説明

長距離測定のための高エネルギー光学パルスの生成および送信の方法ならびに装置

高エネルギー光パルスの生成および送信のための方法ならびに装置について記載する。分散型温度センサーは、温度を測定する手段として、通常は光ファイバー中のラマン散乱を用いる。ここでは、レーザー光源からの光がファイバーに送りこまれたときに、散乱して光源の方へと戻っていく少量の光を分析した。ファイバー長が大きくなると、温度および損失の測定の分解能が劣るようになる。これは、光ファイバー中の損失が、信号を減衰させるためである。この問題への明白な解法は、損失を補償するための光をファイバー中へとさらに入射することであるが、入射できる光の限度は、誘導ラマン散乱(stimulated Raman scattering)によって定められる。本発明は、パワーをSRS閾値よりも低く保ったまま、合成パルスエネルギーを最大化する、パルス変換方法を用いてこの問題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システム、ならびに、検出、特に長距離測定、および、特に長距離に亘る温度と損失といった測定量についての分散型光ファイバー測定、のための高エネルギー光学パルスの生成および送信の方法ならびに装置、ならびに、これらのシステムのためのトランスミッタ、これらのシステムのための受信器、および、これらの目的のためのパルスの生成の方法と装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
工業においては、長距離に亘ってすべての点で温度測定をすることが求められる。典型的には、長いケーブルとパイプラインを監視するために行われる。これらの構造物は、非常に長くなるため、超長距離に亘って動作する検出システムが必要とされる。光ファイバーに沿った損失の測定の、伝達および検出も求められる。これらのファイバーは非常に長くなるため、超長距離に亘って動作する損失測定システムが必要とされる。
【0003】
分散型温度センサーは、温度の測定手段として、通常は光ファイバー中のラマン散乱を用いている。ここでは、レーザー光源からの光がファイバーに送りこまれた際に、散乱して光源の方へと戻っていく少量の光を解析した。パルス光を使用して、戻り信号(the returning signal)を時間の関数として測定し、ファイバー中のすべての点で発生する後方散乱光(the backscattered light)を測定することができる。この後方散乱光は、光源光に対して周波数上昇および周波数下降している成分(それぞれ、ラマンおよびブリュアン(Brillouin)の、アンチストークスおよびストークス光)、ならびに、弾性散乱光(レイリー光(Rayleigh light))を含んでいる。戻りラマンおよびブリュアン信号のパワーは温度依存であるため、これらの成分を解析すれば、温度を得ることができる。通常、温度を測定するためには、ラマンストークスおよびアンチストークス信号を用いるが、レイリー光を基準として使うこともあり、また、ブリュアン成分を使うこともある。レイリー光、および、ときどきはラマンストークス光を、光ファイバーに沿った損失の測定に使うことがある。
【0004】
光ファイバーの侵入検出(intrusion sensing)に関する米国特許5,197,847号に公知例がある。この件においては、予め定められた境界内への侵入を検出するために、予め定められた境界に沿って配置された光検出ファイバー内にコヒーレント光パルスを射出する。前記コヒーレント光パルスの受信に応じた後方散乱光が発生して、光受信ファイバー内で合波する。フォトディテクター(a photodetector)によって前記の後方散乱光を検出して、前記後方散乱光の変化によって侵入を検出することができるのである。装置の感度を上げるために、基準ファイバー(a reference fibre)および干渉計をさらに使うこともできる。
【0005】
ファイバー長が大きくなると、温度および損失の測定の分解能が劣ってくるようになる。これは、光ファイバー中の損失が、信号を減衰させてしまうためである。ファイバー長が大きくなると、ファイバー長に亘る全体の損失が増大して、遠方からの戻り信号が弱くなり、結果としてノイズが多くなる。この問題に対しては、損失を補償するための光をファイバー中へとさらに入射すればよいのははっきりとしているが、しかしながら入射できる光には限りがある。これは、高パワー光をファイバー中に送りこむ際には、ファイバー長が増大するにつれて非線形効果が重大になってくるためである。ここでもっとも問題となるのは、誘導ラマン効果(stimulated Raman effect)である。これによって光源からのパワーが奪われ、ラマンストークス信号の波長に転換される。通常、このタイプの分散型センサーが動作できる全長を制限しているのは、この誘導ラマン散乱(stimulated Raman scattering; SRS)である。 "Optical Time Domain Reflectometry", Hartog, Arthur, Harold および WO 1998 GB 0000028(1997年01月08日)において、SRS閾値に従来よりも高い入力で達するようなファイバーを提案し、ファイバー中でより大きなパワーを有用に使うことができるようにしたことによる、この問題を軽減する試みが公知となっている。しかしながら、高価である可能性のある特化したファイバーを用いる技術を要求するという点で、このアプローチは限定的なものである。また、このアプローチにおいては、システムは、既に取りつけられている普通の光ファイバーを使うことができない。
【0006】
ファイバー長が大きくなるにつれて、温度および損失測定の分解能が落ちる別の原因としては、各パルスの往復遅延時間(round trip delay)が大きくなることがある。通常、ファイバー内においては、つねにひとつのパルスのみが有効であり、これは、そうでなければ戻り信号がどこで発生したのかを決定できない(複合パルスからの後方散乱信号が重畳(オーバーラップ)してしまう)ためである。光パルスがファイバーを伝播していく時間は、ファイバーの長さに正比例するので、ファイバー長が大きくなるにつれて、発信できるパルスの間隔も大きくなる。有意な精度で信号を計測するためには、一般に、多くの平均値が必要となるので、このパルス反復レート(pulse repetition rate)を減らさねばならなくなるということは、検出長(the sensing length)が大きくなると計測の精度が落ちてしまうことを意味する。しかしながら、SRS閾値を任意に上げることはできず、また、依然としてパルス反復レートはパルスのファイバー全体の往復時間によって制限されてしまう。
【0007】
異なる波長における損失差(differential loss)が、誤差の別の原因となる。これは、ごく普通のタイプのファイバーの特性であり、また、温度計算が異なる波長における戻り光のパワーの比を定量することを含むことから、これが誤差の原因となっている。ラマンストークスおよびアンチストークス成分は、異なる波長にシフトするので、損失する量も異なってくる。ファイバーに沿った所望の測定点の距離が伸びるにつれて、この誤差源はより重大なものになってくる。所定のファイバーの損失差を最小にするような発信波長を選ぶことにより、誤差を低減できることがある。また、二つの光源、もしくは、単独の波長可変光源(a single tunable source)を用いることにより、二種の異なる波長で光を伝播し、損失差を打ち消すために、一方からストークス波長、もう一方からアンチストークス波長を発して測定を行うようにすることも可能である。これは米国特許4,767,219号に開示されている。これにより、損失差の誤差を打ち消すことができるが、他の誤差を引き起こさないように、その寿命を通して二つの光源を充分に同様の状態に保っておくことは、困難であるかもしくは高価につく。単独の波長可変光源を使う場合、このような光源は整調してパルスを発信するのが難しいため、さらに実用性が落ちてしまう。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、改良された装置および方法の提供である。本発明の第一の態様では、以下が提供される。
【0009】
導波管(waveguide)に沿って電磁気的信号を送信し、前記導波管に沿ったひとつもしくは複数の計測地点における条件(conditions)を検出する計測システムであって、
適切な形状のパルスを送信し、前記パルスが前記測定地点に達する前に、誘導非弾性散乱プロセスによって前記パルスを異なる波長へと制御して変換するための送信手段と、
前記の計測地点から戻ってくる信号を受信し、その受信した信号に基づいて前記条件を測定するための受信手段と、を含むシステムである。
【0010】
これは、従来は回避もしくは最小化されてきた非線形効果を巧みに利用するものである。短い遷移長の後に、元の光源光のすべてが、この新たな波長に変換されて、ファイバー長の残りの部分に照射されることになる。発信パワー(the launch power)をより大きくし、ファイバー内のより長い距離から戻ってくる戻り光信号を検出できるので、所与の測定精度もしくは分解能のレベルに応じた距離限界を伸ばすことができる点が、一つの利点である。また、距離が大きくなるにつれて光は長波長側にシフトするので、ファイバー散乱損失が小さくなるという、自己最適化プロセスを提供できることも別の利点である。電磁気的信号は、光信号もしくは他の波長とすることができる。前記のパルス形状は、例えばパワーと時間との相関のグラフの形状と見做せる。ピークパワーは、SRS波長変換を起こす場所の決定に強い影響を与える形状の一部であるが、パルス幅および送信媒体の特性も、その一部を担う。
【0011】
付加される特徴として、ファイバーの異なる複数の部位が、複数の異なる波長で照射されるように発信パワーを設定することができ、また、異なる波長のそれぞれにおける戻り光信号を識別するように受信手段を設定することもできる。これの利点は、一度に複数のパルスをファイバー内に通すことができるということである。この複数のパルスは、第一のパルスが異なる波長に変換されたときに後続のパルスを送り出すように、間隔を合わせることができる。適切なフィルタリングにより、受信器は、後続のパルスからの後方散乱を、異なる波長である第一のパルスからの所望の後方散乱と分別することができるようになる。これは、より多くの平均がとれるようになる、または、所定の精度および空間分解能によるさらに高速な検出を可能にすることにより、複数のパルスの反復レートを増大させて測定精度をさらに改良できることを意味する。
