説明

階層化二次元コードおよびその作成方法、並びにその読取方法

【課題】複数階層からなる二次元コードを所定の関連付けにより統合して1つの二次元コードとして表現することで、コード面積を増加させずにコードのデータ容量を大幅に向上させることができる階層化二次元コードおよびその作成方法、並びにその読取方法を提供する。
【解決手段】情報セル(2a’、2a’’等)が二次元マトリクス状に配列された複数のコード層(例えばコード層1,2,3)を積層し、この複数のコード層を統合した表面層として形成され、該表面層の一部に、それぞれのコード層毎のRGB値の情報と、表面層情報セルを構成するコード層の情報(Z軸情報)とを電気通信回線を介して接続されたサーバーから取得するためのサーバー接続情報が含まれ、表面層情報セル2aの色は、コード層1,2において該2aに対応する位置に情報セル(2a’および2a’’)が重なっている場合は、コード層1,2の色を加法混色した色とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルがマトリクス状に配置された二次元コードを積層化した階層化二次元コードに関し、特に階層情報をコード内に内包する非ネット接続型の階層化二次元コードおよび階層情報をサーバーより取得するネット接続型の階層化二次元コードに関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードは、読み取りが速く正確である等の特長から広く普及しており、種々の物品等に、商品管理や製造管理等の情報を表したバーコードが付されている。このようなバーコードは、情報を一方向に配置した一次元のバーコードと、情報を縦横の二方向に配置して一次元バーコードより情報量を増やした二次元のバーコードである二次元コードとがある。一次元のバーコードは、以前より主に必要情報量が少ない流通商品等に付されている。これに対し、二次元コードは、多くの情報を小さなスペースに収納できる利点がある上、近年の携帯電話等の発達により個人での読取認識が容易となっていることから、急激に普及が進んでおり、情報雑誌、パンプレットに付されること、または画面上に表示されること等で利用されている。格納される情報としては、例えば、テキスト情報、インターネットのアドレス情報等が挙げられる。
【0003】
二次元コードとしては、Code49(Intermec社(米国))、PDF417(Symbol Technologies社(米国))、VeriCode(VERITEC社(米国))、DataMatrix(I.D.MATRIX社(米国))、QRコード(デンソー(日本))等が開発・発表されている。上記二次元コードのうち、Code49およびPDF417等は、従来のバーコードを積み上げた形のコードであり、スタック型二次元コードと呼ばれている。これに対して、QRコード、VeriCodeおよびDataMatrix等は、基盤の目のような形をしたコードであり、マトリックス型二次元コードと呼ばれている。この中で、デンソー(株)により開発・発表されたQR(Quick Response)コードが、 国内で最も浸透し利用されている二次元コードである(特許文献1等参照)。
【0004】
QRコードを構成する最小の単位(白黒の正方形)はセルと呼ばれる。セルの組み合わせでQRコードは表され、位置検出パターン(切り出しシンボル)と、タイミングパターン、誤り訂正レベルやマスク番号などの情報を持ったフォーマット情報、データおよび誤り訂正符合(リードソロモン符号)から構成されている。QRコードの特徴としては、既存のバーコードと比較して、同じ情報量なら30分の1のスペースで表現可能である。また、3箇所の切り出しシンボルによって、360度どの方向からでも読み取ることができる。該切り出しシンボルとは、QRコードの3コーナーに配置される3個(マイクロQRは1個)の位置検出用パターンのことである。まず、このパターンを検索することでQRコードの位置を認識することができ、高速な読み取りを可能にしている。また、QRコードは、データ領域面積の30%が汚れたり、欠損した場合でも、データを復元して識別することができる。また、データ復元のためのデータは、誤読を防ぐことにもなり、間違ったデータを出力しないという効果もある。
【0005】
上記QRコード等の二次元コードは、一次元のバーコードより情報量が多いが、携帯電話等のカメラで認識できるコードサイズでは、その情報容量はインターネットのアドレス情報程度であり、テキスト長文や画像自体の情報等の大容量の情報は内包することができない。このような問題に対し、二次元コードの容量を増加させるため、例えば二次元コードのデータ表示色として「白」、「黒」、「赤」、「緑」、「青」を用いたカラー二次元コード等が開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献2のようなカラー二次元コードの場合では、色数が少ないためデータ容量に限界があるという問題がある。また、二次元表面的にセルの色を判定してデータ化するため、色数が増えた分だけ各セルのデータ値が増加するのみであり、データ容量の大幅な増加は望めないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2938338号公報
【特許文献2】特開2004−234318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、複数階層からなる二次元コードを所定の関連付けにより統合して1つの二次元コードとして表現することで、コード面積を増加させずにコードのデータ容量を大幅に向上させることができる階層化二次元コードおよびその作成方法、並びにその読取方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る階層化二次元コードは、情報セルが二次元マトリクス状に配列されたコード層を複数積層し、該複数のコード層を統合した表面層として形成される階層化二次元コードであって、上記複数のコード層は、各コード層毎に決められた所定色の情報セルで構成され、上記表面層は、上記各コード層を重ね合わせて得られる配列の表面層情報セルからなり、該表面層の一部または該階層化二次元コードの読取手段内に、該読取手段が上記各コード層毎の所定色の情報および上記表面層情報セルを構成するコード層の情報を電気通信回線を介して接続された所定のサーバーから取得するためのサーバー接続情報が含まれ、
