説明

防水光コネクタプラグ及び防水光コネクタ装置

【課題】防水光コネクタプラグの小型化を可能とする。
【解決手段】光コネクタ40と、光コネクタ40を収容し、挿入接続部51と本体部52が一体形成されてなり、挿入接続部51がレセプタクル70に挿入され、本体部52がレセプタクル70の円筒部72に嵌合されるコネクタ部材50と、本体部52に取り付けられ、円筒部72の外周面に係合される係合部材61と、本体部52に連結された外殻部材63と、外殻部材63の後端に螺合され、その中央貫通穴から光ファイバケーブル80が導出されるカップリングナット66と、光ファイバケーブル80の回りに配される防水部材64と、本体部52の前端及び後端にそれぞれ配される防水部材67,68とよりなる。防水部材64は外殻部材63と光ファイバケーブル80間の空間を密閉し、防水部材67は円筒部72と本体部52間、防水部材68は外殻部材63と本体部52間の空間を密閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は防水光コネクタプラグ及びその防水光コネクタプラグとレセプタクルとよりなる防水光コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図16は防水光コネクタ装置の従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものであり、防水光コネクタ装置は互いに接続される防水光コネクタプラグ10とレセプタクル30とよりなる。図17はそれら防水光コネクタプラグ10とレセプタクル30とが接続された状態の断面図を示したものである。
【0003】
レセプタクル30は壁面に固定されて使用されるもので、シェル31の壁面への取り付け面にはOリング32が配されている。
【0004】
防水光コネクタプラグ10は本体部14と引止金具13とコネクタ部材12とゴムフード11とガスケット15とコードクランプ16と締付金具17と結合部材18を備えている。
【0005】
防水光コネクタプラグ10とレセプタクル30はバイヨネット接続によって固定されるものとなっており、これを可能にするため、レセプタクル30のシェル31の筒状部31a外面には終端にくぼみ31bを形成した溝31cが互いに対向する位置に2つ設けられている。一方、防水光コネクタプラグ10の結合部材18の先端側内周には互いに対向する位置に突起18aが2つ設けられている。
【0006】
コネクタ部材12はレセプタクル30に設けられているアダプタ部材33と着脱自在に嵌合される。コネクタ部材12はフェルール19を保持しており、フェルール19には光ファイバ20が固定されている。図17中、21はテンションメンバを示し、22はケーブルを示す。
【0007】
アダプタ部材33には嵌合空間34が設けられており、この嵌合空間34にフェルール19が挿入される接続スリーブ35が設けられている。アダプタ部材33には弾性変位部36が設けられており、弾性変位部36の先端の係止突起36aがコネクタ部材12の突出部12aに係止されることによってコネクタ部材12はアダプタ部材33に係止されるものとなっている。
【0008】
本体部14の後端には内部にケーブル22を挿通させた状態でガスケット15、コードクランプ16、締付金具17が取り付けられている。コードクランプ16の終端の弾性部16aは締付金具17によって押しつぶされている。
【0009】
コネクタ部材12の後端は本体部14の中間の中径部14aの内部に遊嵌されており、本体部14によって所定の範囲でスライド可能に支持されている。中径部14aの内部には引止金具13が収容されており、この引止金具13にテンションメンバ21が固定されている。
【0010】
本体部14の中径部14aより前方は大径部14bとされており、結合部材18の後板18bはこの大径部14bと中径部14aの境目付近に位置され、抜け止め部材(スプリングワッシャ)23によって中径部14aから抜け落ちるのが防止されている。
【0011】
中径部14aの先端側内周には連結部材(スプリングワッシャ)24が取り付けられ、コネクタ部材12の外壁にはこの連結部材24と対応して環状凹部12bが形成されている。この環状凹部12bの長さ(幅)を利用してコネクタ部材12は本体部14に対して所定の範囲でスライド可能とされている。
【0012】
