説明

除湿ロータ及びその製造方法

【解決課題】ヒーター温を従来より低くしても、除湿量が多く且つ経時変化における除湿量の低下が少ない除湿ロータを提供することにある。
【解決手段】除湿ロータの繊維質担体に、2種以上ゼオライトが担持されている除湿ロータであって、該繊維質担体に、水素イオン交換ゼオライト又は第二金属イオン交換ゼオライトを含有する第一層と、原ゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層とからなる三層構造の除湿剤層が形成されていることを特徴とする除湿ロータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿剤による被処理空気の除湿と、水分を吸湿した該除湿剤の再生を同時に行ない、連続的に該被処理空気の除湿を行なう回転再生式除湿機に用いられる除湿ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の除湿機は、除湿剤が担持されている回転式の除湿ロータと、該除湿剤を再生するヒーターを有する回転再生式除湿機である。そして、該家庭用の除湿機は、絶対湿度が高い夏だけでなく、絶対湿度が低い冬にも、室内で洗濯物を乾燥させたり、結露を防ぐために使用される。そのため、該家庭用の除湿機の除湿ロータは、絶対湿度が低い条件下でも、優れた除湿性能を有することが必要である。
【0003】
また、産業用の除湿機の分野においても、より低湿度空気の需要が増えてきており、特に、半導体製造工場等では、酸化の要因になる水分を極力除去したいわゆるドライエアの需要が高まっている。そのため、産業用の除湿機も、絶対湿度が低い条件下でも、優れた除湿性能を有することが必要である。
【0004】
絶対湿度が低い空気中の水分を吸着することができる物質しては、ゼオライトが知られている。該ゼオライトとしてはY型ゼオライト、X型ゼオライト及びA型ゼオライトが挙げられ、これらのうち、Y型ゼオライトが、X型ゼオライト又はA型ゼオライトに比べ、低温で水分の脱湿することができるので、連続的に除湿を行なう回転再生式除湿機用の除湿剤としては、最も適していると考えられる。
【0005】
一般に、合成により得られるゼオライトは、該ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンとなる陽イオンがナトリウムイオンであるナトリウムゼオライトである。そして、該ナトリウムゼオライトは、絶対湿度が低い空気中でも、吸湿速度が速く、優れた吸湿性能を発揮する。
【0006】
そこで、従来の除湿ロータとしては、該ナトリウムゼオライトが担持されているものが用いられてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、該ナトリウムゼオライトは、吸湿性が高いものの、脱湿性が低い。そのため、該ナトリウムゼオライトを、加熱により脱湿して該ナトリウムゼオライトの吸湿性能を再生させるために、多量の熱エネルギーが必要となる。すなわち、回転再生式除湿機において、該ナトリウムゼオライトが担持されている除湿ロータを用いる場合には、ヒーター温を高くしなければならなかった。
【0008】
ところが、近年、省エネルギー化の基、該回転再生式除湿機のヒーター温は、低いことが好ましい。そして、ヒーター温が低いと、該ナトリウムゼオライトの再生が十分に行われないため、該ナトリウムゼオライトが担持されている除湿ロータは、ヒーター温を従来より低くすると、除湿性能が不十分になるという問題があった。
【0009】
該ナトリウムゼオライトに比べて、低温で脱湿することができるものとしては、ゼオライト中のアルミニウム部位(Al−O)の対イオンが水素イオンでイオン交換された水素イオン交換ゼオライトが知られている。しかし、該水素イオン交換ゼオライトは、高温下で、水分の吸脱湿を繰り返すと、ゼオライト骨格が収縮して比表面積が小さくなるので、高温下では除湿量の低下が速い、すなわち、劣化し易い。そして、該回転再生式除湿機において、該除湿ロータの近傍に、高温のヒーターが配置される場合には、該除湿ロータは、高温に曝される。そのため、該水素イオン交換ゼオライトが担持されている除湿ロータは、該水素イオン交換ゼオライトの劣化が速いので、除湿量の低下が速く、実用的ではない。
【0010】
従って、本発明の課題は、ヒーター温を従来より低くしても、優れた除湿性能を有する、すなわち、除湿量が多く且つ経時変化における除湿量の低下が少ない、すなわち、耐久性に優れる除湿ロータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)除湿性能は、連続回転させている際の1回転当りの脱湿量(吸湿量−脱湿されずに残存する水分量)に依存すること、(2)除湿ロータに、耐水熱性試験における比表面積の低下率が高く且つ脱湿ピーク温度が低いゼオライトを含有する第一層と、耐水熱性試験における比表面積の低下率が低く且つ脱湿ピーク温度が高いゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層からなる三層構造の除湿剤層を形成させると、除湿ロータを通過する高温の再生空気は、先ず、該第二層に接触するので、水分を脱湿しながら、気化熱を奪われて温度を下げ、次いで、該第一層に接触する。このことにより、該第一層に接触する際には、該再生空気の温度は低くなっているので、第一層ゼオライトが劣化し難く、且つ該第一層ゼオライトは、該第二層ゼオライトよりも低温で脱湿され得るゼオライトなので、該再生空気の温度が低くなっても、再生される。よって、除湿ロータの1回転当りの脱湿量が多くなること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明(1)は、除湿ロータの繊維質担体に、2種以上ゼオライトが担持されている除湿ロータであって、該繊維質担体に、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトを含有する第一層と、原ゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層とからなる三層構造の除湿剤層が形成されている除湿ロータを提供するものである。
【0013】
また、本発明(2)は、除湿ロータの繊維質担体に、2種以上ゼオライトが担持されている除湿ロータであって、該繊維質担体に、耐水熱性試験における比表面積の低下率が15〜50%のゼオライトを含有する第一層と、耐水熱性試験における比表面積の低下率が0〜10%のゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層とからなる三層構造の除湿剤層が形成されており、該第二層に含有されるゼオライトの脱湿ピーク温度と該第一層に含有されるゼオライトの脱湿ピーク温度の差が1〜60℃である除湿ロータを提供するものである。
【0014】
また、本発明(3)は、シート状の繊維質担体を、成形加工し、ロータ形状の繊維質担体を得る成形加工工程、該ロータ形状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を得る第一層形成工程、及び該第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、除湿ロータを得る第二層形成工程を有し、該第一層ゼオライトが、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトであり、該第二層ゼオライトが、原ゼオライトである除湿ロータの製造方法を提供するものである。
【0015】
また、本発明(4)は、シート状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第一層形成工程、該第一層が形成されているシート状の繊維質担体を、成形加工し、第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を得る成形加工工程、及び該第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、除湿ロータを得る第二層形成工程を有し、該第一層ゼオライトが、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトであり、該第二層ゼオライトが、原ゼオライトである除湿ロータの製造方法を提供するものである。
【0016】
