説明

開閉体制御装置

【課題】車両が有するスイングドアやバックドア等の開閉体と、車両の周囲に存在する移動体との接触を適切に防止することが可能な開閉体制御装置を提供する。
【解決手段】開閉体制御装置100は、自車両の位置を示す自車位置情報を取得する自車位置情報取得部12と、自車両の周囲の移動体の位置情報を含む物体情報を通信により取得する物体情報取得部13と、自車位置情報と物体情報とに基づいて、自車両を基準とする移動体の相対位置を演算する相対位置演算部14と、演算された相対位置に基づき、自車両のドア2が開扉した際に当該ドア2が移動体と接触するか否かを判定する接触判定部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が有する開閉体の開閉を制御する開閉体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲に物体が存在する場合、当該車両が有するスイングドアやバックドア等の開閉体を開扉すると物体に接触する場合がある。このような接触を防止する技術として下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の車両用ドア開度調整装置は、車両のドア開度を複数位置に調整可能な開度調整手段と、車両の位置を検出する位置検出手段と、当該位置検出手段により検出される車両位置と関連付けて開度調整手段によるドア開度の調整位置を記憶する調整位置記憶手段と、当該調整位置記憶手段に記憶されている調整位置に基づいて、開度調整手段を制御する制御手段と、を備えて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−1964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ドア開度調整装置では、開度の調整は予め記憶されている状況で無ければ、適切に行うことができない。つまり、自車両の周囲に存在する物体が、移動体である場合には適切に接触を防止することができない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、車両が有するスイングドアやバックドア等の開閉体と、車両の周囲に存在する移動体との接触を適切に防止することが可能な開閉体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る開閉体制御装置の特徴構成は、自車両の位置を示す自車位置情報を取得する自車位置情報取得部と、前記自車両の周囲の移動体の位置情報を含む物体情報を前記移動体と通信して取得する物体情報取得部と、前記自車位置情報と前記物体情報とに基づいて、前記自車両を基準とする前記移動体の相対位置を演算する相対位置演算部と、前記演算された相対位置に基づき、前記自車両の開閉体が開扉した際に前記開閉体が前記移動体と接触するか否かを判定する接触判定部と、を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、リアルタイムで自車両の周囲の移動体と通信して自車位置情報及び物体情報を取得するので、その時点での自車両が有するスイングドアやバックドア等の開閉体が移動体に接触するか否かの判定を行うことができる。したがって、自車両が初めて訪れた場所はもちろん、自車位置情報及び物体情報を取得できる環境であれば、自車両の開閉体と、車両の周囲に存在する移動体との接触を適切に防止することが可能となる。
【0009】
また、前記相対位置に基づき、前記自車両の開閉体が開口可能な開口量を演算する開口量演算部を備えていると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、自車両の周囲に存在する移動体に接触することがない開口量を演算することができる。したがって、移動体に接触させない開口量で、開閉体を開扉することができる。
【0011】
また、前記演算された開口量に基づき、前記開閉体の開き動作を規制する規制機構を備えていると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、演算された開口量以上に開閉体を開扉しないようにすることができる。したがって、例えば開閉体が自動で開扉する場合でも手動で開扉する場合でも、移動体に接触することを防止できる。
【0013】
また、前記物体情報は、前記移動体の形状を示す形状情報及び前記移動体が向いている方向を示す方位情報が含まれていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、移動体の形状や方向に応じて開口量を演算することができるので、より確実に移動体と開閉体との接触を防止できる。
【0015】
また、前記形状情報は、他の車両が有する開閉体のうち、開口している開閉体の位置を示す情報が含まれる構成とすることも可能である。
【0016】
このような構成とすれば、開扉状態にある他の車両の開閉体に位置に応じて自車の開閉体の開口を制御することができる。したがって、他の車両の開閉体が開口状態にあっても接触を適切に防止することが可能となる。
【0017】
