説明

除湿システム

【課題】ヒートポンプやヒートパイプを再生エアの加熱源として利用することによって、省エネを図ることのできる除湿システムを提供する。
【解決手段】除湿システム10は、除湿ロータ12を有し、この除湿ロータ12の除湿ゾーンAに給気エアが供給されて除湿処理が行われ、除湿ロータ12の再生ゾーンBに再生エアが供給されて除湿部材14の再生が図られる。再生エアが流れる再生ライン26には、ヒートポンプ30の凝縮器34が設けられ、この凝縮器34によって再生エアが加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除湿システムに係り、特にリチウムイオン電池を製造するクリーンルームや、低湿度環境を必要とする産業用設備などに用いられる除湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用設備やクリーンルーム設備では、多量の外気を取り入れ、冷却コイル等で湿度を調節し、被空調室に供給している。このため、夏季などの外気湿度が高い時季は、冷却コイルの冷熱源に多大な負荷がかかるという問題がある。そこで、産業用設備やクリーンルーム設備では、外気の潜熱負荷を小さくするために、乾式の除湿装置を外気調和機として使用している。
【0003】
乾式の除湿装置は、ゼオライトやシリカゲル等の除湿部材を保持した除湿ロータを有し、この除湿ロータを回転させることによって、除湿部材を給気エアの流路と再生エアの流路とに交互に通過させる。給気エアは、除湿ロータの除湿部材を通過させることによって除湿され、低露点室(被空調室)に給気される。一方、再生エアは、除湿ロータの除湿部材を通過させることによって、除湿部材に吸着した水分を脱着させ、除湿性能を回復させる。これにより、連続した除湿運転を行うことができる。
【0004】
特許文献1には、低露点室内のエアの一部を除湿ロータに供給する除湿システムが開示されている。この除湿システムによれば、低露点室内のエアを利用して除湿を行うことによって、除湿にかかるランニングコストを低減することができる。
【特許文献1】特開2000−70657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の除湿システムは、再生エアを電気ヒータによって加熱するため、消費エネルギー量が大きく、ランニングコストが高くなるという欠点があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、省エネ化を図ることのできる除湿システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、低露点室に供給される給気エアの流路に設けられ、該給気エアを除湿部材で除湿する除湿ゾーンと、前記除湿部材に再生エアを通過させて該除湿部材を再生させる再生ゾーンとを有する除湿装置を備えた除湿システムにおいて、前記再生エアの流路にヒートポンプの凝縮器を設け、該凝縮器によって前記再生エアを加熱することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ヒートポンプを用いて再生エアを加熱するので、電気ヒータを用いて加熱した場合と比べて、大幅にエネルギー効率を向上させることができ、ランニングコストを低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記除湿部材をロータによって保持し、前記除湿ゾーンと前記再生ゾーンとを交互に移動させることを特徴とする。したがって、請求項2の発明によれば、除湿ゾーンで除湿を行った除湿部材を再生ゾーンで再生させ、連続運転することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記給気エアの流路には前記ヒートポンプの蒸発器が設けられ、該蒸発器によって前記給気エアが冷却されることを特徴とする。すなわち、請求項3の発明によれば、給気エアと再生エアとを熱交換させることによって、給気エアを冷却させ、再生エアを加熱させることができる。したがって、蒸発器による給気エアの冷却と、凝縮器による再生エアの加熱とをヒートポンプによって同時に行うことができる。これにより、エネルギー効率をさらに向上させることができ、ランニングコストをより低減することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1の発明において、前記凝縮器は、前記再生エアの流路に複数設けられることを特徴とする。