説明

防犯装置

【課題】警報音と共に送出されるデータから、侵入個所、あるいは侵入状況を認識する。
【解決手段】防犯装置1は、検知センサ群から発報されるIDコード付き警報音を受け、警備装置2や撮像装置6の動作を制御する制御信号105,108を生成する。警報音響受信部11は検知センサ群5から発報されるIDコード付き警報音を受信する。警報音響分析回路12によってIDコードが検出された場合、接点信号発生回路13が出力する制御信号105は、IDコードに対応した検知センサが検知した異常に対しての個別の防犯処理を指令する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は防犯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窓の破壊を検知して警報音を発すること(以下、「発報」と称す)で住民に注意を喚起するセンサが知られている。当該センサは、例えばいわゆる「焼き破り」と呼ばれる手法で窓ガラスが熱破壊されることを赤外線で検知して発報する。焼き破りの手法は当該窓の施錠設備(クレセント錠など)を開錠する行為を伴う。よって、当該センサとして、当該施錠設備をロックする機能を有するものも知られている。
【0003】
また後掲する特許文献1,2で示されるように、検知センサのID番号の送出も行う防犯装置も知られている。ID信号の送出により、宅外に侵入を通知する信号を送出する防犯装置の構築が提案されている。これらの文献では、警報音を抽出し、これによって侵入があった室内を、録画手段によって録画することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−65504号公報
【特許文献2】特許第4492256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献で提案されているのは、センサと警報音発生装置、あるいはセンサとレコーダー(録画装置)とが一対一に対応しており、複数の侵入個所や状況などが特定されてはいない。
【0006】
この発明はかかる問題に鑑みて、警報音と共に送出されるデータから、侵入個所、あるいは侵入状況を認識することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる防犯装置は、検知センサが自身に個別に割り当てられたIDコードを伴って発報した警報音において、前記IDコードを検出する警報音響分析回路と、前記IDコードに基づく個別の処理を指令する第1制御信号を発生する第1信号発生回路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
侵入個所を認識し、対応する処理を外部の装置に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】防犯装置の一つの実施の形態を例示するブロック図である。
【図2】防犯装置及びその周辺装置の処理を示すフローチャートである。
【図3】防犯装置及びその周辺装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は防犯装置の一つの実施の形態を例示するブロック図である。検知センサ群5が検知センサ51,52,…,59を有している。検知センサ51,52,…,59のそれぞれが個別にバッテリーにて駆動されてもよいし、検知センサ群5が検知センサ51,52,…,59の駆動用の電源を統合して受電してもよい。
【0011】
防犯装置1は、検知センサ群から発報されるIDコード付き警報音を受け、警備装置2や撮像装置6の動作を制御する制御信号105,108を生成する。図1では一つの検知センサ51がIDコード付き警報音71を発報している状況を例示しているが、複数の検知センサが、それぞれIDコード付き警報音を発報していてもよい。後述するように、IDコード付き警報音は防犯装置1によって分析されることにより、いずれの検知センサが発報したかを認識することができる。
【0012】
警備装置2は、例えば防犯灯や警備会社への通報装置であり、制御信号105としてはいわゆるリレー接点信号(A接点、B接点についての信号:トランジスタを用いた接点信号も含む)を例に挙げることができる。接点信号は多くの防犯機器や、警備システムで標準的に使われているものであり、警備装置2はこれらとの連係を容易とする。例えば制御信号105の活性化により、防犯灯の点灯、警備会社への通報が行われる。防犯灯は検知センサ51,52,…,59のそれぞれに対応して個別に設けられてもよい。この場合、後述のようにして検出されたIDコードが割り当てられている検知センサに対応した防犯灯が点灯する。また後述のようにして検出された状況コードに対応した処理が行われてもよい。
