説明

陰圧閉鎖療法用トンネル状ドレッシング

本発明は、トンネル状の創傷を陰圧閉鎖療法によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングに関する。前記トンネル状ドレッシングは、前記創傷に進入する閉鎖した遠位端と、開放した近位端とを有する長尺状の浸透性部材を備え、前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するために設置具が前記近位端内に除去可能に配置される。前記トンネル状ドレッシングは、吸引時に前記創傷から創傷の滲出液を移送し、かつ圧縮に耐えるように構成された支持構造を備える。前記トンネル状ドレッシングは、除去を容易にするように組織の絡まりを最小に抑えるように構成された創傷接触面も備える。前記支持構造および創傷接触面は、同一の材料、又は異なる材料の二枚の近接した層から形成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸引療法または陰圧閉鎖療法を用いたトンネル状の創傷の処置に関する。より具体的には、本発明は吸引によってトンネル状の創傷を処置する際に用いられるドレッシングに関する。
【背景技術】
【0002】
創傷を処置する際に、時折、よく「トンネル状」創傷と示される創傷に直面する。トンネル状の創傷は、ほぼトンネル形状であって、表面に開口を有して、表皮内に延び、かつ開口の幅よりも通常は長く、また時に相当長いトンネルを形成する。トンネル状の創傷は単独で起こり、またはより大きな開放創と組合わされて起こり、一つ以上のトンネル状の創傷を含むことがある。その深さのために、トンネル状の創傷は感染の大きなリスクを有し、完治させることが特に難しいことがある。そのため、(細菌の増殖を促進し得る)創傷からの滲出液を除去し、かつ創傷の最深部を含むトンネル状の創傷の治癒を促進する処置を提供することが望まれる。創傷のより浅い部分が先に治癒され、かつトンネルが閉じてしまう場合には、創傷の最深部の不十分な治癒によって、膿瘍が引き起こり得る。
【0003】
創傷のドレナージ及び創傷の治癒を促進するために、吸引またはバキュームがトンネル状の創傷に適用され得る。吸引によるトンネル状の創傷の処置の課題は、深いトンネル状の創傷内に、創傷からの滲出液の除去を効果的に促進するように、ドレッシングを配置することが困難であるということにある。吸引によるトンネル状の創傷の処置のさらなる課題は、バキュームの適用が、組織と、ドレッシング材との間に密接な接触をもたらし、トンネル状ドレッシング材が創傷表面に付着し、または絡まることにある。ドレッシングの創傷組織への絡まり又は付着は、ドレッシングの一部が破断して、創傷内に残留するというリスクを引き起こし、トンネル状の創傷が深いため、ドレッシングを除去する際に、これらのドレッシングの一部がドレッシングを除去する担当医によって発見されることは不可能である。ドレッシングの創傷組織への絡まり又は付着は、ドレッシングを除去する際に相当な痛みをも伴う。
【0004】
従って、創傷からの滲出液を除去し、かつ創傷組織に有益な圧力を加えるために、バキュームが創傷の最深部まで効果的に届くように、トンネル状の創傷内に配置され得るトンネル状ドレッシングを提供することが望まれる。ドレッシングは、容易にトンネル状の創傷内に挿入されるべきである。さらに、ドレッシングは、創傷組織に過度に絡まったり又は付着したりすることなく、トンネル状の創傷から容易に除去可能であるべきであり、破断して、創傷内に小さな又は大きな一部を残留させることなく、無事に創傷から除去可能であるように十分な強度を有するべきである。バキュームが創傷の最深部に効果的に届くことを可能とするトンネル状ドレッシングは、創傷の最深部から流体を除去することも可能とし、膿瘍を引き起こし得る流体を閉じ込めることを防ぐように補助する。
【0005】
吸引療法においてトンネル状の創傷に使用される様々なドレッシングが従来、考案されてきた。一部のドレッシングは、流体を移送するために形成された、あるいは切り込まれた明らかな孔またはチャネルを有する概ね固形のゴム(例えば、シリコーン)、又はプラスチックのデバイスを用いる。他のドレッシングは、管壁を通って延びる孔を有する管状のデバイスを用いる。これらの種類のデバイスは、いくつかの欠点を有する。これらのデバイスは、個別の孔を有する不浸透性材料から構成されるため、バキュームは均一に行なわれず、創傷表面の比較的小さな部分に集中する。さらに、これらのデバイスを形成する材料は、比較的非可撓性であり、デバイスを創傷内に挿入することを困難にし、挿入する際に、患者を不快にする。またさらに、個別の孔の存在は、組織の大きな突起が成長し得る空間を与え、それによって、デバイスを創傷から除去する際に、相当な苦痛が伴う。
【0006】
さらに他のバキュームドレッシングは、流体を移送するために連続気泡構造を備えたフォームを用いる。トンネル状の創傷に用いる場合、このようなドレッシングは、トンネル状の創傷の推定される寸法に適合するように担当医によって切断されることが必要な長方形のフォームとして供給される。フォームを用いる際の欠点は、フォームが引張強度に相当劣り、ひいては、創傷から引き抜く際に、破断して、トンネル状の創傷の空洞内にフォームの一部を残留させる傾向があることにある。さらに、フォームの一部が破断して、創傷内に残留すると、フォームの破れた又は切れた端縁は切断した端縁と同じに見えるため、容易に識別することは不可能である。担当医がフォームを寸法に合わせて切断した後、担当医は、挿入の前に、フォーム片を引張って、十分な強度を有するか確認するように指導されているというフォームの問題は非常に重要であり、よく知られている。フォームのさらなる欠点は、担当医が時折、長い綿棒または他の応急的なデバイスを用いて、創傷内にフォームドレッシングを押込むことを容易にするように、フォームが多くのトンネル状の創傷内に押込まれるために必要な剛性に劣ることにある。
【0007】
さらなる他のバキュームドレッシングは、一端における吸引源と他端に配置されたパッドとの間を相互接続する管を用い、該管はその他の点では創傷へのバキュームに通じる孔または開口を有さない。使用の際に、該デバイスは、創傷内深くのパッドと、創傷内に部分的に配置され、かつ創傷から外へ延びる管とを伴って配置される。創傷内の管を包囲する任意の無充填空間には、ガーゼが詰められる。多くの欠点は、この種の構成に起因する。トンネル状の創傷はしばしば狭すぎるため、パッドを(接続された管と共に)創傷内深くに配置し、管をガーゼでほぼ完全に包囲することはできない。さらに、前記デバイスは、パッドに接触する、あるいは管の周囲に詰められたガーゼに接触する創傷表面にだけ効果的にバキューム力を付与する。従って、付与された吸引力は、概ね創傷から滲出液を排出することを可能とするが、管に接触する組織にのみ吸引力を付与することは不可能である。またさらに、パッドがフォームから製造される場合、フォームドレッシングに関して上述した全ての問題が生じる。さらに、デバイスが引き抜かれる時、パッドは、管の端部から分離され、創傷内に残留し得る。また、可撓性管を押す以外に、深いトンネル状の創傷内にデバイスを導入する機構は存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
吸引によってトンネル状の創傷を処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングが提供され、該トンネル状ドレッシングは前記創傷に進入するように構成された遠位端と、対向する近位端とを有する長尺状の浸透性部材を備える。前記浸透性部材は外表面と、該外表面上にて開口する空洞とをさらに備える。前記空洞内に配置された遠位部と、前記浸透性部材から外へ延びる近位部とを備える設置具がさらに設けられ、該設置具は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するように構成される。前記空洞は、前記浸透性部材の近位端において前記外表面上にて開口するか、もしくは前記空洞は前記浸透性部材の遠位端および近位端の間の位置において前記外表面上にて開口する。
【0009】
吸引によってトンネル状の創傷を処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングが提供される。該トンネル状ドレッシングは長尺状の浸透性部材を備え、該浸透性部材は前記創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端と、対向する近位端と、外側の創傷接触面と、前記近位端上にて開口し、かつ前記遠位端に向かって、前記浸透性部材内に延びる長尺状の空洞とを備える。前記空洞は、前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するための設置具を受入れるように構成されている。前記トンネル状ドレッシングは、前記空洞に除去可能に受入れられるように構成された遠位部と、前記浸透性部材から外向きに延びる近位部とを有する設置具をさらに備える。
