説明

隔離弁及び隔離弁の交換方法

【課題】弁箱の流路の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁を提供する。
【解決手段】弁箱41の上部に取り付けられたボンネットを有し、弁箱に該弁箱41の流路6と連通してボンネット側に開口した穴部45を形成し、この穴部45に面した弁箱41の流路6の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリング70を備えた隔離弁において、弁箱の流路6の内面にネジ穴を設け、シートリング70の頭部に溝部を設け、シートリング70の胴部に弁箱の流路の内面に設けたネジ穴と係合するネジ部を設けて、シートリング70を弁箱41の流路に着脱自在に取り付け、弁箱41のボンネット側に開口した穴部45を通じて前記シートリング70を弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉の制御棒駆動機構に制御棒駆動水を供給する制御棒駆動水圧装置に係り、特に制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁及び隔離弁の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の原子炉の制御棒駆動水圧制御ユニット用の隔離弁は、特開昭60−56290号公報に示す通り、弁箱と上流側配管及び下流側配管とが溶接で接続されていると共に、前記弁箱にはステムとのシート面を形成するシートリングが圧入されており、このシートリングのシート面にシート面を形成するステライト等の耐磨耗性合金が肉盛されている。そして前記シートリングは、交換が可能なように弁箱に対して着脱自在に取り付けられた構成となっている。
【0003】
特許第2681021号公報には、一般の仕切弁や逆止弁に使用される弁箱に関するものであるが、弁箱に取り付けられた弁座の摺り合わせを行うために、駆動装置と、前記駆動装置により回転駆動されて弁座を研磨する研磨盤から構成される弁座の摺り合わせ工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−56290号公報
【特許文献2】特許第2681021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開昭60−56290号公報に記載された構成の弁箱を制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁に使用すると、弁箱のシート部ボデーに圧入されたシートリング(シート面)に損傷が生じた場合には、弁箱と上流側配管及び下流側配管とが溶接されているため、特許第2681021号公報に記載された工具を用いた弁座の摺り合わせ作業によってシートリングの手入れを行うことになる。
この摺り合わせをおこなう工具は小口径の隔離弁に適用することが困難であり、工具に代えて弁座の摺り合わせ作業を手作業で行うと膨大な作業時間を要することになる。
【0006】
また、シートリングに大きな傷が生じた場合には摺り合わせ作業で傷が除去できないのでシートリングを弁箱から取り外し、健全品のシートリングに交換して弁箱に取り付けることになるが、前記シートリングが弁箱に対して着脱自在に取り付けられた構成を採用しているので、傷が付ついたシートリングを備えた弁箱と上流側配管及び下流側配管との切断作業、並びに交換した健全品のシートリングを備えた弁箱と上流側配管及び下流側配管との溶接作業を不要にすることができる。この結果、放射線環境下の作業者の被ばく線量を低減することも可能となる。
【0007】
しかしながら、特開昭60−56290号公報に記載された制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁においては、前記シートリングを弁箱に対して着脱自在に取り付けるように構成することは弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法との公差管理、及びシートリングに圧入されるシート部材のギャップ管理を厳しくする必要があり、その分、高精度な隔離弁の製造が求められるという課題があった。
更に、隔離弁の弁箱のシートリングを弁箱に取り付ける際に、慎重に取り扱わないとシートリングを弁箱の流路等の縁で損傷する恐れがあるので、シートリングの取り付けに非常に手間を要するという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁において、前記弁箱の流路の内面にネジ穴を設け、前記シートリングの頭部に溝部を設け、前記シートリングの胴部に弁箱の流路の内面に設けたネジ穴と係合するネジ部を設けて、前記シートリングを弁箱の流路に着脱自在に取り付け、前記弁箱のボンネット側に開口した穴部を通じて前記シートリングを弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁において、前記シートリングを弁箱の材料と比較して加熱による膨張率及び冷却による収縮率が大きい材料で形成してこのシートリングを加熱及び冷却して弁箱の流路に着脱自在に取り付け、前記弁箱のボンネット側に開口した穴部を通じて前記シートリングを弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部が形成し、この穴部に面した弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁において、前記弁箱の流路の内面に爪溝を設け、前記シートリングの頭部に溝部を設け、前記シートリングの胴部に弁箱の流路の内面に設けた爪溝と係合する弾性体を備えた爪部を設けて前記シートリングを弁箱の流路に着脱自在に取り付け、前記弁箱のボンネット側に開口した穴部を通じて前記シートリングを弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルと連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した前記弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とステムのウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁であって、前記弁箱の流路の内面にネジ穴を設け、前記シートリングの頭部に溝部を設け、前記シートリングの胴部に弁箱の流路の内面に設けたネジ穴と係合するネジ部を設けて、前記シートリングを弁箱の流路に着脱自在に取り付ける隔離弁の交換方法において、弁箱のシートリングを下記の手順で交換する隔離弁の交換方法を特徴とする。
(1)弁箱の上流側配管にアイスプラグを施して該配管を流れる流体をせき止め、
(2)取付・取外治具のロッドに設けたピンをシートリングの頭部に設けた溝へはめ込み、
(3)取付・取外治具のロッドを回転させてピンと取付・取外用の溝とが係合しているシートリングを回転操作させて弁箱の流路からシートリングを取り外し、
(4)弁箱の流路から取り外したシートリングを弁箱のボンネット側の穴を経由して弁箱の外側に取り出し、
(5)健全なシートリングを弁箱のボンネット側の穴に入れて取付・取外用治具を用いて回転操作させて弁箱の流路に形成したネジ穴に前記シートリングの胴部に設けたネジ部を締め付けて、前記シートリングを弁箱の流路に取り付ける。
また本発明は、流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した前記弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって流路を隔離する隔離弁であって、前記シートリングは弁箱の材料と比較して加熱による膨張率及び冷却による収縮率が大きい材料で形成してこのシートリングを加熱及び冷却して弁箱の流路に着脱自在に取り付ける隔離弁の交換方法において、弁箱のシートリングを下記の手順で交換する隔離弁の交換方法を特徴とする。
(1)弁箱の上流側配管にアイスプラグを施して該配管を流れる流体をせき止め、
(2)弁箱を弁箱用冷却材により冷却してシートリングの外径が弁箱の流路から取外し可能となるよう前記流路の内径よりも小径に収縮させ、
(3)弁箱の流路からシートリングを取り出してボンネット側の穴を経由して前記シートリングを弁箱の外側に取り出し、
(4)健全なシートリングを弁箱のボンネット側の穴を経由して弁箱の流路にシートリングを取り付け、
(5)弁箱を弁箱用ヒータにより加熱してシートリングの外径が弁箱の流路より外れない径となるまで膨張させて流路に圧着し前記シートリングを弁箱の流路に取り付ける。
【0012】
また本発明は、流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した前記弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって流路を隔離する隔離弁であって、前記シートリングは弁箱の材料と比較して加熱による膨張率及び冷却による収縮率が大きい材料で形成してこのシートリングを加熱及び冷却して弁箱の流路に着脱自在に取り付ける隔離弁の交換方法において、弁箱のシートリングを下記の手順で交換する隔離弁の交換方法を特徴とする。
(1)弁箱の上流側配管にアイスプラグを施して該配管を流れる流体をせき止め、
(2)取付・取外治具のロッドに設けたピンをシートリングの頭部に設けた溝へはめ込み、
(3)取付・取外治具のロッドを回転させてピンと取付・取外用の溝とが係合しているシートリングを回転操作させて弁箱の流路の爪溝とシートリングの爪との係合を外して弁箱の流路からシートリングを取り外し、
(4)弁箱の流路から取り外したシートリングを弁箱のボンネット側の穴を経由して弁箱の外側に取り出し、
(5)健全なシートリングを弁箱のボンネット側の穴に入れて取付・取外用治具を用いて回転操作させて弁箱の流路に形成した爪溝に前記シートリングの胴部に設けた爪部を係合させて、前記シートリングを弁箱の流路に取り付ける。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】原子炉における制御棒駆動水圧系の配管系統を示す簡略図。
【図2】本発明の第1実施例である隔離弁の詳細構造を示す断面図。
【図3】図2に示した第1実施例の隔離弁の弁箱を示す断面図。
【図4】図3に示した第1実施例の隔離弁の弁箱に装着されるプラグ型シートリングを示す断面図。
【図5】図3に示したプラグ型シートリングを弁箱に対して脱着させる取付・取外治具の概略図。
【図6】図3に示した第1実施例の隔離弁の弁箱に対して図5に示した取付・取外治具を用いてプラグ型シートリングを着脱させる状態を示す説明図。
【図7】本発明の第2実施例である隔離弁の弁箱を示す断面図。
【図8】図7に示した第2実施例の隔離弁の弁箱に装着されるプラグ型シートリングを示す断面図。
【図9】図7に示した第2実施例の隔離弁の弁箱に図8に示すプラグ型シートリングを脱着させる状態を示す説明図。
