説明

間欠駆動装置並びにこれを用いた紙送り装置及び画像形成装置

【課題】入力歯車、出力歯車、連結部材等が支持される軸にカム部材を支持し、そのカム部材の状態を変更することで連結部材を変位させて駆動の伝達及び切断の切り替えを迅速に行える間欠駆動装置等を提供する。
【解決手段】間欠駆動装置は、入力歯車と連結して回転する入力側連結部材と、入力側連結部材と連結した状態又はその連結を解除した状態に切り替わるとともに出力歯車と連結して回転する出力側連結部材と、出力側連結部材を入力側連結部材から離す方向に移動させて入力側連結部材との連結を解除するように誘導する形状のカム部を有する第一カム部材と、第一カム部材と相対的に回転する第二カム部材と、第一カム部材を第二カム部材に対し相対的に回転させる力を付与する回転付与部材と、第一カム部材又は第二カム部材の状態を変更して第一カム部材のカム部の誘導を機能させる状態又はその誘導を不能にさせる状態に切り替える切替え機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間欠駆動装置並びにこれを用いた紙送り装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙装置、画像形成装置等の機器に適用される間欠駆動装置としては、以下のものが知られている。
【0003】
例えば、駆動伝達ユニットの駆動の連結・解除を切り替える駆動切替部と組み合わせて用いる間欠駆動装置として、次の構成のものがある(特許文献1)。すなわち、間欠駆動装置は、その本体に形成した回転支軸に入力ギヤ、出力ギヤ、及びカップリングのスライド部材を設け、その本体に歯欠けギヤと噛み合うとともに前記スライド部材に接触して軸方向に移動させるカムが一側面に形成された従動ギヤを設けている。前記スライド部材には、入力ギヤの係合部と係合する被係合部が形成されているとともに、前記出力ギヤを軸方向に移動自在に支持して出力ギヤと共に回転するように構成されている。また、前記スライド部材は、入力ギヤの方向に付勢されている。カップリングは、入力ギヤと出力ギヤとの間の動力の伝達又は連結解除を行うようになっている。歯欠けギヤは、駆動ギヤと噛合ったときに回転するようになっている。また、歯欠けギヤは、ソレノイドで可動する可動片と付勢バネにより回転が制御されている。
【0004】
そして、この間欠駆動装置を適用した駆動伝達装置では、従動ギヤのカムがスライド部材に接触していないときに、入力ギヤとスライド部材が係合した状態となり、入力ギヤと出力ギヤとの間の動力が連結された状態になる。一方、歯欠けギヤと駆動ギヤの噛み合いが外れると、従動ギヤのカムがスライド部材に接触してスライド部材を入力ギヤから離れる方向に移動させるので、入力ギヤとスライド部材の係合が解除された状態となり、入力ギヤと出力ギヤとの間の動力の連結が解除された状態になる。
【0005】
また、クラッチ機構として、軸に対して回転自在な第1欠け歯ギヤと、軸に回転方向を固定されスラスト方向に移動可能な第2欠け歯ギヤと、前記第1欠け歯ギヤから前記第2欠け歯ギヤに駆動供給する駆動供給手段と、前記第1欠け歯ギヤを回転方向に付勢する手段と、前記第1欠け歯ギヤの位置を係止可能な係止手段と、前記第1欠け歯ギヤ及び前記第2の欠け歯ギヤを回転駆動するための駆動ギヤと、該駆動ギヤを回転駆動させる駆動手段を有し、前記第2欠け歯ギヤは、移動手段及びスラスト方向の付勢手段又は自重によりスラスト方向に移動するクラッチ機構が知られている(特許文献2)。
【0006】
特許文献2には、軸に対して回転自在な第1欠け歯ギヤと、軸に固定された第2欠け歯ギヤと、前記第1欠け歯ギヤから前記第2欠け歯ギヤに駆動供給する駆動供給手段と、前記第1欠け歯ギヤを回転方向に付勢する手段と、前記第1欠け歯ギヤの位置を係止可能な係止手段と、前記第1欠け歯ギヤ及び前記第2欠け歯ギヤを回転駆動するための駆動ギヤと、前記該駆動ギヤを回転駆動させる駆動手段を有し、前記駆動入力ギヤは、移動手段及びスラスト方向の付勢手又は自重により、前記第1欠け歯ギヤと噛合うことが可能な範囲でスラスト方向に移動するクラッチ機構なども記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−164151号公報
【特許文献2】特開2006−266399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、入力歯車、出力歯車、連結部材等の構成部品が支持される軸にカム部材を支持したうえで、そのカム部材の状態を変更することにより連結部材を変位させて駆動の伝達及び切断の切り替えを迅速に行うことができる間欠駆動装置を提供し、また、このような間欠駆動装置を用いた紙送り装置及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明(A1)の間欠駆動装置は、軸と、
前記軸に回転自在な状態で支持される入力歯車と、
前記軸に回転自在な状態で支持される出力歯車と、
前記軸に回転自在な状態で支持されるとともに前記入力歯車と連結した状態で回転する入力側連結部材と、
前記軸に回転自在な状態でかつ軸方向に移動自在な状態で支持され、前記入力側連結部材と連結した状態及びその連結を解除した状態のいずれかに切り替わるとともに前記出力歯車と連結した状態で回転する出力側連結部材と、
前記出力側連結部材を前記入力側連結部材に向けて押し付ける弾性力を付与する押付け部材と、
前記軸に支持され、前記出力側連結部材を前記入力側連結部材から離す方向に移動させて当該入力側連結部材との連結を解除するように誘導する形状のカム部を有する第一カム部材と、
前記軸に支持されるとともに前記第一カム部材に対して相対的に回転する第二カム部材と、
前記第一カム部材を前記第二カム部材に対して相対的に回転させる力を付与する回転付与部材と、
前記第一カム部材又は第二カム部材の状態を変更して前記第一カム部材のカム部の誘導を機能させる状態及びそのカム部の誘導を不能にさせる状態のいずれかに切り替えるカム状態切替え機構と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明(A2)の間欠駆動装置は、上記発明A1の間欠駆動装置において、
前記第二カム部材が、前記軸に回転自在な状態で支持され、
前記カム状態切替え機構が、前記第二カム部材の回転を停止させて前記カム部の誘導を機能させる状態にし、前記第二カム部材の当該停止を解除して前記カム部の誘導を不能にさせる状態にするものである。
【0011】
この発明(A3)の間欠駆動装置は、上記発明A2の間欠駆動装置において、前記第二カム部材が、前記歯車部を有し、
前記カム状態切替え機構が、前記第二カム部材の歯車部と噛み合う歯車部及び歯欠け部を有する歯欠け歯車と、前記歯欠け歯車を前記歯欠け部が前記第二カム部材の歯車部と対向する位置及び対向しない位置のいずれかに存在するように回転させて停止させる切替え装置とを備えているものである。
【0012】
この発明(A4)の間欠駆動装置は、上記発明A2の間欠駆動装置において、
前記カム部材が、前記出力側連結部材と連結した状態で回転するように配置し、前記カム部を前記第二カム部材に接触させて当該第二カム部材を当該出力側連結部材と共に前記入力側連結部材から離れる方向に移動させるように誘導する形状に形成し、
前記第二カム部材が、前記入力側連結部材に対して従動回転するとともに相対的に回転する状態に支持され、その外周面に突出部を形成するとともに前記第一カム部材のカム部に接触して当該第一カム部材を前記入力側連結部材から離れる方向に移動させる案内部を形成し、
記カム状態切替え機構が、前記第一カム部材に対して接近及び離間する方向に移動し、当該第一カム部材の突出部に接触して当該第一カム部材の回転を阻止する一方で当該突出部から離間して当該第一カム部材の回転を許容する移動接触部材を備えているものである。
【0013】
この発明(A5)の間欠駆動装置は、上記発明A3の間欠駆動装置において、
前記カム状態切替え機構の切替え装置が、前記歯欠け歯車の一部に形成される引っ掛け部に引っ掛かるとともに当該引っ掛け部から離間するように変位する引っ掛け部材と、前記歯欠け歯車を所要の方向に回転させる力を付与する回転付与部材とを備え、
前記引っ掛け部として、前記歯欠け歯車の歯欠け部が前記第二カム部材の歯車部と対向する位置と対応する第一引っ掛け部と当該第二カム部材の歯車部に対向しない位置に対応する第二引っ掛け部が形成されているものである。
【0014】
この発明(A6)の間欠駆動装置は、上記発明A1からA5のいずれかの間欠駆動装置において、前記回転付与部材が、コイル巻き部が前記軸に嵌め入れる状態で装着され、一端が前記第一カム部材に取り付けられ、他端が前記第二カム部材又は出力側連結部材に取り付けられるコイルばねであるものである。
【0015】
この発明(A7)の間欠駆動装置は、上記発明A1の間欠駆動装置において、
前記カム部材が、その外周面に突出する突出部を形成するとともに、前記カム部を前記第二カム部材が前記入力側連結部材から離れる方向に移動させられるように誘導する形状に形成し、
前記回転部材が、前記第一カム部材のカム部と接触するカム受け部が形成されるとともに、そのカム受け部が当該第一カム部材のカム部に接触して前記入力側連結部材から離れる方向に移動させられるときに前記出力側連結部材に接触して当該出力側連結部材も共に移動させるように配置され、
前記回転付与部材が、前記第一カム部材の突出部に接触して当該第一カム部材を前記第二カム部材が前記入力側連結部材から離れる方向に移動させる移動部材で構成されているものである。
【0016】
この発明(B)の紙送り装置は、上記発明A1からA7のいずれかの間欠駆動装置を用いて紙送りカム補助体への駆動伝達を行うことを特徴とするものである。
【0017】
この発明(C1)の画像形成装置は、上記発明Bの紙送り装置を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
この発明(C2)の画像形成装置は、上記発明A1からA7のいずれかの間欠駆動装置を用いて複数のカム補助体の全部又は一部への駆動伝達を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
上記発明A1の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、第一カム部材又は第二カム部材の状態を変更することにより、出力側連結部材を変位させて駆動の伝達及び切断の切り替えを迅速に行うことができる。
【0020】
上記発明A2の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、カム部材を固定した状態及びその固定を解除した状態のいずれかに切り替える動作により出力側連結部材を変位させて駆動の伝達及び切断の切り替えを迅速に行うことができる。
【0021】
上記発明A3の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、カム状態切替え機構の簡略化が可能になる。
【0022】
上記発明A4の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、カム状態の切替えを歯車の回転により確実に行うことができる。
【0023】
上記発明A5の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、2つの引っ掛け部の間隔を調整して駆動の伝達及び切断の切り替え時期を調整することができる。
【0024】
上記発明A6の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転付与部材を簡易に構成することができる。
【0025】
上記発明A7の間欠駆動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、出力側連結部材を入力側連結部材と連結した状態及びその連結を解除した状態のいずれにも安定して保つことができる。
【0026】
上記発明Bの紙送り装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、紙の搬送時期を迅速に切り替えて搬送することができる。
【0027】
上記発明C1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、紙の搬送時期を迅速に切り替えて搬送して画像の形成を行うことができる。
【0028】
上記発明C2の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、複数のカム補助体の全部を駆動させる場合とその一部を駆動させる場合を迅速に切り替えて画像の形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1等に係る紙送り装置を備えた画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置の紙送り装置における間欠駆動装置を含む駆動伝達ユニットのギヤの配置状態を示す概略説明図である。
【図3】図2の間欠駆動装置を含む駆動伝達ユニットを示す斜視図である。
【図4】図3の駆動伝達ユニットを示す概略平面図である。
【図5】図2の駆動伝達ユニットにおける間欠駆動装置の一部(主要機構部)を示す斜視図である。
【図6】図5の間欠駆動装置の一部を示す分解斜視図である。
