説明

除湿システム

【課題】省エネ性に優れた除湿システムを提供する。
【解決手段】室外の空気を室内の空間(S)へ供給するように流入端が室外に開口するとともに流出端が室内の空間(S)に開口する給気通路(40)と、給気通路(40)を流れる空気を除湿する吸着ロータ(31)と、室内の空間(S)の空気を流入させて該空間(S)へ再び流出させるように、流入端及び流出端が該空間(S)に開口する循環通路(45)と、循環通路(45)を流れる空気を除湿する除湿機構(111)とを備えた除湿システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿した空気を室内へ供給する除湿システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、除湿した空気を室内へ供給する除湿システムが知られている。特許文献1には、この種の除湿システムが開示されている。
【0003】
特許文献1の除湿システムは、ケーシング内の空気通路に吸着ロータが収容されている。ケーシング内に取り込まれた室外空気は、吸着ロータの吸着部を通過する。吸着部では、空気中の水分が吸着剤に吸着され、この空気が除湿される。除湿された空気は、室内へ供給される。また、ケーシング内に取り込まれた室内空気は、加熱された後に吸着ロータの再生部を通過する。再生部では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。吸着剤の再生に利用された空気は、室外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−195607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような除湿システムにおいては、除湿対象となる室内の低湿の空気を、吸着ロータの上流側に返送し、取り込んだ室外空気と混合させることがある。これにより、吸着ロータの上流側の空気の温度、及び湿度を下げることができ、吸着ロータにおける水分の吸着能力を向上できる。
【0006】
しかしながら、このように湿度差が異なる外気と内気とを混合させると、混合空気中で混合損失が発生するため、省エネ性の低下を招くという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、省エネ性に優れた除湿システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、除湿システムを対象とし、室外の空気を室内の空間(S)へ供給するように、流入端が室外に開口するとともに流出端が室内の空間(S)に開口する給気通路(40)と、該給気通路(40)を流れる空気を除湿する吸着ロータ(31)と、上記室内の空間(S)の空気を流入させて該空間(S)へ再び流出させるように、流入端及び流出端が該空間(S)に開口する循環通路(45)と、該循環通路(45)を流れる空気を除湿する除湿機構(111)とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明では、給気通路(40)を通じて室外から室内の空間(S)へ供給される空気が、吸着ロータ(31)によって除湿される。これにより、比較的新鮮な外気が吸着ロータ(31)によって除湿された後、室内へ取り込まれる。一方、室内の空気は、循環通路(45)へ吸い込まれて除湿機構(111)によって除湿された後、再び室内へ戻される。
【0010】
このように、第1の発明では、給気通路(40)からの外気と、循環通路(45)を循環する空気とが混合することなく室内の空間(S)へ供給されるため、湿度の異なる空気が混合することによる混合損失が発生しない。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記室内の空間(S)には、該空間(S)を第1空間(S1)と第2空間(S2)とに仕切るとともに、該第1空間(S1)内の空気を上記第2空間(S2)へ排出するための排気口(16)が形成された仕切部(15)が設けられ、上記給気通路(40)の流出端は、上記第1空間(S1)に開口し、上記循環通路(45)の流入端及び流出端は、上記第2空間(S2)に開口していることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、吸着ロータ(31)によって除湿された室外の空気が第1空間(S1)へ流入する。つまり、第1空間(S1)は、比較的新鮮な空気で満たされる。第1空間(S1)の空気は、排気口(16)を通じて第2空間(S2)へ排出される。第2空間(S2)の空気は、循環通路(45)へ吸い込まれて除湿機構(111)によって除湿された後、再び第2空間(S2)へ戻される。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記給気通路(40)における上記吸着ロータ(31)の上流側に配置され、吸着剤が担持された吸着熱交換器(22,24)と、該吸着熱交換器(22,24)が接続されて上記吸着剤を冷却する熱媒体が流れる熱媒体回路(20a)とを有する除湿ユニット(20)を備えることを特徴とする。
【0014】
第3の発明では、吸着ロータ(31)の上流側に、吸着熱交換器(22,24)が接続された熱媒体回路(20a)が配置される。吸着熱交換器(22,24)では、吸着剤が熱媒体によって冷却される。室外空気が吸着熱交換器(22,24)を通過すると、空気中の水分が吸着熱交換器(22,24)の表面の吸着剤に吸着される。この際、生じる吸着熱は、熱媒体回路(20a)の熱媒体に付与される。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、上記吸着ロータ(31)の再生通路(52)に配置されて凝縮器を構成する再生熱交換器(65)と、上記給気通路(40)における上記除湿ユニット(20)の上流側に配置されて蒸発器を構成する外気冷却熱交換器(61)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(70a,120)を備えていることを特徴とする。
【0016】
第4の発明では、再生通路(52)を流れる空気が再生熱交換器(65)で加熱された後、吸着ロータ(31)を通過する。その結果、吸着ロータ(31)の吸着剤中の水分が空気中へ放出され、吸着ロータ(31)が再生される。また、室外空気は、除湿ユニット(20)の上流側において、外気冷却熱交換器(61)によって冷却される。その結果、室外空気中の水蒸気が凝縮して、空気の湿度及び温度が低下する。
