説明

長方形近似システム、長方形近似方法、プログラム及び記録媒体

【課題】建物の平面形状を適切に且つ迅速に長方形に近似する。
【解決手段】本発明の長方形近似システムは、建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶したハードディスク3と、輪郭データを抽出する輪郭データ抽出部13と、輪郭データからこの輪郭データに対応している建物の最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出部14と、この端点抽出部14によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別部15と、四角形が長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成部16とを備えるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長方形近似システム、長方形近似方法、プログラム及び記録媒体に関し、さらに詳しくは、建物の平面形状において長方形以外の平面形状を長方形に近似する長方形近似システム、長方形近似方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の煙突などから排出される大気汚染物質の拡散状況を正確に把握する場合には、大気汚染物質の排出源周辺の建物の位置、平面形状、高さの影響等を考慮する必要がある。例えば、大気汚染物質の拡散状況のシミュレーションを行なう際には、シミュレーション時の風向と、大気汚染物質の排出源周辺に立設されている複数の建物のうち、シミュレーション時の風向により大気汚染物質の拡散に影響を及ぼす建物を選定し、さらに、建物の位置、平面形状、高さなどの各種パラメータを設定する必要がある。従来、上記の各種パラメータの設定は、手作業で行われており、建物の平面形状が長方形以外の場合には、その平面形状を長方形に近似する作業が必要であった。そのため、作業者によって形状が異なり、シミュレーションの結果に差が生じる虞があった。
【0003】
ところで、建物の平面形状、位置、高さなどの各種パラメータを設定して大気汚染物質の拡散状況を予測する技術としては特許文献1及び2が開示されている。
【0004】
特許文献1には、ユーザーが入力装置を用いて3次元CADデータの詳細な建物形状データまたは建物平面図を演算装置に入力し、演算装置が入力装置から入力された3次元CADデータの詳細な建物形状データまたは建物平面図を大気拡散シミュレーション用の建物形状データに変換するといった技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−43135号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、建物の平面形状を表すパラメータの入力を手作業で行わなければならず、その作業に手間がかかってしまうといった問題を有する。特に、都市部のように多数の複雑形状を有する建物が林立している場所を対象にして大気汚染物質の拡散状況のシミュレーションを行なう際には、建物のパラメータの入力作業に多大な時間を要してしまうといった問題が発生する。また、建物の平面形状が長方形以外の場合には、その平面形状を長方形に近似する作業が必要とされるが、作業者によって形状が異なり、シミュレーションの結果に差が生じる虞がある。
【0006】
本発明の目的は、建物の平面形状を適切に且つ迅速に長方形に近似することができる長方形近似システム、長方形近似方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明にかかる長方形近似システムは、前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶した記憶手段と、この記憶手段から前記輪郭データを抽出する輪郭データ抽出手段と、この輪郭データ抽出手段によって抽出された前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出手段と、この端点抽出手段によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別手段と、この形状識別手段によって前記四角形が前記長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成手段とを備えるようにしている。
【0008】
また、請求項3記載の発明にかかる長方形近似方法は、前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶手段に記憶するステップと、前記記憶手段から前記輪郭データを輪郭データ抽出手段によって抽出するステップと、前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を端点抽出手段によって抽出するステップと、前記最東端点、前記最西端点、前記最南端点、及び前記最北端点で形成される四角形が長方形であるか否かを形状識別手段によって識別するステップと、前記形状識別手段によって前記四角形が長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を長方形形成手段によって形成するステップと備えるようにしている。
【0009】
また、請求項4記載の発明にかかるプログラムは、前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶した記憶手段と、この記憶手段から前記輪郭データを抽出する輪郭データ抽出手段と、この輪郭データ抽出手段によって抽出された前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出手段と、この端点抽出手段によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別手段と、この形状識別手段によって前記四角形が前記長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成手段としてコンピュータを機能させるようにしている。
【0010】
また、請求項5記載の発明にかかる記録媒体は、請求項4記載のプログラムが記録されるとともに、そのプログラムをコンピュータで読み取ることのできるものである。
【0011】
したがって、記憶手段に予め記憶されている輪郭データを輪郭データ抽出手段によって抽出し、その抽出した輪郭データから建物の最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を端点抽出手段によって抽出し、これらの端点で作成される四角形が長方形であるか否かを形状識別手段によって識別し、四角形が長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を長方形形成手段によって形成するようにしたので、所定の建物の平面形状を長方形に近似するといった処理を適切に且つ迅速に行なうことができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の長方形近似システムにおいて、記憶手段から電子地図を読み出す読み出し手段と、この読み出し手段によって読み出された電子地図を画像として表示する表示手段と、画像上に表示されている建物を選択する際に操作される操作手段とを備え、輪郭データ抽出手段は、操作手段によって選択された建物の輪郭データを抽出するようにしている。この場合、表示手段に表示された画像、つまり地図を視認しながら操作手段で建物を選択することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、請求項1記載の長方形近似システム、請求項3記載の長方形近似方法、請求項4記載のプログラム、及び請求項5記載の記録媒体によれば、所定の建物の平面形状を長方形に近似するまでの一連の処理を記憶手段に予め記憶されている輪郭データを用いて自動的に行なうようにしたので、作業者の能力に関係なく、常に適切な長方形を得ることができる。また、建物の平面形状を長方形に近似するまでに要する時間を大幅に短くすることができる。これにより、例えば、長方形形成手段によって形成された長方形の形状特性を加味して、大気中に放出された汚染物質の拡散分布を算出する場合には、その算出結果に対しての信頼度を高めることができる。また、大気中に放出された汚染物質の拡散分布が算出されるまでに要する時間を大幅に短くすることができる。さらに、大気中に放出された汚染物質の拡散分布を算出する際に必要となるパラメータ設定にかかる労力を大幅に軽減することができる。
【0014】
また、請求項2記載の発明の場合、表示手段に表示された地図を視認しながら操作手段で建物を選択するようにしたので、建物を選定して、その建物の平面形状を長方形に近似するといった一連の作業にかかる労力をより一層軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1〜図18に本発明の長方形近似システム(以下、「システム」と称する)の一実施形態を示す。
【0017】
このシステムを適用したパーソナルコンピュータ1は、建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子住宅地図(以下、「電子地図」と称する)を記憶した記憶手段として機能するハードディスク3と、このハードディスク3から輪郭データを抽出する輪郭データ抽出手段として機能する輪郭データ抽出部13と、この輪郭データ抽出部13によって抽出された輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出手段として機能する端点抽出部14と、この端点抽出部14によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別手段として機能する形状識別部15と、この形状識別部15によって四角形が長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成手段として機能する長方形形成部16とを備えている。
【0018】
図1に示すように、パーソナルコンピュータ1は、CPU2とハードディスク3とを備えており、CPU2には、キーボード4a及びマウス4bから構成される操作手段として機能する入力装置4、CRTディスプレイからなる表示装置5、及びプリンタなどの出力装置6が接続されている。入力装置4は、所定の入力操作に応答してその入力操作に対応した信号をCPU2に出力する。CPU2は入力装置4から入力された信号に応答して表示装置5や出力装置6を制御する。なお、表示装置5は液晶ディスプレイなどで構成しても良く、その形態は適宜に変更可能である。
【0019】
パーソナルコンピュータ1の作動は基本的にCPU2によって制御される。このCPU2は、ハードディスク3などの大容量記憶手段に格納されたプログラム、具体的には後述するGISソフトウェアを実行することによって表示制御部7、大気安定度判定部8、計算点データ作成部9、煙源データ作成部10、建物階数抽出部11、高さ算出部12、輪郭データ抽出部13、端点抽出部14、形状識別部15、長方形形成部16、稼働率データ作成部17、及び拡散分布算出部18として機能する。
【0020】
パーソナルコンピュータ1にはGIS(Geographic Information System)ソフトウェア、具体的にはCadcorp社のSISMapManager6.1と、電子地図ソフトウェア、具体的にはゼンリン社のZmap−TOWNIIとがインストールされており、これにより電子地図がハードディスク3に格納される。電子地図には、建物の家枠、つまり平面視輪郭を示す輪郭データが含まれている。輪郭データとは、建物の平面視輪郭を構成している頂点の座標に関するデータのことである。なお、本明細書では、地図上の全ての建物についてその建物階数を示すデータ(以下、「建物階数データ」と称する)が輪郭データに付加されている電子地図を例に挙げて説明する。また、本明細書中における「座標」とは、緯度及び経度を示す。
【0021】
表示制御部7は、入力装置4から入力された信号に応答してハードディスク3から電子地図を読み出し、その電子地図に対応した画像、すなわち地図16を表示装置5の画面に表示する(図4参照)。
【0022】
このように、表示制御部7は、ハードディスク3から電子地図を読み出す読み出し手段として機能する。また、表示装置5は、表示制御部7によって読み出された電子地図を画像として表示する表示手段として機能する。
【0023】
ハードディスク3には気象データが格納されている。気象データとしては、例えば財団法人気象業務支援センターが提供している気象庁年報とアメダス観測年報とが規定のフォーマットのテキストファイル形式で予め記憶されている。気象庁年報とアメダス観測年報とのそれぞれには、観測年月日時、風速、風速測定高度、風向、日照時間、日射量、雲量、気温などの様々な気象データが観測所ごとに収容されている。気象庁年報及びアメダス観測年報をハードディスク3に格納する場合、財団法人気象業務支援センターが提供している気象庁年報のCD−ROMとアメダス観測年報のCD−ROMとをパーソナルコンピュータ1にインストールすれば良い。なお、気象年報およびアメダス観測年報は、ハードディスク3にインストールすることなく、CD−ROMよりそのまま読み込んで使用することも可能である。
【0024】
大気安定度判定部8は、拡散計算に必要となる1時間毎の大気安定度の判定を行なうものである。大気安定度は、上記の1時間毎の気象データ、例えば風速、日照時間、日射量、雲量及び風速測定高度を用いて、科学技術庁原子力安全局原子力安全調査課が提供している「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」または関東経済産業局が提供している「有害大気汚染物質に係る発生源周辺における環境影響予測手法マニュアル」に記載されている方法に従って求められる。これらの方法は、図17(a)〜(c)に示すように、Pasquillの安定度階級分類テーブルとしてハードディスク3に格納されている。
【0025】
図17(a)(b)の「総量規制方式」のテーブルは、「窒素酸化物総量規制マニュアル」に記載されている方法を示している。図17(c)の「METI−LIS方式」のテーブルは、「有害大気汚染物質に係る発生源周辺における環境影響予測手法マニュアル」に記載されている方法を示している。大気安定度判定部8で大気安定度を判定する場合、ユーザーは「総量規制方式」のテーブルと「METI−LIS方式」のテーブルとのいずれかを選択するための入力操作を入力装置4に対して行なう。入力装置4はユーザーの入力操作に対応した信号、すなわち「総量規制方式」のテーブルを選択することを示す総量規制方式テーブル選択信号または「METI−LIS方式」のテーブルを選択することを示すMETI−LIS方式テーブル選択信号を大気安定度判定部8に出力する。大気安定度判定部8は、入力装置4から入力された信号に応じて「総量規制方式」のテーブルと「METI−LIS方式」のテーブルとのいずれか一方を読み出す。
【0026】
昼間の大気安定度を判定するにあたって、大気安定度判定部8は、入力装置4から入力された総量規制方式テーブル選択信号に応答して、図17(a)のテーブルをハードディスク3から読み出し、入力装置4から入力されたMETI−LIS方式テーブル選択信号に応答して、図17(c)のテーブルをハードディスク3から読み出す。なお、本明細書では、大気安定度判定部8が総量規制方式テーブル選択信号に応答して図17(a)のテーブルをハードディスク3から読み出すようにしているが、図17(b)のテーブルをハードディスク3から読み出すようにしても良い。
【0027】
夜間の大気安定度を判定するにあたって、大気安定度を放射収支量を用いて判定する場合、大気安定度判定部8は、入力装置4から入力された総量規制方式テーブル選択信号に応答して図17(a)のテーブルをハードディスク3から読み出す。他方、大気安定度を雲量を用いて判定する場合、大気安定度判定部8は、入力装置4から入力された総量規制方式テーブル選択信号に応答して図17(b)のテーブルをハードディスク3から読み出す。つまり、観測所によっては放射収支量のデータがないところがあるため、その場合、大気安定度判定部8は、雲量のデータによって大気安定度を判定することができる図17(b)のテーブルをハードディスク3から読み出し、放射収支量のデータがある場合、大気安定度判定部8は、図17(a)のテーブルをハードディスク3から読み出す。
【0028】
このようにして大気安定度判定部8は、入力装置4から入力された信号に応じてハードディスク3から図17(a)〜(c)のうちのいずれか1つを読み出すとともに、気象庁年報及びアメダス観測年報から大気安定度を求める際に必要な気象データを読み出し、その読み出したテーブルと気象データとを用いて大気安定度を判定する。この大気安定度は、A:非常に不安定、A−B:中間安定度、B:中程度の不安定、B−C:中間安定度、C:弱い不安定、C−D:中間安定度、D:中立、E:弱い安定、F:中程度の安定、G:非常に安定、といった10段階のレベルに分類される。例えば昼間の大気安定度の判定を図17(a)に示すテーブルを用いて行なう場合、大気安定度判定部8は、先ず、気象庁年報またはアメダス観測年報から対象となる風速を読み出し、u<2を満足するか否かの判定を行ない、これを満足した場合には、次に、気象庁年報またはアメダス観測年報から対象となる日射量を読み出し、T≧0.60を満足するか否かの判定を行ない、これを満足した場合に大気安定度がAであると判定する。
【0029】
大気安定度判定部8は、大気安定度を求める際に使用する風速(以下、「補正風速」と称する)を下記の数式1を用いて算出する。数式1の「P」は大気安定度別の補正係数を示し(表1参照)、環境庁大気保全局大気規制課が提供している「窒素酸化物総量規制マニュアル」、米国環境保護庁が提供している「User’s Guide for the Industrial Source Complex(以下、「ISC3のマニュアル」と称する)」または「有害大気汚染物質に係る発生源周辺における環境影響予測手法マニュアル(以下、「METI−LISのマニュアル」と称する)」に記載の値が組み込まれる。この値はハードディスク3に予め記憶されており、補正風速を算出する際に大気安定度判定部8によって読み出される。なお、補正係数として任意の値を入力装置4から入力しても良い。また、「窒素酸化物総量規制マニュアル」の場合、日射量は昼間の大気安定度を、雲量は夜間の大気安定度を判定するのにそれぞれ用いられるが、昼夜の時間帯は季節により変動するため、昼間と夜間の判定は自動または手動で行なう。自動で行なう場合、昼間として大気安定度を判定する開始時刻(例えば8時)及び終了時刻(例えば17時)を入力装置4から入力し、それ以外の時間は観測された日射量が0より大きい場合は昼間、日射量が0の場合は夜間として雲量を用いて大気安定度を判定し、手動で行なう場合、月毎に昼間時間帯の開始時刻及び終了時刻を入力装置4から入力する。
【0030】
【表1】

