説明

階段用手摺

【課題】簡単な構成とできると共に製造効率および組み立て効率の向上を図れ、かつ手摺部材同士を強固に連結できる階段用手摺を提供する。
【解決手段】建物の下階と上階とを連絡する折返し階段1が備えている階段用手摺10であって、下階側に配置された下階階段手摺部材21と、上階側に配置された上階階段手摺部材22と、これらの下階階段手摺部材21および上階階段手摺部材22を連結する連結手摺部材23とを備えて構成する。また、各手摺部材21,22,23を、それぞれ手摺本体部12と、この手摺本体部12の長手方向に沿い且つ裏面側に埋設された補強用中空部材13とで構成する。そして、下階階段手摺部材21と連結手摺部材23、および連結手摺部材23と上階階段手摺部材22とを、それぞれの補強用中空部材13内に挿入固定された係合連結部材により相互に連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は階段用手摺に係り、さらに詳しくは、建物の下階と上階とを連絡する折返し階段に設けられる階段用手摺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物における上下階の往来に用いられる階段には、昇降時の安全のための手摺が設けられている。この階段の形態には様々なものがあるが、2つ以上の階段と踊り場とからなる折返し階段は、設置スペースや昇降時の人への負担等において優れた機能を発揮することができる。
以上のような折返し階段においては、一般に、下階側の階段と上階側の階段とでその設置方向及び高さが異なっていることから、下階側の階段手摺と上階側の階段手摺とをスムーズに連結させるためには、各手摺を連結する連結手摺部の工夫が必要となる。
【0003】
この折返し階段における下階側の階段手摺と上階側の階段手摺とを連結させることにより、階段のみならず踊り場においても昇降時の安全を確保している技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に開示された階段手摺およびその手摺子は、折返し階段における折返しの内側部分の手摺を工夫したもので、下階側に配置する第1の手摺部と、上階側に配置する第2の手摺部とを、連結手摺部で連結したものである。そして、この連結手摺部は、踊り場部分に応じて折れ曲がった折曲部と、この折曲部の一端から上方に延びる立上がり部と、折曲部の他端から下方に延びる垂れ下がり部とで構成されている。そして、以上のような構成としたことで、第1の手摺部分と第2の手摺部部分との高さレベルの差を解消している。
【0004】
また、複数の手摺部材及び連結部材を回動自在に連結する階段用の手摺が知られている(例えば特許文献2参照)。
この特許文献2に開示された階段用の手摺では、下側手摺本体と上側手摺本体とを連結する連結部材が、一方側継ぎ手体の継ぎ手側係合部と他方側継ぎ手体の継ぎ手側係合部とを挟み込むように構成され、挟み込んだときでも、一方側継ぎ手体と他方側継ぎ手体とが回動自在となっている。そして、これにより、下側手摺本体と下側手摺本体との向きが正常となるように調整可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−257232号公報
【特許文献2】特開平10−252235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に開示された階段手摺およびその手摺子では、連結手摺部の形状が、踊り場部分に応じて折れ曲がった折曲部と、この折曲部の一端から上方に延びる立上がり部と、折曲部の他端から下方に延びる垂れ下がり部とで形成されているので形状が非常に複雑なものとなっている。
そのうえ、立上がり部と垂れ下がり部とは、互いに平行に、且つ略垂直になるように曲げ、さらに、折曲部は踊り場部分に応じて曲げなくてはならず、それぞれの部位での曲げ加工が面倒であり、多くの手間が掛かる、という問題がある。
また、階段手摺が第1の手摺部と第2の手摺部とが連結手摺部で連結されており、全体として、途中で方向が変えられ、且つ斜めに形成された1本の部材で形成されているので、持ち運びおよび取り扱いが困難である、という問題も生じている。
【0007】
また、前記特許文献2に開示された階段用の手摺では、一方側継ぎ手体および他方側継ぎ手体に、それぞれ継ぎ手側係合部が設けられ、さらに、介在拡張部材との連結用の嵌合軸部等を設ける等、構造が複雑であり、連結部材の形状も複雑である。そのため、部品点数が多くなり、製造効率および組み立て効率が悪い。
さらに、連結部材で一方側継ぎ手体と他方側継ぎ手体とを挟み込んだときでも両継ぎ手体が回動自在となっているので、強い力が一方側継ぎ手体または他方側継ぎ手体継ぎ手に働いたとき、いずれかの継ぎ手体が回動し不安定な状態を招いてしまう。
また、強い力が一方側継ぎ手体または他方側継ぎ手体継ぎ手に働き、いずれかの継ぎ手体が回動したとき、その部分の投影形状が異なることになり、その結果、手摺全体の外観の統一性を保つことができなくなる、という問題も生じている。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構成とできると共に製造効率および組み立て効率の向上を図れ、かつ手摺部材同士を強固に連結できる階段用手摺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の階段用手摺は、建物の下階と上階とを連絡する折返し階段が備えている階段用手摺であって、前記下階側に配置された下階階段手摺部材と、前記上階側に配置された上階階段手摺部材と、これらの下階階段手摺部材および上階階段手摺部材を連結する連結手摺部材とを備え、前記各手摺部材を、それぞれ、手摺本体部と、この手摺本体部に当該手摺本体部の長手方向に沿い且つ裏面側に埋設された中空部材とで構成し、前記下階階段手摺部材と前記連結手摺部材、および当該連結手摺部材と前記上階階段手摺部材とを、前記それぞれの中空部材内に挿入固定された係合連結部材により相互に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の階段用手摺は以上のように構成されているので、下階階段手摺部材と連結手摺部材、および連結手摺部材と上階階段手摺部材との連結を、それぞれの中空部材内に係合連結部材を挿入することで行える。その結果、係合連結部材があれば各手摺部材を連結できるので簡単な構成とすることができる。