したがって、請求項4の発明によれば、前記凝縮器による熱交換をより効果的に行うことができ、ランニングコストをさらに低減させることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれか1の発明において、前記再生エアの流路には、電気ヒータが設けられることを特徴とする。したがって、再生エアの加熱を電気ヒータとヒートポンプの両方で行うので、再生エアをより高い温度に加熱することができ、再生ゾーンの性能を向上させることができる。また、ヒートポンプと電気ヒータを併用するようにしたので、ヒートポンプによって省エネ化を図りつつ、且つ電気ヒータによって応答性の良い温度制御を行うことができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は請求項1〜5の発明において、前記給気エアを分流させて前記除湿部材に通過させ、該除湿部材を通過したエアを再生エアとして前記再生ゾーンに送気する分流ラインを設け、該分流ラインに前記凝縮器を設けたことを特徴とする。したがって、請求項6の発明によれば、分流ラインを流れる低温のエアを凝縮器で加熱するので、熱効率を向上させることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は前記目的を達成するために、低露点室に供給される給気エアの流路に設けられ、該給気エアを除湿部材で除湿する除湿ゾーンと、前記除湿部材に再生エアを通過させて該除湿部材を再生させる再生ゾーンとを有する除湿装置を備えた除湿システムにおいて、前記再生エアの流路にヒートパイプの凝縮部を設け、該凝縮部によって前記再生エアを加熱することを特徴とする。請求項7に記載の発明によれば、動力費のかからないヒートパイプを用いて再生エアを加熱するので、ランニングコストを大幅に低減することができる。
【0015】
請求項8に記載の発明は請求項7の発明において、前記給気エアを分流させて前記除湿部材に通過させ、該除湿部材を通過したエアを再生エアとして前記再生ゾーンに送気する分流ラインを設け、該分流ラインに前記凝縮部を設けたことを特徴とする。したがって、請求項8の発明によれば、分流ラインを流れる低温のエアをヒートパイプの凝縮部で加熱するので、熱効率を向上させることができる。
【0016】
請求項9に記載の発明は請求項7又は8の発明において、前記ヒートパイプの蒸発部を、前記再生ゾーンを通過した後の再生エアの流路に設けたことを特徴とする。したがって、請求項9の発明によれば、再生ゾーンを通過した再生エアの廃熱を回収して再生エアの加熱に利用することができる。したがって、熱効率をさらに向上させることができ、ランニングコストを大幅に削減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る除湿システムによれば、ヒートポンプ或いはヒートパイプを用いて再生エアを加熱するので、電気ヒータのみを用いて加熱した場合と比べて、エネルギー効率を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に従って本発明に係る除湿システムの好ましい実施形態について説明する。図1は本発明に係る除湿システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、除湿システム10は、除湿ロータ12を有し、この除湿ロータ12は、不図示のモータ等の駆動手段によって、軸16を中心として所定の速度で回転するようになっている。除湿ロータ12には、シリカゲルやゼオライト等の除湿部材14が保持される。
【0020】
除湿ロータ12の両側面の領域は、不図示のケーシングや仕切り板によって三つの領域に仕切られており、除湿部材14は、この三つの領域を順に通過するようになっている。以下、三つの領域を、除湿部材14の通過する順に、除湿ゾーンA、再生ゾーンB、パージゾーンCと称す。
【0021】
除湿ロータ12の除湿ゾーンAには、給気ライン(給気エアの流路に相当)18、18が接続されている。除湿ロータ12の右側の給気ライン18は不図示の低露点室に連通され、左側の給気ライン18は外気に連通されている。外気側の給気ライン18には、冷却コイル20、20が設けられ、この冷却コイル20、20同士の間に低露点室の室内環気が供給される。さらに、外気側の給気ライン18にはファン22が設けられ、このファン22を駆動させることによって、外気が給気エアとして給気ライン18に取り込まれる。給気ライン18に取り込まれた給気エアは、冷却コイル20、20によって冷却された後、除湿ロータ12の除湿ゾーンAを通過し、除湿ゾーンAの除湿部材14によって除湿され、除湿されたドライエアが低露点室に給気される。よって、低露点室を低露点環境に保つことができる。
