説明

鍵認証システム

【課題】 本発明は、信頼性の高い鍵認証システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
挿入口101内部に設けられ、挿入口101に鍵200が挿入された場合、挿入された鍵200に設けられた第1通信部201と光学的なデータ通信を行う第1データ通信部210と、挿入口101内部に設けられ、挿入口101に鍵200が挿入された場合、挿入された鍵200に設けられた第2通信部220と光学的なデータ通信を行う第2データ通信部220と、挿入口210に鍵200が挿入された場合、第2データ通信部120に第2通信部220に対して通信要求信号を出力させ、通信要求信号に応答して第1通信部210が第1データ通信部110に対して出力する認証情報が所定のデータであるか否かを判断し、認証情報が所定のデータであると判断した場合に、開錠を行う制御部150と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵認証システムに係り、特に光通信を用いた鍵認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鍵システムに対する不正開錠とその防止は、古くから存在する問題である。機械式鍵(シリンダー錠)は、ピッキング、バンピング等の方法により不正開錠されることがあり、鍵としての強度に一定の限界がある。
【0003】
近年、機械式鍵の強度の限界を補完するように電気式鍵が多用されている。電気式鍵としては、例えば、ICカードが備える認証情報を、カードリーダ等で読み取り、認証を行うシステムや、赤外線を用いて認証情報の読み取り、認証を行うシステム(例えば、キーレスエントリー)等がある。これらの電気式鍵では、機械式鍵に比べ、認証のための場合の数を多く設定することが可能である点、データをダイナミックに変更することが可能である点等で優れている。一方で、電気式鍵では、無線や赤外線を用いて認証情報を認証する場合に、傍受・盗聴のリスクが存在し、機械式鍵とは異なるリスクが存在する。
【0004】
これらの問題に対し、鍵挿入口内部で、鍵と施開錠装置が光通信を行うことにより認証を行う施開錠装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この施開錠装置では、鍵挿入口内部で鍵と施開錠装置が光通信を行うため、光通信されるデータが外部に漏洩しにくく、傍受・盗聴のリスクを低減できる。
【0005】
この施開錠装置では、鍵のみが認証情報を有し、施開錠装置が光により鍵が有する認証情報を取得するという構成である。このため、施開錠装置が不正であるか否か鍵が判断する構成を有さず、不正な施開錠装置が鍵に対して光通信を行うことにより、鍵から認証情報を取得できる可能性があり、十分に信頼性が確保されていない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−293297号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、信頼性の高い鍵認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の鍵認証システムは、外部から鍵を挿入可能な挿入口と、前記挿入口内部に設けられ、前記挿入口に鍵が挿入された場合、挿入された前記鍵に設けられた第1通信部と光学的なデータ通信を行う第1データ通信部と、前記挿入口内部に設けられ、前記挿入口に鍵が挿入された場合、挿入された前記鍵に設けられた第2通信部と光学的なデータ通信を行う第2データ通信部と、前記挿入口に鍵が挿入された場合、第2データ通信部に第2通信部に対して通信要求信号を出力させ、前記通信要求信号に応答して前記第1通信部が前記第1データ通信部に対して出力する認証情報が所定のデータであるか否かを判断し、前記認証情報が所定のデータであると判断した場合に、開錠を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信頼性の高い鍵認証システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵の外観図である。
【図2】本発明の、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵の概念図である。
【図3】本発明の、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵のブロック図である。
【図4】本発明の、実施例に係る認証情報システムと鍵との認証動作のフローチャートである
【図5】本発明の、実施例に係る認証情報システムと鍵認証システムに用いられる鍵との間のデータ通信のタイミングチャートである。
