説明

隔壁塔分留装置による2段水素化処理

【課題】
隔壁塔は、分離生成物の品質を維持しつつ、複数のストリームの分留を可能にする。反応システムの複数の段階からの流出物を、一つの隔壁塔で処理することができる。隔壁塔は、各々の分離された領域、並びに、共通領域からの少なくとも1つの出力から複数のカットを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分留装置として隔壁塔を使用する多段水素化処理のための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
精製工程に必要な設備は、製油所において大きなコストのかかる源の1つである。この設備には、接触反応塔、分留装置及び/又はセパレータ、及び他の補助設備を含むことができる。従来のプロセストレーンでは、接触反応塔は各々、接触反応段階において生成された種々の生成物を分離するため、専用の分留装置、又は反応塔と関連したセパレータを有することができる。
【0003】
主要なコストを節約する1つの方法は、2つ以上の反応塔に同じ分留装置を使用させることである。特許文献1は、複数の容積を含む分留装置の例を示している。この特許では、(低オクタンと高オクタンガソリンのような)2つの独立した精製ガソリンストリームが、分留装置で分留される。分留装置では、2つのガソリン留分の軽質端部分が混合される。しかしながら、ガソリン「塔底」部分の相互作用、リサイクル、又は他の混合に関する記載又は示唆がない。分留装置からの出力は、軽質留分、及び2つの別個の重質留分である。
【0004】
特許文献2は、複数の容積を有する分留装置を使用する別の例を提供するようにみえる。この刊行物では、2つの別個の入力ストリームが分留装置に供給されるようにみえる。分留装置の各々の側で生成された蒸気部分は混合され、分留装置から1つ以上の軽質生成物留分を生成する。分留装置の各々の側はまた、塔底部分を生成する。幾つかの図面では、塔底部分が分留装置を去った後分離されたままであるようにみえ、他の図面では、分留装置の第2の側への入力が分留装置の両方の側からの塔底部分を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,412,016号明細書
【特許文献2】欧州特許第0819752号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、低硫黄蒸留生成物の製造方法を提供する。この方法は、供給原料を第1の効果的な水素化精製条件の下で水素化精製(又はハイドロトリーティング:hydrotreating)することを含む。水素化精製された供給原料は、隔壁塔分留装置(divided wall column fractionator)の第1容積において分留され、少なくとも第1生成物留分、第1塔底留分、及び分留装置の上部の分割されない容積に通される第1共通留分を生成することができる。第1塔底留分の一部を、効果的な水素化処理条件の下で水素化処理(又はハイドロプロセシング:hydroprocessing)することができる。次いで、水素化処理された第1塔底留分は、隔壁塔分留装置の第2容積において分留され、少なくとも第2生成物留分、第3生成物留分、及び分留装置の上部の分割されない容積に通される第2共通留分を生成することができる。この実施形態では、第2生成物留分は有利には、第1生成物留分に対して少なくとも1つの改良された特性を有することができ、第3生成物留分は有利には、第1塔底留分に対して少なくとも1つの改良された特性を有することができる。
【0007】
本発明の別の態様では、低硫黄蒸留生成物の製造方法を提供する。この方法は、供給原料を効果的な水素化精製条件の下で水素化精製することを含む。水素化精製された供給原料は、隔壁塔分留装置の第1容積において分留され、少なくとも第1ディーゼル留分及び第1塔底留分を生成することができる。第1塔底留分の一部は、効果的な接触脱ろう条件の下で脱ろう触媒の存在下脱ろうすることができる。脱ろうされた塔底留分は、隔壁塔分留装置の第2容積において分留され、少なくとも第2ディーゼル留分及び第2塔底留分を生成することができる。この実施形態では、第2ディーゼル留分は有利には、第1ディーゼル留分に対して少なくとも1つの改良された低温流れ特性を有することができ、第2塔底留分は有利には、第1塔底留分に対して少なくとも1つの改良された低温流れ特性を有することができる。
【0008】
本発明の更に別の態様では、低硫黄蒸留生成物の製造方法を提供する。この方法は、効果的な水素化精製条件の下で供給原料を水素化精製することを含む。次いで、供給原料は、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び水素化分解の際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む第1の効果的な水素化分解条件の下で水素化分解することができる。水素化分解された供給原料は、隔壁塔分留装置の第1容積において分留され、少なくとも第1ディーゼル留分及び第1塔底留分を生成することができる。次いで、第1塔底留分の一部は、好ましくはリサイクルされることなしに、第2の効果的な水素化分解条件の下で水素化分解することができる。水素化分解された塔底留分は、隔壁塔分留装置の第2容積において分留され、少なくとも第2ディーゼル留分及び第2塔底留分を生成することができる。この実施形態では、第2ディーゼル留分は有利には、第1ディーゼル留分に対して少なくとも1つの改良された低温流れ特性を有することができ、第2塔底留分は有利には、第1塔底留分に対して少なくとも1つの改良された低温流れ特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるプロセス(又は方法)を実施するための反応システム(設備又は系)を概略的に示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるプロセスを実施するための反応システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、炭化水素供給材料の改良された処理のための種々のシステム及び方法を提供する。種々の実施形態では、このシステム及び方法の利点には、複数の反応塔システムから複数の留分生成物ストリームを少ない設備の要求及び/又は低コストで生成することを含むことができる。
【0011】
一実施形態では、隔壁塔が、2段の水素化精製及び/又は水素化分解ユニットの一部のような分留装置として用いられる。このような実施形態では、隔壁塔は、好都合には硫黄分が約15wppm以下、好ましくは約10wppm以下のディーゼル燃料の低コストでの生成を可能にする。この型式の実施形態では、2つの水素化精製及び/又は水素化分解反応塔を、単一の分留装置を共有するように用いることができる。第1水素化精製及び/又は水素化分解段階からの流出物は、隔壁塔の第1容積に送出することができる。この第1容積に送出された流出物は、少なくとも2つの重質留分と1つ以上の軽質留分に分留することができる。重質留分は、隔壁の高さの下方の箇所から分留装置を退出し、軽質留分は、隔壁の上方の分留装置の共通部分から分留装置を退出することができる。少なくとも2つの重質留分には、塔底留分と、ディーゼル留分のような生成物留分とを含むことができる。塔底留分の少なくとも一部を、第2水素化精製及び/又は水素化分解反応塔に送ることができる。必要に応じて、生成物(ディーゼル)留分の少なくとも一部も、第2反応塔に送ることができる。次いで、第2反応塔からの流出物を隔壁塔の第2容積に通し、少なくとも2つの追加の重質留分と1つ以上の軽質留分を生成することができる。この第2反応塔からの少なくとも2つの重質留分にはまた、塔底留分と、硫黄含有量が約15wppm以下、好ましくは約10wppm以下のディーゼル生成物のような、生成物留分とを含むことができる。この型式の実施形態では、隔壁塔の分離容積は、好都合なことに、低硫黄(ディーゼル)生成物を生成することができる。
【0012】
上記の型式の反応システムでは、さらなる改良は、塔底部からの生成物及び/又は第2分留装置容積の生成物(ディーゼル)留分のリサイクルを防止することによって達成することができる。減圧軽油留分の過酷な水素化精製及び/又は水素化分解を伴うプロセスでは、例えば、1つの問題は、多核芳香族化合物(PNA)の生成を含むことである。PNA化合物は、その構造中に2つ以上の縮合芳香環を伴う。重質化合物を複数回リサイクルすることができるプロセスは、PNAの生成を増加させることとなり得る。一実施形態では、隔壁塔を分留装置として使用することによりコストを減少させつつ、PNAの生成を減少させ及び/又は軽減させることができる。この型式の実施形態では、隔壁塔の第1容積からの塔底部の少なくとも一部を、第2水素化精製及び/又は水素化処理反応塔に送ることができる。次いで、この反応塔からの流出物を、分留装置の第2容積に送ることができる。しかし、第2分留装置容積からの塔底部はリサイクルしないのが好ましい。その結果、最初の供給材料の重質部分は、第2反応塔の反応段階に更なる回数露出される必要はない。この型式の実施形態は、PNAの生成を減少させ又は最少にしつつ、多段水素化分解プロセスに対して単一の分留装置を使用するというコストの低減を提供することができる。
【0013】
