説明

防護柵の支柱

【課題】簡易な構造で、車両の衝突による衝撃力を十分に吸収して支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を確実に抑制することが可能な防護柵の支柱を提供する。
【解決手段】この防護柵の支柱1は、土台100に固定されるベースプレート11と、ベースプレート11に下端部が溶接され、土台100に対して立設されるとともに、車両の衝突を受ける複数の横梁2を支持する円筒状の支柱本体13とを備えている。そして、支柱本体13の下端部近傍の車両が通行する側と反対側の領域には、当該支柱本体13をその径方向に貫通する円形の貫通孔13aが形成されており、貫通孔13aは、支柱本体13の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさの直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護柵の支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1には、橋梁において車道の両側に設置される防護柵が開示されている。この従来の防護柵は、複数の横梁と、その複数の横梁を支える支柱とを備えており、前記支柱は橋梁の土台に固定されたベースプレートとそのベースプレートに下端部が接合された角筒状の支柱本体とによって構成されている。そして、この特許文献1では、支柱本体の車道と反対側の平面の下端部近傍に幅方向に延びる凹部を形成している。この凹部によって、車両の衝突荷重が支柱に掛かったときに支柱本体の下端部近傍の領域の座屈を促進させることにより、車両の衝突による衝撃力を吸収して支柱本体の下端部とベースプレートとの接合部が破断するのを抑制している。
【0003】
また、下記の特許文献2には、上記特許文献1と同様の防護柵に用いる支柱が開示されている。この特許文献2に開示された防護柵の支柱では、角筒状の支柱本体の車道と反対側の平面の下端部近傍に幅方向に延びる切欠き部が形成されているとともに、その切欠き部を塞ぐように支柱本体の内側へ屈曲した補強プレートが溶接されている。この構造では、補強プレートを取り付けた切欠き部によって、車両の衝突荷重が支柱に掛かったときに支柱本体の下端部近傍の領域の座屈を促進させることにより、上記特許文献1と同様、車両の衝突による衝撃力を吸収して支柱本体の下端部とベースプレートとの接合部が破断するのを抑制している。
【特許文献1】特開2002−294632号公報
【特許文献2】特開2005−188031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示された角筒状の支柱本体では、上記凹部または上記補強プレートが取り付けられた切欠き部から支柱本体の両側面へ座屈が波及しにくいため、支柱本体の下端部近傍の座屈を促進させにくい。このため、車両の衝突による衝撃力を十分に吸収することが困難となり、その結果、支柱本体の下端部とベースプレートとの接合部の破断を確実に防ぐことが困難となる虞がある。
【0005】
なお、上記特許文献2には上記角筒状の支柱本体に設けた補強プレート及び切欠き部を円筒状の支柱本体に適用することが示されているが、角筒状の支柱本体と円筒状の支柱本体では車両衝突時に生じる変形の挙動が異なるため、角筒状の支柱本体に設けた補強プレート及び切欠き部をそのまま適用したとしても円筒状の支柱本体で下端部近傍の座屈を良好に促進できるか否かは不明である。また、上記特許文献2では、円筒状の支柱本体において下端部近傍の座屈を促進させるのに適した切欠き部の具体的な構造は示されていない。従って、この特許文献2の円筒状の支柱本体を用いた防護柵の支柱でも、車両の衝突による衝撃力を十分に吸収できるかは不明であり、支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を確実に防ぐことが困難となる虞がある。
【0006】