また、本発明(5)は、シート状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第一層形成工程、該第一層が形成されているシート状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層及び第二層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第二層形成工程、及び該第一層及び第二層が形成されているシート状の繊維質担体を、ロータ形状に成形加工し、除湿ロータを得る成形加工工程を有し、該第一層ゼオライトが、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトであり、該第二層ゼオライトが、原ゼオライトである除湿ロータの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヒーター温を従来より低くしても、除湿量が多く且つ経時変化における除湿量の低下が少ない、すなわち、耐久性に優れる除湿ロータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の除湿ロータは、除湿ロータの繊維質担体に2種以上のゼオライトが担持されている除湿ロータであって、繊維質担体に、耐水熱性試験における比表面積の低下率が15〜50%のゼオライトを含有する第一層と、耐水熱性試験における比表面積の低下率が0〜10%のゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層とからなる三層構造の除湿剤層が形成されており、該第二層に含有されるゼオライトの脱湿ピーク温度と該第一層に含有されるゼオライトの脱湿ピーク温度の差が1〜60℃である。そして、該除湿ロータの内部には、回転軸方向に対して平行に被処理空気及び再生空気を通気するための通気空洞が形成されている。
【0019】
本発明の除湿ロータについて、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態例の除湿ロータを示す模式図であり、図2は、該除湿ロータの開口面のA部分の拡大図であり、図3は、該除湿ロータの平坦部又はコルゲート状部を、通気空洞が形成されている方向に対して直角な面で切ったときの断面の拡大図である。図1中、除湿ロータ1の内部には、回転軸方向に対して平行に、被処理空気及び再生空気を通気するための通気空洞4が形成されており、該除湿ロータ1は、両端に、該通気空洞4の開口である開口面3a、3bを有する。該開口面3a、3bは、被処理空気及び再生空気の出入り口である。また、該除湿ロータ1は、中心付近に、ロータ軸を取り付けるための中心穴2を有する。図2に示すように、該通気空洞4は、平坦部5及びコルゲート状部6が、交互に積層されることにより形成されている。図3に示すように、該除湿ロータ1の繊維質担体7には、該繊維質担体7にゼオライトが担持されることにより形成される第一層8と、該第一層8を挟みこむ第二層9からなる三層構造の除湿剤層10が形成されている。そして、該第一層8は、ゼオライトを含有し、また、該第二層9は、該第一層8とは種類が異なるゼオライトを含有している。以下、該第一層8に含有されているゼオライトと該第二層9に含有されているゼオライトを区別するために、該第一層8に含有されているゼオライトを、第一層ゼオライトと呼び、該第二層9に含有されているゼオライトを、第二層ゼオライトと呼ぶ。言い換えると、該除湿ロータ1の該繊維質担体7には、種類の異なる2種のゼオライトが担持されており、更に詳細には、該除湿ロータ1の該繊維質担体7に、該第一層ゼオライトが担持されており、該第一層ゼオライト上に、該第二層ゼオライトが担持されている。なお、該第一層ゼオライトは、該繊維質担体7の繊維の隙間(繊維間空隙)にも担持されている。
【0020】
該除湿ロータ1の該繊維質担体7は、図2に示すように、ハニカム構造を有している。該ハニカム構造の該繊維質担体7は、例えば、多孔質の平坦状の繊維質担体及び該平坦状繊維質担体をコルゲート加工して得られるコルゲート状繊維質担体を、無機接着剤又は有機接着剤を用いて、該コルゲート状繊維質担体の山部で接着し、積層して製造される。この時、該平坦状繊維質担体及び該コルゲート状繊維質担体の間に形成される略半円柱形状の空洞が、空気の流路となるので、両者は、該空洞が該除湿ロータ1の回転軸方向に形成されるように積層される。該積層を行う方法としては、例えば、一対の該平坦状繊維質担体及び該コルゲート状繊維質担体を重ね、ロール状に巻き上げ、積層する方法が挙げられる。図1〜図3では、ハニカム構造の該繊維質担体7を示したが、該繊維質担体7の構造は、それに限定されるものではなく、ロータ軸に対して平行方向に通気空洞が形成されていればよい。
【0021】
該繊維質担体は、繊維から形成される織布又は不織布である。該繊維としては、特に制限されず、Eガラス繊維、NCRガラス繊維、ARG繊維、ECG繊維、Sガラス繊維、Aガラス繊維などのガラス繊維やそのチョップドストランド、セラミック繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、ロックウール繊維、炭素繊維等の無機繊維及び有機繊維が挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等を用いることができる。該繊維質担体の繊維として、無機繊維を用いることが、除湿ロータの強度を高めることができる点で好ましい。
【0022】
また、該繊維質担体を形成する該繊維としては、生体溶解性無機繊維が挙げられる。該生体溶解性無機繊維とは、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維を指す。更に詳細に説明すると、該生体溶解性無機繊維としては、例えば、特開2000−220037号公報、特開2002−68777号公報、特開2003−73926号公報、あるいは特開2003−212596号公報に記載されている無機繊維、すなわち、SiO及びCaOの合計含有量が85質量%以上であり、0.5〜3.0質量%のMgO及び2.0〜8.0質量%のPを含有し、かつドイツ危険物質規制による発癌性指数(KI値)が40以上である無機繊維、SiO、MgO及びTiOを必須成分とする無機繊維、SiO、MgO及び酸化マンガンを必須成分とする無機繊維、SiO 52〜72質量%、Al 3質量%未満、MgO 0〜7質量%、CaO 7.5〜9.5質量%、B 0〜12質量%、BaO 0〜4質量%、SrO 0〜3.5質量%、NaO 10〜20.5質量%、KO 0.5〜4.0質量%及びP 0〜5質量%を含む無機繊維が挙げられる。また、該生体溶解性無機繊維は、1種又は2種以上の組合わせのいずれでもよい。
【0023】
該生理食塩水溶解率の測定方法について説明する。先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕した試料1000mg及び生理食塩水150mlを三角フラスコ(300ml)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、該三角フラスコに、毎分120回転の水平振盪を50時間継続して与える。振盪後、ろ過し、得られたろ液中に含有されているケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムについて、各元素の濃度(mg/L)を、ICP発光分析にて測定する。そして、各元素の濃度及び溶解前の無機繊維中の各元素の含有量(質量%)から、下記式(1)により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する。なお、ICP発光分析により得られる各元素の濃度を、ケイ素元素の濃度:a1(mg/L)、マグネシウム元素の濃度:a2(mg/L)、カルシウム元素の濃度:a3(mg/L)及びアルミニウム元素の濃度a4(mg/L)とし、溶解前の無機繊維中の各元素の含有量を、ケイ素元素の含有量:b1(質量%)、マグネシウム元素の含有量:b2(質量%)、カルシウム元素の含有量:b3(質量%)及びアルミニウム元素の含有量:b4(質量%)とする。
C(%)={ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100}/{溶解前の無機繊維の量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100} (1)
【0024】
また、該繊維質担体は、該繊維質担体の繊維間に、多数の空隙を有している多孔質体である。該繊維質担体の繊維間空隙率は、通常80〜95%であり、該繊維質担体の厚さは、通常0.05〜1mmである。該繊維間空隙率とは、繊維質担体の見かけの体積から、該繊維質担体中の繊維の体積を引いた部分(以下、繊維間空隙とも記載する。)が、該繊維質担体の見かけ体積中に占める割合をいう。そして、該繊維質担体は、多孔質体なので、該第一層ゼオライトは、該繊維質担体7の繊維間空隙にも担持されている。
【0025】
なお、該除湿ロータ1の説明においては、該除湿ロータ1は、平坦状の繊維質担体を、除湿ロータの形状に成形し、次いで、得られた成形物にゼオライトを担持して得られたものである旨記載したが、本発明の除湿ロータにおいては、先に、該第一層ゼオライト及び該第二層ゼオライトが担持された平坦状の繊維質担体を作製し、次いで、該担体シートを除湿ロータの形状に成形して得られたものであってもよく、また、先ず、平坦状の繊維質担体に、該第一層ゼオライトを担持し、次いで、第一層が形成された平坦状の繊維質担体を、除湿ロータの形状に成形し、次いで、該一層が形成されたロータ形状の繊維質担体に、該第二層ゼオライト担持して得られたものであってもよい。
【0026】
該第一層8に含有されている該第一層ゼオライト及び該第二層9に含有されている該第二層ゼオライトの骨格構造としては、特に制限されず、A型、X型、ホージャサイト型等が挙げられる。このうち、ホージャサイト型が脱湿ピーク温度が低い点で好ましく、ホージャサイト型のうちY型が特に好ましい。そして、該第一層ゼオライト及び該第二層ゼオライトは、下記一般式(1):
aM・Al・bSiO (1)