【図10】本発明の第3実施例である隔離弁の弁箱を示す断面図。
【図11】図10に示した第3実施例の隔離弁の弁箱に装着されるプラグ型シートリングを示す断面図。
【図12】図10に示した第3実施例の隔離弁の弁箱に図11に示すプラグ型シートリングを脱着させる状態を示す説明図。
【図13】本発明の第4実施例である隔離弁の弁箱にプラグ型シートリングを取り付けた状態を示す弁箱の断面図。
【図14】図13に示した第4実施例の弁箱を示す断面図。
【図15】図14に示した第4実施例の隔離弁の弁箱に装着されるプラグ型シートリングを示す断面図。
【図16】図15に示したプラグ型シートリングを弁箱に対して脱着させる取付・取外治具の概略図。
【図17】図16に示したプラグ型シートリングを脱着する取付・取外治具の使用時の治具の動きを示す説明図。
【図18】図14に示した第4実施例の隔離弁の弁箱に対して図16に示した取付・取外治具を用いてプラグ型シートリングを着脱させる状態を示す説明図。
【図19】発明の第5実施例である隔離弁の弁箱にプラグ型シートリングを取り付けた状態を示す弁箱の断面図。
【図20】図19に示した第5実施例の弁箱を示す断面図。
【図21】図19に示した第5実施例の隔離弁の弁箱に装着されるプラグ型シートリングを示す断面図。
【図22】図19に示した第5実施例の隔離弁の弁箱に対して取付・取外治具を用いてプラグ型シートリングを脱着させる状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例である隔離弁、制御棒駆動水圧制御ユニットの隔離弁及び隔離弁の交換方法について図面を引用して以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1実施例である隔離弁、制御棒駆動水圧制御ユニットの隔離弁及び隔離弁の交換方法について図1乃至図6を用いて説明する。
【0017】
図1に示したような原子炉の制御棒を駆動する制御棒駆動機構(図示せず)の制御棒駆動水圧制御ユニット10は、原子炉の圧力容器20の内部の制御棒駆動機構(CRD、FMCRD)30に供給する制御弁駆動水の水圧を制御する装置である。この制御棒駆動水圧制御ユニット10に配設された配管5には隔離弁40、14が備えられており、この配管5に接続する他の配管にも隔離弁13、16、19がそれぞれ備えられている。
また、御棒駆動水圧制御ユニット10には、窒素容器11と、この窒素容器11に接続したスクラム供給水を貯めたアキュムレータ12が設置されており、前記アキュムレータ12は内部に貯蔵したスクラム供給水を配管5に供給可能に接続している。そして、配管5の隔離弁40とアキュムレータ12との間にはスクラム弁17が備えられている。また、15はチェック弁(逆止弁)である。
次に前記制御棒駆動水圧制御ユニット10に用いられる隔離弁について、隔離弁40を例にとって以下に詳細に説明する。
図2に示すように本実施例の隔離弁40は、内部に前記配管5と連通する流路6が形成されている弁箱41を備えており、この弁箱41が前記上流側の配管5及び下流側の配管5と溶接によってそれぞれ接続され、この弁箱41の上部に、六角ボルト52によってボンネット51を取り付けている。
前記弁箱41の内部の中央部にはボンネット側の穴45が形成されており、プラグ型シートリング70が弁箱40に形成された流路6の端部に着脱自在に取り付けられている。
一方、流体を隔離するステム62は先端にウエッジ61を備えて、上下動可能にボンネット51にねじ込まれており、このウエッジ61とプラグ型シートリング70との間でシート面を形成して流体を隔離する構造となっている。また、ステム62にはハンドル63がワッシャ64、ナット65によって固定され、容易に回転できるものとなっている。
前記ステム62とボンネット51との間にはシール部材53、54が設置され、ボンネット51と弁箱41との接合面にはシール部材46が設置されて流体の漏洩を防止する構造となっている。
図3及び図4に示すように、隔離弁40を構成する前記弁箱41の流路6のうち、ボンネット側の穴45に面した流路6の端部には、プラグ型シートリング70が着脱自在に取り付けられている。
このプラグ型シートリング70は、胴部の外周側にネジ部71とシート部材73を備え、頭部の先端にはシート面を、頭部の外周側には取付・取外用の溝72を設けた構成である。
【0018】
前記プラグ型シートリング70とは、隔離弁40を構成する弁箱41に対する取付け・取外しを可能としたシートリング70である。
【0019】
前記プラグ型シートリング70が弁箱41の流路6に着脱可能となるように、弁箱41の流路6の端部には座ぐり穴44が設けられており、前記流路6の内面にはネジ穴42を設けている。そして前記弁箱41のボンネット側の穴45を通じてプラグ型シートリング70を搬入し、弁箱41の流路6の端部にこのプラグ型シートリング70を装着して取り付ける。
【0020】
なお、弁箱41のネジ穴42は弁箱41の流路6に接続する配管接続穴43に連通した流路6の中心軸に対して後述する取付・取外治具80をプラグ型シートリング70との係合が容易となるように、水平からボンネット51側に少し傾斜を付けて設けている。この取付・取外治具80はロッド84と、ロッド84の先端部にユニバーサルジョイント85を介して設けたホルダ83と、ホルダ83に設けたピン82とから構成されている。
【0021】
弁箱41のネジ穴42を傾斜をつけて設ける場合はプラグ型シートリング70をボンネット側の穴45を通じて弁箱41の外側に取り出す作業性が良くなる。
【0022】