【0031】
<数1>
(補正風速)=(観測所で測定された風速)×(10/風速測定高度(m))p
【0032】
観測年月日時、風速、風向、日照時間、日射量、雲量、及び気温などの気象データと大気安定度とを規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスクに保存する場合、ユーザーは気象データと大気安定度とをハードディスクに保存するためのコマンドを入力装置4に入力する。入力装置4は前記コマンドに対応する信号(以下、「データ保存指示信号」と称する)を大気安定度判定部8に出力する。大気安定度判定部8は、入力装置4から入力されたデータ保存指示信号に応答してメモリ(図示省略)に保持された気象データと大気安定度とを規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスクに保存する。なお、上記の気象データとしては、気象庁年報やアメダス観測年報の他に、ユーザーが入力装置4から直接入力したデータを使用することも可能である。
【0033】
表示制御部7は、図3に示すように、入力装置4での入力操作に応答して、表示装置4の画面に大気安定度を算出する際に必要な情報の設定を行なうためのダイアログボックス17を表示する。ユーザーは、入力装置4を操作してダイアログボックス17に表示されている各項目の空欄に適宜に情報を入力する。
【0034】
計算点データ作成部9は、シミュレーションの対象となるポイント(以下、「計算点」と称する)を計算点データとして作成するものである。計算点とは、濃度の計算を行なう座標を示し、下記の数式2の(x、y、z)がこれに相当する。
【数2】