大径部14bはレセプタクル30の筒状部31a側に張り出した筒部14cを有する。筒部14cは防水光コネクタプラグ10とレセプタクル30の接続固定時に筒状部31aの内周と接触し、筒状部31aとの間に重なり部分25を形成する。大径部14bの外側には筒状の結合部材18が位置し、上述したようにバイヨネット接続により筒状部31aに接続される。つまり、防水光コネクタプラグ10とレセプタクル30の接続固定時に、レセプタクル30の筒状部31aは防水光コネクタプラグ10の本体部14の筒部14cと結合部材18との間の隙間26に挟み込まれた状態となる。
【0013】
結合部材18は筒部14cと同様、筒状部31aとの間に重なり部分27を形成し、これら重なり部分25,27により防水を確実に行うことができるものとなっている。さらに、隙間26に位置するゴムフード11によって防水効果が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−294343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、従来の防水光コネクタプラグは、相手方のレセプタクルと接続される前端側において、コネクタ部材12の回りに本体部14の筒部14cが位置し、さらに筒部14cの回りに筒状の結合部材18が位置しており、よってこのレセプタクルと接続される前端側の外径はかなり大きいものとなっていた。
【0016】
また、このような防水光コネクタプラグと接続されるレセプタクルも防水光コネクタプラグと同様、シェルの筒状部の径が大きいものとなっており、その点でレセプタクルの取り付けスペースや接続作業のスペースを多く必要とするものとなっていた。
【0017】
この発明の目的はこのような状況に鑑み、従来より小型化を図ることができるようにした防水光コネクタプラグを提供することにあり、さらにそのような防水光コネクタプラグとレセプタクルとよりなる防水光コネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明によれば、防水光コネクタプラグは、ハウジングを備え、そのハウジング内に光ファイバの端末に取り付けられたフェルールを保持する光コネクタと、光コネクタを収容保持し、光コネクタのフェルールが位置する側を囲む挿入接続部とその挿入接続部の後端に続く本体部とが一体形成されてなり、挿入接続部が相手方レセプタクルに挿入接続され、本体部がレセプタクルに突出形成されている円筒部に挿入嵌合されるコネクタ部材と、筒状とされてコネクタ部材の回りに配置され、後端部が本体部に回動可能に取り付けられ、前記円筒部の外周面に係合される係合部材と、筒状とされ、その前端部が本体部の後端部分を囲んで本体部に連結固定された外殻部材と、外殻部材の後端に螺合され、その中央貫通穴から光ファイバのケーブルもしくは光ファイバを囲む保護管が導出されるカップリングナットと、ケーブルもしくは保護管の回りに配される第1の防水部材と、本体部の前端及び後端にそれぞれ配される第2及び第3の防水部材とよりなり、第1の防水部材はカップリングナットの螺合により圧縮されて外殻部材の内周面とケーブルもしくは保護管の外周面との間の空間を密閉し、第2の防水部材は本体部が前記円筒部に挿入嵌合された際、前記円筒部の内周面と本体部とによって挟み込まれて、それら間の空間を密閉し、第3の防水部材は外殻部材の内周面と本体部とによって挟み込まれて、それら間の空間を密閉する。
【0019】
請求項2の発明では請求項1の発明において、コネクタ部材は金属製とされる。
【0020】
請求項3の発明では請求項1の発明において、第1の防水部材は円筒状をなすゴムとされる。
【0021】
請求項4の発明では請求項1の発明において、第2及び第3の防水部材はOリングとされる。
【0022】
請求項5の発明では請求項1の発明において、本体部と係合部材との間に係合部材を回動方向に付勢するバネが配され、係合部材は前記円筒部にバイヨネット接続により係合固定される。
【0023】
請求項6の発明では請求項1の発明において、光コネクタはJIS C 5973により規格化されているSC2コネクタとされる。
【0024】
請求項7の発明では請求項6の発明において、光コネクタを収容したコネクタ部材の挿入接続部はJIS C 5973により規格化されているSCコネクタの挿入接続側部分と同一形状とされる。
【0025】
請求項8の発明によれば、防水光コネクタ装置は、請求項1乃至7記載のいずれかの防水光コネクタプラグと、その防水光コネクタプラグと接続されるレセプタクルとよりなり、レセプタクルは防水光コネクタプラグが両側からそれぞれ接続される中継用のレセプタクルとされる。レセプタクルは、前記円筒部と、その円筒部の一端に設けられたフランジ部とよりなる一対のシェルと、フェルールが挿入されるスリーブと、光コネクタを係止する係止部材とを備え、一対のシェルはフランジ部同士が防水部材を挟み込んで固定一体化され、その固定一体化された一対のシェル内にスリーブと係止部材が収容保持されている。
