説明

防水扉装置

【課題】防水扉の起倒動作に伴って防水扉側方の隙間を塞ぐようにして、防水扉側方の隙間からの浸水の防止を手間なく行う。
【解決手段】収納凹部枠4に設けた、左右に隣接する複数の防水扉2と、防水扉2を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒装置20と、防水扉2同士の隙間を閉鎖可能な1個以上の隙間閉鎖部材41と、右端以外の防水扉2の右辺縁に設けた、起立位置における当該防水扉2とこれに隣接し起立位置にある防水扉2との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材41を前進により当接させる連動機構40とを備え、連動機構40は、防水扉2の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材41を後退させるとともに、防水扉2の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材41を前進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に建物や駐車場等の出入口からの浸水を防止する防水扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防水扉装置として、下記特許文献1に記載のものが知られている。当該防水扉装置では、複数の防水扉が配されており、起立した各防水扉間の隙間に対してパッキンを手動で押圧するシール機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−120594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の防水扉装置では、防水扉間の隙間からの浸水を防ぐことができるものの、防水扉を全て起立させた後で、各隙間についてパッキンを手動で押圧しなければならないし、倒伏前に手動で押圧を解除しなければならないため、煩わしい。
【0005】
また、防水扉間の隙間そのものをなくすという観点からは、単一の大きな防水扉を用いることを考え得るが、このような防水扉にあっては、防水扉を起倒するための大がかりな起倒装置が必要になってしまうし、様々な設計止水幅に柔軟に対応するのに多大なコストを要してしまう。
【0006】
そこで、請求項1に記載の発明は、防水扉の起倒動作に伴って防水扉側方の隙間を塞ぐようにして、防水扉側方の隙間からの浸水の防止を手間なく行える防水扉装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、収納凹部枠に設けた防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、防水扉側方の隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉側方の隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、連動機構は、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を前進させることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加えて、複数の防水扉間の隙間を閉塞する目的を達成するため、収納凹部枠に設けた、左右に隣接する複数の防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、防水扉同士の隙間を閉鎖可能な1個以上の隙間閉鎖部材と、1個以上の防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉とこれに隣接し起立位置にある防水扉との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、連動機構は、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を前進させることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記目的に加えて、防水扉と止水壁との間の隙間を閉塞する目的を達成するため、収納凹部枠に設けた防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、起立位置における防水扉に隣接する止水壁と、防水扉と止水壁との隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉と止水壁との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、連動機構は、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を前進させることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記目的に加えて、防水扉装置の設置の自由度を一層高くする目的を達成するため、止水壁は、着脱自在であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、上記目的に加えて、より一層止水性の良好な配置を提供する目的を達成するため、防水扉の側面と止水壁の前面とを隣接させたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、上記目的に加えて、併存する外壁を利用して止水壁をより効率良く設置する目的を達成するため、止水壁は、収納凹部枠の側辺に沿うように設置された外壁から突出するように設置されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、上記目的に加えて、防水性能をより一層向上する目的を達成するため、止水壁に、隙間閉鎖部材の角部を接触させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、上記目的に加えて、隙間閉鎖部材を引っ掛けることなく当接し、また高い防水性能を維持する目的を達成するため、防水扉と平行でない止水壁に、隙間閉鎖部材の側面を接触させ、連動機構は、隙間閉鎖部材を外側前方へ移動させることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に記載の発明は、上記目的に加えて、全体の端部からの浸水をも的確に防水する目的を達成するため、複数の防水扉全体の端部に止水壁を設け、連動機構は、止水壁と端部の防水扉の隙間に対し、隙間閉鎖部材を移動させることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に記載の発明は、上記目的に加えて、隙間閉鎖部材の閉鎖性の低下を回避して防水性能の更なる向上を図る目的を達成するため、防水扉の起立時に、防水扉又は止水壁の一方に設けた突起、軸あるいは鉤と、他方に設けた溝、穴あるいは一対の突体とが係合可能であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項11に記載の発明は、上記目的に加えて、直線上に並べられない複数の防水扉にあっても高水準の防水性能を提供する目的を達成するため、連動機構は、平面視L字状に配置された複数の防水扉の、コーナー部に係る防水扉の側方の隙間に対し、隙間閉鎖部材を前進させて閉鎖することを特徴とするものである。
【0018】
請求項12に記載の発明は、上記目的に加えて、高い防水性能を有しながら、起倒動作を一層円滑に遂行する目的を達成するため、連動機構は、隙間閉鎖部材を、防水扉の側辺より内側に入るように後退させることを特徴とするものである。
【0019】
請求項13に記載の発明は、上記目的に加えて、高い防水性能を有しながら、操作性を極めて良好にする目的を達成するため、起倒機構は、駆動源によって駆動されることで、防水扉を起倒することを特徴とするものである。
【0020】
なお、本発明は、上記目的に加えて、シンプルな構成で余分なコストをかけることなく、高い防水性能と良好な操作性を提供する目的を達成するため、連動機構は、起立状態において後下がりで倒伏状態において前下がりとなる枢軸を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アームと、枢軸と平行な状態で各連動アームに設けた支持軸とを備え、隙間閉鎖部材を、これら支持軸に対し共通に取り付け、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に対し、連動アームが自重により連動して、支持軸を介して隙間閉鎖部材を斜めに後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アームが自重により連動して、支持軸を介して隙間閉鎖部材を斜めに前進させることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明は、上記目的に加えて、動作の確実性、操作の容易性および防水性能の更なる向上を図る目的を達成するため、防水扉の起立により上昇する隙間閉鎖部材の部位と収納凹部体とを結ぶ引下部材を設け、引下部材は、防水扉が起立位置となると、隙間閉鎖部材を、引き下げることにより隙間の両側端部に圧接させることを特徴とするものである。
【0022】
更に、本発明は、上記目的に加えて、動作確実性、操作容易性ないし防水性能のより一層の向上に寄与する目的を達成するため、隙間閉鎖部材は、支持軸に取り付けた支持枠と、支持枠に対して所定量上下左右移動可能に設けた閉鎖当接部材とを備え、支持枠に、引下部材を連結し、引下部材は、閉鎖当接部材が隙間の両側端部に当接した状態で、支持枠を引き下げることを特徴とするものである。
【0023】
また更に、本発明は、上記目的に加えて、起倒動作の繰り返しを極めて円滑に行う目的を達成するため、隙間閉鎖部材は、支持軸に取り付けた支持枠と、支持枠に対して所定量上下左右移動可能に設けた閉鎖当接部材とを備え、支持枠と閉鎖当接部材との間に、付勢バネを介装し、付勢バネは、閉鎖当接部材を、支持枠に対して、起立状態における下方であって倒伏状態における前方に付勢し、支持枠は、隙間閉鎖部材が隙間の両側端部に当接した状態で、閉鎖当接部材に対し、付勢バネに抗して引き下げ可能であることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明は、上記目的に加えて、倒伏状態での安定性をより一層高める目的を達成するため、隙間閉鎖部材に、倒伏位置となった防水扉に当接する位置規制部材を設けたことを特徴とするものである。
【0025】
