説明

開閉蓋付き電気機器

【課題】最終的な閉鎖を確実に行うことのできる機能を備えた開閉蓋付き電気機器を提供すること。
【解決手段】開口部を有する電気機器本体1と、電気機器本体1に支軸2aを中心として開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能に取り付けた蓋体2と、電気機器本体1に対して蓋体2を閉鎖位置に位置決めする閉鎖手段22とを備える。蓋体2が、少なくとも開放位置から閉鎖位置に至る手前の閉鎖手前位置で、蓋体2の閉鎖位置への回動を補助する回動補助手段を電気機器本体1に、回動補助手段を蓋体2にそれぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器等の開閉蓋付き電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉蓋付き電気機器として、例えば、次のような蓋開閉機構を備えた炊飯器が公知である。
【0003】
特許文献1には、人の接近を検知する人体検知センサからの出力に基づいてフックレバーのロックを解除して炊飯器の蓋体を自動開放するようにした構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、蓋体の支軸にギアやクラッチを設けることにより、蓋体の回動フィーリングを向上させ、又、蓋体を自動閉鎖させるようにした構成が開示されている。
【0005】
ところで、開閉蓋付き電気機器では、蓋体を閉鎖する際、次の理由によって回動抵抗を受ける。例えば、一般の炊飯器では、蓋体を閉鎖する際、蓋体側に設けた閉鎖手段を炊飯器本体側に係止するために回動抵抗が増大する。特に、炊飯直後等で内鍋内の水蒸気量が多くて内圧が上昇している場合、回動抵抗は多大なものとなる。また、圧力調理器(圧力炊飯器等)では、構造上、蓋体を閉鎖する際にパッキンが内鍋の上方開口内面に圧接する等により、一般の炊飯器よりも回動抵抗は大きくなる。
【0006】
しかしながら、前記いずれの特許文献であっても、蓋体を閉鎖する際、閉鎖位置に至る手前の位置で回動抵抗を受けた場合、適切に閉鎖できない恐れがある。特に、自動で閉鎖する場合には閉鎖状態が不十分になっても気が付きにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−304522号公報
【特許文献2】特開平7−313371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、最終的な閉鎖を確実に行うことのできる機能を備えた開閉蓋付き電気機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
開口部を有する電気機器本体と、
前記電気機器本体に、支軸を中心として、前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能に取り付けた蓋体と、
前記電気機器本体に対して前記蓋体を閉鎖位置に位置決めする閉鎖手段と、
を備えた開閉蓋付き電気機器であって、
前記蓋体が、少なくとも開放位置から閉鎖位置に至る手前の閉鎖手前位置で、蓋体の閉鎖位置への回動を補助する回動補助手段を、蓋体又は電気機器本体の少なくともいずれか一方に設けたものである。
【0010】
なお、ここで、閉鎖手前位置とは、蓋体が閉鎖位置へと回動する際、回動抵抗を受け始める位置、あるいは、その手前の位置を意味する。
【0011】
前記構成により、回動補助手段が、閉鎖位置で閉鎖手段によって位置決めされるまで、蓋体を強制的に回動させるので、最終的な閉鎖を確実に行うことが可能となる。
【0012】
前記回動補助手段は、蓋体又は電気機器本体のいずれか一方に設けた磁性部と、残る他方に設けた電磁石部とで構成すればよい。
【0013】
この構成により、電磁石部を励磁・消磁するという簡単な制御により蓋体の回動を補助することが可能となる。
【0014】
前記蓋体の回動位置を検出する回動位置検出手段と、
前記回動位置検出手段で、蓋体が閉鎖手前位置に回動したことが検出されると、前記回動補助手段による蓋体の回動を開始させる回動制御手段と、
