説明

防爆型非接触ICカード

【課題】本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に安価に使用でき、耐久性を有する防爆型非接触ICカードを実現する。
【解決手段】ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットとこの非防爆インレットの両側を保護する保護板とを有する非防爆型非接触ICカードと、この非防爆型非接触ICカードを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂フィルムとを具備したことを特徴とする防爆型非接触ICカードである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防爆型非接触ICカードに関するものである。
更に詳述すれば、プラントの制御、石油化学工場等の爆発性雰囲気を生成する恐れのある現場環境での入退室管理を実現するための防爆手段を具現化できる防爆型非接触ICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
防爆型非接触ICカードに関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】特開平11−250209号公報
【特許文献2】特開2004−334681号公報
【0004】
近年、不法侵入や情報漏えいを防止するため生態認証、非接触ICカードを用いた入退室管理の導入が増えてきている。
図5は、非接触ICカードを利用したシステム例を示す。
コントローラ2aは、制御用通信バス1aに接続された非接触ICカードリーダ4aより非接触ICカード6aの内部情報を読取り、入退室管理用PC3aで管理される。
【0005】
上記は、非危険場所Aにおいて適用される。
更に、本質安全防爆が要求される危険場所Bの非接触ICカードリーダには、本質安全防爆エリアで使用される防爆規格適合非接触ICカードリーダ5aが採用される。
即ち、本質安全防爆エリアに入室するには、防爆規格適合非接触ICカード5aが必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような装置においては、以下の間題点がある。
従来の非接触ICカードでは、カード表面および裏面の電気抵抗値により、本質安全防爆場所での使用はできず、一元化した入退室管理が困難である。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に安価に使用でき、耐久性を有する防爆型非接触ICカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の防爆型非接触ICカードにおいては、
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットとこの非防爆インレットの両側を保護する保護板とを有する非防爆型非接触ICカードと、この非防爆型非接触ICカードを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂フィルムとを具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2の防爆型非接触ICカードにおいては、
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットと、非防爆インレットを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂層板とを具備したことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3の防爆型非接触ICカードにおいては、
少なくとも一方の端縁が閉じられ非防爆型非接触ICカードが挿入されて収納可能で電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂からなるカードケースを具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4の防爆型非接触ICカードにおいては、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の防爆型非接触ICカードにおいて、
前記帯電防止樹脂フィルムあるいは前記帯電防止樹脂層板あるいは前記カードケースは、樹脂体にカーボンが含有されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5の防爆型非接触ICカードにおいては、請求項3記載の防爆型非接触ICカードにおいて、
前記カードケースは、皮革が使用されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットとこの非防爆インレットの両側を保護する保護板とを有する非防爆型非接触ICカードと、この非防爆型非接触ICカードを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂フィルムとが設けられたので、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に安価に使用できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0014】
市販の非接触ICカードを利用しているため、さまざまな非接触ICカード規格へ容易に対応でき、非接触ICカードの急激な技術変化に素早く対応できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0015】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットと、この非防爆インレットを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂層板とが設けられたので、非防爆インレットが使用されたので、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に、更に安価に使用でき、カード厚さを薄く確保できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0016】