加えて、本発明は、上記目的に加えて、高い防水性能と極めて良好な操作性を両立する目的を達成するため、連動機構は、起立状態において隙間閉鎖部材を前方に押し付ける押付機構と、防水扉の裏面に対して垂直方向の枢軸を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アームと、各連動アームを、先端縁が隙間の後方に位置する方向に付勢する作動バネと、枢軸と平行な状態で各連動アームに設けた支持軸とを備え、隙間閉鎖部材は、これら支持軸に対し共通に、防水扉裏面に対して所定量遠近移動可能に取り付けられるとともに、案内部材によって案内される復帰部材を備えており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に対し、押付機構が隙間閉鎖部材に対する押し付けを解除し、かつ復帰部材が支持軸を介し連動アームを作動バネに抗して隙間の後方から離れる方向に回転させ、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アームが作動バネにより回転し、支持軸を介して隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を押し付けることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明は、上記目的に加えて、簡素な機構にて防水性能を高くかつ操作性を一層良好とする目的を達成するため、連動機構は、起立状態において隙間閉鎖部材を前方に押し付ける押付機構と、防水扉の裏面に対して垂直方向の枢軸を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アームと、各連動アームを、先端縁が隙間の後方から離れる方向に付勢する第1復帰バネと、枢軸と平行な状態で各連動アームに設けた支持軸とを備え、隙間閉鎖部材は、これら支持軸に対し共通に、防水扉裏面に対して所定量遠近移動可能かつ第2復帰バネにより遠隔方向へ付勢されて取り付けられ、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に対し、隙間閉鎖部材を第2復帰バネにより防水扉裏面に対する遠隔方向へ移動させ、かつ第1復帰バネにより隙間の後方から離れる方向へ移動させることで、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アームが隙間閉鎖部材の重力により第1復帰バネに抗して回転し、支持軸を介して隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を第2復帰バネに抗して押し付けることを特徴とするものである。
【0027】
更に、本発明は、上記目的に加えて、操作の確実性や防水性能をより一層向上する目的を達成するため、押付機構は、防水扉の側辺に沿う枢軸を介して回動可能に取り付けられ、防水扉の側辺から張り出し可能な当接アームと、枢軸と平行な支持軸を介して回動可能に取り付けられ、当接アームに連結して取り付けられる押圧アームと、隣接する防水扉の裏面に設けられる、少なくとも起立状態において当接アームの先端縁に当接する当接部とを備え、押圧アームは、起立状態において、当接アームが当接部に当接して回転することで前進方向へ回転し、隙間閉鎖部材を押圧することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明は、上記目的に加えて、操作性と防水性能を高い水準で両立する目的を達成するため、隙間閉鎖部材は、押付機構に対向する位置に案内斜面を備え、防水扉が起立するのに伴い押付機構を相対的に後方に案内することで、隙間閉鎖部材を前進させることを特徴とするものである。
【0029】
更に、本発明は、上記目的に加えて、シンプルな構成で、起倒に伴う隙間の確実な閉塞を提供する目的を達成するため、隙間閉鎖部材は、防水扉の側辺より内側に入る収納状態から防水扉の側辺より張り出す展開状態まで旋回可能に取り付けられた板状のものであり、連動機構は、展開状態となる方向へ隙間閉鎖部材を付勢する復帰バネを備えており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して前進させることを特徴とするものである。
【0030】
加えて、本発明は、上記目的に加えて、起倒動作に連動する形でより一層防水性能を高めることを可能とする目的を達成するため、収納凹部枠は、防水扉同士の各隙間に対応する部位に、防水扉同士の隙間の下端縁を閉塞可能な隙間下端閉鎖部材を備えており、隙間下端閉鎖部材は、防水扉の下辺に沿う枢軸を介して、回動可能とされているとともに、圧接バネにより、全体が上昇する回転方向へ付勢されており、更に、一方の防水扉の倒伏位置への移動により、防水扉の下辺縁に当接し、圧接バネに抗して隙間下端閉鎖部材全体が下降する回転方向へ回転される操作爪を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、防水扉側方の隙間を塞ぐ隙間閉鎖部材を、連動機構によって防水扉の起倒動作に連動して前後させる。よって、防水扉を起倒させるだけで隙間を塞ぎ、余分な手間なしに防水性能を飛躍的に向上できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1形態に係る防水扉装置の、倒伏状態での一部切欠平面図である。
【図2】図1のK−K線断面図である。
【図3】図2からの起立途中の状態を示す図である。
【図4】図3からの起立状態を示す図である。
【図5】図1のL−L線断面図および一部拡大図である。
【図6】図5からの起立途中の状態を示す図である。
【図7】図6からの起立状態を示す図である。
【図8】(a)〜(c)は図5〜7の拡大図に対応する斜方平面図である。
【図9】第2形態に係る防水扉装置における、倒伏状態にある場合の防水扉の一部切欠右側面図である。
【図10】(a)は図9のM−M線断面図、(b)は図9のN−N線断面図、(c)は図9のO−O線断面図である。
【図11】(a)は第3形態に係る防水扉装置における倒伏状態での防水扉の右側面図、(b)は当該防水扉装置における倒伏状態での防水扉の右側一部裏面図である。
【図12】第3形態に係る防水扉装置における起立状態での防水扉の一部拡大右側面図である。
【図13】図11(a)のP−P線断面図である。
【図14】(a)は図11(b)のQ−Q線断面図、(b)は防水扉2の起立途中における図14(a)の対応図である。
【図15】第4形態に係る倒伏状態における防水扉装置の一部切欠右側面前部説明図である。
【図16】(a)は第4形態に係る防水扉装置における起立途中での一部切欠右側面下部説明図、(b)は当該防水扉装置における起立状態での一部切欠右側面下部説明図である。
【図17】(a)は図15のR−R線断面図、(b)は図16(a)のS−S線断面図、(c)は図16(b)のT−T線断面図である。
【図18】(a)は図15のU−U線断面図、(b)は図16(a)のV−V線断面図、(c)は図16(b)のW−W線断面図である。
【図19】(a)は第5形態に係る防水扉装置における倒伏状態での防水扉左部平面図、(b)は(a)に対応する背面図、(c)は当該防水扉装置における起立状態での防水扉左部平面図および右部平面図、(d)は(c)に対応する背面図である。
【図20】(a)〜(b)は第5形態に係る防水扉装置における隙間閉鎖部材の旋回を説明する図である。
【図21】(a)は起立状態(起立途中)における第5形態に係る防水扉装置の、防水扉の一部左側面図、(b)は(a)における隙間下端閉鎖部材周辺の背面図、(b)は(a)における隙間下端閉鎖部材周辺の図である。
【図22】第6形態に係る防水扉装置における起立状態での最側方の防水扉及びその周辺の一部省略平面図である。
【図23】(a)は図22の一部前面図であり、(b)は(a)のX−X線断面図であり、(c)は(a)のY−Y線断面図である。
【図24】第7形態に係る防水扉装置における起立状態での最側方の防水扉及びその周辺の一部省略平面図である。
【図25】第8形態に係る防水扉装置における起立状態での最側方の防水扉及びその周辺の一部省略平面図である。
【図26】(a)は第9形態の防水扉装置に係る防水扉の倒伏状態での平面図であり、(b)は(a)の止水板付近の拡大図である。
【図27】第9形態の防水扉装置に係る防水扉を起立状態とした場合のコーナー部付近の斜視図である。
【図28】図26(a)における止水支柱付近の拡大図である。
【図29】図28のZ−Z線断面図である。
【図30】図28の止水支柱における防水扉側の上角部付近の斜視図(起立位置直前)である。
【図31】第10形態に係る防水扉装置における、止水支柱側最側方の起立直前の防水扉及びその周辺の斜視図である。
【図32】第11形態に係る防水扉装置における、止水支柱側最側方の起立直前の防水扉及びその周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態(第1形態〜第11形態)に係る防水扉装置について、適宜図面に基づいて説明する。なお、第1形態〜第5形態は、防水扉同士の隙間を塞ぐ点で共通する。このうち、第1形態および第2形態は、防水扉間の隙間を塞ぐ隙間閉鎖部材が斜め前後方向に移動する点で共通するため、まとめてA形態と称する。また、第3形態および第4形態は、隙間閉鎖部材が横方向と前後方向とに移動する点で共通するため、まとめてB形態と称する。更に、第5形態は、隙間閉鎖部材が旋回移動する点を特徴の一つとし、C形態と称することもある。一方、第6形態〜第11形態は、防水扉と止水壁との隙間を塞ぐ点で共通し、まとめてD形態と称する。
【0034】
[A形態]
[第1形態]
図1は、第1形態に係る防水扉装置1において、各防水扉2が倒伏位置にある状態(倒伏状態)での一部切欠平面図であり、図2は図1のK−K線断面図であり、図3は図2の倒伏状態から防水扉2を起立させた場合の途中の状態を示す図であり、図4は図3の状態を経て防水扉2が完全に起立し起立位置となった状態(起立状態)を示す図である。
【0035】
防水扉装置1は、複数の防水扉2を有する。これら防水扉2は、倒伏位置において、建物や駐車場等の出入口の床面に埋設された収納凹部体4の上部開口を閉鎖する。収納凹部体4の開口内側には、縁材6が取り付けられている。また、収納凹部体4の前部内側には、シール材8が取り付けてあり、起立位置における各防水扉2の下部は、当該シール材8に当接する。なお、収納凹部体4の前部左右端には、端に位置する防水扉2の端辺が起立時に当接するシール材10付きの扉枠12が立設されている。
【0036】
また、各防水扉2の上部と、収納凹部体4の後部とにおいて、起倒機構としての一対の起倒装置20が連結されている。起倒装置20は、支持アーム22と回動アーム24とを備えている。支持アーム22の下端縁には、駆動源26により回転駆動される駆動軸28が接続されている。加えて、各防水扉2の下部と、収納凹部体4の前部とにおいて、一対のヒンジ装置30が連結されている。なお、ここでの各防水扉2の構造は、本出願人による先の出願である特願2004−259097に示された通りであり、各防水扉2は、駆動軸28の回動により、図2ないし図4等に示すように、倒伏位置から起立位置にわたり起倒動作するものである。
【0037】