【0017】
第4の発明では、再生熱交換器(65)と外気冷却熱交換器(61)とが、冷媒回路(70a,120)に接続される。冷媒回路(70a,120)では、圧縮された冷媒が凝縮器となる再生熱交換器(65)を流れる。つまり、再生熱交換器(65)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。凝縮後の冷媒は、減圧された後に蒸発器となる外気冷却熱交換器(61)を流れる。つまり、外気冷却熱交換器(61)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。以上のように、本発明では、外気冷却熱交換器(61)で空気から奪われた熱が、再生熱交換器(65)による空気の加熱に利用される。
【0018】
第5の発明は、第4の発明において、上記冷媒回路は、上記凝縮器(65)及び蒸発器(61)が1つの閉回路に接続される一元冷凍サイクル式の冷媒回路(70a)であることを特徴とする。
【0019】
第5の発明では、上述した凝縮器(65)及び蒸発器(61)が一元冷凍サイクル式の冷媒回路(70a)に接続される。これにより、冷媒回路(70a)の簡素化が図られる。
【0020】
第6の発明は、第5の発明において、上記冷媒回路(70a)には、上記凝縮器(65)側の必要能力が上記蒸発器(61)側の必要能力よりも高い場合に、凝縮圧力が目標圧力に近づくように回転数が制御され、上記蒸発器(61)側の必要能力が上記凝縮器(65)側の必要能力よりも高い場合に、蒸発圧力が目標圧力に近づくように回転数が制御される、可変容量式の圧縮機(80)が接続されていることを特徴とする。
【0021】
第6の発明の冷媒回路(70a)には、回転数が調節可能な可変容量式の圧縮機(80)が接続される。圧縮機(80)の回転数は、運転条件に応じて調節される。具体的に、凝縮器(65)側の必要能力が蒸発器(61)側の必要能力よりも高い場合には、凝縮圧力が目標圧力に近づくように圧縮機(80)の回転数が制御される。これにより、凝縮圧力を速やかに目標圧力として凝縮器(65)側の必要能力を確保することができる。
【0022】
また、蒸発器(61)側の必要能力が凝縮器(65)側の必要能力よりも高い場合には、蒸発圧力が目標圧力に近づくように圧縮機(80)の回転数が制御される。これにより、蒸発圧力を速やかに目標圧力として蒸発器(61)側の必要能力を確保することができる。
【0023】
第7の発明は、第4の発明において、上記冷媒回路は、第1圧縮機(130)と上記再生熱交換器(65)とが接続されて冷凍サイクルが行われる高圧側回路(120a)と、第2圧縮機(150)と上記外気冷却熱交換器(61)とが接続されて冷凍サイクルが行われる低圧側回路(120b)と、上記高圧側回路(120a)の低圧冷媒と上記低圧側回路(120b)の高圧冷媒と熱交換させる中間熱交換器(140)とを有する、二元冷凍サイクル式の冷媒回路(120)であることを特徴とする。
【0024】
第7の発明では、再生熱交換器(65)が接続される高圧側回路(120a)と、外気冷却熱交換器(61)が接続される低圧側回路(120b)とが、中間熱交換器(140)を介して互いに接続され、二元冷凍サイクル式の冷媒回路(120)が構成される。これにより、再生熱交換器(65)の凝縮圧力と、外気冷却熱交換器(61)の蒸発圧力との差を十分確保できる。その結果、再生熱交換器(65)での空気の加熱能力が大きくなり、且つ外気冷却熱交換器(61)の冷却能力も大きくなる。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、室内へ取り込まれる外気を吸着ロータ(31)によって除湿することにより、比較的新鮮な外気を除湿して室内へ取り込むことができる。更に、第1の発明によれば、給気通路(40)を通じて室内へ取り込まれる外気と、循環通路(45)を循環する空気とが混合しないため、混合損失が発生しない。その結果、除湿システムの省エネ性を向上できる。
【0026】
また、第2の発明によれば、比較的新鮮な外気を除湿して第1空間(S1)に取り込むとともに、該第1空間(S1)をこの新鮮な空気で満たすことができる。これにより、例えば、比較的高い清浄度が必要とされる空間を上記第1空間(S1)で構成することにより、該空間を高い清浄度に維持することができる。
【0027】
また、第3の発明によれば、除湿ユニット(20)によって除湿された空気を、吸着ロータ(31)によって除湿している。これにより、吸着ロータ(31)における水分の吸着能力を向上できるため、除湿システム全体の除湿能力を向上できる。
【0028】
また、第4の発明によれば、再生熱交換器(65)と外気冷却熱交換器(61)とを冷媒回路(70a,120)に接続することで、外気冷却熱交換器(61)で空気から回収した熱を、再生熱交換器(65)での空気の加熱に利用できる。その結果、除湿システムの省エネ性を更に向上できる。
【0029】
また、第5の発明によれば、凝縮器(65)及び蒸発器(61)を1つの冷媒回路(70a)に接続したので、この冷媒回路(70a)の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、第6の発明によれば、凝縮器(65)側の必要能力が不足する場合に、凝縮圧力を速やかに目標圧力に到達させて、凝縮器(65)の必要能力を確保できる。また、蒸発器(61)側の必要能力が不足する場合に、蒸発圧力を速やかに目標圧力に到達させて、蒸発器(61)の必要能力を確保できる。
【0031】
また、第7の発明によれば、二元冷凍サイクル式の冷媒回路(120)とすることで、再生熱交換器(65)と外気冷却熱交換器(61)との間の高低差圧を十分確保できる。その結果、再生熱交換器(65)と外気冷却熱交換器(61)との双方の能力を十分得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態の除湿システムの全体構成を示す概略の構成図であり、除湿ユニットが第1動作中のものである。
【図2】実施形態の除湿システムの全体構成を示す概略の構成図であり、除湿ユニットが第2動作中のものである。
【図3】実施形態の除湿システムの冷媒回路の配管系統図である。
