説明

隣接した椎体を安定化するための装置に使用するアグリゲート

【課題】脊柱固定装置において、2つの茎ねじまたは茎フックの間に固定可能で、予応力をかけた組み合わせ引張・圧力要素を得る。
【解決手段】A)長手軸線3に対し同軸または平行の2つのばね要素2;4と、軸方向に末端の2つの連結部5;6とを有する減衰要素1であって、B)第1のばね要素2がばね定数Fを有し、C)第2のばね要素4がばね定数fを有し、D)ばね定数Fおよびfが互いに異なる減衰要素1とする。さらに、A)Nの茎ねじまたは茎フックを有する隣接した椎体を安定化するための装置は、N≧3であり、B)各茎ねじまたは各茎フックは、長手方向の固定要素の収容を可能にする収容手段を有し、またC)ばねとして作用する要素は、2つの隣接した茎ねじまたは茎フックの間に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による減衰要素、ならびに請求項27の上位概念による隣接した椎体を安定化するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仏国特許出願公開第2799949号A明細書(特許文献1)から、通常の硬い長手材の代わりに個々の渦巻きばね要素と上下に連結されているある数のチューリップ状の茎ねじから構成される脊柱固定装置が公知である。渦巻ばねの長さは調整可能であるが、これによって、2つの隣接した茎ねじの間、したがって2つの隣接した椎体の間のばね力の1つの変更のみが達成されるに過ぎない。予応力をかけた状態でばね要素が茎ねじの間に使用されるかどうかは、この文献から明らかでない。
欧州特許出願公開第0516567号A明細書(特許文献2)から、通常の硬い長手材の代わりに個々の減衰要素と上下に連結されているある数のチューリップ状の茎ねじから構成される別の脊柱固定装置が公知である。この装置で不都合なことは、茎ねじの間の圧縮力のみを吸収できることである。さらに、減衰要素は固定長さを有するので、異なる長さを有するより多数のこのような減衰要素を用意して、適切な長さの減衰要素を2つの移植された茎ねじの間に固定できるようにすることが意図されている。このことは煩わしく、また種々の長さの減衰要素の在庫を増加せしめる。
【0003】
欧州特許第0669109号B明細書(特許文献3)から、通常の硬い長手材の代わりに茎ねじの孔を通して差し込み可能な弾性プラスチックバンドと上下に連結されている、穿孔頭部付きのある数の茎ねじから構成される別の脊柱固定装置が公知である。プラスチックバンドに並べられた個々の茎ねじの間に、茎ねじの間のあり得る圧縮力を吸収できる中空円筒状の支持要素がある。この装置の不都合は多様である。第一にプラスチックバンドおよび支持要素は、ビードチェーンの場合のように、すでに移植された茎ねじの孔内にまたはそれらの間に通さなければならず、外科医にとって煩わしくまた時間を浪費させる。第二に、ある程度まで弾性のプラスチックバンドは、予応力を有しない。支持体の長さはこの装置の場合にも決まっているので、支持体の予定破壊点が提案され、この結果、外科医は、術中に、両方の該当する茎ねじの間の有効距離に、支持体を適切に切断することができる。このことは、外科医にとって煩わしくまた時間を浪費させ、通常、短すぎる支持要素をもたらす可能性があり、この結果、ある程度の遅れによりその減衰作用が初めて生じ、このことは当然望ましくない。
【特許文献1】仏国特許出願公開第2799949号A明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0516567号A明細書
【特許文献3】欧州特許第0669109号B明細書
【特許文献4】米国特許第4653481号A明細書
【発明の開示】
【0004】
この点で、本発明は救済策を提供しようとする。本発明の課題は、2つの茎ねじまたは茎フックの間に固定可能であり、一方である程度のばね定数を有するばね要素として張力に、他方で他のばね定数を有する減衰要素として圧力に作用する、予応力をかけた組み合わせ引張・圧力要素を提供することである。
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を有する減衰要素により、ならびに請求項27に記載の特徴を有する、隣接した椎体を安定化するための装置により、提示された課題を解決する。
【0006】