市販の非防爆インレットを利用しているため、さまざまな非接触ICカード規格へ容易に対応でき、非接触ICカードの急激な技術変化に素早く対応できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0017】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
少なくとも一方の端縁が閉じられ非防爆型非接触ICカードが挿入されて収納可能で電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂からなるカードケースが設けられたので、カードケースに非防爆型非接触ICカードが挿入されれば良く、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に、安価に使用でき、利便性が向上された防爆型非接触ICカードが得られる。
【0018】
市販の非接触ICカードを利用しているため、さまざまな非接触ICカード規格へ容易に対応でき、非接触ICカードの急激な技術変化に素早く対応できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0019】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
帯電防止樹脂フィルムあるいは帯電防止樹脂層板あるいはカードケースは、樹脂体にカーボンが含有されているので、カーボンは、良好な電磁誘導性と帯電防止性を有し、市場性を有し入手容易であるので安価な防爆型非接触ICカードが得られる。
【0020】
本発明の請求項5によれば、次のような効果がある。
カードケースは、皮革が使用されたので、皮革は、良好な電磁誘導性と帯電防止性を有し、市場性を有し入手容易であるので安価な防爆型非接触ICカードが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図である。
図1において、非防爆型非接触ICカード1は、ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレット11と、この非防爆インレット11の両側を保護する保護板12とを有する。
帯電防止樹脂フィルム2は、非防爆型非接触ICカード1を挟んで設けられ、電磁誘導性を有し、本質安全防爆構造規格を満足する。
【0022】
帯電防止樹脂フィルム2は、電磁誘導性としては、例えば、非防爆非接触ICカード1の無線通信から送受信電波を透過する性質等があげられる。
帯電防止樹脂フィルム2は、本質安全防爆構造規格を満足する性質、構造としては、例えば、発生する電気火花または高温部により爆発性ガスに点火しない性質、落下による衝撃により防爆構造を損なうような損傷を生じない構造等があげられる。
【0023】
この場合は、例えば、帯電防止樹脂フィルム2は、樹脂体にカーボンが含有されている。
この場合は、例えば、非防爆型非接触ICカード1は、85.72(幅)×54.03(高さ)×0.84(厚さ)mmを有する。
帯電防止フィルム2で挟んだ場合の非防爆非接触ICカード1の側面の表面積は、約234.8mm2で本質安全防爆構造規格を満足している。
【0024】
また、非防爆型非接触ICカード1を帯電防止樹脂フィルム2により両側から挟まれた図1実施例の防爆型非接触ICカードは、この場合は、例えば、表面抵抗値は1Gオーム、表面積は400mm2を有する。
また、例えば、帯電防止樹脂フィルム1は、帯電防止樹脂の表面をコロナ放電表面処理により改質し、接着を行うことによって耐久性が向上されている。
【0025】
なお、非防爆型非接触ICカード1の非接触ICカードデータ送受信手順は、その通信手段としてIEC/ISO14443 Type A、IEC/ISO14443 Type B、IEC/ISO14443 Type C、IEC/ISO15693の機能を備えている。
【0026】
この結果、
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレット11とこの非防爆インレット11の両側を保護する保護板12とを有する非防爆型非接触ICカード1と、この非防爆型非接触ICカード1を挟んで設けられ、電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂フィルム2とが設けられたので、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に安価に使用できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0027】
市販の非接触ICカード1を利用しているため、さまざまな非接触ICカード1の規格へ容易に対応でき、非接触ICカード1の急激な技術変化に素早く対応できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0028】
図2は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図2において、非防爆インレット21は、ICとアンテナコイルとを有する。
帯電防止樹脂層板22は、非防爆インレット21を挟んで設けられ、電磁誘導性を有し、本質安全防爆構造規格を満足する。
【0029】
帯電防止樹脂層板22は、電磁誘導性としては、例えば、非防爆非接触ICカード1の無線通信から送受信電波を透過する性質等が上げられる。
帯電防止樹脂層板22は、本質安全防爆構造規格を満足する性質、構造としては、例えば、発生する電気火花または高温部により爆発性ガスに点火しない性質、落下による衝撃により防爆構造を損なうような損傷を生じない構造等が上げられる。
【0030】
この場合は、例えば、帯電防止樹脂層板22は、樹脂体にカーボンが含有されている。
なお、非防爆型非接触ICカード1の非接触ICカードデータ送受信手順は、その通信手段としてIEC/ISO14443 Type A、IEC/ISO14443 Type B、IEC/ISO14443 Type C、IEC/ISO15693の機能を備えている。
【0031】
この結果、