別の型式の実施形態では、複数の反応塔及び隔壁塔を、種々のグレードの蒸留物及び軽油生成物を低コストで生成するために使用することができる。このような実施形態では、第1反応塔は、硫黄含有量が約50wppm以下、例えば、約30wppm以下、約15wppm以下、又は約10wppm以下のような、適切な硫黄含有量をもつ供給材料を提供するために、1つ以上の水素化精製及び/又は水素化分解段階を含むことができる。この反応塔からの流出物を、分留のため、隔壁塔の第1容積に送ることができる。分留装置の第1容積は、少なくとも生成物(ディーゼル)留分、塔底留分、及び共通容積から隔壁塔を出ることができる軽質留分を生成することができる。生成物(ディーゼル)留分は、標準的なディーゼル燃料として使用するのに適している。次いで、塔底留分の少なくとも一部は、接触脱ろう段階を含む第2反応塔に送ることができる。必要に応じて、生成物(ディーゼル)留分の一部も、第2反応塔に送ることができる。必要に応じて、第2反応塔は、水素化精製、水素化分解、及び/又は水素化仕上げ段階のような、他の段階を含むこともできる。第2反応塔からの流出物は、隔壁塔の第2容積に送ることができる。生成物留分がディーゼル範囲で沸騰するとき、少なくとも極寒用ディーゼル留分、改良された低温流れ特性をもつ塔底留分、及び共通容積から隔壁塔を出ることができる軽質留分を生成することができる。この型式の実施形態では、隔壁塔と組み合わされた2つの反応塔は、少なくとも4種類の蒸留生成物を生成することができる。蒸留生成物には、ディーゼル生成物、ディーゼル生成物に対して改良された低温流れ特性を有する極寒用ディーゼル生成物、第1分留装置容積からの塔底部としての(必要に応じて、FCC供給原料として適する)減圧軽油生成物、及び第2分留装置容積からの塔底部としての、改良された低温流れ特性を有する(必要に応じて、潤滑油供給原料として更に処理するのに適する)減圧軽油生成物を含むことができる。
【0014】
分留装置としての隔壁塔
種々の実施形態では、隔壁塔を、分留装置として用いることができる。隔壁塔は、少なくとも3つの分離容積を含むことができる。容積の1つは、一般には隔壁塔の頂部の方に位置する共通容積である。隔壁塔の残りの容積は、隔壁によって互いに分離された容積を示すことができる。種々の容積はすべて、共通容積を介して互いに流体連絡する。しかし、十分高い沸点をもつ石油留分は、共通容積に到達するのに十分な高さまで塔を上昇することができず、かくして石油留分を沸点によって効果的に分留することができる。
【0015】
以下の種々の実施形態では、隔壁塔は、1つの共通容積と、2つの分離された容積とを有するものとして記載されている。しかしながら、少なくとも2つの分離された容積及び全ての分離された容積の間で共有される少なくとも1つの共通容積が配置されていれば、隔壁塔は、3つ以上の分離された容積を有することもできる。
【0016】
容積は、所望の分留に都合の良い任意の構成に配列することができる。1つの選択肢は、分離された容積の各々に分割された区画のほぼ等しい部分を占有させることである。例えば、上述の2つの分割された領域と1つの共通領域をもつ隔壁塔は、分割された領域の各々に隔壁塔の下部分のほぼ半分を占有させることができる。同様に、3つの分割された領域をもつ隔壁塔は、各々の分割された領域に下部分のほぼ3分の1を占有させることができる。或いは、分割された領域の各々は、異なる容積を有することができ、この異なる容積は、隔壁塔が運転される条件に応じて、予想される各容積の量に比例して配分してもよい。
【0017】
種々の実施形態では、隔壁の位置は、分割された領域にとって適切な容積になる任意の都合の良い位置とすることができる。ほぼ丸い円筒形状を有する隔壁塔については、1つの選択肢として、塔の直径に相当し、ほぼ等しい容積の2つの分割された領域を作り出す隔壁を有することが含まれる。別の選択肢として、円形形状の円周上の2点を連結する弦に対応し、分割された各領域に異なる容積を提供する隔壁を有することが含まれる。さらに別の選択肢として、分離された部分にとって同心円の容積を作り出す隔壁を有することが含まれる。隔壁塔の外部シェルについては、ほぼ丸い円筒形状が好ましいと思われるが、隔壁に対する上記の配置も、他の形状を有する塔に同じく適用することができる。
【0018】
一実施形態では、隔壁は、塔内の分離された容積から2つ以上の留分の取り出しを可能にするのに十分な高さを有することができる。これは、共通容積と混合されない少なくとも2つの留分を分離された領域から取り出すことができることを意味する。例えば、分離された容積は、隔壁高さの下方の箇所で分離された容積から回収される減圧軽油塔底ストリームとディーゼルストリームの両方を生成するのに使用されることができる。好ましい一実施形態では、隔壁は、分離された各容積から2つ以上の留分の取り出しを可能にするのに十分な高さを有することができる。
【0019】
別の実施形態では、隔壁高さは、塔によって生成される複数の生成物留分間の混入物の量を制御することに基づいて選択することができる。例えば、ディーゼル留分を生成する隔壁塔では、分離された容積は、硫黄分の多い1つのディーゼル留分とより厳しい仕様を満足する(すなわち、低硫黄含有量の)第2ディーゼル留分のような、異なる品質の2つのディーゼル留分を生成するのに使用することができる。このような例では、2つのディーゼル留分の間で生ずる交換の量を制限するのが望ましいかもしれない。このような交換を制限するため、隔壁高さは、留分間の「混入物」の量を制限するように選択することができる。一実施形態では、隔壁は、第1の分離された容積からの生成物の約10重量%未満、例えば、約5重量%未満、約1重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.05重量%未満が第2の分離された容積からの物質に相当するように、十分な高さを有することができる。許容される/所望の混入物の量は、生成物の性質に依存することができる。例えば、混入物により、生成物が政府規定の仕様又は他の要件の範囲外になる場合、隔壁高さは、約0.1重量%未満又は約0.05重量%未満のような、より厳しいレベルまで混入物を制限するように選択することができる。或いは、混入物の減少に対する要望が、専ら純度の低下に伴う生成物の価値の減少によるものである場合、隔壁高さは、他の経済的な問題点との間で均衡させることができる。一実施形態では、シミュレーション及び/又はモデル化合物の実験を使用して、適切な隔壁高さを決定することができる。
【0020】
或いは、隔壁高さは、塔の凝縮ゾーンの位置に基づき選択することができる。蒸留塔によって生成される所定の生成物について、当該生成物のための凝縮ゾーン又は段は、所定の生成物の蒸気の予想移動高さの上限を表すことができる。ディーゼル留分間の混入を防止する例として、ディーゼル留分の凝縮ゾーンに相当する隔壁高さの選択は、混入を約3重量%以下、例えば、約1重量%以下、約0.1重量%以下、又は約0.05重量%以下に制限することが期待されるであろう。
【0021】
さらに別の実施形態では、隔壁高さは、隔壁塔の1つ以上の特徴に関連して選択することができる。例えば、隔壁高さは、塔の底部とフラッシュゾーンの高さとの間の高さにほぼ相当するように選択することができる。別の実施形態では、隔壁高さは、塔のトレイの底セクションの高さに相当することができる。
【0022】
また別の実施形態では、隔壁高さを、隔壁塔の高さの少なくとも約15%、例えば、少なくとも約25%又は少なくとも約30%とすることができる。或いは、隔壁高さを、隔壁塔の高さの約75%以下、例えば、約60%以下、約50%以下、約40%以下、又は約30%以下とすることができる。追加して又は代わりに、隔壁塔の高さは、約75m以下、例えば、約50m以下、約35m以下、約25m以下、又は約15m以下とすることができる。
【0023】
隔壁塔が1つ以上の既存の分留塔と交換される実施形態では、隔壁塔の直径を、分離容積の横断面積が、交換される個々の分留塔の横断面積にほぼ相当するように選択することができる。一実施形態では、分離容積の横断面積を、交換される個々の分留塔の横断面積の約10%以下の範囲内、又は約5%以下の範囲内とすることができる。
【0024】
一実施形態では、隔壁塔の内部は、分留装置の典型的な構成要素を含むことができる。例えば、分留を支援するため、隔壁塔に直列のトレイを配置することができる。トレイのうち幾つかを共通容積に配置することができる。他のトレイを分離容積に配置することができる。分離容積におけるトレイの位置及び/又は間隔は、各容積において同じものにしたり異なるものにしたりすることができる。トレイに対する変形例として、ランダム充填、規則充填、グリッド、液体及び/又は蒸気ディストリビュータ、液体及び/又は蒸気コレクタ等、又はこれらの組み合わせのような、分留装置において一般に見られる任意の他の型式の内部構造体を使用することができる。隔壁塔は、フラッシュゾーン及び/又はサンプのような、他の一般的な分留装置要素を含むこともできる。
【0025】
供給原料
一実施形態では、隔壁塔を含む反応システムにおいて処理される供給原料は、初期沸点が少なくとも約400゜F(約204℃)、例えば、少なくとも約450゜F(約232℃)、少なくとも約500゜F(約260℃)、少なくとも約550゜F(約288℃)、少なくとも約600゜F(約316℃)、又は少なくとも約650゜F(約343℃)の供給原料とすることができる。別の実施形態では、供給原料は、約1200゜F(約649℃)以下、例えば、約1100゜F(約593℃)以下、約1050゜F(約566℃)以下、約1000゜F(約538℃)以下、又は約900゜F(約482℃)以下の最終沸点を有することができる。或いは、供給原料は、指定された割合の供給材料を沸騰させるのに要する沸点によって特徴づけられることができる。例えば、少なくとも5重量%の供給材料を沸騰させるのに要する温度は、「T5」沸点と呼ばれる。好ましくは、供給原料のT5沸点は、少なくとも約400゜F(約204℃)、例えば、少なくとも約450゜F(約232℃)、少なくとも約500゜F(約260℃)、少なくとも約550゜F(約288℃)、少なくとも約600゜F(約316℃)、少なくとも約650゜F(約343℃)、又は少なくとも約665゜F(約352℃)とすることができる。好ましくは、供給原料のT95沸点は、約1150゜F(約621℃)以下、例えば、約1100゜F(約593℃)以下、約1050゜F(約566℃)以下、約1000゜F(約538℃)以下、約900゜F(約482℃)以下、又は約850゜F(約454℃)以下とすることができる。
【0026】