【図7】間欠駆動装置におけるカム状態切替え機構の動作状態を示す説明図であり、(a)はその切替え機構における歯欠けギヤの歯欠け部をカム補助体のギヤ部と対向する位置に存在させたときの状態を示し、(b)はその歯欠けギヤのギヤ部をカム補助体のギヤ部と対向する位置に存在させたときの状態を示している。
【図8】図5の間欠駆動装置の一部の動作状態を示す平面及び断面図であり、(a)はカム補助体が回転して駆動の伝達がなされているときの状態を示し、(b)はカム補助体が固定されて停止したときの状態を示している。
【図9】図5の間欠駆動装置の一部の動作状態を示す平面及び断面図であり、(a)はカム本体及びカム補助体が停止して出力側カップリングが入力側カップリングとの連結から解除されて駆動の伝達がされていないときの状態を示し、(b)はカム補助体が回転して出力側カップリングが入力側カップリングと再び連結されたときの状態を示している。
【図10】カム本体と出力側カップリング等の動作状態を示す断面説明図であり、(a)は出力側カップリングの突起がカム本体のカム部に入り込んでいるときの状態を示し、(b)は出力側カップリングの突起がカム本体のカム部から抜け出たときの状態を示し、(c)は出力側カップリングの突起がカム本体のカム部から抜け出て保持されたときの状態示している。
【図11】間欠駆動装置の一部における出力側カップリングと入力側カップリングの連結状態を示す説明図であり、(a)は出力側カップリングが入力側カップリングと結合しているときの状態を示し、(b)は出力側カップリングが入力側カップリングとの連結から解除される途上の状態を示し、(c)は出力側カップリングが入力側カップリングとの連結から解除されたときの状態を示している。
【図12】図5の間欠駆動装置の一部の要部における動作の推移状態(駆動伝達状態から駆動切断状態に切り替えられるときの各動作状態)を概念的に示す説明図である。
【図13】実施の形態2における駆動伝達ユニットの間欠駆動装置の一部(主要機構部)を示す斜視図である。
【図14】図13の間欠駆動装置の一部を示す分解斜視図である。
【図15】図13のカム本体、カム補助体、カム状態切替え装置の一部の動作状態を示す概略斜視図であり、(a)はカム本体及びカム補助体が回転しているときの状態を示し、(b)はカム本体が停止させられたときの状態を示している。
【図16】図13のカム本体、カム補助体、カム状態切替え装置の一部の動作状態を示す概略斜視図であり、(a)はカム補助体が停止しているカム本体に対して相対的に回転移動しているときの状態を示し、(b)はカム補助体がカム本体から離れて停止させられるときの状態を示している。
【図17】図13のカム本体、カム補助体、カム状態切替え装置の一部の動作状態を示す概略斜視図であり、(a)はカム本体が回転停止を解除されたときの状態を示し、(b)はカム補助体が回転を再開したカム本体に近づいて元に復帰するときの状態を示している。
【図18】図13の間欠駆動装置の一部の要部における動作の推移状態(駆動伝達状態から駆動切断状態に切り替えられるときの各動作状態)を概念的に示す説明図である。
【図19】実施の形態3に係る間欠駆動装置(駆動伝達時)を含む駆動伝達ユニットを備えた給紙装置を示す概略断面図である。
【図20】図19の間欠駆動装置(駆動伝達の切断時)を含む駆動伝達ユニットを備えた給紙装置を示す概略断面図である。
【図21】図19の間欠駆動装置の一部を示す分解斜視図である。
【図22】図21の間欠駆動装置の一部(伝達時の状態)を示す概略断面図である。
【図23】図19の間欠駆動装置のカム状態切替え装置等を示し要部斜視図であり、(a)はカムの誘導を機能させているときの状態を示し、(b)はカムの誘導を不能にさせているときの状態を示している。
【図24】図19の間欠駆動装置の動作状態を示す概略断面図であり、(a)は出力側カップリングが入力側カップリングとの連結から切断される途上の状態を示し、(b)は出力側カップリングが入力側カップリングとの連結から切断されたときの状態を示している。
【図25】図22の間欠駆動装置の一部の要部における動作の推移状態(駆動伝達状態から駆動切断状態に切り替えられるときの各動作状態)を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0031】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1等に係る間欠駆動装置を備えた画像形成装置の要部の構成を示し、図2から図4はその間欠駆動装置を含む駆動伝達ユニットの要部の構成を示している。
【0032】
画像形成装置10は、支持材、外装材等で構成される装置本体(筐体)11を有している。装置本体11の下部には給紙装置12が配置されており、装置本体11の上部には排紙部13が形成されている。
【0033】
給紙装置12は、紙収容体14を有し、この紙収容体14に複数枚の用紙を積層した状態で収容している。紙収容体14の一端部の上部には、積層された用紙に接触する給紙ロール15が配置されているとともに、給紙ロール15に対向して捌きロール16が設けられている。給紙装置12では、給紙ロール15により紙収容体14の最上位にある用紙がピックアップされ、給紙ロール15と捌きロール16との協働により用紙が捌かれて1枚ずつ送り出される。給紙装置12から送り出された用紙は、レジストロール17により一時停止され、所定のタイミングにより後述する作像ユニット20と転写搬送ユニット30との間に搬送される。
【0034】
装置本体11の内部には、作像手段としての作像ユニット20、転写搬送ユニット30、制御装置38等が配置されている。作像ユニット20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像を形成する4つの作像ユニット20Y,20M、20C,20Kを用いて構成されている。各作像ユニット20(Y,M,C,K)は、上下方向に直列に並べた状態に配置されている。
【0035】
また、各作像ユニット20(Y,M,C,K)は、4つのドラム形態の感光体21が回転自在に支持されており、その各感光体21の周囲に、感光体21を所要の電位に帯電する帯電ロールを備えた帯電装置22と、各感光体21に書き込まれた静電潜像を現像剤(トナー成分)で現像して可視化する現像装置23と、可視化されたトナー像を転写した後に感光体21の表面に付着する残留トナーを除去する清掃装置24がそれぞれ配置されている。現像装置23は、感光体21と対向する位置に配置されて回転する現像ロール23aを有しており、その現像ロール23aに現像剤を保持して感光体21と対向する現像領域に供給して現像を行う。作像ユニット21は、4つの感光体21、帯電装置22、現像装置23及び清掃装置24を一体にしてユニット化したものであり、装置本体11に対して着脱自在になっている。
【0036】
作像ユニット20の背面側には、4つのトナーボックス25(Y,M,C,K)が配置されている。各トナーボックス26は、前記した4色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ専用に収容したものであり、そのいずれもトナー供給部26とトナー回収部27を一体にして構成されている。トナー供給部26は、対応する色のトナーを使用する現像装置23(Y,M,C,K)とそれぞれ個別に接続されており、各色のトナーを現像装置23に供給する。トナー回収部27は、各感光体21に配置される清掃装置24とそれぞれ個別に接続されており、各感光体21に残存する色の残留トナーを回収する。
【0037】
トナーボックス25の背面側には、光書込み装置28が配置されている。この光書込み装置28は、例えば4つのレーザ露光装置を用いて構成されており、その各レーザ露光装置から各作像ユニット20の帯電後の感光体21にむけて画像情報に応じて変調されたレーザ光を照射し、これにより各感光体21の表面に色成分に応じた静電潜像をそれぞれ形成する。
【0038】
転写搬送ユニット30は、作像ユニット20の表側にあって感光体21に対向して縦方向に配置されている。転写搬送ユニット30は、上下方向に間隔をあけた状態で配置された2つの支持ロール31a,31bを有し、その支持ロール31a,31bに転写搬送ベルト32を掛け回して図中の矢印で示す方向に回転させるようになっている。また、転写搬送ベルト32の内側には、各感光体21に対向した位置に転写ロール33が配置されている。さらに、転写搬送ベルト32の外側には、そのベルト表面に付着するトナーや紙粉等の付着物を除去するベルト清掃装置34が配置されている。
【0039】
装置本体11の内部における作像ユニット20と転写搬送ユニット30の上方には、定着装置35が配置されている。定着装置35は、例えば、回転駆動するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱されるロール形式、ベルト形式等の加熱用カム補助体36aと、この加熱カム補助体36aの軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形式、ベルト形式等の加圧用カム補助体36bを備えている。
【0040】
画像形成装置10には、ユーザインターフェイス(UI)装置37が装備されている。UI装置37は、装置本体11と一体に又はネットワークを介して設けられており、制御装置38に電気的に接続されている。また、UI装置37には表示手段としての表示パネル37a及び入力ボタン37b等が設けられており、これにより画像形成装置1の操作内容が選択され、また表示される。
【0041】
この画像形成装置10では、以下のようにして画像の形成が行われる。
【0042】
UI装置37を通してフルカラー(前記4色のトナーで構成される多色画像)の画像形成の指示がなされると、制御装置38の制御動作により、作像ユニット20において各感光体21が回転し、その表面が帯電装置22により所要の電位に帯電され、光書込み装置28により各色成分の静電潜像が形成された後、その各感光体21上の静電潜像が現像装置23(Y,M,C,K)から供給される各色のトナーにより現像(静電的に付着)されて各色(4色)のトナー像としてそれぞれ形成される。
【0043】
また、このトナー像の形成時期に合わせて、給紙装置12では用紙が1枚ずつ送り出され、転写搬送ユニット30では給紙装置12から送り出された用紙が転写搬送ベルト32に保持されて作像ユニット20の各感光体21を通過するように搬送される。これにより、各感光体21に形成された各色のトナー像が、転写搬送ベルト32にて搬送される用紙に対して転写ロール33の作用により順次転写される。
【0044】
4色のトナー像が転写された用紙は、定着装置35に搬送され、定着装置35の通過時に加熱及び加圧されてトナー像が用紙に定着される。定着後の用紙は、定着装置35から排出された後に排出ロール39によって排紙部13へ排出される。以上により、用紙の片面にフルカラーの画像が形成される。
【0045】
また、画像形成装置10では、単色の画像(例えばブラックトナーで構成される白黒画像)の形成の指示がなされた場合、ブラック色の作像ユニット20Kにおいて前記した工程によりトナー像の形成が行われ、そのブラック色のトナー像が転写搬送ユニット30で搬送される用紙に転写された後、定着装置35で用紙に定着される。これにより、用紙の片面に単色の画像(白黒画像)が形成される。このとき、ブラック色のトナー像の形成(現像)に関与しないイエロー、シアン及びマゼンタの3色に対応する作像ユニット20(Y,M,C)における現像装置23では、その各現像ロール23aが回転せずに停止している。
【0046】
そして、画像形成装置10においては、図2に示すように、作像ユニット20における4つの現像装置23の各現像ロール23aへの駆動伝達が間欠駆動装置5を含む駆動伝達ユニット40により行われる。
【0047】
駆動伝達ユニット40は、図2から図4に示すように、複数のギヤを用いて構成されており、装置本体11の所要の位置に配置されている。詳しくは、駆動伝達ユニット40は、回転駆動装置18と接続されている駆動ギヤ41、第一の伝達ギヤ(2段ギヤ)42、第二の伝達ギヤ(2段ギヤ)43、第三の伝達ギヤ44及び各現像駆動ギヤ45(Y,M,C,K)と、間欠駆動装置5の入力ギヤ52及び出力ギヤ53を有している。
【0048】
ここで、駆動ギヤ41は現像駆動ギヤ45K及び第一の伝達ギヤ42(の小径ギヤ部42a)とそれぞれ噛み合っている。間欠駆動装置5の入力ギヤ52は第一の伝達ギヤ42(の大径ギヤ部42b)と噛み合っており、その出力ギヤ53は第二の伝達ギヤ43(の大径ギヤ部43b)と噛み合っている。第二の伝達ギヤ43(の小径ギヤ部43a)は、現像駆動ギヤ45C,45Mの間に配置されてその両方のギヤと噛み合っている。第三の伝達ギヤ44(の大径ギヤ部44b)は、現像駆動ギヤ45M,45Yの間に配置されてその両方のギヤと噛み合っている。
【0049】
この駆動伝達ユニット40は、間欠駆動装置5が駆動の伝達を切断(解除)する状態にあるときには、駆動ギヤ41の駆動力が現像駆動ギヤ45Kを介してK色の現像ロール23aKのみに伝達される。このとき、駆動ギヤ41から第一の伝達ギヤ42bに伝達された駆動力は、間欠駆動装置5により切断されてそれ以降に存在するギヤ(第3の伝達ギヤ44)には伝達されないので、現像装置23(Y、M,C)の各現像ロール23a(Y、M,C)は回転せずに停止している。したがって、この場合には、現像装置23Kの現像ロール23aKのみが回転することになる。
【0050】