をさらに備えるのが好ましい。
【0015】
この構成により、蓋体を閉鎖手前位置まで回動させれば、後は自動的に回動補助手段による回動が行われることになる。
【0016】
前記回動制御手段は、閉鎖手段によって蓋体が閉鎖位置に位置決めされることにより、回動補助手段による蓋体の回動を停止するのが好ましい。
【0017】
この構成により、蓋体が閉鎖位置で閉鎖手段によって位置決めされれば、回動補助手段の作動状態を停止して無駄な消費電力の発生を抑制することができる。
【0018】
前記回動補助手段は、蓋体を開放する際、蓋体を押圧して開放方向へと回動させる押出部を備えるのが好ましい。
【0019】
この構成により、蓋体の閉鎖のみならず、開放をも人手を介さずにスムーズに行うことができる。また、蓋体が開放される前に、閉鎖手段によって再び閉鎖されてしまうといった、いわゆる再ロックを防止することが可能となる。
【0020】
前記押出部は、鉄心からなり、
前記炊飯器本体は、鉄心の周囲に配置される巻回したコイル、及び、鉄心を蓋体側へと付勢する付勢手段を有する電磁石部を備え、
前記電磁石部は、コイルに通電することにより励磁して鉄心を蓋体から離れる方向に移動させ、コイルへの通電を遮断することにより消磁して鉄心を炊飯器本体から突出させて閉鎖位置の蓋体を開放位置へと移動させるようにすればよい。
【0021】
この構成により、蓋体の閉鎖時には、蓋体の回動を補助し、開放時には再ロックを防止することが可能となる。
【0022】
前記蓋体を、支軸を中心として正逆回転駆動する蓋体駆動手段を備えるのが好ましい。
【0023】
この構成により、蓋体の開閉動作を全行程に亘って自動化することが可能となる。また、蓋体駆動手段の駆動力を、蓋体を閉鎖手前位置から閉鎖位置に回動させる際にも利用することができる。したがって、回動補助手段に必要とされる駆動力を抑制して、回動補助手段を小型で安価な構成とすることが可能となる。
【0024】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
開口部を有する電気機器本体と、
前記電気機器本体に、支軸を中心として、前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能に取り付けた蓋体と、
を備えた開閉蓋付き電気機器であって、
前記蓋体を支軸を中心として正逆回転駆動する蓋体駆動手段と、
前記蓋体が、少なくとも開放位置から閉鎖位置に至る手前の閉鎖手前位置で、前記蓋体駆動手段による駆動力を増大させる駆動制御手段と、
を備えたものである。
【0025】
この構成により、蓋体駆動手段のみで、蓋体の自動開閉の全行程を行わせることが可能となる。
【0026】
なお、開閉蓋付き電気機器が圧力式炊飯器であれば、前記各構成により十分な効果が期待できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蓋体を閉鎖手前位置から閉鎖位置へと回動させることのできる回動補助手段を備えたので、最終的な閉鎖状態を確実に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る炊飯器の中央での概略断面図である。
【図2】図1の部分詳細断面図である。
【図3】図2のロック部材を示す斜視図である。
【図4】図2から操作部材を押し込んだ状態を示す詳細断面図である。
【図5】本実施形態に係る炊飯器の中央から側方にずれた位置での概略断面図である。
【図6】(a)は図5に示す電磁石部及び磁性部材とその周辺部分を示す断面図、(b)は蓋体が若干開放した状態を示す断面図である。
【図7】図1に示す蓋体の支軸に採用するギア及びモータを示す斜視図である。
【図8】他の実施形態に係る蓋閉鎖機構を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0030】
図1及び図4は、本実施形態に係る開閉蓋付き電気機器の一例である圧力式炊飯器を示す(これらの図面では、ハッチングは省略している。)。この圧力式炊飯器は、炊飯器本体1と、蓋体2とを備える。
