説明

開放アシスト機能付自動ドア装置

【課題】 使用する駆動モータを小さくするための開放アシスト機能付自動ドア装置を提供する
【解決手段】 モータにより自動開閉制御される自動ドア装置においてモータの起動操作スイッチがなく、スライドドア1の戸先側に解除レバー15の操作によりスライドドア1を全閉拘束位置から移動開放させる開放装置16が設けられ、更に全閉位置検知停止手段8bと拘束解除位置検知手段(図示せず)とを備え、解放レバー15の操作により全閉位置から拘束解除位置に達して初めてモータが自動起動して自動ドア機能が発揮されることを特徴とする開放アシスト機能付自動ドア装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明装置はアルミサッシのスライドドアに設けられた自動ドア装置で全閉時における初期開放のアシスト機能付の自動ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、数多くの自動ドア装置が世に送り出されてきており、本発明者は所属する会社を特許出願人とした資料を閲覧した結果、モータに連結された回転軸と移動体とを用い移動体と引き戸とを連結させて構成させた自動ドア装置(特許文献1参照)が提供されていることを知った。
【0003】
【特許文献1】 特願2006−250010号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら今この自動ドア駆動装置を住宅に設けられたサッシスライドドアに用いようとする時サッシスライドドアは密閉状態を保つため全閉時にはゴムパッキングなどのエアタイト材によって固く拘束されており、そのため拘束部から解放させる時にのみに大きな負荷が掛かり、解放後は負荷が小さいもので十分であるが、拘束部から解放させるため大きな容量のモータを用いる必要があり、そのため所定の納まり位置に入らないという問題点があった。本発明はかかる問題点を解決することを目的として提供されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は拘束部からの解放を手動操作によって行なう事によりこの問題点を解決した。すなわちそれは全閉時にパッキング材によって拘束されるスライドドアであって開閉制御手段により開閉制御され駆動モータの動力をスライドドアに伝達してこのスライドドアを開閉させる動力伝達機構を備えた自動ドアにおいて前記スライドドアが全閉位置に達したか否かを検知する全閉位置検知手段と前記スライドドアが拘束解除位置に達したか否かを検知する拘束解除位置検知手段とが設けられ前記スライドドアの戸先側に、レバー操作により前記スライドドアを拘束部から移動開放させるための初期開放手段が設けられ、この初期開放手段が動作する事により前記スライドドアが前記拘束部から移動開放されて前記拘束解除位置検知手段が前記スライドドア拘束部からの移動開放を検知すると共に駆動モータが起動して自動的にドアが開放されることを特徴とする開放アシスト機能付自動ドア装置である。
【0006】
レバー操作によりスライドドアを拘束部から移動開放するための初期開放手段とは例えばレバーを押す又は引くことによってスライドドアを開放方向へ移動させるための押出軸が突出する装置や、あるいは短棹と長棹とを有する梃子式のレバーを戸先側へ設け全閉時は短棹側を縦框あるいは縦枠に接触させ長棹を回すことによって短棹が縦框あるいは縦枠を押圧してスライドドアを開き方向へ移動させる装置のことを指しているがその他の方法の装置を用いても構わない。また梃子式レバーは短棹先端部に回転体の取付が好ましい。
【0007】
また拘束解除位置検知手段は全閉位置検知手段からの検知信号により制御部内で導き出されて出力された物体のないものであっても、近接スイッチによる検知であってもどちらでも構わないが全閉位置検知手段と拘束解除位置検知手段とはほとんど接近してなるため前者のほうが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の開放アシスト機能付自動ドア装置はレバー操作をおこなう事により簡単にタイト材による拘束部からスライドドアが離れると同時にモータが起動して駆動装置がはたらきスライドドアを軽く移動させることになり、開放時当初の最も負荷の重い部分が手動操作により取り除かれるためモータは小容量のもので良いという効果があり、そのため取付スペースが小さいもので済むという大きな効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明実施例1の開放アシスト機能付自動ドア装置を図に基づいて説明すると図1は通路開口部に設けられた全閉時にパッキング材によって拘束される片引きスライドドアに本発明の開放アシスト機能付自動ドア装置を設けたもので、全閉状態における正面図であり、図2は図1の正面図における点線囲いした部分すなわち自動スライドドア駆動主要部の拡大図、図3は解除レバーを用いた開放装置の説明図である。
【0010】
まず構成について説明すると、図1、図2において本体枠体13とこの本体枠体13にボルトで固定したL型レール2と、このL型レール2に案内されて開閉自在なスライドドア1と電動モータ3の動力をスライドドア1へ伝達してスライドドア1を開閉させる動力伝達機構と、センサ8a、8b、8c、8d、8e、8fの検知信号に基づいて電動モータ3を制御する制御回路とを備えている。L型レール2にはセンサ取り付け用の溝14があらかじめ設けられていて取り付け位置の変更が容易に可能である。スライドドア1は、吊車4が設けられた吊車ブラケット5によりスライドドア1上縁部の前と後の2箇所にボルトにより取り付けされ、吊車4を介してL型レール2に開閉移動自在に載置されている。検知手段として用いられるセンサは、全開位置検知センサ8a、全閉位置検知センサ8bとして近接スイッチが用いられ、障害物検知手段としてはエリアセンサ8cの赤外線センサと光電管によるセンサ8dとが用いられてなる。更に静かに全閉あるいは全開させるための速度切り替えセンサ8e、8fとしても近接スイッチが用いられている。この全閉手前で速度切り替えするセンサ8eは通称指詰め防止センサと称する。近接スイッチ用に対する磁石17は全閉側縦枠に近い側の吊車ブラケット5に設けられている。なお、図2において全閉位置検知手段のセンサ8bはちょうど磁石17に相対する位置にいるため表示されていない。
