説明

防水コネクタ

【課題】コネクタハウジングとキャップとの間をシールするシール部材のシール面に埃などの異物が付着することを軽減する。
【解決手段】複数の雌型端子金具10が接続可能な複数のピン状接続部21を有する短絡端子20を装着してなる防水コネクタであって、フード部31を有して雌型端子金具10を収容可能なコネクタハウジング30と、フード部31の開口部を塞ぐカバー50と、カバー50に装着されるとともにフード部31の内周面に全周に亘って密着することでフード部31とカバー50との間を液密状にシールするゴムリング70とを備え、カバー50は、ゴムリング70がフード部31の前端開口縁部に位置した嵌合初期位置と、ゴムリング70がフード部31の奥側に収容された嵌合完了位置と、の間をシール状態で移動可能に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端子金具を短絡させる短絡端子を装着してなる防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の防水コネクタとして、特許文献1に記載ものが知られている。この防水コネクタは、端子金具を収容するコネクタハウジングと、短絡端子を有してコネクタハウジングに装着される端子保持体と、バスバー体及びコネクタハウジングを覆うようにコネクタハウジングに装着されるキャップとを備えて構成されている。コネクタハウジングの内部には、前後方向に開口する複数のキャビティが設けられており、コネクタハウジングの後方には、各キャビティの後端開口に対応して設けられた電線挿通孔を有する一括ゴム栓が装着されている。電線挿通孔には、端子金具に接続された電線が挿通されるようになっており、キャビティに端子金具が後方から収容され、端子金具が正規の位置に収容された際には、電線挿通孔に挿通された電線の外周面と電線挿通孔の内周面に設けられた内周リップとが密着することで、キャビティ内の防水性が図られるようになっている。
端子保持体は、コネクタハウジングのキャビティ内に全ての端子金具を装着した後、前方からコネクタハウジングに装着され、短絡端子がキャビティ内に収容された全ての端子金具と接続されて、全ての端子金具が短絡されるようになっている。
【0003】
一方、キャップはフード状をなし、バスバー体が装着されたコネクタハウジングを収容可能に設けられている。コネクタハウジングとキャップとが正規嵌合した際には、コネクタハウジングの後方に装着された一括ゴム栓の外周リップがキャップの内周面に全周に亘って密着し、キャビティ内の防水性が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−15204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この種の防水コネクタにおいては、キャップとコネクタハウジングとが別々に保管されており、コネクタハウジングのキャビティに端子金具を装着してから、キャップをコネクタハウジングに組み付け嵌合させるようになっているので、コネクタハウジングにキャップが装着されるまでの間は、一括ゴム栓の外周リップが露出された状態のままとなる。また、一般的な一括ゴム栓には、オイルが含浸されているので、外周リップには、埃などの異物が付着し易い。更に、前記の防水コネクタにおいては、コネクタハウジングの後方に一括ゴム栓が露出した状態で装着されているので、作業者がキャップとコネクタハウジングとを嵌合させる際に、一括ゴム栓に触れてしまい、外周リップに異物が付着する虞がある。そのため、コネクタハウジングとキャップとを嵌合させた際に、外周リップとキャップとの間に異物が挟まって隙間が生じる虞があり、隙間が生じることで防水性が低下してしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタハウジングとキャップとの間をシールするシール部材のシール面に埃などの異物が付着することを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、複数の端子金具を短絡させる短絡端子を装着してなる防水コネクタであって、フード部を有して前記端子金具を収容可能なコネクタハウジングと、前記フード部の開口部を塞ぐカバーと、前記カバーに装着されるとともに前記フード部の内周面に全周に亘って密着することで前記フード部と前記カバーとの間を液密状にシールするシール部材とを備え、前記カバーは、前記シール部材が前記フード部の前端開口縁部に位置した嵌合初期位置と、前記シール部材が前記嵌合初期位置よりも前記フード部の奥側に位置した嵌合完了位置との間をシール状態で移動可能に設けられているところに特徴を有する。
【0008】
このような構成の防水コネクタによると、カバーとコネクタハウジングとを別々に管理する必要がなく、シール部材が常にフード部の内周面と密着した状態にあることから、シール部材のシール面に埃などが付着することを極力軽減することができる。また、全ての端子金具を装着した後にカバーを嵌合初期位置から嵌合完了位置に移動させるだけで、カバーとコネクタハウジングとを正規嵌合させることができ、カバーとコネクタハウジングとの嵌合作業性を向上させることができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記カバーは、前記フード部の前端開口縁部を覆う覆い壁を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、フード部の前端開口縁部が覆い壁によって覆われているので、覆い壁がない場合に比べて、フード部内に埃などの異物が侵入することを抑制することができる。
