説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 居住者が誤って終話操作しても直ぐに通話操作すれば、集合玄関機との通話路が再形成されて来訪者との間で通話を再開できる。
【解決手段】 居室親機2は、集合玄関機1からの呼び出しに応答するための通話ボタン25と、終話操作する終話ボタン30と、終話操作が成されてから10秒以内に通話ボタン25が操作されたら集合玄関機1と再接続して引き続き来訪者と居住者の間の通話を可能とする居室親機CPU27を備え、制御機4に再接続操作時に集合玄関機1が使用中となっている場合に再接続制御を実施させない制御機CPU45を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、詳しくは集合玄関機と居室親機間の通話路形成制御を改良した集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅インターホンシステムは、集合玄関に設置された集合玄関機から個々の居室に設置された居室親機の何れかを呼び出し、この呼び出しに対して居室親機から応答操作すことで、集合玄関機と居室親機の間の通話路が形成されて来訪者と居住者の間で通話が可能となっている。
居室親機がハンズフリー応答できる構成の場合は、通話ボタン等のボタン操作で通話路が形成されて応答可能となり、終話ボタン等のボタン操作が成されると形成されていた通話路が遮断されて通話不能となる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−223737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、従来の集合住宅インターホンシステムでは集合玄関機からの呼び出しに対して、居住者がハンズフリーによる応答をした場合、終話操作をすることで通話路が遮断される。そのため、通話中に誤って終話ボタンを操作してしまった場合も通話路が遮断されてしまう。ところが、このような場合、いったん遮断された通話路は居室親機側の操作で集合玄関機を再接続することができなかったため、来訪者からの再度の呼出操作を待つしかなかった。
【0004】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、居住者が誤って終話操作しても直ぐに通話操作すれば、集合玄関機との通話路が再接続されて来訪者との間で通話を再開できる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者が居住者を呼び出して通話を行うための集合玄関機と、集合玄関機からの呼び出しを受けて居住者が応答するための居室親機と、集合玄関機、居室親機の間の呼び出し及び通話を制御する制御機とを備え、居室親機に集合玄関機からの呼び出しに応答操作するための通話路形成手段と、集合玄関機との間で形成された通話路を遮断操作する通話路遮断手段とを備えた集合住宅インターホンシステムにおいて、通話路遮断手段により遮断操作が成された際、その後所定時間以内に通話路形成手段が操作されたら、集合玄関機と再接続して引き続き来訪者と居住者の間の通話を可能とする通話路再生制御手段を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、居住者が間違って終話操作しても、所定時間内であれば居室親機側の操作で集合玄関機と居室親機の間の通話路が再接続できるので、集合玄関機による再呼出操作を待つ必要がなくなる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、集合玄関機は来訪者を撮像するカメラを有すると共に、居室親機はカメラの撮像映像を出画するモニタを有し、通話路再生制御手段は、所定時間内に通話路形成手段が操作されたら、集合玄関機との間の通話路を再形成すると共に、遮断された映像路も再形成してカメラの撮像映像をモニタに出画させることを特徴とする。
この発明によれば、通話路の再接続動作に連動して映像路も再接続されるので、引き続き通話しながら映像により来訪者を確認できる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発明において、所定時間内に通話路形成手段が操作された時に、集合玄関機が操作状態にあるか通話状態にあれば、通話路再生制御を停止させる再接続停止制御手段を有することを特徴とする。
この発明によれば、居室親機から再接続が可能な時間内であっても、集合玄関機側の操作を優先するので、来訪者が戸惑うようなことがない。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、集合玄関機と居室親機の間に形成された通話路の形成時間をカウントする通話タイマと、通話タイマのタイムアップを受けて通話路を自動遮断する終話制御手段とを居室親機或いは制御機に設け、通話タイマのタイムアップ時間は、呼出応答時と再接続時とで異なり、再接続時のタイムアップ時間は呼出応答時のタイムアップ時間より短いことを特徴とする。