また、係合連結部材のみを製造すればよいので製造効率の向上を図ることができ、さらに、係合連結部材を中空部材内に挿入固定すればよいので組み立て効率の向上を図ることができる。
また、係合連結部材が手摺本体部に埋設された中空部材に挿入固定されるので、手摺部材同士を強固に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る階段用手摺の一実施形態を示し階段用手摺が設けられた折返し階段を示す全体斜視図である。
【図2】図1におけるII矢視図で、折返し階段の平面図である。
【図3】図1におけるIII矢視図で、折返し階段の左側面図である。
【図4】図1におけるIV矢視図で、折返し階段の正面図である。
【図5】前記実施形態の階段用手摺で使用される手摺部材を示す斜視図である。
【図6】前記実施形態の階段用手摺の下階階段手摺部材と連結手摺部材および連結手摺部材と上階階段手摺部材との連結部を示す一部断面の左側面図である。
【図7】図6におけるVII矢視図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線に沿った縦断面図である。
【図9】図6におけるVII矢視で、階段用手摺の下階階段手摺部材と連結手摺部材の第1係合連結部材との連結前の状態を示す分解図である。
【図10】図9におけるX−X線に沿った正面図である。
【図11】前記実施形態の階段用手摺の下階階段手摺部材と連結手摺部材とを連結する第1係合連結部材を示す全体斜視図である。
【図12】前記実施形態の階段用手摺の下階階段手摺部材と連結手摺部材との連結の途中の状態を示す縦断面の分解図である。
【図13】前記実施形態の階段用手摺の連結手摺部材と上階階段手摺部材との連結状態を示す縦断面図である。
【図14】前記実施形態の階段用手摺における連結手摺部材の水平部材と立ち上がり部材とを連結する途中の状態を示す縦断面の分解図である。
【図15】図12の状態を立体的に見た斜視図である。
【図16】前記実施形態の階段用手摺の連結手摺部材の水平部材と立ち上がり部材とを連結する第2係合連結部材を示す全体斜視図である。
【図17】前記実施形態の階段用手摺の連結手摺部材と上階階段手摺部材との連結作業の途中を示す縦断面の分解図である。
【図18】前記実施形態の階段用手摺の下階階段手摺部材と下り手摺部材との連結状態を示す一部断面の側面図である。
【図19】前記実施形態の階段用手摺の下階階段手摺部材と下り手摺部材とを連結する途中の状態を示す縦断面図である。
【図20】前記実施形態の階段用手摺の下階階段部近傍における面材、手摺支柱、支柱用取付け板および階段の踏板との相互関係を示す側面図である。
【図21】前記実施形態の階段用手摺の折返し階段における下階段部の上端部と踊り場との関係を示す側面図である。
【図22】前記実施形態の階段用手摺の折返し階段における上階段部の下端部と踊り場の関係を示す一部断面の側面図である。
【図23】前記実施形態の階段用手摺の手摺支柱と踏板との取り付け状態を示す分解斜視図である。
【図24】本発明の変形形態を示し、下階階段手摺部材と連結手摺部材との連結状態を下階階段手摺部材と連結手摺部材との下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る階段用手摺の一実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0013】
図1〜図4には、本実施形態の階段用手摺10が適用された折返し階段1の全体が示されている。
折返し階段1は、建物の下階部と上階部との往来用に設置されており、下階階段部3と上階階段部4、およびこれらの下階階段部3と上階階段部4との間に設けられた踊り場5とを備えて構成されている。
そして、このような折返し階段1には上記階段用手摺10が設けられている。
【0014】
上記踊り場5は、下階階段部3における最上段の踏板60の上方に設けられた下階側踊り場5Aと、この下階側踊り場5Aから1段分高くなると共に、上階階段部4の1段目の踏板60に向かう上階側踊り場5Bとで構成されている。そして、両踊り場5A,5Bは、図2に示すように、それぞれ平面略四角形形状の床面67を有している。
【0015】
階段用手摺10は、折返し階段1の折返し内側に設けられた内側階段用手摺20と、折返し階段1の折返し外側に設けられた外側階段用手摺30とを備えて構成されている。
内側階段用手摺20および外側階段用手摺30は、図5に示すような手摺部材11で構成されている。そして、この手摺部材11は、手摺本体部12と、当該手摺本体部12の長手方向に沿い且つ裏面側に埋設された補強用中空部材13とで構成されている。
【0016】
手摺本体部12は、その全体が例えば木目調に形成されており、また、断面形状が略蒲鉾状に形成されている。そして、その底面部には、手摺本体部12の長手方向に沿った凹状の溝12Aが形成されている。
そして、この溝12A内に上記補強用中空部材13が予め嵌め込まれ、これにより、両者12,13は一体構造となっている。補強用中空部材13は、例えばアルミニウム押出形材を使用し断面四角パイプ状に形成されている。
【0017】
図1に戻って、内側階段用手摺20は、前記下階階段部3に設けられた下階階段手摺部材21と、上階階段部4に設けられた上階階段手摺部材22と、前記踊り場5の領域に設けられ上記下階階段手摺部材21と上階階段手摺部材22同士を連結する連結手摺部材23を備えて構成されている。
【0018】