【0010】
前記カバーは、前記覆い壁に設けられ、前記嵌合初期位置において前記コネクタハウジングの外面に設けられた一対の保持突起と係止することで、前記カバーを抜け止めする一対の係止溝と、前記嵌合完了位置において前記コネクタハウジングの外面に設けられた一対の係止突起と係止することで、前記カバーと前記コネクタハウジングとを正規の嵌合位置に保持する係止孔を備えた一対の弾性係止片とを備えて構成されており、前記一対の弾性係止片は前記カバーと前記コネクタハウジングとの嵌合過程において、前記係止突起に乗り上げて弾性変形し、前記カバーと前記コネクタハウジングとが正規の嵌合位置に至ると、前記係止突起が前記係止孔に収容されて弾性復帰するように構成されており、前記弾性係止片の嵌合方向前端部は、前記嵌合初期位置において前記係止突起と当接している構成にしてもよい。
このような構成によると、嵌合初期位置にあるカバーが抜け方向に移動することが規制されていることは勿論、嵌合初期位置にあるカバーが嵌合完了位置に向かって、意図せずに移動することを規制することができる。
【0011】
前記一対の弾性係止片は、前記カバーにおける嵌合方向後端部から嵌合方向前方に延びて形成されており、前記弾性係止片の両側縁における基端部は、前記覆い壁と一体に形成されている構成にしてもよい。
このような構成によると、覆い壁と弾性係止片とが互いに補強する関係にすることができる。これにより、覆い壁と弾性係止片とが分離して個別に形成された場合に比べて、弾性係止片の剛性を向上させることができる。また、カバー全体の剛性を向上させることができる。
【0012】
前記一対の係止突起は、嵌合方向と直交する面内における前記フード部の長手方向の両端に設けられており、前記一対の保持突起は、前記一対の係止突起の略中央を境に反対方向にずれて配されている構成にしてもよい。
このような構成によると、嵌合初期位置で正規の嵌合姿勢に保持されたカバーに対して傾いた姿勢となるように外力が作用した際に、係止溝における嵌合方向前端部と、保持突起とが当接することで、コネクタハウジングに対してカバーが傾いた姿勢となることを規制することができる。
【0013】
前記コネクタハウジングの内部には、同コネクタハウジングの内壁から片持ち状に延出され前記端子金具を前記コネクタハウジング内に保持するランスが設けられ、前記ランスと前記コネクタハウジングの内壁との間には、前記ランスの撓み空間が設けられており、前記ランスは、前記端子金具を前記コネクタハウジングに装着する過程において前記端子金具に押圧されて前記撓み空間内に撓み変形し、前記端子金具が正規の位置に装着された正規嵌合位置に至ることで弾性復帰して、前記端子金具と係止するように構成されており、前記カバーには、前記フード部内に嵌合して前記撓み空間に収容される嵌合部が形成されており、前記端子金具が前記正規嵌合位置に至る前の半挿入状態では、前記ランスが前記撓み空間に撓んだ状態となって前記嵌合部と干渉することで前記係止孔と前記係止突起とが係止できなくなる構成にしてもよい。
このような構成によると、端子金具が半挿入状態の時には、ランスが撓み空間内に撓み変形した状態となり、コネクタハウジングにカバーを装着する際に、嵌合部がランスと干渉して、嵌合部が撓み空間に収容できなくなる。これにより、係止孔と係止突起とが係止できなくなることで端子金具が半挿入状態であることを検知することができる。
【0014】
前記シール部材は、前記嵌合部に装着されている構成にしてもよい。
このような構成によると、嵌合部にシール部材を装着することができるので、カバーに嵌合部と、シール部材を装着するためのシール装着部を別々に設ける必要がなく、カバーひいては防水コネクタ全体を小型化することができる。
【0015】
前記コネクタハウジング内には、前記複数の端子金具が横並びに収容される端子収容部が形成されており、前記撓み空間は、隣り合う前記ランスの撓み空間同士が連なる態様で前記端子収容部が設けられた領域に一括して設けられており、前記嵌合部は前記端子収容部が設けられた領域に対応して横長に扁平な平板状に設けられ、前記嵌合部は、前記コネクタハウジングの内壁と前記端子金具の外面とに沿うように前記撓み空間に収容される構成にしてもよい。
このような構成によると、嵌合部と端子収容部とによって端子金具を収容する内周壁が構成されるため、コネクタハウジングを低背化することができる。
【0016】
前記覆い壁には、前記嵌合部の基端側に連設されて前記フード部の嵌合方向前端に当接可能な蓋部が設けられており、前記蓋部には、前記嵌合部に嵌着された前記シール部材に臨む検知孔が形成されている構成にしてもよい。
このような構成によると、カバーが嵌合初期位置又は嵌合完了位置の何れの位置に配されている場合においても、検知孔からシール部材が装着されているか否か確認することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コネクタハウジングとキャップとの間をシールするシール部材のシール面に埃などの異物が付着することを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るカバーとコネクタハウジングとを嵌合させる前の状態を示す平面図
