説明

開閉器

【課題】放圧板の腐食を抑制できる開閉器を提供する。
【解決手段】開閉器10は、接点を開閉する開閉部が収容され、内部の圧力を逃がすための放圧孔52が形成された容器12と、容器12の外側の、放圧孔52の周囲に取り付けられ、容器12の内部の気密を保つための環状の第1のシール部材60と、第1のシール部材60を介して放圧孔52を塞ぎ、容器12の内部の圧力により変形する放圧板62と、放圧板62の外側に配置され、変形した放圧板62に接触して孔をあける穿孔部材64と、放圧板62及び穿孔部材64を外側から覆う第2のシール部材66とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉器のガス放圧装置が記載されている。この放圧装置は、異常な内部圧力上昇により反転する放圧板と、放圧板を放圧部に固定するための押さえ板の間に放圧板を確実に破るために鋸歯状の突起を持った突起板を有している。
放圧装置は、放圧板の反転時の圧力が比較的低く且つ圧力上昇も緩い場合でも、突起板の鋸歯状の突起が確実に放圧板を破壊し、内部圧力を低下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−274910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、放圧板が直接外気にさらされると腐食し、内部に封入された絶縁ガスが漏れる場合がある。
本発明は、放圧板の腐食を抑制できる開閉器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、接点を開閉する開閉部が収容され、内部の圧力を逃がすための放圧孔が形成された容器と、
前記容器の外側の、前記放圧孔の周囲に取り付けられ、前記容器の内部の気密を保つための環状の第1のシール部材と、
前記第1のシール部材を介して前記放圧孔を塞ぎ、前記容器の内部の圧力により変形する放圧板と、
前記放圧板の外側に配置され、変形した前記放圧板に接触して孔をあける穿孔部材と、
前記放圧板及び前記穿孔部材を外側から覆う第2のシール部材とを備えた開閉器が適用される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、放圧板の腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る開閉器の正面図である。
【図1B】同開閉器の側面図である。
【図2】同開閉器の部分断面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】同開閉器の放圧部の分解図である。
【図5】同開閉器が有する放圧板の正面図である。
【図6】同開閉器が有する第2のシール部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0009】
本発明の一実施の形態に係る開閉器10は、図1A及び図1Bに示すように、容器12と、容器12から外側に延びる計6つの端子Tと、各端子Tを絶縁して支持する碍子14と、固定具16と、放圧部20とを備えている。
【0010】
容器12の内部には、接点(不図示)及びこの接点を開閉する開閉部(不図示)が収められている。接点は、開閉器10の前面に設けられた操作ハンドル22を用いて手動操作によって開閉することも可能である。
容器12には、絶縁ガスが封入されている。容器12の背面側には、上昇した容器12の内部圧力を逃がすための放圧孔52(図2参照)が形成されている。
【0011】
各端子Tは、容器12に形成された孔(不図示)を通って容器12の内部に設けられた接点へと接続される。
各碍子14は、前述の容器12に形成された孔を貫通して設けられ、容器12に固定されている。
固定具16は、開閉器10を柱上に固定するための部材である。
なお、容器12の下部に設けられた脚部24は、開閉器10を床面に置くための支持部材である。
【0012】
放圧部20は、上昇した容器12の内部の圧力を低下させることができる。
放圧部20は、図2〜図4に示すように、第1のシール部材60と、放圧板62と、穿孔部材64と、第2のシール部材66と、押さえ板68とを有している。
【0013】
第1のシール部材60は、容器12の内部の気密を保つことができる。第1のシール部材60の形状は、環状である。第1のシール部材60は、容器12の外側の、放圧孔52の周囲に取り付けられる。第1のシール部材60の材質は、例えばゴムである。
第1のシール部材60は、図2及び図3に示すように容器12の外側の面と、容器12に対向する放圧板62の外周部との間で潰される。
【0014】
放圧板62は、容器12の内部圧力が上昇すると変形する。
放圧板62は、図5に示すように、中央部に容器12の側に膨出した半球状の膨出部62aを有し、正面視して円形状の板状部材である。放圧板62の材質は、例えば、アルミニウムやステンレスである。
膨出部62aの頂部は、容器12の内部に入り、放圧板62は、第1シール部材60を介して放圧孔52を塞いでいる。
【0015】
放圧板62の周端部には、それぞれ放圧板62の属性(放圧板62に備わっている性質や特徴)を示す例えば4つの切り欠き72が形成されている。この切り欠き72は、放圧板62の中心部に対して点対称となる位置に形成されている。切り欠き72は、4つに限定されるものではなく、周端部の偶数箇所に形成されていればよい。このように、周端部の偶数箇所に、切り欠き72が放圧板62の中心部に対して点対称となるよう、形成されているので、容器12の内部圧力が放圧板62の一部に集中して加わることが抑制される。
【0016】
放圧板62の属性とは、例えば、放圧板62の厚みである。具体的には、例えば、放圧板62の2箇所に形成された切り欠き72は、放圧板62の厚みが0.5mmであることを示し、放圧板62の4箇所に形成された切り欠き72は、放圧板62の厚みが0.8mmであることを示す。その際、切り欠き72の数が多いほど厚い板厚であることを示すことが好ましい。
また、放圧板62の属性を、例えば材質とし、切り欠き72の数によって、材質の種類を示してもよい。