供給原料は一般に、鉱油を含む。「鉱油」とは、例えばAldrichによってCAS番号8020−83−5として市販されているような有機生成物ではなく、粗製油のような化石/鉱物燃料源を意味している。鉱油の例には、限定するわけではないが、直留(大気)軽油、減圧軽油、脱金属化油、コーカー蒸留物、接触分解蒸留物、重質ナフサ、ディーゼル沸点範囲蒸留留分、ジェット燃料沸点範囲蒸留留分、ケロシン沸点範囲蒸留留分、及び液化石炭を含むことができる。供給原料の鉱油部分は、これらの例のストリームのいずれか1つ又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、供給原料は、測定可能なアスファルテンを一切含有しない。
【0027】
供給原料の鉱油部分は、窒素含有化合物(「窒素」と略す)を含有することができる。例えば、鉱油は、鉱油成分の全重量を基にして、少なくとも約5wppmの窒素を含有することができる。好ましくは、鉱油は、鉱油成分の全重量を基にして、約1.0重量%以下の窒素を含有するであろう。一般に、窒素の少なくとも大部分は、有機窒素化合物の形態となるであろう。
【0028】
供給原料の鉱油部分は一般に、硫黄含有化合物(「硫黄」又は「硫黄含有量」と略す)を含有するであろう。このような化合物は一般に、鉱油の全重量を基にして、約100wppm超、しばしば約500wppm超又は約0.1重量%超の硫黄含有量で鉱油中に存在することができる。好ましくは、鉱油の硫黄含有量は、鉱油の全重量を基にして、約6重量%以下、好ましくは約4重量%以下となるであろう。
【0029】
追加して又は代わりに、種々の実施形態に使用するのに適した鉱油供給材料ストリームは、約50wppm〜約6000wppmの窒素、好ましくは約50wppm〜約2000wppmの窒素又は約75wppm〜約1000wppmの窒素を有することができる。さらに、追加して又は代わりに、ここで使用するのに適する供給材料ストリームは、約100wppm〜約40,000wppmの硫黄、好ましくは約200wppm〜約30,000wppmの硫黄又は約350wppm〜約25,000wppmの硫黄を有することができる。
【0030】
本発明の種々の実施形態では、供給材料は、追加して又は代わりに、植物、動物、魚、及び/又は藻類のような、バイオ成分源からの供給材料を含むことができる。一般に、これらの生物的物質は、植物脂/油、動物脂/油、魚油、熱分解油、及び藻類脂質/油、並びに、このような物質の成分を含む。より具体的には、脂質物質は、1つ以上の種類の脂質化合物を含む。脂質化合物は一般に、非水溶性であるが非極性(又は脂肪)溶剤に溶解する生物的化合物である。このような溶剤の非限定的な例には、アルコール、エーテル、クロロホルム、アルキルアセテート、ベンゼン、及びこれらの組み合わせを含む。
【0031】
主要なクラスの脂質は、必ずしも限定されるわけではないが、脂肪酸、グリセロール誘導脂質(脂、油、及びリン脂質を含む)、スフィンゴシン誘導脂質(セラミド、セレブロシド、ガングリオシド、及びスフィンゴミエリンを含む)、ステロイド及びその誘導体、テルペン及びその誘導体、脂溶性ビタミン、一定の芳香族化合物、及び長鎖アルコール及びろうを含む。
【0032】
生体系においては、脂質は一般に、細胞膜の主成分として、及び燃料貯蔵の一形態として機能する。脂質は、リポタンパク質及びリポ多糖類の形態のような、タンパク質又は炭水化物と結合した状態で見ることもできる。
【0033】
本発明によって使用されることができる植物油の例には、限定するわけではないが、ナタネ(カノーラ)油、ダイズ油、ヤシ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、ピーナツ油、アマニ油、トール油、トウモロコシ油、ヒマシ油、ジャトロファ油、ホホバ油、オリーブ油、フラックスシード油、カメリナ油、サフラワー油、ババス油、獣脂油、及び米糠油が含まれる。
【0034】
ここで植物油と呼ばれるものには、加工植物油材料も含むことができる。加工植物油材料の非限定的な例には、脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルが含まれる。アルキルエステルは一般に、C〜Cのアルキルエステルを含む。メチル、エチル、及びプロピルエステルのうち1つ以上が好ましい。
【0035】
本発明によって使用することができる動物脂の例には、限定するわけではないが、牛脂(獣脂)、豚脂(ラード)、七面鳥脂、魚脂/油、及び鶏脂が含まれる。動物脂は、レストラン及び精肉設備を含む任意の適切な源から得ることができる。
【0036】
ここで動物脂と呼ばれるものには、加工動物脂材料も含むことができる。加工動物脂材料の非限定的な例には、脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルが含まれる。アルキルエステルは一般に、C〜Cのアルキルエステルを含む。メチル、エチル、及びプロピルエステルのうち1つ以上が好ましい。
【0037】
藻類油又は脂質は一般に、膜成分、貯蔵産物及び代謝物質の形態で藻類中に含有される。一定の藻類種、特に植物珪藻及び藍藻のような微少藻類は、高レベルの脂質を比例して含有する。藻類油用の藻類源は、変動量、例えば、バイオマス自体の全重量を基にして、2重量%〜40重量%の脂質を含有することができる。
【0038】
藻類油用の藻類源は、限定するわけではないが、単細胞及び多細胞の藻類を含む。このような藻類の例は、紅藻、緑藻、黄緑藻、トリボファイト、灰色藻、クロララクニオン藻、ユーグレナ藻、ハプト藻、クリプト藻、ディノフラゲルム、フィトプランクトン等、及びこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、藻類は、緑藻及び/又はハプト藻の群とすることができる。特定の種に、限定するわけではないが、ネオクロリス・オレオアブンダンス(Neochloris oleoabundans)、セネデスムス・ディモルファス(Scenedesmus dimorphus)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)、パエオダクテュルム・トリコロヌトゥム(Phaeodactylum tricornutum)、プレウロクリシス・カルテラエ(Pleurochrysis carterae)、プリムネシウム・パルビュム(Prymnesium parvum)、テトラセルミス・チュイ(Tetraselmis chui)、及びクラミドモナス・レインハルドティ(Chlamydomonas reinhardtii)を含むことができる。
【0039】
供給原料は、バイオ成分源を主成分とする変動量の供給材料ストリームを含むことができる。所望ならば、供給材料は、バイオ成分源を主成分とする少なくとも約0.1重量%、例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約10重量%、又は少なくとも約15重量%の供給材料を含むことができる。このような実施形態では、供給材料は、約60重量%以下、例えば、約50重量%以下、約40重量%以下、又は約30重量%以下のバイオ成分を含むことができる。他の実施形態では、(例えば、供給材料の鉱油部分と共処理するための)バイオ成分供給材料の量は、比較的少なくすることができ、例えば、供給材料は、バイオ成分源を主成分とする供給原料の少なくとも約0.5重量%、例えば、少なくとも約1重量%、少なくとも約2.5重量%、又は少なくとも約5重量%を含む。このような実施形態では、供給材料は、供給原料を基にして、約20重量%以下、例えば、約15重量%以下、約10重量%以下、又は約5重量%以下のバイオ成分を含むことができる。
【0040】
本発明において使用されることができるバイオ成分供給材料には、主としてトリグリセリド及び遊離脂肪酸(FFA)を包含する任意のものを含むことができる。トリグリセリド及びFFAは一般的に、それらの構造中に炭素8個〜36個、好ましくは炭素10個〜26個、例えば炭素14個〜22個を有する脂肪族炭化水素鎖を含有する。トリグリセリドの種類は、それらの脂肪酸の成分に従って決定することができる。脂肪酸の成分は、ガスクロマトグラフ(GC)分析法を使用して容易に決定することができる。この分析法は、脂又は油を抽出し、脂又は油を鹸化(加水分解)し、鹸化脂又は油のアルキル(例えば、メチル)エステルを準備し、GC分析を使用して(メチル)エステルの種類を決定することを含む。一実施形態では、脂質物質中に存在するトリグリセリドの大部分(すなわち、50%超)は、脂質物質中に存在する全トリグリセリドに基づきC10〜C26の脂肪酸成分を含むことができる。さらに、トリグリセリドは、グリセロールと3つの脂肪酸の反応生成物と同一の構造を有する分子である。かくして、トリグリセリドがここでは脂肪酸を包含するものとして記載されているが、脂肪酸成分が必ずしもカルボン酸水素を含有しないことを理解すべきである。一実施形態では、バイオ成分供給材料中に存在するトリグリセリドの大部分は好ましくは、全トリグリセリド含有量に基づきC12〜C18の脂肪酸成分を含むことができる。生物学的素材成分から得られる他の種類の供給材料には、脂肪酸アルキルエステル(例えば、FAME及び/又はFAEE)のような脂肪酸エステルを含むことができる。
【0041】
バイオ成分を主成分とするディーゼル沸点範囲供給材料ストリームは一般的に、窒素と硫黄の含有量が比較的低い。例えば、バイオ成分を主成分とする供給材料ストリームは、約300wppmまでの窒素、例えば約100wppmまでの窒素を含有することができる。バイオ成分供給材料における主要なヘテロ原子成分は、窒素及び/又は硫黄ではなく、酸素である。バイオ成分ディーゼル沸点範囲供給材料ストリームは例えば、約10〜12重量%程度の酸素を含むことができる。
【0042】
反応システム
