説明

除去可能な保護コーティングを有する光透過性及び(又は)コーティングされた物品

【課題】輸送、取扱いまたは貯蔵中に基体または物品を一時的に保護するための方法およびコーティング。
【解決手段】第1表面を有する基体12の該第1表面の少なくとも1部分上に付着された機能性コーティング14、および該機能性コーティング14の少なくとも1部分上に付着された除去可能な保護コーティング16を含み、しかも機能性コーティング14は単層コーティングおよび多重層コーティングからなる群から選ばれ、そして機能性コーティング14が単層金属酸化物である場合は該除去可能な保護コーティング16はスペーサー材料を本質的に有しない、コーティングされた物品10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
この出願は、“保護層を有するフイルム含有基体および方法”と題する1999年7月2日に出願された米国仮出願60/142,090号(この出願を参照することにより本明細書に組み入れる)の利益を請求する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般的に任意の機能性コーティングを有するかまたは有しない基体のための一時的または除去可能な保護コーティングに関し、そしてさらに特定的には、加工中、取扱中、輸送中または貯蔵中の機械的損傷に対して、1つまたはそれ以上の機能性コーティングを有するガラス基体のような、基体の感受性を減少させるための除去可能な保護コーティングに関する。
【0003】
(背景技術)
技術的考察:
平らなまたは湾曲した或る種のシートまたはパネル形状の基体、例えばガラスまたは或る種のプラスチックシートは、周囲端で終わっている2つの主要な表面を有し、少なくとも1つの表面は0%より大きく、100未満である範囲にある可視光線透過率を有する。これらのタイプの基体は1つまたはそれ以上の表面上に付着された機能性コーティングを有することが出来る。鏡のような或る基体について、基体の1表面は光線透過性、例えば可視光線透過性でありそして他の表面は可視光線反射性である。これらのタイプの基体は、他の物品または製品にさらに製作されることが出来る。
【0004】
例えば、ガラス産業において、一層大きなガラスピース、例えば一般的に約4フィート(1.2m)x6フィート(1.8m)より大きなガラスピースがガラス製造業者によって造られそして次に、一層小さなピースに切断されそして建築用窓、自動車透明板、絶縁ガラス(IG)ユニット、鏡、等のような種々の生産物品に組み入れられるために製作業者に輸送され、その生産物品は取引先に製作業者により輸送される。本明細書において用いられるものとして、一層小さい生産物品に組み入れられるためにさらに加工されるかまたは切断されるそのような大きな基体ピースは“製造基体”と称される。製造基体は太陽コントロール、導伝性、反射防止性および(または)低放射率のコーティングのような1つまたはそれ以上の機能性コーティングを含んでもよくまたは含まなくてもよい。また、ガラスおよびプラスチック光線透過性基体は、コーティングされたガラスまたはプラスチックあるいは、それらの表面(1つまたは複数)の種々の物理的性質、例えば光学的、熱的または機械的性質を変性する1つまたはそれ以上の機能性コーティングを有することが出来る。ゼロ、1つまたは1つより多くの機能性コーティングを有するプラスチックおよびガラスの大きな製造基体に加えて、任意の大きさの機能的にコーティングされたガラスピースは製造業者より製作業者に輸送されることが出来る。
【0005】
これらの基体は、典型的には、製作業者に一緒に輸送された数枚のピースで、包装しないで購入されそして輸送される。基体ピースは一緒に束にされ、そしてガラス輸送業界において周知の慣用の方法で木製荷運び台上で輸送される。木製荷運び台に加えて、特殊化された輸送用コンテナが知られている。例えば米国特許第4,512,473号および同第5,860,539号は複数のシートを輸送するための輸送用コンテナを開示している。これらの既知の輸送方法は、機能性コーティングなしの基体または実質的に均一な大きさの基体を輸送するために全く適当である。しかしながら、機能性コーティングを有する基体または異なる大きさの基体を輸送する場合、取扱い、加工、輸送または貯蔵中に、1つの基体の高い局所またはコーナーが、隣接する基体の表面、例えば機能的にコーティングされた表面と接触する可能性があり、そして隣接する基体の機能性コーティングを損傷するかまたは表面を引っかくだろう。
【0006】
或る産業において、保護コーティングは輸送損傷を減少させるために用いられて来た。例えばフランス参照文献FR2,295,100は、金属、ガラスおよびプラスチックの表面のために、引き剥がし可能な保護コーティングを記載している。そのような引き剥がし可能な保護コーティングを記載している。そのような引き剥がし可能なコーティングは、5〜40パーセントの可溶性コポリアミド、55〜85パーセントのエタノールおよび0〜20パーセントの水の液体組成物から形成される。しかしながら、多量の有機溶媒を用いてるそのような引き剥がし可能なコーティングの欠点は三重である。多量の有機溶媒は、引き剥がし可能な保護コーティングの付着において使用された後に、再生利用されるか、再循環されるかまたは処分されなければならない。また、固体から引き剥がされたフイルムは適当に処分されなければならない。さらに、基体表面からコーティングを完全に引き剥がすためにかなりの時間が必要とされる。迅速に除去された引き剥がし可能なコーティングについて、引き剥がし可能なコーティングの小さな片が基体に残っている可能性があり、これらの小さな片を調べ且つ除去するために増大した時間および労力費用を必要とする。さらに或る種の有機溶媒は可燃性である可能性がある。
【0007】
種々の産業において使用される他のタイプの一時的保護コーティングは、典型的には適用された重合体類またはワックス類から形成され、そして輸送の後に、極性および(または)非極性溶媒、例えば酸性またはアルカリ性溶媒、炭化水素類または低級一価アルコール類のような、有機および(または)無機溶媒を用いて除去される。例えばアルカリ性無機清浄化用溶媒が重合体輸送用コーティングを除去する、特開昭50−67845号参照。そのような方法は、蓄積している排水を処理するかまたは中和することを必要とする、腐食性および苛性溶媒および(または)無機塩の処分を必要とする欠点を有する。さらに、アルカリ性または酸性溶媒は、或る種の基体またはこれらの基体の表面上に存在する任意の機能性コーティングと非適合性の(相溶しない)可能性がある。さらに、プラスチック基体について、或る種の有機溶媒は基体を脱色するか、汚染するか、酸化するかまたは膨潤するかあるいは基体を一層脆くする可能性がある。
【0008】
(ドイツ出願第2926197号に対応する)米国特許第4,315,947号は、90℃〜95℃の温度で水と水蒸気との混合物を用いてワックスをベースとする保護コーティングの除去を開示している。その水蒸気除去方法は、エネルギー集中的でありそして熱い水/水蒸気混合物による火傷の危険をもたらす。
【0009】
米国特許第5,026,597号は、水溶性フイルム形成性重合体およびポリエチレンまたはアクリルビーズのような、不溶性スペーサー粒子から形成された一時的保護コーティングを開示している。スペーサー粒子は、乾燥されたコーティングの構造に組み入れられる。コーティングの厚さは与えられていなくそしてコーティング中に着色剤のような確認同定化物質を導入することが記載されていない。
【0010】
それ故に、上記欠点の少なくとも幾つかを減少させるかまたは排除する、1種またはそれ以上の機能性コーティングを有するかまたは有しない基体、特にガラスのような或る種の可視光線透過性特性を有する基体上の除去可能な保護コーティングを形成する方法を提供することが有利であろう。
【0011】
(発明の開示)
発明の概要:
本発明の物品は、表面の少なくとも1部分上に付着された除去可能な保護コーティングを有する基体、好ましくは少なくとも1つ光透過性表面を有する基体を含む。その基体は、種々のタイプの1つまたはそれ以上の機能性コーティングでコーティングされていてもよい。除去可能な保護コーティングは保護が所望される基体表面上に付着される。この保護は機械的、化学的または取扱損傷からの保護および(または)誤認からの保護であることが出来る。約4フィート(1.2m)x約6フィート(1.8m)より大きな程度での大きな寸法、即ち“製造”光透過性基体について、保護コーティングは、コーナー、フレームまたは末端ガードのような、或る形の包装により保護されることが出来ない露出された基体の殆ど、好ましくは全ての上に付着されるのが好ましい。少なくとも2つの主要な表面を有する基体について、1つまたはそれ以上の表面(例えば第1表面)が保護コーティングで保護されることが出来る。1つまたはそれ以上の機能性コーティング(例えば第1表面上の機能性コーティング)を有する基体について、輸送、貯蔵、取扱いおよび加工中の機械的および(または)化学的損傷そして(または)誤認から、機能性コーティング(1つまたは複数)を保護するために、機能性コーティング(1つまたは複数)の少なくとも1部分上に保護コーティングが付着されるのが好ましい。機能性コーティングは単層コーティングまたは多重層コーティングであることが出来そして1種またはそれ以上の、金属、非金属、半金属、半導体、あるいはそれらの合金、化合物、複合体、組み合わせ、またはブレンドを含むことが出来る。
【0012】
本発明の一面において、保護コーティングは、基体上に付着された、重合体コーティング組成物、例えば液体溶液、エマルジョン、懸濁液、スラリまたは分散液の蒸発または反応生成物から生ずる。機能性コーティングなしのまたはほんの一層だけの金属酸化物コーティングを有する基体について、コーティング組成物はスペーサー材料を本質的に含有しないだろう。保護コーティングは、あとで適当な溶媒を用いて洗浄することによりあるいは燃焼または熱分解により実質的に除去されることが出来る。
【0013】
本発明の他の面において保護コーティングは、例えば慣用の化学的付着または蒸着付着技術または方法により基体上に適用された実質的に炭素のコーティングである。この実質的に炭素の保護コーティングは燃焼によりあとで除去されることが出来る。
【0014】
本発明の他の面は、選ばれた基体を確認(同定)する方法を包含する。その方法は、異なる基体をお互いから識別するために異なる基体上に異なる選ばれた色、感触、模様、外観、芳香または他の識別出来る確認(同定)用性質の、除去出来る保護コーティングを形成することを包含する。除去可能な保護コーティングは、基体の少なくとも1部分上に、コーティング組成物、例えば溶液、エマルジョン、懸濁液、スラリまたは分散液を適用することにより形成されることが出来る。基体上に選ばれたまたは所望の外観、色または芳香の保護コーティングを形成するためにコーティング組成物は、次に硬化または乾燥されることが出来る。保護コーティングは、あとで適当な溶媒によりあるいは燃焼または熱分解により除去されることが出来る。
【0015】
本発明の別の面において、第1表面を有する板ガラス(flat glass)基体を含み、その第1表面上の少なくとも1部分上に除去可能な保護コーティングが付着されているコーティングされた物品が提供される。保護コーティングは約50ミクロン未満の厚さを有しそしてスペーサー材料が本質的に存在しないコーティング組成物から付着される。
【0016】
本発明の追加の面は、各々が第1表面を有する、平らなまたは湾曲したシートの輸送用コンテナの製造方法である。除去可能な保護コーティングが基体の少なくとも1部分の第1表面の少なくとも1部分上で適用される。複数の基体は、少なくとも1つの保護コーティングが少なくとも1つの対の隣接する基体の間に置かれるように輸送用コンテナ中に配置されている。
【0017】
本発明の他の面は、輸送用コンテナを受け取ることを包含する物品を製作する方法であり、該輸送用コンテナは、複数の基体を有しており、各々の基体はその基体の少なくとも1部分上の第1表面上に置かれた除去可能な保護コーティングを有しておりそしてそれらの基体は、少なくとも1つの保護コーティングが少なくとも1つの隣接する対の基体間に置かれるように配置されている。保護コーティングは次、例えば洗浄、燃焼または熱分解により、少なくとも1つの基体から除去される。基体は、保護コーティングの除去の前にまたは後に、加工され、例えば切断され、形を整えられ、折り曲げられまたは成形されそして(または)生産物品に組み入れられることが出来る。前記したと同じであってもまたは異なっていてもよい他の除去可能な保護コーティングが、生産物品を輸送するかまたは取扱う前に、生産物品の少なくとも1部分に適用されることが出来る。
【0018】