また、前記形状情報は、前記他の車両の開閉体の開口量を示す情報が含まれると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、他の車両の開口量に応じて、自車の開閉体の開口量を調節することができる。したがって、他の車両の開閉体が開口状態にあっても接触を適切に防止することが可能となる。
【0019】
また、所定時間内における前記移動体の相対位置の変化量に基づき、前記移動体の相対移動速度を演算する移動速度演算部を備え、前記接触判定部は、前記相対移動速度も用いて前記開閉体が前記移動体と接触するか否かを判定すると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、自車両から遠ざかる移動体であるのか、或いは近づく移動体であるのか、更には静止している移動体であるのかを特定することができる。したがって、移動体が近づく場合であれば、自車両から離れていても開閉体の開扉を規制することにより接触を未然に防止できる。一方、移動体が遠ざかる場合や移動体が静止している場合であれば、それを考慮して開口量を演算することができるので、場合によっては開口量を大きくすることができる。
【0021】
また、前記移動体に前記自車両の情報を送信すると好適である。
【0022】
このような構成とすれば、自車両が開閉体の開扉中であることを周囲の移動体に周知させることができる。したがって、移動体に注意を促すことが可能となる。
【0023】
また、前記移動体は、人が有する携帯端末が含まれると好適である。
【0024】
このような構成とすれば、自車両の開閉体と通行人との接触を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】開閉体制御装置を備えた車両を示した図である。
【図2】開閉体制御装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【図3】開閉体制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】開閉体制御装置による開閉体の制御形態の一例を示す図である。
【図5】開閉体制御装置による開閉体の制御形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に係る開閉体制御装置100は、図1に示されるような車両1が有する開閉体2を開扉する際に、当該車両1の周囲に存在する移動体と接触するか否かを判定する機能を備えている。本実施形態では、開閉体制御装置100は車両1に備えられ、リモコン3により操作される。また、本実施形態に係る開閉体2とは、車両1が有するドアのうちスイングして開くドアが相当する。具体的には、車両1における運転席側のドア2Aや助手席側のドア2B、及びバックドア2Cが相当する。したがって、本実施形態では、スライドドア2Dは制御対象外としている。以下の説明では、特に区別する必要が無い限り、ドア2A、ドア2B、及びバックドア2Cを総称し、ドア2として説明する。
【0027】
図2は、開閉体制御装置100の構成を模式的に示したブロック図である。開閉体制御装置100は、作動トリガ取得部11、自車位置情報取得部12、物体情報取得部13、相対位置演算部14、車両情報記憶部15、接触判定部16、明示部17、自車情報送信部18、移動速度演算部19、開口量演算部20、モータ制御部21の各機能部を備えて構成される。各機能部は、CPUを中核部材としてドア2を開扉する際、車両1の周囲に存在する移動体と接触するか否かを判定する種々の処理を行うための上述の機能部がハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0028】
作動トリガ取得部11は、リモコン3から発せられる開扉要求信号を取得する。リモコン3は車両1のユーザにより所持され、開扉要求信号はユーザによるリモコン3の操作に応じて当該リモコン3から出力される。作動トリガ取得部11はリモコン3から空中伝搬されてくる開扉要求信号を取得する。この開扉要求信号は、車両1のドア2の接触を判定する作動トリガに相当する。作動トリガ取得部11により取得された開扉要求信号は、作動トリガとして後述するモータ制御部21に伝達される。
【0029】
自車位置情報取得部12は、自車両の位置を示す自車位置情報を取得する。自車両とは車両1である。自車位置情報には、車両1の位置や車両1が向いている方位を示す情報が含まれる。車両1の位置を示す情報は、例えば車両1に備えられるナビゲーションシステムに用いられるGPSアンテナを介して衛星から取得することが可能である。また、車両1の方位を示す情報は、例えば車両1に備えられる磁気センサから取得することが可能である。このような自車位置情報は、後述する相対位置演算部14に伝達される。
【0030】
物体情報取得部13は、自車両の周囲の移動体の位置情報を含む物体情報を通信により取得する。自車両の周囲の移動体とは、車両1の周囲に存在する他の車両に限らず、移動可能な物体が相当する。また、移動体は、移動中にものに限定されず、停止中のものも含まれる。物体情報には、移動体の位置を示す位置情報が含まれる。また、本実施形態では、物体情報は、移動体の形状を示す形状情報及び移動体が向いている方向を示す方位情報も含まれる。形状情報には、例えば移動体が車両である場合には、当該車両のドアが開扉されているか否かを示す情報を含むと好適である。また、例えば移動体が他の車両である場合には、当該他の車両のドアの開口量の情報や開口しているドアの位置を示す情報(運転席ドア、助手席ドアなど、どのドアが開口しているかという情報)も含むと好適である。このような物体情報は、公知の車車間通信や路車間通信等の通信により取得される。物体情報は、後述する相対位置演算部14に伝達される。