【0010】
長尺状の浸透性部材を備えたトンネル状ドレッシングがトンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いるために提供され、前記浸透性部材は前記創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端と、対向する閉鎖した近位端と、外側の創傷接触面と、前記遠位端および前記近位端の間の位置において前記創傷接触面上にて開口する空洞とを備える。前記空洞は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するための設置具を受入れるように構成されている。前記トンネル状ドレッシングは、前記空洞に除去可能に受入れられるように構成された遠位部と、前記浸透性部材から外向きに延びる近位部とを有する設置具をさらに備えても良い。
【0011】
長尺状部材を備えるトンネル状ドレッシングが、トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いるために提供される。前記長尺状部材は、閉鎖した遠位端と、開放した近位端と、前記近位端上にて開口する長尺状の空洞と、前記空洞の周囲の浸透性の内側層であって、創傷からの滲出液を移送するように構成された内側層と、該内側層を包囲する浸透性の外側層とを備える。前記外側層は創傷接触面を有する。前記トンネル状ドレッシングは、前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するために、前記空洞内に除去可能に配置された長尺状の設置具をさらに備えても良い。
【0012】
トンネル状の創傷を吸引によって処置するための方法が提供される。該方法は、長尺状の浸透性部材を備えるトンネル状ドレッシングであって、前記浸透性部材は前記創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端、及び対向する近位端を備え、前記浸透性部材は外表面および該外表面上にて開口する空洞を備え、前記トンネル状ドレッシングは前記空洞内に配置される遠位部および前記浸透性部材の外に延びる近位部を有する設置具を備え、前記設置具は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するように構成されるトンネル状ドレッシングを設ける工程と、前記設置具の近位部を把持し、抵抗力の増加を感じるまで前記トンネル状ドレッシングの遠位端を前記創傷内に押すように徐々に力を印加することによって、前記トンネル状ドレッシングを前記トンネル状の創傷内に挿入する工程と、ほぼ気密性のシールを形成するように、前記トンネル状ドレッシングを覆って創傷カバーを配置し、かつ前記創傷の周囲に前記創傷カバーを付着させる工程であって、前記創傷カバーは吸収源から前記創傷まで管路を介して吸引力を伝えるように構成される工程と、前記吸引源から前記創傷へ吸引力を印加する工程とを備える。
【0013】
トンネル状の創傷を吸引によって処置するシステムが提供される。該システムは、前記創傷に進入するように構成された遠位端、及び対向する近位端を有する長尺状の浸透性部材を備えるトンネル状ドレッシングであって、前記浸透性部材は外表面および該外表面上にて開口する空洞をさらに備え、前記システムは前記空洞内に配置された遠位部、及び前記浸透性部材の外へ延びる近位部を有する設置具を備え、前記設置具は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するように構成されるトンネル状ドレッシングと、吸引源と、前記創傷の周囲の皮膚に付着させることによって、前記トンネル状ドレッシングを覆うようにほぼ気密性のシールを形成するように構成された創傷カバーと、前記創傷への吸引を伝えるために、前記創傷カバーに作動的に関連付けられた一端、及び吸引ポンプに作動的に関連付けられた他端を有する管路とを備える。
【0014】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングを製造する方法が提供される。該方法は、第二の繊維性材料シートの二枚の層の間に挟まれた第一の繊維性材料シートの二枚の層からなる積層体であって、前記シートは端縁を有する積層体を形成する工程と、一体部品を形成するように前記四枚の層を共に超音波溶着する工程と、三つのシールされた端縁およびシールされていない端縁を有する積層材を形成するように、前記シートの溶着部および端縁の間において前記一体部品から余分な材料を切断する工程と、内部に溶着部を有する前記トンネル状ドレッシングを形成するように前記積層材を反転させる工程とを備える。
創傷を吸引によって処置するためのトンネル状ドレッシングが提供され、該トンネル状ドレッシングは概ね長尺状の浸透性部材を備える。該浸透性部材は、遠位端と、近位端と、粘着性を有する浸透性の外側の創傷接触面と、浸透性の内部コアとを備える。前記創傷接触面は創傷組織から前記内部コアへ創傷からの滲出液を移送するように構成され、前記創傷接触面は前記創傷組織に埋め込まれる突出部や、前記トンネル状ドレッシングが除去される際の前記創傷組織における残留物を概ね有さない。前記内部コアは、創傷からの滲出液を前記長尺状の浸透性部材に沿って移送するために、前記遠位端から前記近位端まで延びる相互に接続された隙間を有し、前記隙間の少なくとも一部が、治療用吸引による圧縮力のもと、創傷からの滲出液が存在する状態で、完全に潰れることに抵抗し、前記内部コアは流体を移送可能に維持する。前記トンネル状ドレッシングは、治療用吸引を受け、かつ創傷からの滲出液にさらされた後、前記創傷から除去される際に、破断に抵抗するために十分な引張強度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】トンネル状ドレッシングの斜視図。
【図2】図1の2−2断面を通るトンネル状ドレッシングの一実施形態の断面図。
【図3A】トンネル状ドレッシングが挿入されるトンネル状の創傷部を有する例示的な開放創の断面図。
【図3B】トンネル状ドレッシングが挿入される例示的なトンネル状の創傷の断面図。
【図4】図3Bに示すようなトンネル状の創傷内に挿入される図1のトンネル状ドレッシングを示す断面図。
【図5】図1の2−2断面を通るトンネル状ドレッシングの一実施形態の断面図。
【図6】図5のトンネル状ドレッシングの一部断面を示す斜視図。
【図7A】図3Aのようなトンネル状の創傷内に挿入された図1のようなトンネル状ドレッシングであって、創傷に吸引力が印加されるトンネル状ドレッシングを示す断面図。
【図7B】図3Bのようなトンネル状の創傷内に挿入された図1のようなトンネル状ドレッシングであって、創傷に吸引力が印加されるトンネル状ドレッシングを示す断面図。
【図8】トンネル状ドレッシングの斜視図。
【図9】トンネル状ドレッシングの斜視図。
【図10】トンネル状ドレッシングを製造する方法を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
同様の構成要素に同様の符号が付与される図面を参照すると、図1及び2には、本発明の一実施形態による吸引によってトンネル状の創傷を処置するためのトンネル状ドレッシング10が示されている。トンネル状ドレッシング10は、トンネル状ドレッシング10を、図3A及び3Bに示すようなトンネル状の創傷内に挿入するための概ね長尺状の形状を有する。トンネル状ドレッシング10は、望ましくは、閉鎖した遠位端46と、開放した近位端48と、端部46及び48の間に延びる側部47とを有し、閉鎖した端部46はトンネル状の創傷内に挿入され、開放した端部48は創傷から外向きに突出し得る。トンネル状ドレッシング10は、トンネル状ドレッシング10が挿入されるトンネル状の創傷の形状に応じて、図1に示すように、概ね丸められた、又は円形の断面を有するか、あるいはより楕円形又は卵形の断面を有するかしても良い。トンネル状ドレッシング10は、例えば、図7A及び7Bに示すように、陰圧閉鎖療法システム70の一部として吸引によってトンネル状の創傷を処置するために用いられ得る。
【0017】
トンネル状ドレッシング10は、界面22の少なくとも一部に沿って内側コア即ち支持層14に接触する外側シース層12を備える。トンネル状ドレッシング10は遠位端46と近位端48とを備える。シース12及び支持層14は、互いに各縁に沿って、あるいは界面22の一部または全体にわたって、接着される。代替的に、シース層12は、カバーとして支持層14の上を滑動することができ、支持層14に取付けられる必要はない。外側シース12は創傷接触面20を備え、内側層14は内面24を備える。外側シース12は内側層14に比べて薄く、内側層14はトンネル状ドレッシング10を構造的に支持し、外側シース12は適切な創傷接触面20を備える。一実施形態において、支持層14は約0.080インチ(2.032mm)の厚さを有し、シース12は約0.003インチ(0.0762mm)の厚さを有する。
