開口調整装置及び撮像装置
【課題】どのような動作姿勢となっても、駆動部材のベースに対する姿勢が安定しているようにすることを課題とする。
【解決手段】透光用開口11aに対して相対変位可能な複数の絞り羽根50と、ベース部材10と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材40とを備え、前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する円形台状の規制部11cに付勢する付勢部材30を設け、前記付勢部材によって前記駆動部材を前記規制部の一部に当接させてベース部材と駆動部材との間の機械的ガタを無くすようにした開口調整装置1。
【解決手段】透光用開口11aに対して相対変位可能な複数の絞り羽根50と、ベース部材10と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材40とを備え、前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する円形台状の規制部11cに付勢する付勢部材30を設け、前記付勢部材によって前記駆動部材を前記規制部の一部に当接させてベース部材と駆動部材との間の機械的ガタを無くすようにした開口調整装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な開口調整装置及び撮像装置に関する。詳しくは、開口の大きさを調整する装置において開口の大きさの調整の高精度化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム式カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置において、撮像光学系に入射する光を調節する絞り機構として、複数枚の絞り羽根を撮像光学系の光軸に垂直な平面に沿って移動させることにより絞り(光を透過させる開口)の大きさを変化させるものが知られている。
【0003】
このような絞り機構では、図11及び図12に示すように、円形孔aを有するベースbが設けられ、複数の絞り羽根c(図11に1個のみ示す)が上記円形孔aを中心に配置され、一端dを回動可能な状態でベースbに支持され、図示しないモータの回転を伝達さてベースbに対して回転可能な駆動部材と称される駆動部材eには絞り羽根cの回転をガイドするガイドピンfが形成され、上記ガイドピンが絞り羽根cに形成されたカム溝gに摺動自在に係合していて、駆動部材eがモータによって回転すると、ガイドピンfに連動されて絞り羽根cがカム溝gに沿って回動し、絞り羽根cの回動によって、絞りの大きさが調整される。
【0004】
上記した絞り機構にあっては、駆動部材eをベースbに対して回動可能にするために、駆動部材e、ベースb間に光軸方向及び径方向にクリアランスhを設け、回転の負荷を減らす必要がある。
【0005】
しかしながら、クリアランスhによって、回転の負荷が減少する反面、該クリアランスにより、姿勢を変化させただけで、そのガタ分だけ駆動部材eが(特に、重力方向に)移動し、そして、駆動部材eは絞り羽根cとガイドピンf及びカム溝gを介して連結しているために、駆動部材の移動に連動して絞り羽根cが移動してしまい、開口径の変化、すなわち、光量の変化が生じてしまう。また、動作姿勢によっては、駆動部材eの自重により姿勢が安定する場合もあるが、動作姿勢の変化によって精度の良し悪しが変わり、安定した絞り精度とならない。
【0006】
特許文献1には、モータによって回転する出力軸と駆動部材との間に中間ギヤを介在させ、該中間ギヤを付勢することによって、出力ギヤと駆動部材との間の機械的ガタを解消する発明が示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−121901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に示された発明にあっては、出力ギヤ、中間ギヤ、駆動部材間のバックラッシュは解消することが出来るが、姿勢変化による、駆動部材のガタツキを解消することは出来ない。すなわち、駆動部材は中間ギヤに付勢された力によって、一方向にのみ押圧される。従って、上記付勢力が作用する方向が重力方向又は反重力方向であれば、駆動部材の姿勢は安定するが、姿勢を変えて、重力方向が上記付勢力の作用方向を横切る状態になると、駆動部材は、駆動部材−ベース間のクリアランス分、重力方向に移動してしまい、絞り羽根が移動して絞り径が変化してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記した問題に鑑みて為されたものであり、どのような動作姿勢となっても、駆動部材のベースに対する姿勢が安定しているようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による開口調整装置は、開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備え、前記駆動部材をベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を規制部に付勢する付勢部材とを設けたものである。
【0011】
また、本発明の一実施形態による撮像装置は、撮像光学系と、前記撮像光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像光学系を介して前記撮像素子に到達する光の光量を調整する開口調整装置を備え、前記開口調整装置は、開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備え、前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を規制部に付勢する付勢部材とを設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、どのような姿勢となっても、駆動部材のベース部材に対する姿勢が安定していることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明開口調整装置及び撮像装置を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1乃至図4に本発明開口調整装置の第1の実施の形態を示す。
【0015】
開口調整装置1は、ベース部材10を備える。
【0016】
ベース部材10は略円板状をした開口調整部組込部11と該開口調整部組込部11の外縁から突出するように一体に連設された駆動部組込部12とを有する。開口調整部組込部11の中心部には円形の透光用開口11aが形成され、前面の外周部には低い周壁11bが形成されている。前記周壁11bは駆動部組込部12が連設されている部分を除く範囲に形成されている。
【0017】
前面の前記透光用開口11aを囲む位置には円環形の台状部11cが形成され、該台状部11cと前記周壁11bとの間にリング状に延びる摺動溝11dが形成される。前記台状部11cの外周寄りの位置にはほぼ等間隔に6個のガイドピン11eが形成されている。