そして、右端を除く各防水扉2の裏面(倒伏位置における下面、起立位置における後面)における右辺縁(図では左辺縁)には、連動機構40を介して隙間閉鎖部材41が設置されている。図5は主に連動機構40ないしは隙間閉鎖部材41を示す図1のL−L線断面図および一部拡大図であり、図6は図5の倒伏状態から防水扉2を起立させた場合の途中の状態を示す図、図7は図6の状態を経た起立状態を示す図である。
【0038】
隙間閉鎖部材41は、図8に示すように、棒状のゴムブロック42と、前側においてゴムブロック42が固定されるとともに、後側において支持枠44が上下動可能に受け入れられる、断面逆U字状の棒体と断面U字状の棒体とが接合された閉鎖当接部材46とを有する。一方、連動機構40は、支持枠44の両端縁(倒伏状態では前後端縁、起立状態では上下端縁)のそれぞれに回動可能に取り付けられた連動アーム48と、各連動アーム48毎に設けられ、連動アーム48の一部を収容する収容部50とを備える。
【0039】
隙間閉鎖部材41は、防水扉2の右辺とほぼ平行に配置される。支持枠44と閉鎖当接部材46とは、閉鎖当接部材46の近傍においてそれぞれ設けられたピン52と、これを受け入れる、支持枠44に設けられた長孔54とを介して接続されている。支持枠44は、閉鎖当接部材46より細くなっている。
【0040】
また、連動アーム48は、第1棒状部56および第2棒状部57の端部同士が結合した、全体がL字状のブロック体であって、第1棒状部56が、収容部50において、防水扉2に対して斜め(倒伏状態では前下がり、起立状態では後下がり)の姿勢において、長手方向に貫かれた枢軸58の周りで回動可能とされているとともに、第2棒状部57が、先端縁においてほぼ直交する方向(枢軸58と平行な方向)に貫かれた支持軸59を介して、支持枠44に対しても回動可能に取り付けられている。なお、第2棒状部57は、倒伏状態ではやや後下がり、起立状態では若干前下がりとなる。
【0041】
加えて、支持枠44の前側(起立状態では前側下部)と収納凹部体4の前部底面との間において、紐状の引下部材60が渡されている。引下部材60は、防水扉2の起立により僅かに上昇する支持枠44の前部を引っ張る長さとなっており、倒伏状態では若干弛んでいる。
【0042】
このように成る第1形態に係る防水扉装置1の動作につき説明する。倒伏位置にある防水扉2が起倒装置20により右端のものから順に起立していくと、2番目以降に起立する各防水扉2の連動機構40が、次に示すように、起立動作に連動して、隙間閉鎖部材41を、先に起立した隣接する防水扉2との隙間(起立する防水扉2側方の隙間)に対して押し付ける。
【0043】
即ち、連動アーム48の第2棒状部57は、倒伏時、後下がりの姿勢で下側に位置しており(図5あるいは図8(a))、起立し始めでもこの姿勢はさほど変わらないが、起立するに従い、そのままでは後上がりになる姿勢となる。しかし、第2棒状部57にも自重ないしは支持枠44の重力が当然作用するので、ある時点(およそ図6の時点)において、第2棒状部57が下側となるように、第1棒状部56の周りで連動アーム48が回転する(図6あるいは図8(b))。
【0044】
この回転は、防水扉2の起立に伴い、自然に連動するものであり、この回転により、支持枠44および閉鎖当接部材46を介して、ゴムブロック42が前方右に前進する。なお、第2棒状部57の先端縁は、併せて下方にも移動するが、この移動は、ゴムブロック42が防水扉2に当接して下降移動が停止された後は、支持枠44の長孔54が閉鎖当接部材46のピン52に対して相対的に下方へ移動し、支持枠44が閉鎖当接部材46に対して下方に滑ることで調整される。また、この下方への移動は、引下部材60が支持枠44を引き下げることにより、円滑に行われる。一方、支持枠44が閉鎖当接部材46より細くなっているので、支持枠44は閉鎖当接部材46内で左右移動も可能であり、この左右移動によってもゴムブロック42や閉鎖当接部材46の移動が調整される。
【0045】
そして、防水扉2が起立位置となった場合には(図7あるいは図8(c))、連動アーム48の第2棒状部57が前下がりとなり、支持枠44および閉鎖当接部材46を介して、ゴムブロック42が防水扉2の背面(裏面)に押し付けられる。この押し付けは、連動アーム48あるいは支持枠44の重力により充分強固に行われるが、引下部材60による支持枠44の引き下げの作用と相まって、より一層強固に行われるものである。
【0046】
一方、防水扉2が起倒装置20により起立位置からの傾倒を始めると、丁度起立と逆の状態を辿り、即ち、図6あるいは図8(b)の時点以降において、連動アーム48の第2棒状部57が下方に移動して、接続部44、閉鎖当接部材46ないしはゴムブロック42(隙間閉鎖部材41)を下方に移動させ、防水扉2が倒伏位置(図5あるいは図8(a)、倒伏状態)となると、第2棒状部57が隙間閉鎖部材41を斜め下方(自らが設けられる防水扉2に近寄る方向かつ下方向)へ後退させる。その結果、隙間閉鎖部材41は防水扉2の側辺より内側へ入るように移動され、倒伏位置へ移動する隣接する防水扉2との干渉が回避される。
【0047】
第1形態に係る防水扉装置1では、収納凹部枠4に設けた、左右に隣接する複数の防水扉2と、防水扉2を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒装置20と、防水扉2同士の隙間を閉鎖可能な1個以上の隙間閉鎖部材41と、右端以外の防水扉2の右辺縁に設けた、起立位置における当該防水扉2とこれに隣接し起立位置にある防水扉2との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材41を前進により当接させる連動機構40とを備え、連動機構40は、防水扉2の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材41を後退させるとともに、防水扉2の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材41を前進させるので、防水扉2を起立させるのに伴って自動的に防水扉間の隙間を塞ぐことができ、様々な設計止水幅に柔軟に対応可能であり起倒が容易である複数の防水扉を用いる防水扉装置にあって、隙間からの浸水も許さない状態で、素早く浸水を阻止でき、洪水等の緊急時に適切に対応することができる。
【0048】
また、防水扉装置1にあっては、連動機構40は、隙間閉鎖部材41を、防水扉2の右辺より内側の位置まで後退させるので、当該連動機構40ないし隙間閉鎖部材41は、倒伏状態ないしは傾倒状態において、隣接する防水扉2と対向せず、よって防水扉2の起倒に際し、連動機構40ないし隙間閉鎖部材41が、隣接する防水扉2に干渉する事態を回避することができ、隙間からの浸水をも防止するような高い防水性能を有しながら、起倒動作を円滑に遂行することができる。
【0049】
更に、防水扉装置1では、起倒装置20は、駆動源ないしは駆動軸によって駆動されることで、防水扉2を起倒するので、自動的に防水扉2を起倒できるとともに、この起倒に随伴して自動的に隙間閉鎖部材41を前進ないし後退させることができ、高い防水性能を有しながら、操作性を極めて良好にすることができる。
【0050】
加えて、防水扉装置1にあって、連動機構40は、起立状態において後下がりで倒伏状態において前下がりとなる枢軸58を介して、防水扉2に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アーム48と、枢軸58と平行な状態で各連動アーム48に設けた支持軸59とを備え、隙間閉鎖部材41を、これら支持軸59に対し共通に取り付け、防水扉2の起立位置から倒伏位置への移動に対し、連動アーム48が自重により連動して、支持軸59を介して隙間閉鎖部材41を斜めに後退させるとともに、防水扉2の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アーム48が自重により連動して、支持軸59を介して隙間閉鎖部材41を斜めに前進させるので、防水扉2の起倒動作との連動を、連動アーム48に対する重力作用により実現することができ、シンプルな構成で余分なコストをかけることなく、高い防水性能と良好な操作性を提供することができる。
【0051】
また、防水扉装置1では、防水扉2の起立により上昇する隙間閉鎖部材41の部位(支持枠44前側)と収納凹部体4とを結ぶ引下部材60を設け、引下部材60は、起立状態となると、隙間閉鎖部材41を、引き下げることにより隙間の両側端部に圧接させるので、連動アーム48の自重による回転連動をより確実なものとするとともに、防水扉2が起立位置となった場合の隙間の閉鎖を一層強固なものとすることができ、動作の確実性、操作の容易性および防水性能の更なる向上を図ることができる。
【0052】
更に、防水扉装置1では、隙間閉鎖部材41は、支持軸59に取り付けた支持枠44と、支持枠44に対して所定量上下左右移動可能に設けた閉鎖当接部材46とを備え、支持枠44に、引下部材60を連結し、引下部材60は、閉鎖当接部材46が隙間の両側端部に当接した状態で、支持枠44を引き下げるので、隙間閉鎖部材の引き下げに係る動作を極めて円滑なものとすることができ、動作確実性、操作容易性ないし防水性能のより一層の向上に寄与することができる。
【0053】
[第2形態]
第2形態に係る防水扉装置は、隙間閉鎖部材および連動機構を除き、第1形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。以下、第2形態に係る隙間閉鎖部材および連動機構を中心に説明する。図9は、第2形態に係る防水扉装置71において、倒伏状態にある場合の防水扉72の一部切欠右側面図であり、図10(a)は図9のM−M線断面図であり、図10(b)は図9のN−N線断面図であり、図10(c)は図9のO−O線断面図である。
【0054】
隙間閉鎖部材81は、第1形態と同様に、ゴムブロック82と、支持枠84と、閉鎖当接部材86とを備える。支持枠84はピン92を備え、閉鎖当接部材86は長孔94を備える。
【0055】
また、隙間閉鎖部材81は、付勢バネとしてのコイルバネ101を有する。即ち、閉鎖当接部材86の上部と支持枠84の上部とにわたり、支持枠84に対して閉鎖当接部材86を起立状態における下方(倒伏状態における前方)へ付勢するコイルバネ101が設置されている。更に、支持枠84には、位置規制部材としてのボルト103が、防水扉2側(右側)へ突出する状態で固定されている。
【0056】
一方、連動機構80は、第1形態と同様に、連動アーム88と、収容部90とを備える。連動アーム88には、枢軸98および支持軸99が設けられる。連動アーム88は、直方体状となっており、支持軸99を介して支持枠84と回動可能に接続されている。なお、引下部材100は、チェーンとなっている。
【0057】
