説明

間歇ステッチ縫いミシン

【課題】
間歇ステッチ縫いミシンにあって、上糸に形成するカマ回転用弛みループを、ベッド下部位置にて単一のカム体による下型天秤の下方揺動のみでなす。
【解決手段】
ミシン本体の主軸の回転を受けるベッド下部5の駆動軸6に下型天秤9の揺動用カム体7を配設し、該カム体7を上糸aの初期繰出し用第一カム部8aとループ繰出し用第二カム部8bをエンドレスカム溝8に連続した形状とし、所定の天秤9の揺動で繰出す上糸を降下する縫い針にてベッド上部へ移行し所定縫い目を付けて戻る時、該天秤9が第二カム部8bを受け追加の下方揺動で上糸aを更に下方へ引っ張り、その引っ張りをカムの終りで止めその緩む上糸aを弛みループとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下型天秤の本縫いミシンを用いステッチ縫いをする間歇ステッチ縫いミシンに関し、詳しくは服地等の薄地から特種な厚地までの各種生地に対しステッチ縫いができる間歇ステッチ縫いミシンに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
現在、一般に用いられている間歇ステッチ縫いミシンとしては、婦人服、紳士服やコートなどの衣類関係にあって所定の縫製位置や装飾箇所にステッチ縫いを施すミシン装置が知られている。この場合、ステッチ縫いに使用の生地は、ミシン自体やその針、糸等に掛かる負荷が比較的小さな薄い生地が主である。このため、例えば椅子やソファー等の家具類の表地や、自動車のシート類や同内装部材の如きに片面又は中間にクッション材等が付く厚い生地(特殊生地)に対するステッチ縫いでは、上糸に形成の下糸絡みになるカマ回転用弛みループも、その生地厚分だけ大きくせねば円滑なカマ回転がでず、従来ミシンをもって即厚地へのステッチ縫いには至らない。
【0003】
特に、厚地使用等で直線のステッチ縫いから適宜折れ曲がる所謂角縫いにあっては、生地自体も適宜横振りせねばならず、これに伴い布押え等も甘くなり、且つ降下する縫い針の糸引っ掛けに起因する上糸締めも緩みステッチ飛びも招き易い。しかも、厚地では使用糸も太くなる関係上、その糸巻きから下型天秤に導く上糸自体にも糸巻き癖が付き易く、その巻き癖が撚り玉となり生地表に現われたり、ステッチ掛け時に生ずる生地表に出る2本糸も揃わず重なったり(平行せず)し、商品価値をも下げる。従って、厚地へのステッチ縫いは厚地専用の特殊ミシンの使用を余儀なくされ、未だステッチ縫いミシンの課題の一つとなっている。
【0004】
ここで、縫製工場等にて使用の間歇ステッチ縫いミシンには、例えばフック付き針を用い普通糸の使用で縫着するステッチ機構を備えたミシン(特公昭58−357号公報参照)や、先に本件出願人が提示した間歇ステッチ縫いミシン(特開2006−68380号公報参照)等がある。だが、前者の特殊ステッチ機構付きミシンでは、糸巻きからの上糸を予め同装置に配設の糸切り装置部で一定長さにカットしたものを用いる関係上、連続したステッチ縫いはできない。後者の間歇ステッチ縫いミシンは、外観が簡略化される下型天秤の本縫いミシンで、ベッド下部の天秤の動作で繰出す上糸を、所定の間歇運動で針板下面に臨むルーパー部糸孔に導き、これを昇降の縫い針で所定生地を経てベッド上部に移行し縫い目を付け、該上糸を別途降下する引掛け爪に引掛ける等をしてカマ回転用ループを形成し、該ループをベッド下部に戻し下方に回転するカマ装置に掛けて下糸絡みの所定カマ回転をし、前記の針落ち位置に臨まない上糸の非下糸絡みとでステッチ縫いをする。
【0005】
これら前記ミシンに用いる生地は、主に薄地の使用で糸も細い。なお、厚地に対するステッチ縫いの動作も基本的には薄地と同様である。だが、前記した上糸に形成のカマ回転用弛みループは、ベッド上部での上糸を爪引掛けして成すため、引掛け爪の降下位置が薄地用に予め設定してあれば、厚地使用では降下する引掛け爪の下端が先ず生地縁に触れて捲れ、生地を縫い出る上糸まで針が届かず、上糸の引掛けができない。
【0006】
また、従来ミシンにおけるテーブル台(脚卓)とミシン本体との支持機構は、テーブル台面に配すセット用嵌合溝孔部にミシン本体基部周縁を嵌合載置し、該本体の片側隅部(手前隅位置)に突設の支持軸(ヒンジ軸)を前記嵌合溝孔部の片側隅に配した軸承部に嵌挿し、ミシン本体を手前側に起立(90度回動)自在の構成とし、必要に応じ該本体を横倒し底面露出でボビン交換や機械点検を容易とする。だが、今までの前記支持軸の突設位置は、ミシン本体の重心線上より一番遠く離れた片隅gにあり(図8のB参照)一種の片支持構造を呈すため、ミシン本体の起立回動等に際しミシン本体の全荷重が支持軸に掛り重く容易でない。従って、ミシン扱いが多い婦女子等にあって面倒な作業の一つとなる。
【0007】