下階階段手摺部材21は、下階階段部3の最下段の踏板60の上方位置から下階階段部3の最上段の踏板60の上方位置にわたって配置されている。また、下階階段部3に設けられた複数段の踏板60の上面前方側端部同士を結んで形成される傾斜と平行になるように配置されている。
【0019】
下階階段手摺部材21、上階階段手摺部材22および連結手摺部材23は、前述したように、手摺本体部12と補強用中空部材13とからなる手摺部材11で構成されている。
そして、下階階段手摺部材21と連結手摺部材23、および連結手摺部材23と上階階段手摺部材22同士が、上記補強用中空部材13内にそれぞれ挿入された第1〜第3係合連結部材40,41,42により相互に連結されている。
【0020】
図6に示すように、連結手摺部材23は、一端部が下階階段手摺部材21の上端部と連結すると共に他端部側が折返し階段1の踊り場5と平行な水平部材24と、下端部が水平部材24の他端部と連結すると共に上端部が上階階段手摺部材22の下端部と連結する立上がり部材25とで構成されている。
【0021】
水平部材24は、図7に詳細を示すように、下階階段手摺部材21の上端部の延長上に配置される第1部材24Aと、この第1部材24Aの端部から上階階段手摺部材22側に向きが変えられた第2部材24Bとで構成されている。
第1部材24Aと第2部材24Bとは対向面同士が45度の角度に形成され、その対向面同士が接合されたとき第1部材24Aと第2部材24Bとが略直角の向きとなる。
【0022】
以上のような構成の下階階段手摺部材21の上端部と、水平部材24の第1部材24Aおよび第2部材24Bとの連結は、図6〜図11に示すように、係合連結部材である第1係合連結部材40により行われるようになっている。
【0023】
すなわち、第1係合連結部材40は、図11に示すように、板部材で形成されると共に、一辺部40Aと他辺部40Bとで側面形状が略ヘの字状に形成され、且つ一辺部40Aと他辺部40Bとで平面形状がL字状となるように形成されている。
【0024】
このような第1係合連結部材40は、図6に示すように、上記一辺部40Aの他の部位と他辺部40Bとが、上記水平部材24の第1部材24Aおよび第2部材24Bにおける補強用中空部材13の側面一部を切欠いた切欠き部13Bから補強用中空部材13の内部空間13Aに挿入され且つ固定されるようになっている。また、一辺部40Aの一部が下階階段手摺部材21の上端部における補強用中空部材13の内部空間13Aに挿入されて固定されるようになっている。
【0025】
このうち、図6、図11に示すように、また、上述のように、上記一辺部40Aが他辺部40Bに対して傾斜状に形成され、他辺部40Bが平面形状L字状に形成されている。そして、他辺部40Bにおいて一辺部40Aに連続する連続部40Cが前記水平部材24の第1部材24Aに対応し、連続部40Cに対して略直角となった折曲部40Dが第2部材24Bに対応している。
【0026】
第1係合連結部材40の他辺部40Bは、上述のように、平面形状L字状に形成されているため、そのままの状態では、水平部材24の第1部材24Aおよび第2部材24Bにおける補強用中空部材13の内部空間13A内に挿入することができない。
そこで、図7〜図10に示すように、第1部材24Aおよび第2部材24Bにおける補強用中空部材13の一側面(踊り場5側の側面)を、平面形状L字状の他辺部40Bに対応させて切欠き、この切欠き部13Bから第1係合連結部材40の連続部40Cと折曲部40Dとを差し込んだ後、補強用中空部材13の裏面から皿ビス27と、木ネジ28とをねじ込んで固定するようになっている。
【0027】
第1係合連結部材40による下階階段手摺部材21と水平部材24との連結は、図12に示すように、下階階段手摺部材21側に突出した第1係合連結部材40の一辺部40Aに対して、下階階段手摺部材21を対向させると共に、下階階段手摺部材21の補強用中空部材13に第1係合連結部材40の一辺部40Aが挿入するように、下階階段手摺部材21を矢印Dに沿って移動させる。
【0028】
そして、下階階段手摺部材21の補強用中空部材13の内部空間13A内に第1係合連結部材40の一辺部40Aが挿入されたら、皿ビス27と、木ネジ28とをねじ込み、連結手摺部材23の水平部材24と下階階段手摺部材21とを固定する。
これに先立ち、連結手摺部材23と第1係合連結部材40との連結が行なわれている。すなわち、第1係合連結部材40の他辺部40Bの連続部40Cと折曲部40Dとを、水平部材24における補強用中空部材13の切欠き部13Bから挿入した後、皿ビス27と木ネジ28とをねじ込んで第1係合連結部材40の他辺部40Bを固定する。
【0029】
連結手摺部材23を構成する水平部材24の第2部材24Bと、立上がり部材25との連結は、図13〜図15に示すように、係合連結部材である第2係合連結部材41により行なうようになっている。
【0030】
すなわち、第2係合連結部材41は、上記第2部材24Bの補強用中空部材13の内部空間13内に嵌め込まれる固定板41Aと、この固定板41Aの一端部の上面に立設された連結板41Bとで構成され、これら固定板41Aと連結板41Bとで側面視で略L字状、正面視で略逆T字状となっている。
固定板41Aと連結板41Bとは、それぞれ断面積が同じの同一部材で形成されている。そのため、同一部材を適宜切断することで、固定板41Aまたは連結板41Bとして使用することができる。
なお、これらの固定板41Aと連結板41Bとは、補強用中空部材13の裏面からビス29をねじ込んでで、補強用中空部材13と、固定板41Aと、連結板41Bとを固定することで一体化されている。
【0031】
固定板41Aは、図13にも示すように、第2部材24Bの補強用中空部材13の内部空間13A内に嵌め込まれ、且つ固定されるが、連結板41Bは、図13〜図15に示すように、第2部材24Bの補強用中空部材13の他面と手摺本体12とに形成された貫通孔24Dに挿通して第2部材24Bの外部上方に延出している。
【0032】
