説明

開存卵円孔の治療装置

【課題】開存卵円孔の治療装置を提供する。
【解決手段】開存卵円孔の治療装置30であって、該装置は、近位端および遠位端を設けた細長いカテーテル本体部と、カテーテル本体部の遠位部分に配置され、開存卵円孔の組織に接触して、開存卵円孔を閉鎖するようにエネルギを伝達する少なくとも一のエネルギ伝達要素と、開存卵円孔へのエネルギ搬送を促進するようにエネルギ伝達要素の遠位に配置され、開存卵円孔を通って左心房から右心房側に後退しようとすると組織に係止する戻り止めとを備えている、ことを特徴とする装置30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、以下の米国仮特許出願:60/458,854(代理人整理番号022128−000100US)(2003年3月27日に出願された);60/478,035(代理人整理番号022 128−000110US)(2003年1月11日に出願された)、および60/49008(代理人整理番号022128−000120US)(2003年7月24日に出願された)(これらの全開示は、本明細書中において参考として援用される)に対して優先権を主張する。本出願は、以下の米国特許出願番号:10/665974(代理人整理番号022128−000300US)(2003年9月16日に出願された);10/679245(代理人整理番号022128−000200US)(2003年10月2日に出願された);10/787532(代理人整理番号022128−000130US)(2004年2月25日に出願された)に関連するが、これらの全開示は、本明細書中において参考として援用されている。
【0002】
本発明は、概略的には、医療デバイスおよび方法に関する。詳細には、本発明は、卵円孔開存を治療するためのエネルギを利用するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
胎児の血液循環は、成人の循環とは大きく異なる。胎児の血液は、胎児の肺ではなく胎盤により酸素付加されるため、血液は、一般に、多数の血管、および胎児の間は開存(つまり開放)しており誕生直後に閉鎖する孔を通って肺から周辺組織にバイパスされる。たとえば、胎児血液は、右心房から直接卵円孔を通過して左心房に達し、肺動脈を循環する血液の一部分は、動脈管を通過して大動脈に達する。この胎児循環を添付の図1に示す。
【0004】
誕生して、新生児が呼吸を開始すると、左心房の血圧は、右心房の血圧より上昇する。殆どの新生児の場合、組織弁が卵円孔を閉鎖し一緒に癒着する。米国では毎年約20,000人の新生児に組織弁が欠けており、孔が心房中隔核欠損症(ASD)として開放した状態になっている。母集団のさらに多くの割合では(概算は、母集団全体の5%〜20%)、弁は存在するが、一緒に癒着していない。この状態は、卵円孔開存(PFO)として知られている。右心房の圧力が左心房の圧力より上昇すると、血圧は、この開存チャネルを押して開放し、血液が右心房から左心房に流れることを可能にする。
【0005】
開存卵円孔は、長年、身体の循環には一般に殆ど影響しないため、比較的良性の状態であると考えられてきた。しかし、最近になって、著しい数の脳梗塞は、少なくとも一部はPFOが原因であることが分かった。PFOによって小さい血栓を含む血液が、血栓が補足され徐々に溶解する可能性がある肺ではなく、静脈循環から直接動脈循環に流れるために、脳梗塞が生じることがある。血栓は、PFO自体の開存チャネル内に形成し、圧力により、血液が右心房から左心房に流れる時に溶解する。既に原因不明の脳梗塞を起こしたPFO患者は、再び脳梗塞を起こすリスクが毎年4%であると推定されている。
【0006】
PFOと脳梗塞との関連性について、現在さらに研究が行われている。現在のところ、PFOを有する人が2回以上の脳梗塞を起こした場合、米国ヘルスケアシステムは、PFOを決定的に閉鎖するための外科的またはその他の介入手順を補償する。しかし、より予防的な方法は、PFOを閉鎖して、予想される脳梗塞の発生を防止する上で是認される。しかし、PFOによる事象率は比較的低いため、こうした手順のコスト、潜在的な副作用および合併症は低くなければならない。たとえば、比較的若い患者の場合、PFOは、時間が経つと自然に閉鎖し、健康に悪影響を及ぼすことはない。
【0007】
もう1つのきわめて一般的且つ消耗させる症状である、慢性的な偏頭痛も、PFOと関連していた。正確な関連性はまだ説明されていないが、PFOの閉鎖は、多くの患者偏頭痛を緩和または著しく減少させることが分かった。やはり、慢性偏頭痛を治療するための予防的なPFOの閉鎖は、比較的非侵襲性の処置が可能であれば、是認される。
【0008】
PFOに関して現在行われている介入療法は、一般にかなり侵襲的であり、および/または潜在的な欠点を有する。1つの方法は、心臓弁の外科手術など、他の目的のための心臓切開外科手術時にPFOを単に閉鎖することである。これは、一般に、PFOを横断して1つまたは2つの縫い目を配置し、血管を縫合するという単純な処置で行うことができる。しかし、純粋に無症候PFOまたは非常に小さいASDを閉鎖するために心臓切開外科手術を行うことが是認されることは非常に難しい。
【0009】
PFOを経皮的に閉鎖するための多くの介入デバイスも提案され、開発された。これらのデバイスの殆どは心房中隔欠損(ASD)閉鎖デバイスと同じか、または類似する。こうしたデバイスは、一般に、「2枚貝の貝殻」または「二重の傘」状のデバイスであり、このデバイスは、金属メッシュまたは布帛の領域(たとえばePTFEまたはダクロン)を、中心軸要素を使って一緒に保持した心房中隔の各々の側に展開する。次に、この傘は、心房中隔内に癒着し、癒着反応により、デバイス上に均一な組織層または「パンヌス」が形成される。こうしたデバイスは、たとえば、ニチノール・メディカル・テクノロジーズ・インク(Nitinol Medical Technologies,Inc.)、マサチューセッツ州、ボストン)およびAGAメディカル・インク(AGA Medical,Inc.)(ミネソタ州、ホワイトベアレーク)などの会社により開発された。米国特許6,401,720号には、PFOの治療に使用される心臓内胸腔鏡手術の方法および装置が記載されている。
【0010】
接着部材を設けたバルーンを備えているカテーテルの使用は、特に興味深いものとして、血栓形成の領域の原因となるPFOの内面を剥離するために提案されてきた。米国特許第5,919,200号を参照のこと。時間経過とともに、この領域は瘢痕を生じ、PFOを閉鎖するものと予測される。これ以外の興味のある特許としては、米国特許第6,056,760号、第6,482,224号、および、6,702,835号と、PCT出願公開番号WO98/0375号がある。興味のある公開特許出願としては、米国特許出願公開番号第2003/0045893号および第2003/0225421号と、PCT出願公開番号WO03/053493号およびWO03/082076号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
利用できる装置は場合によってはうまく作用することもあるが、これら装置は多数の取り組むべき課題に直面している。例えば、比較的頻繁に発生する悪い事態として、不適切な装置配備、装置が循環系を塞栓してしまうこと、装置の破損などがある。場合によっては、配備済みの装置が中隔壁の中まで完全に癒すことなく、露出したままの組織を残存させ、装置そのものが血栓形成の発生場所となってしまうことがある。更に、現在入手できる装置は一般的に複雑で製造価格が高く、これら装置をPFOの予防治療のために使用することを実現不可能にしている。更に、現在入手できる経皮挿入型のカテーテルを利用して、PFOの管腔にカテーテルまたはガイドワイヤを直接挿入することも困難なことがある。
【0012】
よって、PFO治療の改良法および改良装置を作成することは有利となる。かかる方法および装置は、体内に外来異質素材を殆どまたは全く残存させずに、PFOを閉鎖するのに役立つのが理想である。更に理想を言えば、かかる方法および装置は製造および使用が比較的簡単であるため、脳梗塞防止を目的とした場合など、PFOの予防治療を見込みのある選択肢にすることである。PFOにカテーテルを通す必要なしに、PFOの閉鎖を実施することができる装置を製造することも有利である。このような目的の少なくとも幾つかは、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開存卵円孔(PFO)の治療法および治療装置は一般にカテーテルの使用を含み、カテーテルの遠位端に治療手段が設けられている。実施形態によっては、治療手段は、PFOに隣接している組織を剥離してPFOの閉鎖を誘導するために使用される一または二以上の引込み可能な剥離針を備えている。実施形態によっては、治療手段は代替的に、または、追加として、高周波伝達部材、超音波伝達部材、マイクロウエーブ伝達部材、レーザ伝達部材、極低温エネルギ伝達部材などのエネルギ伝達部材を備えてもよい。それ以外の実施形態では、治療手段は、流体を分配して、PFOに接触してPFOを閉鎖するための一または二以上の開口部を設けてもよい。
【0014】
幾つかの実施形態では、治療手段は一または二以上の閉鎖装置を備えており、その具体例として、一または二以上のクリップ、ステープル、貼布、自己閉鎖式取付け部材、螺旋状針などがある。閉鎖装置のなかには、少なくとも一部がPFOの内側に置かれて、PFOの両側で組織に横方向の力を供与することで、PFOの両側の組織を接合させるものもある。任意で、エネルギを利用して、かつ/または、エネルギ介在型のはんだまたは組織接着剤を利用して、閉鎖装置を移植してもよい。任意で、閉鎖装置は生体分解性であってもよいし、生体非分解性の素材から形成されていてもよい。具体的な装置では、搬送カテーテルは左心房に設置されて作動面を設けることで閉鎖装置配備を容易にする戻り止めを有していることもある。戻り止めは、PFOの閉鎖後は取出すことができる。
【0015】
本発明の方法は一般に、カテーテルを前進させて、その遠位端をPFO付近に位置決めする工程と、治療手段を使用して多用な方法のうちのどれか1つでPFOを閉鎖する工程を含んでいる。第1の実施形態では、一または二以上の剥離針またはそれ以外の剥離素子を使用して、PFOに隣接している組織を剥離し、或いは、それ以外の方法で同組織に外傷を加え、PFOの閉鎖を誘発させている。別な実施形態では、PFOは、エネルギを利用して、かつ/または、はんだまたは組織接着剤を利用して任意で組織に固定される閉鎖装置を使って閉鎖される。閉鎖装置は、PFOを物理的に覆う栓部材であればよい。代替例として、装置はPFOを捕らえて閉鎖するように、自己閉鎖型のものであってもよい。
