防除タンクの給水装置
【課題】農用作業車の防除タンクに河川等の水からゴミ等を除去して給水する。
【解決手段】農用作業車(1)には防除タンク(9)、防除ポンプ(10)及び防除散布装置(33L,33C,33R)を設け、下部側を小径とした密閉状の円錐状ケース(36a)の上部の給水口(36d)から流入した水が旋回しながら重い砂などのゴミ類は下部側に沈下させて分離する除塵給水装置(36)を設け、該除塵給水装置(36)を経由した水を前記防除タンク(9)に供給する構成とする。
【解決手段】農用作業車(1)には防除タンク(9)、防除ポンプ(10)及び防除散布装置(33L,33C,33R)を設け、下部側を小径とした密閉状の円錐状ケース(36a)の上部の給水口(36d)から流入した水が旋回しながら重い砂などのゴミ類は下部側に沈下させて分離する除塵給水装置(36)を設け、該除塵給水装置(36)を経由した水を前記防除タンク(9)に供給する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用作業車に搭載される防除タンクの給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農用作業車の防除タンクにおいて、防除タンク内の薬液をフィルタ、防除ポンプを経由してブームに送り薬液を散布するものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−273294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乗用管理機等の農用作業車の防除タンクには川から給水することが多く、給水の際には川の水に砂などが混入することが多く、フィルタの目詰まりを招き易く、また、防除ポンプの弁等を摩耗損傷するという不具合が発生していた。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、農用作業車(1)には防除タンク(9)、防除ポンプ(10)及び防除散布装置(33L,33C,33R)を設け、下部側を小径とした密閉状の円錐状ケース(36a)の上部の給水口(36d)から流入した水が旋回しながら重い砂などのゴミ類は下部側に沈下させて分離する除塵給水装置(36)を設け、該除塵給水装置(36)を経由した水を前記防除タンク(9)に供給することを特徴とする農用作業車の防除タンクの給水装置とする。
【0005】
前記構成によると、除塵給水装置(36)の下部側が小さくなっている円錐状ケース(36a)には上部側の給水口(36d)から給水ポンプにより水が送り込まれると、水は円錐状ケース(36a)を旋回して重い砂などのゴミ類は下部側に沈下し、上部側にきれいな水が残りごみ類とは分離される。このように除塵給水装置(36)で除塵された水が防除タンク(9)に供給される。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、除塵給水装置(36)を経由した水を防除タンク(9)に給水するので、川の水を給水しても砂等の異物を除去することができ、防除タンク(9)のメインフィルタを長時間使用することができ、防除ポンプ(10)の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明を具備する乗用管理機の全体側面図である。
乗用管理機1は、左右前輪2,2及び左右後輪3,3が略同径に構成されていて、前輪2,2及び後輪3,3が独立駆動で、且つ、前輪2,2及び後輪3,3の四輪操舵できるように構成している。また、運転席には操舵ハンドル5、計器盤6、シート8を備え、運転席の右側方には例えばブームスプレーヤを連結した場合の操作部7を備えている。
【0008】
また、シート8の左右両側から後方を囲うように前方を開口した平面視で「コ」字状としたブームスプレーヤ用の防除タンク9をフロア上に配設し、シート8の下方のフロア面上には防除ポンプ10を配設している。また、機体前側部のボンネット4内にエンジン12を搭載し、フロアの下部にはミッション部11等を配設している。
【0009】
機体後部にはロータリ耕耘装置やプラウ等の後部作業機を連結するためのヒッチ16を備えている。このヒッチ16の前端部を軸支して上下回動自在に構成し、図示の状態では後部作業機を連結していないので、ヒッチ16を上方に回動した状態でピン17により支持し、ヒッチ16により防除タンク9の底部を支持している。なお、13はバッテリ、14は主電源スイッチである。