(式中、Mはナトリウム、カルシウム、希土類、亜鉛、スズ、リチウム、マグネシウム、カリウム、マンガン、鉄を示し、x及びyの値は、1以上の整数であり、Mの価数により異なり、aの値は0.5〜5であり、bの値は1〜20である。)
で表される。
【0027】
該第一層ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は、15〜50%、好ましくは15〜40%、特に好ましくは15〜30%である。該第一層ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率が上記範囲にあることにより、実用上除湿ロータの除湿量は殆ど低下しないので、初期の除湿量が長期にわたって維持される。該第一層ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率が15%未満だと、除湿機のヒーター温が低い条件下では、除湿ロータの除湿量が少なくなり、また、50%を超えると、実用上除湿ロータの除湿量が低下し、初期の除湿量を長期にわたって維持できない。
【0028】
該第二層ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は、0〜10%、好ましくは0〜8%、特に好ましくは0〜5%である。該第二層ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率が上記範囲にあることにより、高温に暴露しても、ゼオライトが劣化し難いので、経時変化における除湿ロータの除湿量の低下が少なくなる、すなわち、除湿ロータの耐久性が高くなる。該第二層ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率が、10%を超えると、ゼオライトが劣化し易くなるので、経時変換における除湿ロータの除湿量の低下が速くなる。
【0029】
本発明に係る該耐水熱性試験は、以下の手順で行われる。
(1)上部が開放されている内径30mm、高さ30mmのガラス製のサンプル瓶に、0.5〜2gのゼオライトを1〜4個入れ、容積が2Lの圧力容器中に設置する。この時、該サンプル瓶の設置位置は、後に該圧力容器に入れる蒸留水の水面より上方になるように設置し、また、該サンプル瓶内に結露水が落下しないように、該サンプル瓶の開口の上方に、結露水落下防止具を設置する。
(2)該圧力容器に、蒸留水を500ml入れ、該圧力容器を密閉する。
(3)該圧力容器を、105℃に加熱し、ゼオライトを、105℃、0.12MPaの水蒸気に、48時間曝す。
(4)48時間経過後、該圧力容器を冷却し、該圧力容器を開け、ゼオライトを取り出して、試験後のゼオライトを得る。
そして、該耐水熱性試験前のゼオライトの比表面積B(mm/g)及び該耐水熱性試験後のゼオライトの比表面積C(mm/g)を測定し、下記式(3)により、比表面積の低下率D(%)を求める。
D={(B−C)/B}×100 (3)
なお、該耐水熱性試験における比表面積の低下率は、ゼオライトが高温で脱湿を繰り返した時の劣化のし易さ、すなわち、経時変化における除湿量の低下の速さを示す指標である。そして、該耐水熱性試験における比表面積の低下率が低いゼオライトは、高温で脱湿を繰り返しても劣化し難く、一方、該耐水熱性試験における比表面積の低下率が高いゼオライトは、高温で脱湿を繰り返した時に劣化し易い。
【0030】
該第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度と該一層ゼオライトの脱湿ピーク温度の差(第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度−該一層ゼオライトの脱湿ピーク温度)は、1〜60℃、好ましくは2〜40℃、特に好ましくは3〜20℃、更に好ましくは3〜18℃、より好ましくは3〜15℃である。該脱湿ピーク温度の差が、上記範囲にあることにより、除湿ロータの除湿量が多くなる。すなわち、該第一層ゼオライトの脱湿ピーク温度は、該第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度より、1〜60℃低く、好ましくは2〜40℃低く、特に好ましくは3〜20℃低く、更に好ましくは3〜18℃低く、より好ましくは3〜15℃低い。
【0031】
該第一層ゼオライトの脱湿ピーク温度は、好ましくは70〜160℃、特に好ましくは100〜155℃、更に好ましくは120〜145℃である。該第一層ゼオライトの脱湿ピーク温度が上記範囲にあることにより、除湿ロータの除湿量が多くなる。また、該第一層ゼオライトの脱湿ピーク温度が160℃を超えると、除湿ロータの除湿量が少なくなる。また、脱湿ピーク温度が70℃未満のゼオライトを合成することは困難である。
【0032】
該第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度は、好ましくは120〜200℃、特に好ましくは125〜180℃、更に好ましくは130〜160℃である。該第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度が上記範囲にあることにより、除湿ロータの除湿量が多くなる。また、該第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度が200℃を超えると、除湿機のヒーター温が低い条件下では、除湿ロータの除湿量が少なくなる。また、脱湿ピーク温度が低いゼオライトは、耐水熱性試験における比表面積の低下率が大きい傾向にあるので、該第二層ゼオライトの脱湿ピーク温度が120℃未満だと、ゼオライトが劣化し易いので、経時変化における除湿ロータの除湿量の低下が速くなる。
【0033】
なお、本発明において、該脱湿ピーク温度とは、次のようにして求められる値である。先ず、ゼオライトを25℃、50%RH中で飽和に達するまで静置して、水分を吸着させる。次いで、水分を吸着したゼオライト20mgを採取し、示差走査熱量計で、室温から600℃まで、10℃/分で昇温し、脱湿に要するエネルギーを測定する。そして、得られる脱湿に要するエネルギー曲線のピークトップの温度を、該脱湿ピーク温度とする。該脱湿ピーク温度は、温度を低くした時の脱湿のし易さを示す指標であり、例えば、ゼオライトaの脱湿ピーク温度が150℃であり、ゼオライトbの脱湿ピーク温度が100℃であるとした場合、該ゼオライトbの脱湿が可能な温度の下限が、該ゼオライトaの脱湿が可能な温度の下限よりも低いことを示す。なお、該脱湿ピーク温度は、ゼオライトが完全に脱湿される温度を直接示すわけではない。
【0034】
ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率及び脱湿ピーク温度と、ゼオライト中のアルミニウム部位(Al−O)の対イオンが水素イオンである酸点の数との関係を説明する。ゼオライト中に酸点の数が多い程、高温下で水分の吸脱湿を繰り返した時に、骨格構造の収縮を起こし易くなるので、水分の吸脱湿の繰り返しにより比表面積が低下し易くなる、すなわち、耐水熱性試験における比表面積の低下率が大きくなる。また、ゼオライト中に酸点が多い程、脱湿ピーク温度は低くなる。
【0035】
そして、公知の合成方法により合成されたゼオライトであり且つイオン交換処理が行われていないゼオライト(以下、イオン交換処理が行われていないゼオライトを原ゼオライトとも記載する。)中には、酸点はないか、あっても少量である。例えば、該アルミニウム部位の対イオンがナトリウムイオンである原ゼオライトの場合、該アルミニウム部位の対イオンの殆どがナトリウムイオンである。従って、該原ゼオライトは、耐水熱性試験における比表面積の低下率が低く、脱湿ピーク温度が高い。
【0036】
一方、該原ゼオライトの該アルミニウム部位の対イオンを、公知の方法で、水素イオンにイオン交換すると、該アルミニウム部位の対イオンの半数以上が水素イオンであるゼオライト(以下、水素イオン交換ゼオライトとも記載する。)が得られる。該水素イオン交換ゼオライト中の酸点の数は、該原ゼオライト中の酸点の数に比べ多い。従って、該水素イオン交換ゼオライトは、該原ゼオライトに比べ、耐水熱性試験における比表面積の低下率が高く、脱湿ピーク温度が低い。
【0037】
そして、該水素イオン交換ゼオライトの水素イオンを、公知の方法で、第二金属イオンでイオン交換すると、該第二金属イオンでイオン交換されたゼオライト(以下、第二金属イオン交換ゼオライトとも記載する。)が得られる。なお、本発明において、第二金属イオンとは、水素イオンでイオン交換される前の原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンとは異なる金属イオンを指す。該第二金属イオンでのイオン交換において、該水素イオン交換ゼオライトの水素イオンの全てが、該第二金属イオンでイオン交換されることはないので、該第二金属イオン交換ゼオライト中に、該アルミニウム部位の対イオンが水素イオンのままである酸点が残存することになる。従って、該第二金属イオン交換ゼオライト中の酸点の数は、該原ゼオライト中の酸点の数に比べ多い。よって、該第二金属イオン交換ゼオライトは、該原ゼオライトに比べ、耐水熱性試験における比表面積の低下率が高く、脱湿ピーク温度が低い。
【0038】