【0013】
撮像装置6は撮像要素61,62,…,69と、これらの撮像要素61,62,…,69の動作を制御する撮像制御回路60を有している。例えば撮像要素61,62,…,69は、それぞれ検知センサ51,52,…,59の検知対象を撮像する位置に配置されている。
【0014】
撮像制御回路60は制御信号108を受け、撮像要素61,62,…,69のいずれについて撮像を開始すべきか、チルト/パンの動作をすべきか等の制御を行う。あるいは撮像制御回路60は録画装置を有しており、撮像要素61,62,…,69から得られる撮像画像を録画することができる。制御信号108が活性化することにより、撮像要素61,62,…,69の撮像を開始してもよいし、撮像し続けている撮像要素61,62,…,69から得られる画像データの録画を開始してもよい。この場合、後述のようにして検出されたIDコードが割り当てられている検知センサに対応した撮像要素が動作する。また後述のようにして検出された状況コードに対応してチルト/パン等の処理が行われてもよい。
【0015】
制御信号108から時刻の情報が得られる場合には、当該時刻に対応した録画データにインデックスを付けることもできる。あるいは更に、撮像制御回路60は撮像した画像を電子メールなどで送信する機能を有してもよい。
【0016】
IDコード付き警報音には、通常の警報音の他、これを発報する検知センサに個別に割り当てられるIDコードが含まれる。あるいは、更に、検知センサが検知した状況を示す状況コードが含まれてもよい。IDコード、状況コードとしてはDTMF信号やパルス信号を採用することができる。IDコード付き警報音としては、通常の警報音に伴ってIDコードや状況コードが発報されるものであればよく、通常の警報音の発報と同時に発報されてもよいし、通常の警報音と、IDコードや状況コードとが交互に発報されてもよい。
【0017】
一般にこれらの方式では最低4bit程度(0〜9およびA〜F等)の情報符号化・復号化が行われる。ここでは0〜Fまでの4bit化数値を符号として用いることとして、本発明におけるIDコードよび状況コードの判別例をあげる。
【0018】
たとえば状況コードとIDコードとを組み合わせた1データを16bitとし、4つの4bitのブロックに分けて送出する。
【0019】
誤作動を軽減するため、状況コードの最上位bit(MSB)は1であるとし、IDコードのMSBは0とする。この結果、状況コードとIDコードとはおのおの6(=8−2)bit のデータとなり、各々最大で64種類の異なる情報を持つことができる。
【0020】
例えば検知センサ51,52,…,59のうち、検知センサ51〜57にはIDコードとして16進数01〜07(bit列00000001〜00000111)を、検知センサ58にはIDコードとして16進数10(bit列00010000)を、検知センサ59にはIDコードとして16進数11(bit列00010001)を、それぞれ割り当てることができる。
【0021】
また状況コードの例としては、16進数99(bit列10011001)で窓が破られたことを示し(警報レベル)、16進数A9(bit列10101001)で不明の異常が発生したことを示し(警戒レベル)、16進数B8(bit列10111000)で検知センサのバッテリー出力が低下したことを示し、16進数E8(bit列11101000)で検知センサが検知する信号(例えば赤外線の強度)が不安定となることを示し、16進数FF(bit列11111111)で警報レベルや警戒レベルが解除されてことを示すことが挙げられる。
【0022】
もちろん、状況コードとIDコードとをそれぞれ8ビットで分けて区別するのではなく、状況コードとIDコードとの組み合わせに特有なコードを作成してもよい。
【0023】
誤作動を防ぐためには、この 16bitのデータを複数回送信したり、チェックサム(合計値)を送信し、受信する防犯装置1で誤りを検知または訂正したりしてもよい。
【0024】
防犯装置1は、警報音響受信部11と、警報音響分析回路12と、接点信号発生回路13とを備えている。
【0025】