本発明による減衰要素の好ましい実施態様では、ばね要素の1つは圧力ばねとして配置される。減衰要素を取り付けた状態では、ばね要素の端部に配置された連結部は、圧力ばねとして配置されたばね要素の端部に位置し、この結果、第1のばね要素に張力負荷をかけることができ、また予応力をかけることが可能である。
本発明によって達成される利点は、概して次の通りである。
− 異なる長さの内側円筒を選択することによって、減衰特性を変えることができる。
− 減衰要素を予め取り付けた状態ですでに存在する予応力が明白に規定され、異なる患者の体重および異なる適用に対応する選択の際に外科医に提供される。
− 減衰要素は、椎体の伸延の後に迅速かつ簡単に茎ねじの間に挿入かつそれに固定できる。
本発明による減衰要素の実施形態では、両方の連結部は、ばね要素と解放可能に連結可能である。連結部とばね要素の少なくとも1つとの連結は、好ましくはねじ連結部によって行われる。これによって、使用例に応じて必要性に適合した様々な連結部を使用することができる。さらに、本発明による減衰要素は、長さが可変に調整可能な統一的な引張/圧力要素を形成する。
【0007】
本発明による減衰要素の他の実施態様では、両方の連結部の少なくとも1つがばね要素の少なくとも1つと一体形成される。このような形成によって、本発明による減衰要素よりコンパクトな構造達成が可能である。
連結部は、本発明による減衰要素の用途に応じて、棒状またはスリーブとして形成することができ、この場合、それぞれ1つの連結部が長手軸線に対し同軸にばね要素の端部に配置される。スリーブは、長手軸線に対し同軸の中心孔を備えることが好ましく、中心孔に差し込まれた棒を固定するためのロック手段を含む。減衰要素のこの形成によって、長手軸線に同軸に、棒状の固定要素または別の減衰要素の棒状連結部と、第1の減衰要素のスリーブとして形成された連結部とを連結可能である。
ロック手段は、長手軸線に対し横方向にスリーブにねじ込み可能であり、かつスリーブの中心孔に差し込まれた棒状部分を固定するために使用される少なくとも1つのねじを含むことが好ましい。半径方向にスリーブを越えて突出しないピンねじをロック手段として使用することによって、減衰要素のコンパクトな構造が達成可能であり、このことは、椎体を安定化するための装置内部で減衰要素を使用するために有利である。
ばね要素の両方の端部の連結部は、減衰要素の用途に応じて、両方を棒状に、両方をスリーブとしてあるいは一方をスリーブとして、また他方を棒状に形成することができる。
【0008】
1つまたは複数の本発明による減衰要素を使用する場合、隣接した椎体を安定化するための装置の内部で、連結要素の1つを茎ねじまたは茎フックに固定し、第2の連結要素によって棒状の長手材と連結することが好ましい。このために、連結要素の1つをスリーブとして形成し、一方、第2の連結部を棒状に形成するように、連結要素を形成することが適している。長手材は、スリーブの中心孔に差し込まれ、ロック手段によってスリーブに固定され、一方、棒状連結部は、茎ねじまたは茎フックに通路として通常形成された収容手段に差し込み可能であり、同様にそこに固定可能である。好ましくは、棒状に形成された連結手段は、軸方向に収容手段の長さよりも大きな長さを有し、この結果、減衰要素は必要に応じて軸方向に移動して、調整することができる。
棒状の固定要素、例えば、隣接した椎体を安定化するための装置の内部の例えば長手材および本発明による減衰要素を組み合わせて使用することを簡単にするために、スリーブとして形成された連結部の中心孔の直径Dおよび棒状連結部の直径dは、D=〜dであるように選択される。
【0009】
本発明による減衰要素の他の実施態様では、ばね要素は、一定のばね定数を有するように形成される。これによって、減衰要素の負荷を取り除いた場合、負荷を受けないばね要素の状態が再び形成可能であることが達成される。
本発明による減衰要素の他の実施態様では、減衰要素は、長手軸線に対し直角の腎臓形断面を有する。このような形態の利点は、1つまたは複数の減衰要素を例えば脊柱固定の内部に移植する場合、脊柱突起または他の移植体部分を考慮して、この脊柱固定をより好都合に配置可能であることにある。
【0010】
本発明による減衰要素の別の実施態様では、第2のばね要素は第1のばね要素の内部に配置される。好ましくは、第2のばね要素は圧力ばねとして形成され、この結果、組み立てられた減衰要素の場合、少なくとも第1のばね要素の予応力が達成可能である。さらに、両方のばね要素の配置は同心であることが好ましい。この実施態様の利点は、同様に、これによって達成可能な減衰要素の小さな外形寸法である。