本発明のなお別の面は、低放射率のコーティングまたは太陽コントロールコーティングのような機能性コーティングを有する基体の均一な加熱を促進する方法、例えば焼き入れ、折り曲げ、成形または加熱強化を促進する方法である。その方法は加熱まえに、機能的にコーティングされた基体の少なくとも1部分の上に除去可能な高い放射率のコーティングを適用することを包含する。高い放射率のコーティングは機能性コーティングに比較して増大した熱吸収を提供しそしてしたがって、所望の処理温度に基体を加熱すのために必要とされる時間を減少させる。高い放射率のコーティングは加熱処理中に燃焼するかまたは熱分解するように造られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の除去可能な保護コーティングを導入しているコーティングされたガラス物品の、尺度を示さない、横断面図である。
【図2】輸送のためのそして本発明の除去可能な保護コーティングを導入するための複数の一緒に束ねられているガラス物品の、尺度を示さない、末端部分の構造図である。
【図3】例11において記載されている選択コーティングされたガラス基体についての、Taber得点対Taberサイクルの数のグラフである。
【0020】
発明の記載:
他のように示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において用いられる成分の量、反応条件、等を表す全ての数は、すべての場合において用語“約”により修飾されていることが理解されるべきである。また、本明細書において用いられるものとして用語“重合体”は、オリゴマーそして単独重合体および共重合体の両方に言及していることが意味される。さらに、他のように特定されない限り、量に関するすべての数値は“重量により”であり、例えば語句“34%の固体”は“34重量%の固体”を意味する。下に示される以下の参照文献は参照により本明細書に組み入れられる:米国特許第4,746,347号;同第4,792,536号;同第5,240,886号;同第5,385,872号;同第5,393,593号;同第5,653,903号;同第5,028,759号;同第4,898,789号;同第5,821,001号;同第4,716,086号;同第4,610,771号;同第4,902,580号;同第4,716,086号;同第4,806,220号;同第4,898,790号;同第4,834,857号;同第4,948,677号;同第5,059,295号;同第5,028,759号;同第3,652,246号;同第4,351,861号;同第4,719,126号;同第4,853,257号;同第5,356,718号;同第5,776,236号;同第5,028,759号;同第4,898,789号;同第4,948,677号;同第4,898,790号;同第4,806,220号;同第4,952,423号;同第4,504,109号;米国特許出願第09/058,440号;および英国参照文献GB2,302,102。
【0021】
本発明の一時的保護コーティングを有するコーティングされた物品は図1において10で一般的に示される。コーティングされた物品10は金属のような任意の材料のものであってよい基体12を含むがしかし、本発明の好ましい実施において、ポリアクリレート類、ポリカーボネート類およびポエリチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチック類、セラミックまたは最も好ましくはガラスあるいはそれらの混合物または組み合わせのようなしかしそれらに限定されない少なくとも1つの光透過性表面を有する材料が好ましい。ガラスは例えば慣用の色づけされていないソーダ石灰珪酸塩ガラス、即ち“透明ガラス”であることが出来るかあるいは淡い色がつけられたまたは他の場合において着色されたガラス、硼珪酸塩ガラス、加鉛ガラス、強化(焼き入れ)ガラス(tempered glass)、非強化(非焼き入れ)ガラス(untempered glass)、焼きなましガラスあるいは加熱強化ガラスであることが出来る。ガラスは慣用のフロート(float)ガラスまたは板ガラスのような任意のタイプのものであってよくそして任意の光学的性質、例えば可視光線透過、紫外線透過、赤外線透過および(または)総太陽エネルギー透過の任意の値を有する任意の組成のものであってもよい。本発明の実施のために適当なタイプのガラスは例えば下記米国特許に記載されているがしかしそれらのタイプのガラスに限定されるとして考えられるべきでない:米国特許第4,746,347号;同第4,792,536号;同第5,240,886号;同第5,385,872号;および同第5,393,593号。ガラスの基体は任意の大きさのものであってよいがしかし何ら機能性コーティングなしにガラス基体のための現在の好ましい手法において、コーティングされていないガラス基体12は板ガラスが好ましくそして最も好ましくは約4フィート(1.2m)x5フィート(1.5m)より大きい板ガラスである。ガラス基体12は任意の厚さのものであってよいがしかし好ましくは約1mm〜約50mm、さらに好ましくは約2mm〜約13mmそしてなお一層好ましくは約2mm〜約6mmの厚さを有する。ガラスの形状は第1表面および対向する第2の主要表面を有し、両表面が周辺端で終わっているパネルが好ましい。下記のとおりの本発明の除去可能な保護コーティングで基体がコーティングされることが出来る限り、基体は任意のタイプのもの、例えば硬質、可撓性あるいは自己支持性フイルムまたはウエブのタイプのものであることが出来ることは当業者により認識されよう。例えば基体には市販ガラス市場におけるような慣用のスパンドレルであることが出来る。基体12はまた、湾曲した、丸いまたは平らなような、任意の形のものであってもよい。
【0022】
1つまたはそれ以上の機能性コーティング14は基体12の表面の少なくとも1部分上に付着されることが出来る。パネルについて、機能性コーティング14は基体12の一方または両方の表面の大部分上に付着されることが出来る。本明細書において使用されるものとして、用語“機能性コーティング”は基体の1つまたはそれ以上の物理的性質、例えば光学的、熱的、化学的または機械的性質を修正(変性)するコーティングを言いそしてあとでの処理中に基体12から除去されることが意図されない。機能性コーティング14は、その機能性コーティングが、機能的にコーティングされた基体の最終用途適用のために固有的であるかまたはそのために必要とされると考えられる点で、典型的に一層永久的であるかまたは“除去不可能な”コーティングである。機能性コーティング14は同じかまたは異なる組成または機能の1つまたはそれ以上の機能性コーティングフイルムを有することが出来る。本明細書において用いられるものとして“層”または“フイルム”は所望されるかまた選ばれたコーティング組成物のコーティング領域を言う。フイルムは均質であってもまたは不均質であってもよくあるいは勾配をもった組成的変化を有してもよい。外側表面または部分(即ち基体から最も遠い表面または部分)、内側表面または部分(即ち基体に最も近い表面または部分)そして外側表面と内側表面との間の部分が実質的に同じ組成を有する場合にフイルムは“均質”である。内側表面から外側表面に移動してあるいはフイルムが1種またはそれ以上の成分の実質的に増大していく分画そして1種またはそれ以上の他の成分が減少している分画を有する場合あるいはその反対の場合はフイルムは“勾配化”されている。フイルムが均質または勾配化以外の場合はフイルムは“不均質”である。“コーティング”は、1つまたはそれ以上の“フイルム”から構成される。また、本明細書において用いられるものとして“上に付着された”または“上に設けられた”は、上側に、即ち基体12から一層大きな距離(greater distance)で付着されたまたは設けられたことを意味するがしかし必ずしも表面接触していることを意味しない。例えば基体“上に付着された”第1コーティングフイルムは、第1コーティングフイルムと基体との間に置かれた同じまたは異なる組成物の1つまたはそれ以上の他のコーティングフイルムの存在を排除しない。
【0023】
機能性コーティング14は、例えば米国特許第5,653,903号および同第5,028,759号に開示されているような導電性加熱窓コーティングあるいはアンテナとしての機能を働かせることが出来る単一フイルムまたは多重フイルムコーティング、のような導電性コーティングであることが出来る。同様に、機能性コーティング14は太陽コントロールコーティング,例えば可視光線、赤外線または紫外線エネルギー反射性または吸収性コーティングであることが出来る。適当な太陽コントロールコーティングの例は、例えば米国特許第4,898,789号;同第5,821,001号;同第4,716,086号;同第4,610,771号;同第4,902,580号;同第4,716,086号;同第4,806,220号;同第4,898,790号;同第4,834,857号;同第4,948,677号;同第5,059,295号;および同第5,028,759号においてそしてまた、米国特許出願第09/058,440号において見い出される。同様に、機能性コーティング14は、低放射率コーティングであることが出来る。“低放射率コーティング”は、可視光線波長エネルギー、例えば、約400nm〜780nmをコーティングに通過させて透過されるがしかし一層長い波長の太陽赤外線エネルギーおよび(または)熱赤外線エネルギーを反射させそして典型的には建築グレージング(glazing)の熱絶縁性を改良することが意図される。“低放射率”により約0.3未満、好ましくは約0.2未満の放射率が意味される。低放射率コーティングの例は、例えば米国特許第4,952,423号および同第4,504,109号および英国参照文献GB2,302,102に見い出される。機能性コーティング14は単一層コーティングであってもまたは多重層コーティングであってもよくそして1種またはそれ以上の金属、非金属、半金属、半導体そして(または)それらの合金、化合物、複合体、組み合わせまたはブレンドを含んでよい。例えば機能性コーティング14は単層金属酸化物コーティングまたは多重層金属酸化物コーティング、非金属酸化物コーティングまたは多重層コーティングであってもよい。
【0024】
本発明と共に使用するために適当な機能性コーティングの例は、SUNGATE(登録商標)およびSOLARBAN(登録商標)のコーティング分類下で、ペンシルベニア州、ピッツバーグのPPG Industries,Inc.から市販されている。そのような機能性コーティングは典型的には、好ましくは可視光線に対して透明であるかまたは実質的に透明である、金属酸化物または金属合金類の酸化物のような誘電性または反射防止材料からなる1つまたはそれ以上の反射防止コーティングフイルムを含む。機能性コーティング14はまた、反射性金属、例えば金、銅または銀のような貴金属あるいはそれらの組み合わせまたは合金を含む赤外線反射性フイルムを含んでいてよくそして金属反射性層の上にそして(または)下に置かれた、当業界に知られているとおりのチタンのようなプライマーフイルムまたはバリアフイルムをさらに含むことが出来る。
【0025】
機能性コーティング14はマグネトロンスパッタリング蒸着(MSVD)、化学蒸着(CVD)、スプレー熱分解(即ち熱分解付着)、大気圧CVD(APCVD)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、プラズマ補助CVD(PACVD)、熱ビームまたは電子ビーム蒸発、カソードアーク付着、プラズマスプレー付着および湿式化学析出(例えばゾル−ゲル、鏡銀引き、等)のようなしかしそれらに限定されない任意の慣用の方法で基体12上に付着されることが出来る。スパッタリング蒸着されたコーティングはときには、スプレー熱分解またはCVDタイプのコーティング方法により付着されたコーティングよりも機械的耐久性が低いことが認められることに留意されたい。適当なCVDコーティング用装置および方法の例は、例えば米国特許第3,652,246号;同第4,351,861号;同第4,719,126号;同第4,853,257号;同第5,356,718号;および同第5,776,236号において見い出されるがしかしそれらの発明に限定されるとして考えられるべきではない。
【0026】
本発明は、熱分解的に付着されたコーティングよりも一層容易に引っかき傷がつけられるかまたは損傷されることがときには認められる、MSVD付着されたコーティングを保護するために特に有用である。MSVDコーティング技術はガラスコーティング業界における当業者に周知でありそしてしたがって詳細には記載しない。適当なMSVDコーティング法の例は、例えば米国特許第5,028,759号;同第4,898,789号;同第4,948,677号;同第4,834,857号;同第4,898,790号;および同第4,806,220号において見い出されるが、しかしそれらに限定されると考えられるべきでない。
【0027】
