説明

障子用支持装置および窓装置

【課題】地震時に障子をロッキングさせてその破損を防止する。
【解決手段】障子10Aの上縁の左右に離れた箇所に支持機構30を介して吊車39を設け、この吊車39を軌道1yに乗せることにより障子10Aを吊った状態で支持する。障子10Aの左右方向の移動に際して,吊車39を軌道1yに沿って走行させる。支持機構30は、上側部分31と下側部分32を有する。上側部分31は吊車39を支持する吊車支持部31aおよび荷重受部31bを含。下側部分32は障子10Aの上縁に固定されて鉛直に上方に延びる貫通部32aおよびこの貫通部32aの上端部に設けられた引掛部32bを含む。下側部分32の貫通部32aを、上側部分31の荷重受部31bに貫通させ、引掛部32bを荷重受部31bに乗せることにより、障子10Aの荷重を荷重受部31bに負担させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子を吊った状態で支持する装置およびこの装置を用いた窓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、吊り下げ状態で支持される複数の障子を備えた窓装置は公知である。この窓装置の複数の障子は、左右方向に直線的に移動する第1障子と、閉じ位置から室内外方向に変位した後で左右方向に直線的に移動する第2障子とを含んでいる。全ての障子は、窓枠の開口を閉じた状態で互いにフラットをなしている。
【特許文献1】特開2005−127037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の窓装置では、障子が閉じ状態で大きな地震が発生した時に、障子に歪みを生じさせる大きな力が作用し、障子の破損を招くことがあった。
【0004】
図8に示すように、右側に第1障子10Aを配し左側に第2障子10Bを配した、合計2枚の障子を有する窓装置を例にとって説明する。地震の際には互いに逆向きの層間変位が交互に発生する。図示のように上枠1を左方向に下枠2を右方向に大きく変位させる層間変位が発生した時、右側の縦枠3が、この縦枠3と第1障子10Aとの間のシール材を潰して、第1障子10Aの右上隅に当たり、同様にして、左側の縦枠3が第2障子10Bの左下隅に当たる。この際、障子10は上下方向に変位することが殆どできないため、縦枠3、3からの押圧力を逃がすことができず、歪んでしまい、破損に至るのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、障子の上縁の左右に離れた箇所に支持機構を介して吊車を設け、この吊車を軌道に乗せることにより障子を吊った状態で支持するとともに、障子の左右方向の移動に際して吊車を軌道に沿って走行させるようにした障子用支持装置において、上記支持機構は上側部分と下側部分を有し、上側部分は上記吊車を支持する吊車支持部および荷重受部を含み、下側部分は障子の上縁に固定されて鉛直に上方に延びる貫通部およびこの貫通部の上端部に設けられた引掛部を含み、上記下側部分の貫通部を上側部分の荷重受部に貫通させ、上記引掛部を上記荷重受部に乗せることにより、障子の荷重を荷重受部に負担させるとともに、障子の上縁と荷重受部との間に障子の上方への変位を可能にするための間隙を形成することを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、障子が上下逆向きの水平押圧力を受けた時に、左右一方の支持機構において引掛部が荷重受部から浮き上がり、障子がその上縁部の左右一方の端部が上がるようにロッキング(rocking)する。その結果、障子に付与される押圧力を逃がすことができ、障子は歪みによる破損を免れる。
【0007】
好ましくは、上記下側部分が1本のボルトからなり、ボルトの軸部が上記貫通部として提供され、ボルトの頭部が上記引掛部として提供される。
この構成によれば、貫通部となるボルトの軸部下端を、ナット等を介して容易に障子に固定することができるとともに、貫通部および引掛部を安価に提供できる。
【0008】