上記表面層情報セルの色は、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在して重なっているときは、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色であり、単一のコード層においてのみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、該単一のコード層の色であることを特徴とする(以下、ネット接続型の階層化二次元コードと称す)。
なお、ここで「表面層情報セルを構成するコード層の情報」とは、各表面層情報セルが、いずれのコード層から構成されているかを示す情報である。
【0010】
請求項2に係る階層化二次元コードの作成方法は、上記請求項5に係る階層化二次元コードの作成方法であって、上記コード層の数および各コード層の色を決定するステップと、コード化の対象となる情報を各コード層に振り分けて各コード層の情報セル配列を決定するステップと、各コード層を所定の順序で積層して表面層を形成する積層ステップと、上記コード層の数、各コード層の色、および各表面層情報セルを構成するコード層の情報を電気通信回線を介して接続された上記所定のサーバーに登録するステップとを備えてなり、
上記積層ステップは、上記各コード層を重ね合わせて上記表面層を構成する表面層情報セルの配列を決定するとともに、該表面層情報セルの色を、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在して重なっているときは、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色とし、単一のコード層においてのみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、該単一のコード層の色とするステップであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る階層化二次元コードの読取方法は、上記請求項5に係る階層化二次元コードの読取方法であって、該階層化二次元コードを構成する色階調を認識可能なコード認識装置を少なくとも有する読取手段を用いて、表面層のコードを認識するステップと、電気通信回線を介して接続された上記サーバーにアクセスして上記コード層の数、各コード層毎の色を表わすRGB値、および各表面層情報セルを構成するコード層の情報を取得するステップと、各表面層情報セルの色を表わすRGB値を取得するステップと、該表面層を各コード層に階層分けする階層分けステップと、上記階層分けにより得られた各コード層の情報セル配列から得られる情報を統合して、コード化の対象となった元情報を復元するステップとを備えてなり、
上記階層分けステップは、上記表面層情報セルの色を表わすRGB値が上記複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値であるときは、上記所定のサーバーから得られる各表面層情報セルを構成するコード層の情報に基づき、該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するコード層を判断し、上記表面層情報セルの色を表わすRGB値が上記複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値でないときは、加法混色により該RGB値となる複数のコード層を求め、該複数のコード層における該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断することで表面層を各コード層に階層分けするステップであることを特徴とする。
【0012】
また、上記表面層の一部に、所定の基準色セルが含まれることを特徴とする。
【0013】
別の態様の階層化二次元コードは、情報セルが二次元マトリクス状に配列されたコード層を複数積層し、該複数のコード層を統合した表面層として形成される階層化二次元コードであって、上記複数のコード層は、各コード層毎に決められた所定色の情報セルで構成され、上記表面層は、上記各コード層を重ね合わせて得られる配列の表面層情報セルからなり、該表面層の一部に、上記各コード層毎の所定色の情報を少なくとも含むインデックス情報コードが含まれ、
上記表面層情報セルの色は、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在して重なっているときは、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色であり、単一のコード層においてのみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、該単一のコード層の色であり、上記加法混色した色が上記複数のコード層の色のいずれかと同色であるときは、該加法混色した色を所定の変換アルゴリズムに従い変換した色とすることを特徴とする(以下、非ネット接続型の階層化二次元コードと称す)。
【0014】
上記変換アルゴリズムは、上記加法混色した色を表わすRGB値を、HSB値に変換した後、さらに該HSB値をRGB値に変換した色とすることを特徴とする。
【0015】
この態様の階層化二次元コードの作成方法は、上記階層化二次元コードの作成方法であって、上記コード層の数および各コード層の色を決定するステップと、コード化の対象となる情報を各コード層に振り分けて各コード層の情報セル配列を決定するステップと、各コード層を所定の順序で積層して表面層を形成する積層ステップと、上記各コード層毎の色の情報を少なくとも含むインデックス情報コードを表面層の一部に形成するステップとを備えてなり、
上記積層ステップは、上記各コード層を重ね合わせて上記表面層を構成する表面層情報セルの配列を決定するとともに、該表面層情報セルの色を、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在して重なっているときは、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色とし、単一のコード層においてのみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、該単一のコード層の色とし、上記加法混色した色が上記複数のコード層の色のいずれかと同色であるときは、該加法混色した色を所定の変換アルゴリズムに従い変換した色とするステップであることを特徴とする。