【0018】
外側シース12は、創傷から支持層14まで流体を容易に移送し、かつ、望ましくは、創傷に繊維を残留させないために十分な構造的完全性を有する。創傷接触面20は粘着性を有し、新たな組織の付着を最少限に抑えることによって容易な挿入および除去を可能とするために十分な平滑性を有する。内側層14は、シース12を構造的に支持し、陰圧閉鎖療法システム70によって吸引力が印加される時に、トンネル状ドレッシング10に長さ方向に沿って(即ち、遠位端46から近位端48への方向に沿って)、創傷の外へ滲出液を移送することを可能とする浸透性の繊維構造を備える。内側層14は、共に緩く連結されているだけの繊維を備えるため、外側シース12は、トンネル状ドレッシング10が除去される時、緩い繊維が創傷内に残留しないように保持するように作用する。
【0019】
シース12は創傷からの滲出液が通って移送されることを可能とするように構成された浸透性材料から製造され、創傷が吸引される時に、創傷からの滲出液は創傷表面から引き抜かれる。吸引の際に、滲出液はシース12を通って支持層14内へ、そして、支持層14を通ってトンネル状ドレッシング10の近位端48に向かって引き込まれる。シース12は、望ましくは、不織ポリエステルなどの高い構造的完全性を有する繊維性材料から製造され、密接に連結された繊維は創傷内へ抜け落ちない。シース12の創傷接触面20は、シース12の材料をカレンダ処理することによって実現される比較的平滑な構造を有する。シース12の繊維は、望ましくは、熱によって共に接着される長い連続的な繊維である。
【0020】
創傷組織が大きく突出して、トンネル状ドレッシング10に絡まる傾向を最小に抑えるために、接触面20は、実質的に、非常に大きな空隙または切れ目(即ち、近接する繊維の間の平均の隙間空間よりも一桁大きな空隙)を有さない。むしろ、接触面20は、繊維の間に多数の小さな開口または隙間空間を有し、流体を良好に移送することを可能とする。接触面20の繊維の間の小さな隙間空間は、組織の絡まりを最少限に抑え、かつ支持層14からの任意の緩い繊維が創傷組織に埋め込まれて、創傷に残留することも防ぐ。さらに、シース12の繊維は一般に、創傷接触面20に突出せず、あるいは、創傷接触面20に終端を有さず、ひいては、吸引療法を適用した後にトンネル状ドレッシング10が除去される際に、繊維が創傷組織に埋め込まれたり、創傷組織に残留したりする可能性を最小に抑える。
【0021】
シース12のこのような繊維性材料の浸透性は、個別の孔またはチャネルを備えるドレッシングよりも、大部分の創傷表面にバキュームを適用することを可能にする。ポリエステル繊維は一般に、流体を吸収せず、つまり、水分にさらされる時、ポリエステル繊維は膨張しないが、吸引力が印加されると、流体はポリエステル繊維の表面に沿って、繊維性材料を通って伝わる。一つのこのような材料がAhlstrom社から、Hollytex3257として市販されており、該材料は、高度にカレンダ処理された表面を有するスパンボンド式ポリエステルシートである。僅かに大きな隙間空間を備える他のこのような材料には、Hollytex3256およびHollytex3249がある。他の類似または均等的な材料が用いられても良い。シース12は、望ましくは、材料のシートから製造され、該シートは、図1及び2に示すように、支持層14上に閉鎖した端部を有するシース状形状に熱シール又は溶着して形成される。熱シール又は溶着の工程はシース12、ひいてはトンネル状ドレッシング10にさらなる強度を付与し、トンネル状ドレッシング10の一部が破断して、トンネル状の創傷内に残留し得るというリスクを解消するか、又は相当減少させる。
【0022】
コア即ち支持層14は圧縮に対する抵抗力を備えた構造を有する浸透性材料から製造され、支持層14、ひいてはトンネル状ドレッシング10が、陰圧閉鎖療法において印加されるような治療用の吸引力を印加する際の潰れまたは圧縮に耐えることを可能とする。陰圧閉鎖療法システムは、約5mmHg(約666.61Pa)から約500mmHg(約66.66kPa)までの範囲、望ましくは、約25mmHg(約3.33kPa)から約200mmHg(約26.66kPa)までの範囲、最も望ましくは、約30mmHg(約4.00kPa)から約75mmHg(約10.00kPa)までの範囲の陰圧を創傷に印加する。
【0023】
支持層14は、創傷から、シース12を通って、支持層14内に引き込まれる創傷からの滲出液を移送するように構成され、トンネル状ドレッシング10の端部48において陰圧閉鎖療法システム70によって印加される吸引力によって、滲出液がトンネル状ドレッシング10から除去され得る。支持層14は、不織ポリエステル製フェルト等の繊維性材料から製造されることが望ましい。フェルトに形成する工程の際に、繊維は多方向に配向され、支持層14の圧縮抵抗を改善する。支持層14の繊維性材料は、望ましくは、全体に相互に接続された隙間を有し、隙間の少なくとも一部は、陰圧閉鎖療法による圧縮力のもと、創傷からの滲出液が存在する状態で、完全に潰れることを防ぎ、隙間は流体をドレッシングに通して移送することを可能な状態に保持する。シース12を形成するために用いる繊維と同様に、支持層14のポリエステル繊維は一般に、流体を吸収せず、つまり、水分にさらした時にポリエステル繊維は膨張せず、代わりに、吸引力が印加されると、流体がポリエステル繊維の表面に沿って、繊維性材料を通って伝わる。このような材料の一つに、ポリエステル繊維から製造されたフェルトがあり、該材料は約0.080インチ(2.032mm)の厚さと、5オンス毎平方ヤード(約0.170kg/m)の基本重量とを有する。
【0024】
一実施形態において、トンネル状ドレッシング10は、約6インチ(152.4mm)の長さと、約0.25インチ(6.35mm)の直径とを有するが(即ち、長さの直径に対する比率は約24)、トンネル状ドレッシング10は、様々な長さ、直径、及び長さ/直径の組合せで製造することができる。支持層14の流体移送特性は、非常に深い創傷から吸引によって滲出液を引き込むことを可能とする。支持層14は、望ましくは、材料のシートから製造され、シートは熱シールによって、図1及び2に示すような閉鎖した端部を有するシース状形状に形成され、支持層14の内面24はそれ自体に対向し、トンネル状ドレッシング10内に空洞18を形成する。
【0025】
支持層14及びシース12を備えるトンネル状ドレッシング10は、図10に示すように、材料の積層シートから製造され得る。シース12を形成する材料の二枚のシート412a及び412b(例えば、スパンボンド式ポリエステル)は、支持層14を形成する材料の二枚のシート414a及び414b(例えば、ポリエステル製フェルト)の間に挟まれ、積層材料の積層体490を形成する。次に、該四枚の層は、望ましくは、ほぼ長方形の三つの側部を形成する概ねU字型の溶着部480に沿って共に超音波溶着され、溶着されない部分はほぼ前記長方形の四つ目の側部を形成する。前記長方形の角は、トンネル状ドレッシング10の所望の構成に応じて、丸められたり、あるいは丸められなかったりする。
【0026】
前記四枚の層は、材料のシート412を材料のシート414の上部に積層し、かつ該二枚の層を折り目に沿って前記二枚の層自体を覆うように折り重ねることによって形成しても良く、それによって、積層体は長方形の二つの側部を形成する概ねL字型の溶着ラインに沿って溶着されるだけでよく、三つ目の閉じた側部は折り目によって形成される。さらに、積層体は、ほぼ長方形の四つの全側部を形成する概ね四角形状の溶着ラインに沿って溶着されても良い。次に、長方形のほぼ一つの側部を形成する部分に沿った溶着部は、溶着されない開口を形成するために、切断される。代替的に、四つの全ての溶着部は残され、一つの層414aと一つの層412aとを通って開口が切り出され、層412a及び412bの間に形成された空洞にアクセス可能としても良い。
【0027】
次に、溶着部480の周りの材料の層414a、412a、412b、及び414bは切断され、溶着部480と積層体490の端縁との間の余分な材料、およびU字型またはL字型の溶着部480の端部と、積層体490の溶着されない開口における端縁との間の余分な材料は除去される。残りの積層材は、シース材料の二層412a及び412bを包囲する外側に、支持材料の二層414a及び414bと、材料の層と比較して、比較的硬く、かつ荒い積層材のほぼ二つ又は三つの端縁上の溶着部480と、層が共に溶着されていない積層材の一端における開口とを備える。最終的に、積層材は反転され、あるいは裏返しにされ、内部にある溶着部480と、スパンボンド式材料製の外側シース12と、フェルトの内側コア即ち支持層14と、内側支持層14内(即ち、シート414a及び414bの間)に位置する空洞18とを備えたトンネル状ドレッシング10を形成する。空洞はシート414a/414bの各々と、対応する近傍のシート412a/412bとの間にも存在する。
