。続いて、図4の右半部に示す如く、ピアスパンチ34が下方向に移動して、一次製品W1の軸心を打抜き、軸心に貫通孔7を有する二次製品W2を成形する。
【0035】
次に、図3に示す如く、型彫空間15内に二次製品W2が保持された状態の外型12を、搬送装置19により成形装置10の中央側に移動させ、ターンテーブル9を右回りに72度回転させ、三次ステーション41の前に配置する。
【0036】
そして、図2及び図7の左半部に示す如く、搬送装置19を三次ステーション41の第三位置決め型49の第三位置決め凹部48に挿入し、搬送装置19に挟持された外型12と一次製品W1は、三次ステーション41の第三一端保持型42上に配置される。次に、この外型12上に第三他端保持型43が移動して、外型12を固定する。続いて、図5の右半部に示す如く、第三ノックアウト44が上方向に移動して、二次製品W2の一端径方向凸部5aを含む軸線方向一端部8aを歯型16内に圧入し、歯形1の軸線方向一端面から歯すじ方向に突出する一端歯すじ方向凸部6aを有する三次製品W3を成形する。
【0037】
次に、図3に示す如く、型彫空間15内に三次製品W3が保持された状態の外型12を、搬送装置19により成形装置10の中央側に移動させ、ターンテーブル9を右回りに72度回転させ、四次ステーション51の前に配置する。
【0038】
そして、図2及び図8の左半部に示す如く、搬送装置19を四次ステーション51の第四位置決め型59の第四位置決め凹部58に挿入し、搬送装置19に挟持された外型12と三次製品W3は、四次ステーション51の第四一端保持型52上に配置される。次に、この外型12上に第四他端保持型53が移動して、外型12を固定する。続いて、図8の右半部に示す如く、第四ノックアウト54が下方向に移動して、三次製品W3の他端径方向凸部5bを含む軸線方向他端部8bを歯型16内に圧入し、歯形1の軸線方向他端面から歯すじ方向に突出する他端歯すじ方向凸部6bを有する四次製品W4を成形する。そして、更に第四ノックアウト54が下方向に移動して四次製品W4を外型12から取り出し、四次製品W4の成形が終了する。
【0039】
このように成形された四次製品W4は、製品に組み付けられ、相手鍛造製品と噛み合うことになる。このとき、四次製品W4に成形された一端歯すじ方向凸部6a及び他端歯すじ方向凸部6bは相手鍛造製品との噛合を妨げることがない。
【0040】
以上のように、本発明の鍛造製品の成形方法によれば、型彫空間15を有する外型12内で、予備製品W0を押圧して一次製品W1を成形する一次製品成形工程と、一次製品成形工程で使用した外型12及び外型12内に保持された状態で一次製品W1を搬送する第一搬送工程と、搬送された外型12の型彫空間15内に保持された状態の一次製品W1を押圧して二次製品W2を成形する二次製品成形工程と、を有するので、成形された二次製品W2は、一次製品W1を成形する一次製品成形工程において外型12から取り外すことがない。よって、異物が混入することを抑制できるので、高い精度の二次製品W2を鍛造成形することができる。また、外型12内に保持された状態で一次製品W1を二次製品成形工程へ搬送するため、チャック跡が一次製品W1に付くことがなく、二次製品W2にチャック跡が残ることがないので、品質の高い二次製品W2を提供することができる。更に、一次製品成形工程と二次製品成形工程との間で一次製品W1を外型12から取り出すことがないので、最終的に鍛造製品を外型12から取り出した際に発生するスプリングバック量の予測が容易となり、高い精度の鍛造製品を得ることができる。
【0041】
また、二次製品成形工程で使用した外型12及び外型12内に保持された状態で二次製品W2を搬送する第二搬送工程と、搬送された外型12の型彫空間15内に保持された状態の二次製品W2を軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品W3を成形する三次製品成形工程と、を有するので、二次製品W2の成形時と同様の効果に加え、二次製品W2の軸線方向の移動によるサイジングによって、三次製品W3の径方向寸法が均一化され、高い精度の三次製品W3を得ることができる。
【0042】
更に、本発明の鍛造製品の成形装置10によれば、型彫空間15を有する外型12内で、予備製品W0から一次製品W1を鍛造成形する一次ステーション21と、型彫空間15内の一次製品W1を保持した状態で外型12を搬送する搬送装置19と、搬送装置19により搬送された外型12の型彫空間15内に保持された状態の一次製品W1から二次製品W2を鍛造成形する二次ステーション31と、を有するので、二次製品W2の成形方法を実現することができる。
【0043】
その上、二次ステーション31で使用した外型12及び外型12内に保持した状態で二次製品W2を搬送する搬送装置19と、搬送された外型12の型彫空間15内に保持された状態の二次製品W2を外型12の型彫空間15内で軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品W4を成形する三次ステーション41と、を有するので、三次製品W3の成形方法を実現することができる。
【0044】
また、一次ステーション21及び二次ステーション31は、搬送装置19を中心に周状に配置されているので、鍛造製品の成形装置を小型に設計することができる。
【0045】