また、この駆動伝達ユニット40は、間欠駆動装置5が駆動の伝達を行う状態にあるときには、駆動ギヤ41の駆動力が現像ロール23aKに前述した経路で伝達されることに加え、駆動ギヤ41の駆動力が第一伝達ギヤ42、間欠駆動装置5の入力ギヤ52及び出力ギヤ53、第二の伝達ギヤ43、第三の伝達ギヤ44を介して、C色の現像ロール23aC、M色の現像ロール23aM及びY色の現像ロール23aYにそれぞれ伝達される。したがって、この場合には、現像ロール23aKに加えて、現像ロール23aC、現像ロール23aM及び現像ロール23aYもそれぞれ回転する。
【0051】
駆動伝達ユニット40における間欠駆動装置5は、図3〜図6等に示すように、本体フレーム50に設けた軸51Aと、入力ギヤ52と、出力ギヤ53と、入力側カップリング54と、出力側カップリング55と、出力側カップリング55を入力側カップリング54に向けて押し付ける第一スプリング(コイルばね)56と、カム本体61と、カム補助体62と、戻し用の第二スプリング(コイルばね)57と、カム状態切替え機構70とを備えている。図5は、上記軸51Aとカム状態切替え機構70を除いた上記構成部品が一体に組み立てられた駆動伝達の主要機構部を示す。図5中の符号51B〜51Dは本体フレーム50に設けられた固定された軸、符号51Eは本体フレーム50に回転自在に取り付けられた駆動軸を示す。
【0052】
このうち入力ギヤ52は、図6、図8等に示すように、円盤状のギヤ部52aと、そのギヤ部52aの中心部から貫孔して延びるように形成された円筒状の軸通し部52bを有した形状のものである。軸通し部52bの先端部には、入力側カップリング54における後述の突起(54d)が嵌め入れられる軸方向(矢印Zに沿う方向)に延びる切込み部52cが形成されている。
【0053】
入力側カップリング54は、入力ギヤ52の軸通し部52bが挿入される貫通孔部54bを有する円筒状の本体部54aと、その本体部54Aの一端部において突出した状態で形成されるフランジ部54cを有した形状のものである。本体部54aの内壁には、その軸方向に延びる2本の突起54dが形成されている。また、本体部54aの他端部には、出力側カップリング55における後述の連結突起(55d)が侵入して嵌め入れられて連結される連結切込部54eが形成されている。
【0054】
この入力側カップリング54は、図8等に示すように、その本体部54aの貫通孔部54bの内部に入力ギヤ52の軸通し部52Bの先端部が挿入され、その貫通孔部54bにある2本の突起54dが軸通し部52Bの切込み部52cに嵌め入れられることにより、入力ギヤ52と一体となるように取り付けられる。これにより、入力側カップリング54は、入力ギヤ52と共に軸51Aを中心にして回転し得る状態になる。
【0055】
出力ギヤ53は、入力ギヤ52の軸通し部52bが挿入される円筒状の内部円筒部53bを有する二重円筒状の胴体部53aと、胴体部53aの一端側において当該胴体部53aの外径よりも大径の円柱状からなる中間空間部53dが形成されたギヤ部53bを有した形状のものである。ギヤ部53cと内部円筒部53bの間には、中間空間部53dが形成されている。内部円筒部53bの外周面には、出力側カップリング55(円筒状の胴体部の内壁面)に形成される図示しない溝に嵌め入れられる軸方向に長い線状の突起53eが複数本形成されている。
【0056】
この出力ギヤ53は、図8等に示すように、その内部円筒部53bを入力ギヤ52の軸通し部52Bの外側に嵌め入れることで取り付けられ、その軸通し部52Bに対して回転自在に保持される。これにより、出力ギヤ53は軸51Aに対して回転自在な状態で支持されることになる。
【0057】
出力側カップリング55は、出力ギヤ53の内部円筒部53bの外側に嵌める円筒状の第一胴体部55aと、第一胴体部55aの一端部に連続して形成されて入力側カップリング54の本体部54aが嵌め入れられる円筒状の第二胴体部55bと、第一胴体部55aと第二胴体部55bの境界部に円環状に突出した状態で形成されるフランジ部55cを有した形状のものである。第一胴体部55aの内壁面には、前述した出力ギヤ53の内部円筒部53bの軸方向に長い線状の突起53eが挿入される、軸方向に長い直線状の溝55hが形成されている(図10)。第二胴体部55bの内壁面には、入力側カップリング54の切込み部52cに差し入れられる軸方向に長い線状の連結突起55dが形成されている。また、第二胴体部55bの外周面には、カム本体61における後述のカム部(61g)と接触して案内される形状の案内部55eが形成されている。案内部55eは、軸方向と交差する傾斜面55fと軸方向と直交する頂部55gを有する形状で形成されている(図10、図12等を参照)。
【0058】
この出力側カップリング55は、図8等に示すように、コイル形状の第一スプリング56を出力ギヤ53の内部円筒部53bの外側に嵌め入れた後に、その第一胴体部55aを第一スプリング56が存在する内部円筒部53bの外側に嵌め入れる状態で取り付けられる。このとき、第一スプリング56は、その一端が出力ギヤ53の胴体部53aの内壁面に接触し、その他端が出力側カップリング55のフランジ部55cに接触した状態となる。また、このとき出力側カップリング55を出力ギヤ53の内部円筒部53bの奥側にむけて押し込むことにより第一スプリング56が圧縮した状態になり、これにより、第一スプリング56は出力側カップリング55を入力側カップリング54に向けて押し付ける力を当該カップリング55に与える。ちなみに、出力側カップリング55は、出力ギヤ53の内部円筒部53bを介して入力ギヤ52の軸通し部52bの軸方向に対して移動自在に保持されている。
【0059】
カム本体61は、図6等に示すように、出力側カップリング55の第一胴体部55a及びフランジ部55cを軸方向に移動自在に収容し得る内部空間を有する円筒状の第一胴体部61aと、第一胴体部61aの一端部に連続して形成されるとともに出力側カップリング55の第二胴体部55bが侵入して収容される円筒状の第二胴体部61bと、第二胴体部61bの一端部に連続して形成されるとともに入力側カップリング54の本体部54aが嵌め入れられる円筒状の第三胴体部61cを有した形状のものである。
【0060】
第一胴体部61a,第二胴体部61b、第三胴体部61cは、その各外径及び内径がこの順に段階的に小さい値に設定されている。第一胴体部61aの外周部の第二胴体部61b寄りの端部には、カム補助体62における突起(62e)が回転方向に所要の距離だけ移動して突き当たる停止切欠き部61dが形成された切欠き付きフランジ部61eが設けられている。切欠き付きフランジ部61eには、戻し第二スプリング57の一端57aが差し込まれて取り付けられる切込部61fが形成されている。第三胴体部61cは、入力側カップリング54の本体部54aの外周面において回転自在に支持される。
【0061】
カム本体61の第二胴体部61bの内壁面には、出力側カップリング55を入力側カップリング54から離す方向(矢印Z2で示す方向:図8b、図10b、図12b)に移動させて出力側カップリング55の入力側カップリング54との連結が解除される位置で保持するように誘導する形状のカム部61gが形成されている。連結が解除された状態とは、出力側カップリング55の連結突起55dが入力側カップリング54の連結切込部54eから抜け出した状態のことをいう(図11c)。カム本体61におけるカム部61gは、出力側カップリング55の第二胴体部55bの外面部から隆起した形状の案内部55eを収容するとともにその案内部55eにおける傾斜面部55fと対応するカム傾斜面部61hを有する窪んだ形状で形成されている(図10の点線で示す部分を参照)。
【0062】
カム補助体62は、図6等に示すように、カム本体61の第二胴体部61bが隙間をあけて収容される円筒状の胴体部62aと、胴体部62aの一端に連続して形成され、カム本体61の第三胴体部61cが収容される内部空間62bを有するとともに外周部にギヤ(歯)が設けられた円筒状のギヤ部62cと、胴体部62aとギヤ部62cの間に突出した状態で形成したフランジ部62dとを有した形状のものである。
【0063】
ギヤ部62cは、カム本体61の第三胴体部61cの外周面において回転自在な状態で支持されている。胴体部62aの他端には、カム本体61の切欠き付きフランジ部61eにおける停止溝部61dに入り込んで存在するよう軸方向に突出する形状の突起62eが形成されている。突起62eは、停止切欠き部61dの幅(軸51Aを中心にして回転するときの円周方向に沿う寸法)内で移動するとともに、停止切欠き部61dの両端部における側壁部に接触するように設定されている。
【0064】
第二スプリング57は、コイル形状のスプリングであり、そのコイル状に巻かれた胴体部分がカム本体61の第二胴体部61bの外側に嵌め入れるような状態で取り付けられるとともに、その一端57aが切欠き付きハウジング部61eの切込部61fに差し込まれて固定され、その他端57bがカム補助体62の胴体部62aの端部に形成される図示しない切込部に差し込まれて固定される。
【0065】
第二スプリング57は、カム状態切替え機構70の作用によりカム補助体62の回転が停止させられている場合にカム本体61が回転方向Aに回転したときに、そのスプリングの胴体部分が巻き方向に巻かれて収縮した状態となる。この結果、そのカム本体61をカム補助体62と相対させる状態で回転方向Aと反対の方向に回転させて元の位置に戻すばね力(弾性復元力)を発揮するようになっている(図9a)。第二スプリング57の外側には、カム補助体62の胴体部62aが第二スプリング57を覆うような状態で存在する(図8、図9)。
【0066】
以上説明した入力ギヤ52、出力ギヤ53、入力側カップリング54、出力側カップリング55、第一スプリング56及び第二スプリング57から構成される駆動伝達の主要機構部は、例えば次のような工程で組み立てられる。
【0067】
入力ギヤ52の軸通し部52bに対して出力ギヤ53を(その内部円筒部53bを介して)取付けた後、その出力ギヤ53の内部円筒部53bに第一スプリング56を嵌め入れるとともにその第一スプリング56を圧縮させるように出力側カップリング55を取り付ける。この際、第一スプリング56は、その一端が出力ギヤ53の内部円筒部53bの内壁面に接触し、その他端が出力側カップリング55のフランジ部55cの側壁面に接触した状態で存在する(図8等)。この段階において出力カップリング55は、出力ギヤ53の内部円筒部53bに保持され、出力ギヤ53と一体となって入力ギヤ52の軸通し部52bに対して回転自在な状態で支持される。また、出力カップリング55は、第一スプリング56により内部円筒部53bに保持されつつ軸方向に沿って出力ギヤ53から離れる方向Z1に押された状態におかれる(図8a)。
【0068】
続いて、カム本体61のカム本体61を、その第一胴体部61aの内部空間内に出力側カップリング54と第一スプリング56を内包させた状態にし、また、カム本体61の第一胴体部61aの端部が出力ギヤ53のギヤ部53cにおける中間空間部53dの奥に形成された円環状の溝部53fに嵌め入れられた状態になるよう取り付ける(図8、図9)。この段階において出力カップリング55は、カム本体61の第一胴体部61a内で軸方向Zに移動自在に保持される。また、出力カップリング55は、その第二胴体部54bがカム本体61の第二胴体部61b内に収容されるとともに、その案内部55eがカム本体61の第二胴体部61bの内壁における凹部状のカム部61gに嵌め入れられる状態となる(図10a)。
【0069】
続いて、第二スプリング57をカム本体61の第二胴体部61bの外側に嵌めるように取り付けるとともに、カム本体61のカム補助体62をカム本体61に嵌めるように取り付ける。このときカム補助体62は、その胴体部62aがカム本体61の第二胴体部61bの外側に存在し、そのギヤ部62cの内部空間62bがカム本体61の第三胴体部61cの外側に嵌め合わされた状態になる(図8、図9)。また、このとき第二スプリング57は、その一端がカム部材の切込部61fに差し入れられて固定され、その他端がカム補助体62の切込部に差し入れられて固定される。
【0070】
最後に、入力側カップリング54を、カム補助体62のギヤ部62cの内部空間61bに存在する入力ギヤ52の軸通し部52bの端部に外側から嵌め合わせるように取り付ける。これにより、入力側カップリング54は、その貫通孔部54bにおいて突起部54dが入力ギヤ61の軸通し部52bにおける切込み部52cに入り込むことで連結した状態となる。また、この段階においては、出力側カップリング55が第一スプリング56の押し付ける力を受けて入力側カップリング54に接近した状態に保たれるので、出力側カップリング55の連結突起55dが入力側カップリング54の連結切込部54eに入り込んだ状態になる(図11a)。この結果、出力側カップリング55は、入力側カップリング54と連結した状態におかれる。
【0071】
以上により、駆動伝達の主要機構部は、図5に示すような外観を有する構造物として組み立てられる。この主要機構部は、図3、図4等に示すように、入力ギヤ52の軸通し部52bにおける内部の貫通空間に対し、本体フレーム50の軸51Aを入力側カップリング54が存在する側から差し入れることで、その軸51Aに取り付けられる。このとき、入力ギヤ52は、その軸通し部52bを介して軸51Aに回転自在な状態で支持されることになる。
【0072】
間欠駆動装置5におけるカム状態切替え機構70は、カム補助体62を回転方向Aに対し固定してカム本体61のカム部61gの誘導(作用)を機能させる状態及びその固定した状態を解除してカム部61gの誘導を不能にさせる状態のいずれかに切り替える機能を有するものである。
【0073】
