説明

長ネギの根元部清浄装置および長ネギの処理装置

【課題】長ネギの根元部の表面を回転ブラシでクリーニングすると、周囲を汚し、また処理本数が多くなるにつれてクリーニング性が悪化する。
【解決手段】長ネギ3を水平姿勢の状態でその根元部3cの上面を清浄する長ネギの根元部清浄装置において、外周面を長ネギ清浄面とし、水平軸回りに無端回動自在な無端帯状の清浄帯610と、清浄帯610を挟持シリンダー613の動作で上挟持片614と下挟持片615により挟持した状態で送り用シリンダー612を送り動作させることで清浄帯610を一方向に間欠的に送り、この間欠送りにより清浄帯610で長ネギ3の根元部3cの上面を拭うようにしてクリーニングする。また、根元部3cのクリーニングで汚れた清浄帯610は清浄槽620で水洗される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した長ネギの根元部における外皮、表面に付着した土や砂などの不要物を除去する長ネギの根元部清浄装置、およびこの根元部清浄装置を備え、長ネギの毛根などを所望の長さに切り揃える根切り、皮剥き及び葉切りを連続して行う長ネギの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長ネギの処理装置は、処理項目に応じて種々の方式のものが提案され、実用化されている。その中でも特に、手動式以外の大量処理(自動化)にポイントをおいた従来技術として下記に示すものが知られている。
【0003】
(1)従来の長ネギの皮むき、根切り、葉切りなどの処理については、長ネギを支持体上に横向きに載せて搬送する搬送手段と、前記支持体上の長ネギの葉部側と根部側とを往復移動する移動体と、この移動体に設けられ、長ネギの茎心に向けて圧力流体を噴出しながら所定角度揺動する噴射ノズルと、この噴射ノズルで剥離された長ネギの外皮を剥ぎ取る剥ぎ取り装置とを備えている(特許文献1)。
【0004】
(2)根切り処理としては、根元部をカッターで切り落とす前に、ブラシ装置でネギの根を根側にしごきだして茎を露出させ、測定を行い易くしている。このブラシ装置として、回転ブラシを回転させながらネギの長さ方向に移動させるようにしており、この回転ブラシを水に垂らしておくようにしている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平08−191679号公報
【特許文献2】特開2000−238532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長ネギの処理装置は、取り扱う処理対象が土の中で育てられた自然物であり、同じ形状のものが二つとして存在することはなく、また長物野菜の特長として複雑な3次元の形状を呈しているため、長ネギの外皮の剥離作業を行なう以前の工程でこのような複雑で個々に異なる形状の長ネギを把握することも前記外皮の剥離作業等を正確で効率よく行なう点において重要なことでもある。
【0006】
特に、長ネギの根切りを自動化する場合、長ネギの根元部をカメラなどの撮像装置で撮像し、毛根などを所望の長さに切り揃えるための根切り位置をこの撮像情報に基づいて特定する手法を用いることが考えられるが、長ネギの根元部には土が付着しているため、予め長ネギの根元部を清浄する必要がある。
【0007】
その際、清浄装置として回転ブラシを用いると、回転ブラシ内の水や泥が直接飛散すると共に清浄時に長ネギの根元部から泥が飛散して周囲を汚すことがあり、また回転ブラシ内に溜まった泥が逆に長ネギの根元部を汚し、さらに舞い上がってしまうことがある。また、長ネギの根元部に余分な外皮が付着していることもあり、これが回転ブラシに絡まってしまい、長ネギの根元部の洗浄をし難くすることもある。この場合、根元部を撮像して画像処理する際、根元部の輪郭が明確に検出できず、根切り位置の判定が不適切となることが考えられる。
【0008】
本願発明の目的は、このような観点に鑑みなされたもので、清浄のために連続的に搬送される長ネギに対し、その根元部を常にきれいに清浄でき、また周囲を汚すことのない長ネギの根元部清浄装置を提供するものである。
【0009】
また、本願発明の他の目的は、連続的に根切り部に搬送される長ネギを常に適切な根切り位置で根切りでき、その後皮剥き、葉切り処理を連続的に行える長ネギの処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第1の構成は、請求項1に記載のように、長ネギを水平姿勢の状態で当該長ネギの根元部の上面を清浄する長ネギの根元部清浄装置において、外周面を長ネギ清浄面とし、水平軸回りに無端回動自在な無端帯状の清浄帯と、前記清浄帯を一方向に間欠的に回動させる駆動機構と、前記清浄帯を水洗いする水洗部と、を有し、前記清浄帯の回動軌道の途中に、前記長ネギの根元部の上面に当接する長ネギ当接部を設け、該長ネギ当接部よりも該清浄帯の回動方向下流側に前記水洗部を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第2の構成は、請求項2に記載のように、上記した第1の構成の長ネギの根元部清浄装置において、前記水洗部における前記清浄帯の回動軌道は、下向き凸に形成されていて、この下向き凸部が該水洗部に浸漬可能としていることを特徴とする。
【0012】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第3の構成は、請求項3に記載のように、上記いずれかの構成の長ネギの根元部清浄装置において、前記水洗部を通過した清浄帯の水切りを行う水切り手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第4の構成は、請求項4に記載のように、上記いずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置において、前記長ネギ当接部において前記長ネギの根元部上面と前記清浄帯の外周面との間に位置し、該清浄帯の間欠的回動と一体に移動して該清浄帯の外周面が該長ネギの根元部上面に直接に当接する前に該長ネギの根元部上面の泥を除去する除去板を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第5の構成は、請求項5に記載のように、上記いずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置において、前記清浄帯の回動軌道の途中に設けた長ネギ当接部は、長ネギの上方位置と該長ネギの根元部の上面位置との間を昇降可能としたことを特徴とする。
