説明

長く延ばされた金属要素を金属の層でコーティングするためのデバイス及び方法

長く延ばされた金属要素(1)の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイス及び方法であって、金属要素を、溶融金属の槽(2)の中を通して連続的に移送することによりコーティングが付着されるように構成され、この金属要素は、予め定められた移送経路(X)に沿って移送方向に(3)前記槽から移送される。前記デバイスは、金属要素から過剰な溶融金属を除去するために金属要素(1)のそれぞれの側に一つのワイピング部材を有する少なくとも一対の電磁的なワイピング部材を有し、各ワイピング部材はワイピング・ポール(5)を有している。前記デバイスは、前記予め定められた移送経路(X)に対して金属要素の位置を安定化するために金属要素(1)のそれぞれの側に一つの安定化部材を有する少なくとも一対の電磁的な安定化部材を有し、この安定化部材は安定化ポール(5)を有している。金属要素(1)の同じ側の前記ワイピング部材及び前記安定化部材は、前記ワイピング・ポール(5)と前記安定化ポール(5)が一致するように配置されている(図1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長く延ばされた金属要素の上の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイスに係る。ここで、コーティングは、溶融金属の槽の中を通して、長く延ばされた金属要素を連続的に移送することにより付着され、そして、金属要素は、予め定められた移送経路に沿って移送方向に前記槽から移送される。
【0002】
本発明はまた、長く延ばされた金属要素の上の金属コーティングの厚さをコントロールするための方法に係る。コーティングは、溶融金属の槽の中を通して金属要素を連続的に移送することにより付着される。
【0003】
そのようなデバイス及びそのような方法は、金属ストリップを連続的にメッキするときに特に優位性がある。本発明は、以下において、そのようなアプリケーションを参照しながら説明される。しかしながら、留意すべきことは、本発明は、例えば、ワイヤ、ロッド、パイプまたは他の長く延ばされた要素のような、他の金属対象物のメッキにも適用可能であることである。また、留意すべきことは、本発明は、亜鉛以外の他のコーティング、例えば、スズまたはアルミニウム、またはこれらのまたは他の金属の混合物を用いた、長く延ばされた金属要素のコーティングにも適用可能であることである。
【背景技術】
【0004】
金属ストリップ、例えば鋼のストリップの連続メッキの間、鋼のストリップは、溶融金属(通常、亜鉛)を収容する槽の中を、連続的に通過する。槽の中で、ストリップは、通常、浸漬ロールの下を通過し、それから、安定化及び修正ロールを通って上方へ移動する。ストリップは、槽から出て、ワイパー・デバイス(例えば、ガス・ナイフまたは電磁的ワイパー)を通って移送される。電磁的ワイパーは、変化する磁場を発生し、この磁場は、コーティングの厚さをコントロールするため、そして、金属槽から過剰な亜鉛を除去するために使用される。過剰な亜鉛は、槽に戻され、かくして再使用されることが可能になる。
【0005】
ストリップは、その後、コーティングが冷却され凝固されるまで、支持無しで移送される。コーティングされた鋼のストリップは、それから、アッパー・ロールを介して、ストリップを別個のストリップ要素に切断するため、またはストリップをロールに巻き取るための装置へガイドされまたは送られる。通常、ストリップは、浸漬ロールから、修正及び安定化ローラ及びガス・ナイフを通って、アッパー・ロールへ縦方向に移動する。
【0006】
鋼のストリップがメッキされるとき、一様な且つ薄い厚さのコーティングが求められる。過剰な溶融金属がバンドから除去され、コーティングが凝固された後に、コーティングの厚さをコントロールする一つの共通の方法は、ストリップが、例えばアッパー・ローラを通過した後に、コーティングの質量を測定することである。この読みは、ガス・ナイフをコントロールするために、従って、コーティングの厚さをコントロールするために使用される。
【0007】
しかしながら、鋼のストリップの幾何学的形状、ストリップが支持無しで走行しなければならない距離、その速度、及び電磁的ワイパーからの影響のために、金属ストリップが、その移送方向に対して実質的に垂直の方向に動くまたは振動することになる。何らかの手だて、例えば修正及び安定化ロールの使用、鋼のストリップの速度の調整、および/または、ストリップが支持無しで走行しなければならない距離の調整などが、これらの横切る方向の動きを減らすために採用されることがある。もし減少されなければ、これらの横切る方向の動きは、正確なワイピングを大きく妨げ、不均一なコーティング厚さをもたらすことになる。