【0012】
別の付加される特徴として、送信手段が、変換の起こる遷移長を、ファイバーの別の部分へと移動するために発信パワーを調整するようになっている。これは、遷移長によって検出範囲内に生じるギャップを回避するために有用である。
【0013】
別の付加される特徴として、ひとつもしくは複数の計測地点からの戻り信号を、変換される前に受信するように、受信手段がさらに設定される。これによって、波長変換されたパルスを用いた長距離の検出と同様に、変換される前の比較的強力なパルスを、比較的短い距離で検出できるようになる。
【0014】
別の付加される特徴として、検出システムがファイバー損失差(differential fibre loss)を補償する。別の付加される特徴として、送信手段が、パルス生成源、および、ファイバー損失差を補償できるようにするために前記のパルスを二つ以上のストリームに分割するスプリッタ、および、ファイバーに双方のストリームが送り出される前に前記のストリームのうちのひとつの波長を変換する変換器、を含む。
【0015】
別の付加される特徴として、第一の波長のパルスのうちのひとつから戻ってくる周波数が増加している成分(アップシフト成分; an up shifted component )、および、前記の第一の波長から周波数が減少したものであるところの第二の波長のパルスのうちのひとつから戻ってくる周波数が減少している成分(ダウンシフト成分; a down shifted component )を検出することによって、受信手段が損失差を補償するようになっている。これは、損失差の量にかかわらず、前記の二つの成分が同一の損失を受けるということを意味しており、すなわち、前記の二つの成分の比は、任意の損失差を打ち消すことができるということである。
【0016】
別の付加される特徴として、システムは、パルス反復レートを制御するための制御器を有する。これは、例えば任意の時点での各々の遷移長間の区域あたりのひとつのパルスの限界まで、前記のレートを最大化するために有用である。これは、より多くのファイバー内の波長変換に応じてパワーが変更された場合、より高いレートの可能性を活用する補助となる。
【0017】
本発明の第二の態様は、ファイバー内の条件を検出するためにファイバーを通る光信号を送信および受信するための検出システムの一部として用いられる送信手段であって、パルスのストリームの生成源、前記のパルスを二つ以上のストリームに分割するスプリッタ、および、前記のストリームのうちのひとつの波長を変換し、ファイバーに双方のストリームを送り出す変換器、を有する送信手段を提供する。
【0018】
単独の光源から二つのストリームを生成する利点は、二つのレーザーの波長分離の精密な制御を要することなく、ファイバー損失差の補正を正確にすることができることである。
【0019】
それぞれのパルスのストリームは、ファイバー損失差を測定または補正できるようにするために、SRS、および、他の波長のストークス波長シフトにより分離された少なくとも二つの異なる波長で検出ファイバーを照射する光、による信号の波長を変換するために充分なパワーを有する。
【0020】
付加される特徴として、光源とスプリッタは、変換器に届くパルスに充分なパワーを与えるように構成されており、変換は誘導非弾性散乱によって実行される。
付加される特徴として、送信手段は、ファイバー内に送信される前にパルスを伸長するための、パルス整形器(a pulse shaper)をさらに含む。
【0021】
付加される特徴として、前記パルス整形器は、分散要素(a dispersive element)を含む。これは、パルスのエネルギーを保持しつつ、ピークパワーおよびパルス幅を制御するために、パルスの拡散を行うひとつの方法である。より長いパルス幅によって、空間分解能が落ちるが、一方、より高いパルスエネルギーによって、検知および検出の精度を改善すること、または、例えば所与の精度において距離を改善することができる。前記の分散要素は、要素の数を最小限にするために、任意に変換器内に組み込むことができる。
【0022】
付加される特徴として、前記のパルス整形器は、それぞれのパルスをパルス列に変換する、パルス列( a pulse train )生成器、および、パルス列を整形する分散要素、を含む。これの利点は、所与の分散量において、時間方向により広汎にパルスを拡散することができることである。これによって、より均一に拡散されたパルスを生成することができ、且つ、分散量が多い場合に必要となってくるコスト、遅延および損失を削減することができる。広汎に拡散されたパルスは、より多くのエネルギーを与え、所与のパワーレベルにおいてより長い距離を与える点で有用である。
【0023】
本発明の第三の態様においては、ファイバーの異なる部分が異なる波長で照射されるように、誘導ラマン光をひとつもしくは複数生成する装置が提供され、これによって、大きな入力を用いることができるようになり、而して、複数のパルスがファイバー内に在るようにすることができ、ならびに、長距離に亘る温度および/もしくは損失の分散型測定を可能にするための、後方散乱光の種々の成分のパワーを計測することができる。前記装置は、散乱媒体を提供する少なくともひとつの光ファイバー、ならびに、光源、ならびに、光学フィルタリング手段、ならびに、単独の検知器もしくは複数の検知器のアレイを含むことができる、光信号を電気信号に変換する手段、を含む。
【0024】
この態様は、ファイバーに沿って光信号を送信および受信するための検出システムを提供するものであって、このシステムは、ファイバーの種々の部分を種々の波長で照射するよう、誘導ラマン光をひとつもしくは複数発生させ、複数のパルスをファイバー内に同時に送信するように構成された送信手段と、ファイバー内の長距離に亘る後方散乱光の種々の成分のパワーを計測する受信手段とを有し、この受信手段は、光学フィルタリング手段、および、光信号を電気信号に変換するためのひとつもしくは複数の検知器を有する受信手段を有する。
【0025】
従属項のために付加される特徴として、受信手段は、先行パルスからの、ラマンストークス波長もしくはラマンアンチストークス波長もしくはレイリー波長の後方散乱を識別する。これらの成分は、ファイバー損失の補正、および検出ファイバーの温度を算定するために用いることができる。
【0026】
さらに付加される特徴として、所望の後方散乱信号を、波長変換前の送信されたパルスの波長に較べて若干ずれた波長で収集する(collect)ための複数のフィルターを、受信手段が有する。これにより、変換後のパルスから戻ってくるアンチストークス波長と、いまだ伝播中である変換前の初めのパルスの残余から戻ってくるレイリー散乱との間の、クロストーク( crosstalk )を回避する助けとなる。
【0027】
さらに付加される特徴として、異なるパルスパワーにおいて測定を反復するように構成され、且つ、この結果を非線形補正に用いる。
さらに付加される特徴として、システムは、光ファイバーを含む。
【0028】
さらに付加される特徴として、システムは、ファイバー内の波長変換が起こる遷移長の位置を変えるために、パルスのパワーを制御する。
さらに付加される特徴として、送信手段は、レーザー、および、前記レーザー出力からパルスを生成するための変調器(a modulator)、および、パルスを増幅するための光増幅器、を含む。これは、パルス形状をより容易に制御する一助とすることができる。
【0029】
さらに付加される特徴として、受信手段は、ファイバーの他の部位から後方散乱した等価である成分と多大に重畳(オーバーラップ)すること無く、ファイバーの一部位から後方散乱したラマンストークス光および/もしくはラマンアンチストークス光および/もしくはレイリー光信号成分が収集(collect)されるようなフィルターを有する。
【0030】
さらに付加される特徴として、受信手段は、戻りのラマンストークス光、ラマンアンチストークス光、およびレイリー光信号のうちの、ひとつ、二つ、またはすべてが、信号内の非線形性を補正するために比較されるように構成されている。
【0031】
別の付加される特徴として、受信手段は、検知された条件との相関における飽和非線形領域に在る、戻りのラマンストークス光成分およびラマンアンチストークス光成分の組み合わせを、非線形性の補償に用いるように構成されている。
【0032】
本発明の第四の態様は、合成パルスエネルギーを、そのパワーをSRS閾値より下に保ったままに最適化する、パルス変換方法を用いる。これは、上述のSRS波長変換を活用するシステムにとって有用である。本発明のこの態様においては、入射光パルスを整形するパルス整形器が設けられ、この整形器は、前記の入射光パルスからパルス列を生成するパルス列生成器と、前記の入射光パルスもしくはパルス列のそれぞれを拡散させるために、前記パルス列生成器の前もしくは後に設置された分散要素とを有し、前記生成器は、遅延パルスを生成するために、異なる遅延となる二つ以上の光路の間の前記の入射光パルスを分離する手段、および、パルス列を生成するために前記遅延パルスを結合する合波器、を含む。
【0033】
これにより、光パルスに、さまざまの目的に応じて補正された形状(例えば種々の時間もしくは距離における、パワーのプロファイルの謂)を持たせることができる。これは、所望の形状をつくるために光源を制御しようとすることよりも、より実用的であることがある。これは、特に、パルスが強力である必要および緊密に波長を制御される必要がある場合である。パルス列を生成する利点は、分散の時間もしくは空間の所定の量において、入力パルスをより広汎に拡散できることである。これは、より均一に拡散したパルスを生成することができ、且つ、分散量が多いときにかかるコスト、遅延および損失を削減できる。広汎に拡散したパルスは、所定のパワーレベルにおいて、より多くのエネルギー、および、より大きな検出距離を得るために有用である。
【0034】
付加される特徴として、パルス整形器は、パルス列から遅延パルスを選び出すための、ひとつもしくは複数の光スイッチを有する。これは、パルス列の長さといった出力の形状を制御するために、パルス列の形状を制御するひとつの方法である。
【0035】
SRS限界は、パルスのエネルギーよりはむしろ、パルスのパワーに依存し、一方、戻り信号は、パルスのパワーよりもパルスのエネルギーに依存している。SRS波長変換を用いることなく検出長を伸ばすためには、パルスエネルギーをSRS閾値よりも下に保ったまま、パルスエネルギーを最大化する必要がある。これは、長い低パワーのパルスを用いて実現できる。有用であるパルスの最大の長さを左右する要素は、システムの空間分解能である。パルス幅は、空間分解能が要求する長さの二倍を超えてはならない。したがって、所定のSRS限界における戻り信号を最大化するためには、パルス幅を、求める空間分解能のちょうど二倍とし、且つ、パルスパワーがSRS閾値を超えないようにするべきである。
