説明

防水型レンズ付きフイルムユニット

【課題】 陸上撮影時から変更操作することなく、水中撮影時での水深に応じた露光量に変更する。
【解決手段】 防水型レンズ付きフイルムユニットを、防水ケース、ユニット本体から構成する。防水ケースは、ケース本体5、蓋体からなる。ケース本体5の上面に、変形部材13を取り付ける。遮光筒の内部に、絞り変更機構40を設ける。絞り変更機構40の左絞り羽根42及び右絞り羽根43を、基盤41に回動自在に取り付ける。左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、回動レバー45が時計方向に回動すると絞り開放方向に回動し、回動レバー45が反時計方向に回動すると絞り閉じ方向に回動する。コイルバネ47により、回動レバー45を反時計方向に付勢する。変形部材13の下方への変形に応じて圧力移動レバー48が下方に移動すると、回動レバー45が時計方向に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中撮影が可能な防水型レンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手軽に誰でも写真撮影が楽しめる1回使用型の簡易型カメラであるレンズ付きフイルムユニット)が普及している。予め写真フイルムが装填された状態で販売されているレンズ付きフイルムユニットは、撮影後は写真フイルムを取り出すことなく、そのままの状態で現像取扱店に出せば良いという簡便さと安価なことから、一般に広く利用されている。このようなレンズ付きフイルムユニットを水中でも利用できるようにする目的で、水密構造にした防水ケースにレンズ付きフイルムユニットを収納し、防水ケースの外から撮影操作ができるようにした防水型レンズ付きフイルムユニットが知られている。
【0003】
防水型レンズ付きフイルムユニットは、陸上でも水中でも撮影可能であるが、水深の深いところで水中撮影を行うと太陽光線が届きにくいため、露光不足となって暗く露光アンダーの写真となることが多いという問題点があった。そこで、特許文献1の防水カメラ及びその製造方法では、外部から操作可能であって、小絞りと大絞りとに切り替えることができる絞り切換レバーを設け、水深の深いところで水中撮影を行う場合には、切り替えレバーを操作して大絞りに切り替えることによって、露光不足を解消している。
【特許文献1】特開2003−270699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、絞り切換レバーを操作して小絞りと大絞りとを切り替えているため、大絞りに切り替えた後に、水面付近や陸上で撮影を行う場合には、再度絞り切換レバーを操作して小絞りに切り替える必要があり、その作業は撮影者にとって煩わしいものであった。また、大絞りのまま水面付近や陸上で撮影を行った場合には、露光オーバーの写真となってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、水中撮影が可能であって、陸上撮影時から変更操作することなく、水中撮影時での水深に応じた露光量に変更することのできる防水型レンズ付きフイルムユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の防水型レンズ付きフイルムユニットは、写真フイルムが装填されるとともに撮影機構が組み込まれたユニット本体と、前記ユニット本体を水密に収容する防水ケースと、を有する防水型レンズ付きフイルムユニットにおいて、撮影光路内で移動して撮影光の光量調整を行う絞り羽根と、前記絞り羽根を絞り閉じ方向に付勢する付勢手段と、前記防水ケースに外部から所定以上の圧力が加わったときに、加わる圧力量に応じて前記絞り羽根を絞り開放方向に移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