【0015】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第6の構成は、請求項6に記載のように、上記いずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置において、前記駆動機構は、前記清浄帯を挟持及び挟持解除可能とする挟持手段と、前記挟持手段を該清浄帯の間欠回動距離を直進往復送りさせる送り手段とを有し、該挟持手段は該清浄帯の間欠回動の際には該清浄帯の挟持を行い、戻る際には該清浄帯の挟持を解除することを特徴とする。
【0016】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第7の構成は、請求項7に記載のように、上記第6の構成の長ネギの根元部清浄装置において、前記除去板は前記挟持手段に一体的に設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第8の構成は、請求項8に記載のように、上記いずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置において、前記駆動機構は、前記清浄帯を複数回間欠回動することで該清浄帯が1周することを特徴とする。
【0018】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第9の構成は、請求項9に記載のように、上記いずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置において、前記清浄帯は、折ひだ状のひだ部を周方向に多数形成し、あるいはループ部を多数形成した布地により構成したことを特徴とする。
【0019】
本発明の目的を実現する長ネギの根元部清浄装置の第10の構成は、請求項10に記載のように、上記いずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置において、前記一方向に間欠回動する清浄帯と、前記駆動機構とを一体的に昇降可能に保持する昇降手段を有することを特徴とする。
【0020】
本発明の目的を実現する長ネギの処理装置は、請求項11に記載のように、長ネギを水平姿勢に保持して間欠搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送方向上流側から下流側に向かって長ネギの根元部を清浄する清浄部と、前記清浄部で清浄された長ネギの根切り位置を判定する根切り位置判定部と、前記根切り位置判定部の判定結果に基づいて長ネギの根切りを行う根切り部と、長ネギの表皮を圧縮空気により剥く表皮剥離部と、長ネギの葉部を切る葉切り部とを配置した長ネギの処理装置において、前記清浄部には、上記した第10の構成の長ネギの根元部清浄装置を配置し、長ネギが該清浄部に間欠移動すると、前記昇降手段を降下動作させて前記清浄帯の長ネギ当接部を水平姿勢の長ネギの根元部に当接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、清浄帯により長ネギの根元部の表面を部分的に拭うようにクリーニングするので、回転ブラシでクリーニングするように周囲に泥や汚水を飛散させることがない。しかも、清浄帯が一方向に間欠的に回動することで、クリーニングに供した清浄帯が水洗部で水洗されるため、長ネギ当接部には汚れが取れたきれいな清浄帯の外周面が供給され、長ネギの根元部の表面が清浄帯により汚れることがない。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、水洗部では水洗部の例えば水槽に清浄帯の一部が突っ込まれるように上方から浸漬できるので、清浄帯の汚れた部分が下方から上方へ折り返す部分で、清浄帯の内部に入り込んだ泥などを落下させることができ、清浄帯を目詰まりさせることなく、しかもきれいに清掃することができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、水洗部で水洗された清浄帯は水切りされるので、長ネギの根元部の上面を拭うようにしてクリーニングする際、土が余分な水分を含むことがなく、きれいに長ネギの根元部に付着した土や泥を拭い取ることができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、長ネギの根元部の表面に付着した外皮、土、泥などの除去を先ず除去板によりおおまかに例えば削ぎ取るようにして行い、回転ブラシでは絡まってしまう外皮等を除去することができ、清浄帯による次のクリーニング時の土や泥の拭い取る量を少なくできるので、清浄帯による清浄効果を増大させることができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、例えば清浄帯を昇降させるだけで、根元部の清浄済みの長ネギと次に根元部を清浄するための長ネギの交換を容易に行える。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、清浄帯を引っ張ることにより清浄帯の一方向間欠送りを実現しているので、電動モータなどの回転駆動手段が不要で、しかも所望する移動量を簡単に得ることができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、除去板を駆動するための機構を清浄帯の駆動機構と兼用できるため、除去板によるクリーニングと清浄帯によるクリーニングとを連続的に実行することができる。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、清浄帯が間欠送りされて停止している間に水洗部に到達している部分は水洗部で十分に水洗されるため、汚れが十分に水洗されていない部分で長ネギの根元部がクリーニングされる心配がない。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、清浄帯の外周面により長ネギの上面をきれいに拭って汚れをとることができ、また容易に水洗いすることができる。