そして隔離弁40の弁箱41に着脱自在に取付けてあるプラグ型シートリング70が何等かの要因によって損傷した場合には、下記の手順(1)乃至手順(6)に基づいてプラグ型シートリング70を交換することになるが、このプラグ型シートリング70の交換方法について図5及び図6を用いて次に説明する。
図5及び図6に示した本実施例の隔離弁40の弁箱41において、
手順(1):隔離弁40の弁箱41に接続した上流側の配管5をアイスプラグ工法を用いて冷却して上流側の配管5を流れる流体をせき止める。アイスプラグ工法とは系統隔離ができない弁等を補修する際に配管内の液体に対し液体窒素等を用いて凍結させて氷の栓を形成し、流路内の流体の流れを遮断する施工技術である。
【0023】
手順(2):図5に示した取付・取外治具80を用い、図6に示すように前記取付・取外治具80を弁箱41の内部の中央部に形成したボンネット側の穴45に入れて、このピン82をプラグ型シートリング70の外周側に設けた取付・取外用の溝72に係合させる。
【0024】
手順(3):取付・取外治具80のロッド84を回転させることでピン82を介してプラグ型シートリング70の取付・取外用の溝72と係合したホルダ83が回転してプラグ型シートリング70のネジ部71を回転させ、弁箱41の流路6に形成したネジ穴42からプラグ型シートリング70を外す。
【0025】
手順(4):弁箱41の流路6に形成したネジ穴42から外したプラグ型シートリング70を弁箱41のボンネット側の穴45を経由して弁箱41の外側に取り出す。
【0026】
手順(5):次に健全なプラグ型シートリング70を弁箱41のボンネット側の穴45より弁箱41の内部側に入れ、前記取付・取外治具80を操作して前記プラグ型シートリング70のネジ部71を逆方向に回転させ、弁箱41の流路6に形成したネジ穴42に前記プラグ型シートリング70を取り付ける。
【0027】
手順(6):取付・取外用治具80を用いてプラグ型シートリング70のネジ部71を弁箱41の流路6のネジ穴42に締め付け、又は口径の大きな隔離弁41の場合、手締めが可能であれば取付・取外用治具80を用いずに手締めによってプラグ型シートリング70のネジ部71を弁箱41の流路6のネジ穴42に締め付けることにより、プラグ型シートリング70を弁箱41の流路6に強固に取り付ける。
【0028】
本実施例によれば、 隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法が実現できる。
【実施例2】
【0029】
本発明の第2実施例である隔離弁、制御棒駆動水圧制御ユニットの隔離弁及び隔離弁の交換方法について図7乃至図9を用いて説明する。
【0030】
本実施例は先に説明した第1実施例の隔離弁と基本的な構造は共通しているので、両者に共通した構成の説明は省略し、第1実施例と相違する本実施例の構成についてのみ以下に説明する。
【0031】
図7乃至図9において、本実施例の隔離弁40では、隔離弁40を構成する弁箱131の流路6の先端部に取り付けるプラグ型シートリング120として、加熱による膨張率が大きく、冷却による収縮率も大きい金属材料を用いて製作されており、胴部の外周側にシール部材73を備え、頭部の先端にはシート面を、頭部の外周側には取付・取外用の溝72を設けた着脱自在のプラグ型シートリング120を設ける。
【0032】
なお、プラグ型シートリング120の熱膨張率は、弁箱131の熱膨張率より大きいことを条件とし、機器の最低使用温度に対してもプラグ型シートリング120が弁箱131の流路6の端部に設けたさぐり穴134から脱落しない程度に膨張が維持される材料とする。
【0033】
例えばプラグ型シートリング120の材料は、アルミ合金(A3000番台)を用い、弁箱131の材料をアルミ合金より熱膨張率が小さいステンレス鋼(SUS304等)を用いる。
【0034】
次にプラグ型シートリング120が脱着できるように、弁箱131の流路6には流路6の先端部に座ぐり穴134を設け、流路6を形成する穴としてはプラグ型シートリング120が膨張した際に容易に外れない径となる配管接続穴133を設ける。
【0035】
なお、弁箱131の接続穴133は弁箱131の流路6の中心軸に対して水平に設ける、もしくは後述する取付・取外治具170をプラグ型シートリング120との係合が容易になるように流路6の中心軸に対してボンネット側に少し傾けて設ける。
【0036】
そして隔離弁40の弁箱131に取付けてあるプラグ型シートリング120が何等かの要因によって損傷した場合には、下記の手順(1)乃至手順(5)に基づいてプラグ型シートリング120を交換することになるが、このプラグ型シートリング120の交換方法について図7乃至図9を用いて次に説明する。
図7及乃至図9に示した本実施例の隔離弁40の弁箱131において、
手順(1):隔離弁40の弁箱131に接続した上流側の配管91をアイスプラグ工法を用いて冷却して上流側の配管91を流れる流体をせき止める。
【0037】
手順(2):弁箱131を弁箱用冷却材93により冷却し、プラグ型シートリング120のプラグ外径が弁箱131の流路6の内径より小さくなって取外し可能な径になるまで収縮させる。
【0038】
手順(3):手動或いは取付・取外治具を用いて弁箱131の流路6からプラグ型シートリング120を外し、このプラグ型シートリング120を弁箱131のボンネット側の穴135を経由して弁箱131の外側に取り出す。
【0039】