固定板41Aは、第2部材24Bにおいて第1部材24Aの反対側の端部から補強用中空部材13の内部空間13A内に差し込まれた後、位置決めされ、補強用中空部材13の裏面から皿ビス27と、木ネジ28とにより固定されるようになっている。
その後、連結板41Bが、第2部材24Bの補強用中空部材13の他面と手摺本体12とに形成された貫通孔24Dから差し込まれると共に、その下端縁が固定板41Aの上面に当接され、上記補強用中空部材13の裏面からビねじ込まれたビス29により固定されるようになっている。
【0033】
以上のような第2係合連結部材41の連結板41Bは、図13〜図15に示すように、前記立上がり部材25の補強用中空部材13の内部空間13Aに挿入され、且つ固定されるようになっている。
すなわち、第2部材24Bに固定された連結板41Bに立上がり部材25を、矢印A方向にスライドさせて差し込んだ後、図13に示すように、2本の皿ビス27,27と、木ネジ28とで連結板41Bに立上がり部材25を固定し、これにより、水平部材24と立上がり部材25とが連結される。
【0034】
連結手摺部材23を構成する立上がり部材25と前記上階階段手摺部材22との連結は、図13、図17に示すように、係合連結部材である第3係合連結部材42により行なうようになっている。
すなわち、第3係合連結部材42は、立上がり部材25における補強用中空部材13の内部空間13Aに挿通される一端部42Aと、上階階段手摺部材22の下端部における補強用中空部材13の内部空間13Aに挿通される他端部42Bとを有し、断面ヘの字形状に形成されている。
【0035】
以上のような立上がり部材25と上階階段手摺部材22との連結は、図17に示すように、まず、第3係合連結部材42の一端部42Aを立上がり部材25における補強用中空部材13の内部空間13Aに挿入し、且つ2本の皿ビス27,27と、木ネジ28とで立上がり部材25に固定する。
【0036】
次いで、上階階段手摺部材22側に突出している第3係合連結部材42の他端部42Bに対して、上階階段手摺部材22を矢印B方向に移動させ、当該上階階段手摺部材22の補強用中空部材13の内部空間13Aに他端部42Bを挿入し、その後、上述のようにビス26等で固定し、これにより、連結手摺部材23と上階階段手摺部材22とが連結される。
【0037】
前記下階階段手摺部材20の下端部には、図1、図18に示すように、下り手摺部材26が設けられている。この下り手摺部材26は、下階階段手摺部材20の下端部から建物の下階部の床面66に向かって略垂直に設けられている。
これらの下階階段手摺部材20と下り手摺部材26との連結は、前記第3係合連結部材42により行なうようになっている。
【0038】
すなわち、図18、図19に詳細を示すように、第3係合連結部材42は、下階階段手摺部材20における補強用中空部材13の内部空間13Aに挿通される一端部42Aと、下り手摺部材26における補強用中空部材13の内部空間13Aに挿通される他端部42Bとを有し、断面ヘの字形状に形成されている。
【0039】
そして、以上の下階階段手摺部材20と下り手摺部材26との連結は、まず、図19に示すように、第3係合連結部材42の一端部42Aを下階階段手摺部材20における補強用中空部材13の内部空間13A内に挿入し、且つ2本の皿ビス27,27と、木ネジ28とで下階階段手摺部材20に固定する。
【0040】
次いで、下り手摺部材26側に突出している第3係合連結部材42の他端部42Bに対して、下り手摺部材26を矢印C方向に移動させ、当該下り手摺部材26の補強用中空部材13の内部空間13A内に他端部42Bを挿入し、その後、上述のように皿ビス27等で固定し、これにより、下階階段手摺部材20と下り手摺部材26とが連結されるようになっている。
【0041】
下階階段部3および上階階段部4の折返しの外側には、前述のように、また、図1に示すように、外側階段用手摺30が設けられている。
この外側階段用手摺30は、下階階段手摺部材31、上階階段手摺部材32を備えて構成されている。また、下階階段手摺部材31の上端、および上階階段手摺部材32の下端には、踊り場5と水平となった水平手摺部材33,33がそれぞれ連結されている。さらに、下階階段手摺部材31の下端には、前記下り手摺部材26と同様の構成となった下り手摺部材36が連結されている。
下階階段手摺部材31および上階階段手摺部材32の構造は、前述した下階階段手摺部材21、上階階段手摺部材22と略同一構造である。
【0042】
下階階段手摺部材31の上端に連結された水平手摺部材33の延長方向端部は、図3に示すように、室内の壁100と対向している。
下階階段手摺部材31の上端と水平手摺部材33の一端部との連結は、図示しないが、前述の第3係合連結部材42で行なわれるようになっている。
【0043】
上階階段手摺部材32の下端に連結された水平手摺部材33の延長方向端部も、図3に示すように、室内の壁100と対向している。
そして、この水平手摺部材33の一端部と上階階段手摺部材32の下端との連結は、図示しないが、前記第3係合連結部材42を逆向きに形成した係合連結部材(図略)で行なわれるようになっている。
【0044】
前述した各手摺部材21,22,31,32等は、それぞれ手摺支柱50により支持されている。
手摺支柱50は、図1に示すように、踏板60の2〜3段置きに配置されている。これらの手摺支柱50は、図20に示すように、略角筒状に形成された支柱本体51と、この支柱本体51の下端に設けられ当該支柱本体51を踏板60に固定する支柱用取付け板52と、上記支柱本体51の上端に設けられ当該支柱本体51を各手摺部材21,22,31,32等に固定する固定板53とを備えて構成されている。
【0045】
支柱本体51と支柱用取付け板52との取り付けは、図21に示すように、手摺支柱50の下端に予めあけられたネジ部(図略)に、取り付け板52にあけられた複数のネジ孔52Aから例えば皿小ネジ54をねじ込むことで行われる。
【0046】