【0018】
ベース部材10の前記駆動部組込部12の前面は前記周壁11bの前端と略同じ平面内に位置しており、また、駆動部組込部12の前記摺動溝11dに対向した側に移動用凹部12aが形成され、該移動用凹部12aの底面は摺動溝11dの底面と同じ平面内に位置している。また、駆動部組込部12には前後に貫通したギヤ配置孔12bが形成され、該ギヤ配置孔12bの一部は移動用凹部11a側に開口している。
【0019】
前記駆動部組込部12の後面には駆動用モータ、例えば、ステッピングモータ20が固定され、該モータ20の出力軸21に取り付けられた駆動ギヤ22が前記ギヤ配置孔12b内に配置され、該駆動ギヤ22の一部は前記移動用凹部12a側に突出された状態となる。
【0020】
ベース部材10の開口調整部組込部11の周壁11bの内側には2個の付勢部材30が配置されている。図4に示すように、該付勢部材30は板バネ材料を略V字状に折り曲げて形成され、V字の一方の片31、すなわち、固定片が周壁11bの内壁面に固定され(図3参照)、他方の片32、すなわち、弾発片が摺動溝11d側に突出された状態とされている。また、前記弾発片32はほぼ中間の部分で山形に折り曲げられ、山形の頂部32aが周壁11bから最も離れて位置するようにされている。そして、図2に示すように、一方の付勢部材30の弾発片32の頂部32aの位置をA、他方の付勢部材の弾発片32の頂部32aの位置をB、前記台状部11cの円形を為す外周面の中心をOとしたとき、前記位置A、Bは前記中心Oを挟んで前記駆動ギヤ22と反対側に、且つ、前記位置AとBとは、駆動ギヤ22の中心と前記中心Oを結んで延びる線Lを挟んだ位置にある。さらに、角AOBが180度未満となるように各位置A、B、Oが配置されている。
【0021】
略リング状をした駆動部材40が前記ベース部材10に回転可能に配置される。駆動部材40は、略リング状をした回転部41と該回転部の外周縁から所定の角度範囲で径方向に突出されたセクタギヤ部42とが一体に形成されて成り、セクタギヤ部42の外周縁には複数のギヤ歯42aが形成されている。回転部41はベース部材10の台状部11cに外嵌された状態で摺動溝11d内に位置され、回転部41の中心孔41aの内径は台状部11cの外径より僅かに大きくされ、両者の間に若干のクリアランスが存在するようになっている。従って、駆動部材40はベース部材10の台状部11cを回転軸として回転され、従って、台状部11cの外周面の中心Oは駆動部材40の回転中心となる。すなわち、前記台状部11cが前記駆動部材40の回転中心を規制する規制部となる。
【0022】
駆動部材40の回転部41がベース部材10の摺動溝11d内に前記したように配置された状態で、セクタギヤ部42は移動用凹部12a内に位置し、且つ、そのギヤ歯42aが前記駆動ギヤ22と噛合した状態となる。
【0023】
そして、駆動部材40の回転部41の前面の外周寄りの位置には周方向に等間隔に離間して6個の支点ピン41cが突設されている。
【0024】
前記したように、駆動部材40がベース部材10に回転可能に配置されると、前記付勢部材30の弾発片32の頂部32aが駆動部材40の回転部41の外周面41bに弾接した状態となり、これによって、回転部40は駆動ギヤ22の方へと付勢され、付勢部材30が弾接している側において、駆動部材40の回転部41の中心孔41aとベース部材10の台状部11cの外周面との間がクリアランスの無い状態で接触する。
【0025】
前記蓋体60と駆動部材40との間には、6枚の絞り羽根50が配置される。なお、絞り羽根50の形状及び作用は6枚とも同じであるので、図1に1枚のみ示し、他の図面においては絞り羽根50の図示は省略する。絞り羽根50は一端部に被支持孔51を有し、一端寄りの位置から他端寄りの位置にかけてカムスリット52が形成されている。また、一方の側縁に絞り孔形成縁53が形成されている。そして、絞り羽根50は、被支持孔51に駆動部材40の支点ピン41cが挿通され、カムスリット52にベース部材のガイドピン11eが摺動自在に係合される。従って、駆動部材40がベース部材10に対して回転すると、ガイドピン11eのカムスリット52と係合する位置が変化し、これによって、絞り羽根50は駆動部材40の支点ピン41cを中心にして回動する。すなわち、絞り羽根50はベース部材の開口11aに対して相対変位する。6枚の絞り羽根50が前記したように配置されることによって、それらの絞り孔形成縁53によって、ベース部材10の透光用開口11aの範囲内において、絞り孔が形成され、そして、前記したように、絞り羽根50が開口11aに対して相対変位することによって、絞り孔の大きさが変化し、従って、前記透光用開口11aを透過する光量が変化することになる。
【0026】
前記したように、ベース部材10に駆動部材40、絞り羽根50付勢部材30等が組み込まれた後に、ベース部材10の前面が蓋体60によって覆われて、開口調整装置1が完成する。
【0027】
前記した開口調整装置1にあっては、付勢部材30によって駆動部材40が、常時、駆動ギヤ22の方へと付勢されているので、開口調整装置10の姿勢、特に、透光用開口11aの開口面が鉛直面に沿う状態での駆動部材40の回転方向への姿勢、が変わっても、駆動部材40が自重によって重力方向にシフトしてしまうことが無く、姿勢変更の直前に設定されていた絞り径が変化してしまうことがない。
【0028】
上記実施形態においては、駆動部材40は、付勢部材30によって、常に、ベース部材10に形成され駆動部材40の回転中心を規制する規制部11eに付勢されているので、動作姿勢が変更されても、重力等によって駆動部材40が移動することが無く、選択した開口の精度が狂うことがない。
【0029】
さらに、上記実施形態においては、付勢部材が2箇所に設けられているので、駆動部材の位置がさらに安定する。
【0030】
さらに、上記実施形態においては、付勢部材が2箇所に設けられ、駆動部材の付勢部材によって付勢される2つの位置をそれぞれA、Bとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角AOBが180度未満であるので、駆動部材の位置がさらに安定する。
【0031】
図5は付勢部材を設置する位置の変形例を示すものである。
【0032】
前記した実施の形態では、付勢部材をベース部材10の周壁11bの内側と駆動部材40の外周面41bとの間に設置したが、この変形例では、駆動部材40の中心孔41aとベース部材10の台状部11cとの間に設置した。
【0033】
すなわち、駆動部材40の中心孔41aの側面に切欠凹部41dを形成し、該切欠凹部41d内に付勢部材30の固定片31を位置させたものである。その結果、付勢部材30の弾発片32の頂部32aはベース部材10の台状部11cの外周面に弾接し、これによって、駆動部材40は付勢部材30が設けられた箇所で台状部11cの外周面から遠離るように付勢される。
【0034】
この変形例にあっても、前記開口調整装置1と同様の効果を奏する。
【0035】
図6及び図7は付勢部材の変形例を示すものである。
【0036】