【0016】
一態様では、開存卵円孔の治療法は、近位端、遠位端、および、遠位端付近の少なくとも1本の剥離針を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通して前進させ、開存卵円孔に隣接した位置に遠位端を設置する工程と、複数の剥離針をカテーテルから露出させる工程と、開存卵円孔を通って露出させられた剥離針を前進させる工程と、開存卵円孔に相関的に剥離針を後退させて、開存卵円孔に隣接している組織の少なくとも一部を剥離させる工程とを含んでいる。実施形態によっては、カテーテルを前進させる工程は、患者の大腿静脈、回腸静脈、下位大静脈、上腕静脈、軸静脈、鎖骨下静脈、および、上位退場脈のうちの少なくとも1本を通して前進させる処置を含んでいる。実施形態によっては、カテーテルを前進させる工程は、ガイドワイヤ上を伝って前進させる処置を含んでいる。
【0017】
実施形態によっては、剥離針を露出させる工程は、カテーテルのカテーテル本体部を後退させて、カテーテルの遠位端またはその付近でカテーテル本体部の開口から外へ針を露出させる工程を含んでいる。これに代わる例として、剥離針を露出させる工程は、カテーテル本体部に相関的に針を前進させる処置を含んでいる。実施形態によっては、剥離針を前進させる工程は、PFOに直ぐ隣接している組織に少なくとも1本の針を通す処置を含んでいる。剥離針を前進させる工程は、多様な実施形態において、カテーテルに相対的に針を前進させる処置、カテーテルそのものを前進させて針を前進させる処置、カテーテルと針の両方ともを前進させる処置などを含んでいてもよい。或る実施形態では、剥離針を引っ込める工程は、針の鋸歯状端縁を用いて、開存卵円孔の少なくとも一部を剥離する処置を含んでいる。いずれの実施形態にせよ、剥離針は、所望の回数だけ何度でも、後退させられ、前進させられてもよい。任意で、どの実施形態であれ、一または二以上の視覚化装置を利用して、PFOおよび/またはPFOの周囲の組織を視覚化する処置を含んでいてもよい。
【0018】
また別な態様では、PFOを治療する方法は、近位端、遠位端、および、遠位端付近の少なくとも1本の剥離針を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通って前進させて、PFOに隣接した位置に遠位端を設置する工程と、カテーテルから少なくとも1本の剥離針を露出させる工程と、少なくとも1本の露出させられた剥離針をPFOに隣接している心臓壁組織を通って前進させるにあたり、例えば、二次中隔の組織および/または一次中隔の組織を通して前進させる工程と、少なくとも1本の剥離針を組織に相対的に後退させて、組織の少なくとも一部を剥離する工程とを含んでいる。この方法は、上述の任意の工程および任意の素子のいずれを含んでいてもよい。
【0019】
また別な態様では、開存卵円孔の治療法は、近位端、遠位端、および、遠位端付近の少なくとも1本の剥離針を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通って前進させ、PFOに隣接した位置に遠位端を設置する工程と、第1の剥離針をカテーテルから露出させて、露出された第1の剥離針がPFOの少なくとも一部を通って延びるようにする工程と、少なくとも第2の剥離針をカテーテルから露出させて、露出された第2の剥離針がPFOを通って延びるようにする工程と、第1の剥離針および第2の剥離針をPFOに相対的に後退させて、PFOに隣接している組織の少なくとも一部を剥離する工程とを含んでいる。任意で、この方法は、第3の剥離針をカテーテルから露出させて、露出された第3の剥離針がPFOを通って延びるようにする工程と、第3の剥離針をPFOと相対的に後退させて、開存卵円孔に隣接している組織の少なくとも一部を剥離する工程とを更に含んでいてもよい。この方法は、第4の剥離針をカテーテルから露出させて、露出された第4の剥離針がPFOを通って延びるようにする工程と、第4の剥離針をPFOに相対的に後退させて、PFOに隣接している組織の少なくとも一部を剥離する工程とを更に含んでいてもよい。ここでも、上述の特徴、工程、または、素子のいずれでも、この方法に適用させることができる。
【0020】
別な態様では、PFOの治療法は、近位端、遠位端、および、遠位端付近のエネルギ伝達部材を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通して前進させ、PFOに隣接している位置に遠位端を設置する工程と、エネルギ伝達部材からのエネルギを伝達して、PFOに隣接している組織を接合させることで、PFOの閉鎖を誘発する工程とを含んでいる。伝達されるエネルギには、例えば、レーザエネルギ、高周波エネルギ、超音波エネルギ、マイクロウエーブエネルギ、極低温エネルギ、冷却によるエネルギの除去などがある。閉鎖は、エネルギの印加により直ちに効果をみせることもあれば、エネルギの印加後の治癒の結果として副次的に効を奏することもある。実施形態によっては、エネルギ伝達部材は、前進させられてPFOに隣接している組織に入る針を備えていてもよい。このような実施形態の或るものについては、針は、エネルギ印加の前に組織に接合させるような態様で搬送されてもよい。
【0021】
別な態様では、PFOの治療法は、近位端、遠位端、および、遠位端付近の少なくとも一の開口を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通して前進させ、PFOに隣接している位置に遠位端を設置する工程と、少なくとも1種類の液体を少なくとも一の開口から分配して、PFO隣接している組織に接触させることで、PFOの閉鎖を誘発する工程とを含んでいる。この液体は、具体的には、生体適合性の液体であればよいが、酸や接着剤などが挙げられる。実施形態によっては、この方法は、バルーンやそれ以外の遠位端に隣接している部材を膨張させて、血流から心房中隔の領域を隔絶することで、PFOの付近に液体が存在している時間を長くする処置を含んでいるものもある。
【0022】
本発明の別な態様では、心臓の開存卵円孔の治療法は、近位端および遠位端を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通して前進させ、開存卵円孔に隣接している位置に遠位端を設置する工程と、閉鎖装置の少なくとも一部を開存卵円孔を通して搬送し、開存卵円孔の閉鎖を誘発させる工程とを含んでいる。この方法では、開存卵円孔の内側に配置された閉鎖装置の一部が開存卵円孔の両側の組織に横方向の力を供与し、開存卵円孔の両側の間の組織を接合させる。任意で、この方法はエネルギを伝達する工程を更に含んでいるが、エネルギの具体例としては、レーザエネルギ、高周波エネルギ、超音波エネルギ、マイクロウエーブエネルギ、極低温エネルギ、または、冷却によりカテーテルからエネルギを除去して開存卵円孔に閉鎖装置を固定させること等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
また任意で、この方法は、閉鎖装置が収縮して孔開存部を閉鎖することができるようにする工程を含んでいてもよい。実施形態によっては、この方法は、閉鎖装置が配備されると、左心房に戻り止め装置を設置する工程を含んでいる。実施形態によっては、エネルギによって硬化されて、閉鎖装置を組織に接着させる組織はんだ材料を搬送する工程を含んでいるものもある。これ以外の実施形態は、遠位端付近でカテーテル装置と連結された拡張可能バルーンを膨張させて、開存卵円孔の内側に閉鎖装置を配備する工程を含んでいるようにしてもよい。
【0024】
実施形態によっては、閉鎖装置を搬送する工程は、閉鎖装置の左心房部をカテーテル装置から放出させて、その部分を心臓の左心房の内側から開存卵円孔に隣接している組織に接触させるようにする工程と、閉鎖装置の右心房部をカテーテル装置から放出して、その部分を心臓の左心房の内側から開存卵円孔に隣接している組織に接触させるようにする工程とを含んでいる。このような実施形態では、閉鎖装置の架橋部が左心房部と右心房部の間の開存卵円孔を通って延びており、開存卵円孔の両側の組織に横方向の力を供与する。実施形態によっては、左心房部は右心房部より先に放出されるが、別な実施形態では、右心房部が左心房部よりも先に放出される。実施形態によっては、カテーテル装置を使うことで、開存卵円孔から閉鎖装置を取出す工程と、閉鎖装置の少なくとも一部が開存卵円孔を通って開存卵円孔に隣接している組織と接触状態になる位置に再設置し直す工程とを更に含んでいる。実施形態によっては、閉鎖装置を取り除く工程は、閉鎖装置の上を伝ってカテーテル装置を前進させ、閉鎖装置を真直ぐにする工程と、カテーテル装置を後退させて、開存卵円孔から閉鎖装置を取出す工程とを含んでいる。実施形態によっては、左心房部は右心房部より先に真直ぐにされるが、別な実施形態では、右心房部が左心房部よりも先に真直ぐにされる。
【0025】
本発明の別な態様では、開存卵円孔の治療法は開存卵円孔の内側に閉鎖装置の少なくとも一部を配備する工程と、開存卵円孔内に配備された閉鎖装置の部分を使って、開存卵円孔の両側の組織に横方向の左右両方向の力を供与することで、開存卵円孔の両側の間に位置する一次中隔と二次中隔を互いに接触させるようにした工程とを含んでいる。任意で、この方法はまた、一次中隔と二次中隔の間の接触を維持するための少なくとも一の装置を設置する工程を含んでいてもよい。かかる装置は、任意で、一次中隔と二次中隔の間の接触を維持するようにエネルギを供与する工程を更に含んでいる。実施形態によっては、組織はんだを導入して、一次中隔と二次中隔の間の接触を維持するようにしてもよい。
【0026】
本発明のもう1つの態様では、心臓の開存卵円孔の治療法は、近位端および遠位端を有しているカテーテル装置を患者の血管系を通して前進させて、開存卵円孔に隣接している位置に遠位端を設置する工程と、カテーテルから自己閉鎖型の閉鎖装置を搬送して、開存卵円孔に隣接している組織に接合させる工程とを含んでいる。この方法では、搬送されてきた自己閉鎖型の閉鎖装置が閉じて、開存卵円孔に隣接している組織を接合させる。例えば、実施形態によっては、自己閉鎖型の閉鎖装置を搬送する工程は、自己閉鎖型ステントに連結されている多数の組織取付け部材を組織内へと移動させる処置を含んでいる。
【0027】
別な態様では、開存卵円孔の治療法は、心臓の卵円孔の縁に閉鎖装置を取付ける工程と、閉鎖装置の一部をその縁から垂らして、開存卵円孔の開口部を被覆させる工程とを含んでいる。かかる方法は、閉鎖装置を固定するようにエネルギを供与する工程を、任意で更に含んでいる。