【0010】
次に、図2に基づき薬液の流れについて説明する。内部に薬液を収容している防除タンク9から、防除ポンプ10により、フィルタ21を通って送り出されたた薬液は、配管22及び配管23を通り、途中で三つの配管24L,24C,24Rに分岐され、それぞれ左側ブーム33L、中央ブーム33C、右側ブーム33Rに送られる。各配管24L,24C,24Rには開閉レバー25a,25b,25cにより操作される散布コック26L,26C,26R、及び、流量センサ27L,27C,27Rを設けている。
【0011】
また、各ブーム33L,33C,33Rへ供給する薬液流量の調整は流量調整アクチュエータ28により行われる。また、防除ポンプ10から吐出した配管22部の薬液の一部は、撹拌用配管29及びノズル29aにより撹拌水として防除タンク9の底部へ還元され、水溶液の底部に沈下する薬剤を撹拌し混合し、安全弁30により配管22内の圧力は例えば30kg/cm2程度に保持されている。また、31は逃がしの配管であって、安全弁30からオーバーフローした薬液を防除タンク9に還元する。32はエアチャンバであって、配管22内の内圧脈動を小さくしている。なお、12は防除モータである。
【0012】
次に、図3に基づき液散布装置の他の実施形態について説明する。
配管23の流量センサ27の下手側で、且つ、散布コック26L,26C,26Rの上手側部に、逆流防止弁41を介してエア供給配管42を接続し、エア供給配管42の始端側にエアポンプ43を配設している。
【0013】
前記構成によると、少量散布時にエアポンプ43からエア供給配管42を経由して圧縮空気を配管23に送り込む。すると、薬液にエアが混入されて薬液の体積を増やし、低圧散布時におけるブーム33L,33C,33Rのノズルからの散布速度を高め、ノズルから薬液の滴り落ちるのを防止し、散布の適正化を図ることができる。
【0014】
次に、図4に基づき防除タンク9の底部に設ける除塵給水装置36について説明する。
除塵給水装置36は、下側部が小径の円錐状ケース36aと、ケース36aの底部に着脱自在に取り付けているダストボックス36bと、円錐状ケース36aの上側開口部を着脱自在に閉鎖する平面視で円形状の蓋36cと、蓋36cの上部に円周方向に沿うように設けられている給水口36dと、蓋36cの給水口36dの内周部に垂下している案内円筒36eと、案内円筒36eの下端部と円錐形状ケース36aの上部内周面との間に構成されている流下間隔部36fと、上端部が蓋36cの中央部下面に接近し、且つ、下端部がケース36aの外部へ延出している給水筒36gにより構成されている。
【0015】
乗用管理機1の防除タンク9には川から給水することが多く、給水の際には水に砂などが混じることが多く、防除ポンプ10の弁等を摩耗損傷するという不具合が発生していた。
【0016】
前記構成によると、川からの水がポンプ(図示省略)により蓋36c上部の給水口36dから送り込まれると、案内円筒36eと蓋36cの内周面間を旋回しながら流下し、重い砂などのゴミは旋回しながら下方に流下し、円錐状ケース36aの底部からダストボックス36bに収納される。また、案内円筒36eと蓋36cの内周面間を旋回しながら流下した水が円錐状ケース36a及び蓋36c内に満たされることとなる。すると、上側の澄んだ水が給水筒36gの上部始端側に流入し下部終端側に流れ防除タンク9に圧送供給される。
【0017】
前記のように、除塵給水装置36を通して防除タンク9に給水することにより、川の水から砂等の異物を予備的に除去することができ、防除ポンプ10の損傷を防止し、防除タンク9側のメインフィルタ(図示省略)を長時間使用することができる。
【0018】
なお、図4に示すように、タンク9の底面一部を陥没させ、当該陥没部分9aに前記除塵給水装置36を構成する。そして、給水筒36gを最低レベル位置よりも上方に設定している。このように構成すると、薬液タンクの吸い込み位置をダンク9底面と同一に構成する場合には比重の重いごみを吸い込む恐れがあったが、底面よりも高い位置に配置することで上記の欠点を解消できる。
【0019】
次に、図5に基づき除塵給水装置の他の実施形態について説明する。
