説明

長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を含むコク味向上剤

本発明の目的は、食品のコク味を向上させ、更に、その味又は風味を向上させる手段を提供することである。
本発明は、主成分としての長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体及びコク味増強成分を含むコク味向上剤、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤にコク味増強成分を添加することによりコク味向上剤の効果を増強する方法、γリノレン酸を多量に含む特定の植物油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を含む植物油脂組成物であって、αリノレン酸の含量が5%以下であることを特徴とする植物油脂組成物、これらのコク味向上剤又は植物油脂組成物を含む各種食品、並びに、コク味向上剤又は植物油脂組成物を食品に含有させることから成る食品のコク味を向上させる方法に係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を主成分として含み、更に、αトコフェロール及び鉄分等から成るコク味増強成分を含むコク味向上剤、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤にコク味増強成分を添加することによりコク味向上剤の効果を増強する方法、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を含むコク味向上剤、及びαリノレン酸含量が低い植物油脂から成る植物油脂組成物、更にこれらを含むコク味が向上した食品、並びに、コク味向上剤又は植物油脂組成物を食品に含有させることから成る食品のコク味を向上させる方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
γリノレン酸及びアラキドン酸(シス−5,8,11,14−エイコサテトラエン酸)は長鎖高度(多価)不飽和脂肪酸の一種であり動物の臓器及び組織から得られるリン脂質中に存在する。これは必須脂肪酸でありプロスタグランジン、トロンボキサンチン及びロイコトリエン等の合成の前駆体となる重要な化合物である。
【0003】
従来、γリノレン酸を比較的多量に含む月見草油やボラージ油、又はアラキドン酸等の長鎖高度不飽和脂肪酸及びそのエステルを、栄養強化及び各種生理的作用を付与する目的で油脂及び食品等の各種組成物へ添加することが試みられてきた。
【0004】
特開平10−99048に記載の栄養強化組成物には、母乳に近い成分を実現する為に添加される成分の一種としてアラキドン酸が0.1〜10重量%含有されている。
【0005】
一方、エステル体の例としては、特開平4−197134に蒸発潜熱による生地内部の温度降下が防止されたフライ用油脂組成物が記載されているが、そこにはアラキドン酸等の不飽和脂肪酸が構成脂肪酸として20〜60重量%含有されている。
【0006】
特開平9−13075では、アラキドン酸等の長鎖多価不飽和脂肪酸を含むグリセリドからなる血中脂質濃度を低減する作用のある油脂が記載されているが、このグリセリドはエステル交換法により得られ、該長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の40モル%未満がグリセリドの2位に結合するという天然油とは異なる構造を有するものである。特開平9−13076では、同じ構成から成る血小板凝集能を抑制する作用のある油脂が記載されている。
【0007】
又、特開平11−89513に記載のヒト乳脂肪に近似する合成脂質組成物には、アラキドン酸を含む長鎖n−6高度不飽和脂肪酸がトリグリセリドを構成する脂肪酸の一種として使用されている。
【0008】
更に、特開平10−70992及び特開平10−191886にはアラキドン酸をトリグリセリドの形で豊富に含有する微生物由来の食用油脂が記載されており、この好適用途として、未熟児用調製乳、乳児用調製乳、幼児用食品及び妊婦用食品等が挙げられている。
【0009】
しかしながら、上記の従来技術のいずれにおいても、アラキドン酸等の長鎖多価不飽和脂肪酸を食品や植物油脂のコク等の風味を向上させる目的で使用することに関する開示はなく、このような目的に使用できる可能性を示唆する記載も見当たらない。
【0010】
一方で、このような長鎖高度不飽和脂肪酸を添加した場合には、その酸化分解物の臭い(所謂「戻り臭」)が食品等の風味を損ねるという問題点があり、その解決策として様々な手段が講じられてきた。
【0011】
かかる手段の例として、例えば、特開昭63−44843に記載の油中水中油型乳化油脂組成物においては高度不飽和脂肪酸を内相油に含有することを特徴とする技術が開示されている。特開平6−172782では高度不飽和脂肪酸を含有する油脂を粉末化する技術が記載されている。特開平9−176679では不飽和脂肪酸粉状体に粉末状の抗酸化剤を混合させる技術が開示されている。特開平9−263784では多価不飽和脂肪酸を含有する油脂にδ−トコフェロールを含有させる技術が開示されている。又、特開平11−12592では高度不飽和脂肪酸を含有する魚脂類にしょうゆ油を添加することを特徴とする技術が開示されている。
