説明

間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機における被包装物充填方法及び装置

【課題】間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機と被包装物供給装置とを連動する場合のレイアウトの自由度を大幅に拡げ、被包装物供給装置による被包装物の供給が間に合わない場合でも、空袋が発生することを防止できる被包装物充填方法及び充填装置を提供する。
【解決手段】所定の円軌道上を間欠移動する複数組のグリッパと、下部が開閉式に構成され、且つ前記複数組のグリッパにそれぞれ対応する如く複数設けられるとともに、各グリッパの上方に配置されたホッパを備え、グリッパにより袋の両側縁部を挟持して該袋を吊り下げ状態で保持して所定の範囲移送し、ホッパをグリッパに同調移動させる。所定の停止位置で停止し、下部が閉じているホッパに対して被包装物を供給し、被包装物が供給されたホッパ内の被包装物の有無を検知し、被包装物の存在が検知された場合に、被包装物が検知されたホッパに対応するグリッパに袋を供給し、供給された袋に被包装物が検知されたホッパの下部を開いて被包装物を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食品などの自動袋詰め包装機における被包装物の充填方法及び装置に関し、より具体的には、水平面内の所定の円軌道上を間欠移動し、袋の両側縁部を挟持可能な左右一対のグリッパを複数組備え、これらグリッパで袋を吊下げ状態に保持して所定の範囲移送しながら、当該袋に対して所定の包装処理を順次施す間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機における被包装物充填方法及び装置に関し、特に、被包装物を充填するための昇降式ホッパを各グリッパに対応して複数設置し、これらホッパを対応するグリッパに同調して移動させながら、ホッパ内に供給された被包装物を袋内へ充填するタイプ、所謂同調式ホッパを用いての被包装物の充填方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同調式ホッパを備えた間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機は、例えば特許第3742042号に開示されているように公知である。この特許では、図4に示される工程(ホ)に袋が停止するとホッパに被包装物が供給され、ホッパから袋への被包装物の充填は工程(ホ)で始まり、工程(ホ)から工程(ヘ)へ移動する間及び工程(ヘ)に停止中においても行うことができる。すなわち、特定の間欠停止位置(被包装物充填工程)に停止中にのみ被包装物の充填を行なう一般的な充填方法に比べ、同調式ホッパを用いることにより袋の移送中にも被包装物の充填を行うことができ、十分な充填時間を確保できるために生産性の向上が図れるという利点がある。
【0003】
しかしながら、従来の同調式ホッパを備える間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機には以下のような問題があった。
(1)先ず、ホッパが上下共に開口した筒状体であるため、ホッパ内へ供給された被包装物はホッパ内面に案内されて直ちに袋内への充填が開始される。従って、袋への被包装物の充填開始位置がホッパへの被包装物の供給位置にならざるを得ないため、必然的にホッパへ被包装物を供給する被包装物供給装置(被包装物の計量器等も含む。)の設定位置は限定されてしまい、包装機全体としてのレイアウトの自由度がきわめて制限されてしまう。
(2)次に、計量器などが付設されている場合、その計量機での計量に遅れが生じる場合がある。このような場合、被包装物供給装置によるホッパへの被包装物の供給が間に合わない事態が生じ、袋内への被包装物の充填は行われず、袋は空のまま下流の工程へ移送されて機外へ排出されるため、生産にロスが生じる。
【0004】
ところで、特開平8−268401公報には、充填物の自動反転排出装置(被包装物供給装置)の容器内における被充填物の有無検出信号に基づいて給袋を制御する(容器内に充填物が無い場合、対応するグリッパへの給袋を停止)構成が開示されている(請求項7、段落0031、図7)。この構成を採用すれば、前記(2)の問題点はある程度解決できるが、容器の反転不良や反転ガイド筒61内での詰まりが生じた場合など、充填物が投入ホッパ64内へ供給されないこともあり得るため、前記(2)の問題を確実に解決できるとは言い難い。また、投入ホッパ64は下側も開口しているので、リフト装置31、反転装置32、排出装置33などの設置位置は投入ホッパに対応した位置に設置する必要があり、前記(1)の問題も解決できない。