この実施の形態1におけるカム状態切替え機構70は、図3、図4、図7等に示すように、カム補助体62のギヤ部62cと噛み合うギヤ(歯)が形成されたギヤ部71aとそのギヤが形成されていない歯欠け部71bを有する歯欠けギヤ71と、この歯欠け部71bのカム補助体62のギヤ部63cに対する位置を回転させて切り替える切替え装置72とで構成されている。
【0074】
歯欠けギヤ71は、本体フレーム50に固定される軸51Dに対して回転自在に取り付けられており、その歯欠け部71bがカム補助体62のギヤ部62cと対向せずにギヤ部71aがカム補助体62のギヤ部62cと対向して噛み合う状態と、その歯欠け部71bがカム補助体62のギヤ部62cと対向することでギヤ部71aがギヤ部62cと噛み合わない状態のいずれかの状態になるよう設定されている。
【0075】
切替え装置72は、歯欠けギヤ71の歯欠け部71bがカム補助体62のギヤ部62cと対向する位置と対向しない位置のいずれかに存在するよう歯欠けギヤ71を回転させて停止させるものである。実施の形態1における切替え装置72は、図7等に示すように、引っ掛け可動板75と、回転付与スプリング76とを備えている。
【0076】
引っ掛け可動板75は、歯欠けギヤ71の中央部において片面側から突出した円柱状の突出部73の外周面に形成する引っ掛け突起74に引っ掛かるとともにその引っ掛け突起74から離間する状態になり得るように可動する部材である。実施の形態1における引っ掛け揺動板75は、一端(揺動先端)75aが引っ掛け突起74に引っ掛かる形状の爪部として形成されており、本体フレーム50との間で形成される支点部75bを中心に一端が上下方向に変位する状態で支持され、ソレノイド77の作動及び停止により変位するようになっている。すなわち、引っ掛け揺動板75は、ソレノイド77が作動すること(動作ON)により一端75aが上方に持ち上がって引っ掛け突起74から離間し、ソレノイド77が停止すること(動作OFF)により一端75aが下方に変位して引っ掛け突起74に引っ掛かり得る状態になる。図7における符号75cは、本体フレーム50と引っ掛け可動板75の他端(後端)との間に取り付けられた引っ張りスプリングである。
【0077】
回転付与スプリング76は、図7aに示すように、引っ掛け可動板75が引っ掛け突起74から離間したときに歯欠けギヤ71を(ギヤ部71aがカム補助体のギヤ部62cと噛み合うまでの間)矢印で示す一方向に回転させる力を与えるコイル形状のスプリングである。回転付与スプリング76は、その一端が歯欠けギヤ71の突出部73の側部に取り付けられ、その他端が本体フレーム50の一部に取り付けられている。
【0078】
引っ掛け突起74は、引っ掛け可動板75を引っ掛けることにより歯欠けギヤ71の軸51dに対する回転を所要の位置で停止させて保持するためのものであり、突出部73の外周面に所要の間隔をあけた状態で2つ形成されている。第1の引っ掛け突起74Aは、歯欠け部71bがカム補助体62のギヤ部62cと対向する位置に対応させて形成されている。第二の引っ掛け突起74Bは、歯欠け部71bがギヤ部62cと対向しない位置(換言すれば、ギヤ部71aがギヤ部62cと噛みあう位置)に対応させて形成されている。この2つの引っ掛け突起74A,Bは、その間隔を調整して形成することにより、歯欠け部71bをカム補助体62のギヤ部62cに対向させる時期と対向させない時期(替え時期)を調整することができる。また、引っ掛け突起74は、例えば、歯欠けギヤ71の突出部73における外周面に傾斜する切りこみを入れてその一端を鉤状の形状にすることで形成されるが、その外周面から突出する形状で形成したものでもかまわない。
【0079】
この間欠駆動装置5では、カム状態切替え機構70の切替え装置72により引っ掛け可動板75を第一の引っ掛け突起74Aに引っ掛けた状態にして、歯欠けギヤ71の歯欠け部71bをカム補助体62のギヤ部62cと対向する位置に存在させた場合(図7a)には、カム本体61が回転方向に対する固定を解除された状態となり軸51A(実際にはカム本体61の第三胴体部61c)に対して回転し得る状態になる(図8a)。つまり、このときは、後述するように間欠駆動装置5が駆動を伝達する状態になる。一方、切替え装置72により引っ掛け可動板75を第二の引っ掛け突起74Bに引っ掛けた状態にして、歯欠けギヤ71の歯欠け部71bをカム補助体62のギヤ部62cと対向しない位置に存在させた場合(図7b)には、カム本体61(カム補助体62)が固定された状態になって軸51Aに対して回転が停止させられた状態になる(図8b)。このときは、後述するように間欠駆動装置5が駆動の伝達を切断した状態になる。
【0080】
次に、この間欠駆動装置5の動作について説明する。ここでは、図8等に示すように、入力ギヤ52が回転駆動装置18から矢印Aで示す方向に回転する回転動力を入力される場合を前提にして説明する。
【0081】
まず、図7aに示すように、カム状態切替え機構70が歯欠けギヤ71の歯欠け部71bをカム補助体62のギヤ部62cと対向する位置に存在させて、カム本体61(カム補助体62)をその回転方向Aに対して固定する状態を解除した(回転を許容する状態にした)ときには、図8a、図11a等に示すように、出力側カップリング55が入力側カップリング54と連結した状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53に伝達され、出力ギヤ53が入力ギヤ52と同様に回転方向Aに回転する。
【0082】
詳しくは、このとき出力側カップリング55は、図10a、図11aに示すように、第一スプリング56により入力側カップリング54に接近する方向Z1に押し付けられている。これにより、出力側カップリング55は、そのフランジ部55cがカム本体61の第一胴体部61の奥側内面に押し付けられた状態になり、また、その第二胴体部55bがカム本体61の第二胴体部61bの内部に深く入り込むとともに案内部55fがカム本体61のカム部61gに入り込んで収容された状態に保たれる。このときのカム補助体62は、カム本体61と共に回転方向Aに連れ回る。これは、カム補助体62がカム本体61と第二スプリング57で連結されており、しかもカム補助体62の胴体部62aがカム本体61の第三胴体部61cに接触して支持された状態になっているからである。
【0083】
このような状態に保たれることにより、出力側カップリング55は、その第二胴体部55bの内部壁面にある連結突起55dが入力側カップリング54の連結切込部54eに嵌め入れられた状態となり、入力側カップリング54と連結した状態となる。また、このときの出力側カップリング55は、その第一胴体部55aの内部壁面に形成された長い溝部55hに対して出力ギヤ53の内部円筒部53bの外周面における長い突起53eが入り込んだ状態となり(図10a)、これにより入力側カップリング54から受けた回転動力を出力ギヤ53に伝達することが可能になる。したがって、このときの間欠駆動装置5は、駆動の伝達を行う状態になる(図8a)。
【0084】
次いで、図7bに示すように、カム状態切替え機構70が歯欠けギヤ71の歯欠け部71bをカム補助体62のギヤ部62cと対向しない位置に存在させて、カム本体61(カム補助体62)を回転方向Aに対して固定した状態に切り替えたときには、図9a、図10c、図11c等に示すように、出力側カップリング55が入力側カップリング54と連結が解除された状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53に伝達されないこととなり、出力ギヤ53は回転しない。
【0085】
詳しくは、このときカム本体61においては、カム補助体62がそのギヤ部62cに歯欠けギヤ71のギヤ部71aが噛み合うことにより回転を停止する(図8b)。このため、その時点では回転し続けるカム本体61は、その切欠き付きフランジ部61eの停止切欠き部61dにおいてカム補助体62の突起62eとの空きスペースの分だけ移動する。しかし、その後、カム本体61は、その停止切欠き部61dの一方の側面部61daとは反対側(回転方向Aの上流側)に存在する他方の側面部61dbがその停止している突起62eに突き当たり、これにより停止した状態になる(図8b)。
【0086】
一方、このとき出力側カップリング55は、図10a、図11aに示すように、第一スプリング56により入力側カップリング54に接近する方向Z1に押し付けられていることにより、入力側カップリング54と連結された状態にある。このため、出力側カップリング55は、停止した第一カム61に対して矢印Aの方向に回転する関係になる。これにより、出力側カップリング55の案内部55eは、その傾斜面部55fがカム本体61のカム部61gの傾斜面部61hに沿って誘導される。つまり、案内部55eは、カム部61gの内部から抜け出すような作用を受ける。
【0087】
これにより、出力側カップリング55は、図10b等に示すように、カム本体61の第一胴体部61aの内部において、出力ギヤの内部円筒部53bに支持されつつ矢印A方向に回転するとともに第一スプリング56の押す力に抗して入力側カップリング54から離間する方向Z2に移動する。この際、出力側カップリング55は、図10b、図11b等に示すように、入力側カップリング54から次第に離れた状態となり、その入力側カップリング54との連結状態も次第に解除される状態になる。この段階で第一スプリング56は、出力側カップリング54の矢印方向Z1への移動により少しずつ縮んだ状態になる(図8b、図10b)。
【0088】
その後、出力側カップリング55の案内部55eにおける頂点部55gがカム部61gから抜け出した地点に到達すると、カム本体61が圧縮した状態にあった第二スプリング57が開放された状態となって発生する弾性復元力により押されてカム補助体62や出力側カップリング55に対して回転方向Aとは反対側の方向に回転する(図9a、図10c)。すなわち、このときのカム本体61は、カム補助体62が停止したときに余分に回転した量(停止切欠き部61dの隙間分)だけ戻されるような状態で回転方向Aとは反対側の方向に回転する。この回転するカム本体61は、停止切欠き部61dの一方の側面部61daが停止し続けるカム補助体62の突起62eに突き当たることにより停止する(図9a)。
【0089】
この結果、出力側カップリング55における案内部55eの頂点部55gが、カム本体61におけるカム部61gの保持面部61j(軸方向Zと直交する面部)に乗り上げた状態となり、カム部61gの窪みから完全に脱出した状態となる(図10c)。これと同時に、出力側カップリング55の連結突起55dが入力側カップリング54の連結切込部54eから完全に抜け出た状態となる(図11c)。つまり、図10cに示すように、出力側カップリング55が入力側カップリング54との連結が解除される位置で保持されることとなる。この段階で第一スプリング56は、最も多く収縮した状態になる(図9a、図10c)。ただし、この際、第一スプリング56のばね力により出力側カップリング55が入力側カップリング54に接近する方向に押されても、その案内部55eの頂点部55gがカム本体61におけるカム部61gの保持面部61jに乗り上げた状態になっているので、出力側カップリング55が力側カップリング54に近づく方向Z1に移動することはない。
【0090】
このような状態に保たれることにより、出力側カップリング55は、入力側カップリング54との連結が解除された状態となる。これにより、出力側カップリング55は、入力側カップリング54から回転動力が伝達されなくなるので、出力ギヤ53に回転動力を伝達することが不可能になる。したがって、このときの間欠駆動装置5は、駆動の伝達を切断した状態になる(図9a、図10c、図11c)。
【0091】
図12は、このときの間欠駆動装置5における駆動伝達の主要機構部の要部における動作(駆動の伝達状態から切断状態への切り替え動作)を概念的に示している。
【0092】
すなわち、図12aに示すように、カム補助体62が固定されずに開放されている状態では、出力側カップリング55が第一スプリング56により入力側カップリング54に向けて押し付けられて入力側カップリング54と連結した状態となり(図11a)、その案内部55eがカム部61gとお互いの傾斜面部どうしで接合した状態となる。これにより、入力側カップリング54の駆動が出力側カップリング54に伝達される結果、出力側カップリング55が入力側カップリング54と同様に矢印A方向に回転する。
【0093】
続いて、カム補助体62が固定された状態になると、図12bに示すように、カム補助体62が回転を停止するとともにカム本体61も停止を停止する。これにより、出力側カップリング55は、入力側カップリング54と連結された状態にある間(図11b)、案内部55eが矢印Aの方向に回転するとともにカム部61gの傾斜面部に沿って移動することにより、第一スプリング56の押し付ける力に抗して軸方向に沿う矢印Z2の方向に移動する。
【0094】
最後に、案内部55eの頂点部55dがカム部62から抜け出た状態になると、図12cに示すように、カム本体61が第二スプリング57の押す力により矢印Aとは反対の方向に回転し、これにより、案内部55eにおける頂点部55dが、カム部61gの保持面部61jに乗り上げた状態となり、出力側カップリング55は、入力側カップリング54との連結の状態が完全に切断される。これにより、入力側カップリング54の駆動が出力側カップリング55に伝達されなくなる結果、出力側カップリング55は矢印A方向に回転せずに停止する。
【0095】