手順(4):次に健全なプラグ型シートリング120を弁箱131のボンネット側の穴135から弁箱131の内部側に入れ、手動或いは取付・取外治具を用いてプラグ型シートリング120を弁箱131の流路6に取付ける。
【0040】
手順(5):弁箱131を弁箱用ヒータ94により加熱してプラグ型シートリング120のプラグ外径が弁箱131の流路穴6から外れないように膨張させ、前記プラグ型シートリング120を弁箱131の流路6に圧着させることにより、プラグ型シートリング120を弁箱131の流路6に強固に取り付ける。
【0041】
本実施例によれば、隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法が実現できる。
【実施例3】
【0042】
本発明の第3実施例である制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁及び隔離弁の交換方法について図10乃至図12を用いて説明する。
【0043】
本実施例は先に説明した第1実施例の隔離弁と基本的な構造は共通しているので、両者に共通した構成の説明は省略し、第1実施例と相違する本実施例の構成についてのみ以下に説明する。
【0044】
図10乃至図12において、本実施例の隔離弁40では、隔離弁40を構成する弁箱111の流路6の先端部に取り付けるプラグ型シートリング140として、加熱による膨張率が大きく、冷却による収縮率も大きい金属材料を用いて製作されており、胴部の外周側にシール部材143を備え、頭部の先端にはシート面を、頭部の外周側には取付・取外用の溝142を設けた着脱自在のプラグ型シートリング140を設ける。
【0045】
なお、プラグ型シートリング140の熱膨張率は、弁箱111の熱膨張率より小さいことを条件とし、機器の最低使用温度に対してもプラグ型シートリング140が弁箱111の流路6の端部に設けたさぐり穴114から脱落しない程度に膨張が維持される材料とする。
【0046】
例えばプラグ型シートリング140の材料は、ステンレス鋼(SUS304等)を用いて、弁箱111の材料をステンレス鋼より熱膨張率が大きいアルミ合金(A3000番台)を用いる。
【0047】
次にプラグ型シートリング140が脱着できるように、弁箱111の流路6には流路6の先端部に座ぐり穴114を設け、流路6を形成する穴としてはプラグ型シートリング140が膨張した際に容易に外れない径となる配管接続穴113を設ける。
なお、弁箱111の配管接続穴113は弁箱111の流路6の中心軸に対して水平に設ける、もしくは後述する取付・取外治具170をプラグ型シートリング140との係合が容易になるように流路6の中心軸に対してボンネット側に少し傾けて設ける。
【0048】
そして隔離弁40の弁箱111に取付けてあるプラグ型シートリング140が何等かの要因によって損傷した場合には、下記の手順(1)乃至手順(5)に基づいてプラグ型シートリング140を交換することになるが、このプラグ型シートリング140の交換方法について図10乃至図12を用いて次に説明する。
図19及乃至図12に示した本実施例の隔離弁40の弁箱111において、
手順(1):隔離弁40の弁箱111に接続した上流側の配管91をアイスプラグ工法を用いて冷却して上流側の配管91を流れる流体をせき止める。
【0049】
手順(2):弁箱111の流路6に装着したプラグ型シートリング140をプラグ用冷却材95によって直接冷却し、プラグ型シートリング140のプラグ外径が弁箱111の流路6の内径より小さくなって取外し可能な径になるまで収縮させる。
【0050】
手順(3):手動或いは取付・取外治具を用いて弁箱111の流路6からプラグ型シートリング140を外し、このプラグ型シートリング140を弁箱111のボンネット側の穴115を経由して弁箱111の外側に取り出す。
【0051】
手順(4):次に健全なプラグ型シートリング140を弁箱111のボンネット側の穴115から弁箱111の内部側に入れ、手動或いは取付・取外治具を用いてプラグ型シートリング140を弁箱111の流路6に取付ける。
【0052】
手順(5):弁箱111の流路6に取り付けたプラグ型シートリング140をプラグ用ヒータ96により直接加熱してプラグ型シートリング140のプラグ外径が弁箱111の流路穴6から外れないように膨張させ、前記プラグ型シートリング140を弁箱111の流路6に圧着させることにより、プラグ型シートリング140を弁箱111の流路6に強固に取り付ける。
【0053】
本実施例によれば、 隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法が実現できる。
【実施例4】
【0054】
本発明の第4実施例である制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁及び隔離弁の交換方法について図13乃至図18を用いて説明する。
【0055】
本実施例は先に説明した第1実施例と基本的な構造は共通しているので、両者に共通した構成の説明は省略し、第1実施例と相違する本実施例の構成についてのみ以下に説明する。
図13乃至図18において、本実施例の隔離弁40では、隔離弁40を構成する弁箱151の流路6の先端部にプラグ型シートリング160が着脱自在に取り付けられている。
このプラグ型シートリング160は、図15に詳細に示したように、胴部の外周側に爪161、ピン162及び弾性体163で構成される爪部を設けており、頭部の先端にはシート面を、頭部の外周側には取付・取外用の溝164を設けた構成である。
【0056】