【0031】
相対位置演算部14は、自車位置情報と物体情報とに基づいて、自車両を基準とする移動体の相対位置を演算する。自車位置情報は自車位置情報取得部12から伝達される。物体情報は物体情報取得部13から伝達される。自車両を基準とする移動体の相対位置とは、車両1と当該車両1の周囲に存在する移動体との離間距離、及び車両1から見た前記移動体が位置する方位で規定される。相対位置演算部14はこのような相対位置を演算し、相対位置情報として後述する接触判定部16及び開口量演算部20に伝達される。
【0032】
車両情報記憶部15には、車両1に関する車両情報が記憶される。車両情報には、車両1の大きさを示す情報や、車両1が有するドア2を開閉する際のドア2の軌跡を示す情報が含まれる。このような車両情報は、後述する接触判定部16及び開口量演算部20により適宜、読み出される。
【0033】
接触判定部16は、演算された相対位置に基づき、自車両のドア2が開扉した際にドア2が移動体と接触するか否かを判定する。相対位置は、相対位置演算部14により演算され、伝達される。また、車両情報記憶部15から車両1が有するドア2を開閉する際の軌跡を示す情報を含む車両情報が伝達される。接触判定部16は、相対位置に対してドア2を開扉した際に、当該相対位置により示される位置に存在する移動体とドア2とが接触するか否かを判定する。この判定は、例えば、車両1の周囲に相対位置に基づき配置された移動体が、ドア2の軌跡の外縁部よりも外側に位置している場合には接触しないと判定し、ドア2の軌跡の外縁部よりも外側に位置していない場合には接触すると判定することで容易に行うことができる。接触判定部16の判定結果は、後述する明示部17に伝達される。
【0034】
明示部17は、接触判定部16による判定結果を明示する。接触判定部16による判定結果とは、ドア2を開扉した際に移動体と接触するか否かの判定結果である。例えば接触する場合には、スピーカ(図示せず)から警告音を発したり、LED(図示せず)を発光させたりすると好適である。また、接触しない場合には、その旨を示す報知をすることも可能である。
【0035】
ここで、接触判定部16は、移動速度演算部19を備えて構成することが可能である。移動速度演算部19は、所定時間内における移動体の相対位置の変化量に基づき、移動体の相対移動速度を演算する。移動速度演算部19は、相対位置演算部14から伝達される相対位置の所定時間内における変化量を演算し、これにより移動体の相対移動速度を演算する。この移動速度には、移動方向も含まれる。これにより、接触判定部16は、相対移動速度も用いてドア2が移動体と接触するか否かを判定することが可能となり、リアルタイムで車両1のドア2と移動体とが接触するか否かを判定することができる。したがって、移動体が近づくものであれば、車両1から離れていてもドア2の開扉を規制することにより接触を未然に防止できる。一方、遠ざかる移動体や移動体が静止している場合であれば、それを考慮して開口量を演算することができるので、場合によっては開口量を大きくすることができる。更には、相対移動速度に基づき、車両1までの到達時間を演算し、当該到達時間を明示部17により明示する構成とすることも可能である。
【0036】
また、開口量演算部20は、相対位置に基づき、自車両のドア2が開口可能な開口量を演算する。相対位置は相対位置演算部14により演算され、相対位置情報として相対位置演算部14から伝達される。また、上述のように、車両1のドア2を開閉する際の軌跡を示す情報が車両情報として車両情報記憶部15から伝達される。開口量演算部20は、演算された相対位置に含まれる離間距離及び方位と、軌跡を示す情報とにより、現在の車両1の状態を基準とし、車両1の周囲に存在する移動体と接触することがないドア2の開口量を演算する。開口量演算部20により演算された開口量は、後述するモータ制御部21に伝達される。
【0037】
モータ制御部21は、演算された開口量に基づき、ドア2の開き動作を規制する。本実施形態では、モータ制御部21は本発明に係る規制機構に相当する。モータ制御部21は、演算された開口量に基づき、ドア2の開閉を行うモータ22を制御する。開口量は、開口量演算部20により演算され伝達される。この開口量は、ドア2を開扉しても車両1の周囲の移動体と接触しない開口量である。モータ制御部21は、このような開口量だけドア2を開口するようにモータ22に通電する。これによりドア2が開扉される。また、モータ制御部21は、モータ22の通電を行うと、車両1のドア2が開扉中であることを示す自車情報を後述する自車情報送信部18に伝達する。
【0038】
自車情報送信部18は、移動体に自車両の情報を送信する。移動体とは、車両1の周囲に存在する移動する物体である。このような移動体に、少なくとも車両1のドア2が開扉されている状態を示す情報が自車情報送信部18から送信される。これにより、車両1の周囲にドア2の開扉中であることを示すことで、注意を促すことができる。
【0039】