【0030】
請求項10に係る発明によれば、装置全体をユニット化でき、また例えば長ネギの間欠送りに容易に対応することができる。
【0031】
請求項11に係る発明によれば、長ネギの根切り、表皮剥離、葉切りといった処理を行う長ネギの処理装置において、処理する長ネギの本数が多くなっても、長ネギの根元部の上面をきれいにクリーニングできるので、カメラなどでこの長ネギの根元部の上面を撮像し、これを画像処理して根切り位置を判定する際、書く長ネギの根切り位置を高精度に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明を図面に示す実施の形態に基づいて以下に説明する。
【0033】
図1から図12は本発明の実施の形態を示している。図1は長ネギの処理装置の全体的構成を示す上面図、図2は図1のA―A矢視図、図3は図1のB―B矢視図、図4から図7は図1C―C矢視図、図7の(a)〜(c)は清浄帯の断面形状を夫々示す図、図9は図1のD―D矢視図、図10は画像処理により長ネギの根切り位置を決定する手法を説明する図、図11は図1のE―E矢視図、図12は図1のF―F矢視図である。
【0034】
図1〜図12に基づいて長ネギの処理装置を説明する。
【0035】
1は長ネギが載置される断面略V字形状の複数のバケット2を無端回動するチェーン101に並列に連結したバケットコンベアで、不図示の駆動装置を制御して、バケット2を矢印G方向に1列ずつ間欠送りするようになっている。
【0036】
図示のように、各バケット2は長手方向をバケットコンベア1の搬送方向と直交する方向に合わせており、長ネギ3は葉鞘部(茎部)3aをバケット2の長さ方向一端側2aに向け、従って長ネギ3の葉部3bはバケット2の長さ方向他端側2bに向けて水平に載置される。
【0037】
収穫された根付きの長ネギ3は、バケットコンベア1の上流側に配置された長ネギ供給部4で手作業によりバケット2に根元側を作業者から見て手前側(図1中下側)にして載置されるが、バケットコンベア1の枠体1aの手前側にはこの長ネギ供給部4において、水平姿勢に支持される長ネギ3の根側を突き当てる突き当て板5が取り付けられている。この突き当て板5は、2個並列のバケット2に載置されている2本の長ネギ3の根側が一度に突き当てられるようになっている。
【0038】
バケットコンベア1の搬送方向で見て、長ネギ供給部4の搬送方向下流側には、清浄部6が設けられ、この清浄部6は、バケット2に載置されている長ネギ3の茎部3aの根元部3cをクリーニングして泥等を落とす清浄装置60が設けられている。
【0039】
清浄装置60の構成を図2〜図8を用いて説明する。なお、バケットコンベア1の搬送方向をY方向、バケット2の長手方向をX方向、上下方向をZ方向として以下に説明する。
【0040】
清浄装置60は、バケットコンベア1の上方に配置され、X方向に延びる第1のビーム8aに固定の昇降用シリンダー装置601により昇降体602をZ軸方向である上下方向に昇降可能とし、この昇降体602に長ネギ3の根元部3cを清浄するための後述する部材等が取り付けられている。
【0041】
なお、図3は昇降体602が昇降用シリンダー装置601によって上昇した状態を示し、図4は図3に対応し、昇降体602が昇降用シリンダー装置601によって上昇した状態を示し、図5、図6及び図7は昇降体602が昇降用シリンダー装置601によって降下した状態を示している。
【0042】
また、清浄部6において、バケットコンベア1の枠体1aの手前側には、バケット2の手前側端から飛び出ている長ネギ3の根元部3cを支える支え台1bが取り付けられている。
【0043】
昇降体602は、垂直パネル部603の上端部を直角に折り曲げて水平フレーム部604を形成し、この水平フレーム部604および垂直パネル部603の奥端面にL字状の垂直フレーム部605を接続した外観構成に形成され、昇降用シリンダー装置601の昇降ロッド601aの下端部に水平フレーム部604が固定されている。
【0044】
垂直パネル部603には、Y軸方向に回転軸を有する5つのローラが回転自在に取り付けられており、奥端側に配置された第1の折り返しローラ606と、手前側の下部に配置された第2の折り返しローラ607と、第1の折り返しローラ606の軸心を通るX軸方向の軸線と第2の折り返しローラ607の軸心を通るZ軸方向の軸線との交点位置に配置された折り曲げ用内ローラ608と、第1の折り返しローラ606より所定距離だけ下方にずれると共に第2の折り返しローラ607より該所定距離だけ奥側にずれた位置に配置された折り曲げ用外ローラ609との4つのローラに無端の清浄帯610が巻回されている。なお、支え台1bの上方に第1の折り返しローラ606が配置されている。
【0045】
この清浄帯610は、第1の折り返しローラ606と第2の折り返しローラ607と折り曲げ内ローラ608を内側に配置し、折り曲げ外ローラ609を外側に配置するようにして巻回されており、第1の折り返しローラ606の位置まで奥側に向けて水平方向に延び、また第2の折り返しローラ607の位置まで垂直方向に延びており、第1の折り返しローラ606と折り曲げ外ローラ609との間で清浄帯610が水平方向に移動する。
【0046】
