説明

開環重合触媒

【課題】塩化イミダゾリウムを用いた、環状ポリシロキサン、例えばシルセスキオキサン、の開環重合に用いることができる新規開環重合触媒を提供する。
【解決手段】1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、及び1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種からなる開環重合触媒、及び、これを用いて、120℃では開環重合せず、一方、150℃では開環重合する、シルセスキオキサンの開環重合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ポリシロキサンの開環重合に用いることができる新規開環重合触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
環状ポリシロキサンの開環重合としては、特許文献1にシクロシロキサン混合物を触媒存在下に反応させて線状シロキサンを製造する方法において、触媒として種々のものが開示されており、ルイス酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、第4級アンモニウムとホウ素の錯体、第4級ホスホニウムとホウ素の錯体、第4級アンモニウムリン酸塩、第4級アンモニウムホウ酸塩、第4級アンモニウム炭酸塩、第4級アンモニウムケイ酸塩等が開示されているが、そのリストにはイミダゾリウム塩化物は記載されていない。
【0003】
特許文献2にはカルベンを触媒としてポリオルガノシロキサンの開環重合及び/又は再分配を行う方法が開示さている。イミダゾリウム化合物がカルベン前駆体として使用されているが、この前駆体化合物であるイミダゾリウム化合物からカルベンを発生させるためには強塩基性化合物が必須であり、加熱のみではカルベンを発生しない。また、そもそもイミダゾリウム化合物が開環重合触媒として用いられることを開示するものではない。
【0004】
特許文献3には、環状ポリシロキサン類の混合物から酸性又は塩基性触媒でポリオルガノシロキサン類を製造する方法に関して開示があり、その触媒としてホスホニトリルハライドが開示され、また硫酸、塩酸、ルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウムシラノレート等が触媒として例示されている。
【0005】
特許文献4には、線状ホスファゼン塩基触媒がシロキサンの開環重合触媒として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−278983号公報
【特許文献2】特開2007−517103号公報
【特許文献3】特開平4−320423号公報(特許第3297070号)
【特許文献4】特開2000−197823号公報(特許第4542653号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明は、塩化イミダゾリウムを用いた、環状ポリシロキサンの開環重合に用いることができる新規開環重合触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、塩化イミダゾリウムからなる開環重合触媒である。
本発明はまた、塩化イミダゾリウムからなる開環重合触媒を用いた、環状ポリシロキサンの開環重合方法でもある。
【発明の効果】
【0009】
(1)本発明の開環重合触媒は上述の構成により、環状ポリシロキサンの開環重合に用いることができ、開環重合反応により環状シロキサンの重合硬化を行うことで、縮合反応の場合のような硬化反応の副生物(水、メタノール等)が生じない。
(2)本発明の開環重合触媒は、シルセスキオキサンの開環重合においては熱潜在性を示し、活性化温度未満においては未重合の低粘度シルセスキオキサン組成物としての安定性を示すとともに、活性化温度に加熱時にのみ重合反応を行わせることができ、例えば、120℃では開環重合せず、一方、150℃では開環重合する、シルセスキオキサンの開環重合方法に用いることができ、従って、加熱環境(例えば120℃の環境。)であってもシルセスキオキサン組成物の低粘度を確保できる硬化性組成物において有利に使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の開環重合触媒は、塩化イミダゾリウムからなる。
【0011】
本発明の一態様において、上記塩化イミダゾリウムは、下記式で表されるものである。
【0012】
【化1】