本発明による減衰要素のさらに別の実施態様では、第1のばね要素の内部に配置されまた圧力ばねとして形成された第2のばね要素は、長手軸線に対し同軸の中心孔を備え、その直径は、スリーブ内の中心孔の直径に対応することが好ましい。これによって、中心孔に差し込まれた棒状部分のより長い軸方向の案内が可能であり、これによって、減衰要素と棒状部分との間のより高い連結安定性が達成可能である。
【0011】
本発明による減衰要素の他の実施態様では、第1のばね要素はコイルばねとして形成される。コイルばねのねじ状のスリットは、補完的にねじ状のおよび弾性的に変形可能な第2のばね要素の隆起部によって閉塞されることが好ましい。この場合、コイルばねの螺旋は、同様に多条に形成することができる。好ましくは、第2のばね要素は鋳造可能な材料から製造され、この結果、第2のばね要素は既製の第1のばね要素に鋳込み可能である。
本発明による減衰要素の一実施態様では、圧力ばねとして形成されたばね要素は、ポリマから、好ましくはポリカーボンウレタン(PCU)から製造される。
本発明による減衰要素の別の実施態様では、スリーブとして形成された連結部は、ばね要素と一体形成され、これによって減衰要素の簡単な構造が達成可能である。この場合、第1のばね要素との両方の連結部が一体形成される減衰要素の形成も可能である。
【0012】
本発明による減衰要素の様々な実施態様では、第1のばね要素のばね定数Fおよび第2のばね要素のばね定数fは互いに異なる。この場合、両方のばね定数F;fは、少なくとも1.2、好ましくは少なくとも5のファクタだけ異なることができる。これによって、引張または圧力による負荷の際の減衰要素のばね力が互いに異なるという利点が達成可能である。減衰要素の使用範囲に応じて、ばね定数が10〜100のファクタだけ異なることもできる。
本発明による減衰要素の別の実施態様では、第2の減衰要素のばね定数fは、50N/mm〜5000N/mm、好ましくは100N/mm〜2000N/mmである。
本発明のさらに有利な実施態様は、従属請求項に特徴づけられている。
【0013】
隣接した椎体を安定化するための本発明による装置は、様々な固定手段と連結可能な本質的に複数の茎ねじまたは茎フックを含む。2つの隣接した茎ねじまたは茎フックの間に、固定手段として、例えば棒状の長手材、ばねまたは本発明による減衰要素を挿入することができる。
本発明による装置の好ましい実施態様では、茎ねじまたは茎フックは、本発明による減衰要素における固定要素、例えば棒状長手材、もしくは棒状に形成された連結部の軸方向に摺動可能な収容を可能にする収容手段を含む。収容手段内の固定要素を固定するために、茎ねじまたは茎フックは、例えば末端に配置することが可能であり、かつ固定ボルトまたは端子ナットから構成することができる固定手段を含む。本発明による装置は、一方で例えば長手材のような剛性の要素、他方で減衰要素を使用することによって、装置の安定性に関してそれぞれの条件に適合可能である。
【0014】
本発明による減衰要素の他の実施態様では、2つの平行の長手方向の固定要素の収容を同時に可能にする少なくとも1つの茎ねじまたは茎フックを含む。このようにして、収容手段を備える茎ねじまたは茎フックの少なくとも1つと、別の隣接した茎ねじまたは茎フックとの間を固定するために、ばねとして作用する要素、例えば本発明による減衰要素が使用可能にされる。
同時に2つの平行の長手方向の固定要素と茎ねじまたは茎フックとが連結可能であることを許容する収容手段を有する茎ねじまたは茎フックが、例えば米国特許第4653481号A明細書(特許文献4)のHOWLANDから公知である。本発明による減衰要素は、前述の特許に示した長手材と同様に、長手軸線に対し平行に連結部に取り付けられた棒によって、例えば、ねじ頭の平行の通路に固定することができる。このような配置によって可能な、通路内の長手軸線に対し平行の減衰要素の摺動性は、移植の前に、減衰要素の別の操作なしに、所望のばね力に予応力をかけた本発明による減衰要素を茎ねじの収容手段に挿入することを可能にする。隣接した茎ねじまたは茎フックの間の様々な間隔の場合の長さ補償は、長手軸線に対し同様に平行の通路内の本発明による減衰要素における、末端で長手軸線に対し平行に配置された棒状に形成された連結要素の軸方向の摺動性を介して行われる。
【0015】