支持機構の一態様では、上記支持機構の上側部分が、1つのブラケットからなり、このブラケットは、上端部が上記吊車支持部として提供され、下端部が上記荷重受部として提供される。
このような構成の支持機構は、左右方向に直線的に移動する障子のために用いられ、構成が簡単である。
【0009】
支持機構の他の態様では、上記支持機構の上側部分が、吊車支持部を含む部材と、荷重支持部を含む部材と、両部材間に介在されたリンクとを備え、このリンクが両部材に対して異なる鉛直の回動軸線を中心にして回動可能に連結され、このリンクには上記2つの回動軸線と異なる位置に、ガイド部に案内されて走行する走行部が設けられている。
このような構成の支持機構は、閉じ位置から室内外方向に変位した後で左右方向に直線的に移動する障子に用いるのに適している。
【0010】
さらに本発明は、上下枠と左右の縦枠とにより形成された窓枠と、上枠に吊り下げられた状態で支持され、窓開口を閉じた状態で互いにフラットをなす複数の障子とを備えた窓装置において、上記複数の障子は、左右方向に直線的に移動する第1障子と、閉じ位置から室内外方向に変位した後で左右方向に直線的に移動する第2障子とからなり、各障子の上縁には左右に離れた箇所に支持機構を介して吊車が設けられ、上記上枠には、左右方向に直線的に延びる第1軌道と第2軌道が設けられ、第1軌道には第1障子の吊車が乗り、第2軌道には第2障子の吊車が乗り、上記障子の各支持機構は上側部分と下側部分とを有し、上側部分は上記吊車を支持する吊車支持部および荷重受部を含み、下側部分は障子の上縁に固定されて鉛直に上方に延びる貫通部およびこの貫通部に設けられた引掛部を含み、上記第2障子の支持機構の上側部分は、上記吊車支持部を含む部材と、上記荷重支持部を含む部材と、両部材間に介在されたリンクとを備え、このリンクが両部材に対して異なる鉛直の回動軸線を中心にして回動可能に連結され、このリンクには、上記2つの回動軸線と異なる位置に走行部が設けられ、上記上枠には、上記第2障子の支持機構の走行部を案内するためのガイド部が設けられ、このガイド部は、左右に延びる直線部と、この直線部の左右いずれか一方の端に連なる変位部とを有し、この変位部は上記走行部を室内外方向に案内するようになっており、これにより、第2障子を閉じ位置から開き動作する際に、第2障子の室内外方向への変位を可能にし、上記第1、第2障子の各支持機構において、上記下側部分の貫通部を上側部分の荷重受部に貫通させ、上記引掛部を上記荷重受部に乗せることにより、障子の荷重を荷重受部に負担させるとともに、障子の上縁と荷重受部との間に障子の上方への変位を可能にするための間隙を形成することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、地震による層間変位発生の際に、フラットをなす閉じ状態の全ての障子でロッキングが生じ、その破損を回避することができる。
【0012】
本発明によれば、層間変位等の際に障子の破損を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係わる障子用支持装置を組み込んだ窓装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図3に示すように、窓装置は、上枠1と、下枠2と、左右の縦枠3,3とからなる窓枠5(枠体)を有しており、この窓枠5により窓開口6(開口)が画成されている。この窓開口6は、複数例えば2枚の障子10A,10Bにより開閉されるようになっている。
本実施形態の窓装置は内窓として提供され、その室外側には間隔をおいて、障子を嵌め殺し状態で取り付けた外窓が配置されている。両窓間には空調設備等が配置されている。
【0014】
障子10A、10Bはほぼ同一構造を有しており、それぞれ上下の框11、12と、左右の縦框13,13とで構成された枠内にガラス板14を嵌め込むことにより構成されている。
図1に示すように、障子10A、10Bは、窓開口6を閉じた状態で互いにフラットになっている(同一鉛直面上に配置されている)。
【0015】
