陶磁器製品の包装方法
【課題】プレゼントとしての付加価値を高め得る陶磁器製品の包装方法を提供する。
【解決手段】陶磁器製品の包装方法は、陶磁器製品を準備する工程と、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する第1の包装部材を準備する工程と、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼りつけられた可撓性の透明シートとを有する第2の包装部材を準備する工程と、第1の包装部材の透明シートと、第2の包装部材の透明シートとによって、陶磁器製品を両側から挟み込む工程と、陶磁器製品を両側から透明シートによって挟み込んだ状態で、第1の包装部材の枠部材と、第2の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程とを備える。
【解決手段】陶磁器製品の包装方法は、陶磁器製品を準備する工程と、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する第1の包装部材を準備する工程と、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼りつけられた可撓性の透明シートとを有する第2の包装部材を準備する工程と、第1の包装部材の透明シートと、第2の包装部材の透明シートとによって、陶磁器製品を両側から挟み込む工程と、陶磁器製品を両側から透明シートによって挟み込んだ状態で、第1の包装部材の枠部材と、第2の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶磁器製品の包装方法に関し、特に表意文字が描かれた陶磁器製品の包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陶磁器等の焼き物やガラス製品の表面に、文字や図柄等の装飾を施すことによって、より付加価値の高い製品を製造する方法が、従来から知られている。このような、製品の製造方法として、例えば、特開2001−233663号公報(特許文献1)に記載の陶磁器の製造方法が、開示されている。特許文献1に記載の陶磁器の製造方法においては、焼成された釉薬層に対して、切削によって文字等の装飾を刻み込み、当該切削部分に顔料を埋設することによって、任意の文字等を陶磁器表面に描写する方法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−233663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、焼き物やガラス製品の製作にそれほどの造詣のない人の間においても、本人の筆跡による文字(メッセージ)や、本人が独自に創作した図柄等といった、いわゆる「表意文字」が描き込まれた製品を入手したいという要望が、多くなってきている。本人の筆跡による表意文字が描かれた製品は、世に二つとない個性を備えるものとなるため、本人用としても、プレゼント用としても、非常に付加価値の高いものとなるからである。しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、陶磁器に直接文字や図柄等を書き込む工程を備えている。したがって、このような従来の方法によれば、消費者の創作に係る表意文字が描き込まれた陶磁器を手に入れたい場合、消費者自らが、陶磁器に表意文字を描き込む工程に携わる必要がある。このことは、消費者に時間的な負担を掛けるのみならず、消費者に陶磁器に対する造詣がない場合は、完成品の品質を確保することも困難である。すなわち、従来の方法によれば、上記した要望に充分に応えることができなかった。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、消費者が、自ら創作した表意文字が描き込まれた表意文字入り製品を、簡単に入手することができる、表意文字入り製品の製造方法を提供することが望まれる。また、そのような陶磁器製品を贈呈する場合、表意文字入りの陶磁器製品が外から見えるように包装して、プレゼントとしても付加価値を高めることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、プレゼントとしての付加価値を高め得る陶磁器製品の包装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った陶磁器製品の包装方法は、以下の工程を備える。
(a)陶磁器製品を準備する工程。
(b)中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する第1の包装部材を準備する工程。
(c)中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼りつけられた可撓性の透明シートとを有する第2の包装部材を準備する工程。
(d)第1の包装部材の透明シートと、第2の包装部材の透明シートとによって、陶磁器製品を両側から挟み込む工程。
(e)陶磁器製品を両側から透明シートによって挟み込んだ状態で、第1の包装部材の枠部材と、第2の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程。
【0008】
一つの好ましい実施形態では、上記枠部材は四角形状である。また、好ましい陶磁器製品は、底部の下面から内方へ凹むように設けられた底部凹部を有し、この底部凹部には、表意文字が書き込まれている。
【0009】
本明細書には、好ましい陶磁器製品の製造方法も記載している。この好ましい製造方法は、製造者側と消費者側とが作業を分担し、表意文字入り製品を製造する方法に関するものである。この方法は、製造者側において、製品本体を準備する工程と、製造者側において、所定の外形寸法を有する表意文字記入枠が記された注文シートを準備する工程と、製造者側から消費者側へ注文シートを提供する工程と、消費者側において、表意文字記入枠内に消費者の発意に係る表意文字を書き込む工程と、消費者側から製造者側へ注文シートを渡す工程と、製造者側において、製品本体側に表意文字を転写する工程と、製造者側において、輪郭線に囲まれた領域に、他の領域と区別し得る識別痕を形成する工程と、製造された表意文字入り製品を包装する工程と、包装された表意文字入り製品を、製造者側から消費者側へと渡す工程とを備える。
【0010】
この構成によれば、製造工程が、消費者側と製造者側とによって分担され、且つ、消費者が担う工程は、注文シートに表意文字を書き込む工程のみとなっている。そして、熟練した製造技術を有する製造者側において、消費者の手によって描かれた表意文字を、製品本体側に転写する工程が行われる構成となっている。すなわち、この構成によれば、消費者は、表意文字を注文シートに記載するという極めて簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入り製品を入手することが可能となる。
【0011】
好ましくは、表意文字を転写する工程は、表意文字記入枠を、転写紙を間に挟み込みつつ製品本体に設置する工程と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように製品本体の表面に転写紙の着色成分を転写する工程と、を有し、識別痕を形成する工程は、製品本体に転写された輪郭線によって囲まれた領域を、着色材料を用いて塗りつぶす工程を有する。
【0012】
この構成によれば、転写紙を用いることによって、表意文字の輪郭線を比較的に容易な作業によって、製品本体の表面に転写することができる。また、このように転写された輪郭線に基づいて、着色材料を用いて表意文字を製品本体に忠実に再現することができる。
【0013】
好ましくは、製品本体を準備する工程においては、底部と、当該底部の下面から内方へ凹むように設けられ、所定の外形寸法と略同じ外形寸法を有する底部凹部と、を有する製品本体を準備し、表意文字記入枠を製品本体に設置する工程においては、表意文字記入枠は、底部凹部内に嵌め入れられる。
【0014】
この構成によれば、製品本体に設けられた底部凹部と、注文シートに記された表意文字記入枠とが、ともに略同じ外形寸法を有するように構成されている。したがって、消費者により表意文字が書き込まれた表意文字記入枠を、製品本体の底部凹部に嵌め入れた場合、表意文字記入枠が、底部凹部内に隙間なく適宜に嵌合することとなる。これにより、製造者側において、表意文字記入枠に記された表意文字を、転写紙を介して底部凹部の表面に、より効果的に転写することができる。
【0015】
好ましくは、表意文字を転写する工程は、製品本体に保護シートを貼り付ける工程と、表意文字記入枠を、転写紙を間に挟み込みつつ保護シート上に設置する工程と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように保護シートの表面に転写紙の着色成分を転写する工程と、保護シートに転写された輪郭線に沿って保護シートを切断し、当該輪郭線によって囲まれた領域を切り取る工程とを有し、識別痕を形成する工程は、製品本体における保護シートの切り取り領域に相当する領域に対して傷加工を施す工程を有する。
【0016】
この構成によれば、消費者によって描かれた表意文字が、転写紙を介して保護シートの表面に転写され、保護シートから切り取られた領域として忠実に再現されることとなる。そして、製品本体において、保護シートから切り取られた領域に相当する領域に対して傷加工が施されるとともに、保護シートが切り取られていない領域に関しては、当該保護シートによって傷加工から保護されることとなる。これにより、識別可能な表意文字を、傷加工の形態として製品本体側に忠実に再現することができる。
【0017】
好ましくは、傷加工は、サンドブラスト加工である。この構成によれば、傷加工をより容易に行うことができる。
【0018】
好ましくは、製品本体の下地に対して下地装飾を施す工程をさらに備え、下地装飾を施す工程において、異なる種類の下地装飾が施された複数種類の製品本体が準備され、注文シートを準備する工程において、複数種類の下地装飾の中から任意に下地装飾を選択するための下地装飾記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した下地装飾を下地装飾記入欄にさらに書き込む。
【0019】
この構成によれば、消費者は、複数種類の下地装飾の中から、好みの下地装飾を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、表意文字と好みの下地装飾とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの装飾の製品を入手することが可能となる。
【0020】