【0005】
【特許文献1】特許第3742042号公報
【特許文献2】特開平8−268401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機と被包装物供給装置とを連動させる場合のレイアウトの自由度を従来に比して大幅に拡げることができ、且つ被包装物供給装置による被包装物の供給が間に合わない場合でも、空袋が発生して生産にロスが生じることを防止できる被包装物充填方法及び装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明は、以下の被包装物充填方法を提供する。すなわちその方法は、所定の円軌道上を間欠移動する複数組のグリッパと、下部が開閉式に構成され、且つ前記複数組のグリッパにそれぞれ対応する如く複数設けられるとともに、各グリッパの上方に配置されたホッパを備え、前記のグリッパにより袋の両側縁部を挟持して該袋を吊り下げ状態で保持して所定の範囲移送し、その際にホッパをグリッパに同調移動させる、間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機における被包装物充填方法に係るものである。そしてその方法では、所定の停止位置で停止し、下部が閉じているホッパに対して被包装物を供給し、被包装物が供給されたホッパ内の被包装物の有無を検知し、被包装物の存在が検知された場合に、その被包装物が検知されたホッパに対応するグリッパに袋を供給し、この供給された袋に先の被包装物が検知されたホッパの下部を開いて被包装物を充填する。
さらに本発明の別の形態では、袋をグリッパに供給した後、当該袋の袋口を開口し、次いで該袋の袋口が開口しているかどうかを検知し、袋口が開口していることが検知された場合に、その供給された袋に先の被包装物の存在が検出されたホッパの下部を開いて被包装物を充填する。
さらに本発明の別の形態では、ホッパを昇降式に構成し、被包装物の供給を受けるときには上昇端位置に位置し、袋に被包装物を充填するときには下降端位置に位置するようにする。
さらに本発明の別の形態では、ホッパを昇降式に構成し、被包装物の供給を受けるときには上昇端位置に位置し、袋に被包装物を充填するときには下降端位置に位置するようにし、袋の袋口の開口が検知されなかった場合には、対応するホッパを下降端位置へは移動させない。
さらに本願発明は以下の構成の間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機における被包装物充填装置を提供する。すなわちその装置は、所定の円軌道上を間欠移動する複数組のグリッパと、下部が開閉式に構成され、複数組のグリッパにそれぞれ対応する如く設けられるとともに、各グリッパの上方に配置されたホッパを備え、グリッパにより袋の両側縁部を挟持して該袋を吊り下げ状態で保持して所定の範囲移送し、ホッパをグリッパに同調移動させる被包装物充填装置に係るものである。そしてその被包装物充填装置は、ホッパがグリッパに同調移動するのに伴って、該ホッパを上昇端位置と下降端位置との間で上下動させ、且つホッパ内に被包装物を供給する所定の被包装物供給ステーションにおいては上昇端位置に位置させる一方、ホッパ内の被包装物を袋に充填する所定の被包装物充填ステーションにおいては下降端位置に位置させる昇降手段と、上記所定の被包装物供給ステーションに配置され、該被包装物供給ステーションに停止したホッパに被包装物を供給する被包装物供給装置と、ホッパ内における被包装物の有無を検知する第1のセンサと、グリッパに対して順次袋を供給する袋供給装置と、制御装置とを備える。そして、被包装物供給装置と、第1のセンサと、袋供給装置とは、ホッパが円軌道に沿って間欠移動する際に、包装物供給装置からの被包装物の供給、第1センサによる被包装物の検知、グリッパへの袋の供給の順で行われるように配置される。そしてその制御装置は、第1のセンサからの信号に基づいて袋供給装置を制御することにより、ホッパ内における被包装物の存在を検知した場合は、当該ホッパに対応するグリッパへの袋の供給を行う一方、被包装物の存在を検知しなかった場合は、当該ホッパに対応するグリッパへの袋の供給は行わず、また、ホッパの下部の開閉を制御することにより、被包装物供給ステーションから被包装物充填ステーションに至るまではホッパの下部を閉状態に維持する一方、被包装物充填ステーションではホッパの下部を開いて袋へ被包装物を充填する。
本発明の他の形態として、グリッパへ供給された袋の袋口が開口装置により開口されたかどうかを検知する第2のセンサを備え、袋口の開口が検知された場合に制御装置は被包装物が供給されたホッパの下部を開き、該ホッパ内の被包装物を袋へ充填する。