図1、図5に示すように、障子10A、10Bの左右の縦框13には、シール材15、16が取り付けられており、上記閉じ状態において、両障子10A、10Bのシール材15が、左右の縦枠3に当たり、両障子のシール材16がそれぞれ他の障子の縦框13に当たっている。
【0016】
上記障子10A、10Bは、上枠1に吊り下げ状態で支持されている。右側の障子10A(第1の障子)は、閉じ位置から左方向に直線的な移動をするように案内される。左側の障子10B(第2の障子)は、閉じ位置から室内側に変位した後で右方向に移動をするように案内される。
【0017】
以下、上記障子10A、10Bを案内支持するための構成を中心に説明する。
図2、図3に示すように、押出型材からなる上枠1は、室内外方向に対峙する断面コ字形の吊車収容部1aを有しており、これら吊車収容部1aの水平をなす底壁1xは軌道(第2軌道)として提供される。
【0018】
さらに上枠1は、室外側の吊車収容部1aの下方に断面コ字形の吊車収容部1bを有しており、この吊車収容部1bの水平をなす底壁1yも軌道(第1軌道)として提供される。
【0019】
上枠1の室外側部位の下面には、押出型材からなる支持部材7が固定され、この支持部材5の下端部には、閉じ状態での障子10A、10Bの室外側の面に接するシール材8が取り付けられている。また、上枠1の室内側には、垂れ下がり状態で押出型材からなる遮蔽部材9が固定されている。上記支持部材7、遮蔽部材9は上枠1の一部を構成する。
【0020】
図1、図2に示すように、右側の障子10A(第1の障子)の上框11の左右端部(左右方向に離れた箇所)には、それぞれ支持機構30を介して吊車39が取り付けられ、吊車39が上枠1の軌道1yを乗ることにより、障子10Aは吊り下げ状態で左右方向(上枠1の長手方向)に直線的に案内されるようになっている。
【0021】
上記支持機構30は、略L字形のブラケット31(上側部分)と、ボルト32(下側部分)とを有している。このブラケット31の鉛直板部の上端部が吊車支持部31aとして提供され、ここに1つの吊車39が回転可能に支持されている。また、ブラケット31の下端の水平板部は荷重受部31bとして提供される。
【0022】
上記ボルト32は、その軸部32a(貫通部)を鉛直に起立させた状態で、下端部が障子10Aの上框11の上壁を貫通し、この上壁の上下に配置されたナット(下側のナットは図示せず)により固定されている。ボルト32の軸部32aは、ブラケット31の荷重受部31bに形成された貫通穴を上下方向変位可能にして貫通している。ボルト32の頭部32b(引掛部)が荷重受部31の上面に乗ることにより、障子10Aの荷重がボルト32、ブラケット31、吊車39を介して上枠1に支持される。
この吊り下げ支持状態では、図2に示すように、障子10Aの上縁と荷重受部31bとの間に、障子10Aの上方への変位を許容する間隙Hが形成されている。また、障子10Aに固定されたボルト32の頭部32bと、上枠1の室外側部位の下面との間には、上記間隔Hとほぼ等しい間隙が形成されている。
【0023】
図1、図3に示すように、左側の障子10B(第2の障子)の上框11の左右端部にも、支持機構40を介して吊車49が取り付けられている。この支持機構40は、その下側部分が障子10Bの上框11に固定されたボルト47により構成されている点で、上記障子10Aのための支持機構30と同じである。
【0024】
図1,図3,図4に示すように、支持機構40の上側部分40aは、上記支持機構30の上側部分より複雑であり、吊車支持部41aを有する部材41と、その下方に配置された荷重受部42aを有する部材42と、両部材41、42間に配置されたリンク43とを有している。
【0025】
リンク43は、上下の部材41、42に、それぞれ鉛直のシャフト44、45(回動軸線)を介して回動可能に連結されている。詳述すると、リンク43は平面形状が略L字形をなし、その長辺部の先端が部材41の中間部にシャフト44を介して連結され、その中間屈曲部がシャフト45を介して部材42の室内側の部位に連結されている。
【0026】
図3、図4に示すように、上記部材41の左右端には吊車支持部41aが設けられ、各吊車支持部41aには、室内外方向に対峙する一対の吊車49が回転可能に支持されている。