なお、前記移動機構は、前記加わる圧力量に応じて変形する弾性変形可能な変形部材と、前記変形部材の変形量に応じて移動して前記絞り羽根を移動させる移動部材とを備えることが好ましい。また、前記所定の圧力を変更する変更操作手段を備えることが好ましい。なお、前記変更操作手段は、前記防水ケースの外部から操作可能であることが好ましい。また、前記変更操作手段は、前記付勢手段の付勢力を変更することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防水型レンズ付きフイルムユニットによれば、写真フイルムが装填されるとともに撮影機構が組み込まれたユニット本体と、ユニット本体を水密に収容する防水ケースと、を有する防水型レンズ付きフイルムユニットにおいて、撮影光路内で移動して撮影光の光量調整を行う絞り羽根と、絞り羽根を絞り閉じ方向に付勢する付勢手段と、防水ケースに外部から所定以上の圧力が加わったときに、加わる圧力量に応じて絞り羽根を絞り開放方向に移動させる移動機構と、を備えたから、所定以上の圧力が加わらない陸上での撮影時から変更操作することなく、所定以上の圧力が加わる水中撮影時での露光不足を回避することができる。さらには、水深に応じて変化する水圧に応じて絞り羽根を移動して絞りを変更することができるため、水深に応じた最適な露光量で撮影を行うことができる。
【0009】
また、所定の圧力を変更する変更操作手段を備えたから、水中撮影の場合には、水の透明度、外気の天候等に応じて所定の圧力を変更することにより、環境に応じた最適な露光量で撮影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図2に示すように、防水型レンズ付きフイルムユニット2は、プラスチックの成形品からなる防水ケース3と、その内部に水密に収容されるユニット本体4とから構成されている。防水ケース3は、ユニット本体4の前面及び側面を覆うケース本体5と、背面を覆う蓋体6とからなる。ケース本体5には、レリーズレバー7、巻上げノブ8が設けられるとともに、前面窓11及び天窓12が形成されている。ケース本体5は、不透明プラスチックの成形品で構成されているが、前面窓11及び天窓12には、透明プラスチックが用いられている。蓋体6は、前面窓11と同様な透明プラスチックから構成されており、ケース本体5との接合箇所には、水密性を保つためのゴムパッキンが設けられている。また、ケース本体5の上面には、外部から加わる圧力(水圧や気圧等)に応じて下方に変形する弾性変形可能なゴム製の変形部材13が取り付けられている。
【0011】
ユニット本体4の前面には、撮影レンズ14とファインダレンズ15とが露呈されており、いずれも前面窓11に対面する。また、ユニット本体4の天面には、カウンタ表示窓16が設けられ、カウンタ板17(図3参照)上の目盛りにより、残りの撮影回数が表示される。このカウンタ表示窓16は、ケース本体5の天窓12に対面するので、防水ケース3の外側から撮影回数を確認することができる。
【0012】
図3に示すように、ユニット本体4は、各種撮影機構が組み込まれた本体基部20と、その前後を覆う遮光カバー21a,21bとからなり、いずれも黒色プラスチックの成形品で構成されている。本体基部20には、その上部に周知のシャッタチャージ機構、フイルム巻止め機構、フイルムカウント機構、ファインダ光学系などが設けられ、側部には、カートリッジ室22及びフイルム室23が一体に形成されている。また、本体基部20の撮影レンズ14の背部には、遮光筒24が設けられている。
【0013】
フイルムカートリッジ25から引き出された写真フイルム26は、ロール状に巻かれてフイルム室23に収納される。一方、フイルムカートリッジ25は、カートリッジ室22に収納される。カートリッジ室22の上部に設けられた巻上げギア27は、その下端でフイルムカートリッジ25のスプール28と係合する。また、巻上げギア27は、前述の巻上げノブ8とその軸上で噛合しており、巻上げノブ8の回転操作に伴ってスプール28を回転させる。スプール28の回転により、フイルム室23内の写真フイルム26がフイルムカートリッジ25に向かって移動し、これに伴ってシャッタチャージが行われる。
【0014】