本発明の一時的または除去可能な保護フィルムまたはコーティング16は基体12の少なくとも1部分上に設けられる。本明細書において用いられるものとして用語“除去可能な保護コーティング”は、あとで除去されることが出来そして非研摩性(nonabrasive)である、即ち下にある基体12または場合により存在する機能性コーティング14を容易に引っかいたりまたは損傷しないコーティング(即ち1つ又はそれ以上のフイルム)を言う。もし場合により存在する1つまたはそれ以上の機能性コーティング14が存在する場合、除去可能なコーティング16は場合により存在する機能性コーティング14の少なくとも1部分上に適用されるのが好ましい、即ち機能性コーティング14の少なくとも1部分が除去可能な保護コーティング16と基体12との間に配置されるように、機能性コーティング14が適用されるのと同じ側の基体12上に適用されるのが好ましい。除去可能なコーティング16はまた、基体12の他の側、即ち機能的にコーティングされていない側の少なくとも1部分に適用されることが出来る。別法として、機能性コーティング14は基体12の両方の側に適用されることが出来、本発明の除去可能な保護コーティング16は各々の機能性コーティング14の少なくとも1部分上に適用されることが出来る。
【0028】
風防ガラス、サイドライト、リアライト、サンルーフ(sun roof)、ムーンルーフ(moon roof)等のような自動車透明板中に組み入れられる基体12について、保護コーティング16は基体12の実質的に全体の可視領域上に、即ち好ましくは可視領域の少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも約80%そして最も好ましくは全体の可視領域上に適用されるのが好ましい。
【0029】
除去可能な保護コーティング16は、下に存在する基体12または場合により存在する機能性コーティング(1つまたは複数)14を損傷することなしに除去されることが出来る。本発明の好ましい態様において、除去可能な保護コーティング16は、液体溶媒を用いて除去されることができ、さらに好ましくは、水洗により除去されることが出来る。好ましくはないけれども保護コーティング16はまた、水性または非水性溶媒、有機、アルカリ性または酸性溶媒を用いての拭い、スプレーまたは浸漬により除去されることが出来る。さらに、好ましくはないけれども、保護コーティング16は、基体および(または)場合により存在する機能性コーティングの表面を、保護コーティング16の機械的引き剥がしにより除去されるようにデザインされているコーティングであることが出来る。
【0030】
現在好ましい第1の態様において、除去可能な保護コーティング16は水溶性または水分散性フイルム形成性重合体材料、例えばでんぷん、カゼインおよびたんぱく質類から誘導された関連重合体、アクリル系重合体、ポリアクリルアミド、エチレンオキシドのようなポリアルキレンオキシド重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、セルロースそしてメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロースのようなしかしそれらに限定されないセルロース誘導体、そしてこれらのコーティング組成物を用いて形成された保護コーティング(1つまたは複数)16が上記のとおりにそれらの除去可能性を維持するような、それらの誘導体、化学的変性物、組み合わせ、ブレンド、アロイおよび(または)混合物の、1種またはそれ以上の単独重合体または共重合体からなる重合体材料からなる。コーティング組成物は許容出来る付着パラメータを提供する任意の重量パーセントのフイルム形成性材料を有することが出来る。例えば、フイルム形成性材料のすべては溶液中に存在することが出来るかまたは1部分は沈殿物として存在することが出来る。
【0031】
第1の態様において、保護コーティング16は上記重合体材料の1種またはそれ以上を含む、本発明の水性コーティング用組成物の反応生成物または蒸発生成物である。コーティング組成物は、コーティング組成物の合計重量に基づいて約30重量%までのポリビニルアルコール重合体、一層好ましくは約24重量%まで、なお一層好ましくは約12重量%までそして最も好ましくは約5重量%〜約12重量%のポリビニルアルコール重合体を有する、ポリビニルアルコール重合体の実質的に水性の溶液からなる。本明細書において用いられるものとして用語“実質的に水性の”は、約10容量%より多くの水、好ましくは約15容量%より多くの水そして最も好ましくは約21容量%より多くの水を意味する。
【0032】
ポリビニルアルコールは、約80%より多くの、好ましくは約85%より多くの加水分解の程度を有する。例えば部分的に加水分解された(例えば87〜89%加水分解された)、中間的に加水分解された(例えば95.5〜97.5%加水分解された)、十分に加水分解された(例えば98〜98.8%加水分解された)、あるいは超加水分解された(例えば99.3%より多く加水分解された)程度に加水分解されることが出来る。一般的原則として、パーセント加水分解が増大するにつれて、耐水性、引っ張り強度、耐溶媒性および親水性表面への接着性が増大する。フイルム形成性重合体は約13,000〜約23,000の重量平均分子量Mwを有するのが好ましい。一般的原則として、Mwが増大するにつれて、粘度、引っ張り強度、耐水性、接着強度および耐溶媒性が増大する。
【0033】
本発明を実施するために適当なポリビニルアルコール重合体は、ポリビニルアルコール粉末のAIRVOL(登録商標)203および203Sとしてあるいは水性ポリビニルアルコール溶液(24重量%)のAIRVOL(登録商標)24−203あるいはその希釈液として、ペンシルベニア州アレンタウンのAir Products and Chemicals,Inc.から市販されている。本発明の水性コーティング組成物はさらに、担体としての水に対する共溶媒としてメタノール、エタノール、またはイソプロパノールのような低分子量アルコールを含むことが出来る。ポリビニルアルコールの沈殿を起こさせることなしに、溶液に加えられることが出来るアルコール共担体の量は、樹脂の分子量およびパーセント加水分解度ならびに加えられる特定のアルコールの性質により左右される。例えば或る等級のポリビニルアルコールの水溶液は約60〜70容量パーセントまでのイソプロパノールに安定である。好ましくはアルコール共溶媒は、コーティング組成物の約50容量%より多くない量、さらに好ましくは約10容量%未満の量そして最も好ましくは約0容量%の量で存在する。
【0034】
コーティング組成物はまた、基体12に適用されたときにコーティング組成物の湿潤特性を増大させるために界面活性剤を場合により含むことが出来る。適当な界面活性剤は、BYK−306、307または333ポリエーテル変性ポリジメチルポリシロキサンとしてコネチカット州ワリングフォードのBYK−Chemieから市販されている。存在する場合、界面活性剤は、コーティング組成物の合計の重量に基づいてコーティング組成物の約5重量%までの量、好ましくは約3重量%までの量そして最も好ましくは約1重量%までの量で存在することが出来る。
【0035】
コーティング組成物はまた、慣用のそして(または)市販の消泡剤、均染剤(leveling agent)、界面活性剤、流動剤、レオロジー改質剤、ワックス、パラフィン、動物油、植物油または鉱油、乳化剤、増粘剤、安定剤、難燃剤、粘着性結合を避けるためのアンチブロッキング剤(anti-blocking agent)、潤滑剤、疎水性剤、親水性剤、殺生物剤、殺黴剤、アルジサイド(藻を枯らす薬剤)、白かび防止剤、有機および(または)無機充填剤または展延剤、可塑剤、芳香物質または架橋剤のような他の添加剤を含むことが出来る。一層十分に下に記載されているように、コーティング組成物はまた、選ばれた色を有する、得られた除去可能な保護コーティングを提供するために、有機および(または)無機着色剤、染料、蛍光染料または顔料を含むことが出来る。MSVDコーティング、特に銀を含有するコーティングについて、銀とのハロゲン化物、例えば塩化物の相互反応の可能性を減少させるために、殺生物剤は実質的にハロゲン化物が存在しない殺生物剤であることが出来る。“実質的にハロゲン化物が存在しない”は、殺生物剤が5重量%未満のハロゲン化物、さらに好ましくは1重量%未満のハロゲン化物を含有しそしてなお一層好ましくはハロゲン化物を含有しないことを意味する。
【0036】
現在好ましい第1の手法において、本発明のコーティング組成物は、注入、噴霧、浸漬、流し塗り、カーテンコーティング、はけ塗り、回転塗り、スプラッシュイングコーティング(splashing coating)、化粧塗り(misting coating)、ドローン−ダウン(drawn-down)コーティング、スクイーギ−(squeegee)コーティングまたはスピン(spin)コーティングのような任意の慣用の方法で機能性コーティング14を有するか又は有しない基体12の1つまたはそれ以上の表面上に適用される。
【0037】
現在好ましい手法において、もし機能性コーティングが単層金属酸化物コーティングであるならば、コーティング組成物はスペーサー材料が本質的に存在しないのが好ましい。スペーサー材料が本質的に存在しないとは、不溶性有機または重合体粒子(例えばアクリルビーズまたはポリエチレン粒子)、無機粒子、例えばコロイドシリカまたは同様な物質のような粒状固体スペーサー(spacer)または介在物質(interleaving materials)が、基体上への適用のまえのコーティング組成物に加えられていないことを意味する。
【0038】
現在好ましい第1手法において、本発明のコーティング組成物は、ゼロ、1つまたはそれ以上の機能性コーティング14を有する基体12の表面(1つまたは複数)の1つまたはそれ以上の上に、例えば第1および(または)第2の主要表面上に噴霧(スプレー)適用される。当業者に認識されるように、噴霧(スプレー)領域はすべての過剰の噴霧物質を取り除くための仕掛けを含むべきである。例えば慣用の取り除き技術および慣用の洗浄装置(wet scrubber)は過剰の噴霧(スプレー)を取り除きそして(または)捕獲するために用いられることが出来る。コーティング組成物は慣用のフロートガラス法の一部分として、慣用の焼き入れ法の一部としてあるいは慣用ガラスコーティング法の一部として適用されることが出来る。
【0039】
適用されたコーティング組成物を有する基体12は、蒸発性フイルム形成性メカニズムまたは反応性硬化フイルム形成性メカニズムを提供するために、次に硬化される、例えば乾燥される。これは対流空気流れ(周囲温度空気または加熱空気のいずれか)、放射熱(例えば石英ランプ、ガス燃焼放射放熱器、電気ストーブ)、対流(強制空気)加熱、伝導加熱(例えば加熱可能な圧板またはステージ上で噴霧(スプレー)コーティングされた基体加熱)、真空乾燥(例えば適用されたコーティング組成物から溶媒をポンプくみ出しする)または放射線硬化(例えばIR、UV、マイクロ波またはRF放射線硬化)によるような任意の慣用の方法であることが出来る。1つまたはそれ以上の保護コーティングを形成するためにコーティング組成物が硬化される速度は、コーティング化学および適用技術の詳細に関連しない追加の抑制により指示されることが出来る。
【0040】
現在の好ましい手法において、適用された保護コーティング組成物を有する基体12は、適用された液体コーティング組成物上に約1,000フィート/分(305m/分)で乱流の周囲温度の空気を提供するために送風機に接続された1つまたはそれ以上の空気ナイフ(1つまたは複数)またはスロット形状の空気ノズル(1つまたは複数)を用いて対流空気乾燥により乾燥されて、水性溶媒およびすべての共溶媒を蒸発させそして乾燥蒸発生成物を残し、この蒸発生成物は保護コーティング16を形成する。慣用の送風機(fans)がまた、水性溶媒を蒸発させるために用いられることが出来る。機能性コーティング上に適用されたコーティング組成物のような液体コーティング組成物を乾燥する好ましい方法において、空気ナイフジスチャージ(discharge)が適用されたコーティング組成物を有する基体表面に対して向けられる。“対して向けられる”とは空気ナイフからの空気が基体表面に関して約180°(即ち基体表面と平行)未満から約90°(即ち基体表面に対して垂直)より大に向けられることを意味する。
【0041】
好ましくはポリビニルアルコールのような乾燥された蒸発生成物は約100g/ft2(約1000g/m2)まで、好ましくは約25g/ft2(約250g/m2)まで、さらに好ましくは約2.5g/ft2(約25g/m2)まで、なお一層好ましくは約1g/ft2(約10g/m2)まで、さらになお一層好ましくは約0.2g/ft2(約2g/m2)までそして最も好ましくは0.1g/ft2〜0.2g/ft2(約1g/m2〜約2g/m2)の基体12上の質量被覆量を有する。
【0042】
約1グラム/立方センチメートル(1g/cm3)の平均質量密度を有する均一な乾燥保護コーティングを仮定して保護コーティングは基体表面上約1000マイクロメーターまで、好ましくは約250マイクロメーターまで、なお一層好ましくは約25マイクロメーターまで、なお一層好ましくは約10マイクロメーターまで、さらになお一層好ましくは約2マイクロメーターまで、そして最も好ましくは約1マイクロメーター〜2マイクロメーターの平均の保護コーティング16の物理的厚さを有することが出来る。特に、機能性コーティング14なしの平らなまたは湾曲したパネル基体について、保護コーティング16は約50ミクロン未満の厚さを有することが出来る。特定の適用のための選ばれる保護コーティングの正確な厚さは、コーティングの形態、所望される保護の程度、基体のタイプ、機能性コーティングの存在または不存在、存在する機能性コーティングのタイプ、ポリビニルアルコールのフイルムの性質に対しての保護コーティング16のフイルムの性質の類似性そして基体の取扱いおよび(または)使用の環境のような幾つかの要因により左右される。