また、第2の折り返しローラ607と折り曲げ用内ローラ608との間で、第2の折り返しローラ607よりも手前側に前記所定距離だけずれてしぼりローラ611が配置されている。なお、上記所定距離とはローラの面間距離で清浄帯610の厚みに相当する。
【0047】
一方、水平フレーム部604の裏面側には、送り用シリンダー612が固定され、この送り用シリンダー612のロッド部材612aがX軸方向に沿って移動可能としている。この送り用シリンダー612のロッド部材612aの先端部には、挟持用シリンダー613が固定されており、この挟持用シリンダー613のロッド部材613aはZ軸方向に昇降可能となっている。なお、挟持用シリンダー613は、図3、図4及び図5では降下状態にあり、図6及び図7は上昇状態にある。
【0048】
また、本実施の形態では、第1の折り返しローラ606と折り曲げ用外ローラ609との間における清浄帯610の内外で、且つ上下方向に対向して上挟持片614と、下挟持片615とが該清浄帯610を挟んで配置されている。
【0049】
この上挟持片614は、挟持用シリンダー613をロッド部材613aに固定するための基台616には、L字形状のアングル部材617が下方に向けて取り付けられており、このアングル部材617の下端面を上挟持片614がなしている。
【0050】
また、挟持用シリンダー613のロッド部材613aの下端部には、下挟持片615が取り付けられている。この上挟持片614は送り用シリンダー612の駆動により挟持用シリンダー613と一体にX軸方向に移動するが、Z軸方向については上下方向の位置が一定に保持されている。下挟持片615は、挟持シリンダー613のロッド部材613aに取り付けられているので送り用シリンダー612の駆動により上挟持片614と一体にX軸方向に移動すると共に、挟持用シリンダー613のロッド部材613aの上昇駆動により清浄帯610を下方から持ち上げて上挟持片614に押し当て、さらにロッド部材613aを上昇させると清浄帯610を上挟持片614と下挟持片615との間で挟持する。
【0051】
上挟持片614と下挟持片615とにより清浄帯610を挟持した状態で、送り用シリンダー612のロッド部材612aを奥側から手前側に向けてX軸方向に移動させると、清浄帯610は、第1の折り返しローラ606から折り曲げ用外ローラ609に向かって移動する。また、送り用シリンダー612のロッド部材612aを送り出した状態から元の位置に戻すために手前側から奥側に向けてX軸方向に移動させる場合には、挟持シリンダー613のロッド部材613aを降下させて下挟持片605と上挟持片614とによる清浄帯610の挟持状態を予め解除している。したがって、清浄帯610は送り用シリンダー612のロッド部材612の送り出しストローク分だけ第1の折り返しローラ606から折り曲げ用外ローラ609に向かって間欠送りされる。
【0052】
なお、送り用シリンダー612の送り出しストロークを第1の折り返しローラ606と折り曲げ用外ローラ609との間で上挟持片614と下挟持片615とが移動可能とする範囲に設定している。
【0053】
また、送り用シリンダー612のロッド部材612aが元の位置に戻った状態(以下ホームポジションと称す)において、下挟持片615は支え台1bよりも手前側に位置しており、この下挟持片615の下面から支え台1bの上方まで延びる弾性変形可能な除去板618が水平方向に取り付けられている。
【0054】
この除去板618は、例えば矩形平板状のゴム板で、片持支持状態で水平姿勢を保持できる弾性を備えたものが使用され、長ネギ3の根元部3cの上面と対向する側の下面部が凹凸部を網目状に形成されている。前述のように、長ネギの根元部に余分な外皮が付着し、また土、泥等が付着していることもあり、清浄帯610による清浄処理を行う前に、清浄帯610の清浄部位における外皮、土、泥等を除去板618により事前に除去しておくことにより、清浄帯610による清浄を効率よく行えるようにしている。
【0055】
送り用シリンダー612が前記ホームポジションに位置し、且つ挟持シリンダー613のロッド部材613aが降下した状態で、昇降用シリンダー601により昇降体602が降下していると、下挟持片615の下面は支え台1b上に支持されている長ネギ3の根元部3cの上面よりも下方に位置し、除去板618の先端部は、図5に示すように、支え台1bに支持されている長ネギ3の根元部3cの上面に当接しており、さらにこの除去板618の上面には清浄帯610の外周面が当接している。その際、除去板618は先端部側と固定部側との上下方向の段差を吸収するように折り曲げられる。なお、この状態に移行する前段階では昇降シリンダー601が昇降体602を上昇させており、この場合、除去板618は水平姿勢を保持して支え台1b上の長ネギ3の根元部3cの上面と清浄帯610の下面との間に非接触状態に支持されている。
【0056】
本実施の形態では、昇降体602を降下した状態において、垂直フレーム部605の下端面に取り付けたスポンジなどの軟弾性部材からなる長ネギ押え部材619によりバケット2上に載置されている長ネギ3を清浄作業の障害とならない領域でバケット2に押し付け、清浄帯610による長ネギ3の清浄処理の際に長ネギ3が手前側に引き出されないようにしている。
【0057】
また、清浄部6には、清浄帯610を水洗するための水槽620が配置され、昇降体602が降下した状態において第2の折り返しローラ607が浸り、折り曲げ用外ローラ609側から下がる清浄帯610をこの水槽620内で水洗するようになっている。また、水洗後の清浄帯610は、折り曲げ用内ローラ608に向かって上昇する途中でしぼりローラ611で水分が搾り出される。
【0058】
清浄帯610としては、図8の(a)に示すように、無端状のベース体610aの表面に折りひだ状のひだ部610bをベース体610aの周方向に沿って連接した清浄用拭取り部材610cを接着剤などで固着した構成のものが一例として使用され、この清浄用拭取り部材610cは合成繊維などを用いてタオル状の生地に織られたものを使用することができ、特に撥水性に富んだものがしぼりローラ611による水洗後の水搾りが効果的に行える。