分留装置を含む任意の反応システムにおいて、隔壁塔を用いることができる。一実施形態では、適切な反応システムの一例は、2つの反応塔と、隔壁塔とを含む。このような実施形態では、供給原料を、第1反応塔に通すことができる。第1反応塔は、水素化精製、水素化分解、及び/又は別の種類の変換プロセスのための1つ以上の段を含むことができる。
【0043】
次いで、第1反応塔からの流出物は、隔壁塔に通すことができる。流出物は、隔壁塔の第1の分離された容積に入ることができる。隔壁塔は、第1流出物を分留して、塔底部分、分離された容積から隔壁塔を去る別の部分、及び隔壁塔の共通容積に入る軽質部分にすることができる。流動接触分解プロセスへの供給材料として使用するのに適した塔底部分のような、塔底部分が減圧軽油範囲において沸騰する供給材料に相当する一実施形態では、分離された容積から隔壁塔を去る付加的な部分は、ディーゼル留分とすることができる。より一般的には、分離された容積から隔壁塔を去る付加的な部分は、塔底部よりも沸点が低いが共通容積に入る部分よりも沸点が高い任意の別個のカットとすることができる。かくして、付加的な部分は、塔底部の性質に応じて、選択的に、ディーゼルカット、極寒用ディーゼルカット、ケロシンカット、重質ナフサカット、軽質軽油カット等とすることができる。
【0044】
次いで、隔壁塔の第1の(分離された)容積からの塔底部の少なくとも一部は、第2反応塔に通すことができる。必要に応じて、第1容積から出る付加的なカットの少なくとも一部分も、第2反応塔に通すことができる。第2反応塔は、水素化精製、水素化分解、接触異性、水素化仕上げ、及び/又は別の所望の種類の水素化処理を実施するための1つ以上の段(又は段階)を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2反応塔における水素化処理の目標は、硫黄レベルの減少、流動点の改良及び/又は曇り点の改良のような、第2反応塔からの流出物の少なくとも1つの特性を改良することである。
【0045】
次いで、第2反応塔からの流出物は、分留のため、隔壁塔の第2の分離された容積に通すことができる。第2容積は、第2反応塔からの流出物を分留して、少なくとも塔底部分、任意ではあるが好ましくは第2容積から出る別の部分、及び共通容積に入る部分にすることができる。一実施形態では、共通容積に入る分留された流出物の全ての部分は、ケロシンカット、1つ以上の種類のナフサカット及び/又は軽留分のような、1つ以上の生成物に分留することができる。好ましくは、塔底カット及び/又は第2容積から出る付加的な部分は、第1反応塔にリサイクルされないか、第2反応塔にリサイクルされないか、又は好ましくは両方にリサイクルされない。しかしながら、これらのカットは、さらなる処理を受けることができる。例えば、第2反応塔が接触異性段階を含む一実施形態では、第2容積からの塔底カットは、潤滑油供給材料としてさらに処理するのに適した減圧軽油供給材料を含むことができる。
【0046】
本発明は、以下の実施形態のうち1つ以上を、追加して又は代わりに含むことができる。
【0047】
実施形態1
供給原料を第1の効果的な水素化精製条件の下で水素化精製すること;
水素化精製された供給原料を隔壁塔分留装置の第1容積において分留して、少なくとも第1生成物留分、第1塔底留分、及び分留装置の上部の分割されない容積に通される第1共通留分を生成すること;
第1塔底留分の一部を効果的な水素化処理条件の下で水素化処理すること;及び
隔壁塔分留装置の第2容積において水素化処理された第1塔底留分を分留して、少なくとも第2生成物留分、第3生成物留分、及び分留装置の上部の分割されない容積に通される第2共通留分を生成すること
を含み、
第2生成物留分が第1生成物留分に対して少なくとも1つの改良された特性を有し、第3生成物留分が第1塔底留分に対して少なくとも1つの改良された特性を有する、低硫黄蒸留生成物の製造方法。
【0048】
実施形態2
水素化処理が、効果的な接触脱ろう条件の下で脱ろう触媒の存在下での脱ろうを含み;
第1生成物留分が第1ディーゼル留分であり;
第2生成物留分が第2ディーゼル留分であり;及び
第3生成物留分が第2塔底留分である、実施形態1に記載の方法。
【0049】
実施形態3
水素化精製工程と分留工程との間に水素化分解工程をさらに含み;
水素化分解工程が、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び水素化分解の際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む第1の効果的な水素化分解条件の下で水素化処理された供給原料を水素化分解することを含み;
水素化処理が、第2の効果的な水素化分解条件の下でリサイクルなしで水素化分解することを含み;
第1生成物留分が第1ディーゼル留分であり、第2生成物留分が第2ディーゼル留分であり、第3生成物留分が第2塔底留分である、実施形態1に記載の方法。
【0050】
実施形態4
効果的な水素化精製条件が、約0.3hr−1〜約5.0hr−1のLHSV、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、及び約650゜F(約343℃)〜約800゜F(約427℃)の温度を含む、実施形態1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【0051】
実施形態5
効果的な水素化精製条件が、水素化精製の際に消費される水素の約2倍〜約5倍の水素の量を提供する処理ガス比を含む、実施形態4に記載の方法。
【0052】
実施形態6
効果的な水素化分解条件が、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び水素化分解の際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む、実施形態3〜5のいずれか一つに記載の方法。
【0053】
実施形態7
第2生成物留分の硫黄含有量が、第1生成物留分の硫黄含有量よりも少なく、第3生成物留分の硫黄含有量が、第1塔底留分の硫黄含有量よりも少ない、実施形態1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【0054】
実施形態8
隔壁高さが、第2生成物留分が第1生成物留分に相当する材料の約1重量%以下を含むように選択される、実施形態1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【0055】
実施形態9
脱ろう触媒が10員環の1−Dモレキュラーシーブを含む、実施形態2及び4〜8のいずれかに記載の方法。
【0056】
実施形態10
脱ろうされた塔底部の分留に先だって、効果的な水素化仕上げ条件の下で脱ろうされた塔底留分を水素化仕上げすることをさらに含み、効果的な水素化仕上げ条件が、約125℃〜約425℃の温度、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約0.1hr−1〜約5hr−1のLHSV、及び前記水素化仕上げの際に消費される水素の約2倍〜約5倍の水素処理ガス比を含む、実施形態2及び4〜9のいずれかに記載の方法。
【0057】
実施形態11
効果的な接触脱ろう条件が、約280℃〜約380℃の温度、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の圧力、約0.1hr−1〜約5.0hr−1のLHSV、及び脱ろうの際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む、実施形態2及び4〜10のいずれかに記載の方法。
【0058】
実施形態12
次の事項:前記第2生成物留分の前記曇り点が前記第1生成物留分の前記曇り点よりも少なくとも約10℃低い;前記第1生成物留分の前記硫黄含有量が約15wppm以下である;前記第2塔底留分の前記流動点が前記第1塔底留分の前記流動点よりも少なくとも約10℃低い;のうち1つ以上が生ずる実施形態1〜11のいずれかに記載の方法。
【0059】
実施形態13
第2生成物留分及び第2塔底留分が、水素化処理段階にリサイクルされない、実施形態1、2及び7〜12のいずれかに記載の方法。
【0060】
実施形態14
第2の効果的な水素化分解条件が、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び水素化分解の際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む、実施形態3〜8及び12のいずれかに記載の方法。
【0061】
実施形態15
塔底留分の部分の水素化分解の前又は後のいずれかに、塔底留分の部分の水素化精製、脱ろう、及び/又は水素化仕上げをさらに含む、実施形態3〜8、12及び14のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0062】
実施例1:低硫黄ディーゼル生成物のための構成
一実施形態では、隔壁塔を、低硫黄ディーゼルを生成するための2つの反応塔反応システムにおいて分留装置として使用することができる。図1は、この型式のシステムの例を概略的に示している。図1に示される実施形態では、反応塔110は、供給材料の水素化精製及び/又は水素化分解のための1つ以上の段(又は段階)を含む。図1は、1つの水素化精製段階112と1つの水素化分解段階114とを含む反応塔110を示している。しかしながら、任意の他の都合のよい段の組み合わせを、反応塔110において選択的に含めることができる。図1は複数の段を含む反応塔110を示しているが、別の実施形態では、複数の段をもつ単一の反応塔の代わりに、複数の直列の反応塔を使用することができることに留意されたい。
【0063】