上記部材42は、室外方向に突出する水平板部を有し、この水平板部が荷重受部42aとして提供される。
【0027】
上記ボルト47の軸部47a(貫通部)は、上記荷重受部42aに形成された貫通穴を上下変位可能に貫通しており、その頭部47b(引掛部)が荷重受部42aの上面に乗ることにより、障子10Bの荷重が支持機構40、吊車49を介して上枠1に支持される。
この吊り下げ支持状態では、図3に示すように、障子10Bの上縁と荷重受部47bとの間に、障子10Bの上方への変位を許容する間隙Hが形成されている。また、障子10Bに固定されたボルト47の頭部47bと、上枠1の室外側部位の下面との間には、上記間隔Hとほぼ等しい間隙が形成されている。
【0028】
上記障子10Bの上框11において支持機構40に対応する箇所には、回り止め部材46が固定されており、この回り止め部材46に荷重受部42aの室外側端縁が当たることにより、部材42の障子10Bに対する回り止めがなされている。
【0029】
上記障子10Bの吊車49は、障子10Aの吊車39と干渉することなく、左右方向に直線的に走行するが、障子10Bは、閉じ位置から右方向に移動する過程の初期段階で室内側に変位し、さらに右方向に移動することにより障子Aと重なるようになる。
【0030】
上記障子10Bを室内方向に変位させるためのガイド構造50について、図3、図4、図5(A)を参照しながら説明する。このガイド構造50は、障子10Bの2つの支持機構40のリンク43にそれぞれ設けられたローラ51(走行部)と、上枠1に設けられた2つのガイド部52,53とを有している。
【0031】
上記ローラ51は、支持機構40のリンク43において室内方向に突出する短辺部の先端に、上方に突出するようにして回転可能に設けられている。ガイドローラ51の回転軸線は鉛直をなしている。
【0032】
図3に示すように、ガイド部52,53は、上枠1の室内側部位の下面に固定された断面コ字形をなす部材により構成されており、下方に開口する溝形状をなしている。これらガイド部52,53に上記左右一対のガイドローラ51、51が収容されており、障子10Bの移動に伴ってガイドローラ51、51がガイド部52,53に沿って走行するようになっている。
【0033】
図5(A)に示すように、上枠1の右部に設けられたガイド部52は、左右方向に延びる直線部52aと、その左端に連なり室外方向に延びる変位部52bとを有している。
上枠1の左部に設けられたガイド部53は、左右方向に延びる右側の直線部53aと、これより室外側に位置して左右方向に延びる左側の直線部53bと、両直線部53a,53b間を連ねる傾斜した変位部53cとを有している。
直線部52a,53aは一直線上に配置されている。直線部53bと変位部52bの始端は、他の直線上に配置されている。
【0034】
次に、上記障子10A,10Bの下縁のためのガイド構造について、図1〜図3および図5(B)を参照しながら説明する。下枠10の右部には、障子10Aのためのガイド部材61,61が左右に離れて固定されている。このガイド部材61,61は、断面コ字形をなし、上部が開口したガイド溝を有しており、このガイド溝に障子10Aの下框12に形成された垂下壁12aが入り込んでいる。
【0035】
下枠10の左側には、障子10Bのためのガイド部材62,63が設けられている。左側のガイド部材62は下枠2に対して回動可能であり、右側のガイド部材63は、室内外方向に変位可能であるとともに回動可能である。
【0036】
上記構成をなす窓装置の作用を説明する。図5および図6(A)に示す閉じ状態では、障子10Bの右側のローラ51は、ガイド部52の変位部52bの始端に位置し、左側のローラ51はガイド部53の左側の直線部53bに位置している。
【0037】
障子10Bの右縁を手前(室内)に向かって引くと、図6(B)に示すように、右側のローラ51がガイド部52の変位部52bを走行し、これに伴いリンク43が回動するため、障子10Bは右縁が手前に変位するようにして傾く。
【0038】