除塵給水装置36Aは、下側部が小径の円錐状ケース36aと、ケース36aの底部に着脱自在に取り付けているダストボックス36bと、円錐状ケース36aの上側開口部を着脱自在に閉鎖する平面視円形状の蓋36cと、蓋36cの上部に円周方向に沿うように設けられている給水口36dと、蓋36cの給水口36dの内周部に垂下している案内円筒36eと、案内円筒36eの下端部と円錐状ケース36aの上部内周面との間に構成されている流下間隔部36fと、給水筒36g(その上部終端側が蓋36cの中央部下面に接近し、且つ、下部始端側がケース36a外に延出している)と、第二給水筒36h(下部始端側が給水筒36gの上端部を覆うように対向し、上部終端側が防除タンク9に連通している)と、円錐状ケース36a及び蓋36cを覆う網体36iにより構成されている。
【0020】
前記構成によると、除塵給水装置36Aの網体36i全体を川の水に浸け、ポンプ(図示省略)を駆動し給水筒36gから給水する。すると、円錐状ケース36a及び蓋36cの水は給水筒36gから圧送された水により連れ出され、第二給水筒36hを経由して防除タンク9に供給される。また、防除タンク9への給水により、蓋36c上部の給水口36dから水が吸い込まれ、吸い込まれた水は案内円筒36eと蓋36cの間を旋回しながら流下し、重い砂などのゴミは沈下し、円錐状ケース36aの底部からダストボックス36bに収納される。また、給水作業が終了し、除塵給水装置36Aの網体36iを引き揚げると、ダストボックス36bの接地により閉鎖していた弁36jが自動的に開き、ゴミが排出される。
【0021】
しかして、前記実施態様と同様の効果を奏するものである。
次に、図6に基づきヒッチ16に連結する後部作業機の他の実施形態について説明する。
【0022】
機体の前側部には上下昇降リンク46a,46bからなる前部昇降リンク装置46を昇降自在に設け、前部昇降リンク装置46には通常は中央ブーム、左右ブーム(図示省略)を取り付けている。また、機体後部の昇降自在の前記ヒッチ16には、ロータリ耕耘装置47を取り付けている。そして、ヒッチ16昇降用の昇降シリンダ48を、油圧回路(図示省略)にカプラ48a,48aを介して着脱自在に連結している。
【0023】
前記構成において、前部昇降リンク装置46にロータリ耕耘装置47を付け代え、乗用管理機1を前進走行しながら耕耘作業をする場合について説明する。まず、前部昇降リンク装置46からブーム(図示省略)を取り外し、後側のロータリ耕耘装置47を取り外し、前部昇降リンク装置46に付け代え、前部PTO軸(図示省略)から動力伝達状態とする。そして、昇降シリンダ48のカプラ48a,48aを外し、昇降シリンダ48を機体の前側に付け代え、前部昇降リンク装置46を昇降し、ロータリ耕耘装置47を昇降する。
【0024】
前記構成によると、機体前部にロータリ耕耘装置47を取り付け、オペレータは畦に合わせて走行しながら大豆の除草作業等を楽に行なうことができる。
なお、ロータリ耕耘装置47の伝動ボックス47aには、図7に示すように、前部動力取入軸49a及び後部動力取入軸49bを設け、前後何れのPTO軸からも動力が伝達できるように構成している。
【0025】
次に、図8に基づき機体の前後に取り付けるバンパウエイト51について説明する。
機体前後の左右方向の取付板52には、左右一側端部に前後両面が垂直な幅の狭い差し込み部52aを構成し、差し込み部52aの左右側方に隣接して略左右全幅にわたり、外側垂直面と内側の下側ほど狭くなるような傾斜面からなる固定差し込み部52bを構成している。また、バンパウエイト51には、上部に手の入る握持部51aを構成し、上部前側部にフック51bを構成している。このフック51bの下端部には前記差し込み部52aの嵌入する狭い開口部51cを構成し、この開口部51cの上側に隣接して上側ほど幅広になる傾斜開口部51dに構成している。しかして、バンパウエイト51の傾斜開口部51dが取付板52の傾斜状の固定差し込み部52bに接触し、バンパウエイト51が支持される構成である。
【0026】
前記構成によると、バンパウエイト51のフック51bを取付板52の差し込み部52aに嵌入し、左右方向の傾斜状の固定差し込み部52bに向けて移動することにより、バンパウエイト51の傾斜開口部51dが取付板52の傾斜状の固定差し込み部52bに接触支持される。従って、バンパウエイト51の取り付け取り外しが容易となり、また、外れにくく安全性を向上させることができる。