次に、駆動伝達を切断した状態から、図7aに示すように、カム状態切替え機構70が歯欠けギヤ71の歯欠け部71bをカム補助体62のギヤ部62cと対向する位置に存在させて、カム補助体62をその回転方向Aに対して固定する状態を解除した状態に切り替えたときには、前述したように出力側カップリング55が入力側カップリング54と再び連結した状態に保たれることにより(図8a、図11a等を参照)、最終的に、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53に伝達されて出力ギヤ53が入力ギヤ52と同様に回転方向Aに回転する(図8a)。
【0096】
この際、カム補助体62は、図9bに示すように、カム状態切替え機構70の歯欠けギヤ71による規制から開放されるので矢印Aの方向に回転し始める。また、カム本体61も、カム補助体62の突起62eによる矢印A方向への規制がなくなるのでカム補助体62と共に点線の矢印Aで示す方向に回転する。これにより、出力側カップリング54の案内部55eが矢印Aの方向に移動するとともに、出力側カップリング54全体が第一スプリング56により矢印Z1の方向に押されているので(図8a)、その案内部55eがカム本体61におけるカム部61gの保持面部61jから外れた状態(図10b)になった後に、そのカム部61gの窪み内に収容された状態(図10a)に戻される。この結果、出力側カップリング55は、その第二胴体部55bの内部壁面における連結突起55dが入力側カップリング54の連結切込部54eに嵌め入れられた状態(図11a)となるので、入力側カップリング54と連結した状態となる。
【0097】
このように間欠駆動装置5では、歯欠け部71bを有する歯欠けギヤ71と切替え装置72で構成されるカム状態切替え機構70を作動させて、カム本体61であるカム本体61及びカム補助体62を固定した状態及びその固定を解除した状態のいずれかに切り替えることにより、連結部材である出力側カップリング55を入力側カップリング54に対して迅速に変位させて両カップリングどうしを連結した状態とその連結を解除した状態のいずれかに素早く切り替えることができる。このため、駆動の伝達及び切断の切り替え動作を迅速に行うことが可能になる。
【0098】
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2に係る間欠駆動装置5Bを示すものである。
【0099】
この実施の形態2に係る間欠駆動装置5Bは、出力ギヤ53B、出力側カップリング55B、カム本体63、カム補助体64、回転保持スプリング(回転保持材)65及びカム状態切替え機構70Bを適用して変更をした以外は実施の形態1に係る間欠駆動装置5と同じ構成になっている。このため、以下の文章及び図面では、実施の形態1に係る間欠駆動装置5と共通する構成部分に同じ符号を付し、またその共通する構成部分の説明を必要な場合を除いて省略する。また、この間欠駆動装置5Bは、実施の形態1の場合における駆動伝達ユニット40と組み合わせて使用される。
【0100】
間欠駆動装置5Bにおける駆動伝達の主要機構部は、図13、図14等に示すように、入力ギヤ52と、出力ギヤ53Bと、入力側カップリング54と、出力側カップリング55Bと、第一スプリング56と、カム本体63と、カム補助体64と、回転保持スプリング65と、カム状態切替え機構70Bとを備えている。このうち入力ギヤ52は、実施の形態1の場合と同様に本体フレーム50に設けられた軸51Aに対して回転自在な状態に取り付けられる(図4参照)。
【0101】
出力ギヤ53Bは、実施の形態1における出力ギヤ53と対比した場合、図14に示すように、内部円筒部53gとして軸方向に伸ばした形状に変更したうえで、その内部円筒部53gの外周面に軸方向に伸ばした分だけ更に延びる線状の第二突起53gを形成している点で異なるのみである。
【0102】
出力側カップリング55Bは、実施の形態1における出力側カップリング55とはその案内部55e(図6)を軸方向に延びる直線状の突起55jに変更した以外は同じ構成のものである。
【0103】
カム本体63は、出力側カップリング体55Bの第一胴体部55a及びフランジ部55cを軸方向に移動自在に収容し得る内部空間を有する円筒状の第一胴体部63aと、第一胴体部63aの一端部に連続して形成されるとともに出力側カップリング体55Bの第二胴体部55bが侵入して収容される円筒状の第二胴体部63bと、第二胴体部63bの一端部に連続して形成されるとともに入力側カップリング54の本体部54aが嵌め入れられる円筒状の第三胴体部63cを有した形状のものである。
【0104】
このカム本体63は、出力側カップリング体55Bと一体となった状態で、そのカップリング体55Bの第一胴体部55aが出力ギヤ53の内部円筒部53gに支持されて軸方向に移動自在な状態になることで移動できる構造になっている。第二胴体部63bは、カム補助体64における後述の胴体部(64a)を外側から嵌め入れて回転自在な状態で支持するとともに、そのカム補助体64から離れる方向に移動できる長さを有する形状になっている。
【0105】
カム本体63における第一胴体部63aには、第二胴体部63bの外周面に侵入するかのように突出した形態からなり、カム補助体64における後述の案内部(63d)に接触して誘導されるカム部63dが形成されている。また、第一胴体部63aには、その外周面においてカム部63dから円周方向に所要の間隔をあけて離れた位置に突出部63eが形成されている。カム部63dは、軸方向と所要の方向及び角度で交差する傾斜面部63fと回転方向に沿った面からなる保持面部63gを有する形状で形成されている。さらに、円筒状の第一胴体部63aの内部壁面には、出力側カップリング体55Bの第二胴体部55bにおける突起58fが嵌め入れられる突起58fの回転方向の幅よりも広い幅の凹部63hが突起58fの数と同じ数だけ形成されている(図15、図16)。突起58fは、カム本体63の回転の状態に応じて凹部63hの回転方向の前後の位置に存在する2つの側壁面部にそれぞれ突き当たる状態になる。
【0106】
第二スプリング57は、実施の形態1における第二スプリングと同様にコイル形状からなるものであり、そのコイル状に巻かれた胴体部分が出力側カップリング55Bの第二胴体部22bの外側に嵌め入れるような状態で取り付けられるとともに、その一端57aが出力側カップリング55Bのハウジング部55cに形成される切込部に差し込まれて固定され、その他端57bがカム本体63の胴体部63aの端部に形成される図示しない切込部に差し込まれて固定される。
【0107】
この第二スプリング57は、カム状態切替え機構70Bの作用によりカム補助体64の回転が停止させられている場合にカム補助体64の停止により一時的に停止するカム本体63に対して出力側カップリング55Bが前記した突起58fと凹部63hの自由移動の距離分だけ回転方向Aに回転したときに、そのスプリングの胴体部分が巻き方向に巻かれて収縮した状態となる。この結果、そのカム本体63をカム補助体64と相対させる状態で回転方向Aに回転させるばね力(弾性復元力)を発揮するようになっている(図16b)。第二スプリング57の外側には、カム本体63の第一胴体部63aが第二スプリング57を覆うような状態で存在する。
【0108】
カム補助体64は、カム本体63の第二胴体部63bが嵌め入れられる円筒状の第一胴体部64aと、第一胴体部64aの一端に連続して形成され、カム本体63の第三胴体部63cが収容される内部空間64bを有する円筒状の第二胴体部64cと、第一胴体部64aと第二胴体部64cの間に突出した状態で形成したフランジ部64dとを有した形状のものである。第二胴体部64cは、カム本体63の第三胴体部63cに対して回転自在な状態で支持される。
【0109】
また、カム補助体64の第二胴体部64cは、回転保持スプリング(回転保持材)65により入力側カップリング54の胴体部54aに対して従動回転するとともに回転自在な状態に支持されている。回転保持スプリング65は、コイル形状のスプリングであり、そのコイル状に巻かれた胴体部が入力側カップリング54の胴体部54aの外側に回転自在な状態(摺動する状態)になるよう嵌め入れられ、一端65aがカム補助体64の第二胴体部64cの一部に固定されるように取り付けられている。回転保持スプリング65は、カム補助体64が回転を停止させられた状態になると、緩む状態となるように巻かれている。これにより、カム補助体64は入力側カップリング54の胴体部54aに対して回転自在な状態になる。一方、カム補助体64が回転停止の状態を解除されたときには、回転保持スプリング65の胴体部が締まって収縮した状態になり入力側カップリング54の胴体部54aに巻き付いた状態になる。この結果、カム補助体64は、回転保持スプリング65の締まる状態になることで入力側カップリング54に対して従動回転する状態になる。
【0110】
カム補助体64における第一胴体部64aの一端部には、出力ギヤ53のある側にむけて突出する形態からなり、カム本体63を入力側カップリング54から離す方向(矢印Z2で示す方向:図16a、図18b)に移動させて出力側カップリング55Bの入力側カップリング54との連結が解除される方向に移動させる形状の案内部64eが形成されている。この案内部64eは、カム本体63におけるカム部63dの傾斜面部63fと対応する案内傾斜面部64gと保持面部64hとを有し、軸方向に突出した形状で形成されている(図14、図15等を参照)。また、第一胴体部64aには、その外周面において案内部64eから円周方向に所要の間隔をあけて離れた位置に突出部64fが形成されている。
【0111】
カム状態切替え機構70Bは、図13、図15等に示すように、カム補助体64の突出部64fに接触してカム補助体64の回転を阻止するとともに突出部64fから離間してカム補助体64の回転を許容する移動接触部材78と、カム本体63がカム補助体64の案内部64eに誘導されて出力側カップリング体55Bが入力側カップリング54から離れて連結が解除されるときにカム本体63の突出部63eに接触してカム本体63の回転を規制する固定接触部材79とで構成されている。図15から図17においては、カム本体63及びカム補助体64についてその要部を抽出した状態で概念的に描いている。
【0112】
移動接触部材78は、先端部78aがカム補助体64の胴体部64eに対して接近及び離間する方向に移動するよう支点軸78bを中心にして揺動する棒形状の可動片である。この移動接触部材78は、その後端部78cがソレノイド77と連結され、そのソレノイド77の作動により支点軸78bを中心にして矢印C1で示す方向に揺動して先端部78aがカム補助体64の突出部64fに接触してカム補助体64の回転を阻止できるように設置されている。先端部78aは、先細り形状で形成されているが、その形状については突出部64fに接触してカム補助体64の回転を阻止できる形状であれば特に限定されない。
【0113】
固定接触部材79は、カム本体63の第一胴体部63aの外周面に接近した状態で配置される。また、固定接触部材79は、移動接触部材78で回転が阻止されたときのカム補助体64における案内部64eの案内傾斜面部63fの誘導により、回転状態にあるカム本体63のカム部63dが回転方向A及び軸方向に所要の距離だけ変位し、カム部63dの保持面部63gが案内部64eの保持面部64hと接合した状態になって第二スプリング57の弾性復元力によりカム本体63が回転方向Aに回転したときに突出部63eと接触し得る位置に固定された状態で配置されている。固定接触部材79は、突出部63eと接触する部位(一部)やその全体が接触時に衝撃を吸収できる弾性部材で形成されている。また、固定接触部材79は、突出部63eと接触してカム本体63の回転を規制できる程度の強度が確保された状態で支持されている。
【0114】
この間欠駆動装置5Bにおける駆動伝達の主要機構部は、例えば、以下の工程で組み立てられる。
【0115】
入力ギヤ52の軸通し部52bに対して出力ギヤ53Bを(その内部円筒部53gを介して)取付けた後、その出力ギヤ53Bの内部円筒部53fに第一スプリング56を嵌め入れるとともにその第一スプリング56を圧縮させるように出力側カップリング55Bを取り付ける。この段階において出力側カップリング55Bは、出力ギヤ53Bの内部円筒部53fに保持され、出力ギヤ53Bと一体となって入力ギヤ52の軸通し部52bに対して回転自在な状態で支持される。また、出力側カップリング55Bは、圧縮した第一スプリング56のばね力により内部円筒部53gに保持されつつ軸方向に沿って出力ギヤ53Bから離れる方向に押された状態におかれる。
【0116】
続いて、カム本体63を、その第一胴体部63aの内部空間内に対して第二スプリング57と出力側カップリング55Bの第二胴体部55bを内包させる状態となり、また、カム本体63が出力ギヤ53Bのギヤ部53cの中間空間部53dに収容されて保持される状態となるよう取り付ける。この段階において出力側カップリング55Bは、カム本体63の第一胴体部64aの内部にハウジング部55cが第一胴体部63aの端部に突き当たるまで嵌め入れられ、カム本体63と一体化されたような状態になる。これにより、カム本体63は、カップリング体55Bと共に出力ギヤ53Bの内部円筒部53gに対して軸方向に移動自在に保持される。また、カム本体63は、出力側カップリング55Bを介して第一スプリング56により軸方向に沿って出力ギヤ53Bから離れる方向に押された状態におかれる。
【0117】
続いて、カム補助体64を、カム本体63の第二胴体部63b及び第二胴体部63cの外側に嵌めるように取り付ける。