【0043】
保護コーティング16により提供される保護の程度はとりわけ、使用されるコーティング材料のタイプ、適用された保護コーティング16の厚さおよびコーティング形態により影響される。例えば上記のような慣用の界面活性剤を用いて、得られた保護コーティング16は基体12上の実質的に均一なまたは連続した厚さのコーティングであることが出来る。別法として、或るコーティング組成物は、機械的損傷に対して適当な保護をまた与えることが出来る非連続性、即ち“島を点在させたような(islanded)”保護コーティングを形成するように乾燥させることが出来る。
【0044】
乾燥されたまたは硬化された除去可能な保護コーティング16は、場合により輸送および(または)貯蔵中に、隣接するガラス基体12を分離させるのをさらに助けるために、直径において約149マイクロメーターのポリメチルメタクリレート球、有機または無機粒子、アクリルビーズ、コロイドシリカ粒子、ポリエチレン球または木粉のような慣用のスペース化用(spacing)または介在用(interleaving)材料を用いて慣用の方法でばらばらにまかれてもよい(may be dusted)。これらのスペース化用材料は乾燥されたコーティングに適用されるのが好ましくそしてそれ故に、保護コーティングフイルム中には導入されない。適当なスペース化用材料は例えば米国特許第5,026,597号(この特許を参照することにより本明細書に組み入れる)に記載されている。
【0045】
本発明の除去可能な保護コーティング16を有する、ガラスまたはプラスチック製造基体のような1つまたはそれ以上の基体12は、次に慣用の方法で包装されそして製作業者に輸送されることが出来る。本発明の除去可能な保護コーティング16を導入している任意の形または大きさの複数の基体12、例えば板ガラスシートは任意の慣用の方法で一緒に包装されそして輸送されることが出来る。例えば図2は、異なる大きさ、例えば厚さおよび(または)横方向の大きさの複数の基体12を含有する慣用の包装用または輸送用荷運び台またはコンテナ20を例示する。輸送用コンテナ20は、慣用の木製輸送用荷運び台または輸送業界またはガラス業界において使用される任意の他のタイプの包装用または輸送用の仕組みであってよい。基体12は均一な寸法および形のものであってよくあるいは変化させた寸法および形のものであってよい。各々の基体はゼロ、1または1より多くの機能性コーティングを有することが出来る。さらに、機能性コーティング14を有するかまたは有せずに、しかし本発明の除去可能な保護コーティング16により分離されている、異なる寸法の基体の種々の組み合わせが可能である。本発明の保護コーティング16は上記のとおりの重合体球のようなスペース化用材料と共にばらばらにまかれていてもよい(dusted)。基体12は、本発明の少なくとも1つの保護コーティング16が1つの対の隣接する基体12の間に置かれるように、一方または両方の面上に本発明の保護コーティング16を有することが出来る。保護コーティング16は基体12または機能性コーティング14の表面に対する化学的および(または)機械的損傷を阻止するかまたは防止することが出来る。
【0046】
包装された基体12を受け取った際、製作業者は所望の一層小さなガラスピースに切断しそして(または)刻み目をつけそして各々の切断されたピースをさらに加工するまえに、これらのピースをばらばらに離す。約6ミリメーターまたはそれ以下の厚さを有するガラス基体の場合において、これらの刻み目づけはガラス切断技術において通常使用される、135°〜140°角度の炭化タングステンガラス切断/刻み目つけホイール(wheel)を用いて典型的に行われる。もし除去可能な保護コーティング16が過度に厚いならば、慣用の切断ホイールは大きなガラスピース中に鋭い刻み目づけをすることが出来なく、これは一層小さなガラスピースにばらばらに離す際に有害に影響する可能性がある。水中のAIRVOL(登録商標)203ポリビニルアルコールの12重量%溶液について約0.1〜約0.2g/ft2(1.1〜2.2g/m2)の現在好ましい質量被覆量が製作業者によるこの慣用の刻み目づけおよび分離処理の際に有害な影響なしに、輸送中に機械的損傷からの適当な保護を与えそしてしたがって標準の切断手法に有害な影響を有しないことが分かった。他のフイルム形成性材料について好ましい質量被覆量は、材料の分子量またはパーセント加水分解度または溶液中のフイルム形成性材料の重量%に依存して変化するであろう。
【0047】
刻み目づけおよび切断操作の後に、保護コーティング16は例えば水を用いての洗浄により、製作業者により除去されることが出来る。室温でのまたは水道水に典型的である温度での水が適当である。一次的保護コーティング16を除去するために保護コーティング16の除去は温水または熱水を用いることが出来るけれども、温水または熱水をまた用いることは必ずしも必要としない。特定の非水性溶媒、洗浄剤、界面活性剤または高温除去法(例えば水蒸気)は、もし所望ならば、一時的コーティングの除去を最適化するために使用されることが出来るけれども、そのような添加剤または洗練化は必要とされないだろう。
【0048】
洗浄して取り除かれたコーティング材料は集められそして再使用のために再循環されることが出来る。例えばもし保護コーティング16が洗浄により、例えば水洗により除去されるならば、除去されたコーティング材料を有するリンス液体が集められ、液体が蒸発され、乾燥されたコーティング材料が集められそして再使用されることが出来る。別法として、除去されたコーティング材料を有するリンス液体が沈殿され、ゲル化されるかまたは凝集されそして再使用のためにコーティング材料は濾過採取される。なお他の別法として除去されたコーティング材料を有するリンス液体は他の保護コーティング操作において再使用するためにゲル化または凝集化されることが出来る。また、リンス液体を蒸発させそしてコーティング材料を集めることが出来る。
【0049】
上に記載されたように本発明のコーティング組成物は、保護コーティング16が選択的に着色されることが出来るように1種またはそれ以上の着色剤(例えば顔料および(または)染料)を含むことが出来る。適当な着色剤は、二酸化チタン、カーボンブラック、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、硫化カドミウム、酸化鉄類、紺青(プルシアンブルー)、群青(ウルトラマリンブルー)、コバルトブルー、酸化クロム、べんがら(赤色酸化鉄)、セレン化カドミウム、光明丹(red lead)、クロムレッド(chrome red)そして種々のアルミノ珪酸塩類およびクレーのような無機着色剤;そして(または)アゾ染料、蛍光染料および燐光染料のような有機着色剤を包含するがしかしそれらに限定されない。金属組成または金属反射外観の粉末、フレークまたはホイル、角度により変化する色または審美性を有する着色剤あるいは真珠光沢顔料または乳白色顔料のようないわゆる“特殊効果”の顔料が同様に使用されることが出来る。
【0050】
除去可能な保護コーティング16のこの着色化は、輸送され、貯蔵されまたは受け取られる特定のタイプの基体、例えばガラス基体12、および(または)機能性コーティング14の特定のタイプの確認同定を助けるために製造業者ならびに製作業者にとって有用であり得る。受け取ったガラスおよび(または)機能性コーティングのタイプを製作業者が迅速にかつ容易に確認するのを助けるために、製造業者はコーティングされたまたはコーティングされていない基体12の異なるタイプに関して、異なって着色された除去可能な保護コーティング16を使用することが出来る。例えば製造業者は、第1の機能性コーティング14を有する基体にだけ赤色に着色された除去可能な保護コーティング16を適用しそして第2の、異なった機能性コーティング14を有する基体にだけ、異なる、例えば、緑色の除去可能な保護コーティング16を適用することが出来る。したがって、製作業者は、コーティングされたガラスピースを受取り、切断しそして倉庫に保管しそして次に単にそれらに適用された除去可能な保護コーティング16の色により、ガラスおよび(または)機能性コーティングのタイプを容易に確認することが出来る。非常に異なる機能的性質(例えば光学的性質、太陽コントロール性質、熱的性質、等)のものであり得る幾つかの機能性コーティング14は多くの場合に視覚的に区別することが困難であるので、このことは製作業者の貯蔵および確認問題を容易にすることが出来る。別法として、コーティング組成物はそのような着色剤が存在しなくてもよく、しかし異なる基体の視覚的区別をいぜんとして可能にする。例えば保護コーティング16はパターンの形で適用されることが出来あるいは保護コーティング16は、一方のタイプの基体を他方のタイプの基体から視覚的に区別させるのに十分に基体12の視覚的特性を変化させることが出来る。別法として、またはそれに加えて、異なる基体が匂いにより区別されることが出来るように基体の選ばれたタイプに選ばれた芳香を与えるように、保護コーティング組成物は特定のまたは選ばれた芳香物質を含むことが出来る。さらに、印刷用インクを保護コーティング上に付着させて、言葉、記号、または他の確認用印を形成することが出来る。
【0051】
上に記載された好ましい手法において除去可能な保護コーティング16は室温の水性リンスにより基体12から洗浄除去されることが出来るけれども、保護コーティング16はまた、燃焼または熱分解により除去されることが出来る。例えば製作業者が刻み目づけをしそして所望の大きさの一層小さなガラスピースに分離切断させた後に、ガラスのタイプに依存して、その一層小さなガラスピースはガラスを焼き入れ(強化)するために焼き入れ用オーブン中で加熱されなければならない可能性がある。典型的な焼き入れ用オーブンは約1200°F〜約1300°F(648℃〜704℃)の範囲で操作する。これらの温度で、上に記載された重合体保護コーティング16は熱分解するかまたは基体12から燃焼して除去されるだろう。しかしながらこの燃焼除去方法は上に記載された本発明の重合体保護コーティング16を有するMSVD機能的にコーティングされた基体のためには、現在好ましくない。
【0052】
製作業者は次に、自動車透明体、建築用窓、IGユニット、鏡、LCDデスプレー、等のような生産物品中に切断された基体ピース(1つまたは複数)を組み入れそして次に取引先にその生産物品を輸送することが出来る。例えば切断された基体ピース(1つまたは複数)は、フレームまたはサッシを有する慣用窓ユニット中に組み込まれることが出来る。取引先に生産物品を輸送するまえに、製作業者は、取引先に輸送中に生産物品を保護するために、その物品の少なくとも1部分上に、例えばサッシおよびフレームを含む全体の窓ユニット上に、上記保護コーティングと同じであってもまたは異なっていてもよい、保護コーティング16を適用することが出来る。取引先では次に、上記と類似の方法で保護コーティング16を除去することが出来る。
【0053】
上に記載された本発明の除去可能な保護コーティング16の第1の態様において、保護コーティング16は水性重合体コーティング材料の蒸発または反応生成物として形成された。しかしながら、本発明の別の除去可能な保護コーティング16が、今や記載されるだろう。本発明の除去可能な保護コーティング16の第2の態様は炭素含有コーティングまたはフイルムからなる。炭素含有コーティングは好ましくは実質的に炭素、即ち炭素含有コーティングの合計重量に基づいて、約50重量%より多くの炭素、一層好ましくは約75重量%より多くの炭素、なお一層好ましくは約90重量%より多くの炭素そして最も好ましくは約100重量%の炭素である。この炭素含有コーティングは、MSVDまたは炭素アーク付着によるようなしかしそれらに限定するとして考えられるべきでない、任意の慣用方法で、基体12および(または)場合により存在する機能性コーティング14上に付着されることが出来る。例えば、基体12はMSVD装置と同様な慣用のスパッタリングコーティング装置に置かれることが出来そして所望の機能性コーティング14は慣用の方法において場合により適用されることが出来る。本発明の実質的に炭素の保護コーティング16を形成するために、コーティング機中のカソード分割区画(bays)の1つは、MSI,Co.から市販されているような炭素含有またはグラファイトスパッタリングターゲットを有することが出来る。炭素ターゲットは、基体12および場合により存在する機能性コーティング14上に実質的に炭素の保護コーティング16を適用するために慣用の方法でスパッタリングされることが出来る。炭素含有保護コーティングは好ましくは約0Åより大きく、約50ミクロンまで、一層好ましくは10ミクロン未満、なお一層好ましくは3ミクロン未満、さらになお一層好ましくは1000Å未満の厚さを有しそして現在の好ましい態様において約300Åである。MSVD適用のために、炭素ターゲットは、スパッタリングされた炭素材料の燃焼を最小にするために、酸素が本質的に存在しない雰囲気においてスパッタリングされるのが好ましい。“酸素が本質的に存在しない”とは、好ましくは約20容量%未満の酸素、さらに好ましくは約10容量%未満の酸素そして最も好ましくは酸素が存在しないことを意味する。炭素含有ターゲットをスパッタリングするための適当な酸素不存在の雰囲気はアルゴンガスからなる。