【図4】実施形態の変形例の除湿システムの冷媒回路の配管系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0034】
本発明に係る実施形態は、室内の空間(S)を除湿する除湿システム(10)である。除湿システム(10)は、室外空気(OA)を除湿し、この空気を給気(SA)として室内へ供給する。除湿対象となる室内の空間(S)は、リチウム電池の製造ラインのドライクリーンエリア(S)である。ドライクリーンエリア(S)は、仕切部(15)によって第1空間(S1)と第2空間(S2)とに区画されている。第1空間(S1)は、例えばリチウム電池の電解液を注液するための注液室を構成し、比較的高い清浄度が要求される。一方、第2空間(S2)は、リチウム電池を組み立てるための組立室を構成する。第2空間(S2)の清浄度は第1空間(S1)の清浄度より低いものの、ある程度の清浄度が要求される。なお、空気の清浄度に関する規格としては、例えばISO(International Organization for Standardization、国際標準化機構)により規定されたISOクラス等が挙げられる。
【0035】
また、第1空間(S1)の気圧は第2空間(S2)の気圧よりも高くなるように保たれ、第2空間(S2)の気圧はドライクリーンエリア(S)外の気圧よりも高くなるように保たれる。これにより、第1空間(S1)の空気は第1排気口(16)を通じて第2空間(S2)へ排出され、第2空間(S2)の空気は第2排気口(17)を通じてドライクリーンエリア(S)外へ排出される。
【0036】
図1に示すように、除湿システム(10)は、除湿ユニット(20)と、給気通路側ロータユニット(30)と、循環通路側ロータユニット(110)とを備えている。
【0037】
除湿ユニット(20)は、圧縮機(21)、第1吸着熱交換器(22)、膨張弁(23)、第2吸着熱交換器(24)、及び四方切換弁(25)が接続された除湿側冷媒回路(20a)を備えている。除湿側冷媒回路(20a)は、熱媒体としての冷媒が循環する熱媒体回路を構成している。各吸着熱交換器(22,24)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器の表面に吸着剤が担持されて構成される。
【0038】
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有し、第1ポートが圧縮機(21)の吐出側と、第2ポートが圧縮機(21)の吸入側と、第3ポートが第1吸着熱交換器(22)の端部と、第4ポートが第2吸着熱交換器(24)の端部とそれぞれ接続している。四方切換弁(25)は、第1ポートと第3ポートとを連通させ且つ第2ポートと第4ポートとを連通させる第1状態(図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとを連通させ且つ第2ポートと第3ポートとを連通させる第2状態(図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成される。
【0039】
除湿ユニット(20)は、2つの吸着熱交換器(22,24)へ流入する空気の流れを変更する第1流路切換部(26)と、2つの吸着熱交換器(22,24)を流出した空気の流れを変更する第2流路切換部(27)とを備えている。各流路切換部(26,27)は、開閉式の複数のダンパによって構成される。各流路切換部(26,27)は、図1の実線で示す状態と、第2の実線で示す状態とに、空気の流路を切換可能に構成される。
【0040】
給気通路側ロータユニット(30)は、給気通路側吸着ロータ(31)と給気通路側再生熱交換器(65)とを有している。給気通路側吸着ロータ(31)は、給気通路(40)を流れる空気を除湿する吸着ロータを構成する。給気通路側吸着ロータ(31)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤が担持されて構成される。給気通路側吸着ロータ(31)は、駆動機構(図示省略)によって軸心を中心に回転駆動される。給気通路側吸着ロータ(31)には、第3給気路(43)に面する第1吸着部(32)と、第1排気路(51)に面する第2吸着部(33)と、第2排気路(52)に面する再生部(34)とが形成される。第1吸着部(32)と第2吸着部(33)とでは、空気中の水分が吸着され、再生部(34)では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。給気通路側再生熱交換器(65)は、給気通路側再生熱交換器(65)は、再生通路としての第2排気路(52)に配置されて凝縮器を構成する再生熱交換器である。
【0041】
循環通路側ロータユニット(110)は、循環通路側吸着ロータ(111)と循環通路側再生熱交換器(67)とを有している。循環通路側吸着ロータ(111)は、循環通路(45)を流れる空気を除湿する除湿機構を構成する。循環通路側吸着ロータ(111)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤が担持されて構成される。循環通路側吸着ロータ(111)は、駆動機構(図示省略)によって軸心を中心に回転駆動される。循環通路側吸着ロータ(111)には、第1通路(46)に面する第1吸着部(112)と、第5排気路(57)に面する第2吸着部(113)と、第6排気路(58)に面する再生部(114)とが形成される。第1吸着部(112)及び第2吸着部(113)では、空気中の水分が吸着され、再生部(114)では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。循環通路側再生熱交換器(67)は、第6排気路(58)に配置される凝縮器である。
【0042】
除湿システム(10)は、室外空気(OA)を給気(SA)としてドライクリーンエリア(S)へ供給するための給気通路(40)を備えている。給気通路(40)は、第1から第3までの給気路(41,42,43)を有している。第1給気路(41)は、除湿ユニット(20)の上流側に形成される。第2給気路(42)は、除湿ユニット(20)と給気通路側ロータユニット(30)の間に形成される。第3給気路(43)は、給気通路側ロータユニット(30)の下流側に形成され、その流出端がドライクリーンエリア(S)の第1空間(S1)へ開口している。
【0043】