更に、従来のステッチ縫いミシンでの角縫い部分は、生地を単に廻し縫い方向を変えるだけで角部縫い目が続かず、片方が縫い目に他方がステッチ間隙で、区画のない間の抜けた角縫いになり商品価値を下げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭58−357号公報
【特許文献2】特開2006−68380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
即ち、前記間歇ステッチ縫いミシンは下型天秤の本縫いミシンで、詳しくはミシン本体上軸の回転を1/2にして連動のベッド下部の駆動軸に、更に1/2回転にする天秤用カム機構を設け、このカム体のカム変位に応じ擺動レバーを介し下型天秤を揺動し上糸を繰出し、且つ同駆動軸より別途伝達する速度の違う2本のルーパー用連動杆のリンク機構で8の字形状の軌跡を描く間歇運動をするルーパー装置部の糸孔を、針板下面の所定針落ち位置に臨ませる。また、ベッド上部にはミシン本体上軸の回転を1/2にしたループ引掛け爪付き昇降杆を設け、該昇降杆に上軸の回転を1/2にして連動する横振り機構も組込み上糸ループ兼ループ外しの補助天秤装置部とし、更に上軸からクランク機構を介し昇降する縫い針付き針支持装置部も併設した構成で、複雑な装置となる。従って、ステッチ縫いに際するミシン取扱いやメンテナンス等も容易でなく、面倒となる。
【0010】
しかも、この間歇縫いミシンで一番の問題点は、前記の様に上糸に形成するカマ回転用弛みループにある。この弛みループは、あくまでベッド上部位置の上糸を別途降下の引掛け爪に引っ掛けてなすため、ベッド上部に複雑機構の引掛け爪付き補助天秤装置部を要し、その引掛け爪の降下位置も薄地に限定され、所定生地以外(厚地など)の使用はない。
【0011】
なお、縫製工場等では縫製工程の都合上、使用生地も薄地から厚地等に切替えることもある。だが、従来型ミシンの使用では、上糸のループ形成がベッドに移行の上糸を引掛け爪に直接引っ掛ける関係上、生地厚の規制に繋がった。このループ形成を、ベッド上部の上糸を直接爪引っ掛けせず、上糸がベッド下部に戻るときの天秤の下方揺動を大とし、ベッド下部位置に上糸を大きく引っ張っても同様なループ繰出しもできる。このことは、生地厚規制を受けないステッチ縫いも可能になる。
【0012】
この場合、天秤の揺動は、該天秤基部に配すカム機構のカム体改良でよい。このカム体のカム部を、上糸の初期繰出し用カム部とカマ回転ループ用カム部が連続する多段形状とし、ベッド下部にてループ用上糸引っ張りをすることで、従来ベッド上部で行うループ成形工程が省略される。延いては、生地厚規制もなく、前記課題が一挙に解消される点に着眼し、実験を重ね遂に各種生地に対応のステッチ縫いミシンに到る。
【0013】
本発明は上記実情に鑑み、下型天秤のカム機構のカム体を、上糸を段階的に下方へ繰出す多段カム体とし、このうち第一のカム部による天秤の揺動で上糸を間歇運動するルーパー装置部の糸孔が針板下面に臨むとき繰出し、該糸を縫い針でベッド上部へ移行し所定縫い目を付けて戻る時、天秤が第二のカム部の追加の下方揺動で上糸をベッド下部へ大きく引き戻してループ用繰出しとし、これを直接カマ回転する様にし、上記課題を解決する各種生地に対しステッチ縫いする間歇ステッチ縫いミシンを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ミシン本体上軸よりの回転を1/2にするベッド下部の駆動軸に連設した天秤用カム機構と、該カム機構のカム体で揺動する下型天秤と、前記駆動軸より分岐した2本の速度の違うルーパー用連動杆のリンク機構で8の字形状の軌跡を描く間歇運動にてルーパー部糸孔が針板下面に臨むルーパー装置部と、同駆動軸より別途連動するボビン付半回転型カマ及びドライバー部を備えた下糸用カマ装置部と、同駆動軸に連動する所定の裏地送り機構を配置し、ベッド上部にミシン本体上軸に連動する所定の添え針付縫い針機構と布送り体及び押え金等を配設し、ベッド下部の上糸を天秤の揺動で針落ち位置のルーパー部糸孔に導き、これを縫い針で生地を経てベッド上部に移行し所定縫い目を付けて適宜引っ張りループ形成しながらベッド下部に戻し、この上糸ループをカマ装置部に引掛け下糸が絡むカマ回転と、前記の針落ち位置に臨まない下糸が絡まない上糸逃げとで縫い目を1ピッチ抜かしステッチ縫いする間歇ステッチ縫いミシンにおいて、前記下型天秤のカム機構のカム体を、上糸の初期繰出し用第一カム部とループ繰出し用第二カム部をエンドレスカム溝に連続形成した円盤状多段カム体と、前記第一カム部による天秤の下方揺動で繰出す上糸を所定間歇運動するルーパー部糸孔が針落ち位置にきたとき導く上糸一次繰出しと、上糸をベッド上部に移行し縫い目を付けベッド下部に戻る時、天秤が第二カム部で追加の下方揺動をして上糸をベッド下部へ大きく引っ張る上糸二次繰出しとの天秤上糸繰出し機構を備え、前記天秤の追加の下方揺動幅が、ベッド上部からの上糸戻りに起因の緩みに抗する引張りも兼ねカマ回転近傍まで導く上糸のループ繰出し長で、上糸にカマ装置部が掛かるとき前記カム部が終え引っ張りが緩む弛みループと、このループをカマ装置部に引掛け下糸が絡むカマ回転をし、前記の針落ち位置に臨まない下糸が絡まない上糸とでステッチ縫いするものである。