水素化精製段階では、供給材料105は、水素化精製段階112において、効果的な水素化精製条件の下で水素化精製触媒に露出される。水素化精製段階における触媒は、例えば支持体上に第VIB族金属及び/又は第VIII族金属を含む(例えば、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、又はこれらの任意の組み合わせを含む;金属の好ましい組み合わせは、ニッケルとモリブデン、又はニッケルとコバルトとモリブデンを含む;適切な支持体には、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、チタニア等、及びこれらの組み合わせを含むことができる)従来の水素化精製触媒のように、水素化精製反応に触媒作用を及ぼす触媒でありえる。
【0064】
水素化精製段階における反応条件は、供給材料ストリームの硫黄含有量を減少させるのに適した条件とすることができる。水素化精製反応条件には、約0.3hr−1〜約5.0hr−1のLHSV、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)の温度、及び少なくとも約80%の水素(残りは不活性ガス)を含有する処理ガスを含むことができる。好ましくは、反応条件には、約0.5hr−1〜約1.5hr−1のLHSV、約1400psig(約9.7MPag)〜約2000psig(約13.8MPag)の全圧力、及び約700°F(約371℃)〜約750°F(約399℃)の温度を含むことができる。
【0065】
一実施形態では、水素化精製段階に送出される処理ガスの量は、当該段階における水素の消費に基づくことができる。水素化精製段階のための処理ガス比は、当該段階において新たな供給材料のバレル当たりに消費される水素の量の約2倍〜約5倍とすることができる。典型的な水素化精製段階は、水素化精製される供給材料の性質を含む種々の要因に応じて、約50scf/bbl(約8Nm/m)〜約1000scf/bbl(約170Nm/m)の水素を消費し得る。かくして、処理ガス比は、約100scf/bbl(約17Nm/m)〜約5000scf/bbl(約840Nm/m)とすることができる。好ましくは、処理ガス比は、消費される水素の量の約4倍〜約5倍とすることができる。上述の処理ガス比が水素の流量に言及していることに留意されたい。水素が、水素以外のガスを含有するストリームの一部として送出される場合には、ガスストリーム全体についての処理ガス比は、比例して大きくすることができる。
【0066】
第1反応塔は、水素化分解段階114のような、1つ以上の付加的な水素化処理段階を含むこともできる。水素化分解触媒の例には、ニッケル、ニッケル−コバルト−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステン、及び/又はニッケル−モリブデンを含むことができるが、最後の2つのうち一方又は両方が好ましい。貴金属触媒の非限定的な例は、白金及び/又はパラジウムをベースとするものを含む。貴金属触媒と他の金属触媒の両方に使用してもよい多孔質支持材料は、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、珪藻土、地質珪藻土、マグネシア、チタニア、ジルコニア、又はこれらの組み合わせのような、耐火酸化材を包含することができるが、アルミナ、シリカ及び/又はアルミナ−シリカが好ましく最も普通である。ゼオライト支持体、特にUSYのような粗孔フォージャサイトを、追加して又は代わりに使用することができる。適切な水素化分解条件には、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、及び約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSVを含むことができる。
【0067】
一実施形態では、水素化分解段階に送出される処理ガスの量は、当該段階における水素の消費に基づくことができる。水素化精製段階についての処理ガス比は、当該段階において新たな供給材料のバレル当たりに消費される水素の量の約2倍〜約15倍とすることができる。一般的な水素化分解段階は、水素化分解される供給材料の性質を含む種々の要因に応じて、約50scf/bbl(約8Nm/m)〜約1000scf/bbl(約170Nm/m)の水素を消費し得る。かくして、処理ガス比は、約100scf/bbl(約17Nm/m)〜約15000scf/bbl(約2500Nm/m)とすることができる。好ましくは、処理ガス比は、消費される水素の量の約4倍〜約5倍とすることができる。上述の処理ガス比が水素の流量に言及していることに留意されたい。水素が、水素以外のガスを含有するストリームの一部として送出される場合には、ガスストリーム全体についての処理ガス比は、比例して大きくすることができる。
【0068】
次いで、反応塔110からの流出物125は、隔壁塔130の第1容積132に通すことができる。流出物125は、少なくとも3つの部分に分留することができる。第1容積132では、塔底カット(又は留分)142及びディーゼルカット144/147を生成することができる。流出物125の軽質部分は、隔壁塔内を上昇して、共通容積136に入ることができる。共通容積136は、1つ以上のカット、例えばケロシンカット143とナフサカット145に分けることもできる。
【0069】
塔底カット142及び/又はディーゼルカット144/147の少なくとも一部は、第2反応塔150に通すことができる。図1に示される実施形態では、第2反応塔150は、単一の水素化分解段階を含む。或いは、第2反応塔150は、1つ以上の水素化精製段階及び/又は、水素化分解段階のような1つ以上の他の水素化処理段階を含むことができる。
【0070】
一実施形態では、第2反応塔における水素化精製段階及び/又は水素化処理段階は、上述の触媒及び反応条件を用いることができる。或いは、反応塔150における水素化精製段階は、より温和な一組の効果的な反応条件を含むことができる。一実施形態では、水素化精製段階における触媒は、必要に応じて支持体上に第VIB族金属及び/又は第VIII族金属を含むことができる。典型的な金属には、ニッケル、モリブデン、タングステン及びそれらの組み合わせを含むことができる。典型的な支持体には、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、チタニア及びそれらの組み合わせを含むことができる。第2反応塔における(水素化精製段階の)反応条件には、供給材料ストリームの硫黄含有量、又は少なくとも供給材料ストリームのディーゼル及び/又は軽油部分の硫黄含有量を、約30wppm以下まで、好ましくは約15wppm以下又は約10wppm以下まで減少させるのに適した条件を含むことができる。反応条件には、有利には、約0.5hr−1〜約1.5hr−1のLHSV、約250psig(約1.7MPag)〜約800psig(約5.5MPag)の全圧力、及び約550°F(約288℃)〜約750°F(約399℃)の温度、好ましくは、約0.9hr−1〜約1.1hr−1のLHSV、約350psig(約2.4MPag)〜約600psig(約4.1MPag)の全圧力、及び約625°F(約329℃)〜約675°F(約357℃)の温度を含むことができる。処理ガス比は、水素化精製段階について上述した手順に従って選択されることができる。
【0071】
複数の水素化精製を含む実施形態では、後の方の段階における水素化精製条件は、前の方の段階における条件よりも過酷さを緩和することができる。例えば、後の方の水素化精製段階における圧力は、前の方の水素化精製段階における圧力の約250psig(1.7MPag)未満、例えば、約300psig(約2.1MPag)未満、約600psig(約4.1MPag)未満、又は約900psig(9.2MPag)未満とすることができる。追加して又は代わりに、後の方の水素化精製段階におけるLHSVは、前の方の水素化精製段階におけるLHSVよりも少なくとも約0.2hr−1多く、例えば、少なくとも約0.5hr−1多くすることができる。さらに、追加して又は代わりに、後の方の水素化精製段階における運転開始温度は、前の方の水素化精製段階における運転開始温度よりも約15℃〜約30℃低くすることができる。
【0072】
次いで、第2反応塔150からの流出物165は、隔壁塔130の第2容積134に通すことができる。隔壁塔130は、流出物165を分留して、少なくとも塔底留分172と、任意的ではあるが好ましくは生成物(ディーゼル)留分174と、並びに共通容積136に上昇することができる軽質部分とにすることができる。生成物留分174がディーゼル留分であるときには、塔底留分172は、流動接触分解プロセスのような別のプロセスへの供給材料として適当であるかもしれない未転換減圧軽油を含むことができる。特に生成物留分174が殆どないか全くない一定の状況では、塔底留分172は、ディーゼル留分を包含することができる。ディーゼル留分は有利には、低硫黄ディーゼル生成物、好ましくは超低硫黄ディーゼル生成物として使用するのに適切なものとすることができる。ディーゼル留分が超低硫黄ディーゼル生成物である一実施形態では、隔壁塔130の隔壁135は、第1容積132の比較的高い硫黄含有量生成物を、第2容積134の比較的低い硫黄生成物から分離した状態に維持することができる。
【0073】
図1における実施形態は、塔底留分172及びディーゼル留分174のいずれも第2反応塔150へのリサイクルを示していないことに留意すべきである。その代わり、第1容積132を出るストリーム142及び/又は147のみが、図1では第2反応塔150への供給材料として使用される。図1に示される実施形態は、このようにして、分留装置からの塔底部分の過剰なリサイクルの可能性を回避している。その結果、図1に示される実施形態では、多核芳香族化合物の生成を減少させることができる。
【0074】
図1のような一実施形態では、所望ならば、少なくとも2つの異なるグレードの生成物を、隔壁塔の各分離容積によって生成することができる。例えば、第1分離容積からのディーゼル留分と第2分離容積からのディーゼル留分との相違には、異なる硫黄含有量、異なる沸点又は蒸留特性、又は別の特徴を含むことができる。
【0075】