そして、該原ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は0〜8%であり、脱湿ピーク温度は125〜160℃である。また、該水素イオン交換ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は15〜45%であり、脱湿ピーク温度は80〜140℃である。また、該第二金属イオン交換ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は15〜40%であり、脱湿ピーク温度は100〜150℃である。つまり、該原ゼオライトは、該第一層ゼオライトの要件を満たし、該水素イオン交換ゼオライト及び該第二金属イオン交換ゼオライトは、該第二層ゼオライトの要件を満たす。そして、該原ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は好ましくは0〜5%であり、脱湿ピーク温度は好ましくは130〜145℃である。また、該水素イオン交換ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は好ましくは15〜40%であり、脱湿ピーク温度は好ましくは90〜120℃である。また、該第二金属イオン交換ゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は好ましくは15〜30%であり、脱湿ピーク温度は好ましくは120〜140℃である。
【0039】
従って、該第一層ゼオライトとしては、該水素イオン交換ゼオライト又は該第二金属イオン交換ゼオライトが挙げられ、また、該第二層ゼオライトとしては、該原ゼオライトが挙げられる。
【0040】
すなわち、該第二層ゼオライトとしては、該原ゼオライトであり且つ該アルミニウム部位の対イオンがナトリウムイオンであるナトリウムゼオライト、該原ゼオライトであり且つ該アルミニウム部位の対イオンがカルシウムイオンであるカルシウムゼオライト、又は該原ゼオライトであり且つ該アルミニウム部位の対イオンがカリウムイオンであるカリウムゼオライトが挙げられる。工業的に製造される該原ゼオライトの多くは、ナトリウムゼオライトであるので、該第二層ゼオライトが、該ナトリウムゼオライトであることが、安価である点で好ましい。
【0041】
該原ゼオライトは、公知のゼオライトの製造方法を用いて製造される。
【0042】
また、該第一層ゼオライトとしては、該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンを、水素イオンでイオン交換し、該水素イオン交換ゼオライトを得る水素イオン交換工程を行い得られる該水素イオン交換ゼオライトが挙げられる。
【0043】
また、該第一層ゼオライトとしては、該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンを、水素イオンでイオン交換し、該水素イオン交換ゼオライトを得る水素イオン交換工程及び該水素イオン交換ゼオライトの水素イオンを、該第二金属イオン、すなわち、該水素イオン交換工程でイオン交換された、該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンとは異なる金属イオンでイオン交換し、該第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる該第二金属イオン交換ゼオライトが挙げられる。
【0044】
該水素イオン交換ゼオライト及び該第二金属イオン交換ゼオライトに係る該水素イオン交換工程において、該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンを、水素イオンでイオン交換する方法としては、特に制限されず、いかなる公知の方法であってもよい。例えば、該水素イオン交換工程は、該原ゼオライトを、塩化アンモニウム水溶液に浸漬し、アンモニウムイオンでイオン交換した後、乾燥、焼成することにより行われる。
【0045】
また、該第二層ゼオライトとして、該原ゼオライトを用いる場合、該水素イオン交換工程で用いられる原ゼオライトは、該第二層ゼオライトとして用いられる原ゼオライトと同一であっても、あるいは、対イオン又は骨格構造が異なるゼオライトであってもよい。
【0046】
該第二金属イオン交換工程に係る第二金属イオンとしては、該水素イオン交換工程でイオン交換された原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオンと異なる金属イオンであれば、特に制限されず、例えば、希土類イオン、亜鉛イオン、スズイオン等が挙げられる。
【0047】
該水素イオン交換工程を行い得られる該水素イオン交換ゼオライトの水素イオンを、該第二金属イオンでイオン交換する方法としては、特に制限されず、いかなる公知の方法であってもよい。例えば、該第二金属イオン交換工程は、該水素イオン交換ゼオライトを、該第二金属イオンを含有する水溶液に浸漬する方法が挙げられる。該第二金属イオンを含有する水溶液は、例えば、希土類、亜鉛又はスズの、例えば、塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩等を水に混合することにより得られる。また、該第二金属イオン交換工程で、イオン交換を行った後、必要に応じて、該第二金属イオン交換ゼオライトを、洗浄又は乾燥をすることができる。
【0048】
前述したように、工業的に製造される該原ゼオライトの多くは、ナトリウムゼオライトなので、該第一層ゼオライトが、該原ゼオライトであるナトリウムゼオライトのナトリウムイオンを、水素イオンでイオン交換し、該水素イオン交換ゼオライトを得る水素イオン交換工程及び該水素イオン交換ゼオライトの水素イオンを、該第二金属イオンでイオン交換し、該第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる該第二金属イオン交換ゼオライトであることが、安価である点で好ましい。すなわち、該第一層ゼオライトは、アルミニウム部位の対イオンがナトリウムイオン以外の金属イオンである非ナトリウムゼオライトであることが好ましい。
【0049】
また、該第二金属イオンが、希土類のイオンであることが、該第一層ゼオライトの脱湿ピーク温度が低いので、ヒーター温を低くできる点で好ましい。すなわち、該第一層ゼオライトが、アルミニウム部位の対イオンが希土類イオンである希土類ゼオライトであることが好ましい。
【0050】
なお、ゼオライトの結晶構造、該アルミニウム部位の対イオンの種類、シリカ・アルミナ比(SiO/Al)等を選択し、あるいは、イオン交換に用いるイオンの種類、イオンの濃度、温度、時間、pH等のイオン交換条件を選択し、ゼオライト中の酸点の数を調整することにより、該耐水熱性試験における比表面積の低下率及び該脱湿ピーク温度が、該第一層ゼオライト及び該第二層ゼオライトの要件満たすゼオライトを得ることができる。
【0051】
該繊維質担体7を含む該第一層8の厚みは、0.05〜2mm、好ましくは0.1〜0.15mmである。該第一層8の厚みが上記範囲にあることにより、ヒーター温が低い条件下でも、除湿ロータの除湿量が多くなる。なお、該第一層ゼオライトの担持量が少ないと、該第一層ゼオライトの殆どが、該繊維質担体7の繊維間空隙に担持される場合がある。この場合は、該第一層8の厚みは、該繊維質担体7の厚みと殆ど同じになる。
【0052】
該第二層9の厚みは、0.01〜0.2mm、好ましくは0.05〜0.15mmである。該第二層9の厚みが上記範囲にあることにより、除湿ロータの除湿性能が高くなる。
【0053】
該第一層8の担持量と該第二層9の担持量の比(質量比、該第一層:該第二層)は、好ましくは10:90〜90:10、特に好ましくは20:80〜50:50である。該第一層8の担持量と該第二層9の担持量の比が、上記範囲内にあることより、ヒーター温を従来より低くしても、除湿量が多く且つ耐久性に優れるという本発明の効果が高まる。
【0054】
該第一層8は、該第一層ゼオライトの他に、該第一層ゼオライトを該繊維質担体7に担持するためのバインダー、又は脱臭剤、触媒等の種々の機能剤や、補強剤を含有することができる。
【0055】
また、該第二層9は、該第二層ゼオライトの他に、該第二層ゼオライトを該第一層8上に担持するためのバインダー、又は脱臭剤、触媒等の種々の機能剤や、補強剤を含有することができる。
【0056】
該第一層8及び該第二層9に含有されるバインダーとしては、特に制限されず、例えば、シリカ、ケイ酸アルカリ、アルミナ、チタニア等が挙げられる。また、該第一層8及び該第二層9に含有される機能剤としては、特に制限されず、例えば、タルク、シリカ粉末、二酸化マンガン等が挙げられる。
【0057】
該第一層8及び該第二層9からなる三層構造の該除湿剤層10は、先ず、該繊維質担体7に、該第一層ゼオライトを担持し、該第一層8を形成させ、次いで、該第一層9の両面に、該第二層ゼオライトを担持することにより形成される。なお、該第一層ゼオライトは、該繊維質担体の繊維間空隙にも担持されている。
【0058】