さらに本発明の他の形態として、上記の第2のセンサがグリッパから供給された袋の袋口が開かれなかったことを検知した場合に、対応するホッパを下降端位置より上方に位置させる手段を備えている。
【発明の効果】
【0008】
上記のとおり本願発明では、ホッパの下部を開閉式に構成し、その下部を閉じた状態で被包装物供給装置から供給される被包装物をホッパ内へ受け入れるので、被包装物をホッパ内に貯留できる。従って、被包装物充填開始工程の位置に関係なく、被包装物供給工程、すなわち被包装物供給装置の位置を設定できるため、間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機と被包装物供給装置とを連動させる場合のレイアウトの自由度が従来に比して大幅に拡がる。
また、ホッパ内に被包装物が確かに供給されたことを第1センサで検知し、その検知信号に基づいてそのホッパに対応するグリッパに袋を供給するので、例えば計量に手間取り、被包装物供給装置による被包装物のホッパへの供給が間に合わない場合にも空袋が発生せず、生産にロスが生じることを防止できる。
また、第2センサで袋口が開口されたかどうかを検知し、開口された場合のみホッパの下部を開いて被包装物を袋に充填することにより、包装不良を防止できる。
また、第2センサで袋口が適切に開口されていないことが検知された場合、ホッパを充填位置である下降端位置より上の位置に留めるようにすることにより、袋の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の被包装物充填装置を使用した間欠回転式ロータ型袋詰め包装機の模式的斜視図である。
【図2】袋詰め包装機の模式的側面断面図である。
【図3】円筒カムの一部及び補助カムを示す展開図である。
【図4A】被包装物の充填工程の一部を示す説明図である。
【図4B】被包装物の充填工程の残りを示す説明図である。
【図5】制御装置による制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本願発明の実施の形態に係る被包装物充填方法及び装置について説明する。図1は本願発明の実施の形態に係る被包装物充填装置を使用した袋詰め包装機1の模式的全体斜視図であり、これを参照して袋詰め包装機1((以下単に「包装機」という。)の概略の構成を説明する。なお、公知の構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0011】
この包装機1は間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機であり、図中矢印方向に間欠回転する回転テーブル2(以下単に「テーブル」という。)を備え、テーブル2にはその円周方向に沿って所定の間隔で左右のグリッパ3,3が複数組備えられている。符号4はホッパで、後述する被包装物供給装置から被包装物を供給され、これも後述するように袋Bにその被包装物を充填する。ホッパ4は複数、すなわちそれぞれのグリッパ3,3に対応して1つずつ設けられ、それぞれグリッパ3,3の上方に位置している。各ホッパ4は後述するように上下に移動可能になっており、テーブル2が回転するのに伴って、これも後述する円筒カムによって上昇端と下降端との間で上下動するようになっている。なお、このホッパ4は、上下が開口したホッパ本体5と、その下側に位置する開閉可能な所謂烏口6を備えている(図2、4参照)。烏口6は、それぞれ支軸8、8周りに回動可能な2つの烏口片7,7で構成され、先端が開閉可能になっている(図4参照)。烏口6の開閉は後述するように制御装置32によって制御される。
【0012】
公知のとおりこの包装機1では、テーブル2が停止する各ステーションで、或いはステーション間を移動中に各種の包装処理が施される。ステーションIには公知のコンベアマガジン11が配置され、一対の吸盤12,12を用いて袋Bを順次一枚ずつこのステーションに停止したグリッパ3,3に引き渡すようになっている。なお、この袋Bのグリッパ3,3への供給は後述するように制御装置32により制御され、給袋が中止される場合がある。
【0013】
ステーションIIでは印字器13を用いて袋Bに製造日等の印字が行われ、ステーションIIIで検査器14により印字の検査が行われる。ステーションIVでは真空源(図示せず)に接続されている一対の吸盤15,15を用いて袋Bの袋口が開かれる。開口に伴って左右のグリッパ3,3は互いに所定の距離だけ近づき、開いた袋口をその状態に維持する。なお、この実施の形態では、袋Bは所謂自立袋が使用され、図1には示されていないが、もう一対の吸盤16,16を用いて袋Bの下側部分を拡げるようになっている(図4A(ニ)参照)。吸盤15,15,16,16を真空源に繋ぐ配管17,17には、吸着が適切に行われ、袋口が所望どおりに開口されたかどうかを検知する真空センサ18,18(第2センサ)が備えられている(図4A(ニ)参照)。