【0028】
得られたトンネル状ドレッシング10は、閉鎖した遠位端446と、開放した近位端448とを備え、溶着部480は閉鎖した端部446から開放した端部448までドレッシングの長さ方向に沿って内側に延びている。溶着部480は、ドレッシングに付加的な引張強度を付与し、トンネル状ドレッシング10を有する創傷まで吸引力を伝えた後、トンネル状ドレッシング10が破断して、トンネル状ドレッシング10のあらゆる残留物を創傷の空洞に残留させることなく、トンネル状ドレッシング10を除去することができる。溶着部480は、トンネル状ドレッシング10の閉鎖した遠位端446に沿って内部にも延び、閉鎖した端部446に付与された付加的な強度は、トンネル状ドレッシング10が創傷内に挿入される際に、設置用ロッド16が、閉鎖した端部446を通って押し出されることを防ぎ、あるいは防止するように補助する。
【0029】
トンネル状ドレッシング10は、空洞18内に取外し可能に配置されるセミフレキシブルな設置用ロッド16を用いて、トンネル状の創傷内に挿入されることが望ましい。例示的な創傷が図3A及び3Bに示されている。設置用ロッド16は、比較的細い材料片から製造され、該材料は、創傷内にトンネル状ドレッシング10を徐々に押し、かつ案内するために必要な力を長さ方向に沿って伝達するために十分な剛性を有するとともに、トンネル状ドレッシング10が挿入される際に、トンネル状の創傷の外形に従うために十分な可撓性を有する。設置用ロッド16は、望ましくは、トンネル状ドレッシング10よりも可撓性に劣る。設置用ロッド16は、プラスチック、木、金属、紙、及び他の適切な材料の少なくとも一つを備えることができる。
【0030】
設置用ロッド16は、トンネル状ドレッシング10の遠端に係合し、担当医が設置用ロッド16を押す時、力はトンネル状ドレッシング10の遠位端46に伝達され、端部46はトンネル状ドレッシング10の残りの部分をトンネル状の創傷内に引き込む。図3B及び7Bに示すようなトンネル状の創傷62において、トンネル状ドレッシング10は、創傷62を吸引によって処置するために、単独で創傷の空洞に用いられ得る。図3A及び7Aに示すようにトンネル状部52を有する開放創50において、トンネル状ドレッシング10が、創傷用パッキング80と組合わされて用いられ、吸引による創傷50の処置のために、トンネル状ドレッシング10がトンネル状部52に施され、創傷用パッキング80が創傷の空洞50の残りの部分に施される。本願と同一の出願人によって2004年11月4日に出願された米国特許出願第10/981119号明細書に開示されるパッキングを含む多くの創傷用パッキング80が当技術分野において知られている。
【0031】
トンネル状ドレッシング10を閉鎖した遠位端46を有するシース状形状に設けることは、ロッドを用いてトンネル状の創傷内に平坦なシートを押込もうとすることと比較して有利である。特に、トンネル状ドレッシング10は小さな力のみで深いトンネル状の創傷内に容易に案内でき、設置用ロッド16が創傷内に徐々に押される時に、遠位端46上の接触面20の平滑な材料は、側部47の接触面20と協働して、トンネル状ドレッシング10を案内する。従って、痛みは最小限に抑えられ、トンネル状ドレッシング10は、創傷内に所望のように配置可能である。
【0032】
記載の簡略化のため、トンネル状ドレッシング10を挿入する工程は一般に、図3B、4、及び7Bに示すようなトンネル状の創傷60を参照して記載されるが、この記載は、図3A及び7Aに示すようなトンネル状部52を有する開放創50に対しても同様に適用される。組織表面68におけるトンネル状の創傷62は、壁面66と、底部64とによって画定される。代替的に、トンネル状の創傷は、壁面56と、底部54とによって画定されるトンネル状部52を有する組織表面58における創傷50として画定されることもできる。
【0033】
トンネル状ドレッシング10をトンネル状の創傷62内に挿入するために、担当医は、トンネル状ドレッシング10の開放した端部48から突出する近位端17において、設置用ロッド16を把持する。ドレッシング10は、創傷62の予測される深さよりも若干長く、かつ、挿入後、トンネル状ドレッシング10の一部が創傷62から突出するように、選択されるべきである。トンネル状ドレッシング10の突出部は、除去のために容易に把持可能である。担当医は、設置用ロッド16の長さ方向に沿って軽く力を印加することによって、トンネル状ドレッシング10をトンネル状の創傷62内に徐々に案内する。設置用ロッド16、シース12、及び層14は、トンネル状ドレッシング10がトンネル状の創傷62内に挿入される際に、トンネル状の創傷62の壁面66の外形に従うために十分な可撓性を有する。担当医が、トンネル状ドレッシング10が創傷62の底部64に到達したことを示す抵抗力の増加を感じた時、担当医は設置用ロッド16を徐々に引き抜き、トンネル状ドレッシング10を創傷62内の位置に残留させることができる。
【0034】
設置用ロッド16を引き抜くことによって、開放した端部48から閉鎖した端部46の近傍まで延びるトンネル状ドレッシング10内に小さな長尺状の空洞18が残る。空洞18は、トンネル状ドレッシング10を挿入する際に設置用ロッド16用に空間を提供するだけでなく、トンネル状ドレッシング10を用いる際に、機能的目的のために作用する。空洞18は支持層14またはシース12の浸透性材料よりも潰れに対してより小さな抵抗力を有し、ひいては、トンネル状ドレッシング10の層14またはシース12の流体移送量を減少させることなく、印加された吸引力のもと、創傷の空洞62が共に引き込まれる時、トンネル状ドレッシング10の幅が若干圧縮されることを可能とする。
【0035】
創傷62の底部64において組織の成長を促進するために、吸引力がトンネル状ドレッシング10に印加される時に、担当医は、創傷62から突出するドレッシングの一部を把持し、かつ外向きに徐々に引くことによって、吸引力が印加される前に、創傷の底部64からトンネル状ドレッシング10を僅かに引き抜くことが望ましい。創傷62内におけるトンネル状ドレッシング10の好適な位置は図4に概略的に示され、トンネル状ドレッシング10は、創傷62内に完全に挿入され、次に、創傷の底部64において組織が成長するための空間90をあけるために、部分的に僅かに引き抜かれる。空間90は、創傷の底部64からトンネル状ドレッシング10まで約1センチメートルあることが望ましく、創傷62の深さ、幅、滲出液の割合、及び他の特性に応じて、大きいか、又は小さい空間が望まれる。トンネル状ドレッシング10が配置され、所望量より、又は後にトンネル状ドレッシング10を除去するために必要な量よりもトンネル状ドレッシング10のより大きな部分が創傷62から突出している場合には、余分なドレッシング10は小さな突出部を残して切断されることが望ましい。
【0036】
トンネル状ドレッシング10が創傷62内に設置された後、従来の吸引療法または陰圧閉鎖療法システムが、創傷に吸引力を印加するために用いられ得る。このような陰圧閉鎖療法システム70が概して図7A及び7Bに示され、該陰圧閉鎖療法システムは吸引源78と、一側面に創傷の周囲の皮膚に付着させるための粘着性被膜74を有する創傷カバー72と、管路76とを備える。管路76は、吸引源78から創傷カバー72の直下の創傷62まで吸引力を伝えるために、創傷カバー72に動作可能に関連付けられた一端と、吸引源78に動作可能に関連付けられた他端とを備える。適用可能な吸引療法または陰圧閉鎖療法システムの一部の例は、例えば、本願出願人によって2007年4月12日に出願された米国特許出願第11/786475号明細書、および同じく2005年7月14日に出願された米国特許出願第11/181128号明細書に記載されている。吸引源78は、病院でよく見かけられるような固定式吸引システム、又は携帯用ポンプ、又はふいご、又は創傷に治療レベルの吸引力を供給し、かつ伝えるための他の均等的な機構を備えることができる。
【0037】
図3Bに示す種類のトンネル状の創傷62のために、創傷カバー72は図7Bに示すようにトンネル状ドレッシング10を直接覆って配置されても良い。創傷カバー72は、概ね気密性であるが、蒸気及び水分の少なくとも一方が通過して移送されることを可能とする準浸透性材料を備える。創傷カバー72は、創傷を覆ってほぼ気密性のシールを設けるように、粘着性被膜74によって創傷の周囲の皮膚68に付着される。図3Aに示す種類の創傷50であって、トンネル状部52を有する創傷50には、粘着性層74を創傷50の周囲の皮膚58に付着させることによって創傷カバー72を貼り付ける前に、パッキング80が、創傷50の開放した空洞を充填するように用いられることが望ましい。
【0038】