【図2】同側面図
【図3】実施形態に係る防水コネクタの分解斜視図
【図4】実施形態に係るコネクタハウジングの正面図
【図5】図4のV−V線断面図
【図6】実施形態に係るカバーの背面図
【図7】実施形態に係るコネクタハウジングにカバーが嵌合初期位置に保持された状態を示す正面図
【図8】図7のVIII−VIII線一部破断断面図
【図9】実施形態に係るコネクタハウジングにカバーが嵌合完了位置に保持された状態におけるカバーが一部破断された状態を示す平面図
【図10】図8のコネクタハウジングとカバーとが嵌合完了位置に至った状態に相当する断面図
【図11】図8のコネクタハウジングのランスとカバーの嵌合部とが当接した状態に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本発明の一実施形態についてを図1乃至図11を参照しながら説明する。
本実施形態に係る防水コネクタは、図3及び図10に示すように、電線Wに接続された複数の雌型端子金具(本発明の「端子金具」に相当する)10を収容可能なコネクタハウジング30と、複数の雌型端子金具10が接続される短絡端子20と、コネクタハウジング30に装着されるカバー50と、コネクタハウジング30とカバー50との間をシールするゴムリング(本発明の「シール部材」に相当する)70とを備えて構成されている。尚、以下の説明において「前」及び「後」とは、コネクタハウジング30とカバー50とを嵌合させるための操作方向の前側及び後側をいう。
【0020】
雌型端子金具10は、短絡端子20が接続される角筒状の接続筒部11と、接続筒部11の後方に設けられたワイヤバレル12と、ワイヤバレル12の更に後方に設けられたインシュレーションバレル13とを備えて構成されている。接続筒部11には、その底板11Aとは反対側となる上面側において接続筒部11の外面から僅かに突出した係止段部14が設けられている。
【0021】
ワイヤバレル12は、電線Wの芯線W1にかしめ圧着されることで雌型端子金具10と電線Wとを電気的に接続している。インシュレーションバレル13は、電線Wの絶縁被覆W2と同絶縁被覆W2に嵌着された円筒状のゴム栓Gとにかしめ圧着されている。
【0022】
コネクタハウジング30は合成樹脂製であって、図1に示すように、扁平で前後方向に長く延びた形態をなしている。また、コネクタハウジング30は、図2及び図10に示すように、前後方向略中央部よりも前方部分が後方部分に比べて上方に拡幅して形成されており、前方部分の厚さ寸法が後方部分の厚さ寸法に比べて上下方向に大きくなっている。
【0023】
コネクタハウジング30における前端部は、図5に示すように、前方に向かって開口したフード部31とされ、コネクタハウジング30におけるフード部31よりも後方は端子収容部32とされている。
【0024】
フード部31の前端外周縁は、図4に示すように、上下四隅の角部が丸みを帯びた略矩形状をなし、上方に位置する角部は、下方に位置する角部よりも緩やかで大きな弧状に形成されている。また、フード部の前端開口は横長な円形状をなしている。フード部31の横方向両側に位置する外側面の後方部分は、図1及び図3に示すように、やや外側に膨出して形成されており、更にその中央部には係止突起33が設けられている。
【0025】
この係止突起33は、前方から後方に向かってフード部31の外側面から離れる方向に傾斜する前方傾斜面33Aを有し、この前方傾斜面33Aの後端からフード部31の外側面と平行に後方に延び、その後端からフード部31の外側面に向かってフード部31の外側面と直交するように延びて形成されている。また、フード部31における上下方向両側に位置する外側面には前後方向略中央部を前端とする保持突起34が形成されている。
【0026】
この保持突起33は、図2及び図3に示すように、前方から後方に向かってフード部の外側面から離れる方向に傾斜して延びた後、その後端からフード部31の外側面と平行に後方に向かって僅かに延び、その後端からフード部の外側面に向かって直交するように延びて形成されており、フード部31の外側面に対して直交した面は、後方鉛直面34Aとされている。また、保持突起34は、図4に示すように、横方向略中央部を境に反対方向にほぼ同じ寸法だけオフセットされて配さている。また、フード部31の上下方向の中央位置は、図10に示すように、端子収容部32の上下方向の中央位置よりも上方にオフセットされて形成されている。
【0027】
端子収容部32の内部には、図5に示すように、雌型端子金具10が収容される複数のキャビティ35が形成されており、各キャビティ35の前方には、各キャビティ35とフード部31との間に位置して短絡端子20を保持する端子保持部36が形成されている。
【0028】
キャビティ35は、端子保持部36の後端からコネクタハウジング30の後端まで前後方向に延びて形成されており、横方向に複数(本実施形態では5つ)並んで設けられている。各キャビティ35は、後方に向かって円形に開口しており、雌型端子金具10を後方から収容可能に設けられている。また、キャビティ35の内壁の上面には、図10に示すように、端子収容部32の前後方向略中央部の位置から前方向に向かって片持ち状に延出されたランス37が設けられている。