好ましくは、製品本体の下地に対して釉薬を塗布する工程をさらに備え、注文シートを準備する工程において、複数種類の釉薬の中から任意に釉薬を選択するための釉薬記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した釉薬を釉薬記入欄にさらに書き込み、釉薬を塗布する工程において、任意に選択された釉薬を製品本体に対して塗布する。
【0021】
好ましくは、製品本体の下地に対して釉薬を塗布する工程をさらに備え、注文シートを準備する工程において、複数種類の釉薬の中から任意に釉薬を選択するための釉薬記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した釉薬を釉薬記入欄にさらに書き込み、釉薬を塗布する工程において、任意に選択された釉薬を製品本体に対して塗布する。
【0022】
この構成によれば、消費者は、複数種類の釉薬の中から、好みの釉薬を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、表意文字と好みの釉薬とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの色彩の製品を入手することが可能となる。
【0023】
好ましくは、製品本体を準備する工程において、複数種類の型の製品本体が準備され、注文シートを準備する工程において、複数種類の型の中から任意の型を選択するための製品型記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した型を製品型記入欄にさらに書き込む。
【0024】
この構成によれば、製品本体を準備する工程において、複数種類の型の製品本体が準備されることとなる。これにより、消費者は、複数種類の型の製品本体の中から、好みの型を任意に選択することが可能となる。すなわち、消費者は、表意文字と好みの製品本体の型とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの型の製品を入手することが可能となる。
【0025】
好ましくは、注文シートを準備する工程において、複数種類の包装の中から任意に包装を選択するための包装記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した包装を包装記入欄にさらに書き込み、表意文字入り製品を包装する工程において、任意に選択された包装によって、表意文字入り製品を包装する。
【0026】
この構成によれば、消費者は、表意文字と好みの包装とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された製品を、好みの包装に包むことができる。これにより、製品としての付加価値をさらに高めることができる。
【0027】
好ましくは、表意文字入り製品を包装する工程は、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートと、を有する包装部材を準備する工程と、二つの包装部材によって、製造された表意文字入り製品を両側から挟み込む工程と、一方の包装部材の枠部材と、他方の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程と、を有する。
【0028】
この構成によれば、包装された表意文字入り製品が、上記透明シートによって挟み込まれて支持されることとなるため、表意文字入り製品を、消費者から見て可視状に包装することができる。これにより、プレゼントとしての付加価値をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の包装方法によれば、陶磁器製品を包装した状態で、陶磁器製品の全体を外から見ることができるので、プレゼントとしての付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る焼き物製品の製造方法のフローチャートを示す。
【図2】図1の工程101において準備されるビアカップ型の焼き物本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図3】図1の工程101において準備される湯呑み型の焼き物本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図4】図1の工程101において準備される茶碗型の焼き物本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図5】焼き物本体に施される下地装飾を示す外観図であって、(a)は「白化粧ドボ掛け」の下地装飾の例を示し、(b)は「白化粧刷毛目」の下地装飾の例を示し、(c)は「白化粧印花紋」の下地装飾の例を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る注文シート21を示す図である。
【図7】図6に示す注文シート21に、消費者によって必要事項が記載された状態を示す図である。
【図8】図1に示す工程106および工程107の詳細なフローチャートを示す。
【図9】図7に示す表意文字の一部を拡大して示す図である。
【図10】図7に示す注文シートに基づいて製造された表意文字入り焼き物を示す外観図であって、図2に対応する図である。
【図11】図1に示す工程109の詳細なフローチャートを示す。
【図12】本発明の一実施形態に係る包装部材の外観図を示す。
【図13】図11に示す工程109Bの作業を概略的に示す外観図である。
【図14】図1に示す工程109によって、表意文字入り焼き物が包装された状態を示す外観図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係るガラス製品の製造方法のフローチャートを示す。
【図16】図15に示す工程206および工程207の詳細なフローチャートを示す。
【図17】図15の工程101において準備されるロックグラスタイプのガラス製品本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図18】図16に示す工程206A,206Bの作業を概略的に示す外観図である。
【図19】製造された表意文字入りガラス製品を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。まず、本発明の一実施形態に係る表意文字入り焼き物製品の製造方法の工程フローについて、図1〜図14を参照して説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る表意文字入り焼き物製品の製造方法は、製造者側と消費者側とが適宜作業を分担することによって、消費者による作業を最小限に抑えるとともに、消費者によって描かれた表意文字を焼き物に忠実に転写することを可能とするものである。
【0033】
本実施形態に係る焼き物の製造方法においては、まず、製造者側において、底部12と、当該底部12の周縁部から上方に立ち上がる側壁部13と、底部12の下面から内方へ凹むように設けられた底部凹部14とを有する焼き物本体11を、準備する(図1の工程101)。本実施形態においては、工程101において、図2に示すビアカップと、図3に示す湯呑みと、図4に示す茶碗の計3種類の型の焼き物本体11を準備する。なお、この焼き物本体11は、製造者側にて実際に制作してもよいし、他の焼き物製造業者から納入したものでもよい。
【0034】
ここで、底部凹部14は、全て共通の所定の外形寸法を有するように形成される。本実施形態においては、図2〜図3に示すように、底部凹部14は、全て略同じ円形状に形成されている。すなわち、ビアカップ、湯呑み、および茶碗のそれぞれに設けられた底部凹部14は、いずれも共通の直径dを有するように形成されている。
【0035】
また、本実施形態においては、この工程101において、各型の焼き物本体11に対して、3種類の下地装飾がそれぞれ施され、各型につき3種類の異なる焼き物本体11が準備される。この3種類の下地装飾としては、例えば、図5(a)に示す「白化粧ドボ掛け」と、図5(b)に示す「白化粧刷毛目」と、図5(c)に示す「白化粧印花紋」を、採用可能である。より具体的に言えば、この工程101において、白化粧ドボ掛けの装飾が施されたビアカップと、白化粧刷毛目の装飾が施されたビアカップと、白化粧印花紋の装飾が施されたビアカップの、3種類のビアカップがそれぞれ準備される。同様に、白化粧ドボ掛けの装飾が施された湯呑みおよび茶碗と、白化粧刷毛目の装飾が施された湯呑みおよび茶碗と、白化粧印花紋の装飾が施された湯呑みおよび茶碗が、それぞれ3種類ずつ準備される。
【0036】
次いで、製造者側において、所定の項目が記された注文シート21を準備する(工程102)。図6に、本実施形態に係る注文シート21を例示する。この注文シート21には、項目1として、消費者の氏名や住所といった消費者の個人情報を記入するための消費者情報記入欄22と、項目2として、3種類の焼き物型の中から消費者が好みの型を選択するための焼き物型記入欄23と、項目3として、3種類の下地装飾の中から消費者が好みの下地装飾を選択するための下地装飾記入欄24と、項目4として、3種類の釉薬の中から消費者が好みの釉薬を選択するための釉薬記入欄25と、項目5として、焼き物に転写される表意文字を書き込むための表意文字記入枠26と、項目6として、製造された表意文字入り焼き物を包装する包装形態を選択するための包装記入欄27とが、それぞれ記されている。なお、これら項目1〜6の記入例については、後述する。
【0037】
このように、本実施形態に係る工程102においては、製造者によって、上記項目1〜6が記載された注文シート21が、準備される。
【0038】
次いで、上記した注文シート21が、製造者側から消費者側へ提供される(工程103)。注文シート21を消費者側に提供する方法としては、注文シート21を消費者側へ直接郵送してもよいし、FAXやEメール等のように、電気通信回線を介して注文シート21の情報を送信してもよい。また、製造者のホームページに注文シート21のフォーマットを掲載し、消費者が製造者のホームページからダウンロードする、または、消費者が製造者のホームページにおいて注文シート21にデータを書き込む構成であってもよい。
【0039】
次いで、消費者側において、上記注文シート21の項目1〜6に、必要事項が書き込まれる(工程104)。以下に、各項目の記入例について説明する。
【0040】
項目1:消費者情報記入欄22には、焼き物の注文をする消費者の個人情報が、記載される。この個人情報としては、例えば、氏名、住所、電話番号、Eメールアドレス等が、挙げられる。これにより、製造者側と消費者側との間において、必要な情報や、焼き物等のやり取りを行うことが可能となる。
【0041】
項目2:焼き物型記入欄23には、ビアカップ、湯呑み、および茶碗のチェック欄が、それぞれ記載されている。消費者は、これら3種類の型の中から好みの型を選択し、チェック欄にチェックを記入する。これにより、消費者が望む完成品としての焼き物の型を、任意に選択することができる。
【0042】