該第一層ゼオライトの担持方法としては、特に制限されず、該繊維質担体7を、該第一層ゼオライトを含有するスラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、必要に応じて300〜600℃程度で焼成する方法が挙げられ、該第二層ゼオライトの担持方法としては、特に制限されず、該第一層が形成されている該繊維質担体7を、該第二層ゼオライトを含有するスラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、必要に応じて300〜600℃程度で焼成する方法が挙げられる。
【0059】
本発明の除湿ロータを製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(i)本発明の第一の形態の除湿ロータの製造方法(以下、本発明の第一の形態の製造方法とも記載する。)は、シート状の繊維質担体を、成形加工し、ロータ形状の繊維質担体を得る成形加工工程(A)、該ロータ形状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を得る第一層形成工程(A)、及び該第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、除湿ロータを得る第二層形成工程(A)を有する。
(ii)本発明の第二の形態の除湿ロータの製造方法(以下、本発明の第二の形態の製造方法とも記載する。)は、シート状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、第一層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第一層形成工程(B)、該第一層が形成されているシート状の繊維質担体を、成形加工し、第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を得る成形加工工程(B)、及び該第一層形成が形成されているロータ形状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、除湿ロータを得る第二層形成工程(B)を有する。
(iii)本発明の第三の形態の除湿ロータの製造方法(以下、本発明の第三の形態の製造方法とも記載する。)は、シート状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、第一層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第一層形成工程(C)、該第一層が形成されているシート状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥し、第一層及び第二層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第二層形成工程(C)、及び該第一層及び第二層が形成されているシート状の繊維質担体を、ロータ形状に成形加工し、除湿ロータを得る成形加工工程(C)を有する。
【0060】
すなわち、本発明の第一の形態の製造方法、本発明の第二の形態の製造方法及び本発明の第三の形態の製造方法は、ロータ形状に成形する成形工程を行う時期が異なる除湿ロータの製造方法である。そのため、本発明の第一の形態の製造方法、本発明の第二の形態の製造方法及び本発明の第三の形態の製造方法は、該第一層形成工程及び該第二層形成工程に用いられる繊維質担体の形状が異なるものの、該第一層及び該第二層の形成方法は同様である。
【0061】
本発明の第一の形態の製造方法、本発明の第二の形態の製造方法及び本発明の第三の形態の製造方法に係る繊維質担体と、前記本発明の除湿ロータに係る繊維質担体は同様である。
【0062】
本発明の第一の形態の製造方法、本発明の第二の形態の製造方法及び本発明の第三の形態の製造方法に係る第一層ゼオライト及び第二層ゼオライトは、前記本発明の除湿ロータに係る第一層ゼオライト及び第二層ゼオライトと同様である。また、該第一層ゼオライトと該第二層ゼオライトとの、耐水熱性試験における比表面積の低下率及び脱湿ピーク温度の関係についても同様である。
【0063】
そして、本発明の第一の形態の製造方法、本発明の第二の形態の製造方法及び本発明の第三の形態の製造方法に係る第一層ゼオライトは、好ましくは該水素イオン交換ゼオライト又は該第二金属イオン交換ゼオライトであり、本発明の第一の形態の製造方法、本発明の第二の形態の製造方法及び本発明の第三の形態の製造方法に係る第二層ゼオライトは、好ましくは該原ゼオライトである。
【0064】
該第一層形成工程に係る第一層形成用スラリーは、該第一層ゼオライトを含有する。そして、該第一層形成用スラリーは、水に、該第一層ゼオライト及びバインダーを混合し、必要に応じて、更に、脱臭剤、触媒等の機能剤や、補強剤、分散剤、消泡剤を混合し、分散させることにより、調製される。
【0065】
また、該第二層形成工程に係る第二層形成用スラリーは、該第二層ゼオライトを含有する。そして、該第二層形成用スラリーは、水に、該第二層ゼオライト及びバインダーを混合し、必要に応じて、更に、脱臭剤、触媒等の機能剤や、補強剤、分散剤、消泡剤を混合し、分散させることにより、調製される。該第一層形成用スラリー及び該第二層形成用スラリーに係るバインダーとしては、シリカゾル、ケイ酸アルカリ、アルミナゾル、チタニアゾル等が挙げられる。
【0066】
そして、該第一層形成工程(A)〜(C)及び該第二層形成工程(A)〜(C)は、該繊維質担体を、該第一層形成用スラリー又は該第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、次いで、乾燥することにより行われる。該浸漬処理を行う方法は、特に制限されず、例えば、該繊維質担体を、該スラリーが入れられた浸漬槽中で静置させることにより行われる。また、該塗布処理を行う方法は、特に制限されず、例えば、ロールコータ、スプレー等を用いて、該スラリーを、該繊維質担体に塗布することにより行われる。また、該浸漬処理又は該塗布処理を、複数回繰り返すことができる。また、該乾燥後、必要に応じて300〜600℃程度で焼成を行ってもよい。
【0067】
次に、本発明の除湿ロータが用いられている家庭用の除湿機について、図4〜7を参照して説明する。図4は、家庭用の除湿機のロータケース内の部材の構成を示す図であり、図5は、該家庭用の除湿機のロータケース内の部材の配置位置を示す断面図であり、図6は、該家庭用の除湿機の斜視図であり、図7は、該家庭用の除湿機をハニカムローターの開口面3b側から見た図である。
【0068】
図4に示すように、家庭用の除湿機のロータケース内は、ロータ軸12、該第一層及び該第二層からなる三層構造の除湿剤層が形成されている除湿ロータ1、第一供給機17、第二供給機14、ヒーター15並びに吸湿空気排気ダクト16により構成され、各構成部材のロータケース内での配置位置は、図5に示すとおりである。
【0069】
そして、図6及び図7中の家庭用の除湿機20は、該除湿ロータ1の開口面3a、3b側が放射状リブ24で構成されているロータケース22、該ロータケース22内に設置される該除湿ロータ1、該第一供給機17、該第二供給機14、該加熱装置15及び該吸湿空気排気ダクト16、並びに乾燥空気吸入ダクト21、ドレン配管26が付設され内部に冷却フィンが設置されている凝縮機25、及び図示していない該除湿ロータ1を回転させるためのモーターにより構成される。なお、該第二供給機14及び該加熱装置15は、該乾燥空気吸入ダクト21内に設置されている。
【0070】
該吸湿空気排気ダクト16は、図5に示すように、吸湿空気Lを該ロータケース22外へ排気するための排気ダクトであると共に、該第一供給機17によって該ロータケース22内に供給される被処理空気Mを、該除湿ロータ1中の再生ゾーンに流入させないための遮断壁でもある。
【0071】
該家庭用の除湿機20には、該開口面3a、3bを除湿ゾーンと再生ゾーンに分割する分割部材が設置されていないため、該第一供給機17及び該第二供給機14により供給される空気の流れによって、該除湿ロータ1内に、除湿ゾーン及び再生ゾーンが形成される。すなわち、該除湿ロータ1内の被処理空気Mが流れている部分が除湿ゾーンであり、乾燥用空気Kが流れている部分が再生ゾーンである。また、開口面3a中、該第二供給機14により乾燥用空気Kの供給を受ける面が再生ゾーンであり、該開口面3b中、該吸湿空気排気ダクト16によって除湿ロータ1への被処理空気Mの供給が遮断されている面以外が除湿ゾーンである。
【0072】
該家庭用の除湿機20の運転は、次のようにして行う。該家庭用の除湿機20は、被処理空気Mが存在する室内に設置される。そして、該第一供給機17により、周辺に存在する被処理空気Mが、該除湿ロータ1内に供給され、該被処理空気Mが、該除湿ロータ1内を通過する際にゼオライトと接触することにより、該被処理空気M中の水分が該ゼオライトに移動するので、該被処理空気Mが除湿される。水分が除去された除湿空気Nは、該除湿ロータ1の開孔面3aから、周辺に排出される。
【0073】
次に、該除湿ゾーンで水分を吸湿した該ゼオライトは、該除湿ロータ1が回転することにより、再生ゾーンへと移動する。そして、該第二供給機14を用いて、該ヒータ15を通過させ、加熱された乾燥用空気Kが、該除湿ロータ1に供給される。該乾燥用空気Kが、該ゼオライトと接触することにより、該ゼオライト中の水分が該乾燥用空気Kに移動するので、該ゼオライトは脱湿される。水分を吸湿した吸湿空気Lは、吸湿空気排気ダクト16から該除湿ロータ1の外へ排出され、該吸湿空気Lは、凝縮機25内で冷却フィンに接触することにより、水分が凝縮して、該吸湿空気Lから水分が除去され、そして、水分が除去された空気Pは、周辺に放出される。