【0027】
次に、図9に基づきバンパウエイト51の取付装置の他の実施形態について説明する。
機体前後にはバンパウエイト51取付用の左右方向の取付板52を設けている。また、バンパウエイト51の上部には手の入る握持部51aを構成し、上部前側部にフック51bを構成している。このフック51bの間隔部は取付板52の前後両側面に接触嵌合するように上下同じ幅に構成している。そして、バンパウエイト51の上部左右一側面に突出した係止部51cを構成し、上部左右他側面には引っ込んだ係合支持部51dを構成し、隣接するバンパウエイト51,51の係止部51cと係合支持部51dとが嵌合し、両者は荷重を受けた状態で接触係合し、左右方向の移動を規制するようにしている。そして、多数のバンパウエイト51,…を装着した場合には、一番端のバンパウエイト51を例えばボルトで取付板52に固定する。
【0028】
前記構成によると、バンパウエイト51,…のフック51bを取付板52に嵌合支持し、隣接するバンパウエイト51,51の係止部51cと係合支持部51dを係合させることにより、左右の移動が制限され、バンパウエイト51,…の取付板52へのロックは一番端のものだけでよく、取り付け取り外しを簡単化することができる。
【0029】
なお、バンパウエイト51の突出した係止部51cと引っ込んだ係合支持部51dを、図10に示すように構成しても、同様の効果が期待できる。
次に、図11に基づき乗用管理機1の部品検索装置について説明する。
【0030】
乗用管理機1やその作業機であるロータリ耕耘装置47の部品情報や表示ソフトを記録したICカード56を、乗用管理機1やロータリ耕耘装置47の運転操作や取扱い説明等を記載した取扱い説明書57に添付し、乗用管理機1に梱包して出荷する。また、ICカード56の情報には、部品の設計変更情報についても、型式名、号機番号、部品名、部品コード番号、設計変更実施年月日等を記載しておく。
【0031】
しかして、消耗部品や故障部品のメンテナンス時には、ICカード56をパソコン58に読み込み、表示ソフトを活用し画面に部品情報等が一覧表示される。このときに合わせて、部品注文先の住所、電話番号等の情報も表示される。前記構成によると、容易に必要部品情報を検索することができ、消耗部品や故障部品の補充を迅速に行なうことができる。
【0032】
また、乗用管理機1等の故障診断システムを次のように構成してもよい。
乗用管理機1の故障診断用のICカード(図示省略)を乗用管理機1の制御部(図示省略)に内蔵しておき、故障が生じると、故障箇所及びその内容や、故障年月日等がICカードに記録されていく。なお、このICカードには故障に対する対処方法も合わせて記録しておく。
【0033】
故障のメンテナンス時には、このICカードを携帯電話(図示省略)の非接触型のICカード読み取り装置により読み込み、携帯電話の画面に故障箇所及び故障の対処方法が合わせて表示される。
【0034】
前記構成によると、故障箇所及びその対処方法を迅速に知ることができ、メンテナンスが容易となる。なお、携帯電話に故障の対処方法を記録しておき、故障情報に合わせて表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】乗用管理機の側面図
【図2】薬液散布装置のブロック図
【図3】薬液散布装置のブロック図
【図4】防塵給水装置の平面図、側面図
【図5】防塵給水装置の平面図、側面図
【図6】乗用管理機の側面図
【図7】ロータリ耕耘装置の側面図
【図8】バンパウエイトの斜視図、側面図
【図9】バンパウエイトの斜視図
【図10】バンパウエイトの斜視図
【図11】部品検索装置の斜視図
【符号の説明】
【0036】
1 農用作業車(乗用管理機)
9 防除タンク
10 防除ポンプ
33L,33C,33R 防除散布装置
36、36A 除塵給水装置
36a 円錐状ケース
36d 給水口