【0014】
ステーションVでは、ホッパ4の烏口6の先端側が袋B内へ挿入されて烏口6が開かれ、後述するステーションVIIIでホッパ4に供給されていた被包装物の袋Bへの充填が行われる。また、袋Bの下方に公知のタッピング装置のタッピング部材19が上下動可能に設けられ、袋Bの底を軽くタッピングして、充填された被包装物が袋底の方へ移動するのを助長するようになっている(図4A(ホ)参照)。ステーションVIも充填工程である。すなわち、この実施の形態ではホッパ4内の被包装物の充填は、袋BがステーションVに停止している間だけではなく、ステーションVからステーションVIへの移動中、さらにステーションVIでの停止中にも行われる。ステーションVIにもタッピング部材19が設けられ、袋底へのタッピングが行われる(図4B(ヘ)参照)。
【0015】
ステーションVIIではホッパ4の烏口6が袋Bから抜出されて閉じられ、左右のグリッパ3,3が互いに遠去かり、袋Bの袋口を緊張させる。なお、このステーションにもタッピング部材19が設けられている。ステーションVIIIでは一対の検査用ブロック21,21で袋Bの袋口を挟み、これらブロック21,21の間の間隔によって袋口内面のシール予定部に被包装物が付着していないかどうかを検知するようになっている。また、このステーションにおいて、二点鎖線で示す被包装物供給装置25から被包装物がホッパ4へ供給される。
【0016】
ステーションIXでは一対の熱板27,27を用いて袋口のシールが行われる。また、印字不良などの不良袋はここで図示しないシュート上へ排出される。さらにこのステーションIXには、ホッパ4内に被包装物が存在しているかどうかを検知するセンサ80が設けられている(図4B(リ)参照)。センサ80は発光素子81と受光素子82で構成されている。またホッパ4には、発光素子81と受光素子82に対向する部分に切欠きが設けられている(図示せず)。次にステーションXでは一対の冷却板29,29を用いて袋口の冷却が行われ、その後左右のグリッパ3,3が開いて袋Bをシュート31上へと放出する。
【0017】
次に図2を参照して、ホッパ4及びホッパ4を上下動させる機構について説明する。すなわち本実施の形態では、ホッパ4は最も高い上昇端位置と最も低い下降端位置との間で上下動するようになっている。図2は包装機1を模式的に表した側面断面図である。図において符号41は包装機1の架台であり、架台41の上に支柱42が設けられ、支柱42内を上下に延び、図示しない駆動源により間欠回転駆動される回転軸(図示せず)の上端に前述のテーブル2が取付けられ、間欠回転する。テーブル2には前述のとおり複数組の左右グリッパ3,3が取付けられている。図には2組のグリッパ3,3とホッパ4が示されているが、図中左側は図1のステーションVにおけるグリッパ3,3とホッパ4であり、ホッパ4は後述する円筒カム63により下降端位置に位置しており,右側はステーションIにおけるグリッパ3,3とホッパ4を示し、ホッパ4は上昇端位置に位置している。
【0018】
符合43は架台41上に設けられた支持フレームであり、その天板部44の中央部に上側が開いた保持ケース45が吊下げ状態で取付けられている。保持ケース45の底部内面側には上カバー46が、外面側には下カバー47が取付けられ、上カバー46の上には駆動モータ48が取付けられている。下カバー47の下側には同調テーブル49が配置され、その軸が下カバー47内を通って上カバー46内へ伸び、上カバー46内で駆動モータ48の出力軸と適宜な連結装置で連結されている。駆動モータ48は同調テーブル49を下側のテーブル2と同調して同じ方向へ間欠回転させるようになっている。
【0019】
ホッパ4は前述のとおり上下が開口したホッパ本体5と、ホッパ本体5の下側に配置された所謂烏口6を備えている。図中右側のホッパ4の烏口6は閉じており、左側のそれは開いている。符合51は同調テーブル49上に、円周方向でグリッパ3,3に対応する位置に立設されたガイド軸であり、このガイド軸51にスライダ53が嵌り上下動可能になっている。そしてスライダ53に取付けられた取付け部材55の第1取付け部56にホッパ本体5が、第2取付け部57に烏口6が図示のように上下にその軸心を同じにして取付けられている。スライダ53にはカムローラ59が取付けられ、支持フレーム43の天板44の内面側にカム取付け部材61を介して取り付けられた円筒カム63上を転動し、それによりホッパ4が上下動するようになっている。すなわち、円筒カム63は保持ケース45を取囲むようにして取付けられ、その形状は図3にその一部が展開して示されているように、上下の平坦な部分とそれらを繋ぐ傾斜部分とを備える。そしてカムローラ59がステーションIからIIIまで、ステーションVIIIからXを過ぎてIまでの間に位置するときはホッパ4は上昇端位置に位置し、ステーションVとVI及びそれらの間に位置するときは下降端位置に位置し、ステーションIVとVIIでは上昇端位置と下降端位置との間に位置するようになっている。