このように成る防水扉装置71は、第1実施形態に係る防水扉装置1と同様に動作するが、閉鎖当接部材86が、支持枠84に対して、コイルバネ101によって起立状態における下方に付勢されており、長孔94の上端がピン92に当接されているため、ゴムブロック82が防水扉72に当接した状態で、支持枠84につきコイルバネ101を圧縮することで下降させることができ、従って、ゴムブロック82を防水扉72に強く圧接させて隙間をより確実に塞ぐことができ、しかも、支持枠84の引下げを解除すると、支持枠84を、閉鎖当接部材86に対してコイルバネ101により押上げて、確実に復帰させることができる。
【0058】
また、防水扉2が倒伏位置となった場合には、隙間閉鎖部材81が後退し、防水扉2側に近づくが、ボルト103が最初に防水扉2に当接し、これにより、隙間閉鎖部材81がこれ以上防水扉2に近寄れないというように、収納状態での隙間閉鎖部材81の位置が規制される。
【0059】
このような第2形態に係る防水扉装置71にあっては、隙間閉鎖部材81は、支持軸99に取り付けた支持枠84と、支持枠84に対して所定量上下左右移動可能に設けた閉鎖当接部材86とを備え、支持枠84と閉鎖当接部材86との間に、コイルバネ101を介装し、コイルバネ101は、閉鎖当接部材86を、支持枠84に対して、起立状態における下方であって倒伏状態における前方に付勢し、支持枠84は、隙間閉鎖部材81(ゴムブロック82)が隙間の両側端部に当接した状態で、閉鎖当接部材86に対し、コイルバネ101に抗して引き下げ可能であるので、支持枠84の引き下げにより隙間閉鎖部材81を防水扉72に強く圧接して隙間を確実に塞ぐことができるし、支持枠84の引き下げを解除すると、支持枠84を閉鎖当接部材86に対してコイルバネ101の付勢力により押し上げて確実に復帰させることができ、防水扉2における起倒動作の繰り返しを極めて円滑に行うことができる。
【0060】
また、防水扉装置71にあっては、隙間閉鎖部材81に、倒伏位置となった防水扉2に当接するボルト103を設けたので、収納状態での隙間閉鎖部材81が防水扉2にボルト103以外の部位において接触しないよう、隙間閉鎖部材81を位置規制することができ、防水扉2が倒伏位置にあって隙間閉鎖部材81が収納状態となっている場合に、外部からの振動に反応して、連動アーム88等の揺動が発生する事態を防止することができる。
【0061】
[B形態]
[第3形態]
第3形態に係る防水扉装置は、隙間閉鎖部材および連動機構を除き、第1形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。以下、第3形態に係る隙間閉鎖部材および連動機構を中心に説明する。図11(a)は、第3形態に係る防水扉装置111における倒伏状態での防水扉112の右側面図であり、図11(b)は、防水扉装置111における倒伏状態での防水扉112の右側一部裏面図であり、図12は、防水扉装置111における起立状態での防水扉112の一部拡大右側面図であり、図13は図11(a)のP−P線断面図であり、図14(a)は図11(b)のQ−Q線断面図であり、図14(b)は防水扉2の起立途中における図14(a)の対応図である。
【0062】
防水扉装置111の隙間閉鎖部材121は、防水扉112の右辺に沿う(図では左辺に沿う、起立状態で上下方向、倒伏状態で前後方向に向く)ゴムブロック122と、これを収容する断面U字状の閉鎖当接部材126とを備える。閉鎖当接部材126は、両端縁に、く字状(へ字状)の案内斜面127を有する。加えて、閉鎖当接部材126のほぼ中央には、起立状態での後方、倒伏状態での下方に突出し、先端に車輪128を有する復帰部材129が固定されている。なお、収納凹部枠4には、車輪128が当接し復帰部材129を案内する案内部材130が設けられている。
【0063】
一方、連動機構120は、各案内斜面127に対応して設けられる押付機構132と、各押付機構132の外側においてそれぞれ配置される連動アーム138とを備えている。
【0064】
押付機構132は、防水扉112裏面に、倒伏状態での前後方向(起立状態での上下方向)の軸133aの周りで回動可能に設けられた当接アーム133と、防水扉2裏面に、当接アーム133の軸133aと同方向の軸135aの周りで回動可能に設けられ、当接アーム133とピン133bおよび長孔135bを介して連結される押圧アーム135とを備える。押圧アーム135は、起立状態での前方へ突出する押圧部134を右側(図では左側)先端縁に具備する。押圧部134は、倒伏状態において図11(a)および図14(a)に示すへ字状の案内斜面127の前方最上部付近側方に位置し、防水扉112が起立するに従って閉鎖当接部材126が後述のように防水扉112の側方および下方へ移動されると、く字状となる案内斜面127に案内されて相対的に上昇し、隙間閉鎖部材121を前進させる。
【0065】
当接アーム133は、倒伏状態および起立状態において、右側先端縁が、隣接する防水扉2裏面の当接部136に押し下げられ、押圧アーム135を防水扉112に近づく方向(起立状態での前方、倒伏状態での上方)に回転させる。当接アーム133と防水扉112裏面とには、板バネ137が介装されている。板バネ137は、当接アーム133の右側先端縁が防水扉112に近づく方向へ、当接アーム133を付勢している。当接アーム133先端の押圧部134は、起立状態において、図14(b)に示すように、前側に位置した隙間閉鎖部材121を、前方に押し付ける。
【0066】
また、連動アーム138は、防水扉2の右辺に沿う(起立状態で前後方向、倒伏状態で上下方向に向く)2本の軸(支持軸144、枢軸145)を、両端において回動可能に受け入れている。支持軸144(起立状態での右方、倒伏状態での後方のもの)は、閉鎖当接部材126に固定され、枢軸145(起立状態で右方、倒伏状態で前方のもの)は、防水扉2の裏面に固定される。また、枢軸145の周りには、連動アーム138を、支持軸144が起立状態における右下方へ移動すべく枢軸145の周りでの回動をする方向(連動アーム138が張り出す方向)に付勢する作動バネ148が設置されている。作動バネ148の一端縁は、連動アーム138に当てられており、作動バネ148の他端縁は、防水扉2の裏面部分に当てられている。
【0067】
加えて、支持軸144は、連動アーム138に対して長尺となっており、閉鎖当接部材126を、隣接する防水扉112との隙間の両側端部に対して所定量遠近移動可能(起立状態における前後方向、倒伏状態における上下方向に所定量移動可能)となっている。支持軸144の頭部と閉鎖当接部材126との間には、復帰バネ144aが介装され、閉鎖当接部材126を防水扉112の隙間から遠ざかる方向(図12における右方向)へ付勢している。なお、起立状態では、押圧部134が隙間閉鎖部材121を前方に押すので、隙間閉鎖部材121は復帰バネ144aを圧縮させて支持軸144を前方へ移動させ、倒伏状態では、復帰部材129が案内部材130により防水扉112の前端側へ案内されることで、隙間閉鎖部材121を同方向へ案内するので、連動アーム138は作動バネ148に抗し回転されて図11(b)の収納位置に維持される。
【0068】
このように成る防水扉装置111は、次のように動作する。即ち、倒伏状態において、復帰部材129は、案内部材130により、隙間閉鎖部材121を右側(収納側)に移動し、連動アーム138を作動バネ148に抗し右側に位置させる。隣接する右側の防水扉112が起立し始めると、当接部136が当接アーム133から離れ、板バネ137が自然長に戻ろうとする作用により当接アーム133および押圧アーム135が回転し、押圧部134が防水扉112裏面から離れる方向に移動する。
【0069】
この状態で防水扉112が倒伏位置から起立し始めると、復帰部材129が案内部材130により案内され、隙間閉鎖部材121の右側への収納を解除し、連動アーム138が、作動バネ148ないしは自重の作用により回転して、隙間閉鎖部材121を右下方に移動させる。なお、隙間閉鎖部材121が下方に移動することにより、押圧部134が案内斜面127を離れ、案内斜面127上方に達する。
【0070】
そして、起立状態となり、既に起立した隣接する防水扉112の当接部136に当接アーム133先端縁が押されると、押圧アーム135の押圧部134が前進し、右側に移動してきた隙間閉鎖部材121を前方に押し付ける。
【0071】
このような第3形態に係る防水扉装置111にあって、連動機構120は、起立状態において(自らの前方に移動してきた)隙間閉鎖部材121を前方に押し付ける押付機構132と、防水扉112の裏面に対して垂直方向の枢軸145を介して、防水扉112に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アーム138と、各連動アーム138を、先端縁が隙間の後方に位置する方向に付勢する作動バネ148と、枢軸145と平行な状態で各連動アーム138に設けた支持軸144とを備え、隙間閉鎖部材121は、これら支持軸144に対し共通に、防水扉112裏面に対して所定量遠近移動可能に取り付けられるとともに、案内部材130によって案内される復帰部材129を備え、防水扉112の起立位置から倒伏位置への移動に対し、押付機構132が隙間閉鎖部材121に対する押し付けを解除し、かつ復帰部材129が支持軸144を介し連動アーム138を作動バネ148に抗して隙間の後方から離れる方向に回転させ、隙間閉鎖部材121を収納するとともに、防水扉112の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アーム138が作動バネ148により回転し、支持軸144を介して隙間閉鎖部材121を隙間の後方であって押付機構132の前方に移動させ、かつ押付機構132が隙間閉鎖部材121を押し付けるので、防水扉112の起立に伴い、隙間閉鎖部材121を収納位置から隙間後方まで左右方向(横方向)に移動させ、その後隙間閉鎖部材121を防水扉112裏面に近づく方向へ押し付けて隙間の両側端部に当接させることができ、隣接する防水扉112との隙間を確実に塞いで高い防水性能を呈しながら、隙間閉鎖部材121が、倒伏に伴い自動的に収納され、かつ起立に伴い自動的に隙間に適用されるという極めて良好な操作性を確保することができる。
【0072】
また、防水扉装置111では、押付機構132は、防水扉112の側辺に沿う枢軸145を介して回動可能に取り付けられ、防水扉112の側辺から張り出し可能な当接アーム133と、枢軸145と平行な支持軸144を介して回動可能に取り付けられ、当接アーム133に連結して取り付けられる押圧アーム135と、隣接する防水扉112の裏面に設けられる、少なくとも起立状態において当接アーム133の先端縁に当接する当接部136とを備え、押圧アーム135は、起立状態において、当接アーム133が当接部136に当接して回転することで前進方向へ回転し、隙間閉鎖部材121を押圧するので、起立状態で隙間閉鎖部材121を隙間の両側端部に対し押圧することができ、簡素な機構にて防水扉112を起立させるだけで隣接する防水扉112との隙間を確実に塞ぐことができる。
【0073】