【0035】
上記の計算点を指定する方法には、測定点による指定方法と、メッシュによる指定方法とがある。具体的には、測定点による指定方法とは、計算点となる座標を例えばキーボード4aの入力操作によって指定したり、表示装置4の画面に表示されている地図16上でマウス4bをクリックして指定したりする方法であり、メッシュによる指定方法とは、表示装置4の画面の地図16上で任意の領域、つまり計算したい領域をマウス4bで指定し、その指定した領域に含まれる緯線と経線との交点の座標を計算点として指定する方法である(図40参照)。
【0036】
図4に示すように、表示制御部7は、入力装置4の操作に応答して、表示装置5の画面にダイアログボックス18を表示する。ダイアログボックス18と地図16とを別々に表示する場合、ダイアログボックス18をVisual Basic(登録商標)で作成し、地図をSIS MapManager6.1で作成し、SIS MapManager6.1のGISLink機能を用いることにより操作パネルと地図とを連動させることができる。ダイアログボックス18には、測定点による指定方法とメッシュによる指定方法とのいずれの方法を用いて計算点を指定するかを設定するための項目、測定点の座標を入力する項目、測定点の高さを示す項目などが設けられており、ユーザーは、入力装置4を操作して各項目に適宜に情報を入力する。
【0037】
ユーザーが測定点による指定方法を指定した場合、ユーザーは、キーボード4aを操作することにより、ダイアログボックス18の「測定点の座標」の項目に座標を入力したり、ダイアログボックス18の「ファイル読み込み」をマウス4bでクリックすることにより、ハードディスク3に予め記憶されている規定フォーマットのテキストファイルに書き込まれている計算点の読み込みを行なったり、あるいはマウス4bを地図16上の任意の位置でクリックすることにより、測定点となる座標を設定する。このようにして設定された測定点の座標は、ダイアログボックス18の「測定点の座標」の項目に表示されるとともに、ダイアログボックス18の「測定点一覧」の項目に表示される。また、複数の測定点が設定されると、測定点のそれぞれについての座標が測定点一覧という項目に表示される。このようにして測定点が設定されると、計算点データ作成部9は、入力装置4の操作に応答して、測定点の座標を示すデータ、すなわち計算点データを規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。なお、測定点の高さは、任意の値をキーボード4aから入力することにより設定され、これも計算点データとしてハードディスク3に保存される。
【0038】
メッシュによる指定方法を選択した場合、ユーザーは、先ず、入力装置4を操作してダイアログボックス18に表示されるメニューからメッシュの幅を選択する。例えば25m〜4kmの範囲内で選択する。そして、入力装置4を操作して、地図16上における計算したい領域の左下と右下の座標を入力したり、地図16上における計算したい領域をマウス4bで指定したりする。このようにして計算したい領域が指定されると、計算点データ作成部9は、その領域内における緯線と経線とによって形成される交点の座標に関するデータ、すなわち計算点データを抽出し、それを規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。なお、計算点の高さは、任意の値をキーボード4aから入力することにより設定され、これも計算点データとしてハードディスク3に保存される。
【0039】
煙源データ作成部10は、汚染物質の放出源、いわゆる煙源の座標、煙源の高さ、排出ガス量、排出物質濃度、排出ガス温度、煙源口径、建物階数、建物の一階の高さを煙源データとして作成するものである。煙源を指定する方法には、点源としての指定方法と、面源としての指定方法とがある。つまり、点源としての指定方法とは、煙源を点で指定する方法であり、面源としての指定方法とは、煙源を面で指定する方法である。
【0040】
図5に示すように、表示制御部7は、入力装置4の操作に応答して表示装置5の画面にダイアログボックス19を表示する。このダイアログボックス19には、点源としての指定方法と面源としての指定方法とのいずれの方法を用いて煙源を指定するかを設定するための項目、点源の座標を入力する項目、煙源の高さを入力する項目、排出ガス量を入力する項目、排出物質濃度を入力する項目、排出ガス温度を入力する項目、煙源口径を入力する項目、建物階数を入力する項目、建物の1階の高さを入力する項目などが設けられており、ユーザーは入力装置4を操作して各項目に適宜に情報を入力する。
【0041】
ユーザーが点源としての指定方法を選択した場合、ユーザーは、キーボード4aを操作することにより、ダイアログボックス19の「点源の座標」の項目に座標を入力したり、ダイアログボックス19の「ファイル読み込み」をマウス4bでクリックすることにより、ハードディスク3に予め記憶されている規定フォーマットのテキストファイルに書き込まれている点源情報の読み込みを行なったり、あるいはマウス4bを地図16上の任意の位置でクリックして点源となる座標を設定する。このようにして設定された点源を示す座標は、ダイアログボックス19の「点源の座標」の項目に表示されるとともに、ダイアログボックス19の「点源一覧」の項目に表示される。また、複数の点源が設定されると、その設定された全ての点源の座標が「点源一覧」の項目に表示される。煙源データ作成部10は、上記のようにして点源が設定されると、その点源の座標を煙源データとして規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。
【0042】
ユーザーが面源としての指定方法を選択した場合、キーボード4aの操作によりメッシュの左下と右下の座標を入力したり、ハードディスク3に予め記憶されている規定フォーマットのテキストファイルに書き込まれている面源情報を読み込んだり、あるいはマウス4bを操作して地図16上でメッシュの左下と右下とを任意に選択することによりメッシュを設定する。このようにしてメッシュが設定されるとそのメッシュによって取り囲まれたエリアが面源として設定される。煙源データ作成部10は、上記のようにして面源が設定されると、メッシュで囲まれたエリアを示す座標を煙源データとして規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。
【0043】
排出ガス量、排出物質濃度、排出ガス温度、煙源口径、建物階数、建物の一階の高さ及び煙源の高さ(図5に示すダイアログボックス19には「点源高度」と記載)は、キーボード4aによって入力される。煙源が建物の上にある場合、建物階数抽出部11は、上記の煙源データに基づいてハードディスク3に格納されている電子地図から煙源が設けられている建物を選定し、その建物の輪郭データから建物階数データを抽出し、それを高さ算出部12に出力するとともに、この建物階数データを表示制御部7に出力する。表示制御部7は、建物階数抽出部11から入力された建物階数データに基づいてダイアログボックス20の「建物階数」の項目に建物階数を表示する。高さ算出部12は、建物階数抽出部11によって抽出された建物階数とキーボード4aから入力された建物の一階の高さとから煙源の高さを算出し、この算出結果を示す信号を表示制御部7に出力するとともに、内蔵メモリ2aに保存する。表示制御部7は、高さ算出部12から入力された信号に応答してダイアログボックス19の煙源の高さを示す項目に高さ算出部12での算出結果を表示する。煙源データ作成部10は、上記のようにして排出ガス量、排出物質濃度、排出ガス温度、煙源口径、及び煙源の高さが設定されると、それらの情報を内蔵メモリ2aから読み出し、煙源データとして規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。なお、上記の「煙源の高さ」とは、図5に示すダイアログボックス19の「点源高度」を示す。
【0044】
輪郭データ抽出部13は、入力装置4での入力操作によって指定された地図16上の建物の家枠、つまり平面視輪郭を示す輪郭データを抽出するものである。輪郭データ抽出部13によって輪郭データを抽出する場合、先ず、ユーザーが地図16上のある領域をマウス4bで指定する。そして、輪郭データ抽出部13がその指定された領域内の建物の輪郭データを抽出する。輪郭データ抽出部13は、抽出した輪郭データを内蔵メモリ2aに一旦保存するとともに、その保存が完了すると、建物階数抽出部11及び端点抽出部14に輪郭データ保存完了信号を出力する。この内蔵メモリ2aに保存された輪郭データは、建物階数抽出部11や端点抽出部14によって適宜に読み出され、所定の処理が施された後、後述する長方形形成部16によって長方形に近似されると、その近似された長方形の右下及び左下の座標、並びにその長方形に相当する建物についての幅、高さがダイアログボックス20の建物一覧に表示される。
【0045】
建物を指定する方法としては、上述したようにユーザーが地図16上のある領域をマウス4bで指定し、その指定された領域内の建物の輪郭データを抽出することによって建物を指定するといった方法の他に、ユーザーがダイアログボックス20に表示される各項目に建物を指定する数値(例えば、建物の左下及び右下の座標、建物の高さ、建物の幅)を入力することにより地図16上の建物を指定する方法と、所定の建物に関するデータ(例えば、所定の建物の左下及び右下の座標と、建物の高さと、建物の幅)が記録されたファイルをハードディスク3に予め格納しておいて、そのファイルをハードディスク3から読み出すことによって地図16上の建物を指定する方法とがある。
【0046】
このように建物を指定する数値を入力する場合及びハードディスクからファイルを読み出す場合には輪郭データの抽出は行なわず、入力した数値あるいはファイルから読み込んだ数値をそのまま使用する。なお、ハードディスク3に格納されているファイルは、ユーザーが入力装置4で所定の操作を行なうと、CPU2によって読み出される。
【0047】
図6に示すように、表示制御部7は入力装置4から入力された信号に応答して表示装置5の画面にダイアログボックス20を表示する。このダイアログボックス20には、建物の左下及び右下の座標が表示される項目、建物幅が表示される項目、建物高さが表示される項目、建物階数が表示される項目、建物の一階あたりの高さが表示される項目が設けられている。地図16で計算対象となる建物が指定されると、その指定された建物の座標、幅、高さの値が各項目に表示される。
【0048】
建物階数抽出部11は、輪郭データ抽出部13から入力された輪郭データ保存完了信号に応答して、内蔵メモリ2aの所定の輪郭データから建物階数データを抽出し、その建物階数データを表示制御部7及び高さ算出部12に出力する。表示制御部7は、建物階数抽出部11から入力された建物階数データに基づいてダイアログボックス20の建物階数を入力する項目に建物階数を表示する。但し、複数の建物についての輪郭データが内蔵メモリ2aに保存されている場合には建物階数を入力する項目に建物階数は表示されない。また、建物の一階あたりの高さを入力する項目には、キーボード4aにより数値が手入力される。高さ算出部12は、上記のようにして建物階数と建物の一階あたりの高さとが入力されると、これらの入力情報に基づいて建物の高さを算出し、この算出結果、すなわち建物の高さを示す高さデータを規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存するとともに、表示制御部7に出力する。表示制御部7は、高さ算出部12から高さデータが入力されたことを契機にダイアログボックス20の「建物高さ」の項目や建物一覧に高さ算出部12での算出結果を表示する。但し、複数の建物についての輪郭データが内蔵メモリ2aに保存されている場合には「建物高さ」の項目に高さ算出部12での算出結果は表示されない。なお、本明細書では、電子地図に建物階数データが含まれているため、その建物階数データを利用して建物の高さを算出するようにしているが、輪郭データに建物階数が含まれていない場合にはキーボード4bを操作してその数値を入力すれば良い。
【0049】
端点抽出部14は、内蔵メモリ2aの輪郭データからこの輪郭データに対応している建物の最東端点の座標と、最西端点の座標と、最南端点の座標と、最北端点の座標とを抽出するものである。例えば、図7に示すように、輪郭データが六角形を示すものであった場合、端点抽出部14は、輪郭データ抽出部13から入力された輪郭データ保存完了信号に応答して、その六角形の最東端点である点Aの座標と、最西端点の座標である点Bの座標と、最南端点の座標である点Cの座標と、最北端点の座標である点Dの座標とを抽出し、これらの座標データを形状識別部15に出力する。なお、本明細書では、四角形において、最小の経度、つまり最も西寄りの経度に2つの端点が存在する場合、最小の緯度、つまり最も南寄りの緯度を有する端点を最西端点とし、最小の緯度に2つの端点が存在する場合、最大の経度、つまり最も東寄りの緯度を有する端点を最南端点とし、最大の経度に2つの端点が存在する場合、最大の緯度、つまり最も北寄り緯度を有する端点を最東端点とし、最大の緯度に2つの端点が存在する場合、最小の経度を有する端点を最北端点とする。
【0050】
形状識別部15は、端点抽出部14から入力された座標データに基づいて上記の4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別するものである。点A〜Dで形成される四角形は、図8に示すように形成され、これは長方形でないと識別される。形状識別部15は、端点抽出部14によって抽出された4つの端点で形成される四角形を長方形でないと識別した場合、その4つの端点のそれぞれの座標を四角形の形状及び大きさを示す四角形データとして後述する長方形形成部16に出力する。他方、端点抽出部14によって抽出された4つの端点で形成される四角形を長方形であると識別した場合、その4つの端点のそれぞれの座標を長方形の形状特性を示す形状データとして内蔵メモリ2aに一時的に保存する。CPU2は、内蔵メモリ2aに保存されている形状データから長方形の幅を計算し、その計算結果と、長方形の左下及び右下の座標とを高さ算出部12で算出されたその長方形に対応している建物の高さデータとともに規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。具体的には、ダイアログボックス20に一覧を表示した後、ダイアログボックス20の「データ登録」ボタンを押すことによりハードディスク3に保存する。また、表示制御部7は、長方形の幅と、長方形の左下及び右下の座標と、高さ算出部12での算出結果である建物の高さとをダイアログボックス20の建物一覧に表示する。
【0051】
長方形形成部16は、形状識別部15から入力された四角形データに基づいて四角形の形状特性に応じた長方形を形成するものである。形状識別部15によって長方形でないと識別された四角形が、図9に示すように、最西端点である点E、最南端点である点F、最東端点である点G、及び最北端点である点Hによって形成されており、隣り合っている角である∠GHEと∠FEHとが直角をなしている場合、長方形形成部16は、辺EHと、辺EFと、点Hを始点として点Gを経由させた延長線に対して点Fから垂線を下ろしたときに交わる交点を点Iとしたときの辺HIと、辺FIとからなる長方形EFIHを形成し、点E、F、I、Hのそれぞれの座標を長方形EFIHの形状特性を示す形状データとして内蔵メモリ2aに一時的に保存する。CPU2は、内蔵メモリ2aに保存されている長方形EFIHの形状データから長方形EFIHの幅、すなわち辺IF(辺EH)の長さを計算し、その計算結果と、長方形EFIHの左下及び右下の座標(点E及び点Fの座標)とを高さ算出部12で算出された長方形EFIHに対応している建物の高さデータとともに規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。具体的には、ダイアログボックス20に一覧を表示した後、ダイアログボックス20の「データ登録」ボタンを押すことによりハードディスク3に保存する。また、表示制御部7は、長方形EFIHの幅と、長方形EFIHの左下及び右下の座標と、高さ算出部12での算出結果である長方形EFIHに対応している建物の高さとをダイアログボックス20の建物一覧に表示する。
【0052】
次に、図10〜12に示すように、形状識別部15によって長方形でないと識別された四角形が最西端点である点J、最南端点である点K、最東端点である点L、及び最北端点である点Mによって形成されており、∠MJKが直角をなしている場合における長方形形成部16による長方形の形成方法について説明する。
【0053】
∠MJKを挟む辺MJ及び辺KJを含む直線に対して点Lから垂線を下ろし、その交点が辺JM及び辺JK上にある場合、図10に示すように、長方形形成部16は、辺JKと、辺JMと、M点を一端として辺JKに平行で且つ長さの等しい辺とK点を一端として辺JMに平行で且つ長さの等しい辺とが交わる交点を点Nとしたときの辺MNと、辺KNとからなる長方形JKNMを形成し、点J、K、N、Mのそれぞれの座標を長方形JKNMの形状特性を示す形状データとして内蔵メモリ2aに一時的に保存する。CPU2は、内蔵メモリ2aに保存されている長方形JKNMの形状データから長方形JKNMの幅、すなわち辺KN(辺JM)の長さを計算し、その計算結果と、長方形JKNMの左下及び右下の座標(点J及び点Kの座標)とを高さ算出部12で算出された長方形JKNMに対応している建物の高さデータとともに規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。また、表示制御部7は、長方形JKNMの幅と、長方形JKNMの左下及び右下の座標と、高さ算出部12での算出結果である長方形JKNMに対応している建物の高さとをダイアログボックス20の建物一覧に表示する。
【0054】
∠MJKを挟む辺MJ及び辺KJを含む直線に対して点Lから垂線を下ろすことによって生じる交点のうちの一方のみが、∠MJKを挟む2辺の線分上(本実施形態では辺JK上)にある場合、図11に示すように、長方形形成部16は、辺JKと、点Jを始点として点Mを経由させた延長線に点Lから垂線を下ろすことによって生じる交点を点Oとしたときの辺JOと、点Oを始点として点Lを経由させた延長線に点Kから垂線を下ろすことによって生じる交点を点Pとしたときの辺OPと、辺PKとからなる長方形JKPOを形成し、点J、K、P、Oのそれぞれの座標を長方形JKPOの形状特性を示す形状データとして内蔵メモリ2aに一時的に保存する。CPU2は、内蔵メモリ2aに保存されている長方形JKPOの形状データから長方形JKPOの幅、すなわち辺KP(辺JO)の長さを計算し、その計算結果と、長方形JKPOの左下及び右下の座標(点J及び点Kの座標)とを高さ算出部12で算出された長方形JKPOに対応している建物の高さデータとともに規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。また、表示制御部7は、長方形JKPOの幅と、長方形JKPOの左下及び右下の座標と、高さ算出部12での算出結果である長方形JKPOに対応している建物の高さとをダイアログボックス20の建物一覧に表示する。
【0055】
∠MJKを挟む辺MJ及び辺KJを含む直線に対して点Lから垂線を下ろすことによって生じる交点がいずれも、∠MJKを挟む2辺の線分上(本実施形態では辺JK、辺JM上)にない場合、図12に示すように、長方形形成部16は、点Jを始点として点Kを経由させた延長線に点Lから垂線を下ろすことによって生じる交点を点Qとしたときの辺JQと、辺QLと、点Jを始点として点Mを経由させた延長線に点Lから垂線を下ろすことによって生じる交点を点Rとしたときの辺JRと、辺RLとからなる長方形JQLRを形成し、点J、Q、L、Rのそれぞれの座標を長方形JQLRの形状特性を示す形状データとして内蔵メモリ2aに一時的に保存する。CPU2は、内蔵メモリ2aに保存されている長方形JQLRの形状データから長方形JQLRの幅、すなわち辺QL(辺JR)を計算し、その計算結果と、長方形JQLRの左下及び右下の座標(点J及び点Qの座標)とを高さ算出部12で算出された長方形JQLRに対応している建物の高さデータとともに規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。また、表示制御部7は、長方形JQLRの幅と、長方形JQLRの左下及び右下の座標と、高さ算出部12での算出結果である長方形JQLRに対応している建物の高さとをダイアログボックス20の建物一覧に表示する。
【0056】
図13に示すように、形状識別部15によって長方形でないと識別された四角形が最西端点である点S、最南端点である点T、最東端点である点U、及び最北端点である点Vによって形成されており、4つの角がすべて直角ではない場合、長方形形成部16は、四角形STUVを構成している辺のうち、長さが最大の辺VUと、点S及び点Tのうちの辺VUとの距離が長い方の点である点Tを通り、且つ辺VUに平行な直線に対して点Uと点Vとのそれぞれから垂線を下ろすことによって生じる交点を点Wと点Xとしたときの辺UWと、辺WXと、辺XVとからなる長方形VUWXを形成し、点V、U、W、Xのそれぞれの座標を長方形VUWXの形状特性を示す形状データとして内蔵メモリ2aに一時的に保存する。CPU2は、内蔵メモリ2aに保存されている長方形VUWXの形状データから長方形VUWXの幅、すなわち辺WU(辺XV)を計算し、その計算結果と、長方形VUWXの左下及び右下の座標(点X及び点Wの座標)とを高さ算出部12で算出された長方形VUWXに対応している建物の高さデータとともに規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。また、表示制御部7は、長方形VUWXの幅と、長方形VUWXの左下及び右下の座標と、高さ算出部12での算出結果である長方形VUWXに対応している建物の高さとをダイアログボックス20の建物一覧に表示する。
【0057】
稼働率データ作成部17は、汚染物質の放出源である工場等の運転時の負荷率(0〜100%)を時間単位で設定し、これをハードディスク3に保存する。拡散シミュレーションの実行時には煙源強度(数式2のQp)に上記負荷率を乗算して計算を行なう。特に指定の無い場合は100%として計算を行なう。稼働率データ作成部17には、稼働率データとして、稼働率設定期間の開始月、開始日、終了月、終了日、各時間の稼働率、各曜日の稼働率がキーボード4aから入力される。稼働率設定期間は、複数設定することが可能であり、稼働率設定期間中の各時間、各曜日における稼働率をキーボード4aにより数値で入力する。稼働率設定期間以外の期間は全て稼働率100%となる。このようにして入力した稼働率データは、規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存される。
【0058】
拡散分布算出部18は、大気安定度、風速、風向、気温、風速測定高度、計算点データ、煙源データ、建物の高さデータ、建物の右下及び左下の座標及び建物の幅を入力装置4を操作することにより任意に組み合わせて拡散シミュレーションシナリオを作成し、シナリオ毎に拡散シミュレーションを実行する。各データの設定は、ハードディスク3に保存されたテキストファイルを指定することにより行なう。なお、風速、風向、気温、風速測定高度は、大気安定度判定部8にて気象年報あるいはアメダス観測年報から読み込まれ、判定された大気安定度と合わせてハードディスク3に保存されている。
【0059】
拡散シミュレーションに使用する各入力データを設定した後、計算手法を設定する。計算手法は、「窒素酸化物総量規制マニュアル」、「ISC3のマニュアル」及び「METI−LISのマニュアル」の中から1つ選択する。この選択はユーザーが入力装置4に対して入力操作を行なうことによって実行される。なお、本明細書中では、「窒素酸化物総量規制マニュアル」に記載されている一連の計算手法、つまりシステム上で「総量規制」を選択した際に適用される一連の計算手法の全てをまとめて「総量規制方式」と称し、「ISC3のマニュアル」に記載されている一連の計算手法、つまり、システム上で「ISC3」を選択した際に適用される一連の計算手法の全てをまとめて「ISC方式」と称し、「METI−LISのマニュアル」に記載されている一連の計算手法、つまり、システム上で「METI−LIS」を選択した際に適用される一連の計算手法の全てをまとめて「METI−LIS方式」と称する。上記の一連の計算手法とは、拡散計算式、風速補正係数、有効煙突高度の計算式、拡散パラメータの安定度分類、拡散パラメータ算出のための近似式および係数を用いた計算手法のことを示す。
【0060】
システム上の計算手法で「総量規制」を選択した場合、この選択結果は入力装置4から拡散分布算出部18に出力される。拡散分布算出部18は入力装置4から入力された選択結果に応答して「窒素酸化物総量規制マニュアル」に詳述されているプルーム・パフモデルにより拡散計算を行なう。プルーム・パフモデルによる計算に必要となる風速補正係数、有効煙突高度の計算式、拡散パラメータの安定度分類、拡散パラメータ算出のための係数は「窒素酸化物総量規制マニュアル」に記載されている値および有効煙突高度の計算式を使用する。つまり、風速1.0m/s以上のときはCONCAWE式、電力中央研究所式、Moses&Carson式のいずれかから選択し、風速1.0m/s未満のときはBriggs式を選択する。風速補正係数、拡散パラメータ算出のための係数は任意の値を設定することも可能である。システム上の計算手法で「総量規制」が選択され、且つ、建物形状データおよび高さデータが設定されているときには、「窒素酸化物総量規制マニュアル」に詳述されているHuberの式による有効煙突高度の低下分が計算され、拡散シミュレーションに使用される。
【0061】
システム上の計算手法で「ISC3」を選択した場合、この選択結果は入力装置4から拡散分布算出部18に出力される。拡散分布算出部18は入力装置4から入力された選択結果に応答して「ISC3のマニュアル」に詳述されているプルーム・モデルにより拡散計算を行なう。プルーム・モデルによる計算に必要となる風速補正係数、有効煙突高度の計算式、拡散パラメータの安定度分類、拡散パラメータ算出のための係数は「ISC3のマニュアル」に記載されている値および有効煙突高度の計算式を使用する。風速補正係数、拡散パラメータ算出のための係数は任意の値を設定することも可能である。
【0062】
システム上の計算手法で「METI−LIS」を選択した場合、この選択結果は入力装置4から拡散分布算出部18に出力される。拡散分布算出部18は入力装置4から入力された選択結果に応答して「METI−LISのマニュアル」に詳述されているプルーム・パフモデルにより拡散計算を行なう。このプルーム・パフモデルによる計算に必要となる風速補正係数、有効煙突高度の計算式、拡散パラメータの安定度分類、拡散パラメータ算出のための係数は「METI−LISのマニュアル」に記載されている値および有効煙突高度の計算式を使用する。風速補正係数、拡散パラメータ算出のための係数は任意の値を設定することも可能である。
【0063】
以上のように、各入力データおよび計算手法を設定した後に、所定の操作を行なうことにより、拡散シミュレーションが実行され、計算により得られた濃度分布図が地図16に表示される。
【0064】
拡散シミュレーションの実行が完了した後に、所定の操作を行なうことにより、拡散シミュレーションにより得られた計算結果である計算点の緯度、経度、高さ及び濃度が、規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存される。
【0065】
表示制御部7は、図14に示すように、拡散分布算出部18でハードディスク3に保存された各シナリオのシミュレーション結果を分布図として地図16上に表示する。また、これと同時にシミュレーションに使用した各入力データ、つまり気象データ、計算点データ、煙源データ、形状データ、高さデータ及び稼働率データの概要を表示装置5の画面に表示する。画面上に表示された結果は、プリンタなどの出力装置6に出力することができる。
以上のように、表示制御部7は、拡散分布算出部18での算出結果を分布図として地図16上に表示する表示制御手段として機能する。
【0066】
以下、上記の計算手法について具体的に説明する。
【0067】
(1)拡散計算式
拡散計算式には、いずれの手法においても有風時には定常一様のガウス型プルームモデルが用いられている。拡散計算式は、予測対象となる評価時間、風速条件によりそれぞれ異なり、また、総量規制、ISC3、METI−LISの各手法により適用条件が異なる場合がある。各手法の適用条件は表2に示す通りである。
【0068】
【表2】