【0015】
角縫い機構が、裏地用水平送り軸の二又ロッドに配す縫い目ダイヤルが臨む第1支点軸に送り調節レバーを介し可動型第2支点軸を連設し、該第2支点軸に所定の角縫い信号で作動する送りパルスモータを適宜連動部材にて連結し、前記パルスモータの駆動に連動し送り調節レバーを可動し第2支点軸位置を変えて縫い目送り量を変更する。
【0016】
上糸の糸調子が、一対の調子皿をスライド型支持軸部の前方部分に所定間隔で配設し、支持軸部後端に縫着終了信号に起因し働く糸緩め用ソレノイドを取付け、前記支持軸部をソレノイドの作動でスライドさせ両調子皿の間隔を広げる。
【0017】
上糸用糸巻き取付け手段が、機体下部外方へ水平突設した短軸の中空固定支持軸に、糸巻きをセットする長軸の糸孔付き中空案内軸部を嵌め二重支持軸構成とし、前記中空固定支持軸が取付く機体下部の支持脚部に、頂部に糸潜り用撚り止め駒を配す傾斜案内杆を起立してなる。
【0018】
テーブル台に載置するミシン本体の支持機構が、ミシン本体基部の片側隅部に突出する支持軸を、ミシン本体の片側隅位置より該ミシン本体の重心線側に適宜幅移行したずれ突設とし、該支持軸を受けるテーブル台嵌合溝部の軸承部も同位置に対向配設の構成で、ミシン本体の支持点を全体としてミシン本体の重心線側へずらす重心移動型支持機構とした。
【0019】
この様に、本発明の間歇ステッチ縫いミシンは、下型天秤を揺動するカム機構のカム体を、上糸の初期繰出し用第一カム部とループ繰出し用第二カム部が連続する多段カム体とし、この第一カム部のカム変位にて揺動する天秤の上糸を所定の間歇運動する針落ち位置に臨むルーパー装置部の糸孔に導き、これを縫い針の昇降で所定生地を経てベッド上部に移行し縫い目を付けて針と供に戻る時、天秤が次段の第二カム部を受け更に下方揺動をし、上糸を縫い針の戻りに起因する緩みに抗しベッド下方へ大きく引っ張り、カマ回転近傍で前記カム部が終え上糸引っ張りが緩み、その弛みを所定ループとする。然る後、このループを下方に回転のカマ装置部に引っ掛けて所定カマ回転をし、前記の針落ち位置に臨まない下糸が絡まない状態の上糸とでステッチ縫いとする。
【0020】
即ち、上糸に形成のカマ回転用弛みループは、ベッド上部にて上糸を別途の引掛け爪による爪引掛けで成す従来方式でなく、あくまでベッド上部の上糸が縫い針と供にベッド下部へ戻る時、天秤を第二カム部で下方へ大きく追加揺動させ、上糸戻りによる緩みもなくベッド下部の所定位置まで上糸を引っ張り、この引っ張りを前記カムの終りで緩め弛みループとする。基本的に上糸の繰出しは、単一の天秤と二つのカム部をもつカム体の組合せでよく、この二つのカム変位に応じ天秤を段階的に下方揺動し、ベッド上部の上糸のベッド下部への戻り時に該上糸を所定位置まで下方へ引っ張りループ形成とし、それを直ちにカマ回転すればよく、簡易な上糸の繰出し機構となる。
【0021】
次に、ステッチ縫いで問題な角縫い部分の縫い目の連続も可能とする。裏地用水平送り軸を連結した二又ロットに固定の縫い目ダイヤルが臨む上軸中心となる第1支点軸に、送り調節レバーを介し可動型第2支点軸を連設し、第2支点軸を所定角縫い信号で作動する送りパルスモータに連結部材を介在して連動とし、常時は第1支点軸の軸線上よりずれた位置とし二又ロッドを上下動させる第2支点軸を、角縫いで前記パルスモータのモータ軸の回転に応じ第1支点軸の軸線上まで回動移行し、二又ロッドを単なる揺動とし生地送り量が0位にし、両側縫い目が連続する。
【0022】
また、上糸用糸調子は、一対の調子皿をスライド型支持軸部に所定間隔で配設し、該支持軸部後端に糸緩め用ソレノイドを連設し、縫製終了信号に起因し該ソレノイドを作動し、この作動軸の突出にて前記支持軸部をスライドさせ、両調子皿の間隔を挾持バネに抗し適宜ずらし、調子皿の挾持間隔を広げて上糸の挾持を自動的に緩める。
【0023】
また、糸巻き取付け手段は、機体外方へ水平突設した短軸の中空固定支持軸に糸巻きセットする長軸の中空案内軸部を挿嵌し堅牢な二重支持軸構成とし、糸巻きからの上糸を、前記中空案内軸部先端の糸口へ反転挿入し同芯の中空固定支持軸を貫通し、機体下部の取付基端部より導出し傾斜案内杆の上端の撚り止め駒へ導くので、上糸に糸撚りが有っても、その撚りは二重支持軸への段階的な案内と方向転換及び引張りとしごきが順次なされ、糸撚りが次第に解され直糸となり糸調子へ排出される。
【0024】
