説明

防水コネクタの取付構造および船外機器の取付構造

【課題】船舶の外板に取り付けた船外機器が外れても、船舶内部への浸水を防止することができる防水コネクタの取付構造および船外機器の取付構造を提供する。
【解決手段】船底外板5に貫通形成された貫通孔10と、貫通孔10に配設され、船外機器51を接続可能な防水コネクタ11と、貫通孔10と防水コネクタ11との間に配設され、貫通孔10に対し防水コネクタ11を取り付けるコネクタ台座12と、を備え、貫通孔10とコネクタ台座12との間、およびコネクタ台座12と防水コネクタ11との間は、水密に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上または水中を航行する船舶の外板に配設された防水コネクタの取付構造および船外機器の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸水ダクト内に設置された水中カメラを備えたウォータージェット推進船における推進機の監視装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この監視装置における水中カメラの取付構造は、図2から参酌するに、吸水ダクトに貫通孔を形成し、この貫通孔に水中カメラを挿通して取り付けられている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−152086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の監視装置のような構成では、水中カメラが吸水ダクト内に突出して配設されるため、水中カメラに負荷が加わり易い。このため、水中カメラに負荷が加わり、水中カメラが貫通孔から外れてしまった場合、この貫通孔を介して船体内部に水が浸入し、船体内部が浸水する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、船舶の外板に取り付けた船外機器が外れても、船舶内部への浸水を防止することができる防水コネクタの取付構造および船外機器の取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防水コネクタの取付構造は、船舶の外板に貫通形成された貫通孔と、貫通孔に配設され、船外機器を接続可能な防水コネクタと、貫通孔と防水コネクタとの間に配設され、貫通孔に対し防水コネクタを取り付けるコネクタ台座と、を備え、貫通孔とコネクタ台座との間、およびコネクタ台座と防水コネクタとの間は、水密に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この場合、コネクタ台座は、外板と同平面に配設されると共に、外板に対して没入形成された没入穴を有しており、防水コネクタは、防水コネクタの端子部が没入穴の底部に配設されていることが、好ましい。
【0008】
本発明の船外機器の取付構造は、上記の防水コネクタの取付構造における防水コネクタと、防水コネクタに接続可能な船外機器と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この場合、船外機器を被覆する保護カバーをさらに備えたことが、好ましい。
【0010】
この場合、保護カバーは、切妻形状に形成されると共に、保護カバーの最頂部における延在方向が、船舶の船幅方向と同方向となるように配設されていることが、好ましい。
【0011】
この場合、保護カバーは、半円筒形状に形成されたカバー本体と、カバー本体の一方の端部における開口部を閉塞する端面カバーと、を有し、カバー本体は、その軸方向が船舶の船長方向と同方向となるように配設されると共に、端面カバーを配設した一方の端部が船首側となるように配設され、端面カバーは、外板に対し鋭角に配設されていることが、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の防水コネクタの取付構造によれば、船舶の外板に防水コネクタを水密に取り付けることができ、また、この防水コネクタに船外機器を接続することができる。このとき、防水コネクタに接続された船外機器が、外板に沿って流れる水流等の負荷により外れてしまった場合、船外機器は、防水コネクタとの接続部分において切り離される。これにより、船外機器が外れてしまっても、防水コネクタは船舶の外板に対し水密に取り付けられているため、船舶内部に水が浸入することはなく、船舶内部への浸水を防止することができる。なお、船舶としては、水上を航行する水上船はもちろん、水中を航行する水中構造物も含む。また、船舶の外板とは、外板に接した水密区画を構成する壁面を含む。このような壁面として、例えば、船舶のシーチェストの内壁面がある。
【0013】
請求項2の防水コネクタの取付構造によれば、防水コネクタの端子部が没入穴の底部に配設されているため、防水コネクタと船外機器との接続部分は、没入穴の内部に収容される。これにより、防水コネクタと船外機器との接続部分に加わる水流等の負荷を低減することができるため、船外機器は、防水コネクタに対し、外れにくくすることができる。
【0014】
