説明

長時間作用性のムスカリン拮抗剤および長時間作用性のΒ2アドレナリン受容体作動剤を肺送達するための組成物ならびに関連の方法および系

定量噴霧式吸入器により長時間作用性のムスカリン拮抗剤および長時間作用性のβアドレナリン受容体作動剤を肺送達するための組成物、方法および系が提供される。特定の実施形態では、本組成物は、懸濁媒体、活性剤粒子および懸濁粒子を含み、該組成物中では、活性剤粒子と懸濁粒子とは、懸濁媒体内で共懸濁剤を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般には、気道により活性剤を送達するための医薬製剤および方法に関する。一定の態様では、本開示は、定量噴霧式吸入器により長時間作用性のムスカリン拮抗剤および長時間作用性のβアドレナリン作動剤を送達するための組成物、方法および系に関する。
【背景技術】
【0002】
活性剤を作用部位で送達する標的化薬物送達の方法は多くの場合、望ましい。たとえば、活性剤の標的化送達は、望ましくない副作用を減少させ、投与必要量を減少させ、治療費を削減することができる。呼吸器送達に関する場合、吸入器は、活性剤を対象の気道に投与するための周知の器具であり、いくつかの異なる吸入器系が現在市販されている。3つの一般的な吸入器系としては、乾燥粉末吸入器、ネブライザーおよび定量噴霧式吸入器(MDI)が挙げられる。
【0003】
MDIを使用して、可溶化形態の、または懸濁剤としての医薬を送達することができる。典型的には、MDIは、比較的高い蒸気圧の噴射剤を用いて、MDIを作動させたときに、活性剤を含有するエアロゾル化した小滴を気道中に排出する。乾燥粉末吸入器は一般に、患者の吸気努力に依存して、乾燥粉末形態の医薬を気道に導入する。他方、ネブライザーは、液体溶液剤または懸濁剤にエネルギーを賦与することにより、吸入すべき医薬エアロゾルを形成する。
【0004】
MDIは、噴射剤により生じる圧力を利用する能動型の送達器具である。慣用的に、クロロフルオロカーボン(CFC)がMDI系中の噴射剤として使用されているが、その理由は、CFCは、毒性が低く、安定な懸濁剤の製剤にとって望ましい蒸気圧および適合性を有するからである。しかし、伝統的なCFC噴射剤はマイナスの環境影響を有すると理解されており、そのことが、より環境に優しいと考えられる代替的な噴射剤(過フッ化化合物(PFC)およびヒドロフルオロアルカン(HFA)など)の開発につながっている。
【0005】
懸濁剤MDIにより送達されることになる活性剤は、典型的には、噴射剤または2つ以上の噴射剤の組合せ(すなわち、噴射剤「系」)内に分散した微細な微粒子として供給される。この微細な微粒子を形成するために、活性剤は、典型的には微粉化される。噴射剤または噴射剤系中に懸濁している活性剤の微細粒子は、急速に凝集または凝固する傾向がある。このことは、とりわけ、微粉化された形態で存在する活性剤に当てはまる。結果として、これらの微細粒子の凝集または凝固は、活性剤の送達を複雑にすると考えられる。たとえば、凝集または凝固は、機械的な故障(エアロゾル剤容器のバルブ開口部の閉塞が原因と考えられるものなど)につながりかねない。薬物粒子の不要な凝集または凝固は、薬物粒子の急速な沈降またはクリーミングにもつながりかねず、そのような挙動が生じる結果、用量送達が一定でなくなることがあり、このことは、とりわけ、高度に強力な低用量の医薬の場合に厄介であると考えられる。そのような懸濁剤MDI製剤に伴う別の問題は、保管中の薬物が結晶成長する結果、時間が経過するにつれ当該MDIのエアロゾル特性および送達用量均一性が低下することに関する。より最近では、抗コリン作用剤を含有するMDI製剤について、米国特許第6,964,759号で開示されているような解決法が提案されている。
【0006】
乾燥粉末吸入器中でのエアロゾル性能を改善するための1つのアプローチは、微細粒子担体(乳糖など)を組み込むことであった。そのような微細な添加剤の使用は、MDIについてはあまり研究されてこなかった。Youngらによる最近の報告「The influence of micronized particulates on the aerosolization properties of pressurized metered dose inhalers」、Aerosol Science、40、324〜337頁、(2009)では、MDI中でそのような微細粒子担体を使用すると、実際にはエアロゾル性能が低下する結果になることが示唆されている。
【0007】
伝統的なCFC系では、MDI製剤中に存在する活性剤が噴射剤または噴射剤系中に懸濁している場合、凝集の問題を最小化または防止し、実質的に均一な分散を維持する目的で、界面活性物質を使用して活性剤の表面を被覆することが多い。こうした形での界面活性物質の使用は、時に、懸濁剤の「安定化」と呼ばれる。しかし、可溶性であることからCFC系中で有効な多くの界面活性物質は、HFAおよびPFCの噴射剤系中では有効ではなく、その理由は、そのような界面活性物質は、非CFC噴射剤中では異なる溶解性の特徴を呈するからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、MDIにより活性剤を呼吸器送達するための組成物、方法および系を提供する。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物、方法および系は、長時間作用性のムスカリン拮抗剤(「LAMA」)および長時間作用性のβアドレナリン受容体作動剤(「LABA」)から選択される活性剤を呼吸器送達するように構成される。一定の実施形態では、LAMA活性剤またはLABA活性剤は、強力または高度に強力であることから低濃度で製剤化し低用量で送達されるものであってもよい。本明細書に記載の医薬組成物は、MDIにより肺送達または経鼻送達するために製剤化してもよい。本明細書に記載の方法は、呼吸器送達のためのLAMA活性剤またはLABA活性剤を含む製剤を安定化させる方法、ならびに、MDIによりLAMA活性剤およびLABA活性剤を肺送達する方法を含む。さらに、本明細書には、LAMA活性剤またはLABA活性剤を送達するためのMDIを調製する方法も記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本記載による例示的な共懸濁剤組成物(グリコピロレート、すなわち長時間作用性のムスカリン拮抗剤を活性剤として含ませた)が呈した粒子サイズ分布を示すグラフである。共懸濁剤MDIは、温度サイクリング条件(−5℃または40℃での6時間の保持時間を交互)に12週間さらした。
【図2】本記載による例示的な共懸濁剤組成物(グリコピロレート、すなわち長時間作用性のムスカリン拮抗剤を活性剤として含ませた)が呈した粒子サイズ分布を示すグラフである。共懸濁剤MDIは、温度サイクリング条件(−5℃または40℃での6時間の保持時間を交互)に24週間さらした。
【図3】実施例5に従って調製したさまざまな懸濁粒子の形態を例証する顕微鏡写真である。
【図4】グリコピロレートを使用して形成した活性剤粒子と糖を使用して形成した懸濁粒子とを使用して形成した共懸濁剤の可視化を可能にする2つのバイアルの写真である。
【図5】本明細書に記載のとおりの共懸濁剤組成物から送達された4つの異なる用量のグリコピロレートの単回投与後24時間の期間にわたり達成された血清中グリコピロレート濃度レベルを示すグラフである。
【図6】本明細書に記載のとおりの共懸濁剤の形態で製剤化された記載の用量のグリコピロレートの単回投与を受けた後24時間の期間にわたり患者が経験したベースラインからのFEVの平均変化(単位:リットル)を示すグラフである。この試験では、Spiriva(18μgのチオトロピウム)が活性対照として含まれ、Spirivaの単回投与を受けていた患者が経験したベースラインからのFEVの平均変化(単位:リットル)も示す。
【図7】本明細書に記載のとおりの共懸濁剤の形態で製剤化された記載の用量のグリコピロレートの単回投与を受けた後で患者が経験したベースラインからのFEVのピーク変化の対プラセボ値(単位:リットル)と、投与後12時間にわたるFEVの曲線下面積および投与後24時間にわたるFEVの曲線下面積の対プラセボ値とを、評価した4つの用量全てについて示す棒グラフである。この試験では、Spiriva(18μgのチオトロピウム)が活性対照として含まれており、前記パラメーターについてのSpiriva単回投与後の結果も、この図に示す。
【図8】本明細書に記載のとおりのグリコピロレート共懸濁剤の記載の用量の単回投与を受けた後、ベースラインからのFEVの12%超の変化+ベースラインから150mLの変化という改善、または、ベースラインからのFEVの変化率(%)に関わらずベースラインから200mLの絶対的な改善を達成した患者の比率を示すグラフである。この試験では、Spiriva(18μgのチオトロピウム)が活性対照として含まれており、前記パラメーターについてのSpiriva単回投与後の結果も、この図に示す。
【図9】本明細書に記載のとおりのグリコピロレート共懸濁剤の記載の用量の単回投与を受けた後、患者が経験した深吸気量のピーク変化を示す棒グラフである。この試験では、Spiriva(18μgのチオトロピウム)が活性対照として含まれており、前記パラメーターについてのSpiriva単回投与後の結果も、この図に示す。
【図10】本明細書に記載のとおりのグリコピロレート共懸濁剤の記載の用量の単回投与を受けた後、患者において達成されたFEV AUCの変化を示す棒グラフである。本記載によるグリコピロレート共懸濁剤により達成された結果を、本明細書中で提供した教示に従って調製されていないグリコピロレートの粉末製剤の投与を受けた患者の公表試験において報告されているFEV AUCの変化との比較で示す。
【図11】本記載に従って調製し(4.5μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)、温度サイクリング条件(−5℃または40℃での6時間の保持時間を交互)にさらした例示的なグリコピロレート共懸濁剤の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図12】本記載に従って調製し(36μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)、温度サイクリング条件(−5℃または40℃での6時間の保持時間を交互)にさらした例示的なグリコピロレート共懸濁剤の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図13】本記載に従って調製した例示的なグリコピロレート共懸濁剤(4.5μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)の、缶の寿命を通した送達用量を示すグラフである。
【図14】本記載に従って調製した例示的なグリコピロレート共懸濁剤(36μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)の、缶の寿命を通した送達用量を示すグラフである。
【図15】本記載に従って調製し(36μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)、25℃/60%RH、非保護での12カ月の保管にさらした例示的なグリコピロレート共懸濁剤の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図16】本記載に従って調製し(32μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)、温度サイクリング条件(−5℃または40℃での6時間の保持時間を交互)にさらした例示的なグリコピロレート共懸濁剤の、缶の寿命を通した平均送達用量を示すグラフである。
【図17】本記載に従って調製し(32μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)、温度サイクリング条件(−5℃または40℃での6時間の保持時間を交互)にさらした例示的なグリコピロレート共懸濁剤の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図18】本記載に従って調製し(24μg/作動の送達用量のグリコピロレートと6mg/mLの懸濁粒子とを含有する)、50℃/周囲相対湿度で6週間の保管および40℃で12週間にさらした例示的なグリコピロレート共懸濁剤の粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図19】フマル酸ホルモテロール活性剤粒子を含む本記載に従って調製した共懸濁剤組成物の可視化を可能にする写真である。
【図20】本記載に従って調製した、フマル酸ホルモテロール共懸濁製剤組成物により達成される送達用量均一性を示すグラフである。
【図21】本記載に従って調製し、25℃/75%RHで保護用のオーバーラップなしの条件、または、40℃/75%RHで保護用のオーバーラップありの条件で3カ月間保管した例示的なフマル酸ホルモテロール共懸濁剤組成物の、カスケードインパクションにより定量した空気力学的粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図22】フマル酸ホルモテロールを活性剤として含む例示的な共懸濁剤組成物の化学的な安定性を示すグラフである。この図に示す結果により、結晶性のフマル酸ホルモテロールを使用して製剤化した共懸濁剤組成物において達成されたフマル酸ホルモテロールの化学的な安定性を、噴霧乾燥されたフマル酸ホルモテロールを使用して調製した懸濁製剤の化学的な安定性と比較することが可能である。
【図23】トレハロース懸濁粒子の顕微鏡写真を示す。
【図24】HP−β−シクロデキストリン懸濁粒子の顕微鏡写真を示す。
【図25】Ficoll MP70懸濁粒子の顕微鏡写真を示す。
【図26】イヌリン懸濁粒子の顕微鏡写真を示す。
【図27】本記載に従って調製しグリコピロレート活性剤粒子を含む例示的な共懸濁剤組成物の、カスケードインパクションにより定量した空気力学的粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図28】本記載に従って調製しフマル酸ホルモテロール活性剤粒子を含む例示的な共懸濁剤組成物の、カスケードインパクションにより定量した空気力学的粒子サイズ分布を示すグラフである。
【図29】本記載に従って調製した超低用量のフマル酸ホルモテロール共懸濁剤組成物により達成された送達用量均一性を示すグラフである。
【図30】例示的な共懸濁剤により達成された、グリコピロレート(上)およびホルモテロール(下)の粒子サイズ分布を、グリコピロレートまたはフマル酸ホルモテロールいずれかを単独で含む製剤により達成された粒子サイズ分布との比較で例証するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、MDIによるLAMA活性剤またはLABA活性剤の送達による治療を行いやすい肺疾患または肺障害を治療する方法を含む。たとえば、本明細書に記載の組成物、方法および系を使用して、炎症性または閉塞性の肺の疾患または状態を治療することができる。一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物、方法および系を使用して、以下:喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、他の薬物療法の結果生じる気道過反応性の増悪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、および、LAMAまたはLABA、の投与(単独でまたは他の療法との組合せで)に応答する可能性のある任意の他の呼吸器の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型から選択される疾患または障害に罹患している患者を治療することができる。一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物、系および方法を使用して、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症および閉塞を治療することができる。本明細書中で使用する場合、用語「COPD」および「慢性閉塞性肺疾患」は、慢性閉塞性肺疾患(COLD)、慢性閉塞性気道疾患(COAD)、慢性気流制限(CAL)および慢性閉塞性呼吸器疾患(CORD)を包含し、慢性気管支炎、気管支拡張症および気腫を含む。本明細書中で使用する場合、用語「喘息」は、型または起源によらず全ての喘息を指し、以下:内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度喘息、中等度喘息、重度喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、ならびに、細菌感染に次いで誘導される喘息を包含する。喘息は、包括的な乳児喘鳴症候群としても理解されたい。
【0011】
本明細書に記載されている実施形態が例示的なものであることは、容易に理解されよう。以下の、多様な実施形態のより詳細な説明は、本開示の範囲を限定することを意図してはおらず、多様な実施形態を代表するにすぎない。さらに、本明細書中で開示する実施形態に関連して記載する方法のステップまたは行為の順序は、本開示の範囲から逸脱せずに当業者により変更されてもよい。言い換えれば、ステップまたは行為の特定の順序がその実施形態の正しい実施過程に必要でない限り、特定のステップまたは行為の順序または使用は改変されてもよい。
【0012】
I.定義
特に具体的に定義しない限り、技術用語は、本明細書中で使用する場合、当技術分野で理解されるとおりのその通常の意味を有する。明確を期すために、以下の用語を具体的に定義する。
【0013】
用語「活性剤」は、本明細書中では、ヒトまたは動物に対して使用または投与してもよい任意の薬剤、薬物、化合物、組成物または他の物質を包含するように使用され、LAMAまたはLABAである。用語「活性剤」は、用語「薬物」、「医薬剤」、「医薬」、「原薬」または「治療剤」と互換的に使用してもよい。
【0014】
用語「会合する」、「〜と会合する」または「会合」は、表面(別の化学体、組成物または構造の表面など)に近い状態にある化学体、組成物または構造間の相互作用または関係を指す。会合としては、たとえば、吸着、接着、共有結合、水素結合、イオン結合および静電引力、リフシッツ・ファンデルワールス相互作用および極性相互作用が挙げられる。用語「接着する」または「接着」は、会合の一形態であり、粒子または塊を表面に引き付けさせる傾向がある全ての力についての一般的な用語として使用される。「接着する」は、さらに、粒子を互いに接触させその状態を保つことから、通常の条件下での噴射剤中の粒子の浮力が異なることによる粒子間の目に見える分離が実質的には存在しないことも指す。一実施形態では、表面と付着または結合する粒子は、用語「接着する」により包含される。通常の条件としては、室温での、または重力による加速力下での保管を挙げることができる。本明細書に記載のとおり、活性剤粒子は懸濁粒子と会合させて共懸濁剤を形成でき、その場合、噴射剤内での浮力に差があることによる懸濁粒子と活性剤粒子またはその凝固体との間の目に見える分離は、実質的には存在しない。
【0015】
「懸濁粒子」は、呼吸器送達にとって許容でき、活性剤粒子のためのビヒクルとして作用する物質または物質の組合せを指す。懸濁粒子は、活性剤粒子と相互作用して、送達の標的部位、すなわち気道への活性剤の反復可能な投与、送達または輸送を容易にする。本明細書に記載の懸濁粒子は、懸濁媒体(噴射剤または噴射剤系など)内に分散し、所望の懸濁安定性または活性剤送達性能の達成に適した任意の形状、サイズまたは表面特徴に従って構成できる。例示的な懸濁粒子としては、活性剤の呼吸器送達を容易にする粒子サイズを呈し、本明細書に記載のとおりの安定化された懸濁剤の製剤および送達に適した物理的な構成を有する粒子が挙げられる。
【0016】
用語「共懸濁剤」は、懸濁媒体内に異なる組成の2種以上の粒子を有する懸濁剤を指し、このとき、1種の粒子は、他の粒子種のうち1つまたは複数と少なくとも部分的に会合する。この会合により、懸濁媒体中に懸濁している個々の粒子種のうち少なくとも1種の1つまたは複数の特徴に、観察可能な変化が生じる。この会合により改変される特徴としては、たとえば、以下:凝集または凝固の速度、分離、すなわち沈降またはクリーミングの速度および性質、クリーム層または沈降層の密度、容器壁への接着、バルブ部品への接着、ならびに撹拌時の分散の速度およびレベルのうち1つまたは複数を挙げることができる。
【0017】
共懸濁剤が存在するか否かを調べるための例示的な方法としては、以下を挙げることができる。1つの粒子種の比重瓶密度が噴射剤より高く、別の粒子種の比重瓶密度が噴射剤より低い場合、クリーミング挙動または沈降挙動の目視観察を用いて共懸濁剤の存在を確認できる。用語「比重瓶密度」は、粒子を構成する物質の、粒子内の空隙を除いた密度を指す。一実施形態では、物質は、目視観察のために、製剤化するか、または透明なバイアル(典型的にはガラスバイアル)中に移動させることができる。最初の撹拌後、沈降層またはクリーム層の形成に十分な時間(典型的には24時間)をかけてバイアルを静かに放置する。沈降層またはクリーム層が完全にまたは大部分、均一な単一層であることが観察された場合は、共懸濁剤が存在する。用語「共懸濁剤」は、少なくとも2つの粒子種の大多数は互いに会合するが、少なくとも2つの粒子種のうちいくらかの分離(すなわち、大多数より少ない)が観察されることがある、部分的な共懸濁剤を包含する。
【0018】
例示的な共懸濁剤の試験を異なる噴射剤温度で実施して、室温で噴射剤密度に近い密度を有する粒子種の沈降挙動またはクリーミング挙動を際立たせてもよい。異なる粒子種が同じ分離性質(すなわち、全て沈降または全てクリーム)を有する場合、共懸濁剤の存在は、該懸濁剤の他の特徴(凝集または凝固の速度、分離の速度、クリーム層または沈降層の密度、容器壁への接着、バルブ部品への接着、ならびに撹拌時の分散の速度およびレベルなど)を測定し、その測定値を、同様に懸濁させた個々の粒子種のそれぞれの特徴と比較することにより、決定できる。当業者に公知の多様な分析法を用いて、こうした特徴を測定できる。
【0019】
呼吸可能な凝集体、粒子、液滴など(本明細書に記載の組成物など)を含有または供給する組成物に関する場合、用語「微細粒子用量」または「FPD」は、呼吸可能な範囲内にある、名目用量または計量された用量の全質量または分率いずれかの形態での用量を指す。呼吸可能な範囲内にある用量は、カスケードインパクターのスロートステージを越えて堆積する用量、すなわち、流速30l/分で運転されるNext Generation Impactorにおいてフィルターを通してステージ3で送達される用量の合計であるように、インビトロで測定する。
【0020】
呼吸可能な凝集体、粒子、液滴など(本明細書に記載の組成物など)を含有または供給する組成物に関する場合、用語「微細粒子分率」または「FPF」は、送達される物質の、呼吸可能な範囲内にある送達用量(すなわち、MDIなどの送達器具の作動装置を出る量)に対する比率を指す。呼吸可能な範囲内の送達物質の量は、カスケードインパクターのスロートステージを越えて堆積する物質の量、たとえば、流速30l/分で運転されるNext Generation Impactorにおいてフィルターを通してステージ3で送達される物質の合計としてインビトロで測定する。
【0021】
本明細書中で使用する場合、用語「〜を阻害する」は、現象、症状もしくは状態が生じる傾向、または、当該現象、症状もしくは状態が生じる程度が測定可能に減少することを指す。用語「〜を阻害する」またはその任意の形態は、その最も広い意味で使用され、〜を最小化させる、防止する、低下させる、抑圧する、抑制する、抑える、抑止する、制限する、〜の進行を遅らせるなどを包含する。
【0022】
「空気力学的質量中央径」または「MMAD」は、本明細書中で使用する場合、それを下回ればエアロゾルの質量の50%は、MMADより小さい空気力学的径を有する粒子から成る、エアロゾルの空気力学的径を指し、MMADは、合衆国薬局方(「USP」)のモノグラフ601に従って計算される。
【0023】
本明細書中で言及する場合、用語「光学直径」は、乾燥粉末ディスペンサーを装備したレーザー回折粒子サイズ分析装置(たとえば、Sympatec GmbH、Clausthal−Zellerfeld、ドイツ)を用いてフラウンホーファー回折モードにより測定した場合の粒子サイズを示す。
【0024】
溶液媒介転移という用語は、より可溶性の高い形態の固形物質(すなわち、曲率半径(オストワルド熟成に向かう駆動力)の小さい粒子、または非晶質の物質)が溶解し、その飽和している噴射剤溶液と平衡状態で共存できる、より安定な結晶形に再結晶する現象を指す。
【0025】
「患者」は、LAMA活性剤またはLABA活性剤が治療効果を有するであろう動物を指す。一実施形態では、患者はヒトである。
【0026】
「有孔微細構造体」は、Weersらに付与された米国特許第6,309,623号に記載されている当該物質および調製物などの微細構造に周囲の懸濁媒体を浸透、充填または充満させる空隙、細孔、欠陥、凹み、空間、格子間空間、開口、穿孔または孔を呈する、規定するまたは含む構造マトリックスを備える懸濁粒子を指す。有孔微細構造体の基本的形態は一般にはそれほど重要ではなく、所望の製剤特徴をもたらす任意の全体構成が本明細書中では企図される。したがって、一実施形態では、有孔微細構造体は、ほぼ球形状(中空の、懸濁している噴霧乾燥された微小球など)を含んでもよい。しかし、任意の基本的形態またはアスペクト比の、崩壊した、波形の、変形したまたは砕けた微粒子も適合すると考えられる。
【0027】
本明細書に記載の懸濁粒子に当てはまるように、有孔微細構造体は、選択された懸濁媒体中で実質的に分解または溶解しない任意の生体適合性物質から形成されてもよい。多種多様な物質を使用して粒子を形成してもよいが、いくつかの実施形態では、構造マトリックスは、界面活性物質(リン脂質またはフッ素系界面活性物質など)と会合しているか、またはそれらを含む。必須ではないが、有孔微細構造体、または、より一般的には懸濁粒子中に適合性の界面活性物質を組み込むと、呼吸器用の分散剤の安定性を向上させ、肺堆積量を増し、懸濁剤の調製を容易にすることができる。
【0028】
用語「懸濁媒体」は、本明細書中で使用する場合、中で活性剤粒子および懸濁粒子が分散して共懸濁製剤をもたらすことができる連続相を供給する物質を指す。本明細書に記載の共懸濁製剤中で使用される懸濁媒体は、噴射剤を含む。本明細書中で使用する場合、用語「噴射剤」は、通常の室温で十分に高い蒸気圧を発揮して、MDIの定量バルブの作動時にMDIの缶から患者に医薬を噴射する、1つまたは複数の薬理学的に不活性な物質を指す。したがって、用語「噴射剤」は、単一の噴射剤と、「噴射剤系」を形成する2つ以上の異なる噴射剤の組合せとの両方を指す。
【0029】
用語「呼吸可能な」は、一般に、吸入されて肺の気道に到達できるような大きさになっている粒子、凝集体、液滴などを指す。
【0030】
本明細書に記載の共懸濁剤組成物を指すために使用する場合、用語「物理的な安定性」および「物理的に安定な」は、凝集、凝固、および、溶液媒介転移による粒子サイズ変化のうち1つまたは複数に抵抗性であり、懸濁粒子のMMADおよび微細粒子用量を実質的に維持することが可能な組成物を指す。一実施形態では、物理的な安定性は、組成物を、本明細書に記載のとおりの温度サイクリングによるなど加速分解条件にさらすことにより評価してもよい。
【0031】
活性剤に言及する場合、用語「強力な」は、約0.01mg/kg〜約1mg/kgの範囲の用量以下で治療上有効な活性剤を指す。強力な活性剤の典型的な用量は、一般的に、約100μg〜約100mgの範囲である。
【0032】
活性剤に言及する場合、用語「高度に強力な」は、約10μg/kgの用量以下で治療上有効な活性剤を指す。高度に強力な活性剤の典型的な用量は、一般的に、最大約100μgの範囲である。
【0033】
用語「懸濁安定性」および「安定な懸濁剤」は、活性剤粒子と懸濁粒子との共懸濁剤の特性をある期間にわたり維持することが可能な懸濁製剤を指す。一実施形態では、懸濁安定性は、本明細書に記載の共懸濁剤組成物により達成される送達用量均一性により測定してもよい。
【0034】
用語「実質的に不溶性の」は、組成物が、特定の溶媒中で完全に不溶性であるか、またはその特定の溶媒中での可溶性が乏しいか、そのいずれかであることを意味する。用語「実質的に不溶性の」は、特定の溶質の溶解性が溶媒100部当たり1部であることを意味する。用語「実質的に不溶性の」は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott、Williams&Wilkins、2006、212頁の表16−1に示されているように、「わずかに可溶性の」(溶質1部当たり溶媒100〜1000部)、「非常にわずかに可溶性の」(溶質1部当たり溶媒1000〜10,000部)および「実質的に不溶性の」(溶質1部当たり溶媒10,000部超)という定義を包含する。
【0035】
用語「界面活性物質」は、本明細書中で使用する場合、2つの非混和相間の界面(水と有機ポリマー溶液との間の界面、水/空気界面、または有機溶媒/空気界面など)に優先的に吸着する任意の薬剤を指す。界面活性物質は、一般に親水性部分と親油性部分とを有することから、微小粒子への吸着時には、同じように被覆された粒子を引き付けない連続相に部分を提示し、したがって粒子の凝集を低下させる傾向がある。いくつかの実施形態では、界面活性物質は、薬物の吸着を促進し、薬物の生体利用率を増加させることもできる。
【0036】
「治療上有効量」は、患者の疾患もしくは障害を阻害することにより、または、疾患もしくは障害の発症を予防的に阻害もしくは予防することにより治療効果を達成する化合物の量である。治療上有効量は、患者の疾患もしくは障害の1つもしくは複数の症状をある程度軽減し、該疾患もしくは障害に伴うもしくはその原因となる1つもしくは複数の生理学的もしくは生化学的なパラメーターを部分的もしくは完全のいずれかで正常に戻し、および/または疾患または障害の発症の可能性を低下させる量であってもよい。
【0037】
用語「化学的に安定な」および「化学的な安定性」は、活性剤の個々の分解産物が、ヒトが使用するための製品の品質保持期間中の規制要件により特定される制限(たとえば、ICHガイダンスQ3B(R2)に従うクロマトグラフィーの合計ピーク面積の1%)未満のままであり、活性剤アッセイと総分解産物との間に許容される質量バランスが存在する(たとえば、ICHガイダンスQ1Eで定義されているように)共懸濁製剤を指す。
【0038】
II.医薬組成物
本明細書に記載の組成物は、噴射剤、LAMA活性剤粒子またはLABA活性剤粒子および懸濁粒子を含む懸濁媒体を含む共懸濁剤である。当然ながら、必要に応じ、本明細書に記載の組成物は、1つまたは複数の追加成分を含んでもよい。さらに、本明細書に記載の組成物の成分の変形および組合せを使用してもよい。たとえば、2種以上の懸濁粒子は、選択されたLAMA活性剤またはLABA活性剤の製剤化および送達のために該組成物中で使用してもよい。あるいは、たとえば、本明細書に記載の組成物は、2種以上の活性剤粒子を含んでもよい。一定のそのような実施形態では、該組成物は、懸濁粒子と共懸濁しているLAMA活性剤またはLABA活性剤の粒子を含んでもよく、この場合、該活性剤粒子中に含まれる活性剤物質に加え、少なくとも一部の懸濁粒子は、選択されたLAMA活性剤またはLABA活性剤を組み込んでいる。さらには、必要に応じ、本明細書に記載の組成物は、選択されたLAMA活性剤またはLABA活性剤を2つ以上の異なる種の懸濁粒子と組み合わせて含有する2つ以上の異なる種の粒子を含んでもよい。
【0039】
本記載による製剤においては、活性剤粒子は、懸濁粒子との会合を呈することから、活性剤粒子と懸濁粒子との分離は本質的に防止され、結果として懸濁媒体内で同一場所に位置することが見出された。一般的に、異なる種の粒子と、該粒子が中に懸濁している媒体(たとえば、噴射剤または噴射剤系)との間には密度差があることから、浮力により、噴射剤より低密度の粒子のクリーミングと、噴射剤より高密度の粒子の沈降とが生じる。したがって、密度が異なる粒子の混合物を含む懸濁剤においては、それぞれのタイプの粒子の沈降挙動またはクリーミング挙動はさまざまでよく、噴射剤内の異なる粒子種の分離につながってもよい。
【0040】
しかし、本明細書に記載の噴射剤と活性剤粒子と懸濁粒子との組合せは、活性剤粒子と懸濁粒子とが噴射剤内で同一場所に位置する、共懸濁剤をもたらす(すなわち、活性剤粒子が懸濁粒子と会合することから、懸濁粒子と活性剤粒子とは、示差的な沈降またはクリーミングによるなど、クリーム層または沈降層の形成にとって十分な時間の後でも、互いに関しては実質的な分離を呈さない)。特定の実施形態では、たとえば、本明細書に記載の組成物は、懸濁粒子が、温度変動および/または、最大で、たとえば、1g、10g、35g、50gおよび100gならびにそれ以上の加速度での遠心分離により増幅された浮力を受けたときに活性剤粒子と会合された状態のままである共懸濁剤を形成する。しかし、本明細書に記載の共懸濁剤は、特定閾の会合力により定義する必要も特定閾の会合力に限定する必要もない。たとえば、本明細書中で企図されるとおりの共懸濁剤は、活性剤粒子と懸濁粒子との実質的な分離が、典型的な患者の使用条件下で懸濁媒体により形成される連続相内で存在しないように活性剤粒子が懸濁粒子と会合する場合に、首尾よく達成することができる。
【0041】
本記載による共懸濁剤組成物は、望ましい製剤ならびにLAMA活性剤およびLABA活性剤の送達特徴をもたらす。たとえば、一定の実施形態では、MDI缶内に存在するとき、本明細書に記載のとおりの共懸濁剤は、以下:活性剤物質の凝固;活性剤粒子および懸濁粒子の示差的な沈降またはクリーミング;活性剤物質の溶液媒介転移;;ならびに、容器施栓系、とりわけ定量バルブ部品の表面への活性剤の損失のうち1つまたは複数を阻害または低減できる。加えて、本明細書に記載のとおりの組成物は、その中に含有される活性剤に化学的な安定性をもたらす。そのような特性は、共懸濁剤がMDIから送達される際にエアロゾル性能を達成および維持するように働くことから、望ましい微細粒子分率、微細粒子用量および送達用量均一性特徴が達成され、共懸濁剤組成物が含有されているMDI缶が空になるまで実質的に維持される。加えて、本明細書に詳細に記載されている実施形態により示されているように、本記載による共懸濁剤は、たとえば、共溶媒、貧溶媒、可溶化剤またはアジュバントの添加による改変を必要としない比較的単純なHFA懸濁媒体を利用しながら、LAMA活性剤およびLABA活性剤の一定の投与特徴および呼吸器送達特徴をもたらす安定な製剤を提供できる。
【0042】
本記載による共懸濁剤を提供することにより、LAMA活性剤およびLABA活性剤の製剤、送達および投与を単純化することもできる。特定の理論により拘束されるものではないが、活性剤粒子と懸濁粒子との共懸濁剤を達成することにより、そのような分散系内に含有される活性剤の送達および投与は、懸濁粒子のサイズ、組成、形態および相対量を制御することを通じて実質的に制御してもよく、活性剤粒子のサイズおよび形態への依存度は比較的低いと考えられる。
【0043】
したがって、本明細書中で開示する医薬組成物は、MDIからのLAMA活性剤およびLABA活性剤の送達を提供する。本明細書に記載の共懸濁剤組成物の送達は、望ましい薬物動態学的および薬力学的な特徴をもたらし、本明細書に記載の医薬組成物のMDI送達は、LAMA活性剤またはLABA活性剤の投与に応答する炎症性または閉塞性の肺疾患または状態に罹患している患者の治療に適している。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、以下:喘息、COPD、他の薬物療法の結果生じる気道過反応性の増悪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、気腫、および、LAMAまたはLABAの単独または他の療法と組み合わせた投与に応答する可能性のある任意の他の呼吸器の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型から選択される疾患または状態の治療において使用してもよい。一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物、系および方法を使用して、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症および閉塞を治療することができる。
【0044】
(i)懸濁媒体
本明細書に記載の組成物中に含まれる懸濁媒体は、1つまたは複数の噴射剤を含む。一般には、懸濁媒体としての使用に適した噴射剤は、室温での加圧下で液化でき、吸入または局所的な使用の際に安全で毒性学的に無害であるような噴射剤ガスである。加えて、選択される噴射剤は、懸濁粒子または活性剤粒子とあまり反応しないことが望ましい。例示的な適合性のある噴射剤としては、ヒドロフルオロアルカン(HFA)、過フッ化化合物(PFC)およびクロロフルオロカーボン(CFC)が挙げられる。
【0045】
本明細書中で開示する共懸濁剤の懸濁媒体を形成するために使用してもよい噴射剤の具体例としては、以下:1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CFCHF)(HFA−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(CFCHFCF)(HFA−227)、ペルフルオロエタン、モノクロロフルオロメタン、1,1ジフルオロエタン、およびそれらの組合せが挙げられる。さらには、適当な噴射剤としては、たとえば以下:短鎖炭化水素;C1〜4水素含有クロロフルオロカーボン(CHClF、CClFCHClF、CFCHClF、CHFCClF、CHClFCHF、CFCHClおよびCClFCHなど);C1〜4水素含有フルオロカーボン(たとえばHFA)(CHFCHF、CFCHF、CHFCHおよびCFCHFCFなど);ならびにペルフルオロカーボン(CFCFおよびCFCFCFなど)が挙げられる。
【0046】
懸濁媒体として使用してもよい特定のフルオロカーボン、またはフッ化化合物の種類としては以下:フルオロヘプタン、フルオロシクロヘプタン、フルオロメチルシクロヘプタン、フルオロヘキサン、フルオロシクロヘキサン、フルオロペンタン、フルオロシクロペンタン、フルオロメチルシクロペンタン、フルオロジメチルシクロペンタン、フルオロメチルシクロブタン、フルオロジメチルシクロブタン、フルオロトリメチルシクロブタン、フルオロブタン、フルオロシクロブタン、フルオロプロパン、フルオロエーテル、フルオロポリエーテルおよびフルオロトリエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、単独で、または、より揮発性の高い噴射剤と組み合わせて使用してもよい。
【0047】