この発明によれば、再接続時の通話可能時間は短いため、他に呼出操作待ちの来訪者がいても、長時間に亘り集合玄関機を占有するようなことがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、居住者が間違って終話操作しても、所定時間内であれば居室親機側の操作で集合玄関機と居室親機の間の通話路が再接続できるので、集合玄関機による再呼出操作を待つ必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る集合住宅インターホンシステム一例を示す構成図であり、1は集合玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出して通話を行うための集合玄関機、2は各居室に設置されて集合玄関機1からの呼び出しを受けて居住者が応答するための居室親機、3は管理室に設置されて居住者等と通話するための管理室親機、4は集合玄関機1と居室親機2の間の呼び出し及び通話、集合玄関機1と管理室親機3の間の呼び出し及び通話、管理室親機3と居室親機2の間の呼び出し及び通話等を制御する制御機、5は来訪者や居住者が集合住宅を出入りするためのオートドア、6はオートドア5を制御するオートドア制御盤である。
【0011】
集合玄関機1は図2の回路ブロック図に示すように構成され、来訪者を撮像するカメラ11、撮像した映像信号を変調等処理する映像処理部12、テンキー13、呼出ボタン14、マイク及びスピーカを備えた通話部15、各回路を制御する集合玄関機CPU16、制御機2と通信するための集合玄関機インターフェース(集合玄関機IF)17を備えている。
【0012】
居室親機2は図3の回路ブロック図に示すように構成され、カメラ11の撮像映像を出画するモニタ21、伝送されてきた映像信号を復調等処理する映像処理部22、再接続時間をカウントする再接続タイマ23、呼び出しに応答するための通話ボタン25、マイク及びスピーカを備えた通話部26、各回路を制御する居室親機CPU27、制御機4と通信するための居室親機インターフェース(居室親機IF)28、オートドア5を解錠操作する解錠ボタン29を備えている。尚、通話ボタン25は終話ボタン30でもあり、通話中に操作すれば終話動作して通話路が遮断されるよう構成されている。
【0013】
また、制御機4は図4の回路ブロック図に示すように構成され、各機器間の通話路および映像路を形成する通話/映像路形成部41、通話路形成時間をカウントする通話タイマ42、集合玄関機1と通信する第1インターフェース(第1IF)43、居室親機2及び管理室親機3と通信する第2インターフェース(第2IF)44、制御機4を制御する制御機CPU45を備えている。
【0014】
次に、上記構成の集合住宅インターホンシステムの動作を説明する。図5は、呼び出しを受けた居室親機3の応答動作の流れを示すフローチャートであり、この図を基に説明する。まず、来訪者が居住者を呼び出すため集合玄関機1のテンキー13を操作して部屋番号を入力し、続けて呼出ボタン14を押下する(S1)と、呼出信号が制御機4に送信される。この呼出信号を受信した制御機4は、呼出信号に含まれる居室番号情報から該当する居室親機2に対して呼出信号を送信し、通話路及び映像路を接続する。呼出信号を受信した居室親機2は、居室親機CPU27の制御により通話部26のスピーカから呼出音を出力させる。
【0015】
一方で、呼出操作により集合玄関機1のカメラ11が起動して撮像を開始する。この撮像信号は、映像処理部12で変調処理等され、呼出信号と同様に制御機4を介して呼出報知している居室親機2に伝送される。そして、居室親機2では居室親機CPU27の制御により、映像処理部22で復調処理等の出画可能な信号に処理されてモニタ21に出画される。
【0016】
こうして、呼出報知動作を確認した居住者が通話ボタン25を操作する(S2)ことで、集合玄関機1と居室親機2の間で通話路が形成され、モニタ21に映し出された映像を見ながら来訪者と居住者の間で通話が可能となる。そして、この通話路が形成された状態で通話ボタン25が再操作されると、居室親機CPU27は終話ボタン30が操作(S3)されたと判断して終話制御する。尚、終話操作しない場合でも、制御機4に設けられている通話タイマ42が通話路形成に連動して例えば90秒のカウントをスタートし、カウントアップしたら制御機CPU45の制御により自動的に終話が成され、通話路及び映像路が遮断される。
【0017】
終話操作により集合玄関機1との間の通話路が遮断されると、居室親機2の再接続タイマ23が例えば10秒のカウントをスタート(S4)し、このカウント中(S5)に通話ボタン25が操作されなければ待受状態に戻る(S8)。しかし、再接続タイマ23がカウント中に再度通話ボタン25が操作(S6)されたら、居室親機CPU27は再接続操作が成されたと判断して再接続信号を制御機4に送信する。この再接続信号を受信した制御機4は、制御機CPU45が集合玄関機1が使用中(操作中或いは通話中)であるか判断(S7)する。
【0018】
再接続操作時に集合玄関機1が使用されていなければ、制御機CPU45から再接続許可信号が居室親機2に送信される。居室親機CPU27は、この再接続許可信号を受けて集合玄関機1との間で通話路を再接続し(S9)、集合玄関機1と居室親機2の間で通話を継続することが可能となる。その後、通話ボタン25を操作すれば終話して待受状態に戻る(S8)。
【0019】
一方、再接続信号を受信した時に制御機CPU45が集合玄関機1が使用中であると判断(S7)したら、居室親機2に対して再接続不可信号を送信し、居室親機CPU27は再接続制御を停止して待受状態に戻る(S8)。
但し、再接続した際にも呼出応答の場合と同様に通話タイマ42がスタートして終話操作されなかった場合に自動終話を実施するが、再接続時のタイムアップ時間は、呼出応答時の時間より例えば30秒と短く設定されている。
【0020】