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用作業車に搭載される防除タンクの給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農用作業車の防除タンクにおいて、防除タンク内の薬液をフィルタ、防除ポンプを経由してブームに送り薬液を散布するものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−273294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乗用管理機等の農用作業車の防除タンクには川から給水することが多く、給水の際には川の水に砂などが混入することが多く、フィルタの目詰まりを招き易く、また、防除ポンプの弁等を摩耗損傷するという不具合が発生していた。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、農用作業車(1)には防除タンク(9)、防除ポンプ(10)及び防除散布装置(33L,33C,33R)を設け、下部側を小径とした密閉状の円錐状ケース(36a)の上部の給水口(36d)から流入した水が旋回しながら重い砂などのゴミ類は下部側に沈下させて分離する除塵給水装置(36)を設け、該除塵給水装置(36)を経由した水を前記防除タンク(9)に供給することを特徴とする農用作業車の防除タンクの給水装置とする。
【0005】
前記構成によると、除塵給水装置(36)の下部側が小さくなっている円錐状ケース(36a)には上部側の給水口(36d)から給水ポンプにより水が送り込まれると、水は円錐状ケース(36a)を旋回して重い砂などのゴミ類は下部側に沈下し、上部側にきれいな水が残りごみ類とは分離される。このように除塵給水装置(36)で除塵された水が防除タンク(9)に供給される。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、除塵給水装置(36)を経由した水を防除タンク(9)に給水するので、川の水を給水しても砂等の異物を除去することができ、防除タンク(9)のメインフィルタを長時間使用することができ、防除ポンプ(10)の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明を具備する乗用管理機の全体側面図である。
乗用管理機1は、左右前輪2,2及び左右後輪3,3が略同径に構成されていて、前輪2,2及び後輪3,3が独立駆動で、且つ、前輪2,2及び後輪3,3の四輪操舵できるように構成している。また、運転席には操舵ハンドル5、計器盤6、シート8を備え、運転席の右側方には例えばブームスプレーヤを連結した場合の操作部7を備えている。
【0008】
また、シート8の左右両側から後方を囲うように前方を開口した平面視で「コ」字状としたブームスプレーヤ用の防除タンク9をフロア上に配設し、シート8の下方のフロア面上には防除ポンプ10を配設している。また、機体前側部のボンネット4内にエンジン12を搭載し、フロアの下部にはミッション部11等を配設している。
【0009】
機体後部にはロータリ耕耘装置やプラウ等の後部作業機を連結するためのヒッチ16を備えている。このヒッチ16の前端部を軸支して上下回動自在に構成し、図示の状態では後部作業機を連結していないので、ヒッチ16を上方に回動した状態でピン17により支持し、ヒッチ16により防除タンク9の底部を支持している。なお、13はバッテリ、14は主電源スイッチである。
【0010】
次に、図2に基づき薬液の流れについて説明する。内部に薬液を収容している防除タンク9から、防除ポンプ10により、フィルタ21を通って送り出されたた薬液は、配管22及び配管23を通り、途中で三つの配管24L,24C,24Rに分岐され、それぞれ左側ブーム33L、中央ブーム33C、右側ブーム33Rに送られる。各配管24L,24C,24Rには開閉レバー25a,25b,25cにより操作される散布コック26L,26C,26R、及び、流量センサ27L,27C,27Rを設けている。
【0011】
また、各ブーム33L,33C,33Rへ供給する薬液流量の調整は流量調整アクチュエータ28により行われる。また、防除ポンプ10から吐出した配管22部の薬液の一部は、撹拌用配管29及びノズル29aにより撹拌水として防除タンク9の底部へ還元され、水溶液の底部に沈下する薬剤を撹拌し混合し、安全弁30により配管22内の圧力は例えば30kg/cm2程度に保持されている。また、31は逃がしの配管であって、安全弁30からオーバーフローした薬液を防除タンク9に還元する。32はエアチャンバであって、配管22内の内圧脈動を小さくしている。なお、12は防除モータである。
