説明

防犯機能を具えた履物

【課題】手の自由を拘束されているような状態でも、非常警報スイッチの操作を行うことができる。しかも非常警報スイッチの操作が、犯人に気付かれにくく、周囲に人が居ない場合にも助けを求めることができ、防犯ブザーを鳴らしたことを犯人には知られないようにすることも可能な新規な防犯機能を具えた履物を提供する。
【解決手段】履物本体2に対し、着脱自在に非常警報スイッチ3aを設ける。また非常警報スイッチ3aをオン状態とすることにより起動する発信装置3を設け、外部にこの信号を受信する受信装置4を設けるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強盗や誘拐等の危険事態に遭遇した際に身体または財産の安全を守るために使用される防犯機能を具えた履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より誘拐や強盗などから身体や金品を守るために携帯型の防犯ブザーが広く流通している(例えば特許文献1、2参照)。
しかし、このような携帯型の防犯ブザーは、手で操作するものであるため、犯人側にその操作が見られやすく、また手を挙げさせられたり、手を持たれて拘束されているような状態では、操作を行えないという操作面での不都合があった。またこの種の携帯型の防犯ブザーは、周囲に人が居て聞きつけてもらえないと効果がなく、更に防犯ブザーを鳴らした際に、犯人が逆上し、更なる危険事態を招く虞もあった。
【特許文献1】特開2005−339285号公報
【特許文献2】特開2002−172015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような背景からなされたものであって、手を挙げさせられたり、手を持たれて拘束されているような状態でも、非常警報スイッチの操作を行うことができ、しかもその操作をしたこと自体が、犯人に気付かれにくく、更には周囲に人が居ない場合にも助けを求めることができる新規な防犯機能を具えた履物を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち請求項1記載の防犯機能を具えた履物は、履物本体に対し、着脱自在に非常警報スイッチを設けたことを特徴として成るものである。
【0005】
更に請求項2記載の防犯機能を具えた履物は、前記要件に加え、前記非常警報スイッチをオン状態とすることにより起動する発信装置を設け、外部にこの発信装置の出力信号を受信する受信装置を設けるようにしたことを特徴として成るものである。
【0006】
また請求項3記載の防犯機能を具えた履物は、前記要件に加え、前記非常警報スイッチをオン状態とすることにより起動し、警報音発生装置を前記履物本体に着脱自在に設けたことを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項4記載の防犯機能を具えた履物は、前記要件に加え、前記非常警報スイッチは、履物本体の側部、踵部または舌革部に設けることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項5記載の防犯機能を具えた履物は、前記要件に加え、前記履物本体に集音マイクを設けていることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項6記載の防犯機能を具えた履物は、前記要件に加え、前記履物本体にカメラを設けていることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項7記載の防犯機能を具えた履物は、前記要件に加え、前記発信装置等の警報装置は、前記履物本体に設けたポケット内に収納されるもので、このポケットまたは発信装置には、再帰反射性の反射材が設けられることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防犯機能を具えた履物は、上述した手段により以下のような効果を奏するものである。
すなわち請求項1記載の防犯機能を具えた履物によれば、履物本体に非常警報スイッチが設けられているため、犯人から非常警報操作が発見されずらい。また手を挙げさせられたり、掴まれたりなどの手の自由をまず奪われることは多いが、足、脚は自由であるときが多いため、非常警報スイッチの操作が行いやすい。また非常警報スイッチが着脱式のため、洗濯がしやすい。また汎用性にも優れる。
【0012】
更に請求項2記載の防犯機能を具えた履物によれば、周囲に人がいないような場合にも、離れた場所へ緊急事態の発生を知らせることができ、外部からの助けを求めることができる。また履物本体の個所では警報音が聞こえないようにしておけば、犯人の逆上防止の効果もある。
【0013】
また請求項3記載の防犯機能を具えた履物によれば、犯人を威嚇するとともに、周囲に助けを求めることが可能である。
【0014】