【0020】
次にホッパ4が下降端位置へ下降するのを規制する規制手段としての補助カム71について説明する。前述したとおりステーションIVにおいて袋Bの開口が行われるが、吸盤15、15,16,16の吸着が適切に行われないと真空漏れが生じ、所望通りの開口が行われず、そのままステーションVへ袋を移動しても被包装物の充填を適切に行うことはできない。板状の形をしたこの補助カム71はそのような場合にステーションVでホッパ4が下降端位置へ移動するのを阻止し、下降端位置と上昇端位置との間の位置に止め、ホッパ4の烏口6が袋Bに接触しないようにするものである。その場合、ホッパ4の烏口6は制御装置32により閉じられたままとなる。ステーションVIも充填を行うステーションであるので、このステーションにも同じ補助カム71が設けられる。
【0021】
図2の左側の部分に示されるように、円筒カム63が取付けられるカム取付け部材61のうちステーションV,VIに設けられるカム取付け部材61は他のステーションの取付け部材61と異なり、上下に伸びるガイド軸62を備えており、補助カム71はこのガイド軸62に上下動可能に嵌ったスライダ73に取付けられている。図に示されるように、カムローラ59の幅は円筒カム63の幅より大きく、はみ出した部分において補助カム71の上に乗れるようになっている。そして図3に示されるように、補助カム71には、固定された取付け部材74に一端が掛けられた二本の引張りバネ75の他端側が掛けられている。そして取付け部材74に取付けられたエアシリンダ76が二本のバネ75の間に配置され、そのロッド77の先端が補助カム71に当接し、通常はロッド77が伸びて補助カム71は押下げられ、カムローラ59は円筒カム63のカム面上を転動するになっている(図3のステーションVI参照)。しかし、前述のように袋Bの袋口の開口が適切に行われなかった場合には、所定のタイミングでロッド77が縮み、補助カム71を下降端位置よりも上方へ移動させ、ステーションIVから円筒カム63の下降する側の斜面を移動してくるカムローラ59を受止めるようになっている。これにより、図2に細線で示されるように、ステーションVにおいてホッパ4を、上昇端位置と下降端位置との間の位置に留めるように作用する。図3のステーションVIに位置するカムローラ59は、袋口の開口が適切に行われた袋Bに対応するホッパ4のカムローラであり、補助カム71は下降したままで、そのカムローラ59は円筒カム63のカム面に乗っている。次にステーションVにあるカムローラ59がステーションVIへ移動するとき、所定のタイミングでステーションVIの補助カム71が上昇し、移動してくるカムローラ59を受け入れる。一方で、ステーションVの補助カム71は、ステーションIVに位置しているホッパ4に対応する袋Bの袋口が適切に開口されている場合には、そのカムローラ59の移動の妨げにならないタイミングでロッド77が伸びて下降させられる。
【0022】
次に図4A,4Bを参照して上記の各ステーションにおける動作及びステーション間を移動中の動作についてより詳細に説明する。図4は図1に示される各ステーションでの工程を示す説明図である。図4Aの(イ)〜(ホ)は、図1の各ステーションI〜Vに、図4Bの(ヘ)〜(ヌ)はステーションVI〜Xに対応している説明図であり、それぞれ上側にホッパ4が、下側に袋B及びグリッパ3,3が示されている。また、図4A(イ)、図4B(ト)〜(リ)ではホッパ4のみ断面で示され、図4A(ホ)、図4B(ヘ)ではホッパ4と袋Bが断面で示されている。
【0023】
図4Aの(イ)は前述のとおり図1のステーションIに対応する。コンベアマガジン11から供給された袋Bは図示のとおり左右のグリッパ3,3によりその両側縁部を把持され、吊下げ状態に保持されており、その袋口は閉じている。一方、ホッパ4には後述する図4B(チ)(ステーションVIII)で被包装物供給装置25から供給された被包装物が貯留されている。勿論烏口6は閉じられている。なお、後述するステーションIXで、図でステーションIにあるホッパ4について、ステーションVIIIでホッパ4に供給されたはずの被包装物がホッパ4内に存在しないことが検知されていると、このステーションIではこのホッパ4に対応するグリッパ3,3への袋Bの供給は行われない。