このプラグ型シートリング160を弁箱151の流路6に装着するため、弁箱151の流路6の内面に爪固定用溝152を設けてあり、この爪固定用溝152に弾性体163によって半径方向外方向に開いたプラグ型シートリング160の爪161が引っかかって装着できるように構成している。
【0057】
なお、弁箱151の流路6は後述する取付・取外治具170を用いてプラグ型シートリング160との係合が容易になるように、弁箱151の流路6の中心軸に対してボンネット側に少し傾斜をつけて設けている。
【0058】
プラグ型シートリング160の取付・取外治具170は、図16に示したように、ロッド171と、ロッド171の先端部に設けたホルダ176と、ホルダ176に取り付けられたガイド173及び位置決めピン172と、軸174と、この軸174に装着されたギヤ175とで構成され、ロッド171を回転させることにより、軸174及びギヤ175を介してホルダ176を展開、収納できる構造となっている。
【0059】
前記プラグ型シートリング160は、プラグ型シートリング160の爪161を弾性体163の弾性力によって半径方向外方向に開かせ、弁箱151の流路6の爪固定用溝152に前記爪161を引っかけさせて容易に外れない状態にすることで、弁箱151の流路6にプラグ型シートリング160を装着させる。
【0060】
そして隔離弁40の弁箱151に着脱自在に取付けてあるプラグ型シートリング160が何等かの要因によって損傷した場合には、下記の手順(1)乃至手順(5)に基づいてプラグ型シートリング160を交換することになるが、このプラグ型シートリング160の交換方法について図13乃至図18を用いて次に説明する。
図13乃至図18に示した本実施例の隔離弁40の弁箱151において、
手順(1):隔離弁40の弁箱151に接続した上流側の配管5をアイスプラグ工法を用いて冷却して上流側の配管5を流れる流体をせき止める。
【0061】
手順(2):図16に示した取付・取外治具170を用い、図17に示すように弁箱151の流路6の穴へ取付・取外治具170を挿入して前記取付・取外治具170のロッド171を回転させることでホルダ176を展開し、プラグ型シートリング160を保持する爪161を弁箱151の流路6の爪固定用溝152から外す。
【0062】
手順(3):その状態のまま取付・取外治具170を引き出して弁箱151のボンネット側の穴155からプラグ型シートリング160を取り出す。
【0063】
手順(4):次に健全なプラグ型シートリング160を取付・取外治具170を用いて弁箱151のボンネット側の穴155から弁箱151の内部側に入れ、取付・取外治具170を用いてプラグ型シートリング160を弁箱151の流路6に装着させる。
【0064】
手順(5):次に図17及び図18に示したように、取付・取外用治具170のロッド171を回転させてホルダ176を収納し、プラグ型シートリング160の爪161を半径方向外方に開かせて弁箱151の爪固定用溝152に引っ掛けさせることにより、前記プラグ型シートリング160を弁箱151の流路6に強固に取り付ける。
【0065】
本実施例によれば、 隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法が実現できる。
【実施例5】
【0066】
本発明の第5実施例である制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁及び隔離弁の交換方法について図19乃至図22を用いて説明する。
【0067】
本実施例は先に説明した第4実施例と基本的な構造は共通しているので、両者に共通した構成の説明は省略し、第1実施例と相違する本実施例の構成についてのみ以下に説明する。
図19乃至図22において、本実施例の隔離弁40では、隔離弁40を構成する弁箱181の流路6の先端部にプラグ型シートリング190が着脱自在に取り付けられている。
このプラグ型シートリング190は、図21に詳細に示したように、胴部の外周側に爪191、ピン192及び弾性体193で構成される爪部を設けており、頭部の先端にはシート面を、頭部の外周側には取付・取外用の溝194を設けた構成である。
【0068】
このプラグ型シートリング190を弁箱181の流路6に装着するため、弁箱181の流路6の内面に爪固定用溝182を設けてあり、この爪固定用溝182に弾性体163によって半径方向外方向に開いたプラグ型シートリング190の爪191が引っかかって装着できるように構成している。
【0069】
なお、弁箱181の流路6の端部座ぐり穴184が設けられ、流路6である配管接続穴183は流路6の中心軸に対して水平に設けてある。
【0070】
前記プラグ型シートリング190は、プラグ型シートリング190の爪191を弾性体193の弾性力によって半径方向外方向に開かせ、弁箱181の流路6の爪固定用溝182に前記爪191を引っかけさせて容易に外れない状態にすることで、弁箱181の流路6にプラグ型シートリング190を装着させる。
【0071】
そして隔離弁40を構成する弁箱181に取付けてあるプラグ型シートリング190が何等かの要因によって損傷した場合には、下記の手順(1)乃至手順(5)に基づいてプラグ型シートリング190を交換することになるが、このプラグ型シートリング190の交換方法について図19乃至図22を用いて次に説明する。そしてその際には、図16に示した取付・取外治具170を使用すれば良い。
図19乃至図22に示した本実施例の隔離弁40の弁箱181において、
手順(1):隔離弁40の弁箱181に接続した上流側の配管5をアイスプラグ工法を用いて冷却して上流側の配管5を流れる流体をせき止める。
