鏡面角度調整装置
【課題】部品点数の削減および組み付けの簡素化を図ることができる鏡面角度調整装置を提供する。
【解決手段】ミラーを支持するピボットプレート10がピボット軸76を中心にしてホルダ9に三次元的に揺動可能に取り付けられ、ホルダ9は車体に設置されるブラケット8に取り付けられ、ブラケット8とホルダ9との間にミラー傾動用駆動部11が収納され、このミラー傾動用駆動部11の作動軸44A,44Bがホルダ9を貫通してピボットプレート10に連結されている。
【解決手段】ミラーを支持するピボットプレート10がピボット軸76を中心にしてホルダ9に三次元的に揺動可能に取り付けられ、ホルダ9は車体に設置されるブラケット8に取り付けられ、ブラケット8とホルダ9との間にミラー傾動用駆動部11が収納され、このミラー傾動用駆動部11の作動軸44A,44Bがホルダ9を貫通してピボットプレート10に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ミラー装置の鏡面の角度を調整する鏡面角度調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のドアに取り付けられた車両用ドアミラー装置は、車室内の運転席近傍のスイッチを操作することにより、ミラーハウジングの開口部に配置されたミラーの鏡面角度を上下方向および左右方向に調整することができるように構成されている。
【0003】
従来は、ミラーハウジングをドアに取り付けるためのブラケットと、最中のような二分割型のケース内に鏡面角度を調整する駆動部を収容してなる鏡面角度調整駆動ユニットとを、それぞれ別のラインで組み立てた後に、前記ブラケットに前記鏡面角度調整駆動ユニットを組み付けていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−322497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、鏡面角度調整駆動ユニットの外枠を構成するケースが二分割型であり、このケースをブラケットに取り付けているので、部品点数が多くなるという課題がある。
また、ブラケットと鏡面角度調整駆動ユニットとを別のラインで組み立てているので生産性が低いという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、部品点数の削減および組み付けの簡素化を図ることができる鏡面角度調整装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る鏡面角度調整装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、ミラーを支持するピボットプレートがピボット部を中心にしてホルダに三次元的に揺動可能に取り付けられ、前記ホルダは車体に設置されるブラケットに取り付けられ、前記ブラケットと前記ホルダとの間にミラー傾動用駆動部が収納され、このミラー傾動用駆動部の作動軸が前記ホルダを貫通して前記ピボットプレートに連結されていることを特徴とする鏡面角度調整装置である。
このように構成することにより、ホルダとブラケットの間にミラー傾動用駆動部を収容し、ホルダをブラケットに直接取り付けているので、部品点数を低減することができる。また、同一の組み付けライン上で、ホルダとブラケットの組み付けが可能となる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記ミラー傾動用駆動部は前記作動軸を2本備え、前記ホルダは前記ブラケットに対する取付部を複数備え、前記ブラケットの水平基準線に対して略45度の仰角をなし且つ前記ピボット部による揺動支点を通る仮想基準線に対して、前記ミラー傾動用駆動部の2本の前記作動軸が互いに線対称の位置に配置されるとともに、前記複数の取付部が前記仮想基準線に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする。
このように構成することにより、例えば、車両用ドアミラー装置のように、車体において左右対称な位置に左用と右用が設置される場合に、ブラケットに対するホルダの取り付け角度を90度ずらすだけで左用ホルダにも右用ホルダにもなり、ホルダを左右共用部品とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、部品点数を低減することができるので、コストダウンを図ることができる。また、同一の組み付けライン上で、ホルダとブラケットの組み付けが可能となるので、組み付けを簡素化することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、ホルダを左右共用部品とすることができるので、部品管理も容易となり、生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態における鏡面角度調整装置を備えた車両左側ドア用のドアミラー装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】前記ドアミラー装置における駆動ユニットの正面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】前記駆動ユニットの斜視図である。
【図6】前記駆動ユニットの分解斜視図である。
【図7】前記駆動ユニットのブラケットを車両後方から見た斜視図である。
【図8】前記駆動ユニットのブラケットを車両前方から見た斜視図である。
【図9】前記駆動ユニットのホルダを車両前方から見た斜視図である。
【図10】前記駆動ユニットのピボットプレートを車両前方から見た斜視図である。
【図11】車両右側ドア用のドアミラー装置に用いられる駆動ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係る鏡面角度調整装置の実施形態を図1から図11の図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、前後方向は車体の前後方向と一致し、左右方向は乗員が正面を向いているときの左右方向と一致する。
【0013】
図1は、自動車(車両)の前席左側のドア(図示略)に取り付けられるドアミラー装置1の正面図である。ドアミラー装置1は、前記ドアに固定されるドアミラーステー100のアーム部100aに対して車幅方向に開閉駆動可能に設置されており、車室内の運転席近傍のスイッチ(図示略)を操作することにより、あるいは、携帯リモコンスイッチ(図示略)を操作することにより、ドアミラー装置1を前記ドアに接近する方向(閉方向)に回転させて格納したり、前記ドアから離間する方向(開方向)に回転させて後方視認可能な使用形態にすることができるようにされている。
【0014】
図2に示すように、ドアミラー装置1は、ミラーハウジング2と、ミラーユニット3と、ミラーハウジング2をドアに対して回転可能に支持するとともにミラーユニット3を傾転可能に支持する駆動ユニット4と、を備えている。この実施形態においては、鏡面角度調整装置は駆動ユニット4の一部として駆動ユニット4に組み込まれている。
ミラーハウジング2は樹脂製で、後方を開口させたカップ状をなし、ミラーハウジング2の内部であって開口5に接近した位置にミラーユニット3が配置されている。ミラーユニット3は、ミラー6とこれを支持するミラーホルダ7によって構成されており、このミラーホルダ7が駆動ユニット4によって傾動されるように構成されている。
【0015】
図3,図5,図6に示すように、駆動ユニット4は、ドアミラーステー100のアーム部100aに回動可能に取り付けられたブラケット8と、ブラケット8に取り付けられたホルダ9と、ホルダ9に回動可能に取り付けられたピボットプレート10と、ブラケット8とホルダ9の間に収納されたミラー傾動用駆動部11等から構成されている。ブラケット8とホルダ9とピボットプレート10はいずれも樹脂製である。
【0016】
ブラケット8は、格納駆動部が収納された格納駆動部ケース(以下、ケースと略す)12と、ケース12から車幅方向外側に張り出して形成されたブラケット本体部13とを備え、一体成形されている。
ケース12は、上方を開口させた有底箱形をなし、ドアミラー装置1を車両のドアに設置したときに、ケース12の底面および上端が略水平姿勢となる。図3に示すように、ケース12の内部には格納駆動用モータ14が固定されている。また、アーム部100aに起立姿勢に固定されたシャフト15がケース12の底部を貫通してケース12内に挿入されており、シャフト15と格納駆動用モータ14の出力軸とが歯車列16を介して連結されている。ここで、格納駆動用モータ14を回転すると、シャフト15は固定されているので格納駆動用モータ14がシャフト15の周りを公転することとなり、これにより、格納駆動用モータ14を支持しているブラケット8がシャフト15を中心として回転することとなる。そして、結果的にブラケット8に固定されたミラーハウジング2がシャフト15を中心として回転することとなる。
【0017】
図5〜図7に示すように、ケース12の周壁部17は上部を開口させており、この開口12aにキャップ18が取り付けられてケース12は封止されている。周壁部17の上面は水平に形成されており、周壁部17の上端内側には段部19が形成されていて、段部19の外側に係合突起20が環状に形成されている。段部19および係合突起20の上面はいずれも水平に形成されている。