遮光カバー21aには、撮影レンズ14、ファインダレンズ15、巻上げギア27を露呈させる各開口のほか、シャッタチャージ機構を露呈させる開口29が形成されている。前述のレリーズレバー7の操作変位は、開口29を介してシャッタチャージ機構に伝達される。レリーズレバー7が回動操作されると、シャッタチャージが解除されるとともにシャッタレリーズ機構が動作してシャッタレリーズが行われる。
【0015】
本体基部20の背面を覆う遮光カバー21bは、カートリッジ室22とフイルム室23の後部を覆って、予め装填された写真フイルム26を遮光するとともに、フイルムガイド32によって両室の間にフイルム給送路を形成する。
【0016】
図4に示すように、遮光筒24の内部であって撮影レンズ14の後方には、撮影光軸L上にシャッタ羽根35、コイルバネ36が設けられている。シャッタ羽根35には、ピンに挿通されて揺動自在に保持される孔35aと、露光開口24aの前方に配置されて露光開口24aの開閉を行う開閉部35bと、コイルバネ36の一端が掛けられるピン35cと、シャッタ駆動レバー(図示せず)によって蹴飛ばされる突出部35dとが設けられている。シャッタ羽根35は、コイルバネ36に付勢されて露光開口24aを塞ぐ閉じ位置に保持されている。レリーズレバー7が回動操作されると、シャッタ駆動レバーによって突出部35dが図中左方から右方へと蹴飛ばされ、コイルバネ36の付勢に抗して開閉部35bが時計回り方向に回動する。これにより、露光開口24aが開放されて写真フイルム26が露光される。
【0017】
図5は、遮光筒24の内部であって撮影レンズ14とシャッタ羽根35との間に設けられた絞り変更機構40を示す分解斜視図である。絞り変更機構40は、基盤41、左絞り羽根42、右絞り羽根43を備える。基盤41には、撮影光を通過させる開放絞り開口41a、回動ピン45bを挿通させるピン挿通穴41b、絞り羽根42、43を取り付けるための取付孔41c、絞り羽根42、43を閉じ位置(図6及び図7参照)に係止するための係止突起41d、左絞り羽根42を受けるための受け部41eが形成されている。基盤41は、開放絞り開口41aが撮影光軸L上に位置するように設けられている。
【0018】
左絞り羽根42には、取付孔42a、ピン挿通孔42bが形成され、右絞り羽根43には、取付孔43a、ピン挿通孔43bが形成されている。左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、取付孔42a、取付孔43aを中心に回動可能に設けられており、閉じ位置(図6及び図7参照)に位置するときに最小絞り開口G1を形成し、開放位置(図8参照)まで回動したときに基盤41の開放絞り開口41aを開放するような板状に形成されている。
【0019】
回動レバー(移動部材)45は、板状の本体部45a、本体部45aの図5における左側端部に形成された回動ピン45bを備え、回動軸孔45cを中心に基盤41の後面側であってユニット本体4の内部に回動自在に設けられている。回動ピン45bは、基盤41のピン挿通穴41b、右絞り羽根43のピン挿通孔43b、左絞り羽根42のピン挿通孔42bの順に挿通されている。
【0020】
図6に示すように、取付ピン46を、左絞り羽根42の取付孔42a、右絞り羽根43の取付孔43aの順に挿通させて、基盤41の取付孔41cに取り付けると、左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、基盤41に回動自在に取り付けられる。左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、回動レバー45が時計方向に回動すると絞り開放方向に回動し、回動レバー45が反時計方向に回動すると絞り閉じ方向に回動する。
【0021】
