説明

防水コネクタ

【課題】ホルダとゴム栓との間に浸入した水を確実に排水する。
【解決手段】コネクタハウジング20の収容凹部24にゴム栓40が収容される。コネクタハウジング20のハウジング本体21にはホルダ60が取り付けられ、ホルダ60によってゴム栓40が収容凹部24から抜け出るのが防止される。ゴム栓40におけるホルダ60の当接面69Aと対向する面には、このゴム栓40の周縁部に向けてホルダ60の当接面69Aの位置する側から離れる方向に傾斜する排水用の斜面46が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防水コネクタが特許文献1に開示されている。このものは、電線の端末部に接続された端子金具と、端子金具が挿入される複数のキャビティが形成され、かつ収容凹部が形成されたコネクタハウジングと、収容凹部に収容されるゴム栓と、コネクタハウジングに取り付けられ、ゴム栓が収容凹部から抜け出るのを規制するホルダとを備えている。ゴム栓には電線が挿入される複数のシール孔が貫通して形成されている。シール孔の内周面には電線の外周面が密着し、これによって電線周りのシールがとられるようになっている。また、ゴム栓には、電線が遊嵌状態で挿入される複数の貫通孔が貫通して形成されている。そして、ゴム栓とホルダとの間には空間が形成され、ホルダの貫通孔から空間内に水が浸入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−279372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の防水コネクタの場合、例えば、ホルダが上方に位置するように設置されると、ゴム栓におけるホルダと対向する面がほぼ水平に配置されることになるため、空間内に浸入した水の外部への排水が充分になされず、コネクタハウジング内に水が浸入して所定の防水性が損なわれるおそれがあった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ホルダとゴム栓との間に浸入した水を確実に排水できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、収容凹部が形成されたコネクタハウジングと、前記収容凹部に収容され、複数のシール孔が形成されたゴム栓と、前記コネクタハウジングに取り付けられ、前記各シール孔と連通する複数の貫通孔が形成され、前記ゴム栓に当接することで前記ゴム栓が前記収容凹部から抜け出るのを規制するホルダとを備え、前記シール孔に電線が挿入されることにより、前記シール孔の内周面に前記電線の外周面が密着して前記電線周りのシールがとられ、かつ前記貫通孔に前記電線が遊嵌状態で挿入される防水コネクタであって、前記ゴム栓における前記ホルダの当接面と対向する面には、このゴム栓の周縁部に向けて前記ホルダの当接面の位置する側から離れる方向に傾斜する排水用の斜面が形成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記斜面は、前記ゴム栓の中心部から周縁部にかけて前記ホルダの当接面の位置する側から離れる方向に傾斜するドーム状の形態とされているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記コネクタハウジングと前記ホルダのいずれか一方又は両方における前記斜面と対向する面には、溝状の排水路が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記ゴム栓における前記ホルダの当接面と対向する面と反対側の面には、このゴム栓の周縁部に向けて前記ホルダの当接面の位置する側に近づく方向に傾斜する別の斜面が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
仮に、ホルダの各貫通孔を通してホルダとゴム栓との間に水が浸入しても、ゴム栓におけるホルダの当接面と対向する面にはこのゴム栓の周縁部に向けてホルダの当接面の位置する側から離れる方向に傾斜する排水用の斜面が形成されているから、浸入した水は斜面に沿って外部へ排水される。したがって、ホルダとゴム栓との間に浸入した水を確実に排水することができる。
【0011】
<請求項2の発明>
斜面はゴム栓の中心部から周縁部にかけてホルダの当接面の位置する側から離れる方向に傾斜するドーム状の形態とされているから、ホルダとゴム栓との間におけるどの位置に水が浸入しても、この水を確実に排水することができる。