【0026】
請求項9の発明によれば、防水光コネクタ装置は、請求項1乃至7記載のいずれかの防水光コネクタプラグと、その防水光コネクタプラグと接続されるレセプタクルとよりなり、レセプタクルは前記円筒部と、その円筒部の一端に設けられたフランジ部とよりなるシェルと、フランジ部に対し、前記円筒部と反対側に突出するようにシェルに取り付けられ、防水光コネクタプラグと光接続される他の光コネクタが挿入されるハウジングと、前記フェルール及び他の光コネクタのフェルールが挿入されるスリーブと、前記光コネクタ及び前記他の光コネクタを係止する係止部材とを備え、シェル及びハウジングにまたがってスリーブと係止部材が収容保持され、フランジ部のハウジング側の取り付け面に防水部材が配されている。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、防水光コネクタプラグの光コネクタを収容保持したコネクタ部材の回りには従来のように本体部の筒部と筒状の結合部材とが2重に位置せず、相手方レセプタクルのシェルに突出形成されている円筒部の外周面と係合する係合部材のみが配置される構成となっており、よって従来に比し、レセプタクルと接続される前端側の外径を小さくすることができ、その点で小型化を図ることができる。
【0028】
また、このように防水光コネクタプラグが小型になることで、相手方レセプタクルも小径、小型に構成することができ、例えばパネル等の壁面に取り付けられるレセプタクルの場合には取り付けスペースや接続作業に要するスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明による防水光コネクタ装置の一実施例の外観を示す斜視図。
【図2】図1における防水光コネクタプラグの分解斜視図。
【図3】図2における光コネクタの拡大図。
【図4】Aは図2におけるコネクタ部材の拡大図、Bはその側面図、CはBにおけるD−D線断面図。
【図5】光コネクタとコネクタ部材の組み立てを説明するための図。
【図6】Aは図1におけるレセプタクルの正面図、BはAにおけるC−C線断面図。
【図7】レセプタクルへの防水光コネクタプラグの接続を説明するための図。
【図8】防水光コネクタプラグのレセプタクルからの離脱を説明するための図。
【図9】Aは防水光コネクタプラグがレセプタクルに接続された状態を示す側面図、BはAにおけるC−C線断面図。
【図10】レセプタクルへの防水光コネクタプラグの接続を説明するための図。
【図11】防水光コネクタプラグの他の実施例を示す分解斜視図。
【図12】図11に示した防水光コネクタプラグがレセプタクルに接続された状態を示す断面図。
【図13】レセプタクルの他の実施例を示す図、Aは平面図、Bは正面図、Cは側面図、Dは背面図、E,Fは斜視図。
【図14】この発明による防水光コネクタ装置の他の実施例を示す斜視図。
【図15】この発明による防水光コネクタ装置の他の実施例を示す斜視図。
【図16】防水光コネクタ装置の従来例を示す斜視図。
【図17】図16における防水光コネクタプラグとレセプタクルが接続された状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による防水光コネクタ装置の一実施例の外観を示したものであり、防水光コネクタ装置は防水光コネクタプラグ60とレセプタクル70とよりなる。
【0031】
図2は防水光コネクタプラグ60を各部に分解して示したものである。防水光コネクタプラグ60は光コネクタ40とコネクタ部材50と係合部材61とコイルバネ62と外殻部材63と第1の防水部材64と滑りリング65とカップリングナット66と第2及び第3の防水部材67,68とによって構成されている。なお、図2中、80は光ファイバケーブルを示し、81はその光ファイバケーブル80から保護部材が除去されて取り出された光ファイバコードを示す。
【0032】
まず、最初に防水光コネクタプラグ60の各部の構成について説明する。
図3は光コネクタ40を拡大して示したものであり、光コネクタ40はJIS C 5973により規格化されているSC2コネクタとされ、即ちこの例では光コネクタ40には汎用のSC2コネクタを用いるものとされる。
【0033】
光コネクタ40は略直方体形状のハウジング41を備え、そのハウジング41内に光ファイバコード81から取り出された光ファイバ82の端末に取り付けられたフェルール42を保持している。フェルール42はハウジング41の前端側の開口41a内に位置されている。ハウジング41の両側面には第1の係止部41bと第2の係止部41cとが突出形成されている。なお、この光コネクタ40の構造詳細についてはJIS C 5973に規格化されたものであるため、詳細説明を省略する。