【0031】
炊飯器本体1は、外胴3と、内胴4とを備える。外胴3と内胴4とによって環状空間が形成されている。環状空間の上方開口部は肩体5によって閉鎖されている。肩体5の前方両側には、図2に示すように、係止孔6が形成されている。係止孔6には、後述するロック部材22の係止爪部28が係脱可能となっている。内胴4は、底面に設けた保護枠8とで、内鍋7が収容される収容凹部を構成する。外胴3の下方開口部は底板9によって閉鎖されている。
【0032】
環状空間の前方両側の2箇所には、図5及び図6に示すように、電磁石部10がそれぞれ配置されている。電磁石部10は、鉄心11と、その周囲にコイル状に巻回した導電線を内蔵する有底筒状の保持部12とからなる。電磁石部10は、鉄心11の軸心方向が上下に向かうように配置され、上端面が肩体5の上面に露出している。保持部12の底面にはスプリング12aが配置され、鉄心11は肩体5の上面から突出可能に付勢されている。但し、図示しない構成(例えば、鉄心11を段付き構造として、段部を保持部12の上方開口縁部によってガイドする構成)により鉄心11の保持部12からの突出寸法は制限されている。電磁石部10は、導電線に通電する前の消磁状態では、スプリング12aの付勢力により鉄心11の先端部を保持部12から突出させる。そして、導電線に通電することにより励磁して、スプリング12aの付勢力に抗して鉄心11を後退させ、先端部を保持部12内に移動させる。また、鉄心11の上端面から発生させた磁力線により、後述する蓋体2側の磁性部材23を吸引する。
【0033】
蓋体2は、図1及び図2に示すように、上板13と下板14とを備える。下板14の下面には、内鍋7の上方開口部を閉鎖する内蓋15が着脱可能となっている。内蓋15は、金属製の円板部16と、その外周部に取り付けられるシール部17とを備える。シール部17は、上昇した内圧を維持するために、円板部16の外周から下方に向かって延び、内鍋7の上方開口内面に密着可能となっている。
【0034】
蓋体2は、図1に示すように、炊飯器本体1の後方側に、支軸2aを中心として回動可能に連結され、スプリング(図示せず)によって開放方向に付勢されている。支軸2aには、図7に示すように、従動ギア18が一体化されている。従動ギア18にはサーボモータ19の回転軸に設けた駆動ギア20が噛合している。サーボモータ19を正逆回転駆動することにより、蓋体2は、駆動ギア20及び従動ギア18を介して回動し、炊飯器本体1の収容凹部を開閉する。蓋体2の回動位置は、サーボモータ19の回転軸に設けたスリット円板(図示せず)をエンコーダ2bによって検出することにより特定される。なお、モータにはステッピングモータを使用してもよい。この場合、ステッピングモータへの印加電圧のパルス数をカウントすることにより、蓋体2の回動位置を特定すればよい。また、蓋体2の回動位置の特定は、閉鎖手前位置でオンするスイッチやフォトカプラを使用するようにしてもよい。
【0035】
蓋体2の前方部には、図2から図6に示すように、操作部材21、ロック部材22、及び、磁性部材23が設けられている。
【0036】
操作部材21は、上板13に支軸21aを中心として回動可能に取り付けられ、図示しないスプリングによって上方側に付勢されている。操作部材21は、上板13に形成した開口に押込操作可能に位置する操作部24と、この操作部24を押込操作することによりロック部材22を作動させる押圧部25とを備える。
【0037】
ロック部材22は、炊飯器本体1に対して蓋体2を閉鎖位置に位置決めするためのもので、図3に示すように、押圧受部26と脚部27とを備える。押圧受部26は、操作部材21の押圧部25によって押圧可能な平板状に形成されている。脚部27は、押圧受部26から両側次いで下方側へと延びる略L字形に形成されている。脚部27の下端部には係止爪部28が形成され、炊飯器本体1に形成した係止孔6に係脱可能となっている。そして、ロック部材22は、下板14に支軸22aを中心として回動可能に取り付けられ、図示しないスプリングによって蓋体2を閉鎖位置に位置決めできるように付勢されている。