第1給気路(41)には、室外空気を冷却して除湿する外気冷却熱交換器(61)と、外気冷却熱交換器(61)で凝縮した水を回収するドレンパン(62)とが設けられる。第2給気路(42)には、空気を室内へ搬送するための給気ファン(63)が設けられる。第3給気路(43)には、該第3給気路(43)を流れる空気を加熱する再熱熱交換器(64)とが設けられる。
【0044】
除湿システム(10)は、給気通路(40)の一部の空気を排気(EA)としてドライクリーンエリア(S)外へ排出するための給気通路側排気通路(50)を備えている。給気通路側排気通路(50)は、第1から第4までの排気路(51,52,53,54)を備えている。給気通路側排気通路(50)は、流入端が第2給気路(42)に接続し、流出端がドライクリーンエリア(S)外に連通している。第1排気路(51)は、給気通路側吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)の上流側に形成される。第2排気路(52)は、給気通路側吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)と、該給気通路側吸着ロータ(31)の再生部(34)との間に形成される。第3排気路(53)は、給気通路側吸着ロータ(31)の再生部(34)と除湿ユニット(20)との間に形成される。第4排気路(54)は、除湿ユニット(20)の下流側に形成される。
【0045】
第2排気路(52)には、給気通路側再生熱交換器(65)が設けられる。第4排気路(54)には、空気をドライクリーンエリア(S)外へ搬送するための第1排気ファン(66)が設けられる。また、第1給気路(41)と第3排気路(53)とは、分岐路(55)を介して接続されている。
【0046】
除湿システム(10)は、ドライクリーンエリア(S)の空気を循環させるための循環通路(45)を備えている。循環通路(45)は、流入端及び流入端が、ともにドライクリーンエリア(S)の第2空間(S2)に開口している。
【0047】
循環通路(45)は、第1通路(46)及び第2通路(47)を有している。第1通路(46)は、循環通路側ロータユニット(110)の上流側に形成され、その流入端が第2空間(S2)に開口している。第2通路(47)は、循環通路側ロータユニット(110)の下流側に形成され、その流出端が第2空間(S2)に開口している。
【0048】
第1通路(46)には、室内の空気を循環通路(45)で循環させるための循環ファン(68)が設けられている。また、第2通路(47)には、該第2通路(47)を流れる空気を加熱する再熱熱交換器(64)が設けられている。つまり、再熱熱交換器(64)は、第3給気路(43)と第2通路(47)とに跨るように配置されている。
【0049】
除湿システム(10)は、循環通路(45)の一部の空気を排気(EA)としてドライクリーンエリア(S)外へ排出するための循環通路側排気通路(56)を備えている。循環通路側排気通路(56)は、第5から第7までの排気路(57,58,59)を備えている。循環通路側排気通路(56)は、流入端が第1通路(46)に接続し、流出端がドライクリーンエリア(S)外に連通している。第5排気路(57)は、循環通路側吸着ロータ(111)の上流側に形成される。第6排気路(58)は、循環通路側吸着ロータ(111)の第2吸着部(113)と、該循環通路側吸着ロータ(111)の再生部(114)との間に形成される。第7排気路(59)は、循環通路側ロータユニット(110)の下流側に形成される。
【0050】
第6排気路(58)には、循環通路側吸着ロータ(111)を再生するために空気を加熱する循環通路側再生熱交換器(67)が設けられる。第7排気路(59)には、空気をドライクリーンエリア(S)外へ搬送するための第2排気ファン(69)が設けられる。
【0051】
図3に示すように、本実施形態の除湿システム(10)は、上記各熱交換器(61,64,65,67)が接続される冷媒回路(70a)を有する冷凍ユニット(70)を備えている。本実施形態の冷媒回路(70a)は、1つの閉回路を冷媒が循環する一元冷凍サイクル式である。
【0052】
冷媒回路(70a)には、圧縮機(80)が接続されている。圧縮機(80)は、ロータリー式、スイング式、スクロール式等の回転式流体機械である。圧縮機(80)は、インバータ回路によって回転数が調節される可変容量式に構成されている。
【0053】
圧縮機(80)の吐出側は、第1吐出ライン(71)と第2吐出ライン(72)とに分岐している。第1吐出ライン(71)には、上流側から下流側に向かって順に、上記給気通路側再生熱交換器(65)、上記循環通路側再生熱交換器(67)、第1膨張弁(81)、上記再熱熱交換器(64)、及び第2膨張弁(82)が接続されている。第2吐出ライン(72)には、上流側から下流側に向かって順に、凝縮圧力調整熱交換器(83)と第3膨張弁(84)とが接続されている。凝縮圧力調整熱交換器(83)の近傍には、室外空気を送風する第1室外ファン(85)が設けられる。
【0054】
圧縮機(80)の吸入側は、第1吸入ライン(73)と第2吸入ライン(74)とに分岐している。第1吸入ライン(73)には、上流側から下流側に向かって順に、上記外気冷却熱交換器(61)、及び逆止弁(86)が接続されている。第1吸入ライン(73)には、外気冷却熱交換器(61)及び逆止弁(86)をバイパスするバイパス管(77)が接続している。バイパス管(77)には、電磁式の開閉弁(92)が設けられる。第2吸入ライン(74)には、上流側から下流側に向かって順に、第4膨張弁(87)と蒸発圧力調整熱交換器(88)とが接続されている。蒸発圧力調整熱交換器(88)の近傍には、室外空気を送風する第2室外ファン(89)が設けられる。
【0055】
各吐出ライン(71,72)の流出端と各吸入ライン(73,74)の流入端との間には、1本の合流管(75)が接続されている。合流管(75)には、気液分離器(79)が設けられる。気液分離器(79)の気相部には、インジェクション管(76)の流入端が接続している。インジェクション管(76)の流出端は、圧縮機(80)の吸入管に接続している。インジェクション管(76)には、第5膨張弁(91)が設けられる。
【0056】
給気通路側再生熱交換器(65)、循環通路側再生熱交換器(67)、再熱熱交換器(64)、及び凝縮圧力調整熱交換器(83)は、冷媒が空気へ放熱して凝縮する凝縮器を構成する。外気冷却熱交換器(61)、及び蒸発圧力調整熱交換器(88)は、冷媒が空気から吸熱して蒸発する蒸発器を構成する。上述した各膨張弁(81,82,84,87,91)は、例えば電子膨張弁であり、冷媒の圧力を調整する減圧機構を構成する。