【0034】
図4はコネクタ部材50の詳細を示したものであり、コネクタ部材50はその前端側に外形が略直方体状の挿入接続部51を有し、この挿入接続部51の後端に続いて外形が略円柱状の本体部52が一体形成されている。コネクタ部材50には本体部52から挿入接続部51に渡って角穴50aが貫通形成されており、挿入接続部51の両側面は開口51aによりそれぞれ開放されている。
【0035】
挿入接続部51の上面にはキー53が突出形成されており、両側面の開口51aを挟む上下位置の前端側にはそれぞれレセプタクル70との係止を解除する際に機能する係止解除部54が図4に示したように形成されている。なお、この挿入接続部51の形状は前述したSC2コネクタを収容して構成されるJIS C 5973に規格化されたSCコネクタの外側部分(外側ハウジング部分)と同一形状をなすものとされている。
【0036】
本体部52の前端及び後端の外周面には環状溝52a,52bがそれぞれ形成されており、これら環状溝52a,52bにそれぞれ第2の防水部材67及び第3の防水部材68が配置されている。第2の防水部材67及び第3の防水部材68は共にOリングとされている。
【0037】
本体部52の外周面の環状溝52a,52bで挟まれた中間位置には互いに対向する位置に円弧状をなして突出する2対の突出部55a,55b及び56a,56bが形成されている。これら突出部55a,55b及び56a,56bは係合部材61を本体部52に回動可能に取り付けるために使用されるもので、突出部56a,56bより後端側にはさらにコイルバネ62を係止するための突部57が突出形成されている。
【0038】
一方、本体部52に形成されている角穴50aの、挿入接続部51との境界部分には一対の係止突起58が互いに対向して突出形成されている。係止突起58は本体部52の後端側の面が傾斜面58aとされている。
【0039】
係合部材61は円筒状とされ、その前端の内周面には互いに対向する位置に突起61aがそれぞれ突出形成されている。また、後端側の内周面には図2では隠れて詳細は見えないが、互いに対向する位置に一対の円弧状の突出部が形成されており、さらにコイルバネ62の一端が挿入固定される穴を備えた固定部が後端内周面に突出形成されている。
【0040】
コイルバネ62はその一端が軸方向に曲げ起こされており、他端は図2では隠れて見えないがフック状をなすように曲げ返されている。
外殻部材63は円筒状をなし、その後端部の外周面には図2では図示を省略しているが、ねじが形成されている。
第1の防水部材64は円筒状をなし、ゴム製とされる。
【0041】
カップリングナット66は筒状とされてその前端側の内周面には外殻部材63のねじと螺合するねじが形成されている。後端側の内径は前端側より小径とされており、この後端側部分は2つの半円弧状部に分割されている。一方の半円弧状部66aは前端側と一体の他方の半円弧状部66bと分離され、これら2つの半円弧状部66a,66bによって光ファイバケーブル80が導出される中央貫通穴が形成されている。半円弧状部66aは一対のねじ66cにより締め付けられて半円弧状部66bに取り付け固定されるものとなっている。
【0042】
以下、防水光コネクタプラグ60の各部の組み立てについて説明する。
光ファイバ82の端末に取り付けられたフェルール42を保持している光コネクタ40をコネクタ部材50に取り付ける。この際、カップリングナット66、滑りリング65、第1の防水部材64及び外殻部材63は予め光ファイバケーブル80に通しておく。
【0043】
図5は光コネクタ40とコネクタ部材50の組み立ての様子を示したものであり、本体部52側からコネクタ部材50の角穴50aに光コネクタ40を挿入する。この際、光コネクタ40に設けられている第1の係止部41bが角穴50aに形成されている係止突起58を乗り越えるように光コネクタ40は圧入され、図5Cに示したように第1の係止部41bが係止突起58によって抜け止めされて光コネクタ40がコネクタ部材50に取り付けられる。
【0044】
光コネクタ40の第1及び第2の係止部41b,41cは共にコネクタ部材50の挿入接続部51の開口51aに位置し、第2の係止部41cとその前方に位置する挿入接続部51の前縁部51bとの間には所定の間隙Sが形成される。この間隙S分、光コネクタ40はコネクタ部材50に対して摺動可能(スライド可能)とされる。このように光コネクタ40を収容したコネクタ部材50の挿入接続部51は前述したSCコネクタの挿入接続側部分と同一形状をなすものとなっている。