図7及び図8に示すように、ユニット本体4の内部には、コイルバネ47が設けられている。コイルバネ47は、一端がユニット本体4の内部に取り付けられ、他端が回動レバー45に取り付けられており、回動レバー45は、コイルバネ47により反時計方向に付勢されている。なお、図7は、左絞り羽根42及び右絞り羽根43が閉じ位置に位置し、最小絞り開口G1(図中ハッチングされたエリア)を形成するときの正面図であり、図8は、左絞り羽根42及び右絞り羽根43が開放位置に位置し、基盤41の開放絞り開口41aを開放するときの正面図である。左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、コイルバネ47により反時計方向に付勢される回動レバー45によって、絞り閉じ方向に付勢された状態となり、通常時(ケース本体5に移動開始圧力P1(所定の圧力)以上の圧力が加わっていないとき)には、左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、閉じ位置に位置する。本実施形態では、左絞り羽根42及び右絞り羽根43を絞り閉じ方向に付勢する付勢手段は、回動レバー45、コイルバネ47から構成されている。
【0022】
ユニット本体4の内部には、上下方向に移動可能な圧力移動レバー(移動部材)48が設けられている。圧力移動レバー48の下端は、回動レバー45の右側上面に当接している。これにより、圧力移動レバー48の移動に応じて、回動レバー45が回動することとなる。また、圧力移動レバー48の上端は、遮光カバー21aの上面から突出し、ケース本体5に取り付けられた変形部材13の内面に当接している。変形部材13は、外部から加わる圧力に応じて下方に変形するため、この変形部材13の下方への変形に応じて、圧力移動レバー48が下方に移動することとなる。
【0023】
回動レバー45は、コイルバネ47により反時計方向に付勢されており、この付勢により、圧力移動レバー48は上方に付勢された状態となる。これにより、微小の圧力や振動が変形部材13に加わったとしても、コイルバネ47の付勢により、圧力移動レバー48が下方に移動することがない。コイルバネ47の付勢に抗して、圧力移動レバー48が下方に移動する移動開始圧力P1(所定の圧力)以上の圧力が変形部材13に加わると、変形部材13が下方に変形して圧力移動レバー48が下方に移動し、それに応じて回動レバー45が時計方向に回動する。すなわち、移動開始圧力P1は、コイルバネ47のバネ加重によって決定される。そして、最大移動圧力P2が変形部材13に加わったときに、図8に示すように、変形部材13、圧力移動レバー48、回動レバー45を介して、左絞り羽根42及び右絞り羽根43が開放位置まで絞り開放方向に回動し、基盤41の開放絞り開口41aが開放される。なお、最大移動圧力P2以上の圧力が変形部材13に加わった場合にも、それ以上、圧力移動レバー48が下方に移動しないようにされている。また、移動開始圧力P1が、陸上での気圧よりも大きく、最小絞り開口G1では露光不足となる水深での水圧となるように、コイルバネ47のバネ加重は決定される。
【0024】
図9は、移動開始圧力P1と最大移動圧力P2との差圧を差圧量P3とし、変形部材13に圧力P4(移動開始圧力P1+(差圧量P3/4))の圧力が加わり、圧力移動レバー48、回動レバー45を介して、左絞り羽根42及び右絞り羽根43が絞り開放方向に回動し、図中ハッチングされたエリアの絞り開口G2を形成するときの正面図である。絞り開口G2は、最小絞り開口G1よりも大きく、基盤41の開放絞り開口41aよりも小さい開口となる。本実施形態では、防水ケース3に外部から移動開始圧力P1(所定の圧力)以上の圧力が加わったときに、加わる圧力量に応じて左絞り羽根42及び右絞り羽根43を絞り開放方向に移動させる移動機構は、変形部材13、回動レバー45、圧力移動レバー48から構成されている。また、左絞り羽根42及び右絞り羽根43の回動に応じて、シャッタ速度を切り替えるようにしてもよい。
【0025】
上記のように構成された防水型レンズ付きフイルムユニット2の作用について説明する。撮影者が、陸上で撮影を行う場合には、変形部材13は変形しないため、最小絞り開口G1での撮影となる。一方、水中で撮影を行う場合、水深が深くなると、水圧が増加し、変形部材13に加わる水圧が移動開始圧力P1以上の圧力となると、変形部材13が下方に変形して圧力移動レバー48が下方に移動し、それに応じて回動レバー45が時計方向に回動する。回動レバー45が、時計方向に回動すると、それに応じて左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、絞り開放方向に回動し、例えば、変形部材13に圧力P4(移動開始圧力P1+(差圧量P3/4))の水圧が加わる水深では、図9に示すように、絞り開口G2が形成される。このときに、撮影者が撮影を行うと、絞り開口G2での撮影となる。変形部材13に圧力P4の水圧が加わる水深では、陸上撮影時、及び移動開始圧力P1以下の水圧となる水深での撮影時に比べて太陽光線が届きにくくなるが、陸上撮影時、及び移動開始圧力P1以下の水圧となる水深での撮影時の最小絞り開口G1よりも開口の大きい絞り開口G2で撮影を行うため、露光不足を解消することができる。