前述のフルオロカーボンおよびヒドロフルオロアルカンに加え、多様な例示的なクロロフルオロカーボンおよび置換されているフッ化化合物を懸濁媒体として使用することもできる。この場合、FC−11(CClF)、FC−11B1(CBrClF)、FC−11B2(CBrClF)、FC12B2(CFBr)、FC21(CHClF)、FC21B1(CHBrClF)、FC−21B2(CHBrF)、FC−31B1(CHBrF)、FC113A(CClCF)、FC−122(CClFCHCl)、FC−123(CFCHCl)、FC−132(CHClFCHClF)、FC−133(CHClFCHF)、FC−141(CHClCHClF)、FC−141B(CClFCH)、FC−142(CHFCHCl)、FC−151(CHFCHCl)、FC−152(CHFCHF)、FC−1112(CClF=CClF)、FC−1121(CHCl=CFCl)およびFC−1131(CHCl=CHF)を使用することもできるが、環境上の懸念を伴う可能性があることは認識している。したがって、これらの化合物のそれぞれを、単独で、または他の化合物(すなわち、より揮発性の低いフルオロカーボン)と組み合わせて使用して、本明細書中で開示する安定化させた懸濁剤を形成してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、懸濁媒体は、単一の噴射剤から形成してもよい。他の実施形態では、噴射剤(「噴射剤系」)の組合せを使用して懸濁媒体を形成してもよい。いくつかの実施形態では、比較的揮発性の化合物を、より蒸気圧の低い成分と混合して、安定性を高め、または分散された活性剤の生体利用率を高めるために選択された特定の物理的な特徴を有する懸濁媒体を得てもよい。いくつかの実施形態では、より蒸気圧の低い化合物は、沸点が約25℃超のフッ化化合物(たとえばフルオロカーボン)を含むことになろう。いくつかの実施形態では、懸濁媒体中で使用するためのより蒸気圧の低いフッ化化合物としては、以下:臭化ペルフルオロオクチルC17Br(PFOBまたはペルフルブロン)、ジクロロフルオロオクタンC16Cl、ペルフルオロオクチルエタンC17(PFOE)、ペルフルオロデシルブロミドC1021Br(PFDB)またはペルフルオロブチルエタンCを挙げることができる。一定の実施形態では、これらのより蒸気圧の低い化合物は、比較的低レベルで存在する。そのような化合物は、懸濁媒体に直接加えてもよく、または、懸濁粒子と会合させてもよい。
【0049】
本明細書に記載のとおりの組成物中に含まれる懸濁媒体は、追加的な物質(たとえば、貧溶媒、可溶化剤、共溶媒またはアジュバントなど)を実質的に含まない噴射剤または噴射剤系から形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、懸濁媒体は、追加的な物質を実質的に含まない非CFC噴射剤または噴射剤系(HFA噴射剤または噴射剤系など)から形成してもよい。そのような実施形態は、LAMA活性剤またはLABA活性剤の呼吸器送達に適した医薬組成物の製剤および製造を単純化する。
【0050】
しかし、他の実施形態では、噴射剤の選択、懸濁粒子の特性または送達すべき活性剤の性質によっては、利用する懸濁媒体は、噴射剤または噴射剤系以外の物質を含んでもよい。そのような追加的な物質としては、たとえば、以下:たとえば、製剤の蒸気圧、または安定性、または懸濁粒子の溶解性を調節するための適切な貧溶媒、可溶化剤、共溶媒またはアジュバントのうち1つまたは複数を挙げることができる。たとえば、プロパン、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタンまたはジアルキルエーテル(ジメチルエーテルなど)を、懸濁媒体中の噴射剤と共に組み込んでもよい。同様に、懸濁媒体は、揮発性のフルオロカーボンを含有してもよい。他の実施形態では、ポリビニルピロリドン(「PVP」)またはポリエチレングリコール(「PEG」)のうち一方または両方を懸濁媒体に加えてもよい。PVPまたはPEGを懸濁媒体に加えることにより1つまたは複数の所望の機能的な特徴を達成でき、一例では、PVPまたはPEGは、結晶成長阻害剤として懸濁媒体に加えてもよい。一般には、揮発性の共溶媒またはアジュバントを使用する場合、そのようなアジュバントまたは共溶媒は、公知の炭化水素またはフルオロカーボン物質から選択してもよく、懸濁媒体の最大約1%w/wを占めてもよい。たとえば、共溶媒またはアジュバントを懸濁媒体中に組み込む場合、共溶媒またはアジュバントは、懸濁媒体の約0.01%w/w未満、0.1%w/w未満または0.5%w/w未満を構成してもよい。PVPまたはPEGが懸濁媒体中に含まれる場合、そのような成分は、最大約1%w/wで含まれてもよく、または、懸濁媒体の約0.01%w/w未満、0.1%w/w未満または0.5%w/w未満を構成してもよい。
【0051】
(ii)活性剤粒子
本明細書に記載の共懸濁剤中に含まれる活性剤粒子は、懸濁媒体内に分散および懸濁させることが可能であるように形成され、共懸濁剤からの呼吸可能な粒子の送達を容易にするようなサイズに形成される。したがって、一実施形態では、活性剤粒子は、活性剤粒子物質の少なくとも90体積%が約7μm以下の光学直径を呈する微粉化された物質として供給される。他の実施形態では、活性剤粒子は、活性剤粒子の少なくとも90体積%が、約6μm〜約1μm、約5μm〜約2μm、および約4μm〜約3μmの範囲から選択される光学直径を呈する微粉化された物質として供給される。さらなる実施形態では、活性剤粒子は、活性剤粒子の少なくとも90体積%が、6μm以下、5μm以下、および4μm以下から選択される光学直径を呈する微粉化された物質として供給される。別の実施形態では、活性剤粒子は、活性剤粒子物質の少なくとも50体積%が約5μm以下の光学直径を呈する微粉化された物質として供給される。他の実施形態では、活性剤粒子は、活性剤粒子の少なくとも50体積%が、約4μm〜約1μm、約3μm〜約1μm、および約2.5μm〜約1μmの範囲から選択される光学直径を呈する微粉化された物質として供給される。別の実施形態では、活性剤粒子は、活性剤粒子の少なくとも50体積%が、4μm以下、3μm以下、および2μm以下から選択される光学直径を呈する微粉化された物質として供給される。
【0052】
特定の実施形態では、活性剤粒子として使用される活性剤物質または活性剤粒子を形成する活性剤物質は、完全にまたは実質的に結晶性であってもよく、すなわち、大多数の活性剤分子は、長い範囲の外部表面にわたり、規則的に繰返すパターンで配列される。別の実施形態では、活性剤粒子は、結晶状態および非晶質状態の両方で存在してもよい。また別の実施形態では、活性剤粒子は、実質的に非晶質状態で存在してもよく、すなわち、活性剤粒子は、性質が全体的に非晶質であり、長い範囲にわたり維持される規則的に繰返す分子の配列を有さない。活性剤粒子の製剤化に適した添加剤としては、懸濁粒子と会合している本明細書に記載のものが挙げられる。特定の実施形態では、たとえば、活性剤粒子は、たとえば、懸濁粒子と会合している、脂質、リン脂質、炭水化物、アミノ酸、有機塩、ペプチド、タンパク質、アルジトール、合成もしくは天然のポリマーまたは界面活性物質である記載のとおりの物質のうち1つまたは複数と共に製剤化してもよい。他の実施形態では、活性剤粒子は、微粉化された活性剤物質のみから形成される。
【0053】
開示する組成物は非常に低用量の活性剤の製剤化および再現性のある送達を可能にするので、一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物中に含まれる活性剤は、1つまたは複数の強力なまたは高度に強力な活性剤から選択してもよい。たとえば、一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1用量当たり約100μg〜約100mg、1用量当たり約100μg〜約10mg、および1用量当たり約100μg〜1mgから選択される単一の投与量で送達される強力な活性剤を含んでもよい。他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、単一の投与量当たり最大約80μg、単一の投与量当たり最大約40μg、単一の投与量当たり最大約20μg、単一の投与量当たり最大約10μg、または単一の投与量当たり約10μg〜約100μgから選択される用量で送達される強力なまたは高度に強力な活性剤を含んでもよい。加えて、一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、単一の投与量当たり約0.1〜約2μg、単一の投与量当たり約0.1〜約1μg、および単一の投与量当たり約0.1〜約0.5μgから選択される用量で送達される高度に強力な活性剤を含んでもよい。
【0054】
一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物に含有される活性剤はLAMA活性剤である。組成物がLAMA活性剤を含有する場合、特定の実施形態では、LAMA活性剤はたとえば、グリコピロレート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ダロトロピウム(それらの任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)から選択されてもよい。
【0055】
グリコピロレートを使用して炎症性または閉塞性の肺疾患および肺障害(たとえば、本明細書に記載のものなど)を治療することができる。抗コリン作用剤として、グリコピロレートは気管支拡張剤として作用し、粘液分泌の増加を特徴とする肺疾患および肺障害の療法における使用にとっての利益である抗分泌効果をもたらす。グリコピロレートは四級アンモニウム塩である。適切な場合、グリコピロレートは、塩(たとえばアルカリ金属もしくはアミン塩、または酸付加塩として)の形態で、またはエステルとして、または溶媒和物(水和物)として使用してもよい。加えて、グリコピロレートは、任意の結晶形態または異性体形態または異性体形態の混合物、たとえば、純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ化合物またはその混合物の形態であってもよい。この場合、グリコピロレートの形態は、グリコピロレートの活性および/または安定性を最適化するように、および/または、懸濁媒体中のグリコピロレートの溶解性を最小化させるように選択してもよい。適当な対イオンは、たとえば以下:フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸イオン、マレイン酸イオン、コハク酸イオン、安息香酸イオン、p−クロロ安息香酸イオン、酢酸ジフェニルイオンまたは酢酸トリフェニルイオン、o−ヒドロキシ安息香酸イオン、p−ヒドロキシ安息香酸イオン、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシレート、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシレート、メタンスルホン酸イオンおよびベンゼンスルホン酸イオンなどの薬学的に許容できる対イオンである。本明細書に記載の組成物の特定の実施形態では、グリコピロレートの臭化物塩、すなわち3−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムブロミドを使用し、米国特許第2,956,062号に記載の手順により調製できる。
【0056】
本明細書に記載の組成物がグリコピロレートを含む場合、一定の実施形態では、該組成物は、MDIの1作動当たり約10μg〜約200μg、MDIの1作動当たり約15μg〜約150μg、MDIの1作動当たり約18μg〜約144μgから選択される目標送達用量をもたらすのに十分なグリコピロレートを含んでもよい。他のそのような実施形態では、この製剤は、1作動当たり最大約200μg、最大約150μg、最大約75μg、最大約40μgまたは最大約20μgから選択される用量をもたらすのに十分なグリコピロレートを含む。またさらなる実施形態では、この製剤は、1作動当たり約18μg、1作動当たり36μgまたは1作動当たり約72μgから選択される用量をもたらすのに十分なグリコピロレートを含む。本明細書に記載のとおりの目標となる送達用量を達成するためには、本明細書に記載の組成物がグリコピロレートを活性剤として含む場合、特定の実施形態では、該組成物中に含まれるグリコピロレートの量は、たとえば、約0.04mg/ml〜約2.25mg/mlから選択してもよい。
【0057】
他の実施形態では、チオトロピウム(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を、本明細書に記載のとおりの組成物中に含ませるためのLAMA活性剤として選択してもよい。チオトロピウムは、肺の炎症または閉塞を伴う疾患または障害(本明細書に記載のものなど)の治療における使用に適した、公知の長時間作用性の抗コリン作用剤である。チオトロピウム(結晶および薬学的に許容できる塩の形態のチオトロピウムを包含する)は、たとえば、米国特許第5,610,163号、米国特許第RE39820号、米国特許第6,777,423号および米国特許第6,908,928号に記載されている。本明細書に記載の組成物がチオトロピウムを含む場合、一定の実施形態では、該組成物は、MDIの1作動当たり約2.5μg〜約50μg、約4μg〜約25μg、約2.5μg〜約20μg、約10μg〜約20μg、および約2.5μg〜約10μgから選択される送達用量をもたらすのに十分なチオトロピウムを含んでもよい。他のそのような実施形態では、この製剤は、MDIの1作動当たり最大約50μg、最大約20μg、最大約10μg、最大約5μgまたは最大約2.5μgから選択される送達用量をもたらすのに十分なチオトロピウムを含む。またさらなる実施形態では、この製剤は、MDIの1作動当たり約3μg、6μg、9μg、18μgおよび36μgから選択される送達用量をもたらすのに十分なチオトロピウムを含む。本明細書に記載のとおりの送達用量を達成するためには、本明細書に記載の組成物がチオトロピウムを活性剤として含む場合、特定の実施形態では、該組成物中に含まれるチオトロピウムの量は、たとえば、約0.01mg/ml〜約0.5mg/mlから選択してもよい。
【0058】
一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、LABA活性剤を含む。そのような実施形態では、LABA活性剤は、たとえば、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、および、サリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤、ならびに、その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択できる。一定のそのような実施形態では、ホルモテロールはLABA活性剤から選択される。ホルモテロールを使用して、炎症性または閉塞性の肺疾患および肺障害(たとえば本明細書に記載のものなど)を治療することができる。ホルモテロールの化学名は(±)−2−ヒドロキシ−5−[(1RS)−1−ヒドロキシ−2−[[(1RS)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]−アミノ]エチル]ホルムアニリドであり、医薬組成物中で、ラセミのフマル酸二水和物塩として通常使用される。適切な場合、ホルモテロールは、塩(たとえばアルカリ金属もしくはアミン塩、または酸付加塩として)の形態で、またはエステルとして、または溶媒和物(水和物)として、使用してもよい。加えて、ホルモテロールは、任意の結晶形態または異性体形態または異性体形態の混合物、たとえば、純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ化合物またはその混合物の形態であってもよい。この場合、ホルモテロールの形態は、ホルモテロールの活性および/または安定性を最適化するように、および/または、懸濁媒体中のホルモテロールの溶解性を最小化させるように選択してもよい。ホルモテロールの薬学的に許容できる塩としては、たとえば以下:無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸など)、ならびに、有機酸(フマル酸、マレイン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、オレイン酸、安息香酸、p−メトキシ安息香酸、サリチル酸、o−およびp−ヒドロキシ安息香酸、p−クロロ安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ならびに3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸など)の塩が挙げられる。ホルモテロールの水和物は、たとえば、米国特許第3,994,974号および米国特許第5,684,199号に記載されている。ホルモテロールおよび他のβアドレナリン受容体作動剤の特定の結晶形態は、たとえば国際特許公開第95/05805号に記載されており、ホルモテロールの特定の異性体は、米国特許第6,040,344号に記載されている。
【0059】
特定の実施形態では、ホルモテロール粒子を形成するために利用されるホルモテロール物質はフマル酸ホルモテロールであり、そのような一実施形態では、フマル酸ホルモテロールは、二水和物形態で存在する。本明細書に記載の組成物がホルモテロールを含む場合、一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ホルモテロールを、MDIの1作動当たり約1μg〜約30μg、約1μg〜約10μg、約2μg〜5μg、約2μg〜約10μg、約5μg〜約10μg、および3μg〜約30μgから選択される目標となる送達用量を達成する濃度で含んでもよい。他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ホルモテロールを、1作動当たり最大約30μg、最大約10μg、最大約5μg、最大約2.5μg、最大約2μgまたは最大約1.5μgから選択される目標となる送達用量をもたらすのに十分な量で含んでもよい。本明細書に記載のとおりの目標となる送達用量を達成するために、本明細書に記載の組成物がホルモテロールを活性剤として含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるホルモテロールの量は、たとえば、約0.01mg/ml〜約1mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、および約0.03mg/ml〜約0.4mg/mlから選択してもよい。
【0060】
本明細書に記載の医薬共懸濁剤組成物がLABA活性剤を含む場合、一定の実施形態では、活性剤は、サルメテロール(任意の薬学的に許容できるその塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)でよい。サルメテロールを使用して炎症性または閉塞性の肺疾患および肺障害(たとえば、本明細書に記載のものなど)を治療することができる。サルメテロール、サルメテロールの薬学的に許容できる塩、および、それを作製する方法は、たとえば、米国特許第4,992,474号、米国特許第5,126,375号および米国特許第5,225,445号に記載されている。
【0061】
サルメテロールがLABA活性剤として含まれる場合、一定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、サルメテロールを、MDIの1作動当たり約2μg〜約120μg、約4μg〜約40μg、約8μg〜20μg、約8μg〜約40μg、約20μg〜約40μg、および12μg〜約120μgから選択される送達用量を達成する濃度で含んでもよい。他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、サルメテロールを、MDIの1作動当たり最大約120μg、最大約40μg、最大約20μg、最大約10μg、最大約8μgまたは最大約6μgから選択される送達用量をもたらすのに十分な量で含んでもよい。本明細書に記載のとおりの目標送達用量を達成するためには、本明細書に記載の組成物がサルメテロールを活性剤として含む場合、特定の実施形態では、該組成物中に含まれるサルメテロールの量は、たとえば、約0.04mg/ml〜約4mg/ml、約0.04mg/ml〜約2.0mg/ml、および約0.12mg/ml〜約0.8mg/mlから選択してもよい。たとえば、本明細書に記載の組成物は、MDIの1作動当たり約4μg〜約120μg、約20μg〜約100μg、および約40μg〜約120μgから選択される目標送達用量をもたらすのに十分なサルメテロールを含んでもよい。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、MDIの1作動当たり最大約100μg、最大約40μgまたは最大約15μgから選択される目標送達用量をもたらすのに十分なサルメテロールを含んでもよい。
【0062】
本明細書に記載の組成物中に含まれる活性剤物質は、非晶質であっても実質的に非晶質であってもよいが、特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物中に含まれる活性剤粒子として、またはその形成に使用される活性剤物質は、実質的または完全に結晶性である。実質的または完全に結晶性の活性剤物質は、本明細書に記載の組成物の形態で製剤化する際に、LAMA活性剤またはLABA活性剤の化学的な安定性を改善するように選択してもよい。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物中に含まれる活性剤物質は、微粉化された結晶性のLAMA物質である。そのような一実施形態では、活性剤粒子は、以下:グリコピロレート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ダロトロピウム、およびその任意の薬学的に許容できる塩、エステルまたは溶媒和物から選択される微粉化された結晶性の物質などの微粉化された結晶性のLAMA物質のみから形成される。他の特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物中に含まれる活性剤物質は、微粉化された結晶性のLABA物質である。そのような一実施形態では、活性剤粒子は、以下:バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、およびサリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤、ならびにその任意の薬学的に許容できる塩、エステルまたは溶媒和物から選択される微粉化された結晶性の物質などの微粉化された結晶性のLABA物質のみから形成される。
【0063】
任意の適当なプロセスを用いて、本明細書に記載の組成物に含有される活性剤粒子の製剤としてまたはその中の微粉化された活性剤物質を達成してもよい。さまざまなプロセスを利用して本明細書に記載の共懸濁製剤での使用に適した活性剤粒子を作成することができ、そうしたプロセスとしては以下:製粉または粉砕プロセスによる微粉化、結晶化または再結晶プロセス、および、超臨界または超臨界近傍の溶媒からの沈殿を用いるプロセス、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥または凍結乾燥が挙げられるが、これらに限定されない。微粉化された活性剤粒子を得るための適当な方法を教示する特許参考文献は、たとえば、米国特許第6,063,138号、米国特許第5,858,410号、米国特許第5,851,453号、米国特許第5,833,891号、米国特許第5,707,634号および国際特許公開第2007/009164号に記載されている。活性剤粒子が1つまたは複数の添加剤またはアジュバントと共に製剤化された活性剤物質を含む場合、微粉化された活性剤粒子は、先に記載のプロセスのうち1つまたは複数を用いて形成でき、そのようなプロセスを利用して、所望のサイズ分布および粒子構成を有する活性剤粒子を達成することができる。
【0064】
(iii)懸濁粒子
本明細書に記載の共懸濁剤組成物中に含まれる懸濁粒子は、該組成物中に含まれる活性剤の安定化および送達を容易にするように機能する。多様な形態の懸濁粒子を使用してもよいが、懸濁粒子は、典型的には、吸入にとって許容でき、選択される噴射剤中で実質的に不溶性の薬理学的に不活性な物質から形成される。一般的に、大多数の懸濁粒子は、呼吸可能な範囲内のサイズになっている。したがって、特定の実施形態では、懸濁粒子のMMADは、約10μmを超えないであろうが、約500nmを下回らない。代替的な一実施形態では、懸濁粒子のMMADは約5μm〜約750nmである。また別の実施形態では、懸濁粒子のMMADは約1μm〜約3μmである。MDIからの経鼻送達のための一実施形態で使用される場合、懸濁粒子のMMADは10μm〜50μmである。
【0065】
記載したMMAD範囲内の呼吸可能な懸濁粒子を達成するには、懸濁粒子は、典型的には、約0.2μm〜約50μmの光学直径体積中央値を呈することになろう。一実施形態では、懸濁粒子は、約25μmを超えない光学直径体積中央値を呈する。別の実施形態では、懸濁粒子は、約0.5μm〜約15μm、約1.5μm〜約10μm、および約2μm〜約5μmから選択される光学直径体積中央値を呈する。
【0066】
本記載による組成物中に含まれる懸濁粒子の濃度は、たとえば、使用する活性剤粒子および懸濁媒体の量に応じて調節できる。一実施形態では、懸濁粒子は、約1mg/ml〜約15mg/ml、約3mg/ml〜約10mg/ml、5mg/ml〜約8mg/ml、および約6mg/mlから選択される濃度で懸濁媒体中に含まれる。別の実施形態では、懸濁粒子は、最大約30mg/mlの濃度で懸濁媒体中に含まれる。また別の実施形態では、懸濁粒子は、最大約25mg/mlの濃度で懸濁媒体中に含まれる。
【0067】
懸濁粒子対活性剤粒子の相対量は、本明細書中で企図されるとおりの共懸濁剤を達成するように選択される。質量により測定した場合の懸濁粒子の量が活性剤粒子の量を超える共懸濁剤組成物を達成してもよい。たとえば、特定の実施形態では、懸濁粒子の全質量対活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、または代替的には約2:1〜8:1であってもよい。あるいは、懸濁粒子の全質量対活性剤粒子の全質量の比率は約1を超えてもよい(使用する懸濁粒子および活性剤粒子の性質に応じ、最大約1.5、最大約5、最大約10、最大約15、最大約17、最大約20、最大約30、最大約40、最大約50、最大約60、最大約75、最大約100、最大約150および最大約200など)。さらなる実施形態では、懸濁粒子の全質量対活性剤粒子の全質量の比率は、約10〜約200、約60〜約200、約15〜約60、約15〜約170、約15〜約60、約16、約60および約170から選択してもよい。
【0068】
他の実施形態では、質量により測定した場合の懸濁粒子の量は、活性剤粒子の量を下回る。たとえば、特定の実施形態では、懸濁粒子の質量は、活性剤粒子の全質量の20%に相当するほど低くてもよい。しかし、いくつかの実施形態では、懸濁粒子の全質量は、活性剤粒子の全質量に近似しているか、または等しくてもよい。
【0069】
本明細書に記載の組成物中での使用に適した懸濁粒子を、吸入送達に適しており懸濁媒体中で実質的に分解または溶解しない1つまたは複数の薬学的に許容できる物質または添加剤から形成してもよい。一実施形態では、本明細書中で定義するとおりの有孔微細構造体を懸濁粒子として使用してもよい。本明細書に記載の懸濁粒子の製剤において使用してもよい例示的な添加剤としては以下:(a)炭水化物、たとえば、単糖(フルクトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなど)、二糖(ショ糖、乳糖、トレハロース、セロビオースなど)、シクロデキストリン(2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)、および多糖(ラフィノース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン、キチン、キトサン、イヌリンなど)など、(b)アミノ酸(アラニン、グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリンなど)など、(c)有機酸および有機塩基から調製される金属塩および有機塩(クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、塩酸トロメタミン(tromethamin)など)など、(d)ペプチドおよびタンパク質(アスパルテーム、トリロイシン(trileucine)、ヒト血清アルブミン、コラーゲン、ゼラチンなど)など、(e)アルジトール(マンニトール、キシリトールなど)など、(f)合成もしくは天然のポリマーまたはその組合せ(ポリラクチド、ポリラクチドグリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコールなど)、ならびに(g)界面活性物質(飽和および不飽和の脂質、非イオン性界面活性剤、非イオン性ブロックコポリマー、イオン性界面活性物質およびそれらの組合せなどのフッ化化合物および非フッ化化合物を包含する)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、懸濁粒子は、たとえば米国特許第7,442,388号に記載のように、カルシウム塩(塩化カルシウムなど)を含んでもよい。
【0070】
加えて、天然源および合成源の両方に由来するリン脂質を、本明細書に記載の組成物中での使用に適した懸濁粒子の調製において使用してもよい。特定の実施形態では、選ばれるリン脂質は、ゲルから液晶への相転移が約40℃超であろう。例示的なリン脂質は比較的長鎖(すなわち、C16〜C22)の飽和脂質であり、アシル鎖長が16Cまたは18C(パルミトイルおよびステアロイル)の飽和ホスファチジルコリンなどの飽和リン脂質を含んでもよい。例示的なリン脂質としては、以下:ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロールおよび長鎖飽和ホスファチジルイノシトールなどのホスホグリセリドが挙げられる。追加的な添加剤は、国際特許公開第96/32149号および米国特許第6,358,530号、同第6,372,258号および同第6,518,239号に開示されている。
【0071】
特定の実施形態では、懸濁粒子は、本明細書に記載のとおりの1つまたは複数の脂質、リン脂質または糖を用いて形成してもよい。いくつかの実施形態では、懸濁粒子は、1つまたは複数の界面活性物質を含む。1つまたは複数の界面活性物質から形成されまたはそれらを組み込んでいる懸濁粒子を使用すると、選択された活性剤の吸収を促進し、それにより生体利用率を高めることができる。本明細書に記載の懸濁粒子(たとえば、1つまたは複数の脂質を用いて形成された懸濁粒子など)は、所望の表面粗度(粗さ)を呈するように形成でき、これにより、粒子間の相互作用をさらに低下させ、粒子−粒子相互作用に利用可能な表面積を減少させることによりエアロゾル化を改善できる。さらなる実施形態では、適当な場合、肺中に自然に存在する脂質を懸濁粒子の形成において使用できると考えられるが、その理由は、そのような懸濁粒子は、オプソニン化を低下させる(および、それにより、肺胞のマクロファージによる貪食を低下させる)ことから、肺中でより長寿命の制御放出粒子をもたらす可能性を有するからである。
【0072】
別の態様では、本明細書に記載の組成物中で利用される懸濁粒子は、国際特許公開第2005/000267号で開示されているものと同様に、選択された活性剤の保管安定性を増すように選択してもよい。たとえば、一実施形態では、懸濁粒子は、Tgが少なくとも55℃、少なくとも75℃または少なくとも100℃の薬学的に許容できるガラス安定化用添加剤を含んでもよい。本明細書に記載の組成物中での使用に適したガラス形成剤としては以下:トリロイシン、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、アスコルビン酸、イヌリン、シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、マンニトール、ショ糖、トレハロース、乳糖およびプロリンのうち1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない。追加的なガラス形成用添加剤の例は、米国特許第RE37,872号、同第5,928,469号、同第6,258,341号に開示されている。
【0073】
懸濁粒子は、望ましい安定性および活性剤送達特徴をもたらすように、所望により設計、サイズ加工および成形してもよい。例示的な一実施形態では、懸濁粒子は、本明細書に記載のとおりの有孔微細構造体を含む。有孔微細構造体を本明細書に記載の組成物中の懸濁粒子として使用する場合、該構造体は、本明細書に記載のとおりの1つまたは複数の添加剤を使用して形成してもよい。たとえば、特定の実施形態では、有孔微細構造体は、以下:脂質、リン脂質、非イオン性界面活性剤、非イオン性ブロックコポリマー、イオン性界面活性物質、生体適合性フッ素系界面活性物質およびそれらの組合せ、とりわけ、肺での使用について認可されているもののうち少なくとも1つを含んでもよい。有孔微細構造体の調製において使用してもよい特定の界面活性物質としては、ポロキサマー188、ポロキサマー407およびポロキサマー338が挙げられる。他の特定の界面活性物質としては、オレイン酸またはそのアルカリ塩が挙げられる。一実施形態では、有孔微細構造体は、約10%w/w超の界面活性物質を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、懸濁粒子は、フルオロカーボン油(たとえば、臭化ペルフルオロオクチル、ペルフロオロデカリン)を使用して水中油エマルションを形成することにより調製してもよく、フルオロカーボン油は、長鎖飽和リン脂質などの界面活性物質を用いて乳化させたものであってもよい。次に、その結果得られる水中ペルフルオロカーボンエマルションを、高圧ホモジナイザーを用いて加工して、油小滴のサイズを小さくしてもよい。有孔微細構造体のマトリックス内に活性剤を含むことが望ましい場合には、ペルフルオロカーボンエマルションを、任意選択的に活性剤溶液と共に噴霧乾燥機に投入してもよい。周知のとおり、噴霧乾燥は、液体の供給原料を乾燥微粒子形態に転換させる1ステッププロセスである。噴霧乾燥は、多様な投与経路(吸入など)のための粉末状医薬物質を得るために使用されている。噴霧乾燥機の運転条件(入口および出口の温度、供給速度、霧化圧、乾燥用空気の流速およびノズル構成など)を調節して、結果的に得られる乾燥微細構造体の収率をもたらす所望の粒子サイズを得ることができる。例示的な有孔微細構造体を作製するそのような方法は、Weersらに付与された米国特許第6,309,623号に開示されている。
【0075】
本明細書に記載のとおりの有孔微細構造体は、凍結乾燥およびそれに次ぐ製粉または微粉化により形成することもできる。凍結乾燥は、組成物を凍結させた後、組成物から水を昇華させる凍結乾燥プロセスである。このプロセスは、高温を用いずに乾燥させることが可能である。またさらなる実施形態では、懸濁粒子は、米国特許第5,727,333号に開示されているような噴霧凍結乾燥プロセスを用いて作製してもよい。
【0076】
さらに、本明細書に記載のとおりの懸濁粒子は、増量剤(ポリマー性粒子など)を含んでもよい。ポリマー性ポリマーは、生体適合性および/または生分解性のポリマー、コポリマーまたはブレンドから形成してもよい。一実施形態では、空気力学的に軽い粒子を形成することが可能なポリマー(官能化ポリエステルグラフトコポリマーおよび生分解性のポリ酸無水物など)を使用してもよい。たとえば、ポリエステルベースのバルク侵食ポリマー(ポリ(ヒドロキシ酸)など)を使用できる。ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)またはそれらのコポリマーを使用して懸濁粒子を形成してもよい。ポリエステルは、荷電基または官能化可能な基(アミノ酸など)を含んでもよい。たとえば、懸濁粒子は、DPPCなどの界面活性物質を組み込んでいる、ポリ(D,L−乳酸)および/またはポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)から形成してもよい。
【0077】
懸濁粒子中で使用するための他の潜在的なポリマー候補としては、以下:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)など)、ポリビニル化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルエステルなど)、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマー、セルロースおよび他の多糖、ならびにペプチドもしくはタンパク質、またはそのコポリマーもしくはブレンドを挙げることができる。ポリマーは、異なる制御薬物送達用途のために、インビボでの適切な安定性および分解速度で選択しても、またはそれらを有するように改変してもよい。
【0078】
本明細書に記載の組成物は、2種以上の懸濁粒子を含んでもよい。さらには、本記載による組成物は、懸濁粒子中に組み込まれたグリコピロレートを含む懸濁粒子を含むことができる。活性剤が懸濁粒子中に組み込まれる場合、懸濁粒子は、呼吸可能なサイズのものであると考えられ、たとえば、本明細書に記載の方法および物質を用いて製剤化および作製できる。
【0079】
本教示により製剤化される組成物は、その中に含まれる活性剤の分解を阻害できる。たとえば、特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、該組成物中に含まれる活性剤物質の凝固、凝集および溶液媒介転移のうち1つまたは複数を阻害する。本明細書に記載の医薬組成物は、MDI缶が空になるまで、強力なおよび高度に強力なLABA活性剤およびLAMA活性剤を含む、LABA活性剤およびLAMA活性剤の望ましい送達用量均一性(「DDU」)を達成する方式でのMDIによる呼吸器送達に適している。本明細書中に含まれる実施例において詳細に記載するように、非常に低用量のLAMA活性剤またはLABA活性剤を送達する場合でも、本明細書に記載の組成物は、MDI缶が空になるまで、±30%またはより良好な活性剤のDDUを達成できる。そのような一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、MDI缶が空になるまで、±25%またはより良好な活性剤のDDUを達成する。また別のそのような実施形態では、本明細書に記載の組成物は、MDI缶が空になるまで、±20%またはより良好な、活性剤のDDUを達成する。
【0080】
本明細書に記載の医薬組成物は、加速分解条件にさらされた後であっても、MDI缶が空になるまで、FPFおよびFPDの成績を実質的に維持するようにも機能する。たとえば、本記載による組成物は、加速分解条件にさらされた後であっても、MDI缶が空になるまで、元のFPFおよびFPDの成績の80%、90%、95%以上に相当するほどの高さを維持する。本明細書に記載の組成物は、非CFC噴射剤を用いて製剤化されていてもそのような成績を達成するという付加利益を提供する。特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1つのみまたは複数の非CFC噴射剤を含む懸濁媒体を用いて製剤化されていても、目標となるDDU、FPFまたはFPDの成績のうち所望の1つまたは全てを達成し、たとえば、1つまたは複数の共溶媒、貧溶媒、可溶化剤、アジュバントまたは他の噴射剤改変物質の添加によるなど、非CFC噴射剤の特徴を改変する必要はない。
【0081】