なお、本発明において色を決定するとは、該色を表わすRGB値を決定することをいう。
【0016】
この態様の階層化二次元コードの読取方法は、上記階層化二次元コードの読取方法であって、該階層化二次元コードを構成する色階調を認識可能なコード認識装置を少なくとも有する読取手段を用いて、表面層のコードを認識するステップと、上記インデックス情報コードを読み取り、各コード層毎の色を表わすRGB値を取得するステップと、各表面層情報セルの色を表わすRGB値を取得するステップと、該表面層を各コード層に階層分けする階層分けステップと、上記階層分けにより得られた各コード層の情報セル配列から得られる情報を統合して、コード化の対象となった元情報を復元するステップとを備えてなり、
上記階層分けステップは、上記表面層情報セルの色を表わすRGB値が上記複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値であるときは、該コード層のみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断し、上記表面層情報セルの色を表わすRGB値が上記複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値でないときは、加法混色により該RGB値となる複数のコード層を求め、該複数のコード層における該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断し、上記表面層情報セルの色を表わすRGB値が所定の変換アルゴリズムに従い変換した色であるときには、該変換アルゴリズムの逆変換により該RGB値となる複数のコード層を求め、該複数のコード層における該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断することで表面層を各コード層に階層分けするステップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
ネット接続型の階層化二次元コードは、所定色のコード層を積層して得られるので、データ容量を大幅に増加させることができる。例えばコード層の数が256である場合には、同じサイズの従来の二次元コードの256倍のデータ容量となる。 また、コード層の色および表面層情報セルを構成するコード層の情報を外部の所定のサーバーから取得するので、上記非ネット接続型の階層化二次元コードと比較して、より多くのコード層を持たせることができる。
読取対象となる表面層における表面層情報セルの色は、該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色であるので、該表面層情報セルの配列およびその色を認識することで、それぞれの所定色を有するコード層における情報セルの配列を決定することができる。特にこのネット接続型では、階層数を多くできるので、加法混色により表現される表面層の色数自体は少なくなり、コードの認識率が向上する。
また、加法混色では、表面層情報セルの色がいずれかのコード層と同色になる場合も想定されるが、該ネット接続型では、このような表面層情報セルがいずれのコード層から構成されているかの情報を所定のサーバーより取得できるので、問題なく階層分けできる。
【0018】
ネット接続型の階層化二次元コードの作成方法は、データ容量を非ネット接続型よりもさらに増加させた上記階層化二次元コードを作成できる。また所定のサーバーに各表面層情報セルを構成するコード層の情報等を登録することで、表面層情報セルの色がいずれかのコード層と同色になる場合も色変換を行なう必要がない。
【0019】
ネット接続型の階層化二次元コードの読取方法は、データ容量を大幅に増加させた上記階層化二次元コードを、携帯電話上で動作する読込アプリ(ソフトウェア)等の読取手段上で逆変換等の計算なしに読み取ることができる。
【0020】
上記表面層の一部に、所定の基準色セルが含まれるので、該基準色セルの色を基準色としてコード認識装置で認識した色を補正することにより、コード配列およびそのカラーの認識率を向上させることができる。
【0021】
非ネット接続型の階層化二次元コードは、所定色のコード層を積層して得られるので、コード面積を増加させずにデータ容量を大幅に増加させることができる。例えばコード層の数が8である場合には、同じサイズの従来の二次元コードの8倍のデータ容量となる。また、情報の各コード層へのコード化は、既存の二次元コードの作成方法を利用できるため、別途アルゴリズム等が必要とならず簡易である。
表面層の一部に、上記各コード層毎の所定色の情報を少なくとも含むインデックス情報コードが含まれるので、携帯電話上等で動作する読込アプリ(ソフトウェア)等の読取手段単独で、該インデックス情報コードを参照してデータのデコードができる。なお、デコードは、通常の二次元コードと比較して簡易な数値計算が追加されるのみであり、容易かつ迅速に行なうことができる。
また、本発明の階層化二次元コードは、従来の二次元コードと同一面積のコードで、数倍のデータ量を包含することができ、データ量の圧縮技術の一環としても利用可能である。
【0022】
読取対象となる表面層における表面層情報セルの色は、該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色であるので、該表面層情報セルの配列およびその色を認識することで、それぞれの所定色を有するコード層における情報セルの配列を決定することができる。
また、加法混色では、表面層の表面層情報セルの色が、いずれかのコード層と同色になる場合も想定されるが、該場合には所定の変換アルゴリズムにより変換した色を用いることで、これを防止できる。なお、表面層の表面層情報セルの色が、いずれかのコード層の色と同色になった場合、該表面層情報セルに対応する位置については、該コード層にのみ情報セルが存在するのか、複数のコード層に存在しているのかが判別できないという問題があるが、本発明では上記構成でこれを解消している。
【0023】
所定の変換アルゴリズムとして、加法混色したRGB値(R:赤、G:緑、B:青)を、HSB値(H:色相、S:彩度、B:明度)を介して再度RGB値に変換するので、既存アルゴリズムを利用した容易な計算で、表面層の表面層情報セルの色が、いずれかのコード層の色と同色になることを防止できる。また、逆変換により元のコード層のRGB値を容易に求めることができる。