また、一般に、簡易な構造で車両の衝突による衝撃力を吸収して支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を抑制することが可能な防護柵の支柱が求められている。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構造で、車両の衝突による衝撃力を十分に吸収して支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を確実に抑制することが可能な防護柵の支柱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は鋭意検討した結果、防護柵の支柱において円筒状の支柱本体の下端部近傍の車両が通行する側と反対側の領域に円形の貫通孔を設けるとともに、その貫通孔の直径を適切に設定することによって上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明による防護柵の支柱は、車両の衝突による衝撃を吸収する防護柵の支柱であって、土台に固定されるベースプレートと、前記ベースプレートに下端部が接合され、前記土台に対して立設されるとともに、車両の衝突を受ける複数の横梁を支持する円筒状の支柱本体とを備え、前記支柱本体の下端部近傍の前記車両が通行する側と反対側の領域には、当該支柱本体をその径方向に貫通する円形の貫通孔が形成されており、前記貫通孔は、前記支柱本体の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさの直径を有する。
【0009】
この防護柵の支柱では、支柱本体が円筒状であるので、車両の衝突時に支柱本体の下端部近傍の車両の通行する側と反対側の領域に形成された円形の貫通孔から当該支柱本体の周方向に沿って両側に座屈が波及しやすい。このため、車両の衝突時に支柱本体の下端部近傍の座屈を有効に促進させることができる。また、この防護柵の支柱では、前記貫通孔の直径を支柱本体の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさとすることによって、円形の貫通孔の大きさを支柱本体の下端部近傍の座屈を良好に促進させるのに適切な大きさに設定することができる。すなわち、この防護柵の支柱では、車両の衝突時に支柱本体の下端部近傍の座屈を有効に促進させて車両の衝突による衝撃力を十分に吸収することにより、支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を確実に抑制することができる。また、この防護柵の支柱では、円形の貫通孔を設けるだけで支柱本体の下端部近傍の座屈を促進させることができるので、従来のように切欠き部に補強プレートを溶接する場合と異なり、簡単な構造で支柱本体の下端部近傍の座屈を促進させることができる。従って、この防護柵の支柱では、簡単な構造で車両の衝突による衝撃力を十分に吸収して支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を確実に抑制することができる。
【0010】
また、上記防護柵の支柱において、前記貫通孔は、前記ベースプレートの上面から最も上側の前記横梁の前記車両が通行する側に最も突出した部分までの高さの9.4%以下の高さの範囲に設けられていることが好ましい。前記貫通孔を設ける高さ位置が高くなりすぎると、貫通孔による支柱本体の下端部近傍の座屈の促進効果が得にくくなるので、貫通孔を設ける高さ位置を所定の範囲内に設定することが重要となる。一方、防護柵において最も上側の横梁の車両の通行する側に最も突出した部分が車両の衝突する最も高い位置となり、その位置は車両の衝突時に防護柵の支柱に曲げモーメントを生じさせる力の作用点のうち最も高い位置となる。すなわち、この位置よりも高い位置で車両の衝突による荷重は防護柵の支柱に掛からないので、この位置を基準にして貫通孔を設ける高さ位置の範囲を設定することが好ましい。この観点に基づいて、本願発明者は鋭意検討した結果、上記のようにベースプレートの上面から最も上側の横梁の車両が通行する側に最も突出した部分までの高さの9.4%以下の高さの範囲に貫通孔を設ければ、車両の衝突時に支柱本体の下端部近傍の座屈を確実に促進させて、支柱本体とベースプレートとの溶接部の破断をより確実に防ぐことができることを見出した。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明による防護柵の支柱では、簡単な構造で車両の衝突による衝撃力を十分に吸収して支柱本体とベースプレートとの接合部の破断を確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による防護柵の支柱を適用する防護柵の構造を示した正面図であり、図2は、図1に示した防護柵を部分的に拡大して示した図である。図3は、図2に示した防護柵のIII−III線に沿った断面図であり、図4は図2に示した防護柵のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、本発明の一実施形態による防護柵の支柱の下端部近傍の構造を示した図である。図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態による防護柵の支柱の構造について説明する。