【0012】
また、食品分野における長鎖高度不飽和脂肪酸の利用例として、特開2001−78702には、油脂とエキスを水中油型に乳化させることで、まろやかさ、後味、うま味が増強された調味料が開示されており、油脂の例として魚油又は魚油を含有する油脂が挙げれられており、魚油を構成する脂肪酸のうちω3系高度不飽和脂肪酸を10%以上含む例が記載されている。
【0013】
この調味料においては、含まれる油脂の酸化を抑制する為に乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを用いたり、油脂の酸化を防ぐためにエキスに天然物から抽出されたカルノシン、及びアンセリン等の抗酸化物質が含まれていることがこの好ましいとされている。又、調味料を製造する段階で、加熱処理等の酸化処理は一切行われていない。更に、この調味料の効果を有効に発揮できる食品の例としては、水産練り製品、魚類、魚類加工品が挙げられているのみである。
【0014】
又、特許第3220155号公報には、乳脂肪以外の脂肪酸等の酸化によって得ることができる香味料組成物が開示され、この脂肪酸がω−3非共役二重結合系をもつ少なくとも1種類のポリ不飽和脂肪酸を0.01重量%を超える量含むことを特徴としている。この香味料組成物はバター様フレーバーに強く認められている甘く、クリーミィなノートが含まれるものであるが、かかるノートを得る為には油脂を必ず酸化処理する必要がある。そしてこの酸化処理は、酸化を若干遅らせるような量の酸化防止剤が存在するプロセスによる制御された酸化処理である必要がある。又、かかる酸化処理によって発生するフレーバーは揮発性成分であるので、酸化処理は密閉系で行うことが好ましいとされ、実施例においては還流凝縮器を使用して酸化処理を行っている。香味料組成物の用途としてはバターフレーバーをもつと有益な食品の香味付与に特に適していると記載されている。
【0015】
米国特許第3689289号明細書(US3689289)には還元糖とアミノ酸及びアラキドン酸またはそのアラキドン酸メチルエステルを特定の条件下で加熱反応させることで人工的なチキンフレーバーを製造する方法が記載されている。また国際公開第WO03/051139号パンフレットには還元糖とアミノ酸及びアラキドン酸を特定の条件下で加熱反応させることによる人工的なチキンフレーバーを製造する方法においてアラキドン酸をグリセリンエステルの形で使用することにより、生成したチキンフレーバーの香りに耐熱性や持続性が生じることが記載されている。
【0016】
これらはいずれも糖とアミノ酸とアラキドン酸の3種の加熱反応物が人工的なチキン様の臭いを発現するもので、アラキドン酸等の長鎖高度不飽和脂肪酸が単独で、又は長鎖高度不飽和脂肪酸と糖若しくはアミノ酸とで食品の呈味を改善するという記載は見られない。
【0017】
更に、特開2002−95439号公報には、高度不飽和脂肪酸グリセリドを含有することを特徴とする調味料が開示されている。この発明の目的は、酸化劣化されやすい高度不飽和脂肪酸グリセリドの酸化安定性を高めることであり、その為に、大豆の発酵加工食品、魚介類の発酵加工食品もしくはトマト成分を主体とした調味料に高度不飽和脂肪酸グリセリドを含ませることを特徴とするものである。従って、この発明は、高度不飽和脂肪酸グリセリドを含有させることにより食品のコク味を向上することに関しては何等開示又は示唆していない。
【0018】
【特許文献1】特許第3220155号公報
【特許文献2】米国特許第3689289号明細書
【特許文献3】国際公開第WO03/051139号パンフレット
【特許文献4】特開2002−95439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、食品の分野において、とんかつ等の油調食品やカレー、餃子等の油脂含有食品等、食品によっては「コク」や「濃厚感」が必要なものがある。そのような食品へ「コク」や「濃厚感」を賦与するため、従来は、香料を添加したり、動物性油脂を単独または植物油脂に配合して使用していた。
【0020】
しかしながら、香料を添加したものにおいては、加熱調理中に香料が揮発し、賦与した「コク味」が持続しないという課題があった。また動物油脂の使用は同油脂に含まれるコレステロールや飽和脂肪酸の健康への影響が懸念されていた。植物油脂はノンコレステロールで飽和脂肪酸が少ないが、植物油脂で調理した食品は「あっさり」しており、「コク味」を必要とする食品には「物足りなさ」が感じられるという課題があった。よって、ノンコレステロールで飽和脂肪酸が少なく、しかも「コク味」のある油脂の実現が望まれていた。
【0021】