【0024】
非ネット接続型の階層化二次元コードの作成方法は、データ容量を大幅に増加させた上記階層化二次元コードを作成できる。
【0025】
非ネット接続型の階層化二次元コードの読取方法は、データ容量を大幅に増加させた上記階層化二次元コードを、携帯電話上で動作する読込アプリ(ソフトウェア)等の読取手段単独で読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】非ネット接続型の階層化二次元コードの概要図である。
【図2】非ネット接続型の階層化二次元コードにおける表面層とコード層との関係を示す図である。
【図3】加法混色および変換アルゴリズムを用いた表面層情報セルの色変換方法を示す図である。
【図4】非ネット接続型の階層化二次元コードの作成方法のフローチャート図である。
【図5】非ネット接続型の階層化二次元コードの読取方法のフローチャート図である。
【図6】ネット接続型の階層化二次元コードの概要図である。
【図7】ネット接続型の階層化二次元コードにおける表面層とコード層との関係を示す図である。
【図8】加法混色を用いた表面層情報セルの色変換方法を示す図である。
【図9】ネット接続型の階層化二次元コードの作成方法のフローチャート図である。
【図10】ネット接続型の階層化二次元コードの読取方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の非ネット接続型の階層化二次元コードの概要を図1および図2を参照して説明する。図1は非ネット接続型の階層化二次元コードの概要図を、図2は非ネット接続型の階層化二次元コードにおける表面層とコード層との関係を示す図である。
本発明の非ネット接続型の階層化二次元コード1は、図2に示すような情報セル1a’(1a’’)が二次元マトリクス状に配列された複数のコード層(図2においては、コード層1、コード層2およびコード層3)を積層し、この複数のコード層を統合した表面層として形成される。
複数のコード層は、各コード層毎に決められた所定色の情報セル、例えばコード層1は(RGB=0,255,0)、コード層2は(RGB=255,0,0)、コード層3は(RGB=0,0,255)の情報セルで構成される。
表面層は、これらのコード層を重ね合わせて得られる配列の表面層情報セル1aからなり(図2参照)、該表面層の一部に、それぞれのコード層毎の上記RGB値の情報を少なくとも含むインデックス情報コード1cが含まれる。
表面層情報セル1aの色は、図2に示すように、コード層1およびコード層2において該1aに対応する位置に情報セル(1a’および1a’’)が重なっている場合は、コード層1の色とコード層2の色とを加法混色した色とする。すなわち、コード層1は緑(RGB=0,255,0)、コード層2は赤(RGB=255,0,0)であるので、表面層情報セル1aの色は黄(RGB=255,255,0)となる。なお、単一のコード層においてのみ表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、情報セルの重なりがないので、その単一のコード層の色とする。
【0028】
階層化二次元コード1は、図1に示すように所定の基準色セル1bが該コードの4隅に設けられている。基準色セル1bの色は、コード作成者が任意に決定できる。例えば図中左下から時計周りに、青(RGB=0,0,255)、緑(RGB=0,255,0)、赤(RGB=255,0,0)、黒(RGB=0,0,0)とする。また、各基準色の色階調情報等を必要に応じて含めることができる。
【0029】
上述したように、もし表面層の表面層情報セルの色が、いずれかのコード層の色と同色になると、該表面層情報セルに対応する位置において、該コード層にのみ情報セルが存在するのか、または、複数のコード層に存在しているのかが判別できないという問題がある。この問題に対処するため、加法混色した色が複数のコード層の色のいずれかと同色となった場合には、該加法混色した色を所定の変換アルゴリズムに従い変換した色とする。
図3を参照して、変換アルゴリズムを用いた表面層情報セルの色変換方法を説明する。なお、図3において、表示色とは表面層情報セルの色を、階層とはコード層をそれぞれ意味する。図3の(a)〜(e)のすべての場合で、加法混色した色は、印刷または表示上においては黄でしか表現されない。これは、表現できるRGBのそれぞれの最大値が決まっている(max255)ためである。しかしながら、そのコード層に着目すると、図3の(a)は黄(RGB=255,255,0)のコード層のみが存在するのに対し、(b)では緑と赤(加法混色:RGB=255,255,0)、(c)では黄と赤(加法混色:RGB=510,255,0)、(d)では緑と黄(加法混色:RGB=255,510,0)、(e)では緑と黄と赤(加法混色:RGB=510,510,0)のコード層が積層されている。単に加法混色したものを印刷または表示する場合では、この(a)〜(e)の場合を区別できないので、該加法混色した色(RGB値)を所定の変換アルゴリズムにより他の色(RGB値)に変換する。
【0030】
所定の変換アルゴリズムとしては、変換後のRGB値を元の各コード層のRGB値に逆変換できるアルゴリズムであれば任意のものを使用できる。このようなアルゴリズムとしては、既存の色変換方法であるRGB値とHSB値とを相互変換する方法等が挙げられる。
図3においては、各コード層のRGB値を加法混色して、これをHSB値に変換し、さらに該HSB値をRGB値に変換して表面層情報セルの色としている。例えば(b)の場合では、第1階層(RGB=0,255,0)と第2階層(RGB=255,0,0)とからなり(加法混色:RGB=255,255,0)、これをHSB値に変換すると、HSB=120,100,51となり、さらにRGB値に変換するとRGB=0,129,0となり、これが表面層情報セルの色となる。
【0031】
以上のように本発明の非ネット接続型の階層化二次元コードは、複数の二次元コード(コード層)を積層化したものであり、各コード層毎の所定色の情報もインデックス情報コードとして含まれるので、図1に示すように携帯電話等の読取手段3上で動作する読込アプリ(ソフトウェア)等により、単独でデータのデコードができる。