一方、図4に示すように、キャップ18の内周部には、ケース12の係合突起20が挿入可能な係合溝21が形成されている。係合溝21も係合突起20に対応して水平に形成されている。
【0018】
キャップ18を取り付ける際には、キャップ18を天地逆にして係合溝21の全周にほぼ均一にシール剤22を塗布し、その後、キャップ18の天地を元に戻してケース12の周壁部17の上から被せ、ケース12の係合突起20をキャップ18の係合溝21に挿入することによって、係合溝21と係合突起20との間をシール剤22でシールする。ここで、キャップ18の係合溝21が水平に形成されているので、キャップ18を天地逆にして係合溝21にシール剤22を塗布し、その後、キャップ18の天地を元に戻したときにキャップ18を水平に保っている限り、シール剤22が偏った方向に流れ落ちることがなく、係合溝21の全周にほぼ均一に塗布された状態を保つことができる。また、ケース12の段部19と係合突起20の上面も水平に形成されているので、ケース12にキャップ18を被せ係合突起20を係合溝21に挿入たときにも、シール剤22が偏った方向に流れ落ちることがなく、係合突起20と係合溝21との間にその全周に亘ってほぼ均一にシール剤22を保持することができる。その結果、ケース12とキャップ18の連結部(すなわち、係合突起20と係合溝21との間)をその全周に亘って確実にシールすることができる。なお、キャップ18は、図3に示すように、下方に延びる4本の脚部23に形成された係止孔24を、ケース12の周壁部17に形成された係止突起25に係止することにより、ケース12に固定される。
【0019】
図7に示すように、ブラケット本体部13は、ネック部26を介してケース12に連結されたベース27と、ベース27の後面に形成された傾動駆動部ハウジング(以下、ハウジングと略す)28とを備えており、ベース27は、ドアミラー装置1を車両のドアに設置したときに略鉛直姿勢となる。ベース27には、ネック部26から遠い側の上下端部およびネック部26から近い側の上端部に、ミラーハウジング固定用のボス部29A,29B,29Cが設けられている。ネック部26から遠い側の下端部に設けられたボス部29Aとネック部26の下部は平板状のリブ30Aによって連結されていて、このリブ30Aはドアミラー装置1を車両のドアに設置したときに略水平姿勢となる。そして、この実施形態においては、リブ30Aの長手方向に沿う水平線が、ブラケット8の水平基準線Hとなる。また、ボス部29Aとネック部26から遠い側の上端部に設けられたボス部29Bがリブ30Bによって連結され、ボス部29Bとネック部26から近い側の上端部に設けられたボス部29Cがリブ30Cによって連結され、ボス部29Cとネック部26の上部がリブ30Dによって連結されている。
【0020】
ハウジング28は、ブラケット8の水平基準線Hに対して約45度の仰角をなす仮想基準線Sに対して線対称な形状をなしている。ハウジング28の底面部はベース27と共有しており、ハウジング28の周壁部31はベース27よりも後方に突出し、周壁部31の内側に、ミラー傾動用駆動部11を収納する収納凹部32が形成されている。周壁部31の先端面には断面コ字形の嵌合部33が形成されている。
収納凹部32は、仮想基準線Sに沿う上側がモータ収納部34、下側がギヤ収納部35となっていて、ギヤ収納部35よりもモータ収納部34の方が仮想基準線Sと直交する方向(以下、ハウジング28の幅方向という)の寸法が小さく、且つ、ケース12に接近して位置している。ハウジング28のギヤ収納部35側の下端部はベース27よりも下方に突出している。
【0021】
ミラー傾動用駆動部11は、図6に示すように、2つのモータ40A,40Bと、各モータ40A,40Bの出力軸に固定されたウォームギヤ41A,41Bと、個々のウォームギヤ41A,41Bに噛合するウォームホイールギヤ42を有する2つのウォームホイールギヤ回転体43A,43Bと、各ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bによって進退動せしめられる2本の作動軸44A,44Bと、から構成されている。この左側ドア用のドアミラー装置1においては、モータ40A,ウォームギヤ41A,ウォームホイールギヤ回転体43A,作動軸44Aはミラーユニット3を左右方向に傾動させるときの駆動部を構成し、モータ40B,ウォームギヤ41B,ウォームホイールギヤ回転体43B,作動軸44Bはミラーユニット3を上下方向に傾動させるときの駆動部を構成する。以下の説明においては、特に左右傾動用と上下傾動用の区別をする必要がない場合には、モータ40,ウォームギヤ41,ウォームホイールギヤ回転体43,作動軸44と記載する。
【0022】
2つのモータ40A,40Bは、ハウジング28のモータ収納部34に収納され、互いの出力軸が平行となるように配置されている。図7に示すように、モータ収納部34には、モータ40A,40Bに対するモータ仮位置決め用凹部45と、複数の仮位置決め用リブ46,47が設けられている。モータ仮位置決め用凹部45の中央に立設された2つ仮位置決め用リブ46は2つのモータ40A,40Bの間に配置され、モータ収納部34において周壁部31に沿って設けられた2つの仮位置決め用リブ(図7では、図示の都合上、1つだけ図示されている)47はモータ40Aあるいは40Bの外側面に沿って配置される。
【0023】
ギヤ収納部35におけるハウジングの幅方向の両端側であって仮想基準線Sに対して線対称の位置には、作動軸44A,44Bが進退動するときの移動空間を確保するための外筒部48が形成されており、この外筒部48の開口側端部48aがギヤ収納部35の底部から後方へ若干突出しており、外筒部48の底部48bが、図8に示すように、ベース27から前面側に突出している。
【0024】
そして、ギヤ収納部35において各外筒部48の開口側端部48aの外側には、外筒部48と同心円上に配置された複数の円弧状突起からなる仮位置決め用リブ49が設けられている。仮位置決め用リブ49は外筒部48の開口側端部48aよりも後方に突出している。
2つのウォームホイールギヤ回転体43A,43Bは、それぞれ対応する外筒部48の周りに設けられた仮位置決め用リブ49の上に配置されている。
【0025】
図2,図6に示すように、ウォームホイールギヤ回転体43は、外側の本体部50と中央の筒部51とが一体に成形されて構成されている。本体部50には、その後方側に、ウォームギヤ41と螺合するウォームホイールギヤ42が形成され、前方側に、仮位置決め用リブ49の内側に挿入されるカラー部52が形成されている。ウォームホイールギヤ42の外径は仮位置決め用リブ49の内径よりも大きく、カラー部52の外径は仮位置決め用リブ49の内径より小さく、カラー部52が外筒部48の開口側端部48aに当接したときに、ウォームホイールギヤ42が仮位置決め用リブ49の上側に隙間を有して位置するように構成されている。
また、筒部51は軸方向略中央から後方側が周方向に3分割されており、各分割片の後方側が径方向に弾性変形可能となっている。そして、各分割片の後端に形成された径方向内側へ突出する爪部53が、作動軸44の外周面に形成されたねじ部54に螺合している。
【0026】
ハウジング28の周壁部31の外周面には、ホルダ9に対する係止突起55が複数設けられている。係止突起55も仮想基準線Sに対して線対称の位置に配置されている。なお、ベース27において係止突起55に対応する部位には脚挿入孔56が形成されている。
また、ギヤ収納部35の略中央であって仮想基準線S上には、ホルダ固定用のボス部57Aが設けられている。さらに、ベース27上であってハウジング28におけるモータ収納部34の外側にも、3つのホルダ固定用のボス部57B〜57Dが設けられており、そのうちの1つのボス部57Bは仮想基準線S上に配置され、他の2つのボス部57C,57Dは仮想基準線Sに対して線対称の位置に配置されている。したがって、ボス部57A,57Bの両中心を結ぶ仮想線と、ボス部57C,57Dの両中心を結ぶ仮想線は直交する。そして、二つの前記仮想線の交点は後述するピボットプレート10の揺動支点と重なるように設定されている。図7,図8に示すように、これらホルダ固定用のボス部57A〜57Dはその両端がベース27から突出している。
【0027】
図8に示すように、ベース27の前面側には、ホルダ固定用のボス部57A〜57Dおよび作動軸44A,44Bの移動空間用の2つの外筒部48を通るリブが複数設けられている。詳述すると、下側に配置された作動軸44B用の外筒部48にはミラーハウジング固定用のボス部29Aとネック26の下部とを連結するリブ30Aが通っている。図7において仮想基準線Sの左側に配置されたホルダ固定用のボス部57Cにはミラーハウジング固定用のボス部29B,29Cを連結するリブ30Cが通っており、リブ30Cは剛性と軽量化の両立を図るため湾曲形状をなしている。さらに、ホルダ固定用のボス部57Cと上側に配置された作動軸44A用の外筒部48がリブ60Aによって連結され、2つの外筒部48,48とその間に配置されているホルダ固定用のボス部57Aがリブ60Bによって連結されている。リブ30Cとネック26の上部はリブ60Cによって連結されており、このリブ60Cの中間部とリブ30Dの中間部とを連結するリブ60Dが、ホルダ固定用のボス部57Bを通っている。リブ30Aにおいてネック部26の近傍とネック部26の上部とを連結するリブ60Eが、図7において仮想基準線Sの右側に配置されたホルダ固定用のボス部57Dを通っている。さらに、ベース27には、作動軸44A用の外筒部48の近傍に形成された2つの脚挿入孔56に隣接する部位にも、リブ60F,60G,60Hが設けられている。このようにリブ30A〜30D,60A〜60Hを設定したことにより、リブの数を低減し軽量化を図りつつ、ブラケット本体部13に十分な剛性を確保することができる。なお、ブラケット本体部13が十分な剛性を備えていることは、CATIA強度解析により確認している。