【0045】
コネクタ部材50の本体部52には外殻部材63が取り付けられる。外殻部材63はその前端部が本体部52の後端部分を囲むように連結されて取り付けられる。なお、外殻部材63は2本のねじ69により本体部52に取り付け固定される。本体部52には図4Aに示したようにねじ穴52cが形成されている。
【0046】
カップリングナット66は外殻部材63の後端部に形成されているねじに螺合される。この際、光ファイバケーブル80の回りに配された第1の防水部材64は外殻部材63とカップリングナット66との間に挟み込まれる。なお、滑りリング65はカップリングナット66と第1の防水部材64との間に介在され、これによりゴムよりなる第1の防水部材64に回転方向の力が作用するのを防ぎ、軸方向に良好に圧縮されるようにしている。
【0047】
カップリングナット66を締め付けた後、ねじ66cを締め付け、光ファイバケーブル80のカップリングナット66より導出する部分を半円弧状部66a,66bによって締め付けて固定する。
【0048】
係合部材61は挿入接続部51側よりコネクタ部材50に取り付けられる。この際、予めコイルバネ62をコネクタ部材50に通し、係合部材61を取り付ける。
【0049】
係合部材61はその後端側の内周面に突出形成されている一対の円弧状の突出部間の間隙にコネクタ部材50の本体部52の外周面に突出形成されている突出部55a,55bが合致するようにして押し込み、押し込んだ後、コネクタ部材50の突出部55a,55bと突出部56a,56bとの間に係合部材61の突出部が挟み込まれるように回転させることによってコネクタ部材50の回りに取り付けられる。
【0050】
コイルバネ62はその一端が係合部材61の穴に挿入されて固定され、他端はコネクタ部材50の本体部52の突部57に突き当てられて係止され、本体部52と係合部材61との間に配される。これにより、係合部材61は本体部52に回動可能に取り付けられ、コイルバネ62により回動方向に付勢される。
以上により組み立てが完了し、防水光コネクタプラグ60が完成する。
【0051】
次に、レセプタクル70の構成について図1及び図6を参照して説明する。
レセプタクル70はこの例では防水光コネクタプラグ60が両側からそれぞれ接続される中継用のレセプタクルとされ、一対のシェル71とスリーブ75と係止部材76と防水部材77とによって構成されている。
【0052】
シェル71は円筒部72と、その円筒部72の一端に設けられたフランジ部73とよりなる。円筒部72の外周面には防水光コネクタプラグ60の係合部材61とのバイヨネット接続を可能にするため、終端にくぼみ72aを形成した一対の溝72bが互いに対向する位置に形成されている。
【0053】
一対のシェル71はフランジ部73同士が突き合わされて固定一体化される。フランジ部73同士の固定はねじ78を使用して行われる。この際、両フランジ部73間には防水部材77が挟み込まれる。防水部材77はOリングとされ、Oリングを位置させるための円形をなす溝73aがフランジ部73に形成されている。
【0054】
スリーブ75と係止部材76は固定一体化された一対のシェル71内に収容保持されている。係止部材76は筒状をなすスリーブ75を保持する保持部76aと係止片76bとを備えており、係止片76bの先端には防水光コネクタプラグ60の光コネクタ40の第2の係止部41cと係合して光コネクタ40を係止する係止突起76cが形成されている。なお、シェル71には防水光コネクタプラグ60のコネクタ部材50に形成されているキー53と係合するキー溝74が形成されている。
【0055】
図7は上記のような構成とされたレセプタクル70に防水光コネクタプラグ60が挿入接続される様子を示したものであり、防水光コネクタプラグ60を図中、矢印aで示したように単にレセプタクル70に押し込むことにより防水光コネクタプラグ60はレセプタクル70に接続される。この際、防水光コネクタプラグ60の係合部材61はレセプタクル70のシェル71の円筒部72にバイヨネット接続され、即ち係合部材61に形成されている突起61aが円筒部72の溝72bの側壁に案内されることにより係合部材61がコイルバネ62の付勢力に抗して回動しながら進んだ後、突起61aがくぼみ72aにはまり込むことによって係合部材61が円筒部72に係止されて接続される。
【0056】
一方、図8はレセプタクル70から防水光コネクタプラグ60が取り外される様子を示したものであり、防水光コネクタプラグ60の係合部材61を矢印b方向に回転させ、突起61aをシェル71の円筒部72のくぼみ72aから離脱させた後、矢印c方向に引き抜くことによって防水光コネクタプラグ60をレセプタクル70から取り外すことができる。