【0074】
次に、該再生ゾーンで脱湿された該ゼオライトは、該除湿ロータ1が回転することにより、該除湿ゾーンへと移動し、再び該被処理空気Mの除湿に使用される。
【0075】
該除湿ロータ1の回転は、連続的であっても、間欠的であってもよい。連続的に該除湿ロータ1が回転する場合、回転速度としては、特に制限されないが、概ね10〜120回転/時間、好ましくは20〜80回転/時間である。また、間欠的に該除湿ロータ1が回転する場合、1回当りの該除湿ロータ1の回転量は、1/12〜1/3回転であり、回転間隔は、定期又は不定期のいずれでもよい。該除湿ロータ1を連続的に回転させることが、常に、一定量の再生されたゼオライトが、除湿ゾーンに供給されるので、除湿効率が高く且つ除湿性能が安定する点で、好ましい。
【0076】
なお、該被処理空気M及び乾燥用空気Kは、同一の空間から供給され、該除湿空気N及び該水分が除去された空気Pは、同一の空間へ放出される。
【0077】
該家庭用の除湿機において、該除湿剤層中のゼオライトの再生について、図8を参照して説明する。図8は、該ヒーターの熱が該除湿剤層中のゼオライトに伝わる様子を示す模式図であり、断面図である。図8中、繊維質担体32には、ゼオライトを含有する除湿剤層31が形成されている。該除湿剤層31中の該ゼオライトは、ヒーター15から放出される輻射熱34により、再生空気33の供給側の該除湿剤層31の面37(以下、単に面37とも記載する。)が加熱され、そして、該輻射熱34による熱は、該除湿剤層31中のゼオライトを伝熱して、B部分のゼオライトに伝わる。また、該ヒーター15により加熱された再生空気33が、符号38の矢印の方向に、該除湿剤層31を通過する時に、該B部分のゼオライトと接触することにより、該再生空気33中の熱が、該B部分のゼオライトに伝わる。つまり、該B部分のゼオライトは、ゼオライトの伝導熱35及び再生空気からの熱36により加熱される。そして、加熱された該B部分のゼオライトは、吸湿していた水分を脱湿し、該再生空気33が、該水分を受け取ることにより、該B部分のゼオライトが再生される。このようなことが、該除湿剤層31の全域で起こり、該除湿剤層31が再生される。
【0078】
そして、該除湿剤層31中のゼオライトの脱湿は、該面37から、該除湿剤層31の内部に向かって(符号38の矢印の方向に)、該再生空気33が通過する時に、該ゼオライトの水分が蒸発して、該再生空気33に水蒸気として移動することにより行われるので、脱湿の際に、該除湿剤層31中のゼオライトは、蒸発潜熱が奪われて、温度が下がる。従って、該面37から内部になる程、すなわち、該面37から遠ざかり、該繊維質担体32に近づく程、該除湿剤層31中のゼオライトの温度は低くなる。
【0079】
該家庭用の除湿装置において、除湿ロータの表面温度は、通常300〜800℃であるため、該面37の温度は極めて高く、該面37付近のゼオライトは、極めて高温に曝される。そのため、従来の除湿ロータには、耐水熱性試験における比表面積の低下率が小さいゼオライトが用いられていた。ところが、従来の除湿ロータに用いられているゼオライトは、脱湿ピーク温度が高いので、消費電力を抑えることにより、除湿ロータの表面温度が低くなると、十分に再生されないゼオライトが増加し、除湿ロータの初期性能及び長期性能が共に低下した。
【0080】
除湿剤層中のゼオライトの温度と、除湿量の関係について、図9及び図12を参照して説明する。図9は、本発明の除湿ロータに形成されている除湿剤層中のゼオライトの温度と除湿量の関係を示す図である。図9中、(9−1)は、縦軸にゼオライトの温度、横軸に面37からの距離をプロットしたグラフであり、再生ゾーンに該除湿剤層31がある時のグラフである。(9−2)は、該第一層及び該第二層からなる該除湿剤層31の断面の一部の拡大図である。(9−3)は、縦軸にゼオライトの除湿量の積算値、横軸に面37からの距離をプロットしたグラフであり、除湿ゾーンに該除湿剤層31がある時のグラフである。なお、(9−1)中、符号Fは、第二層41に含有されるゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度を示し、符号Gは、第一層42に含有されるゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度を示し、符号Eは、該第二層41と該第一層42の境界の温度を示し、(9−2)中、符号38は、再生空気33が該除湿剤層31を通過する方向を示す。また、図12は、従来の除湿ロータに形成されている除湿剤層、すなわち、1種のゼオライトを含有する除湿剤層中のゼオライトの温度と除湿量の関係を示す図である。図12中、(12−1)は、縦軸にゼオライトの温度、横軸に面37からの距離をプロットしたグラフであり、再生ゾーンに該除湿剤層31がある時のグラフである。(12−2)は、単一のゼオライトを含有する該除湿剤層31の断面の一部の拡大図である。(12−3)は、縦軸にゼオライトの除湿量の積算値、横軸に面37からの距離をプロットしたグラフであり、除湿ゾーンに該除湿剤層31がある時のグラフである。なお、(12−1)中、符号Kは、該除湿剤層31に含有されるゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度を示し、(12−2)中、符号38は、再生空気33が該除湿剤層31を通過する方向を示す。
【0081】
従来の除湿ロータの場合、図12に示すように、該除湿剤層31中のゼオライトの温度は、該除湿剤層31の内部になる程、すなわち、該面37から遠ざかる程、温度が低くなるが、該面37の温度が、(12−1)のグラフ中のHの位置であれば、該繊維質担体32付近のゼオライトの温度は、該除湿剤層31中のゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度K以上となるので、該除湿剤層31中のゼオライトの全ては、再生される。そのため、除湿ゾーンに移動した時に、該除湿剤層31中の全てのゼオライトが除湿機能を発揮するので、(12−3)のグラフ中の55に示すように、除湿量の積算値は、該除湿剤層31の全範囲に亘って増加する。しかし、該面37の温度が、(12−1)のグラフ中のJの位置まで下がると、該除湿剤層31には、ゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度K未満になる部分56が生じる。そのため、該ゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度K未満になる部分56のゼオライトは、再生されないので、除湿ゾーンに移動しても、被処理空気中の水分を吸湿することはない。従って、(12−3)のグラフ中の57に示すように、除湿量の積算値が低くなる。このようなことから、従来の除湿ロータは、ヒーター温を低くすると、除湿量が少なくなってしまう。
【0082】
一方、本発明の除湿ロータの場合、図9に示すように、該除湿剤層31中のゼオライトの温度は、該除湿剤層31の内部になる程、温度が低くなり、該面37の温度が、(9−1)のグラフ中のCの位置であると、該第二層41中のゼオライトの温度は、該第二層41中のゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度F以上であり、且つ該第一層42中のゼオライトの温度は、該第一層42中のゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度G以上であるので、該除湿剤層31中のゼオライトの全ては、再生される。そのため、除湿ゾーンに移動した時に、該除湿剤層31中の全てのゼオライトが除湿機能を発揮するので、(9−3)のグラフ中の46に示すように、除湿量の積算値は、該除湿剤層31の全範囲に亘って増加する。また、該面37の温度が、(9−1)のグラフ中のDの位置まで下がっても、該第二層41中のゼオライトの温度は、該第二層41中のゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度F以上であり、且つ該第一層42中のゼオライトの温度は、該第一層42中のゼオライトが完全に脱湿されるために必要な温度G以上であるので、該除湿剤層31中の全てのゼオライトが除湿機能を発揮する。そのため、該面37の温度がDの位置まで下がっても、(9−3)のグラフは、該面37の温度が下がる前(C位置にあるとき)のグラフと同じになる。このようなことから、本発明の除湿ロータは、ヒーター温を下げても、除湿量が下がり難い。
【0083】
そして、本発明の除湿ロータの場合、該第一層42中のゼオライトの耐水熱性試験における比表面積の低下率は高いが、該第一層42中のゼオライトが曝される温度は、(9−1)のグラフ中のEの位置以下の温度になるので、該第一層42中のゼオライトは劣化し難い。つまり、該第一層42上に該第二層41が存在することにより、該第一層42が高温に曝されることが防がれる。
【0084】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
(ハニカム構造の繊維質担体の作製)