一方、踏板60の長さ方向両端且つ裏面には、支柱用取付け板52の幅寸法に対応した凹部60Aが形成されている。さらに、この凹部60Aにおいて踏板60の長さ方向両端一部には、上記支柱本体51を挿通可能とする切欠き部60Bが形成されている。
【0047】
したがって、支柱用取付け板52を踏板60に取付け固定するには、支柱用取付け板52を凹部60A内に嵌め込んだ後、支柱用取付け板52にあけられた複数のネジ孔52Bから例えば皿小ネジ55をねじ込むと共に、それらの皿小ネジ55を踏板60にあけられたネジ孔60Cに螺合させることで行なわれる。
なお、支柱本体51と支柱用取付け板52との取り付けは、まず、支柱用取付け板52を踏板60 に取付け固定した後で、支柱本体51を切欠き部60Bに嵌め込むと共に、その後に支柱本体51を支柱用取付け板52に取り付けてもよい。
【0048】
手摺支柱50と下階階段手摺部材21、上階階段手摺部材22および当該連結手摺部材23との連結は、図18に示すように、手摺支柱50の上端の固定板53を手摺部材21等の前記補強用中空部材13に図示しないビス等で取り付けることで行なわれるようになっている。
【0049】
以上のような手摺支柱50の支柱本体51には、図1、図3、図20に示すように、例えば透明なポリカーボネート材で形成された面材56が取り付けられている。面材56は、略菱形形状に形成され、取付け具57を介して、隣り合う手摺支柱50間にわたって取り付けられている。そのため、折返し階段1を上り下りする際、万が一、下階階段手摺部材21等の手摺支柱50間の隙間からすべり落ちることがあるようなとき、それを防止できる。
取付け具57は、手摺支柱50の上下方向2箇所に設けられ、公知の技術によって面材56をその両面から挟み込むことで固定するようになっている。
【0050】
次に、折返し階段1の階段部について説明する。
前記折返し階段1の階段部60は、図1〜図4に示すように、また、前述したように、前記下階段部3と、上階段部4と、これらの下階段部3および上階段部4を接続する前記踊り場5とを備えて構成されている。
【0051】
なお、この折返し階段1の構造については、本出願人が「階段の構造」として既に出願している(特願2009−134226)ので、階段部分についての説明は簡略化する。
【0052】
下階段部3は、複数の踏板60と、これらの各踏板60を支持する複数の踏板受材61と、各踏板受材61を介して各踏板60の左右幅方向の中央部を支持する1本の桁材62によって構成されている。
ここで、踏板60の左右幅方向とは、階段全体から見た場合の幅方向であり、踏板60自体から見た場合は長手方向に該当するものである。
【0053】
下階段部3の桁材62は、図18に詳細を示すように、下階の床面66に当接固定される下端面から、図19に詳細を示すように、踊り場5の一方側の側端面に当接固定される上端面に向けて下階段部3の傾斜に倣った傾斜角度を有する形状となっている。
【0054】
下階段部3の桁材62の下端部は、図18に示すように、下階の床面66と平行になるように斜めに切断されており、床面66用のサーポートシュー68と、傾斜部62Bの下端部をサーポートシュー68に固定するためのボルト、および、サーポートシュー68を床面66に固定するためのボルトを介して、下階の床面66に固定されている。
【0055】
また、下階段部3の桁材62の上端部は、サポートシュート68等により踊り場5の一方側の側端面に当接固定されるようになっている。
【0056】
下階段部3の踏板60は、左右方向に長い矩形の板状体である。そして、このような踏板60は、その左右幅方向の略中央部で踏板受材61の天面にボルトおよび木ネジ(図略)をねじ込むことで固定されるようになっている。
各々の踏板60と桁材62との接合部分を構成する踏板受材61は、その下面を桁材62の傾斜部の上面で支持され、かつボルトによって傾斜部の上面側に固定されている。
【0057】
桁材62は、不等辺四角形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材で形成され、その幅は桁材62の傾斜部の幅と概ね等しく形成されている。つまり、桁材62の傾斜部62Bは、踏板受材61を介して踏板60の左右幅方向の中央部を支持していることになる。
【0058】
前記上階段部4も、前述した下階段部3と同様、図1に示すように、複数の踏板60と、これらの各踏板60を支持する複数の踏板受材61、および、各踏板受材61を介して各踏板60の左右幅方向の中央部を支持する1本の桁材62を備えて構成されている。
この上階段部4の桁材62は、上階段部4の傾斜に倣った傾斜角度を有する形状となっている。
【0059】
上階段部4の桁材62も、上記下階段部3側の桁材62と同様に、略矩形状の断面を有するアルミ押し出し成形の中空部材で形成されている。
【0060】
また、本実施形態では、踏板受材61を介してその左右幅方向の略中央部を1本の桁材62の傾斜部62Bで支えられた各踏板60の撓みを防止するため、図18〜図20に示すように、高さ方向に隣り合う踏板60,60の間、高さ方向で踊り場5の床面67に隣り合う踏板60と床面67との間、および図1に示すように、下階段部3の最下段の踏板60と下階部の床面66との間が、各踏板60の左右幅方向の両端に配置された連結材70によって相互に連結されている。
【0061】
連結材70の取付状態は、高さ方向に隣り合う踏板60,60のうち、上段側に位置する踏板60において階段の上り方向の手前側(図18、図19中で右側)に位置する左右幅方向の両端部と、下段側に位置する踏板60において階段の上り方向の前方側(図20中で左側)に位置する左右幅方向の両端部とが、連結材70,70によって相互に連結されるようになっている。そして、このような連結材70は、アルミダイキャスト等で成形された一体成形品である。
【0062】
これらの連結材70は、下段側の踏板60の左右両側に固定されている。