更に、テーブル台に載置するミシン本体の支持機構は、ミシン本体の両側に突設の支持軸位置を、従来の遠く離れた片隅位置よりミシン本体の重心線側に適宜幅移行したずれ突設とし、テーブル台側の軸承部も同位置に対向させ重心移動型支持機構にしたので、ミシン本体の起立回動等にあって、支持軸に掛る本体荷重は、該本体の重心線側にずらした幅分だけ一種のテコ作用が働き軽減され、本体の回動操作が容易となる。
【発明の効果】
【0025】
以上述べた様に、本発明の間歇ステッチ縫いミシンは下型天秤の間歇縫いミシンで、天秤を揺動するカム機構のカム体を二つのカム部が連続の多段カム体とし、天秤による上糸の繰出しを、前記カム部中、第一カム部でルーパー装置部の糸孔に導き縫い針でベッド上部へ移行し縫い目を付け戻るとき、天秤に第二カム部が働き追加の下方揺動で上糸をベッド下部へ強制引っ張りし、カム変位の終りで引っ張りを止め緩む上糸をループとする。即ち、ステッチ縫いに要する上糸の弛みループは、あくまでベッド下部位置での天秤の揺動のみで成し、従来の様にベッド上部にあって特段な引掛け爪付き補助天秤装置もなく簡易で、引掛け爪に起因する生地厚規制も受けない。従って、ステッチ縫い生地も薄地からクッション材等が付く特殊生地(厚地)まで対応し得、当業者にとって福音となる。
【0026】
また、カム体の形状は、カム本体周囲のエンドレスカム溝に二つのカム部を連続した単一カム体でよく、このカム溝に天秤側作動子を嵌めるだけの簡易組合せで、誤動作のないカム伝達を得る。しかも、カム溝は円盤状カム体の片面に刻設した簡易形状でよく、製作が容易で量産に適する。特に、使用する生地厚や糸径等に変更があってもカム溝の微調整等で済み、この点からも取扱いが良好なカム体を呈す。
【0027】
勿論、天秤は二つのカム部の連続した下方揺動でよく高速回転が望まれるミシン装置に最適である。しかも、ベッド上部からベッド下部への上糸戻り時に天秤を更なる下方揺動で引っ張ればよく、特段な繰出し機構もなく、カム部の終了で自動的に引っ張りが緩み所定ループとなる。しかも、縫い針自体の動作には影響せず、円滑なステッチ縫いを得る。
【0028】
更に、ステッチ縫いで、角縫いに望まれる両側に縫い目を連続させるには、所定の二又ロッドに配す縫い目ダイヤルが臨む第1支点軸に送り調節レバーを介し可動型第2支点軸を連設し、第2支点軸を所定角縫い信号で作動する別途送りパルスモータに連動し、該第2支点軸を上軸中心の第1支点軸の中心線上に移行し、生地の送り量を自動的に0位にし、簡単に両側縫い目が連続し、商品価値を高める。
【0029】
また、糸調子は両調子皿を配すスライド型支持軸部端に縫着終了信号で働くソレノイドを設け、該ソレノイドの作動で前記支持軸部を突き両調子皿の間隔を自動的に広げ、縫着終了時の上糸外しを容易とする。また、ミシンテーブル台に対するミシン本体の支持機構は、ミシン本体の角隅部に配す支持軸をミシン本体の重心線側に適宜幅ずらし重心移動型支持機構としたので、該支持軸に掛かる本体荷重が重心移行幅分だけ軽減され、回動操作が容易で、ミシン扱いが多い婦女子等に朗報である。
【0030】
しかも、糸巻き取付け手段を、水平突設の中空固定支持軸に糸巻きをセットする長軸中空案内軸部を嵌め二重支持軸とし、糸巻きの上糸を中空案内軸部先端から同芯の中空固定支持軸内へ反転挿入し機体側固定端より傾斜案内杆を経て撚り止め駒へ導くため、上糸に糸撚りが付いても前記支持軸への段階的な方向転換と引張り等が相俟って順次撚りが解され直糸になり、ステッチ縫い表面に糸瘤等も招かず良好な仕上がりを得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の間歇ステッチ縫いミシンの実施例を示す要部の正面図である。
【図2】同背面図である。
【図3】同要部を示す側面図である。
【図4】同ミシン本体下面より見た伝達機構の要部を示す説明図である。
【図5】同糸巻き取付け手段の要部を示す説明で、(A)は斜視図、(B)は一部切り欠き説明図である。
【図6】同下型天秤を揺動するカム機構のカム体の説明で、(A)は平面図で、(B)は斜視図である。
【図7】同糸調子の要部を示す説明図である。
【図8】ミシンテーブル台とミシン本体を載置する支持機構の説明で、(A)は本発明の要部を示す説明図で、(B)は従来の支持機構の説明図である。
【図9】前記カム体のカム溝と下型天秤の位置関係を示す説明で、(A)はカム溝の第一カム部に天秤用作動子が臨む説明図、(B)は第一カム部のカム変位で天秤が下方揺動し上糸の初期繰出しをする説明図である。
【図10】前記カム体のカム溝と下型天秤の位置関係を示す説明で、(A)はカム溝の第二カム部に天秤用作動子が臨む説明図で、(B)は第二カム部で天秤が追加の下方揺動をして上糸を更に下方へ引っ張り弛みループの繰出しをする説明図である。
【図11】同ベッド下部にあって、ルーパー部糸孔が8の字形状の軌跡を描く間歇運動のリンク機構をもつルーパー装置部の要部を示す説明図である。