生体溶解性繊維を、有機繊維及び有機バインダーと共に抄紙し、シート状の繊維質担体を得た。該シート状の繊維質担体を、ピッチ2.7mm、山高さ1.5mmのコルゲート形状に加工し、コルゲート状の繊維質担体を得た。そして、該シート状の繊維質担体と該コルゲート状の繊維質担体を重ね合わせ、ドーナツ形状に巻き取り、外径250mm、内径20mm、厚さ20mmのハニカム構造の繊維質担体を得た。
【0086】
(第一層ゼオライトの調製)
合成ナトリウムY型ゼオライトA(骨格構造がY型であり、アルミニウム部位の対イオンがナトリウムイオンであり、イオン交換処理が行われていない原ゼオライトである。耐水熱性試験における比表面積の低下率は3%、脱湿ピーク温度は138℃である。)を、10%の塩化アンモニウム水溶液に、室温で2時間浸漬した。次いで、Y型ゼオライトをろ別後、110℃で1時間乾燥し、更に500℃で1時間焼成した。この塩化アンモニウム水溶液への浸漬から500℃での焼成までの工程を更に2回行い、水素イオン交換された水素イオン交換Y型ゼオライトBを得た。
【0087】
次いで、該水素イオン交換Y型ゼオライトBを、30mol/Lのランタンイオン及び30mol/Lのセリウムイオンを含有する水溶液に、25℃で2時間浸漬した。次いで、Y型ゼオライトをろ別及び水洗し、200℃で2時間乾燥し、希土類イオンでイオン交換された希土類イオン交換Y型ゼオライトCを得た。該希土類イオン交換Y型ゼオライトCの耐水熱性試験における比表面積の低下率は25%、脱湿ピーク温度は130℃であった。
【0088】
(ゼオライトの担持)
水に、上記のようにして得た該希土類イオン交換Y型ゼオライトC及びコロイダルシリカを、該希土類イオン交換Y型ゼオライトCの含有量が24質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、第一層形成用スラリーを調製し、該第一層形成用スラリーに、該ハニカム構造の繊維質担体を浸漬した。その後、該ハニカム構造の繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥を行い、次いで、500℃で1時間焼成して、第一層形成繊維質担体を得た。
【0089】
次いで、水に、該合成ナトリウムY型ゼオライトA及びコロイダルシリカを、該合成ナトリウムY型ゼオライトAの含有量が24質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、第二層形成用スラリーを調製し、該第二層形成用スラリーに、該第一層形成繊維質担体を浸漬した。その後、該第一層形成繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥し、次いで、500℃で1時間焼成して、除湿ロータを得た。得られた除湿ロータ中、該希土類イオン交換Y型ゼオライトC(第一層ゼオライト)の担持量は40g、該合成ナトリウムY型ゼオライトA(第二層ゼオライト)の担持量は80gであった。
【0090】
(除湿耐久試験)
図6に示す該家庭用の除湿機20に、該除湿ロータを設置し、該家庭用の除湿機を25℃、50%RHに制御した恒温恒湿室内に設置し、以下の運転条件で除湿運転を行った。除湿量の経時変化を図10に、除湿ロータの比表面積の経時変化を図11に示す。
(試験条件)
・再生空気の入口側のハニカムローターの開口面に熱電対を接触させた時に、該熱電対で測定された温度;500℃
・再生空気の出口側のハニカムローターの開口面に熱電対を接触させた時に、該熱電対で測定された温度;60℃
・除湿ロータ1の回転速度;0.5回転/分
【0091】
(比較例1)
(ハニカム構造の繊維質担体の作製)
実施例1と同様の方法で行い、ハニカム構造の繊維質担体を得た。
(ゼオライトの担持)
水に、実施例1で用いた希土類イオン交換Y型ゼオライトC及びコロイダルシリカを、該希土類イオン交換Y型ゼオライトCの含有量が24質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、担持用スラリーを調製し、該担持用スラリーに、該ハニカム構造の繊維質担体を浸漬した。その後、該ハニカム構造の繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥を行った。次いで、該浸漬から乾燥までの操作を、再度行い、除湿ロータを得た。得られた除湿ロータ中、該希土類イオン交換Y型ゼオライトCの担持量は120gであった。
【0092】
(除湿耐久試験)
該家庭用の除湿機20に設置する除湿ロータを、上記のようにして得た除湿ロータとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。除湿量の経時変化を図10に、除湿ロータの比表面積の経時変化を図11に示す。
【0093】
(比較例2)
(ハニカム構造の繊維質担体の作製)
実施例1と同様の方法で行い、ハニカム構造の繊維質担体を得た。
(ゼオライトの担持)
水に、実施例1で用いた合成ナトリウムY型ゼオライトA及びコロイダルシリカを、合成ナトリウムY型ゼオライトAの含有量が24質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、担持用スラリーを調製し、該担持用スラリーに、該ハニカム構造の繊維質担体を浸漬した。その後、該ハニカム構造の繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥を行った。次いで、該浸漬から乾燥までの操作を、再度行い、除湿ロータを得た。得られた除湿ロータ中、該合成ナトリウムY型ゼオライトAの担持量は120gであった。
【0094】
(除湿耐久試験)
該家庭用の除湿機20に、設置する除湿ロータを、上記のようにして得た除湿ロータとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。除湿量の経時変化を図10に、除湿ロータの比表面積の経時変化を図11に示す。
【0095】
(実施例2)
(ハニカム構造の繊維質担体の作製)
実施例1と同様の方法で行い、ハニカム構造の繊維質担体を得た。
(第一層ゼオライトの調製)
実施例1と同様の方法で行い、希土類イオン交換Y型ゼオライトCを得た。
【0096】
(ゼオライトの担持)
水に、該希土類イオン交換Y型ゼオライトC及びコロイダルシリカを、該希土類イオン交換Y型ゼオライトCの含有量が36質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が9質量%となるように混合し、第一層形成用スラリーを調製し、該第一層形成用スラリーに、該ハニカム構造の繊維質担体を浸漬した。その後、該ハニカム構造の繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥を行い、次いで、500℃で1時間焼成して、第一層形成繊維質担体を得た。
【0097】
次いで、水に、該合成ナトリウムY型ゼオライトA及びコロイダルシリカを、該合成ナトリウムY型ゼオライトAの含有量が20質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が5質量%となるように混合し、第二層形成用スラリーを調製し、該第二層形成用スラリーに、該第一層形成繊維質担体を浸漬した。その後、該第一層形成繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥し、次いで、500℃で1時間焼成して、除湿ロータを得た。得られた除湿ロータ中、該希土類イオン交換Y型ゼオライトC(第一層ゼオライト)の担持量は80g、該合成ナトリウムY型ゼオライトA(第二層ゼオライト)の担持量は40gであった。
【0098】
(除湿耐久試験)
該家庭用の除湿機20に、設置する除湿ロータを、上記のようにして得た除湿ロータとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。除湿量の経時変化を図10に、除湿ロータの比表面積の経時変化を図11に示す。
【0099】
(実施例3)
(ハニカム構造の繊維質担体の作製)
実施例1と同様の方法で行い、ハニカム構造の繊維質担体を得た。
(第一層ゼオライトの調製)
合成ナトリウムY型ゼオライトD(骨格構造がY型であり、アルミニウム部位の対イオンがナトリウムイオンであり、イオン交換処理が行われていない原ゼオライトである。)を、10%の塩化アンモニウム水溶液に、室温で2時間浸漬した。次いで、Y型ゼオライトをろ別後、110℃で1時間乾燥し、更に500℃で1時間焼成した。この塩化アンモニウム水溶液への浸漬から500℃での焼成までの工程を更に2回行い、水素イオン交換された水素イオン交換Y型ゼオライトEを得た。該水素イオン交換Y型ゼオライトEの耐水熱性試験における比表面積の低下率は15%、脱湿ピーク温度は94℃であった。
【0100】
(ゼオライトの担持)
水に、該水素イオン交換Y型ゼオライトE及びコロイダルシリカを、該水素イオン交換Y型ゼオライトEの含有量が21質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、第一層形成用スラリーを調製し、該第一層形成用スラリーに、該ハニカム構造の繊維質担体を浸漬した。その後、該ハニカム構造の繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥を行い、次いで、500℃で1時間焼成して、第一層形成繊維質担体を得た。