請求項3の船外機器の取付構造によれば、船外機器を、水密に取り付けられた防水コネクタに接続することができる。これにより、船外機器が外れてしまっても、船舶内部に水が浸入することはなく、船舶内部への浸水を防止することができる。なお、防水コネクタに接続可能な船外機器としては、水中カメラ、水中ライトや加速度センサ等、各種機器が適用可能となっている。
【0015】
請求項4の船外機器の取付構造によれば、船外機器を被覆する保護カバーを設けることにより、船外機器へ向かってくる衝突物の衝突を防ぐことができ、また、船外機器に加わる水流等の負荷を低減することができる。
【0016】
請求項5の船外機器の取付構造によれば、保護カバーを切妻形状とすることで、保護カバーを通過する水流を好適に案内することができ、保護カバーを通過した水流の乱れを抑制することができる。
【0017】
請求項6の船外機器の取付構造によれば、保護カバーを、半円筒形状のカバー本体と、外板に対し鋭角となる端面カバーと、保護カバーを通過する水流を好適に案内することができ、保護カバーを通過した水流の乱れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る防水コネクタの取付構造および船外機器の取付構造について説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0019】
ここで、図1は、実施例1に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した側方断面図であり、図2は、実施例1に係る船外機器の取付構造周りを模式的に表した正面図である。また、図3は、実施例1に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した平面図である。
【0020】
先ず、図1を参照し、防水コネクタ11の取付構造1について説明する。この防水コネクタ11の取付構造1は、船舶内部に水が浸入しないように、船舶の外板に設けられる防水コネクタ11を水密に取付可能な構造となっている。なお、防水コネクタ11は、主に船舶の船底部分に複数取り付けられるが、これ以外に、船舶のシーチェストの内壁面に取り付けてもよい。また、船舶としては、水上を航行する水上船のほか、水中を航行する水中構造物も含む。
【0021】
防水コネクタの取付構造1は、船舶の船底外板5に形成された貫通孔10と、貫通孔10に配設される上記の防水コネクタ11と、貫通孔10と防水コネクタ11との間に配設されたコネクタ台座12とで構成されており、貫通孔10は、船舶の船底外板5に円形状に貫通形成されている。
【0022】
防水コネクタ11は、公知のものであり、凹となるメス側端子部17と、メス側端子部17に連なるコネクタケーブル16とで構成されている。そして、詳細は後述するが、メス側端子部17近傍のコネクタケーブル16(いわゆるコネクタケーブル16の根本部分)は、内側台座部21に形成された嵌合穴40aに嵌合しており、これにより、コネクタケーブル16の根本部分が固定される。なお、この防水コネクタ11には、例えば、水中カメラ等の船外機器51が接続可能となっている。
【0023】
コネクタ台座12は、防水コネクタ11を保持する内側台座部21と、内側台座部21を保持する外側台座部22と、で構成されている。外側台座部22は、鋼材で構成されると共に円柱形状に形成されており、その外径は、貫通孔10と嵌合可能なように、貫通孔10の径と略同径に形成されている。
【0024】
そして、外側台座部22は、その船外側端面22aが船底外板5と同平面となるように、貫通孔10に嵌合して配設され、この状態において、外側台座部22と貫通孔10とは、溶接等により接合される。これにより、外側台座部22は船底外板5の内部側に突出して配設され、貫通孔10と外側台座部22との間は水密に構成される。
【0025】
また、外側台座部22には、その船外側端面22aに対し没入して形成された没入穴25が軸心に設けられる一方、その船内側端面22bに対し没入して形成された収容穴26が軸心に設けられている。
【0026】
没入穴25は、中空円柱状に形成されており、この没入穴25の底部には、防水コネクタ11のメス側端子部15が配設される。そして、この没入穴25の軸方向における長さは、防水コネクタ11のメス側端子部15に接続される後述の延長ケーブル52のオス側端子部55を収容可能な長さに形成される。
【0027】
収容穴26は、没入穴25に連通して形成され、中空円柱状に形成されている。そして、この収容穴26には、内側台座部21が収容される。また、この収容穴26の底部には、径方向内側に突出した段部27が形成されており、この段部27は、収容穴26に収容される内側台座部21の位置決めストッパとして機能する。
【0028】
内側台座部21は、外側台座部22の収容穴26と相補的形状に形成されており、具体的には、段付の円柱形状に形成されている。つまり、内側台座部21は、収容穴26の底部側に収容される細径部30と、細径部30よりも太径に形成されると共に収容穴26の開口側に収容される太径部31と、で構成されている。また、太径部31の細径部側端面31aの縁部には、環状溝35が形成されており、この環状溝35にOリング37が収容されている。
【0029】