ディーゼル留分の硫黄含有量が相違している場合には、第1分離容積からのディーゼル留分の硫黄含有量は有利には、第2分離容積からのディーゼル留分の硫黄含有量を超えることができる。第1分離容積からのディーゼル留分の硫黄含有量は、少なくとも約15wppm、例えば、少なくとも約25wppm、少なくとも約50wppm、少なくとも約100wppm、又は少なくとも約250wppmとすることができる。追加して又は代わりに、第1分離容積からのディーゼル留分の硫黄含有量は、約400wppm以下、例えば、約200wppm以下、約100wppm以下、又は約50wppm以下とすることができる。さらに、追加して又は代わりに、第2分離容積からのディーゼル留分の硫黄含有量は、約50wppm以下、例えば、約30wppm以下、約20wppm以下、又は約15wppm以下、又は約10wppm以下とすることができる。
【0076】
蒸留特性に関して、隔壁塔における分離容積は、T5沸点が少なくとも約215°F(約102℃)、例えば、少なくとも約250°F(約121℃)、少なくとも約350°F(約177℃)、少なくとも約450°F(約232℃)、又は少なくとも約500°F(約260℃)のディーゼル沸点範囲カットを生成するように構成することができる。追加して又は代わりに、隔壁塔における分離容積は、T95沸点が約800°F(約427℃)以下、例えば、約700°F(約371℃)以下、約600°F(約316℃)以下、約550°F(約288℃)以下、約500°F(約260℃)以下、又は約450°F(約232℃)以下のディーゼル沸点範囲カットを生成するように構成されることができる。2つ以上のディーゼル沸点範囲ストリームが別々の容積で生成される場合には、上記のT5とT95の値は、各ストリームを別個に特徴づけるか、又は両方のストリームをひとまとめにして特徴づけるかに使用されることができることに留意されたい。
【0077】
一実施形態では、第2分離容積に対する第1分離容積からのディーゼル沸点範囲ストリームのT5沸点の差は、少なくとも約5℃、例えば、少なくとも約10℃、少なくとも約25℃、又は少なくとも約50℃とすることができる。追加して又は代わりに、第2分離容積に対する第1分離容積からのディーゼル沸点範囲ストリームのT95沸点の差は、少なくとも約5℃、例えば、少なくとも約10℃、少なくとも約25℃、又は少なくとも約50℃とすることができる。
【0078】
各分離容積は、より高い沸点のディーゼル範囲ストリーム及び/又は軽油沸点範囲ストリームのような、少なくとも1つのより高い沸点範囲ストリームを生成することもできる。各分離容積からの塔底部は一般に、より高い沸点範囲ストリームとなり、いくつかの実施形態では、複数のディーゼル沸点範囲及び/又は軽油沸点範囲ストリームが、各分離容積から生成されることができる。各分離容積からの塔底ストリーム(又は他の付加的なディーゼル又はより高い沸点範囲ストリーム)は、硫黄含有量、蒸留特性、及び/又は1つ以上の特性に基づいて異なり得る。
【0079】
追加して又は代わりに、蒸留特性に関して、隔壁塔における分離容積は、T5沸点が少なくとも約550°F(約288℃)、例えば、少なくとも約600°F(約316℃)、少なくとも約700°F(約371℃)、又は少なくとも約800°F(約427℃)の軽油沸点範囲カットを生成するように構成されることができる。追加して又は代わりに、隔壁塔における分離容積は、T95沸点が約1100°F(約593℃)以下、例えば、約1000°F(約538℃)以下、約900°F(約482℃)以下、又は約800°F(約427℃)以下の軽油沸点範囲カットを生成するように構成することができる。
【0080】
一実施形態では、第2分離容積に対する第1分離容積からの軽油沸点範囲ストリームのT5沸点の差は、少なくとも約5℃、例えば、少なくとも約10℃、少なくとも約25℃、又は少なくとも約50℃とすることができる。追加して又は代わりに、第2分離容積に対する第1分離容積からの軽油沸点範囲ストリームのT95沸点の差は、少なくとも約5℃、例えば、少なくとも約10℃、少なくとも約25℃、少なくとも約50℃、又は少なくとも約100℃とすることができる。
【0081】
限定するわけではないが、ナフサ沸点範囲ストリーム、ケロシン沸点範囲ストリーム、軽留分ストリーム(C炭化水素)、又はこれらの組み合わせを含む1つ以上のストリームを、隔壁塔の共通容積から取り出し/形成することができる。水素、硫化水素、アンモニア及び/又は他の非凝縮性ガスの別個のストリームを生成することもでき、或いはこれらの成分は、軽質留分ストリームのような、別のストリームの一部として、共通容積から出ることができる。ケロシン沸点範囲ストリームは、少なくとも約200°F(約93℃)、例えば、少なくとも約215°F(約102℃)又は少なくとも約250°F(約121℃)のT5沸点を有することができる。ケロシン沸点範囲ストリームは、追加して又は代わりに、約450°F(約232℃)以下、例えば、約400°F(約204℃)以下又は約350°F(約177℃)以下のT95沸点を有することができる。ナフサ沸点範囲ストリームは、少なくとも約85°F(約29℃)、例えば、少なくとも約100°F(約38℃)又は少なくとも約120°F(約49℃)のT5沸点を有することができる。ナフサ沸点範囲ストリームは、追加して又は代わりに、約250°F(約121℃)以下、例えば、約215°F(約102℃)以下又は約200°F(約93℃)以下のT95沸点を有することができる。
【0082】
実施例2:種々のグレードの低温流れ特性を生成するための構成
別の実施形態では、隔壁塔を、複数のグレードのディーゼル並びに複数のグレードの塔底生成物を生成するための2つの反応塔反応システムにおいて分留装置として使用することができる。図2は、この型式のシステムの例を概略的に示している。図2に示す実施形態では、反応塔210は、供給材料の水素化精製及び/又は水素化分解のための1つ以上の段階を含む。図2は、1つの水素化精製段階212及び1つの水素化分解段階214を含む反応塔210を示している。しかしながら、任意の他の便利な段階の組み合わせを選択的に反応塔210において含むことができる。図2が複数の段階を含む反応塔210を示しているが、別の実施形態では、複数の段階をもつ単一の反応塔の代わりに、複数の直列の反応塔を使用することができることに留意されたい。
【0083】
水素化精製段階では、供給材料205は、水素化精製段階212において効果的な水素化精製条件の下で水素化精製触媒に露出される。水素化精製段階における触媒は、例えば第VIB族金属及び/又は第VIII族金属を支持体上に含む(例えば、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、又はこれらの任意の組み合わせを包含する;金属の好ましい組み合わせは、ニッケルとモリブデン、又はニッケルとコバルトとモリブデンを含む;適切な支持体には、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、チタニア等、及びこれらの組み合わせを含むことができる)従来の水素化精製触媒のように、水素化精製反応に触媒作用を及ぼすことができる触媒でありえる。
【0084】
水素化精製段階における反応条件は、供給材料ストリームの硫黄含有量を減少させるのに適した条件とすることができる。水素化精製反応条件には、約0.3hr−1〜約5.0hr−1のLHSV、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)の温度、及び少なくとも約80%の水素(残りは不活性ガス)を含有する処理ガスを含むことができる。好ましくは、反応条件には、約0.5hr−1〜約1.5hr−1のLHSV、約1400psig(約9.7MPag)〜約2000psig(約13.8MPag)の全圧力、及び約700°F(約371℃)〜約750°F(約399℃)の温度を含むことができる。
【0085】
一実施形態では、水素化精製段階に送出される処理ガスの量は、当該段階における水素の消費に基づくことができる。水素化精製段階についての処理ガス比は、当該段階における新たな供給材料のバレル当たりに消費される水素の量の約2倍〜約5倍とすることができる。一般的な水素化精製段階は、水素化精製される供給材料の性質を含む種々の要因に応じて、約50scf/bbl(約8Nm/m)〜約1000scf/bbl(約170Nm/m)の水素を消費し得る。かくして、処理ガス比は、約100scf/bbl(約17Nm/m)〜約5000scf/bbl(約840Nm/m)とすることができる。好ましくは、処理ガス比は、消費された水素の量の約4倍〜約5倍とすることができる。上述の処理ガス比は水素の流量に言及していることに留意されたい。水素が、水素以外のガスを含有するストリームの一部として送出される場合には、ガスストリーム全体についての処理ガス比は、比例して多くすることができる。
【0086】
第1反応塔は、水素化分解段階114のような、1つ以上の付加的な水素化処理段階を含むことができる。水素化分解触媒の例には、ニッケル、ニッケル−コバルト−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステン、及び/又はニッケル−モリブデンを含むことができるが、最後の2つのうち一方又は両方が好ましい。貴金属触媒の非限定的な例は、白金及び/又はパラジウムをベースとするものを含む。貴金属触媒と他の金属触媒の両方について使用してもよい多孔質支持材料は、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、珪藻土、地質珪藻土、マグネシア、チタニア、ジルコニア、又はこれらの組み合わせのような耐火酸化材を包含することができるが、アルミナ、シリカ及び/又はアルミナ−シリカが好ましく最も普通である。ゼオライト支持体、特にUSYのような粗孔フォージャサイトが、追加して又は代わりに使用され得る。適切な水素化分解条件には、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、及び約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSVを含むことができる。