また請求項4記載の防犯機能を具えた履物によれば、履物本体の側部、踵部または舌革部は、非常警報スイッチ等を設置しやすいことに加え、非常時のスイッチ操作もしやすい。加えて日常的な歩行にもほとんど支障ないしは違和感がない。
【0015】
また請求項5記載の防犯機能を具えた履物によれば、犯行現場の音声等から受信者が現場の様子を知ることができ、的確な警備、救助活動の対応ができる。更に犯人が逃走した場合でも、その捜索の手掛かりが得られ且つ犯罪の証拠ともなる。
【0016】
また請求項6記載の防犯機能を具えた履物によれば、犯行現場の映像から受信者が現場の様子を知ることができ、的確な警備、救助活動の対応ができる。更に犯人が逃走した場合でも、その捜索の手掛かりが得られ且つ犯罪の証拠ともなる。
【0017】
また請求項7記載の防犯機能を具えた履物によれば、履物本体のポケットに収容されるため、着脱が容易であり、また反射材が夜間や暗闇での視認性向上に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の最良の形態は、具体的には以下の実施例に述べる通りである。
【実施例1】
【0019】
以下本発明を図示の実施の形態に基づき説明する。なお本実施の形態では例えばコンビニエンスストアなどの店舗での防犯用として、本発明の防犯機能を具えた履物を使用する場合を例にとって示す。
図1中符号1で示すものが本発明に係る防犯機能を具えた履物である。具体的には、非常警報スイッチ3aと発信回路とを具えて成る無線式の発信装置3のユニットが、履物本体2の踵部21のポケット6内に収納されて成る。非常警報スイッチ3aのスイッチ部は、ポケット6のスイッチ孔6aから外部に表れている。なお発信装置3は、踵部21のほか、図2に示すように側部22や舌革部23へ設置する構成としてもよい。また非常警報スイッチ3aの設置個数は一個のみでもよいし、二個以上を複数個所に設置するようにしてもよい。なお非常警報スイッチ3aのスイッチ部は、操作ストロークのある押しボタン式のものや操作ストロークのない押圧感知式のものなど種々のタイプのスイッチを適用することが可能である。なお非常警報スイッチ3aと、本体部分の発信回路本体とは、本実施例1のように一体で形成してもよいし、別体で構成して発信回路本体は踵部21とは履物本体2の別個所に設置するようにしてもよい。
【0020】
一方、前記発信装置3からの信号を受信する受信装置4は、壁などの適宜個所に設置される。また受信装置4には、サイレン音、非常ベル音等の適宜の非常事態の発生を直感させる音を発生させる警報音発生装置5が接続されるものであり、この警報音発生装置5は店舗外にも良く聞こえる位置に設置される。
【0021】
本発明の防犯機能を具えた履物1の一例は以上のような具体的形態を有するものであって、以下この作動態様について説明する。
本発明の防犯機能を具えた履物1の使用者S、例えばコンビニエンスストアの店員等は、防犯機能を具えた履物1を履き通常の業務に就く。なお発信装置3の履物本体2へのセットは、履物本体2のポケット6内に電源電池が内蔵された発信装置3を挿入し、非常警報スイッチ3aのスイッチ部をスイッチ孔6aから出すことで完了する。またこのポケット6の開口部の閉鎖は例えば面ファスナやファスナ等で行う。
【0022】
そして強盗などの襲撃者C(犯人)に遇った場合には、使用者Sは防犯機能を具えた履物1における非常警報スイッチ3aを、非常警報スイッチ3aが取り付けられていない反対側の足や、防犯機能を具えた履物1を履いた足をその他の設置物に当接させることによって押し、非常警報スイッチ3aをオン状態とする。この際、非常警報スイッチ3aが足下にあるため、襲撃者Cには非常警報スイッチ3aを押したことが気付かれにくい。また手を挙げさせられたり、掴まれたりなどの手の自由をまず奪われることは多いが、足、脚は自由であることが多いため、非常警報スイッチ3aの操作が可能であり且つ行いやすい。なお使用者Sの近くで警報音が聞こえないように構成されている場合には、非常警報スイッチ3aのON操作が正確になされたか否か、使用者Sが確認できず不安を感ずるが、これを解消するためには非常警報スイッチ3aの操作によって作動する振動装置を別途履物本体2に設けるようにしておいてもよい。
【0023】
非常警報スイッチ3aが押されると、発信装置3が起動し、その出力信号が受信装置4に無線送信され、警報音発生装置5が作動し、サイレン音、非常ベル等の警報音が鳴動される。なお受信装置4から更に電話回線等を用いて警備会社、系列チェーン他店、系列チェーン本部、営業車両、特定個人の携帯電話等へ通報するようなシステムを採ることも可能である。もちろん発信装置3自体の出力が充分であるときには、これらに直接通報することができる。なおこの際、店舗に既設されている防犯カメラVの映像も同時に警備会社等へ送信するよう構成してもよい。
【実施例2】
【0024】