項目3:下地装飾記入欄24には、白化粧ドボ掛け、白化粧刷毛目、および白化粧印花紋のチェック欄が、それぞれ記載されている。消費者は、これら3種類の下地装飾の中から好みの下地装飾を選択し、チェック欄にチェックを記入する。これにより、消費者が望む完成品としての焼き物の下地装飾を、任意に選択することができる。
【0043】
項目4:釉薬記入欄25には、キセト、青磁、および土灰のチェック欄が、それぞれ記されている。消費者は、これら3種類の釉薬の中から好みの下地装飾を任意に選択し、チェック欄にチェックを記入する。これにより、消費者が望む完成品としての焼き物の釉薬、すなわち焼き物の色合いを、任意に選択することができる。なお、釉薬を塗布する工程については、後述する。
【0044】
項目5:表意文字記入枠26には、消費者によって、自己の発意に係る表意文字が、書き込まれる。ここで、表意文字記入枠26は、上記した底部凹部14と略同じ外形寸法を有するように設けられる。これにより、後述する表意文字の転写工程において、より効果的に焼き物本体11に表意文字を転写することを可能とする。表意文字記入枠26内に書き込まれる表意文字としては、例えば、自己の筆跡による手書きのメッセージや、自己の創作による図柄、印、またはこれらの組み合わせ等のように、消費者の発意に応じて自由に書き込まれる。
【0045】
項目6:包装記入欄27には、計5種類の包装形態のチェック欄が、それぞれ記載されている。消費者は、これら5種類の包装形態の中から好みの包装形態を任意に選択し、チェック欄にチェックを記入する。なお、包装に関しては、後述する。
【0046】
図7に、消費者によって必要事項が記載された注文シート21の記入例を示す。このように、工程103において、消費者側にて注文シート21の項目1〜6に、焼き物の製造に係る必要事項が、記載される。これにより、消費者が求める焼き物製品の完成品としての概略構成を、製造者側へ伝達することができる。
【0047】
次いで、消費者によって必要事項が記入された注文シート21が、消費者側から製造者側へと渡される(工程105)。注文シート21を製造者側へ渡す方法としては、上記工程103と同様に、郵送や、FAX、Eメール、またはインターネットホームページ等、如何なる方法を適用してもよい。
【0048】
次いで、製造者側において、焼き物本体11に表意文字の輪郭線を転写する(工程106)。ここで、本実施形態に係る工程106は、図8に示すように、表意文字記入枠を、転写紙を間に挟み込みつつ焼き物本体に設置する工程(図8の工程106A)と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように焼き物本体の表面に転写紙の着色成分を転写する工程(図8の工程106B)とを有する。
【0049】
より具体的には、工程106Aにおいて、注文シート21の表意文字記入枠26部分を、転写紙を間に挟んで、上記底部凹部14内に嵌め入れる。表意文字記入枠26部分を嵌め入れる手法としては、最も単純には、製造者側にて表意文字記入枠26を注文シート21から切り取り、底部凹部14内に嵌め入れることが考えられる。しかしながら、これに限らず、表意文字記入枠26部分を底部凹部14内に嵌め入れ可能であれば、如何なる手法を適用してもよい。この工程106においては、転写紙を、底部凹部14の表面と当接するようにして挟み込む。この転写紙としては、例えば転写用カーボンシートが挙げられる。しかしながら、これに限らず、焼き物の表面に着色成分を付着させることが可能であるものであれば、如何なる材料を適用してもよい。
【0050】
次いで、工程106Bにおいて、表意文字記入枠26に記された表意文字の輪郭線をなぞり、表意文字の輪郭線に対応するように、底部凹部14の表面に転写紙の着色成分を転写する。図9に、図7に示した表意文字記入枠26内に書き込まれた表意文字の一部の拡大図を示す。工程106Bにおいては、書き込まれた表意文字の輪郭線31を、先の尖った鉄筆等の用具によって押し当てるようにしてなぞり、輪郭線31に対応するように、転写紙の着色成分を底部凹部14の表面に付着させる。この作業によって、消費者の筆跡による表意文字の輪郭線31が、焼き物本体11に忠実に転写されることとなる。なお、表意文字の輪郭線31をなぞる際に用いる用具としては、上記した先尖状の鉄筆に限らず、焼き物本体11に輪郭線31を転写可能であれば、如何なる用具を用いてもよいし、用具を用いることなく、製造者の手でなぞる構成であってもよい。
【0051】
次いで、製造者側において、輪郭線31に囲まれた領域に、他の領域と区別し得る識別痕を形成する(工程107)。より具体的には、底部凹部14の表面に転写された輪郭線31によって囲まれた輪郭線領域32を、焼き物への着色に適した着色材料を用いて塗りつぶすことによって、表意文字を識別可能とする識別痕を形成する(図8の工程107A)。なお、着色材料の色としては、如何なる色をも適用可能である。また、着色材料の色に関して、注文シート21を介して、予め消費者によって任意に選択される構成であってもよい。さらに、輪郭線領域32を塗りつぶす手法としては、先細の筆等の用具を用いて塗りつぶす手法や、小孔が設けられた容器に着色材料を入れ、着色材料を小孔から絞り出しつつ塗りつぶし作業を行う、いわゆる「筒描き(絞り描き)」の手法を適用することが考えられる。しかしながら、これに限らず、輪郭線領域32を塗りつぶし可能であれば、如何なる手法を適用してもよい。この工程107Aの結果、消費者の筆跡による表意文字が、任意の色彩によって、焼き物本体11に忠実に再現されることとなる。
【0052】
次いで、製造者側において、表意文字が転写された焼き物本体11を焼き上げる(工程108)。この工程108においては、まず、焼き物本体11の表面に対して、上記注文シート21の釉薬記入欄25において選択された種類の釉薬を塗布する工程を行う。ここで塗布される釉薬は、焼き物の色合いや風合いを決定する材料であるとともに、完成後の焼き物の防水性を高めるための材料である。例えば図7に示す注文シート21によれば、土灰の釉薬が、この工程で塗布されることとなる。釉薬が塗布された後、1200°以上の温度で焼き物本体11を焼き上げ、製品としての表意文字入り焼き物を完成させる。図10に、完成した表意文字入り焼き物41を示す。なお、図10は、一例として、図7に示す注文シート21に基づいて製造された表意文字入り焼き物41の外観図を示しており、図2に対応する図である。このように、本実施形態によれば、消費者の筆跡による表意文字42が底部凹部14の表面に忠実に再現された表意文字入り焼き物41を、効果的に製造することができる。
【0053】
次いで、製造者側において、製造された表意文字入り焼き物41を包装する(工程109)。なお、この工程109においては、上記した包装記入欄27へ記載された包装形態に基づいて、表意文字入り焼き物41の包装が行われる。包装形態の種類の例としては、例えば、包装紙の色やデザイン、リボン等の装飾品、透明シートを用いて可視状にラッピングする等、様々な包装形態が考えられる。したがって、消費者は、プレゼントとして贈呈する場合の状況等に応じて、最適な包装形態を任意に選択可能である。以下に、工程109の一実施形態について説明する。
【0054】
本実施形態に係る工程109は、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する包装部材を準備する工程(図11の工程109A)と、二つの包装部材によって、表意文字入り焼き物41を両側から挟み込む工程(工程109B)と、一方の枠部材と、他方の枠部材とを互いに連結する工程とを有する。
【0055】
より具体的には、まず、工程109Aにおいて、図12に示すように、中抜きされた四角形状の枠部材33と、枠部材33の中抜き領域を覆うように枠部材33に張り付けられた透明シート34とからなる包装部材35を準備する。そして、工程109Bにおいて、図13に示すように、二つの包装部材35によって、表意文字入り焼き物41を両側から挟み込み、工程109Cにおいて、一方の枠部材33と他方の枠部材33とを互いに連結する。その結果、図14に示すように、表意文字入り焼き物41が、包装部材35によって支持されて包装されることとなる。この構成によれば、包装された表意文字入り製品11が、上記透明シート34によって挟み込まれて支持されることとなるため、表意文字入り焼き物41を、消費者から見て可視状に包装することができる。これにより、プレゼントとしての付加価値をさらに高めることができる。
【0056】
最後に、工程109によって包装された表意文字入り焼き物41を、製造者から消費者へと渡す(工程110)。こうして、消費者は、自己の発意に係る表意文字42が描き込まれた表意文字入り焼き物41を、実質的な焼き物の製造工程に携わることなく、簡単に入手することができる。
【0057】
上記したように、本実施形態に係る焼き物の製造方法によれば、表意文字入り焼き物41の製造工程が、消費者側と製造者側とによって分担され、且つ、消費者が担う工程は、注文シート21に表意文字を書き込む工程104のみとなっている。そして、熟練した製造技術を有する製造者側において、消費者の手によって描かれた表意文字を、焼き物本体11に転写する工程106,107が行われる構成となっている。すなわち、この構成によれば、消費者は、表意文字を注文シート21に記載するという極めて簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入り焼き物41を入手することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、工程106Aにおいて、転写紙を介して、表意文字の輪郭線をなぞることによって焼き物本体11に転写する構成となっている。このように転写紙を用いることによって、表意文字の輪郭線を比較的に容易な作業によって、製品本体の表面に忠実に転写することができる。そして、その後の工程106Bにおいて、このように転写された輪郭線に基づいて、着色材料を用いて表意文字を焼き物本体11に忠実に再現することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、焼き物本体11に設けられた底部凹部14と、注文シート21に記された表意文字記入枠26とが、ともに略同じ外形寸法を有するように構成されている。したがって、消費者により表意文字が書き込まれた表意文字記入枠26を、焼き物本体11の底部凹部14に嵌め入れた場合、表意文字記入枠が、底部凹部14内に隙間なく適宜に嵌合することとなる。これにより、製造者側において、表意文字記入枠26に記された表意文字を、転写紙を介して底部凹部14の表面に、より効果的に転写することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、工程101において、3種類の型の焼き物本体11が準備される。そして、消費者は、注文シート21の焼き物型記入欄23を介して、3種類の型の焼き物本体11の中から、好みの型を任意に選択することができ、且つ、いずれの型を選択した場合においても、消費者によって描かれた表意文字を、底部凹部14の表面に効果的に転写することができる。すなわち、消費者は、好みの焼き物の型を焼き物型記入欄23に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの型の表意文字入り焼き物41を入手することができる。