【0026】
また、撮影者が、変形部材13に最大移動圧力P2が加わる水深では、図8に示すように基盤41の開放絞り開口41aが開放され、このときに撮影を行うと、開放絞り開口41aでの撮影となる。変形部材13に最大移動圧力P2が加わる水深では、変形部材13に圧力P4(移動開始圧力P1+(差圧量P3/4))の水圧が加わる水深での撮影時に比べて太陽光線が届きにくくなるが、絞り開口G2よりも開口の大きい開放絞り開口41aで撮影を行うため、露光不足を解消することができる。
【0027】
このように、水中で撮影を行う場合、水深が深くなると増加する水圧の変化に応じて、撮影時の絞り開口を変更する(水深が深くなり水圧が増加すると、絞りを開放する)ことができるため、陸上撮影時に比べて太陽光線が届きにくくなることに起因する露光不足、及び、水深が深くなるに伴い太陽光線が届きにくくなることに起因する露光不足を解消することができる。
【0028】
さらに、陸上撮影時と水中撮影時とで設定を切り替える設定切替スイッチ等を設ける必要がないため、この設定切替スイッチの切り替え忘れによる露光オーバーまたは露光不足の発生を防止することができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、左絞り羽根42と右絞り羽根43とにより撮影光の光量(絞り)調整を行うようにしたが、絞り羽根の個数は、2個に限定されることなく、適宜変更可能である。さらに、左絞り羽根42及び右絞り羽根43は、回動(移動)により絞り開口の大きさを変更して撮影光の光量調整を行うことができればよく、その形状は適宜変更可能である。
【0030】
また、上記実施形態では、回動レバー45の回動に応じて左絞り羽根42及び右絞り羽根43を回動するようにしたが、これに限定されることなく、モータやソレノイド等を用いて、電気的に左絞り羽根42及び右絞り羽根43を回動するようにしてもよい。
【0031】
図10、図11及び図12に他の実施形態を示す。上記実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を簡略化する。図10に示すように、この実施形態では、カバー本体5の前面には、透明度切替ボタン51と天候切替ボタン52とが、上下方向に移動可能に取り付けられている。カバー本体5の前面には、透明度切替ボタン51の移動範囲における上側端部に「透明」マークが、下側端部に「にごり」マークが、それぞれ印刷や刻印等により表示されている。カバー本体5の前面には、天候切替ボタン52の移動範囲における上側端部に「快晴」マークが、下側端部に「曇り」マークが、それぞれ印刷や刻印等により表示されている。
【0032】
図11に示すように、カバー本体5の前面には、透明度切替ボタン51の軸51bを挿通するための第1挿通孔5aと、天候切替ボタン52の軸52bを挿通するための第2挿通孔5bとが形成されている。ユニット本体4の遮光カバー21aの前面には、透明度切替ボタン51の軸51bを挿通するための第1挿通孔21cと、天候切替ボタン52の軸52bを挿通するための第2挿通孔21dとが形成されている。
【0033】
透明度切替ボタン51は、つまみ51aと軸51bとからなり、つまみ51aは、カバー本体5の前面から操作可能に突出している。天候切替ボタン52は、つまみ52aと軸52bとからなり、つまみ51aは、カバー本体5の前面から操作可能に突出している。
【0034】