【0029】
このランス37は、上方に向かって弾性的に撓み変形可能であって、キャビティ35内に雌型端子金具10が正規挿入される際には、雌型端子金具10の接続筒部11に後方から押圧されることで上方に向かって弾性的に撓み変形し、雌型端子金具10が正規の位置まで正規挿入されると弾性復帰して、接続筒部11の係止段部14と係止されることで、キャビティ35内に雌型端子金具10を保持するようになっている。
【0030】
また、キャビティ35には、図10に示すように、その前方部分に雌型端子金具10の接続筒部11が収容され、その後方部に電線Wに嵌着されたゴム栓Gが収容されるようになっている。尚、ゴム栓Gは、キャビティ35内に収容されると、電線Wの外周面とキャビティ35の内周面とに密着することで、キャビティ35内を液密状にシールするようになっている。
【0031】
端子保持部36は、図4及び図5に示すように、端子収容部32における横方向全域に亘って設けられており、後述する短絡端子20がフード部31から挿入されて装着されるようになっている。また、端子保持部36の上面には、各キャビティ35間に対応する領域に凹状の凹溝36Aが形成されている。また、端子保持部36の内部には、各キャビティ35に対応して設けられた複数の端子挿通孔38が形成されている。この端子挿通孔38は前後方向に開口しており、フード部31の内部空間とキャビティ35とに連通した形態をなしている。
【0032】
また、端子収容部32における端子保持部36及び各キャビティ35の前方部分の上方には、図10に示すように、フード部31の奥壁31Aから後方に向かって延びる凹部39が形成されている。この凹部39は、フード部31の奥壁31Aにおける上下方向略中央部に設けられている。また、凹部39の上下方向の長さ寸法は、フード部31の上下方向の長さ寸法よりも小さく、凹部39の横方向の長さ寸法は、端子保持部36の横方向の長さ寸法とほぼ同一に設定されている。また、凹部39の奥部は、キャビティ35のランス37が上方に向かって撓み変形する際に収容される撓み空間40とされている。すなわち、凹部39の奥部における下方内面は、ランス37の上面によって構成されており、凹部39の内部空間はキャビティ35と連通している。また、撓み空間40は、隣り合うランス37の撓み空間40同士が連なる態様で端子収容部32が設けられた領域に一括して設けられている。
【0033】
短絡端子20は、図5に示すように、前後方向に延びる細長い複数のピン状接続部21と、複数のピン状接続部21を横方向に並列に連結する連結部22とから構成されている。ピン状接続部21は、その基端部21Aが他の部分に比べてやや横方向に幅広に形成されている。また、ピン状接続部21は、端子収容部32の端子保持部36における端子挿通孔38に挿通可能に形成されており、ピン状接続部21が端子挿通孔38に対して正規の位置まで挿入されると、ピン状接続部21の基端部21Aが端子挿通孔38の横方向両側に位置する内壁に圧入されるようになっている。このようにして、短絡端子20が端子保持部36に保持されるようになっているので、短絡端子をインサート成形してコネクタハウジングを構成するよりも、コネクタハウジング30に対する短絡端子20の組み付け作業性が容易となっている。
【0034】
また、ピン状接続部21は、正規の位置まで挿入されると、キャビティ35における雌型端子金具10の接続筒部11が収容される位置まで挿入されるようになっている。これにより、各キャビティ35に雌型端子金具10が装着されると、雌型端子金具10の接続筒部11とピン状接続部21とが電気的に接続され、連結部22によって、各雌型端子金具10が短絡されるようになっている。
【0035】
一方、カバー50は合成樹脂製であって、図3及び図6に示すように、横方向に横長な蓋部51と、蓋部51の横方向両端部から前方に向かって延出された一対の弾性係止片52と、蓋部51の上下方向両端部から前方に延出された一対の覆い壁53とから構成されている。覆い壁53は、弾性係止片52の両側縁と蓋部51の外周縁部とに連なっている。また、カバー50は、図6及び図8に示すように、大まかには前方に開口するフード状をなし、内部にコネクタハウジング30のフード部31を嵌合可能に形成されている。カバー50の前端開口は、図6に示すように、上下四隅の角部が丸みを帯びた略矩形状をなし、コネクタハウジング30のフード部31の外形形状に対応して設けられている。また、カバー50は、その内部にコネクタハウジング30のフード部31が適合して収容されるように形成されている。また、カバー50の前端開口の上方に位置する角部は、フード部31の前端外周縁と同様、下方に位置する角部よりも緩やかで大きな弧状に形成されており、カバー50とコネクタハウジング30とが誤嵌合されないように形成されている。
【0036】
蓋部51の外周形状は、図7に示すように、カバー50の開口縁部とほぼ同じ形状をなし、図10に示すように、フード部31の開口部を前方から塞ぐようになっている。
【0037】