【0072】
手順(2):図16に示した取付・取外治具170を用い、弁箱181のボンネット側の穴185穴へ取付・取外治具170を挿入して前記取付・取外治具170のロッド171を回転させることでホルダ176を展開し、プラグ型シートリング190を回転操作させて前記プラグ型シートリング190に設けた爪191を弁箱181の流路6に形成した爪固定用溝152から外す。
【0073】
手順(3):前記プラグ型シートリング190を保持した状態のまま取付・取外治具170を引き出して弁箱181のボンネット側の穴185からプラグ型シートリング190を弁箱181の外側に取り出す。
【0074】
手順(4):次に健全なプラグ型シートリング190を取付・取外治具170を用いて弁箱181のボンネット側の穴185から弁箱181の内部側に入れ、取付・取外治具170を用いてプラグ型シートリング190を弁箱181の流路6に装着させる。
【0075】
手順(5):次に図22に示したように、取付・取外用治具170のロッド171を回転させホルダ176を収納しプラグ型シートリング190の爪191を半径方向外方に開かせて弁箱181の爪固定用溝182に引っ掛けさせることにより、前記プラグ型シートリング190を弁箱181の流路6に強固に取り付ける。
【0076】
本実施例によれば、 隔離弁の弁箱と配管とを切断せずに隔離弁を構成する弁箱のシートリングを交換可能にするだけでなく、弁箱の内面寸法とシートリングの外形寸法の公差管理を容易にしてシートリングを弁箱に取り付ける際にシートリングが弁箱の流路等の縁で損傷することを防止する隔離弁及び隔離弁の交換方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は原子炉の制御棒駆動機構に制御棒駆動水を供給する制御棒駆動水圧装置の制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁及び隔離弁の交換方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
5:配管、6:流路、10:制御棒駆動水圧制御ユニット、11:窒素容器、12:アキュムレータ、13、14、16、18、19:隔離弁、15:チェック弁(逆止弁)、17:スクラム弁、20:圧力容器、30:制御棒駆動機構(CRD、FMCRD)、40:隔離弁、41:弁箱、42:ネジ穴、43:配管接続穴、44:座ぐり穴、45:ボンネット側の穴、46:シール部材、47:ステム支え、51:ボンネット、52:六角ボルト、53、54:シール部材、61:ウェッジ、62:ステム、63:ハンドル、64:ワッシャ、65:ナット、70:プラグ型シートリング、71:ネジ部、72:取付・取外溝、73:シール部材、80:取付・取外治具、81:ホルダ、82:ピン、83:ユニバーサル、ジョイント、84:ロッド、91:配管、92:冷却材(アイスプラグ用)、93:弁箱用冷却材、94:弁箱用ヒータ、95:プラグ用冷却材、96:プラグ用ヒータ、101:弁箱、103:配管接続穴、104:座ぐり穴、105:ボンネット側の穴、111:弁箱、113:配管接続穴、114:座ぐり穴、115:ボンネット側の穴、120:プラグ型シートリング、122:取付・取外溝123:シール部材、131:弁箱、133:配管接続穴、134:座ぐり穴、135:ボンネット側の穴、140:プラグ型シートリング、142:取付・取外溝、143:シール部材、151:弁箱、152:爪固定用溝、153:配管接続穴、154:座ぐり穴、155:ボンネット側の穴、160:爪付プラグ型シートリング、161:爪、162:ピン、163:弾性体、164:取付・取外溝、165:シール部材、170:取付・取外治具、171:ロッド、172:位置決めピン、173:ガイド、174:軸、175:ギヤ、176:ホルダ、181:弁箱、182:爪固定用溝、183:配管接続穴、184:座ぐり穴、185:ボンネット側の穴、190:爪付プラグ型シートリング、191:爪、192:ピン、193:弾性体、194:取付・取外溝、195:シール部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁において、
前記弁箱の流路の内面にネジ穴を設け、前記シートリングの頭部に溝部を設け、前記シートリングの胴部に弁箱の流路の内面に設けたネジ穴と係合するネジ部を設けて、前記シートリングを弁箱の流路に着脱自在に取り付け、前記弁箱のボンネット側に開口した穴部を通じて前記シートリングを弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにしたことを特徴とする隔離弁。
【請求項2】
請求項1に記載の隔離弁において、
前記弁箱の流路は流路の中心軸が水平に対してボンネット側に傾斜をつけて形成されていることを特徴とする隔離弁。
【請求項3】
流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁において、
前記シートリングを弁箱の材料と比較して加熱による膨張率及び冷却による収縮率が大きい材料で形成してこのシートリングを加熱及び冷却して弁箱の流路に着脱自在に取り付け、前記弁箱のボンネット側に開口した穴部を通じて前記シートリングを弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにしたことを特徴とする隔離弁。
【請求項4】