また、内側台座部21には、その軸心に防水コネクタ11のコネクタケーブル16を挿通するための挿通孔40が貫通形成されている。この挿通孔40は、細径部側に形成された中空円柱形状の嵌合穴40aと、太径部側に形成された中空円柱形状の充填穴40bとで構成され、嵌合穴40aの径は、充填穴40bの径に比して小径となっている。そして、この挿通孔40には、コネクタケーブル16が挿通され、上記したように、嵌合穴40aには、コネクタケーブル16の根本部分が嵌合し、充填穴40bには、コネクタケーブル16が遊挿される。このとき、充填穴40bとコネクタケーブル16との間には空隙が生じるが、この空隙にはシリコン樹脂等の充填剤が充填される。これにより、防水コネクタ11は内側台座部21に保持され、また、防水コネクタ11と内側台座部21との間は水密に構成される。
【0030】
そして、内側台座部21を外側台座部22の収容穴26に収容すると、収容穴26の底部側には細径部30が収容され、収容穴26の開口側には太径部31が収容される。そして、太径部31の細径部側端面31aの縁部は、収容穴26の段部27に当接する。このとき、外側台座部22と内側台座部21との間は、太径部31の細径部側端面31aの縁部に設けられたOリング37により水密に構成される。
【0031】
以上から、貫通孔10と外側台座部22との間、外側台座部22と内側台座部21との間、および内側台座部21と防水コネクタ11との間は、それぞれ水密に構成されるため、船舶内部への浸水を防止することができる。
【0032】
次に、図1ないし図3を参照し、船外機器51の取付構造50について説明する。この船外機器51の取付構造50は、船底外板5に水密に取り付けられた防水コネクタ11に対し、船外機器51を着脱自在に取付可能な構造となっている。なお、船外機器51としては、水中カメラ、水中ライトや各種センサ等が適用可能となっている。なお、以下の説明では、船外機器51として、水中カメラ51を適用した場合について説明する。
【0033】
船外機器51の取付構造50は、上記の防水コネクタ11と、一端を防水コネクタ11に接続した延長ケーブル52と、延長ケーブル52の他端に接続された水中カメラ51と、を備えている。上記したように防水コネクタ11は、そのメス側端子部15が没入穴25の底部に配設されている。延長ケーブル52は、その一端がオス側端子部55となっており、その他端がメス側端子部56となっている。水中カメラ51は、レンズ等を有すると共に水中を撮影する撮像部60と、撮像部60に連なるオス側端子部61とで構成されている。
【0034】
従って、防水コネクタ11のメス側端子部15には、延長ケーブル52のオス側端子部55が接続され、延長ケーブル52のメス側端子部56には、水中カメラ51のオス側端子部61が接続される。このとき、防水コネクタ11に接続された延長ケーブル52のオス側端子部55は没入穴25の内部に収容されるため、船底外板5に対しオス側端子部55が突出することはない。これにより、延長ケーブル52のオス側端子部55は、水流等の負荷が加わりにくくなるため、延長ケーブル52は、防水コネクタ11に対し外れにくくなる。なお、防水コネクタ11から延長ケーブル52を介して水中カメラ51に至る設置方向は、船幅方向と同方向となっている。
【0035】
また、船外機器51の取付構造50は、水中カメラ51を設置するための設置プレート70と、延長ケーブル52を設置するための設置治具71と、水中カメラ51を固定するための固定プレート72と、水中カメラ51を被覆する保護カバー73と、を備えている。
【0036】
設置プレート70は、長方形の板状に形成されており、その長手方向が船幅方向と同方向となるように、防水コネクタ11の近傍に配設されている。そして、この設置プレート70は、溶接等により船底外板5に接合されている。また、設置プレート70には、後述する固定プレート72を固定するための複数の雌ネジが螺刻されている。
【0037】
固定プレート72は、設置プレート70に設置された水中カメラ51を被覆する被覆部77と、設置プレート70にボルト止めされる一対の固定部78,78とで一体に形成されている。具体的に、図2に示すように、被覆部77は、正面視逆U字状に形成されており、一対の固定部78,78は、設置プレート70に沿って被覆部77の両端部から船長方向外側に延在して形成されている。
【0038】
これにより、設置プレート70に設置された水中カメラ51を、固定プレート72の被覆部77で被覆し、この状態において、固定プレート72の一対の固定部78,78と設置プレート70とをボルトにより締結することで、水中カメラ51は設置プレート70に固定される。なお、設置プレート70と固定プレート72とは、ダブルナットで締結されているため、弛みにくくなっている。
【0039】
設置治具71は、凹型の取手形状に形成されると共に、設置プレート70上に配設されており、延長ケーブル52と設置プレート70と間に介設される。具体的に、この設置治具71は、設置プレート70に立設する一対の柱部80と、一対の柱部80に掛け渡されたケーブル設置台81と、で構成されている。そして、ケーブル設置台81に設置された延長ケーブル52は、ケーブル設置台81と共に結束バンド82で固定されている。
【0040】