【0036】
一方、パルス持続時間(pulse duration)が減少するにつれて、SRSパワー閾値は増大する。これは、SRSが、入力光およびラマンストークス光の共伝播(co-propagation)を必要とするためである。これらの成分は異なる波長を持ち、つまりそれはファイバーのガラス内での分散により、ガラス内を異なる速度で走るということを意味する。入力パルスが短い場合、パルスは或る距離を過ぎると「ウォークオフ("walk off")」し、もはやオーバーラップしなくなる。したがって誘導ラマンプロセスは増大を止めることになる。
【0037】
SRSパワー閾値は短いパルスのときに高くなるが、パルスエネルギーはパルス幅が空間分解能よりも相当に短いと最適化されない。
この第四の態様は、短いパルス群を含む長いパルス列を用いて、この限界を克服することができる。これは、長いパルス列幅および高いエネルギーを持つ利点、ならびに、ウォークオフが起きるような短いパルス成分を持つ利点を併せ持っている。
【0038】
この第四の態様においては、長距離に亘る温度および/もしくは損失の分散型測定を可能にするように、後方散乱光の種々の成分のパワーを測定するために、誘導ラマン光を抑制する一方で励起光エネルギーを最大化する、高エネルギー光パルスの生成および送信のための装置が提供され、この装置は、散乱媒体を提供する少なくともひとつの光ファイバーと、光源と、単一の高パワーパルスをパルス列に変換するための変調手段、パルス選別手段、もしくは変換手段によってパルス列を生成する手段と、光学フィルター手段と、光信号を電気信号に変換するひとつもしくは複数の検知器とを備える。
【0039】
このようなシステムにおけるパルス列の使用は、後述するようにSRS効果が減少するため、検出長の伸長において利点となる。レーザー光源からの直接変調光もしくは外部変調光によって、短パルスの列を生成することができる。その後、前記のパルス列は、光増幅器を用いて増幅することができ、合成パルスの、所定の測定長に応じたパワーが最適化される。または、パルスセレクタを備えたモード同期レーザー(モードロックレーザー; a mode-locked laser)の使用によって、高速パルス列を選択することができる。
【0040】
しかしながら、Qスイッチ技術(a Q-switching technique)を用いた強力で短パルスであるレーザーが、さらに容易に入手可能である。これらのレーザーは、つねにきわめて高いピーク力を生成し、きわめて短い距離でSRSを発生させることができる。先行技術においては、レーザーパワーを大きく減衰させてSRSを抑制していた。これは、利用可能なパルスエネルギーのほとんどが用いられることなく、効率よく実行できる範囲が減少することを意味している。
【0041】
単一の強力なパルスを、弱いパルス列に変換する際、それぞれ(の変換後のパルス)はSRS閾値を超えず、消尽される光は最小限であって、パワーが減少するにもかかわらず、パルスエネルギーは同一のままとすることができる。このパルス列は、求められる空間分解能の二倍に近い長さを有するべきである。短い入力パルスでは、パルス列内のパルス成分間に間隔をあけることによって、SRSはさらに抑制することができる。これは、ウォークオフを起こすこと、および、パルス列内の次のパルスに衝突する前にラマン散乱光を大きく減衰させること、によってSRSを抑制している。
【0042】
従属項のために付加される特徴として、光ファイバーは、長さ方向に沿った異なるラマンシフトを提供する、もしくは、伝播光のモード特性(the modal characteristics)を変化させる、異なる長さのファイバーを含む。これは、受信手段において、種々の領域からの後方散乱を識別すること、もしくは、干渉の量を削減すること、を可能とする。これにより、複数のパルスを一度にファイバー内に導入してパルス反復レートを増大することができ、所定の測定時間において精度を上げることが可能となる。
【0043】
別の同様の付加される特徴として、入射光パルスが変換され、合成パルス列の持続時間が、求める空間分解能に一致する。
別の同様の付加される特徴として、パルス変換手段は分離・再結合手段をひとつもしくは複数組備え、そのそれぞれが、入射光パルスを種々の光路長を持つ二つ以上の光路に送信し、且つ、光を再結合してパルス列を形成する。これは、パルス列を生成するためのひとつの方法であって、光源から複数のパルスを生成するよりも実用的である場合がある。
【0044】
別の同様の付加される特徴として、パルス変換手段は、光ファイバーおよび光ファイバー部品を含む。このような部品は、堅牢且つ比較的安価である。
別の同様の付加される特徴として、使用するパルス変換手段の数および/もしくはパルス変換手段を用いる光路の数を選択したり除外する光学スイッチを用いることによって、パルス変換の結果であるパルス列持続時間およびパルス列パターンを固定または制御することができる。
【0045】
別の同様の付加される特徴として、パルス列の幅および/もしくはパターンおよび/もしくはエネルギーは、温度および/もしくは損失のデータ、または他の検出された条件を得る際に非線形性を補正する一助として変更することができる。
【0046】
別の同様の付加される特徴として、温度および/もしくは損失を計算する際に信号内の非線形性を補正するために、戻りラマンストークス光、ラマンアンチストークス光、およびレイリー光信号のうちの、ひとつ、二つ、またはすべてを比較することができる。
【0047】
本発明の第五の態様においては、導波管内の検出条件を検出するための、前記導波管内の光信号を送信および受信する検出システムが提供され、このシステムは、パルスを導波管内に送信する送信手段と、受信手段と、導波管とを有し、この導波管は、パルスからの後方散乱が種々の光学特性を持つような種々の特性を備えた幾つかの区域を含み、前記受信手段は、種々の区域からの後方散乱を識別するための、種々の光学特性を用いるように構成されている。
【0048】
これの利点は、種々の区域からの後方散乱を、受信手段において識別できること、または、種々の区域からの後方散乱間の干渉の量を削減できることである。これによって、より精密な検出が可能になるか、または、パルス反復レートを上げて、所与の測定時間において精度を上げるために、複数のパルスをファイバー内に一度に導入することができる。
【0049】
従属項のために付加される特徴として、前記区域が、異なる波長で後方散乱成分を与えるために、異なるラマンシフトを提供する導波管を有する。このような波長の違いは、高価な追加部品を要することなく、受信手段において比較的容易に識別できる。
【0050】
別の同様の付加される特徴として、前記区域が、種々のモード特性を持つ後方散乱成分を与えるために、伝播する光のモード特性に種々の変化を齎す導波管を有する。これは、代案、もしくは他の方法との組み合わせとして使える、対応する利点を実現する別の方法である。
【0051】
典型的な現行の検出システムは、SRS限界内に収めるために、レーザーによって出力されたパルスのエネルギーの90%を捨てている。受信手段における波長識別フィルタリングの提供によって、恒常的に起こる干渉を低減する一方で、導波管の一部範囲において、稼動時のSRS限界を超過することを可能とする。例えば、より長距離に亘って測定するとき、始めの10kmにおいて非線形性が顕われるが、読み取りは次の1〜5kmで行うことができるように、パワーをセットすることができる。
【0052】
付加される特徴として、導波管内の所望の地点からの後方散乱を識別するための、時間ゲート(a time gate)がある。これの利点は、受信器における波長識別と組み合わせて、より高いパルス反復レートを、信号平均化プロセス(the signal averaging process)を改良するために用いることができることである。
【0053】
他の態様は、散乱成分の受信、および、散乱成分の振幅のキャリブレート(校正)のための、既知の温度における参照区域(a reference section)を含む。
【0054】
他の態様は、さらに、少なくとも二つの検出ファイバー、もしくは検出ファイバーの両端にパルスを送信する、スイッチの使用を含む。送信波長、およびスイッチのモード依存性のキャリブレーションの手段は、既知の温度にある少なくともひとつの参照区域を用いて、異なる検出ファイバー間での温度測定の精度を改良することもできる。
【0055】
他の態様は、上述の装置を用いた検出の対応する方法、検出サービスを提供する方法、検出システムを製造する方法、ならびに、検出信号(sensor signals)を生成する方法、を含む。
【0056】
他の利点は、特に発明者の知らない他の先行技術に関連する当業者にも明らかである。任意の付加される特徴は、互いに組み合わせることも、当業者にとって明白である任意の態様と組み合わせることもできる。
【0057】
本発明の実施例および実用に供する方法を、添付図面を参照しながら例を用いて説明する。
【発明を実施するための最良の態様】
【0058】
(図1)
図1は、本発明の一実施例を示す。送信手段 22 は、検出ファイバー 30 に接続され、パルスを波長 λ1 でファイバー内に送信する。前記のパルスは、ファイバー内でSRSが増大し、λ遷移長(the λ transition length) 34 の間に波長変換を起こすように、充分に強力なものである。前記の検出ファイバーのすべての点からの後方散乱は、従来技術によって前進光から分離され、受信手段 20 へと入る。前記の後方散乱は、前進光の波長 λ1 ならびに λ2の双方に由来するラマンストークス光、ラマンアンチストークス光、およびレイリー光成分、を有する。
【0059】
前記の受信手段は、後方散乱信号を得ている検出ファイバー内の所与の距離にある検出地点 36 における条件の、検出されたひとつもしくは複数の値を出力する、総合的な目的を有する。これは、後方散乱光の有用な部分の識別、および、検出値の算出を含む。実施例に示すように、他の不要な後方散乱から、波長 λ2 からの後方散乱を分離するための、光学フィルターを備えた光学受信器 24 が在る。
【0060】