【0038】
磁性部材23は、図5及び図6に示すように、蓋体2の前方部両側に配置され、前記電磁石部10に対応する位置にそれぞれ露出している。そして、磁性部材23は、電磁石部10が励磁することにより、スプリング12aの付勢力に抗して後退させた鉄心11の上端面に吸引されるようになっている。これにより、蓋体2が閉鎖位置に回動する。
【0039】
前記サーボモータ19や電磁石部10への通電は、制御部29によって制御されるようになっている。ここでは、制御部29は、環状空間の電磁石部10のさらに前方に配置した基板30に実装されるマイコンで構成されている。なお、基板30には、マイコンのほか、液晶パネル31、炊飯ボタン等の各種ボタン、LED等が実装されている。
【0040】
次に、前記構成からなる炊飯器の動作について説明する。但し、以下の説明は、本発明の特徴部分である蓋体2の開閉動作に留め、炊飯等の他の動作については省略する。
【0041】
蓋体2を開放し、炊飯器本体1の収容凹部に内鍋7を収容した状態で、例えば、炊飯ボタンが操作されると、サーボモータ19を駆動することにより、駆動ギア20及び従動ギア18を介して蓋体2を回動させる。これにより、蓋体2は、開放位置から閉鎖位置に向かって回動し、閉鎖位置の手前の閉鎖手前位置に至る。この間、電磁石部10は、消磁状態にあり、図6(b)に示すように、鉄心11はスプリング12aの付勢力により保持部12から先端部分を突出させている。蓋体2が閉鎖手前位置に至った時点で、炊飯装置本体1側の電磁石部10を励磁し、スプリング12aの付勢力に抗して後退させた鉄心11の上端面に蓋体2側の磁性部材23を吸引する。
【0042】
このとき、内蓋15のシール部17が内鍋7に圧接する等により蓋体2の回動は抵抗を受ける。また、ロック部材22の係止爪部28が係止孔6に係止する前にも抵抗を受ける。しかしながら、サーボモータ19と電磁石部10とにより、蓋体2には十分な回動力を作用させることができる。しかも、電磁石部10は蓋体2すなわち磁性部材23が接近するに従って、磁荷に関するクーロンの法則により、作用する吸引力が増大してくる。蓋体2は閉鎖位置までスムーズに回動する。また、電磁石部10の働きにより、サーボモータ19に無理な負荷をかけることがない。そして、蓋体2が閉鎖位置まで回動すると、ロック部材22の係止爪部28が炊飯器本体1の肩体5に形成した係止孔6に係止し、蓋体2は閉鎖位置に位置決めされる。この時点で、電磁石部10への通電を遮断し、サーボモータ19の駆動を停止する。電磁石部10への通電を遮断すると、スプリング12aの付勢力により保持部12から鉄心11が突出しようとするが、ロック部材22によって閉鎖位置に強固に位置決めされた蓋体2によってその突出は阻止される。
【0043】
一方、蓋体2を開放する場合、操作部材21を押し込んで、ロック部材22の係止爪部28を肩体5の係止孔6から離脱させる。これにより、蓋体2は、スプリング12aで付勢された電磁石部10の鉄心11によって押し上げられる。したがって、シール部17が内鍋7の内周面に密着した状態を迅速に解消することができ、回動の初期動作がスムーズに行われる。また、鉄心11によって押し上げられた状態では、ロック部材22の係止爪部28が図示しないスプリングの付勢力で元の位置に復帰したとしても、再び係止孔6に係止することはない。その後、蓋体2は、支軸2aに設けた図示しないスプリングの付勢力に従って開放位置へと回動する。この場合、サーボモータ19を逆転駆動することにより蓋体2を強制的に開放位置へと回動させるようにしてもよい。これにより、蓋体2を短時間で開放位置へと回動させることが可能となる。
【0044】
このように、前記実施形態に係る炊飯器によれば、蓋体2が閉鎖手前位置まで回動すれば、回動補助手段としての電磁石部10が励磁し、蓋体2を閉鎖位置へと強制的に回動させることができる。したがって、従来、特に圧力式炊飯器で困難であった蓋体2の閉鎖作業を自動的に、しかも確実に行うことが可能となる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0046】