一実施形態では、本明細書に記載されているような共懸濁剤組成物は、以下:薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と;定量噴霧式吸入器の1作動当たり約20μg〜約150μgのグリコピロレート送達用量をもたらすのに十分な濃度で該懸濁媒体中に懸濁させたグリコピロレート(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と;約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する本明細書に記載されているような有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、有孔微細構造体は、該複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する。そのような一実施形態では、グリコピロレート活性剤粒子は結晶性のグリコピロレート物質から形成される。別のそのような実施形態では、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。また別のそのような実施形態では、グリコピロレート活性剤粒子は結晶性のグリコピロレート物質から形成され、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。さらに別のそのような実施形態では、グリコピロレート活性剤粒子は結晶性のグリコピロレート物質から形成され、グリコピロレート活性剤粒子の少なくとも90体積%は7μm未満の光学直径を呈し、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。
【0082】
別の実施形態では、本明細書に記載されているような共懸濁剤組成物は、以下:薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と;定量噴霧式吸入器の1作動当たり約5μg〜約40μgのグリコピロレート送達用量をもたらすのに十分な濃度で該懸濁媒体中に懸濁させたチオトロピウム(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と;約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する本明細書に記載されているような有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、有孔微細構造体は、該複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する。そのような一実施形態では、チオトロピウム活性剤粒子は結晶性のチオトロピウム物質から形成される。別のそのような実施形態では、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。また別のそのような実施形態では、チオトロピウム活性剤粒子は結晶性のチオトロピウム物質から形成され、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。さらに別のそのような実施形態では、チオトロピウム活性剤粒子は結晶性のチオトロピウム物質から形成され、チオトロピウム活性剤粒子の少なくとも90体積%は7μm未満の光学直径を呈し、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。
【0083】
別の実施形態では、本明細書に記載されているような共懸濁剤組成物は、以下:薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と;定量噴霧式吸入器の1作動当たり約0.5μg〜約10μgのホルモテロール送達用量をもたらすのに十分な濃度で該懸濁媒体中に懸濁させたホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と;約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する本明細書に記載されているような有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、有孔微細構造体は、該複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する。そのような一実施形態では、ホルモテロール活性剤粒子は結晶性ホルモテロール物質から形成される。別のそのような実施形態では、懸濁粒子の全質量対活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。また別のそのような実施形態では、ホルモテロール活性剤粒子は結晶性のホルモテロール物質から形成され、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。さらに別のそのような実施形態では、ホルモテロール活性剤粒子は結晶性のホルモテロール物質から形成され、ホルモテロール活性剤粒子の少なくとも90体積%は7μm未満の光学直径を呈し、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。
【0084】
一実施形態では、本明細書に記載されているような共懸濁剤組成物は、以下:薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と;定量噴霧式吸入器の1作動当たり約2μg〜約10μgのホルモテロール送達用量をもたらすのに十分な濃度で該懸濁媒体中に懸濁させたホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と;約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する本明細書に記載されているような有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、有孔微細構造体は、該複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する。そのような一実施形態では、ホルモテロール活性剤粒子は結晶性ホルモテロール物質から形成される。他のそのような実施形態では、懸濁粒子の全質量対活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。また別のそのような実施形態では、ホルモテロール活性剤粒子は結晶性のホルモテロール物質から形成され、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。さらに別のそのような実施形態では、ホルモテロール活性剤粒子は結晶性のホルモテロール物質から形成され、ホルモテロール活性剤粒子の少なくとも90体積%は7μm未満の光学直径を呈し、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。
【0085】
別の実施形態では、本明細書に記載されているような共懸濁剤組成物は、以下:薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と;定量噴霧式吸入器の1作動当たり約8μg〜約40μgのサルメテロール送達用量をもたらすのに十分な濃度で該懸濁媒体中に懸濁させたサルメテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と;約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する本明細書に記載されているような有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、有孔微細構造体が、該複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する。そのような一実施形態では、サルメテロール活性剤粒子は結晶性のサルメテロール物質から形成される。別のそのような実施形態では、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。また別のそのような実施形態では、サルメテロール活性剤粒子は結晶性のサルメテロール物質から形成され、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。さらに別のそのような実施形態では、サルメテロール活性剤粒子は結晶性のサルメテロール物質から形成され、サルメテロール活性剤粒子の少なくとも90体積%は7μm未満の光学直径を呈し、懸濁粒子の全質量対該活性剤粒子の全質量の比率は、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される。
【0086】
III.定量噴霧式吸入器系
本明細書中で提供される方法に関して記載するように、本明細書中で開示する組成物はMDI系において使用してもよい。MDIは、エアロゾル形態の特定の量の医薬を送達するように構成される。一実施形態では、MDI系は、マウスピースと共に形成された作動装置中に配置された、加圧された液相製剤の充填された缶を備える。MDI系は、懸濁媒体と、グリコピロレートと、少なくとも1種の懸濁粒子とを含む本明細書に記載の製剤を含んでもよい。MDIにおいて使用される缶は、任意の適当な構成のものであってもよく、例示的な一実施形態では、缶の体積は、約5mL〜約25mLの範囲(たとえば、19mLの体積を有する缶など)であってもよい。器具を振った後、マウスピースを患者の口の中(口唇と歯との間)に挿入する。患者は、典型的には、大きく息を吐き出して肺を空にしてから、カートリッジを作動させながらゆっくり深呼吸する。
【0087】
例示的なカートリッジの内側には、規定の体積の製剤(たとえば63μl、または、市販の定量バルブ中で得られる任意の他の適当な体積)を保持することが可能な計量室を備える定量バルブがあり、この製剤は、作動時にバルブ軸の遠位端にある膨張室中に放出される。作動装置は缶を保持し、定量バルブのバルブ軸を受けるための、作動装置ノズルの付いたポートを備えていることもある。作動すると、特定の体積の製剤が作動装置ノズルの外の膨張室に移動して高速スプレーとなり、これが、患者の肺の中に吸い込まれる。
【0088】
IV.方法
本明細書中では、LAMA活性剤およびLABA活性剤を呼吸器送達するための医薬組成物を製剤化するための方法が提供される。特定の実施形態では、このような方法は、本明細書に記載されているように、懸濁媒体と、LAMAを含む活性剤粒子とLABAを含む活性剤粒子から選択される活性剤粒子と、1種または複数種の懸濁粒子とを供給するステップ、および、そのような成分を組み合わせて、活性剤粒子が懸濁粒子と会合して懸濁媒体内で懸濁粒子と同一場所に位置する製剤を形成することから共懸濁剤が形成されるステップを含む。そのような一実施形態では、グリコピロレート粒子と懸濁粒子との会合は、噴射剤中での浮力が異なることからこれらの粒子が分離しないようなものである。理解されるであろうが、この方法は、2種以上の懸濁粒子を活性剤粒子と組み合わせて供給することを含んでもよい。他の実施形態では、この方法は、2種以上の活性剤粒子を供給し、結果として共懸濁剤が得られる方式で2種以上の活性剤粒子を1種または複数種の懸濁粒子と組み合わせることを含んでもよい。一定の実施形態では、活性剤粒子は、本明細書に記載されているようなLAMA活性剤物質またはLABA活性剤粒子から本質的に成る。
【0089】
肺送達のためのLAMA活性剤またはLABA活性剤の安定化させた組成物を供給する方法の特定の実施形態では、本開示は、肺送達用の医薬組成物中のLAMA活性剤またはLABA活性剤の溶液媒介転移を阻害する方法を提供する。一実施形態では、本明細書に記載のとおりの懸濁媒体(HFA噴射剤により形成される懸濁媒体など)を入手する。懸濁粒子も、本明細書に記載のとおりに入手または調製する。活性剤粒子も入手し、懸濁媒体と懸濁粒子と活性剤粒子とを合わせて、活性剤粒子が懸濁粒子と会合して、懸濁媒体により形成される連続相内で懸濁粒子と同一場所に位置する共懸濁剤を形成する。懸濁粒子不在下での同じ懸濁媒体中に含有された活性剤粒子と比較した場合、本記載による共懸濁剤は、不可逆的な結晶凝集につながる溶液媒介相転移へのより高い耐性を呈し、したがって、安定性および投与均一性の改善につながる可能性があることが見出されている。
【0090】
さらなる実施形態では、肺送達のためのLAMA活性剤およびLABA活性剤の安定化させた組成物を形成する方法は、MDI缶が空になるまで該組成物のFPFおよび/またはFPDを維持することを含む。肺送達のための医薬組成物によりもたらされるFPFおよび/またはFPDを維持する方法の特定の実施形態では、MDI缶が空になるまで、該FPDおよび/または該FPFを、それぞれ最初のFPDおよび/またはFPFの±20%以内、±10%以内またはさらには±5%以内に維持することが可能な、本明細書に記載のとおりの呼吸可能な共懸濁剤が提供される。そのような成績は、共懸濁剤が加速分解条件にさらされた後であっても、達成できる。一実施形態では、本明細書に記載のとおりの懸濁媒体(HFA噴射剤により形成される懸濁媒体など)を入手する。懸濁粒子も、本明細書に記載のとおりに入手または調製する。活性剤粒子も入手し、懸濁媒体と懸濁粒子と活性剤粒子とを合わせて、グリコピロレート粒子が懸濁粒子と会合し懸濁媒体内で懸濁粒子と同一場所に位置する共懸濁剤を形成する。そのような組成物を1つまたは複数の温度サイクリング事象に曝露した後でも、共懸濁剤は、該組成物を1つまたは複数の温度サイクリング事象に曝露する前に測定したそれぞれの値の±20%以内、±10%以内またはさらには±5%以内のFPDまたはFPFを維持する。
【0091】
LAMA活性剤またはLABA活性剤を呼吸器送達するためのMDIを調製する方法を開示する。MDIを調製する方法は、本明細書に記載のとおりの缶に、活性剤粒子および懸濁粒子を入れることを含んでもよい。作動装置バルブを缶の末端に取り付け、缶を密封することができる。作動装置バルブは、1作動当たり、グリコピロレート医薬製剤の計量された量を分配するように構成してもよい。缶には、薬学的に許容できる懸濁媒体(本明細書に記載のとおりの噴射剤など)を入れることができる。その結果、活性剤粒子と懸濁粒子とは、懸濁媒体中で安定な共懸濁剤をもたらす。
【0092】
本明細書に記載の組成物を用いたLAMA活性剤またはLABA活性剤の肺送達を含む方法では、該組成物は、MDIにより送達してもよい。したがって、そのような方法の特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物を入れたMDIを入手し、LAMA活性剤またはLABA活性剤を、MDIの作動を介した肺送達により患者に投与する。たとえば、一実施形態では、MDI器具を振った後、マウスピースを患者の口の中(口唇と歯との間)に挿入する。患者は、典型的には、大きく息を吐き出して肺を空にしてから、MDIのカートリッジを作動させながらゆっくり深呼吸する。作動すると、特定の体積の製剤が作動装置ノズルの外の膨張室に移動して高速スプレーとなり、これが、患者の肺の中に吸い込まれる。一実施形態では、MDI缶が空になるまでの活性剤の送達量は、平均送達用量の30%を超えて上回らず、平均送達用量の30%減を下回らない。したがって、MDIから送達されるグリコピロレートの所望のDDUを達成する方法も提供される。そのような実施形態では、この方法は、たとえば、±30%またはより良好なDDU、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択される、MDIから送達されるグリコピロレートについてのDDUを達成することを含んでもよい。
【0093】
炎症性または閉塞性の肺疾患または状態に罹患している患者を治療する方法が本明細書中で提供される。特定の実施形態では、そのような方法は、本明細書に記載の医薬組成物の肺送達を含み、一定のそのような実施形態では、該医薬組成物の肺投与は、MDIを用いて該組成物を送達することにより達成される。治療対象となる疾患または状態は、LAMA剤またはLABA剤の投与に応答する任意の炎症性または閉塞性の肺疾患または状態から選択できる。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、以下:喘息、COPD、他の薬物療法の結果生じる気道過反応性の増悪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、気腫、および、LAMAまたはLABAの投与(単独でまたは他の療法と組み合わせて)に応答する可能性のある任意の他の呼吸器の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型から選択される疾患または障害の治療において使用してもよい。一定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症および閉塞の治療において使用してもよい。
【0094】
加えて、MDIから送達される本記載による医薬組成物は、望ましい薬力学的な(PD)成果をもたらす。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物を肺送達する結果、肺活量が急速に著しく改善され、このことは、患者の1秒間努力呼気容量(FEV)の改善により特徴付けることができる。たとえば、特定の実施形態では、FEVの臨床的に意味のある増加を達成する方法が提供され、この場合、そのような方法は、本明細書に記載されているようなLABA活性剤またはLAMA活性剤を含む共懸濁剤組成物を供給すること、および、そのような組成物を、MDIにより、肺の炎症または閉塞を患っている患者に投与することを含む。本開示を目的として、FEVの臨床的に意味のある増加は、100ml以上の任意の増加であり、本明細書に記載の方法の一定の実施形態では、本記載による組成物を患者に投与する結果、1時間以内にFEVが臨床的に有意に増加する。他のそのような実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物をMDIにより患者に投与する方法の結果、0.5時間以内にFEV1が臨床的に有意に増加する。そのような実施形態で供給および送達される組成物としては、本明細書に記載のとおりのLAMA活性剤を含む組成物またはLABA活性剤を含む組成物を挙げることができる。
【0095】
さらなる実施形態では、100mlを超えるFEVの増加を達成する方法が提供される。たとえば、一定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、0.5時間以内、1時間以内および1.5時間以内から選択される期間内に150ml以上のFEVを達成する方法を含む。他の実施形態では、本明細書に記載の方法は、0.5時間以内、1時間以内および1.5時間以内および2時間以内から選択される期間内に200ml以上のFEVを達成する方法を含む。一定のそのような実施形態では、本明細書に記載のとおりのLABA活性剤またはLAMA活性剤を含む組成物は、肺の炎症または閉塞を患っている患者にMDIにより供給および投与される。
【0096】
またさらなる実施形態では、FEVの臨床的に有意な増加を達成および維持する方法が提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物の形態で製剤化された単一用量のLABA活性剤またはLAMA活性剤をMDIにより患者に投与する際、FEVの臨床的に有意な増加は、0.5時間以内、1時間以内および1.5時間以内から選択される期間に達成され、FEVの臨床的に有意な増加は12時間以上まで維持される。一定のそのような実施形態では、FEVの増加は、150ml以上、200ml以上および250ml以上の増加から選択されてもよく、FEVの増加は、最大4時間、最大6時間、最大8時間、最大10時間および最大12時間またはそれ以上から選択される時期にわたり臨床的に有意に維持される。一定のそのような実施形態では、本明細書に記載されているようなLABA活性剤またはLAMA活性剤を含む組成物は、MDIにより肺の炎症または閉塞を患っている患者に供給され投与される。
【0097】
本明細書に記載の組成物、系および方法は、望ましい薬力学的な成果を短期間に達成するのに適しているだけでなく、高い比率(%)の患者においてそのような結果を達成するであろう。たとえば、本明細書中では、肺の炎症または閉塞を患っている患者の50%以上において10%以上のFEVの増加を達成する方法が提供される。たとえば、特定の実施形態では、患者において10%以上のFEVの増加を達成する方法は、本明細書に記載のとおりのLABA活性剤またはLAMA活性剤を含む共懸濁剤組成物を供給すること、および、そのような組成物を、肺の炎症または閉塞を患っている患者にMDIにより投与することを含む。一定のそのような実施形態では、該組成物を投与する結果、50%以上の患者において、0.5時間以内、1時間以内、1.5時間以内および2時間から選択される期間内に、10%以上FEVが増加する。他のそのような実施形態では、該組成物を投与する結果、60%以上の患者において、0.5時間以内、1時間以内、1.5時間以内および2時間以内から選択される期間内に、10%以上FEVが増加する。さらに他のそのような実施形態では、該組成物を投与する結果、70%以上の患者において、0.5時間以内、1時間以内、1.5時間以内および2時間以内から選択される期間内に、10%以上FEVが増加する。また他のそのような実施形態では、該組成物を投与する結果、80%以上の患者において、0.5時間以内、1時間以内、1.5時間以内および2時間以内から選択される期間内に、10%以上FEVが増加する。
【0098】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、肺の炎症または閉塞を患っている患者の治療を容易にし、この場合、そのような方法は、本明細書に記載のとおりのLABA活性剤またはLAMA活性剤を含む共懸濁剤組成物を供給すること、および、肺の炎症または閉塞を患っている患者に、MDIによりそのような組成物を投与することを含み、その結果、高い割合でそのような患者は、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかを経験する。一定のそのような実施形態では、該組成物を投与すると、50%以上の患者において、1時間以内、1.5時間以内、2時間以内および2.5時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。他のそのような実施形態では、該組成物を投与すると、60%以上の患者において、1時間以内、1.5時間以内、2時間以内および2.5時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。さらに他のそのような実施形態では、該組成物を投与すると、70%以上の患者において、1.5時間以内、2時間以内、2.5時間以内および3時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。また他のそのような実施形態では、該組成物を投与すると、80%以上の患者において、1.5時間以内、2時間以内、2.5時間以内および3時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。
【0099】
いくつかの実施形態では、MDIから送達される本記載による医薬組成物は、肺活量の改善をもたらすが、このことは、通常の呼気に次ぐ最大限の吸気において肺中に取り込むことができる気体の最大体積と定義される深吸気量(IC)の改善により特徴付けることができる。たとえば、特定の実施形態では、ICの臨床的に意味のある増加を達成する方法が提供され、この場合、そのような方法は、本明細書に記載のとおりのLABA活性剤またはLAMA活性剤を含む共懸濁剤組成物を供給すること、および、そのような組成物を、MDIにより、肺の炎症または閉塞を患っている患者に投与することを含む。本開示を目的とした場合、ICの臨床的に意味のある増加は、70ml以上の任意の増加であり、本明細書に記載の方法の一定の実施形態では、本記載による組成物を患者に投与する結果、2時間以内にICが臨床的に有意に増加する。他のそのような実施形態では、本明細書に記載のとおりの組成物をMDIにより患者に投与する方法の結果、1時間以内にICが臨床的に有意に増加する。他のそのような実施形態では、本記載による組成物を患者に投与する結果、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが100ml以上増加する。さらに他のそのような実施形態では、本記載による組成物を患者に投与する結果、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが150ml以上増加する。またさらなるそのような実施形態では、本記載による組成物を患者に投与する結果、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが300ml以上増加する。そのような実施形態で供給および送達される組成物としては、本明細書に記載のとおりのLAMA活性剤を含む組成物またはLABA活性剤を含む組成物を挙げることができる。
【0100】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、提供される組成物はLAMA活性剤を含む。そのような実施形態では、LAMA活性剤は、たとえば以下:グリコピロレート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウムおよびダロトロピウム(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)から選択できる。本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、本組成物は、グリコピロレートまたはその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤組成物である。本明細書に記載の方法の他の特定の実施形態では、本組成物は、チオトロピウムまたはその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤組成物である。グリコピロレートまたはチオトロピウムが、本明細書に記載の方法の一部として作製または投与される組成物中で使用するための活性剤として選択される場合、該組成物中に含まれるグリコピロレートまたはチオトロピウムの量は、たとえば、本明細書に記載の医薬組成物に関して具体的に開示する当該量から選択してもよい。
【0101】
本明細書に記載の方法のさらなる実施形態では、提供される組成物はLABA活性剤を含む。そのような実施形態では、LABA活性剤は、たとえば以下:バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、およびサリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)から選択できる。本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、本組成物は、ホルモテロールまたはその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤組成物である。本明細書に記載の方法の他の特定の実施形態では、本組成物は、サルメテロールまたはその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤組成物である。ホルモテロールまたはサルメテロールが、本明細書に記載の方法の一部として作製または投与される組成物中で使用するための活性剤として選択される場合、該組成物中に含まれるホルモテロールまたはサルメテロールの量は、たとえば、本明細書に記載の医薬組成物に関して具体的に開示する当該量から選択してもよい。
【0102】
本明細書に記載の組成物、方法および系は、肺送達用に製剤化されたLAMA活性剤またはLABA活性剤に対し望ましい用量効率および用量応答をもたらす。たとえば、COPDなどの状態を治療するためのグリコピロレートの肺送達については、これまでに、Schroeckensteinら、J.Allergy Clin.Immunol.、1988、82(1)、115〜119頁、Leckieら、Exp.Opin.Invest.Drugs、2000、9(1)、3〜23頁、Skorodin、Arch.Intern.Med.、1993、153、814〜828頁、Walkerら、Chest、1987、91(1)、49〜51頁、および国際特許公報1997/039758号により提案または報告されている。これらの参考文献は、グリコピロレートの最小有効用量を200μg〜1,000μgと報告している。そのような投与必要量は、Bannisterらにより米国特許第7,229,607号で報告されているヒト臨床結果(ここでは、対象は480μg用量のグリコピロレートを投与された)と一致している。本明細書中に示す実施例6に記載するように、本記載に従って調製されMDIによりヒト対象に送達されるグリコピロレートの組成物は、顕著に用量を低くしたグリコピロレートを送達した場合でも(本試験において送達された最大の単回用量は144μgであった)、本明細書中で詳細に述べる方法により、迅速な効果発現、ならびにFEVおよびICの臨床的に意味のある改善を達成した。
【0103】
Singhら[D Singh、P A CorrisおよびS D Snape、「NVA237,a once−daily inhaled antimuscarinic,provides 24−hour bronchodilator efficacy in patients with moderate to−severe COPD」、American Thoracic Society International Conference、San Diego、California、2006年5月19〜24日で提示されたポスター]は、グリコピロレートを20μg、125μg、250μgおよび400μgの用量で肺送達によりヒト対象に投与した臨床研究を報告した。そのような用量は、これまでに報告された200μg閾値を下回る範囲であったが、実施例6においても詳細に述べるように、本明細書に記載のとおりに製剤化および送達されたグリコピロレートの組成物は、さらに、これより改善された用量効率を達成した。例として、記載のとおりのグリコピロレート共懸濁剤により達成され実施例6に記載の臨床試験において評価したFEV AUCの変化を、Singhらの組成物により達成されたものと、図10において比較する。実施例6の18μgのグリコピロレート用量は、Singhらにより報告された20μg用量より有意に良好な気管支拡張応答をもたらし、実施例6の36μgおよび144μgのグリコピロレート用量は、それぞれ、Singhらにより報告された125μgおよび250μgの用量に匹敵する気管支拡張応答をもたらした。
【0104】
特定の実施形態では、所望の薬力学的効果を達成する方法であって、本明細書に記載のとおりの共懸濁剤組成物を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含み、該共懸濁剤が、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、本明細書に記載のとおりのグリコピロレート活性剤粒子を含む方法が提供される。一実施形態では、FEVの臨床的に有意な増加を達成する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法が提供される。そのような一実施形態では、送達用量が100μg以下のグリコピロレートが患者に投与され、別の実施形態では、送達用量が80μg以下のグリコピロレートが患者に投与される。用量が80μg以下、100μg以下のグリコピロレート、または150μg以下のグリコピロレートが患者に投与される場合でも、特定の実施形態では、FEV1の臨床的に有意な増加は1時間以内に達成される。いくつかのそのような実施形態では、FEV1の臨床的に有意な増加は0.5時間以内に達成される。
【0105】
さらなる実施形態では、100mlを超えるFEVの増加を達成する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法が提供される。たとえば、一定の実施形態では、0.5時間以内、1時間以内および1.5時間以内から選択される期間内に150ml以上のFEVを達成する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法が提供される。他の実施形態では、本明細書に記載の方法は、0.5時間以内、1時間以内および1.5時間以内および2時間以内から選択される期間内に200ml以上のFEVを達成する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法を含む。
【0106】
またさらなる実施形態では、臨床的に有意なFEVの増加を達成および維持する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法が提供される。一定のそのような実施形態では、150μg以下のグリコピロレート単回送達用量が投与されると、FEVの臨床的に有意な増加は、0.5時間以内、1時間以内および1.5時間以内から選択される期間に達成され、FEVの臨床的に有意な増加は最大12時間またはそれ以上まで維持される。たとえば、特定の実施形態では、FEVの増加は、150ml以上、200ml以上および250ml以上の増加から選択してもよく、FEVの増加は、最大4時間、最大6時間、最大8時間、最大10時間および最大12時間またはそれ以上から選択される時期にわたり臨床的に有意に維持される。
【0107】
FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlを達成する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法も提供される。一定のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与すると、50%以上の患者において、1時間以内、1.5時間以内、2時間以内および2.5時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。他のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与すると、60%以上の患者において、1時間以内、1.5時間以内、2時間以内および2.5時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlの結果が得られる。さらに他のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与すると、70%以上の患者において、1.5時間以内、2時間以内、2.5時間以内および3時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。また他のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与すると、80%以上の患者において、1.5時間以内、2時間以内、2.5時間以内および3時間以内から選択される期間内に、FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mlもしくは12%またはそれ以上、FEVのベースラインからの増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかの結果が得られる。
【0108】
ICの臨床的に有意な増加を達成する方法であって、送達用量が150μg以下のグリコピロレートが患者に投与されるように、グリコピロレート活性剤粒子を含む本明細書に記載のとおりの共懸濁剤を定量噴霧式吸入器により患者に投与することを含む方法が提供される。一定のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与する結果、1時間以内にICが臨床的に有意に増加する。他のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与する結果、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが100ml以上増加する。さらに他のそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与する結果、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが150ml以上増加する。またさらなるそのような実施形態では、送達用量が150μg以下のグリコピロレートを定量噴霧式吸入器により本明細書に記載のとおりの共懸濁剤から投与する結果、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが300ml以上増加する。
【0109】
本明細書中に含まれる具体的な実施例は、例証目的のみのものであり、本開示への限定とみなされるべきではない。さらに、本明細書中で開示する組成物、系および方法をその一定の実施形態と関連させて説明してきており、多くの詳細を例証の目的で記載してきているが、当業者には、本発明は追加的な実施形態を受け入れる余地があること、および、本明細書に記載の詳細のうち一定のものは、本発明の基本的な原理から逸脱することなく変更できることは明らかであろう。以下の実施例において使用するいずれの活性剤および試薬も、市販されているか、または、有機合成の当業者による標準的な文献手順により調製できるか、そのいずれかである。本明細書中で参照する全ての刊行物、特許および特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例1】
【0110】
グリコピロレート(ピロリジニウム,3−((シクロペンチルヒドロキシフェニルアセチル)オキシ)−1,1−ジメチル−,ブロミド)から形成される活性剤粒子を、ジェットミルを用いてグリコピロレートを微粉化することにより形成した。微粉化されたグリコピロレート(GP)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。50体積%の微粉化された粒子は2.1μm未満の光学直径を呈し、90体積%は5μm未満の光学直径であった。
【0111】
懸濁粒子を以下のように製造した。500mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製した。18.7gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および1.3gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて400mLの湯(75℃)の中でホモジナイズした。ホモジナイゼーションの間、100mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を5パスにわたり最大170MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。
【0112】
このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃、出口温度72℃、エマルション供給速度2.4mL/分、総気体流速525L/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。懸濁粒子の50体積%は2.9μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は1.8であった。
【0113】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化したGP粒子および懸濁粒子を体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。目標質量および目標送達用量(20%が作動装置に堆積すると仮定)を、5つの異なる構成物(構成1A〜1CはGP粒子と懸濁粒子とから成る異なる懸濁剤を表し、構成1DはGP粒子単独を表し、構成1Eは懸濁粒子単独を表す)について表1に示す。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により12.4gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。懸濁剤の特性の目視観察用の追加的な吸入器を、ガラスバイアルを用いて調製した。
【0114】
【表1】