更に、隙間閉鎖部材121は、押付機構132に対向する位置に案内斜面127を備え、防水扉112が起立するのに伴い押付機構132を相対的に後方に案内することで、隙間閉鎖部材121を前進させるので、隙間閉鎖部材121を隙間の両側端部に対してより大きく押付移動することができ、操作の確実性や防水性能をより一層向上することができる。
【0074】
[第4形態]
第4形態に係る防水扉装置は、隙間閉鎖部材および連動機構を除き、第3形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。以下、第4形態に係る隙間閉鎖部材および連動機構を中心に説明する。図15は倒伏状態における当該防水扉装置151の一部切欠右側面前部説明図であり、図16(a)は防水扉装置151における起立途中での一部切欠右側面下部説明図であり、図16(b)は防水扉装置151における起立状態での一部切欠右側面下部説明図であり、図17(a)は図15のR−R線断面図であり、図17(b)は図16(a)のS−S線断面図であり、図17(c)は図16(b)のT−T線断面図であり、図18(a)は図15のU−U線断面図であり、図17(b)は図16(a)のV−V線断面図であり、図17(c)は図16(b)のW−W線断面図である。
【0075】
防水扉装置151は、第3形態に係る隙間閉鎖部材121と同様の隙間閉鎖部材161を備える。ただし、隙間閉鎖部材161は、隙間閉鎖部材121と異なり、案内斜面127、復帰部材129および案内部材130を有しない。
【0076】
一方、防水扉装置151は、第3形態に係る連動機構120と同様の連動機構160を備え、特に図17に示されるように、第3形態に係る押付機構132と同様の押付機構162を備えている。なお、図や上記説明において、第3形態に対応する部材に第3形態と同じ符号を付している。また、図では、起立状態における下部のものしか示していないが、起立状態における上部にも、ほぼ対称位置に同様の機構が備わる。
【0077】
また、防水扉装置151は、特に図18に示されるように、第3形態に係る連動アーム138と同様の連動アーム168を備える。ただし、連動アーム168では、作動バネ148の代わりに、作動バネ148と反対方向に連動アーム168を付勢する第1復帰バネ178が設置されている。また、連動アーム168は、連動アーム138と異なり、枢軸145の周りに、枢軸145を介して隙間閉鎖部材161を防水扉152裏面から離れる方向(倒伏状態での下方、起立状態での後方)に付勢する第2復帰バネ179を備えている。なお、図や上記説明において、第3形態に対応する部材に第3形態と同じ符号を付している。また、図では、起立状態における下部のものしか示していないが、起立状態における上部にも、ほぼ対称位置に同様の機構が備わる。
【0078】
このように成る防水扉装置151は、第3形態に係る防水扉装置111と同様に動作する。ただし、連動アーム168は、自重あるいは隙間閉鎖部材161の重力の作用により、第1復帰バネ178に抗して起立途中で回転し、隙間閉鎖部材161を右方(隙間の後方であって押付機構162の前方)へ出す。また、押付機構162は、右方(図では左方)へ出てきた隙間閉鎖部材161を、第2復帰バネ179の付勢力に抗して前進させ、隙間の両側端部に対し隙間閉鎖部材161を押し付ける。
【0079】
一方、倒伏途中では、押付機構162による押し付けが解除され、第2復帰バネ179の作用により隙間閉鎖部材161が後方に移動する。また、連動アーム168に作用する、枢軸145周りにおける隙間閉鎖部材161の重力によるモーメントは、倒伏に従って減少していき、やがて第1復帰バネ178の付勢力によるモーメントが勝って、連動アーム168の先端縁が隙間の後方から離れる方向へ回転し、隙間閉鎖部材161が防水扉2の右辺より内側に入って収納される。
【0080】
このような第4形態に係る防水扉装置151にあって、連動機構160は、起立状態において隙間閉鎖部材161を前方に押し付ける押付機構162と、防水扉152の裏面に対して垂直方向の枢軸145を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アーム168と、各連動アーム168を、先端縁が隙間の後方から離れる方向に付勢する第1復帰バネ178と、枢軸145と平行な状態で各連動アーム168に設けた支持軸144とを備え、隙間閉鎖部材161は、これら支持軸144に対し共通に、防水扉152裏面に対して所定量遠近移動可能かつ第2復帰バネ179により遠隔方向へ付勢されて取り付けられ、防水扉152の起立位置から倒伏位置への移動に対し、隙間閉鎖部材161を第2復帰バネ179により防水扉152裏面に対する遠隔方向へ移動させ、かつ第1復帰バネ178により隙間の後方から離れる方向へ移動させることで、隙間閉鎖部材161を収納するとともに、防水扉152の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アーム168が隙間閉鎖部材161の重力により第1復帰バネ178に抗して回転し、支持軸144を介して隙間閉鎖部材161を隙間の後方であって押付機構162の前方に移動させ、かつ押付機構162が隙間閉鎖部材161を第2復帰バネ179に抗して押し付けるので、隙間閉鎖部材161を、連動アーム168ないし自重による横方向移動および押付機構162による前方移動により前進させ、隙間の両側端部に押し付けることができ、防水扉152の起倒動作に連動して自動的に隙間閉鎖部材161で隙間を塞ぐというように、操作性と防水性能を高い水準で両立することができる。
【0081】
なお、以上のB形態から、次の形態をも把握することができる。即ち、(B1)収納凹部枠に設けた防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、防水扉側方の隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉側方の隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、連動機構は、起立状態において隙間閉鎖部材を前方に押し付ける押付機構と、防水扉の裏面に対して垂直方向の枢軸を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アームと、枢軸と平行な状態で各連動アームに設けた支持軸とを備え、隙間閉鎖部材は、これら支持軸に対し共通に、防水扉裏面に対して所定量遠近移動可能に取り付けられ、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、押付機構が隙間閉鎖部材に対する押し付けを解除し、かつ連動アームが支持軸を介し隙間の後方から離れる方向に回転して、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、連動アームが支持軸を介し隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を押し付けることを特徴とする防水扉装置である。
【0082】
また、(B2)収納凹部枠に設けた、左右に隣接する複数の防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、防水扉同士の隙間を閉鎖可能な1個以上の隙間閉鎖部材と、1個以上の防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉とこれに隣接し起立位置にある防水扉との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を当接させる連動機構とを備え、連動機構は、起立状態において隙間閉鎖部材を前方に押し付ける押付機構と、防水扉の裏面に対して垂直方向の枢軸を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アームと、枢軸と平行な状態で各連動アームに設けた支持軸とを備え、隙間閉鎖部材は、これら支持軸に対し共通に、防水扉裏面に対して所定量遠近移動可能に取り付けられ、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、押付機構が隙間閉鎖部材に対する押し付けを解除し、かつ連動アームが支持軸を介し隙間の後方から離れる方向に回転して、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、連動アームが支持軸を介し隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を押し付けることを特徴とする防水扉装置である。
【0083】
更に、(B3)収納凹部枠に設けた防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、起立位置における防水扉に隣接する止水壁と、防水扉と止水壁との隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉と止水壁との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、連動機構は、起立状態において隙間閉鎖部材を前方に押し付ける押付機構と、防水扉の裏面に対して垂直方向の枢軸を介して、防水扉に回動可能に設けた少なくとも一対の連動アームと、枢軸と平行な状態で各連動アームに設けた支持軸とを備え、隙間閉鎖部材は、これら支持軸に対し共通に、防水扉裏面に対して所定量遠近移動可能に取り付けられ、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、押付機構が隙間閉鎖部材に対する押し付けを解除し、かつ連動アームが支持軸を介し隙間の後方から離れる方向に回転して、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、連動アームが支持軸を介し隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を押し付けることを特徴とする防水扉装置である。
【0084】
また更に、(B4)上記(B1)〜(B3)に係る防水扉装置において、連動機構は、各連動アームを、先端縁が隙間の後方に位置する方向に付勢する作動バネを備えており、隙間閉鎖部材は、案内部材によって案内される復帰部材を備えており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に対し、押付機構が隙間閉鎖部材に対する押し付けを解除し、かつ復帰部材が支持軸を介し連動アームを作動バネに抗して隙間の後方から離れる方向に回転させ、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アームが作動バネにより回転し、支持軸を介して隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を押し付けることを特徴とするものである。
【0085】