【0013】
式中、複数あるRは、それぞれ同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R’は炭素数1〜8のアルキル基又は水素原子を表す。R’がアルキル基である場合、環の2位に付加したものが好ましい。R’としては、メチル、水素原子が好ましい。
【0014】
また本発明の一態様は、上記塩化イミダゾリウムは、1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、及び1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である。これらのうち、好ましくは、1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドであり、より好ましくは1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドである。
【0015】
本発明の開環重合触媒は、環状ポリシロキサンの開環重合に用いることができる。開環重合反応においては、縮合反応の場合のような脱離物が発生することがない。上記環状ポリシロキサンは、D単位(すなわち、−O−Si(R2)−O−)及び/
又はT単位(すなわち、Si(R)−(O−)3)を構成単位とする環状ポリシロキサンである。D単位からなる環状ポリシロキサンとしては、シクロシロキサン類、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、これらが置換基を有するもの等を挙げることができる。T単位からなる環状ポリシロキサンとしては、例えば、シルセスキオキサン類を挙げることができる。上記シルセスキオキサンは、例えばトリアルコキシシランの加水分解、縮合反応に代表されるような工程を経て生じる(RSiO3/2)nの一般式を有するもので、環状構造を含有するポリシロキサンである。上記シルセスキオキサンは、籠型、ラダー型、ランダム型構造のものが知られている。また、上記シルセスキオキサンとしては各種の変性シルセスキオキサンも知られている。上記シルセスキオキサンは、いずれも環状構造を含有するものであり、シルセスキオキサン同士が開環重合反応を行うことができる。
【0016】
また、本発明の開環重合触媒は、シルセスキオキサンの開環重合においては熱潜在性を示し、活性化温度未満においては未重合の低粘度シルセスキオキサン組成物としての安定性を示すとともに、活性化温度に加熱時にのみ重合反応を行わせることができ、例えば、120℃では開環重合せず、一方、150℃では開環重合する、シルセスキオキサン同士の開環重合方法を構成することができる。
【0017】
塩化イミダゾリウムが環状ポリシロキサン類同士の開環重合反応を触媒することは新規な知見である。すなわち、カルベンが環状シロキサンのケイ素原子へ求核付加することが知られているが、この場合はアルコール等の第二成分の存在により初めて触媒サイクルを構成できることが知られている。しかしながら、本発明者は塩化イミダゾリウムを用いることにより、アルコール等の第二成分を用いることなく、従ってカルベンを経由することなく、開環重合の触媒サイクルを構成できることを見出すに至った。また、この触媒が熱潜在性を示すこともまた新規な知見である。なお、熱潜在性を示すとは、活性化温度未満においては通常の反応時間で反応を実質的に進行させず、反応混合物の分子量が増加しないか、実質的に増加しないにもかかわらず、活性化温度以上においては通常の反応時間(例えば数時間程度以内。)で反応を進行させ重合により分子量が増大することをいう。すなわち、本発明の触媒は、例えば、120℃の温度では反応が起こらず、少なくとも120℃より高い温度において反応させる必要があり、一方、150℃では開環重合反応が生じる、というような感熱的反応特性を持つものである。本発明の好ましい態様においては、120℃以下の温度では開環重合反応が起こらず、一方、150℃では開環重合反応が生じる。しかしながら、この場合、150℃未満であっても開環重合反応が生じる場合があることを含意することに留意すべきであり、120℃より高く150℃未満の温度、例えば、125℃またはそれ以上、例えば130℃、135℃、140℃、145℃等の温度で反応が生じる場合を含む。
【0018】
上記環状ポリシロキサンと上記触媒の配合割合としては、上記環状ポリシロキサン100重量部に対して、上記触媒が0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。上記触媒が0.1〜10重量部であるであると反応性が良好であり有利である。
【0019】
重合反応は、常圧下(すなわち、大気圧下)、例えば、125〜200℃、1〜10時間の条件で反応させることが通常行われている。
【0020】
本発明の開環重合反応において、環状ポリシロキサンと本発明の触媒を必須成分とするが、必要に応じて、本発明の目的を阻害しないかぎり、その他の各種の添加剤を反応系に配合することができ、例えば、溶剤、接着付与剤、安定化剤などが挙げられる。溶剤の使用により、環状ポリシロキサンと本発明の触媒との反応系の均一化を向上することができる利点がある。
【0021】
上記溶剤としてとしては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、酢酸エチル、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらは、単独で使用できるほか、2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の記載は専ら説明のためであって、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
以下の実施例、比較例中の略号の意味は以下のとおり。
シルセスキオキサン1: ポリ(ビニルシルセスキオキサン)(分子量1200)
シルセスキオキサン2:フェニルトリメトキシシラン(30モル%)、エチルトリメトキシシラン(60モル%)、ジメチルジメトキシシラン(10モル%)の加水分解縮合物(分子量4500)
シルセスキオキサン3:フェニルトリメトキシシラン(50モル%)、エチルトリメトキシシラン(50モル%)の加水分解縮合物(分子量3500)
環状シリコーン1:1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン(分子量260)
【0024】
実施例1
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン1が7wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライドをシルセスキオキサン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、150℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比較して4時間後37.5倍に増大しており、重合が進行していることを確認した。またNMRによりビニル基の残存を確認した。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
一方、120℃にて撹拌を行った場合は、経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認したところ、重量平均分子量(Mw)は初期と比べ4時間後1.9倍であり、反応が進行していなかった。
【0025】
実施例2
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン1が7wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライドをシルセスキオキサン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、150℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比較して4時間後24.0倍に増大しており、重合が進行していることを確認した。またNMRによりビニル基の残存を確認した。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
一方、120℃にて撹拌を行った場合は、経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認したところ、重量平均分子量(Mw)は初期と比べ4時間後2.5倍であり、反応が進行していなかった。
【0026】
実施例3