【0024】
所定の時間だけ停止した後、テーブル2、同調テーブル49が同調して所定の角度だけ回転し、ステーションIIに停止する(図4A(ロ)。ここでは前述のとおり製造日等の印字が袋Bに対して行われる。次いでステーションIII(図4A(ハ))へ移動し、ここで印字の検査が行われる。ステーションIIIからステーションIVへの移動を開始すると、円筒カム63のカム面が下向きに傾斜しており(図3参照)、ホッパ4が下降し始める。そしてステーションIVに停止すると、吸盤15,15,16,16による袋Bの開口処理が行われる。それに併せて左右のグリッパ3,3が互いに接近する。そして所定のタイミングでそれぞれの配管17,17の途中に設けられた第2センサとしての真空センサ18,18により配管17,17内の真空度が検知され、その信号が制御装置32へ送られ、袋口が正常に開かれたかどうかの判断がされる。なお、ホッパ4は途中位置まで下降しているが、まだ袋Bには達していない(図4A(ニ)参照)。
【0025】
次いでステーションVへ向けて回転を再開するが、その前に吸盤15,15,16,16は袋Bへの吸着を止め、袋Bから離れる。グリッパ3,3は接近したままで袋口を開口状態に維持する。テーブル2、同調テーブル49が回転するとホッパ4がさらに下降し、カムローラ59が円筒カム63の最下点に達し,ホッパ4は下降端位置に位置して停止する。テーブル2等が止まったときには烏口6の先端は袋B内へ侵入している。そして制御装置32により烏口6が開かれ、被包装物の袋Bへの充填が開始される。そして前述のとおりタッピング部材19が袋底に対してタッピングをおこなう。ステーションVはこのように充填ステーションであるが、実施の形態によっては烏口6がもっと早い段階で、すなわちステーションIVからVへの移動中(カムローラ59が円筒カム63の下向きに傾斜した部分を転動している最中)に袋B内へ進入し、開かれるようにすることも可能である。この場合は、その工程部分も充填ステーションに含められることとなる。また、前述のとおり、ステーションIVで袋Bの開口が適切に行われなかった場合には、補助カム71が所定のタイミングで上昇し、移動してくるカムローラ59は途中から円筒カム63のカム面から補助カム71の上へ移動し、停止する。この場合は前述のとおり制御装置32によってホッパ4の烏口6は閉じられたままに維持される。
【0026】
次にステーションVIへ移動するが、前述のとおり、この移動中及びステーションVIに停止中も充填作業が継続される。また、ステーションVIにおいてもタッピング部材19によるタッピングが行われる。充填は、ステーションVIに停止中に終了する。なお、前述した袋Bの袋口の開口が適切に行われなかった場合には、ステーションVIの補助カム71が所定のタイミングで上昇し、ステーションVの補助カム71から移動してくるカムローラ59を受け入れるようになっている。一方ステーションVの補助カム71は、次に円筒カム63上を転動してステーションVに移動しようとするカムローラ59の妨げにならないタイミングで下方へ押下げられる。
【0027】
ステーションVIからステーションVIIに向かって移動を始めるとカムローラ59は円筒カム63の上方へ傾斜する斜面を移動し、ホッパ4は上昇を開始する。そしてステーションVIIに停止するときにはすでにホッパ4の烏口6は袋Bから抜け出ており、烏口6は閉じられる。そして烏口6が袋Bから抜け出ると、所定のタイミングで左右のグリッパ3,3が互いに遠ざかり、袋Bの袋口を緊張させる。なお、このステーションVIIにおいてもタッピング部材19によるタッピングが行われる。
【0028】
次にステーションVIIIへ向かって移動する。この時カムローラ59は円筒カム63の上向きに傾斜する傾斜面をさらに移動して平坦部に達し、ステーションVIIIに停止する。ホッパ4は上昇端位置に達する。ここで停止中に、袋口を前述の一対のブロック21,21で挟み、袋口のシールする部分に被包装物が付着(噛み込み)していないかを検知する。一方で烏口6が閉じられているホッパ4に被包装物供給装置25から所定量の被包装物が供給される。
【0029】