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレット21と、この非防爆インレット21を挟んで設けられ、電磁誘導性を有し、本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂層板22とが設けられたので、非防爆インレット21が使用できたので、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に、更に安価に使用でき、カード厚さを薄く確保できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0032】
市販の非防爆インレット21を利用しているため、さまざまな非接触ICカード規格へ容易に対応でき、非接触ICカードの急激な技術変化に素早く対応できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0033】
図3は本発明の他の実施例の要部構成説明図、図4は図3のA-A断面図である。
図において、カードケース31は、少なくとも一方の端縁311が閉じられ、非防爆型非接触ICカード32が挿入されて収納可能で、電磁誘導性を有し、本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂からなる。
【0034】
カードケース31は、電磁誘導性としては、例えば、非防爆非接触ICカード1の無線通信から送受信電波を透過する性質等が上げられる。
カードケース31は、本質安全防爆構造規格を満足する性質、構造としては、例えば、発生する電気火花または高温部により爆発性ガスに点火しない性質、落下による衝撃により防爆構造を損なうような損傷を生じない構造等が上げられる。
【0035】
この場合は、例えば、三方の端縁311が閉じられている。なお、一方の端縁311(底側)のみが閉じられていれば良い。収納ケースの役目を果たすことができるからである。
312は取手である。
【0036】
なお、非防爆型非接触ICカード1の非接触ICカードデータ送受信手順は、その通信手段としてIEC/ISO14443 Type A、IEC/ISO14443 Type B、IEC/ISO14443 Type C、IEC/ISO15693の機能を備えている。
【0037】
また、この場合は、例えば、カードケース31は、樹脂体にカーボンが含有されている。
また、カードケース31は、皮革が使用されても良い。この場合は、例えば、非防爆型非接触ICカード32が落下しないように,2枚の皮革の底側311が、縫い合わされている。
カードケース31で挟んだ場合の、非防爆非接触ICカード32の側面の表面積は、例えば、約234.8mm2以下であるので、本質安全防爆構造規格を満足している。
【0038】
この結果、
少なくとも一方の端縁311が閉じられ、非防爆型非接触ICカード32が挿入されて収納可能で、電磁誘導性を有し、本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂からなるカードケース31が設けられたので、カードケース31に非防爆型非接触ICカード32が挿入されれば良く、本質安全防爆が要求される危険場所において、安全に、安価に使用でき、利便性が向上された防爆型非接触ICカードが得られる。
【0039】
市販の非接触ICカード32を利用しているため、さまざまな非接触ICカード規格へ容易に対応でき、非接触ICカードの急激な技術変化に素早く対応できる防爆型非接触ICカードが得られる。
【0040】
カードケース31は、樹脂体にカーボンが含有されているので、カーボンは、良好な電磁誘導性と帯電防止性を有し、市場性を有し入手容易であるので安価な防爆型非接触ICカードが得られる。
【0041】
カードケース31は、皮革が使用されれば、皮革は、良好な電磁誘導性と帯電防止性を有し、市場性を有し入手容易であるので安価な防爆型非接触ICカードが得られる。
【0042】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図3】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図4】図3の側断面図である。
【図5】非接触ICカードを利用したシステム例である。
【符号の説明】
【0044】
1a 制御用通信バス
2a コントローラ
3a 入退室管理用PC
4a 非接触ICカードリーダ
5a 防爆規格適合非接触ICカードリーダ
6a 非接触ICカード
1 非防爆型非接触ICカード
11 非防爆インレット
12 保護板
2 帯電防止樹脂フィルム
21 非防爆インレット
22 帯電防止樹脂層板
31 カードケース
311 端縁
312 取手
32 非防爆型非接触ICカード
A 非危険場所
B 危険場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットとこの非防爆インレットの両側を保護する保護板とを有する非防爆型非接触ICカードと、
この非防爆型非接触ICカードを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂フィルムと
を具備したことを特徴とする防爆型非接触ICカード。
【請求項2】
ICとアンテナコイルとを有する非防爆インレットと、
この非防爆インレットを挟んで設けられ電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂層板と
を具備したことを特徴とする防爆型非接触ICカード。
【請求項3】
少なくとも一方の端縁が閉じられ非防爆型非接触ICカードが挿入されて収納可能で電磁誘導性を有し本質安全防爆構造規格を満足する帯電防止樹脂からなるカードケース
を具備したことを特徴とする防爆型非接触ICカード。
【請求項4】
前記帯電防止樹脂フィルムあるいは前記帯電防止樹脂層 あるいは前記カードケースは、樹脂体にカーボンが含有されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の防爆型非接触ICカード。
【請求項5】
前記カードケースは、皮革が使用されたこと
を特徴とする請求項3記載の防爆型非接触ICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−301155(P2009−301155A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152380(P2008−152380)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】