警報音響受信部11は検知センサ群5から発報されるIDコード付き警報音を受信する。そのため、例えば無指向性マイクロフォン、あるいは検知センサ51,52,…,59のそれぞれに対して指向性を有する高指向性マイクロフォンを採用する。
【0026】
例えば警報音響分析回路12は警報音響受信部11で受信した音響のデータ102を音響認識回路14に与え、音響認識回路14は照合結果103を警報音響分析回路12に与える。ガラスの割れた音等の犯行に伴う音が発生したか否かを判断する場合、参照音響として、かかる犯行に伴う音を用いて音響波形についてのパターンマッチングをすることも望ましい。
【0027】
警報音響分析回路12によって犯行に伴う音が発生していると判断された場合、警報音響分析回路12は制御信号104を活性化し、接点信号発生回路13に伝達する。接点信号発生回路13は活性化した制御信号104を受けることにより、制御信号105を活性化する。
【0028】
警報音響分析回路12は警報音響受信部11で受信した音響を分析する。当該音響からDTMF信号やパルス信号が含まれる場合、それらを検出することは公知の技術で実現される。かかる検出のため、受信された音響を参照音響と照合するための音響認識回路14を設けていてもよい。音響認識回路14は公知のデジタルシグナルプロセッサで構築できる。
【0029】
警報音響分析回路12によってIDコードが検出された場合、制御信号104,105は当該IDコードに対応する検知センサ51,52,…,59を示す信号(例えばIDコードのbit列)を含んでもよい。例えば警備装置2が有する防犯灯(図示省略)が、検知センサ51,52,…,59に対応して個別に設けられており、接点信号発生回路13が出力する制御信号105としては個別の防犯灯について複数の接点信号が採用される。つまり制御信号105は、IDコードに対応した検知センサが検知した異常に対しての、個別の防犯処理を指令する信号である。
【0030】
また、警報音響分析回路12によって状況コードが検出された場合、制御信号104,105は当該状況コードに対応する信号(例えば状況コードのbit列)を含んでもよい。これは警備装置2が複数種の防犯対応処理が可能である場合に望ましい。かかる防犯対応処理は、例えば状況コードに応じて単に防犯灯を点灯させる、あるいは警備会社への連絡をも伴う、威嚇する警報音を更に鳴らす等である。このような場合、制御信号105も複数の防犯対応処理に対応して複数種類が採用されることになる。
【0031】
防犯装置1は、更に、時刻情報付加回路15と、制御信号発生回路16とを備えている。時刻情報付加回路15は分析データ106と現在時刻を示す時刻情報109とを取得し、分析データ106に対して時刻情報109を付加して制御信号107を発生する。分析データ106は、IDコード、あるいは更に状況コードを含む。現在時刻は、検知センサ群5からの発報に要する時間、IDコード付き警報音を分析する時間等の処理時間を除けば、ほぼ犯行時刻に相当すると考えられる。
【0032】
制御信号発生回路16は制御信号107に基づき、撮像制御回路60を動作させるための制御信号108を出力する。制御信号108は、IDコード、現在時刻、あるいは更に状況コードを含み、例えばRS-232C、RS-485、USBなどの規格に則って撮像制御回路60へ伝送される。制御信号108が現在時刻を含むので、撮像制御回路60は、撮像要素61,62,…,69が撮像を開始する時刻や、撮像し続けている撮像要素61,62,…,69から得られる画像データの録画を開始する時刻や、当該時刻に対応して録画データにインデックスを付けることができる。
【0033】
また、警報音響分析回路12によって状況コードが検出された場合、制御信号107,108は当該状況コードに対応する信号(例えば状況コードのbit列)を含んでもよい。これは撮像装置6が複数種の防犯対応処理が可能である場合に望ましい。また、警報音響分析回路12に対して時刻情報109が入力され、異常が発生した時刻が警報音響分析回路12において記憶されてもよい。
【0034】
防犯装置1は、警報音響受信部11、警報音響分析回路12、接点信号発生回路13、音響認識回路14、時刻情報付加回路15、制御信号発生回路16を統合して制御する統合制御部10を有している。統合制御部10は例えばマイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成され、当該マイクロコンピュータがプログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行することで上記の統合した制御を実行することができる。例えば統合制御部10は計時機能をも有し、時刻情報109は当該計時機能により得られる。