【0032】
本発明の非ネット接続型の階層化二次元コードの作成方法を図4を参照して説明する。図4は非ネット接続型の階層化二次元コードの作成方法のフローチャート図である。
コード化の対象となる情報を収納するのに必要なデータ容量を計算する(S1)。該データ容量を考慮し、コード層の数および各コード層の色(RGB値)を決定する(S2)。各コード層の色は任意に決定することができる。色変換アルゴリズム等の処理負担を軽減できることから、各コード層の色は、複数のコード層の色を加法混色した色が、いずれかのコード層と同色になる可能性が少ない組み合わせの色とすることが好ましい。
特定のコード層に情報を振り分ける場合は、該コード層を指定する(S3)。コード層指定がある場合には、指定されたコード層にデータを分割してコード化して収める(S5)。コード層指定がない場合には、コード層に順にデータを分割してコード化して収める(S4)。なお、各コード層への情報振り分け時において、後述するインデックス情報コードを形成する位置にはデータを振り分けず、スペースを確保しておく。以上までのステップにより、各コード層の情報セル配列が決定する(S6)。
コード化においては、既存の任意の二次元コード化方法を採用することができる。国内での普及率に優れていること等から、QRコードベースとすることが好ましい。このように本発明では、情報の各コード層へのコード化については、既存の二次元コード化方法を利用できるため、別途アルゴリズム等が必要とならず簡易である。
【0033】
得られた各コード層を積層して表面層を形成する(S7)。表面層における表面層情報セルの配列は、上記図2に示すようにコード層を重ね合わせることで決まる。複数のコード層の同一位置に情報セルが重なっていないかどうかを判定する(S8)。複数のコード層において表面層情報セルに対応する同一位置に情報セルが存在しており、重なっている場合には、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色する(S9)。単一のコード層においてのみ表面層情報セルに対応する同一位置に情報セルが存在しており、重なっていない場合には、表面層情報セルの色を該単一のコード層の色とする(S10)。
(S9)において加法混色した色が複数のコード層の色のいずれかと同色であるかどうかを判定する(S11)。同色である場合は、加法混色した色を所定の変換アルゴリズム(例えば、図3に示すRGB値とHSB値とを相互変換する方法)に従い変換して、該変換色を表面層情報セルの色とする(S12)。同色でない場合は、上記加法混色した色をそのまま表面層情報セルの色とする(S13)。以上の(S7)〜(S13)までのステップが非ネット接続型の階層化二次元コードにおける積層ステップである。
【0034】
表面層の一部に、上記(S2)で決定した各コード層毎の色の情報を少なくとも含むインデックス情報コードを形成する(S14)。コード層毎の色の情報の他には、変換アルゴリズムパターンを示すインデックス情報等も含めることができる。また、必要に応じて表面層の一部に、図1に示すように所定の基準色セル等を形成する。
以上のステップにより、表面層情報セルの配列、色、その他コード部分が決定し、階層化二次元コードである表面層が完成する(S15)。該階層化二次元コードは、印刷媒体に印刷する、または、画像表示装置上に表示する等して出力する(S16)。画像表示装置上に表示する場合では、そのままのRGB値で表示することができる。印刷媒体やその他の物品に印刷する場合には、RGB値からCMYK値に変換した後に印刷を行なう。
【0035】
以上の作成方法における各ステップの動作および判定等は、PC(パーソナルコンピュータ)や携帯端末に搭載されたOS(オペレーティングシステム)上で動作するコード作成用ソフトウェア等で行なう。また、表示は画像表示装置を用いて、印刷は印刷装置を用いてそれぞれ行なう。なお、コード層の色、コード層の指定等は上記PC等への入力手段を用いてコード作成者が作成時に適宜入力してもよい。
【0036】
本発明の非ネット接続型の階層化二次元コードの読取方法を図5を参照して説明する。図5は非ネット接続型の階層化二次元コードの読取方法のフローチャート図である。
階層化二次元コードを構成する色階調を認識可能なコード認識装置を少なくとも有する読取手段を用いて、表面層のコードを認識する(S17)。ここで、コードを認識するとは、コードの表面層情報セルの配列および色を数値として認識することをいう。階層化二次元コードが画像表示装置上に表示されているものである場合、該コードをそのままデジタルデータとして読込用ソフトウェア等を用いて認識する。この場合、コードを極めて正確に認識することができる。階層化二次元コードが印刷されているものである場合、CCDカメラ等のコード認識装置によりコードを画像データとして取得した後、読込用ソフトウェア等を用いてAD(アナログ−デジタル)変換してコードを認識する。
階層型二次元コードを読み取るためのコード認識装置としては、コードを読み取り用スキャナ、または、二次元コード読み取りに対応したカメラ付き携帯電話等が挙げられる。本発明の非ネット接続型の階層化二次元コードでは、コード層が8色階層、表面層の色数としては256色程度を想定しているので、スキャナおよびCCDカメラ等のコード認識装置の画素数としては、200万画素以上が好ましい。
【0037】
表面層に所定の基準色セルが設けられている場合は、コード認識時において、まず該基準色セルを認識し、他の表面層情報セルの色は、該基準色から色差を求めて画像補正を行なった後に取得する。
【0038】
表面層のコード認識後、該コード中のインデックス情報コードを読み取り、階層化二次元コードの各コード層毎の色を表わすRGB値を取得する(S18)。各表面層情報セルの色を表わすRGB値を取得する(S19)。この(S19)における各表面層情報セルのRGB値は上記(S17)において取得されてもよい。
以上ステップにより、階層化二次元コードを構成する、各コード層毎の色を表わすRGB値、表面層情報セルの配列およびその色を表わすRGB値が取得される。
【0039】
この表面層を各コード層に階層分けする(S20)。階層分けステップを以下に説明する。