【0014】
本実施形態による防護柵の支柱1は、図1に示すような防護柵に適用される。この防護柵は、例えば橋梁の車両が通行する車道の両側や車道と歩道との境界等に設置されるものであり、車両の衝突による衝撃を吸収するものである。そして、防護柵は、複数の支柱1と、複数の横梁2とを備えている。各支柱1は、車道に沿って所定間隔でコンクリート製の土台100に立設されている。そして、横梁2は、この複数の支柱1の車道側に車道に沿って略水平方向に延びるように取り付けられている。本実施形態では、2本の横梁2が設けられており、これらは上下に所定の間隔を隔てて互いに平行に配置されている。そして、上側の横梁2は、支柱1の上端部近傍に取付部材4を介して取り付けられている一方、下側の横梁2は、支柱1の高さ方向の中間位置に取付部材5を介して取り付けられている。
【0015】
本実施形態による防護柵の支柱1は、図2及び図3に示すように、ベースプレート11と、円筒状の支柱本体13とを有している。ベースプレート11は、図4に示すように、その外形が略矩形状となるように形成されている。また、ベースプレート11の中央部には、支柱本体13の外径に対応した直径を有する取付穴11aが形成されている。そして、ベースプレート11の取付穴11aの周囲4箇所にボルト穴(図示せず)が設けられているとともに、これらのボルト穴にそれぞれ挿通されたアンカーボルト12によってベースプレート11が土台100に固定されている。
【0016】
支柱本体13は、円筒状に形成されているとともに、その上端部は図3に示すように車道と反対側へ行くに従って高さが低くなるように傾斜している。上記取付部材4はこの支柱本体13の上端部の車道側に取り付けられており、この取付部材4の内部に挿通される形態で上記上側の横梁2が取り付けられている。また、上記取付部材5は、支柱本体の高さ方向の中間位置にボルト・ナットで締結されている。そして、上記下側の横梁2がこの取付部材5の内部に挿通される形態で取り付けられている。
【0017】
また、支柱本体13の下端部は、ベースプレート11の前記取付穴11aに挿入されるとともにこのベースプレート11の取付穴11aの縁部と溶接されている。これにより、支柱本体13とベースプレート11が結合されており、支柱本体13が前記土台100に対して略垂直に立設されている。
【0018】
そして、本実施形態では、図3及び図5に示すように、支柱本体13の下端部近傍の車道と反対側の領域に当該支柱本体13をその径方向に貫通する円形の貫通孔13aが形成されている。具体的には、この円形の貫通孔13aは、車道側と真反対の領域で支柱本体の幅方向の中心に設けられている。そして、貫通孔13aは、支柱本体13の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさの直径を有している。また、貫通孔13aは、ベースプレート11の上面から上側の横梁2の前記車両が通行する側に最も突出した部分、すなわち上側の横梁2の中心線までの高さHの9.4%以下の高さの範囲に設けられている。本実施形態による円形の貫通孔13aは支柱本体13の外側から例えばドリル等の工具により穿孔することによって形成される。
【0019】
防護柵への車両の衝突時には、横梁2に車道側から車両が衝突し、これによって横梁2を介して支柱本体13にその上部側を車道と反対側へ押すような衝突荷重が掛かる。この際、本実施形態による支柱本体13では、貫通孔13aが上下方向に拉げるとともに、貫通孔13aの左右両側の縁部が左右に開きながら支柱本体13の径方向外側へ突出するように座屈が生じる。そしてこの座屈が、支柱本体13が円筒状であることに起因して貫通孔13aから支柱本体13の周方向に沿って左右両側へ波及する。このようにして、本実施形態による防護柵の支柱1では、円形の貫通孔13aにより車両の衝突時に支柱本体13の下端部近傍の座屈が促進されるようになっている。
【0020】