【0028】
本発明の別な態様では、心臓の開存卵円孔の治療法は、細長いカテーテル装置を開存卵円孔の付近の一次中隔組織を通して前進させる工程と、引込み可能な搬送アームをカテーテル装置から調節するにあたり、ユニバーサルジョイントによって搬送アームをカテーテル装置の遠位端に連結する工程と、カテーテル装置を操作して、螺旋状の針を搬送アームから開存卵円孔に隣接している組織の中に配備することで、組織に接合する工程とを含んでいる。実施形態によっては、螺旋状の針は、一次中隔組織と二次中隔組織を通して配備される。カテーテル装置を操作する工程は、例えば、装置をその長軸線を中心として回転させたり捩じったりする処置を含んでいるようにしてもよい。
【0029】
また別な態様では、PFOの治療装置が、近位端および遠位端を有している細長いカテーテル本体部と、針全体がカテーテル本体部の内側におかれる引込み位置と、針の少なくとも一部が遠位端に隣接した位置にあるカテーテル本体部の開口を通って延びている配備位置との間で移動可能な少なくとも1本の引込み可能な剥離針とを備えている。実施形態によっては、カテーテル本体部はガイドワイヤ上を通ることができる。また、幾つかの実施形態では、少なくとも1本の引込み可能な剥離針は、PFOに隣接している組織を剥離させる少なくとも1本の鋸歯状端縁を備えている。任意で、少なくとも1本の引込み可能な剥離針は多数の針から構成されている。実施形態によっては、多数の針は各々がカテーテル本体部の中へ個別に後退させられる。また、幾つかの実施形態では、少なくとも1本の引込み可能な剥離針はカテーテル本体部と相対的な運動を行い、開存卵円孔部を通して少なくとも1本の針を通したり、卵円孔を通して針を引っ込めたりすることができる。実施形態によっては、この装置はPFOの視覚化を容易にする視覚化装置を備えていてもよい。
【0030】
別な態様では、PFOの治療装置は、近位端および遠位端を有している細長いカテーテル本体部と、遠位端に隣接した位置でカテーテル本体部に連結されてエネルギを伝達することでPFOに隣接している組織を接合させ、PFOの閉鎖を誘発する少なくとも一のエネルギ伝達部材とを備えている。上述のように、エネルギ伝達部材はどのような好適な形態のエネルギを伝達してもよく、具体的には、レーザエネルギ、高周波エネルギ、超音波エネルギ、マイクロウエーブエネルギ、または、極低温エネルギが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、PFOの内部まで、または、PFOに隣接した位置にエネルギを搬送する装置は一または二以上の針を備えており、これら針をカテーテル本体部と相対的に運動するようにしてもよいし、また、鋸歯状にしてもよいし、鋸歯状でなくてもよい。このような実施形態のうちの或るものでは、針はエネルギを搬送するのに加えて、PFOの組織を接合させるように設計されていてもよい。
【0031】
別な態様では、PFOの治療装置は、近位端および遠位端を有している細長いカテーテル本体部と、遠位端に隣接した位置にあって、少なくとも1種類の液体を分配してPFOに隣接している組織に接触させることで、PFOの閉鎖を誘発するカテーテル本体部の少なくとも一の開口とを備えている。上述のように、どのような好適な液体が利用されてもよいが、具体的には、酸や接着剤のような生体適合性の液体が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、この装置は膨張可能なバルーンやそれ以外の手段を備えていてもよく、これらはカテーテルの遠位先端部に隣接した位置にあって、心房中隔の領域を血流から隔絶することで、PFOの領域に液体が駐留する時間を長くする。
【0032】
本発明のまた別な態様では、PFOの治療装置は、近位端および遠位端を有している細長いカテーテル本体部と、カテーテル本体部から配備できる少なくとも一の閉鎖装置とを備えている。詳細には、閉鎖装置はPFOに隣接している組織に装着されて自己閉鎖し、組織を互いに接合させる。実施形態によっては、閉鎖装置は生体分解性である。実施形態によっては、閉鎖装置は複数の組織取付け部材に連結された拡張可能な自己閉鎖型のステントを備えており、組織取付け部材の具体例として組織穿刺針を挙げることができるが、これに限定されるわけではない。実施形態によっては、閉鎖装置はPFOの内側に延びる部分が設けられており、これがPFOの両側の組織に横方向の力を供与することで、PFOの両側の間の組織を一緒に接合する。カテーテル本体部はガイドワイヤの上を伝うように通すことができる。任意で、各実施形態は、遠位端付近でカテーテル本体部に連結されて、PFOとPFOの周囲の組織を視覚化する少なくとも一の視覚化装置を任意で有していてもよい。実施形態によっては、遠位端に隣接した位置でカテーテル本体部に連結されてエネルギを伝達し、PFOに隣接している組織を互いに接合させる少なくとも一のエネルギ伝達部材を備えていてもよい。どのような好適なエネルギが使用されてもよい。
【0033】
別な態様では、PFOの治療装置は、第1の寸法から、PFOの組織に係合するようなサイズに設定された第2のより大きい寸法まで拡張することができるクリップを備えている。より大きい寸法のクリップはPFOの両側の組織に横方向の力を供与することで、PFOの両側の間の組織を一緒に接合する。また、クリップは元の第1寸法まで復帰することができるようにしてもよいし、復帰させられるようにしてもよい。
【0034】
別な態様では、PFOの治療装置は、近位端および遠位端を有している細長いカテーテル本体部と、遠位端と連結されてPFOの両側に横方向の力を供与することで、PFOの両側の間の組織を互いに接触状態にする少なくとも一の力供与部材とを備えている。実施形態によっては、遠位端は、横方向に偏向されてPFOの縁を互いに嵌合させる少なくとも2本のアームを備えている。これに代わる例として、或いは、これに追加して、遠位端は取外し自在な閉鎖装置を備えていてもよい。遠位端はまた、任意で、エネルギ搬送手段を備えていてもよい。かかる実施形態は、組織はんだ、または、接着剤を搬送する手段を更に備えていてもよい。この装置はまた、閉鎖装置を搬送する手段を備えていてもよい。例えば、閉鎖装置は少なくとも一のステープル、クリップ、組織はんだ、接着剤などであればよい。
【0035】
別な態様では、PFOの治療装置はPFOの卵円孔の縁への取付けを実施する取付け部材と、取付け部材に連結されて縁から張出してPFOの開口部を覆うカバー部材とを備えている。実施形態によっては、カバー部材は支持構造体と支持構造体を覆うメッシュ材とを備えている。支持構造体は、例えば、多数のニチノールループのようなワイヤフレームを備えていてもよい。実施形態によっては、エネルギが印加されて、卵円孔の縁および/またはそれ以外の、PFOに隣接している組織に装置を固定する。任意で、この装置は、組織はんだまたは接着剤を導入する手段を更に備えている。実施形態によっては、取付け部材は、卵円孔の縁の組織を突き刺すような構造にされる。或る実施形態では、取付け部材は互いに向かい合わせにすることができる顎部を備えている。
【0036】
本発明の別な態様では、開存卵円孔の治療装置は、開存卵円孔に隣接している一次中隔組織を突き刺すような構成の細長いカテーテルと、ユニバーサルジョイントで細長いカテーテルの遠位端と連結されている引込み可能な搬送アームと、引込み可能な搬送アームと連結され、該アームから配備することができる螺旋状の針とを備えている。カテーテルを回転させることで、開存卵円孔に隣接している組織の中に螺旋状の針を配備する。例えば、実施形態によっては、螺旋状の針は一次中隔組織と二次中隔組織を突き刺して一次中隔と二次中隔を一緒に接合させるような構造になっている。
【0037】
上記態様および実施形態、更に、それ以外の態様および実施形態を、添付の図面を参照しながら、後段で詳細に説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】胎児の循環系の図である。
【図2】本発明の実施形態による針を設けたカテーテル装置において、カテーテルが下大静脈および右心房を通り、更に開存卵円孔を通るのを例示した図である。
【図3】本発明の実施形態による多数の針を設けたカテーテル装置において、カテーテルが下位大静脈および右心房を通り、更に開存卵円孔を通るのを例示した図である。
【図4】本発明の一実施形態によるエネルギ伝達部材を設けたカテーテル装置において、カテーテルが下位大静脈および右心房を通り、開存卵円孔に隣接した位置に末端作動体を設置したのを例示した図である。
【図5】本発明の一実施形態による液体を分配する装置を設けたカテーテル装置において、カテーテルが下位大静脈および右心房を通り、開存卵円孔に隣接した位置に末端作動体を設置したのを例示した図である。
【図6A】本発明の一実施形態によるPFO治療用の戻り止めおよび膨張可能部材を設けたカテーテル装置を例示した図である。
【図6B】本発明の一実施形態によるPFO治療用の戻り止めおよび膨張可能部材を設けたカテーテル装置を例示した図である。
【図7A】本発明の一実施形態による「山高帽状の」PFO閉鎖部材を設けたカテーテル装置を例示する図である。
【図7B】本発明の一実施形態による「山高帽状の」PFO閉鎖部材を設けたカテーテル装置を例示する図である。
【図7C】本発明の一実施形態による「山高帽状の」PFO閉鎖部材を設けたカテーテル装置を例示する図である。
【図7D】図7Aから図7Cの山高帽状の部材のロック機構を例示した図である。
【図7E】図7Aから図7Cの山高帽状の部材のロック機構を例示した図である。
【図8】本発明の一実施形態によるPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図9A】本発明の一実施形態による別なPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図9B】本発明の一実施形態による別なPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図9C】本発明の一実施形態による別なPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図10A】本発明の一実施形態によるPFO閉鎖装置の搬送用カテーテルを例示した図である。
【図10B】本発明の一実施形態によるPFO閉鎖装置の搬送用カテーテルを例示した図である。
【図10C】本発明の一実施形態によるPFO閉鎖装置の搬送用カテーテルを例示した図である。