【0061】
同様に、本実施形態によれば、消費者は、注文シート21の下地装飾記入欄24を介して、3種類の下地装飾の中から、好みの下地装飾を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、好みの下地装飾を下地装飾記入欄24に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの下地装飾を有する表意文字入り焼き物41を入手することができる。
【0062】
同様に、本実施形態によれば、消費者は、注文シート21の釉薬記入欄25を介して、3種類の釉薬の中から、好みの釉薬を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、好みの釉薬を釉薬記入欄25に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの釉薬が塗布された表意文字入り焼き物41を入手することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、消費者は、注文シート21の包装記入欄27を介して、5種類の包装の中から、好みの包装を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、好みの包装を包装記入欄27に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入り焼き物41を、好みの包装に包むことができる。これにより、消費者本人用としても、プレゼント用としても、製品の付加価値をさらに高めることができる。
【0064】
なお、上記実施形態においては、上記3種類の焼き物の型、下地装飾、および釉薬と、5種類の包装形態とが、それぞれ準備される場合について述べた。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、如何なる種類の焼き物の型、下地装飾、釉薬、および包装形態が採用されてもよく、また、種類の数も、如何なる数の種類のものが準備されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、焼き物本体の底部に形成される底部凹部が、円形状であった場合について述べたが、これに限らず、三角形や四角形等の多角形や、楕円、その他如何なる任意の形状に形成されてもよい。この場合、表意文字記入枠は、底部凹部の形状に適合するように構成される。
【0066】
また、上記実施形態においては、表意文字として、消費者の筆跡による文字(メッセージ)を一例として説明したが、本発明に係る「表意文字」とは、文字に限らず、自己の創作に係る図柄、印、またはこれらの組み合わせ等、消費者の発意に係るものであれば如何なる形態のものをも包含している点に留意されたい。
【0067】
また、上記実施形態においては、焼き物本体の底部凹部と、注文シートの表意文字記入枠とが、略同じ外形寸法を有するように構成された場合について述べたが、これに限らず、例えば表意文字記入枠を、底部凹部よりも小さく/大きくなるように注文シートに記載し、表意文字が記された後に、底部凹部に適合するように表意文字記入枠を拡大/縮小させる構成であってもよい。このような手法であっても、消費者の筆跡による表意文字を焼き物に再現することができるからである。
【0068】
次に、図15〜図19を参照して、本発明の他の実施形態に係る表意文字入りガラス製品の製造方法について説明する。なお、上記した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施形態は、表意文字入りガラス製品の製造方法に関するものであって、製造者側と消費者側とが適宜作業を分担することによって、消費者による作業を最小限に抑えるとともに、消費者によって描かれた表意文字をガラス製品に忠実に再現することを可能とするものである。
【0070】
本実施形態に係るガラス製品の製造方法は、上記実施形態と同様に、製造者側において、ガラス製品本体51を準備する工程101と、製造者側において、所定の外形寸法を有する表意文字記入枠26が記された注文シート21を準備する工程102と、製造者側から消費者側へ注文シート21を提供する工程103と、消費者側において、表意文字記入枠26内に表意文字を書き込む工程104と、消費者側から製造者側へ注文シート21を渡す工程105とを備える。
【0071】
本実施形態においては、上記実施形態と同様に、工程101において、例えば3種類の型のガラス製品が準備される。ガラス製品の種類としては、例えばロックグラスや、オールドカップ、またはフリーカップ等のグラス類が適用可能である。したがって、注文シート21の焼き物型記入欄23や、下地装飾記入欄24、および釉薬記入欄25は、ガラス製品に特化した項目へと適宜変更される。なお、これらについての詳しい説明は省略する。
【0072】
以下、ガラス製品の種類として、図17に示すロックグラスが選択され、ロックグラスの底面に表意文字を描く場合について、説明する。
【0073】
工程105の後に、製造者側において、ガラス製品本体51側に表意文字の輪郭線を転写する(工程206)。ここで、本実施形態に係る工程206は、ガラス製品本体51に保護シート53を貼り付ける工程(図16の工程206A)と、表意文字記入枠26を、転写紙53を間に挟み込みつつ保護シート53上に設置する工程(図16の工程206B)と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように保護シート53の表面に転写紙の着色成分を転写する工程(図16の工程206C)と、保護シート53に転写された輪郭線に沿って保護シート53を切断し、当該輪郭線によって囲まれた領域を切り取る工程(図16の工程206D)とを有する。
【0074】
工程206について、図18を参照して具体的に説明する。まず、工程206Aにおいて、可撓性のシート部材である保護シート53を、ガラス製品本体51の底面52側から貼着する。そして、工程206Bにおいて、転写紙54を、保護シート53を間に挟んで底面52側に設置する。そして、表意文字記入枠26を、転写紙54および保護シート53を間に挟み、ガラス製品51の底面52の位置と略一致するように設置する。そして、工程206Cにおいて、図9に示す輪郭線31をなぞり、この輪郭線31に相当する線を保護シート53上に転写する。そして、工程206Dにおいて、例えばカッターのような用具を用いて、保護シート53上に転写された輪郭線31に沿って保護シート53を切断し、当該輪郭線31によって囲まれた輪郭線領域32を保護シート53から切り取る。このようにして、表意文字記入枠26に描かれた表意文字が、ガラス製品本体51に貼着された保護シート53に、切り取り領域として忠実に転写されることとなる。
【0075】
次いで、製造者側において、輪郭線31に囲まれた領域32に、他の領域と区別し得る識別痕を形成する(工程207)。本実施形態においては、表意文字に相当する識別痕を形成するために、ガラス製品本体51における保護シート53の切り取り領域に相当する領域に対して傷加工を施す。この傷加工としては、例えばサンドブラスト加工を適用可能である。サンドブラスト加工等によってガラス製品本体51の底面52に対して傷加工を施すと、ガラス製品本体51における切り取り領域に対して、微細な傷が無数に設けられることとなる。しかしながら、それ以外の領域は、保護シート53によって傷加工から保護されるために、傷が設けられることがない。これにより、ガラス製品本体51の底面52に、識別可能な表意文字を、忠実に再現することができる。図19に、完成した表意文字入りガラス製品61を示す。本実施形態においては、ガラス製品61の底面52に、いわゆるスモークガラス状の表意文字62が描き込まれることとなる。
【0076】
次いで、製造者側において、製造された表意文字入りガラス製品61を包装し(工程109)、包装された表意文字入りガラス製品61を、製造者から消費者へと渡す(工程110)。こうして、消費者は、自己の発意に係る表意文字62が描き込まれた表意文字入りガラス製品61を、実質的な製造工程に携わることなく、簡単に入手することができる。
【0077】
このように、本実施形態によれば、表意文字入りガラス製品61の製造工程が、消費者側と製造者側とによって分担され、且つ、消費者が担う工程は、注文シート21に表意文字を書き込む工程104のみとなっている。そして、熟練した製造技術を有する製造者側において、消費者の手によって描かれた表意文字を、ガラス製品本体51に転写する工程206,207が行われる構成となっている。すなわち、この構成によれば、消費者は、表意文字を注文シート21に記載するという極めて簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入りガラス製品61を入手することが可能となる。
【0078】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、消費者側にて任意に描かれた表意文字を、製造者側にて製品に忠実に転写することができる表意文字入り製品の製造方法を提供するものであって、焼き物やガラス製品等の製造分野に有利に利用される。
【符号の説明】
【0080】
11 焼き物本体、12 底部、13 側壁部、14 底部凹部、21 注文シート、22 消費者情報記入欄、23 焼き物型記入欄、24 下地装飾記入欄、25 釉薬記入欄、26 表意文字記入枠、27 包装記入欄、31 輪郭線、32 輪郭線領域、33 枠部材、34 透明シート、35 包装部材、41 表意文字入り焼き物、42,62 表意文字、51 ガラス製品本体、52 底面、61 表意文字入りガラス製品。