前記の受信器からの電気的な出力は、時間ゲート 26 に出力される。検出ファイバーの各点からの後方散乱は、異なる時間をかけて受信器へと戻ってくる。所望の検出地点からの後方散乱のみを通すようにするため、前記時間ゲートの開始点および終点の時刻には、それぞれのパルスの発信時刻が精密に参照される。示したように、計算処理器(プロセッサ) 28 は、後方散乱の、後述する方法によってフィルターされ選別された成分に関する検出値を計算するために用いられる。通常、これは、多くのパルスからの信号の平均をとって、ノイズの影響を減らすことを含む。原則的に、本編成のさまざまなバリエーションを予想することができる。例えば、ファイバー内につねにひとつのパルスだけが在るようにすると、光学受信器にフィルターを必要としないようにすることができる。フィルターを備えることによって、遷移長以前にひとつのパルスを置き、遷移長の後にひとつのパルスを置くことができるので、後続のパルスを即座に発信でき、また、前記フィルターは、それぞれのパルスから後方散乱成分を分離できる。
【0061】
(図2)
図2は、本発明の別の実施例の図を示しており、これでは、パルスレーザー源を用い、ファイバーの一端のみがアクセスされている。これは、SRSによって如何にファイバーの異なる部位が波長の異なる光によって照射されるようにできるのかを示している。パワー、パルス反復レート、およびパルス持続時間を制御できるパルスレーザー源 (1) が、光合波器(an optical coupler)のような分離手段 (3) に接続されている。光増幅および/もしくは光減衰ユニット (2) を、前記システムに入射される光パワーの量を制御するために使うことができる。入力を監視するために、前記光パワーは、フォトディテクター (4) を用いて監視することができる。フォトディテクター (4) は、可変利得(ゲイン; gain)を備えることができる。分離手段 (3) からの光は、ファイバーの全長に送られるものであって、前記ファイバーは、シングルモードもしくはマルチモードとすることができ、また、偏波面保持ファイバーとすることができ、また、異なる長さのファイバーを接続したものを含むことができる。最初の状態において、ファイバー (5) 内を前方に伝播している光は、光源と同一の波長 λ1 (10) を持つ。ファイバー内をいくらか進んだあたりでSRSが発生し、そして遷移長 (11) にある程度入ったところで、前方に伝播している光は、新たな波長 λ2 に変換される。したがって、前記の前方に伝播している光は、波長 λ2 (12) で前進を続けることになる。
【0062】
さらに、ひとつもしくは複数の遷移長 (13) を超えたところの点において、再びSRSが発生し、新たな波長 (14) で前方に伝播する光が生成する。ファイバー (5) 内のすべての前進光成分によって生成された後方散乱光は、分離手段 (3) へと戻ってくるので、光減衰および/もしくは増幅ユニット (6) へと送ることができる。その後、前記光は、フィルタリングユニット (7) に送られるものであって、前記フィルタリングユニットは、光路内に複数のフィルターのうちのひとつを選択して設置する装置とすることができる。前記フィルタリングユニットによって選ばれた光は、可変利得を有するフォトディテクター (8) によって検出することができる。計算処理ユニット (9) は、シグナルフォトディテクター (8) からの信号を分析し、フィルタリングユニット (7) によって選択されるフィルターを制御する。前記計算処理ユニットは、監視フォトディテクター (4) からの信号も分析し、ならびに/あるいは、前記監視フォトディテクターの利得を制御し、ならびに/あるいは、シグナルフォトディテクター (8) の利得を制御し、ならびに/あるいは、レーザー (1) の、パワーおよび/もしくは反復レートおよび/もしくはパルス幅を制御し、ならびに/あるいは、光増幅ユニットおよび/もしくは光減衰ユニット (2 & 6) の一方もしくは双方による光増幅および/もしくは光減衰の量を制御する。
【0063】
稼動時においては、前記レーザーは、パルスを、少なくとも一箇所にてSRSが発生する前記光ファイバーに送信する。前記の戻り信号は、前記フィルタリングユニットによって選択された波長に対する時間の関数として、収集および記録される。選択された波長の各々は、後方散乱スペクトル内の所望の信号に対応しており、また、これらの信号を分析することにより、前記ファイバー内のすべての地点における温度および/もしくは損失を決定することができる。
【0064】
前記ファイバー内の非線形効果を用いることによって、前記ファイバー内の随所に生じる微弱信号の測定を最適化することができる。入力光パワーが増大すると、前記ファイバー内の或る点において、SRSが前記入力光をより長波長へと変換する。このプロセスは、異なる波長で照射されている前記ファイバーの異なる部位において、さらにくりかえすことができる。前記ファイバー内の遷移点は、入力パワーを変えることによって位置調整できる。
【0065】
レーザーからのパルス光は、分離手段を介して、光ファイバー内へと送信される。前記の光は、ファイバー内を伝播していくと同時に、ラマンストークス光、ラマンアンチストークス光およびレイリー光である後方散乱光を発生する。例えば、フィルター、波長分割多重(wavelength division multiplexing; WDM)方式合波器、または、合波器とフィルターの組み合わせ、を使用して、この後方散乱光は各スペクトル成分へと分解された後、検出され解析される。このデータの解析によって、温度分布および/もしくは損失分布、または他のファイバー内の条件を得ることができる。
【0066】
前記ファイバー内の或る距離において、ラマン過程(the Raman process)は非線形性となり、また、前進ストークス光は誘導放出されたものとなる。ここで、短い遷移長の後、光源の光パワーは、ファイバーの残りの部分を照射することになるストークス波長へと移行する。その後に、測定器は、この新たな波長を光源光と見做して扱い、ラマンストークス光およびラマンアンチストークス光およびレイリー光波長を、この新たな二次光と比較して補正または解析する。前記の新たな前進ストークス信号そのものは、誘導放出されるものとすることができ、ファイバー内でさらに前記プロセスをくりかえす。ここで、さらにもう一度、前記の新たな波長を光源であるかのように扱い、これと比較してのラマンストークス光およびラマンアンチストークス光およびレイリー光波長を収集し、解析する。このプロセスは、ファイバーの全長に亘って何度もくりかえすことができる。
【0067】
この方法では、前記ファイバーは、事実上、分割されていることになり、よって、各区域に異なる光源波長が在るということになる。これにより、干渉を回避もしくは低減するためには、各区域にただひとつのパルスのみが必要となる(ファイバー全体においてひとつのパルス、ということと対照的に)。各区域からのデータは、それぞれ独立して収集するのが好ましく、ここでは、検査の対象となる区域に、ひとつのパルスのみが在ることが必要とされる。さらに、前記システムはSRS限界を故意に超過するため、戻り信号はSRS限界を超過しなかった場合に較べてより強力となる。
【0068】
光が初期波長から前記の新たなストークス波長(新たな光源と見做される)へとシフトするとき、前記初期波長は、前記の新たなアンチストークス波長と一致することになる。これは、前記の新たなアンチストークス波長と、未だ伝播し続けている前記初期光源光からのレイリー散乱とのクロストークを引き起こす。これには、例えば、前記の新たなアンチストークス光信号が元のレイリー光信号とは若干異なる波長で収集されるよう、前記受信器内の適切なフィルターを選択することで対応することができる。前記の誘導ストークス光がスペクトル的に非常に狭いにもかかわらず、多量の弱い自然発生光がスペクトル的に非常に広いために、このアプローチは実動できる。光のこのスペクトルの一部分だけを収集すればよく、必要があれば、後方散乱信号の別の成分とオーバーラップしていない前記のスペクトルの一部分を選択することができる。
【0069】
後方散乱成分のパワーは、それが生成した地点の温度、光源の減衰の度合い、および信号そのものの非線形成長(non-linear growth)、に依存する。ラマンストークス光、ラマンアンチストークス光およびレイリー光信号は、温度および/もしくは損失の測定へのこれらの影響を逆畳み込み(deconvolve)するアルゴリズムを用いて結合できる。種々の入力パワーで収集したデータの解析は、温度および/もしくは損失のデータの逆畳み込みにおいても有用である。ストークス信号が誘導放出されるようになる領域(これらの領域は、通常は比較的短い)においては、これらのアルゴリズムを確実に使用するのは難しくなるであろう。これに対応するために、入力パワーを変えることにより、これらの領域をファイバーに沿って移動させることができる。種々の入力パワーに応じて多数の測定を行うことにより、前記システムは非線形性を補正することができ、温度および/もしくは損失データを確実に得ることができる。
【0070】
光ファイバーは、シングルモード、マルチモード、または、種々の伝播波長に応じたシングルモードおよびマルチモードの複合物とすることができ、また、相互作用を最適化するように、ドーピングレベル、もしくは多数の異なるドーピング層を誂えることができる。
【0071】
温度データを得る際に非線形性を補正する助け、ならびに、ストークス光信号が誘導放出となるファイバー内のひとつもしくは複数の位置を変更する助けとして、光源パワーを変更することができる。別の部位で発生した等価な成分が多大にオーバーラップをすることなく、ファイバーの各部位からのラマンストークス光および/もしくはラマンアンチストークス光および/もしくはレイリー光信号成分を収集できるように、フィルターのかけかたを選択することができる。
【0072】
信号内の非線形性を補正するため、ならびに、或る区域からの信号と、別の区域からの信号との間のオーバーラップを補正するため、ならびに、温度および/もしくは損失を計算するために、戻りラマンストークス光、ラマンアンチストークス光、およびレイリー光信号のうちの、ひとつ、二つ、またはすべてを比較することができる。
【0073】
(図3)
図3は、図1もしくは図2の実施例または他の実施例で用いる送信手段の例を示す、別の実施例の概略図を示している。二つ以上の波長でのパルスの送信を可能とし、受信手段内における、ファイバー内の損失差の補正を可能としていることが注目すべき点である。長距離(例えばkm単位のファイバーを含む)の場合、および検出が複数の波長の後方散乱成分に依存している場合には、損失差(異なる波長がファイバー内で異なる損失を生じること)は多大なものとなる。これは、例えば、温度を検出するときに、温度の値が、単独で前進する光の波長からの後方散乱の、ラマンストークス光、ラマンアンチストークス光、およびレイリー光成分のうちの、二つ以上の比から計算されるような場合である。