【0118】
最後に、入力側カップリング54を、カム補助体64の第二胴体部64cの内部空間64bに存在する入力ギヤ52の軸通し部52bの端部に外側から嵌め合わせるように取り付ける。これにより、入力側カップリング54は、その貫通孔部54bにおいて突起部54dが入力ギヤ61の軸通し部52bにおける切込み部52cに入り込むことで連結した状態となる。また、この段階においては、出力側カップリング55B及びカム本体63が第一スプリング56の押し付ける力を受けて入力側カップリング54に接近した状態に保たれるので、カップリング体55Bの連結突起58dが入力側カップリング54の連結切込部54eに入り込んだ状態になる。この結果、出力側カップリング55Bは、入力側カップリング54と連結した状態におかれる。
【0119】
以上により、間欠駆動装置5Bの主要機構部は、図13に示すような外観を有する構造物となる状態に組み立てられる。この主要機構部は、実施の形態1における間欠駆動装置5の主要機構部と同様に、入力ギヤ52の軸通し部52bにおける内部の貫通空間に対し、本体フレーム50の軸51Aを入力側カップリング54が存在する側から差し入れて貫き通すことで、その軸51Aに対して回転自在に取り付けられる(図3、図4)。
【0120】
次に、この間欠駆動装置5Bの動作について説明する。ここでは、図15等に示すように、入力ギヤ52が矢印Aで示す方向に回転する回転動力を回転駆動装置18から入力される場合を前提にして説明する。
【0121】
まず、図13及び図15aに示すように、カム状態切替え機構70Bがソレノイド77の駆動により移動接触部材78をカム補助体64の第一胴体部64aから離した位置に存在させて、カム補助体64をその回転方向Aに対して固定する状態を解除した(回転を許容する状態にした)ときには、図15a等に示すように、出力側カップリング55Bが入力側カップリング54と連結した状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53に伝達され、出力ギヤ53が入力ギヤ52と同様に回転方向Aに回転する。
【0122】
このとき出力側カップリング55Bは、図15a、図18aに示すように、第一スプリング56により入力側カップリング54に接近する方向Z1に押し付けられている。これにより、カップリング体55Bの第一胴体部55aがカム本体63の第一胴体部63aの内部に押し付けられて収容された状態に保たれる。ちなみに、このときのカム補助体64は、前述したように回転保持スプリング65が締まった状態となって入力側カップリング54と連結された状態になるので、入力側カップリング54に追従して回転方向Aに回転する。また、カム補助体64は、その案内部64eにカム本体63のカム部63dが接触した状態に保たれるので、カム本体63と共に回転方向Aに対して連れ回るようになる。
【0123】
このような状態に保たれることにより、出力側カップリング55Bは、その第二胴体部58bの内部壁面にある連結突起58dが入力側カップリング54の連結切込部54eに嵌め入れられた状態となり(図11a)、これにより入力側カップリング54と連結した状態となる。また、このときの出力側カップリング55Bは、その第一胴体部55aの内部壁面における長い溝部hに対し出力ギヤ53Bの内部円筒部53fの外周面における長い突起53gが入り込んだ状態となり、これにより入力側カップリング54から受けた回転動力を出力ギヤ53Bに伝達することが可能になる。したがって、このときの間欠駆動装置5Bは、駆動の伝達を行う状態になる(図15a,図18a)。
【0124】
次いで、図13及び図15bに示すように、カム状態切替え機構70Bが移動接触部材78をカム補助体64の第一胴体部64aに接近させた位置に存在させてカム補助体64における突出部64fに接触させることにより、カム補助体64をその回転方向Aに対して固定した状態(回転を阻止する状態)にしたときには、図18c等に示すように、出力側カップリング55Bにおけるカップリング体58が入力側カップリング54との連結が解除された状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53に伝達されないこととなり、出力ギヤ53は回転しない。
【0125】
詳しくは、このときカム補助体64は、その第一胴体部64aにある突出部64fが移動接触部材78の先端部78aに接触することにより回転が阻止される。一方、このときのカム本体63は、第一スプリング56により入力側カップリング54に接近する方向Z1に押し付けられていることにより、そのカップリング体55Bが入力側カップリング54と連結された状態にある(図11bを参照)。このため、カム本体63は、入力側カップリング54の駆動力がカップリング体55Bを介して伝達された状態にあり、回転が停止したカム補助体64に対して矢印Aの方向に回転しているという関係になる。これにより、カム本体63におけるカム部63dは、その傾斜面部63fがカム補助体64の案内部64eにおける傾斜面部64gに沿って誘導される。つまり、カム部63dは、カム補助体64から離されるような作用を受ける。
【0126】
これにより、カム本体63は、図16a等に示すように、出力側カップリング体55Bを介して出力ギヤ53の内部円筒部53fに支持されつつ矢印A方向に回転するとともに第一スプリング56の押す力に抗して入力側カップリング54から離間する方向Z2に移動する。この際、出力側カップリング体55Bは、入力側カップリング54から次第に離れて連結状態も次第に解除される状態になる(図11bを参照)。また、カム本体63のカム部63eは、回転方向Aと離間する方向Z2の双方に移動することで、図16aに点線の矢印で示すように、固定接触部材79にむけて斜めに移動して接近する状態になる。さらに、カム本体63は、カム補助体64が停止することに併せて一時的に回転が止まる。つまり、出力側カップリング55Bの突起55fがカム本体63の溝部63hとの隙間分だけ移動する間だけ(図15b→図16b)、カップリング55Bからの駆動力の伝達がなくなってカム本体63の回転が停止する。また、カム本体63が停止して出力側カップリング55Bが回転することにより、第二スプリング57が巻かれて収縮した状態になる。
【0127】
その後、カム部63dの頂点でもある保持面部63gが案内部64hの傾斜面部64gから抜け出した地点に到達すると、第二スプリング57が緩む方向に開放されて先の収縮した状態で蓄えられた弾性復元力が発揮されることによりカム本体63が回転方向A(図16bの点線で示す矢印の方向)に回転させられる。これにより、カム部の保持面63gがカム補助体64の保持面部64hに乗り上げた状態となり、しかる後、カム本体63の突出部63eが固定接触部材79に接触する。このため、カム本体63は、図16bに示すように、回転を停止するとともに、カム補助体64から所要の距離だけ離れた状態に保たれる。このとき出力側カップリング55Bも、カム本体63に押されてカム補助体64から所要の距離だけ離れた状態に保たれる。
【0128】
この結果、出力側カップリング55Bの連結突起55dが入力側カップリング54の連結切込部54eから完全に抜け出た状態となる(図11cを参照)。つまり、出力側カップリング55Bが入力側カップリング54との連結が解除される位置で保持されることとなる。
【0129】
このような状態に保たれることにより、出力側カップリング55Bは、入力側カップリング54との連結が解除された状態となる。これにより、出力側カップリング55Bは、入力側カップリング54から回転動力が伝達されなくなるので、出力ギヤ53Bに駆動力を伝達することが不可能になる。したがって、このときの間欠駆動装置5は、駆動の伝達を切断した状態になる(図18c)。
【0130】
図18は、このときの間欠駆動装置5Bにおける駆動伝達の主要機構部の要部における動作(駆動伝達状態から駆動切断状態への切り替え動作)を概念的に示している。
【0131】
すなわち、図18aに示すように、カム補助体64が回転を阻止されず開放されている状態では、出力側カップリング55Bが第一スプリング56により入力側カップリング54に向けて押し付けられて入力側カップリング54と連結した状態となり(図11a参照)、そのカム部63dがカム補助体64の案内部64eとお互いの傾斜面部63f,64gどうしで接合した状態となる。これにより、入力側カップリング54の駆動が出力側カップリング55Bに伝達される結果、出力側カップリング55Bが入力側カップリング54と同様に矢印A方向に回転する。
【0132】
続いて、カム補助体64が固定された状態になると、図18bに示すように、カム補助体64が回転を停止する。これにより、カム本体63は、入力側カップリング54と連結された状態にある間(図11bを参照)、カム本体63のカム部63dが矢印Aの方向に回転するとともにカム補助体64の案内部64eの傾斜面部に沿って移動することにより、第一スプリング56の押し付ける力に抗して軸方向に沿う矢印Z2の方向に移動する。
【0133】
最後に、カム本体63のカム部63dの保持面部63gがカム補助体63の案内部64hの傾斜面部64gから抜け出た状態になると、図18cに示すように、第二スプリング57に押されてカム部63dの保持面部63gが案内部64hの保持面部64fに乗り上げた状態となり、カム本体63が出力側カップリング55Bとともにカム補助体63から離れた方向に移動するので、出力側カップリング55Bは入力側カップリング54との連結の状態が完全に切断される。これにより、入力側カップリング54の駆動が出力側カップリング体55Bに伝達されなくなる結果、出力側カップリング55Bは矢印A方向に回転せずに停止する。
【0134】
次に駆動伝達を切断した状態から、図17aに示すように、カム状態切替え機構70Bがソレノイド77の駆動により移動接触部材78をカム補助体64の第一胴体部64aの突出部64fから離した位置に存在させて、カム補助体64をその回転方向Aに対して固定する状態を解除した(回転を許容する状態にした)ときには、出力側カップリング55Bが入力側カップリング54と再び連結した状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53Bに伝達され、出力ギヤ53Bが入力ギヤ52と同様に回転方向Aに回転する。
【0135】
この際、カム本体63は、図17bに示すように、カム状態切替え機構70Bの移動接触部材78による規制から開放されるので矢印Aの方向に回転し始める。これにより、回転保持スプリング65が締め付けられた状態となるので、カム補助体64が出力側カップリング体54に追従して回転方向Aに回転し始める。このため、カム補助体64の案内部64eが矢印A方向に移動する。一方、このときカム本体63は、固定接触部材79におり回転が規制されている。この結果、カム補助体64の案内部64eがカム本体63のカム部63dの保持面部63gから外れるので、カム本体63が第一スプリング56により矢印Z1の方向に押されて移動し、そのカム本体63のカム部63dとカム補助体64の案内部64eとが互いの傾斜面部63h,64gを接合させた元の状態に戻される。この状態に戻されることにより出力側カップリング55Bは、その第二胴体部58bの内部壁面における連結突起58dが入力側カップリング54の連結切込部54eに嵌め入れられた状態(図11aを参照)となるので、入力側カップリング54と連結した状態となる。
【0136】
このように間欠駆動装置5Bでは、移動接触部材58を備えたカム状態切替え機構70Bを作動させて、カム補助体64を固定した状態及びその固定を解除した状態のいずれかに切り替えることにより、連結部材である出力側カップリング55Bを入力側カップリング54に対して迅速に変位させて両カップリングどうしを連結した状態とその連結を解除した状態のいずれかに素早く切り替えることができる。このため、駆動の伝達及び切断の切り替え動作を迅速に行うことが可能になる。
【0137】
なお、カム状態切替え機構70Bは、回転規制部材として固定接触部材79を備えているが、カム本体63のカム部63dがカム補助体64の案内部64eの保持面部64hに乗り上げた状態(図17a)においてカム本体63がカム補助体64に対して連れ回らない程度の回転負荷が出力ギヤ53から加わる場合には、その固定接触部材79が不要である。この場合は、出力ギヤ53と噛み合うギヤ等が回転規制部材として機能することになる。
【0138】
[実施の形態3]
図19及び図20は、実施の形態3に係る間欠駆動装置5Cを備えた給紙装置の要部(駆動伝達部)を示すものである。
【0139】
図19等に示す給紙装置は、例えば実施の形態1等に係る画像形成装置1で使用される給紙装置12である。図19及び図20では、その給紙装置12の給紙ロール15に駆動力を伝達する駆動伝達部を示している。この給紙装置12の駆動伝達部では、給紙ロール15への駆動伝達が間欠駆動装置5Cを含む駆動伝達ユニット40Cにより行われる。
【0140】
駆動伝達ユニット40Cは、図19等に示すように、複数のギヤを用いて構成されており、例えば画像形成装置1の装置本体11の一部11cに配置されている。詳しくは、駆動伝達ユニット40Bは、回転駆動装置19と接続されている駆動ギヤ46、第一の伝達ギヤ47、第二の伝達ギヤ48及びロール駆動ギヤ49と、間欠駆動装置5Cの入力ギヤ52及び出力ギヤ53Cを有している。ここで、第一の伝達ギヤ47は、駆動ギヤ46と間欠駆動装置5Cの入力ギヤ52とにそれぞれ噛み合っている。第二の伝達ギヤ48は、間欠駆動装置5の出力ギヤ53Cとロール駆動ギヤ49とにそれぞれ噛み合っている。図19等における符号51A,51B,51Cは装置本体11に固定された支持軸、符号15bは給紙ロール15の軸、符号15cは軸15bの軸受である。