【図12】同半回転型カマ装置部の要部を示す説明で、(A)はボビンをセットするカマ部を組込む説明図、(B)は同カマ枠内に配設のドライバー機構部の説明図である。
【図13】カマ装置部において太糸対応のドライバー部の説明で、(A)はドライバー部の片側に起立の受け片部の説明図、(B)はカマから抜け出る上糸を前記受け片部で長く保持しボビンケースからの下糸に所定間隔を保つ説明図である。
【図14】同裏地送り機構の要部を示す説明図である。
【図15】同裏地送り機構にあって角縫いの要部説明で、(A)は送りパルスモータの駆動で二又ロッドの可動型第2支点軸を、上軸中心となる第1支点軸と水平送りレバーの中心線上に移行する説明図、(B)は送りパルスモータを備えず適宜バネ等で第2支点軸を回動した従来のステッチ縫いを示す説明図である。
【図16】同角縫い部分の縫い目の説明で、(A)は角縫いで両側の縫い目が連続する説明図、(B)は縫い針の降下調整がない従来の両側縫い目が続かない説明図である。
【図17】同上布送りと上布押さえの関係を示す説明図である。
【図18】同針支持装置部の説明で、(A)はミシン上軸の公知のクランク機構にて昇降する二重構造型針棒の説明図で、(B)は同針棒に付く縫い針と添え針の関係を示す説明図である。
【図19】同上糸と下糸の縫着関係を示す説明で、(A)は縫い針を最上位に待機した説明図、(B)は同ルーパー部と針落ち位置の関係の説明図である。
【図20】同上糸と下糸の縫着関係を示す説明で、(A)は縫い針を針板に通し下方の針落ち位置より外した説明図、(B)は同ルーパー部と針落ち位置の関係を示す説明図である。
【図21】同上糸と下糸の縫着関係を示す説明で、(A)は縫い針で上糸を引上げた針を針板下方に刺し針落ち位置より外した説明図、(B)は針落ち位置を回ったルーパー部の位置関係を示す説明図である。
【図22】同上糸と下糸の縫着関係を示す説明で、(A)は天秤が更に下方揺動しループ用上糸引っ張りの説明図、(B)は同ルーパー部と針落ち位置の関係を示す説明図である。
【図23】同上糸と下糸の関係を示す説明で、(A)は前記引き下げた上糸をカム部の終わりで緩めカマ剣先に引掛ける説明図、(B)はルーパー部と針落ち位置の関係を示す説明図である。
【図24】同上糸と下糸の関係を示す説明で、(A)はその上糸ループ部をカマの周囲に回す説明図、(B)は針落ち位置を回ったルーパー部の説明図である。
【図25】所定生地に間歇ステッチの縫い端の糸止めを示す説明で、(A)は平面図、(B)は上糸を引っ掛け下糸の絡み部を生地にめり込ませ糸止めした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の間歇ステッチ縫いミシンを実施例の図について説明すれば、次の通りである。
【実施例1】
【0033】
図1乃至図24はミシン本体ベッド下部に天秤を配す下型天秤の間歇ステッチ縫いミシンの要部を示す実施例である。1はミシン本体2に設けた上軸3の回転を、適宜伝達機構4を介し1/2回転にするベッド部5の下部に配設の駆動軸6に連設した下型天秤用カム機構で、該カム機構1は円盤状カム体7の周囲に刻設したエンドレスカム溝8(図6のA、B参照)に天秤用作動子10を嵌め、該作動子10を受ける基端枢着の揺動部材11に設けた摺動部11aに、所定の糸通し孔9aと糸巻き側の第2の糸通し孔9a’が付く天秤9の基端部に一体の可動片部9bに突設した連動軸12を連結する。この場合、前記カム体7のカム溝8の形状は、上糸の初期繰出し用第一カム部8aとループ繰出し用第二カム部8bを所定間隔に連続した多段カム体の構成で、天秤9を段階的に下方へ揺動する。13はミシン本体2の針板14の下方位置に臨むルーパー装置部で、該ルーパー装置部13は前記駆動軸6の回転を適宜伝達する連動軸15に、傘歯車等の伝達機構16を介し分岐した速さが異なる2本の前後動するルーパー用連動杆17a、17bを配設し、リンク機構を呈す前記各連動杆の先端を、上糸用糸孔18が付くルーパー部19の端と該ルーパー部19を載置する下段支持板20の端に連結し、この2点の枢着点の回動で糸孔18を8の字形状の軌跡を描く間歇運動とする(図11参照)。21は前記駆動軸6より別途公知の連動機構(図示せず)を介し連動する半回転型ドライバー兼カマ用下軸で、該下軸21に所定カマ22を組込むカマ装置部23を配設する。24はカマ装置部23の下方に配置する上糸用糸調子で(図7参照)、該糸調子24は2枚の所定間隔の調子皿24a、24bと調整バネ24c及び調子ナット24dを芯軸である支持軸部24eの先端部分に配し、該支持軸部後端に、縫製終了の信号で作動する糸緩め用ソレノイド25を設けた構成である。このソレノイド25は、所定信号の作動で作動軸25aが突出し支持軸部24eを突けば、所定の糸挾持間隔をもつ両調子皿24a、24bが、調整バネ24cの押圧に抗し押し広げられ糸挾持が緩み上糸外しを容易とする。
【0034】