【図11A】本発明の一実施形態によるPFO閉鎖装置の自己閉鎖型ステントを例示した図である。
【図11B】本発明の一実施形態による自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図11C】本発明の一実施形態による自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図11D】本発明の一実施形態による自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図11E】本発明の一実施形態による自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図11F】本発明の一実施形態による自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図12A】本発明の一実施形態による、また別な自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図12B】本発明の一実施形態による、また別な自己閉鎖型ステントPFO閉鎖装置を例示した図である。
【図13A】本発明の一実施形態による貼布PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図13B】本発明の一実施形態による貼布PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図14A】本発明の一実施形態による「魚口」PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図14B】本発明の一実施形態による「魚口」PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図15A】本発明の一実施形態による魚口PFO閉鎖装置の代替の実施形態を例示した図である。
【図15B】本発明の一実施形態による魚口PFO閉鎖装置の代替の実施形態を例示した図である。
【図16A】本発明の一実施形態によってクリップを適用した魚口PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図16B】本発明の一実施形態によってクリップを適用した魚口PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図16C】本発明の一実施形態によってクリップを適用した魚口PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図17A】本発明の一実施形態によってクリップを適用した魚口PFO閉鎖装置の代替の実施形態を例示した図である。
【図17B】本発明の一実施形態によってクリップを適用した魚口PFO閉鎖装置の代替の実施形態を例示した図である。
【図18】本発明の一実施形態によるPFOクリップを例示した図である。
【図19】本発明の別な実施形態によるPFOクリップを例示した図である。
【図20】本発明の別な実施形態によるPFOクリップを例示した図である。
【図21】本発明の別な実施形態によるPFOクリップを例示した図である。
【図22A】本発明の一実施形態による卵円孔の縁に取付けるためのPFO閉鎖貼布装置を例示した図である。
【図22B】本発明の一実施形態による卵円孔の縁に取付けるためのPFO閉鎖貼布装置を例示した図である。
【図23A】本発明の一実施形態による螺旋状針PFO閉鎖装置を例示した図である。
【図23B】本発明の一実施形態による螺旋状針PFO閉鎖装置を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の方法および装置は、一般的に、開存卵円孔(PFO)に隣接する組織を治療して、孔を閉鎖する。この方法および装置は、通例、患者の血管系を通して前進させることのできるカテーテル装置を備えており、カテーテル装置はその遠位端がPFOの付近の位置に設置され、処置を行うようにしている。カテーテル装置の遠位端またはその付近に配置された治療手段を利用して、PFOの周囲の心臓壁組織の少なくとも一部を治療し、PFOを閉鎖させる。多くの実施形態では、治療手段を利用してPFOの周囲の組織に外傷を生じさせ、次いで、この外傷が、PFOを閉鎖させる反応を組織に誘発させる。一実施形態では、治療手段は、鋸歯状端縁のような少なくとも一の剥離面を設けた一または二以上の剥離針を備えている。このような針はカテーテルの本体内に引っ込めることができる(そして、カテーテル本体部の外へ張り出させることができる)。別な実施形態では、治療手段はエネルギ伝達手段を有していてもよく、具体的には、レーザ送信機、超音波送信機、高周波(RF)送信機、マイクロウエーブ送信機などが挙げられる。また別な実施形態では、治療手段は、PFOの閉鎖を誘発するように調製された液体を分配するための、カテーテルの遠位端またはその付近に設けられた一または二以上の開口を備えていてもよい。
【0040】
ここで図2を参照すると、引込み可能な剥離針12を設けたカテーテル10の一実施例がPFO治療の位置にあるのが例示されている。一実施形態では、カテーテル10は、シースおよび/またはそれ以外の導入装置を利用して、大腿静脈や下位大静脈などを介して経皮的に導入される。一般に、カテーテル10の多様な実施形態は好適な血管系またはそれ以外の好適な経路を介して導入することができるが、具体例として、上腕静脈、鎖骨下静脈、回腸静脈、上位大静脈などが挙げられる。実施形態によっては、カテーテル10は可動ガイドワイヤの上を伝わせて前進させることができるが、ガイドワイヤは例えば、直径の範囲が約0.038インチから約0.014インチの標準ガイドワイヤである。通例(必らずしもというわけではないが)、針12は引っ込めることが可能であるため、カテーテル10の本体部の内側の引込み位置に針12を入れることで、カテーテル10は前進させることができる。カテーテル10の遠位端が使用位置にくると、針12はカテーテル本体部の遠位端またはその付近の開口部を通って伸張させることができる。
【0041】
針12は、伸張させられると、PFOに隣接している組織を剥離するために使用される。或る実施形態では、針12は事前成形されたブロッケンブラウ針に類似しているのがよく、これは、隔壁横断穿孔を設けるために広く利用されている。針12は組織を剥離させるのにどのような好適な手段を備えていてもよい。例えば、実施形態によっては、針12は鋸歯状、歯状、紙やすり状の素材のような剥離素材で覆われた状態などにした1つ以上の面または端縁を備えていることがある。別な実施形態では、針12の表面は、PFOの周囲の心房中隔の組織に接触すると、PFO閉鎖に導く反応を組織に引き起こす薬剤または化学物質で覆われているのがよい。一般に、針12はPFOを通って移動させられ、かつ/または、PFOに隣接している組織を通って移動させられてから、PFOおよび/または組織を通して引き戻されて、剥離を実施する。場合によっては、PFOそれ自体を通して針12を伸張させることも可能であるが、別な実施形態では、PFOの位置探索をし、かつ/または、孔を通して針12を伸張させるのが困難な場合もある。この後者のような事例では、針12をPFOに隣接している心房中隔の組織を通して伸張させてから、後退させて、所望の剥離を生じるようにしてもよい。従って、PFOそれ自体を通して針12を設置することは、必ずしも必要ではない。PFOおよび/またはPFOに隣接している組織を通して針12を、所望される回数だけ前進させたり引っ込めることで、所望量の組織剥離を達成することができるのは明らかである。場合によっては、医者が一または二以上の視覚化技術を利用して、所望レベルの剥離がいつ達成されたかを判定するような剥離プロセスの進行状況を査定するようにしてもよい。
【0042】
カテーテルの近位端は図2に例示されていないが、これはどのような好適な構成にされていてもよく、また、どのようなタイプの、また、いかなる個数のアクチュエータを備えていてもかまわない。例えば、一または二以上の針12を使用する実施形態では、針12を前進させ、かつ/または、引っ込めるのに、通例は、カテーテル10の近位端またはその付近に少なくとも一のアクチュエータを設けることになる。多数の針12を設けた実施形態では、針は別個のアクチュエータを介して個別に前進および引っ込めることができ、また、多様な実施形態において共通のアクチュエータにより、多数の針が一緒に前進および引っ込めることができる。カテーテル10の近位端の上記以外の機能として、ガイドワイヤポート、一又は二以上の液体を導入するポート、カテーテルをエネルギ源と連結する手段などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
【0043】
一般に、PFOおよび/またはPFOに隣接している組織を通して、または、それらを横断して針12を移動させるのに、どのような好適な手段を用いてもかまわない。実施形態によっては、上述のように、例えば、近位アクチュエータを利用して、カテーテル10に相対的に針12を後退させたり前進させたりすることで、カテーテル10のカテーテル本体部に相関的に針12を移動させることができる。別な実施形態では、カテーテル10を前進および引っ込めるだけで、PFOを横断して、また、PFOを通して、針12を移動させることができる。勿論、このような複数の動きの組み合わせを幾つかの実施形態で利用して、カテーテル10と相対的に針12を操作するようにしてもよいし、カテーテル10を全体として操作することにより、PFOを通して針12を前進および引っ込めるようにしてもよい。
【0044】
ここで図3を参照すると、カテーテル10の別な実施形態が複数の針12を備えているのが例示されている。かかる実施形態を、1本しか針12を設けていない上述の実施形態で採用したのとほとんど同じ方法で利用してもかまわない。本例では、カテーテル10の遠位端付近のカテーテル本体部の3つの別の開口14を通って、3本の針12がカテーテル10から外へ伸び出ている。一般に、どの実施形態についても、カテーテル10の遠位極端部や遠位端付近などの位置にある一又は複数の開口を通して、針12をカテーテル10から外へ伸び出させるようにしてもよい。どのような好適な構成を思量してもよい。図3の実施形態では、2本の針12がPFOに隣接している心房中隔組織を通って伸びているのが例示され、また、1本の針12が孔そのものを通って延びているのが例示されている。心房中隔組織を突き刺すこと、PFOに通すことにより中隔組織を剥離すること等をどのように組み合わせもよい。
【0045】