減衰要素の予応力は、例えば、種々の不安定さ、適用または患者の重量を考慮することを許容する。減衰要素は、それと連結された脊柱部分を伸長する際に圧力負荷を受け、一方、それと連結された脊柱部分を曲げる際に引張負荷を受ける。ばね材料の選択、例えば、圧力負荷を受けるばね要素のためのポリマ、好ましくはポリカーボネートウレタン(PCU)、および引張負荷も受けるばね要素のための金属、形状寸法の選択ならびに引張負荷を受けるばね要素の予応力の調整は、患者のバイオメカニックの状況に対する本発明による装置の最適な適合を可能にする。
本発明による装置の利点は、概して次の通りである。
− 安定化された脊柱セグメントから健全な脊柱セグメントへの調和的な剛性移行。
− 減衰要素は、選択的に、セグメント毎に剛性の棒と組み合わせることができる。
本発明および本発明の発展形態について、複数の実施例の部分概略図を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、長手軸線3に対し同心に配置された2つのばね要素2;4を有する本発明による減衰要素1の実施態様を示している。第1のばね要素2は、中心の中空室15を有するコイルばねとして形成され、一方、第2のばね要素4は棒状に形成され、中空室15内に配置される。末端連結部5;6は、同様に長手軸線3に対し同軸に配置され、ばね要素2;4に対し方向付けられた、長手軸線3に対し同軸のそれぞれ1つのねじ部片16;17を備え、ねじ部片は雄ねじ18を有する。第1のばね要素2は、その軸方向端部21に、中空室15内に取り付けられた雌ねじ24を備え、この雌ねじは雄ねじ18に対し補完的に形成され、この結果、連結部5;6のねじ部片は第1のばね要素2にねじ込み可能である。さらに、各連結部5;6は、長手軸線3に対し同軸に配置されかつ連結部材5;6の内側端部19で開口する窪部23を備え、この結果、棒状に形成された第2のばね要素4は、その軸方向端部22において窪部23に収容可能である。さらに、連結部5;6は、それらの外側端部20に同軸に棒状に形成される。取り付けた減衰要素1では、第2のばね4の端部22は、長手軸線3に対し直角の窪部23の前面25に位置するので、連結部5;6は、この前面25の間に間隔Lを備える。この間隔Lならびに変形されない第1のばね要素2の長さは、ねじ部片16;17を雌ねじ24内にねじ込む際に、第1のばね要素2が軸方向に所望の長さだけ延伸されるように寸法決めされ、これによって、減衰要素1は予応力を得る。
【0017】
図2に、本発明による装置の実施態様が、隣接した椎体(図示せず)を安定化するための装置の例に示されている。複数の茎ねじまたはフック12は、中心軸28が脊柱軸に対して横方向に配置されるように、連結すべき椎体の茎に固定される。茎ねじまたはフック12の収容手段13は、中心軸28に対して垂直に配置され、通路26として形成される。この通路26内に、連結部5;6(図1)の棒状の外側端部20が差し込み可能であり、この結果、減衰要素がねじ27によって茎ねじまたはフック12に対して固定される前に、減衰要素1は通路26内で軸方向に摺動可能である。茎ねじまたはフック12の収容手段13は、それぞれ2つの平行の通路26を含み、この結果、茎ねじまたはフック12に、減衰要素1のほかに、例えば棒状の固定要素7が固定可能である。
【0018】
図3は、コイルばねとして形成された第1のばね要素2と、棒状に形成された第2のばね要素4と、長手軸線3に対し同軸にされた2つの連結部5;6とを有する本発明による減衰要素1の実施態様を示している。
図4と図5は、コイルばねとして形成された第1のばね要素2と、長手軸線3に対し同軸に第1の減衰要素2と連結された2つの連結部5;6とを有する本発明による減衰要素1の実施態様を示している。
図6に、長手軸線3に対し直角の円形断面を有する本発明による減衰要素1の実施態様が示されている。減衰要素1の移植に有利な他の断面形状、例えば卵形断面または楕円断面が、同様に可能である。
【0019】