トンネル状ドレッシング10を挿入した創傷62に吸引力が、陰圧閉鎖療法システム70によって印加される時、吸引力は層14およびシース12の浸透性材料を通って、創傷62の側部66及び底部64に沿って、創傷組織まで伝達される。創傷組織は創傷接触面20に対して引き付けられ、トンネル状ドレッシング10に圧縮力を生じさせる。圧縮力を受ける間、空洞18は内側に潰れ、支持層14及びシース12内の隙間空間の少なくとも一部は開放した状態に留まり、吸引力が創傷からの滲出液を創傷62から創傷カバー72を通って管路76内に引き込むことを可能とする。空洞18が潰れても、支持層14は印加された吸引力によって圧縮力を依然として受ける。支持層は、流体移送性能を維持するように圧縮に耐えることができる。
【0039】
望ましくは、支持層14は、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の圧縮されていない体積の少なくとも10%を維持する。一実施形態において、吸引力を印加する前には、支持層14は約5%のポリエステル繊維と、約95%の空隙空間とを備える。一実施形態において、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を印加した後、支持層14は当初の体積の約75%を維持する(圧縮された層14は体積比で、約7%の繊維と、93%の空隙空間を有する)。創傷からの滲出液を移送し、かつ創傷組織に吸収力を付与するために適切な能力を維持するために、支持層は、望ましくは、繊維空間の量と少なくともほぼ等しい空隙空間の量、又は当初の圧縮されていない時の体積の約10%を維持する(圧縮された層14は体積比で、約50%の繊維と、50%の空隙空間を有する)。
【0040】
陰圧閉鎖療法の治療計画に応じて、吸引力は数時間から数日の範囲の周期で連続的または断続的に印加可能である。トンネル状ドレッシング10を除去する、又は取り替える時が来たら、担当医はまず、使われた創傷カバー72及びあらゆるパッキング80を除去する。次に、創傷62から突出するトンネル状ドレッシング10の一部を把持して、担当医がトンネル状ドレッシング10を徐々に引き、トンネル状の創傷62から引き抜く。トンネル状ドレッシング10の構造は、創傷からの滲出液にさらされ、かつ吸引力を受けた後でさえも、引張強度を維持して、ドレッシングが除去される際に、分裂したり、又は壊れたりしないように、十分な強度を有する。図10を参照してドレッシング400の製造方法について上述したように、溶着部480はドレッシング400の内側に沿って、遠位端446から近位端448まで延びるように形成される。同様に、図1、2、4、7A、及び7Bに示すようなトンネル状ドレッシング10において、溶着部(図示せず)はトンネル状ドレッシング10の内側に沿って、遠位端46から、近位端48まで延び、溶着部は付加的な引張強度をトンネル状ドレッシング10に付与し、創傷62から除去する際に、トンネル状ドレッシング10を分裂させたり、又は壊したりすることを防ぐ。
【0041】
トンネル状ドレッシング10には、さらに、図1に示すように、側部47の長さ方向に沿って(即ち、閉鎖した遠位端46の近傍から開放した近位端48の近傍まで)規則的間隔のマーキング42を設けることができる。マーキング42は、創傷の深さの視覚的な目安を設け、創傷が治癒されていく進展状況を判断するために用いることができる。マーキング42は、トンネル状ドレッシング10が完全に挿入された後、創傷の底部64における組織の成長のための十分な空間90を設けるために、部分的に引き抜く際の引き抜いた量を示すための尺度も提供する。マーキング42は、生体適合性のインク、一列の僅かな窪み、又はトンネル状ドレッシング10の表面20からの突起、又は他の同様な規則的に繰返される視覚的な指標を用いて製造することができる。
【0042】
トンネル状ドレッシング10は、ドレッシング10の全体が引き抜かれたことを確認するために、閉鎖した端部46の先端に、視覚的マーキング44を設けることもできる。担当医がトンネル状ドレッシング10を引き抜き、かつ視覚的マーキング44が存在しない場合、担当医は、トンネル状ドレッシング10の一部が創傷の空洞内に残留している可能性があることを認識する。マーキング44は、生体適合性のインク、エンボス加工、又は他の同様の識別可能な視覚的指標を用いて製造されることが望ましい。
【0043】
トンネル状ドレッシング10の支持層14は、トンネル状ドレッシング10がバキュームを受けた時に圧縮に対して抵抗することを可能にする構造的特徴を備える。圧縮に対して抵抗することによって、創傷表面66から、及びトンネル状の創傷62から創傷の滲出液を良好に移送することが可能になる。一実施形態において、支持層14は、不規則に配置された繊維を備える。別の実施形態において、図5の断面図に示すように、支持層30は、内面24上にて開口し、かつ支持層30内に延びる複数の構造的な空隙または空洞32を備える。構造的な空隙32は、トンネル状ドレッシング10の表面20を創傷表面66に接触した状態に維持するために、かつ良好に流体を移送するように支持層30の繊維性材料内に隙間空間の少なくとも一部を開放した状態に維持するために、バキュームされた際に支持層30が圧縮に対して抵抗することを可能にするように構造的に支持する。
【0044】
各空隙32は、内面24上にて開口し、かつ支持層30内へ深さを増すように延びる空洞を備える。空隙32は支持層30の全厚みを通って延びているか、あるいは、支持層30の厚さよりも浅い深さまで延びていても良い。各空隙32は内面24にほぼ垂直に延びる側壁34と、空隙32内に空洞を形成するように側壁を連結する頂部36と、内面24上の開口38とを備える。空隙32は材料内において離間し、それに応じて開口38が内面24上において離間している。内面24における開口38の幅は、望ましくは、約0.1mmより大きくて、約10mmより小さく、より望ましくは、約0.5mm及び約5mmの間、最も望ましくは約2mmである。内面24の開口38から頂部36までに至る空隙32の深さは、吸引力が印加された時、望ましくは、約0.1mmより大きく、より望ましくは、約0.2mm及び5mmの間、最も望ましくは約1.5mmである。空隙32は、図6に示すように概ね円形である窪み状の空隙32であることが望ましいが、楕円形、卵形、四角形、三角形、溝、又は構造的合成を提供することが可能な他の幾何学的形状であっても良い。空隙32は、ヒートスタンプ又は真空成形、メルトブロウした状態で融解した材料を型に直接注ぐ方法、あるいは繊維を接着剤に混合させて、その混合物を生地表面上に噴霧する方法を含むいくつかの方法によって、支持層30に形成することができる。
【0045】
図8は、創傷を吸引によって処置するためのトンネル状ドレッシング210の別の実施形態を示している。トンネル状ドレッシング210は、浸透性材料212から製造され、該浸透性材料212は、望ましくは、図1のトンネル状ドレッシング10の支持層14と類似した繊維状の構成を有する。トンネル状ドレッシング210は、少なくとも側壁247によって連結された閉鎖した近位端248と、閉鎖した遠位端246とを備える。遠位端246は創傷に進入するように構成され、トンネル状ドレッシング210がトンネル状の創傷内に挿入される時に、遠位端246がまず挿入されて、創傷の底まで導かれる。トンネル状ドレッシング210は、内部空洞218および創傷接触面220をさらに備える。内部空洞218は、近位端248及び遠位端246の間の側壁247に配置された開口250において、創傷接触面220上で開口している。空洞218は、少なくとも開口250から遠位端246の近傍まで延びている。内部空洞218は開口250から近位端248に向かって延びていても良い。近位部217及び遠位部(図示せず)を有する設置用ロッド216は、トンネル状ドレッシング210を創傷内に案内するために用いられ、遠位部は空洞218内に除去可能に配置され、近位部217はトンネル状ドレッシング210から外へ延びている。トンネル状ドレッシング210が創傷内に挿入された後、設置用ロッド216は創傷内のトンネル状ドレッシング210に干渉することなく除去されることができる。
【0046】
トンネル状ドレッシング210がポリエステル製フェルト等の繊維性材料212から形成される時、材料212は、繊維の抜け落ちを最少に抑えるために、外側の創傷接触面220に沿って熱的に表面を焼かれることができる。代替的に、トンネル状ドレッシング210はポリエステル繊維および複合繊維の組合せを備える繊維性材料212から形成されることができる。複合繊維は、特定の材料のコアと、若干異なる材料のシースとを備える繊維である。シースの材料は、望ましくは、コアの材料よりも低い融解温度を有し、このような繊維から製造された製品は、シースを融解するがコアを融解しない温度まで加熱することができる。融解したシース材料は、冷却した時、繊維に共に絡まるか、又は結合し、繊維の抜け落ちを少なくする。一実施形態において、トンネル状ドレッシング210は、250℃の融解温度を有するポリエステルコアを備えた85%の標準ポリエステル繊維および15%の複合繊維と、約110℃から約220℃の間の融点を有するコポリエステル製シースとから形成される。所望の形状に形成された後、トンネル状ドレッシング210の材料212は加熱され、シース材料が融解して、創傷内に繊維が抜け落ち難い接触面220を形成する。