26は機体27の下部横方へ水平突設する糸巻き取付け手段で(図5参照)、機体に基端固定の短軸の糸巻き受け用中空固定支持軸28に、糸巻き29を嵌合セットする長軸の中空案内軸部30を嵌め、該中空案内軸部30の基部内周と中空固定支持軸28を、中空固定支持軸28側に予め嵌めた公知のくさび締め駒31を摺動移行し両壁面を押圧し所定のくさび締めをして堅牢な二重支持軸32とする。この場合、糸巻き29からの上糸aは、中空案内軸部30の先端に導き糸口30aへ反転挿入し、同芯の中空固定支持軸28の軸内28aを通り機体側取付け端口28bより導出させ、更に機体27の固定脚部27aに起立した傾斜案内杆33へ立ち上げ、上端の撚り止め駒34に形成の複数の糸潜り溝部35を順次潜らせる構成で、これら全体で糸撚り戻し機構37となる。ここで、上糸aに糸撚りが生じても、該糸は前記二重支持軸32への反転挿入と段階的な引っ張りを受け、且つ終端の撚り止め駒34で複数の糸潜りで糸しごきも受け、順次糸撚りが解かれ直糸となり天秤側へ送られる。
【0035】
38はミシンテーブル台39に載置するミシン本体2の支持機構(ヒンジ構造)で(図8参照)、該支持機構はミシン本体2の基盤部2aの片側隅部に突設する支持軸40の位置を、従来の様にミシン本体の重心線jより一番遠く離れた片側隅gに配設した支持軸40’(図8のB参照)でなく、該片側隅gより重心線j側へ適宜幅dをずらす支点移行の突設とする(図8のA参照)。支持軸40に対する軸承部42もテーブル台39の嵌合溝部43に対向配設し、ミシン本体2の支持荷重を全体としミシン本体重心線側へずれる重心移動型支持機構38Aとする。この支持軸40に受ける本体荷重は重心移行幅分だけテコ作用で軽減され、本体の回動を良好とする。
【0036】
また、前記カマ装置部23の詳細としては、駆動軸6より適宜伝達のドライバー兼カマ用下軸21に配す回転基盤21aに一体のドライバー部44にカマ22がセットされる構成で、このドライバー部自体は片側に円弧状案内溝45が付く屈曲壁部46と対称側に受け片部47を起立させ、且つ直交位置に前記案内溝45に臨む糸押え爪48が付く制御駒49を配設している。この場合、前記受け片部47の形状を、図13のA、Bに示す様に、回転方向を鋭突出部47aとし基方に向け幅広となる弯曲案内面47bが付く幅広受け片部47’とすれば、太い糸の使用でもカマ22を回る上糸aの繰出しは、該幅広受け片部47’を添う傾斜案内にて弛みなく繰出され円滑なカマ抜けとなり、且つカマ内ボビンから導出の下糸bにも支障を来さない。
【0037】
50はベッド部5の下部に配設の裏地送り機構で、この裏地送り機構は前記ミシン本体の回転軸3の偏心輪部3aより分岐伝達する公知の二又ロッド51の下端に水平送りレバー52aを介した水平送り軸52と、回転軸3より別途偏心伝達する二又ロッドに対しハ状配設のもう一つのロッド53の下端に上下送りレバー54aを介し配す上下送り軸54とをベッド下部両側に並設し、且つ該水平送り軸52の先端に突設の水平送り腕55と上下送り軸54の先端の上下送り腕56とに、中間に裏地用送り歯57が付く送り上台58の両端を差し渡す連結をし、この送り歯57に所定の裏地送りをする。この場合、二又ロッド51の上部に配した公知の縫い目ダイヤル59が臨む上軸中心上の第1支点軸60には、送り調節レバー(カム)61をもって可動型第2支点軸62を連設する。この第2支点軸62は、常時は第1支点軸60と下端の水平送りレバー52aを結ぶ中心線上より外れた横位置とし該二又ロッド51に所定の上下動をさせる。更に、前記第2支点軸62には、送り量0を検出する原点センサー63が付く送りパルスモータ(ステッピングモータ)64を、そのモータ軸64aに突設の送り調節腕65とリンク66を介在して連設とし、これら全体で角縫い機構67となる。固定位置となる第2支点軸62を、前記中心線上までモータ駆動で送り調節レバー61を作動し移動させれば、二又ロッド51は単なる揺動だけになり送り量が実質0になる。
【0038】
即ち、角縫い機構67を用い角縫いにあって両側縫い目を連続させるとき、角縫い信号を受け送りパルスモータ64を駆動し、モータ軸64aを所定ステップ角だけ回転させれば、送り調節腕65を介しリンク66を移行し送り調節レバー61が回動する。このレバー61に一体の第2支点軸62の位置を、所定バネ(図示せず)で回動しているレバー61を上軸に連なる第1支点軸(ピン)60の中心線上まで移動させる(図15のB参照)。第2支点軸62が上軸中心の第1支点軸60と同一線上になれば、前記上軸3の偏心輪部3aが回転しても第2支点軸62を中心にピン(第1支点軸)は単なる揺動だけで、二又ロッド51の上下動は0に近い(生地の送り量0)。この様に、送りパルスモータ64の駆動で送り調節レバー61を介し第2支点軸62の位置を変え水平送りの量を変換する方式で、簡単に角縫いで両側の縫い目が連続する。例えば、図16のAに示す様に、送りパルスモータ64の作動で第2支点軸62の位置を第1支点軸60と同一線上にするだけで、二又ロッド51の上下動は0に近くステッチ間隙eがなく両縫い目aが連続する。勿論、角縫い機構67のない従来ミシンでは、角縫い箇所でも所定間隙eが介在され縫い目連続はない(同図のB参照)。なお、図15のAにあって送り調節腕65の回動角を、別途の機械的動作(図示せず)で同図矢印方向m(右方向)にすれば、送り量が大きくなる。