【0035】
このようにIDコード付き警報音を受信することで、異常を検知した検知センサを特定すること、あるいは更にその状況を了知することができる。これにより、侵入個所、あるいは侵入状況を認識し、対応する処理を外部の装置に行わせることができる。
【0036】
警報音にデータが含まれているため、家庭などに防犯装置を設置する場合にも、屋内配線の大部分は不要であり、また高価な無線送受信システムなどを設ける必要もないので、コストや消費電力の低減というメリットがある。
【0037】
IDコード付き警報音が含むIDコード、状況コードは、IDコード付き警報音において連続して含まれる必要はなく、分割して含まれていてもよい。図2及び図3はIDコード付き警報音が含むIDコード、状況コードが、4bit毎に区切られている場合の防犯装置1及びその周辺装置(警備装置2や撮像装置6)の処理をフローチャートで示している。ここでは8bitのIDコードに対応する8bitの状況コードが、当該IDコードと対となって、かつ当該IDコードに先行して含まれている場合を例に採る。図2のフローチャートと、図3のフローチャートとは、接続子J1,J2,J3を介して連結される。
【0038】
防犯装置1の動作が開始すると(図2の“START”)、ステップS11においてデータ受信判定が行われる。これは警報音響分析回路12により(あるいは更に音響認識回路14との協動により)4bitのデータが抽出されたか否かを判定することに相当する。ステップS12では検出数COUNTERが1以上であり、かつ一定時間に4bitのデータが抽出されていないことについての判断を行う。
【0039】
検出数COUNTERは後述するように、状況コードが所定の異常を示した(例えば上述の16進数B8,E8,A9,99)回数を示す。但しその初期値は0とする。通常、異常が検出された場合にはIDコード付き警報音は連続して、あるいは繰り返して発報し続けるので、状況コードは検出され続け、検出数COUNTERは増加し続ける。よってステップS12の判断がYESとなった場合、一旦は異常が検出されていた(IDコードの4bit分、あるいは状況コードの4bit分が検出された)にもかかわらず、一定時間内に状況コード及びIDコードは検出されなくなったことになる。かかる場合は、検知センサが破壊されている可能性があるので、(接続子J2を介して)ステップS26の処理に移る(図3)。ステップS26は所定の警報処理、例えば最高位警報として威嚇等の処理を行うことが決定される。例えば警備装置2による威嚇音の発生である。
【0040】
状況コードが異常を1回も示していない場合には、たとえ一定時間4bitのデータが抽出されていない場合でも、ステップS26には進まない。これにより、全く異常が無い場合にはステップS26に進まないようにしている。
【0041】
ステップS12の判断がNOの場合、ステップS13においてデータが受信されたか(つまりデータが抽出されたか)が判断される。ステップS13の判断がNOであればステップS11に戻ってデータの受信を待つ。当該判断がYESであれば、ステップS14において、受信されたデータのMSBが1であるか否かが判断される。上述のように、状況コードのMSBは1であり、IDコードのMSBは0である。よってステップS14の判断がYESであれば受信された4bitデータは状況コードの一部であると判断され、ステップS15に進む。
【0042】
当該フローチャートではパラメタFLAGが採用される。FLAGの値が0であることは「状況データを未だ受信していないこと」を、値が1であることは「状況コードの4bit分を一つ受信済みであること」を、値が2であることは「状況コードの4bit分を二つ受信済みであること」を、値が3であることは「IDコードの4bit分を一つ受信済みであること」を、値が4であることは「IDコードの4bit分を二つ受信済みであること」を、それぞれ示す。
【0043】