図3に示された実施形態は、針12がどのような好適な構成にされてもよいことを示している。この実施形態では、少なくとも2面が鋸歯状になった図2の針12と異なり、針12は一の鋸歯状端縁が設けられている。剥離針12は発明の範囲に入るのであれば、どのような好適な構成にすることも考えられる。実施形態によっては、針は大部分が剛性であればよいが、別な実施形態では、針は可撓性であってもよい。針の多様な実施形態は、鋸歯状端縁、歯状端縁、剥離性紙やすり状面、および/または、他の組織を剥離するのに適した手段でもよい。
【0046】
上述の装置を利用する方法は既に幾らか説明してきた。一般に、この方法は、近位端、遠位端、および、遠位端付近の少なくとも1本の剥離針を設けたカテーテル装置を患者の血管系を通して前進させ、PFOに隣接している位置に遠位端を位置決めする工程と、カテーテル装置から剥離針を露出させる工程と、PFOおよび/またはPFOに隣接している組織を通して針を前進させる工程と、PFOおよび/または組織に対して針を後退させて、PFOに隣接している組織の少なくとも一部を剥離する工程とを含んでいる。実施形態によっては、PFO治療処置前および/または同治療処置後に、アスピリン、クマジン、2B−3A抑制剤などのような適切な凝固防止剤を用いて、治癒しかかっている組織に血餅が形成されて治癒期間中に血管閉鎖するのを防止することで、患者を治療することができる。上述のように、患者の心臓およびPFOへアクセスするには、どのような好適な手段で実施されてもよいが、大腿静脈、下位大静脈などを介した経皮接近にアクセスすることが多い。
【0047】
カテーテルを前進させてPFOの付近の位置に遠位端を設置した後で、かつ/または、PFOの治療法のそれ以外のどの段階であれ、医者は一または二以上の視覚化装置を用いて、PFOを画像化することができる。例えば、医者は右心房に造影剤を注入して、患者が咳をしている間に、ヴァルサルヴァ法やその他の行為の操作を実施して、PFOを通る血流を生じさせ、一又は二以上の画像を得ることができる。実施形態によっては、一または二以上のPFOの画像を撮像した後、ガイドワイヤをPFOを通して配置し、ガイドワイヤを通してカテーテル10を前進させる。場合によっては、ガイドワイヤとカテーテル10をPFOを通して前進させることができるが、別の事例では、これは困難である。後者の場合、医者はカテーテル10の遠位端をPFOの近くの位置に設置して、PFOの周囲の、または、PFOに隣接している心房中隔の組織を通して一または二以上の針12を前進させるようにしてもよい。多数の針12を設けた実施形態では、針12は全部をいっぺんに、または、1回につき1本づつ前進させることができる。上述ように、数本の針12が1辺以上の端縁または1つ以上の面に鋸歯を有しており、これにより、比較的容易に針12を前進させることができると同時に、針12を後退させる際に十分な剥離を行える。図2および図3で双方向の矢印が示しているように、所望量の剥離を達成するのに、針12は何回でも前進および後退を行うことができる。実施形態によっては、剥離の量はPFOおよびその周囲の組織を視覚化することにより、確認することができる。剥離が完了すると、針はカテーテル10の中に引っ込められて、カテーテルを患者の体外に取出すことができる。
【0048】
ここで図4を参照すると、カテーテル10の別な実施形態がその遠位端またはその付近に、組織にエネルギ18を伝達するための、少なくとも一のエネルギ伝達部材16を有している。伝達されるエネルギとしては、例えば、レーザ、超音波、高周波、マイクロウエーブエネルギ、極低温エネルギ、冷却によるエネルギの除去、または、それ以外の好適なエネルギ形態が挙げられる。一般に、エネルギ18を利用して、組織を崩壊させ、収縮させ、溶着させ、または、外傷を与え、PFOの閉鎖に導くような組織反応を誘起させる。例えば、瘢痕組織を作って、PFOを閉鎖するようにしてもよい。実施形態によっては、エネルギ伝達部材は一または二以上の針を備えており、これらの針は剥離面を有している場合もあれば、有していない場合もある。針はPFOまたはその隣接組織を横断して、または、PFOまたはその隣接組織を通して挿入されて、エネルギを組織に搬送する。実施形態によっては、針および針の配備システムは、エネルギが組織に印加される前、その最中、および/または、その後で、軸方向または放射方向などの方向にPFOの組織を集結させるような構成にすることができる。
【0049】
図5を参照すると、さらに別の実施形態では、カテーテル10には、一又は二以上の生体適合性の液体22をカテーテル10から供給することができるようにする一または二以上の開口20が設けられている。実施形態によっては、カテーテルの遠位端またはそれに隣接してバルーン24が膨張させられて、PFOの領域で血流を減速させ、または、血流を停止させ、PFOに注入された液体の駐留時間を長くすることができる。PFOの閉鎖を誘発するのに、種々の生体適合性液および/または生体再吸収性液22が、種々の実施形態で利用される。例えば、実施形態によっては、PFO組織の局所火傷または局所瘢痕化を生じる酸または接着剤を利用することができる。しかし、液体がPFOの領域を離れると、安全な希釈レベルまで血液と混合することにより、液体は急速に薄められ、患者の血流に入っても、患者に害をなすことはない。例えば、生体適合性のメタクリル酸エステル類を使用して、PFOの接合線を効果的に「糊付けし」、同時に、治癒反応を引き起こすことができる。
【0050】
本発明による装置と方法は、PFOを封鎖するのに種々の形態のエネルギに依存してもよく、関連する移植片を用いる場合もあれば、用いない場合もある。貼布、自己閉鎖型の素子などの移植片は、多様な方法でエネルギを利用することで、適所に溶着させることができる。多様な実施形態で、PFO閉鎖を実施するためのエネルギ印加を向上させるために、どのような好適なタイプまたは構成の溶接物質、配列、貼布などでも利用できる。PFOを閉鎖するために多様なタイプのエネルギおよび組織溶接物質を利用する装置および方法は米国特許出願第10/665974号(代理人整理番号22128−00300US)に十分に記載されており、この件は引用することで既に先に援用されている。
【0051】
移植ベース装置の代替例として、本発明によるシステムは、移植片を後に残存させずに、PFOを溶接で閉鎖させるような機能を果たすことができる。図6Aおよび図6Bに例示されているように、実施形態によっては、戻り止めおよびエネルギ搬送カテーテルがPFOと接触状態で配置され、エネルギの搬送により一次中隔および二次中隔のコラーゲンマトリクスを破裂させ、PFOの2つの部分を溶着させている。使用されるエネルギはモノポーラRFまたはバイポーラRF(いずれの場合も、戻り止めがエネルギ帰還路または接地電極として作用する)、超音波、レーザ、マイクロウエーブ、または、抵抗加熱であればよい。蛋白質はんだを導入して、溶着を容易にしてもよい。
【0052】
図6Aを参照すると、PFO(一次中隔SPと二次中隔SSの間の開口部)を治療するためのカテーテル装置30の一実施形態は外側カテーテルシャフト34、シャフト34の内側に摺動自在に配置された内側カテーテルシャフト36、内側シャフト36を通って延びる戻り止めアクチュエータ38と連結された戻り止め32、および、エネルギ搬送部材33を備えているのがよい。エネルギ搬送部材33はPFOを閉鎖させるのにどのような好適な形態のエネルギでも搬送することができ、エネルギ形態の具体例として、高周波(RF)エネルギ、超音波エネルギ、レーザエネルギ、または、マイクロウエーブエネルギが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、バイポーラRFエネルギが使用されたような場合は、戻り止め32はエネルギ帰還部材として作用するようにしてもよい。
【0053】
図6Bに例示されているように、カテーテル装置40の代替の実施形態は、カテーテルシャフト42、拡張可能部材46、拡張可能部材46の内側に配置されたエネルギ搬送部材48、および、アクチュエータ44と近位で連結されている戻り止め43を備えているのがよい。拡張可能部材46および戻り止め43を利用して、PFOを治療する所望の位置にカテーテル装置40を位置決めしてから、エネルギ搬送部材48によりエネルギが印加される。例えば、或る実施形態では、エネルギ搬送部材は超音波圧電薄膜を備えているのがよいが、他の実施形態では、どのような好適は搬送装置でも使用することができる。
【0054】
戻り止め部材を採用している別の実施形態が図7Aから図7Eに例示されている。図7Aに例示されているように、PFOを治療するカテーテル装置50の一実施形態は、カテーテルシャフト52、アクチュエータ54と近位で連結された戻り止め56、および、「山高帽状の」貼布58を備えているのがよい。戻り止め56を利用して、カテーテル50の設置を助け、PFOに隣接している組織(一次中隔SPおよび二次中隔SSなど)を接合させる。次に、貼布58が一次中隔SPおよび二次中隔SSに対して適所に固定され、PFOの開口部を覆う。実施形態によっては、カテーテル装置は、どのようなものであれ好適な形態のエネルギを印加することで貼布58をPFOに隣接している組織に溶着または付着させる一または二以上のエネルギ伝達部材を備えているのがよい。他の実施形態では、組織接着剤を使用することができる。他の実施形態は、後段で更に説明するが、PFO組織に貼布58を固定するためのロック用の組織取付け機構を使用することができる。一般には、図7Bおよび図7Cに例示されているように、山高帽状の部材58を第1の細長い形状部58a(図7B)から操作して、カテーテルシャフト52を通して山高帽状の部材58b(図7C)まで搬送するのを容易にすることができるが、山高帽状の部材58bは貼布58にPFOの開口部を覆わせることができるようにするものである。或る実施形態では、貼布58は編組素材から作成されて、細長い形状58aから山高帽形状58bに移行できるようにしている。
【0055】
図7Dおよび図7Eに例示されているように、カテーテル装置50の一実施形態はロック用の遠位端59を備えており、これは貼布58を山高帽状の構造部へロックするとともに、PFOに貼布58を固定している。内側シャフト59aを外側シャフト59bに対して遠位方向に移動させ、かつ/または、外側シャフト59bを近位方向に移動させて(矢の先端が中実の矢印を参照のこと)、内側シャフト59a上の突起部53を外側シャフト59bの開口51にロックしている。図7Eはロック用の遠位端59がそのロック位置にあるのを例示している。遠位端59がPFOの内側に位置決めされロック位置に配置されると、少なくとも幾つかの突起部53がPFOに隣接している組織を突き刺して、遠位端59をPFOの内側に固定し、従って、貼布58の位置をPFO開口部に固定することになる。