【0012】
<請求項3の発明>
コネクタハウジングとホルダのいずれか一方又は両方における斜面と対向する面には溝状の排水路が形成されているから、ホルダとゴム栓との間に浸入した水が排水路に誘導されながら外部へ確実に排水される。
【0013】
<請求項4の発明>
ゴム栓におけるホルダの当接面と対向する面と反対側の面にはこのゴム栓の周縁部に向けてホルダの当接面の位置する側に近づく方向に傾斜する別の斜面が形成されているから、ゴム栓をその表裏を裏返して収容凹部に収容しても、この別の斜面を排水用の斜面として使用することができる。したがって、ゴム栓の表裏を識別する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1に係り、ホルダが取り付けられる前の防水コネクタの斜視図である。
【図2】防水コネクタの斜視図である。
【図3】防水コネクタの背面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】図3のC−C線断面図である。
【図7】図4のD−D線断面図である。
【図8】図7のE−E線断面図である。
【図9】ホルダの正面図である。
【図10】図9のF−F線断面図である。
【図11】図9のG−G線断面図である。
【図12】コネクタハウジングの背面図である。
【図13】図12のH−H線断面図である。
【図14】ゴム栓の背面図である。
【図15】ゴム栓の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図15によって説明する。本実施形態に係る防水コネクタ10は、コネクタハウジング20、ゴム栓40、及びホルダ60を備えて構成される。
【0016】
コネクタハウジング20は合成樹脂製であって、図12及び図13に示すように、ブロック状のハウジング本体21と、ハウジング本体21の前端周縁部から前方に突出する筒状のフード部22とを有している。フード部22はハウジング本体21より一回り大きくされている。
【0017】
ハウジング本体21には、電線80(図8に二点鎖線で示す)が挿入される複数の挿入孔23が前後方向に貫通して形成されている。また、ハウジング本体21の後面には、ゴム栓40が収容される収容凹部24が開口して形成されている。収容凹部24は、各挿入孔23の後端が開口する凹状の湾曲面25と、湾曲面25の周縁に連なってハウジング本体21の後端部の内側に配置される内周面26とによって区画されている。湾曲面25は、ハウジング本体21の中央部から周縁部の全周にかけて徐々に後方に傾斜するように湾曲する形態とされている。言い換えれば、湾曲面25は、ハウジング本体21の周縁部の全周から中央部にかけて次第に深さを増す方向に湾曲して窪む形態とされている。図12に示すように、湾曲面25の幅方向中央部には一段と深さを増して高さ方向に延びる背面視紡錘形の凹曲面27が形成されている。そして、各挿入孔23は凹曲面27を挟んだ幅方向両側に分かれて整列に配置されている。
【0018】
ハウジング本体21の両側外面の高さ方向中央部には、図12に示すように、左右一対のロック部28が形成されている。ロック部28は、図1に示すように、フード部22の両側外面と段差無く連なって前後方向に延びる突条部29と、突条部29の前端から外側に突出するロック突起31とからなる。また、ハウジング本体21の前端部には、溝状のハウジング側排水路32が切り欠いて形成されている。このハウジング側排水路32は、高さ方向両端部に位置して高さ方向に貫通する上下一対の第1ハウジング側排水路32Aと、幅方向両端部に位置して幅方向に貫通する左右一対ずつの第2ハウジング側排水路32Bとからなる。第2ハウジング側排水路32Bは、ロック部28を挟んだ高さ方向両側に対をなして配置されている。
【0019】
ゴム栓40はシリコンゴム等のゴム製であって、図14及び図15に示すように、扁平マット状の本体部41と、本体部41の前後両面に肉盛りされてなる前後一対の膨出部42とからなる。また、ゴム栓40内には、各挿入孔23と同軸で連通する複数のシール孔43が本体部41と膨出部42の双方を前後方向に貫通して形成されている。各シール孔43には電線80が挿入されるようになっている。
【0020】