その結果、高さ方向に隣り合う踏板60,60同士の連結には、上段側に位置する踏板60の下面側における上り方向の手前側の端部と、下段側に位置する踏板60における上り方向の前方側の縁部のみが利用される。
また、各踏板60の手前側には、それぞれ蹴込み板65が設けられている。
【0063】
次に、本実施形態の階段用手摺10における下階階段手摺部材21と連結手摺部材23との連結、連結手摺部材23と上階階段手摺部材22との連結、および下階階段手摺部材21と下がり手摺部材26との連結手順を説明する。
【0064】
まず、図9、図10、図12に示すように、下階階段手摺部材21と連結手摺部材23の第1部材24Aとを連結する手順を説明する。
【0065】
最初に、第1係合連結部材40の一辺部40Aの一部および他辺部40Bを、図9、図10に示すように、矢印E方向に沿って移動させると共に、第1部材24Aおよび第2部材24Bの補強用中空部材13の切欠き部13Bから差込んだ後、補強用中空部材13の裏面から皿コネジ27,27、木ネジ28をねじ込んで固定する。
【0066】
次いで、第1部材24Aの斜めに切断された一端部を下階階段手摺部材21の上端部に向けると共に、第1部材24Aおよび第2部材24Bの補強用中空部材13の切欠き部13B内に、第1係合連結部材40の他辺部40Bが嵌り込むように位置を合わせ、図7に示すように、矢印A方向に移動させそのまま差し込んで、連結手摺部材23の水平部材24と下階階段手摺部材21との対向面同士を当接させる。
【0067】
次いで、図12に示すように、下階階段手摺部材21側に突出した第1係合連結部材40の一辺部40Aに対して、下階階段手摺部材21を対向させると共に、下階階段手摺部材21の補強用中空部材13に第1係合連結部材40の一辺部40Aが挿入するように、下階階段手摺部材21を矢印Dに沿って移動させる。
そして、下階階段手摺部材21の補強用中空部材13の内部空間13A内に第1係合連結部材40の一辺部40Aが挿入されたら、皿ビス27と、木ネジ28とをねじ込み、連結手摺部材23の水平部材24と下階階段手摺部材21とを固定する。
【0068】
次に、図14、図15に基づいて、連結手摺部材23の第1部材24Aと立上がり部材25とを連結する手順を説明する。
【0069】
連結手摺部材23における第2部材24Bの補強用中空部材13の内部空間13A内には固定板41Aが固定されており、上記第2部材24Bには連結板41Bが立設されている。このような第2部材24Bに対して、立上がり部材25を図14、図15中、矢印Aで示す方向に移動させ、立上がり部材25の補強用中空部材13の内部空間13A内に連結板41Bが嵌り込むように位置を合わせ、立上がり部材25をそのまま差し込んで、第2部材24Bの上面と立上がり部材25の下端とを当接させる。
【0070】
そして、図13に示すように、立上がり部材25の裏面から皿コネジ27,27をねじ込み、さらに木ネジ28をねじ込んで、第2係合連結部材41を連結手摺部材23の立上がり部材25に固定する。
【0071】
今度は、図17に基づいて、連結手摺部材23における立上がり部材25と上階階段手摺部材22との連結手順を説明する。
立上がり部材25の上端部から第3係合連結部材42の一端部42Aを立上がり部材25の補強用中空部材13の内部空間13Aに差込み、皿コネジ27,27で両者25,22を固定すると共に、木ネジ28をねじ込んで、第3係合連結部材42を立上がり部材25に固定する。
【0072】
その後、上階階段手摺部材22の斜めに切断された一端部を立上がり部材25の上端部に向けると共に、上階階段手摺部材22の補強用中空部材13の内部空間13Aに第3係合連結部材42の他端部42Bが嵌り込むように位置を合わせ、矢印B方向に移動させて差し込み、立上がり部材25の一端と上階階段手摺部材22の下端とを当接させる。
【0073】
そして、上階階段手摺部材22の裏面から皿コネジ27,27および木ネジ28をねじ込んで、第3係合連結部材42を上階階段手摺部材22に固定し、これにより、連結手摺部材23と上階階段手摺部材22とを連結する。
【0074】
次に、図18、図19に基づいて、下階階段手摺部材21とその下端の下り手摺部材26とを連結する手順を説明する。
下階階段手摺部材21の下端部から第3係合連結部材42の一端部42Aを下階階段手摺部材21の補強用中空部材13の内部空間13Aに差込み、皿コネジ27,27で両者21,26を固定すると共に、木ネジ28をねじ込んで、第3係合連結部材42の一端部42Aを下階階段手摺部材21に固定する。
【0075】
その後、下り手摺部材26の斜めに切断された一端部を下階階段手摺部材21の斜めに切断された下端部に向けると共に、垂れ下り手摺部材26の補強用中空部材13の内部空間13Aに第3係合連結部材42の他端部42Bが嵌り込むように位置を合わせ、矢印C方向に移動させて差し込み、これにより、下り手摺部材26の一端と下階階段手摺部材21の下端とを当接させる。
【0076】
そして、下り手摺部材26の裏面から皿コネジ27,27で両者21,26を固定すると共に、木ネジ28をねじ込んで、第3係合連結部材42を下り手摺部材26に固定し、下階階段手摺部材21と下り手摺部材26とを連結する。
【0077】
前記折返し階段1における前記外側階段用手摺30も、前述した内側階段用手摺20と略同じ構造である。
すなわち、図1に示すように、外側階段用手摺30は、下階側用と上階側用とを備えて構成され、下階側用は、前記下階階段手摺部材21と平行に配置された下階階段手摺部材31と、この下階階段手摺部材31の上端に当該下階階段手摺部材31の延長上に連結されると共に、前記踊り場5と平行に設けられた水平手摺部材33と、下階階段手摺部材31の下端に連結された垂れ下り手摺部材36とを備えて構成されている。
【0078】
下階階段手摺部材31と水平手摺部材33との連結は、詳細を図示しないが、前記第3係合連結部材42と同様の構造の係合連結部材を用いて行うようになっている。また、下階階段手摺部材31と垂れ下り手摺部材36との連結も、前述した内側階段用手摺20と同様に第3係合連結部材42を用いて行うようになっている。