蓋部51の前側には前方に向かって延びる嵌合部54が形成されている。嵌合部54は、大まかには平板状をなし、先端に向かうほど板厚寸法が小さくなるように形成されている。蓋部51は、嵌合部54の基端側に連設されてフード部31の嵌合方向前端に当接可能とされている。また、嵌合部54における前後方向略中央部よりも前方部分は、コネクタハウジング30の端子収容部32における凹部39に収容可能な凹部嵌合部55とされている。
【0038】
凹部嵌合部55の先端部は、図10に示すように、端子収容部32の各撓み空間40に一括して収容され、各ランス37が上方に向かって撓み変形することを規制するようになっている。また、凹部嵌合部55には、図6に示すように、上下方向に立設する壁部55Aが設けられている。この壁部55Aは、凹部嵌合部55が凹部39に収容される際に、端子収容部32における端子保持部36の凹溝36Aに嵌合し、凹部嵌合部55を正規の位置に案内する役割を果たしている。また、壁部55Aは、凹部嵌合部55を補強する役割も果たしている。
【0039】
また、凹部嵌合部55は、図10に示すように、カバー50とコネクタハウジング30とが正規に嵌合した際に、コネクタハウジング30の端子収容部32における凹部39に適合して収容され、雌型端子金具10を収容する内周壁のうちキャビティ35の前端上方に位置する内壁を構成するようになっている。これにより、キャビティ35の前端上方に位置する内壁が端子収容部32の内壁によって構成され、更にその上方に凹部嵌合部55が収容される構成をとる場合に比べてキャビティ35の内壁一枚分だけコネクタハウジング30を低背化することができるようになっている。
【0040】
嵌合部54における前後方向略中央部よりも後方部分は、ゴムリング70が嵌着されたゴムリング装着部56と、ゴムリング装着部56よりも全周に亘って拡幅されたゴムリング押さえ部57とから構成されている。また、このゴムリング装着部56及びゴムリング押さえ部57は、フード部31内に収容可能に形成されている。
【0041】
ゴムリング70は、図3及び図8に示すように、環状をなし、ゴムリング装着部56に前方から装着されている。また、ゴムリング70には、その内周面にゴムリング装着部56の外周面に全周に亘って密着可能な内周リップ71が設けられ、その外周面にフード部31の内周面に全周に亘って密着可能な複数条(本実施形態では二条)の外周リップ72が設けられている。
【0042】
ゴムリング押さえ部57は、ゴムリング装着部56の後方に位置し、ゴムリング70の後方端部に全周に亘って密着した状態となっている。ゴムリング押さえ部57は、カバー50とコネクタハウジング30とを嵌合させる際に、ゴムリング70をコネクタハウジング30のフード部31の奥部に押し込む役割を果たしている。また、ゴムリング押さえ部57は、ゴムリング70を前方からゴムリング装着部56に装着する際に、位置決めする役割も果たしている。
【0043】
また、蓋部51には、図3及び図7に示すように、前後方向に貫通する検知孔58が設けられている。この検知孔58は、嵌合部54の横方向両側に設けられており、ゴムリング装着部56に装着されたゴムリング70に臨むように形成されている。すなわち、蓋部51の後方からゴムリング70を視認できるようになっている。これにより、カバー50がコネクタハウジング30に嵌合された状態においても、カバー50の後方から検知孔58を確認することで、ゴムリング装着部56にゴムリング70が装着されているか否かを確認することができるようになっている。
【0044】
両弾性係止片52は、図1及び図9に示すように、横方向に対向した形態をなし、フード部31を横方向両側から挟みこむように形成されている。また、弾性係止片52は、横方向外側に向かって弾性的に撓み変形するように構成されている。また、弾性係止片52は、図2に示すように、フード部31の係止突起33と対応する位置に設定されており、後方に開口するU字状に形成されている。また、弾性係止片52の中央部には、弾性係止片52と蓋部51の横方向両端部とに亘って構成される矩形状の係止孔52Aが形成されている。この係止孔52Aは、内部にフード部31の係止突起33を収容可能に設けられている。また、両弾性係止片52の前端内側における上下方向中央部に位置する角部は、図9に示すように、前方から後方に向かって内側に傾斜するようにテーパ加工されたテーパ面52Bとされている。
【0045】
弾性係止片52は、カバー50をコネクタハウジング30のフード部31に組み付けて互いに嵌合させると、弾性係止片52のテーパ面52Bとフード部31の係止突起33の前方傾斜面33Aとが当接して摺動することで、弾性係止片52が外側に向かって撓み変形し、係止突起33に乗り上げる。更に、カバー50とコネクタハウジング30とを嵌合させると、図9に示すように、カバー50とコネクタハウジング30とが正規に嵌合した嵌合完了位置に至り、係止突起33が係止孔52Aに収容され、弾性係止片52が弾性復帰する。これにより、カバー50はコネクタハウジング30に対して嵌合完了位置に保持されるようになっている。
【0046】