【図6】本発明の、実施例に係る鍵認証システムの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0012】
図1を参照して、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵の外観について説明する。図1は、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵の外観図である。
【0013】
本実施例の鍵認証システム100は、例えば、一般家庭用のドアの鍵認証システムとして用いられる他、車載用のイモビライザーとしても用いることを想定している。
【0014】
鍵認証システム100は、外部から鍵200を挿入可能な挿入口(鍵穴)101を備える。挿入口101内部の側壁は、図1に示すように、凹凸部102を有してもよい。凹凸部102を有することにより、凹凸部102に対応する凹凸を有する鍵のみが、挿入口101に挿入可能となる。
【0015】
認証システム100に用いられる鍵200は、後述するように、鍵認証システム100と認証情報の通信を行う第1通信部210と、鍵認証システム100と通信要求信号・終了指示信号の通信を行う第2通信部220とを備える。また、鍵200は、鍵認証システム100から給電を受けるための受光部240を備えていてもよい。第1通信部210、第2通信部220、受光部240の構成の詳細については、後述する。前述のように、鍵認証システム100の挿入口101が側壁に凹凸部102を有する場合、鍵200は、凹凸部102に対応する凹凸部202を有する。また、鍵200の形状は、一般的な鍵(シリンダー鍵)の形状を範とする。
【0016】
次に、図2を参照して、実施例に係る認証システムの挿入口に鍵が挿入された状態における、鍵認証システムと鍵の機能構成について説明する。図2は、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵の概念図である。
【0017】
鍵認証システム100は、挿入口101内部に第1データ通信部110と、第2データ通信部120とを備える。鍵認証システム100の挿入口101内部に鍵200が挿入された状態では、挿入口内部において、第1データ通信部110と第1通信部210、第2データ通信部120と第2通信部220が、それぞれ通信可能となるように互いに向かい合う構成となっている。
【0018】
第1データ通信部110は、挿入口101に鍵200が挿入された場合、挿入された鍵200に設けられた第1通信部210と光通信を行う。これにより、第1データ通信部110は、第1通信部210から鍵200が保持する認証情報を取得する。第1通信部210は、例えば、LCDシャッター211により構成される。図2に示すように、第1通信部210がLCDシャッターにより構成される場合、第1データ通信部110は、発光素子111(例えば、LED(Light Emission Diode)等)と受光素子112(例えば、フォトダイオード、CMOS等)が対となって構成され、発光素子111から出力され、LCDシャッターを透過した参照光を受光素子112で受信することで、参照光の変化を信号(認証情報)として取得する。鍵200の第1通信部110をLCDシャッターとすることで、第1通信部110をLED等で構成するのに比べ消費電力を低減することが可能となる。
【0019】
第1データ通信部110を挿入口101内部に設け、挿入口101内部において、第1通信部210と光通信するため、通信する情報が漏洩することを防止することが可能となる。また、第1データ通信部110と第1通信部210の間の通信には、暗号化した信号を用いることが好ましい。また、第1データ通信部110と第1通信部210の間の光通信には、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)等の変調方式を用いてもよい。また、第1データ通信部110と第1通信部210の間の光通信に用いられる光は、可視光に限られず、赤外光であってもよい。
【0020】
第2データ通信部120は、挿入口101に鍵200が挿入された場合、挿入された鍵200に設けられた第2通信部220に対して通信要求信号を出力する。これにより、第2データ通信部120は、後述するように、第1通信部220と第2データ通信部120を通信可能とさせる。第2データ通信部120は、例えば、LED121で構成され、第2通信部220は例えば、フォトダイオード、CMOS等で構成される。
【0021】
第2データ通信部120を挿入口101内部に設け、挿入口101内部において、第2通信部220と光通信するため、通信する情報が漏洩することを防止することが可能となる。また、第2データ通信部120と第2通信部220の間の通信には、暗号化した信号を用いることが好ましい。また、第2データ通信部120と第2通信部220の間の光通信には、例えば、ASK等の変調方式を用いる。また、第2データ通信部120と第2通信部220の間の光通信に用いられる光は、可視光に限られず、赤外光であってもよい。