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶磁器製品の包装方法に関し、特に表意文字が描かれた陶磁器製品の包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陶磁器等の焼き物やガラス製品の表面に、文字や図柄等の装飾を施すことによって、より付加価値の高い製品を製造する方法が、従来から知られている。このような、製品の製造方法として、例えば、特開2001−233663号公報(特許文献1)に記載の陶磁器の製造方法が、開示されている。特許文献1に記載の陶磁器の製造方法においては、焼成された釉薬層に対して、切削によって文字等の装飾を刻み込み、当該切削部分に顔料を埋設することによって、任意の文字等を陶磁器表面に描写する方法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−233663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、焼き物やガラス製品の製作にそれほどの造詣のない人の間においても、本人の筆跡による文字(メッセージ)や、本人が独自に創作した図柄等といった、いわゆる「表意文字」が描き込まれた製品を入手したいという要望が、多くなってきている。本人の筆跡による表意文字が描かれた製品は、世に二つとない個性を備えるものとなるため、本人用としても、プレゼント用としても、非常に付加価値の高いものとなるからである。しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、陶磁器に直接文字や図柄等を書き込む工程を備えている。したがって、このような従来の方法によれば、消費者の創作に係る表意文字が描き込まれた陶磁器を手に入れたい場合、消費者自らが、陶磁器に表意文字を描き込む工程に携わる必要がある。このことは、消費者に時間的な負担を掛けるのみならず、消費者に陶磁器に対する造詣がない場合は、完成品の品質を確保することも困難である。すなわち、従来の方法によれば、上記した要望に充分に応えることができなかった。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、消費者が、自ら創作した表意文字が描き込まれた表意文字入り製品を、簡単に入手することができる、表意文字入り製品の製造方法を提供することが望まれる。また、そのような陶磁器製品を贈呈する場合、表意文字入りの陶磁器製品が外から見えるように包装して、プレゼントとしても付加価値を高めることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、プレゼントとしての付加価値を高め得る陶磁器製品の包装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った陶磁器製品の包装方法は、以下の工程を備える。
(a)陶磁器製品を準備する工程。
(b)中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する第1の包装部材を準備する工程。
(c)中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼りつけられた可撓性の透明シートとを有する第2の包装部材を準備する工程。
(d)第1の包装部材の透明シートと、第2の包装部材の透明シートとによって、陶磁器製品を両側から挟み込む工程。
(e)陶磁器製品を両側から透明シートによって挟み込んだ状態で、第1の包装部材の枠部材と、第2の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程。
【0008】
一つの好ましい実施形態では、上記枠部材は四角形状である。また、好ましい陶磁器製品は、底部の下面から内方へ凹むように設けられた底部凹部を有し、この底部凹部には、表意文字が書き込まれている。
【0009】
本明細書には、好ましい陶磁器製品の製造方法も記載している。この好ましい製造方法は、製造者側と消費者側とが作業を分担し、表意文字入り製品を製造する方法に関するものである。この方法は、製造者側において、製品本体を準備する工程と、製造者側において、所定の外形寸法を有する表意文字記入枠が記された注文シートを準備する工程と、製造者側から消費者側へ注文シートを提供する工程と、消費者側において、表意文字記入枠内に消費者の発意に係る表意文字を書き込む工程と、消費者側から製造者側へ注文シートを渡す工程と、製造者側において、製品本体側に表意文字を転写する工程と、製造者側において、輪郭線に囲まれた領域に、他の領域と区別し得る識別痕を形成する工程と、製造された表意文字入り製品を包装する工程と、包装された表意文字入り製品を、製造者側から消費者側へと渡す工程とを備える。
【0010】
この構成によれば、製造工程が、消費者側と製造者側とによって分担され、且つ、消費者が担う工程は、注文シートに表意文字を書き込む工程のみとなっている。そして、熟練した製造技術を有する製造者側において、消費者の手によって描かれた表意文字を、製品本体側に転写する工程が行われる構成となっている。すなわち、この構成によれば、消費者は、表意文字を注文シートに記載するという極めて簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入り製品を入手することが可能となる。
【0011】
好ましくは、表意文字を転写する工程は、表意文字記入枠を、転写紙を間に挟み込みつつ製品本体に設置する工程と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように製品本体の表面に転写紙の着色成分を転写する工程と、を有し、識別痕を形成する工程は、製品本体に転写された輪郭線によって囲まれた領域を、着色材料を用いて塗りつぶす工程を有する。
【0012】
この構成によれば、転写紙を用いることによって、表意文字の輪郭線を比較的に容易な作業によって、製品本体の表面に転写することができる。また、このように転写された輪郭線に基づいて、着色材料を用いて表意文字を製品本体に忠実に再現することができる。
【0013】
好ましくは、製品本体を準備する工程においては、底部と、当該底部の下面から内方へ凹むように設けられ、所定の外形寸法と略同じ外形寸法を有する底部凹部と、を有する製品本体を準備し、表意文字記入枠を製品本体に設置する工程においては、表意文字記入枠は、底部凹部内に嵌め入れられる。
【0014】
この構成によれば、製品本体に設けられた底部凹部と、注文シートに記された表意文字記入枠とが、ともに略同じ外形寸法を有するように構成されている。したがって、消費者により表意文字が書き込まれた表意文字記入枠を、製品本体の底部凹部に嵌め入れた場合、表意文字記入枠が、底部凹部内に隙間なく適宜に嵌合することとなる。これにより、製造者側において、表意文字記入枠に記された表意文字を、転写紙を介して底部凹部の表面に、より効果的に転写することができる。
【0015】
好ましくは、表意文字を転写する工程は、製品本体に保護シートを貼り付ける工程と、表意文字記入枠を、転写紙を間に挟み込みつつ保護シート上に設置する工程と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように保護シートの表面に転写紙の着色成分を転写する工程と、保護シートに転写された輪郭線に沿って保護シートを切断し、当該輪郭線によって囲まれた領域を切り取る工程とを有し、識別痕を形成する工程は、製品本体における保護シートの切り取り領域に相当する領域に対して傷加工を施す工程を有する。
【0016】
この構成によれば、消費者によって描かれた表意文字が、転写紙を介して保護シートの表面に転写され、保護シートから切り取られた領域として忠実に再現されることとなる。そして、製品本体において、保護シートから切り取られた領域に相当する領域に対して傷加工が施されるとともに、保護シートが切り取られていない領域に関しては、当該保護シートによって傷加工から保護されることとなる。これにより、識別可能な表意文字を、傷加工の形態として製品本体側に忠実に再現することができる。
【0017】
好ましくは、傷加工は、サンドブラスト加工である。この構成によれば、傷加工をより容易に行うことができる。
【0018】
好ましくは、製品本体の下地に対して下地装飾を施す工程をさらに備え、下地装飾を施す工程において、異なる種類の下地装飾が施された複数種類の製品本体が準備され、注文シートを準備する工程において、複数種類の下地装飾の中から任意に下地装飾を選択するための下地装飾記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した下地装飾を下地装飾記入欄にさらに書き込む。
【0019】
この構成によれば、消費者は、複数種類の下地装飾の中から、好みの下地装飾を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、表意文字と好みの下地装飾とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの装飾の製品を入手することが可能となる。
【0020】
好ましくは、製品本体の下地に対して釉薬を塗布する工程をさらに備え、注文シートを準備する工程において、複数種類の釉薬の中から任意に釉薬を選択するための釉薬記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した釉薬を釉薬記入欄にさらに書き込み、釉薬を塗布する工程において、任意に選択された釉薬を製品本体に対して塗布する。
【0021】
好ましくは、製品本体の下地に対して釉薬を塗布する工程をさらに備え、注文シートを準備する工程において、複数種類の釉薬の中から任意に釉薬を選択するための釉薬記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した釉薬を釉薬記入欄にさらに書き込み、釉薬を塗布する工程において、任意に選択された釉薬を製品本体に対して塗布する。
【0022】
この構成によれば、消費者は、複数種類の釉薬の中から、好みの釉薬を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、表意文字と好みの釉薬とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの色彩の製品を入手することが可能となる。
【0023】
好ましくは、製品本体を準備する工程において、複数種類の型の製品本体が準備され、注文シートを準備する工程において、複数種類の型の中から任意の型を選択するための製品型記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した型を製品型記入欄にさらに書き込む。
【0024】
この構成によれば、製品本体を準備する工程において、複数種類の型の製品本体が準備されることとなる。これにより、消費者は、複数種類の型の製品本体の中から、好みの型を任意に選択することが可能となる。すなわち、消費者は、表意文字と好みの製品本体の型とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの型の製品を入手することが可能となる。
【0025】
好ましくは、注文シートを準備する工程において、複数種類の包装の中から任意に包装を選択するための包装記入欄がさらに記された注文シートが準備され、表意文字を書き込む工程において、消費者は、任意に選択した包装を包装記入欄にさらに書き込み、表意文字入り製品を包装する工程において、任意に選択された包装によって、表意文字入り製品を包装する。
【0026】
この構成によれば、消費者は、表意文字と好みの包装とを注文シートに記載する簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された製品を、好みの包装に包むことができる。これにより、製品としての付加価値をさらに高めることができる。