【0022】
除湿ロータ12のパージゾーンCには、前述の給気ライン18から分流した分流ライン24が接続される。したがって、給気ライン18を流れる低温のエアが分流ライン24を介して除湿ロータ12のパージゾーンCに供給されるので、パージゾーンC内の除湿部材14を冷却することができる。よって、除湿ロータ12の再生ゾーンBで加熱されて昇温した除湿部材14を十分に冷却することができる。これにより、除湿ロータ12の除湿ゾーンAには、パージゾーンCで冷却された除湿部材14が通過するので、除湿ゾーンAにおける除湿効率を向上させることができる。
【0023】
除湿ロータ12の再生ゾーンBには、再生ライン(再生エアの流路に相当)26、26が接続される。再生ゾーンBには、前述の除湿ゾーンAやパージゾーンCを流れる給気エアの流れ方向と反対方向に再生エアが流れるように構成される。再生ライン26の上流側は、前述のパージゾーンCに連通されており、パージゾーンCを通過したエアが再生エアとして再生ライン26に取り込まれる。また、上流側の再生ライン26には、後述のヒートポンプ30の凝縮器34が設けられており、この凝縮器34によって、再生ライン26の再生エアが加熱される。したがって、加熱された再生エアが除湿ロータ12の再生ゾーンBに供給され、この再生エアの通気によって、再生ゾーンBの除湿部材14に吸着した水分が脱着される。これにより、除湿部材14の除湿能力を回復させることができるので、除湿部材14が再び除湿ゾーンAを通過した際に、給気エアの水分が十分に吸着除去される。
【0024】
再生ゾーンBの除湿部材14を通過したエアは、下流側の再生ライン26を介して排気される。この再生ライン26には、環気ライン28が接続されており、環気ライン28の先端が凝縮器32の上流側の再生ライン26に接続される。したがって、排気される再生エアの一部は分流され、環気ライン28を介して再生ライン26に戻され、再生エアとして循環利用される。このように再生エアを循環利用することで、再生エアの加熱にかかるコストを削減することができる。
【0025】
次に本発明の特徴部分であるヒートポンプ30について説明する。ヒートポンプ30は主として、凝縮器34、蒸発器36、膨張弁38、及び圧縮機40によって構成されており、これらが熱媒体の循環ライン32によって接続されている。
【0026】
循環ライン32には、二酸化炭素や代替えフロン等の熱媒体が循環するようになっている。循環ライン32を循環する熱媒体は、まず、蒸発器36において外気等と熱交換し、外気等から熱を吸収して蒸発する。そして、蒸発して昇温した熱媒体は圧縮機40に送られ、圧縮機40で圧縮されてさらに昇温される。こうして高温になった熱媒体は、凝縮器34に送られ、凝縮器34において再生ライン26を流れる再生エアと熱交換をし、再生エアに熱を放出して凝縮する。凝縮して温度の低下した熱媒体は膨張弁38によって膨張され、さらに低温になり、蒸発器36に戻される。そして、蒸発器36において、低温の熱媒体が再び外気等と熱交換することによって蒸発する。このようにして熱媒体が循環ライン32を循環することによって、凝縮器34では連続的に再生エアが加熱される。このようなヒートポンプ30は熱効率が高く、例えば熱媒体として二酸化炭素を用いた場合には、COP(冷暖房能力を消費電力で除した値)が3程度得られ、電気ヒータ(COP=1)の3倍程度の省エネ効果が得られる。
【0027】
上記の如く構成された除湿システム10は、再生エアの加熱源としてヒートポンプ30の凝縮器34を用いているので、従来装置のように電気ヒータを用いて再生エアを加熱する場合と比べて省エネを図ることができ、ランニングコストを削減することができる。
【0028】
なお、上述した第1の実施形態は、除湿ロータ12にパージゾーンCを設けて、このパージゾーンCを通過したエアを再生エアとして利用したが、このような構成に限定されるものではなく、外気や低露点室の室内環気を再生エアとして利用してもよい。また、除湿ロータ12は、除湿ゾーンAと再生ゾーンBのみの構成としてもよい。
【0029】