【0057】
図9は防水光コネクタプラグ60とレセプタクル70とが接続された状態を示したものであり、図10は防水光コネクタプラグ60がレセプタクル70に接続される様子を断面図で示したものである。
【0058】
図10Bに示したように光コネクタ40を収容保持したコネクタ部材50がレセプタクル70の円筒部72に挿入されると、コネクタ部材50の挿入接続部51の前縁部51bによって係止片76bの係止突起76cが持ち上げられた後、図10Cに示したように復帰し、これにより光コネクタ40の第2の係止部41cが係止片76bによって抜け止め係止され、光コネクタ40がレセプタクル70に挿入接続される。光コネクタ40のフェルール42はスリーブ75に挿入され、コネクタ部材50の本体部52の前端側はシェル71の円筒部72に挿入嵌合される。また、係合部材61は円筒部72の外周面に係合して位置される。
【0059】
なお、レセプタクル70から防水光コネクタプラグ60を取り外す際は前述したように係合部材61を回転させた後、引き抜くことにより行われるが、この際、例えば外殻部材63や係合部材61を持っての引き抜きに伴い、まずコネクタ部材50が引き抜き方向に、図5Cに示した間隙S分、変位し、その後に光コネクタ40がコネクタ部材50と一体となって(同時に)引き抜かれる。このようにコネクタ部材50が間隙S分、まず最初に動くことによって、コネクタ部材50の係止解除部54によってレセプタクル70の係止部材76の係止突起76cが持ち上げられ、係止が解除されるものとなっている。
【0060】
次に、図9Bを参照して防水光コネクタプラグ60とレセプタクル70とよりなる防水光コネクタ装置の防水構造について詳述する。
【0061】
防水光コネクタプラグ60の光ファイバケーブル80導出部分にはゴムよりなる第1の防水部材64が配されており、この第1の防水部材64はカップリングナット66の外殻部材63への螺合により圧縮されて外殻部材63の内周面と光ファイバケーブル80の外周面との間の空間を密閉する。これにより、防水光コネクタプラグ60の後端部分の防水性が確保される。
【0062】
コネクタ部材50の本体部52の後端に配されているOリングよりなる第3の防水部材68は外殻部材63を本体部52にねじ69を使用して連結固定する際、外殻部材63の内周面と本体部52とによって挟み込まれて、それら間の空間を密閉する。これにより、本体部52への外殻部材63の取り付け部分の防水性が確保される。
【0063】
コネクタ部材50の本体部52の前端に配されているOリングよりなる第2の防水部材67は本体部52がレセプタクル70の円筒部72に挿入嵌合された際、円筒部72の内周面と本体部52とによって挟み込まれて、それら間の空間を密閉する。これにより、本体部52のレセプタクル70への挿入嵌合部分の防水性が確保される。
【0064】
このように、この例では防水性が確保されるものとなっており、レセプタクル70の両側に防水光コネクタプラグ60がそれぞれ接続されることにより、一方の防水光コネクタプラグ60が取り付けられている光ファイバケーブル80から他方の防水光コネクタプラグ60が取り付けられている光ファイバケーブル80までの間の防水性を良好に確保することができる。
【0065】
一方、このような防水性を確保しつつ、この例では従来より防水光コネクタプラグ60のレセプタクル70と接続される前端側の外径を小さくすることができる。これはコネクタ部材50が挿入接続部51の後端側に挿入接続部51と一体形成された本体部52を具備するものとし、その本体部52にレセプタクル70の円筒部72とバイヨネット接続する係合部材61を取り付けるように構成したことによるもので、コネクタ部材50の回りには係合部材61のみが配置され、つまり図16,17に示した従来の防水光コネクタプラグ10のように本体部14の筒部14cと結合部材18とが2重に位置しないため、前端側外径の小径化を図ることができる。また、これに伴い、レセプタクル70の小径化も図ることができる。
【0066】
なお、この例では上述したように、光コネクタ40を収容保持するコネクタ部材50は挿入接続部51と本体部52とが一体形成されたものとなっており、これにより防水光コネクタプラグ60の先端に、つまり係合部材61より突出しているコネクタ部材50に荷重が加わった際の強度を従来よりも向上させることができる。また、例えばコネクタ部材50を金属製とすれば、さらに強度を向上させることができる。
【0067】