本体部41の外周面には、前後2条の外周リップ44が形成されている。外周リップ44は、本体部41の外周面を周回する形態であって、図4に示すように、収容凹部24の内周面26に圧縮状態で密着し、これによって収容凹部24内を液密にシールする役割をはたす。また、本体部41の各挿入孔23の内周面には、前後2条の内周リップ45が形成されている。内周リップ45は、挿入孔23の内周面を周回する形態であって、電線80の外周面に圧縮状態で密着し、これによって電線80周りを液密にシールする役割をはたす。一方、膨出部42の各シール孔43の内周面は、内周リップ45を有さず、凹凸の無い円周面とされている。膨出部42の各シール孔43には電線80が遊嵌状態で挿入されるようになっている。
【0021】
膨出部42は、ゴム栓40の中央部(幅方向中央部でかつ高さ方向中央部)から周縁部(本体部41側)の全周にかけて次第に肉厚を減じる形態とされている。図15に示すように、この前後一対の膨出部42により、ゴム栓40は全体として側面視紡錘形に形成される。
【0022】
膨出部42の後面には、ゴム栓40の中央部から周縁部の全周にかけて徐々に前方に傾斜するドーム状の斜面46が形成されている。斜面46の周縁は本体部41の後端周縁に連なっている。そして、斜面46の幅方向中央部には一段と前方に突出して高さ方向に延びる背面視紡錘形の凸曲面47が形成されている。ホルダ60とゴム栓40との間に水が浸入すると、この水は斜面46に沿ってゴム栓40の周縁部側に流れるようになっている。なお、図8に示すように、膨出部42の後面は、ハウジング本体21にホルダ60が取り付けられた状態では、ホルダ60の当接面69A(後述する)と対向する面となる。この場合、斜面46は、ゴム栓40の中央部から周縁部にかけてホルダ60の当接面69Aの位置する側から離れる方向に傾斜して配置されることになる。
【0023】
また、膨出部42の前面には、ゴム栓40の中央部から周縁部の全周にかけて徐々に後方に傾斜するドーム状の別の斜面48が形成されている。別の斜面48の周縁は、本体部41の前端周縁に連なっている。そして、別の斜面48の幅方向中央部には一段と後方に突出して高さ方向に延びる正面視紡錘形の別の凸曲面49が形成されている。斜面46及び別の斜面48は凸曲面47及び別の凸曲面49を含めて互いに同形状とされ、ゴム栓40全体として前後方向中央を境として前後対称な形状とされている。なお、膨出部42の前面は、ハウジング本体21にホルダ60が取り付けられた状態で、ホルダ60の当接面69Aと対向する面(膨出部42の後面)と反対側の面となる。この場合、別の斜面48は、ゴム栓40の中央部から周縁部にかけてホルダ60の当接面69Aの位置する側に近づく方向に傾斜して配置されることになる。
【0024】
ホルダ60は合成樹脂製であって、図9ないし図11に示すように、全体としてキャップ状をなし、ゴム栓40の後面(斜面46)に当接可能な当接面69Aを有する平板状のホルダ本体61と、ホルダ本体61の周縁部から前方に突出する筒状の覆い部62とを有している。覆い部62は、ハウジング本体21に外嵌され、ハウジング本体21の周囲を全周に亘って取り囲む形態とされている。図2に示すように、ホルダ60がハウジング本体21に取り付けられた状態では、覆い部62の前端とフード部22の後端との間に隙間90が形成されるようになっている。
【0025】
覆い部62の両側壁の高さ方向中央部には、ロック部28と対向する位置に、左右一対のロック受け部63が形成されている。ロック受け部63は、覆い部62の両側壁を貫通する側面視略矩形状のロック孔64と、ロック孔64の前端部を区画する薄肉の受け本体部65とからなる。ホルダ60がハウジング本体21に取り付けられる過程では、受け本体部65が撓み変形しつつロック突起31に乗り上げられる。ホルダ60がハウジング本体21に正規に取り付けられると、ロック孔64にロック突起31が嵌り込み、かつ受け本体部65が弾性復帰して受け本体部65の後方にロック突起31が係止可能に配置され、これによってホルダ60がハウジング本体21に抜け止め状態で保持されるようになっている。
【0026】
ホルダ本体61内には、各シール孔43と同軸で連通する位置に、複数の貫通孔66が前後方向に貫通して形成されている。貫通孔66には電線80が遊嵌状態で挿入され、電線80は貫通孔66から外部後方へ引き出される。図4及び図11に示すように、ホルダ本体61の前面には、その中央部から周縁部の全周にかけて徐々に後退する凹状のホルダ側湾曲面67が形成されている。言い換えれば、ホルダ側湾曲面67は、ホルダ本体61の周縁部の全周から中央部にかけて次第に深さを増す方向に湾曲して窪む形態とされている。図9に示すように、ホルダ側湾曲面67の幅方向中央部には一段と深さを増して高さ方向に延びる正面視紡錘形のホルダ側凹曲面68が形成されている。そして、各貫通孔66は、ホルダ側凹曲面68を挟んだ幅方向両側に分かれて整列に配置されている。