本発明者等は上記の課題を解決すべく研究した結果、従来は肉類等の腐臭等、オフフレーバーの原因物質とされてきたアラキドン酸等の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を単独で食品に含有させるか、又はそれを特定の範囲で含有する植物油脂で加熱調理などの酸化処理をした場合に、食品のコク味が増し、味を引き立たす効果が得られることを既に見出した(PCT/JP03/00182)。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は上記の課題を解決すべく更に研究を重ねた結果、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤に、更に、αトコフェロール及び鉄分等から成るコク味増強成分を含ませることによって、コク味向上効果が一層向上することを見出した。更に、αリノレン酸及び/又はリノール酸の含量が低い植物油脂に長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を添加することによって、コク味が一層向上した植物油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0023】
即ち、本発明は、主成分としての長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体及びコク味増強成分を含むコク味向上剤、γリノレン酸を多量に含む特定の植物油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤にコク味増強成分を添加することによりコク味向上剤の効果を増強する方法、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を含む植物油脂組成物であって、αリノレン酸の含量が5%以下であることを特徴とする植物油脂組成物、これらのコク味向上剤又は植物油脂組成物を含むコク味が向上した各種食品、コク味向上剤又は植物油脂組成物を食品に含有させることから成る、食品のコク味を向上させる方法、並びに、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体及びコク味増強成分を個別に食品に添加することから成る、食品のコク味を向上させる方法に係る。
【0024】
本明細書中において、「コク味向上剤」とは、これを添加した食品に有意な「コク味」や「濃厚感」を新たに付与したり、それらを向上させるこという本発明の効果が得られるものをいう。このような本発明の効果に関する評価は、本明細書中の実施例に示した官能評価法によって行うことが出来る。
【0025】
更に本明細書中において、「コク味増強成分」とは、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体によるこのような効果を相加的又は相乗的に高める作用を有する成分をいう。
【発明の効果】
【0026】
長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤に、更に、αトコフェロール及び鉄分等から成るコク味増強成分を含ませることによって、コク味向上効果が一層向上することを見出した。更に、αリノレン酸及び/又はリノール酸の含量が低い植物油脂に長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を添加することによって、コク味が一層向上した植物油脂組成物が得られることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明におけるコク味増強成分の種類・構造等に特に制限はないが、例えば、その代表的な例として、αトコフェロール及び鉄分を挙げることが出来る。理論上、本発明を何等拘束するものではないが、αトコフェロール及び鉄分は、油脂の酸化を促進する効果があることが知られている。
【0028】
鉄分の供給原料として、硫酸第1鉄、クエン酸第1鉄、クエン酸鉄、グルコン酸第1鉄、塩化第2鉄、乳酸鉄等の鉄塩類、ヘム鉄、血漿粉末、血球粉末等の、市販されている当業者に公知の任意の鉄含有素材等を使用することができる。Feの形態として、鉄、第1鉄塩及び第2鉄塩があるが、好ましくは第1鉄塩である。尚、鉄分は、溶解・分散・乳化等の任意の方法で長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体と混合することが出来る。
【0029】
αトコフェロールの供給原料としても、当業者に公知の任意のものを使用することが出来る。例えば、全トコフェロール組成中でαトコフェロールが最も多く含まれているようなトコフェロール製剤、具体的には、全量中の50%以上がαトコフェロールから成るトコフェロール製剤が市販されているので、それをそのままαトコフェロールの供給原料として使用することが出来る。又、高濃度のαトコフェロールを含有する植物油脂をαトコフェロールの供給原料として使用することも出来る。或いは、適当なトコフェロール製剤から、当業者に公知の方法でβ、γ、δトコフェロールを低減ないし除去することによってαトコフェロール濃度を高めたものを使用することも出来る。
【0030】
これらコク味増強成分のコク味向上剤中の含量に特に制限はないが、効果及び経済性などの点から、αトコフェロールの場合には、好ましくは50〜15000ppm、より好ましくは50〜5000ppm、更に好ましくは100〜2000ppmである。又、鉄分の場合には、Fe換算で0.1〜200ppm、好ましくは0.5ppm〜100ppmを含有する。