【0028】
ブラケット本体部13のハウジング28にホルダ9が被せられ固定されることによって、ミラー傾動用駆動部11はブラケット8とホルダ9の間に収納される。
図9に示すように、ホルダ9は、ブラケット8の仮想基準線Sに対応する基準線(以下、ホルダ9の仮想基準線Shと称す)に対して線対称な形状をなし、平面視形状がハウジング28と相似形のホルダ本体部61を備えている。
ホルダ本体部61の周壁部62の先端面には断面コ字形の嵌合部63が形成されており、この嵌合部63がハウジング28の周壁部31の嵌合部33に嵌合する。
【0029】
ホルダ本体部61の後面側には平面視略矩形の砲台部64が形成されており、砲台部64の裏側はモータ収納凹部65となっている。モータ収納凹部65は、ホルダ本体部61の周壁部62の内側であってハウジング28のモータ収納部34に対応して配置されている。モータ収納凹部65にはモータ40A,40Bの出力軸と直交する方向に棒状に延びる2本のモータ押さえ部66が突設されており、このモータ押さえ部66が2つのモータ40A,40Bをハウジング28側に押さえる。また、モータ収納凹部65には、モータ40A,40Bの出力軸側の端部40aに嵌合する略U字形のモータ用位置決めリブ67と、モータ40A,40Bの反対側の端部40bに嵌合する略U字形のモータ用位置決めリブ68が、2組突設されている。各モータ用位置決めリブ67,68はホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称の位置に配置されている。
【0030】
また、ホルダ本体部61の周壁部62の内側であってハウジング28のギヤ収納部35に対応する部位には、ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bを位置決めするための環状のギヤ用位置決めリブ69が、ホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称の位置にそれぞれ突設されている。図2に示すように、ギヤ用位置決めリブ69を、ウォームホイールギヤ回転体43の本体部50の後面側に環状に形成された溝58に挿入することにより、ウォームホイールギヤ回転体43は位置決めされ、そのときにギヤ用位置決めリブ69の外側にウォームホイールギヤ42が配置される。
【0031】
ギヤ用位置決めリブ69の内側には作動軸44を挿通させるための孔70が形成されており、この孔70を通して作動軸44の先端がホルダ9から突出する。なお、孔70と作動軸44との間にはグロメット71が装着され、封止される。
さらに、ウォームホイールギヤ回転体用の2つのギヤ用位置決めリブ69,69の間であって、ホルダ9の仮想基準線Sh上には、ハウジング28内に設けられたホルダ固定用のボス部57Aが嵌入可能な円形の凹部72が形成されており、凹部72にはねじ挿通孔72aが設けられている。
【0032】
ホルダ9は、ホルダ本体部61の周壁部62の外面から前方に延びる複数のアーム部73を備えている。アーム部73は、ハウジング28の係止突起55に対応する部位に設けられており、ホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称に配置されている。各アーム部73に設けられた係止孔73aをハウジング28の係止突起55に係止することにより、ホルダ9をハウジング28に仮止めすることができるように構成されている。
【0033】
また、ホルダ9は、ブラケット本体部13のホルダ固定用のボス部57B,57C,57Dに対応する部位に、ホルダ本体部61から外方に延びる3本の脚部74を備えている。各脚部74の先端前面には、ボス部57B,57C,57Dが嵌入可能な円形の凹部75が形成されていて、凹部75の中央にはねじ挿通孔75aが設けられている。脚部74もホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称の位置に配置されている。
ホルダ9は、凹部72,75のねじ挿通孔72a,75aに通した4本のねじ(図示略)を、ブラケット本体部13のボス部57A〜57Dにねじ込むことにより、ブラケット本体部13に固定される。
【0034】
図6に示すように、ホルダ9は、砲台部64上であってホルダ9の仮想基準線Sh上に、外面が球面の一部で形成されたピボット軸76を備えている。ここで、ピボット軸76の中心とウォームホイールギヤ回転体43Aのギヤ用位置決め用リブ69の中心とを結ぶ仮想線は水平線となり、ピボット軸76の中心とウォームホイールギヤ回転体43Bのギヤ用位置決め用リブ69の中心とを結ぶ仮想線は鉛直線となって、互いに直交するように設定されている。
また、ホルダ9は、砲台部64の四隅と対向する部位に、ホルダ本体部61の後面から後方に突出するU字形の係止突起77を備えている。4つの係止突起77はピボット軸76の中心から等距離に配置され、ピボット軸76を中心にして90度間隔に配置されている。そして、左右の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は水平線となり、上下の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は鉛直線となるように配置されている。
このホルダ9のピボット軸76に、ピボットプレート10が三次元的に傾動可能に取り付けられている。
【0035】
ピボットプレート10は平面視略矩形をなし、左右対称形状をなしている。図10に示すように、ピボットプレート10の前面の所定部位には、ホルダ9のピボット軸76が圧入可能なピボット凹部80が設けられている。ピボット凹部80の内面は球面の一部で形成されていて、ピボット軸76をピボット凹部80に圧入された状態において、ピボットプレート10はホルダ9のピボット軸76の仮想球中心を揺動支点として揺動自在となる。なお、この実施形態においてピボット軸76とピボット凹部80はピボット部を構成する。
【0036】
また、図6に示すように、ピボットプレート10の後面においてピボット凹部80に対応する部位である凸部81の周囲には平面視略矩形のスプリング収納凹部82が形成されており、スプリング収納凹部82には、凸部81の付け根部に係合する略C字形のスプリング83が収容されている。スプリング83は凸部81の付け根部を締め付けて、この付け根部が拡径するのを阻止し、これによりホルダ9のピボット軸76がピボット凹部80から離脱するのを防止する。
【0037】
また、ピボットプレート10には、スプリング収納凹部82の外側に、4本の回転規制ピン84が90度間隔に配置され設けられている。各回転規制ピン84にはホルダ9の係止突起77が係合し、これによりホルダ9とピボットプレート10がピボット軸76の中心を通る前後方向軸の回りに相対回転するのを阻止している。
【0038】
図10に示すように、ピボットプレート10の前面には、その前面側から見てピボット凹部80の右側、下側、左側に、ピボット凹部80の中心から等距離の位置であって互いに90度ずらして、3つの球面受け座85A,85B,85Cが設けられている。このうち前面側から見て右側と下側の球面受け座85A,85Bには、作動軸44A,44Bの先端に形成された球状の頭部86が嵌合し、頭部86の側部に突設された突起87が、球面受け座85A,85Bに形成された溝88に係合する。作動軸44A,44Bの頭部86がそれぞれ球面受け座85A,85Bに嵌合することにより、それぞれの頭部86と球面受け座85A,85Bとの摺動を許容しつつ、作動軸44A,44Bとピボットプレート10は不離一体に連結される。また、突起87が溝88に係合することにより、作動軸44A,44Bが作動軸自身の軸線回りに回転するのを阻止する。
ピボットプレート10がホルダ9に装着された状態において、左右の球面受け座85A,85Cの両中心を結ぶ仮想線は水平線となり、且つピボットプレート10の揺動支点を通る前後方向に延びる仮想線と直交する。
【0039】
なお、図1に示す自動車の前席左側のドアに取り付けられるドアミラー装置1では、3つの球面受け座85A,85B,85Cのうちピボットプレート10の前面側から見て下側と右側の球面受け座85A,85Bに作動軸44A,44Bの頭部86が嵌合し、左側の球面受け座85Cは使用されない。しかしながら、図11に示す自動車の前席右側のドア(図示略)に取り付けられるドアミラー装置1の場合では、ピボットプレート10の前面側から見て下側の球面受け座85Bに作動軸44Bの頭部86が嵌合し、ピボットプレート10の前面側から見て左側の球面受け座85Cに作動軸44Aの頭部86が嵌合し、ピボットプレート10の前面側から見て右側の球面受け座85Aが使用されない。
【0040】
また、ピボットプレート10の四隅には、ミラー係合部89が設けられている。ミラー係合部89は、平面視矩形の角孔90と角孔90を左右方向に跨ぐピン91とで構成されており、ミラーホルダ7に設けられた係合爪(図示略)が係合可能となっていて、前記係合爪をピン91に係合することによってミラーホルダ7がピボットプレート10に支持される。
【0041】
次に、駆動ユニット4の組み立て手順を簡単に説明する。
初めに、図示しない加圧台の上に、ピボットプレート10をピボット凹部80が上になるようにしてセットし、このピボットプレート10の上にホルダ9を配置する。その際には、ホルダ9の嵌合部63が上向きとなるように配置し、ホルダ9の4つの係止突起77とピボットプレート10の4つの回転規制ピン84とを対向させ、ホルダ9のピボット軸76とピボットプレート10のピボット凹部80とを対向させる。また、予めホルダ9の2つの孔70にグロメット71を装着しておく。
【0042】
次に、ホルダ9に、モータ40A,40B、ウォームギヤ41A,41B、ウォームホイールギヤ回転体43A,43B、作動軸44A,44Bを収容する。ここで、モータ40A,40Bおよびウォームギヤ41A,41Bをホルダ9に収容する際には、予めモータ40A,40Bの出力軸にウォームギヤ41A,41Bを装着しておき、モータ40A,40Bの端部40aをホルダ9のモータ用位置決めリブ67に嵌合し、端部40bをホルダ9のモータ用位置決めリブ68に嵌合する。これにより、ホルダ9に対してモータ40A,40Bが正確に位置決めされることとなる。また、ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bをホルダ9に収容する際には、ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bの溝58にホルダ9のギヤ位置決め用リブ69を挿入する。これにより、ホルダ9に対してウォームホイールギヤ回転体43A,43Bのウォームホイールギヤ42が正確に位置決めされることとなる。そして、作動軸44A,44Bを収容する際には、グロメット71に挿通させながら、作動軸44A,44Bのねじ部564を、位置決め後のウォームホイールギヤ回転体43A,43Bの爪部53に螺合する。そして、作動軸44A,44Bの頭部86とピボットプレート10の球面受け座85A,85Bとを対向させ、作動軸44A,44Bの突起87を球面受け座85A,85Bの溝88に対向させる。
【0043】
次に、ホルダ9の上に、ブラケット8を載置する。その際には、ブラケット8におけるハウジング28の周壁部31の嵌合部33にホルダ9の嵌合部62を嵌合させる。これにより、ブラケット8のホルダ固定用のボス部57A〜57Dの先端がホルダ9の凹部72,75に対応して配置され、ホルダ9の各アーム部73の係止孔73aがハウジング28の各係止突起55に対応して配置され、ブラケット8のモータの仮位置決め用リブ46が両モータ40A,40Bの間に配置され、モータの仮位置決め用リブ47がモータ40A,40Bの外側に配置され、ギヤの仮位置決め用リブ49がウォームホイールギヤ回転体43A,43Bのカラー部52の外側に配置される。
【0044】
このようにミラー傾動用駆動部11をブラケット8とホルダ9の間に収容し、これらをピボットプレート10の上に重ねた状態にして、ブラケット8の上から圧力を加えると、ホルダ9のピボット軸76がピボットプレート10のピボット凹部80に圧入し、作動軸44A,44Bの頭部86がピボットプレート10の球面受け座85A,85Bに嵌入し、ホルダ9の各アーム部73の係止孔73aがハウジング28の各係止突起55に係合し、ホルダ9の各係止突起77がピボットプレート10の各回転規制ピン84に係合して、ブラケット8とホルダ9とピボットプレート10が一体化される。
【0045】
この後、これらを天地逆にして、ホルダ9のねじ挿通孔72a,75aからねじ部材(図示略)を挿入し、ボス部57A〜57Dにねじ込むことにより、ホルダ9をブラケット8に固定する。また、スプリング83をピボットプレート10の凸部81の付け根部に装着し、ブラケット8のケース12内に格納駆動用モータ14、シャフト15、歯車列16等を収納し、キャップ18を取り付けて、駆動ユニット4が完成する。
【0046】
このように構成されたドアミラー装置1においては、作動軸44A,44Bがそれ自身の軸心周りに回転不能にピボットプレート10に連結されるので、車室内の運転席近傍のスイッチ(図示略)を操作してモータ40Aを回転し、ウォームホイールギヤ回転体43Aを回転すると、作動軸44Aが前後に進退動し、ピボットプレート10を左右方向に揺動することができる。同様に、スイッチ操作によりモータ40Bを回転し、ウォームホイールギヤ回転体43Bを回転すると、作動軸44Bが前後に進退動し、ピボットプレート10を上下方向に揺動することができる。これにより、ピボットプレート10に保持されたミラーユニット3を後方視認に最適な所望の方向に傾けることが可能となる。
【0047】
このドアミラー装置1においては、ブラケット8にハウジング28を一体に形成し、このハウジング28とホルダ9との間にミラー傾動用駆動部11を収納しているので、従来のように二分割型のケース内にミラー傾動用駆動部を収納し、これをブラケットに取り付ける場合に比して、部品点数を1つ減らすことができる。
また、ホルダ9のピボット軸76をピボットプレート10のピボット凹部80に圧入することによってピボットプレート10をホルダ9に揺動可能に連結しているので、従来のようにホルダ9とピボットプレート10とを離脱不能にする手段(例えばボルトなど)が不要となり、部品点数を削減することができる。
その結果、ドアミラー装置1のコストダウンを図ることができる。
また、同一の組み付けライン上で、ブラケット8とホルダ9とを組み付けることができるとともに、ホルダ9とピボットプレート10とを組み付けることができ、しかも、上下を反転させる工程を削減することができるので、組み付けを簡素化することができ、生産性が向上する。
【0048】
また、ブラケット8の水平基準線Hに対して45度の仰角をなし且つピボットプレート10の揺動支点を通るホルダ9の仮想基準線Shに対して、ミラー傾動用駆動部11の2つの作動軸44A,44Bが互いに線対称の位置に配置され且つ揺動支点を中心にして90度の間隔で振り分けられており、さらに、ブラケット8とホルダ9との取付部(すなわち、ブラケット8のホルダ固定用のボス部57A〜57D、ブラケット8の係止突起55、ブラケット8の周壁部33の嵌合部33、ホルダ9のアーム部73、ホルダ9の脚部74、ホルダ9の嵌合部63)が仮想基準線S,Shに対して線対称な位置に配置されているので、図6に示す左側ドア用のドアミラー装置1のホルダ9と、図11に示す右側ドア用のドアミラー装置1のホルダ9を共用することができる。なお、図6および図11から明らかなように、ブラケット8については左右共用とするわけにはいかないので、左側ドア用のドアミラー装置1に専用のブラケット8と、右側ドア用のドアミラー装置1に専用のブラケット8を用意する。なお、左ドア用のブラケット8と右ドア用のブラケット8は互いに左右対称な形状をなす以外は同一構成である。
【0049】
さらに、ホルダ9とピボットプレート10の相対回転を阻止するためにホルダ9に設けられた4つの係止突起77が、ピボット軸76の中心から等距離に配置され且つピボット軸76を中心にして90度間隔に配置されており、左右の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は水平線となり、上下の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は鉛直線となっていて、ピボットプレート10が左右対称形をなし、係止突起77に対応して回転規制ピン84が設けられているので、図6に示す前席左側ドア用のドアミラー装置1のピボットプレート10と、図11に示す前席右側ドア用のドアミラー装置1のピボットプレート10を共用することができる。
このように、ホルダ9およびピボットプレート10を左右のドアミラー装置1の共用部品とすることができる。その結果、部品管理が容易となり、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0050】
4 駆動ユニット(鏡面角度調整装置)
6 ミラー
8 ブラケット
9 ホルダ
10 ピボットプレート
11 ミラー傾動用駆動部
33 嵌合部(取付部)
44A,44B 作動軸
55 係止突起(取付部)
57A〜57D ボス部(取付部)
63 嵌合部(取付部)
73 アーム部(取付部)
74 脚部(取付部)
76 ピボット軸(ピボット部)
80 ピボット凹部(ピボット部)
H 水平基準線
Sh 仮想基準線
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ミラー装置の鏡面の角度を調整する鏡面角度調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のドアに取り付けられた車両用ドアミラー装置は、車室内の運転席近傍のスイッチを操作することにより、ミラーハウジングの開口部に配置されたミラーの鏡面角度を上下方向および左右方向に調整することができるように構成されている。
【0003】
従来は、ミラーハウジングをドアに取り付けるためのブラケットと、最中のような二分割型のケース内に鏡面角度を調整する駆動部を収容してなる鏡面角度調整駆動ユニットとを、それぞれ別のラインで組み立てた後に、前記ブラケットに前記鏡面角度調整駆動ユニットを組み付けていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−322497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、鏡面角度調整駆動ユニットの外枠を構成するケースが二分割型であり、このケースをブラケットに取り付けているので、部品点数が多くなるという課題がある。
また、ブラケットと鏡面角度調整駆動ユニットとを別のラインで組み立てているので生産性が低いという課題がある。
【0006】
そこで、この発明は、部品点数の削減および組み付けの簡素化を図ることができる鏡面角度調整装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る鏡面角度調整装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、ミラーを支持するピボットプレートがピボット部を中心にしてホルダに三次元的に揺動可能に取り付けられ、前記ホルダは車体に設置されるブラケットに取り付けられ、前記ブラケットと前記ホルダとの間にミラー傾動用駆動部が収納され、このミラー傾動用駆動部の作動軸が前記ホルダを貫通して前記ピボットプレートに連結されていることを特徴とする鏡面角度調整装置である。
このように構成することにより、ホルダとブラケットの間にミラー傾動用駆動部を収容し、ホルダをブラケットに直接取り付けているので、部品点数を低減することができる。また、同一の組み付けライン上で、ホルダとブラケットの組み付けが可能となる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記ミラー傾動用駆動部は前記作動軸を2本備え、前記ホルダは前記ブラケットに対する取付部を複数備え、前記ブラケットの水平基準線に対して略45度の仰角をなし且つ前記ピボット部による揺動支点を通る仮想基準線に対して、前記ミラー傾動用駆動部の2本の前記作動軸が互いに線対称の位置に配置されるとともに、前記複数の取付部が前記仮想基準線に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする。
このように構成することにより、例えば、車両用ドアミラー装置のように、車体において左右対称な位置に左用と右用が設置される場合に、ブラケットに対するホルダの取り付け角度を90度ずらすだけで左用ホルダにも右用ホルダにもなり、ホルダを左右共用部品とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、部品点数を低減することができるので、コストダウンを図ることができる。また、同一の組み付けライン上で、ホルダとブラケットの組み付けが可能となるので、組み付けを簡素化することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、ホルダを左右共用部品とすることができるので、部品管理も容易となり、生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態における鏡面角度調整装置を備えた車両左側ドア用のドアミラー装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】前記ドアミラー装置における駆動ユニットの正面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】前記駆動ユニットの斜視図である。
【図6】前記駆動ユニットの分解斜視図である。
【図7】前記駆動ユニットのブラケットを車両後方から見た斜視図である。
【図8】前記駆動ユニットのブラケットを車両前方から見た斜視図である。
【図9】前記駆動ユニットのホルダを車両前方から見た斜視図である。
【図10】前記駆動ユニットのピボットプレートを車両前方から見た斜視図である。
【図11】車両右側ドア用のドアミラー装置に用いられる駆動ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係る鏡面角度調整装置の実施形態を図1から図11の図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、前後方向は車体の前後方向と一致し、左右方向は乗員が正面を向いているときの左右方向と一致する。
【0013】
図1は、自動車(車両)の前席左側のドア(図示略)に取り付けられるドアミラー装置1の正面図である。ドアミラー装置1は、前記ドアに固定されるドアミラーステー100のアーム部100aに対して車幅方向に開閉駆動可能に設置されており、車室内の運転席近傍のスイッチ(図示略)を操作することにより、あるいは、携帯リモコンスイッチ(図示略)を操作することにより、ドアミラー装置1を前記ドアに接近する方向(閉方向)に回転させて格納したり、前記ドアから離間する方向(開方向)に回転させて後方視認可能な使用形態にすることができるようにされている。
【0014】
図2に示すように、ドアミラー装置1は、ミラーハウジング2と、ミラーユニット3と、ミラーハウジング2をドアに対して回転可能に支持するとともにミラーユニット3を傾転可能に支持する駆動ユニット4と、を備えている。この実施形態においては、鏡面角度調整装置は駆動ユニット4の一部として駆動ユニット4に組み込まれている。
ミラーハウジング2は樹脂製で、後方を開口させたカップ状をなし、ミラーハウジング2の内部であって開口5に接近した位置にミラーユニット3が配置されている。ミラーユニット3は、ミラー6とこれを支持するミラーホルダ7によって構成されており、このミラーホルダ7が駆動ユニット4によって傾動されるように構成されている。
【0015】
図3,図5,図6に示すように、駆動ユニット4は、ドアミラーステー100のアーム部100aに回動可能に取り付けられたブラケット8と、ブラケット8に取り付けられたホルダ9と、ホルダ9に回動可能に取り付けられたピボットプレート10と、ブラケット8とホルダ9の間に収納されたミラー傾動用駆動部11等から構成されている。ブラケット8とホルダ9とピボットプレート10はいずれも樹脂製である。
【0016】
ブラケット8は、格納駆動部が収納された格納駆動部ケース(以下、ケースと略す)12と、ケース12から車幅方向外側に張り出して形成されたブラケット本体部13とを備え、一体成形されている。
ケース12は、上方を開口させた有底箱形をなし、ドアミラー装置1を車両のドアに設置したときに、ケース12の底面および上端が略水平姿勢となる。図3に示すように、ケース12の内部には格納駆動用モータ14が固定されている。また、アーム部100aに起立姿勢に固定されたシャフト15がケース12の底部を貫通してケース12内に挿入されており、シャフト15と格納駆動用モータ14の出力軸とが歯車列16を介して連結されている。ここで、格納駆動用モータ14を回転すると、シャフト15は固定されているので格納駆動用モータ14がシャフト15の周りを公転することとなり、これにより、格納駆動用モータ14を支持しているブラケット8がシャフト15を中心として回転することとなる。そして、結果的にブラケット8に固定されたミラーハウジング2がシャフト15を中心として回転することとなる。
【0017】
図5〜図7に示すように、ケース12の周壁部17は上部を開口させており、この開口12aにキャップ18が取り付けられてケース12は封止されている。周壁部17の上面は水平に形成されており、周壁部17の上端内側には段部19が形成されていて、段部19の外側に係合突起20が環状に形成されている。段部19および係合突起20の上面はいずれも水平に形成されている。
一方、図4に示すように、キャップ18の内周部には、ケース12の係合突起20が挿入可能な係合溝21が形成されている。係合溝21も係合突起20に対応して水平に形成されている。
【0018】
キャップ18を取り付ける際には、キャップ18を天地逆にして係合溝21の全周にほぼ均一にシール剤22を塗布し、その後、キャップ18の天地を元に戻してケース12の周壁部17の上から被せ、ケース12の係合突起20をキャップ18の係合溝21に挿入することによって、係合溝21と係合突起20との間をシール剤22でシールする。ここで、キャップ18の係合溝21が水平に形成されているので、キャップ18を天地逆にして係合溝21にシール剤22を塗布し、その後、キャップ18の天地を元に戻したときにキャップ18を水平に保っている限り、シール剤22が偏った方向に流れ落ちることがなく、係合溝21の全周にほぼ均一に塗布された状態を保つことができる。また、ケース12の段部19と係合突起20の上面も水平に形成されているので、ケース12にキャップ18を被せ係合突起20を係合溝21に挿入たときにも、シール剤22が偏った方向に流れ落ちることがなく、係合突起20と係合溝21との間にその全周に亘ってほぼ均一にシール剤22を保持することができる。その結果、ケース12とキャップ18の連結部(すなわち、係合突起20と係合溝21との間)をその全周に亘って確実にシールすることができる。なお、キャップ18は、図3に示すように、下方に延びる4本の脚部23に形成された係止孔24を、ケース12の周壁部17に形成された係止突起25に係止することにより、ケース12に固定される。
【0019】
図7に示すように、ブラケット本体部13は、ネック部26を介してケース12に連結されたベース27と、ベース27の後面に形成された傾動駆動部ハウジング(以下、ハウジングと略す)28とを備えており、ベース27は、ドアミラー装置1を車両のドアに設置したときに略鉛直姿勢となる。ベース27には、ネック部26から遠い側の上下端部およびネック部26から近い側の上端部に、ミラーハウジング固定用のボス部29A,29B,29Cが設けられている。ネック部26から遠い側の下端部に設けられたボス部29Aとネック部26の下部は平板状のリブ30Aによって連結されていて、このリブ30Aはドアミラー装置1を車両のドアに設置したときに略水平姿勢となる。そして、この実施形態においては、リブ30Aの長手方向に沿う水平線が、ブラケット8の水平基準線Hとなる。また、ボス部29Aとネック部26から遠い側の上端部に設けられたボス部29Bがリブ30Bによって連結され、ボス部29Bとネック部26から近い側の上端部に設けられたボス部29Cがリブ30Cによって連結され、ボス部29Cとネック部26の上部がリブ30Dによって連結されている。
【0020】
ハウジング28は、ブラケット8の水平基準線Hに対して約45度の仰角をなす仮想基準線Sに対して線対称な形状をなしている。ハウジング28の底面部はベース27と共有しており、ハウジング28の周壁部31はベース27よりも後方に突出し、周壁部31の内側に、ミラー傾動用駆動部11を収納する収納凹部32が形成されている。周壁部31の先端面には断面コ字形の嵌合部33が形成されている。
収納凹部32は、仮想基準線Sに沿う上側がモータ収納部34、下側がギヤ収納部35となっていて、ギヤ収納部35よりもモータ収納部34の方が仮想基準線Sと直交する方向(以下、ハウジング28の幅方向という)の寸法が小さく、且つ、ケース12に接近して位置している。ハウジング28のギヤ収納部35側の下端部はベース27よりも下方に突出している。
【0021】
ミラー傾動用駆動部11は、図6に示すように、2つのモータ40A,40Bと、各モータ40A,40Bの出力軸に固定されたウォームギヤ41A,41Bと、個々のウォームギヤ41A,41Bに噛合するウォームホイールギヤ42を有する2つのウォームホイールギヤ回転体43A,43Bと、各ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bによって進退動せしめられる2本の作動軸44A,44Bと、から構成されている。この左側ドア用のドアミラー装置1においては、モータ40A,ウォームギヤ41A,ウォームホイールギヤ回転体43A,作動軸44Aはミラーユニット3を左右方向に傾動させるときの駆動部を構成し、モータ40B,ウォームギヤ41B,ウォームホイールギヤ回転体43B,作動軸44Bはミラーユニット3を上下方向に傾動させるときの駆動部を構成する。以下の説明においては、特に左右傾動用と上下傾動用の区別をする必要がない場合には、モータ40,ウォームギヤ41,ウォームホイールギヤ回転体43,作動軸44と記載する。
【0022】
2つのモータ40A,40Bは、ハウジング28のモータ収納部34に収納され、互いの出力軸が平行となるように配置されている。図7に示すように、モータ収納部34には、モータ40A,40Bに対するモータ仮位置決め用凹部45と、複数の仮位置決め用リブ46,47が設けられている。モータ仮位置決め用凹部45の中央に立設された2つ仮位置決め用リブ46は2つのモータ40A,40Bの間に配置され、モータ収納部34において周壁部31に沿って設けられた2つの仮位置決め用リブ(図7では、図示の都合上、1つだけ図示されている)47はモータ40Aあるいは40Bの外側面に沿って配置される。
【0023】
ギヤ収納部35におけるハウジングの幅方向の両端側であって仮想基準線Sに対して線対称の位置には、作動軸44A,44Bが進退動するときの移動空間を確保するための外筒部48が形成されており、この外筒部48の開口側端部48aがギヤ収納部35の底部から後方へ若干突出しており、外筒部48の底部48bが、図8に示すように、ベース27から前面側に突出している。
【0024】
そして、ギヤ収納部35において各外筒部48の開口側端部48aの外側には、外筒部48と同心円上に配置された複数の円弧状突起からなる仮位置決め用リブ49が設けられている。仮位置決め用リブ49は外筒部48の開口側端部48aよりも後方に突出している。
2つのウォームホイールギヤ回転体43A,43Bは、それぞれ対応する外筒部48の周りに設けられた仮位置決め用リブ49の上に配置されている。
【0025】
図2,図6に示すように、ウォームホイールギヤ回転体43は、外側の本体部50と中央の筒部51とが一体に成形されて構成されている。本体部50には、その後方側に、ウォームギヤ41と螺合するウォームホイールギヤ42が形成され、前方側に、仮位置決め用リブ49の内側に挿入されるカラー部52が形成されている。ウォームホイールギヤ42の外径は仮位置決め用リブ49の内径よりも大きく、カラー部52の外径は仮位置決め用リブ49の内径より小さく、カラー部52が外筒部48の開口側端部48aに当接したときに、ウォームホイールギヤ42が仮位置決め用リブ49の上側に隙間を有して位置するように構成されている。
また、筒部51は軸方向略中央から後方側が周方向に3分割されており、各分割片の後方側が径方向に弾性変形可能となっている。そして、各分割片の後端に形成された径方向内側へ突出する爪部53が、作動軸44の外周面に形成されたねじ部54に螺合している。
【0026】
ハウジング28の周壁部31の外周面には、ホルダ9に対する係止突起55が複数設けられている。係止突起55も仮想基準線Sに対して線対称の位置に配置されている。なお、ベース27において係止突起55に対応する部位には脚挿入孔56が形成されている。
また、ギヤ収納部35の略中央であって仮想基準線S上には、ホルダ固定用のボス部57Aが設けられている。さらに、ベース27上であってハウジング28におけるモータ収納部34の外側にも、3つのホルダ固定用のボス部57B〜57Dが設けられており、そのうちの1つのボス部57Bは仮想基準線S上に配置され、他の2つのボス部57C,57Dは仮想基準線Sに対して線対称の位置に配置されている。したがって、ボス部57A,57Bの両中心を結ぶ仮想線と、ボス部57C,57Dの両中心を結ぶ仮想線は直交する。そして、二つの前記仮想線の交点は後述するピボットプレート10の揺動支点と重なるように設定されている。図7,図8に示すように、これらホルダ固定用のボス部57A〜57Dはその両端がベース27から突出している。
【0027】
図8に示すように、ベース27の前面側には、ホルダ固定用のボス部57A〜57Dおよび作動軸44A,44Bの移動空間用の2つの外筒部48を通るリブが複数設けられている。詳述すると、下側に配置された作動軸44B用の外筒部48にはミラーハウジング固定用のボス部29Aとネック26の下部とを連結するリブ30Aが通っている。図7において仮想基準線Sの左側に配置されたホルダ固定用のボス部57Cにはミラーハウジング固定用のボス部29B,29Cを連結するリブ30Cが通っており、リブ30Cは剛性と軽量化の両立を図るため湾曲形状をなしている。さらに、ホルダ固定用のボス部57Cと上側に配置された作動軸44A用の外筒部48がリブ60Aによって連結され、2つの外筒部48,48とその間に配置されているホルダ固定用のボス部57Aがリブ60Bによって連結されている。リブ30Cとネック26の上部はリブ60Cによって連結されており、このリブ60Cの中間部とリブ30Dの中間部とを連結するリブ60Dが、ホルダ固定用のボス部57Bを通っている。リブ30Aにおいてネック部26の近傍とネック部26の上部とを連結するリブ60Eが、図7において仮想基準線Sの右側に配置されたホルダ固定用のボス部57Dを通っている。さらに、ベース27には、作動軸44A用の外筒部48の近傍に形成された2つの脚挿入孔56に隣接する部位にも、リブ60F,60G,60Hが設けられている。このようにリブ30A〜30D,60A〜60Hを設定したことにより、リブの数を低減し軽量化を図りつつ、ブラケット本体部13に十分な剛性を確保することができる。なお、ブラケット本体部13が十分な剛性を備えていることは、CATIA強度解析により確認している。
【0028】
ブラケット本体部13のハウジング28にホルダ9が被せられ固定されることによって、ミラー傾動用駆動部11はブラケット8とホルダ9の間に収納される。
図9に示すように、ホルダ9は、ブラケット8の仮想基準線Sに対応する基準線(以下、ホルダ9の仮想基準線Shと称す)に対して線対称な形状をなし、平面視形状がハウジング28と相似形のホルダ本体部61を備えている。
ホルダ本体部61の周壁部62の先端面には断面コ字形の嵌合部63が形成されており、この嵌合部63がハウジング28の周壁部31の嵌合部33に嵌合する。
【0029】
ホルダ本体部61の後面側には平面視略矩形の砲台部64が形成されており、砲台部64の裏側はモータ収納凹部65となっている。モータ収納凹部65は、ホルダ本体部61の周壁部62の内側であってハウジング28のモータ収納部34に対応して配置されている。モータ収納凹部65にはモータ40A,40Bの出力軸と直交する方向に棒状に延びる2本のモータ押さえ部66が突設されており、このモータ押さえ部66が2つのモータ40A,40Bをハウジング28側に押さえる。また、モータ収納凹部65には、モータ40A,40Bの出力軸側の端部40aに嵌合する略U字形のモータ用位置決めリブ67と、モータ40A,40Bの反対側の端部40bに嵌合する略U字形のモータ用位置決めリブ68が、2組突設されている。各モータ用位置決めリブ67,68はホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称の位置に配置されている。
【0030】
また、ホルダ本体部61の周壁部62の内側であってハウジング28のギヤ収納部35に対応する部位には、ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bを位置決めするための環状のギヤ用位置決めリブ69が、ホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称の位置にそれぞれ突設されている。図2に示すように、ギヤ用位置決めリブ69を、ウォームホイールギヤ回転体43の本体部50の後面側に環状に形成された溝58に挿入することにより、ウォームホイールギヤ回転体43は位置決めされ、そのときにギヤ用位置決めリブ69の外側にウォームホイールギヤ42が配置される。
【0031】
ギヤ用位置決めリブ69の内側には作動軸44を挿通させるための孔70が形成されており、この孔70を通して作動軸44の先端がホルダ9から突出する。なお、孔70と作動軸44との間にはグロメット71が装着され、封止される。
さらに、ウォームホイールギヤ回転体用の2つのギヤ用位置決めリブ69,69の間であって、ホルダ9の仮想基準線Sh上には、ハウジング28内に設けられたホルダ固定用のボス部57Aが嵌入可能な円形の凹部72が形成されており、凹部72にはねじ挿通孔72aが設けられている。
【0032】
ホルダ9は、ホルダ本体部61の周壁部62の外面から前方に延びる複数のアーム部73を備えている。アーム部73は、ハウジング28の係止突起55に対応する部位に設けられており、ホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称に配置されている。各アーム部73に設けられた係止孔73aをハウジング28の係止突起55に係止することにより、ホルダ9をハウジング28に仮止めすることができるように構成されている。
【0033】
また、ホルダ9は、ブラケット本体部13のホルダ固定用のボス部57B,57C,57Dに対応する部位に、ホルダ本体部61から外方に延びる3本の脚部74を備えている。各脚部74の先端前面には、ボス部57B,57C,57Dが嵌入可能な円形の凹部75が形成されていて、凹部75の中央にはねじ挿通孔75aが設けられている。脚部74もホルダ9の仮想基準線Shに対して線対称の位置に配置されている。
ホルダ9は、凹部72,75のねじ挿通孔72a,75aに通した4本のねじ(図示略)を、ブラケット本体部13のボス部57A〜57Dにねじ込むことにより、ブラケット本体部13に固定される。
【0034】
図6に示すように、ホルダ9は、砲台部64上であってホルダ9の仮想基準線Sh上に、外面が球面の一部で形成されたピボット軸76を備えている。ここで、ピボット軸76の中心とウォームホイールギヤ回転体43Aのギヤ用位置決め用リブ69の中心とを結ぶ仮想線は水平線となり、ピボット軸76の中心とウォームホイールギヤ回転体43Bのギヤ用位置決め用リブ69の中心とを結ぶ仮想線は鉛直線となって、互いに直交するように設定されている。
また、ホルダ9は、砲台部64の四隅と対向する部位に、ホルダ本体部61の後面から後方に突出するU字形の係止突起77を備えている。4つの係止突起77はピボット軸76の中心から等距離に配置され、ピボット軸76を中心にして90度間隔に配置されている。そして、左右の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は水平線となり、上下の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は鉛直線となるように配置されている。
このホルダ9のピボット軸76に、ピボットプレート10が三次元的に傾動可能に取り付けられている。
【0035】
ピボットプレート10は平面視略矩形をなし、左右対称形状をなしている。図10に示すように、ピボットプレート10の前面の所定部位には、ホルダ9のピボット軸76が圧入可能なピボット凹部80が設けられている。ピボット凹部80の内面は球面の一部で形成されていて、ピボット軸76をピボット凹部80に圧入された状態において、ピボットプレート10はホルダ9のピボット軸76の仮想球中心を揺動支点として揺動自在となる。なお、この実施形態においてピボット軸76とピボット凹部80はピボット部を構成する。
【0036】
また、図6に示すように、ピボットプレート10の後面においてピボット凹部80に対応する部位である凸部81の周囲には平面視略矩形のスプリング収納凹部82が形成されており、スプリング収納凹部82には、凸部81の付け根部に係合する略C字形のスプリング83が収容されている。スプリング83は凸部81の付け根部を締め付けて、この付け根部が拡径するのを阻止し、これによりホルダ9のピボット軸76がピボット凹部80から離脱するのを防止する。
【0037】
また、ピボットプレート10には、スプリング収納凹部82の外側に、4本の回転規制ピン84が90度間隔に配置され設けられている。各回転規制ピン84にはホルダ9の係止突起77が係合し、これによりホルダ9とピボットプレート10がピボット軸76の中心を通る前後方向軸の回りに相対回転するのを阻止している。
【0038】
図10に示すように、ピボットプレート10の前面には、その前面側から見てピボット凹部80の右側、下側、左側に、ピボット凹部80の中心から等距離の位置であって互いに90度ずらして、3つの球面受け座85A,85B,85Cが設けられている。このうち前面側から見て右側と下側の球面受け座85A,85Bには、作動軸44A,44Bの先端に形成された球状の頭部86が嵌合し、頭部86の側部に突設された突起87が、球面受け座85A,85Bに形成された溝88に係合する。作動軸44A,44Bの頭部86がそれぞれ球面受け座85A,85Bに嵌合することにより、それぞれの頭部86と球面受け座85A,85Bとの摺動を許容しつつ、作動軸44A,44Bとピボットプレート10は不離一体に連結される。また、突起87が溝88に係合することにより、作動軸44A,44Bが作動軸自身の軸線回りに回転するのを阻止する。
ピボットプレート10がホルダ9に装着された状態において、左右の球面受け座85A,85Cの両中心を結ぶ仮想線は水平線となり、且つピボットプレート10の揺動支点を通る前後方向に延びる仮想線と直交する。
【0039】
なお、図1に示す自動車の前席左側のドアに取り付けられるドアミラー装置1では、3つの球面受け座85A,85B,85Cのうちピボットプレート10の前面側から見て下側と右側の球面受け座85A,85Bに作動軸44A,44Bの頭部86が嵌合し、左側の球面受け座85Cは使用されない。しかしながら、図11に示す自動車の前席右側のドア(図示略)に取り付けられるドアミラー装置1の場合では、ピボットプレート10の前面側から見て下側の球面受け座85Bに作動軸44Bの頭部86が嵌合し、ピボットプレート10の前面側から見て左側の球面受け座85Cに作動軸44Aの頭部86が嵌合し、ピボットプレート10の前面側から見て右側の球面受け座85Aが使用されない。
【0040】
また、ピボットプレート10の四隅には、ミラー係合部89が設けられている。ミラー係合部89は、平面視矩形の角孔90と角孔90を左右方向に跨ぐピン91とで構成されており、ミラーホルダ7に設けられた係合爪(図示略)が係合可能となっていて、前記係合爪をピン91に係合することによってミラーホルダ7がピボットプレート10に支持される。
【0041】
次に、駆動ユニット4の組み立て手順を簡単に説明する。
初めに、図示しない加圧台の上に、ピボットプレート10をピボット凹部80が上になるようにしてセットし、このピボットプレート10の上にホルダ9を配置する。その際には、ホルダ9の嵌合部63が上向きとなるように配置し、ホルダ9の4つの係止突起77とピボットプレート10の4つの回転規制ピン84とを対向させ、ホルダ9のピボット軸76とピボットプレート10のピボット凹部80とを対向させる。また、予めホルダ9の2つの孔70にグロメット71を装着しておく。
【0042】
次に、ホルダ9に、モータ40A,40B、ウォームギヤ41A,41B、ウォームホイールギヤ回転体43A,43B、作動軸44A,44Bを収容する。ここで、モータ40A,40Bおよびウォームギヤ41A,41Bをホルダ9に収容する際には、予めモータ40A,40Bの出力軸にウォームギヤ41A,41Bを装着しておき、モータ40A,40Bの端部40aをホルダ9のモータ用位置決めリブ67に嵌合し、端部40bをホルダ9のモータ用位置決めリブ68に嵌合する。これにより、ホルダ9に対してモータ40A,40Bが正確に位置決めされることとなる。また、ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bをホルダ9に収容する際には、ウォームホイールギヤ回転体43A,43Bの溝58にホルダ9のギヤ位置決め用リブ69を挿入する。これにより、ホルダ9に対してウォームホイールギヤ回転体43A,43Bのウォームホイールギヤ42が正確に位置決めされることとなる。そして、作動軸44A,44Bを収容する際には、グロメット71に挿通させながら、作動軸44A,44Bのねじ部564を、位置決め後のウォームホイールギヤ回転体43A,43Bの爪部53に螺合する。そして、作動軸44A,44Bの頭部86とピボットプレート10の球面受け座85A,85Bとを対向させ、作動軸44A,44Bの突起87を球面受け座85A,85Bの溝88に対向させる。
【0043】
次に、ホルダ9の上に、ブラケット8を載置する。その際には、ブラケット8におけるハウジング28の周壁部31の嵌合部33にホルダ9の嵌合部62を嵌合させる。これにより、ブラケット8のホルダ固定用のボス部57A〜57Dの先端がホルダ9の凹部72,75に対応して配置され、ホルダ9の各アーム部73の係止孔73aがハウジング28の各係止突起55に対応して配置され、ブラケット8のモータの仮位置決め用リブ46が両モータ40A,40Bの間に配置され、モータの仮位置決め用リブ47がモータ40A,40Bの外側に配置され、ギヤの仮位置決め用リブ49がウォームホイールギヤ回転体43A,43Bのカラー部52の外側に配置される。
【0044】
このようにミラー傾動用駆動部11をブラケット8とホルダ9の間に収容し、これらをピボットプレート10の上に重ねた状態にして、ブラケット8の上から圧力を加えると、ホルダ9のピボット軸76がピボットプレート10のピボット凹部80に圧入し、作動軸44A,44Bの頭部86がピボットプレート10の球面受け座85A,85Bに嵌入し、ホルダ9の各アーム部73の係止孔73aがハウジング28の各係止突起55に係合し、ホルダ9の各係止突起77がピボットプレート10の各回転規制ピン84に係合して、ブラケット8とホルダ9とピボットプレート10が一体化される。
【0045】
この後、これらを天地逆にして、ホルダ9のねじ挿通孔72a,75aからねじ部材(図示略)を挿入し、ボス部57A〜57Dにねじ込むことにより、ホルダ9をブラケット8に固定する。また、スプリング83をピボットプレート10の凸部81の付け根部に装着し、ブラケット8のケース12内に格納駆動用モータ14、シャフト15、歯車列16等を収納し、キャップ18を取り付けて、駆動ユニット4が完成する。
【0046】
このように構成されたドアミラー装置1においては、作動軸44A,44Bがそれ自身の軸心周りに回転不能にピボットプレート10に連結されるので、車室内の運転席近傍のスイッチ(図示略)を操作してモータ40Aを回転し、ウォームホイールギヤ回転体43Aを回転すると、作動軸44Aが前後に進退動し、ピボットプレート10を左右方向に揺動することができる。同様に、スイッチ操作によりモータ40Bを回転し、ウォームホイールギヤ回転体43Bを回転すると、作動軸44Bが前後に進退動し、ピボットプレート10を上下方向に揺動することができる。これにより、ピボットプレート10に保持されたミラーユニット3を後方視認に最適な所望の方向に傾けることが可能となる。
【0047】
このドアミラー装置1においては、ブラケット8にハウジング28を一体に形成し、このハウジング28とホルダ9との間にミラー傾動用駆動部11を収納しているので、従来のように二分割型のケース内にミラー傾動用駆動部を収納し、これをブラケットに取り付ける場合に比して、部品点数を1つ減らすことができる。
また、ホルダ9のピボット軸76をピボットプレート10のピボット凹部80に圧入することによってピボットプレート10をホルダ9に揺動可能に連結しているので、従来のようにホルダ9とピボットプレート10とを離脱不能にする手段(例えばボルトなど)が不要となり、部品点数を削減することができる。
その結果、ドアミラー装置1のコストダウンを図ることができる。
また、同一の組み付けライン上で、ブラケット8とホルダ9とを組み付けることができるとともに、ホルダ9とピボットプレート10とを組み付けることができ、しかも、上下を反転させる工程を削減することができるので、組み付けを簡素化することができ、生産性が向上する。
【0048】
また、ブラケット8の水平基準線Hに対して45度の仰角をなし且つピボットプレート10の揺動支点を通るホルダ9の仮想基準線Shに対して、ミラー傾動用駆動部11の2つの作動軸44A,44Bが互いに線対称の位置に配置され且つ揺動支点を中心にして90度の間隔で振り分けられており、さらに、ブラケット8とホルダ9との取付部(すなわち、ブラケット8のホルダ固定用のボス部57A〜57D、ブラケット8の係止突起55、ブラケット8の周壁部33の嵌合部33、ホルダ9のアーム部73、ホルダ9の脚部74、ホルダ9の嵌合部63)が仮想基準線S,Shに対して線対称な位置に配置されているので、図6に示す左側ドア用のドアミラー装置1のホルダ9と、図11に示す右側ドア用のドアミラー装置1のホルダ9を共用することができる。なお、図6および図11から明らかなように、ブラケット8については左右共用とするわけにはいかないので、左側ドア用のドアミラー装置1に専用のブラケット8と、右側ドア用のドアミラー装置1に専用のブラケット8を用意する。なお、左ドア用のブラケット8と右ドア用のブラケット8は互いに左右対称な形状をなす以外は同一構成である。
【0049】
さらに、ホルダ9とピボットプレート10の相対回転を阻止するためにホルダ9に設けられた4つの係止突起77が、ピボット軸76の中心から等距離に配置され且つピボット軸76を中心にして90度間隔に配置されており、左右の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は水平線となり、上下の係止突起77,77の中心同士を結ぶ仮想線は鉛直線となっていて、ピボットプレート10が左右対称形をなし、係止突起77に対応して回転規制ピン84が設けられているので、図6に示す前席左側ドア用のドアミラー装置1のピボットプレート10と、図11に示す前席右側ドア用のドアミラー装置1のピボットプレート10を共用することができる。
このように、ホルダ9およびピボットプレート10を左右のドアミラー装置1の共用部品とすることができる。その結果、部品管理が容易となり、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0050】
4 駆動ユニット(鏡面角度調整装置)
6 ミラー
8 ブラケット
9 ホルダ
10 ピボットプレート
11 ミラー傾動用駆動部
33 嵌合部(取付部)
44A,44B 作動軸
55 係止突起(取付部)
57A〜57D ボス部(取付部)
63 嵌合部(取付部)
73 アーム部(取付部)
74 脚部(取付部)
76 ピボット軸(ピボット部)
80 ピボット凹部(ピボット部)
H 水平基準線
Sh 仮想基準線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーを支持するピボットプレートがピボット部を中心にしてホルダに三次元的に揺動可能に取り付けられ、前記ホルダは車体に設置されるブラケットに取り付けられ、前記ブラケットと前記ホルダとの間にミラー傾動用駆動部が収納され、このミラー傾動用駆動部の作動軸が前記ホルダを貫通して前記ピボットプレートに連結されていることを特徴とする鏡面角度調整装置。
【請求項2】
前記ミラー傾動用駆動部は前記作動軸を2本備え、前記ホルダは前記ブラケットに対する取付部を複数備え、
前記ブラケットの水平基準線に対して略45度の仰角をなし且つ前記ピボット部による揺動支点を通る仮想基準線に対して、前記ミラー傾動用駆動部の2本の前記作動軸が互いに線対称の位置に配置されるとともに、前記複数の取付部が前記仮想基準線に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡面角度調整装置。
【請求項1】
ミラーを支持するピボットプレートがピボット部を中心にしてホルダに三次元的に揺動可能に取り付けられ、前記ホルダは車体に設置されるブラケットに取り付けられ、前記ブラケットと前記ホルダとの間にミラー傾動用駆動部が収納され、このミラー傾動用駆動部の作動軸が前記ホルダを貫通して前記ピボットプレートに連結されていることを特徴とする鏡面角度調整装置。
【請求項2】
前記ミラー傾動用駆動部は前記作動軸を2本備え、前記ホルダは前記ブラケットに対する取付部を複数備え、
前記ブラケットの水平基準線に対して略45度の仰角をなし且つ前記ピボット部による揺動支点を通る仮想基準線に対して、前記ミラー傾動用駆動部の2本の前記作動軸が互いに線対称の位置に配置されるとともに、前記複数の取付部が前記仮想基準線に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡面角度調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−102065(P2011−102065A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257144(P2009−257144)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】
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