カバー本体5とユニット本体4との間には、ゴム製の水密板53が2個設けられている。水密板53は、第1挿通孔5a及び第2挿通孔5bから防水型レンズ付きフイルムユニット2内部に水が入るのを防止するためのものであり、軸51bまたは軸52bを挿通するための挿通孔53aが形成されている。軸51bを、第1挿通孔5a、挿通孔53a、第1挿通孔21cの順に挿通すると、透明度切替ボタン51は、上下方向に移動可能に取り付けられる。このとき、水密板53は、カバー本体5の後面に密着した状態となる。透明度切替ボタン51の移動に伴い水密板53が移動するときも、水密板53は、カバー本体5の後面に密着した状態で移動する。さらに、水密板53は、透明度切替ボタン51をどの位置に移動させたときにも、第1挿通孔5aを遮蔽する大きさで形成されている。これにより、第1挿通孔5aから防水型レンズ付きフイルムユニット2内部に水が入るのを防止することができる。同様にして、天候切替ボタン52も、上下方向に移動可能に取り付けられ、水密板53により、第2挿通孔5bから防水型レンズ付きフイルムユニット2内部に水が入るのが防止される。
【0035】
図12に示すように、ユニット本体4の内部には、透明度切替コイルバネ55と、天候切替コイルバネ56とが設けられている。透明度切替コイルバネ55は、上側の一端が透明度切替ボタン51の軸51bに取り付けられ、他端が回動レバー45に取り付けられている。天候切替コイルバネ56は、上側の一端が天候切替ボタン52の軸52bに取り付けられ、他端が回動レバー45に取り付けられている。本実施形態では、左絞り羽根42及び右絞り羽根43を絞り閉じ方向に付勢する付勢手段は、回動レバー45、透明度切替コイルバネ55、天候切替コイルバネ56から構成されている。
【0036】
回動レバー45は、透明度切替コイルバネ55及び天候切替コイルバネ56により反時計方向に付勢されており、この付勢により、圧力移動レバー48は上方に付勢された状態となる。本実施形態では、移動開始圧力P1は、透明度切替コイルバネ55のバネ加重及び天候切替コイルバネ56のバネ加重によって決定される。すなわち、透明度切替コイルバネ55及び天候切替コイルバネ56のバネ加重が増加すると、移動開始圧力P1は高くなり、上記バネ加重が減少すると、移動開始圧力P1は低くなる。
【0037】
防水型レンズ付きフイルムユニット2で水中撮影を行うとき、水の透明度によって太陽光線が届く量が変化する。水がにごっているときには、水が透明なときに比べて、届く太陽光線の量が少なくなる。このため、同一の水深で水中撮影を行う場合にも、水がにごっているときには、水が透明なときに比べて絞りを開放する(移動開始圧力P1を低くする)必要がある。
【0038】
透明度切替ボタン51を、「透明」マークの位置から「にごり」マークの位置まで下方に移動すると、軸51bに取り付けられた透明度切替コイルバネ55の一端も下方に移動し、それに応じて、透明度切替コイルバネ55のバネ加重が減少し、透明度切替コイルバネ55による回動レバー45への付勢力が減少する。これにより、移動開始圧力P1が、透明度切替ボタン51が「透明」マークの位置に位置するときよりも低くなる。
【0039】
また、防水型レンズ付きフイルムユニット2で水中撮影を行うとき、天候によって太陽光線が届く量が変化する。曇りのときには、快晴のときに比べて、届く太陽光線の量が少なくなる。このため、同一の水深で水中撮影を行う場合にも、曇りのときには、快晴のときに比べて絞りを開放する(移動開始圧力P1を低くする)必要がある。
【0040】
天候切替ボタン52を、「快晴」マークの位置から「曇り」マークの位置まで下方に移動すると、軸52bに取り付けられた天候切替コイルバネ56の一端も下方に移動し、それに応じて、天候切替コイルバネ56のバネ加重が減少し、天候切替コイルバネ56による回動レバー45への付勢力が減少する。これにより、移動開始圧力P1が、天候切替ボタン52が「快晴」マークの位置に位置するときよりも低くなる。本実施形態では、移動開始圧力P1(所定の圧力)を変更する変更操作手段は、透明度切替ボタン51、天候切替ボタン52、透明度切替コイルバネ55及び天候切替コイルバネ56を備えて構成されている。
【0041】