【0012】
次に、図3に基づき液散布装置の他の実施形態について説明する。
配管23の流量センサ27の下手側で、且つ、散布コック26L,26C,26Rの上手側部に、逆流防止弁41を介してエア供給配管42を接続し、エア供給配管42の始端側にエアポンプ43を配設している。
【0013】
前記構成によると、少量散布時にエアポンプ43からエア供給配管42を経由して圧縮空気を配管23に送り込む。すると、薬液にエアが混入されて薬液の体積を増やし、低圧散布時におけるブーム33L,33C,33Rのノズルからの散布速度を高め、ノズルから薬液の滴り落ちるのを防止し、散布の適正化を図ることができる。
【0014】
次に、図4に基づき防除タンク9の底部に設ける除塵給水装置36について説明する。
除塵給水装置36は、下側部が小径の円錐状ケース36aと、ケース36aの底部に着脱自在に取り付けているダストボックス36bと、円錐状ケース36aの上側開口部を着脱自在に閉鎖する平面視で円形状の蓋36cと、蓋36cの上部に円周方向に沿うように設けられている給水口36dと、蓋36cの給水口36dの内周部に垂下している案内円筒36eと、案内円筒36eの下端部と円錐形状ケース36aの上部内周面との間に構成されている流下間隔部36fと、上端部が蓋36cの中央部下面に接近し、且つ、下端部がケース36aの外部へ延出している給水筒36gにより構成されている。
【0015】
乗用管理機1の防除タンク9には川から給水することが多く、給水の際には水に砂などが混じることが多く、防除ポンプ10の弁等を摩耗損傷するという不具合が発生していた。
【0016】
前記構成によると、川からの水がポンプ(図示省略)により蓋36c上部の給水口36dから送り込まれると、案内円筒36eと蓋36cの内周面間を旋回しながら流下し、重い砂などのゴミは旋回しながら下方に流下し、円錐状ケース36aの底部からダストボックス36bに収納される。また、案内円筒36eと蓋36cの内周面間を旋回しながら流下した水が円錐状ケース36a及び蓋36c内に満たされることとなる。すると、上側の澄んだ水が給水筒36gの上部始端側に流入し下部終端側に流れ防除タンク9に圧送供給される。
【0017】
前記のように、除塵給水装置36を通して防除タンク9に給水することにより、川の水から砂等の異物を予備的に除去することができ、防除ポンプ10の損傷を防止し、防除タンク9側のメインフィルタ(図示省略)を長時間使用することができる。
【0018】
なお、図4に示すように、タンク9の底面一部を陥没させ、当該陥没部分9aに前記除塵給水装置36を構成する。そして、給水筒36gを最低レベル位置よりも上方に設定している。このように構成すると、薬液タンクの吸い込み位置をダンク9底面と同一に構成する場合には比重の重いごみを吸い込む恐れがあったが、底面よりも高い位置に配置することで上記の欠点を解消できる。
【0019】
次に、図5に基づき除塵給水装置の他の実施形態について説明する。
除塵給水装置36Aは、下側部が小径の円錐状ケース36aと、ケース36aの底部に着脱自在に取り付けているダストボックス36bと、円錐状ケース36aの上側開口部を着脱自在に閉鎖する平面視円形状の蓋36cと、蓋36cの上部に円周方向に沿うように設けられている給水口36dと、蓋36cの給水口36dの内周部に垂下している案内円筒36eと、案内円筒36eの下端部と円錐状ケース36aの上部内周面との間に構成されている流下間隔部36fと、給水筒36g(その上部終端側が蓋36cの中央部下面に接近し、且つ、下部始端側がケース36a外に延出している)と、第二給水筒36h(下部始端側が給水筒36gの上端部を覆うように対向し、上部終端側が防除タンク9に連通している)と、円錐状ケース36a及び蓋36cを覆う網体36iにより構成されている。
【0020】
前記構成によると、除塵給水装置36Aの網体36i全体を川の水に浸け、ポンプ(図示省略)を駆動し給水筒36gから給水する。すると、円錐状ケース36a及び蓋36cの水は給水筒36gから圧送された水により連れ出され、第二給水筒36hを経由して防除タンク9に供給される。また、防除タンク9への給水により、蓋36c上部の給水口36dから水が吸い込まれ、吸い込まれた水は案内円筒36eと蓋36cの間を旋回しながら流下し、重い砂などのゴミは沈下し、円錐状ケース36aの底部からダストボックス36bに収納される。また、給水作業が終了し、除塵給水装置36Aの網体36iを引き揚げると、ダストボックス36bの接地により閉鎖していた弁36jが自動的に開き、ゴミが排出される。