次に除湿システムの第2の実施形態について説明する。図2に示す第2の実施形態の除湿システムは、上流側(図2中、左側)の給気ライン18にヒートポンプ30の蒸発器36、36が設けられている。したがって、ヒートポンプ30を駆動して熱媒体を循環ライン32に循環させると、前述の凝縮器34によって再生ライン26の再生エアが加熱される一方で、蒸発器36、36によって給気ライン18の給気エアが冷却される。すなわち、給気ライン18の給気エアと再生ライン26の再生エアを熱交換させることによって、給気エアの冷却と再生エアの加熱が同時に行われるので、システム全体の熱交換率を大幅に向上させることができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態は、二つの蒸発器36、36を設けたが、蒸発器36の個数は1個でも或いは3個以上であってもよい。
【0031】
次に除湿システムの第3の実施形態について説明する。図3に示す第3の実施形態の除湿システムは、図2に示した除湿システムと比較して、上流側(図3中、右側)の再生ライン26に電気ヒータ42が設けられている点で異なっている。電気ヒータ42は、再生エアの流れ方向において、凝縮器34の下流側に配設されており、凝縮器34で加熱した再生エアを電気ヒータ42でさらに加熱するようになっている。また、凝縮器34と電気ヒータ42の間には、不図示の温度センサが設けられており、この温度センサの測定値に基づいて電気ヒータ42が制御される。
【0032】
上記の如く構成された除湿システムによれば、凝縮器34で加熱した再生エアを電気ヒータ42によって加熱するので、再生エアをより高温にすることができ、再生ゾーンBでの再生能力を向上させることができる。また、電気ヒータ42を用いて加熱することによって、応答性の良い温度制御を行うことができる。
【0033】
次に除湿システムの第4の実施形態について説明する。図4に示す第4の実施形態の除湿システムは、図3の除湿システムと比較して、ヒートポンプ30の凝縮器34が分流ライン24に設けられている点で異なっている。したがって、分流ライン24を流れるエアが凝縮器34によって加熱され、パージゾーンCを通過して再生エアとなるので、電気ヒータ42による再生エアの加熱量を減少させることができる。また、温度の低い分流ライン24のエアを凝縮器34によって加熱するようにしたので、熱効率を向上させることができ、ランニングコストを削減することができる。
【0034】
このように凝縮器34は分流ライン24に設けるようにしてもよい。凝縮器34の位置は、再生エアの流路であればよく、再生ライン26、分流ライン24、環気ライン28等から選択して配置することができる。
【0035】
なお、上述した第1乃至第4の実施形態は、凝縮器34を一つだけ設けた例であるが、複数の凝縮器34を設けるようにしてもよい。この場合、複数の凝縮器34を循環ライン32で接続し、一つのヒートポンプサイクルを形成してもよいし、或いは、図5に示すように、複数のヒートポンプサイクルを形成してもよい。図5に示す除湿システムは、上流側(図5中、右側)の再生ライン26と分流ライン24にそれぞれ凝縮器34が設けられるとともに、上流側(図5中、左側)の給気ライン18に二つの蒸発器36、36が設けられる。そして、上流側の蒸発器36と再生ライン26の凝縮器34が循環ライン32で接続され、第1のヒートポンプ30が構成される一方で、下流側(図5中、右側)の蒸発器36と分流ライン24の凝縮器34が循環ライン32で接続され、第2のヒートポンプ30が構成される。このように構成された除湿システムは、各凝縮器34、34による冷却量や、各蒸発器36、36による加熱量を個別に制御することができる。したがって、より細かな温度制御を行うことができる。
【0036】
次に除湿システムの第5の実施形態について説明する。図6に示す第5の実施形態の除湿システムは、ヒートパイプ60を用いて再生エアを加熱する例である。ヒートパイプ60は、内部に水又はアンモニア等の蒸発性液体を密封した管62を有し、この管62の両端部に凝縮部64、蒸発部66が設けられる。凝縮部64は、低温のエアが流れる分流ライン24に設けられ、蒸発部66は、高温のエアが流れる下流側(図6中、左側)の再生ライン26に設けられる。
【0037】
このようにヒートパイプ60の凝縮部64と蒸発部66とを配設すると、管62内の液体は高温の蒸発部66で蒸発して凝縮部64に流れ、低温の凝縮部64で放熱して液化する。そして、再生ライン26を流れる再生エアが冷却されるとともに、分流ライン24を流れるエアが加熱される。したがって、再生ライン26を流れる高温の再生エアの廃熱を利用して再生エアを加熱することができるので、電気ヒータ42での消費エネルギーを減少させることができ、エネルギー効率をさらに向上させることができる。
【0038】