【0115】
エアロゾル性能は、製造した後すぐに、USP<601>(合衆国薬局方モノグラフ601)に従って調べた。流速30l/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。USP<601>に記載されているように、用量均一性サンプリング装置を用いて、使用を通した送達用量均一性試験を実施した。前述のように、吸入器を設置し、呼び水作業を行った。使用の開始時点、中間時点および終了時点で、2回の作動分を回収し、アッセイした。
【0116】
共懸濁させた構成物(1A、1B、1C)の目視観察では、薬物結晶の沈降は示されなかった。懸濁剤はゆっくり凝固し、単独で懸濁させた懸濁粒子を含む対照構成1Eに似た、均質な単一のクリーム層を形成した。これに対し、微粉化されたGP粒子単独(構成1D)は急速に凝固および沈降した。構成1Bでは、35gで20分間の遠心分離の後でも、懸濁粒子からのGP粒子の分離の徴候は示されなかった。最大200gで遠心分離したときも、同じ結果が観察された(すなわち、GP粒子の分離はなかった)。構成1C(懸濁濃度が低い)では、35gで20分間の遠心分離の後、沈殿する小量のGP結晶が示された。
【0117】
共懸濁させた構成物は目標の10%以内の送達用量を達成したが、単独で懸濁させたGP粒子は、目標を著しく下回る範囲で、送達用量のはるかに高いばらつきを示した。構成1Dに対する微細粒子分率は、50%超改善された。共懸濁させた構成物のMMADは、許容できるものであり、懸濁粒子の懸濁濃度に依存していた。使用を通した送達用量均一性を構成1Bおよび1Cについて試験した。全ての個々の送達用量は平均の±20%以内であった。この結果から、GP粒子を形成する薬物結晶が懸濁粒子と会合し、共懸濁剤が形成され、共懸濁剤のエアロゾル性能は大部分が懸濁粒子により決定したことが示された。
【0118】
GP結晶と懸濁粒子との間の会合は、GP結晶が有孔微細構造体から分離せず、該結晶の沈殿が阻害されることが観察されたとおり、浮力を克服するだけ十分に強かった。
【実施例2】
【0119】
グリコピロレート(GP)粒子は、ジェットミルを用いた微粉化により形成した。懸濁粒子を実施例1に記載のように製造した。微粉化されたGPの粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は1.7μm未満の光学直径を呈し、90体積%は4.1μm未満の光学直径を呈した。5つの異なるロットの定量噴霧式吸入器を作製した。構成2A、2Bおよび2Cについては、供給原料中のDSPC、CaClおよびGPの総濃度は40mg/mL、構成2Dおよび2Eについては、この濃度は2倍であった。
【0120】
定量噴霧式吸入器は、実施例1に記載のように、目標質量のGP粒子および懸濁粒子を缶中に計り入れることにより調製した。さらなる添加剤は使用しなかった。目標質量をGP粒子については4mg/缶、懸濁粒子については60mg/缶とした結果、構成2Aおよび2Dについては、懸濁粒子対GP粒子の比率は15となった。目標質量をGP粒子については5.1mg/缶、懸濁粒子については51mg/缶とした結果、構成2Bについては、懸濁粒子対GP粒子の比率は10となった。目標質量をGP粒子については8mg/缶、懸濁粒子については60mg/缶とした結果、構成2Cおよび2Eについては、懸濁粒子対GP粒子の比率は7.5となった。噴射剤および容器施栓系は、実施例1に記載のとおりであった。
【0121】
GP結晶を缶中のHFA134a中に加圧下で置き、3週間室温で平衡化させて、噴射剤中でのその溶解性を定量した。試料は、周囲温度での加圧下、孔の幅が0.22μmのフィルターを通して濾過した。濾液を蒸発させ、GPをメタノールに溶解して、クロマトグラフィーにより分析した。0.17±0.07μg/gの溶解性が認められた。この値を用いて、缶中に存在する2.1μgまたは0.05%のGPが噴射剤に溶解したと決定した。先行論文では、噴射剤中の測定可能な溶解性を有する微結晶性の物質は溶液媒介転移により物理的に安定にならないこと[N.C.Miller、The Effects of Water in Inhalation Suspension Aerosol Formulations、収録先:P.A.Byron編、Respiratory Drug Delivery、CRC Press、1990、250頁]、または、0.1μg/gを超える溶解性を有する活性剤は、アジュバントを用いて製剤化して溶液媒介転移を防止すべきであること[P.Rogueda、Novel Hydrofluoroalkane Suspension Formulations for Respiratory Drug Delivery、Expert Opin.Drug Deliv.、2、625〜638頁、2005]が教示されている。
【0122】
充填済の定量噴霧式吸入器を、オーバーラップをせずに、2つの異なる条件:1)5℃で冷蔵、および2)室温25℃/60%RHで、バルブを下げて保管した。実施例1に記載のとおりのエアロゾル性能および送達用量均一性の試験を、異なる時点で実施した。表2にまとめる結果は、冷蔵条件および室温条件での安定な微細粒子分率を示すものである。
【0123】
【表2】