【0022】
鍵認証システム100は、挿入口101内部に検知部130をさらに備えていてもよい。検知部130は、挿入口101に鍵200が挿入された場合、鍵200が挿入されたことを検知し、鍵認証システム100を起動する信号(オン信号)を出力する。検知部130は、挿入口101から鍵が抜き取られた場合、鍵200が抜き取られたことを検知し、鍵認証システム100を終了する信号(オフ信号)を出力する。検知部130は、例えば、図2に示すように、挿入口101の奥端部に設けられる。これにより、鍵200が挿入口内部に挿入され、検出部130に接触することで、鍵が挿入口内部に挿入されたことを検知する構成(例えば、感圧センサ)とすることができる。検知部130を備えることにより、鍵200が鍵認証システム100の挿入口101内部に挿入された場合に、鍵認証システム100を起動し、鍵200が鍵認証システム100の挿入口101内部から抜き取られた場合に、鍵認証システムを終了することが可能となる。これにより、挿入口101に鍵200が挿入されていない状態において鍵認証システム100を終了状態とすることができ、消費電力を低減することが可能となる。なお、検知部130は、挿入口101の奥端部に設けられる場合に限定されず、挿入口101入口端部、側壁部等に設けられてもよい。
【0023】
さらに、鍵認証システム100は、挿入口101内部に、給電部140をさらに備えていてもよい。給電部140と受光部240は、給電可能となるように互いに向かい合う構成となっている。給電部140は、例えば、LED141により構成され、受光部240は、光発電素子(例えば、太陽電池)241により構成される。給電部140は、挿入口101に鍵200が挿入された場合、挿入された鍵200に設けられた受光部240に対して光を照射することにより、鍵200に給電する。また、図2に示すように、給電部140が、第1データ通信部110及び第2データ通信部120より、挿入口101内部の挿入口101側に設けられることが望ましい。前述したように、第1データ通信部110及び第2データ通信部120は、鍵200と認証情報等のデータ通信を行うため、認証情報等が挿入口101外部に漏洩すると問題となる。このため、認証情報等のデータ通信に用いられる光より高強度の光を出力する給電部140を、第1データ通信部110及び第2データ通信部120より、挿入口101内部の挿入口101側に設けることにより、認証情報等が挿入口101外部に漏洩することを防止することが可能となる。なお、鍵認証システム100が給電部140を備えず、鍵200が受光部240を備えない構成である場合には、鍵200が電池等のバッテリーを備え、鍵200の第1通信部210等への電力の供給をする。
【0024】
制御回路150は、第1データ通信部110、第2データ通信部120、給電部140を制御する。制御回路150の動作についての詳細は後述する。また、制御回路150には、検知部130が出力するオン信号及びオフ信号が入力する。制御回路150は、後述するように、検知部130から入力するオン信号及びオフ信号に基づいて、第1データ通信部110、第2データ通信部120、給電部140の起動・終了を切り替える制御を行う。
【0025】
鍵200の制御回路250は、第1通信部210、第2通信部220、受光部240の制御を行う。制御回路250の動作についての詳細は後述する。
【0026】
次に、図3を参照して、本実施例に係る認証システムの挿入口に鍵が挿入された状態における、鍵認証システムと鍵の機能構成について、より詳細に説明する。図3は、実施例に係る鍵認証システム及び鍵認証システムに用いられる鍵のブロック図である。図2で示した構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0027】
鍵認証システム100は、前述のように、第1データ通信部110と、第2データ通信部120と、検知部130と、給電部140と、制御部150とを有して構成される。さらに、鍵認証システム100は、制御部150からアクセス可能なメモリ160を備える。鍵認証システム100の各構成要素(第1データ通信部110、第2データ通信部120等)は、電源回路(図示せず)から電源の供給を受ける。
【0028】
鍵認証システム100に用いられる鍵200は、前述のように、第1通信部210と、第2通信部220と、受光部240と、制御部250とを備える。さらに、鍵200は、制御部250からアクセス可能なメモリ260と、受光部240により発電された電力を、所定の電圧値・電流値に変換し、鍵200の各構成要素(第1通信部210、制御部250等)に供給する電源回路270を備える。
【0029】