【0031】
本発明で「長鎖高度不飽和脂肪酸」とは、n−3系の長鎖高度不飽和脂肪酸の場合には炭素数が20以上かつ二重結合を3つ以上有する脂肪酸を意味し、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸の場合には炭素数が18以上かつ二重結合を3つ以上有する脂肪酸を意味する。更に、n−3系及びn−6系の双方ともに炭素数が20〜24かつ二重結合を4〜6有する長鎖高度不飽和脂肪酸が好ましい。n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸の例としてγリノレン酸、アラキドン酸(AA)及びドコサテトラエン酸(DTA)を挙げることが出来、特に、アラキドン酸が好適である。又、n−3系の長鎖高度不飽和脂肪酸の例として、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)を挙げることが出来る。
【0032】
アラキドン酸等の本発明で使用する長鎖高度不飽和脂肪酸及びそのエステル体の由来に特に制限はなく、各種動植物、微生物、藻類等から得られたものが市販されており、これら当業者には公知のものを適宜使用することが出来る。
【0033】
例えば、上記の特開平10−70992及び特開平10−191886に記載されたアラキドン酸をトリグリセリドの形で豊富に含有する微生物由来の食用油脂を使用することが出来る。このようにアラキドン酸等の本発明の活性成分である脂肪酸及びそのエステル体として微生物由来のものを使用した場合には、動物由来の油脂を実質的に含有しないノンコレステロールで飽和脂肪酸含量が少ないコク味向上剤又は食品を得ることが出来る。
【0034】
2種以上の長鎖高度不飽和脂肪酸とは異なる原料から得られた同種の脂肪酸を適宜混合して使用することも可能である。
【0035】
エステル体の構造及びその製造方法に特に制限はなく、これを構成するアルコール類としては、一価及び多価アルコールを使用することが出来る。多価アルコールの中でも、安全性やコストの点から好ましいものの例としてグリセロールをあげることができ、この場合にエステル体としてトリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドを構成する。これらのエステル体を構成する脂肪酸中に本発明の長鎖高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸が含まれていても良い。
【0036】
大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、HOS、及びカノーラ油等の植物油にはγリノレン酸は含まれていない。一方、これに対して、ボラージ(ボリジ)油、月見草油、ローズヒップ油、及びブラックカラント油には、約3%〜22%程度のγリノレン酸が含まれている。特に、ボラージ油には約22%もγリノレン酸が含まれており、本発明の長鎖高度不飽和脂肪酸の原料として好適に使用できる。
【0037】
従って、本発明は、ボラージ油、月見草油、ローズヒップ油、又はブラックカラント油から選ばれた植物油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤、特に、ボラージ油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤に係る。
【0038】
本発明のコク味向上剤中の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の含有量に特に制限はないが、含有量があまり少ないと所望の効果を得るために多量のコク味向上剤が必要とされ、その他の成分に由来する雑味の悪影響が生じる可能性もある。従って、本発明のコク味向上剤は、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上含有するものである。
【0039】
コク味向上剤中には、上記活性成分の他に、コク味向上剤の効果に悪影響を与えない限り、当業者に公知の他の任意成分、例えば、乳化剤、ステロール類、リン脂質、その他の脂肪酸、その他の脂肪酸より構成されるトリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリド等が含まれていても良い。
【0040】
尚、n−3系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を使用する場合に効果を充分得るためにはそれらを酸化処理することが望ましい。酸化処理の方法に特に制限はないが、その一例として加熱処理があげられる。加熱処理の方法に特に制限はないが、酸化防止剤を存在させる必要はなく、又、酸化処理を密閉系で行う必要もない。開放系において、通常、40℃〜200℃において0.1時間〜240時間加熱する方法があり、好ましくは、80℃〜180℃において0.5時間〜72時間加熱する。
【0041】
又、n−6系の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の効果を発揮するために酸化処理は必要ないが、酸化処理することによって、その効果が一層増す。