上述した例では太い光ファイバケーブル80の先端に防水光コネクタプラグ60が取り付けられ、つまり防水光コネクタプラグ60のカップリングナット66から太い光ファイバケーブル80が導出された構成となっているが、これに限らず、例えば細い光ファイバコード81の先端に防水光コネクタプラグ60が取り付けられる場合であってもその導出部分の防水性を確保することができる。図11及び図12はこの場合の構成例を示したものである。
【0068】
光コネクタ40はこの例ではブーツ43付きのSC2コネクタとされ、光ファイバコード81の先端に取り付けられている。光ファイバコード81は太い保護管85に通されており、この保護管85がカップリングナット66から導出されるものとなっている。保護管85が導出される部分の防水性は第1の防水部材64を挟み込んでカップリングナット66を外殻部材63に締め付けることで前述した例と同様に確保することができる。
【0069】
このように光ファイバコード81が保護管85に通され、保護管85で保護されている場合であっても防水性を確保することができる。また、このように光ファイバコード81を保護管85に通すようにすれば、光ファイバコード81の外径に左右されることなく、防水性を確保することができる。
【0070】
図13はレセプタクルの他の構成を示したものである。この図13に示したレセプタクル90は例えばパネル等の壁面に取り付けられて使用されるもので、レセプタクル70の各部と対応する部分には同一符号を付してある。
【0071】
レセプタクル90は円筒部72と、その円筒部72の一端に設けられたフランジ部73とよりなるシェル71を備えており、このシェル71にはフランジ部73に対し、円筒部72と反対側に突出するように筒状をなすハウジング91が取り付けられている。ハウジング91は2本のねじ92によりフランジ部73に固定されている。スリーブ75及び係止部材76はシェル71及びハウジング91にまたがって収容保持されている。
【0072】
図14及び図15はそれぞれレセプタクル90及びレセプクタル90に接続される防水光コネクタプラグ60、光コネクタ45を示したものであり、光コネクタ45はこの例ではSCコネクタとされている。
【0073】
レセプタクル90はフランジ部73のハウジング91側の面が取り付け面とされ、パネル100に4本のねじ101によりねじ止めされて取り付けられている。フランジ部73の溝73aに配されているOリングよりなる防水部材77はフランジ部73とパネル100との間に挟み込まれる。
【0074】
シェル71の円筒部72には防水光コネクタプラグ60が挿入接続される。一方、ハウジング91には光コネクタ45が挿入接続される。防水光コネクタプラグ60のフェルール42及び光コネクタ45のフェルール42はそれぞれスリーブ75に、その両端から挿入され、また防水光コネクタプラグ60の光コネクタ40及び光コネクタ45はそれぞれ係止部材76によって係止される。これによりレセプタクル90を介して防水光コネクタプラグ60と光コネクタ45とが光接続される。
【0075】
この構成においても防水光コネクタプラグ60とレセプタクル90とよりなる防水光コネクタ装置により、パネル100の外側において良好な防水性が確保されるものとなる。
【0076】
以上説明した実施例においては光コネクタとして汎用のSCコネクタ(SC2コネクタ)を用いるものとしているが、光コネクタはこれに限るものではなく、例えば汎用のMUコネクタを用いるものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
40 光コネクタ 41 ハウジング
41b 第1の係止部 41c 第2の係止部
42 フェルール 50 コネクタ部材
51 挿入接続部 52 本体部
61 係合部材 62 コイルバネ
63 外殻部材 64 第1の防水部材
65 滑りリング 66 カップリングナット
67 第2の防水部材 68 第3の防水部材
70 レセプタクル 71 シェル
72 円筒部 73 フランジ部
75 スリーブ 76 係止部材
77 防水部材 80 光ファイバケーブル
81 光ファイバコード 82 光ファイバ
85 保護管 90 レセプタクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを備え、そのハウジング内に光ファイバの端末に取り付けられたフェルールを保持する光コネクタと、
前記光コネクタを収容保持し、前記光コネクタの前記フェルールが位置する側を囲む挿入接続部と、その挿入接続部の後端に続く本体部とが一体形成されてなり、前記挿入接続部が相手方レセプタクルに挿入接続され、前記本体部が前記レセプタクルに突出形成されている円筒部に挿入嵌合されるコネクタ部材と、