図7に、長手軸線3に対し同軸に配置された円筒状コイルばねを第1のばね要素2として含む本発明による減衰要素1の実施態様が示されている。この第1のばね要素2は、螺旋状のスリット34を備え、またばね要素2の端部21のみで開口した、長手軸線3に対し同軸の第1の中空室15が設けられる。両方の軸方向の端部21の各々には、連結部5;6が配置され、この場合、この実施態様の両方の連結部5;6は第1のばね要素2と一体である。第1の連結部5は、長手軸線3に対し同軸の中心孔32を有するスリーブ30として形成され、一方、第2の連結部6は、同様に長手軸線3に対し同軸の棒として形成される。第2の棒状連結部6は、第1のばね要素2の端部21に配置され、この箇所で中空室15は軸方向に閉じられる。第1の連結部5内の中心孔32は、直径Dを有する。第2の連結部6は同様に円筒状に形成され、また本図に示した減衰要素1の実施態様では、第1の連結部5の中心孔32の直径Dと同一の大きさである直径dを有する。したがって、例えば、椎体を安定化するための装置に含まれる縦棒または別の減衰要素1の第2の棒状連結部6を中心孔32に差し込むことができる。本図に示した減衰要素1の実施態様において、長手軸線3に対し横方向にスリーブ30にねじ込み可能なピンねじとして形成されるロック手段31を用いて、中心孔32に差し込まれたこのようなロッドを固定可能である。第2のばね要素4は、長手軸線3に同軸に、第1のばね要素2の中空室15に配置され、第1のばね要素2の螺旋状のスリット34を補完する螺旋状の弾性的に変形可能な隆起部35を備え、この隆起部によって第1のばね要素2のスリット34が閉塞される。さらに、第2のばね要素4には、スリーブ30内の中心孔32と同一の直径を有する長手軸線3に対し同軸の中心孔33が設けられる。
【0020】
図8は、隣接した椎体37を安定化するための用途における本発明による装置38の実施態様を示している。4つの隣接する椎体37には、それぞれ1つの茎ねじ12がねじ込まれる。装置38は、それぞれ、4つの隣接する椎体37の内の1つの外側椎体と隣接した内側椎体37との間に、ばねとして作用する要素14を備え、ならびに両方の隣接した内側椎体37の間に、棒状の長手材8を備え、要素14および長手材8は長手軸線3に対し同軸に配置される。ばねとして作用する要素14は、それらの端部21(図7)に棒状連結部6を含み、かつ他の端部21にスリーブ30(図7)を含む減衰要素1から構成される。棒状連結部6は固定要素7として使用され、この固定要素は、装置38に対して末端の両方の茎ねじ12の収容手段13に差し込まれ、そこで、ねじとして形成された固定手段29によって茎ねじと解放可能に連結される。スリーブ30(図7)として形成された減衰要素1の連結部5は、安定化すべき4つの椎体37内側の両方の椎体に向かって方向付けられる。両方の減衰要素1の間には棒状の長手材8が挿入され、この場合、長手材8は、両方の内側茎ねじ12の収容手段13内の固定要素7が長手材8の軸方向セグメントによって形成されるように形成される。長手材8は、一方で、両方の内側茎ねじ12のねじとして形成された固定手段29によって装置38と連結され、他方で、長手材の両方の端部39;40は、連結部5および第2のばね要素4(図7)の中心孔32;33に差し込まれ、そこで、ロック手段31(図7)によって解放可能にブロックされる。用途例に応じて、長手材8および減衰要素1の長手軸線3に対し同軸の他の組み合わせも可能である。長手材8の代わりに、複数の長手材8を使用できるか、あるいは1つまたは複数の長手材8を1つまたは複数の減衰要素1の連結部6によって代用でき、この場合、減衰要素は軸方向に十分な長さを有しなければならない。長手軸線3は、本発明による装置38の様々な用途の場合、曲げるかまたは角度を付けることもできる。
【0021】
図9は、本発明による装置の実施態様を示しており、この実施態様は、この実施態様が、それぞれ2つの軸方向に末端の減衰要素1とその間に位置して配置された各々1つの長手材8とを有する長手軸線3に対し平行の2つの装置38を含むことのみによって、図8に示した実施態様と区別される。さらに、それぞれ5つの茎ねじ12が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による減衰要素の実施態様の縦断面図である。
【図2】隣接した椎体を安定化するための本発明による装置の実施態様の図面である。
【図3】本発明による減衰要素の実施態様の分解図である。
【図4】本発明による減衰要素の実施態様の図面である。
【図5】本発明による減衰要素の実施態様の斜視図である。
【図6】本発明による減衰要素の実施態様の頂面図である。
【図7】本発明による減衰要素の実施態様の縦断面図である。
【図8】隣接した椎体を安定化するために使用する際の本発明による装置の実施態様の図面である。
【図9】本発明による装置の実施態様の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 減衰要素
2 第1のばね要素
3 長手軸線