【0027】
また、ホルダ本体61の前面には、図4に示すように、ゴム栓40の斜面46の周縁部とハウジング本体21の後端周縁部とに跨って当接可能な当接部69が突出して形成されている。当接部69は、ホルダ本体61の前面の周縁部において周方向に間隔をあけて複数配置されている。当接面69Aは、各当接部69の突出端面とされている。そして、ホルダ本体61の前面には、図9に示すように、互いに隣接する当接部69の間に、溝状のホルダ側排水路71が形成されている。このホルダ側排水路71は、高さ方向両端部に位置して高さ方向に延びる上下一対の第1ホルダ側排水路71Aと、幅方向両端部に位置して幅方向に延びる左右一対ずつの第2ホルダ側排水路71Bとからなる。
【0028】
以上が本実施形態に係る防水コネクタ10の構造であり、続いて、防水コネクタ10の作用を説明する。
ハウジング本体21の収容凹部24に後方からゴム栓40を挿入し、さらにハウジング本体21にホルダ60を取り付ける。ロック部28がロック受け部63を弾性的に係止することにより、ホルダ60がハウジング本体21に保持され、かつホルダ60のホルダ側湾曲面67と収容凹部24の湾曲面25との間にゴム栓40が前後方向に挟持させられる。この場合、図4及び図6に示すように、ゴム栓40の斜面46がホルダ60のホルダ側湾曲面67に適合して嵌着され、ゴム栓40の別の斜面48が収容凹部24の湾曲面25に適合して嵌着される。また、図5に示すように、凸曲面47がホルダ側凹曲面68に適合して嵌着され、別の凸曲面49が凹曲面27に適合して嵌着される。このとき、ゴム栓40の斜面46はホルダ60の当接面69Aに押圧状態で当接するようになっている。かくして、ゴム栓40は、ホルダ60とハウジング本体21との間に位置決め状態で保持される。また、ゴム栓40とホルダ60との間、及びホルダ60とハウジング本体21との間には、ホルダ側排水路71及びハウジング側排水路32を含めて間隙が形成される。
【0029】
続いて、コネクタハウジング20に図示しない端子金具が挿入される。端子金具は、電線80の端末部に接続され、これによって電線80は、ハウジング本体21の挿入孔23、ゴム栓40のシール孔43、及びホルダ60の貫通孔66に同軸で挿入され、かつ貫通孔66から外部後方に引き出される。この場合、電線80は、挿入孔23、膨出部42のシール孔43、及び貫通孔66では遊嵌状態で挿入され、本体部41のシール孔43では内周リップ45の圧縮動作を伴いつつ密着状態で挿入される。その後、コネクタハウジング20は図示しない相手コネクタハウジングに嵌合され、それに伴って端子金具が相手コネクタハウジングに収容された図示しない相手端子金具に電気的に接続される。
【0030】
ところで、本実施形態に係る防水コネクタ10は、ホルダ60の後面を上方に向け、ホルダ60が最上段に位置するようにして設置されることがある。この場合、ホルダ60の各貫通孔66は上下方向に沿って配置されるため、各貫通孔66を通してホルダ60とゴム栓40との間に水が浸入し易い構造となる。しかるに本実施形態の場合、斜面46がゴム栓40の中央部から周縁部にかけて下り勾配で傾斜することになるため、仮に、各貫通孔66を通してホルダ60とゴム栓40との間に水が浸入しても、この水は、ゴム栓40の斜面46を滑落してゴム栓40の周縁部に導かれ、そこからさらに外部へ排水されることになる。
【0031】
具体的には、ホルダ60とゴム栓40との間に浸入した水は、例えば、2通りの排水経路X、Yで排水され得る。図5及び図7に示すように、第1の排水経路Xでは、水は、第1ホルダ側排水路71Aに沿って流れ、さらに第1ホルダ側排水路71Aと連通する第1ハウジング側排水路32Aを流れた後、ハウジング本体21とホルダ60との間に形成された微小間隙としての隘路50に流入して、この隘路50から隙間90を経て外部へ排水される。また、図7及び図8に示すように、第2の排水経路Yでは、水は、第2ホルダ側排水路71Bに沿って流れ、さらに第2ホルダ側排水路71Bと連通する第2ハウジング側排水路32Bに流入して、この第2ハウジング側排水路32B側からロック部28の両脇を抜けて外部へ排水される。したがって、ホルダ60とゴム栓40との間に水が留まることはなく、水は斜面46に沿って外部へ迅速かつ確実に排水されることになる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、ゴム栓40の後面にその周縁部に向けてホルダ60の当接面69Aが位置する側から離れる下向き傾斜の排水用の斜面46が形成されているため、各貫通孔66を通してホルダ60とゴム栓40との間に水が浸入しても、浸入した水は斜面46に沿って外部へ迅速かつ確実に排水される。