【0057】
除湿システム(10)は、各種のセンサを備えている。具体的に、除湿システム(10)は、冷媒回路(70a)の高圧(凝縮圧力)を検出する高圧圧力センサ(95)と、冷媒回路(70a)の低圧(蒸発圧力)を検出する低圧圧力センサ(96)とを備えている。また、除湿システム(10)は、給気通路側再生熱交換器(65)、循環通路側再生熱交換器(67)、再熱熱交換器(64)、及び外気冷却熱交換器(61)の必要能力を検出するための負荷検出手段を備えている。この負荷検出手段は、例えば、給気通路側再生熱交換器(65)の下流側の空気温度を検知する第1空気温度センサ(101)、循環通路側再生熱交換器(67)の下流側の空気温度を検知する第2空気温度センサ(102)、再熱熱交換器(64)の下流側の空気温度を検知する第3空気温度センサ(103)、外気冷却熱交換器(61)の下流側の空気温度を検知する第4空気温度センサ(104)で構成される。
【0058】
除湿システム(10)は、コントローラ(100)を備えている。コントローラ(100)は、上述した各種のセンサの検出値や、ユーザーによって入力される各種の設定値に基づいて、圧縮機(80)の回転数、各膨張弁(81,82,84,87,91)の開度、各室外ファン(85,89)の送風量等を制御する。
【0059】
−運転動作−
除湿システム(10)の運転動作について説明する。
【0060】
〈除湿ユニットの基本動作〉
除湿システム(10)の運転時には、除湿ユニット(20)が第1動作と第2動作とを所定時間おきに交互に行う。
【0061】
第1動作では、第2吸着熱交換器(24)で空気を除湿すると同時に、第1吸着熱交換器(22)の吸着剤を再生する。具体的に、第1動作中の除湿側冷媒回路(20a)では、四方切換弁(25)が図1の状態となり、膨張弁(23)が所定開度で開放される。第1流路切換部(26)は、第1給気路(41)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ第3排気路(53)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させる。また、第2流路切換部(27)は、第2吸着熱交換器(24)の収容室と第2給気路(42)とを連通させ、且つ第1吸着熱交換器(22)の収容室と第4排気路(54)とを連通させる。
【0062】
第1動作において、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第1吸着熱交換器(22)を流れる。第1吸着熱交換器(22)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される。第1吸着熱交換器(22)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第2吸着熱交換器(24)を流れる。第2吸着熱交換器(24)では、空気中の水分が吸着剤に吸着され、この際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第2吸着熱交換器(24)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
【0063】
第2動作では、第1吸着熱交換器(22)で空気を除湿すると同時に、第2吸着熱交換器(24)の吸着剤を再生する。
【0064】
第2動作中の除湿側冷媒回路(20a)では、四方切換弁(25)が図2の状態となり、膨張弁(23)が所定開度で開放される。第1流路切換部(26)は、第1給気路(41)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ第3排気路(53)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させる。また、第2流路切換部(27)は、第1吸着熱交換器(22)の収容室と第2給気路(42)とを連通させ、且つ第2吸着熱交換器(24)の収容室と第4排気路(54)とを連通させる。
【0065】
第2動作において、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第2吸着熱交換器(24)を流れる。第2吸着熱交換器(24)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される。第2吸着熱交換器(24)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第1吸着熱交換器(22)を流れる。第1吸着熱交換器(22)では、空気中の水分が吸着剤に吸着され、この際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第1吸着熱交換器(22)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
【0066】
〈冷凍ユニットの基本動作〉
除湿システムの運転時には、冷凍ユニット(70)で冷凍サイクルが行われる。冷凍ユニット(70)の基本動作時には、第1膨張弁(81)、第2膨張弁(82)、及び第5膨張弁(91)の開度が適宜調節され、第3膨張弁(84)と第4膨張弁(87)とが全閉状態となる。また、第1室外ファン(85)と第2室外ファン(89)とが停止状態となる。
【0067】
圧縮機(80)で圧縮された冷媒は、第1吐出ライン(71)に送られ、給気通路側再生熱交換器(65)及び循環通路側再生熱交換器(67)を流れる。給気通路側再生熱交換器(65)及び循環通路側再生熱交換器(67)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。給気通路側再生熱交換器(65)及び循環通路側再生熱交換器(67)で凝縮した冷媒は、第1膨張弁(81)でやや低い圧力まで減圧された後、再熱熱交換器(64)を流れる。再熱熱交換器(64)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。再熱熱交換器(64)で凝縮した冷媒は、第2膨張弁(82)で低圧まで減圧されて気液分離器(90)を通過し、第1吸入ライン(73)に送られる。なお、第2膨張弁(82)の開度は、圧縮機(80)の吸入側の冷媒の過熱度によって制御される。