【0069】
以下に、評価時間、風速条件に応じた大気拡散計算式を示す。本実施形態の大気拡散計算は以下の短期式と長期平均式に対応している。そのため1時間毎の大気安定度を判定した後、長期平均計算用として任意期間の風向・風速階級別の大気安定度出現頻度を自動で算出することができる。
【0070】
有風時の短期式としては上記の数式2を用いる。
【0071】
弱風時の短期式としては下記の数式3〜5を用いる。
【数3】

【数4】

【数5】

【0072】
無風時の短期式としては下記の数式6用いる。
【数6】

ここで、α、γは無風時の拡散パラメータを示す。なお、ISC3では風速1.0m/s未満の弱風時には風速1.0m/sとして計算を行なう。また、無風時は濃度0とし、1時間値より年平均値等の任意期間における平均値を求める際には無風時を除外して計算を行なう。
【0073】
長期平均式としては下記の数式7を用いる。
【数7】

【0074】
(2)有効煙突高度
排出口からの排気ガスが煙突など塔体本体等の空気力学的な影響を受け、地上に高濃度を及ぼす場合がある。特に、排出源からの排ガス吐出速度が風速の1.5倍以下の時には、下記の数式8及び9に従い煙突によるダウンウォッシュを考慮する。
【数8】

【数9】

ここで数式8及び9において、H0’は修正後高さ(m)、H0は排出口高度(m)、dは排出口径(m)、νSは排ガス吐出速度(m/s)、uは風速(m/s)を示す。
【0075】
煙突などの排出口から排気ガスが排出される時には、吐出速度による慣性効果や排ガス熱量による浮力効果をもっている。これらの効果により排気ガスは排出された後も上昇を続け、ある一定の高度に達する。排出口を出た後の排ガスの上昇分(Δh)を排出口高度(H0’)に加えた高さを有効煙突高度(He)と呼ぶ。He、H0’及びΔhの関係式は下記の数式10で表される。
【数10】

【0076】
各方式の排ガス上昇高さの推定式はそれぞれ下記の通りである。
【0077】
(i)総量規制方式
「窒素酸化物総量規制マニュアル」では有風時と無風時で異なった予測式を用いており、有風時の浮力プルーム用には以下の3つの推定式、つまり下記の数式11〜14が示されている。
【0078】
(a)CONCAWE式
【数11】

【数12】

【0079】
(b)電力中央研究所式
【数13】

【0080】
(c)Moses&Carson式
【数14】

ここで数式14において、Cは実験定数(不安定および中立で0.35、安定で−1.04)、νSは排ガス吐出速度(m/s)、dSは排出口径(m)、C2は実験定数(不安定および中立で0.171、安定で0.145)を示す。
【0081】
上記の3つの推定式のうち、実測値との整合性の観点より有風時浮力プルームの排ガス上昇高さの推定式には、CONCAWE式が推奨されている。また、熱浮力を持たないジェット・プルーム用としては次のBriggs式(ジェット・プルーム)、つまり下記の数式15を用いる。
【数15】

【0082】
一方、無風時の排ガス上昇高さの推定には下記のBriggs式(無風時)、つまり下記の数式16を用いる。
【数16】

【0083】
(ii)ISC3方式
ISC3では、煙の上昇要因を浮力効果によるものか運動量効果によるものか判定し、それぞれの要因に応じた予測式が用いられる(参考文献:Briggs、G.A.:Plume Rise、USAEC Critical Review Series、TID−25075、National technical Information Service、1969.)。はじめに、下記の数式17及び18に従って浮力フラックスFbと運動量フラックスFmを算出する。
【数17】

【数18】

ここで数式17及び18において、gは重力加速度(9.80616m/s2)、νSは排ガス吐出速度(m/s)、dSは煙突頭頂部内径(m)、ΔTはTS−T、TSは排ガス温度(K)、Tは排ガス温度(K)、TSは周囲の気温(K)を示す。
【0084】
次に、大気の安定度に応じてそれぞれ以下の手順で排ガス上昇高さを予測する。
【0085】
中立および不安定時では、浮力効果または運動量効果の境界となる温度(ΔT)cを算出し、下記の数式19及び20に示す判定基準に従い、いずれの上昇式を適用するか決定する。
【0086】
【数19】

【数20】

【0087】
浮力および運動量効果による排ガス上昇高さΔhの算定式は下記の数式21〜23の通りである。
【0088】
浮力による上昇
【数21】

【数22】

運動量による上昇
【数23】

【0089】
安定時では、中立あるいは不安定時と同様に、浮力効果または運動量効果の境界となる温度(ΔT)cにより、いずれの効果による上昇かを判定する。ただし、(ΔT)cの予測式は中立あるいは不安定時と異なる。
【数24】

数式24においてsは安定係数を示し、下記の数式25で定義する。
【数25】

【0090】
浮力および運動量による排ガス上昇高さΔhの算定式は下記の数式26及び27の通りである。
【0091】
浮力による上昇
【数26】

運動による上昇
【数27】

【0092】
(iii)METI−LIS方式
METI−LISでは、排出源から排出されるガスが周囲の気温と比較して特に高温ではなく、また、その速度が小さい場合、排出源の実高さをそのまま利用する。排出源から排出されるガスが周囲の気温と比較して高温である場合には、総量規制方式と同様にCONCAWA式、つまり数式11を使用する。また、無風時についても同様にBriggs式(無風時)、つまり上記の数式16を使用する。
【0093】
(3)拡散パラメータ
大気拡散式に用いられる拡散パラメータの近似には、いずれの方式も有風時には、図18に示すPasquill−Gifford図(以下、「P−G図」と称する)またはBriggsの内挿式を用いている。ただし、近似式および用いられる係数は方式により若干異なっている。
【0094】
(i)総量規制方式
(A)有風時
(a)水平方向拡散幅
近似手法:P−G図またはBriggsの内挿式(表3参照)。表3はBriggsの内挿式(σy)を示す。近似関数(P−G図)は下記の数式28で表される。
【数28】

ここで数式28において、σは水平方向拡散幅(m)、γ、αは係数(表4参照)、xは風下距離(m)を示す。表4は拡散パラメータσ(P−G図)の係数を示す。
【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
(b)鉛直方向拡散幅
近似手法:P−G図またはBriggsの内挿式(表5参照)。表5は、Briggsの内挿式(σ)を示す。近似関数(P−G図)は下記の数式29で表される。
【数29】

ここで数式29において、σzは鉛直方向拡散幅(m)、γ、αは係数(表6参照)、xは風下距離(m)を示す。表6は拡散パラメータσ(P−G図)の係数を示す。
【0098】
【表5】

【0099】
【表6】

【0100】
P−G図の拡散パラメータは、3分間の評価時間に対応しており、1時間濃度を求める場合には、水平方向の拡散パラメータを補正する必要があることが知られている(参考文献:岡本眞一、市川陽一、長沢伸也著、環境学概論、産業図書株式会社、1996)。本発明の汚染物質の拡散シミュレーションシステムでは、水平方向の拡散パラメータを補正する際に使用するべき指数を任意に設定することが可能である。
【0101】
(B)弱風および無風時
数式4〜7で用いられる係数α、γを表7に示す。表7は弱風、無風時の拡散パラメータを示す。
【0102】
【表7】