【0141】
この駆動伝達ユニット40Cにおいては、図19に示すように間欠駆動装置5が駆動の伝達を行う状態にあるときには、駆動ギヤ41の駆動力が、第一の伝達ギヤ47、間欠駆動装置5Cの入力ギヤ52及び出力ギヤ53C、第二の伝達ギヤ48、ロール駆動ギヤ49を介して給紙ロール15に伝達される。したがって、この場合には、給紙ロール15が回転する(用紙の搬送が行われる)ことになる。一方、図20に示すように間欠駆動装置5Cが駆動の伝達を切断(解除)する状態にあるときには、駆動ギヤ46の駆動力が第一の伝達ギヤ47と間欠駆動装置5Cの入力ギヤ52に伝達されるに止まり、その以降に存在するギヤ(第二の伝達ギヤ48)に伝達されない。したがって、この場合には、給紙ロール15が回転せずに停止する(用紙の搬送が行われない)ことになる。
【0142】
駆動伝達ユニット40における間欠駆動装置5Cは、図19〜図22等に示すように、出力ギヤ53C、出力側カップリング55C、カム補助体66、保持筒67、カム本体68、変位カム69及びカム状態切替え機構70Cを適用する一方で、戻し用の第二スプリング57を使用しないという変更をした以外は実施の形態1に係る間欠駆動装置5と同じ構成になっている。このため、以下の文章及び図面では、実施の形態1に係る間欠駆動装置5と共通する構成部分に同じ符号を付し、またその共通する構成部分の説明を必要な場合を除いて省略する。
【0143】
出力ギヤ53Cは、入力ギヤ52の軸通し部52bが嵌め入れられる中央貫通部53hを有する円筒状の胴体部53aと、前記中央貫通部53hが延長されて形成された円筒状のギヤ部53cと、ギヤ部53cの一側面から突出するとともに第一スプリング56及び出力側カップリング55Cの胴体部58aが嵌め入れられる円柱状(中央貫通部53hよりも大径のもの)の内部空間53iを有する円筒状の突出部53jとを有した形状のものである。突出部53iの内壁面には出力側カップリング55C(の案内突起55f)を軸方向に移動自在に支持する軸方向に延びる支持溝53kが2つ形成されている。
【0144】
出力側カップリング55Cは、入力ギヤ52の軸通し部52bが嵌め入れられる内部空間部を有する円筒状の本体部55aと、本体部55aの外周面部の一端に突出して軸方向に延びるように形成された複数の突起55fと、本体部55aの外周面部の他端に入力側カップリングにおける複数の連結突起54eが侵入して嵌め入れられて連結されるように形成された複数の連結切込部55gと、本体部55aの他端と突起55fの間になる外周面部に回転方向に延びるように形成された複数の突出部55hとを有した形状からなるものである。本体部55aは、入力ギヤ52の軸通し部52bに対して回転自在に支持される。突出部55hは、カム補助体66の一端が接触する関係になっている。
【0145】
カム補助体66は、出力側カップリング55Cの本体部55aが嵌め入れられる貫通した内部空間を有する円筒状の筒本体66aと、筒本体66aの側面に突出するように形成された突出ピン66bと、筒本体66aの一端から軸方向に突出するように形成されたカム受け片66cとを有した形状のものである。突出ピン66bは、保持筒67における後述の位置決め溝(67b、67c)に入り込んで保持される。カム受け片66cは、カム本体68における後述のカム部(68b)に入り込む。
【0146】
保持筒67は、カム補助体66の位置を保持するものであり、カム補助体66の筒本体66aが嵌め入れられる貫通した内部空間を有する円筒状の筒本体67aと、筒本体67aの一端に2種類の切り込み深さで円周方向に交互に配置される位置決め溝67b、67cと、筒本体67aの他端に軸方向に延びる誘導溝67dとを有した形状のものである。
【0147】
第一の位置決め溝67bは、軸方向に延びる長方形状の溝で形成されている。第二の位置決め溝67cは、一方の側部が軸方向に沿って直線状となり、その他方の側部が軸方向と交差する斜面状となるように形成されている。第一の位置決め溝67bは、第二の位置決め溝67cよりも切り込み深さが深く形成されている。第二の位置決め溝67cの一方の側部から第一の位置決め溝67bとの間は、第二の位置決め溝67cの他方の側部と同じように第一の位置決め溝67bにむけて次第に下がる斜面状に形成されている。第二の位置決め溝67cの両側部の上部は頂点部67eとなる。誘導溝67dは、カム本体68における後述の突出棒(68c)が侵入して進退移動する。
【0148】
また、第一の位置決め溝67bは、移動筒66を介して、出力側カップリング55Cが入力側カップリング54と連結する状態になる位置に存在させることができる溝深さに設定される。一方、第二の位置決め溝67cは、移動筒66を介して、出力側カップリング55Cが入力側カップリング54との連結を解除された状態になる位置に存在させることができる溝深さに設定される。
【0149】
カム本体68は、カム補助体66の筒本体66aに嵌め入れられる外径からなるとともに入力側カップリング54の本体部54aが嵌め入れられる貫通した内部空間を有する円筒状の筒本体68aと、筒本体68aの一端に連続して逆三角状に切り込まれる形状で形成されるカム部68bと、筒本体68aの他端に外周面から突出した状態に設けられる突出棒68cとを有した形状のものである。カム部68bは、その切り込み谷部にカム補助体66のカム受け片66cの先端部が接触する。突出棒68cは、カム状態切替え機構70Cにおける後述の変位カム69及び停止部材86に達して接触する長さで形成されている。
【0150】
カム状態切替え機構70Cは、図19、図23等に示すように、カム本体68の突出棒68cに接触するとともに、突出棒68cをカム本体68の筒本体68aが入力側カップリング54と離れる方向Z2(換言すれば、出力側カップリング55Cに接近する方向)に移動するように変位させる変位カム69と、変位カム部69を支持するとともに軸51Aを中心にして回転移動させる回転台82と、回転台82を所要の方向に所要の量だけ回転させて位置を切り替える回転切替え装置83と、突出棒68cの停止部材86とで構成されている。
【0151】
変位カム69は、突出棒68cに接触して所要の方向Z2に変位させる傾斜面部69aと、所要の方向Z2に変位させた時点で位置を保持させる保持面部69bとを有する形状(断面台形状)に形成されている。回転台82は、例えば軸51Aに対して回転自在の支持されている。回転切替え装置83は、進退移動する作動棒84aを備えたソレノイド84と、ソレノイド84における作動棒84aの進退運動を回転台82の回転運動に変換させるようにリンク機構85と、回転台82を元の位置に戻すように回転させる力を与える戻し用の第三スプリング86を有している。停止部材86は、変位カム69が突出棒68cに接触したときにカム本体68が(軸51Cを中心にして)いずれの方向にも回転しないように突出棒86cに接触して停止させるためのものであり、例えば回転台82の外側に位置する本体フレーム11cの所要の部位に設けられる。
【0152】
リンク機構85は、一端がソレノイド84の作動棒84aと接続されているとともに固定軸85cに対して揺動自在に取り付けられた第一連結板85aと、一端が第一連結板85aの他端と軸85dを介して回転自在に連結されているとともに他端が回転台82の一部に軸85eを介して回転自在に接続されている第二連結板85bとで構成されている。第三スプリング86は、例えばコイル形状のスプリングであり、その一端が装置本体11cの所定の箇所に取り付けられ、その他端が回転台82のうち軸85eとほぼ対向する反対側となる位置に取り付けられている。
【0153】
この間欠駆動装置5Cにおける駆動伝達の主要機構部は、例えば、以下の工程で組み立てられる。
【0154】
はじめに、図19、図22等に示すように、入力ギヤ52の軸通し部52bに出力ギヤ53Cを(その胴体部53aを介して)取付けた後、その出力ギヤ53Cの突出部53jの内部空間に第一スプリング56を嵌め入れるとともにその第一スプリング56を圧縮させるように出力側カップリング55Cを取り付ける。この段階において出力側カップリング55Cは、出力ギヤ53Cの主に突出部53jに保持され、出力ギヤ53Cと一体となって入力ギヤ52の軸通し部52bに対して回転自在な状態で支持される。また、出力側カップリング55Cは、入力ギヤ52の軸通し部52bに保持されつつ第一スプリング56により軸方向に沿って出力ギヤ53Cから離れる方向に押された状態におかれる。
【0155】
続いて、カム補助体66を出力側カップリング55Cの本体部55aの外側に嵌め入れた後、カム補助体66の筒本体66aの外側に保持筒67を嵌め入れ、しかる後に保持筒67の筒本体67aの内部空間にカム本体68を嵌め入れる。この段階において保持筒67の両端開口から内部にカム補助体66及びカム本体68の一部が嵌め入れられた状態となって組立てられる。このうちカム補助体66は、その筒本体66aの一端が出力側カップリング55Cの突出部55hに接触し得る状態となり、その突出ピン66bが保持筒67の位置決め溝67bに入り込む状態となり、そのカム受け片66cがカム本体68のカム部68bの凹部に入り込む状態となる。また、カム本体68の突出棒68cが保持筒67の誘導溝67dに入り込んだ状態となる。
【0156】
最後に、入力側カップリング54を、カム補助体68の筒本体68aの内部空間に存在する入力ギヤ52の軸通し部52bの端部に外側から嵌め合わせるように取り付ける。これにより、入力側カップリング54は、そのカム本体68の筒本体68a内において突起部54dが入力ギヤ61の軸通し部52bにおける切込み部52cに入り込むことで連結した状態となる。また、この段階においては、出力側カップリング55Cが第一スプリング56の押し付ける力を受けて入力側カップリング54に接近した状態に保たれるので、カップリング55Cの連結突起55gが入力側カップリング54の連結切込部54eに入り込んだ状態になる。この結果、出力側カップリング55Cは、入力側カップリング54と連結した状態におかれる。
【0157】
以上により、駆動伝達の主要機構部は、図19、図22等に示すような外観を有する構造物となる状態に組み立てられる。この主要機構部は、図19等に示すように、入力ギヤ52の軸通し部52bにおける内部の貫通空間に対し、装置本体11cの軸51Aを入力側カップリング54が存在する側から差し入れて貫き通すことで、その軸51Aに対して回転自在に取り付けられる。
【0158】
次に、この間欠駆動装置5Cの動作について説明する。ここでは、図22等に示すように、入力ギヤ52が矢印Aで示す方向に回転する回転動力を回転駆動装置19から入力される場合を前提にして説明する。
【0159】
まず、図19及び図22に示すように、カム状態切替え機構70Cがソレノイド84の駆動(作動棒84aを進退移動させること)によりカム補助体66の突出ピン66bを保持筒67における第一の位置決め溝67bに保持させたときには、出力側カップリング55Cが入力側カップリング54と連結した状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53Cに伝達され、出力ギヤ53Cが入力ギヤ52と同様に回転方向Aに回転する。
【0160】
このとき出力側カップリング55Cは、図22a、図25aに示すように、第一スプリング56により入力側カップリング54に接近する方向Z1に押し付けられている。これにより、カップリング55Cの胴体部53aがカム補助体66の胴体部66aの内部に押し付けられた状態になり、また、カム補助体66もカップリング55Cにより(突出部55hとの接触により)保持筒67の第一の位置決め溝67bに確実に入り込んだ状態に保たれる。ちなみに、このときのカム補助体61、保持筒67及びカム本体68はいずれも、カム本体68の突出棒68cが停止部材86に接触することにより、矢印Aの方向には回転せずに停止した状態でいる。
【0161】
このような状態に保たれることにより、出力側カップリング55Cは、その連結突起55gが入力側カップリング54の連結切込部54eに嵌め入れられた状態となり(図11aを参照)、これにより入力側カップリング54と連結した状態となる。また、このときの出力側カップリング55Cは、その突出部55fが出力ギヤ53Cの支持溝53kに入り込んだ状態となり、これにより入力側カップリング54から受けた回転動力を出力ギヤ53Cに伝達することが可能になる。したがって、このときの間欠駆動装置5Cは、駆動の伝達を行う状態になる(図19、図22)。
【0162】
次いで、図20及び図24bに示すように、カム状態切替え機構70Cがソレノイド84の駆動(作動棒84aを進退移動させること)によりカム本体61Cにおける移動筒66の突出ピン66bを保持筒67における第二の位置決め溝67cに保持させたときには、出力側カップリング55Cが入力側カップリング54との連結が解除された状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53Cに伝達されないこととなり、出力ギヤ53Cは回転しない。
【0163】
このとき出力側カップリング55Cは、図24bに示すように、第一スプリング56による押す力に抗してカム補助体66によって入力側カップリング54から離れた方向Z2に移動させられた位置に変位させられた状態となるので、入力側カップリング54から離れて連結状態が解除された状態になる(図11cを参照)。