なお、水平手摺部材33の他端部は、壁100と対向している。
【0079】
外側階段用手摺30の上階側用は、前記上階階段手摺部材22と平行に配置された上階階段手摺部材32と、この上階階段手摺部材32の下端に当該上階階段手摺部材32の延長上に連結されると共に、前記踊り場5と平行に設けられた水平手摺部材33とを備えて構成されている。
上階階段手摺部材22と水平手摺部材33との連結は、詳細を図示しないが、前記第3係合連結部材42と同様の構造の係合連結部材を用いて行うようになっている。
なお、水平手摺部材33の他端部は、壁100と対向している。
【0080】
本実施形態の階段用手摺10は以上のように構成されているので、次のような各効果を得ることができる。
(1)下階階段手摺部材21と連結手摺部材23、および連結手摺部材23と上階階段手摺部材22との連結を、それぞれの補強用中空部材13に、それぞれ第1〜第3係合連結部材40,41,42を挿入することで行うことができる。その結果、係合連結部材があれば各手摺部材を連結できるので簡単な構成とすることができると共に、各係合連結部材40,41,42を補強用中空部材13と係合すればよいので、組み立て効率の向上を図ることができる。
【0081】
(2)下階階段手摺部材21と連結手摺部材23、および連結手摺部材23と上階階段手摺部材22とを連結するために、それぞれ第1〜第3係合連結部材40,41,42のみを製造すればよく、これらは板部材を折り曲げたり、固着したりすることで形成することができるので、製造効率の向上を図ることができる。
【0082】
(3)第1〜第3係合連結部材40,41,42が、手摺本体部12に埋設された補強用中空部材13の内部空間13Aに挿入されている。下階階段手摺部材21と連結手摺部材23、および連結手摺部材23と上階階段手摺部材22との連結が、アルミ押し出し成形された補強用中空部材13を介して行なわれるので、それぞれの手摺部材同士を強固に連結することができる。
【0083】
(4)下階階段手摺部材21、連結手摺部材23、第1水平部材24、第2水平部材24、立上がり部材25、および上階階段手摺部材22が、すべて手摺本体部12と補強用中空部材13とで構成されており、それぞれの部材に対応するように適宜切断するだけでよいので、製造効率の向上を図ることができる。
【0084】
(5)下階階段手摺部材21等の各手摺部材を形成する手摺本体部12が木目調に形成されているので、美感に優れ、柔らかい雰囲気を演出することができる。
【0085】
(6)第2係合連結部材41を構成する固定板41Aと連結板41Bとが、同一部材を切断して形成されているので、別部材を使用することがなくなり、省部材化を図ることができ、また、製造効率の向上を図ることができる。
【0086】
(7)連結手摺部材23の第1部材24Aと第2部材24B、および連結手摺部材23の第2部材24Bと下階階段手摺部材21同士の連結を、平面形状が略L形、側面形状がヘの字状の第1係合連結部材40で行なうことができるので、3つの部材同士を1つの連結部材で連結することができる。そのため、隣接する部材同士のみを連結する個別の係合連結部材を揃えなくてよく、これにより、省部材化を図ることができ、また、製造効率の向上を図ることができる。
【0087】
(8)補強用中空部材13が、アルミ中空押出形材で形成されると共に手摺本体部12に予め埋設されているので、精度良く且つ容易に形成することができ、また各下階階段手摺部材21等の強度の向上を図ることができる。
【0088】
(9)折返し階段1における内側階段用手摺20の連結階段手摺部材23が、水平部材24と立上がり部材25とで構成され、水平部材24の第2部材24Bと立上がり部材25とが、断面T型の第2係合連結部材41で連結されているので、両者24B,25が回動することなく固定される。その結果、連結後の手摺に断面形状の変化等が生じることなく、統一された外観を得ることができる。
【0089】
(10)手摺部材11が手摺本体部12と補強用中空部材13とで構成されており、内側階段用手摺20における下階階段手摺部材21、連結手摺部材23、第1水平部材24、第2水平部材24、立上がり部材25、上階階段手摺部材22、および下り階段手摺部材26が、すべて手摺部材11で構成されると共に、断面蒲鉾形状の手摺本体部12の表面部が、折返し階段1の表面に連続して現れているので、全体として見映えがよくなり、外観的にも優れた手摺とすることができる。
【0090】
以上、前記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、前記実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0091】
例えば、前記実施形態では、水平方向に隣り合う手摺支柱50に、例えば透明なポリカーボネート材で形成された面材56を支持させていたが、この面材56は、必ずしも設けなくてもよい。そしてこの場合、面材取付け具57は不要となる。
【0092】
また、前記実施形態では、第1係合連結部材40の水平部材24への取付けは、第1部材24Aおよび第2部材24Bにおける補強用中空部材13の一側面を、平面形状L字状の他辺部40Bに対応させて切欠き、この切欠き部13Bから第1係合連結部材40の連続部40Cと折曲部40Dとを差し込み且つ固定していた。
また、第2係合連結部材41の水平部材24と立上がり部材25への取付けは、第2係合連結部材41の固定板41Aを、水平部材24における補強用中空部材13の長手方向一端部から差し込み且つ固定しており、第1係合連結部材40と第2係合連結部材41とは別個の取付け方法で行なっていた。