前記に示した付勢部材30は板バネを折曲加工して形成したものであるが、ここでは、ゴム状弾性を有する材料によって形成した付勢部材を示す。付勢部材30Aは、ゴム状弾性を有する材料、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンフォーム等を主材料とする。ここでは軟質ウレタンフォームを使用したものを示す。軟質ウレタンフォームを薄い板状にしたものを基体33として用意し、該基体33の表面を摩擦抵抗の少ない材料、例えば、フッ素樹脂によってコーティングして、滑り層34を形成したものである。
【0037】
ベース部材10の付勢部材配置位置において、周壁11bの内周面に付勢部材30Aの長さより短い間隔をおいて嵌め込み切欠11fを形成する。そして、付勢部材30Aを滑り層34が駆動部材40の外周面41bに対向した向きで中央が駆動部材40の外周面41bの方へ突出するように弓なりに湾曲させ、その両端部35をベース部材10の周壁11bの内周面に形成した嵌め込み切欠11fに嵌着し、必要に応じ、接着等の適宜手段により前記両端部35を周壁11bに固定する。これによって、付勢部材30Aは弓なりに湾曲した状態でベース部材10の周壁11bに取り付けられ、中央部の滑り層34が駆動部材40の外周面41bに弾接した状態となる。従って、駆動部材40は付勢部材30Aによって付勢されることになるので、付勢部材30Aを前記付勢部材30に替えて使用すれば、前記と同様の効果を奏する。なお、付勢部材30Aを図5の場合と同様に、駆動部材40とベース部材10の台状部11cとの間に設置することもできることは勿論である。
【0038】
前記した例では、付勢部材として板バネ材料で形成したもの、ゴム状弾性材料で形成したものを示したが、その他にも、線バネやトーションバネを使用したものも適用可能である。また、付勢部材の設置位置も前記した位置に限定されるものではなく、さらに、付勢部材はベース部材と駆動部材のどちらに固定しても良いし、場合によっては、固定も必要ではない。また、付勢部材が2箇所に設けられているものを示したが、2箇所に限定されるものではない。
【0039】
上記実施形態においては、付勢部材は、板バネ、線バネ、トーションバネ、ゴム状弾性体のいずれかによって形成されているので、付勢部材の設置が容易である。
【0040】
図8に本発明開口調整装置の第2の実施の形態を示す。
【0041】
この第2の実施の形態にかかる開口調整装置1Aにおいては、付勢部材により駆動部材40がベース部材10に接触される部位が第1の実施の形態にかかる開口調整装置1と異なりその他の点は殆ど同じである。従って、第1の実施の形態1におけると同様の部分については、図示を省略するか又は第1の実施の形態において付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
ベース部材10の台状部11cの外周面には周方向に間隔をおいて2つの突部11gが形成される。そして、ベース部材10の周壁11bの内周面には駆動部材40の中心孔41a内面を前記突部11gに当接させる単一の付勢部材30が設けられる。そのため、駆動部材40は前記突部11gに当接した状態で回転することになり、前記突部11gが駆動部材40の回転中心を規制する規制部として機能する。
【0043】
そして、前記付勢部材30による付勢方向Pが、前記2つの突部11gの位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材40の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内とする。これによって、駆動部材40の中心孔41aの内面が確実に2個の突部11gに弾接される。従って、駆動部材40の位置が常に安定し、開口調整装置1Aの姿勢が変更されても、自重等により駆動部材40の位置が移動してしまうことがない。
【0044】
上記実施形態においては、ベース部材に突部が2箇所形成され、一つの付勢部材によって駆動部材を上記2箇所の突部に当接させ、付勢部材による付勢方向が、上記2つの突部の位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内であるので、駆動部材の位置がさらに安定する。
【0045】
図9は付勢部材の変形例を示すものである。この付勢部材は付勢部材と駆動部材との間を非接触の状態とするものである。
【0046】
付勢部材30Bは、駆動部材40の外周面41bに埋め込み状に固定されたマグネット36とベース部材10の周壁11bの内周面に埋め込み状に固定された磁性体37とによって構成される。従って、前記マグネット36と磁性体37との間に生じる吸引力が付勢力として作用し、マグネット36が固定されている駆動部材40はその中心孔41a内面がベース部材10の台状部11c外周面に形成された突部11gに当接するように前記吸引力によって付勢される。
【0047】
なお、ベース部材10にマグネットを設け、駆動部材40に磁性体を設けても良い。また、マグネットを使用する場合、磁性体37に替えてマグネットを使用することもできる。この場合、2つのマグネットの互いに対向する側の極性を異ならせれば、両者の間に吸引力が生じ、極性を同一にすれば反発力が生じる。
【0048】
上記実施形態においては、付勢部材は、ベース部材及び駆動部材の一方に設けられたマグネット又は磁性体及び他方に設けられたマグネット又は磁性体(但し、両方に磁性体を設ける場合を除く)によって構成されているので、駆動部材と付勢部材との間を非接触の状態とすることが出来る。
【0049】
図10は本発明撮像装置の実施の形態を示すものである。
【0050】
撮像装置100は、撮像光学系120と、撮像光学系120によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子130と、前記撮像光学系120を介して前記撮像素子130に到達する光の光量を調整する開口調整装置1又は1Aを備える。
【0051】
撮像光学系120はレンズ鏡筒110に組み込まれた複数のレンズ及び可変開口絞りにより構成され、可変開口絞りが前記開口調整装置1又は1Aの絞り羽根50によって形成される。
【0052】
前記撮像光学系120は、物体側から像面側へ順番に、光軸方向xに固定の第1レンズ群G1、光軸方向に可動であって変倍作用を担う第2レンズ群G2、光軸方向に固定の第3レンズ群G3、及び光軸方向に可動であって第2レンズ群G2の移動に伴う像面位置の変動を補正すると共に近距離合焦時に移動する第4レンズ群G4が配列されてズームレンズとして構成される。
【0053】
第1レンズ群G1はレンズ鏡筒110の前端部に固定され、第3レンズ群G3はレンズ鏡筒110のほぼ中間位置で固定される。
【0054】
第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との間で可動レンズ枠111がガイド軸112a、112bによってレンズ鏡筒110に光軸x方向に移動自在に支持され、該可動レンズ枠111に第2レンズ群G2が保持されている。また、レンズ鏡筒110には図示しないステッピングモータによって回転するリードスクリュー113が支持されており、前記可動レンズ枠111の一部111aが前記リードスクリュー113と噛合されている。従って、リードスクリュー113が回転すると、可動レンズ枠111のリードスクリュー113と噛合している部分111aが光軸x方向に送られ、従って、可動レンズ枠111及びそれに支持されている第2レンズ群G2は光軸方向xに移動される。