【0124】
構成2Cおよび2Eを温度サイクリング試験に供した。缶を、総継続期間12週間にわたり、6時間ごとに−5℃および40℃の温度間に交互にさらした。微細粒子分率は、試験開始時点では、両方の構成について53%であった。サイクリングの12週後、FPFは変化しておらず、すなわち、構成2Cについては55%、構成2Eについては53%であった。
【0125】
使用を通した送達用量均一性を、1カ月、2カ月および6カ月の時点で試験した。全ての個々の送達用量は平均の±20%以内であった。図1および2は、構成2Aおよび2Bそれぞれについて、NGIにより測定した場合のエアロゾルの粒子サイズ分布を示すものである。作動装置から、ならびに、誘導ポート(スロート)およびそのマウスピースアダプターから回収された薬物の量も示す。回収分の質量を名目用量の比率(%)として表す。構成2Aについては、空気力学的粒子サイズ分布の個々の反復測定結果を、4週、8週および12週の時点、ならびに、構成2Bについては8週、12週および24週の時点で示す。噴射剤に溶解させた懸濁GPの測定可能な画分は存在するものの、このサイズ分布の粗大化の証拠はない。さらに、これらの実施例により証拠付けられるように、適当な懸濁粒子対GPの比率での共懸濁剤のエアロゾル性能は、懸濁粒子により大部分が決定する。
【実施例3】
【0126】
いくつかの類似のバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように作製した。この懸濁粒子を、2つの異なるタイプのジェットミルを多様な製粉パラメーターで用いて、異なる程度に微粉化されたグリコピロレート(GP)粒子と合わせた。微粉化されたGP粒子の光学直径および粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。表3は、使用した異なるロットの微粉化された物質についてのd50およびd90の値を記載するものである。d50およびd90は、粒子サイズ測定装置により報告された累積体積分布がそれぞれ50%および90%に達する時点の粒子サイズを表す。
【0127】
12個の異なるロットの定量噴霧式吸入器を、実施例1に記載のように調製した。全ての場合において、HFA134a中のGP粒子の懸濁濃度は0.32〜0.45mg/mLの範囲であり、懸濁粒子の懸濁濃度は5.8〜6.1mg/mLの範囲であった。構成は、この実施例において提示されるメタ分析用のデータをプールするのに十分類似しているとみなされた。
【0128】
充填済の定量噴霧式吸入器を、オーバーラップをせずに、2つの異なる条件:5℃で冷蔵、および、室温を25℃/60%RHで制御で、バルブを下げて保管した。実施例1に記載のとおりのエアロゾル性能試験を、異なる時点で実施した。結果は、12週の保管までは、時間の関数として、何ら統計的に有意な傾向を示さなかった。室温保管と冷蔵保管との間の差は認められなかった。したがって、微粉化された物質の粒子サイズ分布がエアロゾル性能にどのように影響するかを確認するために、異なるストレス条件および時点の結果をプールした。
【0129】
表3は、メタ分析のMMADの結果をまとめたものである。第1のカラムには、6つの異なる構成を記載してある。第2のカラムは、それぞれの構成についてデータの編集に個々のロットをいくつ使用したかを特定するものである。第3のカラムには、それぞれの構成について平均MMADを計算するために使用した個々のMMAD定量値の数を挙げてある。カラム4および5は、共懸濁剤を製造するために使用した微粉化された物質のd90およびd50を示すものである。結果は、粗いものから細かいものへ、d90値により並べ換えてある。最後の2つのカラムは、平均MMADおよび標準偏差を示す。
【0130】
【表3】