覆い壁53は、図1及び図2に示すように、両弾性係止片52の間に位置する蓋部51の外周縁部から弾性係止片52の前端部と同じ位置まで前方に延出されている。また、覆い壁53は、弾性係止片52の両側縁における前後方向略中央部の位置から後端部の位置まで連結されている。すなわち、覆い壁53は、弾性係止片52の後端から前後方向略中央部までを撓み不能に補強することで、弾性係止片52が撓み易くなって破損することを規制しているとともに、撓み可能な領域をできるだけ短くすることで弾性係止片52の剛性を高め、係止突起33に対する係止力を高めている。また、覆い壁53の前端部には、フード部31の保持突起34と対応する位置に弾性片59がそれぞれ設けられている。この弾性片59の両側には、覆い壁53の前端から後方に向かって延びる一対のスリット60が設けられている。これにより、両弾性片59は外側に向かって弾性的に撓み変形可能となっている。
【0047】
弾性片59の内面には、図8及び図10に示すように、弾性片59の前端より僅かに後方の位置から蓋部51まで延びる係止溝61が設けられている。この係止溝61は、フード部31の保持突起34に対応するように設けられており、保持突起34を収容可能としている。したがって、カバー50をコネクタハウジング30のフード部31に組み付けて互いに嵌合させると、図8に示すように、保持突起34が係止溝61内に収容され、保持突起34の後方鉛直面34Aと弾性片59における係止溝61の前方縁部61Aとが係止して、カバー50がコネクタハウジング30に対して半分程度嵌合した状態(後述する嵌合初期位置にある状態)から、脱落しないようになっている。これにより、カバー50は、図8に示すように、凹部嵌合部55が凹部39に対して浅く嵌合され、且つ、ゴムリング装着部56がフード部31の前端開口縁部に配された嵌合初期位置と、図10に示すように、凹部嵌合部55が凹部39に適合した状態に収容され、且つ、ゴムリング装着部56がフード部31の奥部に配された嵌合完了位置との間を移動可能となっている。すなわち、コネクタハウジング30に対してカバー50を嵌合初期位置に組み付けた状態では、キャビティ35に雌型端子金具10が装着可能とされ、コネクタハウジング30に対してカバー50を嵌合完了位置に組み付けた状態では、キャビティ35に雌型端子金具10が抜け止めされた状態に保持されるようになっている。
【0048】
また、弾性片59の係止溝61と保持突起34とが係止された状態において、弾性係止片52のテーパ面52Bとフード部31の係止突起33における前方傾斜面33Aとは、当接した状態となっているので、カバー50が嵌合初期位置から嵌合完了位置へ向けて嵌合方向に意図せず移動することを規制することができ、カバー50を嵌合初期位置に仮係止できるようになっている。
【0049】
また、両保持突起34と両弾性片59における係止溝61とが、フード部31及びカバー50の横方向略中央部を境にそれぞれ反対側にオフセットされて配されているので、嵌合初期位置で正規の姿勢に保持されたカバー50に対して、傾いた姿勢となるように外力が作用しても、係止溝61の前方縁部と、保持突起34とが当接することで、カバー50が正規の嵌合姿勢に対して傾いた姿勢となることを規制することができるようになっている。
【0050】
さて、カバー50の嵌合部54におけるゴムリング装着部56に嵌着されたゴムリング70は、図8及び図10に示すように、カバー50が嵌合初期位置及び嵌合完了位置に配された状態において、ゴムリング装着部56の外周面とフード部31の内周面とに密着した状態となっている。詳しくは、ゴムリング70の内周リップ71がゴムリング装着部56の外周面と全周に亘って密着し、ゴムリング70の外周リップ72がフード部31の内周面と全周に亘って密着した状態となっている。すなわち、ゴムリング70は、カバー50が嵌合初期位置から嵌合完了位置まで移動する間、常にはゴムリング装着部56の外周面とフード部31の内周面とに密着したシール状態となっている。
【0051】
本実施形態は以上のような構成であって、続いて本実施形態の防水コネクタを用いて、複数の雌型端子金具10同士を電気的に短絡させて接続する方法を説明すると共に、防水コネクタの作用効果を説明する。
【0052】
まず、カバー50が嵌合初期位置に装着されたコネクタハウジング30と電線Wに接続された雌型端子金具10とを用意する。嵌合初期位置に配置されたカバー50は、図8に示すように、保持突起34の後方鉛直面34Aと覆い壁53における係止溝61の前方縁部61Aとが当接すると共に、フード部31における係止突起33の前方傾斜面33Aと弾性係止片52のテーパ面52Bとが当接している。これにより、カバー50は、ゴムリング70の外周リップ72をフード部31の前端開口内周縁部に全周に亘って密着させた状態で、コネクタハウジング30に対して、嵌合初期位置に仮係止されている。すなわち、本実施形態の防水コネクタは、カバー50を嵌合初期位置に配置した状態で出荷することができるので、出荷先で、カバー50とコネクタハウジング30とを嵌合させる向きを逐一確認して、互いに嵌合させる必要がないので、出荷先側での作業効率を向上させることができる。
【0053】
次に、コネクタハウジング30の各キャビティ35に対して後方から雌型端子金具10を挿入すると、雌型端子金具10における接続筒部11がランス37に当接して摺動し、ランス37を上方に撓み変形させる。更に、雌型端子金具10を挿入して、雌型端子金具10が正規の位置まで正規挿入されると、ランス37が弾性復帰し、接続筒部11の係止段部14とランス37の前端部とが係止して、雌型端子金具10がキャビティ35から後方に抜け止めされる。このようにして、すべてのキャビティ35に対して雌型端子金具10を装着する。これにより、複数の雌型端子金具10同士を電気的に接続して各雌型端子金具10を短絡させることができる。