【0054】
機能性コーティング14を有するかまたは有しない基体12上に本発明の炭素含有除去可能な保護コーティング16を適用するまえに、(図1において破線で示される)ブロッキング(blocking)層が基体12上、例えば機能性コーティング14上に適用されることが出来る。機能性コーティング14上に炭素含有保護コーティング16を直接適用すると、機能性コーティング14の上方部分を化学的に還元することにより、即ち機能性コーティング14から酸素原子を引き抜いて炭素の酸化物を形成することにより、機能性コーティング14を損傷する可能性がある。それ故に、もし機能性コーティング14が存在するならば、炭素保護コーティング16が機能性コーティング14から酸素を引き抜くのを防止するために、炭素含有保護コーティング16の適用のまえに機能性コーティング14上にブロッキング層18が適用されるのが好ましい。ブロッキング層18は、機能性コーティング14の化学的還元を防止するがしかしコーティングされた物品10の透過および視覚的特性に有害に影響しない物質からなるのが好ましい。例えば、ブロッキング層18は珪素、チタン、ジルコニウム、ニオブ、アルミニウムあるいはそれらの組み合わせ、酸化物、窒化物またはオキシ窒化物からなることが出来る。ブロッキング層18は、機能性コーティング14の適用のために上に記載された方法のような任意の慣用の方法で適用されることが出来る。ブロッキング層18は0Åより大きく、約50ミクロンまで、好ましくは25ミクロン未満、一層好ましくは10ミクロン未満、なお一層好ましくは3.0ミクロン未満、さらになお一層好ましくは1.7ミクロン未満そして最も好ましくは0.5ミクロン未満の厚さを有することが出来る。現在好ましい手法において、ブロッキング層18は、25Å〜100Å、好ましくは50Åの厚さを有するシリカからなる。シリカブロッキング層18は、炭素含有保護コーティング16を形成するために炭素標的をスパッタリングするまえに、酸素含有雰囲気において珪素標的をスパッタリングして機能性コーティング14上にシリカ層を形成することによるような任意の慣用の方法で適用されることが出来る。ブロッキング層18は機能性コーティングを有する基体に関して使用することに限定されず、実質的に炭素の保護コーティング16の適用のまえに、機能的にコーティングされていない基体上にまた適用されることが出来る。
【0055】
炭素含有保護コーティング16が適用された後、コーティングされた物品10は製作業者に輸送されそして上記のとおりにして加工される。しかしながら上に記載された本発明の重合体一時的保護コーティングとは異なって、この炭素含有保護コーティングは恐らくは水洗によっては除去されることは出来ないだろう。代わりに、炭素含有コーティングは、例えば上に記載されたような焼き入れオーブン中で燃焼により除去されるのが好ましい。焼き入れ中、炭素含有保護コーティング16は酸化されそして物品10から除去される。
【0056】
本発明の炭素含有保護コーティング16はまた、或る種の機能的にコーティングされた基体のために、改良された焼き入れ特性を提供する。例えば典型的な太陽コントロールまたは低放射率の機能性コーティング14は焼き入れ処理中に熱反射鏡として働き、コーティングされていないガラスを焼き入れするのに必要とされる時間と比較して該コーティングされたガラスを焼き入れするのに必要とされる時間を増大させる。本発明の炭素含有保護コーティング16は焼き入れ処理中に熱を吸収し、機能性コーティング14の熱反射作用の幾らかを相殺しそしてそのような炭素含有保護コーティング16なしのコーティングされた物品のために必要とされる焼き入れよりも、焼き入れ時間を減少させる。
【0057】
低い放射率または太陽コントロールのコーティングされた基体のような機能的にコーティングされた基体の加熱特性、例えば焼き入れ特性を一般的に改良するために、上記のとおりの実質的に炭素のコーティングのようなしかしそれに限定されない、高い放射率の一時的コーティングは、熱を吸収しそして機能性コーティングの熱反射特性と反対に作用するのを助けるために、加熱まえに、機能的にコーティングされた基体上に適用されることが出来る。“高い放射率”により、約0.4より大きい、好ましくは約0.5より大きい、一層好ましくは約0.6より大きいそしてなお一層好ましくは約0.8より大きい放射率を意味する。高い放射率のコーティングは機能的にコーティングされた基体上の均一な加熱を促進する。焼き入れに加えて、2、3名前を挙げると、折り曲げ、成形または加熱強化のような他の操作のために、そのような高い放射率のコーティングが使用されることが出来る。高い放射率のコーティングは、炭素に限定されず、しかし基体および(または)機能性コーティングに有害な影響を与えることなしに、選ばれた加熱処理中に燃焼または熱分解出来る、例えば重合体コーティングのような任意のコーティングであることが出来ることが当業者に認識されよう。
【0058】
(発明を実施するための最良の形態)
以下の例は本発明の例示であり、しかしながら本発明はそれらの詳細に限定すると考えられるべきでない。例1〜10において、本発明の保護コーティングを試験するために用いられたガラス切り取り試片(coupons)を、各々、同じ銀をベースとする多重層太陽コントロールMSVD適用コーティングでコーティングした。“対照”は、本発明の保護コーティングなしの機能的にコーティングされたガラスのピースであった。
【0059】
例 1:
脱イオン(DI)水の285mlを、約80℃の温度に加熱した。Airvol(登録商標)103ポリビニルアルコール(PVOH)(Airvol(登録商標)103ならびに例において記載されている他のAirvol(登録商標)材料はAir Products and Chemicals,Inc.から市販されている)の15.0008gをゆっくりと加えながら、磁気かき混ぜ棒を用いてその水を激しくかき混ぜた。その溶液を連続的にかき混ぜそして約15分間約85℃の温度に維持した。次に、加熱を停止したがしかしかき混ぜを続け、一方でそのまま溶液を室温(約25℃)に冷却させた。この方法はDI H2O中のPVOHの5重量パーセント(“重量%”)の溶液を生じた。ポリエチレンピペットを用いて、或る量のPVOH溶液が小さなたまり(puddle)として、2ミリメータの厚さを有しそして銀をベースとする多重層太陽コントロールMSVD適用コーティングを有する4インチx4インチ(10cm x 10cm)のガラス切り取り試片に適用された。0.005インチ(5“ミル”、即ち0.013cm)の湿潤フイルム厚さでステンレススチールドローダウン棒を用いて、このたまりを次に、サンプルの表面上に一層均一に分布させた。そのサンプルを約5分間(Sylvaniaから市販の)250ワット加熱ランプ下で乾燥させた。乾燥後0.0001gまで感度があるSartoriusマスバランスを用いてそのサンプルを秤量し;サンプルのコーティングされていない重量をコーティングされた重量から引き算した;かくして、4インチx4インチサンプル上の重合体コーティングの質量を0.0714gであると決定した。この結果から、基体の平方フィート当たりの予想された平均質量はこの数の約9倍、即ち約0.64g/ft2(7.1g/m2)であると概算された。PVOHコーティングされたガラスサンプルは次に2つの摩耗ホイール(wheels)の各々上に500グラムの適用された荷重を用いて100サイクルで修正されたTaber摩耗試験に付された。修正されたTaber試験は平らな円形回転テーブル上に試験されるべきサンプルを固定することからなる。2つの円形の回転性Calibrase(登録商標)CS−10F摩耗ホイール(wheel)(ニューヨーク州、N.トナワンダのTaber Industriesから市販)が試験されるべきサンプルの上面上に下げられる;各々の摩耗ホイールに対して適用された500グラムの荷重がある。Calibrase(登録商標)CS−10Fホイールは研磨材で含浸されている弾性体タイプの材料である。試験を行うために、回転テーブルはスイッチを“オン”にされそして摩耗ホイールが回転しそして所望の回転の数、即ち“サイクル”が完了するまでサンプルおよび回転テーブルが垂直軸のまわりを回転するにつれてサンプルの表面を磨滅する。試験後は、サンプルを回転テーブルから取り出しそして上面に対する損傷について調べる。Taber試験後に、PVOHコーティングは冷たい(室温の)流れているDI水下でサンプルをリンスすることにより除去された。リンス後に、サンプルを、圧縮空気で送風乾燥させた。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、PVOH−保護されたサンプル上で視ることが出来る摩耗は有意義に少なかった。引っかきの程度はCIE 1931Y,x,y色度スペースを用いる“反射−遮断(specular-excluded)”様式(Illuminant D65,2級オブザバー,大きい窓の反射−遮断基準様式)において、Spectrogard比色計(BYK−Gardnerから市販)を用いて、Taber摩耗軌跡に相当する円のまわりの4つの方位点位置(compass-point locations)から拡散、即ち“反射−遮断”反射率を測定することにより決定された。環状Taber摩耗軌跡から離れたサンプル表面の“背景”反射−遮断反射率の基本線測定が同様に行われた;損傷されていない表面の基本線反射率は摩耗軌跡の内側直径内部で典型的には測定された。約4つまでの基本線、即ち“背景”測定が行われそして平均化された。サンプルの平均背景反射−遮断反射率は典型的には非常に低く、しばしば約Y=0.00であって、それによりサンプル表面の損傷されていない領域からの拡散反射率は摩耗軌跡から離れた反射率における視覚的反射であったガラスサンプルについて予期されるとおりの本質的にゼロであったことを示す。平均基本線反射−遮断背景反射率を引き算した、Taber摩耗軌跡からの拡散反射率の4つの方位点測定の平均は、サンプルの平均“反射−遮断Taber得点”または単に“Taber得点”として本明細書において称せられる。この方式において、一層高いTaber得点は摩耗軌跡から一層拡散性の反射率を示しそしてそれ故に、一層大きな程度の損傷を示すとして解釈される。PVOH−保護されたサンプルの平均“Taber得点”は0.01であった;同じ摩耗試験に付された保護されていない対照サンプル(即ち、本発明の保護コーティングなしの、機能的にコーティングされたガラスの切り取り試片)の平均Taber得点は、2.85であった(下記表1を参照)。
【0060】
例 2:
Airvol(登録商標)203ポリビニルアルコール(PVOH)の5重量%溶液を例1のとおりにして造った。次にその溶液を、Milwaukee Sprayer Manufacturing Company,Inc.から市販のSure Shot(登録商標)モデルA(登録商標)空気噴射収容缶に注入し、そして約100psi(7kg/cm2)に加圧した。約12インチx12インチ(30.5cm x 30.5cm)および2ミリメートルの厚さと測定されているそして例1と同じ機能性コーティングを有するガラスの試験切り取り片上に該PVOH溶液を噴霧した;2回通過および約6インチ(15.2cm)の噴射先端から基体までの距離が使用された。噴霧後、PVOHコーティングを約5分間、加熱ランプ下で乾燥した。PVOHコーティングが乾燥された後に、炭化タングステンガラス切断用手工具は、9つの4”x4”(10cm x 10cm)のピースに試験切り取り片を切断分割する目的のためにその試験切り取り片に刻み目がつけられるために用いられた。切り取り試片の中心から切断されたピースを秤量しそして次に例1において記載されたとおりに100サイクルで修正Taber試験に付した。Taber試験後に、保護PVOHは周囲の温度の流れている脱イオン水下でそれをリンスすることによりサンプルから除去されそして圧縮空気で送風乾燥された。次にサンプルを再秤量しそして2つ質量測定値が引き算され、それにより10cm x 10cmのサンプル上に約0.1991gのPVOHコーティング被覆量が示された。コーティングされた基体の平方フィート当たりの予想された質量はこの数の約9倍、即ち約1.8kg/ft2(20g/m2)であると概算された。PVOHコーティングを剥離させたのちに、サンプルを調べてみると、同じTaber試験に付された対照サンプルに比較して、PVOH保護されたサンプル上で視ることが出来る摩耗は有意義に少なかったことを示した。引っかきの程度は上記例1において記載されたとおりの“反射−遮断”様式でSpectrogard比色計を用いるTaber摩耗軌跡に相当する円のまわりの4つの方位点位置からの拡散反射率を測定することにより決定された。PVOH−保護されたサンプルの平均Taber得点は、0.02であった;同じ摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルの平均Taber得点は3.01であった(下記表1参照)。