各表面層情報セルにおいて、該表面層情報セルが、(1)単一のコード層の情報セルのみからなっている、(2)複数のコード層の情報セルが重なっておりこれらを加法混色した色となっている、(3)複数のコード層の情報セルが重なっておりこれらを加法混色した色を所定の変換アルゴリズムにより変換した色となっている、のいずれであるかをその色から判断する(S21)。
表面層情報セルの色を表わすRGB値が複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値であるときは、情報セルは重なっておらず、同じ色のコード層のみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断できる(S22、上記(1))。
表面層情報セルの色を表わすRGB値が、複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値でないときであって、複数のコード層のうち、いずれかのコード層の色の加法混色による組み合わせとなるRGB値であるときは、それらのコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断できる(S23、上記(2))。加法混色により、該表面層情報セルの色を表わすRGB値となる複数のコード層を、コード層の色を表わすRGB値の情報に基づいて求める。なお、各コード層の色は固定であるので、該コード層の色を加法混色により組み合わせた色も限定される。
表面層情報セルの色を表わすRGB値が、複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値でないときであって、複数のコード層のうち、いずれかのコード層の色の加法混色による組み合わせとなるRGB値でもないときは、該表面層情報セルは、所定の変換アルゴリズムにより変換した色であることが分かる。
この場合、所定の変換アルゴリズムにより、該表面層情報セルの色を表わすRGB値となる複数のコード層を、コード層の色を表わすRGB値の情報に基づいて該変換アルゴリズムの逆変換により求める。求められたコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断できる(S24、上記(3))。
以上のステップにより表面層の表面層情報セル配列およびその色に基づき、各コード層の情報セル配列が決定され、階層分けされる。
【0040】
上記階層分けステップにより得られた各コード層の情報セル配列から得られる情報を統合する(S25)。該コード化の対象となった元情報を復元する(S26)。各コード層のデコードは、該コードのコード化方法に対応したデコード方法を採用することができる。
【0041】
以上の読取方法における各ステップの動作および判断等は、PCや携帯端末に搭載されたOS上で動作するコード読取用ソフトウェア等で行なう。
【0042】
本発明のネット接続型の階層化二次元コードの概要を図6および図7を参照して説明する。図6はネット接続型の階層化二次元コードの概要図を、図7はネット接続型の階層化二次元コードにおける表面層とコード層との関係を示す図である。
本発明のネット接続型の階層化二次元コード2は、図7に示すような情報セル2a’(2a’’)が二次元マトリクス状に配列された複数のコード層(図7においては、コード層1、コード層2およびコード層3)を積層し、この複数のコード層を統合した表面層として形成される。
複数のコード層は、各コード層毎に決められた所定色の情報セル、例えばコード層1は(RGB=0,255,0)、コード層2は(RGB=255,0,0)、コード層3は(RGB=0,0,255)の情報セルで構成される。
表面層は、これらのコード層を重ね合わせて得られる配列の表面層情報セル2aからなる(図7参照)。また、図6に示すように、ネット接続型では、読取手段3が各コード層毎の所定色の情報および表面層情報セルを構成するコード層の情報(Z軸情報)をIP接続網等の電気通信回線5を介して接続された所定のサーバー4から取得する必要があるので、該表面層にサーバー4への接続情報も含まれる。 また、サーバー4への接続情報を表面層に形成せず、読取手段である読込ソフトウェア内に保存しておくこともできる。なお、該Z軸情報は、作成者6によるコード作成時において電気通信回線5を介してサーバー4に自動的に登録される。
図7に示すように表面層情報セル2aの色は、コード層1およびコード層2において該2aに対応する位置に情報セル(2a’および2a’’)が重なっている場合は、コード層1の色とコード層2の色とを加法混色した色とする。すなわち、コード層1は緑(RGB=0,255,0)、コード層2は赤(RGB=255,0,0)であるので、表面層情報セル2aの色は黄(RGB=255,255,0)となる。なお、単一のコード層においてのみ表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、情報セルの重なりがないので、その単一のコード層の色とする。
【0043】
ネット接続型の階層化二次元コードでは、表面層の表面層情報セルの色が、いずれかのコード層の色と同色になる場合でも、表面層情報セルを構成するコード層の情報をIP接続により所定のサーバーから取得できる。よって、上述の非ネット接続型の場合における変換アルゴリズム等を必要としない。
図8を参照して、加法混色による表面層情報セルの色決定方法を説明する。なお、図8において、表示色とは、表面層情報セルの色を、階層とはコード層を、Z軸情報とは各コード層の色の情報をそれぞれ意味する。上記非ネット接続型と同様に、図8の(a)〜(e)のすべての場合で、加法混色した色は黄でしか表現されない。しかしながら、そのコード層に着目すると、図8の(a)は黄(RGB=255,255,0)のコード層のみが存在するのに対し、(b)では緑と赤(加法混色:RGB=255,255,0)、(c)では黄と赤(加法混色:RGB=510,255,0)、(d)では緑と黄(加法混色:RGB=255,510,0)、(e)では緑と黄と赤(加法混色:RGB=510,510,0)のコード層が積層されている。
このように、表面層情報セルの色が、いずれかのコード層の色と同色になる場合には、サーバーにIP接続し該表面層情報セルを構成するコード層がいずれであるかの情報を取得する。
【0044】
本発明のネット接続型の階層化二次元コードの作成方法を図9を参照して説明する。図9はネット接続型の階層化二次元コードの作成方法のフローチャート図である。