【0068】
第1吸入ライン(73)に送られた冷媒は、外気冷却熱交換器(61)を流れる。外気冷却熱交換器(61)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。外気冷却熱交換器(61)で蒸発した冷媒は、逆止弁(86)を通過した後、圧縮機(80)に吸入されて圧縮される。
【0069】
〈除湿システムの運転動作〉
次いで、除湿システム(10)の運転動作について説明する。除湿システム(10)の運転時には、除湿ユニット(20)が第1動作と第2動作とを交互に行う。また、給気ファン(63)、第1排気ファン(66)、循環ファン(68)、及び第2排気ファン(69)が運転される。
【0070】
室外空気(OA)は、給気通路(40)の第1給気路(41)に流入する。この空気は、比較的高温高湿の空気である。第1給気路(41)を流れる空気は、外気冷却熱交換器(61)によって冷却される。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(62)に回収される。例えば第1動作では、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気は、除湿ユニット(20)の第2吸着熱交換器(24)を通過する。第2吸着熱交換器(24)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される。また、第2動作では、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気は、除湿ユニット(20)の第1吸着熱交換器(22)で除湿される。
【0071】
除湿ユニット(20)で除湿された空気は、第2給気路(42)を流れ、給気通路側吸着ロータ(31)の第1吸着部(32)を通過する。その結果、この空気中の水分が給気通路側吸着ロータ(31)の吸着剤に吸着される。給気通路側吸着ロータ(31)で除湿された空気は、再熱熱交換器(64)で加熱された後、給気(SA)として第1空間(S1)へ供給される。その結果、第1空間(S1)は、比較的新鮮な外気が除湿された、清浄度の比較的高い空気で満たされる。
【0072】
第2給気路(42)を流れる空気の一部は、給気通路側排気通路(50)に流入し、給気通路側吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)を通過する。その結果、この空気中の水分が給気通路側吸着ロータ(31)の吸着剤に吸着される。給気通路側吸着ロータ(31)で除湿された空気は、第2排気路(52)を流れて給気通路側再生熱交換器(65)で加熱される。加熱された空気は、給気通路側吸着ロータ(31)の再生部(34)を通過する。その結果、給気通路側吸着ロータ(31)の吸着剤から空気中へ水分が脱離し、吸着剤が再生される。給気通路側吸着ロータ(31)の再生に利用された空気は、第3排気路(53)を流れ、分岐路(55)から流出した空気と混合される。第1動作において、この空気は、除湿ユニット(20)の第1吸着熱交換器(22)を通過する。第1吸着熱交換器(22)では、吸着剤から空気中へ水分が脱離し、吸着剤が再生される。第1吸着熱交換器(22)の吸着剤の再生に利用された空気は、第4排気路(54)を流れ、排気(EA)としてドライクリーンエリア(S)外へ排出される。また、第2動作では、空気が第2吸着熱交換器(24)の吸着剤を再生した後、排気(EA)としてドライクリーンエリア(S)外へ排出される。
【0073】
第1空間(S1)の空気は、第1排気口(16)を通じて第2空間(S2)へ排出される。第2空間(S2)の空気の一部は、排気(EA)としてドライクリーンエリア(S)外へ排出される。また、第2空間(S2)の空気の一部は、循環通路(45)の第1通路(46)に流入する。
【0074】
第1通路(46)に流入した空気は、循環通路側吸着ロータ(111)の第1吸着部(112)を通過する。その結果、この空気中の水分が循環通路側吸着ロータ(111)の吸着剤に吸着される。循環通路側吸着ロータ(111)で除湿された空気は、再熱熱交換器(64)で加熱された後、第2空間(S2)へ供給される。
【0075】
第1通路(46)を流れる空気の一部は、循環通路側排気通路(56)に流入し、循環通路側吸着ロータ(111)の第2吸着部(113)を通過する。その結果、この空気中の水分が循環通路側吸着ロータ(111)の吸着剤に吸着される。循環通路側吸着ロータ(111)で除湿された空気は、第6排気路(58)を流れて循環通路側再生熱交換器(67)で加熱される。加熱された空気は、循環通路側吸着ロータ(111)の再生部(114)を通過する。その結果、循環通路側吸着ロータ(111)の吸着剤から空気中へ水分が脱離し、吸着剤が再生される。循環通路側吸着ロータ(111)の再生に利用された空気は、第7排気路(59)を流れてドライクリーンエリア(S)外へ排出される。
【0076】
〈冷凍ユニットのその他の制御動作〉
図3に示す冷凍ユニット(70)では、除湿システムの運転条件に応じて、以下のような制御動作が適宜実行される。
【0077】
除湿システムの運転時には、コントローラ(100)において、凝縮器側(即ち、給気通路側再生熱交換器(65)、循環通路側再生熱交換器(67)、及び再熱熱交換器(64)側)の必要能力Qcと、蒸発器側(即ち、外気冷却熱交換器(61)側)の必要能力Qeとが、各温度センサ(101〜104)の検出温度に基づいて算出される。
【0078】
凝縮器側の必要能力Qcが、蒸発器側の必要能力Qeよりも大きい場合、高圧圧力センサ(95)で検出された凝縮圧力が、必要能力Qcに基づいて決定される目標凝縮圧力に到達するように、圧縮機(80)の回転数が調節される。これにより、凝縮圧力を速やかに目標凝縮圧力に到達させて、必要能力Qcを確保できる。
【0079】
一方、凝縮圧力が目標値に至るように圧縮機(80)を制御した場合、蒸発圧力が目標蒸発圧力を上回り、蒸発器側の必要能力Qeが不足してしまうことがある。そこで、このような場合には、第3膨張弁(84)を所定の開度で開放させる。第3膨張弁(84)が開放されると、圧縮機(80)の吐出側の冷媒は、第1吐出ライン(71)と第2吐出ライン(72)との双方を流れ、凝縮圧力調整熱交換器(83)においても冷媒が凝縮する。すると、圧縮機(80)は、凝縮圧力を目標凝縮圧力に維持するように、回転数が大きくなる。その結果、蒸発圧力を低下させて目標の蒸発圧力に近づけることができる。