【0054】
最後に、コネクタハウジング30に対してすべての雌型端子金具10が接続されたところで、カバー50を嵌合初期位置から嵌合完了位置に移動させて、図10に示すように、カバー50の凹部嵌合部55を端子収容部32の凹部39に嵌合させることで、凹部嵌合部55の先端部を端子収容部32の撓み空間40に収容する。すると、凹部嵌合部55の先端部における上面が撓み空間40の上方内面に密着すると共に、凹部嵌合部55の先端部における下面がランス37の上面に密着し、ランス37は、凹部嵌合部55によって変位規制された状態となり、雌型端子金具10が二重に係止された防水コネクタが完成する。
【0055】
また、カバー50とコネクタハウジング30との嵌合過程において、ゴムリング装着部56におけるゴムリング70は、ゴムリング押さえ部57によってフード部31の奥部に押し込まれ、ゴムリング70の外周リップ72は、フード部31の内周壁と全周に亘って密着しながら摺動する。すなわち、カバー50を嵌合初期位置から嵌合完了位置まで移動させる間、内周リップ71がゴムリング装着部56の外周面に常に密着した状態にあることは勿論、外周リップ72が常にフード部31の内周面に密着した状態となっており、シール面に埃などの異物が付着することがないようになっている。これにより、外周リップ72とフード部31の内周面との間に異物が侵入して防水性が低下することを防ぐことができる。
【0056】
更に、本実施形態においては、カバー50を嵌合初期位置に保持された状態で出荷することが可能であることから、搬送中や保管中、更には雌型端子金具10の組み付け工程中においても、外周リップ72とフード部31の内周面とが常に密着した状態にあり、外周リップ72とフード部31の内周面との間に異物が挟み込まれることを防止することができる。また、カバー50の覆い壁53は、図8に示すように、カバー50が嵌合初期位置に仮係止された状態において、ゴムリング70及びフード部31の開口縁部の上下方向両側を覆っているので、フード部31の開口部からフード部31内に埃などの異物が侵入することを規制し、ゴムリング70に異物が付着することを軽減している。
【0057】
また、カバー50とコネクタハウジング30との嵌合過程では、カバー50における弾性係止片52のテーパ面52Bとフード部31における係止突起33の前方傾斜面33Aとが摺動して、弾性係止片52が係止突起33に乗り上げる。そして、カバー50とコネクタハウジング30とが互いに正規に嵌合した嵌合完了位置に至ると、図9に示すように、係止突起33が弾性係止片52の係止孔52Aに収容されることで、弾性係止片52が弾性復帰し、カバー50とコネクタハウジング30とが正規嵌合状態(嵌合完了位置)に保持されるようになっている。
【0058】
ところが、コネクタハウジング30のキャビティ35に挿入された雌型端子金具10が一本でも半挿入状態であると、図11に示すように、ランス37が雌型端子金具10の接続筒部11によって、上方に撓み変形されたままの状態となって、端子収容部32の撓み空間に収容されたままの状態となる。すると、カバー50を嵌合初期状態から嵌合完了状態へ移動させる際に、カバー50の凹部嵌合部55の先端が凹部39内において、ランス37の先端に干渉して、凹部嵌合部55が凹部39に嵌合できなくなる。したがって、カバー50とコネクタハウジング30とを正規に嵌合させることができず、カバー50の弾性係止片52の係止孔52Aとフード部31の係止突起33とが係止できないことをもって、雌型端子金具10の何れかが半挿入状態であることを検知することができる。
【0059】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、嵌合部54の先端に凹部嵌合部55を形成し、カバー50とコネクタハウジング30とが正規嵌合された際に凹部39に収容されることで、雌型端子金具10を二重に係止する構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、凹部39に収容可能なフロントリテーナを別途用いることで、嵌合部54に凹部嵌合部55を形成しなくてもよい。
(2)上記実施形態では、弾性係止片52をフード部31の係止突起33に当接させることで、カバー50が嵌合初期位置から意図せずに嵌合完了位置に向かって移動することを規制するように構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、保持突起34の前方に仮係止用の突起を設け、覆い壁53の係止溝61の中央に突起と係止可能な仮係止用突起を設けるなどしてカバー50の移動を規制するようにしてもよい。
【0060】
(3)上記実施形態では、凹部嵌合部55を平板状に形成し、凹部39の撓み空間40に一括嵌合させることで、各ランス37の変形を一括して規制するように構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、凹部嵌合部55を各撓み空間40に嵌合可能な規制部を連結した櫛形状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 :雌型端子金具(端子金具)