コード化の対象となる情報を収納するのに必要なデータ容量を計算する(S27)。該データ容量を考慮し、コード層の数および各コード層の色(RGB値)を決定する(S28)。各コード層の色は任意に決定することができる。
特定のコード層に情報を振り分ける場合は、該コード層を指定する(S29)。コード層指定がある場合には、指定されたコード層にデータを分割してコード化して収める(S31)。コード層指定がない場合には、コード層に順にデータを分割してコード化して収める(S30)。以上までのステップにより、各コード層の情報セル配列が決定する(S32)。なお、コード化においては、非ネット接続型と同様に、既存の任意の二次元コード化方法を採用することができる。
【0045】
得られた各コード層を積層して表面層を形成する(S33)。表面層における表面層情報セルの配列は、上記図7に示すようにコード層を重ね合わせることで決まる。複数のコード層の同一位置に情報セルが重なっていないかどうかを判定する(S34)。複数のコード層において表面層情報セルに対応する同一位置に情報セルが存在しており、重なっている場合には、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色する(S35)。単一のコード層においてのみ表面層情報セルに対応する同一位置に情報セルが存在しており、重なっていない場合には、表面層情報セルの色を該単一のコード層の色とする(S36)。
(S35)において加法混色した色が複数のコード層の色のいずれかと同色であるかどうかを判定する(S37)。同色である場合は、該表面層情報セルを構成するコード層の情報(Z軸情報)、すなわち構成するコード層の色を表わすRGB値を取得する(S38)。同色でない場合は、上記加法混色した色をそのまま表面層情報セルの色とする(S39)。以上の(S33)〜(S39)までのステップがネット接続型の階層化二次元コードにおける積層ステップである。
【0046】
必要に応じて表面層の一部に、読取手段が各コード層毎の所定色の情報および表面層情報セルを構成するコード層の情報をIP接続網等の電気通信回線を介して接続された所定のサーバーから取得するためのサーバー接続情報用のコードを形成する(S40)。 また、必要に応じて表面層の一部に、図6に示すように所定の基準色セル等を形成する。以上のステップにより、表面層情報セルの配列、色、その他コード部分が決定し、階層化二次元コードである表面層が完成する(S41)。上記(S38)で得られた表面層情報セルを構成するコード層の情報(Z軸情報)を、所定のサーバーにIP接続して登録する(S42)。なお、本発明において「サーバーに登録する」とは、サーバー内のデータ記憶装置に保存することをいう。
該階層化二次元コードは、印刷媒体に印刷する、または、画像表示装置上に表示する等して出力する。画像表示装置上に表示する場合では、そのままのRGB値で表示することができる。印刷媒体やその他の物品に印刷する場合には、RGB値からCMYK値に変換した後に印刷を行なう。
【0047】
以上の作成方法における各ステップの動作(サーバーへの登録含む)および判定等は、PCや携帯端末に搭載されたOS上で動作するコード作成用ソフトウェア等で行なう。また、表示は画像表示装置を用いて、印刷は印刷装置を用いて行なう。なお、コード層の色、コード層の指定等は上記PC等への入力手段を用いてコード作成者が入力してもよい。
【0048】
本発明のネット接続型の階層化二次元コードの読取方法を図10を参照して説明する。図10はネット接続型の階層化二次元コードの読取方法のフローチャート図である。
階層化二次元コードを構成する色階調を認識可能なコード認識装置を少なくとも有する読取手段を用いて、表面層のコードを認識する(S43)。該コードの認識は、上記非ネット接続型の場合と同様である。表面層に所定の基準色セルが設けられている場合は、コード認識時において、まず該基準色セルを認識し、他の表面層情報セルの色は、該基準色から色差を求めて画像補正を行なった後に取得する。
本発明のネット接続型の階層化二次元コードでは、コード層が数万階層、表面層の色数としてはフルカラーまでを想定しているので、スキャナおよびCCDカメラ等のコード認識装置はフルカラーの色階調を読み取り可能なものが好ましい。なお、ネット接続型では画像表示装置上に表示されているものを主に対象としている。
【0049】
表面層のコード認識後、インターネット網等の電気通信回線を介して接続されたサーバーであって、該コードの作成時にZ軸情報を登録したサーバーにIP接続し、すべての表面層情報セル、または、必要な表面層情報セルについての、該表面層情報セルを構成するコード層の情報(Z軸情報)を取得する(S44)。各表面層情報セルの色を表わすRGB値を取得する(S45)。この(S45)における各表面層情報セルのRGB値は上記(S43)において取得されてもよい。
以上ステップにより、階層化二次元コードを構成する、各表面層情報セルについてのZ軸情報、表面層情報セルの配列およびその色を表わすRGB値が取得される。
【0050】
この表面層を各コード層に階層分けする(S46)。階層分けステップを以下に説明する。
各表面層情報セルにおいて、該表面層情報セルが、(1)複数のコード層の情報セルが重なっており加法混色した色となっている、(2)単一または複数のコード層からなっている、のいずれであるかをその色から判断する(S47)。
表面層情報セルの色を表わすRGB値が複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値でないときは、複数のコード層の情報セルが重なっている(上記(1))。この場合、加法混色により、該表面層情報セルの色を表わすRGB値となる複数のコード層を、コード層の色を表わすRGB値の情報に基づいて求める(S48)。
表面層情報セルの色を表わすRGB値が複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値であるときは、 情報セルは重なっておらず同じ色のコード層のみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在する場合と、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在する場合の2通りが考えられる(上記(2))。よって、この場合では、表面層情報セルを構成するコード層の情報(Z軸情報)を参照してコード層を確定する(S49、S50)。