以上説明したように、本実施形態による防護柵の支柱1では、支柱本体13が円筒状であるので、車両の衝突時に支柱本体13の下端部近傍の車道と反対側の領域の貫通孔13aから当該支柱本体13の周方向に沿って両側に座屈が波及しやすい。このため、車両の衝突時に支柱本体13の下端部近傍の座屈を有効に促進させることができる。また、本実施形態による防護柵の支柱1では、円形の貫通孔13aの直径を支柱本体13の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさとすることによって、円形の貫通孔13aの大きさを支柱本体13の下端部近傍の座屈を良好に促進させるのに適切な大きさに設定することができる。すなわち、本実施形態による防護柵の支柱1では、車両の衝突時に支柱本体13の下端部近傍の座屈を有効に促進させて車両の衝突による衝撃力を十分に吸収することにより、支柱本体13とベースプレート11との溶接部の破断を確実に抑制することができる。
【0021】
また、本実施形態による防護柵の支柱1では、円形の貫通孔13aを設けるだけで支柱本体13の下端部近傍の座屈を促進させることができるので、従来のように切欠き部に補強プレートを溶接する場合と異なり、簡単な構造で支柱本体13の下端部近傍の座屈を促進させることができる。従って、本実施形態による防護柵の支柱1では、簡単な構造で車両の衝突による衝撃力を十分に吸収して支柱本体13とベースプレート11との溶接部の破断を確実に抑制することができる。
【0022】
また、本実施形態による防護柵の支柱1では、貫通孔13aがベースプレート11の上面から上側の横梁2の車道側に最も突出した部分までの高さの9.4%以下の高さの範囲に設けられている。貫通孔13aを設ける高さ位置が高くなりすぎると、貫通孔13aによる支柱本体13の下端部近傍の座屈の促進効果が得にくくなるので、貫通孔13aを設ける高さ位置を所定の範囲内に設定することが重要となる。一方、防護柵において上側の横梁2の車道側に最も突出した部分が車両の衝突する最も高い位置となり、その位置は車両の衝突時に防護柵の支柱1に曲げモーメントを生じさせる力の作用点のうち最も高い位置となる。すなわち、この位置よりも高い位置で車両の衝突による荷重は防護柵の支柱1に掛からないので、この位置を基準にして貫通孔13aを設ける高さ位置の範囲を設定することが好ましい。本実施形態では、この観点に基づいて、上記のようにベースプレート11の上面から上側の横梁2の車道側に最も突出した部分までの高さの9.4%以下の高さの範囲に貫通孔13aを設けており、その結果、車両の衝突時に支柱本体13の下端部近傍の座屈を確実に促進させて、支柱本体13とベースプレート11との溶接部の破断をより確実に防ぐことができる。
【0023】
次に、上記した防護柵の支柱の構成による効果を確認するために行った実験について説明する。
【0024】
この実験では、上記実施形態の構造を有する防護柵の支柱に上側の横梁の一部が取付部材を介して取り付けられたものを試験体として準備した。また、支柱本体の直径、貫通孔の直径及び貫通孔の高さ位置がそれぞれ異なる複数の試験体を準備した。なお、各試験体において、ベースプレートの上面から上側の横梁の最も車道側に突出する部分(上側の横梁の中心線の位置)までの高さは800mmとなるように統一した。そして、このような各試験体を荷重試験機にセットして静荷重試験を行った。この際、試験体の横梁が上側になるように支柱本体を水平に寝かせるとともに、荷重試験機の基部から上方に浮いた状態で試験体をセットした。また、試験体のベースプレート側の端部は所定の治具を用いて動かないように固定した、そして、荷重試験機により横梁の中心線に対応する最も上方に突出した部分に下方へ向かって荷重を掛け、支柱本体の下端部とベースプレートとの溶接部に割れが生じたか否かを確認した。
【0025】
第1の実験例では、貫通孔のベースプレートの上面からの高さ位置を75mmに統一するとともに支柱本体の直径に対する貫通孔の直径の比率を変えた各試験体について上記の静荷重試験を行った。その結果が以下の表1に示されている。なお、以下の表1において荷重高さとは、ベースプレートの上面から上側の横梁の中心線までの距離であり、上記したようにこの実験では800mmに設定されている。
【0026】
【表1】

【0027】
上記表1から判るように、支柱本体の直径に対する貫通孔の直径の比率が17.5%以上25.0%以下の場合には支柱本体の下端部とベースプレートとの溶接部に割れは生じなかった。これは、この比率の範囲内に入るように円形の貫通孔の直径を設定することによって、支柱本体に上記荷重が付加されたときに支柱本体の下端部近傍の座屈を良好に促進させることができ、その結果、支柱本体とベースプレートとの溶接部への応力集中を緩和することができたためであると考えられる。従って、この結果から、支柱本体の下端部近傍の車道と反対側の領域に、支柱本体の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさの直径を有する円形の貫通孔を設けることによって、車両の衝突時に支柱本体の下端部近傍の座屈を有効に促進させて車両の衝突による衝撃力を十分に吸収することができ、さらに、支柱本体とベースプレートとの溶接部の破断を確実に抑制できることが判明した。