流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部が形成し、この穴部に面した弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁において、
前記弁箱の流路の内面に爪溝を設け、前記シートリングの頭部に溝部を設け、前記シートリングの胴部に弁箱の流路の内面に設けた爪溝と係合する弾性体を備えた爪部を設けて前記シートリングを弁箱の流路に着脱自在に取り付け、前記弁箱のボンネット側に開口した穴部を通じて前記シートリングを弁箱の流路に対して取り外し又は取り付けるようにしたことを特徴とする隔離弁。
【請求項5】
請求項4に記載の隔離弁において、
前記隔離弁は制御棒駆動水圧制御ユニットに用いられる隔離弁であることを特徴とする隔離弁。
【請求項6】
流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルと連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した前記弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とステムのウエッジとの相対位置によって弁箱の流路を隔離する隔離弁であって、前記弁箱の流路の内面にネジ穴を設け、前記シートリングの頭部に溝部を設け、前記シートリングの胴部に弁箱の流路の内面に設けたネジ穴と係合するネジ部を設けて、前記シートリングを弁箱の流路に着脱自在に取り付ける隔離弁の交換方法において、
弁箱のシートリングを下記の手順で交換する隔離弁の交換方法。
(1)弁箱の上流側配管にアイスプラグを施して該配管を流れる流体をせき止め、
(2)取付・取外治具のロッドに設けたピンをシートリングの頭部に設けた溝へはめ込み、
(3)取付・取外治具のロッドを回転させてピンと取付・取外用の溝とが係合しているシートリングを回転操作させて弁箱の流路からシートリングを取り外し、
(4)弁箱の流路から取り外したシートリングを弁箱のボンネット側の穴を経由して弁箱の外側に取り出し、
(5)健全なシートリングを弁箱のボンネット側の穴に入れて取付・取外用治具を用いて回転操作させて弁箱の流路に形成したネジ穴に前記シートリングの胴部に設けたネジ部を締め付けて、前記シートリングを弁箱の流路に取り付ける。
【請求項7】
流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した前記弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって流路を隔離する隔離弁であって、
前記シートリングは弁箱の材料と比較して加熱による膨張率及び冷却による収縮率が大きい材料で形成してこのシートリングを加熱及び冷却して弁箱の流路に着脱自在に取り付ける隔離弁の交換方法において、弁箱のシートリングを下記の手順で交換する隔離弁の交換方法。
(1)弁箱の上流側配管にアイスプラグを施して該配管を流れる流体をせき止め、
(2)弁箱を弁箱用冷却材により冷却してシートリングの外径が弁箱の流路から取外し可能となるよう前記流路の内径よりも小径に収縮させ、
(3)弁箱の流路からシートリングを取り出してボンネット側の穴を経由して前記シートリングを弁箱の外側に取り出し、
(4)健全なシートリングを弁箱のボンネット側の穴を経由して弁箱の流路にシートリングを取り付け、
(5)弁箱を弁箱用ヒータにより加熱してシートリングの外径が弁箱の流路より外れない径となるまで膨張させて流路に圧着し前記シートリングを弁箱の流路に取り付ける。
【請求項8】
流体を流下する上流側配管及び下流側配管と溶接により接続され前記両配管と連通した流路を内部に形成した弁箱と、前記弁箱の上部に取り付けられたボンネットと、ハンドルに連結したステムの端部に設けられたウエッジを有し、前記弁箱に該弁箱の流路と連通してボンネット側に開口した穴部を形成し、この穴部に面した前記弁箱の流路の端部にステムのウエッジと当接するシート面を有するシートリングを備え、シートリングのシート面とウエッジとの相対位置によって流路を隔離する隔離弁であって、
前記シートリングは弁箱の材料と比較して加熱による膨張率及び冷却による収縮率が大きい材料で形成してこのシートリングを加熱及び冷却して弁箱の流路に着脱自在に取り付ける隔離弁の交換方法において、
弁箱のシートリングを下記の手順で交換する隔離弁の交換方法。
(1)弁箱の上流側配管にアイスプラグを施して該配管を流れる流体をせき止め、
(2)取付・取外治具のロッドに設けたピンをシートリングの頭部に設けた溝へはめ込み、
(3)取付・取外治具のロッドを回転させてピンと取付・取外用の溝とが係合しているシートリングを回転操作させて弁箱の流路の爪溝とシートリングの爪との係合を外して弁箱の流路からシートリングを取り外し、
(4)弁箱の流路から取り外したシートリングを弁箱のボンネット側の穴を経由して弁箱の外側に取り出し、
(5)健全なシートリングを弁箱のボンネット側の穴に入れて取付・取外用治具を用いて回転操作させて弁箱の流路に形成した爪溝に前記シートリングの胴部に設けた爪部を係合させて、前記シートリングを弁箱の流路に取り付ける。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−231866(P2011−231866A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103122(P2010−103122)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】