【0059】
なお、図8の(a)では起立するひだ部610bの間隔をひだ部610bの幅よりも長くして泥などの目詰まりを少なくし、水槽620による水洗を良好に行えるようにしているが、図8の(b)に示すように、ひだ部610bの幅とひだ部610bの間隔を同じにして拭取り性を良好にしても良く、また図8の(c)に示すように、ひだ部610b内に円筒状に形成されたスポンジなどの軟弾性体からなる芯部材610dを配置することにより、ひだ部610aに適度な弾力を持たせて長ネギ3の根元部3cに付着している土、泥等の拭い取り効果を向上させるようにしても良い。
【0060】
上記した清浄帯610は、ベース体610aの表面に折ひだ部610bを設けているが、ひだ部610bに代えてタオル地そのものを用いてループ部610bを無数に形成したものであっても良い。
【0061】
上記した構成の清浄装置60の動作を以下に説明する。なお、清浄装置60が動作を開始する前の待機位置は、図3および図4に示すように、昇降用シリンダー601のロッド部材601aが上昇して昇降体602を上昇させ、送り用シリンダー612のロッド部材612aがホームポジションに位置すると共に、挟持シリンダー613のロッド部材613aが降下して下挟持片615により清浄帯610を挟持していない状態にあり、除去板618はバケット2上の長ネギ3の根元部3cの上方に位置する。
【0062】
清浄装置60が上記の待機位置の状態にあり、バケットコンベア1のバケット2が1間欠送りされて清浄部6で停止すると、バケット2からはみ出ている長ネギ3の根元部3cが支え台1b上に載置される。この状態で昇降用シリンダー601が降下動作を開始して昇降体602を降下させる。
【0063】
図5は昇降体602が停止位置まで降下した状態を示し、除去板618は先端部が長ネギ3の根元部3cの表面に当接し、さらにこの除去板618上に清浄帯610が当接している。また、垂直フレーム部605の下端面に設けた長ネギ押さえ部材619がバケット2上の長ネギを押さえ付ける。
【0064】
図5に示す状態において、挟持シリンダー613に上昇動作を開始させて清浄帯610を下挟持片615と上挟持片614とにより挟持させると、図6に示す状態となる。
【0065】
次に、この図6に示す状態において、送り用シリンダー612の送り動作を開始させると、ロッド部材612aがX軸方向に沿って手前側に延び始める。
【0066】
送り用シリンダー612のロッド部材612aの先端部に固定された基台616には、下挟持片615を備えた挟持シリンダー613と、上挟持片614を備えたアングル部材617とが取り付けられているため、基台616の移動により上挟持片614と下挟持片615とが一体にX軸方向に沿って手前側に移動し、清浄帯610が図7に示すように反時計回り方向に回動する。その際、除去板618の先端部の下面が支え台1b上に支持されている長ネギ3の根元部3cの上面をなぞるようにして移動するため、この除去板618の下面に形成されている凹凸部によって、長ネギ3の根元部3cに付着している余分な外皮や泥等が除去される。
【0067】
そして、送り用シリンダー612がさらに送り動作を続けると、除去板618の先端が長ネギ3の根元部3cの表面から抜け、清浄帯610の外周面が除去板618で外皮、土、泥等が削ぎ取られるように除去された長ネギ3の根元部3cの表面に当接し、回動する清浄帯610の外周面により外皮、土、泥等が除去された長ネギ3の根元部3cをさらにクリーニングする。送り用シリンダー612が図5に示す位置から図7に示す位置までそのロッド部材612aが移動するストロークだけ清浄帯610は間欠送りされ、この間に清浄帯610の清潔な外周面で長ネギ3の根元部3cがクリーニングされる。
【0068】
清浄帯610による長ネギ3の根元部3cのクリーニングは、第1の折り返し用ローラ606の下面位置に到達した清浄帯610の外周部により実行されるので、この第1の折り返し用ローラ606の加圧力が清浄帯610に加わり、長ネギ3の根元部3cのクリーニングが良好に行える。
【0069】
本実施の形態では、清浄帯610が1回転する間に、複数本の長ネギ3に対するクリーニングが行われるので、1本の長ネギ3に対するクリーニングのために清浄帯610は全長の数分の1程度(例えば五分の1)移動するだけで済む。
【0070】
本実施の形態のように、最初に除去板618で長ネギ3の根元部3cに付着した余分な外皮、土、泥等を削ぎ取るように除去することで長ネギ3の根元部3cの表面を大まかにクリーニングし、その後に清浄帯610の外周面で拭うようにクリーニングするので、長ネギ3の根元部3cの表面を綺麗にクリーニングすることができる。
【0071】
清浄帯610はクリーニングに供された部分が水槽620内で清浄され、ひだ部610に付着した泥、あるいはひだ部610間に入り込んだ泥などが洗い落とされる。なお、除去板618は長ネギ3の根元部3cに付着した泥などを粗く削ぎ取ることを目的とし、当該根元部3cの表面を綺麗にクリーニングすることは清浄帯610に委ねているため、除去板618の下面を各長ネギ3のクリーニング毎に清浄することは行っていない。また、除去板618の下方に、不図示の泥受ボックス等を配置し、除去板618から落下した泥を貯めるようにすることが好ましく、例えばこの泥受ボックスから清浄水を除去板618の下面に向けて噴射することで当該除去板618の下面に付着した泥を洗い落とし、あるいは吸引管を除去板618の下面に当接させて当該除去板618の下面に付着した泥などを吸い取るようにしても良い。
【0072】