保護カバー73は、切妻形状に形成されており、具体的に、長方形の鉄板を、その中心から屈曲させて形成される。そして、保護カバー73は、船底外板5に対し、凸となるように配設されると共に、その屈曲部分を最頂部85とし、この最頂部85の延在方向が船幅方向と同方向となるように配設される。このとき、延在する最頂部85の直下には、延長ケーブル52および水中カメラ51が配設されている。つまり、最頂部85の延在方向と延長ケーブル52および水中カメラ51の設置方向とは一致している。また、最頂部85を挟んで、保護カバー73と船底外板5との一対の当接部86,86は、溶接等により接合される。
【0041】
従って、船舶が航行すると、船底外板5に沿って流れる水の流れ方向(水流方向)は船長方向となるため、水流方向は、保護カバー73の最頂部85の延在方向に直交する。つまり、船底外板5に沿って流れる水流が保護カバー73に臨むと、水流は、一方の当接部86から最頂部85へ向かって流れ、最頂部85の通過後、他方の当接部86へ向かって流れる。このとき、切妻形状に形成された保護カバー73は、水流を好適に案内することができるため、保護カバー73を通過した水流の乱れを抑制することができる。
【0042】
以上の構成によれば、船底外板5に防水コネクタ11を水密に取り付けることができ、また、この防水コネクタ11に水中カメラ等の船外機器51を接続することができる。そして、防水コネクタ11に接続された水中カメラ51に負荷が加わっても外れてしまっても、防水コネクタ11と延長ケーブル52との接続部分、または延長ケーブル52と水中カメラ51との接続部分において切り離されるため、船舶内部に水が浸入することはなく、船舶内部への浸水を防止することができる。
【0043】
また、防水コネクタ11のメス側端子部15が没入穴25の底部に配設されているため、防水コネクタ11と延長ケーブル52との接続部分は、没入穴25の内部に収容される。これにより、防水コネクタ11と延長ケーブル52との接続部分に加わる負荷を低減することができるため、延長ケーブル52は、防水コネクタ11に対し、外れにくくすることができる。
【0044】
さらに、水中カメラ51および延長ケーブル52を被覆する保護カバー73を設けることにより、水中カメラ51および延長ケーブル52へ向かってくる衝突物の衝突を防ぐことができる。また、保護カバー73が切妻形状に形成されることで、保護カバー73を通過した水流の乱れを抑制することができる。
【実施例2】
【0045】
次に、図4ないし図6を参照して、実施例2に係る船外機器51の取付構造100について説明する。なお、重複した記載を避けるべく、異なる部分についてのみ説明する。図4は、実施例2に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した側方断面図であり、図5は、実施例2に係る船外機器の取付構造周りを模式的に表した正面図である。また、図6は、実施例2に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した平面図である。実施例2の船外機器51の取付構造100では、保護カバー110が半円筒形状に形成されており、これに伴って、設置プレート105の設置面積も実施例1に比して大きくなっている。
【0046】
具体的に、設置プレート105は、長方形の板状に形成されており、その長手方向が船長方向と同方向となるように、コネクタ台座12を被覆して配設される。そして、設置プレート105は、コネクタ台座12を被覆する部分を円形状に貫通形成した切欠き部107が形成され、設置プレート105は、溶接等により船底外板5に接合される。また、設置プレート100には、固定プレート72を固定するための雌ネジが螺刻されると共に、保護カバー110を固定するための雌ネジが螺刻される。
【0047】
保護カバー110は、半円筒形状に形成されたカバー本体113と、カバー本体113の一方の端面における開口部を閉塞する端面カバー114と、カバー本体113および端面カバー114を設置プレート105に固定するためのカバー固定プレート115と、で一体に形成されている。
【0048】
カバー本体113は、半円筒形状に形成した一方の端部が、カバー本体113の外周面から一方の端部側の軸心へ向けて、鋭角に切り欠かれている。そして、端面カバー114は、切り欠かれた一方の端部の開口部を閉塞して配設されている。これにより、端面カバー114は、船底外板5に対し鋭角に配設される。カバー固定プレート115は、他方の端部側を除くカバー本体113の周囲に配設されており、設置プレート105に沿って平面視凹状に形成されている。
【0049】
このように構成された保護カバー110は、その本体カバーが船底外板5に対し凸となるように配設され、また、カバー本体113の軸方向が船長方向と同方向となるよう配設される。さらに、保護カバー110は、船長方向において端面カバー114が船首側となるように配設される。そして、カバー本体113の内側には、延長ケーブル52および水中カメラ51が配設される。つまり、カバー本体113の軸心と延長ケーブル52および水中カメラ51の設置方向とは一致している。また、設置プレート105上に配設された保護カバー110は、カバー固定プレート115と設置プレート105とをボルトにより締結することで、保護カバー110は設置プレート105に固定される。この場合も、設置プレート70と保護カバー110とは、ダブルナットで締結されているため、弛みにくくなっている。
【0050】