前記実施形態では、開閉蓋付き電気機器の例として圧力炊飯器について説明したが、他の電気機器、例えば、非圧力式炊飯器、電気ポット、餅つき器、加湿器、食器洗浄機、電子レンジ等であっても、同様な蓋開閉構造を採用することが可能である。
【0047】
また、前記実施形態では、蓋体2を自動開閉するように構成したが、手動で開閉するように構成することも可能である。この場合、開放位置に位置する蓋体2を手動で閉鎖手前位置(回動開始直後の位置であってもよい。)まで回動したことを検出し、この検出結果に基づいて電磁石部10を励磁することにより、その後は自動的に、あるいは、補助として、蓋体2を閉鎖位置まで回動させるようにすればよい。
【0048】
また、前記実施形態では、サーボモータ19等の回転位置を正確に把握できるモータを使用するようにしたが、これに代えて、モータへの印加電圧の変化に基づいて蓋体2が閉鎖手前位置まで回動したことを検出するようにしてもよい。すなわち、蓋体2が閉鎖手前位置まで回動すると、シール部17が内鍋7に圧接する等により回動抵抗が大きくなる。このため、モータに作用する負荷が増大し、印加電圧が上昇する。そこで、この印加電圧が予め設定した所定値(通常時よりも高い値)に到達すれば、電磁石部10を励磁するようにすればよい。
【0049】
また、前記実施形態では、電磁石部10を炊飯装置本体1側に、磁性部材23を蓋体2側にそれぞれ設けるようにしたが、逆に設けることもできる。また、炊飯装置本体又は蓋体2の少なくとも一部が磁性材料で構成されているのであれば、残る他方の部材に電磁石部10を設けるだけでも対応することができる(つまり、この構成によれば、別途、磁性部材23を設ける必要がない。)。さらに、電磁石部10の数は2つに限らず、1あるいは3以上であってもよく、蓋体2の重量、スプリング12の弾性力、サーボモータ19の性能等に応じて自由に変更可能である。
【0050】
また、前記実施形態では、回動補助手段として、電磁石部10と磁性部材23を利用するようにしたが、これに代えて、次のような構成を採用することも可能である。
【0051】
すなわち、図8に示すように、蓋体2の前方端に下方に向かって突出する突出部41を設け、この突出部41に係止受部42(例えば、貫通孔)を形成する。一方、炊飯器本体1には、ソレノイドにより水平方向に移動部材43を往復移動させる。移動部材43は、先端部下面に先端から離れるに従って徐々に下方側へと傾斜する傾斜面43aを有する。これにより、蓋体2を閉鎖位置へと回動させると、まず、突出部41の係止受部42に移動部材43の先端が係止する。この状態で、ソレノイドを駆動して移動部材43を前進させると、その傾斜面43aに沿って係止受部42を構成する下縁が押し下げられ、突出部41を介して蓋体2が支軸2aを中心として閉鎖位置へと回動する。
【0052】
この構成によれば、前記実施形態で採用したロック部材22は不要とすることも可能である。また、移動部材43の傾斜面43aによって直接蓋体2を回動させることができるので、動作の信頼性が得られる。なお、突出部41を炊飯器本体1側に、ソレノイド及び移動部材43を蓋体2側にそれぞれ設けることも可能である。
【0053】
また、ソレノイド及び移動部材43の構成は電磁石部10と併用することも可能である。この場合、閉鎖位置の手前の第1閉鎖手前位置で電磁石部10による磁力による吸引を開始し、第1閉鎖手前位置からさらに閉鎖位置に近付いた第2閉鎖手前位置に到達することによりソレノイドを励磁して移動部材43を移動させ、蓋体2を閉鎖位置へと回動させるようにすればよい。
【0054】
この構成によれば、蓋体2の回動動作を2段階で強くすることができる。したがって、蓋体2の閉鎖動作で、電磁石部の吸引力をそれほど大きくしなくても、第2閉鎖手前位置まで回動させることができれば、後はソレノイド及び移動部材43によって確実に閉鎖位置へと回動させることができる。このため、より一層閉鎖動作を無理なくスムーズに行わせることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1…炊飯器本体(電気機器本体)