このように第5の実施形態によれば、動力の要らないヒートパイプ60を利用して再生エアを加熱することによって、ランニングコストを削減することができる。特に、第5の実施形態では、温度差の大きい再生ライン26のエアと分流ライン24のエアとで熱交換させるようにしたので、非常に高い熱効率を達成することができ、ランニングコストを大幅に削減することができる。
【0039】
なお、上述した第5の実施形態では、ヒートパイプ60の凝縮部64を分流ライン24に配設したが、これに限定するものではなく、再生エアの流路であればよい。したがって、上流側(図6中、右側)の再生ライン26に設けるようにしてもよい。同様に、ヒートパイプ60の蒸発部66の位置は、再生ライン26に限定されるものではなく、例えば外部の熱源を利用してもよい。
【0040】
次に除湿システムの第6の実施形態について説明する。図7に示す第6の実施形態は、多段式の除湿システムの例であり、第1〜第3の除湿ロータ12X、12Y、12Zを備える。第1除湿ロータ12Xは除湿ゾーンAと再生ゾーンBを備えており、第2除湿ロータ12Yと第3除湿ロータ12Zは除湿ゾーンA、再生ゾーンB、及びパージゾーンCを備える。
【0041】
給気ライン18、18…は、第1除湿ロータ12Xの除湿ゾーンA、第2除湿ロータ12Yの除湿ゾーンA、第3除湿ロータ12Zの除湿ゾーンAを給気エアが順に通過して低露点室に供給されるように接続される。一方、再生ライン26、26…は、第3除湿ロータ12Zの再生ゾーンB、第2除湿ロータ12Yの再生ゾーンB、第1除湿ロータ12Xの再生ゾーンBを再生エアが順に通過して排気されるように接続される。
【0042】
第2除湿ロータ12YのパージゾーンCには、第1除湿ロータ12Xの除湿ゾーンAを通過したエアを分流させる分流ライン24が接続されており、パージゾーンCを通過したエアは、合流ライン44を介して再生ライン26の再生エアに合流するようになっている。また、第3除湿ロータ12ZのパージゾーンCには、第2除湿ロータ12Yの除湿ゾーンAを通過したエアを分流させる分流ライン24が接続されており、このパージゾーンCを通過したエアが再生エアとして再生ライン26に流れるようになっている。
【0043】
給気ライン18には三つの蒸発器36が設けられている。各蒸発器36は、除湿ロータ12X〜12Zの上流側(図7中、左側)に配設されており、蒸発器36で冷却したエアが除湿ロータ12X〜12Zの除湿ゾーンA或いはパージゾーンCに供給される。
【0044】
一方、再生ライン26には三つの凝縮器34が設けられている。各凝縮器34は、除湿ロータ12X〜12Zの上流側(図7中、右側)に配設されており、凝縮器34で冷却したエアが除湿ロータ12X〜12Zの再生ゾーンBに供給される。
【0045】
各蒸発器36と各凝縮器34は、循環ライン32に接続されており、循環ライン32を熱媒体が循環することによって、蒸発器36で給気エアが冷却され、凝縮器34で再生エアが加熱される。
【0046】
上記の如く構成された除湿システムは、三つの除湿ロータ12X〜12Zによって三段階の除湿処理を行うので、例えば−100℃以下の超低露点のエアを製造することができる。
【0047】
また、上述した実施形態は、再生エアの加熱源としてヒートポンプ30の凝縮器34を用い、給気エアの冷却源として蒸発器36を用いたので、再生エアの加熱や給気エアの冷却にかかるエネルギー消費量を削減することができる。特に、第6の実施形態のように、前記加熱源や冷却源が多数必要となる多段式の除湿システムの場合にヒートポンプ30を利用することによって、エネルギー消費量を大幅に削減することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態は、三つの凝縮器34と三つの蒸発器36を一つのヒートポンプ30として接続したが、これに限定するものではなく、各凝縮器34と各蒸発器36を個別に接続し、複数のヒートポンプサイクルを形成するようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態は、三つの除湿ロータ12X〜12Zを設けたが、除湿ロータ12X〜12Zの個数はこれに限定するものではなく、二つ或いは四つ以上であってもよい。
【0050】
また、凝縮器34の位置は、図7に示した実施形態に限定されるものではなく、再生エアが流れる流路であればよい。したがって、図8に示すように分流ライン24、24に凝縮器34、34を設けるようにしてもよい。この場合には、分流ライン24を流れる低温のエアを加熱するので熱交換率を向上させることができる。また、図9に示すように合流ライン44に凝縮器34を配設したり、或いは図9に点線で示すように、合流ライン44が合流する前の再生ライン26に凝縮器34を配設したりしてもよい。