【0039】
68はミシン本体2の前端部に配設した上軸3より公知のクランク機構(図示せず)を介し昇降する縦支持軸部で、その下端に針板14に臨む押え金69が付く構成で、且つ該縦支持軸部68の側部には別途分岐する横連動軸70より公知の連動機構を介し連動の布送り用布送り体71を併設し、該布送り体下端の二股案内溝部72に前記押え金69が嵌り込む公知の構造で(図17参照)、押え金69と布送り体71は交互の昇降と前後動をもって所定の布送りをする。73は前記上軸3より所定クランク機構を介し昇降するミシン本体先端部に配す公知の二重軸構造の針棒で、該針棒73の下端部に縫い針74を取付け、縫い針74が針棒73の降下で所定生地Aに縫い刺さる。このとき、縫い針74は側部に縦刻設の案内溝部74aに、側部に設けた支持駒75に取付く添え針76が一定降下量だけ添う構成で、該添え針で縫い針74に切り欠くフック口74bを塞ぎ生地引っ掛けを招かない。
【0040】
ここにおいて、針板14の下面に臨むルーパー部19の糸孔18は、所定リンク機構で8の字形状の軌跡fの運動をして糸孔が軌跡後部f’の針落ち位置cに来たとき縫い針74が降下する。これ以外の状態では、カマ22が回転しても剣先で上糸aを捕えず、上糸aがカマ22の外周を回らない。この状態では、上糸aが内部収容のボビンケース77から出る下糸bに絡まず1回遊びとなる(図20のBから図21のB参照)。このとき、天秤9を作動する作動子10の位置は、上糸の初期繰出しになるカム溝8の第一カム部8aに臨み、このカム変位に応じ天秤9は所定量の下方揺動をして上糸の初期繰出しとする。この後、降下の縫い針74は所定の戻り動作で上昇するが、このとき上糸aはフック口74bに掛かり生地を抜けて引き上げられる(図21参照)。縫い針74の上昇時には、前記の中途待機の添え針76が添うので円滑な生地抜けに至る。
【0041】
更に、縫い針74が再度降下する時、天秤9の作動子10は第二カム部8bに移動し、そのカム変位に応じ該天秤9を追加の下方揺動をして上糸aを大きく下方へ引っ張り、その繰り出し長が弛みループ用の上糸部分となる。この上糸の繰出し長は、前記の様に天秤9の追加(二次)の下方揺動幅hで決まる(図10のB参照)。縫い針74の降下で上糸aは下方へ強制的に引っ張られるが、この引っ張りは前記カム部の終端で終え自動的に緩み上糸部分を弛みループa’とする。即ち、上糸のカマ回転用弛みループは、あくまでベッド下部位置で直接形成される(図23参照)。この後、上糸の弛みループa’は直ちに半回転するカマ装置部23のカマ22の剣先22aに引っ掛けられる。勿論、天秤9自体は第二のカム変位にて強制的な下方揺動をするだけでよく、誤動作のない作動を得る。
【0042】
また、上糸aの弛みループ部分は、回転して来るカマ22の剣先22aが針板14の下部位置にあって引っ掛けて回るため、該カマ22内のボビンケース77より繰出される下糸bに対し確実に潜り抜ける。このとき、押え金69が上昇し、布送り体71も後退し所定の布送りを得る。また、天秤9はカム動作で上位になってルーパー部19の糸孔18は8の字形状の軌跡fの前半位置f”(絡み位置)に移る。なお、縫い針74の昇降とカマ22の回転及び天秤9の全体としての位置関係詳細は、図20乃至図24に図示した通りである。
【0043】
この様に、カマ22が回転すれば(図24参照)、上糸aの弛みループa’がカマ22の周囲を回り、カマ内のボビンケース部77から出る下糸bと供に円滑に繰出される。このとき、天秤9は引き下げられ上糸を張ると共に所定の布送りがなされ、天秤9が完全に上位になったとき布送りも止まり、初めて縫い目ができ縫い終わりとなる。
【0044】
ここでの縫着縫い目は、図25のA、Bに示す様に生地Aの表面に表れる上糸aは下糸bが1回絡まない状態で1回布送りされ、上糸aのループa’が1回おきに表面を引かれ下糸bに掛かる状態となり、所定の間隔eを隔てるステッチ縫いになる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
単一のカム体を、二つのカム部が連続したエンドレスカム溝の形状にすれば、コンパクトなカム機構の利用に寄与し得る。
【符号の説明】
【0046】
1 下型天秤用カム機構
2 ミシン本体
3 上軸
5 ベッド部
7 カム体
8 エンドレスカム溝
8a 初期繰出し用第一カム部
8b ループ繰出し用第二カム部