【0056】
別な実施形態では、本発明によるPFO閉鎖システムは、PFOを閉鎖するのに一または二以上のクリップを利用すればよい。かかるシステムは幾つかのデザイン部に分割することができるが、すなわち、右心房左心房の両用構成要素を設けた部分と、右心房側だけを有効にした部分である。これらはエネルギ付与されないのが一般的であるが、これらの何れかにエネルギを付与して、付着と封鎖を促進してもよい。
【0057】
左右両心房用PFOクリップ60の一実施形態が図8に例示されている。この実施形態では、一般に、クリップ60はZ字状またはS字状の形状を有し、右心房側の脚62は心臓の右心房に配置され、左心房側の脚64は左心房に配置され、架橋用の脚63はPFOを通って延びて、残りの2本の脚を接続している。クリップ60は、これに限定されるものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、プラチナ、金、タンタル、または、これらの組み合わせ或いはこれらの合金等の適切なワイヤ素材を利用したワイヤから作成することができる。図示の実施形態では、クリップ60は1本の切れ目無く連続するワイヤであるが、代替の実施形態に従って、それ以外にも多数の構成が考えられる。PLLA、PLGA,鉄、マグネシウム合金などの適当な素材も同様に利用できる。適当な素材は工学的処理により、装置が腐食したり再吸収されたりするより前に、PFOの閉鎖を誘発するほどの勢いの炎症反応を生じるようにすることができる。通例は、搬送カテーテルにPFOを通過させて、左心房側の脚64が配備され、搬送装置が右心房の中に引き戻されてから、右心房側の脚62が配備される。棘、鈎、または、それ以外の固定補助具を設けるようにしてもよい。
【0058】
実施形態によっては、架橋用のレッグ63はワイヤなどの二又はそれ以上の部分から構成されて、PFOの内側に配備された時には、これらの部分が互いから離れる方向に広がる。この拡散の動きにより、PFOの両側の組織に互いに反対の横方向の力が供与され、従って、PFOを横方向に広げるとともに、2個の拡散した部材の間の組織を接合させる。どの好適なクリップも、また、それ以外の、後で説明するようなPFO閉鎖装置も、そのような横方向の力を供与するための一または二以上の素子を備えることができるが、幾つかの特定の実施形態を後段で更に説明する。
【0059】
ここで図9Aから図9Cを参照すると、Z字型のクリップの別な実施形態はまた、右心房側の脚72、左心房側の脚74、および、架橋部材73を備えている。図9Bに例示されているように、右心房側の脚72は、メッシュ素材76と連結された多数ワイヤループ75を有していてもよい。ループ75とメッシュ76は一緒になって、PFOの右側で貼布状の構造体として作用する。図9Cに例示されているような左心房側の脚74は成形ワイヤを備えていてもよい。実施形態によっては、左心房側の脚74は2本のアーム74a、74bを有していてもよい。アーム74a、74bは、搬送カテーテルから放出されると、一次中隔SPに向かって移動し、それと接触する前に、横広がりの方向に移動することができる。多様な実施形態で、搬送用カテーテルから放出された時にアーム74a、74bが一または二以上の所望の方向に移動して一次中隔SPとより良好に接触して保持するように、左心房側の脚74は好適な形状を付与されればよい。先の実施形態と同様に、架橋用の部材73は、PFOの内側に横方向の力を供与して組織を互いに接合させるような構成にすることができる。
【0060】
ここで図10Aを参照すると、図9Aから図9Cで説明されたもののようなクリップを搬送するための搬送用カテーテル装置80が長軸線方向の断面図に例示されている。一実施形態の搬送装置80は、近位部82aおよび遠位部82bを設けたカテーテルシャフト82と、シャフト82の内側に配置されたプッシャ部材84を備えているのがよい。クリップ86はシャフト82の内側でプッシャ部材84より遠位に装填され、カテーテル装置80はガイドワイヤ85上を搬送することができる。図示の実施形態では、近位部82aは遠位部82bよりも大きい断面直径を有しているとともに、その遠位端に開口83が設けられている。搬送装置80の構成のせいで、プッシャ部材84がカテーテル本体部82に対して遠位方向に前進させられると、クリップ86の右心房側の脚86aが、クリップ86の左心房側の脚86bが放出される前に、開口83から外へ放出される。このような搬送技術は、時には、左心房側の脚が右心房側の脚よりも先に放出される技術よりも有利であることがある。実施形態によっては、搬送カテーテル80を使用して、PFOからクリップ86を取出し、クリップ86をより望ましい位置に再設置し直すようにしてもよい。このような場合、クリップ86上を搬送カテーテル80に前進させることで、クリップ86を真直ぐにして係合を切り離す作用を果たすことができる。シャフト82の伸張した遠位部82bのせいで、クリップ86上をカテーテル80に前進させることで、まず、左心房側の脚86bを真直ぐにしてから係合を解除し、それに続いて、右心房側の脚86aを真直ぐにして係合を切り離すことができる。次に、カテーテル80を引き出して、PFOからクリップ86を取出すことができるが、次いで、PFOにクリップ86を再配備し直すためにカテーテルを使うことができる。
【0061】
図10Bおよび図10Cは搬送カテーテル装置80を軸線方向断面図で例示している。図10Bは、カテーテル本体部82がクリップ搬送管腔87とガイドワイヤ管腔88を同様に備えているのを例示しているが、この搬送管腔内にクリップ86が配置され、ガイドワイヤ管腔にはガイドワイヤが配置される。クリップ搬送管腔87は、クリップの搬送を容易にするための、どのような好適な形状と寸法を有していてもよい。図示された実施形態では、クリップ搬送管腔87は、クリップの右心房側の脚86aと左心房側の脚86bのための小室を設けた1本の切れ目の無い管腔である。図10Cは、プッシャ部材84がクリップ86より近位でクリップ搬送管腔87に配置されているのを例示している。
【0062】
右心房側のクリップ装置の一例が図11Aから図11Fに例示されている。一般に、右心房側のクリップ装置は、正常時には閉じている、拡張可能な装置を配備するが、この拡張可能装置はPFOに導入され、拡張され、一次中隔SPおよび二次中隔SSの組織に移動させられ、元の閉じた位置に戻れるようにされて、PFOを閉鎖する。拡張は、バルーンを用いたり、機械的手段によって達成されるが、前述のクリップ材はいずれも使用することができる。
【0063】
図11Aに例示されているように、クリップ装置90は、複数のスリット93を設けた、拡張可能な自己閉鎖型ステント92と、ステント92に連結された多数の組織取付け部材94とを備えているのが好適である。ステント92は、図11Aに例示されているように、カテーテル装置を介してPFOを治療する位置まで、拡張していない状態で搬送される。次に、ステント92は図11Bに例示されているように拡張され、組織取付け部材94を張り出させる。次いで、組織取付け部材94は前進させられて一次中隔SP組織と二次中隔SS組織を突き刺し、ステント92が拡張力から解放されて、拡張していない形状まで閉じることができるようにされるため、複数の組織取付け部材94が一緒に引張られることで、一次中隔SPと二次中隔SSを接合させる。
【0064】
上述の技術は図11Cから図11Gに例示されている。図11Cはクリップ装置90が膨張可能バルーン96を設けた搬送カテーテル95の上に拡張していない形状で配置されているのを例示している。図11Dでは、バルーン96が膨張してクリップ装置90を拡張させている。図11Eに例示されているように、クリップ装置90はPFOの中に送り込まれ、組織取付け部材94が一次中隔SPおよび二次中隔SSを突き刺し、両中隔に自らを付着させる。次いで、図11Fに例示されているように、バルーン96が収縮させられてから引き出され、クリップ装置90が拡張していない形状に戻れるようにすることで、一次中隔SPと二次中隔SSを一緒に引張り、PFOを閉鎖する。
【0065】
前述のクリップ装置の代替の実施形態が図12Aおよび図12Bに例示されている。この実施形態では、PFO閉鎖システム100は搬送カテーテル102とクリップ装置104を備えている。搬送カテーテル102は外側シャフト106と、外側シャフト106の内側に滑動自在に配置された内側シャフト108とを備えている。実施形態によっては、搬送カテーテル102はガイドワイヤ上をPFOの中に前進させられ、PFOを通過させられる。クリップ装置104は多数の組織取付け部材105に連結された拡張可能ステント103を備えている。図12Aの中実矢印で例示されているように、内側シャフト108は外側シャフト106に対して遠位方向に前進させることができる。図12Bに例示されているように、内側シャフト106を更に前進させて、ステント103を通過させてから組織取付け部材105を押し広げることで、ステント103を拡張させることができる。次に、組織取付け部材105がPFOに隣接している組織に押し入れられ、内側シャフトを引き出して、ステント103が拡張していない状態に戻るまで閉じることができるようにすることで、組織取付け部材105によりPFO組織を一緒に引張ることができる。
【0066】
ここで図13Aおよび図13Bを参照すると、或る実施形態では、PFO閉鎖装置110は貼布として作用するような構成にされる。閉鎖装置110は、上述のワイヤのような多数ワイヤ112、ワイヤと連結されたメッシュ114またはそれ以外のマトリクス材、近位鈎材118、および、遠位鈎材116を備えている。カテーテル装置113を使用して、下位大静脈113のような好適な血管を通して閉鎖装置110を搬送することができる。(上記以外の標識を付された解剖学上の照会事項として、上位大静脈SVCと冠状静脈洞CSとがある。)図13Bに例示されているように、プッシャロッド115を利用して(または、代替例ではこれ以外の好適な機構を利用する)、閉鎖装置110はカテーテル装置113から外へ進められるため、遠位鈎材116は二次中隔SSに接触してそこに取付けられ、近位鈎材118は自らを一次中隔SPに固定させることになる。ワイヤ112とメッシュ114の網状組織は貼布として作用して、PFOを閉鎖する。
【0067】
配備後に装置を視認するのに超音波を利用するのが望ましい場合が多い。上述装置を全部、生体適合性の皮膜で覆うことができるが、皮膜には、空気または不活性ガスの微小気泡が捕獲されており、超音波で装置をより視認し易くしている。分解可能ポリマーの場合は、押出し成形プロセスの最中に微小気泡を素材に導入することができる。