次に、開閉体制御装置100が行う処理を図3に示すフローチャートに基づき説明する。まず、物体情報取得部13が物体情報の取得を開始する(ステップ#01)。次に、自車位置情報取得部12が自車位置情報の取得を開始する(ステップ#02)。相対位置演算部14が、物体情報及び自車位置情報に基づき相対位置を演算する(ステップ#03)。
【0040】
作動トリガ取得部11により開扉要求信号が取得されない場合には(ステップ#04:No)、ステップ#01に戻り処理が継続される。作動トリガ取得部11により開扉要求信号が取得されると(ステップ#04:Yes)、接触判定部16はドア2が移動体と接触するか否かを判定する。
【0041】
接触判定部16によりドア2が移動体と接触すると判定されると(ステップ#05:Yes)、明示部17により明示される(ステップ#06)。接触判定部16によりドア2が移動体と接触しないと判定されると(ステップ#05:No)、開口量演算部20により開口量が演算される(ステップ#07)。モータ制御部21は、演算された開口量に基づきモータ22に通電する(ステップ#08)。また、車両1の周囲に対し、ドア2が開扉していることを示す情報を含む自車情報を自車情報送信部18から送信する(ステップ#09)。
【0042】
なお、接触判定部16によりドア2が移動体と接触すると判定された場合でも(ステップ#05:Yes)、開口量演算部20がドア2が移動体と接触しない程度の開口量を演算し(ステップ#07)、ドア2を開扉する(ステップ#08)構成とすることも可能である。
【0043】
次に、本開閉体制御装置100によるドア2の制御形態について図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5の左側の列は開閉体制御装置100を備えない場合のドア2の制御形態について示し、図4及び図5の右側の列は開閉体制御装置100を備える場合のドア2の制御形態について示している。
【0044】
図4(a)には、車両1の運転席側のドア2Aが開扉される場合の例が示される。図4(a)に示されるように、本開閉体制御装置100を備えない場合には車両1の運転席側のドア2Aが他車に接触していたが、開閉体制御装置100を備える場合には適切なモータ制御により運転席側のドア2Aが他車に接触するのを防止できる。
【0045】
また、図4(b)には、車両1の運転席側のドア2Aが開扉される場合において、他車のドアも開扉されているケースを示している。係る場合も、図4(b)に示されるように、本開閉体制御装置100を備えない場合には車両1の運転席側のドア2Aが他車に接触していたが、開閉体制御装置100を備える場合には適切なモータ制御により運転席側のドア2Aが他車に接触するのを防止できる。
【0046】
また、図5には、車両1のバックドア2Cが開扉される場合において、車両1の後方に他車が駐車されている場合の例を示している。係る場合、図5に示されるように、本開閉体制御装置100を備えない場合には車両1の後方の他車に接触していたが、開閉体制御装置100を備える場合には適切なモータ制御によりバックドア2Cが他車に接触するのを防止できる。
【0047】
このように本発明に係る開閉体制御装置100によれば、リアルタイムで自車位置情報及び物体情報を通信により取得するので、その時点での車両1が有するドア2が移動体に接触するか否かの判定を行うことができる。したがって、車両1が初めて訪れた場所はもちろん、自車位置情報及び物体情報を取得できる環境であれば、車両1のドア2と、車両1の周囲に存在する移動体との接触を適切に防止することが可能となる。
【0048】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、開口量演算部20が、相対位置に基づき、自車両のドア2が開口可能な開口量を演算し、モータ制御部21がドア2の開閉を行うモータ22を制御するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。開閉体制御装置100が、モータ22の開閉を制御しない構成とすることも当然に可能である。係る場合、開口量演算部20やモータ制御部21を備えずに開閉体制御装置100を構成することが可能である。例えば、自車両のドア2が、車両1の周囲に存在する移動体と接触する場合に、接触前に音や表示等により乗員に報知する報知部を備えると好適である。このような構成とすれば、適切に乗員に明示することが可能となるので、車両1の周囲に存在する移動体との接触を適切に防止することが可能となる。
【0049】
上記実施形態では、物体情報は、移動体の形状を示す形状情報及び移動体が向いている方向を示す方位情報が含まれているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。物体情報に形状情報や方位情報を含まない構成とすることも当然に可能である。
【0050】
上記実施形態では、車両1は、車車間通信又は路車間通信により物体情報を取得するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、移動体には、人が有する携帯端末が含まれるように構成することも可能である。このような構成とすれば、人が有する携帯電話等の携帯端末と通信をすることで、当該携帯端末を有する人(移動している人及び立ち止まっている人)を特定することができる。したがって、自車両のドア2と人との接触を防止できる。