第1データ通信部110と第1通信部210のデータ通信では、制御部250がメモリ260から読み出した認証情報を第1通信部210から出力し、第1データ通信部110が第1通信部210の出力する認証情報を受信する。第1データ通信部110は、受信した認証情報を制御部150に対して出力する。制御部150は、第1データ通信部からの認証情報が所定のデータである場合には、鍵認証システムの開錠を行う。制御部150は、第1データ通信部110からの認証情報が所定のデータであるか否かの判断を、メモリ160に保持されたデータに基づいて行う。なお、前述のように、第1通信部がLCDシャッターにより構成される場合には、発光素子111(第1データ通信部110)が参照光を出力し、LCDシャッター(第2データ通信部210)を透過した参照光を受光素子112(第1データ通信部110)が受信し、受信した参照光の変化を信号(認証情報)とする。
【0030】
第2データ通信部120と第2通信部220のデータ通信では、制御部150がメモリ160から読み出した通信要求信号又は終了指示信号を第2データ通信部120から出力し、第2通信部220が第2データ通信部120の出力する通信要求信号・終了指示信号を受信する。第2通信部220は、受信した通信要求信号・終了指示信号を制御部250に対して出力する。制御部250は、第2通信部220からの通信要求信号が所定のデータである場合には、第1通信部210を第1データ通信部110と通信可能とする。制御部250は、第2通信部220からの認証情報が所定のデータであるか否かの判断を、メモリ260に保持されたデータに基づいて行う。
【0031】
次に、図4、図5を参照して、実施例に係る鍵認証システムの動作について説明する。図4は、実施例に係る認証情報システムと鍵認証システムに用いられる鍵との認証動作のフローチャートである。図5は、実施例に係る認証情報システムと鍵認証システムに用いられる鍵との間のデータ通信のタイミングチャートである。
【0032】
まず、鍵認証システム100の挿入口101に、鍵200が挿入されると、鍵200が挿入されたことを検知部130が検知し、制御部150に対してオン信号を出力する。制御部150は、検知部130からオン信号が入力すると、鍵認証システムを起動する。図5に示すように、鍵200が挿入されたことを検知部130が検知するまでは、鍵認証システムはオフ状態であり、鍵200が挿入され検知部130がオン信号を出力することで、鍵認証システムはオン状態となる(ステップ1)。
【0033】
次に、制御部150の制御を受けて、給電部140が受光部240に対して光を照射する。これにより、受光部240が電力を発電し、鍵200がオン状態となる(ステップ2)。図5に示すように、給電部140は、鍵認証システムがオン状態となるとともに鍵200に対して給電を開始し、これにより、受光部240が電力の発電を開始する。
【0034】
次に、制御部150がメモリ160に保持されたデータに基づいて作成した通信要求信号を、第2データ通信部120が第2通信部220に対して出力する(ステップ3)。
【0035】
次に、第2通信部220は、第2データ通信部120から受信した通信要求信号を制御部250に対して出力する。制御部250は、第2通信部220からの通信要求信号が所定のデータであるか否か判断する(ステップ4)。所定のデータであるかの判断は、メモリ260に保持されたデータに基づいて行う。
【0036】
次に、制御部250が、第2通信部220からの要求信号が所定のデータであると判断した場合には、鍵200が保持する認証情報を作成し、第2通信部220に対して出力する(ステップ5−1)。制御部250が、第2通信部220からの要求信号が所定のデータでないと判断した場合には、鍵200が保持する認証情報と異なる情報(偽認証情報)を作成し、第1通信部120に対して出力する(ステップ5−2)。
【0037】
次に、第1通信部120が、制御部250より受信した認証情報又は偽認証情報を第2データ通信部120に対して出力する(ステップ6)。
【0038】
次に、第1データ通信部110が、第1通信部120から入力した認証情報又は偽認証情報を制御部150に対して出力する。制御部150は、第2データ通信部120から入力する信号が所定のデータであるか否か判断する(ステップ7)。所定のデータであるかの判断は、メモリ160に保持されたデータに基づいて行う。ここで、所定のデータとは、認証情報であり、所定のデータでないデータとは、偽認証情報である。
【0039】
次に、制御部150が、第1データ通信部110から入力する信号が所定のデータ(認証情報)であると判断した場合には、制御部150は解除信号を出力し、鍵認証システムを開錠する。制御部150が、第1データ通信部110からの認証情報が所定のデータでない(偽認証情報)と判断した場合には、制御部150は鍵認証システムの施錠状態を維持する(ステップ8)。