【0051】
なお、上述した第6の実施形態の場合にも、ヒートポンプ30と電気ヒータ42(図3参照)を併用して再生エアを加熱するようにしてもよい。また、図6に示したヒートパイプ60を利用して再生エアの廃熱を回収し、再生エアの加熱に利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る除湿システムの第1の実施形態を示す概略構成図
【図2】本発明に係る除湿システムの第2の実施形態を示す概略構成図
【図3】本発明に係る除湿システムの第3の実施形態を示す概略構成図
【図4】本発明に係る除湿システムの第4の実施形態を示す概略構成図
【図5】図4と異なる位置に凝縮器を配置した除湿システムの概略構成図
【図6】本発明に係る除湿システムの第5の実施形態を示す概略構成図
【図7】本発明に係る除湿システムの第6の実施形態を示す概略構成図
【図8】図7と異なる位置に凝縮器を配置した除湿システムの概略構成図
【図9】図7と異なる位置に凝縮器を配置した除湿システムの概略構成図
【符号の説明】
【0053】
10…除湿システム、12…除湿ロータ、14…除湿部材、18…給気ライン、20…冷却コイル、22…ファン、24…分流ライン、26…再生ライン、28…環気ライン、30…ヒートポンプ、32…循環ライン、34…凝縮器、36…蒸発器、38…膨張弁、40…圧縮機、A…除湿ゾーン、B…再生ゾーン、C…パージゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低露点室に供給される給気エアの流路に設けられ、該給気エアを除湿部材で除湿する除湿ゾーンと、前記除湿部材に再生エアを通過させて該除湿部材を再生させる再生ゾーンとを有する除湿装置を備えた除湿システムにおいて、
前記再生エアの流路にヒートポンプの凝縮器を設け、該凝縮器によって前記再生エアを加熱することを特徴とする除湿システム。
【請求項2】
前記除湿部材をロータによって保持し、前記除湿ゾーンと前記再生ゾーンとを交互に移動させることを特徴とする請求項1に記載の除湿システム。
【請求項3】
前記給気エアの流路には前記ヒートポンプの蒸発器が設けられ、該蒸発器によって前記給気エアが冷却されることを特徴とする請求項1又2に記載の除湿システム。
【請求項4】
前記凝縮器は、前記再生エアの流路に複数設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の除湿システム。
【請求項5】
前記再生エアの流路には、電気ヒータが設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の除湿システム。
【請求項6】
前記給気エアを分流させて前記除湿部材に通過させ、該除湿部材を通過したエアを再生エアとして前記再生ゾーンに送気する分流ラインを設け、該分流ラインに前記凝縮器を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の除湿システム。
【請求項7】
低露点室に供給される給気エアの流路に設けられ、該給気エアを除湿部材で除湿する除湿ゾーンと、前記除湿部材に再生エアを通過させて該除湿部材を再生させる再生ゾーンとを有する除湿装置を備えた除湿システムにおいて、
前記再生エアの流路にヒートパイプの凝縮部を設け、該凝縮部によって前記再生エアを加熱することを特徴とする除湿システム。
【請求項8】
前記給気エアを分流させて前記除湿部材に通過させ、該除湿部材を通過したエアを再生エアとして前記再生ゾーンに送気する分流ラインを設け、該分流ラインに前記凝縮部を設けたことを特徴とする請求項7に記載の除湿システム。
【請求項9】
前記ヒートパイプの蒸発部を、前記再生ゾーンを通過した後の再生エアの流路に設けたことを特徴とする請求項7又は8に記載の除湿システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−125670(P2006−125670A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310916(P2004−310916)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000005452)日立プラント建設株式会社 (1,767)
【Fターム(参考)】