【0101】
次いで、水に、実施例1で用いた合成ナトリウムY型ゼオライトA及びコロイダルシリカを、該合成ナトリウムY型ゼオライトAの含有量が24質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、第二層形成用スラリーを調製し、該第二層形成用スラリーに、該第一層形成繊維質担体を浸漬した。その後、該第一層形成繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥し、次いで、500℃で1時間焼成して、除湿ロータを得た。得られた除湿ロータ中、該水素イオン交換Y型ゼオライトE(第一層ゼオライト)の担持量は50g、該合成ナトリウムY型ゼオライトA(第二層ゼオライト)の担持量は100gであった。
【0102】
(除湿耐久試験)
該家庭用の除湿機20に、設置する除湿ロータを、上記のようにして得た除湿ロータとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。除湿量の経時変化を図10に、除湿ロータの比表面積の経時変化を図11に示す。
【0103】
(比較例3)
(ハニカム構造の繊維質担体の作製)
実施例1と同様の方法で行い、ハニカム構造の繊維質担体を得た。
【0104】
(ゼオライトの担持)
水に、実施例3で用いた水素イオン交換Y型ゼオライトE及びコロイダルシリカを、該水素イオン交換Y型ゼオライトEの含有量が21質量%、コロイダルシリカの固形分の含有量が6質量%となるように混合し、担持用スラリーを調製し、該担持用スラリーに、該ハニカム構造の繊維質担体を浸漬した。その後、該ハニカム構造の繊維質担体を該スラリーから取り出し、150℃で3時間乾燥を行った。次いで、該浸漬から乾燥までの操作を、再度行い、除湿ロータを得た。得られた除湿ロータ中、該水素イオン交換Y型ゼオライトEの担持量は140gであった。
【0105】
(除湿耐久試験)
該家庭用の除湿機20に、設置する除湿ロータを、上記のようにして得た除湿ロータとする以外は、実施例1と同様の方法で行った。除湿量の経時変化を図10に、除湿ロータの比表面積の経時変化を図11に示す。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、ヒーター温が低くても十分な除湿性能を発揮する家庭用の除湿機を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態例の除湿ロータを示す模式図である。
【図2】図1中の除湿ロータの開口面のA部分の拡大図である。
【図3】図1中の除湿ロータの断面の拡大図である。
【図4】家庭用の除湿機のロータケース内の部材の構成を示す図である。
【図5】家庭用の除湿機のロータケース内の部材の配置位置を示す断面図である。
【図6】家庭用の除湿機の斜視図である。
【図7】家庭用の除湿機をハニカムローターの開口面3b側から見た図である。
【図8】ヒーターの熱が除湿剤層中のゼオライトに伝わる様子を示す模式図である。
【図9】本発明の除湿ロータに形成されている除湿剤層中のゼオライトの温度と除湿量の関係を示す図である。
【図10】除湿ロータの除湿量の経時変化を示すグラフである。
【図11】除湿ロータの比表面積の経時変化を示すグラフである。
【図12】従来の除湿ロータに形成されている除湿剤層中のゼオライトの温度と除湿量の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1 除湿ロータ
2 中心穴
3a、3b 開口面
4 通気空洞
5 平坦部
6 コルゲート状部
7、32 繊維質担体
8、42 第一層
9、41 第二層
10、31 除湿剤層
12 ロータ軸
14 第二供給機
15 ヒーター
16 吸湿空気排気ダクト
17 第一供給機
20 家庭用の除湿機
21 乾燥空気吸入ダクト
22 ロータケース
24 放射状リブ
25 凝縮機
26 ドレン配管
33 再生空気
34 輻射熱
35 ゼオライトの伝導熱
36 再生空気からの熱
37 再生空気の供給側の面
38 再生空気の通過方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿ロータの繊維質担体に、2種以上ゼオライトが担持されている除湿ロータであって、該繊維質担体に、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトを含有する第一層と、原ゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層とからなる三層構造の除湿剤層が形成されていることを特徴とする除湿ロータ。
【請求項2】
除湿ロータの繊維質担体に、2種以上ゼオライトが担持されている除湿ロータであって、該繊維質担体に、耐水熱性試験における比表面積の低下率が15〜50%のゼオライトを含有する第一層と、耐水熱性試験における比表面積の低下率が0〜10%のゼオライトを含有し、該第一層を挟み込む第二層とからなる三層構造の除湿剤層が形成されており、該第二層に含有されるゼオライトの脱湿ピーク温度と該第一層に含有されるゼオライトの脱湿ピーク温度の差が1〜60℃であることを特徴とする除湿ロータ。
【請求項3】
前記第二層に含有されるゼオライトが、ナトリウムゼオライトであることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の除湿ロータ。
【請求項4】
前記第一層に含有されるゼオライトが、非ナトリウムゼオライトであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の除湿ロータ。
【請求項5】
前記第一層に含有されるゼオライトが、希土類ゼオライトであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の除湿ロータ。
【請求項6】
前記繊維質担体が、生体溶解性繊維を成形して得られる繊維質担体であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の除湿ロータ。
【請求項7】
シート状の繊維質担体を、成形加工し、ロータ形状の繊維質担体を得る成形加工工程、該ロータ形状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を得る第一層形成工程、及び該第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、除湿ロータを得る第二層形成工程を有し、該第一層ゼオライトが、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトであり、該第二層ゼオライトが、原ゼオライトであることを特徴とする除湿ロータの製造方法。
【請求項8】
シート状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第一層形成工程、該第一層が形成されているシート状の繊維質担体を、成形加工し、第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を得る成形加工工程、及び該第一層が形成されているロータ形状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、除湿ロータを得る第二層形成工程を有し、該第一層ゼオライトが、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトであり、該第二層ゼオライトが、原ゼオライトであることを特徴とする除湿ロータの製造方法。
【請求項9】
シート状の繊維質担体を、第一層ゼオライトを含有する第一層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第一層形成工程、該第一層が形成されているシート状の繊維質担体を、第二層ゼオライトを含有する第二層形成用スラリーで、浸漬処理又は塗布処理し、第一層及び第二層が形成されているシート状の繊維質担体を得る第二層形成工程、及び該第一層及び第二層が形成されているシート状の繊維質担体を、ロータ形状に成形加工し、除湿ロータを得る成形加工工程を有し、該第一層ゼオライトが、原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程を行い得られる水素イオン交換ゼオライト、又は原ゼオライト中のアルミニウム部位の対イオンを水素イオンでイオン交換して、水素イオン交換ゼオライト得る水素イオン交換工程、及び該水素イオン交換ゼオライト中の水素イオンを該原ゼオライトのアルミニウム部位の対イオン以外の第二金属イオンでイオン交換して、第二金属イオン交換ゼオライトを得る第二金属イオン交換工程を行い得られる第二金属イオン交換ゼオライトであり、該第二層ゼオライトが、原ゼオライトであることを特徴とする除湿ロータの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−167838(P2007−167838A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312995(P2006−312995)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】