【0040】
次に、制御部150がメモリ160に保持されたデータに基づいて作成した終了信号を第2データ通信部120が第2通信部220に対して出力する(ステップ9)。これにより、鍵200が終了状態へと移行する。
【0041】
次に、制御部150の制御を受けて、給電部140が受光部240に対して光を照射することを停止する。これにより、鍵200に対する給電が停止され、鍵200がオフ状態となる(ステップ10)。
【0042】
次に、鍵認証システム100の挿入口101から鍵200が抜き取られることにより、鍵200が抜き取られたことを検知部130が検知し、制御部150に対してオフ信号を出力する。制御部150は、検知部130からオフ信号が入力すると、鍵認証システム100を終了しオフ状態とする(ステップ11)。
【0043】
以上の動作に、鍵200により鍵認証システム100の開錠を行うことができる。
【0044】
以上のように、鍵認証システム100と鍵200とが、第1データ通信部110と第1通信部210間で認証情報を光通信する。これにより、認証情報を多ビット化することにより、認証情報の場合の数を多く設定することが可能となり、かつ認証情報の変更が容易であるために、認証情報をダイナミックに変更することが可能となり、鍵認証システムの信頼性の向上が図れる。
【0045】
さらに、第2データ通信部120が第2通信部220に対して通信要求信号を光通信により出力し、鍵200の制御部250が第2データ通信部120からの通信要求信号が所定のデータであることを判断(図4 ステップ4)した後に、鍵200が第1通信部120から鍵認証システムの第1データ通信部120に認証情報を出力する。これにより、所定の通信要求信号を備えない鍵認証システム等で、鍵200の第1通信部110から鍵200が備える認証情報を不正に取得することが防止することが可能となり、鍵認証システムの信頼性の向上が図れる。
【0046】
さらに、鍵認証システム100と鍵200で連動して、通信要求信号を周期的・定期的(例えば、曜日こと)に変更させることも可能である。通信要求信号を周期的・定期的に変更させることにより、通信要求信号をダイナミックに変更させることが可能となり、鍵200の第1通信部110から鍵200が備える認証情報を不正に取得することを難しくすることができる。さらに、鍵200の第2データ通信部120が第2通信部220に対して出力する偽認証情報を周期的・定期的(例えば、曜日こと)に変更させることも可能である。偽認証情報を周期的・定期的に変更させることにより、通信要求信号をダイナミックに変更させることが可能となり、鍵200の第1通信部110から鍵200が備える認証情報を不正に取得しようとする者がある場合に、周期的・定期的に変更される偽認証情報を出力することにより、鍵認証システムの不正開錠を困難にさせることができる。
【0047】
さらに、1つの鍵認証システムに対して複数のユーザーがあり、1つの鍵認証システムを開錠可能な複数の鍵を用意する場合、複数の鍵の各々に対して個別の認証情報を保持させることも可能である。これにより、鍵を紛失した場合に、紛失した鍵が保持する認証情報では、開錠できないようにすることにより、紛失した鍵を取得し、不正に鍵認証システムを開錠しようとする者を排除することができる。また、従来の機械式鍵(シリンダー錠用の鍵)のように、1つの鍵を紛失した場合に、紛失した鍵を取得し、不正に鍵シリンダーを開錠しようとする者を排除するために、シリンダーを交換しなければならないという問題を解消することが可能となる。
【0048】
次に、図6を参照して、実施例に係る制御部の接続について説明する。本システムは、システムを構成する要素を鍵穴に近接して設置することも可能であるが、光を使ったシステムの特性を生かして、より電気的破壊に対して強度を増した構成と成しうることを説明する。図6は、本実施例に係る鍵認証システムの外観図である。上述した構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
図6に示すように、鍵認証システム100の挿入口101の内部に設けられた第1データ通信部110、第2データ通信部120、検知部130、給電部140と、制御部150等とを光学伝送可能な伝送路(例えば、光ファイバ)により接続し、制御部150を挿入口101から電気的に隔離して配置する。なお、図6には、挿入口101から隔離された構成として制御部150のみ示すが、制御部150以外の構成(例えば、制御部源150に電源を供給する電源部等)も挿入口101から隔離して配置される。
【0050】