【0027】
好ましくは、表意文字入り製品を包装する工程は、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートと、を有する包装部材を準備する工程と、二つの包装部材によって、製造された表意文字入り製品を両側から挟み込む工程と、一方の包装部材の枠部材と、他方の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程と、を有する。
【0028】
この構成によれば、包装された表意文字入り製品が、上記透明シートによって挟み込まれて支持されることとなるため、表意文字入り製品を、消費者から見て可視状に包装することができる。これにより、プレゼントとしての付加価値をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の包装方法によれば、陶磁器製品を包装した状態で、陶磁器製品の全体を外から見ることができるので、プレゼントとしての付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る焼き物製品の製造方法のフローチャートを示す。
【図2】図1の工程101において準備されるビアカップ型の焼き物本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図3】図1の工程101において準備される湯呑み型の焼き物本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図4】図1の工程101において準備される茶碗型の焼き物本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図5】焼き物本体に施される下地装飾を示す外観図であって、(a)は「白化粧ドボ掛け」の下地装飾の例を示し、(b)は「白化粧刷毛目」の下地装飾の例を示し、(c)は「白化粧印花紋」の下地装飾の例を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る注文シート21を示す図である。
【図7】図6に示す注文シート21に、消費者によって必要事項が記載された状態を示す図である。
【図8】図1に示す工程106および工程107の詳細なフローチャートを示す。
【図9】図7に示す表意文字の一部を拡大して示す図である。
【図10】図7に示す注文シートに基づいて製造された表意文字入り焼き物を示す外観図であって、図2に対応する図である。
【図11】図1に示す工程109の詳細なフローチャートを示す。
【図12】本発明の一実施形態に係る包装部材の外観図を示す。
【図13】図11に示す工程109Bの作業を概略的に示す外観図である。
【図14】図1に示す工程109によって、表意文字入り焼き物が包装された状態を示す外観図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係るガラス製品の製造方法のフローチャートを示す。
【図16】図15に示す工程206および工程207の詳細なフローチャートを示す。
【図17】図15の工程101において準備されるロックグラスタイプのガラス製品本体を示す外観図であって、(a)は側面図を示し、(b)は底面図を示す。
【図18】図16に示す工程206A,206Bの作業を概略的に示す外観図である。
【図19】製造された表意文字入りガラス製品を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。まず、本発明の一実施形態に係る表意文字入り焼き物製品の製造方法の工程フローについて、図1〜図14を参照して説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る表意文字入り焼き物製品の製造方法は、製造者側と消費者側とが適宜作業を分担することによって、消費者による作業を最小限に抑えるとともに、消費者によって描かれた表意文字を焼き物に忠実に転写することを可能とするものである。
【0033】
本実施形態に係る焼き物の製造方法においては、まず、製造者側において、底部12と、当該底部12の周縁部から上方に立ち上がる側壁部13と、底部12の下面から内方へ凹むように設けられた底部凹部14とを有する焼き物本体11を、準備する(図1の工程101)。本実施形態においては、工程101において、図2に示すビアカップと、図3に示す湯呑みと、図4に示す茶碗の計3種類の型の焼き物本体11を準備する。なお、この焼き物本体11は、製造者側にて実際に制作してもよいし、他の焼き物製造業者から納入したものでもよい。
【0034】
ここで、底部凹部14は、全て共通の所定の外形寸法を有するように形成される。本実施形態においては、図2〜図3に示すように、底部凹部14は、全て略同じ円形状に形成されている。すなわち、ビアカップ、湯呑み、および茶碗のそれぞれに設けられた底部凹部14は、いずれも共通の直径dを有するように形成されている。
【0035】
また、本実施形態においては、この工程101において、各型の焼き物本体11に対して、3種類の下地装飾がそれぞれ施され、各型につき3種類の異なる焼き物本体11が準備される。この3種類の下地装飾としては、例えば、図5(a)に示す「白化粧ドボ掛け」と、図5(b)に示す「白化粧刷毛目」と、図5(c)に示す「白化粧印花紋」を、採用可能である。より具体的に言えば、この工程101において、白化粧ドボ掛けの装飾が施されたビアカップと、白化粧刷毛目の装飾が施されたビアカップと、白化粧印花紋の装飾が施されたビアカップの、3種類のビアカップがそれぞれ準備される。同様に、白化粧ドボ掛けの装飾が施された湯呑みおよび茶碗と、白化粧刷毛目の装飾が施された湯呑みおよび茶碗と、白化粧印花紋の装飾が施された湯呑みおよび茶碗が、それぞれ3種類ずつ準備される。
【0036】
次いで、製造者側において、所定の項目が記された注文シート21を準備する(工程102)。図6に、本実施形態に係る注文シート21を例示する。この注文シート21には、項目1として、消費者の氏名や住所といった消費者の個人情報を記入するための消費者情報記入欄22と、項目2として、3種類の焼き物型の中から消費者が好みの型を選択するための焼き物型記入欄23と、項目3として、3種類の下地装飾の中から消費者が好みの下地装飾を選択するための下地装飾記入欄24と、項目4として、3種類の釉薬の中から消費者が好みの釉薬を選択するための釉薬記入欄25と、項目5として、焼き物に転写される表意文字を書き込むための表意文字記入枠26と、項目6として、製造された表意文字入り焼き物を包装する包装形態を選択するための包装記入欄27とが、それぞれ記されている。なお、これら項目1〜6の記入例については、後述する。
【0037】
このように、本実施形態に係る工程102においては、製造者によって、上記項目1〜6が記載された注文シート21が、準備される。
【0038】
次いで、上記した注文シート21が、製造者側から消費者側へ提供される(工程103)。注文シート21を消費者側に提供する方法としては、注文シート21を消費者側へ直接郵送してもよいし、FAXやEメール等のように、電気通信回線を介して注文シート21の情報を送信してもよい。また、製造者のホームページに注文シート21のフォーマットを掲載し、消費者が製造者のホームページからダウンロードする、または、消費者が製造者のホームページにおいて注文シート21にデータを書き込む構成であってもよい。
【0039】
次いで、消費者側において、上記注文シート21の項目1〜6に、必要事項が書き込まれる(工程104)。以下に、各項目の記入例について説明する。
【0040】
項目1:消費者情報記入欄22には、焼き物の注文をする消費者の個人情報が、記載される。この個人情報としては、例えば、氏名、住所、電話番号、Eメールアドレス等が、挙げられる。これにより、製造者側と消費者側との間において、必要な情報や、焼き物等のやり取りを行うことが可能となる。
【0041】
項目2:焼き物型記入欄23には、ビアカップ、湯呑み、および茶碗のチェック欄が、それぞれ記載されている。消費者は、これら3種類の型の中から好みの型を選択し、チェック欄にチェックを記入する。これにより、消費者が望む完成品としての焼き物の型を、任意に選択することができる。
【0042】
項目3:下地装飾記入欄24には、白化粧ドボ掛け、白化粧刷毛目、および白化粧印花紋のチェック欄が、それぞれ記載されている。消費者は、これら3種類の下地装飾の中から好みの下地装飾を選択し、チェック欄にチェックを記入する。これにより、消費者が望む完成品としての焼き物の下地装飾を、任意に選択することができる。
【0043】
項目4:釉薬記入欄25には、キセト、青磁、および土灰のチェック欄が、それぞれ記されている。消費者は、これら3種類の釉薬の中から好みの下地装飾を任意に選択し、チェック欄にチェックを記入する。これにより、消費者が望む完成品としての焼き物の釉薬、すなわち焼き物の色合いを、任意に選択することができる。なお、釉薬を塗布する工程については、後述する。
【0044】
項目5:表意文字記入枠26には、消費者によって、自己の発意に係る表意文字が、書き込まれる。ここで、表意文字記入枠26は、上記した底部凹部14と略同じ外形寸法を有するように設けられる。これにより、後述する表意文字の転写工程において、より効果的に焼き物本体11に表意文字を転写することを可能とする。表意文字記入枠26内に書き込まれる表意文字としては、例えば、自己の筆跡による手書きのメッセージや、自己の創作による図柄、印、またはこれらの組み合わせ等のように、消費者の発意に応じて自由に書き込まれる。
【0045】
項目6:包装記入欄27には、計5種類の包装形態のチェック欄が、それぞれ記載されている。消費者は、これら5種類の包装形態の中から好みの包装形態を任意に選択し、チェック欄にチェックを記入する。なお、包装に関しては、後述する。
【0046】
図7に、消費者によって必要事項が記載された注文シート21の記入例を示す。このように、工程103において、消費者側にて注文シート21の項目1〜6に、焼き物の製造に係る必要事項が、記載される。これにより、消費者が求める焼き物製品の完成品としての概略構成を、製造者側へ伝達することができる。
【0047】
次いで、消費者によって必要事項が記入された注文シート21が、消費者側から製造者側へと渡される(工程105)。注文シート21を製造者側へ渡す方法としては、上記工程103と同様に、郵送や、FAX、Eメール、またはインターネットホームページ等、如何なる方法を適用してもよい。
【0048】
次いで、製造者側において、焼き物本体11に表意文字の輪郭線を転写する(工程106)。ここで、本実施形態に係る工程106は、図8に示すように、表意文字記入枠を、転写紙を間に挟み込みつつ焼き物本体に設置する工程(図8の工程106A)と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように焼き物本体の表面に転写紙の着色成分を転写する工程(図8の工程106B)とを有する。