【0131】
この結果から、MMADは、微粉化された物質のd90にあまり依存していないことが示される。d50についての同様の分析からは、統計的に有意な傾向は示されなかった。微粉化された物質のサイズ分布の変化(たとえば、微粉化された物質のロットの違い、または溶液媒介転移により誘導される変化)は、定量噴霧式吸入器から排出されるエアロゾルのサイズ分布のわずかな差につながるにすぎないと結論付けることができる。
【実施例4】
【0132】
微粉化されたグリコピロレート(GP)粒子を、実施例1に記載のように形成し、試験した。微粉化されたGP粒子の光学直径を定量したところ、この微粉化されたGP粒子の50体積%は1.7μm未満であり、90体積%は3.8μm未満であった。
【0133】
5つのバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように作製した。バッチは、噴霧乾燥前の供給エマルションの濃度(C)、およびPFOBの体積分率(VPFOB)が異なり、それぞれ、20mg/mL〜160mg/mL、および20%〜40%の範囲であった。異なる構成を表4に記載する。
【0134】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化されたGP粒子および懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。目標懸濁剤濃度および懸濁粒子対GPの比率を、試験した26個の異なるバイアルについて表4に示す。缶を63μlバルブ(Valois、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10gまたは12gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。
【0135】
実施例1に記載のように、単独で製剤化した微粉化されたGP粒子は急速に凝固および沈降した。この実施例におけるガラスバイアルは、撹拌せずに少なくとも24時間静置させてから、結晶、GP粒子が完全に共懸濁したかどうかを目視観察により試験した。表4中で「あり」と印を付けたバイアルについては、バイアルの底でGP粒子は観察されなかったが、ただし、いくつかのバイアル中では非常にわずかな異質な微粒子が観察された。ところどころ見られる異質な粒子は、懸濁粒子のみを充填したバイアル中でも、同様の非常に少ない量が視認できた。「部分的」と印を付けたバイアルについては、GP粒子の画分がバイアルの底で視認できた。
【0136】
【表4】

【実施例5】
【0137】
グリコピロレート(GP)粒子を、実施例1に記載のように、ジェットミルで微粉化し試験した。この微粉化された粒子の50体積%は1.7μm未満の光学直径を呈し、90体積%は4.4μm未満の光学直径を呈した。
【0138】
6つのバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように噴霧乾燥により作製した。構成5Aは、エマルションから噴霧乾燥させた。構成5Bは、類似の様式で、ただし、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)をDSPCの代わりに用いて製造した。構成5Cは、エタノール性溶液から噴霧乾燥させた。構成5D、5Eおよび5Fについては、糖を水溶液から噴霧乾燥させた。全ての構成についての噴霧乾燥パラメーターを表5aに示す。
【0139】
【表5】

【0140】
懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。光学直径体積中央値(VMD)および幾何標準偏差(GSD)を、異なる構成について表5bに示す。
【0141】
【表6】

【0142】
懸濁粒子の電子顕微鏡写真はさまざまな形態を示したので、これを図3にまとめた。エマルションから噴霧乾燥させた粒子(5Aおよび5B)は、有孔性が高く密度が低かった。エタノール性溶液から噴霧乾燥させたDSPC粒子(5C)は、はるかに小さい粒子サイズを示し、有孔性は顕著でなく、このことから高密度であることが示唆された。全ての糖からは、滑らかな粒子が作製され、有孔性は視認できなかった。構成5Eは、供給濃度が低いことから予想されたとおり、最も小さい粒子を有した。
【0143】
定量噴霧式吸入器を、4mgの微粉化されたGP粒子および60mgの懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。缶を63μlバルブ(Valois DF30/63 RCU、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により9.5mLのHFA134a(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。懸濁粒子のみの入った追加的な吸入器を、各構成についての対照として製造した。
【0144】
実施例5A、5Bおよび5Cの懸濁粒子は、真密度が噴射剤より低い。これらの懸濁粒子はクリーム層を形成し、実施例4に記載のように共懸濁剤の存在について試験した。GP粒子は、構成5Aおよび5Bについてはバイアルの底で視認できなかった。構成5Cは、部分的な共懸濁剤を形成した。
【0145】
糖粒子は沈降するが、その理由は、糖は噴射剤より真密度が高いからである。しかし、糖構成物についての全ての対照バイアルは、微粉化されたGP粒子単独の場合より顕著に速い沈降速度を示した。構成5D、5Eおよび5Fにおいては、沈降速度は懸濁粒子のみの入った対照バイアルの沈降速度と同等であり、微粉化されたGP粒子単独の場合より速かったが、このことから、GP結晶と懸濁粒子とが会合していることが実証された。共懸濁剤は、これらの場合で形成された。図4は、この挙動の例を構成5Dについて示すものである。撹拌後1分、ガラスバイアルを観察した。共懸濁剤はすでに沈殿して透明な噴射剤層が残されたが、GP粒子単独を含有する対照においては、結晶の大部分は依然として噴射剤中に懸濁している。
【実施例6】
【0146】
本記載による医薬組成物を多施設臨床試験で評価した。本記載に従って調製したグリコピロレートの医薬組成物を含有するMDI器具が供給された。
【0147】
使用する懸濁粒子を、実施例1に記載のものと同様の様式で調製した。MDIの製造は、薬物添加容器(DVA)を用いて、まず、懸濁粒子量の半分を加え、次に、微結晶性のGPを充填し、最後に、残り半分の懸濁粒子を一番上に加えることにより達成された。10%RH未満の湿度制御環境下で該容器に物質を加えた。次に、DAVを4Lの懸濁容器に接続し、HFA134a噴射剤を流してから混合した。バッチ作製全体を通して、容器内部の温度を21〜23℃で維持した。30分間のバッチ再循環後、50μLのEPDMバルブ経由で懸濁剤混合物を缶に充填した。次に、試料缶を、正確な製剤量を確実にするための缶の総合アッセイ用にランダムに選択した。次に、新しく製造した共懸濁剤MDIバッチを1週間隔離場所に置いてから、最初の製品性能分析を行った。
【0148】
本組成物を製剤化し、MDI1作動当たり18μgのグリコピロレート用量をもたらすようにMDI器具を構成した。
【0149】
この試験は、軽度から中等度のCOPD患者において、単回投与の4つの漸増用量のグリコピロレートを、プラセボ、および、活性対照としての非盲検のチオトロピウム(18μg、Spiriva Handihalerによる)との比較で評価した、ランダム化、二重盲検、4期間、6治療剤、プラセボおよび活性対照のクロスオーバー試験であった。6つの試験治療剤は、1作動当たり18μgのグリコピロレートMDIの1回、2回、4回または8回の連続作動により達成された18μg、36μg、72μgおよび144μgの用量のグリコピロレートMDI、18μgのTiotropium HandihalerおよびプラセボMDI(これは、グリコピロレートを含まないこと以外はグリコピロレートMDIと同一であった)であった。各患者を、試験治療剤のうち4つを含む6つの可能な順序の1つにランダム化した。各順序は、2つまたは3つのグリコピロレートMDI用量を含み、これを低用量から順に各患者に投与した。グリコピロレートMDI治療剤およびプラセボMDI治療剤は盲検であり、チオトロピウムは非盲検であった。33名の患者を登録して安全性について分析し、30名の患者を有効性について分析した。試験日のベースラインと比較したFEVのピーク改善(FEVは、最大限息を吸った状態から最大限努力した場合の最初の1秒間の呼気の最大体積である)、効果発現までの時間、ピークFEVまでの時間、FEV AUC0〜12、FEV AUC0〜24、FEV AUC12〜24、12時間および24時間のトラフFEV、ならびに、ピーク呼気速度(PEFR)およびFVCについての同様の分析、ならびに、深吸気量(IC)のピーク改善を評価した。血液試料は、PKパラメーターの計算に使用する血漿濃度を定量するために、投与前、ならびに、投与後2分、6分、20分、ならびに1時間、2時間、4時間、8時間、12時間および24時間に回収した。臨床的な肺活量測定結果(FEV1)対グリコピロレートPK結果(AUC0〜12およびCmax)の比率を定量した。
【0150】
全用量のグリコピロレートMDIは、安全で忍容性が良好であり、平均の血漿グリコピロレート濃度−時間プロファイルは、急速に生じるピーク血漿濃度(一般的に20分以内)で、はっきり特徴付けられた。血漿グリコピロレートは、用量レベルと共に上昇した。図5は、血清中グリコピロレート濃度(単位:pg/mL)を、試験対象が経験した24時間の期間にわたり、プラセボとの比較で示すものである。
【0151】
グリコピロレートMDIは、プラセボMDIと比較して統計的に有意で臨床的に意味のある優れた有効性を示し(全4つのグリコピロレート用量についてp<0.001)、用量応答関係は明らかであった。グリコピロレートMDI144μgおよびグリコピロレート72μgの有効性は、時間の経過に伴うFEVのピーク改善に関しては、チオトロピウム18μgの有効性をはさむ値であった。試験日のベースラインと比較した副次的なFEVエンドポイント(12時間時点でのトラフFEV、FEV AUC0〜12、FEV AUC0〜24、FEV AUC12〜24、ならびに12時間および24時間のトラフFEVなど)の改善については、全用量のグリコピロレートMDIは、プラセボMDIと比較して臨床的に意味のある統計的優位性を実証した(全4用量レベルについてp≦0.049)が、グリコピロレートMDI36μgの投与後24時間時点でのトラフFEVの改善は除く(プラセボとの差=0.073L、p=0.059)。ピークFEVの改善について観察された明白な用量応答関係と同様、評価したグリコピロレートMDIの全4用量にわたる用量の順序関係も、FEV AUC0〜12、FEV AUC0〜24、およびFEV AUC12〜24の改善について観察した。
【0152】
グリコピロレートMDI144μgおよび72μg用量は、FEVのピーク変化、FEV AUC0〜12およびFEV AUC0〜24に関しチオトロピウム18μgに対し統計的に非劣性であることが示され、推測的に定義された非劣性限界は100mLであった。グリコピロレート144μg用量は、12時間トラフおよびFEV AUC12〜24についてもチオトロピウムに対し非劣性であった。72μgおよび144μg用量についてのFEVパラメーターの大多数についての点推定値は、チオトロピウムと比較して±50mL以内であった。全般に、副次エンドポイント(効果発現までの時間、ピークFEVおよびトラフFEV、FVC、PEFRおよびピークIC)は、主要エンドポイントの知見を追認した。グリコピロレートMDIは、チオトロピウム18μgと比較してより急速な効果発現を実証し、FEVが10%以上改善するまでの平均時間は、評価した全用量のグリコピロレートMDIについては1時間以内であり、これに対しチオトロピウム18μgについてはおよそ3時間であった。
【0153】
図6は、24時間の期間にわたり試験対象が経験した、ベースラインからのFEVの平均変化(単位:リットル)をプロットしたものである。図7は、ベースラインからのFEVの変化(単位:リットル)を、異なるグリコピロレート投与レベルの患者について、チオトロピウムについて得られた結果との比較で示すものである。具体的には、図7は、異なるグリコピロレート濃度についてプラセボ値に対するベースラインからのピーク変化と、12時間および24時間の期間にわたる曲線下面積とを比較するものである。図8は、以下:1)FEVのベースラインからの増加が少なくとも200mL、または2)FEVのベースラインからの12%以上の増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mL以上のいずれかを経験した患者の比率を示すものである。図9は、多様な用量のグリコピロレートを投与された患者が経験したICのピーク改善、ならびに、チオトロピウム投与患者についてのICのピーク改善を示すものである。図10は、グリコピロレート投与患者における24時間の期間にわたるFEVの変化を累積的して、NVA237(グリコピロレートの粉末製剤)が多様な用量で投与されたSinghらによる別の臨床試験(D Singh、P A CorrisおよびS D Snape、「NVA237,a once−daily inhaled antimuscarinic,provides 24−hour bronchodilator efficacy in patients with moderate to−severe COPD」、American Thoracic Society International Conference、San Diego、California、2006年5月19〜24日で提示されたポスター)から得られた結果との比較で示すものである。
【実施例7】
【0154】
グリコピロレート(GP)は、ジェットミルを用いて、光学直径体積中央値(d50)が1.4μm、累積的な分布の90%(d90)の体積光学直径が3.0μm未満になるまで微粉化した。懸濁粒子は、実施例1のものと同様に製造した。MDI缶は、FEP被覆したPresspartカンを用いて製造して、計量用量が5.5μg/作動のGPおよび44μg/作動のGPを有する製品を得たが、この用量は、市販のBespakバルブからの50μl体積の計量室からのおよそ4.5μg/作動および36μg/作動のGP送達用量と相関する。この製剤は、6mg/mLの懸濁粒子を含有していた。MDI缶は、原薬および懸濁を懸濁容器中のHFA134aと混合し、市販の充填ヘッドにより缶中に充填する、標準的な圧力充填プロセスを用いて製造した。
【0155】
各ロットを、カンの寿命を通した送達用量均一性、および、製造後のNext Generation Impactorによる空気力学的粒子サイズ分布について試験した。NGIにより測定した場合の空気力学的粒子サイズ分布を図11および12に示す。さらに、バルブ軸および作動装置から、ならびに誘導ポート(スロート)およびそのマウスピースアダプターから回収された薬物の量も示す。回収分の質量を名目用量の比率(%)として表す。微細粒子分率は、168サイクルにわたり不変のままであったが、このことから、本明細書中で開示するGP共懸濁剤は、GP用量範囲にわたって安定であったことが示された。MDI缶の寿命を通した送達用量を図13および14に示す。カンの使い始めから中間までの送達用量に変化は観察されず、缶の中間から使い終わりまでは約10%増加している。中間から使い終わりまでの変化は、カンが空になるに従って生じる噴射剤の蒸発損失に基づいて予測される。この実施例で記載する組成物は、MDIが、4.5μg/作動に相当するほどの低い用量について望ましい送達用量均一性を有することを実証する。
【0156】
加えて、各ロットからの缶を温度サイクリング安定性試験に供した。缶を、84サイクル(3週間)および168サイクル(6週間)の総継続期間について6時間ごとに−5℃および40℃の温度間に交互にさらした。184サイクルの後では、FPF(%)(作動装置を出た分)は、初期値と有意差はない。微細粒子分率の安定性をまとめたものを表6に示す。
【0157】
【表7】

【実施例8】
【0158】
MDI缶は、実施例7に従って、6mg/mLの懸濁粒子濃度を有するように、また、50μlバルブ体積で36μg/作動の計量用量がもたらされるように、製造した。微粉化されたGPのd50およびd90はそれぞれ1.6μmおよび4.1μmであり、懸濁粒子は、実施例1に記載のプロセスと同様に製造した。缶は、保護的な包装を用いず、25℃/60%RHの条件で安定な状態で置き、12カ月の継続期間にわたり保管した。空気力学的粒子サイズ分布を、next generation impactionにより、2週、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月または12カ月の時点で定量した。最初のサンプリング時点での微細粒子分率(作動装置を出るGPの比率(%)として)は、50.2%であった。微細粒子分率の有意な変化は、12カ月までのいずれの時点でも認められず、12カ月後のFPFは47.7%であった。図15は、各時点についての空気力学的なサイズ分布全体を見るものであり、エアロゾル送達について望ましい一貫性が実証される。微細粒子分率をまとめたものを表7に示す。
【0159】
【表8】