以上のステップにより表面層の表面層情報セル配列およびその色に基づき、各コード層の情報セル配列が決定され、階層分けされる。
【0051】
上記階層分けステップにより得られた各コード層の情報セル配列から得られる情報を統合する(S51)。該コード化の対象となった元情報を復元する(S52)。各コード層のデコードは、該コードのコード化方法に対応したデコード方法を採用することができる。
【0052】
以上の読取方法における各ステップの動作および判断等は、PCや携帯端末に搭載されたOS上で動作するコード読取用ソフトウェア等で行なう。
【0053】
本発明の非ネット接続型およびネット接続型の階層化二次元コードは、紙媒体やプリントできる全ての印刷媒体、画像表示装置上で表示できる全ての電子的画像、金属、ガラス、陶器、プラスチック等の加工表示ができる全ての媒体に付すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の階層化二次元コードは、従来の二次元コードに比べて、コード面積を増加させずにコードのデータ容量を大幅に向上させることができるので、長文や画像等の情報を内包できる大容量の二次元コード(ペーパーメモリー(PM))として広範な産業分野において利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 非ネット接続型の階層化二次元コード
2 ネット接続型の階層化二次元コード
3 読取手段
4 サーバー
5 電気通信回線
6 コード作成者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報セルが二次元マトリクス状に配列されたコード層を複数積層し、該複数のコード層を統合した表面層として形成される階層化二次元コードであって、
前記複数のコード層は、各コード層毎に決められた所定色の情報セルで構成され、前記表面層は、前記各コード層を重ね合わせて得られる配列の表面層情報セルからなり、該表面層の一部または該階層化二次元コードの読取手段内に、該読取手段が前記各コード層毎の所定色の情報および前記表面層情報セルを構成するコード層の情報を電気通信回線を介して接続された所定のサーバーから取得するためのサーバー接続情報が含まれ、
前記表面層情報セルの色は、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在して重なっているときは、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色であり、単一のコード層においてのみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、該単一のコード層の色であることを特徴とする階層化二次元コード。
【請求項2】
請求項1記載の階層化二次元コードの作成方法であって、
前記コード層の数および各コード層の色を決定するステップと、コード化の対象となる情報を各コード層に振り分けて各コード層の情報セル配列を決定するステップと、各コード層を所定の順序で積層して表面層を形成する積層ステップと、前記コード層の数、各コード層の色、および各表面層情報セルを構成するコード層の情報を電気通信回線を介して接続された前記所定のサーバーに登録するステップとを備えてなり、
前記積層ステップは、前記各コード層を重ね合わせて前記表面層を構成する表面層情報セルの配列を決定するとともに、該表面層情報セルの色を、複数のコード層において該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在して重なっているときは、該重なった情報セルが存在するコード層の色を加法混色した色とし、単一のコード層においてのみ該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するときは、該単一のコード層の色とするステップであることを特徴とする階層化二次元コードの作成方法。
【請求項3】
請求項1記載の階層化二次元コードの読取方法であって、
該階層化二次元コードを構成する色階調を認識可能なコード認識装置を少なくとも有する読取手段を用いて、表面層のコードを認識するステップと、電気通信回線を介して接続された前記サーバーにアクセスして前記コード層の数、各コード層毎の色を表わすRGB値、および各表面層情報セルを構成するコード層の情報を取得するステップと、各表面層情報セルの色を表わすRGB値を取得するステップと、該表面層を各コード層に階層分けする階層分けステップと、前記階層分けにより得られた各コード層の情報セル配列から得られる情報を統合して、コード化の対象となった元情報を復元するステップとを備えてなり、
前記階層分けステップは、前記表面層情報セルの色を表わすRGB値が前記複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値であるときは、前記所定のサーバーから得られる各表面層情報セルを構成するコード層の情報に基づき、該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在するコード層を判断し、前記表面層情報セルの色を表わすRGB値が前記複数のコード層の色のいずれかと同じ色を表わすRGB値でないときは、加法混色により該RGB値となる複数のコード層を求め、該複数のコード層における該表面層情報セルに対応する位置に情報セルが存在すると判断することで表面層を各コード層に階層分けするステップであることを特徴とする階層化二次元コードの読取方法。
【請求項4】
前記表面層の一部に、所定の基準色セルが含まれることを特徴とする請求項1記載の階層化二次元コード。

【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175667(P2011−175667A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97481(P2011−97481)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2007−525899(P2007−525899)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(505252551)コンテンツアイディアオブアジア株式会社 (3)
【Fターム(参考)】