【0051】
また、例えば、車両1の周囲に存在する物体が車両であり、当該車両に人が乗車している場合には、車両及び人の夫々の物体情報を取得し得る。この場合、車両1のドア2に接触するか否かは、人が乗車する車両で判定すれば良いので、人からの物体情報は無視すると好適である。
【0052】
上記実施形態では、移動速度演算部19が、所定時間内における移動体の相対位置の変化量に基づき、移動体の相対移動速度を演算するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。移動速度演算部19を備えずに開閉体制御装置100を構成することも当然に可能である。
【0053】
上記実施形態では、自車情報送信部18が、移動体に自車両の情報を送信するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。自車情報送信部18を備えずに開閉体制御装置100を構成することも当然に可能である。
【0054】
上記実施形態では、本発明に係る規制機構が、モータ制御部21であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、ドア2は手動で開扉される形態の場合には、規制機構をギヤ機構で構成し、演算された開口量以上にドア2を開扉しないようにすることも可能である。
【0055】
上記実施形態では、車両1のドア2を開扉するユーザが車両1の外にいる場合の例を挙げて説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。ユーザが車両1に乗車し、その状態でドア2を開扉する場合にも適用することは可能である。このような場合、例えば、接触判定部16により、ドア2が接触すると判定された際、車両1に設けられるモニタに開扉が規制されるドアを表示すると好適である。
【0056】
上記実施形態では、物体情報は、公知の車車間通信や路車間通信等の通信により取得されるとして説明した。本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、他の車両の物体情報を、車両1と他の車両とが直接的に車車間通信により取得するのではなく、間接的に取得する、すなわち、車路車間通信により取得することも当然に可能である。
【0057】
本発明は、車両が有する開閉体の開閉を制御する開閉体制御装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
2:ドア(開閉体)
12:自車位置情報取得部
13:物体情報取得部
14:相対位置演算部
16:接触判定部
19:移動速度演算部
20:開口量演算部
21:モータ制御部(規制機構)
100:開閉体制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置を示す自車位置情報を取得する自車位置情報取得部と、
前記自車両の周囲の移動体の位置情報を含む物体情報を前記移動体と通信して取得する物体情報取得部と、
前記自車位置情報と前記物体情報とに基づいて、前記自車両を基準とする前記移動体の相対位置を演算する相対位置演算部と、
前記演算された相対位置に基づき、前記自車両の開閉体が開扉した際に前記開閉体が前記移動体と接触するか否かを判定する接触判定部と、
を備える開閉体制御装置。
【請求項2】
前記相対位置に基づき、前記自車両の開閉体が開口可能な開口量を演算する開口量演算部を備えている請求項1に記載の開閉体制御装置。
【請求項3】
前記演算された開口量に基づき、前記開閉体の開き動作を規制する規制機構を備えている請求項2に記載の開閉体制御装置。
【請求項4】
前記物体情報は、前記移動体の形状を示す形状情報及び前記移動体が向いている方向を示す方位情報が含まれている請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉体制御装置。
【請求項5】
前記形状情報は、他の車両が有する開閉体のうち、開口している開閉体の位置を示す情報が含まれる請求項4に記載の開閉体制御装置。
【請求項6】
前記形状情報は、前記他の車両の開閉体の開口量を示す情報が含まれる請求項5に記載の開閉体制御装置。
【請求項7】
所定時間内における前記移動体の相対位置の変化量に基づき、前記移動体の相対移動速度を演算する移動速度演算部を備え、
前記接触判定部は、前記相対移動速度も用いて前記開閉体が前記移動体と接触するか否かを判定する請求項1から6のいずれか一項に記載の開閉体制御装置。
【請求項8】
前記移動体に前記自車両の情報を送信する請求項1から7のいずれか一項に記載の開閉体制御装置。
【請求項9】
前記移動体は、人が有する携帯端末が含まれる請求項1から8のいずれか一項に記載の開閉体制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44168(P2013−44168A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182767(P2011−182767)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】