【0074】
そのような損失差を補正するためには、二つ以上の波長のパルスが用いられる。より高波長のパルスからのラマンストークス後方散乱成分を、より低波長のパルスからのラマンアンチストークス後方散乱成分と比較してみると、それぞれの損失成分を打ち消し合わせることができるのがわかる。したがって、損失差による誤差は除去することができる。二つ以上の波長でパルスを生成するために、マイクロチップレーザーのような二つの分離された光源を用いることができるが、図3では単独のレーザーを両方の波長を生成できるように用いる方法の例を示している。レーザー 110 は、パルス時間制御部 100 の制御下でパルスを生成する。これは、例えばマイクロプロセッサのような従来の電気回路によって実行できる。前記の生成されたパルスは比較的強力なものであり、例えば 10kW のピーク、1ナノ秒未満のパルス長であって、且つ、 10μJ の領域のエネルギーを有しており、SRS変換が可能である。前記パルスは、スプリッタ 120 によって二つのストリームに分離される。前記エネルギーの 90% は第一のストリームに変わり、 10% が第二のストリームに変わる。これは、変換器および整形器 130 による、第一のストリームのより大きな損失を克服するために行われる。
【0075】
前記の変換器および整形器は、第一のストリームのパルスの波長を、 λ1 から λ2に変換する。他の実施例では、これらの波長をそれぞれ 1064nm 、 1115nm とすることができる。前記変換器は、ファイバーの全長(例えば 500m)、または、パワーおよびファイバー間の特性に依ると予期されるところのSRS変換を起こすに充分な長さに亘って、動作させることができる。前記のパルス整形は、パルスを拡散して、長さを延ばし、且つ、より多くのエネルギーを、より低いピークパワーの前記パルス内に保持するためのものである。これは、モード分散をもたらす分散要素、言い換れば、種々の伝播する伝送モードに対応する種々の遅延、によって実現される。これは、従来のファイバーの特性に組み込むことができ、また、次世代のステップインデックス型のマルチモード光ファイバーのような要素の設置によっても組み込むことができる。フィルター 140 は、スイッチ 150 の形式の合波器、もしくは他のタイプの合波器によって、前記の二つのストリームが再結合される前または後に任意に設けることができる。前記フィルターは、散乱波長の選別、および他の不要な成分の除去にあたって有用である。
【0076】
この合波器の出力は、二つの異なる波長のパルスのストリームとなる。前記の複数のパルスは、同一の、パワーおよび他の特性を有する。前記スイッチは、さまざまな形態のパルスのシーケンスを制御することができ、それぞれの波長のパルスの数が等しく存在して、受信手段 120 は前記シーケンスおよびパルスの時間調整(例えば、時間調整制御部 100 として示した)によって励起される。他の方法も予想することができる。いくつかの部位は示していないか、またはオプションである。例えば、図示していないものは、パルスのパワーレベルを制御する減衰器である。これは、光路内のさまざまな地点において動作させることができ、また、例えばマイクロプロセッサによって制御することができる。単一の光源を用いる利点は、二つ以上の波長のパルスの時間調整およびパワーが、ともに固有の条件で相関することである。レーザー特性の長期的変動および短期的変動は、照合もしくは補正する必要が無いので、より簡便でコスト効率の良いデバイス、もしくはより高品質な出力をもたらせる。
【0077】
前記の出力パルスのごく一部は、時間トリガーとして用いるために分岐分配(タップオフ)される。これは図示した前記受信手段へと送られて、前記受信手段内の前記時間ゲートを同期させる。これは、任意の他の場所でタップオフしてもよく、または前記のパルス制御手段から電気的に取り出してもよいが、前記送信手段内の光信号成分の後の光タップ(an optiral tap)はより高精度とすることができ、且つ、前記送信手段内の遅延を補償する必要を無くすことができる。前記の光タップは、前記のパルス制御手段へと送られ、監視目的もしくは制御目的で必要であれば、出力パルスの時間調整および形状に関するフィードバックを与える。
【0078】
(図4)
図4は、或る実施例に係る送信手段の別の編成を示す。二つの波長パルスを提供し、受信手段(図示していない)が損失差を補正できるようにすることが、再び目的となっている。この場合、二つのレーザー 110 がパルスの出力光として提供されており、パルス制御手段 100 の制御下にある。これは、例えば従来のマイクロプロセッサによって行うことができる。初期状態において、複数のパルスは同一の波長であるが、変換器および整形器 130 は、ストリームのうちのひとつの波長を変えるように配されている。図3と同様に、フィルター 140 は、不要な散乱成分の信号を除くために任意に設置できる。その後にパルスを整形するために、パルス列生成器 220 および整形要素 135 が設置されている。前記パルス列生成器は、スプリッタ、遅延および合波器の系列によって、各パルスをパルス列に変換する。より詳細な説明は、図8〜12に関連させて後述する。これは、時間方向にパルスを伸長させる。而して前記整形器は、前記パルス列中の各パルスを拡散することができる。パルスを伸長して、SRS限界以下の検出ファイバー中で用いるため、または、図1もしくは図2で示したようなシステム中で用いるために、より多くのエネルギーを保持できるようにすることが、再び目的となっている。パルス列生成手段を用いることによって、前記整形器が行う拡散が少なくて済み、また、光学分散特性を過度のものにする必要が無くなる。したがって、前記整形器は、より容易に製造でき、および/もしくは、最終的なパルス形状をより均一に拡散することができる。図3に示したように、スイッチは二つのストリームを結合するためのものである。上述したように、光時間トリガーがタップオフされている。
【0079】
典型的には 1ナノ秒 未満の短いパルスを、10ナノ秒の桁のパルスへと拡散することは特異なステップであり、これは短いパルスの固体マイクロチップレーザーの使用を可能にする。このようなレーザーは、充分なピークパワー(例えば10kW )を効率的に産出することができるが、短い共振手段(cavity means)を有するために長いパルスを生成するのは難しい。別案として、受動デバイスに代わって能動Qスイッチレーザー(active Q switched lasers)を用いることもできる。しかしながら、受動デバイスの方がより堅牢且つ廉価であるために好ましい。
【0080】
(図5)
図5は、外部変調レーザー(an externally modulated laser)の例を示している。これは、パルスの生成にあたって、直接変調マイクロチップレーザーの代わりに用いることができる。連続波の出力からパルスを生成するために、変調器 220 が置かれ、例えば図3もしくは図4のパルス制御部 100 によって制御されている。前記変調器の出力部には、パワーの増大、および、パワーレベルを能動的に制御して、双方の波長について同一となるようにするために光増幅器 230 が置かれる。パルス時間調整信号は、前記変調器へと送られ、一方、原則的にはパルスパワーは前記の三部品のうちのいずれかによって制御することができる。図5の編成は、さらに複雑となっているにもかかわらず、パルス形状の制御を容易にする点に鑑みて有用である。
【0081】
(図6,7)
図6および図7は、受信手段、および、それぞれの前記受信手段の動作ステップのひとつの可能な実施態様を示す。入射する後方散乱光信号は、 WDM (波長分割多重; wavelength division multiplex)方式分離デバイス(demux device) 300 へと送られる。これは波長のさまざまな成分を分割するために構成されている。これらは、一般に入手可能なデバイスで実行できる。四つに分割された出力を示しているが、これよりも多く分割することも可能である。四つの出力は、二つの異なる波長のパルスによる三つの後方散乱成分の分割を可能とする。減衰器 310 は、他の成分よりも輝度が大きいレイリー成分を減衰するために設置され、検出器の損傷を回避する。前記減衰器は、受信するパルスの波長によって切り換えることができる。
【0082】
光から電気への変換(O/E) 320 は、それぞれの波長についてのフォトディテクターによって実行される。アナログ電気信号は、デジタイザおよび時間ゲート 340 へと送られる前に、増幅器 330 によって増幅される。これは、少なくとも前記信号の最高周波数の二倍であるサンプリング周波数における、前記送信手段から送られる時間トリガー信号によって設定される時間ウィンドウ内である所定の瞬間において採取されたデジタル値を出力する。データのデジタルストリームは、値もしくは平均化された値をプロセッサ 360 に与える、バッファおよび/もしくは平均化部 350 上へと送られる。前記プロセッサは、例えばローカルもしくはリモートに設置した、PC(パーソナルコンピュータ)、もしくは他の従来技術のハードウェア回路の形態で実現することができる。前記プロセッサは、検出値、および例えば測定信頼度の示唆を出力する。
【0083】
図7に示したように、ステップ400 において、波長 λ1 のパルスが送信される。ステップ 410 もしくはもっと以前の段階において、前記減衰器が、波長 λ1 のみを減衰するように切り換えられる。ステップ 420 において、波長 λ0 および λ2 の戻りラマンストークス光およびラマンアンチストークス光成分が検出される。ステップ 430 から 450 において、波長 λ2 に対応するステップが実行され、波長 λ1 および λ3のラマンストークス光およびラマンアンチストークス光成分が検出される。後方散乱成分の平均値を得るために、これらのステップはすべて反復される。種々のパルスパワーレベルにおいて前記の測定をくりかえすことによって、非線形性の補正がいくらか可能となる。
【0084】
ステップ 470 において、プロセッサによって波長 λ1 FROM PULSE AT λ2と、波長 λ2 FROM PULSE AT λ1 との比率が得られる。これによって、上述したように損失差が打ち消され、温度を測定することができる。前記プロセッサによって、他の比率もしくは計算も定量することができる。例えば、パルスパワーが充分に高く、後方散乱成分が非線形様式で変化するとき、対比する手段で変化する二つの成分を、数学的に結合して、測定された条件と近似的な線形相関を有する値を得ることができる。この方法では、ステップ 480 において、出力温度の値、もしくは他の条件を、上述の比率に基づいて出力することができ、また、非線形性のようなさまざまな誤差を補正することができる。