【0080】
また、蒸発器側の必要能力Qeが、凝縮器側の必要能力Qcよりも大きい場合、低圧圧力センサ(96)で検出された蒸発圧力が、必要能力Qeに基づいて決定される目標蒸発圧力に到達するように、圧縮機(80)の回転数が調節される。これにより、蒸発圧力を速やかに目標蒸発圧力に到達させて、必要能力Qeを確保できる。
【0081】
一方、蒸発圧力が目標値に至るように圧縮機(80)を制御した場合、凝縮圧力が目標凝縮圧力を下回り、凝縮器側の必要能力Qcが不足してしまうことがある。そこで、このような場合には、第4膨張弁(87)を所定の開度で開放させる。第4膨張弁(87)が開放されると、圧縮機(80)の吸入側の冷媒は、第1吸入ライン(73)と第2吸入ライン(74)との双方を流れ、蒸発圧力調整熱交換器(88)においても冷媒が蒸発する。すると、圧縮機(80)は、蒸発圧力を目標蒸発圧力に維持するように、回転数が大きくなる。その結果、凝縮圧力を上昇させて目標の凝縮圧力に近づけることができる。
【0082】
また、冷凍ユニット(70)では、外気温度センサ(図示省略)で検出された室外空気(OA)の温度が、目標蒸発圧力よりも低い場合に、開閉弁(92)が開放される。これにより、冷媒を外気冷却熱交換器(61)をバイパスさせて圧縮機(80)へ送ることができる。
【0083】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、比較的高い清浄度が必要とされる第1空間(S1)へ、比較的新鮮な外気を除湿して供給しているため、第1空間(S1)を高い清浄度にすることができる。一方、第1空間(S2)ほど高い清浄度が必要とされない第2空間(S2)については、第1排気口(16)を通じて第1空間(S1)から排出された空気を循環通路(45)で循環させつつ除湿している。これにより、第2空間(S2)をある程度の清浄度に維持できる。
【0084】
更に、上記実施形態では、給気通路(40)からの空気と、循環通路(45)を循環する空気とを混合することなく、ドライクリーンエリア(S)へ供給している。こうすると、異なる湿度の空気を混合することにより発生する混合損失が生じなくなるため、除湿システム(10)全体を省エネ化できる。
【0085】
また、上記実施形態では、除湿ユニット(20)によって除湿された空気を、給気通路側吸着ロータ(31)によって除湿している。これにより、給気通路側吸着ロータ(31)における水分の吸着能力を向上できるため、除湿システム(10)全体の除湿能力を向上できる。
【0086】
また、冷凍ユニット(70)では、給気通路側再生熱交換器(65)、循環通路側再生熱交換器(67)、外気冷却熱交換器(61)、及び再熱熱交換器(64)が同じ冷媒回路(70a)に接続される。これにより、外気冷却熱交換器(61)で回収した空気の熱を、給気通路側再生熱交換器(65)や循環通路側再生熱交換器(67)、再熱熱交換器(64)での空気の加熱に利用できる。その結果、除湿システム(10)の省エネ性を向上できる。
【0087】
《発明の実施形態の変形例》
図4に示すように、実施形態の変形例の除湿システム(10)は、上述した実施形態と冷凍ユニット(70)の構成が異なる。変形例の冷凍ユニット(70)には、二元冷凍サイクル式の冷媒回路(120)が設けられている。つまり、冷媒回路(120)は、高圧側回路(120a)と、低圧側回路(120b)とが、中間熱交換器を構成するカスケード熱交換器(140)を介して互いに接続される。
【0088】
高圧側回路(120a)には、第1圧縮機としての高圧側圧縮機(130)、給気通路側再生熱交換器(65)、循環通路側再生熱交換器(67)、及び高圧側膨張弁(131)が順に接続される。高圧側膨張弁(131)の下流側には、カスケード熱交換器(140)の第1流路(141)が接続される。高圧側回路(120a)には、高圧側圧縮機(130)の吐出側に高圧圧力センサ(133)が設けられ、高圧側圧縮機(130)の吸入側に低圧圧力センサ(134)が設けられる。
【0089】
低圧側回路(120b)には、第2圧縮機としての低圧側圧縮機(150)が設けられる。低圧側圧縮機(150)の吐出側は第1吐出ライン(122)と第2吐出ライン(123)とに分岐している。第1吐出ライン(122)には、再熱熱交換器(64)、カスケード熱交換器(140)の第2流路(142)が順に接続される。第2吐出ライン(123)には、凝縮圧力調整熱交換器(83)、第3膨張弁(84)が順に接続される。
【0090】
低圧側圧縮機(150)の吸入側は第1吸入ライン(124)と第2吸入ライン(125)とに分岐している。第1吸入ライン(124)には、外気冷却熱交換器(61)、逆止弁(86)が順に接続される。また、第1吸入ライン(124)には、実施形態1と同様、バイパス管(77)が接続される。第2吸入ライン(125)には、第4膨張弁(87)、蒸発圧力調整熱交換器(88)が順に接続される。
【0091】
低圧側回路(120b)には、各吐出ライン(122,123)の流出端と、各吸入ライン(124,125)の流入端との間に、低圧側膨張弁(151)が接続される。低圧側回路(120b)には、低圧側圧縮機(150)の吐出側に高圧圧力センサ(153)が設けられ、低圧側圧縮機(150)の吸入側に低圧圧力センサ(154)が設けられる。
【0092】
変形例の冷凍ユニット(70)では、二元冷凍サイクルが行われる。高圧側圧縮機(130)で圧縮された冷媒は、給気通路側再生熱交換器(65)及び循環通路側再生熱交換器(67)で空気へ放熱して凝縮した後、高圧側膨張弁(131)で減圧される。減圧後の冷媒は、カスケード熱交換器(140)の第1流路(141)を流れる。カスケード熱交換器(140)では、第1流路(141)を流れる冷媒が、第2流路(142)を流れる冷媒から吸熱して蒸発する。蒸発後の冷媒は、高圧側圧縮機(130)に吸入されて圧縮される。
【0093】
低圧側圧縮機(150)で圧縮された冷媒は、再熱熱交換器(64)で空気へ放熱して凝縮した後、カスケード熱交換器(140)の第2流路(142)を流れる。カスケード熱交換器(140)では、第2流路(142)を流れる冷媒が、第1流路(141)を流れる冷媒へ放熱して凝縮する。凝縮後の冷媒は、低圧側膨張弁(151)で減圧した後、外気冷却熱交換器(61)を流れる。外気冷却熱交換器(61)では、冷媒が空気から吸熱した蒸発する。蒸発後の冷媒は、低圧側圧縮機(150)に吸入されて圧縮される。