加えて、(B5)上記(B1)〜(B3)に係る防水扉装置において、連動機構は、各連動アームを、先端縁が隙間の後方から離れる方向に付勢する第1復帰バネを備えており、隙間閉鎖部材は、これら支持軸に対し共通に、防水扉裏面に対して所定量遠近移動可能かつ第2復帰バネにより遠隔方向へ付勢されて取り付けられており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に対し、隙間閉鎖部材を第2復帰バネにより防水扉裏面に対する遠隔方向へ移動させ、かつ第1復帰バネにより隙間の後方から離れる方向へ移動させることで、隙間閉鎖部材を収納するとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に対し、連動アームが隙間閉鎖部材の重力により第1復帰バネに抗して回転し、支持軸を介して隙間閉鎖部材を隙間の後方であって押付機構の前方に移動させ、かつ押付機構が隙間閉鎖部材を第2復帰バネに抗して押し付けることを特徴とするものである。
【0086】
[C形態]
[第5形態]
第5形態に係る防水扉装置は、隙間閉鎖部材および連動機構を除き、第1形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。以下、第5形態に係る隙間閉鎖部材および連動機構を中心に説明する。図19(a)は第5形態に係る防水扉装置201における倒伏状態での防水扉202左部平面図であり、図19(b)は図19(a)に対応する背面図であり、図19(c)は防水扉装置201における起立状態での防水扉202左部平面図および右部平面図であり、図19(d)は図19(c)に対応する背面図である。
【0087】
防水扉装置201は、防水扉202の裏面であって左辺(図19では右側の辺)の近傍には、板状の隙間閉鎖部材204が、複数の蝶番206を介して、左辺と平行な軸周りで旋回可能に設けられている。隙間閉鎖部材204は、防水扉202の左辺と同等の長さを有しており、右側面と平行(裏面と垂直)な状態(収納状態)から、この状態に垂直で防水扉202裏面と平行な状態(展開状態)まで旋回可能とされている。また、各蝶番206には、隙間閉鎖部材204を展開状態となる方向に付勢する復帰バネ208が設けられている。収納凹部体4には、防水扉202が起立位置から倒伏位置に移動すると、隙間閉鎖部材204に当接して収納状態に回転させる操作部材250が設けられている。なお、復帰バネ208(ないしは収納状態となるよう復帰バネ208に抗して隙間閉鎖部材204を押す収納凹部体4の操作部材250)が、連動機構を構成する。また、隙間閉鎖部材204は、収納状態では防水扉202の左辺より内側に入り、展開状態では防水扉202の右辺より張り出す。
【0088】
更に、防水扉202の裏面であって、各蝶番206のすぐ右側(起立状態で隙間の一側端部となる)には、長さが左辺と同等である棒状の第1ゴムブロック210が、左辺と平行に固定されている。第1ゴムブロック210は、展開状態における隙間閉鎖部材204の右側縁(図では左側縁)と当接する。また、隣接する防水扉202の左側縁(図では右側縁、起立状態で隙間の他側端部となる)には、長さが右辺ないし左辺と同等である棒状の第2ゴムブロック212が、左辺と平行に固定されている。
【0089】
また、図21に示すように、収納凹部枠における、防水扉202同士の各隙間に対応する部位には、当該隙間の下端縁を閉塞可能な隙間下端閉鎖部材220がそれぞれ設置されている。各隙間下端閉鎖部材220は、防水扉202の下辺に沿う枢軸222を介して、回動可能とされている。更に、隙間下端閉鎖部材220は、図示しない圧接バネにより、起立状態の隙間の下端縁へ近づく方向(全体が上昇する回転方向)へ付勢されている。加えて、隙間下端閉鎖部材220は、一方の防水扉202の倒伏位置への移動により、防水扉の下辺縁に当接し、圧接バネに抗して隙間下端閉鎖部材220全体が下降する回転方向へ回転される操作爪224を備えている。なお、上記第1形態の説明で述べた通り、収納凹部体4の開口前部には、防水扉202の下辺に沿うシール材8が設けられており、起立位置にある防水扉202の下辺縁は、シール材8に当接する。
【0090】
このように成る防水扉装置201は、次に示すように動作する。即ち、倒伏状態において、隙間閉鎖部材204は、蝶番206の軸のすぐ右側(図では左側)を収納凹部体4の操作部材250に押されることで、復帰バネ208に抗して旋回し、収納状態となっている(図19(a)、(b))。また、倒伏状態において、隙間下端閉鎖部材220は、操作爪224が防水扉202下端縁に圧接バネに抗して押されることで、下方に回転されて、収納凹部体4内に収容されている。なお、防水扉装置201では、左端(図では右端)の防水扉202から順に起立する。
【0091】
そして、防水扉202が起立し始め、隙間閉鎖部材204が収納凹部体4の操作部材250から離れると、図20(a)、(b)に示すように、復帰バネ208の作用により隙間閉鎖部材204が旋回し、展開状態となって隙間の側端部である第1ゴムブロック210に当接する。この隙間閉鎖部材204の旋回は、隙間の側端部への前進と捉えることができる。また、隙間下端閉鎖部材220は、圧接バネの作用により、防水扉202の下端に対し上昇する(図21(a))。
【0092】
この後、防水扉202は起立を続け、起立状態となると、展開状態の隙間閉鎖部材204は、既に起立した、右側に隣接する防水扉202の第2ゴムブロック212に当接する(図19(c)、(d))。よって、防水扉装置201では、隙間閉鎖部材204が、各復帰バネ208(連動機構)によって、隙間の両側端部である第1、第2ゴムブロック210、212に対して前進し、これらに当接する。また、隙間下端閉鎖部材220は、圧接バネの作用により、隙間両側端部の下端縁に対して圧接する(図21(b)、(c))。
【0093】
このような第5形態に係る防水扉装置201にあって、隙間閉鎖部材204は、防水扉202の側辺より内側に入る収納状態から防水扉202の側辺より張り出す展開状態まで旋回可能に取り付けられた板状のものであり、連動機構は、展開状態となる方向へ隙間閉鎖部材204を付勢する復帰バネ208を備えており、防水扉202の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材204を旋回して後退させるとともに、防水扉202の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して前進させるので、倒伏状態で隙間閉鎖部材204を旋回させて、隣接する防水扉202と干渉しない位置に収納することができ、起立状態で隙間閉鎖部材204を旋回させて、隙間の両側端部である第1、第2ゴムブロック210、212に当接させることができ、シンプルな構成で、起倒に伴う隙間の確実な閉塞を提供することができる。
【0094】
また、防水扉装置201にあって、収納凹部枠は、防水扉202同士の各隙間に対応する部位に、防水扉202同士の隙間の下端縁を閉塞可能な隙間下端閉鎖部材220を備えており、隙間下端閉鎖部材220は、防水扉202の下辺に沿う枢軸222を介して、回動可能とされているとともに、圧接バネにより、全体が上昇する回転方向へ付勢されており、更に、一方の防水扉202の倒伏位置への移動により、防水扉202の下辺縁に当接し、圧接バネに抗して隙間下端閉鎖部材220全体が下降する回転方向へ回転される操作爪224を備えているので、起立状態での隙間下端縁を隙間下端閉鎖部材220によって閉塞することができ、起倒動作に連動する形でより一層防水性能を高めることが可能となる。
【0095】
なお、以上のC形態から、次の形態をも把握することができる。即ち、(C1)収納凹部枠に設けた防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、防水扉側方の隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉側方の隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、隙間閉鎖部材は、防水扉の側辺より内側に入る収納状態から防水扉の側辺より張り出す展開状態まで旋回可能に取り付けられた板状のものであり、連動機構は、展開状態となる方向へ隙間閉鎖部材を付勢する復帰バネを備えており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して前進させることを特徴とする防水扉装置である。
【0096】
また、(C2)収納凹部枠に設けた、左右に隣接する複数の防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、防水扉同士の隙間を閉鎖可能な1個以上の隙間閉鎖部材と、1個以上の防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉とこれに隣接し起立位置にある防水扉との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、隙間閉鎖部材は、防水扉の側辺より内側に入る収納状態から防水扉の側辺より張り出す展開状態まで旋回可能に取り付けられた板状のものであり、連動機構は、展開状態となる方向へ隙間閉鎖部材を付勢する復帰バネを備えており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して前進させることを特徴とする防水扉装置である。
【0097】
更に、(C3)収納凹部枠に設けた防水扉と、防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、起立位置における防水扉に隣接する止水壁と、防水扉と止水壁との隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉と止水壁との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構とを備え、隙間閉鎖部材は、防水扉の側辺より内側に入る収納状態から防水扉の側辺より張り出す展開状態まで旋回可能に取り付けられた板状のものであり、連動機構は、展開状態となる方向へ隙間閉鎖部材を付勢する復帰バネを備えており、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を旋回して前進させることを特徴とする防水扉装置である。
【0098】
加えて、(C4)上記(C1)〜(C3)に係る防水扉装置において、収納凹部枠は、防水扉同士の各隙間に対応する部位に、防水扉同士の隙間の下端縁を閉塞可能な隙間下端閉鎖部材を備えており、隙間下端閉鎖部材は、防水扉の下辺に沿う枢軸を介して、回動可能とされているとともに、圧接バネにより、全体が上昇する回転方向へ付勢されており、更に、一方の防水扉の倒伏位置への移動により、防水扉の下辺縁に当接し、圧接バネに抗して隙間下端閉鎖部材全体が下降する回転方向へ回転される操作爪を備えていることを特徴とするものである。
【0099】
[D形態]
[第6形態]