【0049】
より具体的には、工程106Aにおいて、注文シート21の表意文字記入枠26部分を、転写紙を間に挟んで、上記底部凹部14内に嵌め入れる。表意文字記入枠26部分を嵌め入れる手法としては、最も単純には、製造者側にて表意文字記入枠26を注文シート21から切り取り、底部凹部14内に嵌め入れることが考えられる。しかしながら、これに限らず、表意文字記入枠26部分を底部凹部14内に嵌め入れ可能であれば、如何なる手法を適用してもよい。この工程106においては、転写紙を、底部凹部14の表面と当接するようにして挟み込む。この転写紙としては、例えば転写用カーボンシートが挙げられる。しかしながら、これに限らず、焼き物の表面に着色成分を付着させることが可能であるものであれば、如何なる材料を適用してもよい。
【0050】
次いで、工程106Bにおいて、表意文字記入枠26に記された表意文字の輪郭線をなぞり、表意文字の輪郭線に対応するように、底部凹部14の表面に転写紙の着色成分を転写する。図9に、図7に示した表意文字記入枠26内に書き込まれた表意文字の一部の拡大図を示す。工程106Bにおいては、書き込まれた表意文字の輪郭線31を、先の尖った鉄筆等の用具によって押し当てるようにしてなぞり、輪郭線31に対応するように、転写紙の着色成分を底部凹部14の表面に付着させる。この作業によって、消費者の筆跡による表意文字の輪郭線31が、焼き物本体11に忠実に転写されることとなる。なお、表意文字の輪郭線31をなぞる際に用いる用具としては、上記した先尖状の鉄筆に限らず、焼き物本体11に輪郭線31を転写可能であれば、如何なる用具を用いてもよいし、用具を用いることなく、製造者の手でなぞる構成であってもよい。
【0051】
次いで、製造者側において、輪郭線31に囲まれた領域に、他の領域と区別し得る識別痕を形成する(工程107)。より具体的には、底部凹部14の表面に転写された輪郭線31によって囲まれた輪郭線領域32を、焼き物への着色に適した着色材料を用いて塗りつぶすことによって、表意文字を識別可能とする識別痕を形成する(図8の工程107A)。なお、着色材料の色としては、如何なる色をも適用可能である。また、着色材料の色に関して、注文シート21を介して、予め消費者によって任意に選択される構成であってもよい。さらに、輪郭線領域32を塗りつぶす手法としては、先細の筆等の用具を用いて塗りつぶす手法や、小孔が設けられた容器に着色材料を入れ、着色材料を小孔から絞り出しつつ塗りつぶし作業を行う、いわゆる「筒描き(絞り描き)」の手法を適用することが考えられる。しかしながら、これに限らず、輪郭線領域32を塗りつぶし可能であれば、如何なる手法を適用してもよい。この工程107Aの結果、消費者の筆跡による表意文字が、任意の色彩によって、焼き物本体11に忠実に再現されることとなる。
【0052】
次いで、製造者側において、表意文字が転写された焼き物本体11を焼き上げる(工程108)。この工程108においては、まず、焼き物本体11の表面に対して、上記注文シート21の釉薬記入欄25において選択された種類の釉薬を塗布する工程を行う。ここで塗布される釉薬は、焼き物の色合いや風合いを決定する材料であるとともに、完成後の焼き物の防水性を高めるための材料である。例えば図7に示す注文シート21によれば、土灰の釉薬が、この工程で塗布されることとなる。釉薬が塗布された後、1200°以上の温度で焼き物本体11を焼き上げ、製品としての表意文字入り焼き物を完成させる。図10に、完成した表意文字入り焼き物41を示す。なお、図10は、一例として、図7に示す注文シート21に基づいて製造された表意文字入り焼き物41の外観図を示しており、図2に対応する図である。このように、本実施形態によれば、消費者の筆跡による表意文字42が底部凹部14の表面に忠実に再現された表意文字入り焼き物41を、効果的に製造することができる。
【0053】
次いで、製造者側において、製造された表意文字入り焼き物41を包装する(工程109)。なお、この工程109においては、上記した包装記入欄27へ記載された包装形態に基づいて、表意文字入り焼き物41の包装が行われる。包装形態の種類の例としては、例えば、包装紙の色やデザイン、リボン等の装飾品、透明シートを用いて可視状にラッピングする等、様々な包装形態が考えられる。したがって、消費者は、プレゼントとして贈呈する場合の状況等に応じて、最適な包装形態を任意に選択可能である。以下に、工程109の一実施形態について説明する。
【0054】
本実施形態に係る工程109は、中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する包装部材を準備する工程(図11の工程109A)と、二つの包装部材によって、表意文字入り焼き物41を両側から挟み込む工程(工程109B)と、一方の枠部材と、他方の枠部材とを互いに連結する工程とを有する。
【0055】
より具体的には、まず、工程109Aにおいて、図12に示すように、中抜きされた四角形状の枠部材33と、枠部材33の中抜き領域を覆うように枠部材33に張り付けられた透明シート34とからなる包装部材35を準備する。そして、工程109Bにおいて、図13に示すように、二つの包装部材35によって、表意文字入り焼き物41を両側から挟み込み、工程109Cにおいて、一方の枠部材33と他方の枠部材33とを互いに連結する。その結果、図14に示すように、表意文字入り焼き物41が、包装部材35によって支持されて包装されることとなる。この構成によれば、包装された表意文字入り製品11が、上記透明シート34によって挟み込まれて支持されることとなるため、表意文字入り焼き物41を、消費者から見て可視状に包装することができる。これにより、プレゼントとしての付加価値をさらに高めることができる。
【0056】
最後に、工程109によって包装された表意文字入り焼き物41を、製造者から消費者へと渡す(工程110)。こうして、消費者は、自己の発意に係る表意文字42が描き込まれた表意文字入り焼き物41を、実質的な焼き物の製造工程に携わることなく、簡単に入手することができる。
【0057】
上記したように、本実施形態に係る焼き物の製造方法によれば、表意文字入り焼き物41の製造工程が、消費者側と製造者側とによって分担され、且つ、消費者が担う工程は、注文シート21に表意文字を書き込む工程104のみとなっている。そして、熟練した製造技術を有する製造者側において、消費者の手によって描かれた表意文字を、焼き物本体11に転写する工程106,107が行われる構成となっている。すなわち、この構成によれば、消費者は、表意文字を注文シート21に記載するという極めて簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入り焼き物41を入手することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、工程106Aにおいて、転写紙を介して、表意文字の輪郭線をなぞることによって焼き物本体11に転写する構成となっている。このように転写紙を用いることによって、表意文字の輪郭線を比較的に容易な作業によって、製品本体の表面に忠実に転写することができる。そして、その後の工程106Bにおいて、このように転写された輪郭線に基づいて、着色材料を用いて表意文字を焼き物本体11に忠実に再現することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、焼き物本体11に設けられた底部凹部14と、注文シート21に記された表意文字記入枠26とが、ともに略同じ外形寸法を有するように構成されている。したがって、消費者により表意文字が書き込まれた表意文字記入枠26を、焼き物本体11の底部凹部14に嵌め入れた場合、表意文字記入枠が、底部凹部14内に隙間なく適宜に嵌合することとなる。これにより、製造者側において、表意文字記入枠26に記された表意文字を、転写紙を介して底部凹部14の表面に、より効果的に転写することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、工程101において、3種類の型の焼き物本体11が準備される。そして、消費者は、注文シート21の焼き物型記入欄23を介して、3種類の型の焼き物本体11の中から、好みの型を任意に選択することができ、且つ、いずれの型を選択した場合においても、消費者によって描かれた表意文字を、底部凹部14の表面に効果的に転写することができる。すなわち、消費者は、好みの焼き物の型を焼き物型記入欄23に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの型の表意文字入り焼き物41を入手することができる。
【0061】
同様に、本実施形態によれば、消費者は、注文シート21の下地装飾記入欄24を介して、3種類の下地装飾の中から、好みの下地装飾を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、好みの下地装飾を下地装飾記入欄24に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの下地装飾を有する表意文字入り焼き物41を入手することができる。
【0062】
同様に、本実施形態によれば、消費者は、注文シート21の釉薬記入欄25を介して、3種類の釉薬の中から、好みの釉薬を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、好みの釉薬を釉薬記入欄25に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された、好みの釉薬が塗布された表意文字入り焼き物41を入手することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、消費者は、注文シート21の包装記入欄27を介して、5種類の包装の中から、好みの包装を任意に選択することができる。すなわち、消費者は、好みの包装を包装記入欄27に記載する簡単な作業を通して、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入り焼き物41を、好みの包装に包むことができる。これにより、消費者本人用としても、プレゼント用としても、製品の付加価値をさらに高めることができる。
【0064】
なお、上記実施形態においては、上記3種類の焼き物の型、下地装飾、および釉薬と、5種類の包装形態とが、それぞれ準備される場合について述べた。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、如何なる種類の焼き物の型、下地装飾、釉薬、および包装形態が採用されてもよく、また、種類の数も、如何なる数の種類のものが準備されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、焼き物本体の底部に形成される底部凹部が、円形状であった場合について述べたが、これに限らず、三角形や四角形等の多角形や、楕円、その他如何なる任意の形状に形成されてもよい。この場合、表意文字記入枠は、底部凹部の形状に適合するように構成される。