撮影者は、水中撮影を行う場合、水の透明度及び天候に応じて、透明度切替ボタン51及び天候切替ボタン52を操作する。この操作により、移動開始圧力P1(所定の圧力)を変更することができるため、同一の水深で水中撮影を行う場合にも、水の透明度及び天候に応じて変化する太陽光線量に起因する露光不足または露光オーバーを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を実施した防水型レンズ付きフイルムユニットを示す外観斜視図である。
【図2】ユニット本体とカバー本体と蓋体とを示す斜視図である。
【図3】ユニット本体を示す分解斜視図である。
【図4】シャッタ羽根とコイルバネとを示す斜視図である。
【図5】絞り変更機構を示す分解斜視図である。
【図6】左絞り羽根と右絞り羽根とが閉じ位置に位置する状態の絞り変更機構を示す斜視図である。
【図7】左絞り羽根と右絞り羽根とが閉じ位置に位置する状態のカバー本体と変形部材と遮光カバーと絞り変更機構と回動レバーとコイルバネと圧力移動レバーとを示す正面図である。
【図8】左絞り羽根と右絞り羽根とが開放位置に位置する状態のカバー本体と変形部材と遮光カバーと絞り変更機構と回動レバーとコイルバネと圧力移動レバーとを示す正面図である。
【図9】左絞り羽根と右絞り羽根とが閉じ位置と開放位置との間に位置する状態のカバー本体と変形部材と遮光カバーと絞り変更機構と回動レバーとコイルバネと圧力移動レバーとを示す正面図である。
【図10】透明度切替ボタンと天候切替ボタンとを設けた実施形態の防水型レンズ付きフイルムユニットを示す外観斜視図である。
【図11】図10に示す実施形態のユニット本体とカバー本体と透明度切替ボタンと天候切替ボタンと水密板とを示す分解斜視図である。
【図12】左絞り羽根と右絞り羽根とが閉じ位置に位置する状態のカバー本体と変形部材と遮光カバーと絞り変更機構と回動レバーと透明度切替コイルバネと天候切替コイルバネと圧力移動レバーとを示す正面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 防水型レンズ付きフイルムユニット
3 防水ケース
4 ユニット本体
5 ケース本体
6 蓋体
13 変形部材
14 撮影レンズ
20 本体基部
21a、21b 遮光カバー
24 遮光筒
24a 露光開口
26 写真フイルム
35 シャッタ羽根
40 絞り変更機構
41 基盤
41a 開放絞り開口
42 左絞り羽根
42a、43a 取付孔
42b、43b ピン挿通孔
43 右絞り羽根
45 回動レバー(移動部材)
45a 本体部
45b 回動ピン
47 コイルバネ
48 圧力移動レバー(移動部材)
51 透明度切替ボタン
52 天候切替ボタン
53 水密板
55 透明度切替コイルバネ
56 天候切替コイルバネ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真フイルムが装填されるとともに撮影機構が組み込まれたユニット本体と、前記ユニット本体を水密に収容する防水ケースと、を有する防水型レンズ付きフイルムユニットにおいて、
撮影光路内で移動して撮影光の光量調整を行う絞り羽根と、
前記絞り羽根を絞り閉じ方向に付勢する付勢手段と、
前記防水ケースに外部から所定以上の圧力が加わったときに、加わる圧力量に応じて前記絞り羽根を絞り開放方向に移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする防水型レンズ付きフイルムユニット。
【請求項2】
前記移動機構は、前記加わる圧力量に応じて変形する弾性変形可能な変形部材と、前記変形部材の変形量に応じて移動して前記絞り羽根を移動させる移動部材とを備えたことを特徴とする請求項1記載の防水型レンズ付きフイルムユニット。
【請求項3】
前記所定の圧力を変更する変更操作手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の防水型レンズ付きフイルムユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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