次に障子10Bを右方向に移動させると、図6(C)に示すように、右側のローラ51が右側のガイド部52の直線部52aに沿って走行し、左側のローラ51が左側のガイド部53の変位部53cを走行するため、障子10Bの左縁も室内側に向かって変位する。
【0039】
さらに障子10Bを右方向に移動させると、図6(D)に示すように、左右のローラ51,51がガイド部52,53の直線部52a,53aを走行し、障子10Bが障子10Aと平行になる。この状態では、障子10Aを左方向に向かって移動させることもできる。
【0040】
次に、本発明において最も重要な作用について説明する。図7(A)は障子10A,10Bの閉じ状態を概略的に示している。
【0041】
地震により建物に層間変位が生じると、上枠1と下枠2は図7(B)に示すように反対方向に相対変位する。その結果、縦枠3が傾き、シール材15,15を介して障子10A,10Bを押す。例えば、上枠1を左方向に下枠2を右方向に大きく変位させる層間変位が発生した場合、右側の縦枠3が、シール材15を潰して、右側の障子10Aの右上隅に当たり、同様にして、左側の縦枠3が左側の障子10Bの左下隅に当たる。
【0042】
上記のように障子10Aの右上隅が押されると、障子10Aの右側の支持機構30のボルト32の頭部32bがブラケット31の荷重受部31bから浮き上がり、障子10Aは右上隅が上がるように時計回りに回動(ロッキング(rocking))する。
この時、障子10Bの左下隅が押され、障子10Bの右側の支持機構40のボルト47の頭部47bが荷重受部42aから浮き上がり、障子10Bは右上隅が上がるように時計回りにロッキングする。
【0043】
上記とは逆に上枠1が右方向に下枠2が左方向に相対変位した時には、障子10A,10Bの左隅部が上がるように反時計回りのロッキングが生じる。
上述のようにして、障子10A,10Bはロッキングにより縦枠3からの押圧力を逃がすことができるので、この押圧力による歪みを回避ないしは抑制でき、その破損を防止することができる。
【0044】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様が可能である。例えば、障子の枚数は3枚以上であってもよい。この場合、少なくとも1つの障子は、上記実施例の障子10Bと同様に、室内外方向に変位できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係わる障子用支持装置を用いた窓装置の一実施形態を閉じ状態で示す一部省略正面図である。
【図2】図1においてII-II線に沿う縦断面図である。
【図3】(A)は、図1においてIII-III線に沿う縦断面図であり、(B)は左側の障子を開き位置に向かって移動させた状態で示す縦断面図である。
【図4】左側の障子の支持機構を示す平面図である。
【図5】同窓装置の閉じ状態での概略平断面図であり、(A)は上側のガイド構造を示し、(B)は下側のガイド構造を示す。
【図6】(A)〜(D)は、障子の開き動作を順を追って説明する概略平面図である。
【図7】(A)は通常の閉じ状態での同窓装置を示す概略正面図であり、(B)は地震による層間変位が生じた時に障子がロッキングしている状態を示す概略正面図である。
【図8】従来の窓装置で地震による層間変位が生じた時の状態を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 上枠
1x 第2軌道
1y 第1軌道
5 窓枠
6 開口
10A 第1の障子
10B 第2の障子
30 支持機構
31 ブラケット(上側部分)
31a 吊車支持部
31b 荷重受部
32 ボルト(下側部分)
32a 軸部(貫通部)
32b 頭部(引掛部)
39 吊車
40 支持機構
40a 上側部分
41,42 部材
41a 吊車支持部
42a 荷重受部
43 リンク
44,45 シャフト
47 ボルト(下側部分)
47a 軸部(貫通部)
47b 頭部(引掛部)
51 ローラ(走行部)
52,53 ガイド部
52a、53a 直線部