【0055】
第3レンズ群G3の後方の位置で可動レンズ枠114がガイド軸115a、115bによってレンズ鏡筒110に光軸x方向に移動自在に支持され、該可動レンズ枠114に第4レンズ群G4が保持されている。また、レンズ鏡筒110には図示しないステッピングモータによって回転するリードスクリュー116が支持されており、前記可動レンズ枠114の一部114aが前記リードスクリュー116と噛合されている。従って、リードスクリュー116が回転すると、可動レンズ枠114のリードスクリュー116と噛合している部分114aが光軸x方向に送られ、従って、可動レンズ枠114及びそれに支持されている第4レンズ群G4は光軸方向xに移動される。
【0056】
そして、前記開口調整装置1又は1Aが第3レンズ群G3の直後でレンズ鏡筒110に固定される。
【0057】
CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の個体撮像素子130がレンズ鏡筒110の後端部に固定され、その受光面にて撮像光学系120によって形成された光学像を受光するようになっている。
【0058】
前記光学像を電気的信号に変換した個体撮像素子130から出力される画像信号は、画像処理部140に送出され、この画像処理部140において所定の処理が行われる。画像処理部140は、制御等に必要な画像に関する情報を演算処理部150に送出したり、撮影画像をビューファインダーやモニター等に表示させ、或いは、ユーザーの操作指示に従って画像信号等を記録媒体に記録させる。なお、マイクロコンピューター等から成る演算処理部150は、制御部160に制御指令を送出し、該制御部160から第2レンズ群G2駆動用ステッピングモータ、第4レンズ群G4駆動用ステッピングモータ、開口調整装置1や1Aの駆動用モータ20等に制御信号が供給され、これによって、前記した各部が制御される。
【0059】
なお、前記した各実施の形態における各部の具体的形状や構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図2と共に本発明開口調整装置の第1の実施の形態を示すものであり、本図は全体を分解して示す斜視図である。
【図2】要部の正面図である。
【図3】図2の2点鎖線で囲んだ部分IIIを拡大して示す正面図である。
【図4】付勢部材の拡大正面図である。
【図5】付勢部材を別の位置に設置した変形例を示す要部の正面図である。
【図6】図7と共に付勢部材の変形例を示すものであり、本図は要部の正面図である。
【図7】付勢部材の拡大断面図である。
【図8】本発明開口調整装置の第2の実施の形態を示す要部の正面図である。
【図9】付勢部材の変形例を示す要部の正面図である。
【図10】本発明撮像装置の実施の形態を示す断面図である。
【図11】図12と共に開口調整装置における従来の問題点を説明するための図であり、本図は一部を省略して示す正面図である。
【図12】問題点を示す要部の正面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…開口調整装置、10…ベース部材、11a…透光用開口(開口)、11c…台状部(規制部)、30…付勢部材、40…駆動部材、50…絞り羽根、30A…付勢部材、11g…突部(規制部)、1A…開口調整装置、30B…付勢部材、36…マグネット、37…磁性体、100…撮像装置、120…撮像光学系、130…固体撮像素子(撮像素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な開口調整装置及び撮像装置に関する。詳しくは、開口の大きさを調整する装置において開口の大きさの調整の高精度化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム式カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置において、撮像光学系に入射する光を調節する絞り機構として、複数枚の絞り羽根を撮像光学系の光軸に垂直な平面に沿って移動させることにより絞り(光を透過させる開口)の大きさを変化させるものが知られている。
【0003】
このような絞り機構では、図11及び図12に示すように、円形孔aを有するベースbが設けられ、複数の絞り羽根c(図11に1個のみ示す)が上記円形孔aを中心に配置され、一端dを回動可能な状態でベースbに支持され、図示しないモータの回転を伝達さてベースbに対して回転可能な駆動部材と称される駆動部材eには絞り羽根cの回転をガイドするガイドピンfが形成され、上記ガイドピンが絞り羽根cに形成されたカム溝gに摺動自在に係合していて、駆動部材eがモータによって回転すると、ガイドピンfに連動されて絞り羽根cがカム溝gに沿って回動し、絞り羽根cの回動によって、絞りの大きさが調整される。
【0004】
上記した絞り機構にあっては、駆動部材eをベースbに対して回動可能にするために、駆動部材e、ベースb間に光軸方向及び径方向にクリアランスhを設け、回転の負荷を減らす必要がある。
【0005】
しかしながら、クリアランスhによって、回転の負荷が減少する反面、該クリアランスにより、姿勢を変化させただけで、そのガタ分だけ駆動部材eが(特に、重力方向に)移動し、そして、駆動部材eは絞り羽根cとガイドピンf及びカム溝gを介して連結しているために、駆動部材の移動に連動して絞り羽根cが移動してしまい、開口径の変化、すなわち、光量の変化が生じてしまう。また、動作姿勢によっては、駆動部材eの自重により姿勢が安定する場合もあるが、動作姿勢の変化によって精度の良し悪しが変わり、安定した絞り精度とならない。
【0006】
特許文献1には、モータによって回転する出力軸と駆動部材との間に中間ギヤを介在させ、該中間ギヤを付勢することによって、出力ギヤと駆動部材との間の機械的ガタを解消する発明が示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−121901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に示された発明にあっては、出力ギヤ、中間ギヤ、駆動部材間のバックラッシュは解消することが出来るが、姿勢変化による、駆動部材のガタツキを解消することは出来ない。すなわち、駆動部材は中間ギヤに付勢された力によって、一方向にのみ押圧される。従って、上記付勢力が作用する方向が重力方向又は反重力方向であれば、駆動部材の姿勢は安定するが、姿勢を変えて、重力方向が上記付勢力の作用方向を横切る状態になると、駆動部材は、駆動部材−ベース間のクリアランス分、重力方向に移動してしまい、絞り羽根が移動して絞り径が変化してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記した問題に鑑みて為されたものであり、どのような動作姿勢となっても、駆動部材のベースに対する姿勢が安定しているようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による開口調整装置は、開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備え、前記駆動部材をベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を規制部に付勢する付勢部材とを設けたものである。