【0061】
例 3:
Spraylat(登録商標)“A”重合体の水性分散液(Spraylat Corporationから市販)の25mlを周囲の室温で等容量の脱イオン(DI)水中で混合した;これは“50%濃縮Spraylat A分散液”として称せられる。例1におけると同じ機能性コーティングでコーティングされたガラスの4インチx4インチ(10cm x 10cm)の切り取り試片に、ポリエチレンピペットを用いて、或る量のその50%濃縮Spraylat A分散液を小さなたまり(puddle)として適用した。このたまりは次に、0.005インチ(5“ミル”、即ち0.013cm)湿潤フイルム厚さでステンレススチールドローダウン棒を用いて、そのサンプルの表面上に一層均一に分布された。そのサンプルを約5分間250Wの加熱ランプ下で乾燥させた。乾燥後に、そのサンプルを秤量し;サンプルのコーティングされていない重量をコーティングされた重量から引き算しそして重合体コーティングの質量を0.3061gであると決定し、これは2.8g/ft2(31g/m2)の平方フィート当たりの予想された平均質量を提供する。50%濃縮Spraylat Aをコーティングされたガラスサンプルは、次に100サイクルで(上記されたとおりの)Taber摩耗試験に付された。Taber試験後に、Spraylat Aコーティングはそれを手で引き剥がすことにより除去された。これは容易に行われそして下に存在するMSVDコーティングにマイナスの影響を起こさなかったと思われる。Spraylat Aコーティングを引き剥がした後のサンプルを調べると、Taber摩耗軌跡が視られなかったことを示し;このサンプルについての平均Taber得点は0.00であった。本発明の保護コーティングなしの機能的にコーティングされたガラスの対照サンプルはMSVDに対して広範囲の損傷を示し;対照サンプルについての対応する平均Taber得点は2.96であった。
【0062】
例 4:
Michem(登録商標)Prime 4983R−HSエチレン/アクリル酸(EAA)共重合体分散液(Michelman,Inc.から市販)の50mlを等容量の脱イオン水と混合した;得られた分散液は“50%濃縮”と称せられる。希釈後に、その分散液を安定化させるために、約0.5mlの1N水酸化アンモニウム(NH4OH)を加えた。さらに分散液の湿潤挙動を改善するために約1mlのDynol(登録商標)604界面活性剤(Air Products and Chemicals,Inc.から市販)を加えた。(NH4OH及びDynol(登録商標)604添加剤を有する)その50%濃縮分散液は、例1におけると同じ機能性コーティングでコーティングされたガラスの4インチx4インチ(10cm x10cm)切り取り試片に小さなたまり(puddle)として適用された。このたまりは、次に例1に記載されたとおりにしてサンプルの表面上に一層均一に分布され、加熱ランプ下で乾燥されそして次に秤量された。その10cm x10cmサンプル上の重合体コーティングの質量は0.1529gと決定され、予想された平均質量の1.4g/ft2(15.6g/m2)を提供した。EAA共重合体コーティングされたガラスサンプルは次に100サイクルで(上記されたとおりにして)Taber摩耗試験に付された。Taber試験の後に、重合体コーティングは、約3分間NH4OH溶液(pH11)にコーティングされたガラスサンプルを浸しそしてKaydry(登録商標)拭き取り紙(Kimberly−Clark Corporationから市販)を用いて拭き取りし、次に流れている冷たい脱イオン水下でリンスすることにより除去された。リンス後に、サンプルを圧縮空気で送風乾燥させた。同じTaber試験に付された対照サンプル(即ち保護コーティングなしの機能的にコーティングされた基体)と比較して、EAA共重合体コーティングされたサンプル上に視ることが出来る摩耗は有意義に少なかった。引っかきの程度は、“反射−遮断”様式でSpectrogard比色計を用いて円形Taber摩耗軌跡のまわりの4つの方位点位置からの拡散反射率を測定することにより決定された。EAA共重合体コーティングされたサンプルは0.02の平均Taber得点を有した。同じ100サイクルTaber摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルは2.78の平均Taber得点を有した。
【0063】
例 5:
例1におけると同じ機能性コーティングを有するガラスの10cm x 10cmサンプルを、ポリエチレンオキシド(PEO)の6重量%水溶液でコーティングしそして約5〜15分間約260°F(121℃)の温度でオーブン中で乾燥した。同様に造られたサンプル上で、得られた乾燥重合体コーティングは厚さにおいて約7μmであると概算されそして約1g/cm3の平均質量密度を有する均一なコーティングを仮定して、約0.7g/ft2(7.8g/m2)の概算質量被覆量(乾燥コーティング質量)に相当すると評価された。PEO−コーティングされたガラスサンプルは次に、100サイクルで(上に記載されたとおりにして)Taber摩耗試験に付された。ポリエチレンオキシドは水溶性重合体であるので、(上記のポリビニルアルコールコーティングされたサンプルについて行われたように)それを水中にさらすことにより基体からその重合体コーテイングを除去することが可能であり、そのPEOコーティングはまた、機械的引き剥がしにより除去されることが出来る程に十分に機械的完全性を有していた。PEO−コーティングはガラス基体から引き剥がされそして基体は脱イオン水でリンスされた。リンス後、サンプルは圧縮空気で送風乾燥された。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、PEO−コーティングされたサンプル上に視ることが出来る摩耗は有意義に少なかった。引っかきの程度を上記したとおりにして決定した。PEO−コーティングされたサンプルは0.01の平均Taber得点を有した。同じ100サイクルTaber摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルは2.98の平均Taber得点を有した。
【0064】
例 6:
例1におけるのと同じ機能性コーティングを有するガラスのサンプル(10cm x 10cm)は、分散された酸化アルミニウム(Al23)ナノ級粒子を有するポリエチレンオキシド(PEO)の10重量%水溶液でコーティングされそして例5において記載されたとおりにしてオーブン中で乾燥された;溶液中のPEO対酸化アルミニウムの重量比は46%/54%であった。同様に造られたサンプル上で、得られた乾燥重合体コーティングは厚さにおいて約10μmであると概算されそして約2.6g/cm3の概算平均質量密度を有する均一なフイルムと仮定して、約2.4g/ft2(26.7g/m2)の概算質量被覆量に相当した。この概算は、酸化アルミニウム(アルファ相)について約3.95g/cm3の平均質量密度を仮定し、PEOについて約1g/cm3の平均質量密度を仮定し、そして乾燥されたコーティングにおけるそれらの重量区分により該仮定された密度を重量割当することにより計算された。PEO/Al23コーティングされたガラスサンプルは次に、100サイクルで(上に記載されたとおりにして)Taber摩耗試験に付された。保護コーティングのPEO重合体マトリックスは水溶性であり;これは水を用いての洗浄/リンスにより保護コーティングを除去することをそれに可能にさせる。水を用いてのリンスによりPEO/Al23コーティングの除去の後に、圧縮空気を用いてサンプルを送風乾燥させた。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、PEO/Al23コーティングされたサンプル上に視ることが出来る摩耗は有意義に少なかった。引っかきの程度は上記のとおりにして決定された。PEO/Al23コーティングされたサンプルは、0.00の平均反射遮断Taber得点を有した。同じ100サイクルTaber摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルは2.98の平均Taber得点を有した。
【0065】
例 7:
或る量のChempeel(登録商標)WB重合体分散液(PPG Industries,Inc.から市販)は、例1と同じ機能性コーティングを有するガラスの4インチx4インチ(10cm x 10cm)切り取り試片上に、ポリエチレンピペットを用いて、小さなたまり(puddle)として適用された。次に、0.005インチ(0.013cm)湿潤フイルムの厚さで、このたまりは、ステンレススチールドローダウン棒を用いて、サンプル表面上に一層均一に分布された。約5分間250W加熱ランプ下でサンプルを乾燥させた。乾燥後、サンプルを秤量し;サンプルのコーティングされていない重量がコーティングされた重量から引き算されそしてサンプル上の重合体コーティングの質量が0.5314gであると決定された。この結果から、平方フィート当たりの予想された平均質量は約4.8g/ft2(53.3g/m2)であると概算された。次にChempeel WBコーティングされたガラスサンプルは100サイクルで(上に記載されたとおりにして)Taber摩耗試験に付された。Taber試験後に、Chempeel WBコーティングはそれをサンプルから引き剥がすことにより除去された。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、Chempeel WB保護されたサンプル上に視ることが出来るTaber摩耗軌跡はなかった。引っかきの程度は、Taber摩耗軌跡が存在すると通常予想される円のまわりの拡散反射率を測定することにより決定された。Chempeel WB−保護されたサンプルは0.00の平均Taber得点を有し、それに対して、保護されていない対照サンプルは2.91の平均Taber得点を有した。
【0066】
例 8:
Rhoplex(登録商標)WL−96重合体エマルジョン(Rhom and Haas Companyから市販)の50mlを等容量の脱イオン水と混合した;得られたエマルジョンは“50%濃縮”であると称せられる。Dynol(登録商標)604界面活性剤(Air Products and Chemicals, Inc.から市販)の約1mlがエマルジョンの湿潤挙動を改善するために加えられた。50%濃縮エマルジョンは例1と同じ機能性コーティングを有するガラスの4インチx4インチ(10cm x 10cm)切り取り試片に小さなたまり(puddle)として適用された。次に0.005インチ(0.013cm)湿潤フイルム厚さで、このたまりは、ステンレススチールドローダウン棒を用いてサンプルの表面上に一層均一に分布された。サンプルを約5分間250W加熱ランプ下で乾燥した。乾燥後、サンプルを秤量し;サンプルのコーティングされていない重量を、そのコーティングされた重量から引き算しそして重合体コーティングの質量を0.2137gであると決定した。この結果からコーティングの質量を約1.9g/ft2(21g/m2)であると概算した。次に、重合体コーティングされたサンプルを100サイクルで(上に記載されたとおりにして)Taber摩耗試験に付した。Taber試験後に、重合体コーティングは約5分間NH4OH溶液(pH11)中にコーティングされたガラスサンプルを浸しそして基体から溶解された重合体コーティングを拭き取り、次に流れている冷たい脱イオン水下でリンスすることにより除去された。リンス後に、サンプルを圧縮空気で送風乾燥した。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、Rhoplex WL−96重合体コーティングされたサンプル上に視ることが出来る摩耗は有意義に少なかった。引っかきの程度は例8において記載されたとおりにして決定された。Rhoplex WL−96重合体コーティングされたサンプルは、0.00の平均Taber得点を有した。同じ100サイクルTaber摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルは3.02の平均Taber得点を有した。
【0067】
例 9:
或る量のTranseal(登録商標)重合体分散液(PPG Industries,Inc.から市販)は、例1におけると同じ機能性コーティングを有するガラスの4インチx4インチ(10cm x 10cm)切り取り試片に小さなたまり(puddle)として適用された。次に、このたまりは、0.005インチ(0.013cm)湿潤フイルム厚さで、ステンレススチールドローダウン棒を用いてサンプルの表面上に一層均一に分布された。約5分間250W加熱ランプ下でサンプルを乾燥させた。乾燥後に、サンプルを秤量し;サンプルのコーティングされていない重量をそのコーティングされた重量から引き算しそして重合体コーティングの質量を0.4455gであると決定した。この結果から、平方フィート当たりの質量は約4g/ft2(44.4g/m2)であると概算された。次に重合体コーティングされたガラスサンプルを100サイクルで(上に記載されたとおりにして)Taber摩耗試験に付した。Taber試験後、重合体コーティングは、基体からそれを引き剥がすことにより手で除去された。この引き剥がし操作はMSVDコーティングされた表面上に若干の残留物を残した;その残留物はイソプロパノールと脱イオン水との50容量%混合物を用いてサンプルを拭うことにより除去された。清浄後に、サンプルを圧縮空気で送風乾燥させた。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、Transeal重合体コーティングされたサンプル上に視ることが出来るTaber摩耗軌跡は存在しなかった。引っかきの程度は上に記載されたとおりにして決定された。Transeal重合体コーティングされたサンプルは0.13の平均Taber得点を有した。同じ100サイクルTaber摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルは2.57の平均Taber得点を有した。
【0068】
例 10:
脱イオン(DI)水の或る量(285ml)を90℃に加熱した。Methocel(登録商標)K100LVヒドロキシプロピルメチルセルロース(Dow Chemical Companyから市販)の或る量(15.0634g)を前記熱水に加えそして粉末が溶解されてしまうまでかき混ぜた。溶液の加熱およびかき混ぜを約30分間維持した。次に約60〜約120分間、溶液を冷却させるために、かき混ぜを続けながら溶液から熱を除去した。この方法は、DI水溶液中の5重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生じた。例1におけると同じ機能性コーティングを有するガラスの4インチx4インチ(10cm x 10cm)切り取り試片に、ポリエチレンピペットを用いて、或る量の溶液を小さなたまり(puddle)として適用した。次に0.015インチ(0.013cm)湿潤フイルム厚さで、このたまりはステンレススチールドローダウン棒を用いてサンプルの表面上に一層均一に分布された。サンプルを約5分間250W加熱ランプ下で乾燥した。乾燥後、サンプルを秤量した;サンプルのコーティングされていない重量を、コーティングされた重量から引き算しそして重合体コーティングの質量を0.2462gであると決定した。この結果から、平方フィート当たりの予想平均質量は、約2.2g/ft2(24.4g/m2)であると概算された。次に重合体コーティングされたガラスサンプルを100サイクルで(上に記載されたとおりにして)Taber摩耗試験に付した。Taber試験後に、冷たい流れているDI水下でリンスすることによりヒドロキシプロピルメチルセルロースコーティングを除去した。リンス後に、サンプルを圧縮空気で送風乾燥した。同じTaber試験に付された対照サンプルと比較して、重合体保護されたサンプル上に視ることが出来る摩耗は有意義に少なかった。引っかきの程度を上に記載されたとおりにして決定した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース保護されたサンプルの平均Taber得点は0.02であった;同じ摩耗試験に付された保護されていない対照サンプルの平均Taber得点は2.80であった(下記表1参照)。
【0069】
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】

【0070】
例 11:
例11において用いられた試験基体は例1〜10において用いられた基体とは異なる機能性コーティングを有した。例11のために用いられた機能性コーティングは銀をベースとする多重層太陽コントロールMSVD付着コーティングであった。
【0071】
蒸留水中のAirvol(登録商標)203ポリビニルアルコールの12重量%溶液を例1において記載されたとおりにして実質的に造った。さらにBYK−306ポリエーテル変性ポリジメチルポリシロキサン界面活性剤(BYK−Chemieから市販)をまた、コーティング溶液の約0.55重量%の水準まで添加した。そのコーティング組成物、即ち溶液は、銀をベースとする多重層太陽コントロールMSVD付着コーティングを有しそして以下の噴霧コーティングパラメータを使用する2枚の24インチx36インチ(61cm x 91cm)、3.2mmの厚さのガラス基体上に、空気噴霧化噴射装置を用いて、噴霧適用された。
【0072】
コーティング溶液は、基体から約10インチ(25cm)でのスプレーノズルを用いて、37.0ml/分の流速、15psig(1kg/cm2)の液体圧力、85psig(6kg/cm2)の噴射圧力及び10psig(0.7kg/cm2)のファン圧力で噴霧適用される。コーティングされた基体は、空気乱流下に約30秒間乾燥されそして乾燥基体の各々の1平方フィート(0.09m2)区画が9枚の4インチx4インチ(10cm x 10cm)正方形に切断された。各々のサンプル上の質量被覆量は、コーティングされた重量からサンプルのコーティングされていない重量を引き算することにより決定された。下記表2において示されるように、平均質量被覆量は、コーティングされたサンプルについて、0.1639グラムであった。次に(上に記載されたとおりにして)Taber試験は各々の基体からの数対のサンプルについて、10、25、50、75、および100サイクルで行われた。Taber試験後に、PVOHコーティングは冷たい流れているDI水下でリンスすることにより除去されそして圧縮空気で送風乾燥された。対照サンプル(即ち、本発明の保護コーティングなしの機能的にコーティングされたサンプル)と比較して、PVOHコーティングされたサンプル上には視ることが出来る摩耗が有意義に少なかった。引っかきの程度は上記のとおりにして決定された。平均質量被覆量(実際のまたは概算されたg/ft2またはg/m2)そしてサンプルおよび対照についてのTaber得点を表2に示す。
【0073】
表2のサンプルの名称において、接頭辞“1”は噴霧された第1の24”x36”(61cm x 91cm)基体から切断されたサンプルを意味する。接頭辞“2”は、噴霧された第2の24”x36”(61cm x 91cm)基体プレートから切断されたサンプルを意味する。数の10、25、50、75、100は与えられたサンプルを摩耗するために用いられたTaberサイクルの数を示しそして“A”および“B”は各々24”x36”(61cm x 91cm)基体上の、2つの異なる位置から切断された4”x4”(10cm x10cm)サンプルを示す。
【0074】
【表2−1】


【表2−2】

【0075】
上記試験において使用された機能性コーティングはMSVD適用されたコーティングであった。摩耗抵抗上へのコーティングタイプの影響を決定するために、熱分解的に適用(APCVD)された低放射率コーティングを有するガラスのサンプルは、上記のとおりに10、25、50、75および100サイクルでの、Taber試験に付された。引っかきの程度は上に記載されたとおりにして反射−遮断拡散反射率を測定することにより決定された。試験の結果を下記表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
本発明の保護コーティングを有する(中が白い円形記号)そして保護コーティングを有しない(中が白い正方形記号)、試験された表2のMSVD適用された機能的にコーティングされた基体についてそして本発明の保護コーティングを有しない(中が黒い三角形記号)の表3の熱分解適用された機能的にコーティングされた基体について、Taber得点対Taberサイクルの数のグラフが図3においてグラフ的に示される。これらのデータについて図3において示される最もよく適合された曲線A−Cは、保護コーティングなしの試験されたMSVDコーティングされた基体について(A):y=−0.0003x2+0.0497x+0.1294であると計算され;保護コーティングを有する試験されたMSVDコーティングされた基体について(B):y=0.0214x−0.1437であると計算されそして保護コーティングなしの試験された熱分解的にコーティングされた基体について(C):y=0.0059x+0.0162であると計算された。
【0078】
図3において示されるように、10および25の低いTaberサイクルで、本発明の保護コーティングを有するMSVDコーティングされた基体は、熱分解的に適用されたコーティングを有するがしかし保護コーティングを有しない基体に好ましく匹敵するがしかし次にTaberサイクルの数が増大するにつれて、それていきはじめる。本発明の保護層の厚さ、例えば質量被覆量を増大させると、疑いなく摩耗抵抗を改良するけれども、保護コーティングの厚さは保護コーティングでカバーされた物品の加工要件に対してバランスがとられるべきである。例えば、保護コーティングが厚ければ厚いほどガラスの慣用の刻み目づけを一層問題的なものとする可能性があるかあるいは迅速にかつきれいに除去することが一層困難となるであろう。
【0079】
上記記載において開示された概念から離れることなしに本発明に対して修正がなされることが出来ることは当業者により容易に認識されるだろう。したがって、本発明において詳細に記載された特定の態様は例示のためだけであってそして本発明の範囲を限定するものでなく、本発明は特許請求の範囲そしてその任意のおよびすべての均等事項の十分なその広さが与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面を有する基体;
該第1表面の少なくとも1部分上に付着された機能性コーティング;および
該機能性コーティングの少なくとも1部分上に付着された除去可能な保護コーティング;
を含み、しかも機能性コーティングは単層コーティングおよび多重層コーティングからなる群から選ばれ、そして
機能性コーティングが単層金属酸化物である場合は該除去可能な保護コーティングはスペーサー材料を本質的に有しない、
コーティングされた物品。
【請求項2】
機能性コーティングが金属類、非金属類、半金属類、半導体あるいはそれらの合金、化合物、複合体、組み合わせおよびブレンドの1種またはそれ以上を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
保護コーティングがフイルム形成性重合体を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
保護コーティングがフイルム形成性重合体を含む液体コーティング組成物の蒸発生成物または反応生成物を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
コーティング組成物が実質的に水性の担体を含む、請求項3に記載の物品。
【請求項6】
基体が少なくとも1つの光透過性表面を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
基体が、ガラス、重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、プラスチック、セラミック、金属、セルロースおよびそれらの混合物または組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
基体が、板ガラス、焼き入れされていない(非強化)ガラス、焼き入れされた(強化)ガラスおよび熱強化ガラスからなる群から選ばれる、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
重合体がポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリアクリレート類、セルロース類およびそれらの誘導体、ブレンド、共重合体、複合体、組み合わせまたは混合物からなる群から選ばれる、請求項3に記載の物品。
【請求項10】
基体がガラスでありそして約1.8m x 約2.1mより大きい大きさを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
基体が約1.8m x 約2.1mより小さい大きさを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
機能性コーティングが熱分解的に付着されたコーティング、スパッタリング付着されたコーティング、湿式化学付着されたコーティングおよび化学蒸着付着されたコーティングからなる群から選ばれる、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
機能性コーティングが低放射率コーティング、太陽エネルギー反射性または吸収性コーティングおよび熱赤外線反射性または吸収性コーティングおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
重合体が、水溶性、乳化性および水分散性材料からなる群から選ばれる、請求項4に記載の物品。
【請求項15】