また本発明の防犯機能を具えた履物1を、子供等の誘拐対策に用いる場合には、図3に示されるように履物本体2に対し、前述したような非常警報スイッチ3aと発信装置3のほか、入力装置である集音マイク8やカメラ9、また出力装置であるスピーカ10を設けておくようにしてもよい。なお本実施例2では比較的送信距離は長くなるため、発信装置3には、携帯電話装置を適用するようにしてもよい。また集音マイク8やカメラ9は、非常警報スイッチ3aを押すことにより電源が入り、これらからは、受信者に使用者S(通報者)の状況が把握することができるとともに、犯罪の証拠ともなる。またスピーカ10からは、受信者が使用者Sへ「どうしたの」などの肉声による状況の確認を行うことが可能となると共に、これによって不心得者をひるませ、犯行の完遂を防ぐことも期待できる。また防犯機能を具えた履物1の使用者Sの位置情報を得るため、履物本体2に自局の位置情報を受信するGPSモジュールを設けるようにしておいてもよい。また更に本実施例2のように屋外での使用を想定している場合には、図3(b)に示すように履物本体2のポケット6には、再帰反射性を有した反射材7を貼設しておいてもよい。因みに再帰反射とは、乱反射や鏡面反射等の通常の反射とは異なり、光がどのような方向から当たっても光源に向かって、そのまま反射する現象であり、自動車のドライバーとしては、非常に良く反射光が見え、歩行者の存在を把握しやすいものである。因みに乱反射は、凹凸表面で起こる反射であり、入射光を、あらゆる方向に拡散させて反射させる現象である。また鏡面反射は、鏡等の表面で起こる反射であり、入射角と同じ角度で反射する現象であり、反射光の視認性としては、再帰反射が最も有効である。
【実施例3】
【0025】
また以上の実施例1、2では防犯機能を具えた履物1は、遠隔者に通報を送信する形態のものを示したが、履物本体2に対し、非常警報スイッチ3aと、これをオン状態(ON出力信号)とすることにより鳴動するブザー装置等の警報音発生装置を直接具え付けておき、使用者Sの周囲の者に対し、助けを求める形態で実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る防犯機能を具えた履物の使用状態を示す斜視図である(実施例1)。
【図2】履物本体に対する非常警報スイッチの種々の設置位置を示す説明図である(実施例1)。
【図3】(a)は非常警報スイッチのほか、集音マイクやカメラを具えた本発明に係る防犯機能を具えた履物の斜視図であり、(b)は非常警報スイッチの設置個所を拡大して示す斜視図である(実施例2)。
【符号の説明】
【0027】
1 防犯機能を具えた履物
2 履物本体
21 踵部
22 側部
23 舌革部
3 発信装置
3a 非常警報スイッチ
4 受信装置
5 警報音発生装置
6 ポケット
6a スイッチ孔
7 反射材
8 集音マイク
9 カメラ
10 スピーカ
C 襲撃者
S 使用者
V 防犯カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物本体に対し、着脱自在に非常警報スイッチを設けたことを特徴とする防犯機能を具えた履物。
【請求項2】
前記非常警報スイッチをオン状態とすることにより起動する発信装置を設け、外部にこの発信装置の出力信号を受信する受信装置を設けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の防犯機能を具えた履物。
【請求項3】
前記非常警報スイッチをオン状態とすることにより起動し、警報音発生装置を前記履物本体に着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の防犯機能を具えた履物。
【請求項4】
前記非常警報スイッチは、履物本体の側部、踵部または舌革部に設けることを特徴とする請求項1、2または3記載の防犯機能を具えた履物。
【請求項5】
前記履物本体に集音マイクを設けていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の防犯機能を具えた履物。
【請求項6】
前記履物本体にカメラを設けていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の防犯機能を具えた履物。
【請求項7】
前記発信装置等の警報装置は、前記履物本体に設けたポケット内に収納されるもので、このポケットまたは発信装置には、再帰反射性の反射材が設けられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の防犯機能を具えた履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−175279(P2007−175279A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377206(P2005−377206)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000235853)美健交易株式会社 (1)
【Fターム(参考)】