【0085】
ステップ 490 において、オプションとして第二の比率を定量し、損失差の量のような誤差レベルの査定をすることができる。これは、ファイバーもしくは他の部品の品質が劣化しているかどうかを確認するとき、測定信頼度のレベルを出力する上で有用である。これは、ファイバーに近づけない場所、および、例えば安全上の理由で測定が重大になる場所で特に有用である。これを実行するにあたっては、例えば、波長 λ1 FROM PULSE AT λ2 と、波長 λ0 FROM PULSE AT λ1 との比率を用いることができる。
【0086】
(図8)
図8は、分散型測定のための本発明の或る実施例の図を示しており、レーザー光源からの光がパルス列に変換され、ファイバーの一端のみに近づけるようになっている。レーザー光源 (51) は、入力光をパルス列に変換するパルス変換手段 (52) に接続されている。このパルス列は、前記パルス変換手段内に組み込むことのできる光合波器のような分離手段 (54) へと送られる。光増幅および/もしくは減衰ユニット (53) は、前記システム内に入射する光パワーの量を制御するために用いることができる。前記の光パワーは、入力を監視するフォトディテクター (55) によって監視することができる。フォトディテクター (55) は、可変利得を持つことができる。分離手段 (54) からの光は、ファイバー (56) の全長へと送り出されるものであって、ファイバー(56) は、シングルモードもしくはマルチモードとすることができ、また、偏波面保持ファイバーとすることができ、また、接続された異なるファイバーの全長を含むことができる。ファイバー (56) 内を前方へ伝播するパルス列から生成した後方散乱光は、分離手段 (54) へと戻り、増幅および/もしくは減衰ユニット (57) へと送ることができる。
【0087】
而して、複数のフィルターのうちのひとつを選択して光路に設置するか、または、前記の光を二つの光路に分離して分割フィルタリングおよび分割検知をするための合波器のような分離手段を含む、フィルタリングユニット (58) へと、前記の光が送られる。前記フィルタリングユニットによって選別された光は、可変利得を持つことができる単独のフォトディテクター (59) もしくは複数のフォトディテクターによって検出される。計算処理ユニット (60) は、シグナルフォトディテクター(59) もしくは複数のフォトディテクターからの信号を分析し、また、フィルタリングユニット (58) の選んだフィルターを制御することができる。前記計算処理ユニットは、監視フォトディテクター (55) からの信号も分析することができ、ならびに/あるいは、監視フォトディテクター (55) の利得を制御することができ、ならびに/あるいは、シグナルフォトディテクター (59) もしくは複数のフォトディテクターの利得を制御することができ、ならびに/あるいは、レーザー (51) のパワーおよび/もしくは反復レートおよび/もしくはパルス幅を制御することができ、ならびに/あるいは、増幅および/もしくは減衰ユニット (53 & 57) の一方もしくは両方の増幅量および/もしくは減衰量を制御することができ、ならびに/あるいは、パルス変換 (52) によってパルス列の幅および形状を制御することができる。
【0088】
使用時には、後方散乱信号が発生する検出ファイバーへと送りこまれるパルス列を生成する前記のパルス変換手段へとレーザーからの光を送りこむ。前記後方散乱信号は、前記フィルタリングユニットが選別したそれぞれの波長について、時間の関数として収集および記録される。選別されたそれぞれの波長は、前記後方散乱スペクトル内の所望の信号に対応し、また、これらの信号の解析により、ファイバー内のすべての点における温度および/もしくは損失が決定される。
【0089】
入射光パルスを、前記光の小片をそれぞれ異なる長さの二つ以上の光路へと向ける分離手段へと通すことにより、パルス列を効率よく生成することができる。
【0090】
前記パルスは、これらの光路を下り、結合手段において再結合されて、共通光路へと向けられる。各パルスは、それぞれ異なる距離の光路を下るため、前記パルスは再結合されたときにパルス列となる。光路の長さと数を変えることで、合成パルス列の持続時間および形状には広いバリエーションを持たせることができる。加えて、ここで述べたように、多数のパルス変換手段を連続してつなげることもできる。この利点は、それぞれの分離要素において、パルスをより少ない光路へと送ることで同一の結果を得ることができ、使用する分離手段の性質によって、再結合手段における損失を最小限にすることができることである。さらに、光路および/もしくは変換手段の数を選べる構成に、光学スイッチを含めることで、合成パルス列の持続時間および形状を誂えることができる。これによって、パルス列の幅を、必要な空間分解能に一致するように調整することができ、また、必要ならばパルス列に対してパルスを加えたり除いたりすることができ、例えば、パルス間の間隔をより大きくとることによって、さらにSRSを弱めることができる。パルス列からパルスを取り除き、より複雑なパルスパターンを有するパルス列を作成することもできる。このパターンは、例えば、測定を曖昧にすることなく、単一のパルスが産出するよりも高い信号パワーを与えるように、測定される構造に公知の周波数を反映することができる。
【0091】
分散型測定のために、レーザーからの光はパルス列に変換され、前記パルス列の幅は、所望の空間分解能に対して最適化される。前記パルス列は、ウォークオフを起こせるように、成分パルス間に間隔をとるように構成することもできる。このパルス列は、分離手段を介して光ファイバーへと送られる。前記の光が前記ファイバーを伝播してゆくにつれ、ラマンストークスおよびラマンアンチストークスおよびレイリー後方散乱光が生じる。この後方散乱光は、例えばフィルター、波長分割多重方式合波器、または合波器およびフィルターの組み合わせ、を用いてスペクトル成分へと分割され、検出および解析される。このデータの解析によって、ファイバー内の温度分散および/もしくは損失分散を得ることができる。
【0092】
前記光ファイバーは、シングルモードもしくはマルチモードとすることができ、また、相互作用を最適化するために、ドーピングレベル、もしくは多数の異なるドーピング層、を誂えることができる。前記光ファイバーは、相互作用をさらに制御できるように、偏波面保持ファイバーとすることができる。前記光ファイバーは、その全長に沿って異なるラマンシフトを提供するため、もしくは、伝播光のモード特性を変えるための、異なる長さのファイバーを含むことができる。
【0093】
入力光および後方散乱光のパワー伝送(the power transfer)の改善のために、前記分離手段の分離比(the splitting ratio)は、波長もしくはモード依存とすることができる。前記の戻り光は、検出効率を上げるために、増幅および/もしくは減衰することができる。前記光源は、Qスイッチ、モードロック(mode-locked)、直接パルス(directly pulsed)、もしくは外部パルス(externally pulsed)とすることができる。前記入射光パルスは、合成パルス列の持続時間が所望の空間分解能に一致するように変換することができる。
【0094】
前記パルス変換手段は、それぞれが前記入射光パルスを二つ以上の異なる長さを持つ光路へと送り出し、光を再結合してパルス列をつくるところの分離手段および再結合手段の、ひとつまたは複数組を含む。パルス変換手段内で用いられる前記の分離手段および再結合手段は、一般の合波器、シングルモード合波器、マルチモード合波器、もしくは偏波モード合波器のうちのひとつ、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0095】
前記パルス変換手段は、光ファイバーおよび光ファイバー部品を含むことができる。パルス変換によって生じる前記パルス列持続時間およびパルス列パターンは、固定することもでき、あるいは、使用するパルス変換手段および/もしくはパルス変換手段内で用いる光路の数を、選択するまたは選択しない光スイッチによって制御することもできる。パルス列中のパルス間の、間隔とピーク部分との比率(the space-to-mark ratio)は、前記パルスと誘導ラマン散乱光との間のウォークオフを誘引することによって、誘導ラマン散乱がさらに抑制されるように、選ぶことができる。温度および/もしくは損失データを得るにあたって非線形性を補正する一助となるように、前記パルス列の幅および/もしくはパターンおよび/もしくはエネルギーを変更することができる。
【0096】
前記光源パワーは、直接変更することもでき、または、減衰もしくは増幅手段によって変えることもできる。フィルターをかける際は、光学フィルター、可変光学フィルター、波長分散多重方式合波器、または、合波器もしくはフィルターの組み合わせ、を使用することができる。
【0097】
温度および/もしくは損失を算出するにあたり、信号内の非線形性のいずれかを補正するために、前記の戻りラマンストークス光およびラマンアンチストークス光およびレイリー光信号のうちの、ひとつ、二つ、またはすべてを比較することができる。ファイバーのより良いキャリブレーションのために、ファイバーの両端からの測定を行うことができる。ファイバーの端部は、端面反射を避けるために、端面の屈折率を一致させる(index matched)、および/もしくは、端面角度を劈開することができる。
【0098】
前記光信号は、フォトディテクター、フォトディテクターアレイ、アバランシフォトダイオード(avalanche photodiodes)、シングルフォトン計数検出器、もしくはマルチフォトン計数検出器、によって電気信号へと変換され、プロセッサへと送られて、所望の形態で記録される。プロセッサは、システムの部品の動作を制御することができる。
【0099】
(図9)