基台616が送り用シリンダー612により所定ストローク延びると、1本の長ネギ3の根元部3cの清浄が終了し、清浄帯610の挟持状態を開放するために挟持シリンダー613が下挟持片615を下方に移動させ、さらに送り用シリンダー612のロッド部材612aをホームポジションに戻し、昇降シリンダー612を上昇動作させて昇降体602を上昇させて上記した待機位置に戻る。なお、クリーニングの終了後に前記待機位置に戻るための挟持シリンダー613、送り用シリンダー612、昇降用シリンダー601の動作順序については特に上述の順序に限定されることはなく、また同時に行っても良い。
【0073】
長ネギ3の根元部3cのクリーニングが終了すると、バケットコンベア1は1つのバケット分だけ間欠送りされ、次の長ネギ3が清浄部6に送られ、また根元部3cのクリーニングが終了した長ネギ3は次の根切り位置判定部7に送られる。
【0074】
次に、バケットコンベア1の搬送方向に見て、清浄部6の下流側には、根切り位置判定部7が配置され、ここには、一つのバケットコンベア2に載置されている長ネギ3の根元部3cを長手方向に沿って撮影する根元部撮影用カメラ7aが上方のカメラ固定フレーム8bに取り付けられている。
【0075】
そして、根元部撮影用カメラ7aで撮影した画像情報は、画像処理装置9に送信され、根切り位置の決定に供される。なお、根元部撮影用カメラ7aからの画像情報に基づく根切り位置の決定を行なう画像処理について図10を参照して以下に説明する。
【0076】
根元部撮影用カメラ7aは、長ネギ3の根元部3cをその上方から撮影するもので、清浄装置60でクリーニングされた長ネギ3の根元部3cは略白色を呈しているのに対し、根の生え際から先は根のみが撮影される。この場合、バケット2の表面を黒色、またこの撮影領域におけるバケットコンベア1の根元から根に対応する下方部分に黒色の背景部を設けることにより、長ネギ3の根元部3cを明瞭に撮影することができる。
【0077】
画像処理装置9は、根元部撮影用カメラ7aで撮影した画像について例えばエッジ画像処理を行なって、根元部3cの輪郭及び根の輪郭を得る。このエッジ画像処理についての詳細な説明は行なわないが、根元部3cは単に長ネギ3の根元部3cの外形線を描くだけなので外形線の本数は少ないものであるのに対し、根の生え際からは多数本の根が延びているため、その分だけ外形線の本数が多い。したがって、外形線(エッジ)の本数が急激に変化した箇所が根の生え際であると判定することができる。
【0078】
このようなエッジ画像処理を根元部3cから根の延びている全領域に亘って実施すると時間も長くなる。また、根切り位置の決定のためには、長ネギ3の根元部3cにおける径方向中央部を長手方向に沿って観察することが根の生え際(盤茎部)を知る上で最も失敗のない判定方法と言うことができる。
【0079】
そこで、画像処理装置9は、図10に示すように、長ネギ3の根元部3cにおけるエッジから径方向における中央位置Pを演算により特定する。
【0080】
中央位置Pの特定は、第1の固定ウインドウ12により行なう。この第1の固定ウインドウ12は、バケット2に対して予め決められた位置に設定されており、その基準位置をQとする。画像処理装置9は、長ネギ3の根元部3cにおける径方向の中心を示す中央位置Pの長手方向延長線を中心とする根位置決定ウインドウ13によって根のエッジと根元部3cのエッジをカウントする。
【0081】
根位置決定ウインドウ13は、基準位置Qから所定距離R離れた位置から根側に向かって矩形形状に囲った領域として形成され、この根位置決定ウインドウ13内を間隔S毎に設けた境界線T1〜T10で複数の小ウインドウ部13−1〜13−10に区分けしている。したがって、根位置決定ウインドウ13のエッジ本数のカウントは、複数の小ウインドウ部13−1〜13−10毎に行なわれる。
【0082】
根切り位置の決定は、根の生え際を見つけ出せばよいので、例えば基準位置Q側から順に小ウインドウ部13−1〜13−10におけるエッジ本数のカウントを行い、次の小ウインドウ部のエッジ数と比較し、エッジ数の差が所定値を超えるとそこの小ウインドウ部は根の位置であると判定し、一つ手前の小ウインドウ部が根元部3cの先端と判定する。
【0083】
長ネギ3の根切り位置は、できるだけ根の生え際である盤茎部とすることが望ましく(根の生え際から葉部に向かって余裕を持って切ると、切断面から長ネギの中心部分が成長して飛び出るが、根の生え際ではこのようなことが発生せず、商品価値を損なうことがないことによる)、本実施の形態では、根元部3cの先端と判定された小ウインドウ部と根位置と判定された小ウインドウとの境界線を根切り位置と決定し、基準位置Qからこの根切り位置と決定した境界線までの距離を求める。
【0084】
したがって、後述の根切り装置をここで求められた根切り位置まで移動させて長ネギ3の根切りを行なえば良いことになる。
【0085】
図10を例にすると、第1小ウインドウ部13−1〜第4小ウインドウ部13−4までは長ネギ3の根元部3cに対応しているため、これらの小ウインドウ部内には長ネギ3の根元部3cの輪郭であるエッジが存在しないが、第5小ウインドウ部13−5では長ネギ3の根元部先端に近いため、僅かに該根元部先端のエッジがかかり、数本程度のエッジがカウントされることになる。続いて、第6小ウインドウ部13−6では、長ネギ3の根元部先端のエッジ及び複数本の根のエッジがカウントされるため、第5の小ウインドウ部13−5でカウントしたエッジ数との差が大きいので、第6小ウインドウ部13−6に対応する領域に根の生え際が存在すると判定する。そして、境界線T5を根切り位置と決定する。基準位置Qから境界線T5までの距離は、R+5×Sで簡単に求められる。
【0086】
なお、図10に示した例は、長ネギ3が曲がりのないストレートな形状という理想的な場合を想定したもので、実際にはこのような理想的なものはなく曲がりを有しているものが殆どである。
【0087】
したがって、長ネギ3の曲がりの有無を判定し、曲がりがあるとその曲がり角度(θ)を求め、長ネギ3の曲がりに合わせて上記した根位置決定ウインドウ13を適用すれば上記した場合と同様に根の生え際を知ることができる。
【0088】