【0008】
ストリップ上への更なる擾乱力が、ワイパー・デバイスにより引き起こされることがある。国際特許出願公開第WO−02/14574号には、金属ストリップの上のコーティングの厚さをコントロールするためのデバイスが開示されている。前記デバイスは、ストリップのそれぞれの側に配置された電磁的なワイピング部材を有し、この電磁的なワイピング部材は、ストリップの移送方向に交互に配置された二つのワイピング・ポールを有している。過剰な溶融金属が、コーティングに磁力を作用させるワイピング部材によって、対象物から除去される。
【0009】
前記デバイスはまた、ストリップのそれぞれの側に配置され、三つの安定化ポールを有する電磁的な安定化デバイスを有している。ワイピング部材からの擾乱力及びストリップの自由長さに起因するストリップの振動を減少させるため、各電磁的なワイピング・ポールは、ストリップの移送方向において二つの安定化ポールの間に配置されている。
【特許文献1】国際特許出願公開第WO−02/14574号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の狙いは、金属ストリップをコーティングするときに、金属コーティングの厚さをコントロールするための改善されたデバイスを示唆することにあり、従って、コーティングされたストリップの質を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一のアスペクトによれば、本発明は、請求項1に基づく、長く延ばされた金属要素の上の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイスに係る。長く延ばされた金属要素は、好ましくは金属ストリップである。
【0012】
金属ストリップの上の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイスにおいて、コーティングは、ストリップを溶融金属の槽の中を通してを連続的に移送することにより付着されるように構成される。ストリップは、予め定められた移送経路に沿って移送方向に槽から移送されるように構成され、このデバイスは、ストリップに移動磁場を作用させることによりストリップから過剰な溶融金属を除去するための一つのワイピング部材を、ストリップのそれぞれの側に有する少なくとも一対の電磁的なワイピング部材を有している。ここで、各ワイピング部材は、ワイピング・ポールを有している。このデバイスは、予め定められた移送経路に対してストリップの位置を安定化するための一つの安定化部材を、ストリップのそれぞれの側に有する少なくとも一対の電磁的な安定化部材を有している。ここで、各安定化部材は安定化ポールを有している。
【0013】
前記ワイピング部材、及びストリップの同じ側の前記安定化部材は、ワイピング・ポールと安定化ポールが一致するように配置されている。このことは、前記安定化部材からの安定化磁力が、前記ワイピング部材からの擾乱力と同じ領域に作用する結果をもたらす。安定化の力が、ストリップ上への前記ワイピング部材からの外乱と同じ領域に作用するので、シートの曲げ及び振動が減少する。
【0014】
他の利点は、前記デバイスが、先行技術のデバイスと比べてよりコンパクトなデザインを提供することである。前記ワイピング部材と前記安定化部材は、好ましくは、共通のマグネチック・コアを有している。この共通のマグネチック・コアは、リア及びフロントのマグネチック・コア部分を有している。
【0015】
一つの実施形態によれば、前記ワイピング部材及び前記安定化部材は一体化されたユニットを構成する。これは、前記デバイスのコンパクトなデザインを含意している。
【0016】
一つの実施形態によれば、前記ワイピング部材は二つの相巻線を有している。過剰な金属を除去するために、二つの相巻線のみを備え、以前のように三つの相巻線を備えていないワイピング・ポールを配置することによって、コーティング上でワイピング力のピークが一つのみ得られ、これは、過剰なコーティングの良好なワイピングを実現するために十分であることが判明した。これはまた、ワイピング・デバイスからの外乱が、ストリップの移送方向を横切るストリップの領域内でのみ生ずることも意味している。
【0017】
一つの実施形態によれば、前記安定化部材は安定化巻線を有している。この安定化巻線は、ストリップと相巻線の間に配置される。この安定化巻線を、ストリップと相巻線の間に配置することによって、前記安定化部材は、前記ワイピング部材と同じ領域に作用することができる。
【0018】
一つの実施形態によれば、前記マグネチック・コアは、実質的にT字型の断面を有していて、ベース及びルーフを有している。ベースは、実質的にフロント・マグネチック・コア部分からなり、このコア部分は、ワイピング・ポール及び安定化ポールを有し、ルーフは、実質的にリア・マグネチック・コア部分からなる。ルーフは、移送方向に対して実質的に平行な方向に配置され、ベースは、ルーフからストリップの方向へ伸びる。
【0019】
一つの実施形態によれば、前記安定化巻線は、ベースの周りに配置され、相巻線は、ベースのそれぞれの側で、ルーフの周りに配置される。これは、コンパクトなデザインを提供し、前記安定化部材からの安定化磁力が、ストリップの上の、ワイピング部材からのワイピング・ポールからの外乱が生ずる領域と同じ領域に作用する結果をもたらす。安定化の力が、ワイピング部材からの外乱と同じ領域に作用するので、シートの曲げ及び振動が減少することになり、それと同時に、コーティングの質が維持されまたは改善される。
【0020】
他の実施形態によれば、前記デバイスは、移送方向を横切る方向に、ワイピング部材の第一の対から間隔を開けて配置されたワイピング部材の第二の対を有している。これは、ストリップの幅を横切る方向の、更に改善された厚さのコントロールをもたらし、このことは、コーティングされたストリップの質の改善を含意している。
【0021】
一つの実施形態によれば、前記デバイスは、移送方向を横切る方向に、ワイピング部材の第一及び第二の対から間隔を開けて配置されたワイピング部材の第三の対を有している。三つのワイピング部材を、移送方向を横切って且つストリップの幅に沿って配置することにより、ワイパーの力及び安定化の力のコントロールが、それぞれのワイピング部材によりカバーされる正しくその領域で必要とされるの電流に調整されることが可能になる。
【0022】
例えば、一つのワイピング部材は、ストリップの中心線を横切って配置され、ワイピング部材のそれぞれの側の他の二つは、中心線を横切って配置される。これは、ストリップの幅を横切る方向の、更に改善された厚さのコントロールをもたらし、そのことは、コーティングされたストリップの改善された質を含意している。
【0023】
一つの実施形態によれば、その予め定められた移送経路に対するストリップの位置を検出するための、少なくとも一つのセンサーが、ワイピング部材の少なくとも一つの近傍に配置される。少なくとも一つのセンサーを、擾乱力が発生されるポイントの近傍に、例えばワイピング部材の近傍に、配置することにより、ストリップの位置の検出が改善される。これは、必然的に、ストリップの安定化の改善されたコントロールが実現され、従って、コーティングされたストリップの改善された質が実現されることが可能であることを意味している。
【0024】
一つの実施形態によれば、前記デバイスは、安定化ポールの、ストリップの最も近くにある部分の透磁率をコントロールするように構成された安定化要素を有している。この安定化要素は、例えば、前記安定化巻線の外側に配置された外部コイルを有している。安定化ポールの前記部分の透磁率は、それぞれの安定化ポールへのストリップの距離に基づいて決定される。安定化ポールの前記部分の透磁率をコントロールすることにより、安定化ポールの間でのストリップの位置がコントロールされる。
【0025】
一つの実施形態によれば、前記デバイスは、補助的なワイピング力を発生するために、ストリップの一つのエッジに電流を作用させるように構成された電気回路を有している。ストリップの一つのエッジに供給された電流は、ストリップのもう一方のエッジで、例えば閉じられた回路によりまたは短絡により、取り出される。補助的なワイピング力は、供給された電流とワイピング・ポールからの磁場の組み合わせにより形成され、かくして、槽の方向に下向きに向いた補助的なワイピング力を形成する。
【0026】
この電気回路は、ストリップの幅に沿うコーティングの厚さの所望の値と比較されたストリップの幅に沿うコーティングの実際の厚さに基づき、ストリップの少なくとも一つのエッジに供給される電流をコントロールするように構成されている。コーティングの実際の厚さは、例えば、ワイピング部材の後ろに配置されたコントロール・デバイスで測定される。この補助的なワイピング力は、通常、ストリップのエッジで最大となり、必要な場合には、ストリップを横切る方向でより均一なワイピングが得られることを可能にする。
【0027】
第二のアスペクトによれば、本発明は、請求項17に基づく、長く延ばされた金属要素の上の金属コーティングの厚さをコーティングするための方法に係る。一つの実施形態によれば、長く延ばされた金属要素は金属ストリップである。
【0028】
金属ストリップの上の金属コーティングの厚さをコントロールするとき、コーティングは、溶融金属の槽の中を通してストリップを連続的に移送することにより付着される。ストリップは、予め定められた移送経路に沿って移送方向に移送され、ストリップの上のまだ凝固していない金属コーティングに移動磁場を作用させることにより、過剰な溶融金属がストリップから除去される。更に、移動磁場がストリップに作用する領域と同じ領域で、ストリップに安定化磁力を作用させることにより、予め定められた移送経路に対する対象物の位置が安定化される。
【0029】
このようにして、外乱が生ずる領域と同じ領域でストリップが安定化され、そのことは、ストリップの曲げ及び振動を減少させ、従って、ワイパーのためのより高い力密度を可能にし、そのことは必然的に、ストリップの速度が増大されることを可能にし、ストリップの質を維持しまたは改善しながら、より早いプロセスが得られることを可能にする。
【0030】
コーティングの厚さは、過剰な溶融金属を除去した後に測定され、厚さの測定値及び厚さの所望の値が、移動磁場を作り出す二つの相巻線に流れる電流をコントロールする。
【0031】
一つの実施形態によれば、移送経路に対するストリップの位置が、例えば、予め定められた移送経路とストリップの実際の位置の間の距離のような、安定化磁力の強さをコントロールするパラメータの値を発生する少なくとも一つのセンサーにより決定される。前記安定化磁力は、それから、ストリップの位置に応じてストリップに加えられる。
【0032】
一つの実施形態によれば、少なくとも、安定化ポールの、ストリップに最も近くにある部分で透磁率をコントロールすることにより、ストリップが安定化される。安定化ポールの前記部分の透磁率は、例えば外部コイルを有する安定化要素によりコントロールされる。金属ストリップのワイピング・ポールの間での位置に基づいて、透磁率をコントロールすることにより、金属ストリップが、磁力のためにポールの内の一つの方向に移動することが防止され、ストリップが、ワイピング・ポールの間で中央に留まる。
【0033】
本発明の一つの実施形態によれば、電流が、金属ストリップのエッジの少なくとも一方に供給される。ワイピング・ポールからの磁場と結合された電流を供給することにより、下向きの力が得られ、この力が、均一なワイピング・アクションを得るために寄与する。この下向きの力は、ストリップのエッジで最大となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下において、本発明について、添付図面を参照しながら、実施形態の説明により、より詳細に説明する。
【0035】
以下の説明は、デバイス及び方法の両方に関係している。
図1は、金属ストリップ1上の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイスを示している。ストリップ1は、ストリップを槽2の中を通して連続的に移送することにより、溶融金属のレイヤでコーティングされる。ストリップは、槽から、予め定められた移送経路Xに沿って移送方向3に移送される。この予め定められた移送経路Xは、槽2に浸漬されたロールと、ワイピング及び安定化ユニット4a,4bの後に配置されアッパー・ロールとの間で、実質的に伸びている。ワイピング及び安定化ユニット4a,4bは、ストリップ1から過剰な溶融金属を除去するように、且つ、ストリップ1を安定化させるように構成されている。
【0036】
ワイピング及び安定化ユニット4a,4bは、第一の相のための第一の相巻線6a,6b及び第二の相のための第二の相巻線7a,7bを有するワイピング部材と;安定化巻線8a,8bを有する安定化部材と;共通のマグネチック・コア12a,12b(ワイピング及び安定化ポール5a,5bを有している)と;を有している。ワイピング及び安定化ユニット4a,4bは、ストリップの反対側に、実質的に同じレベルで、配置されている。
【0037】
マグネチック・コア12a,12bは、リア9a,9b及びフロント・マグネチック・コア部分を有し、実質的にT字型の断面を有し、ここで、この断面はベース及びルーフを有している。ベースは、フロント・マグネチック・コア部分により実質的に構成され、この部分は、ワイピング及び安定化ポール5a,5bを有している。ルーフは、リア・マグネチック・コア部分9a,9bにより実質的に構成されている。ルーフは、移送方向3に対して実質的に平行な方向に配置され、ベースは、ルーフからストリップ1の方向に伸びている。安定化巻線8a,8bは、ベースの周りに配置され、相巻線6a,6b,7a,7bは、ベースのそれぞれの側で、ルーフの周りに配置されている。
【0038】
相巻線6a,6b,7a,7bには、交流(図示せず)が供給され、ストリップ1上に交流磁場(移動磁場とも呼ばれる)を発生させる。前記磁場は、コーティング(図示せず)の中に、電流経路“I”を誘導し、力がストリップの移送方向に対して反対方向に、コーティングに作用する。ワイピング部材は、電磁場を実現するために、リニア・モータまたは電磁的スターラーの原理に基づいて作用する。このようにして、過剰なコーティング材料がストリップの長手方向に除去される。
【0039】
安定化巻線8a,8bには、安定化の力がストリップ1に対して垂直に作用するように、直流が供給される。安定化ポール5a,5bが、ワイピング・ポール5a,5bと一致するように構成されているので、安定化の力が、ワイピング・ポールからの外乱が生ずる領域と同じ領域でストリップに作用することが可能である。外乱または振動は、当然、ワイピング部材以外からも生ずることがあり、例えばストリップ1の自由長さ(即ち、ストリップ1が支持無しで走行する長さ)によっても生ずる。これらの外乱または振動もまた、前記ワイピング部材により安定化されることが可能である。ワイピング及び安定化ポール5a,5bは、予め定められた移送経路Xから規定された距離に配置されている。この距離は、当然、電流、ストリップ1の厚さ、及びコーティングの厚さによって変化する。
【0040】
図1は、その予め定められた移送経路Xに対するストリップの位置1を検出するためのセンサー10a,10bが、ストリップ1のそれぞれの側に配置されることを示している。センサー10a,10bが、ワイピング及び安定化ユニット4a,4bの近傍に配置されている。これらのセンサー10a,10bは、予め定められた移送経路Xに対するストリップの位置に依存するパラメータの値を検出するように構成されていて、それによって、安定化部材がストリップ1に検出値に対応する力を作用させる。センサー10a,10bからの信号は、信号処理装置(図示せず)の中で処理され、そして、コンバータ(図示せず)の中のコントロール・プログラムが、ストリップ1を安定化するために安定化巻線8a,8bに流れる電流をコントロールする。
【0041】
層の厚さを測定するために、コントロール・デバイス11a,11bが、ワイピング及び安定化ユニット4a,4bの後に配置されている。
【0042】
図2は、図1によるワイピング及び安定化ユニットの第一の対の中の第一のワイピング及び安定化ユニット4a,4bが、どのように、ストリップの幅に沿って配置されるかについて概略的に示している。
【0043】
図3は、ワイピング及び安定化ユニットの第二の対の中の第二のワイピング及び安定化ユニット17a,17bが、どのように、移送方向3を横切る方向に第二の対から間隔を開けて配置されるかについて概略的に示している。
【0044】
図4は、ワイピング及び安定化ユニットの第三の対の中の第三のワイピング及び安定化ユニット18a,18bが、どのように、移送方向3を横切る方向に第二の対から間隔を開けて配置されるかについて概略的に示している。図4はまた、コーティング更なるワイピング力を発生するために、どのように、回路16がストリップ1の一つのエッジ13aで電流(I)を作用させるように配置されるかについても概略的に示している。このワイピング力は、ワイピング部材4a,4b,4cからの電磁的な力と組み合わされて、この電流(I)により作り出される。電流(I)は、ストリップのもう一方のエッジ13bで取り出される。
【0045】
図5は、安定化ポール5a,5bの、少なくとも、ストリップの最も近くにある部分15a,15bの透磁率が、安定化要素(例えば外部コイルを有している)によりコントロールされることを示している。それぞれの部分15a,15bの透磁率は、一対のワイピング及び安定化ユニットの中のワイピング・ポール5a,5bの間で、金属ストリップが位置している位置に基づきコントロールされる。透磁率をコントロールすることにより、金属ストリップが磁力のためにポールの内の一つの方向へ移動することが防止され、それに代わって、ストリップがワイピング・ポール5a,5bの間で中央に保たれる。
【0046】
本発明は、ここに示された実施形態のみに限定されず、当業者は、当然、クレイムにより規定される本発明の範囲内で、様々なやり方でそれを変形することが可能である。例えば、ワイピング及び安定化ユニット4a,4b,17a,17b,18a,18bの三つの対が移送方向3を横切って配置される場合には、最も外側の二つのワイピング及び安定化ユニット4a,4b,18a,18bは、ストリップに沿って且つ移送方向を横切って、同一のラインの中に配置されることが可能であり、中央のワイピング及び安定化ユニット17a,17bは、二つの最も外側のワイピング及び安定化ユニット前または後に配置されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、金属ストリップの上の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイスの一つの実施形態の、側方から見た断面を概略的に示す。
【図2】図2は、図1の前記デバイスの第一の実施形態の、前方から見た図を概略的に示す。
【図3】図3は、図1の前記デバイスの第二の実施形態の、前方から見た図を概略的に示す。
【図4】図4は、図1の前記デバイスの第三の実施形態の、前方から見た図を概略的に示す。
【図5】図5は、ワイピング・ポールの、ストリップの最も近くに配置された端の飽和を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長く延ばされた金属要素(1)の上の金属コーティングの厚さをコントロールするためのデバイスであって、
金属要素(1)を、溶融金属の槽(2)の中を通して連続的に移送することによりコーティングが付着されるように構成され、且つ、この金属要素は、予め定められた移送経路(X)に沿って移送方向に(3)前記槽(2)から移送されるように構成され、
前記デバイスは、金属要素に移動磁場を作用させることにより金属要素から過剰な溶融金属を除去するために、金属要素のそれぞれの側に一つのワイピング部材を有する少なくとも一対の電磁的なワイピング部材を有し、各ワイピング部材は、ワイピング・ポール(5a,5b)を有し、
前記デバイスは、前記予め定められた移送経路(X)に対する金属要素の位置を安定化するために、金属要素のそれぞれの側に一つの安定化部材を有する少なくとも一対の電磁的な安定化部材を有し、各安定化部材は、安定化ポール(5a,5b)を有している、デバイスにおいて、
前記ワイピング部材が、第一及び第二の相巻線(6a,6b,7a,7b)を有していること、及び、
金属要素の同じ側の前記ワイピング部材と前記安定化部材が、前記ワイピング・ポール(5a,5b)と前記安定化ポール(5a,5b)が一致するように配置されていること、を特徴とするデバイス。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載のデバイス:
前記長く延ばされた金属要素は、金属ストリップ(1)である。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載のデバイス:
前記ワイピング部材及び前記安定化部材は、共通のマグネチック・コア(12a,12b)を有している。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のデバイス:
前記ワイピング部材及び前記安定化部材は、一体化されたユニットを形成している。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス:
前記安定化部材は、安定化巻線(8a,8b)を有している。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項2から5のいずれか1項に記載のデバイス:
前記安定化巻線(8a,8b)は、ストリップ(1)と前記相巻線(6a,6b,7a,7b)の間に配置されている。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項2から6のいずれか1項に記載のデバイス:
前記マグネチック・コア(12)は、実質的にT字型の断面を有し、ベース及びルーフを有し、
前記ルーフは、移送方向(3)に対して実質的に平行な方向に配置され、前記ベースは、前記ルーフからストリップ(1)の方向へ延びている。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項7に記載のデバイス:
前記安定化巻線(8)は、前記ベースの周りに配置され、前記相巻線(6a,6b,7a,7b)は、前記ベースのそれぞれの側で、前記ルーフの周りに配置されている。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項1から8のいずれか1項に記載のデバイス:
前記デバイスは、移送方向(3)を横切る方向に、ワイピング部材の第一の対から間隔を開けて配置された、ワイピング部材の第二の対を有している。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項9に記載のデバイス:
前記デバイスは、移送方向(3)を横切る方向に、ワイピング部材の第一及び第二の対から間隔を開けて配置された、ワイピング部材の第三の対を有している。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項2から10のいずれか1項に記載のデバイス:
予め定められた移送経路(X)に対する前記ストリップ(1)の位置を検出するための少なくとも一つのセンサー(10a,10b)が、前記ワイピング部材の少なくとも一つの近傍に配置されている。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項3から11のいずれか1項に記載のデバイス:
前記デバイスは、前記安定化ポール(5a,5b)の、ストリップ(1)の最も近くにある部分(15a,15b)の透磁率をコントロールするように構成された安定化要素を有している。
【請求項13】
下記特徴を有する請求項12のいずれか1項に記載のデバイス:
前記安定化要素は、前記安定化巻線(8a,8b)の外側に配置された外部コイル(14a,14b)を有している。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項2から13のいずれか1項に記載のデバイス:
前記デバイスは、更なるワイピング力を発生するために、ストリップ(1)の少なくとも一つのエッジ(13a,13b)に、電流(I)を作用させるように構成された回路(16)を有している。
【請求項15】
下記特徴を有する請求項14のいずれか1項に記載のデバイス:
前記回路(16)は、除去の後に測定されたコーティングの厚さに基づき、前記電流(I)をコントロールするように構成されている。
【請求項16】
長く延ばされた金属要素(1)の上の金属コーティングの厚さをコントロールするための方法であって、
金属要素を、溶融金属の槽(2)の中を通して連続的に移送することによりコーティングが付着される、方法において:
− 予め定められた移送経路(X)に沿って移送方向に(3)、金属要素(1)を移送し;
− まだ凝固していない金属コーティングを有する金属要素(1)に移動磁場を作用させることにより、長く延ばされた金属要素(1)から過剰な溶融金属を除去し;
− 過剰な溶融金属を除去した後に、コーティングの厚さを測定し、これによって、厚さの測定値と厚さの所望の値との差が、前記移動磁場を発生させる相巻線(6a,6b,7a,7b)に送られる電流をコントロールし;
− 前記移動磁場が金属要素に作用する領域と同じ領域で、前記長く延ばされた金属要素(1)に安定化磁力を作用させることにより、予め定められた移送経路(X)に対して対象物の位置を安定化させること;
を特徴とする方法。
【請求項17】
下記特徴を有する請求項16に記載の方法:
前記長く延ばされた金属要素は、金属ストリップ(1)である。
【請求項18】
下記特徴を有する請求項17に記載の方法:
− 安定化磁力の強さをコンロールするパラメータの値を発生する少なくとも一つのセンサー(10a,10b)により、移送経路(X)に対する前記ストリップ(1)の位置を決定し;
− 前記ストリップ(1)の位置に応じて、前記安定化磁力をストリップに作用させる。
【請求項19】
下記特徴を有する請求項17または18に記載の方法:
前記安定化ポール(5)の、少なくとも、ストリップ(1)に最も近い部分(15a,15b)の透磁率をコントロールすることにより、ストリップ(1)が安定化される。
【請求項20】
下記特徴を有する請求項19に記載の方法:
前記安定化ポール(5)の、少なくとも、ストリップ(1)に最も近い部分(15a,15b)の透磁率が、外部コイル(14a,14b)によりコントロールされる。
【請求項21】
下記特徴を有する請求項17から20のいずれか1項に記載の方法:
電流が、ストリップ(1)の少なくとも一つのエッジ(13a,13b)に供給され、それによって、前記移動磁場とともに、前記槽(2)の方向へ向けられたワイピング力が作り出される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−542542(P2008−542542A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514598(P2008−514598)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050154
【国際公開番号】WO2006/130102
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(504127740)アーベーベー・アーベー (19)
【Fターム(参考)】