13 ルーパー装置部
14 針板
18 上糸用糸孔
19 ルーパー部
21 下軸
22 カマ
23 カマ装置部
24 糸調子
25 糸緩め用ソレノイド
26 糸巻き取付け手段
28 中空固定支持軸
29 糸巻き
30 中空案内軸部
32 二重支持軸
34 撚り止め駒
37 糸撚り戻し機構
38 ミシン本体の支持機構
39 テーブル台
40 本体側支持軸
41 テーブル側軸承部
44 ドライバー部
47 ドライバー部の受け片部
50 裏地送り軸
51 二又ロッド
52 水平送り軸
54 上下送り軸
57 送り歯
60 第1支点軸
61 送り調節レバー
62 可動型第2支点軸
64 送りパルスモータ
67 角縫い機構
68 縦支持軸部
69 押え金
71 布送り体
73 針棒
74 縫い針




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン本体上軸よりの回転を1/2にするベッド下部の駆動軸に連設した天秤用カム機構と、該カム機構のカム体で揺動する下型天秤と、前記駆動軸より分岐した2本の速度の違うルーパー用連動杆のリンク機構で8の字形状の軌跡を描く間歇運動にてルーパー部糸孔が針板下面に臨むルーパー装置部と、同駆動軸より別途連動するボビン付半回転型カマ及びドライバー部を備えた下糸用カマ装置部と、同駆動軸に連動する所定の裏地送り機構を配置し、ベッド上部にミシン本体上軸に連動する所定の添え針付縫い針機構と布送り体及び押え金等を配設し、ベッド下部の上糸を下型天秤の揺動で針落ち位置のルーパー部糸孔に導き、これを縫い針で生地を経てベッド上部に移行し縫い目を付けて適宜引っ張りループ形成しながらベッド下部に戻し、この上糸ループをカマ装置部に引掛け下糸が絡むカマ回転と、前記の針落ち位置に臨まない下糸が絡まない上糸逃げとで縫い目を1ピッチ抜かしステッチ縫いする間歇ステッチ縫いミシンにおいて、前記下型天秤のカム機構のカム体を、上糸の初期繰出し用第一カム部とループ繰出し用第二カム部をエンドレスカム溝に連続形成した円盤状多段カム体と、前記第一カム部による天秤の下方揺動で繰出す上糸を所定間歇運動するルーパー部糸孔が針落ち位置にきたとき導く上糸一次繰出しと、上糸をベッド上部に移行し縫い目を付けベッド下部に戻る時、天秤が第二カム部で追加の下方揺動をして上糸をベッド下部へ大きく引っ張る上糸二次繰出しとの天秤上糸繰出し機構を備え、前記天秤の追加の下方揺動幅が、ベッド上部からの上糸戻りに起因の緩みに抗する引っ張りも兼ねカマ回転近傍まで導く上糸のループ繰出し長で、上糸にカマ装置部が掛かるとき前記カム部が終え引っ張りが緩む弛みループと、このループをカマ装置部に引掛け下糸が絡むカマ回転をし、前記の針落ち位置に臨まない下糸が絡まない上糸とでステッチ縫いすることを特徴とする間歇ステッチ縫いミシン。
【請求項2】
角縫い機構が、裏地用水平送り軸が下端に取付く二又ロッドの縫い目ダイヤルが臨む上軸の中心になる第1支点軸と、所定角縫い信号で作動する送りパルスモータの軸に連動の可動型第2支点軸を送り調節レバーの介在で連設とし、前記パルスモータの駆動で第2支点軸を第1支点軸の中心線上に変え縫い目送り量を0位に変換する請求項1記載の間歇ステッチ縫いミシン。
【請求項3】
上糸の糸調子が、一対の調子皿をスライド型支持軸部の前方部分に所定間隔に設け、支持軸部後部に縫着終了信号に起因し作動する糸緩め用ソレノイドを配設し、縫製終了で支持軸部を突きスライドさせ両調子皿の間隔を広げる請求項1記載の間歇ステッチ縫いミシン。
【請求項4】
上糸用糸巻き取付け手段が、機体下部の外方へ水平突設した短軸の中空固定支持軸に、糸巻きをセットする長軸の糸孔付き中空案内軸部を嵌め二重支持軸構成とし、前記中空固定支持軸が取付く機体下部内の支持脚部に、頂部に糸潜り用撚り止め駒が付く傾斜案内杆を起立してなる請求項1記載の間歇ステッチ縫いミシン。
【請求項5】
テーブル台に載置するミシン本体の支持機構が、ミシン本体基部の片隅部に突出する支持軸を、ミシン本体の片側隅位置より該ミシン本体の重心線上側に適宜幅移行のずれ突設とし、該支持軸を受けるテーブル台側嵌合溝部の軸承部も同位置に対向配設し、ミシン本体の支持点を全体としてミシン本体重心線側へずらす重心移動型支持機構してなる請求項1記載の間歇ステッチ縫いミシン。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−39269(P2013−39269A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178835(P2011−178835)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(504336836)株式会社 山本始商店 (2)
【出願人】(000186625)
【Fターム(参考)】