そして、画像処理装置9により決定した根切り位置等のデータは制御装置10に送信され、後述の根切り部14に配置された根切り装置14aの駆動制御に用いられる。
【0089】
なお、後述する根切り装置140をX軸方向に移動させるモータとして、例えばパルスモータを使用し、複数パルスの通電により根切り装置を例えば小ウインドウ部のピッチSだけ移動できるようにし、根切り位置としての前記境界線(T0〜T10)が決定されると、その境界線に対応するパルス数をパルスモータに通電するだけで所定位置に根切り装置を移動させることができる。
【0090】
続いて、バケットコンベア1の搬送方向に見て、根切り位置判定部7の下流側には、根切り部14が設けられ、この根切り部14に根切り装置140が配置されている。
【0091】
図11は根切り装置140を示している。根切り装置140は、バケットコンベア1の手前側で且つバケットコンベア1の上方に配置されており、バケットコンベア1の搬送方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に配置された支持レール8cに沿って直進移動体141が移動可能に駆動され、この直進移動体141には上下方向(Z軸方向)に移動可能且つZ軸を中心として旋回可能な旋回軸142を有する昇降装置143が取り付けられている。そして、旋回軸142の下端に根切り刃144が刃を下向きにして取り付けられている。
【0092】
画像処理装置9は根元部撮影用カメラ7aに基づく画像から曲がり角度θ、根切り位置までの距離情報を演算し、これを制御装置10に送信しており、前段の根切り位置判定部7からこの根切り部14に長ネギ3を支持したバケット2が間欠送りされて停止すると、根切り装置140は、制御装置10からの角度指令及び移動距離指令を受け、旋回軸142を角度θだけ旋回させ、直進移動体141を距離情報分だけ移動させて旋回軸142を降下させることで長ネギ3の根元部3cを根の生え際で切断する。切断が終了すると、制御装置10に切断終了信号を出力し、次の切断に備えるために所定の位置まで復帰する。なお、根切り部14には、バケット2から手前側にはみ出た長ネギ3の根元部3cを担持し、根切り刃144による長ネギの切断を容易とする根切り台1cをバケットコンベアの手前側に配置している。
【0093】
このようにして、バケットコンベア1は、バケット2を1個ずつ矢印G方向に間欠送りしており、長ネギ3をバケット2に供給する作業、清浄部6で長ネギ3の根元部3cをクリーニングして泥の除去を行なう作業、根切り位置判定部7で長ネギ3のカメラ撮影、根切り部14で長ネギ3の根切りを行なう作業はいずれも1つのバケット2上の長ネギ3に対して一度に行なうようにしており、このような構成は表皮剥離部15における表皮の剥離装置150についても適用されている。
【0094】
バケットコンベア1の搬送方向Gに見て、根切り部14の下流側の表皮剥離部15が配置され、この表皮剥離部15には、表皮の剥離装置150が間欠送りされるバケット2に対応して配置されている。
【0095】
表皮の剥離装置150は、図1、図2及び図12に示すように、バケットコンベア1の上方位置で、バケットコンベア1の搬送方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)にレール部材8dが設けられている。このレール部材8dには、表皮剥離部15で停止しているバケット2上の長ネギ3に対し、半円形状に形成された半円フレーム部材151がX軸方向に沿って不図示の駆動装置により移動可能となっており、この半円フレーム部材151には、周方向に沿って複数の圧縮空気を長ネギ3に向けて噴射する噴射ノズル152が配置されている。これら複数の噴射ノズル152は、X軸方向の奥側から手前側に向かって傾斜配置されると共に、バケット2上に水平配置されている長ネギ3の上半分の外周面に向けて、略同じ長さ方向位置での周方向に略均等に圧縮空気を噴射するようにしている。
【0096】
その際、長ネギ3が複数の噴射ノズル152から噴出する圧縮空気により吹き飛ばないように、バケットコンベア1の奥側には、長ネギ3の葉部3bを上下方向で押さえる葉部押さえ装置153が配置されている。なお、この葉部押さえ装置153は長ネギ3のY軸方向への移動の障害とならないように、昇降部材153aが不図示の昇降シリンダーにより昇降可能とされている。
【0097】
複数の噴射ノズル152を備えた半円フレーム部材151は、奥側の位置に待機し、バケット2が停止すると、X軸方向に沿って手前側に移動し、同時に複数の噴射ノズル152から圧縮空気が長ネギ3に向けて噴射される。半円フレーム部材151の移動により噴射ノズル152から長ネギ3に噴射される圧縮空気は、葉部3bの開始される付近から根側に向けて連続的に噴射され、長ネギ3の表皮が茎部3aから剥がれる。この剥がされた表皮は例えば不図示の集塵ボックス内に放り込まれる。
【0098】
半円フレーム部材151が所定の位置まで移動すると、噴射ノズル152からの圧縮空気の噴射を停止し、この半円フレーム部材151が元の待機位置に戻る。
【0099】
バケットコンベア1の搬送方向Gに見て、表皮剥離部15の下流側には葉切り部16が配置され、この葉切り部16には、葉切り装置160が間欠送りされるバケット2に対応して配置され、さらに葉切りの際に葉部3bが載置される葉切り台161が配置されている。
【0100】
この葉切り装置160は、前段の葉部押さえ装置153に並んで搬送方向下流側に配置されており、表皮の剥離作業が終了した長ネギ3が次に間欠送りされると、葉切り装置160により、葉部押さえ装置153により押さえられた部分よりも根元側で葉部3bを切断するので、葉部押さえ装置153で把持されて傷んだ葉部3bが切り落とされる。
【0101】
葉部が切り落とされた長ネギ3は、バケットコンベア1から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施の形態における長ネギの処理装置の全体的構成を示す上面図
【図2】図1のA―A矢視図