ステップS15においてパラメタFLAGが1以下であるか否かが判断される。当該判断がYESであれば、ステップS16に進み、「状況コード合成」と「FLAG加算」を行う。「状況コード合成」とは、既に状況コードの4bit分を一つ受信済みである場合には(FLAG=1)、当該状況コードの4bitと、新たに受信した状況コードの4bitとを合成して8bitの状況コードたるデータを得ることを示す。「状況コード合成」とは、また、未だ状況コードの4bit分を一つも受信していない場合には(FLAG=0)、新たに受信した状況コードの4bit分を保持することを示す。「FLAG加算」とはパラメタFLAGの値を1だけ増加させることを示す。かかるデータの加算、保持は通常のレジスタが有する機能であるので、ここでは詳細を省略する。
【0044】
もし、ステップS14の判断がYESであるのに、パラメタFLAGの値が2以上であれば、既に状況コードの4bit分を二つ受信済みであるので、ステップS16を実行せず、パラメタFLAGを0にしてステップS11に戻る。
【0045】
ステップS14の判断がNOであれば受信された4bitデータはIDコードの一部であると判断され、ステップS17に進む。
【0046】
ステップS17においてパラメタFLAGが2以上であるか否かが判断される。当該判断がYESであれば、ステップS18に進み、「IDコード合成」と「FLAG加算」を行う。「IDコード合成」とは、既にIDコードの4bit分を一つ受信済みである場合には(FLAG=3)、当該IDコードの4bitと、新たに受信したIDコードの4bitとを合成して8bitのIDコードたるデータを得ることを示す。「IDコード合成」とは、また、未だIDコードの4bit分を一つも受信していない場合には、新たに受信した状況コードの4bit分を保持することを示す。上述のように、ここでは、IDコードに対応する状況コードが、当該IDコードと対となって、かつ当該IDコードに先行して含まれている場合を想定しているため、未だIDコードの4bit分を一つも受信していない場合でも状況コード4bit分を二回受信している筈であり、パラメタFLAGは値2を採る。
【0047】
よって、もし、ステップS14の判断がNOであるのに、パラメタFLAGの値が2未満であれば、ステップS18を実行しない。受信エラーであると考えられるので、パラメタFLAGを0にしてステップS11に戻る。
【0048】
ステップS18の実行後、ステップS19においてFLAGの値が4であるか否かを判断する。当該判断がNOであれば、未だIDコードは4bit分しか得られていないので(FLAG=3)、ステップS11に戻る。ステップS19における判断がYESであれば、既に状況コードの8bit分及びIDコードの8bit分が得られたので、(接続子J1を介して)ステップS20(図3)へ進む。
【0049】
ステップS20では状況コードが値FFを採るか否かが判断される。上述のように状況コードが値FFを採ることは警報レベルや警戒レベルが解除されてことを示すので、当該判断がYESであれば、ステップS28においてパラメタFLAGの初期化(FLAG=0)及びIDコードの初期化、警報停止を行い、(接続子J3を介して)ステップS11に戻る。IDコードの初期化としては、例えば、いずれの検知センサにも対応しない値、例えば16進数00を割り当てることができる。警報停止とは、警報等の防犯処理をさせていた制御信号105,108を非活性とし、当該防犯処理を停止させることを指す。
【0050】
あるいは更に、ステップS28において検出数COUNTERを初期値0に設定してもよい。
【0051】
状況コードが値FFを採らない場合、ステップS21にて「カウンター加算」、つまり検出数COUNTERが増加される。ここまでの処理で検出数COUNTERが初期値0を採っていた場合、初めて検知センサに基づく異常に対応する処理が行われることになり、検出数COUNTERは値1となる。
【0052】
ステップS22において状況コードの内容が判定される。状況コードが16進数B8,E8のいずれかである場合には、ステップS23に進み、警備装置2に対して異常時表示をさせる制御信号104が生成される。あるいは防犯装置1自身が何らかの表示装置を有しており、当該表示装置において「検知センサ故障」等のメッセージを表示させてもよい。
【0053】
状況コードが16進数A9の場合には、警戒時に実行する防犯処理、例えば撮像装置6に対して録画等を実行させる制御信号108が生成される。状況コードが16進数99の場合には、通常警報時に実行する防犯処理、例えば警備装置2に警備会社への通報を行わせる制御信号105が生成される。
【0054】