【0042】
尚、本発明の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤、又はそれを含有する食品を同様に加熱等の酸化処理することによっても、同様の効果を実施することが出来る。
【0043】
尚、エステル体の中でも特にグリセリンエステルの場合には、長鎖高度不飽和脂肪酸はそれらのエステル体に比べて揮発性が高いので、より少量で本発明の効果を得ることが出来る。対して、エステル体は揮発性が比較的低い一方で持続性に優れているので、エステル体を含む場合には相対的に含有量が多くなる。
【0044】
更に、本発明は、以上のコク味向上剤を含む植物油脂組成物も含むものである。ここで、ベースとなる植物油脂としては、当業者に公知に任意のものを使用することが出来る。このような植物油脂の例として、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、HOS、米油、ごま油、オリーブ油、及びパーム油等を挙げることが出来る。この中でも、特に、フライや炒め物などの加熱調理に主に利用される大豆油、菜種油、コーン油、及びパーム油等に本発明のコク味向上剤を添加することによって、本発明の効果を有利に達成することが出来る。任意の2種類以上の植物油脂を適宜混合して使用することも出来る。
【0045】
かかる植物油脂組成物中の長鎖高度不飽和脂肪酸はそれらのエステル体の含有量は、長鎖高度不飽和脂肪酸の種類、植物油脂組成物の用途等に応じて当業者が適宜選択することが出来るが、コク味が向上した植物油脂組成物であるためには、長鎖高度不飽和脂肪酸として通常、10〜100,000ppm、好ましくは、10〜20,000ppm、より好ましくは10〜5000ppm、更に好ましくは20〜1000ppmである。特に、γリノレン酸等の植物油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸を含む植物油脂組成物を、炒めやフライ用といった油調用油脂、風味油又は香味油のベース油等として使用する場合には、植物油脂組成物中のγリノレン酸等の長鎖高度不飽和脂肪酸の含量は、通常、0.05〜10%、好ましくは0.1〜5%含有する。
【0046】
尚、既に記載したように、ボラージ(ボリジ)油、月見草油、ローズヒップ油、及びブラックカラント油には約3%〜22%程度のγリノレン酸が既に含まれている。従って、これらの植物油は、特に長鎖高度不飽和脂肪酸はそれらのエステル体を外部から添加しなくとも、それ自体本発明の植物油脂組成物として有利に使用することも出来る。
【0047】
又、本発明者は、本発明で使用する長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体と混合される植物油脂の脂肪酸組成がある条件を満たしているような場合に、より効果的にコク味の向上効果が得られることを見出した。
【0048】
即ち、本発明の植物油脂組成物において、αリノレン酸の含量が5%以下、例えば、αリノレン酸の含量が0.01%〜5%、好ましくは0.05%〜3%である植物油脂組成物が好ましい。更に、オレイン酸含量が20〜86%及び/又はリノール酸含量が3〜25%であるものがより好ましい。
【0049】
既に記載したように、植物油脂組成物における長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の含量は、長鎖高度不飽和脂肪酸として通常、10〜100,000ppm、好ましくは、10〜20,000ppm、より好ましくは10〜5000ppm、更に好ましくは20〜1000ppmである。尚、このような植物油脂組成物において、コク味増強成分は必ずしも含まれている必要はない。
【0050】
尚、ボラージ(ボリジ)油及びブラックカラント油にはαリノレン酸が実質的に含有されておらず、オレイン酸含量も上記の範囲である。従って、これらの油はこの点からもそれ自体植物油脂組成物として好適なものである。
【0051】
こうして得られる本発明の植物油脂組成物は、様々な加熱調理法、例えば、80〜300℃、より好ましくは110〜300℃に加熱する調理法に使用することができる。このような温度範囲で加熱すると、本発明の植物油脂組成物を用いて調理した食品のコク味が増し、食品の味を一層引き立たせることが出来る。
【0052】
最後に、本発明は、本発明のコク味向上剤、又は植物油脂組成物を含むコク味が向上した食品にも係る。ここで、対象となる食品の種類に特に制限はなく、例えば、各種フライ食品及び炒め物等の油調食品、並びに、カレー、餃子、及び焼売等の油脂添加食品を挙げることが出来る。本発明の食品は、それに含まれる本発明に係るコク味向上剤又はこれを含む植物油脂組成物によって、有意な「コク味」や「濃厚感」が付与されている。これらの食品は、既に記載したような加熱処理されることによって、更にそのコク味が向上する。
【0053】