【0103】
(ii)ISC3方式
ISC3には田園地域用のRURALと都市域用のURBANの2つのモードが用意されており、風速の高度補正係数と同様に拡散パラメータもそれぞれ異なった関数が用いられている。
【0104】
(a)水平方向拡散幅
(RURAL mode)
近似手法:P−G図。近似関数は下記の数式30で表される。
【数30】

【数31】

ここで数式30及び31において、σは水平方向拡散幅(m)、c、dは表8の係数、xは風下距離(m)を示す。なお、表8は拡散パラメータσ(P−G図)の係数を示す。
【0105】
【表8】

【0106】
(URBAN mode)
近似手法:Briggsの内挿式(表2参照)
【0107】
(b)鉛直方向拡散幅
(RURAL mode)
近似手法:P−G図。近似関数は下記の数式32で表される。
【数32】

ここで数式32において、σは鉛直方向拡散幅(m)、a、bは表9の係数、xは風下距離(m)を示す。なお、表9は拡散パラメータσ(P−G図)の係数を示す。
【0108】
【表9】

【0109】
(URBAN mode)
近似手法:Briggsの内挿式(表5参照)
【0110】
(iii)METI−LIS方式
(A)有風時
(a)水平方向拡散幅
ISC3方式(RURAL mode、数式30及び表8)と同様の近似手法を用いる。
【0111】
(b)鉛直方向拡散幅
ISC3方式(RURAL mode、数式32及び表9)と同様の近似手法を用いる。
【0112】
(B)無風時
総量規制方式と同様の無風時・拡散パラメータ(表7参照)を使用する。
【0113】
(4)建物によるダウンウォッシュ
建物によるダウンウォッシュの影響はいずれの方式においても有効煙突高さあるいは拡散パラメータあるいはその両方を調整することにより予測する。
(i)総量規制方式
総量規制方式では、建物高さに対する排出口高度の比に応じてプルーム主軸高度の低下分を算出するHuber式(参考文献:Huber,A.H and Synder,W.H:Building wake effects on short stack effluents ,Third Symposium on Atmospheric Turbulence,Diffusion,and Air Quality,American Metrological Society,1976.)が参考として例示されている。
【数33】

【数34】

【数35】

ここで数式33〜35において、Δh’は建物によるプルーム主軸低下分(m)、Δhは排ガス上昇高さ(m)、H0は排出口高度(m)、Hbは建物高さ(m)を示す。
【0114】
(ii)ISC3方式
ISC3では、建物影響によるダウンウォッシュを考慮する場合、水平および鉛直方向の拡散パラメータを修正する。なお、ISC3では建物風下近傍の領域は、気流の乱れが大きく再循環流が生じることが多いため、建物ダウンウォッシュを考慮した計算時には、風下距離x<3L(Lは建物高さまたは建物投影幅の小さい方の値)の範囲は計算対象外として扱っている。なお、本明細書中における「建物投影幅」は風向によって変化し、拡散計算の際にプログラムによって計算される。また、「建物幅」は電子地図より取得される値である。
【0115】
(a)水平方向拡散幅
横長建物の時の水平方向幅は下記の数式36〜41で表される。
【数36】

【数37】

【数38】

【数39】

特に煙源が建物端から2.5H以内のときには、数式36においてW’=5Hとして、下記の数式40および数式41で表される。
【数40】

【数41】

【0116】
縦長建物の時の水平方向幅は下記の数式42及び43で表される。
【数42】

【数43】

(RURAL mode)
【数44】

ここで、p、qは安定度による係数(表20参照)、σy0は初期拡散幅(m)を示す。表10は水平方向仮想煙源距離を求めるための係数を示す。
【0117】
【表10】

【0118】
(URBAN mode)
表2の各式をxについて解いて求める。
(b)鉛直方向拡散幅
横長建物の時の鉛直方向拡散幅は下記の数式45及び46で表される。
【数45】

【数46】

【0119】
縦長建物の時の鉛直方向拡散幅は下記の数式47及び48で表される。
【数47】

【数48】

ここで数式45〜48において、σ ’は修正後の鉛直方向拡散幅(m)、xは風下距離(km)、xは仮想点源からの風下距離(km)を示す。
【0120】
仮想点源からの風下距離xは水平方向と同様に以下の通り求める。
(RURAL mode)
【数49】

ここで数式49において、a、bは安定度による係数(表9参照)、σz0は初期拡散幅(m)を示す。
【0121】
(URBAN mode)
表5の各式をxについて解いて求める。さらにISC3では、排出口高度がH+1.5Lより低い場合には、数式45〜48でモデル化される鉛直方向拡散幅にさらに補正が加えられる。
【数50】

【数51】

【数52】

【数53】

ここで数式50〜53において、σ ’ ’は再修正後の鉛直方向拡散幅、Aは減衰係数、Heはプルーム高さを示す。
【0122】
(iii)METI−LIS方式
METI−LIS方式では、水平および鉛直方向の拡散パラメータを修正するとともに、建物影響による風速減少やプルーム主軸高度の低下についても考慮されている。
(a)水平方向拡散幅
水平方向拡散幅は下記の数式54〜59で表される。
【数54】

【数55】

【数56】

【数57】

【数58】

【数59】

ここで数式54〜59において、σ’は修正後の水平方向拡散幅(m)、Cy1、Cy2は建物高さに対する有効煙突高度の比(He/H)の関数で与えられえるパラメータ、W’は建物の投影面に対する幅(m)、xは仮想点源からの風下距離(数式44参照)を示す。
【0123】
METI−LISでは、パラメータCy1、Cy2や後述する鉛直方向用パラメータCy1、Cy2の算出および風速・煙源高さ補正係数のモデル化等の際には、周辺建物の状況に応じて建物列(風が吹いてくる方向に対しては建物が1つで、風下方向に列をなしている場合)または建物群(風が吹いてくる方向に対して複数の建物が並び、風下方向についても列をなしている場合)に分類し、それぞれ異なったモデル化が行なわれる。
【0124】
(b)鉛直方向拡散幅
鉛直方向拡散幅は下記の数式60及び61で表される。
【数60】

【数61】

ここで数式60及び61において、σ’は修正後の鉛直方向拡散幅(m)、Cz1、Cz2は建物高さに対する有効煙突高度の比(He/H)の関数で与えられるパラメータ、Lは建物の高さHと幅W’のどちらか小さい値(m)、xは仮想点源からの風下距離(数式49参照)を示す。
【0125】
(c)風速の補正
ダウンウォッシュの影響があると判定された場合、大気拡散式に使用する風速を下記の数式62に従って補正する。
【数62】

ここで数式62において、u’は建屋による風速変化を考慮した風速(m/s)、αは補正係数を示す。αは下記の数式63〜71で表される。
【数63】

【数64】

【数65】

【数66】

【数67】

【数68】

【数69】

【数70】

【数71】

【0126】
(d)煙源高さの補正
ダウンウォッシュの影響があると判定された場合、大気拡散式に使用する有効煙突高度(He)を下記の数式72〜75に従って補正する。
【数72】

【数73】

【数74】

【数75】

【0127】
表11に各予測手法における適用式の一覧をまとめて示す。
【0128】
【表11】

【0129】
ダウンウォッシュを考慮する範囲に含まれる建物のうち、最も影響が大きい建物を影響建物として決定する。影響建物を判定する範囲は、ISC3では各建物から風下方向5L(Lは建物の高さと建物投影幅のどちらか小さい値)および風上方向2L離れた位置において風向と直角をなす直線と、建物から0.5Lずつ離れた風向に平行な直線で囲まれる長方形のエリアに煙源が含まれる場合、その建物は煙源に影響を及ぼす可能性があるとして判定の対象となる。一方、METI−LISの場合、各煙源から風上・風下それぞれ5L離れた位置において風向と直角をなす直線と、煙源からLずつ離れた風向に平行な直線で囲まれる長方形エリアにある建物が影響建物の判定対象となる。影響建物の判定は、対象範囲内にある全ての建物について数式76のGEP Stack Height(参考文献:U.S.EPA:Guideline for Determination of Good Engineering Practice Stack Height(Technical Support Document for the Stack Height Regulations),EPA−450/4−80−023,1984.)を計算し、その高さが最大となる建物を影響建物とする。これにより建物形状の直方体近似からダウンウォッシュの影響範囲の決定、影響建物の判定までをGISと連動して自動で行なうことができる。
【数76】