図9は、パルス整形器として用いられるパルス変換手段のひとつの実施例を示している。パルスレーザーから入力されると、直列の二つの遅延光路によって、入射パルスを四つのパルスの列に変換する。図7を参照すると、高パワーパルス (21) が、光を(ここでは)二つの光路へと向ける光合波器 (22) のような分離手段へと送られるものであって、前記光路のうちの一方 (23) は他方 (24) よりも長い光路長を有する。ここで、分離比は、入射光が各々の光路へと送られた比と等しくなるようにし、且つ、光路長の差は入射パルス長よりも長くなるようにする。前記の二つの光路内のそれぞれの前記光パルスの振幅(height)は、入射パルスの振幅の半分となるが、パルス幅は同一(25 & 26) のままとなる。前記パルスは、ここでは光合波器である再結合手段 (27) を通る。その後、この合波器(27) が光を二つの光路 (28 & 29)へと分割し、且つ、それぞれが入射パルスと同一の幅と入射パルス(30 & 31)の四分の一の振幅を有する二つのパルスを含むパルス列を送信する各光路において、前記プロセスが反復される。前記の二つの光路長の差は、入射パルス幅の二倍以上となっており、前記の二つの光路は、それぞれが入射パルスの幅と八分の一の振幅である、四つのパルスをそれぞれ含むパルス列(32 & 33)を生成する。結果として生じたパルスは、再結合手段 (36) を用いて結合され、ともにひとつのファイバーへと送られるものであって、再結合手段 (36) は再結合手段 (34) と同一とすることができ、且つ、二つ以上の光路からの光の効率的な結合を行う合波器とすることができる。例えば、これは、数本の小さいコアのファイバーの出力を結合して一本の大きなコアのファイバーへと流すモード合波器、または、偏波ビーム合波器とすることができる。出力ファイバー (35) 内に結果として生じるパルス列 (41) は、入射パルス (21) の、四分の一の振幅と、四倍よりも大きいパルス幅を有する。必要であれば、 図2に示したように二つよりも多くの変換要素を使用することができる。加えて、光がひとつもしくは複数の光路を通るのを堰き止めるために、複数のスイッチ (37, 38, 39 & 40) を用いることができる。この結果、パルス列幅の制御、および/もしくは、成分パルスの除去によるパルス列の形状の変更ができる。例えば、ひとつのスイッチ (40) を光を堰き止めるようにセットすると、変換装置の出力は、入射パルスの、四分の一の振幅と、二倍よりも大きい幅とを持つパルス列となる。一方、ひとつのスイッチ (40) を光を通すようにセットすると、変換装置の出力は、入射パルスの、四分の一の振幅と、四倍よりも大きい幅とを持つパルス列となる。
【0100】
(図10)
図10は、パルス列を単一の入射パルスからつくる、パルスを整形する構成の別の実施例を示す。入力にはシングルモードファイバーを用い、且つ、このファイバーを、三つに分けられた光路内へ、入射パルスをそれぞれ、三つのほぼ同等の部分となるよう分割して送るための、さらなる三本のシングルモードファイバーに接続する。当然、パルスを分割したい数に合わせて、さらに多くの光路を設置することができる。各光路は、遅延 600, 610, 620 で示した、異なる遅延を持つ。これらは、ファイバーの全長を異ならせることで実現することができ、また、いくつかのパルス拡散を行うために、分散の量を制御しておくことも任意でできる。光スイッチ 630 は、それぞれの分枝路に設置する。各光路を担当する前記のシングルモードファイバーは、一本のマルチモードファイバーに接続され、異なる遅延のパルスが再結合される。パルス列の長さ、ならびに、パルス列のパルス間のオーバーラップもしくはギャップの量、を制御するために、前記光スイッチが操作される。この方法において、シングルモードファイバーおよびマルチモードファイバーを使用することによって、分離および再結合を、最小限の損失で実行することができる。必要であれば、分枝路のうちの一部もしくは全部に、制御可能な減衰器もしくは増幅器を設置することによって、パルスの形状のさらなる制御を実現することができる。各分枝路は、さらにいくつかの副分枝路に分割することができ、もしくは、前記構成を直列でつなげていくこともできる。図9の構成を、図10の構成に接続して、直列もしくは並列のレイアウトを任意のタイプでつくることができる。
【0101】
(図11および図12)
図11は、公知の分散要素の効果によって、入射パルスが如何に拡散されるかを図示したものである。拡散量は制限され、また、出力は均一に拡散していないので、より大きいパワーが中央部に集中している。図12は、図9もしくは図10の構成、または他の実施例における、パルス変換手段もしくはパルス整形器が、パルスを如何に拡散させるかを図示したものである。パルス列をつくるための、分離、遅延、および合波の効果が、第一のステップとして示されている。パルスを拡散させる分散を行う効果を、第二のステップとして示した。前記の分散は、前記の分離の前に行うこともできるし、または分離の後に行うこともでき、また、例えば合波の後に行うこともできるが、最終的な結果は同様となる。典型例では、1ナノ秒よりも小さい幅の入射パルスを、10ナノ秒の桁の幅を持つパルスに変換する。例えば、異なるモードにおいては異なる光路となるステップインデックス型マルチモード光ファイバーを用いることにより、マルチモード効果によって、パルスを拡散し、接合して、パルス列を単一の長いパルスへと変換することができる。パルス列のすべてのギャップを埋め、且つ、単一の長いパルスをつくることによって、所与のピークパワーにおいて、ギャップを埋めない場合よりも高いエネルギーを提供することができる。パルス列を生成することによって、拡散は少なくて済み、例えば、500mのファイバーのみを有する分散要素を、5kmのファイバーを持つ分散要素と取り換えることができる。これにより、容積およびコストが削減され、ならびに、損失を減らすことができる。
【0102】
(結論)
実施例は、光について言及し記述しているが、上述の対応する利点を実行できる、同様の特性を持つ他の電磁気スペクトルをも包含するのは明白である。実施例は、温度もしくは損失の検出について言及し記述しているが、本発明がこれらに限定されないのは明白であり、他のさまざまな態様を考えることができる。
【0103】
高エネルギー光パルスの生成および送信のための、方法および装置が記述されている。分散型温度センサーは、通常、光ファイバー内のラマン散乱を、温度測定の手段としている。ここでは、レーザー光源からの光がファイバーを下ると、後方に散乱して光源へと戻る少量の光を解析する。ファイバー長が大きくなるにつれて、温度および損失測定の分解能が劣るようになる。これは、光ファイバー内の損失が、信号を減衰させるためである。この問題の解法は、より多くの光をファイバーへと発信し、損失を補償することであるが、発信できる光の量は、誘導ラマン散乱によって制限される。本発明は、パワーをSRS閾値以下に保ったまま、生じるパルスのエネルギーを最大化するパルス変換方法によって、この問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、SRS波長変換を含む、本発明の実施例を示す。
【図2】図2は、SRS波長変換を含む、本発明の実施例を示す。
【図3】図3は、送信手段の配置を示す、本発明の実施例を示している。
【図4】図4は、送信手段の配置を示す、本発明の実施例を示している。
【図5】図5は、パルスを生成するレーザーの、或る可能な編成を示す。
【図6】図6は、図1もしくは図2もしくは図3もしくは他の実施例のシステムで用いられる、或る実施例に係る受信手段を示す。
【図7】図7は、本発明の或る実施例における受信手段の動作を表す概略図を示す。
【図8】図8は、ファイバー内に送信される前にパルスをパルス列に変換する、本発明の実施例を示す。
【図9】図9は、ファイバー内に送信される前にパルスをパルス列に変換する、本発明の実施例を示す。
【図10】図10は、ファイバー内に送信される前にパルスをパルス列に変換する、本発明の実施例を示す。
【図11】図11は、パルスを如何に整形するか、もしくは、パルス列に変換してから整形するか、の概略を示している。
【図12】図12は、パルスを如何に整形するか、もしくは、パルス列に変換してから整形するか、の概略を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁気的信号を導波管に送り、且つ、前記導波管内のひとつもしくは複数の検出地点における条件を検出する検出システムであって、
適切な形状のパルスを送信し、誘導非弾性散乱プロセスによって、前記パルスを前記検出地点に達する前に異なる波長へと制御変換するように構成された送信手段と、
前記検出地点から戻ってきた信号を受信し、該受信した信号に基づいて前記条件を測定するように構成された受信手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記パルスのパワーは、前記の異なる波長がさらなる異なる波長へのひとつもしくは複数のさらなる変換を受けて、前記導波管の複数の異なる部位が複数の異なる波長で照射されるようになされ、ならびに、前記受信手段が、前記の複数の異なる波長のそれぞれにおける前記戻り光信号を識別するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記パルスパワーを調整して、前記変換が生じる遷移長を、前記ファイバーの異なる部位へと移動せしめるように構成されている制御器を持つことを特徴とする請求項1もしくは2に記載のシステム。
【請求項4】
異なる波長での損失差を補償するように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信手段は、前記パルスを生成する光源と、前記パルスを二つのストリームへと分離するように構成されているスプリッタと、前記ストリームのうちの一方の波長を変換してから双方のストリームを前記ファイバー内に送信する変換器とを備え、前記受信手段は、双方のストリームからの前記戻り信号を用いて、前記導波管内の前記損失差を補償するように構成されていることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記受信手段は、第一の波長の前記パルスのうちのひとつから戻ってきたアップシフト成分と、より高い波長で送信され、前記の第一の波長にダウンシフトされた前記パルスのうちのひとつから戻ってきたダウンシフト成分とを検出することによって、損失差を補償するように構成されていることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記受信手段は、さらに、ひとつもしくは複数のさらなる検出地点から戻ってきた信号を、変換前に受信するように構成されたことを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
パルス反復レートを制御する制御器を持つことを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