従って、本発明は更に、本発明のコク味向上剤又は植物油脂組成物を食品に含有させることから成る、食品のコク味を向上させる方法に係る。ここで、本発明のコク味向上剤に含まれる長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体並びにコク味増強剤は、夫々個別に食品に添加することによっても同様な効果を得ることが出来る。従って、本発明は、更に、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体、及びコク味増強成分を個別に食品に添加することから成る、食品のコク味を向上させる方法にも係る。尚、このように個別に添加する際には、食品中の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体並びにコク味増強剤の最終的な含量は、本発明のコク味向上剤を添加した場合と同様なものとなるようにすることが好ましい。尚、これら各成分の添加時期・順序等は食品の種類等に応じて、当業者が適宜選択することが出来る。
【0054】
食品中に含有される本発明のコク味向上剤又はこれを含む植物油脂組成物の量に特に制限はないが、通常、喫食時に長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の量に換算して、0.1〜100,000ppm、より好ましくは0.1〜10,000ppmを含有させることによって、食品のコク味向上効果が得られる。例えば、醤油、スープ等の液状食品に対しては、喫食時に長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の量に換算して、好ましくは1〜1,200ppm、より好ましくは1〜500ppmを含有させることによって、食品のコク味向上効果が得られる。又、ハンバーグのような固形食品においては、長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体の量に換算して、好ましくは20〜2,500ppm、より好ましくは20〜1,000ppmを含有させることによって、食品のコク味向上効果が得られる。
【0055】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はそれに限定されるものではない。尚、本明細書中、特に断わりがない限り、「%」は「重量%」を意味する。
【0056】
本発明において、トコフェロール組成は基準油脂分析法(日本油化学会編)2.4.10-1996に従って分析することが出来る。又、脂肪酸含量は基準油脂分析法(日本油化学会編)2.4.2.2-1996に基づき分析することが出来る。
【0057】
<官能評価法>
以下の官能評価において「コク味が向上する」とは各表中の評価項目にある「香りの強さ」、「風味の強さ」、「味の強さ」及び「後味の強さ」がそれぞれの「香りの好ましさ」、「風味の好ましさ」、「味の好ましさ」及び「後味の好ましさ」を向上させる若しくは損なうことなく増大することである。
【0058】
パネル n=7
以下の実施例の結果を示した表における記号の意味は以下のとおりである。
×:コントロールより弱いまたは好ましくない;△:コントロールと同等;〇:コントロールより強いまたは好ましい;◎コントロールより明らかに強いまたは好ましい
【実施例】
【0059】
<使用した長鎖不飽和脂肪酸>
アラキドン酸含有トリグリセリド(AATG:純度40〜45%:ナカライテスク(株)販売、サントリー(株)製造)、ボラージ油(γリノレン酸20%:Statfold社製)、低αリノレン酸菜種油(Low Linolenic Canola Oil、以下、「LLC」、味の素製油(株))、菜種油(以下、「CO」、味の素製油(株))、高オレイン酸種紅花油(High Oleic Safflower Oil、以下、「HOS」、味の素製油(株))を使用した。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
<αトコフェロールのコク味増強成分としての効果>
以下の組成で長鎖高度不飽和脂肪酸及び/またはそのエステル体及びαトコフェロール製剤と植物油脂を混合しコク味向上剤を調製した。
(1)LLC
(2)1%AATG/LLC(AA0.4%)
(3)0.5%AATG/LLC(AA0.2%)
(4)1%AATG+0.002%αトコフェロール製剤/LLC
(AA0.4%、αトコフェロール14.1ppm)
(5)1%AATG+0.01%αトコフェロール製剤/LLC
(AA0.4%、αトコフェロール70.7ppm)
(6)1%AATG+0.02%αトコフェロール製剤/LLC
(AA0.4%、αトコフェロール141ppm)
(7)1%AATG+0.2%αトコフェロール製剤/LLC
(AA0.4%、αトコフェロール1410ppm)
(8)1%AATG+2%αトコフェロール製剤/LLC
(AA0.4%、αトコフェロール14100ppm)
(9)0.5%AATG+0.02%αトコフェロール製剤/LLC
(AA0.2%、αトコフェロール141ppm)
【0063】
調製油15gに薄力粉15gを混合し120℃で30分炒めた後にカレー粉(「特製エスビーカレー」、エスビー食品(株))3gを添加しさらに10分間加熱しカレールーを調製した。 コンソメスープ(「コンソメ」味の素(株)1.7%溶液)500mlを添加し加熱しコンソメスープを調製した。カレールーをコンソメスープで希釈しカレースープを調製した。