【0164】
このような状態に保たれることにより、出力側カップリング55Cは、入力側カップリング54から回転動力が伝達されなくなるので、出力ギヤ53Cに駆動力を伝達することが不可能になる。したがって、このときの間欠駆動装置5Cは、駆動の伝達を切断した状態になる(図20、図24b)。
【0165】
ここで、間欠駆動装置5Cにおいて駆動伝達状態から駆動切断状態へ切り替えが行われるときの、駆動伝達の主要機構部の要部の動作について詳述する。
【0166】
まず、図23bに示すように、カム状態切替え機構70Cにおいてソレノイド84の作動棒84aを引く動作が行われる。これにより、ソレノイド84の作動棒84aの退避動作によりリンク機構85を介して回転台82が矢印Cで示す方向に所要の量だけ回転する。この結果、変位カム69が、突出棒86cを介してカム本体68を入力側カップリング54から離間させる方向Z2に移動させる。回転台82の矢印C方向への回転により第三スプリング86が延びた状態になる。
【0167】
詳しくは、回転台82の回転により変位カム69が、停止部材86に接触した状態にあるカム本体68の突出棒68cの下方に潜り込むような状態で進むので、突出棒68cが停止部材86に接触しつつ変位カム69の傾斜面部51aに案内されて矢印Z2の方向に次第に変位する。これにより、カム本体68は矢印Zの方向に変位するとともに、カム受け片66cを介してカム補助体66を矢印Z2の方向に次第に移動させる。この結果、カム補助体66が、出力側カップリング55Cの突出部55hとの接触によりカップリング55Cを矢印Z2の方向に移動させることとなる。この際、カム本体68のカム部68bの傾斜部がカム補助体66のカム受け片66cを押すことでカム補助体66の突出ピン66bが第一の位置決め溝67bから離れて(浮いて)矢印Z2の方向に移動するとともに、回転方向Aに対して回転力を与えられてカム補助体66がカム本体68に対して相対的に少し回転する。
【0168】
続いて、回転台82の回転により突出棒68cが停止部材86に接触したままで変位カム69の保持面部69bに至ると(図23b)、図24aや図25bに示すように、カム補助体66の突出ピン66bが、第一の位置決め溝67bから脱出するように移動して第二の位置決め溝67cの両側部の上部となる頂点部76eを乗り越える位置まで達する。
【0169】
しかる後、カム状態切替え機構70Cにおいてソレノイド84の励磁を解除すると、作動棒84aが突出(前進)させられる。これにより、回転台82が第三スプリング86の復元力により矢印Cとは反対側の方向に回転して元の位置に戻る。この際、変位カム69は、停止部材86に接触したままのカム本体68の突出棒68cの下から外れる方向(矢印Cの方向とは反対方向)に移動するので、カム本体68は支えがなくなる。すると、カム補助体66は出力側カップリング55Cを介して第一のスプリング56に押されて、その突出ピン66bが保持筒77の第二の位置決め溝67cの側にすべり込むようにして入り込む(図24b、図25c)。この結果、カム補助体66の位置が第一の位置決め溝67bから比べると矢印Z2の方向に移動された位置に変位したことになるので、前述したように出力側カップリング55Cが入力側カップリング54との連結から解除された状態になって駆動の伝達が切断される(図24b、図25c)。
【0170】
次に駆動伝達を切断した状態から、カム状態切替え機構70Cがソレノイド84の駆動によりカム本体61Cにおけるカム補助体66の突出ピン66bを保持筒67における第一の位置決め溝67bに再び保持させたときには、出力側カップリング55Cが入力側カップリング54と連結した状態に保たれる。この結果、入力ギヤ52の回転動力が出力ギヤ53Cに伝達され、出力ギヤ53Cが入力ギヤ52と同様に回転方向Aに回転する。
【0171】
カム状態切替え機構70Cにおいて、前述したようにソレノイド84の作動棒84aを引く動作と突出させる動作が行われる。まず、作動棒84aを引く動作により回転台82が矢印Cの方向に回転して変位カム部69が突出棒68cを移動させるので、カム本体61Cのカム本体68が矢印Z2の方向に移動し、これに連れてカム補助体66と出力側カップリング55Cも矢印Z2の方向に再び移動する。この際、カム本体68のカム部68bがカム補助体66のカム受け片68cを押すことにより、カム補助体66の突出ピン66bは、保持筒67の第二の位置決め溝67cから抜け出るように矢印Z2の方向に変位するとともに、回転方向Aに回転力を与えられる。
【0172】
その後、回転台82の回転により突出棒68cが変位カム部69の保持面部69bに至ると(図23b)、カム補助体66の突出ピン66bが、第二の位置決め溝76cの両側部の上部となる頂点部76eを乗り越える位置まで達する(図24a)。しかる後に、カム状態切替え機構70Cにおいてソレノイド84の励磁を解除すると、回転台82は元の位置に復帰し、カム本体68は支えを失う。すると、カム補助体66は出力側カップリング55Cを介して第一のスプリング56に押されて、その突出ピン66bが保持筒77の第一の位置決め溝76bの側に滑り落ちるようにして入り込む(図22、図25a)。この結果、カム補助体66の位置が第二の位置決め溝67cから比べると矢印Z1の方向に移動された位置に変位したことになるので、前述したように出力側カップリング55Cが入力側カップリング54と連結された状態になる(図22)。
【0173】
このように間欠駆動装置5Cでは、変位カム部69を備えたカム状態切替え機構70Cを作動させて、カム本体61Cを固定した状態(第一の位置決め位置67bに保持した状態)及びその固定を解除した状態(第二の位置決め位置67cに保持した状態)のいずれかに切り替えることにより、連結部材である出力側カップリング55Cを入力側カップリング54に対して迅速に変位させて両カップリングどうしを連結した状態とその連結を解除した状態のいずれかに素早く切り替えることができる。このため、駆動の伝達及び切断の切り替え動作を迅速に行うことが可能になる。
【0174】
[他の実施の形態]
実施の形態1、2における駆動伝達ユニット40では、間欠駆動装置5、5Bに代えて、実施の形態3に係る間欠駆動装置5Cを適用することもできる。反対に、実施の形態3における駆動伝達ユニット40Cでは、間欠駆動装置5Cに代えて、実施の形態1、2に係る間欠駆動装置5、5Bを適用することもできる。
【0175】
また、実施の形態1〜3では、画像形成装置として、電子写真方式の画像形成方式を適用したものを例示したが、それ以外の画像形成方式(例えばインクジェット方式、サーマルヘッド方式など)を採用した画像形成装置であっても構わない。また、本発明が適用される画像形成装置としては、例えば、プリンタ、コピー機、ファクシミリ等の画像形成装置をはじめ、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能(画像入出力送受信機能)等に代表される各機能を複合させた画像形成装置が挙げられる。
【0176】
さらに、実施の形態1〜3に係る間欠駆動装置5は、画像形成装置と接続して使用される大型の給紙装置の駆動伝達部や、後処理装置の用紙搬送装置の駆動伝達部などの他の駆動伝達部に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0177】
5,5b,5C…間欠駆動装置
10…画像形成装置
12…給紙装置
51A…軸
52…入力ギヤ(入力歯車)
53…出力ギヤ(出力歯車)
54…入力側カップリング(入力側連結部材)
55…出力側カップリング(出力側連結部材)
57…第二スプリング(回転付与部材)
61…カム本体(第一カム部材)
62…カム補助体(第二カム部材)
62c…ギヤ部(歯車部)
66…カム補助体(第二カム部材)
66c…カム受け片(カム受け部)
68…カム本体(第一カム部材)
68c…突出棒(突出部)
69…変位カム(回転付与部材)
70,70B,70C…カム状態切替え機構
71…歯欠けギヤ(歯欠け歯車)
71a…ギヤ部(歯車部)
71b…歯欠け部
72…切替え装置
74A…第一引っ掛け部
74B…第二引っ掛け部
78…移動接触部材
Z …軸方向
Z2…入力側カップリングから離す方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、
前記軸に回転自在な状態で支持される入力歯車と、
前記軸に回転自在な状態で支持される出力歯車と、
前記軸に回転自在な状態で支持されるとともに前記入力歯車と連結した状態で回転する入力側連結部材と、
前記軸に回転自在な状態でかつ軸方向に移動自在な状態で支持され、前記入力側連結部材と連結した状態及びその連結を解除した状態のいずれかに切り替わるとともに前記出力歯車と連結した状態で回転する出力側連結部材と、
前記出力側連結部材を前記入力側連結部材に向けて押し付ける弾性力を付与する押付け部材と、
前記軸に支持され、前記出力側連結部材を前記入力側連結部材から離す方向に移動させて当該入力側連結部材との連結を解除するように誘導する形状のカム部を有する第一カム部材と、
前記軸に支持されるとともに前記第一カム部材に対して相対的に回転する第二カム部材と、
前記第一カム部材を前記第二カム部材に対して相対的に回転させる力を付与する回転付与部材と、
前記第一カム部材又は第二カム部材の状態を変更して前記第一カム部材のカム部の誘導を機能させる状態及びそのカム部の誘導を不能にさせる状態のいずれかに切り替えるカム状態切替え機構と、
を備えていることを特徴とする間欠駆動装置。
【請求項2】
前記第二カム部材は、前記軸に回転自在な状態で支持され、
前記カム状態切替え機構は、前記第二カム部材の回転を停止させて前記カム部の誘導を機能させる状態にし、前記第二カム部材の当該停止を解除して前記カム部の誘導を不能にさせる状態にする請求項1に記載の間欠駆動装置。
【請求項3】
前記第二カム部材は、前記歯車部を有し、
前記カム状態切替え機構は、前記第二カム部材の歯車部と噛み合う歯車部及び歯欠け部を有する歯欠け歯車と、前記歯欠け歯車を前記歯欠け部が前記第二カム部材の歯車部と対向する位置及び対向しない位置のいずれかに存在するように回転させて停止させる切替え装置とを備えている請求項2に記載の間欠駆動装置。
【請求項4】
前記第一カム部材は、前記出力側連結部材と連結した状態で回転するように配置し、前記カム部を前記第二カム部材に接触させて当該第二カム部材を当該出力側連結部材と共に前記入力側連結部材から離れる方向に移動させるように誘導する形状に形成し、
前記第二カム部材は、前記入力側連結部材に対して従動回転するとともに相対的に回転する状態に支持され、その外周面に突出部を形成するとともに前記第一カム部材のカム部に接触して当該第一カム部材を前記入力側連結部材から離れる方向に移動させる案内部を形成し、
前記カム状態切替え機構は、前記第一カム部材に対して接近及び離間する方向に移動し、当該第一カム部材の突出部に接触して当該第一カム部材の回転を阻止する一方で当該突出部から離間して当該第一カム部材の回転を許容する移動接触部材を備えている請求項2に記載の間欠駆動装置。
【請求項5】
前記カム状態切替え機構の切替え装置は、前記歯欠け歯車の一部に形成される引っ掛け部に引っ掛かるとともに当該引っ掛け部から離間するように変位する引っ掛け部材と、前記歯欠け歯車を所要の方向に回転させる力を付与する回転付与部材とを備え、
前記引っ掛け部として、前記歯欠け歯車の歯欠け部が前記第二カム部材の歯車部と対向する位置と対応する第一引っ掛け部と当該第二カム部材の歯車部に対向しない位置に対応する第二引っ掛け部が形成されている請求項3に記載の間欠駆動装置。
【請求項6】
前記回転付与部材は、コイル巻き部が前記軸に嵌め入れる状態で装着され、一端が前記第一カム部材に取り付けられ、他端が前記第二カム部材又は出力側連結部材に取り付けられるコイルばねである請求項1乃至5のいずれかに記載の間欠駆動装置。
【請求項7】
前記第一カム部材は、その外周面に突出する突出部を形成するとともに、前記カム部を前記第二カム部材が前記入力側連結部材から離れる方向に移動させられるように誘導する形状に形成し、
前記第二カム部材は、前記第一カム部材のカム部と接触するカム受け部が形成されるとともに、そのカム受け部が当該第一カム部材のカム部に接触して前記入力側連結部材から離れる方向に移動させられるときに前記出力側連結部材に接触して当該出力側連結部材も共に移動させるように配置され、
前記回転付与部材は、前記第一カム部材の突出部に接触して当該第一カム部材を前記第二カム部材が前記入力側連結部材から離れる方向に移動させる移動部材で構成されている請求項1に記載の間欠駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の間欠駆動装置を用いて紙送り回転体への駆動伝達を行うことを特徴とする紙送り装置。
【請求項9】
請求項8に記載の紙送り装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかに記載の間欠駆動装置を用いて複数の回転体の全部又は一部への駆動伝達を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−185293(P2011−185293A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48037(P2010−48037)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】