【0047】
図9は、創傷を吸引によって処置するためのトンネル状ドレッシング310の別の実施形態を示している。トンネル状ドレッシング310は浸透性材料312から製造され、浸透性材料312は、望ましくは、図1のトンネル状ドレッシング10における支持層14と同様の繊維状構造を有する。トンネル状ドレッシング310は、開放した近位端348と、創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端346とを備え、トンネル状ドレッシング310がトンネル状の創傷内に挿入される時、遠位端346はまず挿入されて、創傷の底まで導かれる。トンネル状ドレッシング310は、内部空洞318および創傷接触面320をさらに備える。内部空洞318は、トンネル状ドレッシング310の近位端348にて開口し、かつトンネル状ドレッシング310内において遠位端346の近傍まで延びている。近位部17及び遠位部(図示せず)を備える設置用ロッド16は、トンネル状ドレッシング310を創傷内に案内するために用いることができ、遠位部は空洞318内に除去可能に配置され、近位部17はトンネル状ドレッシング310から外へ延びている。トンネル状ドレッシング310が創傷内に挿入された後、設置用ロッド16は創傷内のトンネル状ドレッシング310に干渉することなく除去されることができる。トンネル状ドレッシング310の創傷接触面320は、図8に示すトンネル状ドレッシング210の創傷接触面220に関して上述した方法によって準備することができる。
【0048】
特定の好適な実施形態を参照して本発明を開示してきたが、特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の権利範囲から逸脱することなく、記載された実施形態の多くの修正、置き換え、変形が可能である。従って、本発明は記載の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の言語によって定義される権利範囲の全てを有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングであって、該トンネル状ドレッシングは長尺状部材を備え、該長尺状部材は、
閉鎖した遠位端と、
開放した近位端と、
前記近位端上にて開口する長尺状の空洞と、
前記空洞周囲の浸透性の内側層であって、創傷からの滲出液を移送するように構成された内側層と、
前記内側層を包囲する浸透性の外側層であって、創傷接触面を有する外側層とを備えるトンネル状ドレッシング。
【請求項2】
前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するために前記空洞に除去可能に配置される長尺状の設置具をさらに備える請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項3】
前記設置具は、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷に配置されたまま、前記空洞から除去されるように構成される請求項2に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項4】
前記浸透性の内側層は繊維性材料を備える請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項5】
前記浸透性の内側層は、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の体積の少なくとも75%を維持するように構成された構造を有する請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項6】
前記構造は、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の体積の少なくとも10%を維持するように構成される請求項5に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項7】
前記浸透性の内側層は、前記空洞上にて開口し、かつ前記内側層内に延びる複数の構造的な空隙をさらに備える請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項8】
前記空隙は、前記内側層の厚さよりも浅い深さまで前記内側層内に延びる請求項7に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項9】
前記構造的な空隙は、概ね円形状を有する窪み状の空隙であり、前記窪み状の空隙は、前記支持層内に延びる側壁と、開放した空洞を形成するように前記側壁を連結する頂部とを備える請求項8に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項10】
前記浸透性の外側層は、前記創傷接触面を形成するカレンダ処理された繊維性材料を備える請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項11】
前記外側層は前記内側層と比較して薄い請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項12】
前記外側層の少なくとも一部は、熱シールによって、前記内側層の少なくとも一部に接着される請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項13】
前記トンネル状ドレッシングは長さ及び幅を有し、前記長さは前記幅の24倍以上である請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項14】
前記創傷接触面は、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に挿入される深さを示すマーキングを備える請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項15】
前記創傷接触面は、前記トンネル状ドレッシングの全体が前記創傷から引き抜かれたことを示すために、前記遠位端上にマーキングを備える請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項16】
前記内側層は、前記近位端および前記遠位端の間に延びる内部の溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な引張強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷から破断することなく除去されることを可能とする請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項17】
前記外側層は、前記近位端および前記遠位端の間に延びる内部の溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な引張強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷から破断することなく除去されることを可能とする請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項18】
前記内側層は、前記遠位端に沿って延びる内部の溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に挿入される際に、設置用ロッドが前記トンネル状ドレッシングを貫通することを防ぐ請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項19】
前記外側層は、前記遠位端に沿って延びる内部の溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に挿入される際に、設置用ロッドが前記トンネル状ドレッシングを貫通することを防ぐ請求項1に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項20】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングであって、該トンネル状ドレッシングは長尺状の浸透性部材を備え、該浸透性部材は、
前記創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端と、
開放した近位端と、
外側の創傷接触面と、