4 第2のばね要素
5、6 連結部
7 長手方向の固定要素
12 茎ねじ又は茎フック
13 収容手段
14 要素
29 固定手段
30 スリーブ
31 ロック手段
32、33 中心孔
34 螺旋状のスリット
35 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)長手軸線(3)に対し同軸または平行の2つのばね要素(2;4)と、軸方向に末端の2つの連結部(5;6)とを特徴とする減衰要素(1)において、
B)前記第1のばね要素(2)がばね定数Fを有し、
C)前記第2のばね要素(4)がばね定数fを有し、
D)前記ばね定数Fおよびfが互いに異なる減衰要素(1)。
【請求項2】
前記ばね要素(2;4)の少なくとも1つが前記連結部(5;6)と連結されるように、前記連結部(5;6)と前記ばね要素(2;4)とが組み合わせ可能であることを特徴とする、請求項1に記載の減衰要素(1)。
【請求項3】
前記連結部(5;6)の少なくとも1つが、少なくとも1つの前記ばね要素(2;4)と一体であることを特徴とする、請求項1に記載の減衰要素(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記連結部(5)が、前記長手軸線(3)に対し同軸の中心孔(32)を有するスリーブ(30)を含み、また前記スリーブ(30)に、前記中心孔(32)に差し込み可能な棒をブロックするためのロック手段(31)が配置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項5】
前記連結部(5;6)の少なくとも1つが棒状に形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項6】
前記スリーブ(30)内の前記中心孔(32)が直径Dを有し、また前記第2の連結部(6)が直径dの円筒状に形成されることを特徴とする、請求項5に記載の減衰要素(1)。
【請求項7】
D=〜dであることを特徴とする、請求項6に記載の減衰要素(1)。
【請求項8】
前記ロック手段(31)が、前記長手軸線(3)に対して横方向に前記スリーブ(30)にねじ込み可能である少なくとも1つのねじを含むことを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項9】
前記ばね要素(2;4)が、前記長手軸線(3)に対し同心に配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項10】
前記ばね要素(2;4)の少なくとも1つに予応力がかけられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項11】
前記ばね要素(2;4)が一定の前記ばね定数F;fを有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項12】
前記長手軸線(3)に対し直角の腎臓形断面を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項13】
前記ばね要素(4)が圧力ばねとして配置されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項14】
前記第2のばね要素(4)が、前記第1のばね要素(2)の内部に配置されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項15】
前記第2のばね要素(4)が、前記長手軸線(3)に対し同軸の中心孔(33)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の減衰要素(1)。
【請求項16】
前記第1のばね要素(2)がコイルばねとして形成され、かつ螺旋状のスリット(34)を備えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項17】
前記第2のばね要素(4)が、前記第1のばね要素(2)の螺旋状の前記スリット(34)を補完する弾性的に変形可能な隆起部(35)を含み、該隆起部が前記スリット(34)を閉塞することを特徴とする、請求項16に記載の減衰要素(1)。
【請求項18】
前記ばね要素(2;4)に多条螺旋部が設けられることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項19】