【0033】
また、斜面46はゴム栓40の中心部から周縁部にかけてホルダ60のホルダ本体61が位置する側から離れる方向に傾斜するドーム状の形態とされているから、ホルダ60とゴム栓40との間におけるどの位置に水が浸入しても、この水を外部へ確実に排水することができる。
【0034】
さらに、ハウジング本体21にはハウジング側排水路32が形成され、ホルダ60にはホルダ側排水路71が形成されているため、ホルダ60とゴム栓40との間に浸入した水がこれら排水路32、71に誘導されながら外部へ確実に排水される。
【0035】
しかも、ゴム栓40の前面にはその周縁部に向けてホルダ60の当接面69Aが位置する側に近づく方向に傾斜する別の斜面48が形成されているから、ゴム栓40をその前後(表裏)を裏返して収容凹部24に収容した場合に、この別の斜面48を排水用の斜面46として使用することができる。したがって、ゴム栓40の前後を識別する手間を省くことができる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)斜面は、ゴム栓の中央部以外の部分から周縁部に向けてホルダから離れる方向に傾斜して配置されるものであってもよい。
(2)ハウジング側排水路とホルダ側排水路のいずれか一方又は両方を省略することも可能である。
(3)別の斜面を省略することも可能である。
(4)第1の排水経路及び第2の排水経路以外に別の排水経路が構築されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…防水コネクタ
20…コネクタハウジング
23…挿入孔
24…収容凹部
32…ハウジング側排水路(排水路)
40…ゴム栓
43…シール孔
46…斜面
48…別の斜面
60…ホルダ
66…貫通孔
69A…当接面
71…ホルダ側排水路(排水路)
80…電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容凹部が形成されたコネクタハウジングと、前記収容凹部に収容され、複数のシール孔が形成されたゴム栓と、前記コネクタハウジングに取り付けられ、前記各シール孔と連通する複数の貫通孔が形成され、前記ゴム栓に当接することで前記ゴム栓が前記収容凹部から抜け出るのを規制するホルダとを備え、前記シール孔に電線が挿入されることにより、前記シール孔の内周面に前記電線の外周面が密着して前記電線周りのシールがとられ、かつ前記貫通孔に前記電線が遊嵌状態で挿入される防水コネクタであって、
前記ゴム栓における前記ホルダの当接面と対向する面には、このゴム栓の周縁部に向けて前記ホルダの当接面の位置する側から離れる方向に傾斜する排水用の斜面が形成されていることを特徴とする防水コネクタ。
【請求項2】
前記斜面は、前記ゴム栓の中心部から周縁部にかけて前記ホルダの当接面の位置する側から離れる方向に傾斜するドーム状の形態とされていることを特徴とする請求項1記載の防水コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングと前記ホルダのいずれか一方又は両方における前記斜面と対向する面には、溝状の排水路が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記ゴム栓における前記ホルダの当接面と対向する面と反対側の面には、このゴム栓の周縁部に向けて前記ホルダの当接面の位置する側に近づく方向に傾斜する別の斜面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の防水コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−54897(P2013−54897A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192175(P2011−192175)
【出願日】平成23年9月3日(2011.9.3)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】