筒状とされて前記コネクタ部材の回りに配置され、後端部が前記本体部に回動可能に取り付けられ、前記円筒部の外周面に係合される係合部材と、
筒状とされ、その前端部が前記本体部の後端部分を囲んで前記本体部に連結固定された外殻部材と、
前記外殻部材の後端に螺合され、その中央貫通穴から前記光ファイバのケーブルもしくは前記光ファイバを囲む保護管が導出されるカップリングナットと、
前記ケーブルもしくは保護管の回りに配される第1の防水部材と、
前記本体部の前端及び後端にそれぞれ配される第2及び第3の防水部材とよりなり、
前記第1の防水部材は前記カップリングナットの螺合により圧縮されて、前記外殻部材の内周面と前記ケーブルもしくは保護管の外周面との間の空間を密閉し、
前記第2の防水部材は前記本体部が前記円筒部に挿入嵌合された際、前記円筒部の内周面と前記本体部とによって挟み込まれて、それら間の空間を密閉し、
前記第3の防水部材は前記外殻部材の内周面と前記本体部とによって挟み込まれて、それら間の空間を密閉していることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項2】
請求項1記載の防水光コネクタプラグにおいて、
前記コネクタ部材は金属製とされていることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項3】
請求項1記載の防水光コネクタプラグにおいて、
前記第1の防水部材は円筒状をなすゴムとされていることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項4】
請求項1記載の防水光コネクタプラグにおいて、
前記第2及び第3の防水部材はOリングとされていることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項5】
請求項1記載の防水光コネクタプラグにおいて、
前記本体部と前記係合部材との間に、前記係合部材を回動方向に付勢するバネが配され、
前記係合部材は前記円筒部にバイヨネット接続により係合固定されることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項6】
請求項1記載の防水光コネクタプラグにおいて、
前記光コネクタはJIS C 5973により規格化されているSC2コネクタであることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項7】
請求項6記載の防水光コネクタプラグにおいて、
前記光コネクタを収容した前記コネクタ部材の前記挿入接続部はJIS C 5973により規格化されているSCコネクタの挿入接続側部分と同一形状とされていることを特徴とする防水光コネクタプラグ。
【請求項8】
請求項1乃至7記載のいずれかの防水光コネクタプラグと、その防水光コネクタプラグと接続されるレセプタクルとよりなる防水光コネクタ装置であって、
前記レセプタクルは前記防水光コネクタプラグが両側からそれぞれ接続される中継用のレセプタクルとされ、
前記レセプタクルは、
前記円筒部と、その円筒部の一端に設けられたフランジ部とよりなる一対のシェルと、
前記フェルールが挿入されるスリーブと、
前記光コネクタを係止する係止部材とを備え、
前記一対のシェルは前記フランジ部同士が防水部材を挟み込んで固定一体化され、その固定一体化された一対のシェル内に前記スリーブと前記係止部材が収容保持されていることを特徴とする防水光コネクタ装置。
【請求項9】
請求項1乃至7記載のいずれかの防水光コネクタプラグと、その防水光コネクタプラグと接続されるレセプタクルとよりなる防水光コネクタ装置であって、
前記レセプタクルは、
前記円筒部と、その円筒部の一端に設けられたフランジ部とよりなるシェルと、
前記フランジ部に対し、前記円筒部と反対側に突出するように前記シェルに取り付けられ、前記防水光コネクタプラグと光接続される他の光コネクタが挿入されるハウジングと、
前記フェルール及び前記他の光コネクタのフェルールが挿入されるスリーブと、
前記光コネクタ及び前記他の光コネクタを係止する係止部材とを備え、
前記シェル及び前記ハウジングにまたがって前記スリーブと前記係止部材が収容保持され、
前記フランジ部の前記ハウジング側の取り付け面に防水部材が配されていることを特徴とする防水光コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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