電磁気的信号を導波管内へと送り、且つ、前記導波管内のひとつもしくは複数の検出地点における条件を検出する検出システムであって、
受信手段と、パルスのストリームを生成する光源、前記パルスを二つのストリームへと分離するように構成されているスプリッタ、および、前記ストリームのうちの一方の波長を変換してから双方のストリームを前記ファイバー内に送り出す変換器を有する送信手段とを持つことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記光源および前記スプリッタは、前記変換器に達する前記パルスに充分なパワーを与えることで、前記変換が誘導非弾性散乱によって実行されるように構成されていることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記ファイバー内に送られる前に前記パルスを伸長するパルス整形器をさらに含むことを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記パルス整形器が分散要素を含むことを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記パルス整形器は、それぞれのパルスをパルス列に変換するパルス列変換器と、前記パルス列を整形する分散要素とを備えることを特徴とする請求項11もしくは12に記載のシステム。
【請求項14】
電磁気的信号をファイバー内へと送り出し、且つ、前記ファイバー内のひとつもしくは複数の検出地点における条件を検出する検出システムであって、
前記ファイバーの異なる部位が異なる波長によって照射されることが可能となるように、ひとつもしくは複数の誘導ラマン光を発生させるように構成され、且つ、前記のファイバー内に複数のパルスを同時に送信するように構成されている送信手段と、前記ファイバー内の長距離に亘る検出のために、種々の後方散乱成分のパワーを測定する受信手段とを有し、該受信手段は、光学フィルタリング手段と、前記光信号を電気信号に変換するひとつもしくは複数のディテクターとを有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記受信手段は、誘導された前進信号から後方散乱した、ラマンストークス光もしくはラマンアンチストークス光もしくはレイリー光波長を識別するように構成されていることを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記受信手段は、所望の後方散乱成分が、波長変換前の前記の送信されたパルスの波長に較べて、若干ずれた波長で収集されるように構成されたフィルターを有することを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
異なるパルスパワーにおいて測定をくりかえし、その結果を非線形性の補正に用いるように構成されていることを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
さらに前記ファイバーを含むことを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記パルスのパワーを制御し、波長変換が生じる前記ファイバーに沿った遷移長の位置を変更するように構成されていることを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記送信手段は、レーザーと、前記レーザー出力からパルスを生成する変調器と、前記パルスを増幅する光増幅器とを備えることを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記受信手段は、前記ファイバーの或る区域から後方散乱したラマンストークス光および/もしくはラマンアンチストークス光および/もしくはレイリー光信号成分が、他の区域から後方散乱した同等の成分と大きくオーバーラップしてしまうことなく収集されるように構成されているフィルターを有することを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記受信手段は、前記の戻りラマンストークス光、ラマンアンチストークス光およびレイリー光信号成分のうちのひとつ、二つ、またはすべてを比較して、前記信号内の非線形性を補正するように構成されていることを特徴とする上記の請求項のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記受信手段は、前記非線形性の補償のために、前記検出された条件との相関の飽和非線形領域に在る前記の戻りラマンストークス光およびラマンアンチストークス光成分の組み合わせを用いるように構成されていることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
入射光パルスの整形を行うパルス整形器であって、前記入射光パルスからパルス列を生成するパルス列生成器と、該生成器の前もしくは後に位置する、前記入射光パルスもしくは前記パルス列のそれぞれを拡散する分散要素とを有し、前記生成器は、遅延パルスをつくるために前記入射光パルスを異なる遅延を備えた二つ以上の光路へと分離する分離手段と、前記遅延パルスを結合して前記パルス列をつくる合波器とを含むことを特徴とするパルス整形器。
【請求項25】
前記遅延パルスのどれが前記列を形成するのかを選択するひとつもしくは複数の光スイッチを有することを特徴とする請求項24記載の装置。
【請求項26】
誘導ラマン光を抑制しつつ励起光エネルギーが最大化されるように高エネルギー光パルスの生成および送信を行い、且つ、長距離に亘る温度および/もしくは損失の分散型測定を可能にするために種々の後方散乱光成分のパワーを測定する装置であって、散乱媒体を提供する少なくともひとつの光ファイバーと、光源と、変調手段によってパルス列を生成する手段と、パルス選択手段、もしくは単一の高パワーパルスをパルス列に変換する変換手段と、光学フィルタリング手段と、前記光信号を電気信号に変換するひとつもしくは複数のディテクターとを含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
前記光ファイバーが、その長さ方向に沿った異なるラマンシフトを提供する、もしくは、前記伝播光のモード特性を変える、異なる長さのファイバーを含むことを特徴とする請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記入射光パルスが、結果として生じるパルス列の持続時間が所望の空間分解能と一致するように変換されることを特徴とする請求項26もしくは27に記載の装置。
【請求項29】
前記パルス変換手段が、ひとつもしくは複数組の分離および再結合手段を備え、そのそれぞれが、前記入射光パルスを、異なる光路長を有する二つ以上の光路へと送り出し、その光を再結合してパルス列を形成することを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記パルス変換手段が、光ファイバーおよび光ファイバー部品を含むことを特徴とする請求項26〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記パルス変換によって生じる前記パルス列持続時間およびパルス列パターンが、固定可能であるか、あるいは、使用するパルス変換手段の数および/もしくは前記パルス変換手段内で用いる光路の数を選択または除外する光スイッチによって制御可能であることを特徴とする請求項26〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
温度および/もしくは損失データを得るにあたって非線形性を補正する一助となるように、前記パルス列の幅および/もしくはパターンおよび/もしくはエネルギーを変更することができることを特徴とする請求項26〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
温度および/もしくは損失を算出するにあたり、前記信号内のいずれかの非線形性を補正するために、前記の戻りラマンストークス光およびラマンアンチストークス光およびレイリー光信号のうちの、ひとつ、二つ、またはすべてを比較することを特徴とする請求項26〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
電磁気的信号を導波管に送り、且つ、前記導波管内のひとつもしくは複数の検出地点における条件を検出する検出システムであって、
前記導波管に沿ってパルスを送る送信手段と、受信手段と、前記導波管とを有し、前記導波管が、前記パルスからの後方散乱が異なる光学特性を持つように、異なる特性を持つ多数の区域を含み、且つ、前記受信手段が、前記の異なる光学特性を用いて、前記の異なる区域からの前記後方散乱を識別することを特徴とする検出システム。
【請求項35】
異なる波長での後方散乱成分を提供するために、前記区域が、異なるラマンシフトを提供する導波管を有することを特徴とする請求項34記載の検出システム。
【請求項36】
異なるモード特性を備えた後方散乱成分を提供するために、前記区域が、前記伝播光の前記モード特性に異なる変化を与える導波管を有することを特徴とする請求項34もしくは35に記載の検出システム。
【請求項37】
前記送信手段においてパルスを整形するために、請求項24もしくは25に記載のパルス整形器を有することを特徴とする請求項1〜23もしくは26〜36のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項38】
上述の請求項のいずれかに記載の装置を用いて検出サービスを提供する方法。
【請求項39】
上述の請求項のいずれかに記載の装置を用いて検出信号を生成する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2006−517677(P2006−517677A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502271(P2006−502271)
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000565
【国際公開番号】WO2004/073172
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505301022)センサーネットリミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】SENSORNET LEMITED
【Fターム(参考)】