【実施例9】
【0160】
MDI缶は、実施例7に記載のように、6mg/mLの懸濁粒子濃度を有するように、また、36μg/作動の計量用量がもたらされるように、製造した。これらの缶を、乾燥剤を含有する熱シール型のアルミニウムフォイルのオーバーラップ中に包装し、6週間のサイクルにさらした(−5℃で6時間、40℃で6時間)。使用を通した送達用量均一性を0週、2週、4週および6週の時点で試験した。各時期での各ロットの平均グリコピロレート送達用量は、1つ例外はあったが、図16において実証されたように平均の±15%以内であった。NGIにより測定した場合の空気力学的粒子サイズ分布は、図17に示すように、168回の温度サイクル後も変化しないままであった。
【実施例10】
【0161】
MDI缶は、実施例7に従って、6mg/mLの懸濁粒子濃度を有するように、また、1作動当たり24μgの計量用量がもたらされるように、製造した。これらの缶を、50℃、周囲湿度下で6週間保管した。別のロットは、40℃/75%相対湿度で8週間保管した。また別のロットは、40℃/75%相対湿度で12週間保管した。微細粒子分率は当初59.3%であった。50℃で6週間保管した缶は、最初のロットと比較して変化していない、すなわち58.4%のFPFを有した。40℃で8週間および12週間保管したロットは、初期値と比較してやはり変化していない、すなわち、それぞれ56.8%および57.6%のFPFを有した。NGIにより測定した場合の空気力学的粒子サイズ分布を図18に示す。MMADは、50℃で6週間後には、比較的変化しないままの3.94μmであり、40℃で12週間まででは3.84μmであり、これに対し、最初のロットは3.54μmである。加えて、バルブ軸および作動装置から、ならびに誘導ポート(スロート)およびそのマウスピースアダプターから回収されたグリコピロレートのFPFおよび量は、高温で3カ月にわたり比較的変化しないままであった。
【実施例11】
【0162】
本明細書に記載のとおりのフマル酸ホルモテロールの医薬組成物を備える定量噴霧式吸入器を調製した。フマル酸ホルモテロール、すなわち(±)−2−ヒドロキシ−5−[(1RS)−1−ヒドロキシ−2−[[(1RS)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]−アミノ]エチル]ホルムアニリドフマレート、別名(±)−2’−ヒドロキシ−5’−[(RS)−1−ヒドロキシ−2−[[(RS)−p−メトキシ−α−メチルフェネチル]−アミン]エチル]ホルムアニリドフマレート、二水和物を微粉化して、活性剤粒子を形成した。微粉化されたフマル酸ホルモテロール(FF)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は1.6μm未満の光学直径を呈し、90体積%は3.9μm未満の光学直径を呈した。
【0163】
懸濁粒子を以下のように製造した。503mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製した。20.6gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および1.9gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて403mLの湯(75℃)の中でホモジナイズした。ホモジナイゼーションの間、100mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を5パスにわたり最大170MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。
【0164】
このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃;出口温度71℃;エマルション供給速度2.4ml/分;および総気体流速498l/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。懸濁粒子の50体積%は3μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は1.9であった。
【0165】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化された活性剤粒子および懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。目標質量および目標送達用量(作動装置での堆積を20%と仮定)を、3つの異なる構成について表8に示す。各構成について、追加的なガラス瓶にそれぞれの量のFF活性剤粒子を、懸濁粒子は一切加えずに充填した。缶を63μlバルブ(Valois、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により11g(25℃で9.1mL)のHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。
【0166】
【表9】

【0167】
共懸濁させた構成物(6A、6B、6C)の目視観察からは、活性剤粒子を形成する結晶性のFFの沈降は示されなかった。懸濁剤はゆっくり凝固し、均質な単一のクリーム層を形成した。試験した全濃度について、微粉化された活性剤粒子単独のものが急速に沈降した。共懸濁剤および伝統的な対照懸濁剤(星印により示す)の写真を図19に示す。バイアルは、撹拌せずに24時間静置させた。共懸濁剤バイアルのいずれの底にも、FF結晶は視認できなかった。
【0168】
この結果から、FF結晶は懸濁粒子と会合したことが示された。FF粒子と懸濁粒子との間の会合は、3つの異なる製剤構成のそれぞれにおいて、FF粒子が懸濁粒子から分離せず、活性剤粒子の沈殿が首尾よく阻害されたように、浮力を克服するだけ十分に強かった。
【実施例12】
【0169】
フマル酸ホルモテロールMDI組成物を本発明に従って調製した。微粉化されたフマル酸ホルモテロールは市販のものを入手し、実施例1に記載のように測定したその粒子サイズ分布を、d10、d50、d90がそれぞれ0.6μm、1.9μmおよび4.4μm、スパンが2.0と特徴付けた。使用する懸濁粒子を、実施例1に記載のものと同様の様式で調製した。MDIの製造は、薬物添加容器(DVA)を用いて、まず、懸濁粒子量の半分を加え、次に、微結晶性のFFを充填し、最後に、残り半分の懸濁粒子を一番上に加えることにより達成された。10%RH未満の湿度制御環境下でDAVに物質を加えた。次に、DAVを4Lの懸濁容器に接続した。次に、既知量のHFA−134a噴射剤(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)をDAV中に加えることによりスラリーを形成し、次いでこのスラリーを懸濁容器から取り出し、穏やかに渦流させる。次に、このスラリーを懸濁剤混合容器に戻し、インペラで穏やかに撹拌しながら、追加のHFA−134aで希釈して、目標濃度の最終懸濁剤を形成する。バッチ作製全体を通して、容器内部の温度を21〜23℃で維持した。30分間のバッチ再循環後、懸濁剤混合物を、50μLのEPDMバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)経由で、14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)で被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)に充填した。次に、試料缶を、正確な製剤量を確実にするための缶の総合アッセイ用にランダムに選択した。
【0170】
次に、新しく製造した共懸濁剤MDIバッチを1週間隔離場所に置いてから、最初の性能分析を行った。エアロゾル性能は、USP<601>(合衆国薬局方モノグラフ601)に従って調べた。流速30L/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。USP<601>により記載されているように、用量均一性サンプリング装置を用いて、使用を通した送達用量均一性試験を実施した。使用の開始時点、中間時点および終了時点で、2回の作動分を回収し、アッセイした。
【0171】
図20は、1作動当たり4.8μgの目標用量での、FFの共懸濁剤の送達用量均一性を示すものである。作動の開始、中間および終了時についての1作動当たりの個々の送達用量は、平均送達用量の±25%以内であった。
【実施例13】
【0172】
フマル酸ホルモテロールMDI組成物を本発明に従って調製した。微粉化されたフマル酸ホルモテロールは、市販のものを入手し、実施例1に記載のように測定したその粒子サイズ分布を、d10、d50、d90がそれぞれ0.6μm、1.9μmおよび4.4μm、スパンが2.0と特徴付けた。使用する懸濁粒子を、実施例1に記載のものと同様の様式で調製した。MDIの製造は、実施例12に記載のように達成された。エアロゾル性能は、USP<601>に従って調べた。流速30L/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。FF共懸濁製剤の空気力学的粒子サイズ分布を、製造後、ならびに、25℃/75%RH(保護されていない缶)および40℃/75%RH(アルミニウムフォイルの小袋中に包まれた保護されている缶)での保管の3カ月後に評価した。図21に示す空気力学的粒子サイズ分布からは、本発明において記載する組成物は、加速条件であっても望ましい安定性特徴を示すことが実証される。
【実施例14】
【0173】
実施例11に従って調製した共懸濁製剤中に含まれるフマル酸ホルモテロール(FF)の化学的な安定性を評価した。HFA134aを含有するFF MDI缶は、アルミニウムフォイルの小袋でオーバーラップし、25℃/60%相対湿度、および40℃/75%相対湿度の条件で、それぞれ13カ月間および6カ月間保管した。同様に、HFA227eaを含有するFF MDI缶は、アルミニウムフォイルの小袋でオーバーラップし、25℃/60%相対湿度、および40℃/75%相対湿度の条件で6カ月間保管した。不純物Fの量、FFの特徴的な分解産物、および総不純物量を逆相HPLCアッセイにより以下のように定量した。各缶を冷やし、切り開き、カンの内容物を遠心管に移動し、この内容物を有機溶媒に溶解し、次いでこの溶液から水性溶媒を沈殿した添加剤(DSPC)に加え、この溶液を遠心分離して透明な上清溶液を得、各試料溶液を、C18カラム、4.6×150mmおよび3.0μm粒子サイズを用いて分析した。カラム温度は30℃で維持した。注入体積は20μlであり、流速は1mL/分に設定し、214nmでのUV吸収を定量することにより検出した。勾配は、pH3.1の水性リン酸緩衝液とアセトニトリルとを混合して使用し、17%アセトニトリルでまず27分、次に50%アセトニトリルで30秒間、次いで75%アセトニトリルで6.5分および17%アセトニトリルで8分間とした。不純物は、ホルモテロールのピーク面積の面積率(%)として報告された(可能な場合、関連のある応答因子について補正した)。図22(または表9および10)に示すように、HFA134a中で懸濁粒子と懸濁させた結晶性のFF活性剤粒子を用いて調製した共懸濁剤は、温度25℃/60%相対湿度の条件では18カ月間化学的に安定であったが、これに対し、噴霧乾燥させた非共懸濁ホルモテロール製剤は、同じ保管条件下で、より急速な分解速度を示した。同様に、結晶性のFF活性剤粒子は、表11に示すように、HFA227a中で化学的に安定な共懸濁剤を形成した。
【0174】
【表10】

【0175】
【表11】

【0176】
【表12】

【実施例15】
【0177】
本実施例において使用した、微粉化されたフマル酸ホルモテロール二水和物(FF)(Inke,S.A.、Barcelona、スペイン)は、微粉化された粒子の50体積%が1.9μm未満の光学直径を呈し、90体積%が4.1μm未満の光学直径を呈するという、レーザー回折による粒子サイズ分布を有した。4つのバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように噴霧乾燥により製造した。全4つのバッチは水溶液から噴霧乾燥させたので、溶液濃度および噴霧乾燥パラメーターを表12に示す。
【0178】
【表13】

【0179】
懸濁粒子の電子顕微鏡写真はさまざまな形態を示したので図23〜図26に示すが、図23はトレハロース懸濁粒子の顕微鏡写真を示し、図24はHP−β−シクロデキストリン懸濁粒子の顕微鏡写真を示し、図25はFicoll MP70懸濁粒子の顕微鏡写真を示し、図26はイヌリン懸濁粒子の顕微鏡写真を示す。トレハロース粒子は外見が球形であり、滑らかな表面を有する。HP−β−シクロデキストリン粒子は、広範なしわのある表面を示すが、このことから、中空のコアを有する部分的に歪んだ外面であることが示唆される。Ficoll MP70粒子およびイヌリン粒子は、多少粗い表面を示すが、全体的にはほぼ球形である。
【0180】
定量噴霧式吸入器を、0.9mgの微粉化されたFF活性剤粒子および60mgの懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。FFを表11の各種の4つの懸濁粒子種と合わせた。缶を50μLバルブ(Valois DF31/50 RCU、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA噴射剤134a(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を30秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。懸濁粒子のみおよび活性剤粒子のみを含有する追加的な吸入器を、各構成についての対照として充填した。
【0181】
結晶性のFFは、室温で噴射剤134aより密度が高く、本実施例の全4種の懸濁粒子も同様である。結果的に、FFおよび懸濁粒子は両方とも、吸入器の底に室温で沈殿した。これらの吸入器を、共懸濁を示す活性剤粒子−懸濁化剤粒子間の相互作用について試験するために、吸入器を、−10℃以下のエタノール浴に浸漬させ(その結果、噴射剤の密度が高まった)、最低30分間平衡化させた。この温度では、FF活性剤粒子は噴射剤より密度が低く、結果的に、噴射剤体積の表面にクリーム化するが、全4種の懸濁化剤粒子は、噴射剤体積の底に沈殿したままである。
【0182】
試験した構成および観察結果を表13に示す。FF活性剤粒子単独では、噴射剤体積の表面にクリーム層を形成し、トレハロース、HP−β−シクロデキストリン、イヌリンおよびFicoll PM70粒子単独では、全て、ガラスバイアルの底に沈殿した。トレハロース懸濁粒子と組み合わせたFF活性剤粒子は単一の沈降層を形成し、いずれの粒子も噴射剤中でクリーム化しまたは浮くことはなかったが、このことから、FF粒子がトレハロース懸濁粒子と相互作用して共懸濁剤が形成されることが示唆された。HP−β−シクロデキストリン懸濁粒子と組み合わせたFF粒子の場合、懸濁粒子のみの対照バイアル中で観察されたものと同様、噴射剤中に多少濁りが存在した。加えて、多少浮遊フロックが観察され、このフロックはFF粒子であったと考えられるが、そのようなフロックは、対照バイアルと比較して固形の塊が小量であることを説明しており、このことから、全てではなくても多少のFF粒子が懸濁化剤粒子と相互作用していたことが示唆された。したがって、この構成は、部分的な共懸濁剤の例である。イヌリン懸濁粒子と組み合わせたFF粒子は単一の沈降層を形成したことから、共懸濁剤が形成されたことが示唆された。この構成中では多少濁りが存在したが、イヌリンのみの対照バイアル中では同様の曇りが観察された。Ficoll PM70懸濁粒子と組み合わせたFF活性剤粒子はバイアルの底に沈降層を形成したことから、共懸濁剤が形成されたことが示唆された。この構成中では多少濁りおよび浮遊フロックが観察されたが、Ficollのみの対照バイアル中でも、同様の濁りおよびフロック発生頻度が観察された。
【0183】
【表14】

【実施例16】
【0184】
グリコピロレート(GP)活性剤粒子とフマル酸ホルモテロール(FF)活性剤粒子とを含む共懸濁剤組成物を作製し、この共懸濁剤組成物を組み込んでいるMDIを調製した。作製した共懸濁剤組成物には、GP活性剤粒子、FF活性剤粒子、またはGP活性剤粒子およびFF活性剤粒子両方の組合せを含ませた。GPおよびFF物質は、表14に示すとおりの粒子サイズ分布を有する微粉化された結晶性の物質として供給された。
【0185】
懸濁粒子を、噴霧乾燥したエマルションにより以下の条件:供給原料濃度は80mg/mL、組成は93.44%がDSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および6.56%が無水塩化カルシウム(2:1のDSPC:CaClモル/モル比率と等価)で製造した。エマルション調製の間、DSPCおよびCaClは、高せん断ミキサーを、加熱水(80±3℃)を含有する容器中にて8000〜10000rpmで用いて分散させ、このプロセス中、PFOBをゆっくり加えた。次に、このエマルションを高圧ホモジナイザー(10000〜25000psi)中で6パスにて加工した。次に、このエマルションを、0.42”のアトマイザーノズルを取り付けた噴霧乾燥機により、規定のアトマイザー気体流速18SCFMで噴霧乾燥させた。乾燥気体流速は72SCFMに設定し、入口温度は135℃、出口温度70℃、エマルション流速は58mL/分であった。
【0186】
共懸濁剤は、まず、適切な量の微粉化されたGP活性剤粒子およびFF活性剤粒子および懸濁粒子を、湿度制御したチャンバー(RHは5%未満)内部の薬物添加容器(DAV)中に分配することにより調製した。本実施例においては、懸濁粒子は、それぞれ第1および第2の添加後にそれぞれGPおよびFFの添加をはさんで3回等量で加えた。次に、DAVを窒素雰囲気下で密封し、12kgのHFA−134a(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を含有する懸濁容器に接続した。次に、0.5〜1kgのHFA−134aをDAV中に加えることによりスラリーを形成し、次いでこのスラリーを懸濁容器から取り出し、穏やかに渦流させる。次に、このスラリーを懸濁剤混合容器に戻し、インペラで穏やかに撹拌しながら、追加のHFA−134aで希釈して目標濃度の最終的な懸濁剤を形成する。次に、この懸濁剤をポンプにより最低限の時間にわたり充填系に再循環させてから、充填を開始する。混合および再循環は充填プロセスを通して続ける。50μLのバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)を14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶上に設置してから、真空クリンピングプロセス、またはHFA−134aのパージプロセスに次ぐバルブクリンピングのいずれかにより空気をパージする。次に、クリンピングした缶に、バルブを通して適切な量の懸濁剤を充填し、計量シリンダーにより調節する。
【0187】
【表15】