【0028】
次に、第2の実験例では、支柱本体の直径に対する貫通孔の直径の比率を固定して貫通孔のベースプレートの上面からの高さ位置を変えた各試験体について上記静荷重試験を行った。なお、この第2の実験例では、支柱本体の直径に対する貫通孔の直径の比率を21.9%に固定した各試験体と21.5%に固定した各試験体とを用いた。その結果が以下の表2に示されている。なお、この第2の実験例においても荷重高さは800mmである。
【0029】
【表2】

【0030】
上記表2から判るように、支柱本体の直径に対する貫通孔の直径の比率を21.9%に固定した各試験体と21.5%に固定した各試験体のどちらにおいても、貫通孔のベースプレートの上面からの高さ位置が75mm以下、すなわち荷重高さに対する貫通孔の高さ位置の比率が9.4%以下の場合には支柱本体とベースプレートとの溶接部に割れが生じなかった。一方、この範囲を超えた貫通孔の高さ位置が85mmの試験体、すなわち荷重高さに対する貫通孔の高さ位置の比率が10.6%の試験体では、支柱本体とベースプレートとの溶接部に割れが生じた。この結果は、支柱本体の下端部とベースプレートとの溶接部により近い高さ位置に貫通孔を設けることによって、その溶接部に近い領域で座屈を促進させることができるので、支柱本体に荷重が掛かったときに溶接部に対する応力集中をより緩和できることに起因すると考えられる。従って、前記貫通孔は、ベースプレートの上面から最も上側の横梁の車道側に最も突出した部分までの高さの9.4%以下の高さの範囲に設けることによって、車両の衝突時に支柱本体とベースプレートとの溶接部が破断するのをより確実に防ぐことができることが判明した。
【0031】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0032】
例えば、上記実施形態では、上側の横梁2と下側の横梁2の2本の横梁を支持する支柱1を例に取って説明したが、これに限らず、3本以上の横梁を支持する防護柵の支柱についても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による防護柵の支柱を適用する防護柵の構造を示した正面図である。
【図2】図1に示した防護柵を部分的に拡大して示した図である。
【図3】図2に示した防護柵のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2に示した防護柵のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による防護柵の支柱の下端部近傍の構造を示した図である。
【符号の説明】
【0034】
1 支柱
2 横梁
11 ベースプレート
13 支柱本体
13a 貫通孔
100 土台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の衝突による衝撃を吸収する防護柵の支柱であって、
土台に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートに下端部が接合され、前記土台に対して立設されるとともに、車両の衝突を受ける複数の横梁を支持する円筒状の支柱本体とを備え、
前記支柱本体の下端部近傍の前記車両が通行する側と反対側の領域には、当該支柱本体をその径方向に貫通する円形の貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、前記支柱本体の直径の17.5%以上25.0%以下の大きさの直径を有する、防護柵の支柱。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記ベースプレートの上面から最も上側の前記横梁の前記車両が通行する側に最も突出した部分までの高さの9.4%以下の高さの範囲に設けられている、請求項1に記載の防護柵の支柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−95472(P2008−95472A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281612(P2006−281612)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】