次にステーションIXへ移動する。ここで前述のとおり一対の熱板27,27を用いて袋口のシールが行われる。また、ここに至るまでの間に施された包装処理に不具合が生じた場合(例えば印字不良、被包装物の噛み込みによる未シール袋など)はここで不良袋として排出される。さらにこのステーションに停止中に、図4(リ)に図示された発光素子81と受光素子82とで構成される第1センサ80により、ホッパ4内の被包装物の有無が検知される。すなわち被包装物供給装置25は一定量の被包装物を供給するものであり、その為に計量器等を備えており、その計量に時間が掛かってしまってホッパ4がステーションVIIIに停止中に供給が間に合わず、結果的にホッパ4に被包装物が供給されないままホッパ4がステーションIXに移動してしまう場合があり得る。そこでこのステーションでホッパ4内の被包装物の有無を検知し、もし被包装物が存在していない場合には、このホッパ4が前述のステーションIへ移動したときに、対応するグリッパ3,3への袋Bの供給を中止し、空袋を移動させて袋供給工程以降の無駄な包装処理を行うことをやめさせ、生産にロスが生じるのを防止いている。
【0030】
次に最後のステーションXへ移動し、一対の冷却板29,29でシール部を冷却し、グリッパ3,3を開いて袋B(製品)をシュート31へ放出する。そしてグリッパ3,3を閉じて再度ステーションIへ移動する。
【0031】
最後に上記した第2センサ18,18、第1センサ80を用いた制御のフローチャートを説明する。ステップIでスタートし、ステップ2で被包装物供給指令が出され、ステーションVIIIでの被包装物のホッパ4への供給が行われる。次いでステップ3でホッパ4内の被包装物の検知が第1センサ80により行われる。被包装物が検知されない場合には、ステップ2に戻る。袋供給許可指令は出されないので、このホッパ4がステーションIへ移動しても、それに対応するグリッパ3,3には袋Bは供給されない。
【0032】
ステップ3で被包装物の存在が検知されるとステップ4で袋供給許可指令が出され、このホッパ4がステーションIへ移動するとマガジン11から対応するグリッパ3,3に袋Bが供給される。次いでステップ5で第2センサ18,18による袋Bの開口検査が行われる。袋口が適正に開口されているとステップ6で烏口開指令が出され、ステーションVで烏口6が開かれ、被包装物の袋への充填が行われる。次いで烏口閉指令がステップ7で出され、ステーションVIIで烏口6が閉じられる。そしてステップ4へ戻る。一方、袋口の開口不良が検知されると、ステップ8へ進み、ホッパ非挿入指令、袋口シール停止指令、不良袋排出指令が出され、袋BはステーションIXにおいて排出され、ステップ2へ戻る。ステップ8でホッパ非挿入指令が出されるので、前述の補助カム71が動作し、ステーションV,VIでホッパ4は上昇端位置と下降端位置との間の位置に止められ、烏口6は閉じられたままとなる。
【0033】
なお、袋Bの開口不良が検出された場合、上記実施の形態ではホッパ4内の被包装物はホッパ4でそのまま持ち回り、ステーションVIIIで被包装物供給装置25からの次回の被包装物の供給をキャンセルし、ステーションIXで開口不良袋を排出している。しかし、ステーションVで烏口6を開き、例えばシュートを介してホッパ4内の被包装物を機外に排出した後、ステーションIXで開口不良の袋を機外に排出するようにしてもよい。または、ステーションVで烏口6を開いて例えばシュートを介してホッパ4内の被包装物を機外に排出し、一方開口不良であった袋Bをそのまま保持して持ち回り、対応するグリッパ3,3への次回の袋Bの供給をキャンセルし、前回開口不良となった袋Bに対して再度袋口の開口を試みるようにしても良い。さらには、ホッパ4内の被包装物及び開口不良の袋Bをそのまま持ち回り、被包装物供給装置25からの被包装物の供給及び対応するグリッパ3,3への次回の袋Bの供給をキャンセルし、前回開口不良となった袋Bに対して再度袋口の開口を試み、開口した袋Bに持ち回っていた被包装物を充填するようにしても良い。
【0034】
なお、上記実施の形態では、第2センサ18,18が袋Bの開口不良を検知した場合、ホッパ4を下降端位置まで下降させず、ホッパ4すなわち烏口6の先端が袋口の上縁部より高い位置、すなわち、袋口に挿入されていない位置に保持するようにしている。これにより、中途半端に開口した袋口に烏口6が引っ掛かり、袋口を傷付けることを防止できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の円軌道上を間欠移動する複数組のグリッパと、下部が開閉式に構成され、且つ前記複数組のグリッパにそれぞれ対応する如く複数設けられるとともに、各グリッパの上方に配置されたホッパを備え、前記グリッパにより袋の両側縁部を挟持して該袋を吊り下げ状態で保持して所定の範囲移送し、前記ホッパを前記グリッパに同調移動させる、間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機における被包装物充填方法において、
所定の停止位置で停止し、下部が閉じているホッパに対して被包装物を供給し、