前記近位端上にて開口し、かつ前記遠位端に向かって前記浸透性部材内に延びる長尺状の空洞であって、前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するための設置具を受入れるように構成された空洞とを備えるトンネル状ドレッシング。
【請求項21】
前記空洞に除去可能に受入れられるように構成された遠位部と、前記浸透性部材から外向きに延びる近位部とを有する設置具をさらに備える請求項20に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項22】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングであって、該トンネル状ドレッシングは長尺状の浸透性部材を備え、該浸透性部材は、
前記創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端と、
対向する閉鎖した近位端と、
外側の創傷接触面と、
前記創傷接触面上に前記遠位端および前記近位端の間の位置において開口する空洞であって、前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するための設置具を受入れるように構成された空洞とを備えるトンネル状ドレッシング。
【請求項23】
前記空洞に除去可能に受入れられるように構成された遠位部と、前記浸透性部材から外向きに延びる近位部とを有する設置具をさらに備える請求項22に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項24】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングであって、
前記創傷に進入するように構成された遠位端、及び対向する近位端を有する長尺状の浸透性部材であって、外表面および該外表面上にて開口する内部の空洞をさらに備える浸透性部材と、
前記空洞内に配置される遠位部、及び前記浸透性部材の外へ延びる近位部を有する設置具であって、前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するように構成された設置具とを備えるトンネル状ドレッシング。
【請求項25】
前記外表面は創傷接触面を備え、前記空洞は前記浸透性部材の近位端において前記外表面上にて開口する請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項26】
前記外表面は創傷接触面を備え、前記空洞は前記浸透性部材の遠位端および近位端の間の位置において前記外表面上にて開口する請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項27】
前記浸透性部材は繊維性材料を備える請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項28】
前記外表面は前記繊維性材料を熱的に焼くことによって形成される請求項27に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項29】
前記繊維性材料はシース及びコアを有する複合繊維を備え、前記シースは前記コアよりも低い融解温度を有し、前記外表面は、前記シースを融解するが前記複合繊維のコアを融解しないために十分な温度まで、前記繊維性材料を加熱することによって、形成される請求項27に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項30】
前記繊維性材料は約85%のポリエステル繊維と、ポリエステル製コア及びコポリエステル製シースを有する約15%の複合繊維とを備える請求項29に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項31】
前記浸透性部材は、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の体積の少なくとも75%を維持するように構成された構造を有する請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項32】
前記構造は、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の体積の少なくとも10%を維持するように構成される請求項31に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項33】
前記浸透性部材は、前記空洞上にて開口し、かつ前記浸透性部材内に延びる複数の構造的な空隙をさらに備える請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項34】
前記空隙は前記浸透性部材の厚さよりも浅い深さまで前記浸透性部材内に延びる請求項33に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項35】
前記構造的な空隙は、概ね円形状を有する窪み状の空隙であり、前記窪み状の空隙は、前記支持層内に延びる側壁と、開放した空洞を形成するように前記側壁を連結する頂部とを備える請求項34に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項36】
前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に設置された後、前記設置具は前記浸透性部材から除去可能である請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項37】
前記トンネル状ドレッシングは長さ及び幅を有し、前記長さは前記幅の24倍以上である請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項38】
前記外表面は、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に挿入される深さを示すマーキングを備える請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項39】
前記外表面は、前記トンネル状ドレッシングの全体が前記創傷から引抜かれたことを示すために、前記遠位端上にマーキングを備える請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項40】
前記浸透性部材は、前記近位端および前記遠位端の間に延びる内部の溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な引張強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷から破断することなく除去されることを可能とする請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項41】
前記浸透性部材は、前記遠位端に沿って延びる内部の溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に挿入される際に、設置用ロッドが前記トンネル状ドレッシングを貫通することを防ぐ請求項24に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項42】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングであって、該トンネル状ドレッシングは、
前記創傷に進入するように構成された遠位端、及び対向する近位端を有する長尺状の浸透性部材を備え、前記浸透性部材は外表面および該外表面上にて開口する内部の空洞をさらに備え、前記空洞は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するための設置具を受入れるように構成されるトンネル状ドレッシング。
【請求項43】
前記空洞に除去可能に受入れられるように構成された遠位部と、前記浸透性部材から外向きに延びる近位部とを有する設置具をさらに備える請求項42に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項44】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する方法であって、
前記創傷に進入するように構成された閉鎖した遠位端、及び対向する近位端を有する長尺状の浸透性部材を備えるトンネル状ドレッシングであって、前記浸透性部材は外表面および該外表面上にて開口する空洞をさらに備え、前記トンネル状ドレッシングは前記空洞内に配置された遠位部、及び前記浸透性部材の外へ延びる近位部を有する設置具をさらに備え、前記設置具は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するように構成されるトンネル状ドレッシングを設ける工程と、