【0188】
この実施例に記載した2剤型共懸濁剤を含有するMDIを、2つの異なる用量のGPおよびFFを含有するように調製した。具体的には、第1回分の2剤型共懸濁剤組成物を、1作動当たり18μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFF(「低用量」)をもたらすように調製し、第2回分の2剤型共懸濁剤組成物を、1作動当たり36μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFF(「高用量」)をもたらすように調製した。該2剤型共懸濁剤組成物に加え、単一種の活性剤粒子を含む共懸濁剤を調製した。これらの組成物は、GP活性剤粒子またはFF活性剤粒子のいずれかを含み、「単剤」または「単独療法」型の共懸濁剤と名付けた。単剤療法型共懸濁剤組成物は、2剤型共懸濁剤について記載のように調製したが、ただし、1種のみの活性剤粒子(GPまたはFFのいずれか)を含ませた。単剤療法型共懸濁剤を製剤化し、単剤療法型MDIを、以下の目標送達用量:1作動当たり18μgのGP、および、1作動当たり0.5μg、1.0μg、3.6μgまたは4.8μgのFFをもたらすように調製した。1作動当たり0.5μgのFFおよび1μgのFFをもたらす該組成物およびMDIを、「超低」用量と呼び、4Lスケールで同様の方法で製造された。
【0189】
この実施例に従って調製した共懸濁剤組成物を含有するMDIで達成された薬物特異的な空気力学的サイズ分布を、実施例1に記載のように定量した。低用量および高用量の2剤型共懸濁剤から得られるGPの空気力学的サイズ分布の比例性、ならびに、2剤型共懸濁剤と単剤療法型共懸濁剤間の等価性を図27において実証する。同様の方式で、超低用量、低用量および高用量の組成物を含む2剤型共懸濁剤および単剤療法型共懸濁剤から得られるFFの空気力学的サイズ分布の比例性を図28において実証する。
【0190】
超低用量のFF単剤療法型MDIの送達用量均一性も、実施例1に記載のように測定した。1作動当たり0.5μgおよび1作動当たり1.0μgを含むFF MDIについてのDDUを図29に示す。望ましい用量送達均一性は、超低用量を一定に送達する本発明の使用を示して達成される。単一製剤内でGPとFFとを組み合わせると、単一の活性剤を含む組成物と比較してエアロゾル特性が劣化する結果となるかどうかを評価するために、共懸濁剤組成物のエアロゾル特性を、単一の活性剤のみを含む懸濁剤組成物との比較で調べた。図30においてわかるように、GP活性剤およびFF活性剤を両方とも含む組合せ共懸濁剤組成物のエアロゾル性能は、GPまたはFFのいずれかを単独で含む懸濁剤組成物により達成されたエアロゾル性能と全く異ならなかった。したがって、併用効果は観察されなかった。
【実施例17】
【0191】
微粉化されたキシナホ酸サルメテロール(4−ヒドロキシ−α1−[[[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ]メチル]−1,3−ベンゼンジメタノール、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシレート)をメーカー(Inke SA、ドイツ)により受け入れ、活性剤粒子として使用した。キシナホ酸サルメテロール(SX)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は2μm未満の光学直径を呈し、90体積%は3.9μm未満の光学直径を呈した。
【0192】
懸濁粒子を以下のように製造した。150mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製した。12.3gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および1.2gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて100mLの湯(70℃)の中でホモジナイズした。ホモジナイゼーションの間、65mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を3パスにわたり最大140MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。
【0193】
このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度90℃、出口温度69℃、エマルション供給速度2.4mL/分、総気体流速498l/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。懸濁粒子の粒子サイズ分布、すなわちVMDをレーザー回折により定量した。懸濁粒子の50体積%は2.7μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は2.0であった。加えて、懸濁粒子の空気力学的粒子サイズ分布を、時間飛行型の粒子サイズ測定装置を用いて定量した。懸濁粒子の50体積%の空気力学的粒子径は1.6μm未満であった。空気力学的粒子径と光学的粒子径との間の差が大きいことから、この懸濁粒子は0.5kg/L未満の低い粒子密度を有したことが示唆される。
【0194】
定量噴霧式吸入器は、2mgのSX活性剤粒子および60mgの懸濁粒子を、体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。懸濁粒子対活性剤粒子の比率は30であった。目標送達用量(作動装置での堆積を20%と仮定)は10μgであった。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。懸濁剤の特性の目視観察用の追加的な吸入器を、微粉化されたSXのみを充填した対照を含む15mLガラスバイアルを用いて調製した。エアロゾル性能は、実施例1に記載のように調べた。MMADは3.7μmであり、微細粒子分率は48%であった。活性剤粒子を形成するSX結晶と噴射剤とは、15℃〜20℃でほぼ密度が対等であったことから、目視観察は、水浴中で最高30℃〜35℃に加熱したガラスバイアル上で実施した。これらの条件下では、単独で製剤化したSX活性剤粒子は急速に沈降したが、共懸濁剤バイアルの底ではSX結晶は視認できなかった。
【0195】
微粉化されたキシナホ酸サルメテロール活性剤粒子は、本明細書中で提供した開示に従って製剤化した低密度の懸濁粒子との会合により共懸濁した。サルメテロール結晶と懸濁粒子との間の会合は、結晶の沈殿が阻害されることが観察されたように、浮力を克服するだけ十分に強かった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量噴霧式吸入器から送達可能な医薬組成物であって、
薬学的に許容できる噴射剤を含む懸濁媒体と、
長時間作用性のムスカリン拮抗剤(LAMA)活性剤および長時間作用性のβアドレナリン受容体作動剤(LABA)活性剤から選択される活性剤を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、
前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合して共懸濁剤を形成する、医薬組成物。
【請求項2】
前記活性剤粒子に含まれる前記活性剤がグリコピロレート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ダロトロピウム、およびそれらの任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択されるLAMA活性剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記活性剤粒子が、グリコピロレート(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記活性剤粒子が結晶性のグリコピロレートを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記グリコピロレート活性剤粒子が、1作動当たり約2μg〜約200μg、1作動当たり約10μg〜約150μg、および1作動当たり約15μg〜約80μgから選択される前記定量噴霧式吸入器の1作動当たりのグリコピロレート送達用量をもたらすのに十分な濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記共懸濁剤中に含まれるグリコピロレートの濃度が約0.04mg/ml〜約2.25mg/mlである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記グリコピロレート活性剤粒子の少なくとも90体積%が7μm以下の光学直径を呈する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記グリコピロレート活性剤粒子の少なくとも50体積%が5μm以下の光学直径を呈する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記懸濁粒子が有孔微細構造体を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記有孔微細構造体が噴霧乾燥プロセスを用いて調製される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記有孔微細構造体が、噴霧乾燥された、水中の臭化ペルフルオロオクチル、DSPCおよび塩化カルシウムのエマルションを含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記懸濁粒子が、脂質、リン脂質、非イオン性界面活性剤、ポリマー、非イオン性ブロックコポリマー、界面活性物質、非イオン性界面活性物質、生体適合性フッ素系界面活性物質、炭水化物、アミノ酸、有機塩、ペプチド、タンパク質、アルジトールおよびそれらの組合せのうち少なくとも1つから選択される添加剤を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記懸濁粒子が、約10μm〜約500nm、約5μm〜約750nm、約1μm〜約3μmから選択されるMMADを呈する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記懸濁粒子が、約0.2μm〜約50μm、約0.5μm〜約15μm、約1.5μm〜約10μm、および約2μm〜約5μmから選択される光学直径体積中央値を呈する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記噴射剤が、HFA噴射剤、PFC噴射剤およびそれらの組合せから選択される噴射剤を含み、追加成分を実質的に含まない、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記懸濁粒子の全質量が、前記活性剤粒子の全質量を超える、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約1.5超、約5まで、約10まで、約15まで、約17まで、約20まで、約30まで、約40まで、約50まで、約60まで、約75まで、約100まで、約150までおよび約200までから選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記懸濁粒子が、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50gおよび少なくとも100gの加速度から選択される加速度での遠心分離により増幅された浮力を受けたときにも前記活性剤粒子と会合したままである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
患者における肺疾患または肺障害を治療する方法であって、
薬学的に許容できる共懸濁剤を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップであって、ここで、前記共懸濁剤が、
薬学的に許容できる噴射剤を含む懸濁媒体と、
LAMA活性剤およびLABA活性剤から選択される活性剤を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合することを特徴とするステップと、
前記共懸濁剤を、前記定量噴霧式吸入器を作動させることにより前記患者に投与するステップと、
を含み、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、治療上有効量の前記LAMA活性剤または前記LABA活性剤を前記患者に送達するステップを含む方法。
【請求項21】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、LAMA活性剤を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記LAMA活性剤が、グリコピロレート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ダロトロピウム、およびその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記肺疾患または肺障害が、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症、および嚢胞性線維症に伴う肺の閉塞のうち少なくとも1つから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、グリコピロレート(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、グリコピロレート(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含み、前記共懸濁剤中に含まれるグリコピロレートの濃度が、約0.04mg/ml〜約2.25mg/mlである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、1時間以内に前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、0.5時間以内に前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、0.5時間以下、1時間以下および1.5時間以下から選択される期間内にFEVが150ml以上増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、0.5時間以内に前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらし、4時間まで、6時間まで、8時間まで、10時間までおよび12時間までまたはそれ以上から選択される時期にわたりFEVの臨床的に有意な増加をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり200μg以下、150μg以下、100μg以下、75μg以下、50μg以下および25μg以下から選択される用量のLAMA活性剤を前記患者に投与するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり約150μg以下、約80μg以下、約40μg、約20μg以下および約10μg以下から選択される用量のグリコピロレートまたはその薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を前記患者に投与するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり200μg以下、150μg以下、100μg以下、75μg以下、50μg以下および25μg以下から選択される用量のLAMA活性剤を前記患者に投与するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり約150μg以下、約80μg以下、約40μg、約20μg以下および約10μg以下から選択される用量のグリコピロレートまたはその薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を前記患者に投与するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、深吸気量が臨床的に有意に増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
LAMA活性剤またはLABA活性剤を患者に呼吸器送達する方法であって、
薬学的に許容できる噴射剤を含む懸濁媒体と、
LAMA活性剤およびLABA活性剤から選択される活性剤を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を含有する缶を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、ならびに
前記LAMA活性剤またはLABA活性剤を前記患者に呼吸器送達するように前記定量噴霧式吸入器を作動させるステップ
を含む方法。
【請求項36】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、LAMA活性剤を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記LAMA活性剤が、グリコピロレート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ダロトロピウム、およびその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記LAMA活性剤が、グリコピロレート(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記定量噴霧式吸入器を作動させて前記LAMA活性剤を呼吸器送達するステップが、前記LAMA活性剤を前記缶が空になるまで、±30%またはより良好なDDU、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択されるDDUで前記患者に送達されるステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記定量噴霧式吸入器を作動させて前記LAMA活性剤を呼吸器送達するステップが、前記LAMA活性剤を最初の微細粒子分率で送達するステップを含み、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記最初の微細粒子分率が、前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の80%以内に維持されるように実質的に維持される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の90%以内に維持される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の95%以内に維持される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記活性剤粒子に含まれる前記活性剤が、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、およびサリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤、およびその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択されるLABA活性剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記活性剤粒子が、ホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記活性剤粒子が結晶性のホルモテロールを含む、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記ホルモテロール活性剤粒子が、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり約1μg〜約30μg、約0.5μg〜約10μg、約2μg〜約5μg、約2μg〜約10μg、約5μg〜約10μg、および約3μg〜約30μgから選択されるホルモテロール送達用量をもたらすのに十分な濃度でその中に含まれる、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記ホルモテロール活性剤粒子が、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり約30μgまで、約10μgまで、約5μgまで、約2.5μgまで、約2μgまでまたは約1.5μgまでから選択されるホルモテロール送達用量をもたらすのに十分な濃度でその中に含まれる、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記共懸濁剤中に含まれるホルモテロールの濃度が、約0.01mg/ml〜約1mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、および約0.03mg/ml〜約0.4mg/mlから選択される、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記ホルモテロール活性剤粒子の少なくとも90体積%が5μm以下の光学直径を呈する、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記ホルモテロール活性剤粒子の少なくとも50体積%が2μm以下の光学直径を呈する、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記懸濁粒子が有孔微細構造体を含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記有孔微細構造体が噴霧乾燥プロセスを用いて調製される、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記有孔微細構造体が、噴霧乾燥された、水中の臭化ペルフルオロオクチル、DSPCおよび塩化カルシウムのエマルションを含む、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記懸濁粒子が、脂質、リン脂質、非イオン性界面活性剤、ポリマー、非イオン性ブロックコポリマー、界面活性物質、非イオン性界面活性物質、生体適合性フッ素系界面活性物質、炭水化物、アミノ酸、有機塩、ペプチド、タンパク質、アルジトールおよびそれらの組合せのうち少なくとも1つから選択される添加剤を含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記懸濁粒子が、約10μm〜約500nm、約5μm〜約750nm、および1μm〜約3μmから選択されるMMADを呈する、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記懸濁粒子が、約0.2μm〜約50μm、約0.5μm〜約15μm、約1.5μm〜約10μm、および約2μm〜約5μmから選択される光学直径体積中央値を呈する、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記噴射剤が、HFA噴射剤、PFC噴射剤およびそれらの組合せから選択される噴射剤を含み、追加成分を実質的に含まない、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記懸濁粒子の全質量が、前記活性剤粒子の全質量を超える、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約1.5超、約5まで、約10まで、約15まで、約17まで、約20まで、約30まで、約40まで、約50まで、約60まで、約75まで、約100まで、約150までおよび約200までから選択される、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記懸濁粒子が、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50gおよび少なくとも100gの加速度から選択される加速度での遠心分離により増幅された浮力を受けたときにも前記活性剤粒子と会合したままである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項62】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、LABA活性剤を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項63】
前記LABA活性剤が、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、およびサリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤、ならびにその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記肺疾患または肺障害が、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症、および嚢胞性線維症に伴う肺の閉塞のうち少なくとも1つから選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、ホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、ホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含み、前記共懸濁剤中に含まれるホルモテロールの濃度が、約0.01mg/ml〜約1mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、および約0.03mg/ml〜約0.4mg/mlから選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記医薬組成物を投与するステップが、1時間以内に前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、0.5時間以内に前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、0.5時間以下、1時間以下および1.5時間以下から選択される期間内にFEVが150ml以上増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項70】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、0.5時間以内に前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらし、4時間まで、6時間までおよび8時間までまたはそれ以上から選択される時期にわたりFEVの臨床的に有意な増加をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、1作動当たり約1μg〜約50μg、約1μg〜約30μg、約2μg〜約5μg、約2μg〜約10μg、約5μg〜約10μg、および約3μg〜約30μgから選択される用量のLABA活性剤を前記患者に投与するステップを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤を投与するステップが、1作動当たり約30μgまで、約10μgまで、約5μgまで、約2.5μgまで、約2μgまで、および約1.5μgまでから選択される用量のホルモテロールまたはその薬学的に許容できる塩、エステル、異性体もしくは溶媒和物を前記患者に投与するステップを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記医薬組成物を投与するステップが、深吸気量が臨床的に有意に増加する結果をもたらす量で前記医薬組成物を投与するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項74】
薬学的に許容できる共懸濁剤を供給するステップが、LABA活性剤を含む複数の活性剤粒子を含む共懸濁剤を供給するステップを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項75】
前記LABA活性剤が、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、およびサリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤、ならびにその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記LABA活性剤が、ホルモテロール(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記定量噴霧式吸入器を作動させて前記LABA活性剤を呼吸器送達するステップが、前記缶が空になるまで、±30%またはより良好なDDU、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択されるDDUで前記LABA活性剤を前記患者に送達されるステップを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記定量噴霧式吸入器を作動させて前記LABA活性剤を呼吸器送達するステップが、前記LABA活性剤を最初の微細粒子分率で送達するステップを含み、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記最初の微細粒子分率が、前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の80%以内に維持されるように実質的に維持される、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の90%以内に維持される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の95%以内に維持される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
LAMA活性剤またはLABA活性剤を送達するための定量噴霧式吸入器であって、
薬学的に許容できる噴射剤を含む懸濁媒体と、
LAMA活性剤およびLABA活性剤から選択される活性剤を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を含有する缶を備え、
前記薬学的に許容できる共懸濁剤中に含まれる前記LAMA活性剤またはLABA活性剤が、5℃で保管したときに少なくとも18カ月の期間にわたり化学的に安定である定量噴霧式吸入器。
【請求項82】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤中に含まれる前記LAMA活性剤またはLABA活性剤が、25℃で保管したときに少なくとも18カ月の期間にわたり化学的に安定である、請求項81に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項83】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤中に含まれる前記LAMA活性剤またはLABA活性剤が、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、およびサリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ作動剤、ならびにその任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物から選択されるLABA活性剤である、請求項81に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項84】
前記LABA活性剤が、ホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)である、請求項83に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項85】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤内でのN−(2−ヒドロキシ−5−(1−(2−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシ−2−(1−(4−メトキシフェニル)プロパン−2−イルアミノ)エチル)フェニルアミノ)−2−(1−(4−メトキシフェニル)プロパン−2−イルアミノ)エチル)フェニル)アセトアミドの形成速度が、前記缶を40℃の温度および75%の相対湿度に1カ月の期間にわたりさらした後で約0.15%を超えない、請求項84に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項86】
前記薬学的に許容できる共懸濁剤内でのN−(2−ヒドロキシ−5−(1−(2−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシ−2−(1−(4−メトキシフェニル)プロパン−2−イルアミノ)エチル)フェニルアミノ)−2−(1−(4−メトキシフェニル)プロパン−2−イルアミノ)エチル)フェニル)アセトアミドの形成速度が、前記缶を40℃の温度および75%の相対湿度に1カ月の期間にわたりさらした後で約0.5%を超えない、請求項84に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項87】
定量噴霧式吸入器から送達できる医薬組成物であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり約15μg〜約80μgのグリコピロレート送達用量をもたらすのに十分な濃度で前記懸濁媒体中に含まれたグリコピロレート(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記有孔微細構造体が前記複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する医薬組成物。
【請求項88】
前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される、請求項87に記載の医薬組成物。
【請求項89】
定量噴霧式吸入器から送達できる医薬組成物であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり約2μg〜約10μgのホルモテロール送達用量をもたらすのに十分な濃度で前記懸濁媒体中に含まれた、ホルモテロール(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
約1.5μm〜約10μmの光学直径体積中央値を呈する有孔微細構造体を含む複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記有孔微細構造体が前記複数の活性剤粒子と会合して共懸濁剤を形成する医薬組成物。
【請求項90】
前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約3:1〜約15:1、および約2:1〜8:1から選択される、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項91】
LAMA活性剤を患者に呼吸器送達する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
グリコピロレート(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を含有する缶を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記定量噴霧式吸入器を作動させて、前記缶が空になるまで、グリコピロレートを前記患者に±20%またはより良好なDDUで呼吸器送達するステップ
を含む方法。
【請求項92】
前記定量噴霧式吸入器を作動させてグリコピロレートを前記患者に呼吸器送達するステップが、前記グリコピロレートを最初の微細粒子分率で送達するステップを含み、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記最初の微細粒子分率が、前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の80%以内に維持されるように実質的に維持される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の90%以内に維持される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の95%以内に維持される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
LABA活性剤を患者に呼吸器送達する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
ホルモテロール(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を含有する缶を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記定量噴霧式吸入器を作動させて、前記缶が空になるまで、ホルモテロールを前記患者に±20%またはより良好なDDUで呼吸器送達するステップ
を含む方法。
【請求項96】
前記定量噴霧式吸入器を作動させてホルモテロールを前記患者に呼吸器送達するステップが、前記ホルモテロールを最初の微細粒子分率で送達するステップを含み、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記最初の微細粒子分率が、前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の80%以内に維持されるように実質的に維持される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の90%以内に維持される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が、前記最初の微細粒子分率の95%以内に維持される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
患者における肺疾患または肺障害を治療する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
グリコピロレート(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記共懸濁剤を、前記定量噴霧式吸入器を作動させることにより前記患者に投与するステップを含み、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり用量が150μg以下のグリコピロレートを送達するステップを含み、前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらす方法。
【請求項100】
前記肺疾患または肺障害が、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症、および嚢胞性線維症に伴う肺の閉塞のうち少なくとも1つから選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
患者における肺疾患または肺障害を治療する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
ホルモテロール(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記共懸濁剤を、前記定量噴霧式吸入器を作動させることにより前記患者に投与するステップを含み、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり用量が10μg以下のホルモテロールを送達するステップを含み、前記患者においてFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらす方法。
【請求項102】
前記肺疾患または肺障害が、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、嚢胞性線維症に伴う肺の炎症、および嚢胞性線維症に伴う肺の閉塞のうち少なくとも1つから選択される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項105】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、0.5時間以内にFEVが少なくとも150mL増加する結果をもたらす、請求項99に記載の方法。
【請求項107】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、0.5時間以内にFEVが少なくとも150mL増加する結果をもたらす、請求項99に記載の方法。
【請求項108】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、0.5時間以内にFEVが少なくとも150mL増加する結果をもたらす、請求項99に記載の方法。
【請求項109】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1.0時間以内にFEVが少なくとも200mL増加する結果をもたらす、請求項99に記載の方法。
【請求項110】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1.0時間以内にFEVが少なくとも200mL増加する結果をもたらす、請求項99に記載の方法。
【請求項111】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1.0時間以内にFEVが少なくとも200mL増加する結果をもたらす、請求項99に記載の方法。
【請求項112】
患者における肺疾患または肺障害を治療する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
グリコピロレート(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記共懸濁剤を、前記定量噴霧式吸入器を作動させることにより前記患者に投与するステップを含み、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり用量が150μg以下のグリコピロレートを送達するステップを含み、0.5時間以内にFEVが臨床的に有意に増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が最大12時間維持される方法。
【請求項113】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、0.5時間以内にFEVが少なくとも150mL増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が少なくとも12時間維持される、請求項112に記載の方法。
【請求項117】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、0.5時間以内にFEVが少なくとも150mL増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が少なくとも10時間維持される、請求項112に記載の方法。
【請求項118】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、0.5時間以内にFEVが少なくとも150mL増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が少なくとも8時間維持される、請求項112に記載の方法。
【請求項119】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1.0時間以内にFEVが少なくとも200mL増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が少なくとも12時間維持される、請求項112に記載の方法。
【請求項120】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1.0時間以内にFEVが少なくとも200mL増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が少なくとも10時間維持される、請求項112に記載の方法。
【請求項121】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1.0時間以内にFEVが少なくとも200mL増加する結果をもたらし、FEVの臨床的に有意な増加が少なくとも8時間維持される、請求項112に記載の方法。
【請求項122】
患者集団における肺疾患または肺障害を治療する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
グリコピロレート(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記共懸濁剤を、前記定量噴霧式吸入器を作動させることにより前記患者集団に投与するステップを含み、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり150μg以下の用量のグリコピロレートを送達するステップを含み、前記患者集団の少なくとも50%において、(i)ベースラインのFEVの増加が少なくとも200mlおよび(ii)FEVのベースラインからの12%以上の増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlから選択されるFEVのベースラインからの増加を結果としてもたらす方法。
【請求項123】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項126】
前記患者集団の少なくとも60%について、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、(i)ベースラインのFEVの増加が少なくとも200mlおよび(ii)FEVのベースラインからの12%以上の増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかから選択されるFEVのベースラインからの増加を結果としてもたらす、請求項122に記載の方法。
【請求項127】
前記患者集団の少なくとも80%について、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、(i)ベースラインのFEVの増加が少なくとも200mlおよび(ii)FEVのベースラインからの12%以上の増加に加えFEVの総増加量が少なくとも150mlのいずれかから選択されるベースラインからのFEVの増加を結果としてもたらす、請求項122に記載の方法。
【請求項128】
患者における肺疾患または肺障害を治療する方法であって、
薬学的に許容できるHFA噴射剤を含む懸濁媒体と、
グリコピロレート(その薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)を含む複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、前記複数の活性剤粒子が前記複数の懸濁粒子と会合する薬学的に許容できる共懸濁剤を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記共懸濁剤を、前記定量噴霧式吸入器を作動させることにより前記患者集団に投与するステップを含み、前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、前記定量噴霧式吸入器の1作動当たり150μg以下の用量のグリコピロレートを送達するステップを含み、前記患者において深吸気量(IC)が臨床的に有意に増加する結果をもたらす方法。
【請求項129】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、100μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、80μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが少なくとも300ml増加する結果をもたらす、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが少なくとも150ml増加する結果をもたらす、請求項128に記載の方法。
【請求項134】
前記共懸濁剤組成物を投与する前記ステップが、150μg以下のグリコピロレート送達用量を投与するステップを含み、前記投与が、1時間以内および2時間以内から選択される期間内にICが少なくとも100ml増加する結果をもたらす、請求項128に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2012−528200(P2012−528200A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513314(P2012−513314)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036659
【国際公開番号】WO2010/138868
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511288061)パール セラピューティクス,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】