【0021】
しかして、前記実施態様と同様の効果を奏するものである。
次に、図6に基づきヒッチ16に連結する後部作業機の他の実施形態について説明する。
【0022】
機体の前側部には上下昇降リンク46a,46bからなる前部昇降リンク装置46を昇降自在に設け、前部昇降リンク装置46には通常は中央ブーム、左右ブーム(図示省略)を取り付けている。また、機体後部の昇降自在の前記ヒッチ16には、ロータリ耕耘装置47を取り付けている。そして、ヒッチ16昇降用の昇降シリンダ48を、油圧回路(図示省略)にカプラ48a,48aを介して着脱自在に連結している。
【0023】
前記構成において、前部昇降リンク装置46にロータリ耕耘装置47を付け代え、乗用管理機1を前進走行しながら耕耘作業をする場合について説明する。まず、前部昇降リンク装置46からブーム(図示省略)を取り外し、後側のロータリ耕耘装置47を取り外し、前部昇降リンク装置46に付け代え、前部PTO軸(図示省略)から動力伝達状態とする。そして、昇降シリンダ48のカプラ48a,48aを外し、昇降シリンダ48を機体の前側に付け代え、前部昇降リンク装置46を昇降し、ロータリ耕耘装置47を昇降する。
【0024】
前記構成によると、機体前部にロータリ耕耘装置47を取り付け、オペレータは畦に合わせて走行しながら大豆の除草作業等を楽に行なうことができる。
なお、ロータリ耕耘装置47の伝動ボックス47aには、図7に示すように、前部動力取入軸49a及び後部動力取入軸49bを設け、前後何れのPTO軸からも動力が伝達できるように構成している。
【0025】
次に、図8に基づき機体の前後に取り付けるバンパウエイト51について説明する。
機体前後の左右方向の取付板52には、左右一側端部に前後両面が垂直な幅の狭い差し込み部52aを構成し、差し込み部52aの左右側方に隣接して略左右全幅にわたり、外側垂直面と内側の下側ほど狭くなるような傾斜面からなる固定差し込み部52bを構成している。また、バンパウエイト51には、上部に手の入る握持部51aを構成し、上部前側部にフック51bを構成している。このフック51bの下端部には前記差し込み部52aの嵌入する狭い開口部51cを構成し、この開口部51cの上側に隣接して上側ほど幅広になる傾斜開口部51dに構成している。しかして、バンパウエイト51の傾斜開口部51dが取付板52の傾斜状の固定差し込み部52bに接触し、バンパウエイト51が支持される構成である。
【0026】
前記構成によると、バンパウエイト51のフック51bを取付板52の差し込み部52aに嵌入し、左右方向の傾斜状の固定差し込み部52bに向けて移動することにより、バンパウエイト51の傾斜開口部51dが取付板52の傾斜状の固定差し込み部52bに接触支持される。従って、バンパウエイト51の取り付け取り外しが容易となり、また、外れにくく安全性を向上させることができる。
【0027】
次に、図9に基づきバンパウエイト51の取付装置の他の実施形態について説明する。
機体前後にはバンパウエイト51取付用の左右方向の取付板52を設けている。また、バンパウエイト51の上部には手の入る握持部51aを構成し、上部前側部にフック51bを構成している。このフック51bの間隔部は取付板52の前後両側面に接触嵌合するように上下同じ幅に構成している。そして、バンパウエイト51の上部左右一側面に突出した係止部51cを構成し、上部左右他側面には引っ込んだ係合支持部51dを構成し、隣接するバンパウエイト51,51の係止部51cと係合支持部51dとが嵌合し、両者は荷重を受けた状態で接触係合し、左右方向の移動を規制するようにしている。そして、多数のバンパウエイト51,…を装着した場合には、一番端のバンパウエイト51を例えばボルトで取付板52に固定する。
【0028】
前記構成によると、バンパウエイト51,…のフック51bを取付板52に嵌合支持し、隣接するバンパウエイト51,51の係止部51cと係合支持部51dを係合させることにより、左右の移動が制限され、バンパウエイト51,…の取付板52へのロックは一番端のものだけでよく、取り付け取り外しを簡単化することができる。