【0066】
また、上記実施形態においては、表意文字として、消費者の筆跡による文字(メッセージ)を一例として説明したが、本発明に係る「表意文字」とは、文字に限らず、自己の創作に係る図柄、印、またはこれらの組み合わせ等、消費者の発意に係るものであれば如何なる形態のものをも包含している点に留意されたい。
【0067】
また、上記実施形態においては、焼き物本体の底部凹部と、注文シートの表意文字記入枠とが、略同じ外形寸法を有するように構成された場合について述べたが、これに限らず、例えば表意文字記入枠を、底部凹部よりも小さく/大きくなるように注文シートに記載し、表意文字が記された後に、底部凹部に適合するように表意文字記入枠を拡大/縮小させる構成であってもよい。このような手法であっても、消費者の筆跡による表意文字を焼き物に再現することができるからである。
【0068】
次に、図15〜図19を参照して、本発明の他の実施形態に係る表意文字入りガラス製品の製造方法について説明する。なお、上記した実施形態と同様の構成には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施形態は、表意文字入りガラス製品の製造方法に関するものであって、製造者側と消費者側とが適宜作業を分担することによって、消費者による作業を最小限に抑えるとともに、消費者によって描かれた表意文字をガラス製品に忠実に再現することを可能とするものである。
【0070】
本実施形態に係るガラス製品の製造方法は、上記実施形態と同様に、製造者側において、ガラス製品本体51を準備する工程101と、製造者側において、所定の外形寸法を有する表意文字記入枠26が記された注文シート21を準備する工程102と、製造者側から消費者側へ注文シート21を提供する工程103と、消費者側において、表意文字記入枠26内に表意文字を書き込む工程104と、消費者側から製造者側へ注文シート21を渡す工程105とを備える。
【0071】
本実施形態においては、上記実施形態と同様に、工程101において、例えば3種類の型のガラス製品が準備される。ガラス製品の種類としては、例えばロックグラスや、オールドカップ、またはフリーカップ等のグラス類が適用可能である。したがって、注文シート21の焼き物型記入欄23や、下地装飾記入欄24、および釉薬記入欄25は、ガラス製品に特化した項目へと適宜変更される。なお、これらについての詳しい説明は省略する。
【0072】
以下、ガラス製品の種類として、図17に示すロックグラスが選択され、ロックグラスの底面に表意文字を描く場合について、説明する。
【0073】
工程105の後に、製造者側において、ガラス製品本体51側に表意文字の輪郭線を転写する(工程206)。ここで、本実施形態に係る工程206は、ガラス製品本体51に保護シート53を貼り付ける工程(図16の工程206A)と、表意文字記入枠26を、転写紙53を間に挟み込みつつ保護シート53上に設置する工程(図16の工程206B)と、表意文字の輪郭線をなぞり、当該表意文字の輪郭線に対応するように保護シート53の表面に転写紙の着色成分を転写する工程(図16の工程206C)と、保護シート53に転写された輪郭線に沿って保護シート53を切断し、当該輪郭線によって囲まれた領域を切り取る工程(図16の工程206D)とを有する。
【0074】
工程206について、図18を参照して具体的に説明する。まず、工程206Aにおいて、可撓性のシート部材である保護シート53を、ガラス製品本体51の底面52側から貼着する。そして、工程206Bにおいて、転写紙54を、保護シート53を間に挟んで底面52側に設置する。そして、表意文字記入枠26を、転写紙54および保護シート53を間に挟み、ガラス製品51の底面52の位置と略一致するように設置する。そして、工程206Cにおいて、図9に示す輪郭線31をなぞり、この輪郭線31に相当する線を保護シート53上に転写する。そして、工程206Dにおいて、例えばカッターのような用具を用いて、保護シート53上に転写された輪郭線31に沿って保護シート53を切断し、当該輪郭線31によって囲まれた輪郭線領域32を保護シート53から切り取る。このようにして、表意文字記入枠26に描かれた表意文字が、ガラス製品本体51に貼着された保護シート53に、切り取り領域として忠実に転写されることとなる。
【0075】
次いで、製造者側において、輪郭線31に囲まれた領域32に、他の領域と区別し得る識別痕を形成する(工程207)。本実施形態においては、表意文字に相当する識別痕を形成するために、ガラス製品本体51における保護シート53の切り取り領域に相当する領域に対して傷加工を施す。この傷加工としては、例えばサンドブラスト加工を適用可能である。サンドブラスト加工等によってガラス製品本体51の底面52に対して傷加工を施すと、ガラス製品本体51における切り取り領域に対して、微細な傷が無数に設けられることとなる。しかしながら、それ以外の領域は、保護シート53によって傷加工から保護されるために、傷が設けられることがない。これにより、ガラス製品本体51の底面52に、識別可能な表意文字を、忠実に再現することができる。図19に、完成した表意文字入りガラス製品61を示す。本実施形態においては、ガラス製品61の底面52に、いわゆるスモークガラス状の表意文字62が描き込まれることとなる。
【0076】
次いで、製造者側において、製造された表意文字入りガラス製品61を包装し(工程109)、包装された表意文字入りガラス製品61を、製造者から消費者へと渡す(工程110)。こうして、消費者は、自己の発意に係る表意文字62が描き込まれた表意文字入りガラス製品61を、実質的な製造工程に携わることなく、簡単に入手することができる。
【0077】
このように、本実施形態によれば、表意文字入りガラス製品61の製造工程が、消費者側と製造者側とによって分担され、且つ、消費者が担う工程は、注文シート21に表意文字を書き込む工程104のみとなっている。そして、熟練した製造技術を有する製造者側において、消費者の手によって描かれた表意文字を、ガラス製品本体51に転写する工程206,207が行われる構成となっている。すなわち、この構成によれば、消費者は、表意文字を注文シート21に記載するという極めて簡単な作業を行うことによって、自らの筆跡による表意文字が忠実に転写された表意文字入りガラス製品61を入手することが可能となる。
【0078】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、消費者側にて任意に描かれた表意文字を、製造者側にて製品に忠実に転写することができる表意文字入り製品の製造方法を提供するものであって、焼き物やガラス製品等の製造分野に有利に利用される。
【符号の説明】
【0080】
11 焼き物本体、12 底部、13 側壁部、14 底部凹部、21 注文シート、22 消費者情報記入欄、23 焼き物型記入欄、24 下地装飾記入欄、25 釉薬記入欄、26 表意文字記入枠、27 包装記入欄、31 輪郭線、32 輪郭線領域、33 枠部材、34 透明シート、35 包装部材、41 表意文字入り焼き物、42,62 表意文字、51 ガラス製品本体、52 底面、61 表意文字入りガラス製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陶磁器製品を包装する方法において、
陶磁器製品を準備する工程と、
中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する第1の包装部材を準備する工程と、
中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼りつけられた可撓性の透明シートとを有する第2の包装部材を準備する工程と、
前記第1の包装部材の透明シートと、前記第2の包装部材の透明シートとによって、前記陶磁器製品を両側から挟み込む工程と、
前記陶磁器製品を両側から前記透明シートによって挟み込んだ状態で、前記第1の包装部材の枠部材と、前記第2の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程とを備える、陶磁器製品の包装方法。
【請求項2】
前記枠部材は四角形状である、請求項1に記載の陶磁器製品の包装方法。
【請求項3】
前記陶磁器製品は、底部の下面から内方へ凹むように設けられた底部凹部を有し、
前記底部凹部には、表意文字が書き込まれている、請求項1または2に記載の陶磁器製品の包装方法。
【請求項1】
陶磁器製品を包装する方法において、
陶磁器製品を準備する工程と、
中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼り付けられた可撓性の透明シートとを有する第1の包装部材を準備する工程と、
中抜きの枠部材と、当該枠部材に貼りつけられた可撓性の透明シートとを有する第2の包装部材を準備する工程と、
前記第1の包装部材の透明シートと、前記第2の包装部材の透明シートとによって、前記陶磁器製品を両側から挟み込む工程と、
前記陶磁器製品を両側から前記透明シートによって挟み込んだ状態で、前記第1の包装部材の枠部材と、前記第2の包装部材の枠部材とを互いに連結する工程とを備える、陶磁器製品の包装方法。
【請求項2】
前記枠部材は四角形状である、請求項1に記載の陶磁器製品の包装方法。
【請求項3】
前記陶磁器製品は、底部の下面から内方へ凹むように設けられた底部凹部を有し、
前記底部凹部には、表意文字が書き込まれている、請求項1または2に記載の陶磁器製品の包装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【公開番号】特開2013−35598(P2013−35598A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29846(P2012−29846)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2011−175238(P2011−175238)の分割
【原出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(502342037)株式会社ゆう工房 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2011−175238(P2011−175238)の分割
【原出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(502342037)株式会社ゆう工房 (2)
【Fターム(参考)】
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