【0068】
ここで図14Aおよび図14Bを参照すると、PFO閉鎖装置120の一実施形態は、カテーテル122と、カテーテル122に取付けられた1対の可撓性バネアーム124とを備えている。横方向の力は2つの目的で作用する。すなわち、PFOに対して搬送カテーテルを回転配向させ、また、一次中隔と二次中隔を接合させ、PFOをその本来の閉じた位置に設置する。PFOがその本来の閉じた位置に保持されてしまうと、図14Bに例示されているように、刺通し用のステープル、刺通しをしないクリップ、または、それ以外の好適な装置が適用されて、PFOを恒久的に一緒に保持して封鎖する。更に、横方向のバネアームを用いて、一次中隔と二次中隔を接合させ、上述のエネルギ搬送機構のいずれかによって一緒に溶着し、この場合、蛋白質はんだを用いても用いなくてもよいが、PFOを閉鎖する目的を達成することができる。
【0069】
ここで図15Aおよび図15Bを参照すると、PFOに横方向の力を供与する装置の実施形態の幾つかは、横方向の力クリップを備えている。図15Aでは、クリップ130は金属またはそれ以外の好適な素材からなる1本の切れ目無く続くワイヤであり、横方向の力(矢の先端が中実の矢印)のみならず、一次中隔SPおよび二次中隔SSに対する力(矢の先端が中空の矢印)も供与するような構成になっている。代替の実施形態では、図15Bに例示されているように、開端部を設けたクリップ132は横方向の力(矢の先端が中実の矢印)と一次中隔SPに対する力(先端が中空の矢印)を供与する。
【0070】
ここで図16Aから図16Cを参照すると、PFO閉鎖装置140の一実施形態は、カテーテル142と、カテーテル142に連結された1対の可撓性バネアーム144とを備えている。PFOに隣接している組織に取付けるためのステープル装置146(または、クリップ装置)はカテーテル本体部の内部に配置され、そこから配備することができる。図16Bは、アーム144がPFOの内側に配置され、PFOの内側で横方向の力を供与して組織を接合させる装置140を例示している。ステープル装置146は同じカテーテルか、第2のカテーテルのいずれかによって搬送される。ステープル装置146は、PFOを形成している一次中隔および二次中隔の表面を突き刺して(図16Bの点線)、両表面を一緒に引張る。ステープル装置146は、棘または針のような機械的機能を有していてもよく、或いは、治癒反応を引き起こして一次中隔と二次中隔の両方にうまく働きかけて治癒を促すような素材から作成されていてもよい。1対の可撓性のバネアーム144の代わりに、カテーテル142は1対のアームを備えていてもよく、両アームの間の距離はカテーテル142のハンドルの機構により制御される。実施形態によっては、アーム144は一または二以上のステープル装置146(または、それ以外の閉鎖装置)と連結され、アームが互いに離れる方向に移動すると、アームがステープル装置も同様に離れる方向に押し広げるようにしてもよい。このようにステープル装置を押し広げることで、多様なステープル突起部を均等な間隔に置くのを助けることができるため、PFO組織はPFOの幅を横断して規則的間隔で固定される。ステープル装置が組織内に配備されてしまうと、カテーテル142とアーム144はPFOから取出され、図16Cに例示されているように、ステープル装置146を適所に残存させる。代替の実施形態では、組織を刺通すステープル装置146を配備する代わりに、突き刺しを行わないクリップ装置を配備してもよい。
【0071】
横方向の力を供与するシステムの代替の実施形態が図17Aおよび図17Bに例示されている。図17Aでは、PFO閉鎖装置150はカテーテル152、可撓性のバネアーム154、および、ステープル装置156を備えている。この実施形態では、バネアーム154は、PFOのトンネルにロックして、ステープル装置156の配備前に装置150の位置決めを容易にする成形機能部158を備えている。別な実施形態では、図17Bに例示されているように、閉鎖装置160は、ここでも、カテーテル、可撓性のバネアーム164、および、ステープル装置166を備えている。この実施形態では、バネアーム164は、一次中隔の上に引掛けて左心房内から戻り止めとして作用する鈎状の機能部168を備えている。そのような可撓性のバネアームは、本発明の範囲に入るのであれば、上記以外のどのような好適な形状でもよい。
【0072】
バネ力を有して且つ少なくとも一部がPFOに配置される移植片は、PFOの一次中隔表面および二次中隔表面を接合させて固定するのに必要な力を供与する別な方法である。この移植片は、どのような金属または可塑材でもよいが、所定のバネ力を供与することができる素材から構成されればよい。移植片はカテーテルにより搬送される。移植片は、治癒反応を引き起こす機能部も備えている。このようなバネ力移植片(広義に「クリップ」と称する)の具体例が図18から図21に例示されている。かかるクリップは、通例は、カテーテルにより搬送されて、一次中隔SP組織と二次中隔SS組織に付着された状態となる。
【0073】
図18を参照すると、簡単なバネクリップ170が二次中隔SSと一次中隔SPに取付けられて、組織を一緒に接合している。図10で分かるように、バネクリップ172の別な実施形態は上位部173aと下位部173bを有しており、棘174のような取付け機能部を備えていてもよい。別な実施形態では、図20に例示されているように、バネクリップ178は留置き棘180を設けて、腰くびれ形状を有していてもよい。また別な実施形態では、図21に例示されているように、バネクリップ182は、搬送カテーテル183からクリップ182を放出するのを容易にする解放機能部185を備えていてもよい。クリップ182が搬送カテーテル183の中に引き戻されると(先が中実の矢印方向)と、解放機能部185によって、クリップ182の歯が外へ広がる。クリップ182が前進させられて組織に入ると、クリップの歯は広がった形状からすぼまって合わさり、組織を刺通すだけではなく、歯と歯の間で組織を握る、或いは、挟む。別な実施形態では、カテーテルそれ自体が、クリップの設置を容易にする一または二以上の機能部を備えていてもよい。例えば、或る実施形態では、カテーテルの内面の膨張可能なバルーンを拡張させてクリップを圧搾することで、カテーテルの端部にクリップを配備することができる。多様な実施形態で、これ以外にも多くの搬送システムが考えられる。
【0074】
別な実施形態では、貼布198と、歯196を備えている顎とを設けたステープル装置またはクリップ装置は、卵円孔の縁に固定される。同じワイヤ素材から作成されている幾つかの実施形態では、クリップ装置190は右心房ワイヤフレーム192と、これに対向する顎部材194とを備えているのがよい。歯196、棘、鈎、ステープルなどをワイヤフレーム192および顎部材194に取付けて、装置190を卵円孔の縁に装着する。次に、ワイヤフレーム192と貼布198はPFOに垂れ下がり、PFOを閉鎖する。実施形態によっては、別な歯197またはそれ以外の、棘、鈎などのような機能部によって、クリップ装置190の一部を一次中隔に固定するようにしてもよい。クリップ装置190の歯196、197、ステープルの脚、または、棘のような各機能部は卵円孔の縁を刺通して、PFOに被せた合成貼布198を固定する。更に、クリップ装置190の幾何学的形状はPFOに対してクリップ装置を正確に位置決めするのを助ける。
【0075】
ここで図23Aおよび図23Bを参照すると、別な実施形態では、PFOに隣接している組織に螺旋状の針200がつけられ、左心房の内側の位置からPFOを閉鎖することができる。図23Aに例示されているように、或る実施形態では、カテーテル202は心房中隔ASを通して搬送されるが、この時、螺旋状の針200と引込み可能な搬送アーム204はカテーテル202の内側に引っ込められている。カテーテル202の遠位部が左心房に設置されると、搬送アーム204をユニバーサルジョイント203を中心としてカテーテル202から張り出させることができる。次に、カテーテル202は回転させられ、捩じられ、或いは、捻られて、螺旋状の針200を搬送アーム204から離脱させ、PFOに隣接している組織に入り込ませる。或る実施形態では、図示のように、螺旋状の針200は一次中隔SP組織に入り込まされ、そこを通過させられ、また、二次中隔SS組織に入り込まされて、2つの組織を一緒に接合させる。螺旋状の針200の鈎または棘201は組織内の適所に針200を保持するのを助ける。図23Bに例示されているように、螺旋状の針200が適所にある場合は、針は一次中隔SPと二次中隔SSを一緒に引張る。ここで、引込み可能な搬送アーム204がカテーテル202の内側に引込められて、カテーテル202が引き出される。
【0076】
上記記載は完全かつ正確であるが、本発明のいくつかの実施形態を記載しているにすぎない。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更、追加、削除などを、本発明の一又は二以上の実施形態に対してなすことができる。さらに、本発明の異なる要素は、上記効果のいずれかを達成するために組み合わされ得る。従って、上記記載は、単なる例示の目的で提供され、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0077】
10、30、40、50、80 カテーテル装置、
16 エネルギ伝達部材、
24 バルーン、
33 エネルギ搬送部材、
34 外側カテーテルシャフト、
36 内側カテーテルシャフト、
42、52、82 カテーテルシャフト、
46 拡張可能部材、
48 エネルギ搬送部材、
53 突起部、
58a 細長い形状、
58b 山高帽形状、
59 遠位端、
59b 外側シャフト、
59a 内側シャフト、
60 クリップ、
74a アーム、
75 ループ、
76 メッシュ素材、
82b 遠位部、
82a 近位部、
85 ガイドワイヤ、
86 クリップ、
87 クリップ搬送管腔、
88 ガイドワイヤ管腔、
90 クリップ装置、
92 ステント、
92 自己閉鎖型ステント、
93 スリット、
94 組織取付け部材、
95 搬送カテーテル、
96 バルーン、
100 閉鎖システム、
102 搬送カテーテル、
103 ステント、
104 クリップ装置、
122 カテーテル、
140 閉鎖装置、
142 カテーテル、
144 アーム、
146 ステープル装置、
150 閉鎖装置、
152 カテーテル、
154 バネアーム、
156 ステープル装置、
158 成形機能部、
160 閉鎖装置、
164 バネアーム、
166 ステープル装置、
168 機能部、