52b、53c 変位部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子の上縁の左右に離れた箇所に支持機構を介して吊車を設け、この吊車を軌道に乗せることにより障子を吊った状態で支持するとともに、障子の左右方向の移動に際して吊車を軌道に沿って走行させるようにした障子用支持装置において、
上記支持機構は上側部分と下側部分を有し、上側部分は上記吊車を支持する吊車支持部および荷重受部を含み、下側部分は障子の上縁に固定されて鉛直に上方に延びる貫通部およびこの貫通部の上端部に設けられた引掛部を含み、
上記下側部分の貫通部を、上側部分の荷重受部に貫通させ上記引掛部を上記荷重受部に乗せることにより、障子の荷重を荷重受部に負担させるとともに、障子の上縁と荷重受部との間に障子の上方への変位を可能にするための間隙を形成することを特徴とする障子用支持装置。
【請求項2】
上記下側部分が1本のボルトからなり、ボルトの軸部が上記貫通部として提供され、ボルトの頭部が上記引掛部として提供されることを特徴とする請求項1に記載の障子用支持装置。
【請求項3】
上記支持機構の上側部分が、1つのブラケットからなり、このブラケットは、上端部が上記吊車支持部として提供され、下端部が上記荷重受部として提供されることを特徴とする請求項1または2に記載の障子用支持装置。
【請求項4】
上記支持機構の上側部分が、吊車支持部を含む部材と、荷重支持部を含む部材と、両部材間に介在されたリンクとを備え、このリンクが両部材に対して異なる鉛直の回動軸線を中心にして回動可能に連結され、このリンクには上記2つの回動軸線と異なる位置に、ガイド部に案内されて走行する走行部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の障子用支持装置。
【請求項5】
上下枠と左右の縦枠とにより形成された窓枠と、上枠に吊り下げられた状態で支持され、窓開口を閉じた状態で互いにフラットをなす複数の障子とを備えた窓装置において、
上記複数の障子は、左右方向に直線的に移動する第1障子と、閉じ位置から室内外方向に変位した後で左右方向に直線的に移動する第2障子とからなり、
各障子の上縁には左右に離れた箇所に支持機構を介して吊車が設けられ、上記上枠には、左右方向に直線的に延びる第1軌道と第2軌道が設けられ、第1軌道には第1障子の吊車が乗り、第2軌道には第2障子の吊車が乗り、
上記障子の各支持機構は上側部分と下側部分とを有し、上側部分は上記吊車を支持する吊車支持部および荷重受部を含み、下側部分は障子の上縁に固定されて鉛直に上方に延びる貫通部およびこの貫通部に設けられた引掛部を含み、
上記第2障子の支持機構の上側部分は、上記吊車支持部を含む部材と、上記荷重支持部を含む部材と、両部材間に介在されたリンクとを備え、このリンクが両部材に対して異なる鉛直の回動軸線を中心にして回動可能に連結され、このリンクには、上記2つの回動軸線と異なる位置に走行部が設けられ、
上記上枠には、上記第2障子の支持機構の走行部を案内するためのガイド部が設けられ、このガイド部は、左右に延びる直線部と、この直線部の左右いずれか一方の端に連なる変位部とを有し、この変位部は上記走行部を室内外方向に案内するようになっており、これにより、第2障子を閉じ位置から開き動作する際に、第2障子の室内外方向への変位を可能にし、
上記第1、第2障子の各支持機構において、上記下側部分の貫通部を上側部分の荷重受部に貫通させ、上記引掛部を上記荷重受部に乗せることにより、障子の荷重を荷重受部に負担させるとともに、障子の上縁と荷重受部との間に障子の上方への変位を可能にするための間隙を形成することを特徴とする窓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−266956(P2008−266956A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110048(P2007−110048)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(000187057)昭和鋼機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】