尚、本実施例では、一次製品W1の軸線方向一端部8a及び軸線方向他端部8bに一端径方向凸部5a及び他端径方向凸部5bが成形されていたが、一次製品W1の軸線方向一端部8a若しくは軸線方向他端部8bの何れか一方のみに径方向凸部が成形される場合にも適用することができる。
【0046】
また、本実施例では、外周に歯車を有する鍛造製品について説明しているが、外周に歯車を有さない鍛造製品に適用することも可能である。
【0047】
更に、本実施例では、成形装置10の各ステーション11,21,31,41,51は、搬送装置19を中心に周状に配置されていたが、例えば、各ステーション11,21,31,41,51を直線状に配置し、搬送装置19を各ステーション11,21,31,41,51と平行に移動させる等、異なる配置構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1の(ア)は予備製品の断面正面図であり、(イ)は一次製品の断面正面図であり、(ウ)は二次製品の断面正面図であり、(エ)は三次製品の断面正面図であり、(オ)は、四次製品の断面正面図である。
【図2】本発明の成形装置であり、各ステーションで鍛造製品を成形している状態の鍛造製品の成形装置の断面平面図である。
【図3】本発明の成形装置であり、外型及び各ステーションの鍛造製品を搬送装置により搬送している状態の鍛造製品の成形装置の断面平面図である。
【図4】本発明の鍛造製品の成形装置の予備製品投入ステーションを表す部分断面正面図である。
【図5】本発明の鍛造製品の成形装置の一次ステーションを表し、左半部は、予備製品を押圧する前の状態、右半部は、予備製品を押圧し、一次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。
【図6】本発明の鍛造製品の成形装置の二次ステーションを表し、左半部は、一次製品に貫通孔を成形する前の状態、右半部は、一次製品の軸心を打抜き、二次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。
【図7】本発明の鍛造製品の成形装置の三次ステーションを表し、左半部は、二次製品の軸線方向一端部を外型に圧入する前の状態、右半部は、二次製品の軸線方向一端部を外型に圧入し、三次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。
【図8】本発明の鍛造製品の成形装置の四次ステーションを表し、左半部は、三次製品の軸線方向他端部を外型に圧入する前の状態、右半部は、三次製品の軸線方向他端部を外型に圧入し、四次製品を成形する状態を表す部分断面正面図である。
【符号の説明】
【0049】
12 外型
15 型彫空間
19 搬送装置
21 一次ステーション
31 二次ステーション
41 三次ステーション
W0 予備製品
W1 一次製品
W2 二次製品
W3 三次製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型彫空間(15)を有する外型(12)内で、予備製品(W0)を押圧して一次製品(W1)を成形する一次製品成形工程と、
前記一次製品成形工程で使用した外型(12)及び外型(12)内に保持された状態で一次製品(W1)を搬送する第一搬送工程と、
該搬送された外型(12)の型彫空間(15)内に保持された状態の一次製品(W1)を押圧して二次製品(W2)を成形する二次製品成形工程と、を有することを特徴とする鍛造製品の成形方法。
【請求項2】
前記二次製品成形工程で使用した外型(12)及び該外型(12)内に保持された状態で二次製品(W2)を搬送する第二搬送工程と、
該搬送された外型(12)の型彫空間(15)内に保持された状態の二次製品(W2)を軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品(W3)を成形する三次製品成形工程と、を有することを特徴とする請求項1記載の鍛造製品の成形方法。
【請求項3】
型彫空間15を有する外型(12)内で、予備製品(W0)から一次製品(W1)を鍛造成形する一次ステーション(21)と、
前記型彫空間(15)内の一次製品(W1)を保持した状態で外型(12)を搬送する搬送装置(19)と、
該搬送装置(19)により搬送された外型(12)の型彫空間(15)内に保持された状態の一次製品(W1)から二次製品(W2)を鍛造成形する二次ステーション(31)と、を有することを特徴とする鍛造製品の成形装置。
【請求項4】
前記二次ステーション(31)で使用した外型(12)及び外型(12)内に保持した状態で二次製品(W2)を搬送する搬送装置(19)と、
該搬送された外型(12)の型彫空間(15)内に保持された状態の二次製品(W2)を外型(12)の型彫空間(15)内で軸線方向に移動してサイジングを行い、三次製品(W4)を成形する三次ステーション(41)と、を有することを特徴とする請求項3に記載の鍛造製品の成形装置。
【請求項5】
前記一次ステーション(21)及び前記二次ステーション(31)は、前記搬送装置(19)を中心に周状に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の鍛造製品の成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate