説明

鏡餅飾り用固定カバー具

【課題】鏡餅容器上に載置する各種の飾り物を鏡餅容器上に位置ずれを生じさせずに載置でき、その飾り物の大小、高低等が異なっていて安定して確実に固定できる。
【解決手段】餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器P上に載置する飾り物Dを支持する固定カバー具であって、鏡餅容器Pを覆って鏡餅容器Pに固定させる固定体2と、鏡餅容器P上に載置する飾り物Dを支持する支持体5とを一体にしたカバー具本体1を形成する。このカバー具本体1の支持体5は、固定体2の頂部に上方に向かって筒状に膨出形成してあって、飾り物Dを支持する上部開放の支持部6を形成する。支持部6は、支持体5の頂部に、この頂部の周縁から支持体5の中心側下方に向かって傾斜し、端縁が飾り物Dを押圧当接している適数の押圧片7を配設してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鏡餅としてパック詰めされる鏡餅容器上に例えば干支の動物等を模したフィギュア、正月用の例えば橙となる各種の飾り物等を載置させた状態で、これらの飾り物を鏡餅容器上に固定するとき、飾り物の大小、高低その他に相違があってもこれらを確実に係止固定でき、体裁を良好にする鏡餅飾り用固定カバー具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、餅をパック詰めすることで二段重ね状の鏡餅を呈するようにした各種の鏡餅容器が提案されており、またその鏡餅容器上に正月のお祝いに相応しくなっている例えば橙を模した各種の飾り物を載置し、またこの橙風の飾り物に限らず、干支の動物を模した各種のフィギュアを載置し、固定することで装飾効果を増大させた鏡餅が販売されている。そのため、鏡餅容器上に飾り物を載置固定するために例えば特許文献1に係る鏡餅飾りの保持具と鏡餅包装体、特許文献2に係る包装鏡餅、特許文献3に係る飾り具等が提案されている。
【0003】
特許文献1に係る保持具・包装体は、二段重ね餅状に形成した鏡餅容器上に載せた橙飾りを、この橙飾りと鏡餅容器の上段部とを覆うように保持具を被せ付けるものである。特許文献2の包装鏡餅は、鏡餅形状体の頂部に膨出部を形成し、この膨出部に、下部が開放されてみかんを呈している疑似みかんを被せるとしたものである。特許文献3に係る飾り具は、二段重ね状の鏡餅形態を有する鏡餅容器上に載置した飾り具を覆い、鏡餅容器の上段部に嵌合する透明カバーとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−341959号公報
【特許文献2】登録実用新案第3070755号公報
【特許文献3】特開2006−552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところがこれらはいずれも、鏡餅容器上の飾り物を覆う中空の器・ボックス状を呈していて、その飾り物等を覆い収納する収納部分の大きさは一定のものとして用意されている。そのため、例えば干支の動物を模したフィギュアである場合、その干支の動物等をデフォルメするときに収納部分の容量を考慮しなければならないから干支の動物によっては相当程度に小型化する必要がある。そうすると、干支の動物等として表現されていても一見しただけではどのような干支の動物であるのかが不明となり、それを認識理解できないことが生じ、封入、収納することでの販売促進には寄与しない結果となる。
【0006】
また、逆に干支の動物等をデフォルメするときにある程度の大きさとして、それらの飾り物に大小、高低が生じたりした場合に、飾り物大きさに対応させて覆い収納部分の大きさ、高さ等を変更しなければならいとすると、これは極めて面倒である。例えば干支の動物等を模したフィギュアである場合、それが例えば卯年用のウサギであるとその特徴である耳部をデフォルメし、強調するあまり、覆い部分を高く、大きくしなければならなくなるから、その対応は実際上は極めて困難である。一方、予め余裕を持たせて大きくしておくと、逆に小型化された飾り物を覆う場合には、覆い部分内でずれ動き、飾り態様が不体裁なものとなる。
【0007】
そればかりでなく、従来の保持具・包装体が鏡餅容器の上段部を覆うように比較的に肉薄の素材にて透明カバーが形成されている場合、鏡餅容器とは別個にして、この透明カバー自体を複数で重ね合わせて保管し、また準備しておくことが多く、使用時にそれらを1個毎に分離し、飾り物と合わせて鏡餅容器に被せている。ところが、このように複数で重ね合わせておくと、素材が肉薄の合成樹脂であることと相俟ち、重ね合わせた相互間では真空に近くなって負圧が生じ、ぴったりと付着した状態となってしまう。そうすると、それらを1個毎に分離するのは極めて困難となるから、全体作業の能率向上を図る上で問題となっていた。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は鏡餅容器上に載置する例えば橙等の正月用の飾り、干支の動物を模したフィギュア等の各種の飾り物を鏡餅容器上に位置ずれを生じさせずに載置でき、その飾り物の大小、高低等が異なっていてもそれらに対応して安定的に、確実に固定できるようにし、また、鏡餅容器に被せる使用前で多数を重ね合わせて保管しておいても、それらを1個毎に簡単に分離できる鏡餅飾り用固定カバー具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する固定カバー具であって、鏡餅容器Pを覆って鏡餅容器Pに固定させる固定体2と、鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する支持体5とを一体形成して成るカバー具本体1を形成し、カバー具本体1には、飾り物Dを支持する支持部6、あるいは積み重ねたカバー具本体1を分離させる分離手段10,15の少なくともいずれか一方を形成したことを特徴とする。
また、餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する固定カバー具であって、鏡餅容器Pを覆って鏡餅容器Pに固定させる固定体2と、鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する支持体5とを一体形成して成るカバー具本体1を形成し、このカバー具本体1の支持体5は、固定体2の頂部に上方に向かって筒状に膨出形成され、飾り物Dを支持する上部開放の支持部6を形成したことを特徴とする。
支持部6は、支持体5の頂部に、この頂部の周縁から支持体5の中心側下方に向かって傾斜し、端縁が飾り物Dを押圧当接している適数の押圧片7を配設して、あるいは支持体5の頂部に、この頂部の周縁から頂部の中心に至る細幅状の渦巻き線となっている切り抜きによって渦巻き状を呈する押圧渦巻き片8を形成して、あるいは支持体5の頂部に、この頂部の周縁部分を残して窪み部分を円形状に刳り抜くことで、窪み部分の傾斜部分による円環状の押圧環片9を形成して構成することができる。
また、餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する固定カバー具であって、鏡餅容器Pを覆って鏡餅容器Pに固定させるカバー具本体1を形成し、このカバー具本体1は、積み重ねたカバー具本体1を分離させる分離手段10,15の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする。
第1の分離手段10は、カバー具本体1における鏡餅容器Pの上段部分を覆う覆い部3の下部の周囲に、覆い部3内方に窪む適数の分離窪み11を形成して構成することができる。
第2の分離手段15は、カバー具本体1における鏡餅容器Pの上段部分を覆う覆い部3の下部の周囲に、覆い部3内方に窪ませて、下部では幅広で上部に至るに伴い次第に狭幅にすると共に、覆い部3の高さ方向に対して同方向に傾斜配置されている適数の分離傾斜窪み16を形成して構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係る鏡餅飾り用固定カバー具にあって、カバー具本体1の支持体5は、飾り物Dを載置した鏡餅容器Pをカバー具本体1によって覆い固定するとき、載置された飾り物Dをその支持部6によって支持し、支持体5頂部の開放部分による支持部6は飾り物Dに大小、高低等があってもそれらを支持する対応性を備える。
端縁が飾り物Dを押圧当接している適数の押圧片7を配設して成る支持部6は、飾り物Dの上部面に半ば弾性的に当接して飾り物Dを位置決め支持させる。
渦巻き状を呈する押圧渦巻き片8から成る支持部6は、飾り物Dの上部面に自身の片面が半ば弾発的に当接して飾り物Dを位置決め支持させる。
円環状の押圧環片9から成る支持部6は、飾り物Dの上部面を環状に当接して押圧し、飾り物Dを位置決め支持させる。
また、カバー具本体1において、覆い部3内方に窪む適数の分離窪み11を形成した第1の分離手段10は、分離窪み11の内側面側を、内側に積み重ねてある他の固定カバー具の覆い部3外側面に当接することで、積み重ねた他の固定カバー具と若干の空隙を生じさせ、分離を容易にさせる。
下部が広幅で、上部が狭幅となって同方向に傾斜している分離傾斜窪み16を形成した第2の分離手段15は、積み重ねた固定カバー具同士の内外側面相互間で若干の空隙を生じさせ、ひねるように回転させることでそれぞれに容易に分離させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、鏡餅容器P上に載置する例えば橙等の正月用の飾り、干支を模したフィギュア等の各種の飾り物Dを鏡餅容器P上に、飾り物Dを支持体5内に位置決めしてカバー具本体1を鏡餅容器Pに被せるだけで、飾り物Dに位置ずれを生じさせずに鏡餅容器P上の所定位置に飾り物Dを固定載置できる。また、支持体5の支持部6は開放構造であるために、載置固定する飾り物Dに大小、高低等があってそれらが異なっていてもそれらに対応して安定的に、確実に固定できる。
【0012】
すなわち、これは本発明において、鏡餅容器Pに固定させる固定体2と、鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する支持体5とを一体形成して成るカバー具本体1を形成し、このカバー具本体1の支持体5は、固定体2の頂部に上方に向かって筒状に膨出形成され、飾り物Dを支持する上部開放の支持部6を形成したからである。これによって、飾り物Dの支持安定性、大小、高低等が異なる各種の飾り物Dへの対応性に優れ、特に、干支の動物等を模した飾り物Dであるときに、従来と異なり無理に小型化する必要がなく、それらの干支の動物の特徴が表現されているある程度の大きさのものとし、その結果、それぞれに大小、高低が異なることになっても、一態様の支持部6によってそれぞれに対応可能であるから、別個に用意せずに済み、汎用性に優れる。
【0013】
また、支持部6は、端縁が飾り物Dを押圧当接している適数の押圧片7、渦巻き状を呈する押圧渦巻き片8、円環状の押圧環片9のいずれかにて形成されて成るから、支持体5内に収納載置された飾り物Dをその上方、側方等から押さえバネ的な作用が生じて半ば弾発的に支持し、支持体5内でしっかりと位置決めさせ、固定できる。しかも、従来であれば、飾り物Dを載置したままで、更にボックス状の別個に用意した包装容器内に収納することで飾り物Dの紛失、固定その他を図っていたのに比し、そのボックス状包装容器を用意せずに済み、そのためコストも低減できる。
【0014】
一方、第1の分離手段10においては、覆い部3内方に窪む適数の分離窪み11を形成してあることで、積み重ねた固定カバー具相互間に空隙を生じさせているから、固定カバー具相互間に負圧を生じさせず、例え肉薄な素材によって形成されていても、それらを損傷させることなく容易に分離できる。
【0015】
また、第2の分離手段15においては、下部が広幅で、上部が狭幅となって同方向に傾斜している分離傾斜窪み16を形成してあることで、積み重ねた固定カバー具自体をひねるように回転させることで、固定カバー具それぞれを簡単容易に分離できる。
【0016】
いずれの分離手段10,15にあっても、多数の固定カバー具を重ね合わせてあるとき、その重ね合わせ部分でぴったりと密着しているようになっていても、支持体5における支持部6が開放構造であることと相俟ち、固定カバー具相互間で負圧状になることはなく、分離時には容易に分離できるのであり、肉薄な合成樹脂を素材とした構造であっても、分離作業時に損傷されることはない。
【0017】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す使用時における分解斜視図である。
【図2】同じくその一部切欠正面である。
【図3】同じく他の実施の形態における斜視図である。
【図4】同じくその使用時における一部切欠正面図である。
【図5】同じく他の実施の形態における斜視図である。
【図6】同じくその使用時の一部切欠正面である。
【図7】同じく他の飾り物を収納支持したときの一部切欠正面である。
【図8】同じく他の飾り物を収納支持したときの一部切欠正面である。
【図9】同じく他の飾り物を収納支持したときの一部切欠正面である。
【図10】同じく固定カバー具を複数で積み重ね保管するとき、それぞれに分離容易とさせる分離手段を形成した固定カバー具の斜視図である。
【図11】同じくその積み重ね時の断面図である。
【図12】同じく分離手段の他の実施の形態における斜視図である。
【図13】同じくその積み重ね時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は例えば二段重ね状の鏡餅を呈する所定の鏡餅容器P上に載置される各種の飾り物Dを覆うように支持して、その飾り物Dを鏡餅容器P上に位置決めして鏡餅容器Pに固定されるカバー具本体であり、適宜肉厚の透明な合成樹脂によって形成されている。
【0020】
このカバー具本体1は、鏡餅容器Pを覆って鏡餅容器Pに固定させる固定体2と、鏡餅容器P上に載置される飾り物Dを支持する支持体5とを一体形成して成る。固定体2は、鏡餅容器Pにおける上段部分を覆うようほぼ椀状を呈する覆い部3の開口下端に、同じく鏡餅容器Pの下段部分と上段部分との間である括れ部分に係止するよう内方に若干窄ませて成る係止部4を備えている。すなわち覆い部3は、鏡餅容器Pにおける上段部分に密着して嵌め合わせられるよう、上段部分の外形に沿う内形を有し、係止部4をやや拡開させながら上段部分に強制的にでも被せられるようになっている。
【0021】
支持体5は、固定体2の頂部に上方に向かって筒状に膨出すると共に上部を開放することで固定体2と一体にして形成してあり、内法大きさは支持する飾り物Dの外形大きさに比し小さくはないものとしてある。この支持体5の横断形状は図示のようにほぼ円形状とすることで鏡餅容器Pに組み合わせて支持する飾り物Dの方向性を考慮する必要がないが、必要があれば横断面で三角形、四角形その他の多角形状に形成することも可能である。また、この支持体5自体はその基部から頂部に至るに伴いやや小さくなる窄まり状に形成することで、固定体2と共に多重段に積み重ねた状態でコンパクトに保管できるように配慮してある。
【0022】
この支持体5の上部の開放部分は、支持体5内に収納支持する飾り物Dをこの飾り物D自体の例えば上部を係止することで、飾り物Dの位置ずれ、飛び出し等を抑止する支持部6となっている。この支持部6自体によって、飾り物Dを例えばその上方から下方に向かって押圧したり、支持体5から上方に外出する飾り物Dの外出部分を周囲から押圧したり、支持体5内で飾り物Dを周囲から押圧したりすることで、押圧バネ的な弾性作用によって飾り物Dを支持体5内で支持している。そして、図例にあっての支持部6は、支持体5における頂部の中心側部分を周縁側部分に比し、下方の覆い部3側に向かってやや窪ませ、また開口してある。すなわち、その窪み部分底部及び周縁の傾斜部に所定の処理を施すことで開放状に形成させてあり、窪み部分の中心側に向かう傾斜部によって支持体5内に収納した飾り物Dに対する押圧部分を形成している。
【0023】
具体的には、図1、図2に示す支持部6は、支持体5の頂部に、この頂部の周縁から支持体5の中心側下方に向かって傾斜し、端縁が飾り物Dを押圧当接している適数の押圧片7を配設して成る。図示例にあっては、頂部の中心側から例えば三つ葉状に頂部自体をいわば切り抜くことによって、頂部の周縁部分を基部として、頂部の中心側にそれぞれが分離された状態で舌片状となって延びていることによる押圧舌片7を形成している。この押圧舌片7は、その端縁が下方に向かっていることによって、支持体5内に収納された飾り物Dの上部面に半ば弾発的に端縁が当接して飾り物Dを位置決め支持する。
【0024】
図3、図4に示す支持部6は、支持体5の頂部に、この頂部の周縁から頂部の中心に至る細幅状の渦巻き線となっている切り抜きによって渦巻き状を呈する押圧渦巻き片8を形成して成る。この押圧渦巻き片8は、頂部の窪み部分に形成されていることで支持体5内の下方にやや垂れ下がり状となり、支持体5内に収納された飾り物Dの上部面に自身の片面が半ば弾発的に当接して飾り物Dを位置決め支持する。
【0025】
図5、図6に示す支持部6は、支持体5の頂部に、この頂部の周縁部分を残して窪み部分を円形状に刳り抜くことで、窪み部分の傾斜部分による円環状の押圧環片9を形成して成る。この押圧環片9は、支持体5内に収納された飾り物Dの上部面に環状に当接して押圧し、飾り物Dを位置決め支持する。
【0026】
尚、図示を省略したが、頂部の窪み部分を円形状に刳り抜かずに放射状の切断線を設けることで、多数の押圧支持片を周縁に沿って配列して支持部6とすることも可能であり、このような放射状配列による押圧支持片によって、飾り物Dに対して、押圧支持片自身が湾曲状になって当接することで飾り物Dの側方から半ば弾発的に支持できる。
【0027】
また、図示を省略したが、押圧舌片7、押圧環片9から成る支持部6にあっては、支持部6上方から強制的にでも飾り物Dを挿入して支持体5内に収納させることもでき、取扱いを容易にする。
【0028】
このような支持体5の支持部6によると、例えば図2、図4、図6、図7に示すように支持体5内に収納された飾り物Dが支持部6によって飾り物Dの上方から弾発的に支持されたり、図8に示すように飾り物Dが例えばその上部の一部が支持部6の上方に突出された状態で支持されたり、図9に示すようにウサギを模してある飾り物Dの一部例えばその耳部が大きく上方に突出した状態で支持されたりする。いずれにしても、支持部6の弾性作用、更には開放部分を利用することで、支持体5内に収納した飾り物Dをしっかりと支持できるようにしている。
【0029】
また、図10乃至図13には、本発明に係る固定カバー具自体、すなわちカバー具本体1を複数で積み重ねた保管時に、個々の固定カバー具それぞれに分離容易とさせる分離手段10,15が示されている。図10、図11に示される第1の分離手段10は、前記覆い部3の下部の周囲に、覆い部3内方に窪む適数の分離窪み11を形成して成り、この分離窪み11は覆い部3の素材厚に比し大きい深さを有するように形成してあって、例えば円形窪み状に形成される。こうすることで多数の本発明に係る固定カバー具を覆い部3によって重ね合わせて保管するとき、分離窪み11における覆い部3の内方側の内側面を重ね合わせる内側の固定カバー具の覆い部3外側面に当接させておくことで、重ね合わせる固定カバー具相互が密着せずにそれらの相互間に所定の空隙、更には位置ずれが生じ、分離を容易にさせる。
【0030】
図12、図13に示される第2の分離手段15は、前記覆い部3の下部の周囲に、覆い部3内方に窪ませて、下部では幅広で上部に至るに伴い次第に狭幅にすると共に、覆い部3の高さ方向に対して同方向に傾斜配置されている適数の分離傾斜窪み16を形成して成る。この分離傾斜窪み16は覆い部3の素材厚に比し大きい深さを有するように形成してあって、例えば細長水滴形窪み状に形成される。こうすることで多数の本発明に係る固定カバー具を覆い部3によって重ね合わせて保管するとき、分離傾斜窪み16における覆い部3の内方側の内側面を、重ね合わせる内側の固定カバー具の覆い部3の外側面に重ね合わせられても、この分離傾斜窪み16における狭幅状の上部に向かう傾斜方向に沿うように捻り回転させることで、分離を容易にさせる。また、この第2の分離手段15においても、第1の分離手段10と同様に分離傾斜窪み16における覆い部3の内方側の内側面を、積み重ねている内側の固定カバー具の覆い部3外側面に当接させておくことで、重ね合わせる固定カバー具相互が密着せずにそれらの相互間に所定の空隙が生じ、分離を容易にする。
【0031】
尚、これらの第1,第2の分離手段10,15は、上述した支持部6のいずれかと組み合わせて覆い部3に設けられても良く、また、場合によっては支持部6とは別個にして第1あるいは第2の分離手段10,15のみを独自に構成することも可能である。
【0032】
次にこれの使用の一例を説明すると、所定量の餅を充填して鏡餅となっている鏡餅容器P上に所定の飾り物D、例えば干支を模したフィギュア等を載置するとき、支持体5内に飾り物Dが収納されるようにして、カバー具本体1を、その固定体2によって鏡餅容器Pの上段部分に被せるようにする。支持体5によって飾り物Dを支持するとき、その支持部6が飾り物Dを押圧支持するのであり、その支持状態で係止部4を鏡餅容器Pの括れ部分に嵌め合わせることでカバー具本体1を鏡餅容器Pに固定する。こうすることでカバー具本体1によって鏡餅容器P上に飾り物Dが位置決めされて支持固定される。
【0033】
また、飾り物Dを収納支持すべく、多数個で重ねて保管しておいたカバー具本体1を分離使用するとき、分離手段10,15によってカバー具本体1それぞれに個別に容易に分離でき、分離したカバー具本体1それぞれで飾り物Dを収納し、鏡餅容器Pに嵌め合わせれば良い。
【符号の説明】
【0034】
D…飾り物 P…鏡餅容器
1…カバー具本体 2…固定体
3…覆い部 4…係止部
5…支持体 6…支持部
7…押圧舌片 8…押圧渦巻き片
9…押圧環片
10…第1の分離手段 11…分離窪み
15…第2の分離手段 16…分離傾斜窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器上に載置される飾り物を支持する固定カバー具であって、鏡餅容器を覆って鏡餅容器に固定させる固定体と、鏡餅容器上に載置される飾り物を支持する支持体とを一体形成して成るカバー具本体を形成し、このカバー具本体には、飾り物を支持する支持部、あるいは積み重ねたカバー具本体を分離させる分離手段の少なくともいずれか一方を形成したことを特徴とする鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項2】
餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器上に載置される飾り物を支持する固定カバー具であって、鏡餅容器を覆って鏡餅容器に固定させる固定体と、鏡餅容器上に載置される飾り物を支持する支持体とを一体形成して成るカバー具本体を形成し、このカバー具本体の支持体は、固定体の頂部に上方に向かって筒状に膨出形成され、飾り物を支持する上部開放の支持部を形成したことを特徴とする鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項3】
支持部は、支持体の頂部に、この頂部の周縁から支持体の中心側下方に向かって傾斜し、端縁が飾り物を押圧当接している適数の押圧片を配設して成る請求項1または2に記載の鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項4】
支持部は、支持体の頂部に、この頂部の周縁から頂部の中心に至る細幅状の渦巻き線となっている切り抜きによって渦巻き状を呈する押圧渦巻き片を形成して成る請求項1または2に記載の鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項5】
支持部は、支持体の頂部に、この頂部の周縁部分を残して窪み部分を円形状に刳り抜くことで、窪み部分の傾斜部分による円環状の押圧環片を形成して成る請求項1または2に記載の鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項6】
餅を充填して重ね餅状の外形を呈する鏡餅容器上に載置される飾り物を支持する固定カバー具であって、鏡餅容器を覆って鏡餅容器に固定させるカバー具本体を形成し、このカバー具本体は、積み重ねたカバー具本体を分離させる分離手段を備えていることを特徴とする鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項7】
分離手段は、カバー具本体の固定体における鏡餅容器の上段部分を覆う覆い部の下部の周囲に、覆い部内方に窪む適数の分離窪みを形成して成る請求項1あるいは3乃至6のいずれかに記載の鏡餅飾り用固定カバー具。
【請求項8】
分離手段は、カバー具本体の固定体における鏡餅容器の上段部分を覆う覆い部の下部の周囲に、覆い部内方に窪ませて、下部では幅広で上部に至るに伴い次第に狭幅にすると共に、覆い部の高さ方向に対して同方向に傾斜配置されている適数の分離傾斜窪みを形成して成る請求項1あるいは3乃至6のいずれかに記載の鏡餅飾り用固定カバー具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−192957(P2012−192957A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58639(P2011−58639)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(503415127)有限会社 タイヨー (19)
【Fターム(参考)】