【図3】図1のB―B矢視図
【図4】図1のC―C矢視図
【図5】図1のC―C矢視図
【図6】図1のC―C矢視図
【図7】図1のC―C矢視図
【図8】図4〜図7に示す清浄帯の構成をそれぞれ示す図
【図9】図1のD―D矢視図
【図10】画像処理により長ネギの根切り位置を決定する手法を説明する図
【図11】図1のE−E矢視図
【図12】図1のF−F矢視図
【符号の説明】
【0103】
1 バケットコンベア
1a 枠体
1b 支え台
1c 根切り台
101 無端チェーン
2 バケット
3 長ネギ
4 長ネギ供給部
5 突き当て板
6 清浄部
60 清浄装置
601 昇降用シリンダー
602 昇降体
603 垂直パネル部
604 水平フレーム部
605 垂直フレーム部
606 第1の折り返しローラ
607 第2の折り返しローラ
608 折り曲げ用内ローラ
609 折り曲げ用外ローラ
610 清浄帯
611 しぼりローラ
612 送り用シリンダー
613 挟持シリンダー
614 上挟持片
615 下挟持片
616 基台
617 アングル部材
618 除去板
619 ネギ押さえ部材
620 水槽
7 根切り位置判定部
7a 茎部撮影用カメラ
8a ビーム 8b 固定フレーム
8c 支持レール 8d レール部材
9 画像処理装置
10 制御装置
12 第1の固定ウインドウ
13 根位置決定ウインドウ
14 根切り部
140 根切り装置
15 表皮剥離部
150 表皮の剥離装置
151 半円フレーム部材
152 噴射ノズル
153 葉部押さえ装置
16 葉切り部
160 葉切り装置
161 葉切り台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長ネギを水平姿勢の状態で当該長ネギの根元部の上面を清浄する長ネギの根元部清浄装置において、
外周面を長ネギ清浄面とし、水平軸回りに無端回動自在な無端帯状の清浄帯と、
前記清浄帯を一方向に間欠的に回動させる駆動機構と、
前記清浄帯を水洗いする水洗部と、
を有し、
前記清浄帯の回動軌道の途中に、前記長ネギの根元部の上面に当接する長ネギ当接部を設け、該長ネギ当接部よりも該清浄帯の回動方向下流側に前記水洗部を設けたことを特徴とする長ネギの根元部清浄装置。
【請求項2】
前記水洗部における前記清浄帯の回動軌道は、下向き凸に形成されていて、この下向き凸部が水洗部に浸漬可能としていることを特徴とする請求項1に記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項3】
前記水洗部を通過した清浄帯の水切りを行う水切り手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項4】
前記長ネギ当接部において前記長ネギの根元部上面と前記清浄帯の外周面との間に位置し、該清浄帯の間欠的回動と一体に移動して該清浄帯の外周面が該長ネギの根元部上面に直接に当接する前に該長ネギの根元部上面の汚れを除去する除去板を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項5】
前記清浄帯の回動軌道の途中に設けた長ネギ当接部は、長ネギの上方位置と該長ネギの根元部の上面位置との間を昇降可能としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記清浄帯を挟持及び挟持解除可能とする挟持手段と、前記挟持手段を該清浄帯の間欠回動距離を直進往復送りさせる送り手段とを有し、該挟持手段は該清浄帯の間欠回動の際には該清浄帯の挟持を行い、戻る際には該清浄帯の挟持を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項7】
前記除去板は前記挟持手段に一体的に設けたことを特徴とする請求項6に記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項8】
前記駆動機構は、前記清浄帯を複数回間欠回動することで該清浄帯が1周することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項9】
前記清浄帯は、折ひだ状のひだ部を周方向に多数形成し、あるいはループ部を多数形成した布地により構成したことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項10】
前記一方向に間欠回動する清浄帯と、前記駆動機構とを一体的に昇降可能に保持する昇降手段を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の長ネギの根元部清浄装置。
【請求項11】
長ネギを水平姿勢に保持して間欠搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送方向上流側から下流側に向かって長ネギの根元部を清浄する清浄部と、前記清浄部で清浄された長ネギの根切り位置を判定する根切り位置判定部と、前記根切り位置判定部の判定結果に基づいて長ネギの根切りを行う根切り部と、長ネギの表皮を圧縮空気により剥く表皮剥離部と、長ネギの葉部を切る葉切り部とを配置した長ネギの処理装置において、
前記清浄部には、請求項10に記載の長ネギの根元部清浄装置を配置し、長ネギが該清浄部に間欠移動すると、前記昇降手段を降下動作させて前記清浄帯の長ネギ当接部を水平姿勢の長ネギの根元部に当接させることを特徴とする長ネギの処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−230206(P2006−230206A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45112(P2005−45112)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000137328)株式会社マキ製作所 (48)
【Fターム(参考)】