【0094】
以上のように、変形例の冷凍ユニット(70)では、高圧側回路(120a)と低圧側回路(120b)とで、それぞれ冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。これにより、給気通路側再生熱交換器(65)側の凝縮圧力と、外気冷却熱交換器(61)側の蒸発圧力との差圧を十分に確保でき、ひいては給気通路側再生熱交換器(65)の加熱能力と、外気冷却熱交換器(61)の冷却能力とを十分に得ることができる。
【0095】
それ以外の作用、及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0096】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0097】
上記実施形態では、循環通路(45)を流れる空気を除湿する除湿機構を、循環通路側吸着ロータ(111)で構成しているが、これに限らず、除湿機構を、例えば全熱熱交換器や、吸収式の除湿ユニット等で構成してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、仕切部(15)を設けてドライクリーンエリア(S)を2つの空間(S1,S2)に仕切っているが、この限りでなく、ドライクリーンエリア(S)には仕切部(15)が設けられていなくてもよい。このような場合であっても、給気通路(40)からの空気と循環通路(45)を循環する空気とを混合させずにドライクリーンエリア(S)に取り込むことができる。その結果、異なる湿度の空気を混合することにより発生する混合損失が生じなくなるため、除湿システム(10)全体を省エネ化できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上説明したように、本発明は、除湿した空気を室内へ供給する除湿システムについて有用である。
【符号の説明】
【0100】
10 除湿システム
15 仕切部
16 第1排気口(排気口)
20 除湿ユニット
20a 除湿側冷媒回路(熱媒体回路)
22 第1吸着熱交換器(吸着熱交換器)
24 第2吸着熱交換器(吸着熱交換器)
31 給気通路側吸着ロータ(吸着ロータ)
40 給気通路
45 循環通路
52 第2排気路(再生通路)
61 外気冷却熱交換器(蒸発器)
65 給気通路側再生熱交換器(再生熱交換器、凝縮器)
70a 冷媒回路
80 圧縮機
111 循環通路側吸着ロータ(除湿機構)
120 冷媒回路
120a 高段側回路
120b 低段側回路
130 高段側圧縮機(第1圧縮機)
140 カスケード熱交換器(中間熱交換器)
150 低段側圧縮機(第2圧縮機)
S ドライクリーンエリア(室内の空間)
S1 第1空間
S2 第2空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外の空気を室内の空間(S)へ供給するように、流入端が室外に開口するとともに流出端が室内の空間(S)に開口する給気通路(40)と、
上記給気通路(40)を流れる空気を除湿する吸着ロータ(31)と、
上記室内の空間(S)の空気を流入させて該空間(S)へ再び流出させるように、流入端及び流出端が該空間(S)に開口する循環通路(45)と、
上記循環通路(45)を流れる空気を除湿する除湿機構(111)と
を備えていることを特徴とする除湿システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記室内の空間(S)には、該空間(S)を第1空間(S1)と第2空間(S2)とに仕切るとともに、該第1空間(S1)内の空気を上記第2空間(S2)へ排出するための排気口(16)が形成された仕切部(15)が設けられ、
上記給気通路(40)の流出端は、上記第1空間(S1)に開口し、
上記循環通路(45)の流入端及び流出端は、上記第2空間(S2)に開口していることを特徴とする除湿システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記給気通路(40)における上記吸着ロータ(31)の上流側に配置され、吸着剤が担持された吸着熱交換器(22,24)と、該吸着熱交換器(22,24)が接続されて上記吸着剤を冷却する熱媒体が流れる熱媒体回路(20a)とを有する除湿ユニット(20)を備えることを特徴とする除湿システム。
【請求項4】
請求項3において、
上記吸着ロータ(31)の再生通路(52)に配置されて凝縮器を構成する再生熱交換器(65)と、上記給気通路(40)における上記除湿ユニット(20)の上流側に配置されて蒸発器を構成する外気冷却熱交換器(61)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(70a,120)を備えていることを特徴とする除湿システム。
【請求項5】
請求項4において、
上記冷媒回路は、上記凝縮器(65)及び蒸発器(61)が1つの閉回路に接続される一元冷凍サイクル式の冷媒回路(70a)であることを特徴とする除湿システム。
【請求項6】
請求項5において、
上記冷媒回路(70a)には、上記凝縮器(65)側の必要能力が上記蒸発器(61)側の必要能力よりも高い場合に、凝縮圧力が目標圧力に近づくように回転数が制御され、上記蒸発器(61)側の必要能力が上記凝縮器(65)側の必要能力よりも高い場合に、蒸発圧力が目標圧力に近づくように回転数が制御される、可変容量式の圧縮機(80)が接続されていることを特徴とする除湿システム。
【請求項7】
請求項4において、
上記冷媒回路は、第1圧縮機(130)と上記再生熱交換器(65)とが接続されて冷凍サイクルが行われる高圧側回路(120a)と、第2圧縮機(150)と上記外気冷却熱交換器(61)とが接続されて冷凍サイクルが行われる低圧側回路(120b)と、上記高圧側回路(120a)の低圧冷媒と上記低圧側回路(120b)の高圧冷媒と熱交換させる中間熱交換器(140)とを有する、二元冷凍サイクル式の冷媒回路(120)であることを特徴とする除湿システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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