20 :短絡端子
30 :コネクタハウジング
31 :フード部
32 :端子収容部
33 :係止突起
34 :保持突起
37 :ランス
40 :撓み空間
50 :カバー
51 :蓋部
52 :弾性係止片
52A:係止孔
53 :覆い壁
54 :嵌合部
58 :検知孔
61 :係止溝
70 :ゴムリング(シール部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子金具を短絡させる短絡端子を装着してなる防水コネクタであって、
フード部を有して前記端子金具を収容可能なコネクタハウジングと、前記フード部の開口部を塞ぐカバーと、前記カバーに装着されるとともに前記フード部の内周面に全周に亘って密着することで前記フード部と前記カバーとの間を液密状にシールするシール部材とを備え、
前記カバーは、前記シール部材が前記フード部の前端開口縁部に位置した嵌合初期位置と、前記シール部材が前記嵌合初期位置よりも前記フード部の奥側に位置した嵌合完了位置との間をシール状態で移動可能に設けられていることを特徴とする防水コネクタ。
【請求項2】
前記カバーは、前記フード部の前端開口縁部を覆う覆い壁を備えていることを特徴とする請求項1記載の防水コネクタ。
【請求項3】
前記カバーは、
前記覆い壁に設けられ、前記嵌合初期位置において前記コネクタハウジングの外面に設けられた一対の保持突起と係止することで、前記カバーを抜け止めする一対の係止溝と、
前記嵌合完了位置において前記コネクタハウジングの外面に設けられた一対の係止突起と係止することで、前記カバーと前記コネクタハウジングとを正規の嵌合位置に保持する係止孔を備えた一対の弾性係止片とを備えて構成されており、
前記一対の弾性係止片は前記カバーと前記コネクタハウジングとの嵌合過程において、前記係止突起に乗り上げて弾性変形し、前記カバーと前記コネクタハウジングとが正規の嵌合位置に至ると、前記係止突起が前記係止孔に収容されて弾性復帰するように構成されており、
前記弾性係止片の嵌合方向前端部は、前記嵌合初期位置において前記係止突起と当接していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記一対の弾性係止片は、前記カバーにおける嵌合方向後端部から嵌合方向前方に延びて形成されており、
前記弾性係止片の両側縁における基端部は、前記覆い壁と一体に形成されていることを特徴とする請求項3記載の防水コネクタ。
【請求項5】
前記一対の係止突起は、嵌合方向と直交する面内における前記フード部の長手方向の両端に設けられており、
前記一対の保持突起は、前記一対の係止突起の略中央を境に反対方向にずれて配されていることを特徴とする請求項3または4記載の防水コネクタ。
【請求項6】
前記コネクタハウジングの内部には、同コネクタハウジングの内壁から片持ち状に延出され前記端子金具を前記コネクタハウジング内に保持するランスが設けられ、前記ランスと前記コネクタハウジングの内壁との間には、前記ランスの撓み空間が設けられており、
前記ランスは、前記端子金具を前記コネクタハウジングに装着する過程において前記端子金具に押圧されて前記撓み空間内に撓み変形し、前記端子金具が正規の位置に装着された正規嵌合位置に至ることで弾性復帰して、前記端子金具と係止するように構成されており、
前記カバーには、前記フード部内に嵌合して前記撓み空間に収容される嵌合部が形成されており、
前記端子金具が前記正規嵌合位置に至る前の半挿入状態では、前記ランスが前記撓み空間に撓んだ状態となって前記嵌合部と干渉することで前記係止孔と前記係止突起とが係止できなくなることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか一項に記載の防水コネクタ。
【請求項7】
前記シール部材は、前記嵌合部に装着されていることを特徴とする請求項6記載の防水コネクタ。
【請求項8】
前記コネクタハウジング内には、前記複数の端子金具が横並びに収容される端子収容部が形成されており、
前記撓み空間は、隣り合う前記ランスの撓み空間同士が連なる態様で前記端子収容部が設けられた領域に一括して設けられており、
前記嵌合部は前記端子収容部が設けられた領域に対応して横長に扁平な平板状に設けられ、
前記嵌合部は、前記コネクタハウジングの内壁と前記端子金具の外面とに沿うように前記撓み空間に収容されることを特徴とする請求項6または請求項7記載の防水コネクタ。
【請求項9】
前記覆い壁には、前記嵌合部の基端側に連設されて前記フード部の嵌合方向前端に当接可能な蓋部が設けられており、前記蓋部には、前記嵌合部に嵌着された前記シール部材に臨む検知孔が形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れか一項に記載の防水コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−113987(P2012−113987A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262476(P2010−262476)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】