前記設置具の近位部を把持し、かつ抵抗力の増加を感じるまで前記トンネル状ドレッシングの遠位端を前記創傷内に押すように徐々に力を印加することによって、前記トンネル状ドレッシングを前記トンネル状の創傷内に挿入する工程と、
ほぼ気密性のシールを形成するように、前記トンネル状ドレッシングを覆って創傷カバーを配置し、かつ前記創傷の周囲の皮膚に前記創傷カバーを付着させる工程であって、前記創傷カバーは吸引源から前記創傷まで管路を介して吸引力を伝えるように構成される工程と、
前記吸引源から前記創傷まで吸引力を印加する工程とを備える方法。
【請求項45】
前記挿入する工程は、前記トンネル状ドレッシングが完全に前記創傷内に挿入された後、前記設置具を除去する工程をさらに備える請求項44に記載のトンネル状の創傷を処置する方法。
【請求項46】
前記挿入する工程は、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に完全に挿入された後、前記トンネル状ドレッシングを部分的に引き抜く工程をさらに備える請求項44に記載のトンネル状の創傷を処置する方法。
【請求項47】
トンネル状の創傷を吸引によって処置するシステムであって、
前記創傷に進入するように構成された遠位端、及び対向する近位端を有する長尺状の浸透性部材を備えるトンネル状ドレッシングであって、前記浸透性部材は外表面および該外表面上にて開口する内部空洞をさらに備え、前記トンネル状ドレッシングは前記内部空洞内に配置された遠位部、及び前記浸透性部材の外へ延びる近位部を有する設置具をさらに備え、前記設置具は前記トンネル状ドレッシングを前記創傷内に案内するように構成されるトンネル状ドレッシングと、
吸引源と、
前記創傷の周囲の皮膚に付着させることによって、前記トンネル状ドレッシングを覆うようにほぼ気密性のシールを形成するように構成された創傷カバーと、
前記創傷への吸引を伝えるために、前記創傷カバーに作動的に関連付けられた一端、及び吸引ポンプに作動的に連結された他端を有する管路とを備えるシステム。
【請求項48】
トンネル状の創傷を吸引によって処置する際に用いられるトンネル状ドレッシングを製造する方法であって、
第二の繊維性材料シートの二枚の層の間に挟まれた第一の繊維性材料シートの二枚の層からなる積層体であって、前記シートは端縁を有する積層体を形成する工程と、
一体部品を形成するように前記四枚の層を共に超音波溶着する工程と、
少なくとも三つのシールされた端縁および開口を有する積層材を形成するように、前記シートの溶着部および端縁の間において前記一体部品から余分な材料を切断する工程と、
内部に溶着部を有する前記トンネル状ドレッシングを形成するように前記積層材を反転させる工程とを備えるトンネル状ドレッシングの製造方法。
【請求項49】
前記積層材はただ三つのシールされた端縁を有し、前記開口はシールされていない四つ目の端縁である請求項48に記載のトンネル状ドレッシングの製造方法。
【請求項50】
前記積層材は四つのシールされた端縁を備え、前記開口は前記第一の繊維性材料の層の一方と、前記第二の繊維性材料の層の一方とを通って切断することによって形成される請求項48に記載のトンネル状ドレッシングの製造方法。
【請求項51】
前記超音波溶着する工程は、前記三つのシールされた端縁を設けるようにU字型溶着部を形成する請求項48に記載のトンネル状ドレッシングの製造方法。
【請求項52】
前記超音波溶着する工程は前記三つのシールされた端縁のうち二つを形成するようにL字型溶着部を形成し、前記シールされた端縁の三つ目は折り重ねられた前記第一および第二の繊維性材料シートによって設けられる請求項48に記載のトンネル状ドレッシングの製造方法。
【請求項53】
前記超音波溶着する工程は概ね長方形の溶着部を形成し、前記製造方法は、前記切断する工程の前に、シールされていない端縁を設けるために前記溶着部の一部を切断する工程をさらに備える請求項48に記載のトンネル状ドレッシングの製造方法。
【請求項54】
創傷を吸引によって処置するためのトンネル状ドレッシングであって、該トンネル状ドレッシングは概ね長尺状の浸透性部材を備え、該浸透性部材は、
遠位端と、
近位端と、
粘着性を有する浸透性の外側の創傷接触面と、
浸透性の内部コアとを備え、
前記創傷接触面は創傷組織から前記内部コアへ創傷からの滲出液を移送するように構成され、前記創傷接触面は前記創傷組織に埋め込まれる突出部を概ね有さず、
前記内部コアは、創傷からの滲出液を前記長尺状の浸透性部材に沿って移送するために、前記遠位端から前記近位端まで延びる相互に接続された隙間を有し、前記隙間の少なくとも一部が、治療用吸引による圧縮力のもと、創傷からの滲出液が存在する状態で、完全に潰れることに抵抗し、前記内部コアは流体を移送可能に維持し、
前記トンネル状ドレッシングは、治療用吸引を受け、かつ創傷からの滲出液にさらされた後、前記創傷から除去される際に、破断に抵抗するために十分な引張強度を有するトンネル状ドレッシング。
【請求項55】
前記内部コアは、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の体積の少なくとも75%を維持するように構成された構造を有する請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項56】
前記構造は、75mmHg(約10.00kPa)の吸引を受ける時、当初の体積の少なくとも10%を維持するように構成される請求項55に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項57】
前記外側の創傷接触面はカレンダ処理された繊維性材料を備える請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項58】
前記外側の創傷接触面は前記内部コアと比較して薄い請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項59】
前記内部コアは繊維性材料を備える請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項60】
前記外側の創傷接触面は前記繊維性材料を熱的に焼くことによって形成される請求項59に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項61】
前記繊維性材料は、シース及びコアを有する複合繊維を備え、前記シースは前記コアより低い融解温度を有し、前記外側の創傷接触面は、前記シースを融解するが前記複合繊維のコアを融解しないために十分な温度まで、前記繊維性材料を過熱することによって形成される請求項59に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項62】
前記繊維性材料は約85%のポリエステル繊維と、ポリエステル製コア及びコポリエステル製シースを有する約15%の複合繊維とを備える請求項61に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項63】
前記トンネル状ドレッシングは長さ及び幅を有し、前記長さは前記幅の24倍以上である請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項64】
前記外側の創傷接触面は、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷内に挿入される深さを示すマーキングを備える請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項65】
前記外側の創傷接触面は、前記トンネル状ドレッシングの全体が前記創傷から引抜かれたことを示すために、前記遠位端上にマーキングを備える請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。
【請求項66】
前記内部コアは、前記近位端および前記遠位端の間に延びる溶着部をさらに備え、前記溶着部は付加的な引張強度を前記トンネル状ドレッシングに付与して、前記トンネル状ドレッシングが前記創傷から破断することなく除去されることを可能とする請求項54に記載のトンネル状ドレッシング。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−507655(P2011−507655A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540622(P2010−540622)
【出願日】平成19年12月31日(2007.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/026486
【国際公開番号】WO2009/070152
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508248003)ボリンジャー・テクノロジーズ・エル・ピー (7)
【Fターム(参考)】