【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
上記表4に示した結果において、(2)(コントロール:αトコフェロールを含有しない)と(4)、(5)、(6)、(7)、(8)の比較において、AATGがカレー中に同濃度でも、(5)、(6)、(7)、(8)の濃度のαトコフェロールを含有することによりコク味向上効果が増強されたことが判明した。更に、(2)と(3)の比較において、コク味向上効果はAATG濃度の低い(3)は(2)に比べ劣るが、αトコフェロールを添加した(9)は(3)とAATG濃度が同じでも(2)以上のコク味向上効果を発現したことが判明した。
【0067】
<鉄成分のコク味増強成分としての効果>
2.5%AATG/LLCに対し、硫酸第1鉄・7水塩を0.00005〜0.1%(Fe: 0.1〜200ppm)添加して均一に分散させた後、0.8%食塩水に0.1%添加した。
(1)2.5%AATG/LLC
(2)硫酸第1鉄・7水塩 0.00005%添加(Fe:0.1ppm)/2.5%AATG/LLC
(3) 〃 0.00025%(Fe:0.5ppm)/2.5%AATG/LLC
(4) 〃 0.005%(Fe:10ppm)/2.5%AATG/LLC
(5) 〃 0.05%(Fe:100ppm)/2.5%AATG/LLC
(6) 〃 0.1%(Fe:200ppm)/2.5%AATG/LLC
【0068】
【表5】

【0069】
表5に示した結果から、(1)(コントロール)と(2)、(3)、(4)、(5)、(6)の比較において、AATGが食塩水中に同濃度でも、(3)、(4)、(5)、(6)の濃度の鉄分を含有することにより香り、風味、味の強さが増強されたことが判明した。また(2)、(3)、(4)、(5)の鉄濃度では香り、風味、味が(1)に比べ好まれた。(6)は鉄由来と思われる香り及び味の影響により、香り及び味が(3)、(4)、(5)に比べ劣っていた。
【0070】
ラーメンスープ(妃湯(フェイタン)とんこつ醤油:味の素(株)製の9倍希釈液)に5%AATG/LLCと硫酸第1鉄・7水塩を下記配合比で添加し、味風味を評価した。

(1)5%AATG/LLCのみ 1g/1000gラーメンスープ
(2)(1)+硫酸第1鉄・7水塩 0.001mM/1000gラーメンスープ(Fe:0.06ppm)
(3)(1)+硫酸第1鉄・7水塩 0.01mM/1000gラーメンスープ(Fe: 0.56ppm)
(4)(1)+硫酸第1鉄・7水塩 0.
1mM/1000gラーメンスープ(Fe: 5.6ppm)
(5)(1)+硫酸第1鉄・7水塩 1.0
mM/1000gラーメンスープ (Fe: 56ppm)
(6)(1)+硫酸第1鉄・7水塩 5.0 mM/1000gラーメンスープ (Fe: 280ppm)
【0071】
【表6】

【0072】
表6に示した結果から、(1)(コントロール)と(2)、(3)、(4)、(5)の比較において、AATGがラーメンスープ中に同濃度でも、(3)、(4)、(5)、(6)の濃度の鉄分を含有することにより香り、風味、味の強さが増強された。また(2)、(3)、(4)、(5)の鉄濃度では香り、風味、味が(1)に比べ好まれた。(6)は鉄由来と思われる香り及び味の影響により、香り及び味が(3)、(4)、(5)に比べ劣っていた。
【0073】
<ボラージ油のコク味向上剤としての効果>
ボラージ油とLLCで表のような植物油脂組成物を調製し、「シューストリング」(味の素冷凍食品(株))150gを各油脂3kgを用いて180℃で3分間揚げ、フライドポテトを調理した。
【0074】
【表7】

【0075】
長鎖高度不飽和脂肪酸としてγリノレン酸を含有するボラージ油でシューストリングを揚げることによりシューストリングにコク味が付与された。一方で、油中に過剰なγリノレン酸を含有させると風味、味を損なう結果となった。
【0076】
次に、以下のように調製油を使用して炊き込みピラフを調理した。
(1)LLC
(2)3%ボラージ油/LLC(0.6%γリノレン酸)
(3)30%ボラージ/LLC(6%γリノレン酸)
(4)ボラージ油(20%γリノレン酸)
無洗米200gに水300gを加え、「ライスクック
炒飯用」(味の素(株))10g及び各調製油を添加し、炊飯器にてピラフを調理した。その結果、以下の表8に示されるように、適当な量のγリノレン酸を含有するボラージ油をピラフに添加することによりピラフにコク味が付与された。
【0077】
【表8】

【0078】
<脂肪酸組成の効果>
以下のように油脂を調製した。
(1)0.0625%AATG/CO(AA含量250ppm)
(2)0.125%AATG/CO
(AA含量500ppm)
(3)0.0625%AATG/LLC
(AA含量250ppm)
(4)0.0625%AATG/HOS
(AA含量250ppm)
【0079】
「とんかつ」は75gの豚ロース肉に塩0.6g、胡椒少々をまぶし、小麦粉、20%卵溶液の順で付着させ、生パン粉を付け、各調整油で180℃、30分揚げた。その結果、以下の表9に示されるように、同じAA濃度でも添加する油脂の脂肪酸組成によりコク味向上効果が異なった。具体的には、αリノレン酸(C18:3 (n-3))の含量が5%以下である油脂(HOS、LLC)がより好ましいことが判明した。