第6形態に係る防水扉装置は、閉塞する隙間が防水扉の側方であって防水扉と止水壁との間におけるものとなる他は、第1形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。図22は第6形態に係る防水扉装置231における起立状態での最側方の防水扉232及びその周辺の一部省略平面図であり、図23(a)は図22の一部前面図であり、図23(b)は図23(a)のX−X線断面図であり、図23(c)は図23(a)のY−Y線断面図である。
【0100】
防水扉装置231では、最側方の防水扉232の側方に隣接して、止水壁としての止水板234が立てられている。防水扉232の裏面と止水板234の裏面とは面一となっており、防水扉232の側面と止水板234の側面とが若干離れて隙間が存在している。なお、止水板234の側辺は、収納凹部体235の側辺より内側に入るように配置されている。
【0101】
また、防水扉232間には、止水壁としての支柱236が設置されている。支柱236は床面に対して着脱自在とされており、防水扉232の裏面と支柱236の裏面とは面一となっていて、防水扉232の側面と支柱236の側面とが若干離れて隙間が存在している。
【0102】
一方、防水扉装置231は、第1形態と同様の隙間閉鎖部材238を両脇に有している。各隙間閉鎖部材238は、棒状のゴムブロック240と、図示しない連動機構につながる支持枠242と、ゴムブロック240及び支持枠242に介装される閉鎖当接部材244とを備える。
【0103】
そして、隙間閉鎖部材238は、防水扉232の起立動作に従い前進し、起立状態において、防水扉232と止水板234の隙間、あるいは防水扉232と支柱236の隙間を塞ぎ、防水扉232の傾倒動作に従い後退し、防水扉232の脇に収納される。
【0104】
なお、ゴムブロック240の起立状態における下部前方(倒伏状態における前部上方)には、膨出部246が形成されており、起立状態において収納凹部体237内のパッキン248と当接する。ゴムブロック240の起立時下端は、防水扉232下辺より下方となる。なお、膨出部246は、ゴムブロック240の弾力性を利用することで省くこともできる。
【0105】
第6形態に係る防水扉装置231では、収納凹部枠237に設けた防水扉232と、防水扉232を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、起立位置における防水扉232に隣接する止水板234あるいは支柱236と、防水扉232と止水板234あるいは支柱236との隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材238と、防水扉232に設けた、起立位置における当該防水扉232と止水板234あるいは支柱236との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材238を前進により当接させる連動機構とを備え、連動機構は、防水扉232の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材238を後退させるとともに、防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材238を前進させるので、様々な設計止水幅に柔軟に対応可能であり起倒が容易である止水壁(止水板234あるいは支柱236)と防水扉を併用する防水扉装置にあって、止水壁との隙間からの浸水も許さない状態で、素早く浸水を阻止でき、洪水等の緊急時に適切に対応することができる。
【0106】
また、支柱236は床面に対して着脱自在であるので、素早く適切な動作や防水性能を確保しながら、設計や設置態様の自由度を更に拡げることができる。なお、止水板234や支柱236は固定して設けられるものでも着脱自在に設けられるものでもいずれでも構わない。
【0107】
[第7形態]
第7形態に係る防水扉装置は、止水板以外は、第6形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。図24は第7形態に係る防水扉装置261における起立状態での最側方の防水扉262及びその周辺の一部省略平面図である。
【0108】
防水扉装置261の止水板264は、図示しない収納凹部枠の側辺と平行である建物等の外壁266から防水扉262側へ突出した状態で設置されている。止水板264の先端部268は断面L字状にくぼんでおり、隙間を置いた上で防水扉262の側部と一部面一になっている。
【0109】
一方、防水扉装置261は、第1形態と同様に成る隙間閉鎖部材270及び図示しない連動機構を備えており、倒伏状態で防水扉262の側辺より内側に収納された隙間閉鎖部材270を、防水扉262の起立に従って外側前方へ移動させ、起立状態において隙間閉鎖部材270のゴムブロック272の角部が止水板264の先端部268に圧接し、ゴムブロック272の前面が防水扉262の側部に圧接する。なお、隙間閉鎖部材270の閉鎖当接部材274は、前記角部を露出する形状となっており、具体的には前記角部と反対側の角部あるいはゴムブロック272の内部をつかむようになっている。
【0110】
第7形態に係る防水扉装置261では、止水板264が収納凹部枠の側辺に沿う外壁266から突出するように設置されるので、外壁266を利用して防水性能の高い防水扉装置261を効率良く設置することができる。
【0111】
また、止水板264に隙間閉鎖部材270の角部を接触させるので、防水扉262起立時に隙間の側端部を二面においてシールすることができ、防水性能をより一層向上することができる。なお、連動機構は隙間閉鎖部材270を外側前方へ移動させるので、防水扉262の外側の止水板264へ引っ掛けることなく当接させることができ、隙間閉鎖時もシールした前面及び側面の双方へ力を作用させ、高い防水性能を維持することができる。
【0112】
[第8形態]
第8形態に係る防水扉装置は、止水板以外は、第6形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。図25は第8形態に係る防水扉装置281における起立状態での最側方の防水扉282及びその周辺の一部省略平面図である。
【0113】
防水扉装置281の止水板284は、図示しない収納凹部枠の側辺と平行に、換言すれば防水扉282と垂直に設けられている。防水扉282の側辺と止水板284の前面とは隣接し、これらの間には隙間が形成されている。
【0114】
一方、防水扉装置281は、第1形態と同様に成る隙間閉鎖部材290及び図示しない連動機構を備えており、倒伏状態で防水扉282の側辺より内側に収納された隙間閉鎖部材290を、防水扉282の起立に従って外側前方へ移動させ、起立状態において隙間閉鎖部材290のゴムブロック292の外側面が止水板264の前面に圧接し、ゴムブロック292の前面が防水扉282の側部に圧接する。なお、隙間閉鎖部材290の閉鎖当接部材294は、ゴムブロック292の外側面を露出する形状となっており、具体的にはゴムブロック272の内側面、後面あるいは内部をつかむようになっている。
【0115】
第8形態に係る防水扉装置281では、防水扉282の側辺と止水板284の前面とを隣接させたので、防水扉282を設計止水幅一杯に配置することができ、防水性能を維持しながら設計の多様性を確保することができる。また、止水板284が防水扉282側へ張り出さないので、安全性や美観をより一層高くすることができる。
【0116】
また、防水扉282と平行でない止水板284に隙間閉鎖部材290の側面を接触させて隙間の閉鎖を図るが、連動機構は隙間閉鎖部材290を外側前方へ移動させるので、止水板284へ引っ掛けることなく当接させることができ、隙間閉鎖時もシールした前面及び側面の双方へ力を作用させ、高い防水性能を維持することができる。
【0117】
[第9形態]
第9形態に係る防水扉装置は、閉鎖する隙間が防水扉と止水壁との間におけるもの並びに防水扉間のもの(いずれも防水扉の側方の隙間という点では共通する)となり、また複数の防水扉が平面視で全体としてL字状に配置される他は、第1形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。図26(a)は第9形態の防水扉装置301に係る防水扉302の倒伏状態での平面図であり、図26(b)は図26(a)の止水板303付近の拡大図であり、図27は防水扉302を起立状態とした場合のコーナー部付近の斜視図であり、図28は図26(a)の止水支柱304付近の拡大図であり、図29は図28のZ−Z線断面図であり、図30は図28の止水支柱304における防水扉302側の上角部付近の斜視図(起立位置直前)である。
【0118】
防水扉装置301は、建物Hの角からの二辺を適宜止水するため、当該二辺にそれぞれ平行に複数の防水扉302を起倒可能に備える。各防水扉302は、前記二辺に平行な辺部を有するL字状の収納凹部枠306に、倒伏時収納される。各防水扉302は、倒伏位置における建物Hから遠い辺(後辺)を持ち上げて起立するが、起倒機構(図示せず)は第1形態と同様に成る。なお、倒伏時防水扉302の配置されない収納凹部枠306のコーナー部には、固定カバー308が設置されているが、固定カバー308に代えて、着脱自在のカバーを設置しても良い。
【0119】
各防水扉302は、第1形態と同様、互いの側辺間の隙間を塞ぐ隙間閉鎖部材309ないしは連動機構(図示せず)を備えている。
【0120】
また、コーナー部における2つの防水扉302の一方に、第1形態と同様の隙間閉鎖部材309ないしは連動機構(図示せず)が設けられている。この隙間閉鎖部材309は、これら防水扉302の起立時に形成される、一方の防水扉302の裏面側端と他方の防水扉302の側面前端との隙間に当接する。なお、当該裏面と側面とは面一である。また、隙間閉鎖部材309の下部は、隙間閉鎖時、収納凹部体306の前コーナー内部において、他の横方向のシール材310より膨出するように設置されたシール材311と当接する。
【0121】
更に、コーナー部における2つの防水扉302の一方に、起立時において前方(他方の防水扉302の内方)へ向かう先端部312を備えた鉤313が設けられている。鉤313は、隙間閉塞部材309ないしは連動機構を備えた防水扉302の、起立時上側端部に固定されている。また、他方の防水扉302に、鉤313の先端部312を受入可能な溝314が設けられている。溝314は、防水扉302の側面から内方へ設けられており、起立時の上部(防水扉302の角部付近)に配置されている。コーナー部の防水扉302は、溝314を有するものから先に起立し、起立状態の防水扉302の溝312に、鉤313が、これを有する防水扉の起立により入っていく。この起立の順番から、鉤313を有する防水扉302が隙間閉鎖部材309及び連動機構を有することとなる。
【0122】
一方、収納凹部枠306の一端の側辺外方には、収納凹部枠306の側辺に平行に外壁320が配されており、外壁310からは止水板303が突出している。この止水板303並びにこれと防水扉302側端との隙間を塞ぐ隙間閉塞部材309及び連動機構は、第6形態と同様に成る。