このように、制御部150等を挿入口101から電気的に隔離して配置することは、鍵認証システム100と鍵200とが光学的にデータ通信を行うが故に可能となる。制御部150等を挿入口101から電気的に隔離して配置することにより、鍵認証システム100の挿入口101に対する電気的・静電気的な破壊に対する強度を強化することができる。これにより、例えば、鍵認証システム100の不正開錠等を目的として挿入口101に対して高電圧などが印加された場合等に、鍵認証システム100の施開錠を制御する制御部150等が、挿入口101から電気的・物理的に隔離して配置されていることにより、電気的な破壊を防止することができる。本実施例では、検知部130は、挿入口101内に配置され、制御部150と電気的に接続されるため、前述の高電圧印加などに対して制御部150が電気的破壊される経路となりうる。これに対して、検知部130の挿入口101内部に面する部分を絶縁処理などすることにより、検知部130からの制御部150の電気的破壊も防ぐことが可能である。
【0051】
なお、本実施例では、鍵認証システム200に第1データ通信部110と、第2データ通信部120を個別に設けたが、第1データ通信部110と、第2データ通信部120を纏めて1つのデータ通信部として構成してもよい。この場合、このデータ通信部は、本実施例の第1データ通信部110と、第2データ通信部120の両方の機能を果たすように、制御部150により制御される。また、このように構成した場合、鍵200が備える第1通信部210と、第2通信部220を纏めて1つの通信部として構成する。この場合、この通信部は、本実施例の第1通信部210と、第2通信部220の両方の機能を果たすように、制御部250により制御される。
【0052】
なお、前述した各実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良されうると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100 鍵認証システム
101 挿入口
102、202 凹凸部
110 第1データ通信部
120 第2データ通信部
130 検知部
140 給電部
150、250 制御部
160、260 メモリ
200 鍵
210 第1通信部
211 LCDシャッター
220 第2通信部
240 受光部
270 電源回路
300 光ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から鍵を挿入可能な挿入口と、
前記挿入口内部に設けられ、前記挿入口に鍵が挿入された場合、挿入された前記鍵に設けられた第1通信部と光学的なデータ通信を行う第1データ通信部と、
前記挿入口内部に設けられ、前記挿入口に鍵が挿入された場合、挿入された前記鍵に設けられた第2通信部と光学的なデータ通信を行う第2データ通信部と、
前記挿入口に鍵が挿入された場合、第2データ通信部に第2通信部に対して通信要求信号を出力させ、
前記通信要求信号に応答して前記第1通信部が前記第1データ通信部に対して出力する認証情報が所定のデータであるか否かを判断し、
前記認証情報が所定のデータであると判断した場合に、開錠を行う制御部と、
を備えることを特徴とする鍵認証システム。
【請求項2】
前記挿入口に鍵が挿入された場合、前記挿入口に鍵が挿入されたことを検知する検知部をさらに備え、
前記挿入口に鍵が挿入されたことを前記検知部が検知した場合に起動し、
前記挿入口から鍵が抜き取られたことを前記検知が検知した場合に終了すること
を特徴とする請求項1記載の鍵認証システム。
【請求項3】
前記挿入口内部設けられ、前記挿入口に鍵が挿入された場合、挿入された前記鍵に設けられた受光部に対して光を照射することにより、前記鍵に給電を行う給電部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の鍵認証システム。
【請求項4】
前記給電部が、前記第1データ通信部及び前記第2データ通信部より、前記挿入口内部の挿入口側に設けられていることを特徴とする請求項3記載の鍵認証システム。
【請求項5】
前記制御部と前記第1データ通信部、及び前記制御部と前記第2データ通信部が光学的に接続されることにより、前記制御部が第1データ通信部及び第2データ通信部と電気的に隔離して配置されていることを特徴とする請求項1乃至4記載の鍵認証システム。
【請求項6】
前記請求項1乃至5において用いられる鍵が、
前記鍵に設けられた前記第2通信部が所定の前記通信要求信号以外のデータを受信した場合、前記鍵に設けられた前記データ通信部から、前記データ受信部が所定のデータを受信した場合と異なるデータで通信することを特徴とする鍵認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−12403(P2011−12403A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155391(P2009−155391)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】