【0029】
なお、バンパウエイト51の突出した係止部51cと引っ込んだ係合支持部51dを、図10に示すように構成しても、同様の効果が期待できる。
次に、図11に基づき乗用管理機1の部品検索装置について説明する。
【0030】
乗用管理機1やその作業機であるロータリ耕耘装置47の部品情報や表示ソフトを記録したICカード56を、乗用管理機1やロータリ耕耘装置47の運転操作や取扱い説明等を記載した取扱い説明書57に添付し、乗用管理機1に梱包して出荷する。また、ICカード56の情報には、部品の設計変更情報についても、型式名、号機番号、部品名、部品コード番号、設計変更実施年月日等を記載しておく。
【0031】
しかして、消耗部品や故障部品のメンテナンス時には、ICカード56をパソコン58に読み込み、表示ソフトを活用し画面に部品情報等が一覧表示される。このときに合わせて、部品注文先の住所、電話番号等の情報も表示される。前記構成によると、容易に必要部品情報を検索することができ、消耗部品や故障部品の補充を迅速に行なうことができる。
【0032】
また、乗用管理機1等の故障診断システムを次のように構成してもよい。
乗用管理機1の故障診断用のICカード(図示省略)を乗用管理機1の制御部(図示省略)に内蔵しておき、故障が生じると、故障箇所及びその内容や、故障年月日等がICカードに記録されていく。なお、このICカードには故障に対する対処方法も合わせて記録しておく。
【0033】
故障のメンテナンス時には、このICカードを携帯電話(図示省略)の非接触型のICカード読み取り装置により読み込み、携帯電話の画面に故障箇所及び故障の対処方法が合わせて表示される。
【0034】
前記構成によると、故障箇所及びその対処方法を迅速に知ることができ、メンテナンスが容易となる。なお、携帯電話に故障の対処方法を記録しておき、故障情報に合わせて表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】乗用管理機の側面図
【図2】薬液散布装置のブロック図
【図3】薬液散布装置のブロック図
【図4】防塵給水装置の平面図、側面図
【図5】防塵給水装置の平面図、側面図
【図6】乗用管理機の側面図
【図7】ロータリ耕耘装置の側面図
【図8】バンパウエイトの斜視図、側面図
【図9】バンパウエイトの斜視図
【図10】バンパウエイトの斜視図
【図11】部品検索装置の斜視図
【符号の説明】
【0036】
1 農用作業車(乗用管理機)
9 防除タンク
10 防除ポンプ
33L,33C,33R 防除散布装置
36、36A 除塵給水装置
36a 円錐状ケース
36d 給水口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農用作業車(1)には防除タンク(9)、防除ポンプ(10)及び防除散布装置(33L,33C,33R)を設け、下部側を小径とした密閉状の円錐状ケース(36a)の上部の給水口(36d)から流入した水が旋回しながら重い砂などのゴミ類は下部側に沈下させて分離する除塵給水装置(36)を設け、該除塵給水装置(36)を経由した水を前記防除タンク(9)に供給することを特徴とする農用作業車の防除タンクの給水装置。
【請求項1】
農用作業車(1)には防除タンク(9)、防除ポンプ(10)及び防除散布装置(33L,33C,33R)を設け、下部側を小径とした密閉状の円錐状ケース(36a)の上部の給水口(36d)から流入した水が旋回しながら重い砂などのゴミ類は下部側に沈下させて分離する除塵給水装置(36)を設け、該除塵給水装置(36)を経由した水を前記防除タンク(9)に供給することを特徴とする農用作業車の防除タンクの給水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−228845(P2007−228845A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52633(P2006−52633)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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