【0130】
次に、システムが実行する処理の手順について図15のフローチャートを参照しながら説明する。先ず、大気安定度判定部8は入力装置4から入力される信号に基づいてハードディスク3から図17(a)〜(c)に示すテーブルのいずれか1つを読み出すとともに気象庁年報及びアメダス観測年報から大気安定度を求める際に必要な気象データを読み出し、その読み出したテーブルと気象データとを用いて大気安定度を求める(S1)。次いで、計算点データ作成部9により計算点データの作成を行なう(S2)。次いで、煙源データ作成部10により煙源データの作成を行なう(S3)。次いで、輪郭データ抽出部13により輪郭データの抽出を行なう(S4)。次いで、端点抽出部14により建物における最東端点の座標と、最西端点の座標と、最南端点の座標と、最北端点の座標との抽出を行なう(S5)。次いで、形状識別部15により最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を頂点として形成される四角形の形状分析を行なう(S6)。すなわち、四角形が長方形であるか否かの識別が行われ、形状識別部15によって四角形が長方形であると識別された場合(S7)、その四角形の形状特性を示す形状データが保存され(S8)、形状識別部15によって四角形が長方形でないと識別された場合(S7)、その四角形が直角を有しているか否かの識別が行なわれる(S9)。四角形が直角を有している場合(S9)、直角を含む四角形の形状特性に応じた長方形が作成され(S10)、四角形が直角を有していない場合(S9)、直角を含まない四角形の形状特性に応じた長方形が作成される(S11)。大気安定度判定部8による大気安定度、風速、風向、気温、及び風速測定高度と、計算点データ作成部9による計算点データと、煙源データ作成部10による煙源データと、高さ算出部12による高さデータと、長方形形成部16による形状データとが設定されると、拡散シミュレーションが実行される(S12)。 拡散分布算出部18による拡散シミュレーションが完了すると、拡散シミュレーションの結果が表示装置5の画面に表示される(図14参照)(S13)。
【0131】
図16に示す記録媒体21は、例えばCD、フレキシブルディスク、ICメモリ、MO等であり、記録媒体21には、図15のフローチャートで示すような手段を、CPU2とハードディスク3とを含むパーソナルコンピュータ1で実現するためのプログラムが格納されている。この場合、例えば、前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶した記憶手段と、この記憶手段から前記輪郭データを抽出する輪郭データ抽出手段と、この輪郭データ抽出手段によって抽出された前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出手段と、この端点抽出手段によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別手段と、この形状識別手段によって前記四角形が前記長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成手段とをパーソナルコンピュータ1で機能させるプログラムを記録媒体21に記録する。そして、この記録媒体21を読み取り装置22に装填して、プログラムをパーソナルコンピュータ1にインストールする。
【0132】
また、上記プログラムを、記録媒体21を利用してインストールする代わりに、インターネットを利用してパーソナルコンピュータ1に配信させることができる。
【0133】
以上のように、本発明のシステムによれば、GISを利用して市販の地図データにより建物の平面視輪郭を示す輪郭データを抽出し、この輪郭データから最東端点、最西端点、最南短点、最北端点に位置する4つの端点を抽出し、これらが形成する四角形を求めた後、その形状特性を活かして長方形に近似するようにし、また、建物の高さについても市販の地図データが保有する建物階数データを使用し、(建物の高さ)=(一階あたりの高さ)×(階数)により自動的に算出するようにしたので、汚染物質の拡散分布を算出するにあたって建物の平面形状および高さを設定する労力を軽減することができる。したがって、都市部のように建物の平面形状として直方体以外に平面形状が4つ以上の角を有する多角形状のものが林立している場所において上述したようなシミュレーションを行なう場合、シミュレーションの結果を算出するまでに要する時間を大幅に短くすることができる。
【0134】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上記実施形態では建物階数データを用いたが、これに限ることなく、電子地図に建物の高さそのもののデータが含まれている場合にはそれを用いるようにする。
【0135】
上記実施形態では、ユーザーが地図16上のある領域をマウス4bで指定し、その指定された領域内の建物の輪郭データを抽出するようにしたが、地図16上でマウス4bにより4点以上の任意の点を指定し、その点で囲まれるエリアを1つの建物として指定して、それの輪郭データを抽出するようにしても良い。
【0136】
上記実施形態では、計算点データを入力する際、表示装置5の画面にダイアログボックス18と地図16とを別々に表示するようにしたが、図32に示すように計算点データを入力する操作パネルと地図を表示するウィンドウとを一体化して表示するようにしても良い。この場合、SISActiveXManager6.1を用いることにより操作パネルと地図とを一体化させることができる(http://www.informatix.co.jp/sis/products/sis/function/function7.htmlを参照)。なお、同様にして、煙源データや建物に関するデータなどを入力する画面についてもデータを入力する操作パネルと地図を表示するウィンドウとを一体化して表示するようにしても良い。
【実施例】
【0137】
図1〜18に示す本発明のシステムにより地図データとSISActiveXManager6.1を使用し、拡散シミュレーションの計算条件の作成、シミュレーション実行、シミュレーション結果表示までを行なった。
【0138】
本実施例のシステムによれば、計算条件を作成する機能として計算点、煙源、建物の位置を簡単に指定することができる。また、作成した計算条件は、ケース名をつけて管理することができる。ここで作成した計算情報を使用して、拡散分布算出部18で拡散計算を行なう。大気拡散シミュレーション終了後は、地図上に濃度分布図をメッシュ図形式で表示できる。GISの使用にあたっては、一部、GISの標準機能を操作する場合がある。そのため、システムを正しく使用するには、地図データや前準備が必要となる。
【0139】
システムを正しく動作させるためには、以下のデータが必要となる。
1.地図データ
(i)建物情報として、建物階数を含んでいる必要がある。
(ii)日本測地系である必要がある。
(iii)ベクトルデータである必要がある。
2.大気拡散シミュレーションシステム用データベース
本実施例では地図データとしてゼンリン社のZmap−town2を用いた。
【0140】
システムを起動させると、先ず、図19に示すようにメイン画面30が表示制御部7によって表示装置5に表示される。メイン画面30には、条件設定画面用ボタン30a、シミュレーション実行画面ボタン30b、結果表示画面ボタン30c及び終了ボタン30dが設けられている。マウス4bを用いて条件設定画面ボタン30aを押すと条件設定画面31が表示制御部7によって表示装置5に表示され、シミュレーション実行画面ボタン30bを押すとシミュレーション実行画面61が表示制御部7によって表示装置5に表示され、結果表示画面ボタン30cを押すと結果表示画面62が表示制御部7によって表示装置5に表示され、終了ボタン30dを押すとシステムが終了する。
【0141】
図20に示すように、条件設定画面31は、拡散シミュレーションを行なうための気象条件、計算点条件、煙源条件、建物条件、稼働率条件を設定する画面である。条件設定画面31には、気象条件設定画面ボタン31a、計算条件設定画面ボタン31b、煙源条件設定画面ボタン31c、建物条件設定画面ボタン31d、稼働率条件設定画面ボタン31e、シミュレーション実行画面ボタン31f、結果表示画面ボタン31g及びメイン画面ボタン31hが設けられている。マウス4bを用いて気象条件設定画面ボタン31aを押すと、図21に示すように気象条件設定画面32が表示され、計算条件設定画面ボタン31bを押すと計算条件設定画面43が表示制御部7によって表示装置5に表示され、煙源条件設定画面ボタン31cを押すと煙源条件設定画面50が表示制御部7によって表示装置5に表示され、建物条件設定画面ボタン31dを押すと建物条件設定画面54が表示され、稼働率条件設定画面ボタン31eを押すと稼働率条件設定画面60が表示制御部7によって表示装置5に表示され、シミュレーション実行画面ボタン31fを押すとシミュレーション実行画面61が表示制御部7によって表示装置5に表示され、結果表示画面ボタン31gを押すと結果表示画面62が表示制御部7によって表示装置5に表示され、メイン画面ボタン31hを押すとメイン画面30が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
【0142】
図21に示すように、気象条件設定画面32は、気象条件を設定し登録する画面である。気象条件には、1時間毎に気象条件を設定する短期気象条件と、短期気象条件から風向・風速階級別の大気安定度出現頻度を計算する長期気象条件とがある。なお、ここで言う「気象条件」とは、上記実施形態における「気象データ」のことを示す。
【0143】
気象条件として短期気象条件を設定する場合の操作手順について説明する。
(i)ケース名選択
「新規作成」または「既存選択」を選択する。「新規作成」の場合は、ケース名とコメントを入力する。「既存選択」の場合は、ケース名を選択する。
【0144】
(ii)期間の設定
期間の開始と終了を入力する。
【0145】
(iii)解析手法の選択
解析する手法を選択する。選択可能な手法は「総量規制」「METI−LIS ver1」「METI−LIS ver2」の3種類である。説明ボタン32a〜32cを押下すると、図22に示すように各手法の説明画面33が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
【0146】
(iv)気象データの選択
気象データは、気象年報、アメダス、ユーザ定義ファイルといったデータファイルを使用して安定度計算を行なう方法と、図23に示す手入力画面34で風向、風速、安定度などの任意の気象データを手入力する方法が選択できる。
【0147】
データファイルを使用する場合には、先ず、風向・風速、日射量などの各データ項目毎に、使用する気象データ種類を選択する。各項目毎に、選択した使用データのディレクトリ名、つまり気象年報、アメダスといったディレクトリ名またはユーザ定義ファイルといったファイル名を設定する。次に、各項目毎に地方、都道府県、観測所を選択する。ユーザ定義ファイルの場合は、ファイル中に定義された観測所を表示する。都道府県はアメダス選択時にのみ使用可能となる。
【0148】
手入力を行なうにあたって安定度を入力した場合、安定度判定部8は安定度計算を行なわず、入力値を安定度として使用する。安定度判定部8は安定度を入力しない場合にのみ安定度計算を行なう。手入力画面34では以下に示す項目に対して手入力を行なう。
「日付」・・・・年(西暦4桁)月(2桁)日(2桁)を入力する。例えば、2005年1月1日の場合、「20050101」と入力する。
「時間」・・・・時(2桁)を入力する。時間は1〜24で入力する。
「風向」・・・風向を16方位またはCALM(無風)で入力する。
「風速」・・・・風速を入力する。風速は風速測定高度での風速とする。単位はm/sとする。
「日射量」・・・日射量を入力する。単位は0.01kW/mとする。
「雲量」・・・・雲量を0〜10で入力する。(省略可能)
「気温」・・・・気温を入力する。単位は℃とする。
「安定度」・・・安定度を10段階で入力する。安定度は、A、A−B、B、B−C、C、C−D、D、E、F、Gに分類される。
【0149】
(v)固定昼間時間帯
昼間として安定度計算を行なう時間帯を設定する。自動設定と手動設定から選択することができる。
「自動設定」・・・気象データ中の日射量データが0より大きい場合、昼間とする。
「手動設定」・・・月別に昼間開始終了時間を設定する。設定時間外は気象データ中の日射量データが0より大きい場合、昼間とする。
なお、図24に示すように、自動及び手動設定の説明画面35は説明ボタン32dを押下すると表示制御部7によって表示装置5に表示される。
【0150】
(vi)安定度計算開始
上記の(ii)〜(v)の設定を完了した後、安定度計算開始ボタン32eを押下する。 押下後、大気安定度判定部8はデータ収集および計算を開始する。設定条件により、計算に時間を要する場合があるが、計算が終了すると安定度結果表示ボタン32fが押下可能となる。安定度結果表示ボタン32fを押下すると図25に示すように安定度結果表示画面36が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
【0151】
(vii)ケース登録
ケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0152】
(viii)詳細設定
詳細設定では、風速補正係数の設定および雲量データが欠測時に使用する代表雲量データの設定を行なうことができる。風速補正係数設定ボタン32gを押すと図27に示すように風速補正係数設定画面38が表示制御部7によって表示装置5に表示され、この画面で安定度計算時の風速補正に関する設定と風速補正係数の設定を行なうことができる。また、雲データ設定ボタン32hを押すと図28に示すように雲データ設定画面39が表示制御部7によって表示装置5に表示され、この画面で雲量データが欠測時の場合の雲量仮定値の設定を行なうことができる。
【0153】
(ix)ケース削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。ケース削除ボタン32iを押すと(vii)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。また、長期平均処理結果がある場合、長期平均ケースも削除される。また、シミュレーション実行に使用しているケースを削除した場合、シミュレーション実行画面61でシナリオ選択した場合、削除済みと表示される。
【0154】
気象条件として短期気象条件を設定する場合の操作手順について説明する。
(i)長期平均処理
既存の短期ケースを選択して、長期平均処理を行なう。次に、参照ボタン32jを押下し、既存の短期ケースを選択して、長期平均処理ボタン32kを押下すると、長期平均処理が行なわれ、風向毎、風速毎に大気安定度判定部8によって安定度頻度分布が計算される。
【0155】
(ii)結果表示
長期平均処理実行が完了すると、頻度分布図ボタン32m、風配図ボタン32n、頻度分布表ボタン32pが押下可能となる。頻度分布図ボタン32mを押すと頻度分布図画面40(図29参照)が表示制御部7によって表示装置5に表示される。この画面で風向を選択する。そして、その選択した風向の安定度頻度数および風速ランク頻度数が棒グラフで表示制御部7によって頻度分布図画面40に表示される。風配図ボタン32nを押すと風配図画面41(図30参照)が表示制御部7によって表示装置5に表示される。この画面では、風向毎の出現頻度がレーダーチャートで表示される。CALMについては下部に出現頻度数が表示される。頻度分布表ボタン32pを押すと、頻度分布表画面42(図31参照)が表示制御部7によって表示装置5に表示される。この画面で風向を選択する。そして、その選択した風向の安定度毎、風速ランク毎に出現割合(%)が頻度分布表画面42に表示される。
【0156】
(iii)ケース登録
ケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0157】
図32に示すように、計算点条件設定画面43は、濃度を計算するための計算点情報である測定点とメッシュ領域とを定義するための画面である。この画面上において測定点またはメッシュ領域で計算したい領域が指定されると、計算点データ作成部9は指定された測定点または領域に対応した計算点データを地図データから抽出し、それをハードディスク3に保存する。
【0158】
(A)計算点情報として「測定点」を用いる場合
(i)濃度計算を行なう地点を点で指定する。
(ii)測定点の情報として、点の緯度経度または三次メッシュコード、高さを設定する。
(iii)点の緯度経度または三次メッシュコードは、地図上で位置を指定することができる。
(iv)高さは任意の数字を入力する。