【0011】
また、本発明の一実施形態による撮像装置は、撮像光学系と、前記撮像光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像光学系を介して前記撮像素子に到達する光の光量を調整する開口調整装置を備え、前記開口調整装置は、開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備え、前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を規制部に付勢する付勢部材とを設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、どのような姿勢となっても、駆動部材のベース部材に対する姿勢が安定していることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明開口調整装置及び撮像装置を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1乃至図4に本発明開口調整装置の第1の実施の形態を示す。
【0015】
開口調整装置1は、ベース部材10を備える。
【0016】
ベース部材10は略円板状をした開口調整部組込部11と該開口調整部組込部11の外縁から突出するように一体に連設された駆動部組込部12とを有する。開口調整部組込部11の中心部には円形の透光用開口11aが形成され、前面の外周部には低い周壁11bが形成されている。前記周壁11bは駆動部組込部12が連設されている部分を除く範囲に形成されている。
【0017】
前面の前記透光用開口11aを囲む位置には円環形の台状部11cが形成され、該台状部11cと前記周壁11bとの間にリング状に延びる摺動溝11dが形成される。前記台状部11cの外周寄りの位置にはほぼ等間隔に6個のガイドピン11eが形成されている。
【0018】
ベース部材10の前記駆動部組込部12の前面は前記周壁11bの前端と略同じ平面内に位置しており、また、駆動部組込部12の前記摺動溝11dに対向した側に移動用凹部12aが形成され、該移動用凹部12aの底面は摺動溝11dの底面と同じ平面内に位置している。また、駆動部組込部12には前後に貫通したギヤ配置孔12bが形成され、該ギヤ配置孔12bの一部は移動用凹部11a側に開口している。
【0019】
前記駆動部組込部12の後面には駆動用モータ、例えば、ステッピングモータ20が固定され、該モータ20の出力軸21に取り付けられた駆動ギヤ22が前記ギヤ配置孔12b内に配置され、該駆動ギヤ22の一部は前記移動用凹部12a側に突出された状態となる。
【0020】
ベース部材10の開口調整部組込部11の周壁11bの内側には2個の付勢部材30が配置されている。図4に示すように、該付勢部材30は板バネ材料を略V字状に折り曲げて形成され、V字の一方の片31、すなわち、固定片が周壁11bの内壁面に固定され(図3参照)、他方の片32、すなわち、弾発片が摺動溝11d側に突出された状態とされている。また、前記弾発片32はほぼ中間の部分で山形に折り曲げられ、山形の頂部32aが周壁11bから最も離れて位置するようにされている。そして、図2に示すように、一方の付勢部材30の弾発片32の頂部32aの位置をA、他方の付勢部材の弾発片32の頂部32aの位置をB、前記台状部11cの円形を為す外周面の中心をOとしたとき、前記位置A、Bは前記中心Oを挟んで前記駆動ギヤ22と反対側に、且つ、前記位置AとBとは、駆動ギヤ22の中心と前記中心Oを結んで延びる線Lを挟んだ位置にある。さらに、角AOBが180度未満となるように各位置A、B、Oが配置されている。
【0021】
略リング状をした駆動部材40が前記ベース部材10に回転可能に配置される。駆動部材40は、略リング状をした回転部41と該回転部の外周縁から所定の角度範囲で径方向に突出されたセクタギヤ部42とが一体に形成されて成り、セクタギヤ部42の外周縁には複数のギヤ歯42aが形成されている。回転部41はベース部材10の台状部11cに外嵌された状態で摺動溝11d内に位置され、回転部41の中心孔41aの内径は台状部11cの外径より僅かに大きくされ、両者の間に若干のクリアランスが存在するようになっている。従って、駆動部材40はベース部材10の台状部11cを回転軸として回転され、従って、台状部11cの外周面の中心Oは駆動部材40の回転中心となる。すなわち、前記台状部11cが前記駆動部材40の回転中心を規制する規制部となる。
【0022】
駆動部材40の回転部41がベース部材10の摺動溝11d内に前記したように配置された状態で、セクタギヤ部42は移動用凹部12a内に位置し、且つ、そのギヤ歯42aが前記駆動ギヤ22と噛合した状態となる。
【0023】
そして、駆動部材40の回転部41の前面の外周寄りの位置には周方向に等間隔に離間して6個の支点ピン41cが突設されている。
【0024】
前記したように、駆動部材40がベース部材10に回転可能に配置されると、前記付勢部材30の弾発片32の頂部32aが駆動部材40の回転部41の外周面41bに弾接した状態となり、これによって、回転部40は駆動ギヤ22の方へと付勢され、付勢部材30が弾接している側において、駆動部材40の回転部41の中心孔41aとベース部材10の台状部11cの外周面との間がクリアランスの無い状態で接触する。
【0025】
前記蓋体60と駆動部材40との間には、6枚の絞り羽根50が配置される。なお、絞り羽根50の形状及び作用は6枚とも同じであるので、図1に1枚のみ示し、他の図面においては絞り羽根50の図示は省略する。絞り羽根50は一端部に被支持孔51を有し、一端寄りの位置から他端寄りの位置にかけてカムスリット52が形成されている。また、一方の側縁に絞り孔形成縁53が形成されている。そして、絞り羽根50は、被支持孔51に駆動部材40の支点ピン41cが挿通され、カムスリット52にベース部材のガイドピン11eが摺動自在に係合される。従って、駆動部材40がベース部材10に対して回転すると、ガイドピン11eのカムスリット52と係合する位置が変化し、これによって、絞り羽根50は駆動部材40の支点ピン41cを中心にして回動する。すなわち、絞り羽根50はベース部材の開口11aに対して相対変位する。6枚の絞り羽根50が前記したように配置されることによって、それらの絞り孔形成縁53によって、ベース部材10の透光用開口11aの範囲内において、絞り孔が形成され、そして、前記したように、絞り羽根50が開口11aに対して相対変位することによって、絞り孔の大きさが変化し、従って、前記透光用開口11aを透過する光量が変化することになる。