しかし、第1係合連結部材40と第2係合連結部材41との補強用中空部材13への取付けを、図24に示すような構成としてもよい。すなわち、水平部材24の第1部材24Aおよび第2部材24Bにおける補強用中空部材13の下面(上記一側面と直交す面)を切欠き、この切欠き部24Cに上記第1係合連結部材40と第2係合連結部材41の固定板41Aとを差込み、第1係合連結部材40および固定板41Aの裏面から、それぞれ皿ビス27と、木ネジ28とをねじ込んで固定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の階段用手摺は、建物の下階と上階とを連絡する折返し階段を作る際に利用される。
【符号の説明】
【0094】
1 折返し階段
2 下階階段部
3 上階階段部
5 踊り場
10 階段用手摺
11 手摺部材
12 手摺本体部
13 補強用中空部材
13A 内部空間
13B 切欠き部
20 内側階段用手摺
21 下階階段手摺部材
22 上階階段手摺部材
23 連結手摺部材
24 連結手摺部材を構成する水平部材
24A 第1部材
24B 第2部材
25 連結手摺部材を構成する立ち上がり部材
30 外側階段用手摺
31 下階階段手摺部材
32 上階階段手摺部材
33 水平手摺部材
40 第1係合連結部材
40A 一辺部
40B 他辺部
41 第2係合連結部材
41A 固定板
41B 連結板
42 第3係合連結部材
42A 一辺部
42B 他辺部
50 手摺支柱
51 支柱本体
52 支柱用取付け板
60 踏板
62 桁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の下階と上階とを連絡する折返し階段が備えている階段用手摺であって、
前記下階側に配置された下階階段手摺部材と、前記上階側に配置された上階階段手摺部材と、これらの下階階段手摺部材と上階階段手摺部材を連結する連結手摺部材とを備え、
前記各手摺部材を、それぞれ、手摺本体部と、この手摺本体部に当該手摺本体部の長手方向に沿い且つ裏面側に埋設された中空部材とで構成し
前記下階階段手摺部材と前記連結手摺部材、および当該連結手摺部材と前記上階階段手摺部材とを、前記それぞれの中空部材内に挿入固定された係合連結部材により相互に連結したことを特徴とする階段用手摺。
【請求項2】
請求項1に記載の階段用手摺において、
前記連結手摺部材を、一端部が前記下階階段手摺部材の上端部と連結すると共に他端部が前記折返し階段の踊り場と平行な水平部材と、下端部が前記水平部材の前記他端部と連結すると共に上端部が前記上階階段手摺部材の下端部と連結する立上がり部材とで構成したことを特徴とする階段用手摺。
【請求項3】
請求項2に記載の階段用手摺において、
前記連結手摺部材の前記水平部材を、前記下階階段手摺部材の上端部の延長上に突合せ配置される第1部材と、この第1部材の端部から前記上階階段手摺部材側に向けて設置された第2部材とで構成したことを特徴とする階段用手摺。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の階段用手摺において、
前記係合連結部材を、その平面形状がL字状で側面形状がヘの字状の第1係合連結部材で構成し、当該第1係合連結部材の前記ヘの字状における1辺部の先端を前記下階階段手摺部材の上端部の前記中空部材内部に係合させると共に、1辺部の他の部分および前記第1係合連結部材の他辺部を前記連結手摺部材の水平部材の前記第1および第2部材の中空部材の裏面に形成された切欠き部に係合させたことを特徴とする階段用手摺。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の階段用手摺において、
前記係合連結部材を、前記連結手摺部材の前記水平部材の他端部と前記立上がり部材の下端とを連結固定する固定板と、この固定板に垂直に固着されると共に前記立上がり部材の前記中空部材内部に係合される連結板とを備え縦断面がT字状の第2係合連結部材で構成したことを特徴とする階段用手摺。
【請求項6】
請求項5に記載の階段用手摺において、
前記第1連結板部と連結板とを同一厚さの板部材で形成したことを特徴とする階段用手摺。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載の階段用手摺において、
前記係合連結部材を、その縦断面形状がヘの字状となるように形成した第3係合連結部材で構成し、当該第2係合連結部材の前記ヘの字状における1辺部を前記連結手摺部材の前記立上がり部材の前記中空部材内に係合させると共に、前記係合連結部材の他辺部を前記上階階段手摺部材の下端部の前記中空部材内部に係合させたことを特徴とする階段用手摺。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一つに記載の階段用手摺において、
前記下階階段手摺部材、前記連結手摺部材および前記上階階段手摺部材の各断面形状を同一としたことを特徴とする階段用手摺。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載の階段用手摺において、
前記中空部材をアルミニウム押出形材からなる断面四角パイプ部材で構成したことを特徴とする階段用手摺。
【請求項10】
下階階段部と上階階段部およびこれらの下階階段部と上階階段部との間に設けられた踊り場とを備えて構成され建物の下階と上階とを連絡する折返し階段であって、
前記下階階段部と上階階段部とが、それぞれ複数段の踏板と、前記下階階段部および上階階段部の幅方向中央部に配置され前記複数段の踏板を支持する1本の桁部材とを備えると共に、前記請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の階段用手摺を備えて構成されていることを特徴とする折返し階段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−47235(P2011−47235A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198203(P2009−198203)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】