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン1が7wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライドをシルセスキオキサン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、150℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比較して4時間後35.0倍に増大しており、重合が進行していることを確認した。またNMRによりビニル基の残存を確認した。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
一方、120℃にて撹拌を行った場合は、経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認したところ、重量平均分子量(Mw)は初期と比べ4時間後1.8倍であり、反応が進行していなかった。
【0027】
実施例4
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン2を7wt%になるようにTHF溶液を調製した。そこへ1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライドをシルセスキオキサン2に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、ガラス板上に塗布し、150℃4hにて硬化を行った。硬化後得られたフィルムはTHF等の溶媒には溶解しないフィルム状硬化物を得た。
【0028】
実施例5
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン3を7wt%になるようにTHF溶液を調製した。そこへ1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライドをシルセスキオキサン3に対して0.5重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、ガラス板上に塗布し、150℃4hにて硬化を行った。硬化後得られたフィルムはTHF等の溶媒には溶解しないフィルム状硬化物を得た。
【0029】
実施例6
ナスフラスコ内にシルセキオキサン1が7wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1−メチルー3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドをシルセスキオキサン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、150℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果反応開始2時間後にはゲルとなり測定不可能なほど分子量が増大しており、重合が進行していることを確認した。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
【0030】
実施例7
ナスフラスコ内に環状シリコーン1が50wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライドを環状シリコーン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、120℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比較して4時間後161.5倍に増大しており、重合が進行していることを確認した。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
【0031】
実施例8
ナスフラスコ内に環状シリコーン1が50wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライドを環状シリコーン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、60℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比べ4時間後9.4倍に増大しており、重合が進行していることを確認した。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
【0032】
比較例1
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン1が7wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1,1’−(2,6−ピリジンジルエチルシリル)ビス(3−メチルイミラゾリウム)ジブロマイドをシルセスキオキサン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、150℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比較して4時間後2.7倍であり、反応が進行していなかった。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
【0033】
比較例2
ナスフラスコ内にシルセスキオキサン1が7wt%になるようにDMAc溶液を調製した。そこへ1−(ジメチルエチルシリル)イミダゾールをシルセスキオキサン1に対して1重量部になるように添加した。均一な溶液としたのち、150℃にて撹拌を行った。経時毎の分子量をGPCにて測定して分子量が増大しているかを確認した。その結果重量平均分子量(Mw)は初期と比較して4時間後2.0倍であり、反応が進行していなかった。Mwは、THFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
【0034】
実施例1〜5の結果から、本発明の触媒である塩化物をシルセスキオキサンに使用すると、150℃では充分に反応が進行して高分子量化することが確かめられた。また、実施例1〜3に示すとおり、120℃では反応が実質的に進行せず、120℃未満では反応が進行しないと判断でき、熱潜在性が示された。なお、比較例1において120℃、4時間の反応条件において、試験後の分子量/試験前の分子量の比の値が2倍を超えているが、ゲルにはほど遠い状態であり、反応が実質的に進行していないといえる。一方、ブロマイド、カウンターカチオンを持たないイミダゾリウム等は、加熱しても反応が進行しなかった。なお、実施例7、8からシルセスキオキサンではない環状ポリシロキサンに使用すると、低温でも反応し、熱潜在性は示されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化イミダゾリウムからなる開環重合触媒。
【請求項2】
塩化イミダゾリウムは、下記式で表されるものである請求項1記載の触媒。
【化1】

(式中、複数あるRは、それぞれ同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R’は炭素数1〜8のアルキル基又は水素原子を表す。)
【請求項3】
塩化イミダゾリウムは、1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、及び1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の触媒。
【請求項4】
塩化イミダゾリウムからなる開環重合触媒を用いた、環状ポリシロキサンの開環重合方法。
【請求項5】
環状ポリシロキサンはシルセスキオキサンであり、開環重合触媒の熱潜在性によって、120℃では開環重合せず、一方、150℃では開環重合する、請求項4記載の開環重合方法。
【請求項6】
塩化イミダゾリウムは、1,3−ジメシチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、及び1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4又は5記載の開環重合方法。

【公開番号】特開2013−82831(P2013−82831A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224913(P2011−224913)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000214250)ナガセケムテックス株式会社 (173)
【Fターム(参考)】