【0026】
前記したように、ベース部材10に駆動部材40、絞り羽根50付勢部材30等が組み込まれた後に、ベース部材10の前面が蓋体60によって覆われて、開口調整装置1が完成する。
【0027】
前記した開口調整装置1にあっては、付勢部材30によって駆動部材40が、常時、駆動ギヤ22の方へと付勢されているので、開口調整装置10の姿勢、特に、透光用開口11aの開口面が鉛直面に沿う状態での駆動部材40の回転方向への姿勢、が変わっても、駆動部材40が自重によって重力方向にシフトしてしまうことが無く、姿勢変更の直前に設定されていた絞り径が変化してしまうことがない。
【0028】
上記実施形態においては、駆動部材40は、付勢部材30によって、常に、ベース部材10に形成され駆動部材40の回転中心を規制する規制部11eに付勢されているので、動作姿勢が変更されても、重力等によって駆動部材40が移動することが無く、選択した開口の精度が狂うことがない。
【0029】
さらに、上記実施形態においては、付勢部材が2箇所に設けられているので、駆動部材の位置がさらに安定する。
【0030】
さらに、上記実施形態においては、付勢部材が2箇所に設けられ、駆動部材の付勢部材によって付勢される2つの位置をそれぞれA、Bとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角AOBが180度未満であるので、駆動部材の位置がさらに安定する。
【0031】
図5は付勢部材を設置する位置の変形例を示すものである。
【0032】
前記した実施の形態では、付勢部材をベース部材10の周壁11bの内側と駆動部材40の外周面41bとの間に設置したが、この変形例では、駆動部材40の中心孔41aとベース部材10の台状部11cとの間に設置した。
【0033】
すなわち、駆動部材40の中心孔41aの側面に切欠凹部41dを形成し、該切欠凹部41d内に付勢部材30の固定片31を位置させたものである。その結果、付勢部材30の弾発片32の頂部32aはベース部材10の台状部11cの外周面に弾接し、これによって、駆動部材40は付勢部材30が設けられた箇所で台状部11cの外周面から遠離るように付勢される。
【0034】
この変形例にあっても、前記開口調整装置1と同様の効果を奏する。
【0035】
図6及び図7は付勢部材の変形例を示すものである。
【0036】
前記に示した付勢部材30は板バネを折曲加工して形成したものであるが、ここでは、ゴム状弾性を有する材料によって形成した付勢部材を示す。付勢部材30Aは、ゴム状弾性を有する材料、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンフォーム等を主材料とする。ここでは軟質ウレタンフォームを使用したものを示す。軟質ウレタンフォームを薄い板状にしたものを基体33として用意し、該基体33の表面を摩擦抵抗の少ない材料、例えば、フッ素樹脂によってコーティングして、滑り層34を形成したものである。
【0037】
ベース部材10の付勢部材配置位置において、周壁11bの内周面に付勢部材30Aの長さより短い間隔をおいて嵌め込み切欠11fを形成する。そして、付勢部材30Aを滑り層34が駆動部材40の外周面41bに対向した向きで中央が駆動部材40の外周面41bの方へ突出するように弓なりに湾曲させ、その両端部35をベース部材10の周壁11bの内周面に形成した嵌め込み切欠11fに嵌着し、必要に応じ、接着等の適宜手段により前記両端部35を周壁11bに固定する。これによって、付勢部材30Aは弓なりに湾曲した状態でベース部材10の周壁11bに取り付けられ、中央部の滑り層34が駆動部材40の外周面41bに弾接した状態となる。従って、駆動部材40は付勢部材30Aによって付勢されることになるので、付勢部材30Aを前記付勢部材30に替えて使用すれば、前記と同様の効果を奏する。なお、付勢部材30Aを図5の場合と同様に、駆動部材40とベース部材10の台状部11cとの間に設置することもできることは勿論である。
【0038】
前記した例では、付勢部材として板バネ材料で形成したもの、ゴム状弾性材料で形成したものを示したが、その他にも、線バネやトーションバネを使用したものも適用可能である。また、付勢部材の設置位置も前記した位置に限定されるものではなく、さらに、付勢部材はベース部材と駆動部材のどちらに固定しても良いし、場合によっては、固定も必要ではない。また、付勢部材が2箇所に設けられているものを示したが、2箇所に限定されるものではない。
【0039】
上記実施形態においては、付勢部材は、板バネ、線バネ、トーションバネ、ゴム状弾性体のいずれかによって形成されているので、付勢部材の設置が容易である。
【0040】
図8に本発明開口調整装置の第2の実施の形態を示す。
【0041】
この第2の実施の形態にかかる開口調整装置1Aにおいては、付勢部材により駆動部材40がベース部材10に接触される部位が第1の実施の形態にかかる開口調整装置1と異なりその他の点は殆ど同じである。従って、第1の実施の形態1におけると同様の部分については、図示を省略するか又は第1の実施の形態において付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
ベース部材10の台状部11cの外周面には周方向に間隔をおいて2つの突部11gが形成される。そして、ベース部材10の周壁11bの内周面には駆動部材40の中心孔41a内面を前記突部11gに当接させる単一の付勢部材30が設けられる。そのため、駆動部材40は前記突部11gに当接した状態で回転することになり、前記突部11gが駆動部材40の回転中心を規制する規制部として機能する。
【0043】
そして、前記付勢部材30による付勢方向Pが、前記2つの突部11gの位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材40の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内とする。これによって、駆動部材40の中心孔41aの内面が確実に2個の突部11gに弾接される。従って、駆動部材40の位置が常に安定し、開口調整装置1Aの姿勢が変更されても、自重等により駆動部材40の位置が移動してしまうことがない。
【0044】
上記実施形態においては、ベース部材に突部が2箇所形成され、一つの付勢部材によって駆動部材を上記2箇所の突部に当接させ、付勢部材による付勢方向が、上記2つの突部の位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内であるので、駆動部材の位置がさらに安定する。
【0045】
図9は付勢部材の変形例を示すものである。この付勢部材は付勢部材と駆動部材との間を非接触の状態とするものである。
【0046】
付勢部材30Bは、駆動部材40の外周面41bに埋め込み状に固定されたマグネット36とベース部材10の周壁11bの内周面に埋め込み状に固定された磁性体37とによって構成される。従って、前記マグネット36と磁性体37との間に生じる吸引力が付勢力として作用し、マグネット36が固定されている駆動部材40はその中心孔41a内面がベース部材10の台状部11c外周面に形成された突部11gに当接するように前記吸引力によって付勢される。