170、172、178、182 バネクリップ、
173b 下位部、
173a 上位部、
174、180 棘、
183 搬送カテーテル、
185 解放機能部、
190 クリップ装置、
192 ワイヤフレーム、
194 顎部材、
198 貼布、
200 針、
201 棘、
202 カテーテル、
203 ユニバーサルジョイント、
204 搬送アーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開存卵円孔の治療装置であって、該装置は、
近位端および遠位端を設けた細長いカテーテル本体部と、
カテーテル本体部の遠位部分に配置され、開存卵円孔の組織に接触して、開存卵円孔を閉鎖するようにエネルギを伝達する少なくとも一のエネルギ伝達部材とを備え、
前記少なくとも一のエネルギ伝達部材は、開存卵円孔を通って延びないようになっている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記エネルギ伝達部材は、レーザエネルギ、高周波エネルギ、超音波エネルギ、および、マイクロウエーブエネルギのうちの少なくとも1つを伝達する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギ伝達部材は、極低温エネルギ伝達部材と冷却部材のうちの少なくとも一方を備えている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも一のエネルギ伝達部材は、組織へのエネルギの伝達を向上させるために、開存卵円孔の組織に挿入されるようになっている、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
エネルギが開存卵円孔の組織に印加される前、印加されている間、及び/又は、印加された後に、開存卵円孔の組織を連結する展開可能な要素を更に備えている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
遠位端に隣接してカテーテル本体部に設けられ、開存卵円孔に隣接している組織に接触させて開存卵円孔の閉鎖を誘発するように、少なくとも一種類の液体を分配する少なくとも一つの開口部を更に備えている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
酸および接着剤からなるグループから選択された生体適合性の液体を送出する液体源を更に備えている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
遠位端の付近で細長いカテーテル本体部に連結されて、開存卵円孔を通る血流を抑止し、前記少なくとも1種類の液体と組織との接触を向上させる拡張可能バルーンを更に備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
開存卵円孔の治療装置であって、該装置は、
近位端および遠位端を設けた細長いカテーテル本体部と、
カテーテル本体部の遠位部分に配置され、開存卵円孔の組織に接触して、開存卵円孔を閉鎖するようにエネルギを伝達する少なくとも一のエネルギ伝達要素と、
エネルギ伝達要素の遠位に配置され、開存卵円孔へのエネルギ搬送を促進するようになっているバックストップ要素とを備えている、ことを特徴とする装置。
【請求項10】
開存卵円孔の治療装置であって、該装置は、
近位端および遠位端を設けた細長いカテーテル本体部と、
カテーテル本体部から廃部することができる少なくとも一の自己閉鎖型の閉鎖装置とを備えており、閉鎖装置は開存卵円孔に隣接している組織に付着して組織を接合させる、装置。
【請求項11】
前記少なくとも一の閉鎖装置は生体分解性である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも一の閉鎖装置は、複数の組織取付け部材に連結された拡張可能な自己閉鎖型のステントを備えている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記組織取付け部材は組織刺通し針を備えている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも一の閉鎖装置は、その一部が開存卵円孔の内側に延びて、開存卵円孔の両側の組織に横方向の力を供与することで、開存卵円孔の両側の間の組織を接合させる、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記カテーテル本体部はガイドワイヤ上を通ることができる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
遠位端の付近で前記カテーテル本体部に連結され、開存卵円孔および開存卵円孔の周囲の組織のうちの少なくとも一方を視覚化する少なくとも一の視覚化装置を更に備えている、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
遠位端に隣接した位置で前記カテーテル本体部に連結され開存卵円孔に隣接している組織に接触するようにエネルギを伝達する少なくとも一のエネルギ伝達部材を更に備えている、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記エネルギ伝達部材は、レーザエネルギ、高周波エネルギ、超音波エネルギ、および、マイクロウエーブエネルギのうちの少なくとも1つを伝達する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記エネルギ伝達部材は、極低温エネルギ伝達部材と冷却部材のうちの少なくとも一方を備えている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
開存卵円孔の治療装置は、第1の寸法から開存卵円孔に隣接している組織に係合するサイズに設定されたより大きい第2の寸法まで拡張可能なクリップを備えており、より大きい寸法のクリップは開存卵円孔の両側の組織に横方向の力を供与し、開存卵円孔の両側の間の組織を接合させ、クリップはその第1の寸法に復帰することができ、または、復元させられる、装置。
【請求項21】
開存卵円孔の治療装置であって、
近位端および遠位端を設けた細長いカテーテル本体部と、
遠位端に連結されて、開存卵円孔の両側に横方向の力を供与することで、開存卵円孔の両側の間の組織を接触状態にする少なくとも一の力供給部材とを備えている、装置。
【請求項22】
前記力供給部材は、横方向に偏向して開存卵円孔の両側と係合する2本の対向するアームを備えている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記力供給部材は取外し自在な閉鎖装置を備えている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
エネルギ搬送手段を更に備えている、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
組織はんだまたは組織接着剤を搬送する手段を更に備えている、請求項21乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
閉鎖装置を搬送する手段を更に備えている、請求項21乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記閉鎖装置は少なくとも一のステープルを備えている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記閉鎖装置は少なくとも一のクリップを備えている、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記閉鎖装置は組織はんだまたは組織接着剤を備えている、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
開存卵円孔の治療装置であって、
開存卵円孔の卵円窩の縁に付着する取付け部材と、
取付け部材に連結され、卵円窩の縁から延びて、開存卵円孔の開口部を覆うカバー部材とを備えている、装置。
【請求項31】
前記カバー部材は、
支持構造体と、
支持構造体を覆うメッシュとを備えている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記支持構造体はワイヤフレームを備えている、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
エネルギを搬送して、開存卵円孔に隣接している組織にカバー部材を固定するエネルギ搬送手段を更に備えている、請求項30乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
組織はんだまたは組織接着剤を導入する手段を更に備えている、請求項30乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記取付け部材は、卵円窩の縁の組織を突き刺す構成になっている、請求項30乃至34に記載の装置。
【請求項36】
前記取付け部材は向かい合わせにできる顎部を備えている、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
開存卵円孔の治療装置であって、
開存卵円孔に隣接している一次中隔組織を突き刺すように構成されている細長いカテーテルと、
ユニバーサルジョイントで細長いカテーテルの遠位端に連結されている引込み可能な搬送アームと、
引込み可能な搬送アームに連結されて、該アームから配備することができる螺旋状の針とを備えており、
カテーテルを回転させることで螺旋状の針を開存卵円孔に隣接している組織の中に配備する、装置。
【請求項38】
前記螺旋状の針は一次中隔組織と二次中隔組織を刺通して、一次中隔と二次中隔を接合させる構成になっている、請求項37に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【公開番号】特開2009−195717(P2009−195717A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101427(P2009−101427)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【分割の表示】特願2006−509395(P2006−509395)の分割
【原出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】