(v)測定点は複数設定することができる。
(B)計算点情報として「メッシュ領域」を用いる場合
(i)濃度計算を行なう範囲を面で指定する。
(ii)メッシュ領域の情報としてメッシュ領域範囲と高さを設定する。
(iii)メッシュ領域は、地図上で範囲を指定することができる。
(iv)高さは任意の数字を入力する。
(v)メッシュ領域は1領域のみ定義する。
【0159】
以下、「測定点」を設定するための手順について説明する。
(i)ケース選択
計算点種類として、測定点を選択する。新規作成ボタン43aまたは既存選択ボタン43bを押下する。新規作成の場合は、ケース名とコメントを入力する。既存選択の場合は、ケース名を選択する。
【0160】
(ii)計算対象領域設定
図32に示すように、計算対象領域設定方法を「地図」「手入力」「ファイル」から選択する。
(a)地図の場合
1)地図ボタン43cを押下すると図33に示すように設定画面44が表示される。
2)座標取得開始ボタン44aを押下する。
3)地図画面上で測定点として設定したい位置をクリックする。複数の点を設定したい場合は、この操作を繰り返す。
4)地図上から測定点の取得を終了するには、座標取得終了ボタン44bを押下する。
5)プルダウンメニューから選択した測定点識別子を測定点識別子欄44cに入力した後、測定点高さ欄44dに測定点の高さを入力する。プルダウンメニューから「全点」を選択した場合、全ての測定点に同じ高さが設定される。入力後、決定ボタン44eを押下する。
6)設定した値は図34に示す手入力画面45で修正することが可能である。
【0161】
(b)手入力の場合
1)手入力ボタン43dを押下すると、図34に示すように手入力画面45が表示される。
2)プルダウンメニューから「新規」を選択し、測定点識別子欄45aに「新規」を入力する。緯度経度または三次メッシュを選択し、座標設定欄45bに測定点の座標情報を入力する。緯度経度または三次メッシュの一方を入力すると、他方は計算点データ作成部9によって自動計算され、表示制御部7によって表示装置5に表示される。
3)高さを入力する。適応ボタン45cを押すと登録済みの全ての測定点の高さを同一に設定することができる。
4)追加ボタン45dを押す。
【0162】
(c)ファイルの場合
1)ファイルボタン43eを押下すると、図35に示すように設定画面46が表示される。
2)ファイル読み込みボタン46aを押下し、測定点情報を入力したファイルを選択する。
3)ファイルを読み込むと情報が画面に表示される。指定したファイルのフォーマットが規定と異なる場合、メッセージが出力され、フォーマットに従っている行のみ読み込み対象となる。
【0163】
(iii)ケース登録
ケース登録ボタン43fを押下してケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0164】
(iv)ケース削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。ケース削除ボタン43gを押すと(iii)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。また、シミュレーション実行に使用しているケースを削除した場合、シミュレーション実行画面61でシナリオ選択した場合、削除済みと表示される。
【0165】
以下、「メッシュ」を設定するための手順について説明する。
(i)ケース選択
計算点種類として、メッシュを選択する。新規作成ボタン43aまたは既存選択ボタン43bを押下する。新規作成の場合は、ケース名とコメントを入力する。既存選択の場合は、ケース名を選択する。
【0166】
(ii)計算対象領域設定
図36に示すように、計算対象領域設定方法を「地図」「手入力」「ファイル」から選択する。
【0167】
(a)地図の場合
1)地図ボタン43cを押下すると図37に示すように設定画面47が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)座標取得開始ボタン47aを押下する。
3)計算対象領域としたい範囲を四角形で指定する。
4)座標の取得を終了するには、座標取得終了ボタン(図示省略)を押下する。
5)メッシュサイズを選択する。選択可能なメッシュサイズ種類は25m、50m、100m、250m、500m、1km、2km、4kmである。メッシュサイズを選択すると、設定画面49の下部に赤字で、メッシュ数とメッシュ左下および右上の緯度経度、三次メッシュが表示される。メッシュサイズ選択後、メッシュ表示ボタン49b(図36参照)を押下するとメッシュが作成される。メッシュは、図40に示すように、ユーザーがマウス4bでメッシュ作成範囲を指定すると自動的にメッシュ範囲及びメッシュが登録される。
6)メッシュ高さ入力欄49c(図36参照)にメッシュ高さを入力する。
【0168】
(b)手入力の場合
1)手入力ボタン43dを押下すると図38に示すように設定画面48が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)プルダウンメニューから「新規」を選択し、対象領域識別子欄48aに「新規」を入力する。緯度経度または三次メッシュを選択し、座標設定欄48bに計算対象領域の左下および右上の座標情報を入力する。
3)メッシュサイズを選択する。選択可能なメッシュサイズ種類は25m、50m、100m、250m、500m、1km、2km、4kmである。メッシュサイズを選択すると、設定画面49の下部に赤字で、メッシュ数とメッシュ左下および右上の緯度経度、三次メッシュが表示される。メッシュサイズ選択後、メッシュ表示ボタン49b(図36参照)を押下するとメッシュが作成される。メッシュは、図40に示すように、ユーザーがマウス4bでメッシュ作成範囲を指定すると自動的にメッシュ範囲及びメッシュが登録される。
4)メッシュ高さ入力欄49c(図36参照)にメッシュ高さを入力する。
【0169】
(c)ファイルの場合
1)ファイルボタン43eを押下すると、図39に示すように設定画面49が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)ファイル読み込みボタン49aを押下し、ファイル選択画面(図示省略)より、読み込むファイル名を選択する。
3)ファイルを読み込むと情報が画面に表示される。指定したファイルのフォーマットが規定と異なる場合、メッセージが出力され、フォーマットに従っている行のみ読み込み対象となる。
4)メッシュサイズを選択する。選択可能なメッシュサイズ種類は25m、50m、100m、250m、500m、1km、2km、4kmである。メッシュサイズを選択すると、設定画面49の下部に赤字で、メッシュ数とメッシュ左下および右上の緯度経度、三次メッシュが表示される。メッシュサイズ選択後、メッシュ表示ボタン49b(図36参照)を押下するとメッシュが作成される。メッシュは、図40に示すように、ユーザーがマウス4bでメッシュ作成範囲を指定すると自動的にメッシュ範囲及びメッシュが登録される。
5)メッシュ高さ入力欄49c(図36参照)にメッシュ高さを入力する。
【0170】
(iii)ケース登録
ケース登録ボタン43fを押下してケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0171】
(iv)ケース削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。ケース削除ボタン43gを押すと(iii)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。また、シミュレーション実行に使用しているケースを削除した場合、シミュレーション実行画面61でシナリオ選択した場合、削除済みと表示される。
【0172】
図41に示すように、煙源条件設定画面50では煙源として点源条件を定義することができる。
【0173】
(i)ケース選択
新規作成ボタン50aまたは既存選択ボタン50bを押下する。新規作成の場合は、ケース名とコメントを入力する。既存選択の場合は、ケース名を選択する。
【0174】
(ii)点源属性情報設定
図41に示すように、計算対象領域設定方法を「地図」「手入力」「ファイル」から選択する。ここで選択された方法によって点源属性情報が設定されると、煙源データ作成部10は点源属性情報を煙源データとして規定フォーマットのテキストファイル形式でハードディスク3に保存する。
【0175】
(a)地図の場合
1)地図ボタン50cを押下すると図42に示すように設定画面51が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)座標取得開始ボタン51aを押下する。
3)地図画面上で測定点として定義したい位置をクリックする。
4)複数の点を定義する場合は3)の操作を繰り返す。地図上から測定点の取得を終了するには、座標取得終了ボタン51bを押下する。
【0176】
(b)手入力の場合
1)手入力ボタン50dを押下すると図43に示すように設定画面52が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)プルダウンメニューから「新規」を選択し、点源識別子欄52aに「新規」を入力する。緯度経度または三次メッシュを選択し、座標設定欄52bに点源の座標情報を入力する。
【0177】
なお、地図または手入力で煙源を設定した場合、点源属性を入力する。この場合、点源識別子欄52aから「全点」または任意の識別子を選択する。「全点」を選択した場合、それまでに定義した全ての点源の属性が設定値になる。属性を入力した後、決定ボタン(図示省略)を押下する。属性の設定方法には図43に示すように「属性」と「種類」がある。
・「属性」・・・・各項目に任意の値を入力する。
・「種類」・・・・種類定義ファイルを予め作成している場合、プルダウンに煙源種類名が表示される。種類名を選択すると、定義済みの値が各項目欄に表示される。表示後、編集可能となる。
【0178】
手入力で煙源を設定する場合には以下の項目に対して入力が行なわれる。
・建物階数・・・・地図上から煙源を取得または点源高度取得ボタン52cを使用した場合、煙源位置に建物がある場合、電子地図から建物階数を取得する。手入力で設定した場合、値を入力する。建物階数を変更すると、点源高度の値が変更する。
・1階高さ・・・・1階分の高さを設定する。階数高さに乗じて建物高さとする。変更すると、点源高度の値が変更する。
・点源高度・・・・建物階数と1階高さを乗じた値が表示される。値を変更した場合、建物階数が点源高度を1階高さで除した値に変更される。
・ガス排出量・・・煙源から排出されるガス量を入力する。単位は「Nm/h」である。
・煙源口径・・・・煙源の排出口の直径を入力する。単位は「m」である。
・物質名・・・・・濃度計算を行なう物質名を選択する。「その他」を選択すると、物質名と分子量を入力する画面が表示される。一度、「その他」で登録した物質名は次回起動時よりリストに表示され、選択可能となる。
・排出濃度・・・・濃度計算を行なう物質の煙源からの排出量を入力する。単位は「ppm」または「Nm/h」から選択することができる。
・ ガス温度・・・・煙源から排出されるガス温度を入力する。単位は「℃」または「K」から選択することができる。
【0179】
(c)ファイルの場合
1)ファイルボタン50eを押下すると、図44に示すように設定画面53が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)ファイル読み込みボタン53aを押下し、ファイル選択画面(図示省略)より、点源情報を入力したファイルを選択する。
3)ファイルを読み込むと情報が画面に表示される。指定したファイルのフォーマットが規定と異なる場合、メッセージが出力され、フォーマットに従っている行のみ読み込み対象となる。
【0180】
(iii)ケース登録
ケース登録ボタン50fを押下してケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0181】
(iv)ケース削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。ケース削除ボタン50gを押すと(iii)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。また、シミュレーション実行に使用しているケースを削除した場合、シミュレーション実行画面61でシナリオ選択した場合、削除済みと表示される。
【0182】
図45に示すように、建物条件設定画面54では建物条件を定義することができる。
【0183】
(i)ケース選択
新規作成ボタン54aまたは既存選択ボタン54bを押下する。新規作成の場合は、ケース名とコメントを入力する。既存選択の場合は、ケース名を選択する。
【0184】
(ii)建物属性情報設定
図45に示すように、建物の座標および属性情報の設定方法を「地図」「手入力」「ファイル」から選択する。
【0185】
(a)地図の場合
1)地図ボタン54cを押下すると、図46に示すように、設定画面55が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)座標取得開始ボタン55aを押下する。
3)建物情報を取得したい範囲を四角で選択する。四角の範囲内にある建物の全てを長方形近似する。複数の範囲を選択したい場合は、この操作を繰り返す。このようにして範囲を四角で選択すると、輪郭データ抽出部13が四角の範囲内にある全ての建物について輪郭データを抽出し、これを端点抽出部14に出力する。端点抽出部14は輪郭データ抽出部13から入力された輪郭データから最東端点の座標と、最西端点の座標と、最北端点の座標と、最南端点の座標とを抽出し、これらを形状識別部15に出力する。形状識別部15は端点抽出部14から入力された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する。形状識別部15で長方形でないと識別された場合、長方形形成部16は、4つの端点で形成される四角形の形状特性に基づいてその四角形を長方形に近似する。
4)地図上から測定点の取得を終了するには、座標取得終了ボタン55bを押下する。
5)建物の1階あたりの高さを入力する。
・階数・・・・電子地図から建物階数を取得する。建物階数を変更すると、点源高度の値が変更される。
・1階あたりの高さ・・・・1階分の高さを設定する。
・高さ・・・・建物階数と1階高さを乗じた値が表示される。1階の高さを変更すると、高さの値も変更される。
・幅・・・・・電子地図から建物の幅を取得する。
【0186】
(b)手入力の場合
1)手入力ボタン54dを押下すると、図47に示すように設定画面56が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)建物の左下および右下の座標を入力する。プルダウンメニューから「新規」を選択し、建物識別子欄56aに「新規」を入力する。緯度経度または三次メッシュを選択し、座標設定欄56bに建物の左下および右下の座標情報を入力する。緯度経度または三次メッシュの一方を入力すると、他方は自動計算され、表示される。
3)建物高さと幅を入力する。
【0187】
(c)ファイルの場合
1)ファイルボタン54eを押下すると、図48に示すように設定画面58が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)ファイル読み込みボタン58aを押下し、ファイル選択画面(図示省略)より、読み込むファイル名を選択する。
3)ファイルを読み込むと情報が画面に表示される。指定したファイルのフォーマットが規定と異なる場合、メッセージが出力され、フォーマットに従っている行のみ読み込み対象となる。
【0188】
(d)建物作成の場合
1)建物作成ボタン54fを押下すると、図49に示すように設定画面59が表示制御部7によって表示装置5に表示される。
2)作成開始ボタン59aを押下する。
3)地図上で4点以上を時計回り(右回り)にプロットする。
4)地図上から座標の取得を終了するには、作成終了ボタン59bを押下する。
5)建物高さと幅を入力する。
6)追加ボタン(図示省略)を押下する。
7)建物の左下および右下の経度緯度情報が設定画面59に表示される。
8)複数の建物を作成する場合は2)〜6)を繰り返す。
【0189】
(iii)ケース登録
ケース登録ボタン54gを押下してケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0190】
(iv)ケース削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。ケース削除ボタン54hを押すと(iii)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。また、シミュレーション実行に使用しているケースを削除した場合、シミュレーション実行画面61でシナリオ選択した場合、削除済みと表示される。