従って、船舶が航行すると、船底外板5に沿って流れる水の流れ方向(水流方向)は船長方向となるため、水流方向は、保護カバー110のカバー本体113の軸方向と同方向となる。つまり、船底外板5に沿って流れる水流が保護カバー110に臨むと、水流は、端面カバー114を通過し、この後、カバー本体113を通過する。このとき、端面カバー114は鋭角に配設されているため、水流を好適に案内することができ、保護カバー110を通過した水流の乱れを抑制することができる。
【0051】
以上の構成によれば、保護カバー110の設置方向(カバー本体113の軸方向)を船長方向とすることができるため、水中カメラ51および延長ケーブル52の設置方向を船長方向とすることができる。また、端面カバー114を船底外板5に対し鋭角に配設することができるため、保護カバー110を通過した水流の乱れを抑制することができる。
【0052】
なお、実施例1および2では、防水コネクタ11を没入穴25の底部に配設したが、没入穴25を形成せずに、防水コネクタ11のメス側端子部15を、船底外板5から突出させて配設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明に係る防水コネクタの取付構造および船外機器の取付構造は、船舶の外板に船外機器を取り付ける場合において有用であり、特に、船舶内部への浸水を防止する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した側方断面図である。
【図2】実施例1に係る船外機器の取付構造周りを模式的に表した正面図である。
【図3】実施例1に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した平面図である。
【図4】実施例2に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した側方断面図である。
【図5】実施例2に係る船外機器の取付構造周りを模式的に表した正面図である。
【図6】実施例2に係る防水コネクタおよび船外機器の取付構造周りを模式的に表した平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 防水コネクタの取付構造
5 船底外板
10 貫通孔
11 防水コネクタ
12 コネクタ台座
21 内側台座部
22 外側台座部
25 没入穴
37 Oリング
50 船外機器の取付構造
51 水中カメラ(船外機器)
52 延長ケーブル
70 設置プレート
71 設置治具
72 固定プレート
73 保護カバー
100 船外機器の取付構造(実施例2)
105 設置プレート(実施例2)
107 切欠き部
110 保護カバー(実施例2)
113 カバー本体
114 端面カバー
115 カバー固定プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の外板に貫通形成された貫通孔と、
前記貫通孔に配設され、船外機器を接続可能な防水コネクタと、
前記貫通孔と前記防水コネクタとの間に配設され、前記貫通孔に対し前記防水コネクタを取り付けるコネクタ台座と、を備え、
前記貫通孔と前記コネクタ台座との間、および前記コネクタ台座と前記防水コネクタとの間は、水密に構成されていることを特徴とする防水コネクタの取付構造。
【請求項2】
前記コネクタ台座は、前記外板と同平面に配設されると共に、前記外板に対して没入形成された没入穴を有しており、
前記防水コネクタは、前記防水コネクタの端子部が前記没入穴の底部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の防水コネクタの取付構造。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の防水コネクタの取付構造における前記防水コネクタと、
前記防水コネクタに接続可能な船外機器と、を備えたことを特徴とする船外機器の取付構造。
【請求項4】
前記船外機器を被覆する保護カバーをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の船外機器の取付構造。
【請求項5】
前記保護カバーは、切妻形状に形成されると共に、前記保護カバーの最頂部における延在方向が、前記船舶の船幅方向と同方向となるように配設されていることを特徴とする請求項4に記載の船外機器の取付構造。
【請求項6】
前記保護カバーは、半円筒形状に形成されたカバー本体と、前記カバー本体の一方の端部における開口部を閉塞する端面カバーと、を有し、
前記カバー本体は、その軸方向が前記船舶の船長方向と同方向となるように配設されると共に、前記端面カバーを配設した一方の端部が船首側となるように配設され、
前記端面カバーは、前記外板に対し鋭角に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の船外機器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−120611(P2010−120611A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298731(P2008−298731)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】