尚、呼出状態、通話状態時、更に再接続による通話状態時に解錠ボタン29が操作されると、解錠信号が居室親機CPU27から制御機4に送信され、制御機CPU45は集合玄関機1に対して解錠操作信号を送信する。これによりオートドア5の電気錠が電気錠制御盤6の制御によって解錠される。また、カメラ11の動作に関しても、再接続時においても制御機CPU45の制御により、集合玄関機1のカメラ11が再起動し、居室親機2のモニタ31に再出画される。
そして、再接続時に集合玄関機1が使用中であって再接続操作が不可となっても、その時の集合玄関機1の操作が自身の居室親機2の呼出操作である場合は、集合玄関機1の操作が優先されても居室親機2に呼出信号が報音され、再接続操作と同様の結果となる。
【0021】
このように、居住者が間違って終話操作しても、所定時間内であれば居室親機側の操作で集合玄関機と居室親機の間の通話路が再接続できるので、集合玄関機による再呼出操作を待つ必要がなくなる。また、通常は通話ボタンを操作しても集合玄関機と接続することができないので、プライバシーの侵害になる虞もないし通話路を故意に塞いでしまうこともない。
更に、通話路の再接続動作に連動して映像路も再接続されるので、引き続き通話しながら映像により来訪者を確認できるし、居室親機から再接続が可能な時間内であっても、集合玄関機側の操作を優先するので、来訪者が戸惑うようなことがない。また、再接続時の通話可能時間は短いため、他に呼出操作待ちの来訪者がいても、長時間に亘り集合玄関機が占有されるようなことがない。
【0022】
尚、上記実施形態では、再接続タイマ23を居室親機2に設けたが、通話タイマ42と共に制御機4に設けてもよい。また、居室親機2の操作で終話した場合に再接続タイマ23をスタートさせる構成としたが、通話タイマ42がカウントアップして自動終話した場合も、再接続タイマをスタートさせて、居室親機2の操作で再接続を可能としても良い。
更に、通話ボタン25を再操作することで通話路が再接続されるが、再接続制御は、他の任意のボタン、例えば解錠ボタン29を操作しても再接続するよう構成しても良いし、終話ボタンを独立して設けても良い。また、居室親機CPU27を通話路再生制御手段としているが、制御機CPU45にその機能を持たせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】集合玄関機の回路ブロック図である。
【図3】居室親機の回路ブロック図である。
【図4】制御機の回路ブロック図である。
【図5】呼び出しを受けた居室親機の通話動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1・・集合玄関機、2・・居室親機、3・・管理室親機、4・・制御機、11・・カメラ、14・・呼出ボタン、15・・通話部、21・・モニタ、23・・再接続タイマ、25・・通話ボタン(通話路形成手段)、26・・通話部、27・・居室親機CPU(通話路再生制御手段)、30・・終話ボタン(通話路遮断手段)、41・・通話/映像路形成部、42・・通話タイマ、45・・制御機CPU(再接続停止制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出して通話を行うための集合玄関機と、前記集合玄関機からの呼び出しを受けて居住者が応答するための居室親機と、前記集合玄関機、前記居室親機の間の呼び出し及び通話を制御する制御機とを備え、前記居室親機に前記集合玄関機からの呼び出しに応答操作するための通話路形成手段と、前記集合玄関機との間で形成された通話路を遮断操作する通話路遮断手段とを備えた集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記通話路遮断手段により遮断操作が成された際、その後所定時間以内に前記通話路形成手段が操作されたら、前記集合玄関機と再接続して引き続き来訪者と居住者の間の通話を可能とする通話路再生制御手段を備えたことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記集合玄関機は来訪者を撮像するカメラを有すると共に、前記居室親機は前記カメラの撮像映像を出画するモニタを有し、
前記通話路再生制御手段は、前記所定時間内に前記通話路形成手段が操作されたら、集合玄関機との間の通話路を再形成すると共に、遮断された映像路も再形成して前記カメラの撮像映像を前記モニタに出画させることを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記所定時間内に通話路形成手段が操作された時に、前記集合玄関機が操作状態にあるか通話状態にあれば、通話路再生制御を停止させる再接続停止制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記集合玄関機と前記居室親機の間に形成された通話路の形成時間をカウントする通話タイマと、
前記通話タイマのタイムアップを受けて前記通話路を自動遮断する終話制御手段とを前記居室親機又は前記制御機に設け、
前記通話タイマのタイムアップ時間は、前記呼出応答時と再接続時とで異なり、再接続時のタイムアップ時間は呼出応答時のタイムアップ時間より短いことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−211659(P2008−211659A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47864(P2007−47864)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】