圧力バネとして配置された前記ばね要素(4)が、ポリマ、好ましくはポリカーボネートウレタン(PCU)から構成されることを特徴とする、請求項13〜18のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項20】
前記第2のばね要素(4)が前記連結部(5;6)と一体形成されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項21】
前記スリーブ(30)が前記第1のばね要素(2)と一体であることを特徴とする、請求項4〜20のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項22】
前記第1のばね要素(2)が両方の前記連結部(5;6)と一体であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項23】
両方の前記ばね定数F;fが、少なくともファクタ1、2だけ、好ましくはファクタ5だけ異なることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項24】
両方の前記ばね定数F;fが10〜100のファクタだけ異なることを特徴とする、請求項23に記載の減衰要素(1)。
【請求項25】
前記第2のばね要素(4)の前記ばね定数fが、50N/mm〜5000N/mmであることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1項に記載の減衰要素(1)。
【請求項26】
前記第2のばね要素(4)の前記ばね定数fが、100N/mm〜2000N/mmであることを特徴とする、請求項25に記載の減衰要素(1)。
【請求項27】
隣接した椎体を安定化するための装置であって、
A)Nの茎ねじ(12)または茎フックを有し、ここでN=3または>3であり、
B)各前記茎ねじ(12)または各前記茎フックが、長手方向の固定要素(7)の収容を可能にする収容手段(13)を含む装置において、
C)ばねとして作用する少なくとも1つの要素(14)が、2つの隣接した前記茎ねじ(12)または前記茎フックの間に挿入されることを特徴とする装置。
【請求項28】
ばねとして作用する前記要素(14)が、請求項1〜24のいずれか1項に記載の前記減衰要素(1)であることを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記茎ねじ(12)または前記茎フックが固定手段(29)を含み、これによって、前記収容手段(13)内の前記固定要素(7)を解放可能にブロック可能であることを特徴とする、請求項27または28に記載の装置。
【請求項30】
前記固定要素(7)として、前記収容手段(13)内の前記減衰要素(1)の前記棒状連結部(5;6)を解放可能にブロック可能であることを特徴とする、請求項27〜29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記長手軸線(3)に対して平行に、前記棒状の連結部(5;6)を前記収容手段(13)内で摺動可能に収容可能であることを特徴とする、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つの前記茎ねじまたは前記茎フック(12)が、2つの平行の長手方向の前記固定要素(7)の収容を同時に可能にする前記収容手段(13)を含むことを特徴とする、請求項27〜31のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−100088(P2008−100088A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294974(P2007−294974)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【分割の表示】特願2003−548708(P2003−548708)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(500156069)ジンテーズ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング (34)
【住所又は居所原語表記】Eimattstrasse 3, CH−4436 Oberdorf, Swizerland
【Fターム(参考)】