2…蓋体
2a…支軸
3…外胴
4…内胴
5…肩体
6…係止孔
7…内鍋
8…保護枠
9…底板
10…電磁石部(回動補助手段)
11…鉄心(押出部)
12…保持部
12a…スプリング
13…上板
14…下板
15…内蓋
16…円板部
17…シール部
18…従動ギア
19…サーボモータ
20…駆動ギア
21…操作部材
22…ロック部材(閉鎖手段)
23…磁性部材(回動補助手段)
24…操作部
25…押圧部
26…押圧受部
27…脚部
28…係止爪部
29…制御部
30…基板
31…液晶パネル
41…突出部
42…係止受部
43…移動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する電気機器本体と、
前記電気機器本体に、支軸を中心として、前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能に取り付けた蓋体と、
前記電気機器本体に対して前記蓋体を閉鎖位置に位置決めする閉鎖手段と、
を備えた開閉蓋付き電気機器であって、
前記蓋体が、少なくとも開放位置から閉鎖位置に至る手前の閉鎖手前位置で、蓋体の閉鎖位置への回動を補助する回動補助手段を、蓋体又は電気機器本体の少なくともいずれか一方に設けたことを特徴とする開閉蓋付き電気機器。
【請求項2】
前記回動補助手段は、蓋体又は電気機器本体のいずれか一方に設けた磁性部と、残る他方に設けた電磁石部とで構成したことを特徴とする請求項1に記載の開閉蓋付き電気機器。
【請求項3】
前記蓋体の回動位置を検出する回動位置検出手段と、
前記回動位置検出手段で、蓋体が閉鎖手前位置に回動したことが検出されると、前記回動補助手段による蓋体の回動を開始させる回動制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉蓋付き電気機器。
【請求項4】
前記回動制御手段は、閉鎖手段によって蓋体が閉鎖位置に位置決めされることにより、回動補助手段による蓋体の回動を停止することを特徴とする請求項3に記載の開閉蓋付き電気機器。
【請求項5】
前記回動補助手段は、蓋体を開放する際、蓋体を押圧して開放方向へと回動させる押出部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉蓋付き電気機器。
【請求項6】
前記押出部は、鉄心からなり、
前記炊飯器本体は、鉄心の周囲に配置される巻回したコイル、及び、鉄心を蓋体側へと付勢する付勢手段を有する電磁石部を備え、
前記電磁石部は、コイルに通電することにより励磁して鉄心を蓋体から離れる方向に移動させ、コイルへの通電を遮断することにより消磁して鉄心を炊飯器本体から突出させて閉鎖位置の蓋体を開放位置へと移動させることを特徴とする請求項5に記載の開閉蓋付き電気機器。
【請求項7】
前記蓋体を支軸を中心として正逆回転駆動する蓋体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の開閉蓋付き電気機器。
【請求項8】
開口部を有する電気機器本体と、
前記電気機器本体に、支軸を中心として、前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置とに回動可能に取り付けた蓋体と、
を備えた開閉蓋付き電気機器であって、
前記蓋体を支軸を中心として正逆回転駆動する蓋体駆動手段と、
前記蓋体が、少なくとも開放位置から閉鎖位置に至る手前の閉鎖手前位置で、前記蓋体駆動手段による駆動力を増大させる駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする開閉蓋付き電気機器。
【請求項9】
圧力式炊飯器であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の開閉蓋付き電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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