【0017】
穿孔部材64は、放圧板62の外側に配置され、容器12の内部圧力が上昇したことによって変形した放圧板62に接触し、放圧板62に孔をあけることができる。
穿孔部材64は、正面視して中心部に孔が開いた円形状の部材である。この孔の周囲には、図2及び図4に示すように、側面視して容器12の方向(放圧板62の方向)に突出する複数の鋭利な突起部64aが形成されている。
【0018】
第2のシール部材66は、放圧板62及び穿孔部材64を外側から覆い、雨水等が開閉器10の内部に侵入することを抑制できる。第2のシール部材66は、円板状の部材である。第2のシール部材66の材質は、例えばゴムである。
【0019】
第2のシール部材66は、図6に示すように、円環状の環状部66aと、環状部66aの内周側に設けられ、環状部よりも厚みが薄い薄膜部66bとを有している。
環状部66aは、図2に示すように容器12と押さえ板68との間で潰される。
第2のシール部材66の容器12の側には、環状部66aと薄膜部66bによって、図4の二点鎖線で示す空間Sが形成される。この空間Sには、放圧板62及び穿孔部材64の外周部が収まる。換言すると、環状部66aによって、放圧板62及び穿孔部材64の外周部が位置決めされる。
【0020】
環状部66aに接する薄膜部66bの周縁部には、周縁部に沿って、両面に溝74が形成されている。従って、第2のシール部材66の溝74の部分は、溝74以外の部分と比べると厚みが薄いので、容器12の内部圧力が放圧される際に、薄膜部66bに形成された溝74の部分が破れやすくなっている。
【0021】
押さえ板68は、図2及び図4に示すように、容器12から延びるスタッドSTD及びボルトBLTによって容器12に固定され、第1のシール部材60、放圧板62、穿孔部材64、及び第2のシール部材66を容器12との間で挟み込むことができる。押さえ板68は、正面視して中心部に孔76が開いた円形状の部材である。
押さえ板68には、図3及び図4に示すように、容器12の側の面に、第2のシール部材66の環状部66aが嵌る溝78が形成されている。第2のシール部材66の環状部66aは、この溝78によって、位置決めされる。
【0022】
なお、押さえ板68の外側には、カバー70が取り付けられている。このカバー70は、放圧した際の部品の破片が開閉器10の外側の広い範囲に飛散することを抑制できる。
【0023】
次に、開閉器10の動作について説明する。
容器12の内部圧力が予め決められた範囲内に維持されている場合には、容器12の内部は、主として第1のシール部材60によって気密が保たれる。また、主として第2のシール部材66によって、内部に雨水等が侵入して放圧板62が腐食することが抑制される。
【0024】
一方、容器12の内部圧力が、何らかの要因で上昇した場合には、放圧板62の膨出部62aが圧力によって変形し、外側に押し出される。
押し出された膨出部62aは、穿孔部材64の突起部64aに接触し、孔が開けられる。
その結果、容器12の内部の絶縁ガスが、放圧板62に開けられた孔から第2のシール部材66を破って、外側に流出する。その結果、開閉器10の内部圧力が低下する。
【0025】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述の実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0026】
前述の実施の形態において、穿孔部材は、放圧板の方向に突出した突起部が形成された部材に限定されるものではない。穿孔部材は、放圧板を破ることができれば、任意の形状でよい。
【符号の説明】
【0027】
10:開閉器、12:容器、14:碍子、16:固定具、20:放圧部、22:操作ハンドル、24:脚部、52:放圧孔、60:第1のシール部材、62:放圧板、62a:膨出部、64:穿孔部材、64a:突起部、66:第2のシール部材、66a:環状部、66b:薄膜部、68:押さえ板、70:カバー、72:切り欠き、74:溝、76:孔、78:溝、BLT:ボルト、STD:スタッド、T:端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点を開閉する開閉部が収容され、内部の圧力を逃がすための放圧孔が形成された容器と、
前記容器の外側の、前記放圧孔の周囲に取り付けられ、前記容器の内部の気密を保つための環状の第1のシール部材と、
前記第1のシール部材を介して前記放圧孔を塞ぎ、前記容器の内部の圧力により変形する放圧板と、
前記放圧板の外側に配置され、変形した前記放圧板に接触して孔をあける穿孔部材と、
前記放圧板及び前記穿孔部材を外側から覆う第2のシール部材とを備えた開閉器。
【請求項2】
請求項1記載の開閉器において、
前記放圧板は、中央部に前記容器の側に膨出した膨出部を有し、正面視して円形状の部材であり、周端部の偶数箇所に、それぞれ該放圧板の属性を示す切り欠きが形成されている開閉器。
【請求項3】
請求項2記載の開閉器において、
前記切り欠きは、それぞれ中心部に対して点対称となる位置に形成されている開閉器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉器において、
前記第2のシール部材は、
円環状の環状部と、
前記環状部の内周側に設けられ、前記環状部よりも厚みが薄い薄膜部とを有し、
前記環状部の内周側に、前記放圧板及び前記穿孔部材の外周部が収まる開閉器。
【請求項5】
請求項4記載の開閉器において、
前記環状部に接する前記薄膜部の周縁部に沿って、溝が形成されている開閉器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−62186(P2013−62186A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200906(P2011−200906)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】