そしてステップS27に進み、IDコードに対応した制御手段、例えばIDコードが割り当てられた検知センサに対応した防犯灯の点灯や、IDコードが割り当てられた検知センサに対応した撮像素子(例えばカメラ)による撮像等が、警備装置2や撮像装置6によって実行される。警備装置2(あるいは防犯装置1)が、IDコードが割り当てられた検知センサの番号を表示してもよい。図3にいう「送信機番号」はかかる番号を指しており、必ずしもIDコードが示す番号と等しくなくてもよい。
【0055】
もちろん、ステップS26の実行においてもIDコードに対応した処理を行ってもよいが、ここではIDコードを取得していない場合が例示されているので、ステップS26はIDコードに対応した処理とはなっていない。
【0056】
ステップS26,S27の処理の後、ステップS11に処理が戻る。
【0057】
上記のように、処理数COUNTERが1以上であるにも拘わらず、状況コードが得られなかった場合や、状況コードに応じて、種々の防犯処置を執ることができる。つまり、種々の犯行状況に対応した防犯処置を執ることができる。
【0058】
また、IDコードは検知センサに個別に割り当てられるので、検出されたIDコードに応じて、対応する犯行発生個所を推定することができる。よって当該発生個所を撮像するなど、犯行発生個所に対応した防犯処置を執ることができる。
【0059】
上述のように、防犯装置1において、警報音響分析回路12はIDコード付き警報音以外にも、通常の警報音が発生したか否かを判断することも可能になる。よって当該防犯装置1を採用するには、必ずしも全ての検知センサが、IDコード付き警報音を発報する必要はなく、通常の警報音を発報する検知センサが採用されていてもよい。上述のように波形のパターンマッチングを行う場合には、ガラスの割れた音等、犯行に伴う所定の音を検出することができるので、防犯装置1を採用するに際しては、必ずしも検知センサの存在すら前提とはならない。但しこれらのようにIDコード付き警報音が得られない場合、制御信号105,108はいずれも、個々の検知センサに対応した処理が行われるとは限らない。
【0060】
上記実施の形態は例示であり、IDコード及び状況コードの両方が検出される必要はない。従って、状況コードを含まず、IDコードのみが付随した警報音、例えば特許文献1に記載されたような侵入検知センサが発する警報音を警報音響分析回路12で分析し、IDコードに基づく個別の処理を接点信号発生回路13や制御信号発生回路16を介して、それぞれ警備装置2や撮像装置6に行わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 防犯装置、12 警報音響分析回路、13 接点信号発生回路、16 制御信号発生回路、2 警備装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知センサが自身に個別に割り当てられたIDコードを伴って発報した警報音において、前記IDコードを検出する警報音響分析回路と、
前記IDコードに基づく個別の処理を指令する第1制御信号を発生する第1信号発生回路と
を備える防犯装置。
【請求項2】
前記警報音は前記検知センサの検知した状況を示す状況コードを伴い、
前記警報音響分析回路は、前記警報音において前記状況コードを検出し、
前記状況コードに基づく個別の処理を指令する第2制御信号を発生する第2信号発生回路を更に備える、請求項1記載の防犯装置。
【請求項3】
前記状況コードもしくはその一部が一旦検出された後、一定時間内に前記IDコード若しくは前記状況コードが検出されなかった場合、所定の警報処理がなされる、請求項2記載の防犯装置。
【請求項4】
前記第2制御信号は、前記状況コード及び現在時刻を含む、請求項2又は請求項3に記載の防犯装置。
【請求項5】
前記警報音響分析回路は所定の音も検出し、これが検出された場合に前記第1制御信号が活性化する、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の防犯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−230472(P2012−230472A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97117(P2011−97117)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(503123705)エフビーオートメ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】