【0011】
また駆動とその動力伝達機構について説明すると図2に示すように枠体13に可変用の電動モータ3が取り付けされ、このモータ軸とL型レール2に平行しスライドドア1の移動方向に長い回転軸6が両端を軸受7、7により両端支持され回転軸6の一端がカップリング9を介して連結されている。この回転軸6に軸の正逆回転により移動する移動体10が取り付けられこの移動体10とスライドドア1とが連結具11により連結され電動モータ3の正逆回転によりスライドドアが開閉することになる。これらのセンサ8a〜8fと電動モータ3との連動関係は制御盤12内で制御される。
【0012】
またアシスト機能を有する初期開放手段の構成を説明すると初期開放手段として図3に示すように戸先側に設けた支点を中心として回動する解除レバー15を用いた開放装置16を設置し、解除レバー15の長棹側がA地点(実践で示したもの)からB地点(2点鎖線でしめしたもの)までを移動する事により短棹側もまた同様に移動してスライドドア1が全閉位置から拘束解除位置まで達するように構成されている。拘束解除位置検知手段としては回転軸6が全閉停止位置より何回転したかをあらかじめ制御盤12内にインプットすることによりモータ起動信号がアウトプットされるように構成されてなる。また、この解除レバー15はレバーから手を離す事により支点軸にあらかじめ設けられたバネ(図示せず)により元のA地点に戻るように構成されている。
【0013】
次に動作について説明すると、まず開放装置16の解除レバー15長棹側を手動で矢印方向に移動させるとスライドドア1は解除レバー15短棹側の押圧により全閉位置から短棹移動分だけ開放移動される。この開放移動距離により全閉位置でパッキング材によって拘束されていたスライドドア1は拘束を解除されることになる。その開放移動量はスライドドア1に設けられた連結具11をはじめとする動力伝達機構により回転軸6を回転させ、全閉位置からの拘束解除位置まで達する回転回数があらかじめ制御盤12内にインプットされているため所定回転に達すると制御盤12よりモータ3の起動信号がアウトプットされて、モータ3が起動し回転軸6が正回転して移動体10が開方向に移動しそれに伴ってスライドドア1も開方向へ開いてゆく。磁石17が全閉検知センサから離れると障害物検知手段のエリアセンサ8cである赤外線センサと光電管によるセンサ8dとが働いて人の通過を検知し、人や物がエリアセンサ8cである赤外線センサと光電管によるセンサ8dの両方の検知エリアからはずれるとその信号が直ちに制御盤12に戻り、電動モータ3が逆転して直ちにスライドドア1は閉鎖方向に移動する。スライドドア1が全閉位置に達するまでに人または物が近づいてエリアセンサ8cである赤外線センサか光電管によるセンサ8dのいずれか一方がその存在を検知すればその信号が制御盤12に戻って電動モータ3が正転してスライドドア1は再び開いてゆく。このようにスライドドア1は一旦開き始めると障害物検知エリア内のセンサ8c、8dの両方が非動作にならない限りスライドドアは開方向に進み、非動作になると直ちに閉方向に進むことになる。
【0014】
複数の人が連続して通る場合は障害物検知エリア内に絶えず人がいるためスライドドアは次第に開いて行き、速度切り替えセンサ8fが検知されると電動モータ3のスピードがダウンしてゆっくりと進み全開位置検知されて初めて全開停止する。一旦全開停止すると今度は数秒のタイムラグを経た後、制御盤12より閉鎖信号が発されてスライドドア1は閉鎖してゆくことになる。この閉鎖途中においても一旦全開検知から離れると直ちに障害物検知エリア内のセンサ8c、8dの両方が働いて前記したように一方のセンサが働くとスライドドア1は直ちに開放動作をおこない、両方のセンサが非動作になるとスライドドア1は閉鎖されて行き、指つめ防止センサ8eが働いてスピードダウンしてゆっくりと閉鎖し、全閉検知センサ8bにより全閉停止することになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 実施例における自動ドア装置の全閉状態における正面図
【図2】 図1における主要部の拡大図
【図3】 解除レバーを用いた開放装置説明図
【符号の説明】
【0016】
1 スライドドア
2 L型レール
3 電動モータ
4 吊車
5 吊車ブラケット
6 回転軸
7 軸受
8 センサ
8a 全開位置検知センサ
8b 全閉位置検知センサ
8c エリアセンサ
8d 光電管によるセンサ
8e 速度切り替えセンサ
8f 速度切り替えセンサ
9 カップリング
10 移動体
11 連結具
12 制御盤
13 枠体
14 溝
15 解除レバー
16 開放装置
17 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全閉時にパッキング材によって拘束されるスライドドアであって開閉制御手段により開閉制御され駆動モータの動力をスライドドアに伝達してこのスライドドアを開閉させる動力伝達機構を備えた自動ドアにおいて前記スライドドアが全閉位置に達したか否かを検知する全閉位置検知手段と前記スライドドアが拘束解除位置に達したか否かを検知する拘束解除位置検知手段とが設けられ前記スライドドアの戸先側に、レバー操作により前記スライドドアを拘束部から移動開放させるための初期開放手段が設けられ、この初期開放手段が動作する事により前記スライドドアが前記拘束部から移動開放されて前記拘束解除位置検知手段がこの移動開放を検知すると駆動モータが起動して自動的にドアが開放されることを特徴とする開放アシスト機能付自動ドア装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−138496(P2008−138496A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356998(P2006−356998)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(506405367)
【Fターム(参考)】