【0123】
他方、収納凹部枠306の他端の側辺前方には、当該側辺と連続するように配置された止水支柱304が、床面に設置された凹部体322に対して着脱可能に設けられている。止水支柱304は、防水扉302と同様の高さを有しており、収納凹部体306の前辺と平行な外壁324の凹部326と収納凹部枠306端辺との間を渡されている。止水支柱304の防水扉302側の端面には、防水扉302の前面側縁に当接可能なシール材330が固定されている。また、止水支柱304の防水扉302側上部には突起334が設置されており、防水扉302の側縁上部には、起立時に突起334を受入可能な溝336が形成されている。防水扉302起立時、突起334と溝336は係合し、止水支柱304が左右にずれ動く事態を防止する。なお、止水支柱304が固定して設置されているときは、防水扉302が左右にずれるのを防止することになる。
【0124】
第9形態に係る防水扉装置301では、平面視L字状に配置された複数の防水扉302の隙間、とりわけコーナー部に係る防水扉302の側方の隙間を前進により閉鎖する隙間閉鎖部材309及び連動機構を設けたので、幅方向への直線状に並べられない複数の防水扉302にあっても、高水準の防水性能を提供することができる。
【0125】
また、複数の防水扉302全体の端部(最側方)においても、止水壁としての止水板303や止水支柱304との隙間を閉鎖する隙間閉鎖部材309ないしは連動部材を設けたので、当該端部からの浸水をも的確に防水することができる。なお、止水板303や止水支柱304は、建物Hの外壁310,324を利用して設置されるので、建物Hと調和した効率の良い防水扉装置301の設置を図ることができる。また、止水支柱304は床面に対して着脱自在であるので、防水性能の高い防水扉に係るレイアウトの自由度をより一層高める。
【0126】
更に、防水扉302起立時に突起334と溝336が係合可能であり、防水扉302が左右にずれ動く事態が防止され、あるいはコーナー部においても鉤313と溝314が係合して起立した防水扉302のずれ動きが防止されるので、防水扉302側方の隙間が広がったり、当該隙間の側端部が動いたりすることによる、隙間閉鎖部材309の閉鎖性の低下を回避することができ、防水性能の更なる向上を図ることができる。
【0127】
[第10形態]
第10形態に係る防水扉装置は、止水支柱側の防水扉の側縁上部の構成以外は、第9形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。図31は第10形態に係る防水扉装置における起立直前の当該防水扉342及びその周辺の斜視図である。当該防水扉342の側縁上部には、止水支柱343の突起344をその間に受入可能である2つの突体346が設けられている。着脱式の止水支柱304が左右にずれようとしても、突体346が止水支柱343の突起344に掛かるのでずれることはなく、もって当該防水扉342側方の隙間を安定したものとして、これを塞ぐ隙間閉鎖部材の作動の安定性を図り、本形態に係る防水扉装置の防水性能を高めるものである。
【0128】
[第11形態]
第11形態に係る防水扉装置は、止水支柱側の防水扉の側縁上部の構成及び止水支柱の上部の構成以外は、第9形態に係る防水扉装置とほぼ同様に成る。図32は第11形態に係る防水扉装置における起立直前の当該防水扉352及びその周辺の斜視図である。当該防水扉352の側縁上部には、穴356が開けられている。一方、止水支柱353の防水扉352側の上部には、穴356と同様な形状の突軸354が設置されている。そして、防水扉352起立時、突軸354が穴356に入ることにより、突軸354と穴356とが係合し、もって防水扉352あるいは止水支柱353のぶれが互いに防止され、防水扉352側方の隙間の安定を図り、これを塞ぐ隙間閉鎖部材の作動の安定性を確保して、本形態に係る防水扉装置の防水性能を高めるものである。
【0129】
[変更例]
なお、主に上記実施の形態を変更してなる、本発明の他の形態を例示する。起倒装置を設置せず、起倒機構を、手動により防水扉を起倒させるものとする。起倒装置につき、各防水扉の全部または一部を一斉にあるいは殆ど同時に起倒させるものとする。各部材を一体あるいは別体にすることができ、例えば、第5形態において、第1ゴムブロックを隙間閉鎖部材と一体にしたり、操作部材につき、収納凹部体と別体に形成したりする。また、隙間閉鎖部材を、一つ置きの防水扉の両側に配置したり、第1ないし第4形態の隙間閉鎖部材を左辺側に配置したり、第5形態の隙間閉鎖部材を右辺側に配置したりする。ゴムブロックや各種バネを他の弾性体の他形状とする。
【0130】
防水扉、収納凹部枠、各種止水壁の設置数や配置を上記以外のものとする。D形態の隙間閉鎖部材ないしは連動部材を、第1形態以外の各形態に係るものとする。防水扉側方の隙間を、建物外壁を始めとする他のものとの間で形成されるようにする。各種隙間の側端部に設けたシール材あるいはパッキンを、隙間閉鎖部材と併用する。D形態において、鉤と溝、突起と溝、突体と突起、突軸と穴の設置箇所を入れ替えたり、鉤を突起や突軸と同様のものとしたりする。
【符号の説明】
【0131】
1、71、111、151、201、231、261、281、301 防水扉装置
2、72、112、152、202、232、262、282、302、342、352 防水扉
4、237 収納凹部体
40、80、120、160 連動機構
41、81、121、161、204、238、270、290、309 隙間閉鎖部材
208 復帰バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納凹部枠に設けた防水扉と、
防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、
防水扉側方の隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、
防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉側方の隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構と
を備え、
連動機構は、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を後退させるとともに、
防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を前進させる
ことを特徴とする防水扉装置。
【請求項2】
収納凹部枠に設けた、左右に隣接する複数の防水扉と、
防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、
防水扉同士の隙間を閉鎖可能な1個以上の隙間閉鎖部材と、
1個以上の防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉とこれに隣接し起立位置にある防水扉との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構と
を備え、
連動機構は、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を後退させるとともに、
防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を前進させる
ことを特徴とする防水扉装置。
【請求項3】
収納凹部枠に設けた防水扉と、
防水扉を倒伏位置と起立位置にわたり案内する起倒機構と、
起立位置における防水扉に隣接する止水壁と、
防水扉と止水壁との隙間を閉鎖可能な隙間閉鎖部材と、
防水扉に設けた、起立位置における当該防水扉と止水壁との隙間の両側端部に対して、隙間閉鎖部材を前進により当接させる連動機構と
を備え、
連動機構は、防水扉の起立位置から倒伏位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を後退させるとともに、
防水扉の倒伏位置から起立位置への移動に連動して、隙間閉鎖部材を前進させる
ことを特徴とする防水扉装置。
【請求項4】
止水壁は、着脱自在である
ことを特徴とする請求項3に記載の防水扉装置。
【請求項5】
防水扉の側辺と止水壁の前面とを隣接させた
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の防水扉装置。
【請求項6】
止水壁は、収納凹部枠の側辺に沿うように設置された外壁から突出するように設置される
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の防水扉装置。
【請求項7】
止水壁に、隙間閉鎖部材の角部を接触させる
ことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の防水扉装置。
【請求項8】
防水扉と平行でない止水壁に、隙間閉鎖部材の側面を接触させ、
連動機構は、隙間閉鎖部材を外側前方へ移動させる
ことを特徴とする請求項3ないし請求項7のいずれかに記載の防水扉装置。
【請求項9】
複数の防水扉全体の端部に止水壁を設け、
連動機構は、止水壁と端部の防水扉の隙間に対し、隙間閉鎖部材を移動させる
ことを特徴とする請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の防水扉装置。
【請求項10】
防水扉の起立時に、防水扉又は止水壁の一方に設けた突起、軸あるいは鉤と、他方に設けた溝、穴あるいは一対の突体とが係合可能である
ことを特徴とする請求項3ないし請求項9のいずれかに記載の防水扉装置。
【請求項11】
連動機構は、平面視L字状に配置された複数の防水扉の、コーナー部に係る防水扉の側方の隙間に対し、隙間閉鎖部材を前進させて閉鎖する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項10のいずれかに記載の防水扉装置。
【請求項12】
連動機構は、隙間閉鎖部材を、防水扉の側辺より内側に入るように後退させる
ことを特徴とする請求項1または請求項11に記載の防水扉装置。
【請求項13】
起倒機構は、駆動源によって駆動されることで、防水扉を起倒する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の防水扉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−36723(P2012−36723A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209595(P2011−209595)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2006−286645(P2006−286645)の分割
【原出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】