【0191】
図50に示すように、稼働率条件設定画面60では稼働率条件を定義することができる。稼働率は最大15期別に設定可能である。期間設定していない期間の稼働率は100%になる。100%以外の設定をしたい期間についてのみ設定することが可能である。稼働率条件設定画面60で定義された稼働率条件は稼働率データとして規定フォーマットのテキストファイル形式で稼働率データ作成部17によってハードディスク3に保存される。
【0192】
(i)ケース選択
新規作成ボタン60aまたは既存選択ボタン60bを押下する。新規作成の場合は、ケース名とコメントを入力する。既存選択の場合は、ケース名を選択する。
【0193】
(ii)期別と期間の設定
(a)設定する期別数を選択する。最大で15期まで設定可能である。
(b)各期の期間を設定する。期を選択し、開始終了期間をそれぞれ設定する。この場合、各期の期間が、他の期間と重複しないように設定する。
(c)各期別の時間毎の稼働率を表に入力する。初期表示は全て100%となっている。
(d)曜日別稼働率を設定する場合、「曜日別稼働率設定」をチェックする。
・「全期」・・・・各期を通じて同じ曜日稼働率を使用する。
・「各期」・・・・各期について、曜日稼働率を設定すると、この設定が「全期」の設定値より優先される。
(e)期を削除するには、(c)の表の各期の削除ボタン(図示省略)を押下する。これにより曜日稼働率も同時に削除される。
【0194】
(iii)ケース登録
ケース登録ボタン60cを押下してケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0195】
(iv)ケース削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。ケース削除ボタン60dを押すと(iii)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。また、シミュレーション実行に使用しているケースを削除した場合、シミュレーション実行画面61でシナリオ選択した場合、削除済みと表示される。
【0196】
図51に示すように、シミュレーション実行画面61では、シミュレーションを実行するための条件が設定される。そして、その設定に基づいてシミュレーションが拡散分布算出部18によって実行される。実行後は地図に計算結果が表示される。
【0197】
(i)計算シナリオ名選択
新規作成ボタン61aまたは既存選択ボタン61bを押下する。新規作成の場合は、シナリオ名とコメントを入力する。既存選択の場合は、シナリオ名を選択する。
【0198】
(ii)気象解析データ選択
初期表示は気象条件設定画面32で登録した最新ケースが表示される。変更する場合は、「短期」または「長期」を選択し、既存ケースから選択する。下部に気象データの計算期間が表示される。詳細を確認したい場合は、詳細表示ボタン61cを押下する。これにより別画面に気象データの詳細が表示される。
【0199】
(iii)計算点データ選択
初期表示は計算点条件設定画面43で登録した最近ケースが表示される。変更する場合は、「測定点」または「メッシュ」を選択し、既存ケースから選択する。詳細を確認した場合は、詳細表示ボタン61dを押下する。これにより別画面に計算点データの詳細が表示される。また、地図表示ボタン61eを押下することで地図上への表示を切り替えることができる。
【0200】
(iv)煙源データ選択
初期表示は煙源条件設定画面50で登録した最新ケースが表示される。変更する場合は、既存ケースから選択する。詳細を確認したい場合は、詳細表示ボタン61fを押下する。これにより別画面に煙源データの詳細が表示される。また、地図表示ボタン61gを押下することで地図上への表示を切り替えることができる。
【0201】
(v)建物情報選択
初期表示は建物条件設定画面54で登録した最新ケースが表示される。建物を設定しない場合は、「無」を選択する。建物を設定する場合は、「有」を選択し既存ケースから選択する。詳細を確認したい場合は、詳細表示ボタン61hを押下する。これにより別画面に建物データの詳細が表示される。地図表示ボタン61iを押下することで地図上への表示を切り替えることができる。
【0202】
(vi)稼働率データ選択
初期表示は稼働率条件設定画面60で登録した最新ケースが表示される。稼働率を設定しない場合は、「無」を選択する。稼働率を設定する場合は、「有」を選択し既存ケースから選択する。詳細を確認したい場合は、詳細表示ボタン61jを押下する。これにより稼働率データの詳細が表示される。地図表示ボタン(図示省略)を押下することで地図上への表示を切り替えることができる。
【0203】
(vii)計算手法選択
計算手法を「総量規制」「ISC3」「METI−LIS」より選択する。拡散係数等の計算時に使用するパラメータ等を変更する場合には詳細設定ボタン61kを押下し、パラメータを変更する。
【0204】
(viii)計算実行
各条件で使用するケース選択および計算条件の設定が完了したら、計算実行ボタン61mを押下する。
【0205】
(ix)実行結果の登録
実行結果シナリオ登録ボタン61nを押下してケース登録を行なう。「既存選択」の場合、上書きの有無を確認する。新規作成の場合、指定しているケース名が既存ケース名中にある場合、既存選択同様、上書きの有無を確認する。新規ケースとして登録する場合は、既存ケース名に存在しないケース名を設定する。既存ケース名は、既存選択時にケース名の一覧が確認できる。既存ケース名に存在しない新規ケース名の場合、図26に示すようにパス設定画面37が表示制御部7によって表示装置5に表示されるので、その画面を使用して出力先ディレクトリを指定する。
【0206】
(x)実行結果削除
選択ケースの削除を行ない、削除するか否かを確認することができる。結果シナリオ削除ボタン61pを押すと(ix)のケース登録で出力したケース条件ファイルも削除される。
【0207】
図52に示すように、結果表示画面62には表示制御部7によってシミュレーション実行結果が表示される。この画面では凡例の設定変更を行なうことができる。
【0208】
(i)計算シナリオ名選択
登録済みの計算シナリオ名を選択する。各条件の詳細設定を確認するには、詳細表示ボタン62a〜62eを押下する。
【0209】
(ii)その他の機能
結果表示ボタン62fを押下すると、計算結果濃度が表形式で別画面に表示される。また、風配図・頻度分布欄62gには、風配図および風向毎の安定度ヒストグラム、風速ランクヒストグラムが表示される。
【0210】
(iii)凡例変更画面
図53に示すように、凡例変更画面63は凡例を設定変更するための操作画面である。
1)レンジ数を指定する。最大で15レンジまで設定可能である。
2)カラーセットを選択する。
3)各レンジの色およびレンジ範囲を設定する。色の変更は、各レンジの左端の色のついた四角を押下する。これによりカラーパレットが表示される。
4)設定ボタン63aを押下する。カラーセットで「新規」を選択した場合、カラーセット名入力欄63bがカラーセット選択欄63cの下に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】本発明の長方形近似システムの電気的構成の要部を示す機能ブロック図である。
【図2】CPUの電気的構成の要部を示す機能ブロック図である。
【図3】気象データを入力する際に表示装置の画面に表示されるダイアログボックスの態様を示す図である。
【図4】計算点情報を入力する際に表示装置の画面に表示されるダイアログボックスと地図の態様を示す図である。
【図5】煙源情報を入力する際に表示装置の画面に表示されるダイアログボックスと地図の態様を示す図である。
【図6】建物情報を入力する際に表示装置の画面に表示されるダイアログボックスと地図の態様を示す図である。
【図7】建物の平面図を示し、A点は最東端点、B点は最西端点、C点は最南端点、D点は最北端点を示す。
【図8】A〜D点によって形成される四角形を示す平面図である。
【図9】2つの直角を有する四角形の示す平面図である。
【図10】1つの直角を有する第1の四角形の示す平面図である。
【図11】1つの直角を有する第2の四角形の示す平面図である。
【図12】1つの直角を有する第3の四角形の示す平面図である。
【図13】直角が含まれない四角形を示す平面図である。
【図14】表示装置の画面の地図上に表示された分布図の態様を示す図である。
【図15】長方形近似システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】プログラムが格納された記憶媒体をパーソナルコンピュータにインストールする場合の説明図である。
【図17】Pasquillの安定度階級分類テーブルを示し、(a)は放射収支量がある場合の総量規制方式を示し、(b)は放射収支量がない場合の総量規制方式を示し、(c)はMETI−LIS方式を示す。
【図18】Pasquill−Gifford図を示し、(a)は水平方向拡散パラメータを示し、(b)は鉛直方向拡散パラメータを示す。
【図19】メイン画面の構成を示す図である。
【図20】条件設定画面の構成を示す図である。
【図21】気象条件設定画面の構成を示す図である。
【図22】手法説明画面の構成を示す図である。
【図23】手入力画面の構成を示す図である。
【図24】固定昼間時間帯の説明画面の構成を示す図である。
【図25】安定度結果表示画面の構成を示す図である。
【図26】パス設定画面の構成を示す図である。
【図27】風速補正係数設定画面の構成を示す図である。
【図28】雲データ設定画面の構成を示す図である。
【図29】頻度分布図画面の構成を示す図である。
【図30】風配図画面の構成を示す図である。
【図31】頻度分布表画面の構成を示す図である。
【図32】計算点条件設定画面の構成を示す図である。
【図33】計算点種類として「測定点」を選択し、且つ、計算対象領域設定方法で「地図」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図34】計算点種類として「測定点」を選択し、且つ、計算対象領域設定方法で「手入力」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図35】計算点種類として「測定点」を選択し、且つ、計算対象領域設定方法で「ファイル」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図36】計算点種類として「メッシュ」を選択したときの計算点条件設定画面の構成を示す図である。
【図37】計算点種類として「メッシュ」を選択し、且つ、計算対象領域設定方法で「地図」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図38】計算点種類として「メッシュ」を選択し、且つ、計算対象領域設定方法で「手入力」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図39】計算点種類として「メッシュ」を選択し、且つ、計算対象領域設定方法で「ファイル」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図40】メッシュの作成方法を示す図である。
【図41】煙源条件設定画面の構成を示す図である。
【図42】煙源の座標の設定方法で「地図」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図43】煙源の座標の設定方法で「手入力」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図44】煙源の座標の設定方法で「ファイル」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図45】建物条件設定画面の構成を示す図である。
【図46】建物の座標および属性情報の設定方法で「地図」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図47】建物の座標および属性情報の設定方法で「手入力」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図48】建物の座標および属性情報の設定方法で「ファイル」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図49】建物の座標および属性情報の設定方法で「建物作成」を選択したときの設定画面の構成を示す図である。
【図50】稼働率条件設定画面の構成を示す図である。
【図51】シミュレーション実行画面の構成を示す図である。
【図52】結果表示画面の構成を示す図である。
【図53】凡例変更画面の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0212】
1 パーソナルコンピュータ
2 CPU
3 ハードディスク
4 入力装置
4a キーボード
4b マウス
5 表示装置
7 表示制御部
11 建物階数抽出部
12 高さ算出部
13 輪郭データ抽出部
14 端点抽出部
15 形状識別部
16 長方形形成部
18 拡散分布算出部
21 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶した記憶手段と、この記憶手段から前記輪郭データを抽出する輪郭データ抽出手段と、この輪郭データ抽出手段によって抽出された前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出手段と、この端点抽出手段によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別手段と、この形状識別手段によって前記四角形が前記長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成手段とを備えたことを特徴とする長方形近似システム。
【請求項2】
前記記憶手段から前記電子地図を読み出す読み出し手段と、この読み出し手段によって読み出された前記電子地図を画像として表示する表示手段と、前記画像上に表示されている前記建物を選択する際に操作される操作手段とを備え、前記輪郭データ抽出手段は、前記操作手段によって選択された前記建物の前記輪郭データを抽出することを特徴とする請求項1記載の長方形近似システム。
【請求項3】
前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶手段に記憶するステップと、前記記憶手段から前記輪郭データを輪郭データ抽出手段によって抽出するステップと、前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を端点抽出手段によって抽出するステップと、前記最東端点、前記最西端点、前記最南端点、及び前記最北端点で形成される四角形が長方形であるか否かを形状識別手段によって識別するステップと、前記形状識別手段によって前記四角形が長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を長方形形成手段によって形成するステップとを備えたこと特徴とする長方形近似方法。
【請求項4】
前記建物の平面視輪郭を示す輪郭データを有する電子地図を記憶した記憶手段と、この記憶手段から前記輪郭データを抽出する輪郭データ抽出手段と、この輪郭データ抽出手段によって抽出された前記輪郭データから最東端点、最西端点、最南端点、及び最北端点を抽出する端点抽出手段と、この端点抽出手段によって抽出された4つの端点で形成される四角形が長方形であるか否かを識別する形状識別手段と、この形状識別手段によって前記四角形が前記長方形でないと識別された場合に、その四角形に近似した長方形を形成する長方形形成手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項4記載のプログラムが記録されるとともに、そのプログラムをコンピュータで読み取ることのできる記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−122367(P2007−122367A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313085(P2005−313085)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年9月 財団法人電力中央研究所研究企画グループ発行の「研究年報/2005年版」に発表
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(591106864)富士通エフ・アイ・ピー株式会社 (95)
【Fターム(参考)】