前記被包装物が供給されたホッパ内の被包装物の有無を検知し、
被包装物の存在が検知された場合に、前記被包装物が検知されたホッパに対応するグリッパに袋を供給し、
前記供給された袋に前記被包装物が検知されたホッパの下部を開いて被包装物を充填する、
ことを特徴とする、被包装物充填方法。
【請求項2】
請求項1記載の被包装物充填方法において、前記袋をグリッパに供給した後、該袋の袋口を開口し、次いで該袋の袋口が開口しているかどうかを検知し、袋口が開口していることが検知された場合に、前記供給された袋に前記被包装物の存在が検出されたホッパの前記下部を開いて被包装物を充填することを特徴とする、被包装物充填方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の被包装物充填方法において、前記ホッパは昇降式に構成され、被包装物の供給を受けるときには上昇端位置に位置し、前記袋に被包装物を充填するときには下降端位置に位置していることを特徴とする、被包装物充填方法。
【請求項4】
請求項2記載の被包装物充填方法において、前記ホッパは昇降式に構成され、被包装物の供給を受けるときには上昇端位置に位置し、前記袋に被包装物を充填するときには下降端位置に位置し、前記袋の袋口の開口が検知されなかった場合には、前記ホッパを前記下降端位置へは移動させないことを特徴とする、被包装物充填方法。
【請求項5】
所定の円軌道上を間欠移動する複数組のグリッパと、下部が開閉式に構成され、前記複数組のグリッパにそれぞれ対応する如く設けられるとともに、各グリッパの上方に配置されたホッパを備え、前記グリッパにより袋の両側縁部を挟持して該袋を吊り下げ状態で保持して所定の範囲移送し、前記ホッパを前記グリッパに同調移動させる、間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機における被包装物充填装置において、
前記被包装物充填装置は、
前記ホッパが前記グリッパに同調移動するのに伴って、該ホッパを上昇端位置と下降端位置との間で上下動させ、且つホッパ内に被包装物を供給する所定の被包装物供給ステーションにおいては前記上昇端位置に位置させる一方、ホッパ内の被包装物を袋に充填する所定の被包装物充填ステーションにおいては前記下降端位置に位置させる昇降手段と、
前記所定の被包装物供給ステーションに配置され、該被包装物供給ステーションに停止したホッパに被包装物を供給する被包装物供給装置と、
ホッパ内における被包装物の有無を検知する第1のセンサと、
グリッパに対して順次袋を供給する袋供給装置と、
制御装置とを備え、
前記被包装物供給装置と、第1のセンサと、袋供給装置とは、前記ホッパが前記円軌道に沿って間欠移動する際に、前記包装物供給装置からの被包装物の供給、前記第1センサによる被包装物の検知、前記グリッパへの袋の供給の順で行われるように配置され、
前記制御装置は、前記第1のセンサからの信号に基づいて袋供給装置を制御することにより、ホッパ内における被包装物の存在を検知した場合は、当該ホッパに対応するへに袋の供給を行う一方、被包装物の存在を検知しなかった場合は、当該ホッパに対応するグリッパへの袋の供給は行わず、また、前記ホッパの下部の開閉を制御することにより、前記被包装物供給ステーションから被包装物充填ステーションに至るまではホッパの下部を閉状態に維持する一方、被包装物充填ステーションではホッパの下部を開いて袋へ被包装物を充填する
ことを特徴とする被包装物充填装置。
【請求項6】
請求項5記載の被包装物充填装置において、さらに、前記供給された袋の袋口が開口装置により開口されたかどうかを検知する第2のセンサを備え、前記袋口の開口が検知された場合に前記制御装置は前記被包装物が供給されたホッパの下部を開き、該ホッパ内の被包装物を前記袋へ充填することを特徴とする、被包装物充填装置。
【請求項7】
請求項6記載の被包装物充填装置において、前記被包装物充填装置はさらに、前記ホッパが前記下降端位置へ下降するのを規制する規制手段を備え、前記制御装置は前記第2のセンサからの信号に基づいて前記規制手段を制御することにより、前記袋口の開口が検知されなかった場合は、前記ホッパを前記下降端位置へ移動させないことを特徴とする、被包装物充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166820(P2012−166820A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29386(P2011−29386)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】