フイルム形成性重合体が、アクリル重合体、合成ラテックス、ポリアルキレンオキシド重合体、ポリ酢酸ビニル重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、セルロース系重合体、でんぷん、カゼイン、ゼラチンそしてそれらの単量体のいずれかまたはすべてから形成されたブレンド、誘導体、組み合わせおよび共重合体からなる群から選ばれる、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
フイルム形成性重合体が約80パーセントより大きい加水分解度を有するポリビニルアルコールからなる、請求項4に記載の物品。
【請求項17】
重合体がコーティング組成物の約50重量%までを構成する、請求項15に記載の物品。
【請求項18】
重合体がコーティング組成物の約5〜約12重量%を構成する、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
コーティング組成物が、充填剤、殺生物剤、界面活性剤、消泡剤、着色剤、流動剤、均染剤、親水性剤、疎水性剤、スペーサー材料および芳香物質からなる群から選ばれた少なくとも1種の添加剤をさらに含む請求項3に記載の物品。
【請求項20】
除去可能なコーティングが実質的に連続のコーティングである、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
除去可能なコーティングが実質的に非連続のコーティングである、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
除去可能なコーティングが平方フィート当たり0より大きく、約1グラムまでの質量被覆量を有する、請求項16に記載の物品。
【請求項23】
除去可能なコーティングが平方フィート当たり約0.1〜約0.2グラムの質量被覆量を有する、請求項16に記載の物品。
【請求項24】
コーティング組成物が1種またはそれ以上の非水性担体を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項25】
非水性担体が、少なくとも1種のイソプロパノール、メタノールまたはエタノールを含む、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
第1表面を有する板ガラス基体;および
該第1表面の少なくとも1部分上に付着された除去可能な保護コーティング;を含み、しかもその保護コーティングは約50ミクロン未満の厚さを有しておりそしてスペーサー材料が本質的に存在しないコーティング組成物から付着される、コーティングされた物品。
【請求項27】
該第1表面上の少なくとも1部分上に付着された機能性コーティングを含み、除去可能な保護コーティングは該機能性コーティングの少なくとも1部分上に付着されており、
しかも、該機能性コーティングは単層コーティングおよび多重層コーティングからなる群から選ばれ、その機能性コーティングは金属、非金属、半金属、半導体あるいはそれらの合金、化合物、複合体、組み合わせおよびブレンドの1種またはそれ以上を含み、そして
該機能性コーティングが単層金属酸化物である場合には該除去可能な保護コーティングはスペーサー材料が本質的に存在しない、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
銀含有機能性コーティングを有する基体上に除去可能な保護コーティングを形成するためのコーティング組成物であって、
フイルム形成性材料;および
実質的にハロゲン化物が存在しない殺生物剤;
を含む、該コーティング組成物。
【請求項29】
第1表面を有し、その第1表面の少なくとも1部分上に機能性コーティングを有する基体を用意し;
該機能性コーティングの少なくとも1部分上に、フイルム形成性材料を含む液体コーティング組成物を付着させ;そして
該コーティング組成物から除去可能な保護コーティングを形成する;
諸工程を含み、
しかも該機能性コーティングは単層コーティングおよび多重層コーティングからなる群から選ばれ、その機能性コーティングは金属、非金属、半金属、半導体あるいはそれらの合金、化合物、複合体、組み合わせおよびブレンドの1種またはそれ以上を含み、そして
該機能性コーティングが単層金属酸化物である場合は該除去可能な保護コーティングはスペーサー材料が本質的に存在しない、
基体を機械的損傷から保護する方法。
【請求項30】
保護コーティングを除去するために、除去可能な保護コーティングを液体と接触させることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
液体が水を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
除去可能な保護コーティングを燃焼させるかまたは熱的に分解させるのに十分な温度に基体を加熱することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
異なる基体を区別するために異なる基体上に、異なる選ばれた色または外観または芳香の除去可能な保護コーティングを形成する工程を含む、選ばれた基体を確認同定する方法。
【請求項34】
除去可能な保護コーティングは、
フイルム形成性材料および少なくとも1種の選ばれた着色剤または芳香物質を含む液体コーティング組成物を、基体の少なくとも1部分上に適用し;そして
該コーティング組成物を硬化させるかまたは乾燥させて、該基体上に除去可能な保護コーティングを形成する;
ことにより形成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
表面を有する基体;および
その基体の少なくとも1部分上に付着された除去可能な実質的に炭素の保護コーティング;
を含む、コーティングされた物品。
【請求項36】
基体の少なくとも1部分上に付着された機能性コーティングをさらに含み、該保護コーティングが該機能性コーティングの少なくとも1部分上に付着されている、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
基体がガラスである、請求項35に記載の物品。
【請求項38】
保護コーティングが約0Åより大きく、約1000Åまでの厚さを有する、請求項35に記載の物品。
【請求項39】
基体と保護層との間に置かれたブロッキング層を含む、請求項35に記載の物品。
【請求項40】
機能性コーティングと保護コーティングとの間に置かれた酸化ブロッキング層をさらに含む、請求項36に記載の物品。
【請求項41】
ブロッキング層が、珪素、チタン、ジルコニウム、ニオブ、アルミニウムそしてそれらの組み合わせ、酸化物、窒化物およびオキシ窒化物からなる群から選ばれる、請求項38に記載の物品。
【請求項42】
ブロッキング層が約0Åより大きく、約50ミクロンまでの厚さを有する、請求項39に記載の物品。
【請求項43】
基体を用意し;そして
その基体の少なくとも1部分上に、実質的に炭素の保護コーティングを適用する、諸工程を含む基体を保護する方法。
【請求項44】
適用工程が、保護コーティングを形成するために、実質的に酸素を有しないスパッタリング雰囲気中で炭素含有ターゲットをスパッタリングすることを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
スパッタリング雰囲気が20容量パーセント未満の酸素である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
基体の少なくとも1部分上に少なくとも1つの機能性コーティングを付着させそして該機能性コーティングの少なくとも1部分上に保護コーティングを付着させることを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
機能性コーティングと保護コーティングとの間に酸化ブロッキング層を設けることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記の設ける工程が、酸素含有スパッタリング雰囲気中で珪素含有ターゲットをスパッタリングしてシリカブロッキング層を形成することにより行われる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ブロッキング層が約0Åより大きく、約50ミクロンまでの厚さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
保護コーティングを燃焼させて、基体から保護コーティングを除去することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
燃焼工程が、保護コーティングを酸化するのに十分な温度に基体を加熱することにより行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
各々の基体が第1表面を有する複数のシート基体を用意し、基体の少なくとも1部分の第1表面の少なくとも1部分上に除去可能な保護コーティングを適用し;そして
少なくとも1つの保護コーティングが少なくとも1つの対の隣接する基体間に置かれるように、輸送用コンテナ中に該基体を配置させる;
諸工程を含む、平らなまたは湾曲したシート基体の輸送用コンテナを製造する方法。
【請求項53】
適用工程が、
第1表面の少なくとも1部分上に、フイルム形成性材料を含む液体コーティング組成物を適用し;そして
そのコーティング組成物から除去可能な保護コーティングを形成する;
ことを含む、請求項52の方法。
【請求項54】
除去可能な保護コーティングが実質的に炭素のコーティングである、請求項52の方法。
【請求項55】
各々の基体が第1表面を有し、基体の少なくとも1部分の第1表面上に除去可能な保護コーティングが置かれており、少なくとも1つの保護コーティングが少なくとも1つの隣接する対の基体の間に置かれるように基体が配置されている、複数の基体を有する輸送用コンテナを受取り;そして、基体の少なくとも1つから保護コーティング材料を除去する;
諸工程を含む、物品を製作する方法。
【請求項56】
除去工程が保護コーティングを液体と接触させることを含む、請求項55の方法。
【請求項57】
除去工程が保護コーティングを燃焼させるかまたは熱的に分解させるのに十分な温度に基体を加熱することを含む、請求項55の方法。
【請求項58】
生産物品中に少なくとも1つの基体の少なくとも1部分を組み入れ、そして生産物品の少なくとも1部分上に除去可能な保護コーティングを適用することを含む、請求項55の方法。
【請求項59】
除去された保護コーティング材料を集めそして他の基体上に除去可能な保護コーティングを形成するためにその除去された保護コーティング材料を再使用することをさらに含む、請求項55の方法。
【請求項60】
各々の基体が第1表面を有する、複数の隣接する基体を有する輸送用コンテナにおいて、改良は、
少なくとも1つの保護コーティングが少なくとも1つの対の隣接する基体の間に置かれるように、少なくとも1つの基体の第1表面の少なくとも1部分上に除去可能な保護コーティングを適用することを含む、
上記輸送用コンテナ。
【請求項61】
保護コーティングが実質的に炭素である、請求項59の方法。
【請求項62】
板ガラス基体を用意し;そして
該基体の少なくとも1部分上に除去可能な保護コーティングを付着させる;
諸工程を含み、しかも該保護コーティングは約50ミクロン未満の厚さを有しておりそして本質的にスペーサー材料を有しないコーティング組成物から付着されている、機械的損傷から基体を保護する方法。
【請求項63】
付着工程が、基体表面に関して、90°より大きくから、180°未満の範囲の角度で基体に向けられた空気ナイフを用いて乾燥することを含む、請求項62の方法。
【請求項64】
加熱のまえに、基体の少なくとも1部分上に除去可能な高い放射率のコーティングを適用し;そして
該高い放射率のコーティングが加熱中に燃焼するかまたは熱的に分解するように基体を加熱する;
諸工程を含む、機能性コーティングを有する基体の、均一な加熱を促進する方法。
【請求項65】
機能性コーティングが低い放射率のコーティング、太陽コントロールコーティングおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項64の方法。
【請求項66】
高い放射率のコーティングが約0.8より大きい放射率を有する、請求項64の方法。
【請求項67】
機能性コーティングが約0.3未満の放射率を有する、請求項64の方法。
【請求項68】
加熱工程が焼き入れ、成形、加熱強化および折り曲げの少なくとも1つを含む、請求項64の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−105003(P2011−105003A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44(P2011−44)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【分割の表示】特願2001−508275(P2001−508275)の分割
【原出願日】平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】