【0047】
なお、ベース部材10にマグネットを設け、駆動部材40に磁性体を設けても良い。また、マグネットを使用する場合、磁性体37に替えてマグネットを使用することもできる。この場合、2つのマグネットの互いに対向する側の極性を異ならせれば、両者の間に吸引力が生じ、極性を同一にすれば反発力が生じる。
【0048】
上記実施形態においては、付勢部材は、ベース部材及び駆動部材の一方に設けられたマグネット又は磁性体及び他方に設けられたマグネット又は磁性体(但し、両方に磁性体を設ける場合を除く)によって構成されているので、駆動部材と付勢部材との間を非接触の状態とすることが出来る。
【0049】
図10は本発明撮像装置の実施の形態を示すものである。
【0050】
撮像装置100は、撮像光学系120と、撮像光学系120によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子130と、前記撮像光学系120を介して前記撮像素子130に到達する光の光量を調整する開口調整装置1又は1Aを備える。
【0051】
撮像光学系120はレンズ鏡筒110に組み込まれた複数のレンズ及び可変開口絞りにより構成され、可変開口絞りが前記開口調整装置1又は1Aの絞り羽根50によって形成される。
【0052】
前記撮像光学系120は、物体側から像面側へ順番に、光軸方向xに固定の第1レンズ群G1、光軸方向に可動であって変倍作用を担う第2レンズ群G2、光軸方向に固定の第3レンズ群G3、及び光軸方向に可動であって第2レンズ群G2の移動に伴う像面位置の変動を補正すると共に近距離合焦時に移動する第4レンズ群G4が配列されてズームレンズとして構成される。
【0053】
第1レンズ群G1はレンズ鏡筒110の前端部に固定され、第3レンズ群G3はレンズ鏡筒110のほぼ中間位置で固定される。
【0054】
第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との間で可動レンズ枠111がガイド軸112a、112bによってレンズ鏡筒110に光軸x方向に移動自在に支持され、該可動レンズ枠111に第2レンズ群G2が保持されている。また、レンズ鏡筒110には図示しないステッピングモータによって回転するリードスクリュー113が支持されており、前記可動レンズ枠111の一部111aが前記リードスクリュー113と噛合されている。従って、リードスクリュー113が回転すると、可動レンズ枠111のリードスクリュー113と噛合している部分111aが光軸x方向に送られ、従って、可動レンズ枠111及びそれに支持されている第2レンズ群G2は光軸方向xに移動される。
【0055】
第3レンズ群G3の後方の位置で可動レンズ枠114がガイド軸115a、115bによってレンズ鏡筒110に光軸x方向に移動自在に支持され、該可動レンズ枠114に第4レンズ群G4が保持されている。また、レンズ鏡筒110には図示しないステッピングモータによって回転するリードスクリュー116が支持されており、前記可動レンズ枠114の一部114aが前記リードスクリュー116と噛合されている。従って、リードスクリュー116が回転すると、可動レンズ枠114のリードスクリュー116と噛合している部分114aが光軸x方向に送られ、従って、可動レンズ枠114及びそれに支持されている第4レンズ群G4は光軸方向xに移動される。
【0056】
そして、前記開口調整装置1又は1Aが第3レンズ群G3の直後でレンズ鏡筒110に固定される。
【0057】
CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の個体撮像素子130がレンズ鏡筒110の後端部に固定され、その受光面にて撮像光学系120によって形成された光学像を受光するようになっている。
【0058】
前記光学像を電気的信号に変換した個体撮像素子130から出力される画像信号は、画像処理部140に送出され、この画像処理部140において所定の処理が行われる。画像処理部140は、制御等に必要な画像に関する情報を演算処理部150に送出したり、撮影画像をビューファインダーやモニター等に表示させ、或いは、ユーザーの操作指示に従って画像信号等を記録媒体に記録させる。なお、マイクロコンピューター等から成る演算処理部150は、制御部160に制御指令を送出し、該制御部160から第2レンズ群G2駆動用ステッピングモータ、第4レンズ群G4駆動用ステッピングモータ、開口調整装置1や1Aの駆動用モータ20等に制御信号が供給され、これによって、前記した各部が制御される。
【0059】
なお、前記した各実施の形態における各部の具体的形状や構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図2と共に本発明開口調整装置の第1の実施の形態を示すものであり、本図は全体を分解して示す斜視図である。
【図2】要部の正面図である。
【図3】図2の2点鎖線で囲んだ部分IIIを拡大して示す正面図である。
【図4】付勢部材の拡大正面図である。
【図5】付勢部材を別の位置に設置した変形例を示す要部の正面図である。
【図6】図7と共に付勢部材の変形例を示すものであり、本図は要部の正面図である。
【図7】付勢部材の拡大断面図である。
【図8】本発明開口調整装置の第2の実施の形態を示す要部の正面図である。
【図9】付勢部材の変形例を示す要部の正面図である。
【図10】本発明撮像装置の実施の形態を示す断面図である。
【図11】図12と共に開口調整装置における従来の問題点を説明するための図であり、本図は一部を省略して示す正面図である。
【図12】問題点を示す要部の正面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…開口調整装置、10…ベース部材、11a…透光用開口(開口)、11c…台状部(規制部)、30…付勢部材、40…駆動部材、50…絞り羽根、30A…付勢部材、11g…突部(規制部)、1A…開口調整装置、30B…付勢部材、36…マグネット、37…磁性体、100…撮像装置、120…撮像光学系、130…固体撮像素子(撮像素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備えた開口調整装置において、
前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を前記規制部に付勢する付勢部材とを設けた
ことを特徴とする開口調整装置。
【請求項2】
前記付勢部材が2箇所に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の開口調整装置。
【請求項3】
前記駆動部材の前記付勢部材によって付勢される2つの位置をそれぞれA、Bとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角AOBが180度未満である
ことを特徴とする請求項2に記載の開口調整装置。
【請求項4】
前記ベース部材に突部が2箇所形成され、一つの付勢部材によって前記駆動部材を前記2箇所の突部に当接させ、