【0080】
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明コク味向上剤又はそれを含む植物油脂組成物を使用し調理することによって、 食品に「コク」や「濃厚感」を賦与することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分としての長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体、及びコク味増強成分を含むコク味向上剤。
【請求項2】
コク味増強成分がαトコフェロール及び/又は鉄分である、請求項1記載のコク味向上剤。
【請求項3】
αトコフェロールを50〜15000ppm含有する、請求項2記載のコク味向上剤。
【請求項4】
含まれるトコフェロール全量中、αトコフェロールが50%以上である、請求項2記載のコク味向上剤。
【請求項5】
鉄分をFe換算で0.5〜100ppm含有する、請求項2記載のコク味向上剤。
【請求項6】
長鎖高度不飽和脂肪酸がn−6系である請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコク味向上剤。
【請求項7】
長鎖高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸である、請求項6記載のコク味向上剤。
【請求項8】
アラキドン酸が微生物由来である、請求項7記載のコク味向上剤。
【請求項9】
長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤にコク味増強成分を添加することによりコク味向上剤の効果を増強する方法。
【請求項10】
コク味増強成分がαトコフェロール及び/又は鉄分である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ボラージ油、月見草油、ローズヒップ油、又はブラックカラント油から選ばれた植物油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤。
【請求項12】
ボラージ油由来の長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体から成るコク味向上剤である、請求項11記載のコク味向上剤。
【請求項13】
請求項11ないし12のいずれか一項記載のコク味向上剤を含む植物油脂組成物。
【請求項14】
αリノレン酸の含量が5%以下であることを特徴とする、請求項13記載の植物油脂組成物。
【請求項15】
オレイン酸含量が20〜86%及び/又はリノール酸含量が3〜25%である、請求項13又は14記載の植物油脂組成物。
【請求項16】
長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を含む植物油脂組成物であって、αリノレン酸の含量が5%以下であることを特徴とする植物油脂組成物。
【請求項17】
長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を長鎖高度不飽和脂肪酸の含量が10〜100,000ppmである、請求項16記載の植物油脂組成物。
【請求項18】
オレイン酸含量が20〜86%及び/又はリノール酸含量が3〜25%である、請求項16又は17記載の植物油脂組成物。
【請求項19】
長鎖高度不飽和脂肪酸がn−6系である請求項16ないし18のいずれか一項に記載の植物油脂組成物。
【請求項20】
長鎖高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸である、請求項19記載の植物油脂組成物。
【請求項21】
アラキドン酸が微生物由来である、請求項20記載の植物油脂組成物。
【請求項22】
請求項1〜8、11及び12のいずれか一項に記載のコク味向上剤、又は請求項13ないし21のいずれか一項に記載の植物油脂組成物を含むコク味が向上した食品。
【請求項23】
請求項1〜8、11及び12のいずれか一項に記載のコク味向上剤、又は請求項13ないし21のいずれか一項に記載の植物油脂組成物を食品に含有させることから成る、食品のコク味を向上させる方法。
【請求項24】
長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体、及びコク味増強成分を個別に食品に添加することから成る、食品のコク味を向上させる方法。

【国際公開番号】WO2005/046354
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515420(P2005−515420)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016557
【国際出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(302042678)株式会社J−オイルミルズ (75)
【Fターム(参考)】