【0087】
一実施形態では、水素化分解段階に送出される処理ガスの量は、当該段階における水素の消費に基づくことができる。水素化精製段階についての処理ガス比は、当該段階における新たな供給材料のバレル当たりに消費される水素の量の約2倍〜約15倍とすることができる。一般的な水素化分解段階は、水素化分解される供給材料の性質を含む種々の要因に応じて、約50scf/bbl(約8Nm/m)〜約1000scf/bbl(約170Nm/m)の水素を消費し得る。かくして、処理ガス比は、約100scf/bbl(約17Nm/m)〜約15000scf/bbl(約2500Nm/m)とすることができる。好ましくは、処理ガス比は、消費される水素の量の約4倍〜約5倍とすることができる。上述の処理ガス比が水素の流量に言及していることに留意されたい。水素が、水素以外のガスを含有するストリームの一部として送出される場合には、ガスストリーム全体についての処理ガス比は、比例して多くすることができる。
【0088】
次いで、反応塔210からの流出物225は、隔壁塔230の第1容積232に通すことができる。流出物225は、少なくとも3つの部分に分留することができる。第1容積232では、塔底カット242及びディーゼルカット244/247を生成することができる。流出物225の軽質部分は、隔壁塔内を上昇して、共通容積236に入ることができる。共通容積236は、1つ以上のカット、例えば、ケロシンカット243及びナフサカット245に分離することもできる。
【0089】
次いで、塔底カット242及び/又はディーゼルカット244/247の少なくとも一部は、第2反応塔250に通すことができる。図2に示す実施形態では、第2反応塔250は、接触脱ろう段階252と、水素化仕上げ段階254とを含む。或いは、第2反応塔250には、水素化精製、水素化分解、接触脱ろう、及び/又は水素化仕上げ段階のような、1つ以上の他の水素化処理段階を含むことができる。
【0090】
一実施形態では、第2反応塔250における接触脱ろう及び水素化仕上げ段階252/254は、水素化精製及び/又は水素化分解について上述した触媒及び反応条件を用いることができる。或いは、第2反応塔250における接触脱ろう及び水素化仕上げ段階は、温和な組の効果的な反応条件を含むことができる。第2反応塔(の接触脱ろう及び水素化仕上げ段階)における反応条件には、供給材料ストリームの硫黄含有量、又は少なくとも供給材料ストリームのディーゼル及び/又は軽油部分の硫黄含有量を、約30wppm以下まで、好ましくは約15wppm以下又は約10wppm以下まで減少させるのに適した条件を含めることができる。反応条件には有利には、約0.5hr−1〜約1.5hr−1のLHSV、約250psig(約1.7MPag)〜約800psig(約5.5MPag)の全圧力、及び約550°F(約288℃)〜約750°F(約399℃)の温度、好ましくは、約0.9hr−1〜約1.1hr−1のLHSV、約350psig(約2.4MPag)〜約600psig(約4.1MPag)の全圧力、及び約625°F(約329℃)〜約675°F(約357℃)の温度を含むことができる。処理ガス比は、水素化精製段階について上述した手順に従って選択されることができる。
【0091】
複数の水素化処理段階を含む実施形態では、後の方の段階における水素化処理条件は、前の方の段階における条件よりも過酷さが緩和され得る。例えば、後の方の水素化処理段階における圧力は、前の方の水素化処理/水素化精製段階における圧力よりも約250psig(1.7MPag)低く、例えば、約300psig(約2.1MPag)低く、約600psig(約4.1MPag)低く、又は約900psig(9.2MPag)低くすることができる。追加して又は代わりに、後の方の水素化処理段階におけるLHSVは、前の方の水素化処理/水素化精製段階におけるLHSVよりも少なくとも約0.2hr−1多く、例えば、少なくとも約0.5hr−1多くすることができる。さらに、追加して又は代わりに、後の方の水素化処理段階における運転開始温度は、前の方の水素化処理/水素化精製段階における運転開始温度よりも約15℃〜約30℃低くすることができる。
【0092】
段階252のような接触脱ろう段階では、供給材料242/247を、接触脱ろう条件の下で接触脱ろう触媒に露出することができる。一般に、接触脱ろうは、ディーゼル及び/又は軽油沸点範囲供給材料のような供給材料内で長鎖分子を選択的に水素化分解し及び/又は水素化異性化することによって達成することができる。典型的な脱ろう触媒には、限定するわけではないが、結晶質アルミノシリケート(ゼオライト)又はシリコアルミノホスフェート(SAPO)のようなモレキュラーシーブを含むことができる。これらの触媒は、存在するならば好ましくは第VIII族金属、特に第VIII貴金属を含む、金属水和物成分を担持してもよい。脱ろう条件には、約280℃〜約380℃の温度、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の圧力、及び約0.1hr−1〜約5.0hr−1のLHSVを含むことができる。
【0093】
一実施形態では、脱ろう段階に送出される処理ガスの量は、当該段階における水素の消費に基づくことができる。脱ろう段階についての処理ガス比は、当該段階における新たな供給材料のバレル当たりに消費される水素の量の約2倍〜約15倍とすることができる。一般的な接触脱ろう段階は、脱ろうされる供給材料の性質を含む種々の要因に応じて、約50scf/bbl(約8Nm/m)〜約200scf/bbl(約34Nm/m)の水素を消費し得る。かくして、処理ガス比は、約100scf/bbl(約17Nm/m)〜約3000scf/bbl(約500Nm/m)とすることができる。好ましくは、処理ガス比は、消費される水素の量の約4倍〜約5倍とすることができる。上述の処理ガス比が水素の流量に言及していることに留意されたい。水素が、水素以外のガスを含有するストリームの一部として送出される場合には、ガスストリーム全体についての処理ガス比は、比例して多くすることができる。
【0094】
種々の実施形態では、接触脱ろうに使用されるモレキュラーシーブは、ZSM−48のような、10員環の1−Dモレキュラーシーブを含むことができる。このようなシーブは、主として供給材料内で分子を異性化することによって、脱ろうを実施することができる。ZSM−48に対する一般的なシリカ対アルミナ比は、約250対1以下、又は約200対1以下とすることができる。好ましくは、ZSM−48のシリカ対アルミナ比は、約110対1未満とすることができる。触媒を形成するため、ZSM−48は、限定するわけではないが、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、又はこれらの混合物を含むバインダと合成することができる。追加して又は代わりに、他の適切なバインダは、当業者には明らかであろう。
【0095】
図2に示す実施形態では、接触脱ろう段階252からの出力は、次いで、水素化仕上げ段階254に通すことができる。水素化仕上げ触媒の例には、限定するわけではないが、第VIB族金属及び/又は第VIII族金属を含有する触媒を含むことができる。一実施形態では、少なくとも1つの金属は、強力な水素化機能を与えるように硫化されることができる。追加して又は代わりに、水素化仕上げ触媒には、Pt、Pd、又はこれらの組み合わせのような、第VIII族貴金属を含むことができる。一実施形態では、金属は、触媒の重量を基にして約30重量%以上の量、好ましくは約50重量%以上の量(例えば、バルク金属触媒として)バルク状態で存在してもよい。或いは、金属は、限定するわけではないがシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア等又はこれらの組み合わせ(好ましくは、少なくともアルミナを包含する)のような低酸性酸化物を含むことができる非晶質又は結晶質酸化物材料上で支持されてもよい。支持体は、付加的に、例えばハロゲン化、特にフッ素化によって調整してもよい。支持された触媒の金属含有量は、非貴金属に対して約25重量%程度、通常は約20重量%以下とすることができる。一実施形態では、好ましい水素化仕上げ触媒には、珪酸含量が比較的高いメソ多孔質材料であるM41Sクラス/群の触媒に属する結晶質材料を含むことができる。M41Sクラス/群の触媒の例には、MCM−41(好ましい)、MCM−48、及びMCM−50が含まれる。
【0096】
水素化仕上げ条件には、約125℃〜約425℃、好ましくは約180℃〜約280℃の温度、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)、好ましくは約1500psig(約10.3MPag)〜約2500psig(約17.2MPag)の全圧力、及び約0.1hr−1〜約5hr−1、好ましくは約0.5hr−1〜約1.5hr−1のLHSVを含むことができる。処理ガス比は、水素化精製段階について上述した手順に従って選択することができる。
【0097】
次いで、第2反応塔250からの流出物265は、隔壁塔230の第2容積234に通すことができる。隔壁塔230は、流出物265を分留して、少なくとも塔底留分272と、任意的ではあるが好ましくは生成物(極寒用ディーゼル)留分274と、及び共通容積236に上昇することができる軽質部分とにすることができる。生成物留分274が極寒用ディーゼル留分であるときには、塔底留分272は、潤滑剤基本原料の生成物用の供給材料のような、別のプロセスへの供給材料として適当であるかもしれない脱ろうされた減圧軽油を含むことができる。極寒用ディーゼル留分は、好ましくは低温度環境におけるディーゼル燃料として使用するのに適している。或いは、極寒用ディーゼル留分の部分は、第1反応塔からのディーゼル留分244の部分とブレンドすることができる。