前記付勢部材による付勢方向が、前記2つの突部の位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の開口調整装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、板バネ、線バネ、トーションバネ又はゴム状弾性体のいずれかによって形成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の開口調整装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、ベース部材及び駆動部材の一方に設けられたマグネット及び他方に設けられた磁性体によって構成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の開口調整装置。
【請求項7】
前記付勢部材は、ベース部材及び駆動部材の双方に各別に設けられたマグネットによって構成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の開口調整装置。
【請求項8】
撮像光学系と、前記撮像光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像光学系を介して前記撮像素子に到達する光の光量を調整する開口調整装置を備えた撮像装置であって、
前記開口調整装置は、開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備え、
前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を規制部に付勢する付勢部材とを設けた
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記付勢部材が2箇所に設けられ、
前記駆動部材の前記付勢部材によって付勢される2つの位置をそれぞれA、Bとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角AOBが180度未満である
ことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記ベース部材に突部が2箇所形成され、一つの付勢部材によって前記駆動部材を前記2箇所の突部に当接させ、
前記付勢部材による付勢方向が、前記2つの突部の位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内である
ことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項1】
開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備えた開口調整装置において、
前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を前記規制部に付勢する付勢部材とを設けた
ことを特徴とする開口調整装置。
【請求項2】
前記付勢部材が2箇所に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の開口調整装置。
【請求項3】
前記駆動部材の前記付勢部材によって付勢される2つの位置をそれぞれA、Bとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角AOBが180度未満である
ことを特徴とする請求項2に記載の開口調整装置。
【請求項4】
前記ベース部材に突部が2箇所形成され、一つの付勢部材によって前記駆動部材を前記2箇所の突部に当接させ、
前記付勢部材による付勢方向が、前記2つの突部の位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の開口調整装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、板バネ、線バネ、トーションバネ又はゴム状弾性体のいずれかによって形成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の開口調整装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、ベース部材及び駆動部材の一方に設けられたマグネット及び他方に設けられた磁性体によって構成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の開口調整装置。
【請求項7】
前記付勢部材は、ベース部材及び駆動部材の双方に各別に設けられたマグネットによって構成されている
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の開口調整装置。
【請求項8】
撮像光学系と、前記撮像光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、前記撮像光学系を介して前記撮像素子に到達する光の光量を調整する開口調整装置を備えた撮像装置であって、
前記開口調整装置は、開口に対して相対変位可能な複数の絞り羽根と、ベース部材と、前記ベース部材に対して回転可能に支持され、回転により前記複数の絞り羽根を開口に対して相対変位させて開口の大きさを変化させる駆動部材とを備え、
前記駆動部材を前記ベース部材に形成され駆動部材の回転中心を規制する規制部と駆動部材を規制部に付勢する付勢部材とを設けた
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記付勢部材が2箇所に設けられ、
前記駆動部材の前記付勢部材によって付勢される2つの位置をそれぞれA、Bとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角AOBが180度未満である
ことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記ベース部材に突部が2箇所形成され、一つの付勢部材によって前記駆動部材を前記2箇所の突部に当接させ、
前記付勢部材による付勢方向が、前記2つの突部の位置をそれぞれC、Dとし、駆動部材の回転中心をOとしたとき、角CODの範囲内である
ことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−199578(P2007−199578A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20465(P2006−20465)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(593137554)株式会社東京マイクロ (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(593137554)株式会社東京マイクロ (23)
【Fターム(参考)】
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