【0098】
図2のような一実施形態では、所望ならば、少なくとも2つの異なるグレードの生成物を、隔壁塔の各分離容積によって生成することができる。例えば、第1分離容積からのディーゼル留分と第2分離容積からの生成物留分との相違には、生成物についての異なる硫黄含有量、異なる沸点範囲及び/又は蒸留特性、又は留分の低温流れ特性のような他の特徴を含むことができる。硫黄含有量と蒸留特性との潜在的な相違は、上述されている。低温流れ特性のような他の特徴に関して、第1分離容積からのディーゼル/軽油留分は、曇り点、流動点、及び/又は別の低温流れ特性において、第2分離容積からのディーゼル/軽油留分と異なり得る。
【0099】
一実施形態では、第2分離容積からのディーゼル/軽油留分の曇り点は、第1分離容積からのディーゼル/軽油留分の曇り点よりも少なくとも約5℃低く、例えば、少なくとも約10℃低く、少なくとも約15℃低く、又は少なくとも約25℃低くすることができる。追加して又は代わりに、第2分離容積からのディーゼル/軽油留分の流動点は、第1分離容積からのディーゼル/軽油留分の流動点よりも少なくとも約5℃低く、例えば、少なくとも約10℃低く、少なくとも約15℃低く、又は少なくとも約25℃低くすることができる。
【0100】
実施例3:隔壁塔の例
シミュレーションに基づき、次の隔壁塔は、本発明の種々の実施形態にとって適当であると予想される。この実施形態では、高さが約35mの隔壁塔をシミュレートした。表1は、隔壁塔の細部に関する更なる情報を提供する。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例2に示す反応塔と同様な構成の出力の分留のために、表1に記載した隔壁塔をシミュレートした。表1の塔の隔壁は、サンプとゾーン4を足し合わせた大体の高さと少なくとも同程度とし、かつサンプ、セクション4、及びフラッシュゾーンの大体の全高さ未満とすることができる。かくして、表1に示される隔壁塔については、隔壁は、約7.9m〜約10.9mとすることができる。或いは、隔壁高さは、異なる分離容積において生成される留分間の混入物が所望レベル未満になるように選択することができる。
【0103】
隔壁塔についてのシミュレーションでは、隔壁は、2つの異なる大きさの非共通容積をもたらした。水素化精製/水素化分解生成物に対する分離容積に相当する第1分離容積は、全容積の約59%を表した。隔壁塔についての2つの分離容積は、同じ分離をするのに適した個々の分留塔とほぼ同様な容積を有するように選択された。
【0104】
表1に記載される隔壁塔は、隔壁高さの下方の各分離領域から2つの別個の生成物の分留を可能にする。最初の減圧軽油供給材料については、分離生成物には、各分離領域に対して塔底生成物とディーゼル沸点範囲生成物が含まれた。隔壁塔の第2の分離容積からの塔底生成物とディーゼル沸点範囲生成物は、第1の分離容積からの生成物に対して改良された低温流れ特性を有する生成物に相当した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料を第1の効果的な水素化精製条件の下で水素化精製すること;
前記水素化精製された供給原料を隔壁塔分留装置の第1容積で分留して、少なくとも第1生成物留分、第1塔底留分、及び前記分留装置の上部の分割されない容積に通される第1共通留分を生成すること;
前記第1塔底留分の一部を効果的な水素化処理条件の下で水素化処理すること;及び
前記隔壁塔分留装置の第2容積において前記水素化処理された第1塔底留分を分留して、少なくとも第2生成物留分、第3生成物留分、及び前記分留装置の上部の分割されない容積に通される第2共通留分を生成すること
を含み、
前記第2生成物留分が、前記第1生成物留分に対して少なくとも1つの改良された特性を有し、前記第3生成物留分が、前記第1塔底留分に対して少なくとも1つの改良された特性を有する、低硫黄蒸留生成物の製造方法。
【請求項2】
前記水素化処理が、効果的な接触脱ろう条件の下で、脱ろう触媒の存在下脱ろうすることを含み;前記第1生成物留分が第1ディーゼル留分であり;前記第2生成物留分が第2ディーゼル留分であり;及び前記第3生成物留分が第2塔底留分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化精製工程と分留工程との間に水素化分解工程を更に含み、
前記水素化分解工程が、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び前記水素化分解の際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む第1の効果的な水素化分解条件の下で前記水素化精製された供給原料を水素化分解することを含み、
前記水素化処理が、第2の効果的な水素化分解条件の下でリサイクルなしで水素化分解することを含み;前記第1生成物留分が第1ディーゼル留分であり、前記第2生成物留分が第2ディーゼル留分であり、前記第3生成物留分が第2塔底留分である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記効果的な水素化精製条件が、約0.3hr−1〜約5.0hr−1のLHSV、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、及び約650゜F(約343℃)〜約800゜F(約427℃)の温度を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記効果的な水素化精製条件が、前記水素化精製の間に消費される水素の約2倍〜約5倍の水素の量を提供する処理ガス比を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記効果的な水素化分解条件が、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び前記水素化分解の間に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2生成物留分の前記硫黄含有量が、前記第1生成物留分の前記硫黄含有量より少なく、前記第3生成物留分の前記硫黄含有量が、前記第1塔底留分の前記硫黄含有量より少ない、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記隔壁高さが、前記第2生成物留分が前記第1生成物留分に相当する材料の約1重量%以下を含有するように選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記脱ろう触媒が10員環の1−Dモレキュラーシーブを含む、請求項2及び4〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記脱ろうされた塔底部の分留に先だって、効果的な水素化仕上げ条件の下で前記脱ろうされた塔底留分を水素化仕上げすることを更に含み、前記効果的な水素化仕上げ条件が、約125℃〜約425℃の温度、約500psig(約3.4MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約0.1hr−1〜約5hr−1のLHSV、及び前記水素化仕上げの間に消費される水素の約2倍〜約5倍の水素処理ガス比を含む、請求項2及び4〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記効果的な接触脱ろう条件が、約280℃〜約380℃の温度、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の圧力、約0.1hr−1〜約5.0hr−1のLHSV、及び前記脱ろうの間に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む、請求項2及び4〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
次の事項:前記第2生成物留分の前記曇り点が前記第1生成物留分の前記曇り点よりも少なくとも約10℃低い;前記第1生成物留分の前記硫黄含有量が約15wppm以下である;前記第2塔底留分の前記流動点が前記第1塔底留分の前記流動点よりも少なくとも約10℃低い;の1つ以上が生ずる、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2生成物留分及び前記第2塔底留分が、前記水素化処理段階にリサイクルされない、請求項1、2及び7〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第2の効果的な水素化分解条件が、約200℃〜約450℃の温度、約5barg(約0.5MPag)〜約300barg(約30MPag)の水素圧、約0.05hr−1〜約10hr−1のLHSV、及び前記水素化分解の際に消費される水素の約2倍〜約15倍の水素処理ガス比を含む、請求項3〜8及び12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記塔底留分の前記部分の水素化分解の前又は後のいずれかに、前記塔底留分の前記部分の水素化精製、脱ろう、及び/又は水素化仕上げを更に含む、請求項3〜8、12及び14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512329(P2013−512329A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542046(P2012−542046)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056685
【国際公開番号】WO2011/068666
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】